JP2021030231A - 溶接材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】W及びSnを含有し、裏波形成能が高く、高温への加熱と冷却とが繰り返されても靭性に優れた溶接金属が得られる溶接材料を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.03%〜0.09%、Si:0.25%〜0.55%、
Mn:0.30%〜1.00%、P:0.015%以下、S:0.0002%〜0.0050%、Sn:0.0005%〜0.0100%、Ni:0.20%〜1.00%、Cr:1.8%〜2.8%、Mo:0.05%〜0.35%、W:1.0%〜2.2%、V:0.15%〜0.28%、Nb:0.01%〜0.11%、N:0.001%〜0.012%、Al:0.020%以下、O:0.020%以下、を含み、かつS及びSnの合計量が(1)式を満足し、残部がFe及び不純物からなる溶接材料。
0.0010≦[%S]+[%Sn]≦0.0120 (1)
【選択図】なし

Description

本開示は、溶接材料に関する。
2.25%Cr−1%Moに代表される低合金耐熱鋼は、火力発電ボイラ等、高温で使用される機器に広く利用されている。
近年、火力発電においては熱効率を高めるため蒸気条件の高温高圧化が進められており、排熱回収ボイラにおいても蒸気条件を高温化しようとする動きがある。
排熱回収ボイラの配管材料にも、低合金耐熱鋼が広く使用され、このような蒸気条件の過酷化に伴い、より高いクリープ強度が求められている。そのため、WやVを積極的に活用し、クリープ強度を高めた低合金耐熱鋼が数多く提案されている。
例えば、特許文献1には、重量%で、Cr:2.0%〜8.0%、W:0.1%〜2.5%、V:0.05%〜0.50%等を含み、かつ低S、低N化によりクリープ特性と耐水素浸食特性を高めた低合金鋼が開示されている。
特許文献2には、重量%で、Cr:1.5%〜3.5%、W:1%〜3%、V:0.1%〜0.35%等を含み、かつTiとNの含有量を所定の範囲に規定したクリープ強度と靭性に優れる低合金耐熱鋼が開示されている。
一方、これら低合金耐熱鋼は溶接して使用されるのが一般的である。そのため、溶接時に使用する低合金鋼用溶接材料についても多数提案されている。
例えば、特許文献3には、質量%で、Cr:2%〜3.5%、W:1.3%〜2.5%、V:0.05%〜0.30%等を含む、クリープ強度に優れた耐熱鋼のTIG溶接などに使用される溶接材料が提案されている。
特許文献4には、質量%で、Cr:0.5%〜3.5%、W:0.01%〜2%、V:0.005%〜0.4%等を含み、TiとNが所定の関係を満たす、Wを含有する低合金耐熱鋼の溶接に使用される溶接材料が開示されている。
また、特許文献5には、Cr:2%〜3%、V:0.05%〜0.3%、Mo:0.4%超〜0.8%等を含み、WをMoとの関係で0.7%≦Mo+0.5W≦1.2%、0.4≦Mo/W≦1.8を満たす範囲で含有する低合金耐熱鋼の溶接に使用される溶接材料が開示されている。
特開昭63−18038号公報 特開平4−268040号公報 特開平5−269590号公報 特開2002−18593号公報 特開2004−230410号公報
ところで、排熱回収ボイラは、石炭火力発電ボイラのように連続稼働することは少なく、必要な発電量に応じて停機及び稼動を繰り返すのが一般的であり、例えば、電力需要の多い昼間のみ稼働し、夜間は停機するような運転がなされる。そのため、排熱回収ボイラに使用されている配管などの部材には、高温への加熱と常温への冷却とが繰り返されることとなる。
このように、高温への加熱と冷却が繰り返される用途に用いられた場合、これら溶接材料を使用して得られる溶接金属は、十分な靭性が安定して得られない場合があることがわかった。特に、溶接材料が溶接金属の耐食性の向上に有効なSnを必須で含有する場合、靭性が安定して得られない現象があることがわかった。
本開示は、上記現状に鑑みてなされたもので、W及びSnを含有し、裏波形成能が高く、高温への加熱と冷却とが繰り返されても靭性に優れた溶接金属が得られる溶接材料を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本開示の要旨は次の通りである。
<1> 質量%で
C:0.03%〜0.09%、
Si:0.25%〜0.55%、
Mn:0.30%〜1.00%、
P:0.015%以下、
S:0.0002%〜0.0050%、
Sn:0.0005%〜0.0100%、
Ni:0.20%〜1.00%、
Cr:1.8%〜2.8%、
Mo:0.05%〜0.35%、
W:1.0%〜2.2%、
V:0.15%〜0.28%、
Nb:0.01%〜0.11%、
N:0.001%〜0.012%、
Al:0.020%以下、及び
O:0.020%以下、
を含み、かつS及びSnの合計量が(1)式を満足し、残部がFe及び不純物からなる溶接材料。
0.0010≦[%S]+[%Sn]≦0.0120 (1)
前記(1)式中、[%S]及び[%Sn]は、それぞれ前記溶接材料に含まれるS及びSnの質量%を意味する。
<2> 前記Feの一部に代えて、質量%で、
Ta:0.20%以下、
Ti:0.20%以下、
Co:0.50%以下、
Cu:0.50%以下、
B:0.005%以下、
Ca:0.015%以下、
Mg:0.015%以下、及び
REM:0.05%以下からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含有する<1>に記載の溶接材料。
本開示によれば、W及びSnを含有し、裏波形成能が高く、高温への加熱と冷却とが繰り返されても靭性に優れた溶接金属が得られる溶接材料が提供される。
実施例において開先加工を施した板材の形状を示す概略図である。
本発明者らは、前記した課題を解決するためにWを1.0%〜2.2%、Sを0.0002〜0.0050%、Snを0.0005%〜0.0100%含む溶接材料を使用して得られた溶接金属について詳細な調査を行った。その結果、以下に述べる知見が明らかになった。
(1)高温への加熱及び常温への冷却を繰り返し受けた溶接金属の靱性を調査した結果、SとSnの合計含有量の増加に伴い、靭性の低下が顕著になった。
(2)衝撃試験後の鋼の破面を観察した結果、破面上には、旧オーステナイト粒界で破壊した領域が混在し、SとSnの合計含有量が多くなると、その割合が大きくなった。また、旧オーステナイト粒界で破壊した破面からはS及びSnが検出された。
以上の結果より、靭性が低下した理由は以下の通りと推察された。
溶接材料に含有されるS及びSnは、溶接金属の凝固から冷却の過程で、凝固偏析並びに粒界偏析する。さらに、使用時に高温への加熱と冷却とを繰り返す過程で、粒界偏析し、旧オーステナイト粒界に濃化する。S及びSnは共に粒界の結合力を低下させるため、その結果、靭性の低下が生じる。
そこで、本発明者らは種々検討を重ねた結果、鋼に含まれるSとSnの合計量を0.0120%以下に管理することで必要な靭性が得られることを知見した。
一方で、SとSnは、溶接時の溶け込み深さを増大し、裏波形成能を向上させる。そして、溶接欠陥を抑制して溶接継手としての健全性を保つためには、その合計量を0.0010%以上に管理することが必要であることを併せて知見した。
本開示に係る溶接材料は、上記の知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本開示に係る溶接材料は、質量%で、
C:0.03%〜0.09%、
Si:0.25%〜0.55%、
Mn:0.30%〜1.00%、
P:0.015%以下、
S:0.0002%〜0.0050%、
Sn:0.0005%〜0.0100%、
Ni:0.20%〜1.00%、
Cr:1.8%〜2.8%、
Mo:0.05%〜0.35%、
W:1.0%〜2.2%、
V:0.15%〜0.28%、
Nb:0.01%〜0.11%、
N:0.001%〜0.012%、
Al:0.020%以下、及び
O:0.020%以下、
を含み、かつS及びSnの合計量が(1)式を満足し、残部がFe及び不純物からなる。
0.0010≦[%S]+[%Sn]≦0.0120 (1)
前記(1)式中、[%S]及び[%Sn]は、それぞれ前記溶接材料に含まれるS及びSnの質量%を意味する。
本開示の一例である実施形態について説明する。
なお、本開示において、各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。また、本開示において、「〜」を用いて表される数値範囲は、特に断りの無い限り、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、「〜」の前後に記載される数値に「超」又は「未満」が付されている場合の数値範囲は、これら数値を下限値又は上限値として含まない範囲を意味する。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階的な数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよく、また、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
[組成]
本実施形態において、溶接材料の組成を限定する理由は次の通りである。
C:0.03%〜0.09%
溶接金属のベイナイト組織を得るのに有効であるとともに、炭化物を生成し、引張強さやクリープ強度に寄与する。これらの効果を十分得るためには、0.03%以上含有する必要がある。しかしながら、過剰に含有すると、却って、クリープ強度や靭性の低下を招くため、0.09%以下とする。C含有量の好ましい下限は0.04%であり、好ましい上限は0.08%である。さらに好ましい下限は0.05%、さらに好ましい上限は0.07%である。
Si:0.25%〜0.55%
Siは、溶接材料の製造時に脱酸剤として含有されるが、溶接金属の耐水蒸気酸化特性に有効な元素である。その効果を十分に得るためには、0.25%以上含有する必要がある。しかしながら、過剰に含有すると、延性の低下を招く。そのため、Siの含有量は0.55%以下とする。Si含有量の好ましい下限は0.27%であり、好ましい上限は0.53%である。さらに好ましい下限は0.30%、さらに好ましい上限は0.50%である。
Mn:0.30%〜1.00%
Mnは、Siと同様、溶接材料の製造時に脱酸剤として含有されるが、溶接金属のベイナイト組織を得るのにも効果を有する。その効果を十分に得るためには、0.30%以上含有する必要がある。しかしながら、過剰に含有すると、クリープ脆化を招くため、1.00%以下とする。Mn含有量の好ましい下限は0.35%であり、好ましい上限は0.95%である。さらに好ましい下限は0.40%、さらに好ましい上限は0.90%である。
P:0.015%以下
Pは、過剰に含有すると溶接金属のクリープ延性を低下させるとともに、溶接時の凝固割れ感受性を高める。そのため、Pの含有量は0.015%以下とする必要がある。Pの含有量は0.013%以下とするのが好ましく、さらには0.012%以下とするのがより好ましい。尚、Pの含有量は少なければ少ないほどよく、つまり含有量が0%であってもよいが、極度の低減は溶接材料のコストを極端に増大させる。そのため、P含有量の好ましい下限は0.0005%、さらに好ましい下限は0.001%である。
S:0.0002〜0.0050%
Sは、過剰に含有すると溶接金属の形成、及び使用時の加熱及び冷却の繰り返しの過程で粒界に偏析し、溶接金属の靭性を低下させる。加えて、溶接金属のクリープ延性を低下させる。そのため、Sの含有量は0.0050%以下とする必要がある。一方、Sは、溶融金属の表面張力の温度依存性に影響を及ぼし、溶け込み深さを増大させる効果を有するとともに、極度の低減は溶接材料のコストを極端に増大させる。そのため、0.0002%以上とする。Sの含有量の好ましい範囲は0.0005%〜0.0045%、さらに好ましい範囲は0.0008%〜0.0040%である。また、Sの含有量は、後述のSnとの関係を満足する必要がある。
Sn:0.0005%〜0.0100%
Snは、溶接金属表面のスケール下に濃化し、耐食性の向上に有効であり、特に排熱回収ボイラのように加熱及び冷却を繰り返し、表面に結露水が付着しやすい環境で効果がある。さらに、溶融池から蒸発してアークの通電経路を形成することにより、溶け込み深さを増大させる。これらの効果を得るためには、Snは0.0005%以上含有する必要がある。一方、Snを過剰に含有させた場合、溶接金属の形成、及び使用時の加熱及び冷却の繰り返しの過程で粒界に偏析し、溶接金属の靭性の低下を招く。そのため、Snの含有量は0.010%以下とする必要がある。Snの含有量の好ましい範囲は0.0008%〜0.0080%、さらに好ましい範囲は0.0010%〜0.0060%である。また、Snの含有量は、後述のSとの関係を満足する必要がある。
Ni:0.20%〜1.00%
Niは、溶接金属のベイナイト組織を得るのに有効な元素であるとともに、靭性の向上に寄与する。その効果を十分に得るためには、0.20%以上含有する必要がある。しかしながら、高価な元素であり、過剰な含有はコスト増大を招くため、1.00%を上限とする。Ni含有量の好ましい下限は0.25%であり、好ましい上限は0.95%である。さらに好ましい下限は0.30%、さらに好ましい上限は0.90%である。
Cr:1.8%〜2.8%
Crは、溶接金属の高温での耐水蒸気酸化性及び耐食性の確保に有効な元素である。また、炭化物として析出し、クリープ強度の向上にも寄与する。これらの効果を十分に得るためには、1.8%以上含有する必要がある。しかしながら、過剰に含有すると、炭化物の安定性を低下させて却ってクリープ強度が低下するため、2.8%以下とする。Cr含有量の好ましい下限は2.0%であり、好ましい上限は2.6%である。さらに好ましい下限は2.2%、さらに好ましい上限は2.4%である。
Mo:0.05%〜0.35%
Moは、マトリックスに固溶して、高温でのクリープ強度確保に寄与する。この効果を十分に得るためには、0.05%以上含有する必要がある。しかしながら、過剰に含有しても、その効果が飽和するとともに、高価な元素であり、材料コストを増大させるため、0.35%以下とする。Mo含有量の好ましい下限は0.08%であり、好ましい上限は0.30%である。さらに好ましい下限は0.10%であり、さらに好ましい上限は0.25%である。
W:1.0%〜2.2%
Wは、マトリックスに固溶もしく炭化物として析出し、溶接金属の引張強さ及び高温でのクリープ強度確保に寄与する。この効果を十分に得るためには、1.0%以上含有する必要がある。しかしながら、過剰に含有しても、その効果が飽和するとともに、高価な元素であり、材料コストを増大させるため、2.2%以下とする。W含有量の好ましい下限は1.2%であり、好ましい上限は2.0%である。さらに好ましい下限は1.4%であり、好ましい上限は1.8%である。
V:0.15%〜0.28%
Vは、微細な炭窒化物として粒内に析出し、溶接金属のクリープ強度の向上に寄与する。その効果を十分に得るためには、0.15%以上含有する必要がある。しかしながら、含有量が過剰になると、多量かつ粗大に析出し、かえってクリープ強度及びクリープ延性の低下を招くため、0.28%以下とする。V含有量の好ましい下限は0.17%であり、好ましい上限は0.26%である。さらに好ましい下限は0.18%、さらに好ましい上限は0.24%である。
Nb:0.01%〜0.11%
Nbは、Vと同様、微細な炭窒化物として粒内に析出し、溶接金属のクリープ強度の向上に寄与する。その効果を十分に得るためには0.01%以上含有する必要がある。しかしながら、過剰に含有すると、多量かつ粗大に析出し、かえってクリープ強度及びクリープ延性の低下を招くため、0.11%以下とする。Nb含有量の好ましい下限は0.02%であり、好ましい上限は0.10%である。さらに好ましい下限は0.03%、さらに好ましい上限は0.08%である。
N:0.001%〜0.012%
Nは、高温での使用中にVやNbと結合して微細な炭窒化物として粒内に析出し、溶接金属のクリープ強度の向上に寄与する。この効果を得るためには、0.001%以上含有する必要がある。しかしながら、過剰に含有すると、炭窒化物の粗大化を招き、かえってクリープ延性の低下を招くため、0.012%以下とする。N含有量の好ましい下限は0.002%であり、好ましい上限は0.010%である。さらに好ましい下限は0.003%、さらに好ましい上限は0.008%である。
Al:0.020%以下
Alは、溶接材料の製造時に脱酸剤として含有されるが、多量に含有すると清浄性を著しく害し、加工性を劣化させる。また、クリープ強度の観点からも好ましくない。そのため、Alの含有量は0.020%以下とする。好ましくは0.018%以下、さらに好ましくは0.015%以下である。尚、下限は特に設ける必要はないが、極度の低減は溶接材料の製造コストを増大させる。そのため、0.001%以上とするのが好ましい。
O:0.020%以下
Oは、不純物として存在するが、多量に含まれる場合には、溶接材料の製造時の加工性を低下させる。そのため、Oの含有量は0.020%以下とする。好ましくは0.015%以下、さらに好ましくは0.010%以下である。尚、下限は特に設ける必要はなく、つまり含有量が0%であってもよいが、極度の低減は溶接材料の製造コストを増大させる。そのため、0.001%以上とするのが好ましい。
SとSnの合計の含有量:0.0010%〜0.0120%
(0.0010≦[%S]+[%Sn]≦0.0120)
SとSnは、前述の通り、裏波形成能を向上させる。この効果を得るためには、S及びSnを合計で0.0010%以上含有する必要がある。しかしながら、S及びSnが過剰になると、前述の通り、靭性の低下を招くため、S及びSnの合計は0.0120%以下とする必要がある。S及びSnの合計の含有量の好ましい下限は0.0012%であり、好ましい上限は0.0100%である。さらに好ましい下限は0.0015%であり、さらに好ましい上限は0.0080%である。
さらに、本開示に係る溶接材料は、Feの一部に代えて、Ta:0.20%以下、Ti:0.20%以下、Co:0.50%以下、Cu:0.50%以下、B:0.005%以下、Ca:0.015%以下、Mg:0.015%以下、及びREM:0.05%以下からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含有してもよい。下記にその限定理由を述べる。
Ta:0.20%以下
Taは、NbやVと同様、微細な炭窒化物として粒内に析出し、溶接金属のクリープ強度の向上に寄与するため、必要に応じて含有してもよい。しかしながら、Taを過剰に含有すると、多量かつ粗大に析出し、かえってクリープ強度及びクリープ延性の低下を招くため、0.20%以下とする。好ましい上限は0.18%であり、さらに好ましくは0.15%以下である。尚、Taを含有させる場合の好ましい下限は0.01%、さらに好ましい下限は0.02%である。
Ti:0.20%
TiもV、Nbと同様、微細な炭窒化物として粒内に析出し、溶接金属のクリープ強度の向上に寄与する、必要に応じて含有してもよい。しかしながら、Tiを過剰に含有すると、多量かつ粗大に析出し、かえってクリープ強度及びクリープ延性の低下を招くため、0.20%以下とする。好ましい上限は0.18%であり、さらに好ましくは0.15%以下である。尚、Tiを含有させる場合の好ましい下限は0.01%、さらに好ましい下限は0.02%である。
Co:0.50%以下
Coは、Niと同様、溶接金属のベイナイト組織を得るのに有効な元素であるとともに、靭性の向上にも寄与するため、必要に応じて含有してもよい。しかしながら、Coは高価な元素であり、過剰な含有は溶接材料のコストの増大を招くため、0.50%を上限とする。好ましい上限は0.45%であり、さらに好ましくは0.40%以下である。尚、Coを含有させる場合の好ましい下限は0.01%、さらに好ましい下限は0.02%である。
Cu:0.50%以下
Cuは、Ni、Coと同様、溶接金属のベイナイト組織を得るのに有効な元素であるとともに、靭性の向上にも寄与するため、必要に応じて含有してもよい。しかしながら、Cuは高価な元素であり、過剰な含有は溶接材料のコストの増大を招くため、0.50%を上限とする。好ましい上限は0.45%であり、さらに好ましくは0.40%以下である。尚、Cuを含有させる場合の好ましい下限は0.01%、さらに好ましい下限は0.02%である。
B:0.005%以下
Bは、炭化物中に固溶して、微細に分散させる効果を有し、溶接金属の高温強度の向上に寄与するため、必要に応じて含有してもよい。しかしながら、Bの過剰な含有は溶接中の凝固割れ感受性を高めるため、0.005%を上限とする。好ましい上限は0.0045%であり、さらに好ましくは0.004%以下である。尚、Bを含有させる場合の好ましい下限は0.0005%、さらに好ましい下限は0.001%である。
Ca:0.015%以下
Caは、溶接材料の製造時の熱間加工性を改善する効果を有するため、必要に応じて含有してもよい。しかしながら、過剰な添加は酸素と結合し、清浄性を著しく低下させて、却って熱間加工性を劣化させるため0.015%以下とする。好ましくは0.012%以下、さらに好ましくは0.010%以下である。尚、Caを含有させる場合の好ましい下限は0.0005%、さらに好ましい下限は0.001%である。
Mg:0.015%以下
Mgは、Caと同様、溶接材料の製造時の熱間加工性を改善する効果を有するため、必要に応じて含有してもよい。しかしながら、過剰な添加は酸素と結合し、清浄性を著しく低下させて、却って熱間加工性を劣化させるため0.015%以下とする必要がある。好ましくは0.012%以下、さらに好ましくは0.010%以下である。尚、Mgを含有させる場合の好ましい下限は0.0005%、さらに好ましい下限は0.001%である。
REM:0.05%以下
REM(希土類元素)は、CaやMgと同様、溶接材料の製造時の熱間加工性を改善するため、必要に応じて含有してもよい。しかしながら、REMを過剰に含有すると、酸素と結合して合金の清浄性を著しく低下させ、かえって熱間加工性が低下する。そのため、上限は0.05%とする。好ましくは0.04%以下、さらに好ましくは0.03%以下である。尚、REMを含有させる場合の好ましい下限は0.001%、さらに好ましい下限は0.005%である。
「REM」とはSc、Y及びランタノイドの合計17元素の総称であり、REMの含有量はREMのうちの1種又は2種以上の元素の合計含有量を指す。また、REMは一般的にミッシュメタルに含有される。このため例えば、合金にミッシュメタルを添加して、REMの含有量が上記の範囲となるようにしてもよい。
[用途]
以上、本開示に係る溶接材料を用いて接合する被接合物は限定されないが、例えば発電用ボイラ等、高温で使用される機器に使用される低合金耐熱鋼の溶接に好適に用いられる。
なお、高温で使用される機器の例としては、例えば、排熱回収ボイラ用配管;石炭火力発電プラント、石油火力発電プラント、ごみ焼却発電プラント及びバイオマス発電プラント等のボイラ用配管;石油化学プラントにおける分解管;等が挙げられる。
ここで、本実施形態における「高温での使用」とは、例えば350℃以上700℃以下(さらには400℃以上650℃以下)の環境で使用される態様が挙げられる。
以下、実施例によって本開示に係る溶接材料をより具体的に説明する。尚、本開示に係る溶接材料はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学成分を有するA〜Hの材料を実験室にて溶解して鋳込んだインゴットに対し、熱間鍛造、熱間圧延、熱処理及び機械加工の各工程を順に行うことにより、板厚15mm、幅50mm、長さ100mmの板材(母材)並びに板厚4mm、幅200mm、長さ500mmの板材(溶接材料用素材)を作製した。さらに、この厚さ4mmの板材(溶接材料用素材)を用い、機械加工により、2mm角、500mm長さのカットフィラー(溶接材料)を作製した。
[裏波形成能]
母材の長手方向に、図1に示す開先加工を施した後、突き合わせ、手動ティグ溶接により、母材と同符号の溶接材料を用い、入熱9kJ/cmとして、各代符につき2継手ずつ、初層溶接を行った。
得られた溶接継手のうち、2継手とも溶接線の全長にわたり、裏ビードが形成されたものを裏波形成能が「合格」であるとし、中でも全長にわたり裏ビード幅が2mm以上となるものを「合格/優」、一部でも2mmを下回る部分があったものを「合格/可」とした。一方、2継手のうち一部でも裏ビードが形成されない部分があった場合は「不合格」と判定した。
その後、母材と同符号のカットフィラーを溶加材として、手動ティグ溶接により開先内に後続の積層溶接をした。尚、溶接に際しては、入熱を9〜15kJ/cmとし、各符号について溶接継手を2体ずつ作製した。その後、715℃×0.5時間の溶接後熱処理を施し、試験用溶接継手とした。尚、母材とカットフィラーワイヤは同組成であることから、表1の化学成分は溶接金属の化学組成と同義であることは自明である。
[シャルピー衝撃試験/靭性]
各符号の試験用溶接継手のうち1体について、「室温→550℃×108時間→室温」の加熱及び冷却のサイクルを5回繰り返した。そして、溶接後熱処理まま、及び加熱冷却を繰り返した溶接継手それぞれの板厚方向中央部から、ノッチを加工した2mmVノッチフルサイズシャルピー衝撃試験片を3本採取し、シャルピー衝撃試験に供した。なお、シャルピー衝撃試験は、JIS−Z2242(2005)に準拠して行った。試験は、20℃にて実施し、3本の試験片の吸収エネルギーの平均値が27J以上となるものを「合格」とし、中でも3本の試験片の吸収エネルギーの個値が全て27J以上となるものを「合格/優」、それ以外を「合格/可」とし、一方、3本の試験片の吸収エネルギーの平均値が27Jを下回るものを「不合格」とした。
[クリープ破断試験]
加えて、シャルピー衝撃試験に合格した符号については、溶接後熱処理ままの試験用溶接継手材から、丸棒クリープ試験片を採取し、クリープ破断試験を行った。そして、長時間使用時における評価として、母材の目標破断時間が、1000時間となる550℃×196MPaの条件でクリープ破断試験を行った。なお、クリープ破断試験は、JIS−Z2271(2010)に準拠して行った。そして、破断時間が目標破断時間を超えるものを「合格」とし、それを下回るものを「不合格」とした。
表2から、本開示で規定する条件を満足する溶接金属は高温への加熱と冷却を繰り返しても良好な靭性が得られるとともに、目標とするクリープ強度も具備することがわかる。
これに対して、代符F1及びG1は、SとSnの合計量が上限値を超えたため、溶接後熱処理ままの溶接金属の靱性は必要な性能を満足するものの、繰り返し加熱、冷却後に目標とする靭性を満足しなかった。
また、代符H1は、SとSnの合計量が下限値未満だったため、初層溶接時に全長にわたって裏ビードが形成されず、裏波形成能に劣った。
このように本開示の要件を満足する場合のみ、溶接材料は十分な裏波形成能を有し、それを用いて得られる溶接金属は、繰り返し加熱冷却しても優れた靭性を有するとともに、目標とする高温強度を具備することがわかる。
本開示によれば、W及びSnを含有し、裏波形成能が高く、高温への加熱と冷却とが繰り返されても靭性に優れた溶接金属が得られる溶接材料を提供し得る。

Claims (2)

  1. 質量%で
    C:0.03%〜0.09%、
    Si:0.25%〜0.55%、
    Mn:0.30%〜1.00%、
    P:0.015%以下、
    S:0.0002%〜0.0050%、
    Sn:0.0005%〜0.0100%、
    Ni:0.20%〜1.00%、
    Cr:1.8%〜2.8%、
    Mo:0.05%〜0.35%、
    W:1.0%〜2.2%、
    V:0.15%〜0.28%、
    Nb:0.01%〜0.11%、
    N:0.001%〜0.012%、
    Al:0.020%以下、及び
    O:0.020%以下、
    を含み、かつS及びSnの合計量が(1)式を満足し、残部がFe及び不純物からなる溶接材料。
    0.0010≦[%S]+[%Sn]≦0.0120 (1)
    前記(1)式中、[%S]及び[%Sn]は、それぞれ前記溶接材料に含まれるS及びSnの質量%を意味する。
  2. 前記Feの一部に代えて、質量%で、
    Ta:0.20%以下、
    Ti:0.20%以下、
    Co:0.50%以下、
    Cu:0.50%以下、
    B:0.005%以下、
    Ca:0.015%以下、
    Mg:0.015%以下、及び
    REM:0.05%以下からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含有する請求項1に記載の溶接材料。
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