JP2021028601A - せん断応力−せん断ひずみ曲線の作製方法、およびそのせん断応力−せん断ひずみ曲線を変換して、高ひずみ領域の応力−ひずみ曲線を作製する方法 - Google Patents

せん断応力−せん断ひずみ曲線の作製方法、およびそのせん断応力−せん断ひずみ曲線を変換して、高ひずみ領域の応力−ひずみ曲線を作製する方法 Download PDF

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【課題】高精度なせん断応力−せん断ひずみ曲線を作製する方法を提供する。【解決手段】基端側が下記式(1)を満たすR形状である切欠き2を両端に施した板状試験片1を用意する工程と、前記板状試験片に対し、前記切欠き間を含む変形部3にせん断力が及ぶようにせん断試験を行う工程とを含む、せん断応力−せん断ひずみ曲線を作製する方法。r/L≧0.00016652×M+0.13989・・・(1)rは前記R形状の半径であり、Lは前記切欠き間の距離であり、Mは前記板状試験片の、降伏応力(MPa)×板厚(mm)の値である。【選択図】図1

Description

本発明は、せん断応力−せん断ひずみ曲線の作製方法および高ひずみ領域の応力−ひずみ曲線の作製方法に関する。
近年、プレスメーカーおよび自動車メーカーでは、鉄鋼材料などのプレス成形での不具合(割れ、しわなど)を数値解析で事前に予測することにより、開発効率を上げる試みが主流となりつつある。
数値解析には、引張試験による応力−ひずみ曲線を必要とする場合が多い。しかし、引張試験では、一様伸び以降の高ひずみ領域で試験片に拡散くびれが発生する等により、高ひずみ領域の応力−ひずみの関係を精度よく測定することができない。
高精度な、高ひずみ領域の応力−ひずみ曲線を得る方法として、一様伸びまでの領域から外挿することで近似曲線を求める方法が挙げられる。しかし、外挿による近似曲線では、近似に用いるひずみ範囲(すなわち一様伸びまでのひずみ領域)が狭い場合に、近似に用いる範囲外(すなわち一様伸び以降の高ひずみ領域)の予測に大きな誤差が生じる可能性がある。
近似曲線を用いずに高ひずみ領域の応力−ひずみ曲線を得る方法として、せん断試験を利用する手法が知られている。すなわち、拡散くびれが生じないせん断試験によりせん断応力−せん断ひずみ曲線を求め、それを所定の方法で変換して、高ひずみ領域の相当応力−相当塑性ひずみ曲線を得る方法である。この手法を利用するには、せん断応力−せん断ひずみ曲線を精度よく測定する必要がある。
特許文献1には、試験片の中心軸に対称に偶数本の切り込みを入れた試験片に、切り込み部以外が変形しないように拘束した状態で、切り込みに平行に外力を加えることにより板面せん断特性を測定することを特徴とする板面せん断特性の測定法が開示されている。
特許文献2には、仮想断面によって区分けされた鋼板の2つの領域を、それぞれ、チャッキング装置で拘束した状態で、チャッキング装置を仮想断面に沿って板幅方向に相互にずらすように移動させることによるせん断試験方法が開示されている。
特開平2−31816号 特許5910803号
しかし、特許文献1および2に記載の方法では、切欠き間に不均一な応力分布が生じてしまい、せん断応力−せん断ひずみ曲線を精度よく作製することができない。また、特許文献2に記載の方法では、特に高強度の試験片に対してせん断試験を行う場合、チャック部の摩擦が大きくなること、およびチャック力が不足すること等の問題が生じ、せん断応力−せん断ひずみ曲線を精度よく作製することができない。
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、高精度なせん断応力−せん断ひずみ曲線を作製する方法、およびそのせん断応力−せん断ひずみ曲線を変換して、高ひずみ領域の相当応力−相当塑性ひずみ曲線を作製する方法を提供することを目的とする。
本発明の態様1は、
基端側が下記式(1)を満たすR形状である切欠きを両端に施した板状試験片を用意する工程と、
前記板状試験片に対し、前記切欠き間を含む変形部にせん断力が及ぶようにせん断試験を行う工程とを含む、せん断応力−せん断ひずみ曲線を作製する方法である。

r/L ≧ 0.00016652×M+0.13989 ・・・(1)

rは前記R形状の半径であり、Lは前記切欠き間の距離であり、Mは前記板状試験片の、降伏応力(MPa)× 板厚(mm)の値である。
本発明の態様2は、前記rが5.0mm以上である、態様1に記載の方法である。
本発明の態様3は、
態様1または2に記載の方法により作製されたせん断応力−せん断ひずみ曲線を、下記式(2)〜(4)により変換して、高ひずみ領域の相当応力−相当塑性ひずみ曲線を作製する方法である。

σ×dε = σ×dε ・・・(2)
σ = χ×σ ・・・(3)
dε = (1/χ)×dε ・・・(4)

σは応力(MPa)であり、σはせん断応力(MPa)であり、dεは相当塑性ひずみ増分であり、dεはせん断ひずみ増分であり、χは変換定数であって、前記板状試験片と同じ材料に対して引張試験を実施して作製した、一様伸び領域までの応力−ひずみ曲線の(σ、dε)と、χを変数として、前記せん断応力−せん断ひずみ曲線を上記式(2)〜(4)により変換して作製した相当応力−相当塑性ひずみ曲線の(χ×σ、(1/χ)×dε)との誤差が、最小二乗法で最小になるときのχの値である。
本発明の1つの実施形態では、高精度なせん断応力−せん断ひずみ曲線を作製する方法を提供することが可能であり、別の1つの実施形態では、そのせん断応力−せん断ひずみ曲線を変換して、高ひずみ領域の相当応力−相当塑性ひずみ曲線を作製する方法を提供することが可能である。
本発明の1つの実施形態に係る板状試験片の概略上面図である。 本発明の別の実施形態に係る板状試験片の概略上面図である。
本発明者らは、高精度なせん断応力−せん断ひずみ曲線を作製する方法を実現するべく、様々な角度から検討した。
その結果、基端側が所定の要件を満たすR形状である切欠きを両端に施した板状試験片を用意し、前記切欠き間を含む変形部にせん断力が及ぶようにせん断試験を行うことにより、高精度なせん断応力−せん断ひずみ曲線を作製できることを見出した。
以下に、本発明の実施形態が規定する各要件の詳細を示す。なお、本明細書において、「応力」とは「真応力」を指し、「ひずみ」とは「相当塑性ひずみ」を指す。
<1.せん断応力−せん断ひずみ曲線を作製する方法>
<1−1.板状試験片を用意する工程>
本発明の実施形態に係るせん断応力−せん断ひずみ曲線を作製する方法では、まず、基端側が下記式(1)を満たすR形状である切欠きを両端に施した板状試験片を用意する。

r/L ≧ 0.00016652×M+0.13989 ・・・(1)

rは前記R形状の半径であり、Lは前記切欠き間の距離であり、Mは前記板状試験片の、降伏応力(MPa)× 板厚(mm)の値である。なお、板状試験片の降伏応力は、JIS Z 2241の要領で引張試験を行うことで求めることができる。
図1は本発明の1つの実施形態に係る板状試験片の概略上面図である。板状試験片1は、両端に幅Wの切欠き2が施されている。切欠き2には、先端2a(すなわち、図1の矢印Aで示すせん断力を付与する方向において、試験片端部側の端部)と、基端2b(すなわち、図1の矢印Aで示すせん断力を付与する方向において、試験片中央側の端部)があり、切欠き2の基端2b側は、半径rのR形状となっている。2つの切欠き2の間は距離Lだけ離れている。
板状試験片1に切欠き2を施すことにより、せん断試験時の変形部を小さくすることができ、例えば、高強度の試験片に対しても、比較的弱い力でせん断試験を行うことができる。そして、切欠き2の形状を(1)式を満たすようにすることにより、せん断試験時における切欠き間の不均一な応力分布の発生を抑制でき、高精度なせん断応力−せん断ひずみ曲線を得ることができる。
R形状の半径rが大きいほど、せん断試験時における切欠き間の不均一な応力分布の発生を抑制できる。rは、5.0mm以上であることが好ましい。また、図1に示すように、rは、切欠き幅Wの1/2以上であることが好ましい。これにより、矢印Aの垂直方向において、切欠き幅WがR形状部分を超えて広がることはなくなり、せん断試験時における切欠き間の不均一な応力分布の発生をより抑制できる。rの上限は特になく、例えば板状試験片のサイズによって制限され得る。
切欠き間距離Lは短いほど、せん断試験時における切欠き間の不均一な応力分布の発生を抑制できる。
切欠き2は、図1に示すように、基端側のR形状部分以外は、直線状に施されていることが好ましく、切欠き2の直線部分の中心線2c上に、R形状の中心を設けることが好ましい。これにより、せん断試験時における切欠き間の不均一な応力分布の発生をより抑制できる。
切欠き2の直線部分の長さについて、特に制限はなく、切欠き間距離Lが所定値になるよう適宜調整すればよい。
試験片の両端に施される2つの切欠き2は、同一形状であることが好ましく、これにより、せん断試験時において、どちらか一方の切欠き付近に応力が集中することを抑制することができる。また、2つの切欠き2は、同一直線上に施されることが好ましい。すなわち、図1に示すように、2つの切欠き2の中心線が、同一直線上(2c上)にあることが好ましい。これにより、せん断試験時における切欠き間の不均一な応力分布の発生をより抑制できる。
板状試験片は、図1に示すように、切欠き2の直線部分の中心線2cを境界として左右対称であることが好ましく、これにより、せん断試験時において、左右どちらか一方に応力が集中することを抑制することができる。
切欠き2の基端側のR形状は、一定の曲率を有する円弧状であってもよく、楕円形状であってもよい。楕円形状の場合は、上記式(1)におけるrは、楕円の長径(長軸の長さ)を2x、および楕円の短径(短軸の長さ)を2yとしたときに、(x+y)/2として計算される。また、楕円形状の場合、長軸および短軸のどちらか一方が、切欠きの直線部分の中心線2c上にあることが好ましい。長軸が中心線2c上にある場合、短径は切欠き幅Wよりも大きいことが好ましく、短軸が中心線2c上にある場合、長径は切欠き幅Wよりも大きいことが好ましい。これにより、切欠き幅Wが楕円形部分を超えて広がることはなくなり、せん断試験時における切欠き間の不均一な応力分布の発生をより抑制できる。
R形状が一定の曲率を有する円弧状で、図1に示すように、円弧の中心角が180°以上の場合(すなわち円弧が半円と同じかそれよりも大きい場合)、上記式(1)におけるrはその円弧の曲率半径として計算することができる。一方、円弧の中心角が180°未満の場合(すなわち円弧が半円より小さい場合)、rはW/2として計算することができる。図2は、本発明の別の実施形態に係る板状試験片の概略上面図である。切欠き2の基端2b側は、一定の曲率を有する円弧状であり、円弧の中心角が180°未満である(すなわち円弧が半円よりも小さい)。この場合、上記式(1)におけるrは、W/2として計算することができる。
<1−2.せん断試験を行う工程>
次に、前記板状試験片に対し、前記切欠き間の変形部にせん断力が及ぶようにせん断試験を行う。なお、図1および図2に示すように、変形部3は、R形状の円弧部分に挟まれた領域(斜線によるハッチング部分)を指す。
せん断試験を行う際は、図1中の板状試験片の少なくとも変形部3を除く部分を、板状試験片の厚み方向において挟み込み、十分な面圧をかけてせん断試験を行うことが好ましい。面圧は50MP以上とするのが好ましい。
例えば、上記面圧をかけた上で、図1に示すように、切欠き2の中心線2cを境界として左半分には矢印Bの方向に、右半分には矢印Cの方向に力を加える(又は変位を付与する)ことにより、変形部3にせん断力が及ぶようにせん断試験を行ってもよい。また、左半分を固定し、右半分に矢印Cの方向に力を加える(又は変位を付与する)ことによってせん断試験を行ってもよい。
上記のようにせん断試験を行い、変形部3に加えられるせん断応力とせん断ひずみの関係をプロットし、せん断応力−せん断ひずみ曲線を作製する。
上記せん断応力−せん断ひずみ曲線は、所定の形状に加工された板状試験片に対しせん断試験装置を用いてせん断試験を行うことにより作製してもよい。
また、有限要素法応力解析ソフトなどを用いて、所定の形状の板状試験片にせん断力を付与するシミュレーションを行うことで作製してもよい。
<2.高ひずみ領域の相当応力−相当塑性ひずみ曲線を作製する方法>
上記のように作製したせん断応力−せん断ひずみ曲線を下記式(2)〜(4)により変換して、高ひずみ領域の相当応力−相当塑性ひずみ曲線を作製する。
σ×dε = σ×dε ・・・(2)
σ = χ×σ ・・・(3)
dε = (1/χ)×dε ・・・(4)

σは応力(MPa)であり、σはせん断応力(MPa)であり、dεはひずみ増分であり、dεはせん断ひずみ増分であり、χは変換定数であって、前記板状試験片と同じ材料に対して引張試験を行って作製した、一様伸び領域までの応力−ひずみ曲線の(σ、dε)と、χを変数として、前記せん断応力−せん断ひずみ曲線を上記式(2)〜(4)により変換して作製した相当応力−相当塑性ひずみ曲線の(χ×σ、(1/χ)×dε)との誤差が、最小二乗法で最小になるときのχの値である。
上記式(2)は、塑性仕事共役の関係、すなわち、「材料の加工硬化量は、材料に与えられた仕事によって一義的に決まること」を示すものである。
せん断応力−せん断ひずみ曲線作製時において、上記式(1)を満たす場合、高ひずみ領域においても塑性仕事共役の関係が成り立つ。一方、上記式(1)を満たさない場合、せん断試験時において、ひずみの増大と共に切欠き間に不均一な応力分布が生じ、塑性仕事共役の関係は成立しなくなり、高ひずみ領域の相当応力−相当塑性ひずみ曲線を精度よく作製することができなくなる。
上記のように作製した高ひずみ領域の相当応力−相当塑性ひずみ曲線は、高精度である。
一方、上記式(1)を満たさずにせん断試験を行って作製したせん断応力−せん断ひずみ曲線を用いて、上記式(2)〜(4)により変換して作製した相当応力−相当塑性ひずみ曲線では、ひずみが増大するにつれて、応力値の誤差が徐々に大きくなる。
本発明に係るせん断応力−せん断ひずみ曲線の作製方法および相当応力−相当塑性ひずみ曲線の作製方法は、高強度鋼材を含む鉄鋼材料全般、アルミニウム合金、銅合金等を含む金属材料全般対して適用可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前述および後述する趣旨に合致し得る範囲で、適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
有限要素法応力解析ソフトとして、動的陽解法ソルバーLS−DYNA(株式会社テラバイト製、ver:r9.3.0)を用いて、せん断試験のシミュレーションを行った。
まず、板状試験片の形状データを入力した。以下の条件を固定とした。

板状試験片面積 :63mm×70mm(長方形)
切欠き位置 :板状試験片の長手方向中心線上の長手方向両端
切欠き形状 :R形状(基端側)および直線状(先端側)
切欠き幅 :3mm
R形状の中心位置:板状試験片の長手方向中心線上(切欠き直線部分の中心線上)
有限要素法における要素タイプは完全積分8接点6面体ソリッドとした。また、要素の面積について、せん断試験時の変形部は0.25mm×0.25mmとし、それ以外の部分は、0.5mm×0.5mm〜1mm×1mmとした。ただし、R形状に沿う部分については、一定の曲率を有する滑らかな円弧を形成するように要素のタイプおよび面積を選択した。
試験片の材質(降伏応力および板厚)は、4種類(6000系アルミニウム合金、590MPa級冷延鋼版、980MPa級冷延鋼板A、980MPa級冷延鋼板B)から選択し、切欠き間距離Lは3種類(15mm、21mm、25mm)から選択し、R形状の半径rは3種類(1.5mm、3.5mm、7.0mm)から選択することにより、合計36種類の板状試験片データを作成した。なお、R形状は、一定の曲率を有する円弧状であり、円弧の中心角は180°以上とした。なお、降伏応力については、後述する引張試験により求めた。
次に、板状試験片のせん断試験条件を入力した。板状試験片の少なくとも変形部を除く部分を、厚み方向において剛体で挟み込み、84MPa相当の面圧を加えた。板状試験片と剛体間の摩擦係数は0.15とした。そして切欠きの直線部分の中心線を境界として片側を固定して、もう片側に対し、試験片の長手方向に変位を付与することにより、変形部におけるせん断応力−せん断ひずみ曲線を作製した。
一方、各素材(6000系アルミニウム合金、590MPa級冷延鋼板、980MPa級冷延鋼板A、980MPa級冷延鋼板B)に対しJIS Z 2241の要領で引張試験を行い、上記の板状試験片データの1つである降伏応力を測定するとともに、一様伸び領域における応力−ひずみ曲線を作製した。
作製したせん断応力−せん断ひずみ曲線を、上記式(2)〜(4)により変換して、相当応力−相当塑性ひずみ曲線を作製した。なおχについては、一様伸び領域までの応力−ひずみ曲線の(σ、dε)と、χを変数として、せん断応力−せん断ひずみ曲線を上記式(2)〜(4)により変換して作製した相当応力−相当塑性ひずみ曲線の(χ×σ、(1/χ)×dε)との誤差が、最小二乗法で最小になるときのχの値とした。
せん断応力−せん断ひずみ曲線から作製した相当応力−相当塑性ひずみ曲線の精度を確認するために、以下のVoce近似およびSwift近似により近似曲線を求め、当該近似曲線との、ひずみ0.45における応力値の差を求めた。結果を表1に示す。
なお、前述したように、近似曲線では、一様伸びまでのひずみ領域が狭い場合(例えば一様伸び領域の最大ひずみが0.10以下の場合)に、一様伸び以降の高ひずみ領域の予測に大きな誤差が生じる可能性があるが、一様伸びまでのひずみ領域が広い場合(例えば一様伸び領域の最大ひずみが0.10超の場合)は、一様伸び以降の高ひずみ領域の予測は比較的精度の高いものと考えられる。
なお、近似曲線として、一般にアルミニウム合金に対しては、Voce近似が用いられることが多く、鉄鋼材料についてはSwift近似が用いられることが多い。そのため、本実施例では、6000系アルミニウム合金に対しては、Voce近似を用いて、その他の鉄鋼材料に対してはSwift近似を用いた。
<Voce近似>
下記式(5)により、応力−ひずみ曲線の一様伸び領域から近似曲線を求めることができる。

σ=A−B(1−exp(−Cε)) ・・・(5)

σは応力(MPa)であり、εはひずみであり、A、BおよびCは材料ごとの定数である。
A、BおよびCの求め方として、まず、引張試験により作製した応力−ひずみ曲線(一様伸び領域のみ)を、上記式(5)にフィッティングさせる。そして、引張試験による応力−ひずみ曲線と、フィッティングによる応力−ひずみ曲線との(応力、ひずみ)の差の二乗和が最小になるようにA、BおよびCを決定する。
<Swift近似>
下記式(6)により、応力−ひずみ曲線の一様伸び領域から近似曲線を求めることができる。

σ=C(ε+ε ・・・(6)

σは応力(MPa)であり、εはひずみであり、C、εおよびnは材料ごとの定数である。
、εおよびnの求め方として、まず、引張試験により作製した応力−ひずみ曲線(一様伸び領域のみ)を、上記式(6)にフィッティングさせる。そして、引張試験による応力−ひずみ曲線と、フィッティングによる応力−ひずみ曲線との(応力、ひずみ)の差の二乗和が最小になるように、C、εおよびnを決定する。
Figure 2021028601
表1の結果を考察する。
まず、素材として6000系アルミニウム合金および590MPa級冷延鋼板を用いた場合の結果(試験No.1〜18)について考察する。6000系アルミニウム合金および590MPa級冷延鋼板に対して引張試験を行った結果、一様伸び領域の最大ひずみはそれぞれ、0.198および0.142であり、0.10超であった。そのため、近似曲線による一様伸び以降の高ひずみ領域(ひずみ0.45を含む)の予測は比較的精度の高いものと考えられる。
試験No.2、3、5、6、9、11、12、15、18は、本発明で規定する条件で作製した例であり、これらは、近似曲線との、ひずみ0.45における応力値の差が2%以下と小さく、高精度な相当応力−相当塑性ひずみ曲線であった。
これに対し、試験No.1、4、7、8、10、13、14、16、17は、本発明で規定する式(1)の条件を満たさず、近似曲線との、ひずみ0.45における応力値の差が2%超と大きかった。これは、式(1)の条件を満たさなかったために、せん断試験時に切欠き間に不均一な応力分布が発生したことによると考えられる。
次に、素材として980MPa級冷延鋼板Aおよび980MPa級冷延鋼板Bを用いた場合の結果(試験No.19〜36)について考察する。980MPa級冷延鋼板Aおよび980MPa級冷延鋼板Bに対して引張試験を行った結果、一様伸び領域の最大ひずみはそれぞれ、0.0795および0.0728であり、0.10以下であった。そのため、一様伸び領域の最大ひずみの値だけ見ると、近似曲線による一様伸び以降の高ひずみ領域(ひずみ0.45を含む)の予測は、必ずしも精度が高いとはいえない。
試験No.21、24、27、30および33は本発明で規定する条件で作製した例であり、これらは、近似曲線との、ひずみ0.45における応力値の差が2%以下であった。
試験No.1〜18の結果より、本発明で規定する式(1)の条件を満たせば高精度な相当応力−相当塑性ひずみ曲線を作製できることがわかっており、試験No.21、24、27、30および33は、本発明で規定する式(1)の条件を満たしているため、高精度な相当応力−相当塑性ひずみ曲線といえる。それと応力値の差が2%以下である近似曲線についても、高精度なものであったと考えられる(すなわち、試験No.19〜36における近似曲線は、一様伸び領域の最大ひずみが0.10以下の場合の近似曲線であるため、常に高精度なものが得られるとは限らないが、少なくとも本実施例においては、高精度なものであったと考えられる)。
試験No.19、20、22、23、25、26、28、29、31、32および34〜36は、本発明で規定する式(1)の条件を満たさず、近似曲線との、ひずみ0.45における応力値の差が2%超と大きかった。これらは、式(1)の条件を満たさなかったために、せん断試験時に切欠き間に不均一な応力分布が発生したと考えられる。
1 板状試験片
2 切欠き
2a 切欠き先端
2b 切欠き基端
2c 切欠きの直線部分の中心線
3 変形部
A せん断力を付与する方向
B 板状試験片の左半分に付与する力(又は変位)の方向
C 板状試験片の右半分に付与する力(又は変位)の方向
L 板状試験片の切欠き間の距離
W 板状試験片の切欠きの幅
r R形状の半径

Claims (3)

  1. 基端側が下記式(1)を満たすR形状である切欠きを両端に施した板状試験片を用意する工程と、
    前記板状試験片に対し、前記切欠き間を含む変形部にせん断力が及ぶようにせん断試験を行う工程とを含む、せん断応力−せん断ひずみ曲線を作製する方法。

    r/L ≧ 0.00016652×M+0.13989 ・・・(1)

    rは前記R形状の半径であり、Lは前記切欠き間の距離であり、Mは前記板状試験片の、降伏応力(MPa)× 板厚(mm)の値である。
  2. 前記rが5.0mm以上である、請求項1に記載の方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法により作製されたせん断応力−せん断ひずみ曲線を、下記式(2)〜(4)により変換して、高ひずみ領域の相当応力−相当塑性ひずみ曲線を作製する方法。

    σ×dε = σ×dε ・・・(2)
    σ = χ×σ ・・・(3)
    dε = (1/χ)×dε ・・・(4)

    σは応力(MPa)であり、σはせん断応力(MPa)であり、dεはひずみ増分であり、dεはせん断ひずみ増分であり、χは変換定数であって、前記板状試験片と同じ材料に対して引張試験を行って作製した、一様伸び領域までの応力−ひずみ曲線の(σ、dε)と、χを変数として、前記せん断応力−せん断ひずみ曲線を上記式(2)〜(4)により変換して作製した相当応力−相当塑性ひずみ曲線の(χ×σ、(1/χ)×dε)との誤差が、最小二乗法で最小になるときのχの値である。
JP2019147757A 2019-08-09 2019-08-09 せん断応力-せん断ひずみ曲線の作製方法、およびそのせん断応力-せん断ひずみ曲線を変換して、高ひずみ領域の応力-ひずみ曲線を作製する方法 Active JP7219682B2 (ja)

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