JP2021031712A - 溶鋼の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】転炉又は電気炉を用いた溶鋼の製造方法において、蒸気圧が鉄よりも高い金属元素を溶鉄に目的とする濃度にて精度良く添加する。【解決手段】転炉又は電気炉を用いた溶鋼の製造方法であって、前記転炉又は電気炉に装入された溶鉄に対して、蒸気圧が鉄よりも高い金属元素を含む添加物を添加する、添加工程と、前記溶鉄の一部を気化させて、前記気化された前記溶鉄に含まれる成分を、発光法を用いてオンラインで分析する、分析工程と、を備え、前記溶鉄に含まれる前記金属元素の含有量が目標範囲内となるように、前記添加工程における前記添加物の添加量を、前記分析工程における分析結果に基づいて調整する、溶鋼の製造方法とする。【選択図】図2

Description

本願は転炉又は電気炉を用いた溶鋼の製造方法等を開示する。
近年、鉄鋼製品の機能向上が求められている中、溶鋼製造段階において、溶鉄中に、偏析防止効果の高いNi、強度を高めるためのCo、快削性を向上させるためのPb、製品の外観性を高めるためのCu等の合金成分が添加されている。一方で、これら合金成分はトランプエレメントと呼ばれ、その選別や溶解段階での除去方法などが継続的に研究されている。また、ブリキ材として古くから用いられているSnに加えて、近年ではCoやNiといった貴な金属を含有する合金をめっきして表面の強度を増加させた鉄鋼製品も開発されており、鉄鋼のリサイクルにおける適正なマテリアルフローとそれに適したプロセスに対する要求は今後も増していくことが予想される。
溶鋼製造段階において溶鉄中に上記の合金成分を添加する形態としては種々の形態が考えられる。例えば、特許文献1に記載されているように、酸化精錬を主とした転炉や電気炉において、合金成分を含むスクラップを溶鉄に添加することが考えられる。この場合、その後の二次精錬における高品位合金の添加量を削減でき、コストの低減が可能となる。スクラップには、合金成分の他に、プラスチックや木材、セラミックス等の副成分が混入している場合があるが、転炉や電気炉での酸化精錬時に溶鉄中にスクラップを添加することで、当該副成分を燃焼、集塵分離することも容易となる。
尚、特許文献2には、ダスト中に揮発濃縮したマンガンを原子吸光法によってオンラインで連続分析する技術が記載されている。また、特許文献3には、レーザー照射による分析方法が記載されており、ここで示されるICP分析法のみならず、溶鉄に直接レーザーを照射してその発光エネルギーから溶鉄中の元素を連続的にオンライン分析する手段も各種提案されている。また、特許文献4には、溶鉄に酸素を吹付けて高温の火点で発光するスペクトルにより溶鉄中の元素を分析する技術が記載されており、例えば、特許文献5に記載されているように、転炉吹錬における溶鉄中のクロム分析に適用可能である。
特開2007−231398号公報 特開平3−249547号公報 特開平9−31516号公報 特開平8−184565号公報 特開平9−31515号公報
溶鉄中に合金成分を含むスクラップを添加する場合、当該スクラップに含まれる合金成分の濃度がロット毎に大きくばらつくことから、溶鉄中への合金成分の添加量を制御することが難しい場合がある。仮に溶鉄に対する合金成分の添加量が上限をオーバーした場合には、高純度溶鉄で希釈する等、ヒートサイズが一定であることを前提とした鉄鋼業の製鋼プロセスでは実用的では無い手段を採る必要が生じる。
転炉又は電気炉を用いた溶鋼の製造段階において、溶鉄に対して合金成分を目的とする濃度にて精度よく添加可能な、新たな技術が必要である。
本願は上記課題を解決するための手段の一つとして、転炉又は電気炉を用いた溶鋼の製造方法であって、前記転炉又は電気炉に装入された溶鉄に対して、蒸気圧が鉄よりも高い金属元素を含む添加物を添加する、添加工程と、前記溶鉄の一部を気化させて、前記気化された前記溶鉄に含まれる成分を、発光法を用いてオンラインで分析する、分析工程と、を備え、前記溶鉄に含まれる前記金属元素の含有量が目標範囲内となるように、前記添加工程における前記添加物の添加量を、前記分析工程における分析結果に基づいて調整する、溶鋼の製造方法を開示する。
本開示の製造方法において、前記添加物がSn、Co、Ni及びCuからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属元素を含んでいてもよい。
本開示の製造方法において、前記添加物がCuを含んでいてもよい。
本開示の製造方法において、前記発光法が火点発光スペクトル分析法であってもよい。
本開示の製造方法において、前記添加物としてCu含有物とNi含有物とを用い、前記分析工程において分析された前記溶鉄中のCu濃度及びNi濃度に基づいて、前記添加工程におけるNi含有物の添加量を調整してもよい。
本開示の技術によれば、転炉又は電気炉を用いた溶鋼の製造段階において、溶鉄中に所定の合金成分を目的とする濃度にて精度よく添加することができる。例えば、鉄鋼製品の製造において酸化除去によるコントロールが困難であった貴な金属成分の調整を、安価な添加物を用いて実施することも可能となり、その工業的利用価値は極めて高い。
溶鋼の製造方法S10の流れを説明するための図である。 電気炉を用いた溶鋼の製造方法を説明するための概略図である。 転炉を用いた溶鋼の製造方法を説明するための概略図である。 各種金属元素の蒸気圧の温度依存性を示す図である。
以下、本開示の溶鋼の製造方法の一例について説明するが、本開示の溶鋼の製造方法は以下に示す形態に限定されるものではない。
図1に溶鋼の製造方法S10の流れを示す。また、図2及び3に製造方法S10を実施する場合の装置の構成例を概略的に示す。図2が電気炉を用いた場合であり、図3が転炉を用いた場合である。図1〜3に示すように、製造方法S10は、転炉又は電気炉を用いた溶鋼の製造方法であって、転炉又は電気炉に装入された溶鉄1に対して、蒸気圧が鉄よりも高い金属元素を含む添加物2を添加する、添加工程S1と、溶鉄1の一部を気化させて、気化された溶鉄1に含まれる成分を、発光法を用いてオンラインで分析する、分析工程S2と、を備えている。製造方法S10においては、溶鉄1に含まれる金属元素の含有量が目標範囲内となるように、添加工程S1における添加物2の添加量を、分析工程S2における分析結果に基づいて調整する。
1.添加工程
添加工程S1においては、転炉又は電気炉に装入された溶鉄1に対して、蒸気圧が鉄よりも高い金属元素を含む添加物2を添加する。
1.1.溶鉄
「溶鉄」とは、精錬前の溶鉄(例えば溶銑)や精錬中の溶鉄や精錬後の溶鉄(例えば溶鋼)のいずれであってもよい。溶鉄1の組成は特に限定されるものではなく、目的とする鋼組成に応じて適宜決定すればよい。添加工程S1における溶鉄の温度も特に限定されるものではない。
1.2.添加物
添加物2には鉄よりも蒸気圧が高い金属元素が含まれている。本願にいう「蒸気圧」とは、分析工程S2において溶鉄1を気化させたときの、当該気化時の溶鉄1の温度における蒸気圧である。言い換えれば、添加物2には、分析工程S2において、鉄(純鉄)とともに気化する金属元素が含まれている。
添加物2に含まれる金属元素の種類は、鉄よりも蒸気圧が高いものであればよく、例えば、Sn、Co、Ni、Cu、Al、Ba、Bi、Cr、Mn、Pb及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属元素が挙げられる。ただし、鉄と比較して蒸気圧が高すぎる金属元素については、溶鉄1への効率的な添加が困難となる(揮発によって添加歩留まりが低下する)場合がある。本発明者の知見では、添加物2が、特に、Sn、Co、Ni及びCuからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属元素を含む場合に、本開示の製造方法S10による効果が一層顕著なものとなる。図4に示すように、Sn、Co、Ni及びCuはいずれも鉄よりも蒸気圧が高いものの、高過ぎることがなく、溶鉄1への添加歩留まりも低下し難い。中でも、Cuはトランプエレメントの中でも工業的な使用量が多く、圧延工程での疵発生源ともなり、さらには、リサイクル時においてもしばしば問題となる。本開示の製造方法S10においては、Cuを含む添加物2を用いた場合でも、溶鉄1に含まれるCuの濃度を目標範囲内に精度よく制御可能であり、本製造方法S10の工業的利用価値は高いといえる。
添加物2における上記の金属元素の含有量は特に限定されるものではない。本開示の製造方法S10においては、ロット毎に添加物2に含まれる金属元素の含有量にばらつきが生じていてもよい。また、添加物2は、上記の金属元素以外の元素や成分を含んでいてもよい。例えば、添加物2は、上記の金属元素とともに鉄を含んでいてもよい。また、添加物2は、プラスチック、木材及びセラミックスからなる群より選ばれる少なくとも1つの副成分を含んでいてもよい。本開示の製造方法S10においては、添加物2がこのような副成分を含んでいたとしても問題となり難い。すなわち、当該副成分を含む添加物2を溶鉄1中に添加したとしても、転炉又は電気炉における精錬時、当該副成分を容易に燃焼、集塵分離することができる。
溶鉄1に添加される前における添加物2の形態は特に限定されるものではない。粉状、塊状、線状、繊維状等、種々の形態が挙げられる。溶鉄1に対する添加物2の添加量は、後述の分析工程S2における分析結果と目標とする溶鋼組成とに応じて適宜調整すればよい。
添加物2は鉄よりも蒸気圧が高い金属元素を含むスクラップであってもよい。当該金属元素を含むものの、その含有量が不明であるスクラップを添加物2として採用することも可能である。例えば、特許文献1に記載されたような鉄スクラップを添加物2として採用してもよい。或いは、家電製品や自動車モータの配線等のCuを含むスクラップを添加物2として採用してもよい。このように、製造方法S10においては、添加物2として安価なスクラップを採用することができ、その後の二次精錬における高品位合金の添加量を削減できるとともに、製造コストの一層の低減が可能となる。
1.3.添加方法
溶鉄1への添加物2の添加方法は特に限定されるものではない。例えば、図2及び3に示すように溶鉄1の上から溶鉄1の液面及び/又はスラグ3に向かって添加物2を投入してもよい。或いは、溶鉄1中に添加物2を吹き込んでもよい。この場合、公知の投入装置又は吹込装置を用いて、添加物2を溶鉄1へと連続的に投入又は吹き込んでもよいし、断続的に(バッチ式で)投入又は吹き込んでもよい。
2.分析工程
分析工程S2においては、溶鉄1の一部を気化させて、気化された溶鉄1に含まれる成分を、発光法を用いてオンラインで分析する。「発光法」とは、溶鉄より発生する高温蒸気の発光を利用し、発光スペクトルや発光強度等に基づいて、高温蒸気に含まれる元素を分析する方法である。「オンラインで分析する」とは、転炉又は電気炉によって溶鉄1を加熱している最中に、上記の添加工程S1の開始から終了までの間の少なくともどこかの時点で分析することをいう。例えば図2に示すように、電気炉においてアーク14を発生させ、アーク放電によって溶鉄1を加熱している最中に、当該溶鉄1の一部を気化及び発光させて溶鉄1に含まれる元素を分析してもよい。或いは、例えば図3に示すように、転炉において溶鉄1に酸素ジェット5を吹き付けて精錬を行っている最中に、当該溶鉄1の一部を気化及び発光させて溶鉄1に含まれる元素を分析してもよい。分析工程S2は、製造方法S10において連続的に実施してもよいし、適切なタイミングで断続的に実施してもよい。また、分析工程S2は、図1に示すように、少なくとも添加工程S1の後に実施すればよい。添加工程S1の後に加えて、添加工程S1の前に実施してもよいし、添加工程S1と同時に実施してもよい。
2.1.溶鉄の気化及び発光
溶鉄1を気化させる方法は特に限定されるものではなく、溶鉄1の発光を伴うような方法であればよい。例えば、図2及び3に示すように、溶鉄1にランス4から酸素ジェット5を吹き付けることで火点6を形成する形態が挙げられる。すなわち、分析工程S2において採用される発光法は火点発光スペクトル分析法であってもよい。或いは、レーザー照射等によって溶鉄1を気化及び発光させてもよいが、この場合は溶鉄1の温度が過度に上昇する虞があるうえ、例えば高温レーザーによる発光装置の加熱劣化によるメンテナンス上の懸念もある。溶鉄1を気化させる温度は特に限定されるものではない。例えば、溶鉄1を2000℃以上3000℃以下の温度に加熱することで溶鉄1を気化させてもよい。上述の通り、添加物2に含まれる金属元素は、鉄よりも蒸気圧が高いことから、溶鉄1の気化時、鉄とともに当該金属元素も自ずと気化することとなる。そのため、気化された溶鉄1に含まれる成分を分析することで、炉内の溶鉄1に含まれる金属元素の濃度を精度よく推定することが可能となる。
2.2.気化成分の分析
分析工程S2においては、上述の通り、気化された溶鉄1に含まれる成分を、発光法を用いてオンラインで分析する。発光法は、固体電解質を用いた濃淡電池法等よりも利用範囲が広く、また、蛍光X線吸収法や元素吸光法等のような低温のダストや飛散物採取法よりも分析精度等の観点から有利である。すなわち、気化された溶鉄1に含まれる元素を発光法によりオンラインで分析することで、炉内の溶鉄1の組成を精度よく推定することができる。発光法による溶鉄1の元素分析の手法については公知であり(例えば、特許文献2〜5)、分析工程S2においてもこのような公知の手法によって溶鉄1に含まれる元素を分析し得る。例えば、図2及び3に示すように、火点6において生じた光をファイバー7を介して分析装置8(成分分析装置)へと到達させ、当該分析装置8において当該光の発光強度等から溶鉄1に含まれる元素を分析してもよい。
3.添加量の調整
図1に示すように、製造方法S10においては、分析工程S2にて溶鉄1に含まれる成分をオンラインで分析したうえで、溶鉄1に含まれる上記金属元素の含有量が目標範囲内となるように、添加工程S1における添加物2の添加量を、分析工程S2における分析結果に基づいて調整する。例えば、添加工程S1において溶鉄1に対して添加物2を添加後、分析工程S2における分析結果から溶鉄1に含まれる上記金属元素の含有量が目標範囲を下回ると判断された場合、再度添加工程S1を行う。ここで、製造方法S10においては、溶鉄1における上記金属元素の含有量が目標範囲の上限値を超えないように、添加工程S1において溶鉄1に対して少しずつ添加物2を添加してもよい。
このように、本開示の製造方法S10においては、分析工程S2において気化された溶鉄1に含まれる成分を発光法によりオンラインで分析することで、炉内の溶鉄1の組成を精度よく推定することができる。そして、分析工程S2における分析結果に基づいて添加工程S1における添加物2の添加量を調整することで、溶鉄1に対して、所定の金属元素を目的とする濃度にて精度よく添加することができる。例えば、鉄鋼製品の製造において酸化除去によるコントロールが困難であった貴な金属成分の調整を、安価な添加物を用いて実施することも可能となる。
4.応用例
本開示の製造方法S10によれば、複数種類の添加物2を用いることで、溶鉄1に対して、複数種類の金属元素の各々を目的とする濃度にて添加することもできる。例えば、上述したように、Cuはトランプエレメントの中でも工業的な使用量が多く、また、圧延工程での疵発生源ともなり、さらに、しばしばリサイクル時の問題にもなっている。この点、従来においては、溶鉄にCuを添加する場合、圧延工程における疵の発生を抑制するために、溶鉄中のCu濃度に応じて、二次精錬時に高価な金属Niを添加していた。これに対し、本開示の製造方法S10によれば、発光法によるオンライン分析によって溶鉄1中のCu濃度を把握して、それに応じて、添加物2としてNi含有物(例えば、安価なNi含有スクラップ、高Ni濃度のインバーメタル屑など)を添加して溶鉄1におけるNi濃度を目標範囲内に調整することも可能である。すなわち、本開示の製造方法S10は、添加物2としてCu含有物とNi含有物とを用い、分析工程S2において分析された溶鉄1中のCu濃度及びNi濃度に基づいて、添加工程S1におけるNi含有物の添加量を調整してもよい。この場合、二次精錬時において高価な金属Niを添加する必要がなく、従来よりも製造コストを大幅に低減できる。
5.装置構成例
図2及び3を参照しつつ、製造方法S10を実施するための装置の構成例について補足説明する。上述したように、図2及び3は、分析工程S2における分析方法として、火点発光スペクトル分析法を採用した場合の装置構成例である。
5.1.電気炉の構成
電気炉において製造方法S10を実施する場合、当該電気炉は例えば以下の構成を採り得る。すなわち、図2に示すように、電気炉は、炉体11と上部電極12と下部電極13とを備えており、上部電極12と下部電極13との間にアーク14を発生させて炉体11内の溶鉄1を加熱可能に構成されている。一方、炉体11の内部には、ランス4が設置されており、当該ランス4からスラグ5を突き抜いて溶鉄1へと酸素ジェット5を吹き付け可能に構成されている。これにより、溶鉄1の表面に火点6を形成することができる。ランス4の内部にはファイバー7が挿入されており、上記火点6において生じた光がファイバー7を介して分析装置8へと到達可能に構成されており、分析装置8による分析結果から、溶鉄1への添加物2の添加量が調整される。尚、図2においては直流電気炉を例に採った操業形態を示しているが、交流電気炉においても同様に製造方法S10を実施可能である。
5.2.転炉の構成
転炉において製造方法S10を実施する場合、当該転炉は例えば以下の構成を採り得る。すなわち、図3に示すように、転炉は、炉体21と、炉体21の内部に設置されたランス4とを備えており、炉体21の内部においてランス4から溶鉄1へと酸素ジェット5を吹き付けることで溶銑1の加熱や酸化精錬が可能に構成されている。これにより、溶鉄1の表面に火点6を形成することができる。ランス4の内部にはファイバー7が挿入されており、上記火点6において生じた光がファイバー7を介して分析装置8へと到達可能に構成されており、分析装置8による分析結果から、溶鉄1への添加物2の添加量が調整される。
6.補足
本開示の溶鋼の製造方法S10は、転炉又は電気炉における溶鉄1に対して上記の添加工程S1及び分析工程S2を行うものであればよい。本開示の溶鋼の製造方法S10においては、転炉又は電気炉内で溶鉄1に含まれる所定の金属元素の濃度調整を行うとともに、脱炭精錬等を行って溶鋼を製造してもよいし、転炉又は電気炉を用いて溶鉄1に含まれる所定の金属元素の濃度調整を行った後、別の装置で脱炭精錬等を行って溶鋼を製造してもよい。すなわち、転炉又は電気炉内で溶鋼の製造までを完結させてもよいし、完結させなくてもよい。
以下に実施例を示しつつ本開示の技術について具体的に説明するが、本開示の技術は以下の実施例に限定されるものではない。
直流電気炉内に酸素吹錬機能を有する水冷ランスを設置し、当該水冷ランスにファイバーを挿入し、溶鉄表面の火点における発光スペクトルを二色温度計及び分光器によって測定可能な分析装置に当該ファイバーを接続して、火点における溶鉄成分のオンライン分析を可能とした(図2)。尚、火点発光スペクトル分析に際し、事前の予備実験にて、種々の金属元素の各々の分光強度と鉄の強度比とオフラインのメタル分析値をキャリブレーションすることで、火点における溶鉄に含まれる金属元素の濃度を連続的に分析可能であることを確認した。また、別の溶鋼実験において、発生ダスト中の濃度分析や、レーザー発光によって得られた信号の分析によっても同様の分析が可能であることを確認済であるが、ダスト採取部のメンテナンスや、レーザー測定部の安定確保等を考慮して、最もランニングコストやメンテナンス性の良好であった火点発光スペクトル法を採用することとした。
以下の実施例1〜3及び比較例1〜3においては、添加物を添加する前のCu濃度、Co濃度及びNi濃度がいずれも0.03質量%未満の溶鉄に対して、各種添加物を添加するものとした。実施例1〜3及び比較例1〜3において、添加物を添加する前の溶鉄成分は質量%で[C]:1.4−1.6、[Si]<0.1、[Mn]:0.01〜0.05、[P]<0.2、[S]<0.1、その他不可避的成分である。
1.実施例1
直流電気炉において目標[Cu]0.20−0.24質量%の溶鋼を製造するべく、1tの溶鉄の溶解完了後から実験温度である1550〜1600℃に達する間に、通電加熱にて温度を所定に保持しながら、添加物としてCuを含む家電廃材(Cu含有物)を添加した。ここで、水冷ランスから送酸量20Nm/hで溶鉄の表面に酸素ジェットを吹き付けて溶鉄の表面に火点を形成し、火点において溶鉄の一部を気化及び発光させつつ、上述の火点発光スペクトル分析により、当該気化させた溶鉄に含まれるCuの濃度をオンラインで分析し、当該分析結果に基づくCuの濃度が0.20−0.24質量%の範囲内となるように、家電廃材の添加量を調整した。家電廃材の添加完了後、溶鉄を冷却固化させ、元素分析を行ってCu濃度を特定した。
2.実施例2
直流電気炉において目標[Co]0.20−0.24質量%の溶鋼を製造するべく、1tの溶鉄の溶解完了後から実験温度である1550〜1600℃に達する間に、通電加熱にて温度を所定に保持しながら、添加物としてCoを含む排磁石(Co含有物)を添加した。ここで、水冷ランスから送酸量20Nm/hで溶鉄の表面に酸素ジェットを吹き付けて溶鉄の表面に火点を形成し、火点において溶鉄の一部を気化及び発光させつつ、上述の火点発光スペクトル分析により、当該気化させた溶鉄に含まれるCoの濃度をオンラインで分析し、当該分析結果に基づくCoの濃度が0.20−0.24質量%の範囲内となるように、排磁石の添加量を調整した。排磁石の添加完了後、溶鉄を冷却固化させ、元素分析を行ってCo濃度を特定した。
3.実施例3
直流電気炉において、1tの溶鉄を溶解完了後から実験温度である1550〜1600℃に達する間に、通電加熱にて温度を所定に保持しながら、添加物としてCu含有物を過剰に添加するとともに、Ni系ステンレス屑(SUS304相当)を添加して、目標[Ni]1質量%の溶鋼を製造した。ここで、水冷ランスから送酸量20Nm/hで溶鉄の表面に酸素ジェットを吹き付けて溶鉄の表面に火点を形成し、火点において溶鉄の一部を気化及び発光させつつ、上述の火点発光スペクトル分析により、当該気化させた溶鉄に含まれるNiの濃度をオンラインで分析し、当該分析結果に基づくNiの濃度が1質量%となるように、Ni系ステンレス屑の添加量を調整した。Ni系ステンレス屑の添加完了後、溶鉄を冷却固化させ、元素分析を行ってCu濃度及びNi濃度を特定した。また、製造した溶鉄を用いて高温グリーブル試験による材質評価を行い、Cuを過剰に含有することによる材質悪化の有無を確認した。
4.比較例1
直流電気炉において、目標[Cu]0.20−0.24質量%の溶鋼を製造するべく、1tの溶鉄の溶解完了後から実験温度である1550〜1600℃に達する間に、通電加熱にて温度を所定に保持しながら、添加物としてCuを含む家電廃材(Cu含有物)を添加した。ここで、溶鉄への添加の前に家電廃材の一部を採取して元素分析を行い、廃材中のCu濃度を事前に推定し、当該推定値に基づいて溶鉄に対する家電廃材の添加量を決定した。家電廃材の添加完了後、溶鉄を冷却固化させ、元素分析を行ってCu濃度を特定した。
5.比較例2
直流電気炉において、目標[Cu]0.20−0.24質量%の溶鋼を製造するべく、1tの溶鉄の溶解完了後から実験温度である1550〜1600℃に達する間に、通電加熱にて温度を所定に保持しながら、添加物として高純度Cuを添加した。高純度Cuの添加完了後、溶鉄を冷却固化させ、元素分析を行ってCu濃度を特定した。
6.比較例3
直流電気炉において、目標[V]0.20−0.24質量%の溶鋼を製造するべく、1tの溶鉄の溶解完了後から実験温度である1550〜1600℃に達する間に、通電加熱にて温度を所定に保持しながら、添加物としてVを含む排磁石(V含有物)を添加した。ここで、水冷ランスから送酸量20Nm/hで溶鉄の表面に酸素ジェットを吹き付けて溶鉄の表面に火点を形成し、火点において溶鉄の一部を気化及び発光させつつ、上述の火点発光スペクトル分析により、当該気化させた溶鉄に含まれるVの濃度をオンラインで分析し、当該分析結果に基づくVの濃度が0.20−0.24質量%の範囲内となるように、排磁石の添加量を調整した。排磁石の添加完了後、溶鉄を冷却固化させ、元素分析を行ってV濃度を特定した。
下記表1に、実施例1〜3及び比較例1〜3に係る評価結果を示す。
表1に示す結果から以下のことが分かった。
(1)実施例1のようにCu含有量が不明な安価な家電廃材を溶鉄に添加した場合でも、発光法を利用したオンライン分析結果に基づいて廃材の添加量を調整することで、溶鉄におけるCu濃度を目標範囲に的中させることができた。
(2)実施例2のようにCo含有量が不明な安価な排磁石を溶鉄に添加した場合でも、発光法を利用したオンライン分析結果に基づいて排磁石の添加量を調整することで、溶鉄におけるCo濃度を目標範囲に的中させることができた。
(3)実施例3のように溶鉄に過剰にCu含有物を添加するとともにNi系ステンレス屑を添加した場合でも、発光法を利用したオンライン分析結果に基づいてNi系ステンレス屑の添加量を調整することで、溶鉄におけるNi濃度を目標値に略一致させることができ、後の高温グリーブル実験による材質評価においても、Cuが過剰に含まれることによる材質悪化を回避することができた。尚、Ni系ステンレス屑についてはトランプエレメントではないCrが18質量%程度含有されるが、ランスからの送酸によってCrをスラグ中に酸化除去できた。
(4)比較例1は、オンライン測定無しで実験を実施した結果であるが、家電廃材中のCu含有量が不明であったため、正確な成分調整ができず、上限値を大幅にオーバーすることとなった。
(5)比較例2は、オンライン測定無しで高純度Cuを添加して実験を実施したものであるが、Cu濃度は目標範囲内に的中したものの、高価な高純度合金使用のためコスト的に不利な操業であった。
(6)比較例3は、添加物としてVを含む排磁石を添加して実験を実施したものであるが、図4に示すようにVの蒸気圧は鉄よりも低い。発光法によって溶鉄中の分析を行う場合には、鉄の蒸気信号との比率によって定量化を行うため、鉄よりも蒸気圧が低い元素に対する分析精度は悪化する。比較例3においても分析精度が悪化し、溶鉄におけるVの濃度を目標範囲に的中させることは困難であり、添加量不足による成分不適合となった。尚、Vのほか、Mo等についても鉄よりも蒸気圧が低く分析精度が悪化するものと予測される。
尚、実施例1〜3及び比較例3から、炉内の溶鉄の一部を気化させて、発光法によるオンライン分析によって溶鉄中の元素濃度を推定する場合、分析対象となる金属元素は、鉄よりも蒸気圧の高いもの(鉄とともに気化し得るもの)であればよいことが分かる。すなわち、実施例1〜3に示したようなCu、Co、Niだけでなく、Sn、Al、Ba、Bi、Cr、Mn、Pb、Siといった鉄よりも蒸気圧が高い様々な金属元素について、同様の効果が奏されるものと考えられる。ただし、本発明者の知見では、特に、分析対象としてSn、Cu、Ni及びCuを採用した場合に、本開示の技術による効果が特に顕著となる。
また、上述の効果は、精錬炉として電気炉に替えて転炉を用いた場合にも同様に奏されるものと考えられる。この場合、転炉内に設置されるランスに上述したファイバー及び分析装置を接続してもよい。
また、上述の効果は、火点発光法以外の発光法を採用した場合でも同様に奏されるものと考えられる。例えば、レーザー発光法を採用してもよい。分析法についてもスペクトル分析に限定されるものではなく、種々の分析法を採用し得る。
以上の通り、転炉又は電気炉を用いた溶鋼の製造段階において、溶鉄中に所定の合金成分を目的とする濃度にて精度よく添加するためには、転炉又は電気炉に装入された溶鉄に対して、蒸気圧が鉄よりも高い金属元素を含む添加物を添加する、添加工程と、溶鉄の一部を気化させて、気化された溶鉄に含まれる成分を、発光法を用いてオンラインで分析する、分析工程とを行うとともに、溶鉄に含まれる金属元素の含有量が目標範囲内となるように、添加工程における添加物の添加量を、分析工程における分析結果に基づいて調整することが有効であることが分かった。
本開示の技術によれば、転炉や電気炉における溶鉄に対する合金成分の添加を、安価なスクラップ等を用いることによって実現できる。すなわち、本開示の技術によれば、従来よりも製造コストを低減することができるとともに、各種合金成分を工業的に高効率で利用可能となる。
1 溶鉄
2 添加物
3 スラグ
4 ランス
5 酸素ジェット
6 火点
7 ファイバー
8 分析装置
11、21 炉体
12 上部電極
13 下部電極
14 アーク

Claims (5)

  1. 転炉又は電気炉を用いた溶鋼の製造方法であって、
    前記転炉又は電気炉に装入された溶鉄に対して、蒸気圧が鉄よりも高い金属元素を含む添加物を添加する、添加工程と、
    前記溶鉄の一部を気化させて、前記気化された前記溶鉄に含まれる成分を、発光法を用いてオンラインで分析する、分析工程と、
    を備え、
    前記溶鉄に含まれる前記金属元素の含有量が目標範囲内となるように、前記添加工程における前記添加物の添加量を、前記分析工程における分析結果に基づいて調整する、
    溶鋼の製造方法。
  2. 前記添加物がSn、Co、Ni及びCuからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属元素を含む、
    請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記添加物がCuを含む、
    請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記発光法が火点発光スペクトル分析法である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記添加物としてCu含有物とNi含有物とを用い、
    前記分析工程において分析された前記溶鉄中のCu濃度及びNi濃度に基づいて、前記添加工程におけるNi含有物の添加量を調整する、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
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JPH01229943A (ja) * 1987-11-09 1989-09-13 Nippon Steel Corp 溶鉄成分の検出方法およびそれに基づく精錬方法
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