図1は、本発明の一実施例としてのパチンコ機1の正面図であり、図2は、パチンコ機1の裏面図であり、図3は、パチンコ機1が有する遊技盤20の概略構成図であり、図4は、振分装置40の概略構成図であり、図5は、パチンコ機1の電気的な構成を示すブロック図である。以下、第1種の遊技性と第2種の遊技性とを併せ持ったいわゆる1種2種混合タイプのパチンコ機に本発明を適用した例を説明する。なお、1種2種混合タイプのパチンコ機とは、通常状態では、左打ちによる第1始動口への遊技球の入球に基づいて大当り(図柄当り)か否かを抽選し、大当りが発生すると、大当り遊技を実行し(1種の遊技性)、大当りが発生して時短機能が作動すると(時短状態)、右打ちによる第2始動口への遊技球の入球が容易となり、当該第2始動口への遊技球の入球に基づいて大当りか否か,小当りか否かを抽選し、大当りが発生すると、大当り遊技を実行する一方、小当りが発生すると、小当り遊技を実行し、当該小当り遊技において開放した大入賞口に遊技球が入球すると共に入球した遊技球が当該大入賞口の内部に設けられた特定領域を通過(役物当り)すると、大当り遊技を実行する(2種の遊技性)ものである。
[パチンコ機1の外観構成]
本実施例のパチンコ機1は、図1に示すように、前面枠(ガラス枠)3に嵌め込まれたガラス板(透明板)4を介して盤面が視認可能に配置された遊技盤20と、遊技球を貯留する上受け皿11および下受け皿12と、上受け皿11に貯留されている遊技球を遊技盤20へ発射するための発射ハンドル13と、を備える。本実施例のパチンコ機1は、プリペイドカードに対応したCR機であり、当該パチンコ機1の左側には、プリペイドカードの読み書きを行なうためのCRユニット50が設けられている。
前面枠3は、内枠5に嵌め込まれており、左側の上下に設けられたヒンジを支点として内枠5に対して開閉可能となっている。また、内枠5は、外枠2に嵌め込まれており、左側の上下に設けられたヒンジを支点として外枠2に対して開閉可能となっている。前面枠3と内枠5は、略長方形状のプラスティック製の枠体として構成されている。一方、外枠2は、略長方形状の木製の枠体として構成されており、遊技ホールの島設備の島枠に固定される。
前面枠3の上部左右には、遊技の進行に伴って種々の効果音を鳴らしたり遊技者に対して注意喚起するための警告音を鳴らしたりするスピーカ14が設けられている。また、前面枠3には、遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ(ランプ)15が複数設けられている。
上受け皿11には賞球や貸球が払い出されるようになっている。上受け皿11の上面右部には、CRユニット50に挿入されたプリペイドカードの残高等を表示する精算表示装置52が配設され、当該精算表示装置52には、遊技球の貸し出しを指示する球貸ボタン53と、CRユニット50に挿入されているプリペイドカードの精算(返却)を指示する精算ボタン54と、が設けられている。また、上受け皿11の上面中央部には、遊技者の操作に応じて各種演出を行なうための演出ボタン16が配設されている。下受け皿12は上受け皿11から溢れた球を受けることができるようになっている。
パチンコ機1の裏側の内枠5には、図2に示すように、球タンク77とタンクレール78と払出装置72とが設けられている。払出装置72は、遊技盤20に設けられる各入賞口に遊技球が入球すると、予め定められた数の遊技球を、賞球として、球タンク77からタンクレール78を介して上受け皿11に払い出す。また、払出装置72は、球貸ボタン53が操作されると、貸球を上受け皿11に払い出す。
発射ハンドル13は、下受け皿12の右方に設けられており、遊技者により時計回りに回動操作されると、図示しない発射装置が有する発射モータ83(図5参照)が作動し、発射ハンドル13の回動操作量に応じた発射威力で遊技球を1球ずつ遊技盤20へ向けて打ち出す。
[遊技盤20の構成]
遊技盤20は、図3に示すように、外レール21aと内レール21bとによって囲まれる遊技領域21が形成されている。この遊技盤20は、遊技領域21の略中央部に設けられた演出図柄表示装置37と、演出図柄表示装置37の周囲に配置されたワープ入口やワープ樋,ステージ等を含むセンター役物38と、センター役物38の右方に配置された普通図柄作動ゲート22と、センター役物38の下方に配置された常時開放の第1始動口23と、普通図柄作動ゲート22の下方に配置された開閉式の第2始動口24と、センター役物38の右部に設けられた第1大入賞口25と、第2始動口24の左下方に配置された第2大入賞口26と、遊技領域21の左下部に配置された常時開放の普通入賞口28と、何れの入賞口にも入らなかった遊技球を回収するためのアウト口29と、を備える。また、遊技盤20には、遊技領域21を流下する遊技球をガイドしたり弾いたりする多数の釘21cが植設されている。
第2始動口24は、普通電動役物として構成される可変式の入球口であり、左右一対の開閉羽根(開閉部材)24bと、開閉羽根24bを作動させる第2始動口ソレノイド24c(図5参照)と、を備える。この第2始動口24は、通常は、開閉羽根24bが直立して遊技球の入球が困難な通常状態とされており、普通図柄が当り図柄で停止表示されて当り遊技(普通図柄当り遊技)が実行されるときに、第2始動口ソレノイド24cによって開閉羽根24bが左右に開くことにより、遊技球の入球が容易な開放状態とされる。第2始動口24には、遊技球の入球を検知してその入球数をカウントするための第2始動口スイッチ24a(図5参照)が取り付けられている。第2始動口24は、第2始動口スイッチ24aが遊技球の入球を規定数カウントするか、規定数カウントする前に予め定められた最大開放時間が経過すると閉鎖される。
第1大入賞口25は、特別電動役物として構成される可変式の入球口であり、開閉羽根(開閉部材)25bと、開閉羽根25bを作動させる第1大入賞口ソレノイド25c(図5参照)と、を備える。この第1大入賞口25は、通常は、開閉羽根25bによって塞がれて遊技球の入球が不能な閉鎖状態とされており、大当り遊技が実行されるときに、第1大入賞口ソレノイド25cによって開閉羽根25bが右側に開くことで、遊技球を受け入れやすい開放状態とされる。第1大入賞口25には、遊技球の入球を検知してその入球数をカウントするための第1大入賞口スイッチ25a(図5参照)が取り付けられている。第1大入賞口25は、第1大入賞口スイッチ25aが遊技球の入球を規定数カウントするか、規定数カウントする前に予め定められた最大開放時間が経過すると閉鎖される。大当り遊技は、第1大入賞口25を開閉するラウンド遊技を複数回に亘って繰り返すことにより実行される。
第2大入賞口26は、特別電動役物として構成される可変式の入球口であり、スライド式の開閉板(開閉部材)26bと、開閉板26bを作動させる第2大入賞口ソレノイド26c(図5参照)と、を備える。この第2大入賞口26は、通常は、開閉板26bが盤面から突き出て遊技球の入球が不能な閉鎖状態とされており、特別図柄が小当り図柄で停止表示されて小当り遊技が実行されるときに、第2大入賞口ソレノイド26cによって開閉板26bが盤面内に引き込まれることにより、遊技球の入球が可能な開放状態とされる。第2大入賞口26が閉鎖状態にあるときには、右打ちにより遊技球が第2大入賞口26に入球することなく開閉板26b上を右から左へと通過する。第2大入賞口26には、遊技球の入球を検知してその入球数をカウントするための第2大入賞口スイッチ26a(図5参照)が取り付けられている。第2大入賞口26は、第2大入賞口スイッチ26aが遊技球の入球を規定数カウントするか、規定数カウントする前に予め定められた最大開放時間が経過すると閉鎖される。
第2大入賞口26の内部には、振分装置40が設けられている。振分装置40は、図4に示すように、第2大入賞口26に入球した遊技球を特定領域(V領域)43か非特定領域(外れ領域)44かのいずれかに振り分けるものであり、図示するように、第2大入賞口26に入球した遊技球が流出するワープ出口41と、ワープ出口41の真下に設けられた特定領域43と、特定領域43の両サイドに設けられた非特定領域44と、特定領域43の入口付近に配置された左右一対の振分羽根42と、振分羽根42を作動させる振分ソレノイド42cと、を備える。振分装置40は、振分羽根42が振分ソレノイド42cによって予め定められた開閉パターン(開放時間および閉鎖時間)で開閉を繰り返し、振分羽根42が閉鎖しているときには、ワープ出口41から流出した遊技球を振分羽根42によって非特定領域44へと誘導し、振分羽根42が開放しているときには、ワープ出口41から流出した遊技球を特定領域43へと誘導する。振分羽根42の開放時間や閉鎖時間を調整することにより、特定領域43への遊技球の入球確率を設定することができる。また、振分羽根42の開閉パターンと第2大入賞口26の開閉タイミングとの組み合わせによっても、特定領域43への遊技球の入球確率を設定することができる。なお、特定領域43には、特定領域43への遊技球の通過を検知するための特定領域通過スイッチ43a(図5参照)が設けられている。
第1始動口23は、遊技者が遊技球を遊技領域21の左側領域(第1遊技領域)に流下させるように発射ハンドル13を回動操作(いわゆる左打ち)することにより遊技球を入球させることができる。一方、第2始動口24,第1大入賞口25および第2大入賞口26は、左打ちによって遊技球を入球させることは不可能であり、遊技球を遊技領域21の右側領域(第2遊技領域)に流下させるように発射ハンドル13を回動操作(いわゆる右打ち)することにより遊技球を入球させることができる。もっとも、第2始動口24,第1大入賞口25および第2大入賞口26は、可変式の入賞口であり、それぞれ、普通図柄が当選した場合,特別図柄が大当りで当選(図柄当り)または特別図柄が小当りで当選して遊技球が特定領域43を通過(役物当り)した場合、特別図柄が小当りで当選した場合に開放されてはじめて遊技球が入球可能となる。
遊技盤20の右下部には、第1特別図柄表示装置(第1特図表示装置)31と、第2特別図柄表示装置(第2特図表示装置)32と、第1特別図柄保留数表示装置(第1特図保留数表示装置)33と、第2特別図柄保留数表示装置(第2特図保留数表示装置)34と、普通図柄表示装置(普図表示装置)35と、普通図柄保留数表示装置(普図保留数表示装置)36と、が配置されている。
第1特図表示装置31および第2特図表示装置32は、本実施例では、7セグメント表示装置として構成されており、各セグメントの点灯と消灯との組み合わせにより複数種類の表示態様を表現する。第1特図表示装置31および第2特図表示装置32は、始動口への遊技球の入球に基づいて表示態様を順次切り替えることにより特別図柄の変動表示を開始し、所定の変動時間が経過したときに予め定められた複数の停止表示態様の何れかで停止表示することにより特別図柄を停止表示する。そして、特別図柄が第1の停止表示態様(所定の大当り図柄)で停止表示されると、大当り遊技が実行され、特別図柄が第2の停止表示態様(所定の小当り図柄)で停止表示されると、小当り遊技が実行される。第1特図表示装置31は、第1始動口23への遊技球の入球に基づいて特別図柄を変動表示する第1始動口入球用の表示装置であり、第2特図表示装置32は、第2始動口24への遊技球の入球に基づいて特別図柄を変動表示する第2始動口入球用の表示装置である。なお、第1特図表示装置31により表示される特別図柄を第1特別図柄(第1特図)とも呼び、第2特図表示装置32により表示される特別図柄を第2特別図柄(第2特図)とも呼ぶ。
なお、特別図柄の変動表示中や大当り遊技中、小当り遊技中に、第1始動口23に遊技球が入球した場合、第1特別図柄の変動表示を所定数(実施例では4回)まで保留し、現在の変動表示が終了した後に、保留している第1特別図柄の変動表示を順次開始する。第1特別図柄の保留数は、第1特図保留数表示装置33に表示される。また、特別図柄の変動表示中や大当り遊技中、小当り遊技中に、第2始動口24に遊技球が入球した場合も、第2特別図柄の変動表示を所定数(例えば、4回)まで保留し、現在の変動表示が終了した後に、保留している第2特別図柄の変動表示を順次開始する。第2特別図柄の保留数は、第2特図保留数表示装置34に表示される。
普図表示装置35は、本実施例では、当りの場合に点灯し外れの場合に消灯する第1表示部と、当りの場合に消灯し外れの場合に点灯する第2表示部と、を有するLED表示装置として構成されている。普図表示装置35は、普通図柄作動ゲート22に設けられたゲートスイッチ22aが遊技球を検知したことに基づいて、第1表示部の点灯と第2表示部の点灯とを交互に繰り返すことにより普通図柄を変動表示し、所定の変動時間が経過すると、第1表示部および第2表示部の何れか一方を点灯し他方を消灯することにより普通図柄を停止表示する。普通図柄が当り図柄で停止表示されると、第2始動口24が開放される。
なお、本実施例では、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート22を通過したときには、普通図柄の変動表示を所定数(例えば、4個)まで保留し、現在の変動表示が終了したときに、保留している普通図柄の変動表示を順次開始する。普通図柄の保留数は、普図保留数表示装置36に表示される。
演出図柄表示装置37は、液晶ディスプレイ等により構成される画像表示装置であり、表示画面上で特別図柄に対応する演出図柄(疑似図柄)371L,371C,371Rの表示(図柄変動演出)の他、リーチ演出や予告演出、キャラクタ演出等の様々な演出表示を行なう。図6は、演出図柄表示装置37の演出表示の一例を示す説明図である。図示するように、演出図柄表示装置37の表示画面の中央部には、数字や英字、文字、記号、キャラクタ等からなる左,中,右の3つの演出図柄371L,371C,371Rが表示され、表示画面の隅部(右上)には、キャラクタ図柄373(「熊の達吉」)が表示される。3つの演出図柄371L,371C,371Rは、始動口(第1始動口23または第2始動口24)に遊技球が入球すると、上から下へスクロールするように変動表示され、所定の変動時間が経過すると、左,右,中の順に停止表示される。右の演出図柄371Rが停止表示されたときに当該右の演出図柄371Rが左の演出図柄371Lと一致しなかったときには、外れ(通常外れ)となる。一方、右の演出図柄371Rが左の演出図柄371Lと一致したときには、リーチとなり、リーチ演出に移行する。そして、当該リーチ演出を経て中の演出図柄371Cが停止表示されたときに当該中の演出図柄371Cが左右の演出図柄371L,371Rと一致しなかったときには、外れとなり(リーチ外れ)、中の演出図柄371Cが左右の演出図柄371L,371Rと一致したときには、大当りとなる。また、3つの演出図柄371L,371C,371Rが特定の組み合わせ(例えば、357)で停止表示されると、小当りとなる。なお、キャラクタ図柄373は、図柄変動演出に伴うキャラクタ演出に用いられ、大当りや小当りが発生する可能性(信頼度)等を示唆する。
また、演出図柄表示装置37の表示画面の隅部(左下)には、図6に示すように、保留図柄372も表示される。保留図柄372は、現在の遊技状態が通常状態のときには、第1特別図柄の保留記憶に対応する図柄となる。すなわち、現在の遊技状態が通常状態のときには、第1特別図柄の変動表示中等に第1始動口23に遊技球が入球する毎に右側から順に1つずつ追加表示され、第1特別図柄の変動表示が開始される毎に始動入球時とは逆側から1つずつ消去される。また、保留図柄372は、現在の遊技状態が時短状態のときには、第2特別図柄の保留記憶に対応する図柄となる。すなわち、遊技状態が時短状態のときには、特別図柄の変動表示中等に第2始動口24に遊技球が入球する毎に右側から順に1つずつ追加表示され、第2特別図柄の変動表示が開始される毎に始動入球時とは逆側から1つずつ消去される。
[制御回路の構成]
また、パチンコ機1は、図5に示すように、その制御回路として、主制御装置60と、払出制御装置70と、発射制御装置80と、サブ統合制御装置90と、演出図柄制御装置91と、電源基板95(図2参照)と、を備える。主制御装置60は、CPU60aを中心としたマイクロプロセッサとして構成され、CPU60aの他に、処理プログラムやテーブルを記憶するROM60b,処理プログラムの実行に際してデータを一時的に記憶するRAM60c,入出力ポート,通信ポートなどを備える。なお、図示しないが、払出制御装置70や発射制御装置80も同様に、CPUを中心としたマイクロプロセッサとして構成され、CPUの他に、ROM,RAM,入出力ポート,通信ポートなどを備える。また、パチンコ機1には外部接続端子板65が設けられており、外部接続端子板65により遊技状態や遊技結果を示す信号がホールコンピュータ100(図5参照)へ送信される。
主制御装置60は、遊技の基本的な進行の制御を行なうものである。図5に示すように、主制御装置60には、前面枠3の開放を検知する前面枠開放スイッチ3aや、内枠5の開放を検知する内枠開放スイッチ5a等からの検知信号が裏配線中継端子板64を介して入力される。また、主制御装置60には、普通図柄作動ゲート22への遊技球の通過を検知するゲートスイッチ22a、第1始動口23への遊技球の入球を検知する第1始動口スイッチ23aや、第2始動口24への遊技球の入球を検知する第2始動口スイッチ24a、第1大入賞口25への遊技球の入球を検知する第1大入賞口スイッチ25a、第2大入賞口26への遊技球の入球を検知する第2大入賞口スイッチ26a、特定領域43への遊技球の通過を検知する特定領域通過スイッチ43a、普通入賞口28への遊技球の入球を検知する普通入賞口スイッチ28a等からの検知信号が遊技盤中継端子板61を介して入力される。一方、主制御装置60からは、第2始動口ソレノイド24cや第1大入賞口ソレノイド25c、第2大入賞口ソレノイド26c、振分ソレノイド42c等への駆動信号が遊技盤中継端子板61を介して出力される。また、主制御装置60からは、第1特図表示装置31や第2特図表示装置32、第1特図保留数表示装置33、第2特図保留数表示装置34、普図表示装置35、普図保留数表示装置36等への表示信号が図柄表示装置中継端子板62を介して出力される。更に、主制御装置60からは、ホールコンピュータ100への信号が裏配線中継端子板64および外部接続端子板65を介して出力される。
確率設定スイッチ98とRAMクリアスイッチ99は、図2に示すように、パチンコ機1の裏側の主制御装置60に設けられる。確率設定スイッチ98は特別図柄の大当り確率を設定するためのスイッチであり、RAMクリアスイッチ99はRAMクリアを実行するためのスイッチである。また、本実施例のRAMクリアスイッチ99は、特別図柄の大当り確率の設定値の選択にも用いられる。すなわち、確率設定スイッチ98およびRAMクリアスイッチ99は、特別図柄の大当り確率としてそれぞれ異なる大当り確率が割り当てられた6つの設定値(設定1〜6)の何れかを選択してセットするために用いられる。遊技ホールの管理者は、所定の鍵を確率設定スイッチ98に挿入して回転させると共にRAMクリアスイッチ99を押下した状態で電源を投入する。すると、パチンコ機1は、RAMクリアが行われて設定値の変更が可能な状態となる。パチンコ機1がこの状態になると、管理者は、RAMクリアスイッチ99を押下することにより、設定1〜6の中から所望の設定値を選択することができる。本実施例では、パチンコ機1は、RAMクリアスイッチ99が押下される度に、第1特図表示装置31に現在選択されている設定値に対応する「1」〜「6」の数字を順番に表示する。このため、管理者は、第1特図表示装置31に表示される数字が所望の設定値に対応する数字となるようにRAMクリアスイッチ99の押下を繰り返すことにより、所望の設定値を選択することができる。RAMクリアスイッチ99の操作によって選択された設定値は、管理者が確率設定スイッチ98に挿入した鍵を回転させて初期位置に戻すことにより確定され、特別図柄の大当り確率としてセットされる。管理者は、こうした操作を行なうことにより、パチンコ機1ごとに、設定1〜6の何れかをセットすることができる。なお、本実施例では、確率設定スイッチ98およびRAMクリアスイッチ99を用いて設定値の選択およびセットを行なう構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、回転つまみ等、外部から操作できるものであれば、他の如何なる操作手段を用いて設定値の選択やセットを行なう構成であってもよく、設定値を選択するための専用のスイッチを設ける構成であってもよい。また、パチンコ機1は、現在選択されている設定値に関する情報を第1特図表示装置31に表示するものとしたが、これに限定されるものではなく、他の表示装置に表示してもよいし、音声により報知してもよい。例えば、設定値を表示可能な表示装置をパチンコ機1の裏側の主制御装置60に設けてもよく、その表示装置を設定値の表示専用の装置としてもよい。また、設定値は設定1〜6の6つに限られず、複数の設定値のうちから選択可能なものであれば幾つであっても構わない。
払出制御装置70は、賞球や貸球の払い出しに関する制御を司るものである。この払出制御装置70には、上受け皿11に払い出す遊技球を貯留するための図示しない球タンクの球切れを検知する球切れスイッチ76からの検知信号が裏配線中継端子板64を介して入力され、上受け皿11に払い出される遊技球を検知する払出スイッチ74からの検知信号が払出中継端子板71および裏配線中継端子板64を介して入力され、下受け皿12の満杯を検知する満杯スイッチ75からの検知信号が直接に入力される。一方、払出制御装置70からは、払出モータ73への駆動信号が裏配線中継端子板64および払出中継端子板71を介して出力される。払出制御装置70は、主制御装置60と双方向通信が可能に構成されており、主制御装置60から送信されるコマンドに従って払出モータ73を駆動して賞球の払い出しを行なう。払出制御装置70は、球切れスイッチ76および満杯スイッチ75の何れかから検知信号を入力すると、その検知の状況が解消して検知信号を入力しなくなるまで、払出モータ73を駆動停止し、賞球の払出動作を中断する。
また、払出制御装置70は、CRユニット端子板51を介してCRユニット50と通信可能に構成されている。CRユニット端子板51は精算表示装置52と双方向通信が可能に構成されており、払出制御装置70には、精算表示装置52に設けられた球貸スイッチ53aや精算スイッチ54aからの検知信号がCRユニット端子板51を介して入力される。なお、球貸スイッチ53aは、球貸ボタン53の操作を検知して検知信号を出力するものであり、精算スイッチ54aは、精算ボタン54の操作を検知して検知信号を出力するものである。払出制御装置70は、球貸コマンドを入力すると、払出モータ73を駆動して貸球の払い出しを行なう。また、払出制御装置70は、発射制御装置80とも双方向
通信が可能に構成され、満杯スイッチ75から検知信号を入力する等の所定の発射停止条件が成立したときに、発射制御装置80に対して発射停止コマンドを送信する。
発射制御装置80は、遊技領域21への遊技球の発射に関する制御を司るものである。この発射制御装置80には、発射ハンドル13の回動操作に応じて出力される回動量信号や、発射停止ボタンの操作を検知する発射停止スイッチ81からの発射停止信号、遊技者が発射ハンドル13に触れていることを検知するタッチスイッチ82からのタッチ信号等が入力される。一方、発射制御装置80からは、発射モータ83への駆動信号が出力される。発射制御装置80は、回動量信号に基づく発射強度で遊技球が遊技領域21へ発射されるよう発射モータ83を制御する。なお、発射制御装置80は、タッチ信号を入力していないときや発射停止コマンドを入力しているときには、発射ハンドル13の操作に拘わらず発射モータ83の駆動を停止し、遊技球を発射させない。
サブ統合制御装置90は、遊技の演出に関する制御を司るものである。サブ統合制御装置90は、CPU90aを中心としたマイクロプロセッサとして構成され、CPU90aの他に、ROM90b,RAM90c,入出力ポート,通信ポートなどを備える。このサブ統合制御装置90は、演出中継端子板63を介して主制御装置60から一方向通信により各種コマンドを受信可能となっており、受信したコマンドに応じた演出制御を行なう。サブ統合制御装置90には、演出ボタン16の操作を検知する演出ボタンスイッチ16aからの検知信号が入力される。一方、サブ統合制御装置90からは、スピーカ14への音声信号や各種LEDやランプ15への点灯信号が出力される。また、サブ統合制御装置90からは、演出図柄制御装置91への演出表示制御用のコマンドが一方向通信により出力される。演出図柄制御装置91は、サブ統合制御装置90からの演出表示制御用のコマンドを受信し、そのコマンドに応じた演出画像が演出図柄表示装置37に表示されるよう当該演出図柄表示装置37の表示制御を行なう。
[パチンコ機1の遊技の概要]
次に、こうして構成されたパチンコ機1における遊技の概要について説明する。図7は、パチンコ機1の仕様を説明する説明図である。本実施例のパチンコ機1では、特別図柄の大当り確率(図柄当りの確率)は、設定値によって異なる。すなわち、各設定値における大当り確率は、第1特別図柄および第2特別図柄ともに、設定値が小さい方から順に、1/100(設定1),1/90(設定2),1/80(設定3),1/70(設定4),1/60(設定5),1/50(設定6)である。一方、小当り確率は、設定値に拘わらず一定であり、第1特別図柄で0%であり、第2特別図柄で1/10である。本実施例では、第1特別図柄の小当り確率は、0%であるから、第1特別図柄で小当りが当選することはない。小当り時の特定領域43への入球確率(V入賞率)は、1/3である。
大当り(図柄当りまたは役物当り)が発生すると、大当り遊技が実行される。本実施例では、大当り遊技は、第1特別図柄で大当り(図柄当り)が発生した場合には4ラウンドの大当り遊技(上記ラウンド遊技が4回繰り返される大当り遊技)となり、第2特別図柄で大当り(図柄当りまたは役物当り)が発生した場合には2ラウンドの大当り遊技(上記ラウンド遊技が2回繰り返される大当り遊技)となる。
大当り遊技が実行されると、当該大当り遊技の終了後に第2始動口24への遊技球を入球させるのに遊技者に有利となる時短状態が発生する。時短状態は、特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の変動回数が所定の継続回数に達するまで継続する。時短状態の継続回数は、図柄当りを契機に時短状態が発生した場合には、90%の確率で1回となり、10%の確率で100回となる。一方、役物当りを契機に時短状態が発生した場合には、100%の確率で100回となる。すなわち、時短状態の平均継続回数は、図柄当りを契機に時短状態が発生した場合の方が役物当りを契機に時短状態が発生した場合に比して少なくなっている。こうする理由については後述する。
普通図柄の当り確率は、通常状態では、1/100であるが、時短状態では、約1/1(100%)である。また、普通図柄が当選したときの第2始動口24(普通電動役物)の開放時間は、通常状態では、最大0.2秒間、1回開放されるが、時短状態では、最大6.0秒間、1回に延長される。
こうした仕様のパチンコ機1において、左打ち(第1遊技領域への遊技球の発射)により第1始動口23に遊技球が入球すると、第1特別図柄の変動表示が開始される。そして、第1特別図柄が大当り図柄で停止表示されると、大当りとなり、第1大入賞口25が開放される大当り遊技が実行される。第1大入賞口25は、左打ちでは遊技球の入球が不能であり、右打ち(第2遊技領域への遊技球の発射)することにより遊技球の入球が可能となる。したがって、大当り遊技が実行されると、遊技者は右打ちすることにより大当り遊技が消化されることになる。
通常状態において図柄当りにより大当り遊技が実行され、大当り遊技の終了後に時短状態へ移行すると、普通図柄の当選確率が通常状態よりも高くなると共に普通図柄が当選したときの第2始動口24の開放時間が通常状態よりも延長される。したがって、遊技者は、右打ちすることにより、第2始動口24に容易に遊技球を入球させることができる。上述したように、本実施例では、第2特別図柄には小当りが含まれ、小当り確率は高確率(実施例では、1/10)である。このため、時短状態においては、高確率で役物当りを発生させることができる。但し、第2特別図柄には大当りも含まれているため、時短状態において、図柄当りが発生する場合もある。
[主制御処理]
次に、パチンコ機1の動作、特に主制御装置60の動作について更に詳細に説明する。図8は、主制御装置60のCPU60aにより実行される主制御処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、パチンコ機1の電源スイッチが操作されたときに実行される。主制御処理は、パチンコ機1の電源投入に必要な電源投入処理を実行した後(S10)、乱数更新処理(S20)と、入賞確認処理(S30)と、始動入賞処理(S40)と、普通図柄遊技処理(S50)と、普通図柄当り遊技処理(S60)と、特別図柄遊技処理(S70)と、小当り遊技処理(S80)と、大当り遊技処理(S90)と、を繰り返し実行することにより行なわれる。なお、本実施例では、S20〜S90の処理に要する時間は約2msecであり、これらの処理は、約2msecの間隔で繰り返し実行される。主制御装置60は、主制御処理の実行により、各種コマンドを担当する制御装置に送信してコマンドに応じた処理を実行させることで、パチンコ機1の全体の遊技を進行させている。
[電源投入処理]
図9は、電源投入処理の一例を示すフローチャートである。S10の電源投入処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、セキュリティチェックが完了し、RAM60cへのアクセスが許可されると(S100)、バックアップフラグがOFFであるか否か(S102)、RAMクリア信号がOFFであるか否か(S104)、をそれぞれ判定する。バックアップフラグがOFFであると判定するか、バックアップフラグはONであるがRAMクリア信号がONであると判定すると、初期状態から起動する。即ち、まず、スタックの設定処理を行なう(S106)。続いて、確率設定スイッチ98でセットされた設定値を読み出し(S108)、RAM60cの作業領域をクリアして初期化する初期化処理を行なう(S110)。上述したように、確率設定スイッチ98およびRAMクリアスイッチ99が操作されながら電源オンされていれば、RAMクリアした状態となり、設定1〜6の中からRAMクリアスイッチ99により選択されて確率設定スイッチ98によりセットされた一の設定値が有効化される。そして、払出制御装置70とサブ統合制御装置90とにそれぞれ対応する初期コマンドを送信して(S112)、電源投入処理を終了する。一方、S102,S104でバックアップフラグがONで且つRAMクリア信号がOFFであると判定すると、電源遮断直前の状態から起動する。即ち、RAM60cに記憶保持された遊技情報を読み出し、当該遊技情報に従って遊技を再開する電源復帰処理を行なって(S114)、電源投入処理を終了する。ここで、電源遮断直前の遊技情報は、電源遮断直前に進行していた遊技の状態を示す情報であり、当該遊技情報には、入球数や保留数、特別遊技に関する情報が含まれる。電源投入処理を終了すると、主制御処理に戻って次の乱数更新処理(S20)に進む。
[乱数更新処理]
S20の乱数更新処理は、各種判定用乱数を更新する処理である。判定用乱数としては、例えば、始動口(第1始動口23または第2始動口24)への遊技球の入球に基づいて行なわれる当否判定に用いる当否判定用乱数(特別図柄当否判定用乱数)や、当否判定の結果が大当りまたは小当りであった場合に特図表示装置(第1特図表示装置31または第2特図表示装置32)に停止表示させる大当り図柄または小当り図柄の決定に用いる当り図柄決定用乱数,当否判定の結果が外れであった場合に特図表示装置(第1特図表示装置31または第2特図表示装置32)に停止表示させる外れ図柄の決定に用いる外れ図柄決定用乱数、特別図柄の変動表示パターン(変動時間)の決定に用いる変動パターン決定用乱数、普通図柄作動ゲート22への遊技球の通過に基づいて行なわれる当否判定に用いる普通図柄当否判定用乱数などを挙げることができる。乱数更新処理を終了すると、主制御処理に戻って次の入賞確認処理(S30)に進む。
[入賞確認処理]
S30の入賞確認処理は、各種センサ(ゲートスイッチ22aや第1始動口スイッチ23a、第2始動口スイッチ24a、第1大入賞口スイッチ25a、第2大入賞口スイッチ26a、特定領域通過スイッチ43a、普通入賞口スイッチ28aなど)の状態を検出してRAM60cの所定の状態記憶領域に保存する。そして、上述のスイッチのうち賞球に関わるスイッチ(第1始動口スイッチ23a、第2始動口スイッチ24a、第1大入賞口スイッチ25a、第2大入賞口スイッチ26a、普通入賞口スイッチ28a)により遊技球が検知されたか否かを判定し、検知されたと判定すると、払い出すべき賞球数を演算して賞球情報としてRAM60cの所定の賞球情報記憶領域に保存する。そして、賞球情報が値0でないときには賞球数指定コマンド(賞球情報)を払出制御装置70に送信して入賞確認処理を終了する。払出制御装置70は、賞球数指定コマンドを受信すると、払出モータ73を駆動して遊技球を1球ずつ払い出すと共に払出スイッチ74により払い出した遊技球が検知される度に賞球情報(未払いの遊技球数)を値1ずつデクリメントする賞球払出処理を実行する。この賞球払出処理は、賞球情報が値0となるまで繰り返し実行されるが、遊技球の入球が検知されて主制御装置60から新たな賞球数指定コマンドを受信すると、その賞球情報も値0となるまで処理が繰り返される。入賞確認処理を終了すると、主制御処理に戻って次の始動入賞処理(S40)に進む。
[始動入賞処理]
図10は、始動入賞処理の一例を示すフローチャートである。S40の始動入賞処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、第1始動口スイッチ23aからの検知信号を入力して第1始動口23に遊技球が入球したか否かを判定する(S200)。第1始動口23に遊技球が入球したと判定すると、現在の第1特別図柄の保留数(第1特図保留数)がその上限数(実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(S202)。第1特別図柄の保留数が上限数よりも少ないと判定したときには、第1特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に第1特図保留数表示装置33の表示を更新し(S204)、第1特別図柄の判定用乱数を取得してRAM60cの所定の判定用乱数記憶領域に格納する(S206)。ここで、S206で取得される判定用乱数としては、上述した大当り判定用乱数や大当り図柄決定用乱数、外れ図柄決定用乱数など第1特別図柄の変動遊技の進行に関する情報を挙げることができる。そして、第1特別図柄保留数指示コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S208)、S210の処理に進む。第1特別図柄保留数指示コマンドには、演出図柄表示装置37に第1保留図柄372aを表示させるための第1特別図柄の保留数に関する情報が含まれる。なお、S200で第1始動口23に遊技球が入球していないと判定したり、S202で第1特別図柄の保留数が上限数に達していると判定したりすると、S204〜S208の処理をスキップして次のS210の処理に進む。
次に、第2始動口スイッチ24aからの検知信号を入力して第2始動口24に遊技球が入球したか否かを判定する(S210)。第2始動口24に遊技球が入球したと判定すると、現在の第2特別図柄の保留数(第2特図保留数)がその上限数(実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(S212)。第2特別図柄の保留数が上限数よりも少ないと判定したときには、第2特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に第2特図保留数表示装置34の表示を更新し(S214)、第2特別図柄の判定用乱数を取得してRAM60cの所定の判定用乱数記憶領域に格納する(S216)。ここで、S216で取得される判定用乱数としては、上述した大当り判定用乱数や大当り図柄決定用乱数、外れ図柄決定用乱数など第2特別図柄の変動遊技の進行に関する情報を挙げることができる。そして、第2特別図柄保留数指示コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S218)、S220の処理に進む。第2特別図柄保留数指示コマンドには、演出図柄表示装置37に第2保留図柄372bを表示させるための第2特別図柄の保留数に関する情報が含まれる。なお、S210で第2始動口24に遊技球が入球していないと判定したり、S212で第2特別図柄の保留数が上限数に達していると判定したりすると、S214〜S218の処理をスキップして次のS220の処理に進む。
次に、ゲートスイッチ22aからの検知信号を入力して普通図柄作動ゲート22を遊技球が通過したか否かを判定する(S220)。普通図柄作動ゲート22を遊技球が通過したと判定すると、現在の普通図柄の保留数がその上限数(例えば、値4)よりも少ないか否かを判定する(S222)。普通図柄の保留数が上限数よりも少ないと判定したときには、普通図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に普図保留数表示装置36の表示を更新する(S224)。次に、普通図柄の判定用乱数を取得してRAM60cの所定の判定用乱数記憶領域に格納する(S226)。なお、普通図柄の判定用乱数としては、上述した普通図柄当否判定用乱数などの普通図柄の変動遊技の進行に関する情報を例示することができる。そして、普通図柄保留数指示コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S228)、始動入賞処理を終了する。S220で普通図柄作動ゲート22に遊技球が通過していないと判定したり、S222で普通図柄の保留数が上限値に達していると判定したりすると、S224〜S228の処理をスキップして、始動入賞処理を終了する。始動入賞処理を終了すると、主制御処理に戻って次の普通図柄遊技処理(S50)に進む。
[普通図柄遊技処理]
図11は、普通図柄遊技処理の一例を示すフローチャートである。S50の普通図柄遊技処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、普通電動役物が作動中(第2始動口24が開放動作中)であるか否かを判定する(ステップS300)。普通電動役物が作動中であると判定すると、普通図柄遊技処理を終了する。普通図柄遊技処理が終了すると、次のS60の普通図柄当り遊技処理に進む。一方、普通電動役物が作動中でないと判定すると、普通図柄が変動表示中であるか否か(S302)、普通図柄の確定図柄の表示時間中であるか否か(S304)、をそれぞれ判定する。普通図柄が変動表示中でなく、その確定図柄の表示時間中でもないと判定すると、普通図柄の保留数が値0よりも多いか否かを判定する(S306)。普通図柄の保留数が値0よりも多くない、すなわち値0であると判定すると、普通図柄遊技処理を終了する。一方、普通図柄の保留数が値0よりも多いと判定すると、判定用乱数記憶領域に記憶されている普通図柄判定用乱数のうち最も古いものを読み出し(S308)、普通図柄の変動表示を行なうための普通図柄変動表示関連処理を実行して(S310)、普通図柄遊技処理を終了する。以下、S310の普通図柄変動表示関連処理の詳細について図12のフローチャートを用いて説明する。
普通図柄変動表示関連処理では、時短フラグが値0(OFF)であるか否かを判定する(S340)。時短フラグが値0である、すなわち現在の遊技状態が通常状態であると判定すると、取得した普通図柄当否判定用乱数に基づいて低確率用普通図柄当り判定テーブルを用いて当否判定を行ない(S342)、時短フラグが値0でなく値1である、すなわち現在の遊技状態が時短状態であると判定すると、取得した普通図柄当否判定用乱数に基づいて高確率用普通図柄当り判定テーブルを用いて当否判定を行なう(S344)。普通図柄の当否判定は、普通図柄当否判定用乱数と普通図柄当り判定テーブルに含まれる当り値とを比較することにより行い、普通図柄当否判定用乱数が当り値と一致したときには当りと判定し、一致しなかったときには外れと判定する。高確率用普通図柄当り判定テーブルは、低確率用普通図柄当り判定テーブルに比して、当り値が多い。なお、本実施例では、時短状態では、普通図柄の当選確率は100%であるから、当否判定処理が実行されると必ず当りと判定される。当否判定の結果、当りと判定すると(S346の「YES」)、普通図柄の確定図柄に当り図柄を設定し(S348)、普通図柄の変動表示を開始してから当り図柄で確定表示するまでの普通図柄の変動時間(当り変動パターン)を決定する(S350)。また、当否判定の結果、外れと判定すると(S346の「NO」)、普通図柄の確定図柄に外れ図柄を設定し(S352)、普通図柄の変動表示を開始してから外れ図柄で確定表示するまでの普通図柄の変動時間(外れ変動パターン)を決定する(S354)。普通図柄の変動時間は、時短状態では、通常状態に比して短時間とするのが好適であるが、遊技状態に拘わらず、一定時間(例えば3秒)であってもよい。こうして普通図柄の確定図柄と変動時間(変動パターン)とを決定すると、普通図柄の変動表示を開始し(S356)、普通図柄の保留数を値1だけデクリメントすると共に普図保留数表示装置36の表示を更新し(S358)、普通図柄の変動開始コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S360)、普通図柄遊技処理を終了する。
図11の普通図柄遊技処理に戻って、普通図柄の変動表示を開始すると、次に普通図柄遊技処理が実行されたときに、主制御装置60のCPU60aは、S302で普通図柄が変動表示中であると判定するため、次に、S350またはS354で決定した普通図柄の変動時間が経過したか否かを判定する(S312)。普通図柄の変動時間が経過していないと判定すると、普通図柄遊技処理を一旦終了し、普通図柄の変動時間が経過したと判定すると、変動表示中の普通図柄の確定図柄を表示する確定図柄表示処理を行なう(S314)。そして、確定図柄表示時間(例えば0.5秒)が経過したか否かを判定する(S316)。確定図柄表示時間が経過していないと判定すると、普通図柄遊技処理を一旦終了する。普通図柄の確定図柄が表示された後に、普通図柄遊技処理が実行されると、S304で確定図柄の表示時間中であると判定するため、再びS316で確定図柄表示時間が経過したか否かを判定し、確定図柄表示間が経過したと判定すると、確定図柄の表示を終了し(S318)、普通図柄の確定図柄が当り図柄であるか否かを判定する(S320)。普通図柄の確定図柄が当り図柄でなく外れ図柄であると判定すると、普通図柄遊技処理を終了する。一方、普通図柄の確定図柄が当り図柄であると判定すると、普通電動役物の作動(第2始動口24の開放動作)を開始して(S322)、普通図柄遊技処理を終了する。普通図柄遊技処理を終了すると、次のS60の普通図柄当り遊技処理に進む。
[普通図柄当り遊技処理]
図13は、普通図柄当り遊技処理の一例を示すフローチャートである。S60の普通図柄当り遊技処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、第2始動口24が開放中であるか否かを判定する(S400)。第2始動口24が開放中でないと判定すると、普通図柄当り遊技処理を終了する。一方、第2始動口24が開放中であると判定すると、第2始動口スイッチ24aからの検知信号に基づいて第2始動口24に遊技球が規定数(実施例では4個)入球したか否かを判定する(S402)。第2始動口24に遊技球が規定数入球していないと判定すると、時短フラグが値0であるか否かを判定する(S404)。時短フラグが値0である、すなわち現在の遊技状態が通常状態であると判定すると、第2始動口24の最大開放時間に第1時間T1(実施例では0.2秒)を設定し(S406)、時短フラグが値1である、すなわち現在の遊技状態が時短状態であると判定すると、第2始動口24の最大開放時間に第1時間T1よりも長い第2時間T2(実施例では6.0秒)を設定する(S408)。そして、第2始動口24を開放してからの経過時間が設定した最大開放時間に達しているか否かを判定する(S410)。第2始動口24に遊技球が規定数入球しておらず、第2始動口24の開放時間が最大開放時間にも達していないと判定すると、第2始動口24の開放を維持したまま普通図柄当り遊技処理を一旦終了する。一方、第2始動口24に遊技球が規定数入球したと判定したり、第2始動口24の開放時間が最大開放時間に達したと判定すると、第2始動口24を閉鎖し(S412)、普図当り遊技終了コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S414)、普通図柄当り遊技処理を終了する。
[特別図柄遊技処理]
図14および図15は、特別図柄遊技処理の一例を示すフローチャートである。S70の特別図柄遊技処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、大当りフラグが値1である(大当り遊技中である)か否か、小当りフラグが値1である(小当り遊技中である)か否かを判定する(S500)。大当りフラグおよび小当りフラグのいずれかが値1である、すなわち大当り遊技中であるか小当り遊技中であると判定すると、特別図柄遊技処理を終了する。なお、特別遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次の小当り遊技処理(S80)に進む。一方、大当りフラグおよび小当りフラグがいずれも値1でない、すなわち大当り遊技中でも小当り遊技中でもないと判定すると、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中であるか否か(S502)、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかの確定図柄が表示中であるか否か(S504)、をそれぞれ判定する。第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中ではなく確定図柄の表示中でもないと判定すると、第2特別図柄の保留数が値0よりも多いか否かを判定する(S506)。第2特別図柄の保留数が値0よりも多いと判定すると、判定用乱数記憶領域に記憶されている第2特別図柄の判定用乱数のうち最も古いものを読み出し(S508)、第2特別図柄の変動表示を行なうための変動表示関連処理を実行する(S510)。
一方、第2特別図柄の保留数が値0であると判定すると、第1特別図柄の保留数が値0よりも多いか否かを判定する(S512)。第1特別図柄の保留数が値0よりも多いと判定すると、判定用乱数記憶領域に記憶されている第1特別図柄の複数の判定用乱数のうち最も古いものを読み出し(S514)、第1特別図柄の変動表示を行なうための変動表示関連処理を実行する(S516)。S512で第1特別図柄の保留数が値0であると判定すると、特別図柄遊技処理を終了する。S506〜S516では、第1特別図柄の保留数と第2特別図柄の保留数がいずれも値0よりも多いときには第2特別図柄の変動表示(保留の消化)が優先して実行される(第2特図優先変動)。この場合、時短状態に移行し、第2特別図柄の保留記憶が発生すると、直ぐに当否判定の順番が回ってくるため、第1特別図図柄の保留記憶が残存していても、その消化を待つ必要がない。また、第1特別図柄の変動表示を優先して行なうものとしてもよい(第1特図優先変動)。この場合、第1特別図柄の保留記憶が存在しない状況(右打ちしていれば、第1始動口23に遊技球が入球しないため)にしてから時短遊技を進めることができるため、一旦、第1特別図柄の保留記憶を消化してしまえば、第2特別図柄の保留記憶のみで時短遊技を進めることができる。また、特別図柄の変動表示を始動口(第1始動口23,第2始動口24)への遊技球の入球順に行なうものとしてもよい(入球順変動)。この場合も、第1特図優先変動と同様に、第1特別図柄の保留記憶を消化してから、第2特別図柄の保留記憶のみで時短遊技を進めることができる構成となる。以下、S510の第1特別図柄の変動表示関連処理およびS516の第2特別図柄の変動表示関連処理の詳細について説明する。図16は、第1特別図柄変動表示関連処理の一例を示すフローチャートであり、図17は、第2特別図柄変動表示関連処理の一例を示すフローチャートである。
第1特別図柄変動表示関連処理では、まず、S514で取得した当否判定用乱数に基づいて第1特別図柄の当否判定処理を行なう(S560)。当否判定処理は、第1始動口23への遊技球の入球に基づいて取得される当否判定用乱数と当否判定テーブルに含まれる大当り値とを比較することにより行ない、当否判定用乱数がいずれかの大当り値と一致したときには大当りと判定し、当否判定用乱数がいずれの大当り値とも一致しなかったときには外れと判定する。ここで、大当り値は、設定1〜6のうち現在セットされている設定値に応じたものが読み出される。各設定1〜6には、異なる数の当り値が割り当てられており、設定値1で当り値の数が最も少なく、設定6で当り値の数が最も多くなっている。割り当てられた当り値の数が多いほど特別図柄の大当り確率が高くなるから、設定1は大当り確率が最も低く遊技者に最も不利な設定値となり、設定6は大当り確率が最も高く遊技者に最も有利な設定値となる。当否判定処理を実行すると、当否判定の結果が大当りであるか否かを判定する(S562)。
当否判定の結果が大当りであると判定すると、S514で取得した当り図柄決定用乱数に基づいて大当り図柄を決定する(S564)。この処理は、当り図柄決定用乱数を用いて大当り遊技の内容(ラウンド数)が異なる複数の大当り図柄の中から一の図柄を選択することにより行なう。なお、決定した大当り図柄は、大当り遊技終了時まで保存される。これは、大当り遊技中は、遊技状態を設定する時短フラグの値をクリアする必要があることによる措置である。そして、第1特別図柄の変動表示を開始してから決定した大当り図柄で停止表示するまでの第1特別図柄の変動時間(大当り変動パターン)を決定する(S566)。
S562で当否判定の結果が外れであると判定すると、S514で取得した外れ図柄決定用乱数に基づいて外れ図柄を決定する(S568)。そして、第1特別図柄の変動表示を開始してから決定した外れ図柄で停止表示するまでの第1特別図柄の変動時間(外れ変動パターン)を決定する(S570)。
変動パターンを決定すると、第1特別図柄の変動表示を開始し(S572)、第1特別図柄の保留数を値1だけデクリメントすると共に第1特図保留数表示装置33の表示を更新する(S574)。また、特別図柄の保留数の更新に伴って今回消化する保留に係る判定用乱数をクリアし、残存する保留に係る判定用乱数をシフトするシフト処理を行なう。そして、第1特別図柄変動指示コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S576)、第1特別図柄変動表示関連処理を終了する。第1特別図柄変動指示コマンドを受信したサブ統合制御装置90は、演出図柄表示装置37で図柄変動演出が開始されるように演出図柄制御装置91に制御コマンドを送信する。なお、変動指示コマンドには、当否判定の結果や第1特別図柄の変動パターン(変動時間)、停止図柄(大当り図柄、外れ図柄)などが含まれる。
第2特別図柄変動表示関連処理では、まず、S508で取得した当否判定用乱数に基づいて第2特別図柄の当否判定処理を行なう(S580)。当否判定処理は、第2始動口24への遊技球の入球に基づいて取得される当否判定用乱数と当否判定テーブルに含まれる大当り値および小当り値とを比較することにより行ない、当否判定用乱数がいずれかの大当り値と一致したときには大当りと判定し、当否判定用乱数がいずれかの小当り値と一致したときには小当りと判定し、当否判定用乱数がいずれの大当り値および小当り値とも一致しなかったときには外れと判定する。ここで、大当り値は、第1特別図柄と同様に設定1〜6のうち現在セットされている設定値に応じたものが読み出され、小当り値は、設定値に拘わらず予め定められた所定値が読み出される。上述したように、第1特別図柄では、小当りで当選することはないが、第2特別図柄では、高確率(約1/10)で小当りに当選する。当否判定処理を実行すると、当否判定の結果が大当りであるか否か(S582)、小当りであるか否か(S584)、をそれぞれ判定する。
当否判定の結果が大当りであると判定すると、S508で取得した当り図柄決定用乱数に基づいて大当り図柄を決定し(S586)、第2特別図柄の変動時間(大当り変動パターン)を決定する(S588)。一方、当否判定の結果が小当りであると判定すると、S508で取得した当り図柄決定用乱数に基づいて小当り図柄を決定し(S590)、第2特別図柄の変動時間(小当り変動パターン)を決定する(S591)。また、当否判定の結果が外れであると判定すると、S508で取得した外れ図柄決定用乱数に基づいて外れ図柄を決定し(S592)、第2特別図柄の変動時間(外れ変動パターン)を決定する(S593)。
変動パターンを決定すると、第2特別図柄の変動表示を開始し(S594)、第2特別図柄の保留数を値1だけデクリメントすると共に第2特図保留数表示装置34の表示を更新する(S595)。そして、第2特別図柄変動指示コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S596)、第2特別図柄変動表示関連処理を終了する。第2特別図柄変動指示コマンドを受信したサブ統合制御装置90は、演出図柄表示装置37で図柄変動演出が開始されるように演出図柄制御装置91に制御コマンドを送信する。なお、変動指示コマンドには、当否判定の結果や第2特別図柄の変動パターン(変動時間)、停止図柄(大当り図柄、小当り図柄または外れ図柄)などが含まれる。
図14および図15の特別図柄遊技処理に戻って、特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の変動表示が開始された後に特別図柄遊技処理が実行されると、S502で第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中と判定するため、主制御装置60のCPU60aは、変動時間が経過したか否かを判定する(S518)。変動時間はS566,S570,S588,S591,S593のいずれかで決定した特別図柄の変動パターンに応じて設定されるから、変動時間が経過したか否かは、特別図柄の変動表示が開始されてからの経過時間と、変動パターンに対応する変動時間とを比較することにより行なうことができる。変動時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。変動時間が経過していると判定すると、変動停止コマンドをサブ統合制御装置90に送信すると共に(S520)、変動表示中の特別図柄を確定表示する(S522)。変動停止コマンドを受信したサブ統合制御装置90は、演出図柄表示装置37で図柄変動演出を終了するように演出図柄制御装置91に制御コマンドを送信する。そして、確定図柄の表示時間が経過したか否かを判定する(S524)。ここで、確定図柄の表示時間は、実施例では0.5秒に設定される。確定図柄の表示時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。確定図柄の表示がなされた後に、特別図柄遊技処理が実行されると、S504で確定図柄表示中と判定するため、再びS524で確定図柄の表示時間が経過したか否かを判定し、確定図柄の表示時間が経過していると判定すると、確定図柄の表示を終了し(S526)、確定図柄が大当り図柄であるか否かを判定する(S528)。
S528で確定図柄が大当り図柄であると判定すると、大当り遊技を開始するために、条件装置の作動を開始すると共に(S530)、役物連続作動装置の作動を開始し(S532)、大当りフラグに値1(ON)を設定する(S534)。大当り遊技中には、時短機能(開放延長機能)を停止させるために、時短フラグが値1(ON)のときには時短フラグを値0(OFF)とし(S536,S538)、遊技状態指定コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S540)、特別図柄遊技処理を終了する。なお、遊技状態指定コマンドには、大当りフラグの値や時短フラグの値が含まれる。特別図柄遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次のS80の小当り遊技処理に進む。
S528で確定図柄が大当り図柄でないと判定すると、時短フラグが値1(ON)であるか否かを判定する(S542)。時短フラグが値1でなく値0(OFF)である、すなわち現在の遊技状態が通常状態であると判定すると、S550に進む。一方、時短フラグが値1である、すなわち現在の遊技状態が時短状態であると判定すると、時短カウンタを値1だけデクリメントすると共に(S544)、時短カウンタが値0であるか否かを判定する(S546)。ここで、時短カウンタは、時短状態が終了するまでの特別図柄(第1特別図柄および第2特別図柄)の残り変動回数を示すものである。時短カウンタが値0でないと判定すると、時短状態を維持しままS550に進み、時短カウンタが値0であると判定すると、時短状態を終了させるために、時短フラグに値0を設定する(S548)。
次に、確定図柄が小当り図柄であるか否かを判定する(S550)。確定図柄が小当り図柄であると判定すると、小当り遊技を開始するために、小当りフラグに値1(ON)を設定し(S552)、確定図柄が小当り図柄でないと判定すると、外れ図柄であるから、S552をスキップする。そして、遊技状態指定コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S540)、特別図柄遊技処理を終了する。なお、遊技状態指定コマンドには、小当りフラグや時短フラグの値が含まれる。特別図柄遊技処理を終了すると、S80の小当り遊技処理に進む。
[小当り遊技処理]
図18および図19は、小当り遊技処理の一例を示すフローチャートである。S80の小当り遊技処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、小当りフラグが値1(ON)であるか否かを判定する(S600)。小当りフラグが値1でなく値0(OFF)であると判定すると、小当り遊技処理を終了する。小当り遊技処理を終了すると、次のS90の大当り遊技処理に進む。一方、小当りフラグが値1であると判定すると、小当り開始インターバル中であるか否か(S602)、第2大入賞口26が開放中であるか否か(S604)、特定領域43が有効中であるか否か(S606)、小当り終了演出が実行中であるか否か(S608)、をそれぞれ判定する。S602〜S608のいずれの判定も否定的な判定であれば、小当り開始インターバルを開始して(S610)、小当り遊技処理を一旦終了する。なお、小当り開始インターバルの開始に伴い小当り遊技開始演出コマンドをサブ統合制御装置90に送信する。小当り開始インターバルを開始すると、次に小当り遊技処理が実行されるときに、S602で小当り開始インターバル中であると判定されるため、次に、小当り開始インターバル時間が経過したか否かを判定する(S612)。小当り開始インターバル時間が経過していないと判定すると、小当り遊技処理を一旦終了し、小当り開始インターバル時間が経過したと判定すると、第2大入賞口ソレノイド26cの駆動により第2大入賞口26を開放すると共に(S614)、特定領域43を有効化して(S616)、小当り遊技処理を終了する。第2大入賞口26を開放すると、次に小当り遊技処理が実行されるときに、S604で第2大入賞口26が開放中であると判定されるため、次に第2大入賞口スイッチ26aからの検知信号に基づいて第2大入賞口26への遊技球の入球数が規定数(実施例では10個)に達しているか否か(S618)、第2大入賞口26を開放してからの経過時間(開放時間)が最大開放時間(実施例では1.6秒)に達している否か(S620)、をそれぞれ判定する。なお、小当り遊技は、第2大入賞口26を1回だけ開放するものに限られず、通じて最大開放時間を限度に複数回開放するものでも構わない。第2大入賞口26への遊技球の入球数が規定数に達しておらず、第2大入賞口26の開放時間が最大開放時間にも達していないと判定すると、第2大入賞口26の開放を維持したまま小当り遊技処理を一旦終了する。一方、第2大入賞口26への遊技球の入球数が規定数に達したと判定したり、当該入球数が規定数に達していなくても第2大入賞口26の開放時間が最大開放時間に達したと判定すると、第2大入賞口26を閉鎖して(S622)、小当り遊技処理を終了する。
第2大入賞口26を閉鎖すると、次に小当り遊技処理が実行されるときに、S604で第2大入賞口26が開放中でないと判定され、続くS606で特定領域43が有効中であると判定されるため、特定領域通過スイッチ43aにより特定領域43を遊技球が通過したか否かを判定する(S628)。特定領域43を遊技球が通過しなかったと判定すると、特定領域43の有効期間が終了したか否かを判定する(S630)。有効期間が終了していないと判定すると、小当り遊技処理を一旦終了し、有効期間が終了したと判定すると、小当り終了演出を開始して(S632)、小当り遊技処理を終了する。小当り終了演出は、小当り終了演出コマンドをサブ統合制御装置90に送信することにより行なう。特定領域43の有効期間が終了して小当り終了演出が開始されると、次に小当り遊技処理が実行されるときに、S606で特定領域43が有効中でないと判定され、続くS608で小当り終了演出中であると判定されるため、小当り終了演出時間が経過したか否かを判定する(S624)。小当り終了演出時間が経過していないと判定すると、小当り遊技処理を一旦終了し、小当り終了演出時間が経過したと判定すると、小当りフラグに値0を設定して(S626)、小当り遊技処理を終了する。
S628において、特定領域43を遊技球が通過したと判定すると、小当りから役物当りとなった場合であり、大当り遊技を実行するために、役物連続作動装置の作動を開始する(S634)。次に、第2大入賞口26が開放中であれば、第2大入賞口26を閉鎖し(S636,S638)、特定領域43を無効化する(S640)。続いて、大当りフラグに値1を設定し(S642)、時短フラグが値1であれば、時短フラグに値0を設定する(S644,S646)。そして、小当りフラグに値0を設定すると共に(S648
)、遊技状態指定コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S650)、小当り遊技処理を終了する。小当り遊技処理を終了すると、S90の大当り遊技処理に進む。
[大当り遊技処理]
図20および図21は、大当り遊技処理の一例を示すフローチャートである。S90の大当り遊技処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、大当りフラグが値1(ON)であるか否かを判定する(S700)。大当りフラグが値1でなく値0であると判定すると、大当り遊技処理を終了する。一方、大当りフラグが値1であると判定すると、第1大入賞口25が開放中であるか否かを判定する(S702)。第1大入賞口25が開放中でないと判定すると、大当り遊技開始演出中であるか否か(S704)、大当り遊技終了演出中であるか否か(S706)、開放間インターバル中であるか否か(S708)、をそれぞれ判定する。S704〜S708のいずれも否定的な判定がなされると、大当り遊技開始演出を開始して(S710)、大当り遊技処理を終了する。大当り遊技開始演出は、大当り遊技開始コマンドをサブ統合制御装置90に送信することにより行なう。大当り遊技開始処理を終了すると、次に大当り遊技処理が実行されたときに、S704で大当り遊技開始演出中であると判定されるため、大当り遊技開始演出時間が経過したか否を判定する(S712)。大当り遊技開始演出時間が経過していないと判定すると、大当り遊技処理を一旦終了し、大当り遊技開始演出時間が経過したと判定すると、第1大入賞口ソレノイド25cの駆動により第1大入賞口25を開放して(S714)、大当り遊技処理を終了する。
第1大入賞口25を開放すると、次に大当り遊技処理が実行されたときに、S702で第1大入賞口25が開放中であると判定されるため、第1大入賞口スイッチ25aからの検知信号に基づいて第1大入賞口25への遊技球の入球数が規定数(実施例では10個)に達したか否か(S716)、第1大入賞口25を開放してからの経過時間(開放時間)が最大開放時間(実施例では28秒)に達したか否か(S718)、をそれぞれ判定する。第1大入賞口25への遊技球の入球数が規定数に達しておらず、第1大入賞口25の開放時間が最大開放時間にも達していないと判定すると、第1大入賞口25の開放を維持したまま大当り遊技処理を一旦終了する。一方、第1大入賞口25への遊技球の入球数が規定数に達したと判定したり、当該入球数が規定数に達していなくても第1大入賞口25の開放時間が最大開放時間に達したと判定すると、第1大入賞口25を閉鎖し(S720)、今回のラウンド遊技が最終ラウンドであるか否かを判定する(S722)。大当り遊技のラウンド数は、本実施例では、第1特別図柄で大当りした場合には4ラウンドに決定され、第2特別図柄で大当りした場合には2ラウンドに決定される。勿論、これに限定されるものではなく、第1特別図柄および第2特別図柄の少なくとも一方に複数の大当り図柄を設け、複数の大当り図柄のうち決定された図柄によって異なるラウンド数が決定されてもよい。今回のラウンド遊技が最終ラウンドであるか否かの判定は、ラウンド遊技の繰り返し回数が決定された回数に達しているか否かを判定することにより行なわれる。今回のラウンド遊技が最終ラウンドでないと判定すると、開放間インターバルを発生させて(S724)、大当り遊技処理を終了する。開放間インターバルが発生すると、次に大当り遊技処理が実行されたときに、S708で開放間インターバル中であると判定されるため、開放間インターバル時間が経過したか否かを判定する(S726)。開放間インターバル時間が経過していないと判定すると、大当り遊技処理を一旦終了し、開放間インターバル時間が経過したと判定すると、再度、第1大入賞口25を開放して(S714)、大当り遊技処理を終了する。
こうして開放間インターバルを挟んで第1大入賞口25の開閉するラウンド遊技を繰り返した後、S722で今回のラウンド遊技が最終ラウンドであると判定すると、大当り遊技終了演出を開始して(S728)、大当り遊技処理を終了する。大当り遊技終了演出は、大当り遊技終了コマンドをサブ統合制御装置90に送信することにより行なう。大当り遊技終了演出を開始すると、次に大当り遊技処理が開始されたときに、S706で大当り遊技終了演出中であると判定されるため、大当り遊技終了演出時間が経過したか否かを判定する(S730)。大当り遊技終了演出時間が経過していないと判定すると、大当り遊技処理を一旦終了し、大当り遊技終了演出時間が経過したと判定すると、役物連続作動装置の作動を停止すると共に(S732)、条件装置の作動を停止する(S734)。そして、時短フラグに値1(ON)を設定すると共に(S736)、時短カウンタ設定処理を行なう(S738)。そして、大当り遊技終了コマンドをサブ統合制御装置90に送信すると共に(S740)、遊技状態指定コマンドをサブ統合制御装置90に送信し(S742)、大当りフラグに値0を設定して(S744)、大当り遊技処理を終了する。
ここで、S738の時短カウンタ設定処理では、図柄当りで大当りした場合には、時短カウンタに抽選によって選択した1回(抽選確率90%)または100回(抽選確率10%)を設定し、役物当りで大当りした場合には、時短カウンタに100回を設定することにより行なう。すなわち、図柄当りで大当りした場合に付与される時短状態の継続回数(時短回数)の平均は、10.9回であり、役物当りで大当りした場合に付与される時短回数の平均(100回)よりも少なくなっている。上述したように、本実施例のパチンコ機1では、大当り確率(図柄当りの確率)は、設定値(設定1〜6)によって異なる一方、小当り確率は、設定値に拘わらず一定である。このため、図柄当りで大当りした場合と役物当りで大当りした場合とでそれぞれ付与される時短回数の平均を同一とした場合、大当り確率が高くなるほど、通常状態での図柄当り(初当り)の発生率が高くなると共にこれと連動して時短状態での図柄当り(連チャン)の発生率が高くなり、遊技者と遊技店との利益バランスを欠く。このため、遊技店は大当り確率を高確率に設定することに躊躇し、確率設定機能が十分に活用されないという不都合が生じる。これに対して、本実施例のパチンコ機1のように、図柄当りで大当りした場合に付与される時短回数の平均を役物当りで大当りした場合に付与される時短回数の平均よりも少なくした場合、大当り確率が高くなるほど、時短状態において、大当り(図柄当りおよび役物当りを含む全ての大当り)に占める図柄当りの割合が増えるため、大当り後に付与される時短回数の平均は少なくなる。すなわち、本実施例のパチンコ機1では、大当り確率を高くすると、初当りの発生率が高くなる一方、連チャンの発生率が低くなる遊技性となり、大当り確率を低くすると、初当りの発生率が低くなる一方、連チャンの発生率が高くなる遊技性となる。これにより、遊技者と遊技店との利益のバランスを良好に保ちつつ、大当り確率の設定値を変更することで、初当りのし易さを重視した遊技性や連チャンのし易さを重視した遊技性とを切り替えることが可能となる。
ここで、実施例のパチンコ機1では、設定1〜6のうちいずれの設定値であっても、初当りから時短状態(連チャン)が終了するまでの出玉数が略均一となるように、各設定値における大当り確率と付与される時短回数とを決定することができる。これにより、遊技店は、出玉数を変えることなく、大当り確率の設定値を変更することによって遊技性を切り替えることが可能となる。
以上説明した実施例のパチンコ機1では、当否判定の結果が大当りとなる大当り確率を変更可能であり、当否判定の結果が大当りである場合(図柄当り)と当否判定の結果が小当りであり小当り遊技において第2大入賞口26に入球した遊技球が特定領域43を通過した場合(役物当り)に大当り遊技を実行し、当該大当り遊技の終了後に時短状態を発生させるものにおいて、時短状態において図柄変動遊技の主体となる第2特別図柄の当りに大当りと小当りとを含めると共に、図柄当りで発生する時短状態の平均継続回数を、役物当りで発生する時短状態の平均継続回数よりも少なくする。これにより、遊技者と遊技店との利益のバランスを良好に保ちつつ、大当り確率の設定値を変更することで、初当りのし易さを重視した遊技性や連チャンのし易さを重視した遊技性とを切り替えることが可能となる。
なお、実施例では図柄当りで発生する時短状態の平均継続回数を、役物当りで発生する時短状態の平均継続回数よりも少なくする構成で説明したが、逆に図柄当りで発生する時短状態の平均継続回数の方が多くする構成も考えられる。このようにすると、大当り確率の設定値を高いものに変更する毎に、大当りにおける図柄当りの比率を高めることができ、一般的な大当り確率が高くなると連動して連チャン率も高くなる構成よりも極端に連チャン率の高い遊技性、極端に連チャン率の低い遊技性を備えることが可能になる。
また、時短状態の平均継続回数だけでなく、図柄当りと役物当りで大当り遊技の平均ラウンド数が異なるようにすることも考えられる。役物当りの方が平均ラウンド数が多い構成ならば、大当り確率の低い設定値であればあるほど、大当りにおける役物当りの比率が高まり、獲得できる平均ラウンド数が増えることになり、大当り確率の高い設定値であれば平均ラウンド数が減ることになる。このようにすれば、設定値により大当りし易いが出玉の少ない遊技性と、大当りし難いが出玉の多い遊技性とに切り替えることが可能となる。その逆の図柄当りの方が平均ラウンドが多い構成ならば、大当り確率の高い設定値であれば出玉の多い遊技性になり、大当り確率の低い設定値であれば出玉の少ない遊技性とすることができる。このように、設定値により確率が変化する図柄当りといずれの設定値でも一定確率である小当りに基づく役物当りを備えることにより大当りにおける比率を変化させて多様な遊技性を創出することが可能となる。
実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を賞球や貸球として上受け皿11に払い出す構成としたが、いわゆる封入式のパチンコ機であってもよい。封入式のパチンコ機は、内部に封入した遊技球を循環させることにより遊技を行なうものである。また、実施例や変形例のパチンコ機は、いわゆる管理遊技機に適用されてもよい。管理遊技機は、主制御装置への外部からのアクセスを制限するものであり、枠制御装置(実施例の払出制御装置に相当)から主制御装置へは特定情報(遊技の性能に影響を与える情報や、遊技の結果に影響を及ぼす虞のある情報)以外を送信可能とし、枠制御装置はCRユニットと接続され、枠制御装置を介してのみ外部と通信可能に構成されたものである。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、第1始動口23が「第1始動口」に相当し、第2始動口24が「第2始動口」に相当し、第2大入賞口26が「大入賞口」に相当し、特定領域43(V領域)が「特定領域」に相当し、図16の第1特別図柄変動表示関連処理のS560や図17の第2特別図柄変動表示関連処理のS580の処理を実行する主制御装置60のCPU60aが「当否抽選手段」に相当し、図18および図19の小当り遊技処理を実行する主制御装置60のCPU60aが「小当り遊技実行手段」に相当し、図20および図21の大当り遊技処理のS700〜S734,S740〜S744の処理を実行する主制御装置60のCPU60aが「大当り遊技実行手段」に相当し、図9の電源投入処理のS108,S110の処理を実行する主制御装置60のCPU60aや確率設定スイッチ98、RAMクリアスイッチ99が「大当り確率設定手段」に相当し、大当り遊技処理のS736,S738の処理を実行する主制御装置60のCPU60aが「特典遊技状態発生手段」に相当し、図15の特別図柄遊技処理のS542〜S548の処理を実行する主制御装置60のCPU60aが「特典遊技状態終了手段」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。