JP2021025799A - 鉄損測定方法及び鉄損測定装置 - Google Patents

鉄損測定方法及び鉄損測定装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2021025799A
JP2021025799A JP2019141534A JP2019141534A JP2021025799A JP 2021025799 A JP2021025799 A JP 2021025799A JP 2019141534 A JP2019141534 A JP 2019141534A JP 2019141534 A JP2019141534 A JP 2019141534A JP 2021025799 A JP2021025799 A JP 2021025799A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
impedance
measurement
iron loss
sample
measurement sample
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019141534A
Other languages
English (en)
Inventor
耕至 高野
Yasushi Takano
耕至 高野
智志 旭
Tomoshi Asahi
智志 旭
敏久 清水
Toshihisa Shimizu
敏久 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Iwatsu Electric Co Ltd
Tokyo Metropolitan Public University Corp
Original Assignee
Iwatsu Electric Co Ltd
Tokyo Metropolitan Public University Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Iwatsu Electric Co Ltd, Tokyo Metropolitan Public University Corp filed Critical Iwatsu Electric Co Ltd
Priority to JP2019141534A priority Critical patent/JP2021025799A/ja
Publication of JP2021025799A publication Critical patent/JP2021025799A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measurement Of Resistance Or Impedance (AREA)
  • Measuring Magnetic Variables (AREA)

Abstract

【課題】鉄損を正確に算出できる鉄損測定方法及び鉄損測定装置を提供する。【解決手段】参照試料のインピーダンスの周波数特性及び擬似インピーダンスの周波数特性を第1準備工程S1及び第2準備工程S2でそれぞれ決定し、参照試料のインピーダンスの周波数特性及び擬似インピーダンスの周波数特性に基づく鉄損測定装置の容量性の寄生インピーダンスの周波数特性及び誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性を第3準備工程S3で決定し、測定試料の擬似両端電圧及び擬似電流に基づく測定試料の擬似インピーダンスを第1計測工程S4で求め、鉄損測定装置の容量性の寄生インピーダンスの周波数特性及び誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性並びに測定試料の擬似インピーダンスに基づく測定試料のインピーダンスを第2計測工程S5で求め、測定試料のインピーダンスに基づいて測定試料の鉄損を第3計測工程S6で算出する。【選択図】図5

Description

本発明は、鉄損測定方法及び鉄損測定装置に関する。
従来、軟磁性体を鉄心とするコイル部品のような測定試料に流れる電流の振幅及び測定試料の両端電圧に対する測定試料に流れる電流の相対位相差に基づいて測定試料の鉄損を算出する鉄損測定装置が提案されている。このような鉄損測定装置では、基準試料を用いて準備工程を実行した後、計測工程を実行して、測定試料に流れる電流の振幅及び測定試料の両端電圧に対する測定試料に流れる電流の位相を補正し、測定試料の鉄損を正確に算出している(例えば、特許文献1)。
図1は、従来の鉄損測定装置の構成を示すブロック図である。図1に示す鉄損測定装置は、電圧測定回路1と、電流測定回路2と、シャント抵抗3と、制御演算部4と、表示装置5と、を有する。電圧測定回路1及び電流測定回路2はそれぞれ、例えば、増幅器(アンプ)、A/D変換器(コンバーター)、記憶装置等から構成される。制御演算部4は、CPU、ROM、RAM等を有し、電圧測定回路1及び電流測定回路2の制御を行うとともにデータの記憶及び数値演算等のデータ処理を行う。表示装置5は、デ−タ処理の結果の表示、オペレータへの情報・指示の表示等を行う。
測定を行う場合には、基準試料のインピーダンスの大きさの周波数特性及び周波数位相特性を測定して記憶する準備工程を実行した後、信号発生器6、測定試料7及びシャント抵抗3を図示のように接続し、信号発生器6から角周波数ω0の周期信号を出力し、測定試料7に印加する。このとき、測定試料7の両端電圧Vm(t)を電圧測定回路1で測定するとともにシャント抵抗3に流れる電流に対応する測定試料7に流れる電流を電流測定回路2で測定する。そして、計測工程において、測定試料7に流れる電流の振幅及び測定試料7の両端電圧Vm(t)に対する測定試料7に流れる電流の位相を補正し、測定試料7に流れる正確な電流Im(t)を求め、測定試料7の鉄損を正確に算出している。(t)は時間tの関数であることを示している。
鉄損測定装置の一般的な測定試料であるコイル部品の鉄心材料である軟磁性体の特性が温度によって変化するので、コイル部品の鉄損は、一般には、温度によって変化する。コイル部品の鉄損の温度特性を測定する場合は、鉄損測定装置の測定試料であるコイル部品を恒温槽内に配置する。この場合、予め実施する上記準備工程も恒温槽内に基準試料を配置して実行される。
特開2016−133355号公報
しかしながら、上記計測工程を実行すると、恒温槽を昇降温せずに室温にしておいても、測定条件が同一にも関わらず、測定試料であるコイル部品を恒温槽内に配置する前と鉄損が大きく異なるという問題がある。特に、測定周波数が1MHz近辺を越えると、この問題が更に顕著に現れる。この問題の原因は、測定試料であるコイル部品を恒温槽内に配置すると、恒温槽内に配置する前と比べて、コイル部品に接続された信号経路が延び、その経路に寄生インピーダンスが生成されることにある。
本発明の目的は、測定試料に接続された信号経路が延びても鉄損を正確に算出することができる鉄損測定方法及び鉄損測定装置を提供することである。
本発明による鉄損測定方法は、測定試料の両端電圧を測定する電圧測定回路と、電流検出素子と、電流検出素子に流れる電流に対応する測定試料に流れる電流を測定する電流測定回路と、記憶部を有する制御演算部と、を備える鉄損測定装置を使用して測定試料の鉄損を測定する鉄損測定方法であって、互いにインピーダンスの周波数特性が異なる2つの参照試料のインピーダンスの周波数特性を、インピーダンス測定器による参照試料の測定に基づいて決定する第1準備工程と、互いにインピーダンスの周波数特性が異なる2つの参照試料にそれぞれ測定用の周期信号を印加した後に、互いにインピーダンスの周波数特性が異なる2つの参照試料の擬似インピーダンスの周波数特性を、鉄損測定装置による参照試料の測定に基づいて決定する第2準備工程と、互いにインピーダンスの周波数特性が異なる2つの参照試料のインピーダンスの周波数特性及び擬似インピーダンスの周波数特性に基づいて、鉄損測定装置と測定試料との間の信号経路に生成される誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性及び鉄損測定装置と測定試料との間の信号経路に生成される容量性の寄生インピーダンスの周波数特性を、制御演算部により決定して記憶部に記憶する第3準備工程と、誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性及び容量性の寄生インピーダンスの周波数特性を用いて測定試料の鉄損を制御演算部により算出することによって測定試料の鉄損を測定する測定工程と、を有することを特徴とする。
好適には、測定工程は、測定試料に測定用の周期信号を印加した後に、測定試料の擬似両端電圧を電圧測定回路で測定するとともに測定試料に流れる擬似電流を電流測定回路で測定し、測定した擬似両端電圧及び擬似電流に基づいて、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含む高調波に対する測定試料の擬似インピーダンスを制御演算部により求める第1計測工程と、誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性、容量性の寄生インピーダンスの周波数特性及び測定試料の擬似インピーダンスに基づいて、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含む高調波に対する測定試料のインピーダンスを制御演算部により求める第2計測工程と、擬似両端電圧の振幅及び位相を、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含む高調波に対する測定試料のインピーダンスに基づいて周波数ごとに補正することによって、測定試料に流れる電流を求め、測定試料に流れる電流の振幅及び位相を、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含む高調波に対する測定試料のインピーダンスに基づいて周波数ごとに補正することによって、測定試料の両端電圧を求め、求めた測定試料に流れる電流及び測定試料の両端電圧に基づいて、測定試料の鉄損を制御演算部により算出する第3計測工程と、を有する。
好適には、第2準備工程において、恒温槽内に配置される又は治具により応力が印加される参照試料に測定用の周期信号を印加し、第1計測工程において、恒温槽内に配置される又は治具により応力が印加される測定試料に測定用の周期信号を印加する。
好適には、電流検出素子は、シャント抵抗、カレントセンサー、電流プローブ又はカレントトランスである。
本発明による鉄損測定装置は、測定試料の両端電圧を測定する電圧測定回路と、電流検出素子と、電流検出素子に流れる電流に対応する測定試料に流れる電流を測定する電流測定回路と、制御演算部と、を備える鉄損測定装置であって、制御演算部は、鉄損測定装置と測定試料との間の信号経路に生成される誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性及び鉄損測定装置と測定試料との間の信号経路に生成される容量性の寄生インピーダンスの周波数特性を記憶する記憶部を有し、誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性及び容量性の寄生インピーダンスの周波数特性を用いて測定試料の鉄損を算出することを特徴とする。
好適には、誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性及び容量性の寄生インピーダンスの周波数特性は、
互いにインピーダンスの周波数特性が異なる2つの参照試料のインピーダンスの周波数特性を、インピーダンス測定器による参照試料の測定に基づいて決定する第1準備工程と、互いにインピーダンスの周波数特性が異なる2つの参照試料にそれぞれ測定用の周期信号を印加した後に、互いにインピーダンスの周波数特性が異なる2つの参照試料の擬似インピーダンスの周波数特性を、鉄損測定装置による参照試料の測定に基づいて決定する第2準備工程と、互いにインピーダンスの周波数特性が異なる2つの参照試料のインピーダンスの周波数特性及び擬似インピーダンスの周波数特性に基づいて、鉄損測定装置と測定試料との間の信号経路に生成される誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性及び鉄損測定装置と測定試料との間の信号経路に生成される容量性の寄生インピーダンスの周波数特性を、制御演算部により決定して記憶部に記憶する第3準備工程と、を実行することによって取得される周波数特性である。
好適には、制御演算部は、電圧測定回路で測定した擬似両端電圧及び電流測定回路で測定した擬似電流に基づいて、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含む高調波に対する測定試料の擬似インピーダンスを求める第1計測工程と、誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性、容量性の寄生インピーダンスの周波数特性及び測定試料の擬似インピーダンスに基づいて、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含む高調波に対する測定試料のインピーダンスを求める第2計測工程と、擬似両端電圧の振幅及び位相を、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含む高調波に対する測定試料のインピーダンスに基づいて周波数ごとに補正することによって、測定試料に流れる電流を求め、測定試料に流れる電流の振幅及び位相を、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含む高調波に対する測定試料のインピーダンスに基づいて周波数ごとに補正することによって、測定試料の両端電圧を求め、求めた測定試料に流れる電流及び測定試料の両端電圧に基づいて、測定試料の鉄損を算出する第3計測工程と、を実行する。
好適には、電流検出素子は、シャント抵抗、カレントセンサー、電流プローブ又はカレントトランスである。
本発明によれば、測定試料に接続された信号経路が延びても鉄損を正確に算出することができる。
従来の鉄損測定装置の構成を示すブロック図である。 恒温槽内に測定試料を配置したときの本発明による鉄損測定装置の構成を示すブロック図である。 測定試料を本発明による鉄損測定装置に接続する信号経路が延びたときに生成される寄生インピーダンスを説明する図である。 図3の測定試料を恒温槽内に配置した本発明による鉄損測定装置の構成を示すブロック図から鉄損の測定に影響を及ぼさない不要な寄生インピーダンスを省略した図である。 鉄損測定装置によって実施される本発明による鉄損測定方法の実施の形態の処理を示すフローチャートである。 本発明による鉄損測定方法の実施の形態の第2準備工程及び第3準備工程を説明するための図である。 本発明による鉄損測定方法の実施の形態の第1計測工程、第2計測工程及び第3計測工程を説明するための図である。 第1準備工程で測定した参照試料AであるCIPトロイダルコイルのインピーダンスの大きさ|ZxA(ω)|の周波数特性を示す図である。 第1準備工程で測定した参照試料Bである50Ω面実装抵抗のインピーダンスの大きさ|ZxB(ω)|の周波数特性である。 第1準備工程で測定した参照試料AであるCIPトロイダルコイルの位相θxA(ω)の周波数特性を示す図である。 第1準備工程で測定した参照試料Bである50Ω面実装抵抗の位相θxB(ω)の周波数特性を示す図である。 第2準備工程で測定した参照試料AであるCIPトロイダルコイルの擬似インピーダンスの大きさ|ZmA(ω)|の周波数特性を示す図である。 第2準備工程で測定した参照試料Bである50Ω面実装抵抗の擬似インピーダンスの大きさ|ZmB(ω)|の周波数特性を示す図である。 第2準備工程で測定した参照試料AであるCIPトロイダルコイルの擬似インピーダンスの位相θmA(ω)の周波数特性を示す図である。 第2準備工程で測定した参照試料Bである50Ω面実装抵抗の擬似インピーダンスの位相θmB(ω)の周波数特性を示す図である。 第3準備工程で求めた鉄損測定装置の誘導性の寄生インピーダンスの大きさ|Z1(ω)|の周波数特性を示す図である。 第3準備工程で求めた鉄損測定装置の容量性の寄生インピーダンスの大きさ|Z2(ω)|の周波数特性を示す図である。 恒温槽配置前及び恒温槽配置後の周波数100kHz〜5MHzのCIPトロイダルコアの単位体積当たりの鉄損Pcvを従来の鉄損測定方法の準備工程及び計測工程を実施することにより測定した結果を示す図である。 第1計測工程で測定したCIPトロイダルコイルの擬似両端電圧VmL(t)を示す図である。 第1計測工程で測定したCIPトロイダルコイルの擬似電流ImL(t)を示す図である。 第3計測工程で求めたCIPトロイダルコイルに流れる正確な電流IxL(t)を示す図である。 第3計測工程で求めたCIPトロイダルコイルの正確な両端電圧VxL(t)を示す図である。 第3計測工程で求めた周波数100 kHz〜5 MHzのCIPトロイダルコアの単位体積当たりの正確な鉄損Pcvを示す図である。
本発明による鉄損測定方法及び鉄損測定装置を、図面を参照しながらシンボルを用いて詳細に説明する。
図2は、恒温槽内に測定試料を配置したときの本発明による鉄損測定装置の構成を示すブロック図である。図2に示す鉄損測定装置10は、電圧測定回路1と、電流測定回路2と、シャント抵抗3と、制御演算部4’と、表示装置5と、を有する。制御演算部4’は、CPU等と、ROM及びRAMから構成される記憶部4aと、を有する。鉄損測定装置10の外部にある恒温槽8内に配置される測定試料7に接続された信号経路の長さは、図1に示す鉄損測定装置の信号経路より延びている。延びている信号経路は、信号発生器6と測定試料7との間の信号経路21、電圧測定回路1と測定試料7との信号経路22a,22b及び測定試料7とシャント抵抗3との間の信号経路23である。図2において、信号発生器6の一端は恒温槽8の端子8aを介して測定試料7の一端に接続され、信号発生器6の他端は接地され、シャント抵抗3の一端は、鉄損測定装置10の端子10aを介して接地される。
電圧測定回路1、電流測定回路2、シャント抵抗3、制御演算部4’、表示装置5及び信号発生器6は、電気部品等で構成されており、温度変化によって性能が変化し、測定値に影響を及ぼすため、恒温槽8内に配置することはできない。したがって、測定試料7の鉄損の温度特性を測定する場合に測定試料7のみを恒温槽8内に配置するので、測定試料7に接続された信号経路21,22a,22b,23が必然的に延びる。
信号経路が延びると、延びた経路に未知の寄生インピーダンスが生成される。図3は、測定試料を本発明による鉄損測定装置に接続する信号経路が延びたときに生成される寄生インピーダンスを説明する図である。図3において、図2の信号経路21に生成された寄生インピーダンスをZ0(ω)及びZ11(ω)で示し、信号経路22a,22bに生成された寄生インピーダンスをZ2(ω)、Z3(ω)及びZ4(ω)で示し、信号経路23に生成された寄生インピーダンスをZ12(ω)及びZ5(ω)で示す。(ω)は、角周波数ωの関数であることを示している。なお、図3及び後に説明する図4、図6及び図7において、ボックス内は(ω)を省略している。
信号発生器6から端子8aに入力される電流Im(t)は分流し、測定試料7に流れる電流Ix(t)と寄生インピーダンスZ2(ω)に流れる電流I2(t)に分かれる。この場合、電圧測定回路1で測定した電圧Vm(t)は、測定試料7の正確な両端電圧ではなくなる。同様に、電流測定回路2で測定した電流Im(t)は、測定試料7に流れる正確な電流ではなくなる。図3に示すように、測定試料7の正確な両端電圧はVx(t)となり、測定試料7に流れる正確な電流はIx(t)となる。電圧Vm(t)と電流Im(t)を用いて算出した鉄損は、もはや測定試料7の正確な鉄損とはならない。
したがって、測定試料7を恒温槽8内に配置すると、恒温槽8を昇降温せずに室温時にしておいても、測定試料7を恒温槽8内に配置する前と鉄損が異なる。電圧Vm(t)は、測定試料7の正確な両端電圧ではなくなり、電流Im(t)は、測定試料に流れる正確な電流ではなくなる。このために、以下、説明の便宜上、電圧Vm(t)を「測定試料の擬似両端電圧」と称するとともに電流Im(t)を「測定試料に流れる擬似電流」と称する。
図4は、図3の測定試料を恒温槽内に配置した本発明による鉄損測定装置の構成を示すブロック図から鉄損の測定に影響を及ぼさない不要な寄生インピーダンスを省略した図である。
電圧測定回路1の入力インピーダンスは高く、電圧測定回路1に電流は流れ込まないので、図3に示す寄生インピーダンスZ3(ω)及び寄生インピーダンスZ4(ω)は、鉄損の測定に影響を及ぼさない。したがって、寄生インピーダンスZ3(ω)及び寄生インピーダンスZ4(ω)を図3から省略した。図4において、図3に示す寄生インピーダンスZ11(ω)及び寄生インピーダンスZ12(ω)は合成し、まとめて寄生インピーダンスZ1(ω)とした。また、図3に示す寄生インピーダンスZ0(ω)及び寄生インピーダンスZ5(ω)は、測定試料7の両端電圧Vx(t)と測定試料7に流れる電流Ix(t)の関係に影響を及ぼさない。したがって、寄生インピーダンスZ0(ω)及び寄生インピーダンスZ5(ω)を図3から省略した。すなわち、未知の寄生インピーダンスは寄生インピーダンスZ1(ω)及び寄生インピーダンスZ2(ω)の2つとなる。
図5は、鉄損測定装置によって実施される本発明による鉄損測定方法の実施の形態の処理を示すフローチャートである。図5に示すように、処理は、第1準備工程S1、第2準備工程S2及び第3準備工程S3を有する準備工程と、第1計測工程S4,第2計測工程S5及び第3計測工程S6を有する計測工程と、を備える。
第1準備工程S1において、互いにインピーダンスの周波数特性が異なる2つの参照試料のインピーダンスの周波数特性を、インピーダンス測定器による参照試料の測定に基づいて決定する。すなわち、第1準備工程S1において、角周波数ωの予め決定された範囲に亘る参照試料のインピーダンスの変化を示す特性に相当する参照試料のインピーダンスの周波数特性を決定する。第1準備工程S1では、インピーダンスZxA(ω)の参照試料Aと、インピーダンスZxA(ω)の周波数特性とは異なる周波数特性を有するインピーダンスZxB(ω)の参照試料Bとを準備する。インピーダンスZxA(ω)の実数部であるレジスタンスをRxA(ω)とし、インピーダンスZxA(ω)の虚数部であるリアクタンスをXxA(ω)とすると、(1)式の関係が成り立つ。同様に、インピーダンスZxB(ω)の実数部であるレジスタンスをRxB(ω)とし、インピーダンスZxB(ω)の虚数部であるリアクタンスをXxB(ω)とすると、(2)式の関係が成り立つ。jは虚数単位である。
参照試料Aのインピーダンスの大きさ|ZxA(ω)|の周波数特性及び位相θxA(ω)の周波数特性並びに参照試料Bのインピーダンスの大きさ|ZxB(ω)|の周波数特性及び位相θxB(ω)の周波数特性を、トレーサビリティが保証されているインピーダンスアナライザ等のインピーダンス測定器による参照試料A,Bの測定に基づいて決定する。そして、以下の(3)式、(4)式、(5)式及び(6)式に従って参照試料AのレジスタンスRxA(ω)及びリアクタンスXxA(ω)並びに参照試料BのレジスタンスRxB(ω)及びリアクタンスXxB(ω)を求める。
なお、参照試料AのレジスタンスRxA(ω)及びリアクタンスXxA(ω)並びに参照試料BのレジスタンスRxB(ω)及びリアクタンスXxB(ω)をインピーダンス測定器で直接測定できるのであれば、(3)式、(4)式、(5)式及び(6)式を用いる必要はない。
(3)式、(4)式、(5)式及び(6)式を(1)式及び(2)式に適用することによって、参照試料AのインピーダンスZxA(ω)の周波数特性及び参照試料BのインピーダンスZxB(ω)の周波数特性が求められる。
図6は、本発明による鉄損測定方法の実施の形態の第2準備工程及び第3準備工程を説明するための図である。図6において、参照試料Aに対応する参照試料7Aが恒温槽8内に配置された状態を示し、7Aのボックスには参照試料Aのインピーダンスの周波数特性を示しているが、(ω)を省略している。
第2準備工程S2において、互いにインピーダンスの周波数特性が異なる2つの参照試料にそれぞれ測定用の周期信号を印加した後に、互いにインピーダンスの周波数特性が異なる2つの参照試料の擬似インピーダンスの周波数特性を、鉄損測定装置による参照試料の測定に基づいて決定する。すなわち、第2準備工程S2において、角周波数ωの予め決定された範囲に亘る参照試料の疑似インピーダンスの変化を示す特性に相当する参照試料の疑似インピーダンスの周波数特性を決定する。インピーダンスに「擬似」を付加している理由については後述する。
鉄損測定装置10で測定した参照試料Aの擬似インピーダンスをZmA(ω)とし、擬似インピーダンスZmA(ω)の実数部であるレジスタンスをRmA(ω)とし、擬似インピーダンスZmA(ω)の虚数部であるリアクタンスをXmA(ω)とすると、(7)式の関係が成り立つ。同様に、鉄損測定装置10で測定した参照試料Bの擬似インピーダンスをZmB(ω)とし、擬似インピーダンスZmB(ω)の実数部であるジスタンスをRmB(ω)とし、擬似インピーダンスZmB(ω)の虚数部であるリアクタンスをXmB(ω)とすると、(8)式の関係が成り立つ。
鉄損測定装置10での参照試料の擬似インピーダンスの求め方を、参照試料Aを例にして説明する。先ず、角周波数ωの正弦波信号を信号発生器6から参照試料Aに印加する。角周波数ωの正弦波信号は、測定用の周期信号の一例である。このときに電圧測定回路1で測定した参照試料Aの擬似両端電圧VmA(t)及び電流測定回路2で測定した参照試料Aの擬似電流ImA(t)をそれぞれ、(9)式及び(10)式で表されるフーリエ級数に展開する。
(9)式及び(10)式において、vmA_kは、擬似両端電圧VmA(t)のk次高調波の振幅であり、imA_kは、擬似電流ImA(t)のk次高調波の振幅であり、θmA(kω)は、擬似両端電圧VmA(t)に対する擬似電流ImA(t)のk次高調波の位相であり、kは、自然数である。
ここで、インピーダンス測定器を用いて測定したときと同様に、擬似両端電圧VmA(t)及び擬似電流ImA(t)の基本波(k=1)成分のみに着目する。(11)式で示す擬似両端電圧VmA(t)の基本波成分と擬似電流ImA(t)の基本波成分の振幅比を、鉄損測定装置10で測定した参照試料Aの角周波数ωの擬似インピーダンスの大きさ|ZmA(ω)|とし、(10)式の擬似電流ImA(t)の基本波成分の位相θmA(1ω)を、参照試料Aの角周波数ωの擬似インピーダンスの位相θmAとする。
インピーダンスに「擬似」を付加しているのは、VmA(t)は、参照試料Aの正確な両端電圧ではなくて擬似両端電圧を示し、ImA(t)は、参照試料Aに流れる正確な電流ではなくて擬似電流を示すので、それらから求めるインピーダンスも参照試料Aの正確なインピーダンスではなくて擬似インピーダンスであるからである。
参照試料A及び参照試料Bのそれぞれについて、擬似インピーダンスの大きさ|ZmA(ω)|及び|ZmB(ω)|並びに擬似インピーダンスの位相θmA(ω)及びθmB(ω)を、鉄損測定装置10で角周波数ωを変化させながら測定し、これらの周波数特性を決定する。そして、(12)式、(13)式、(14)式及び(15)式に従って、参照試料AのレジスタンスRmA(ω)及びリアクタンスXmA(ω)並びに参照試料BのレジスタンスRmB(ω)及びリアクタンスXmB(ω)を求める。
(12)式、(13)式、(14)式及び(15)式を(7)式及び(8)式に適用することによって、参照試料Aの擬似インピーダンスZmA(ω)及び参照試料Bの擬似インピーダンスZmB(ω)が求められる。
第3準備工程S3において、互いにインピーダンスの周波数特性が異なる2つの参照試料のインピーダンスの周波数特性及び擬似インピーダンスの周波数特性に基づいて、鉄損測定装置と測定試料との間の信号経路に生成される誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性及び鉄損測定装置と測定試料との間の信号経路に生成される容量性の寄生インピーダンスの周波数特性を、決定(値付け)して記憶する。すなわち、第3準備工程S3において、角周波数ωの予め決定された範囲に亘る誘導性の寄生インピーダンスの変化を示す特性に相当する誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性と、角周波数ωの予め決定された範囲に亘る容量性の寄生インピーダンスの変化を示す特性に相当する容量性の寄生インピーダンスの周波数特性とを決定する。
第2準備工程S2で求めた参照試料Aの擬似インピーダンスは、第1準備工程S1で求めた参照試料Aのインピーダンスと、鉄損測定装置の容量性の寄生インピーダンス及び誘導性の寄生インピーダンスとの合成インピーダンスに相当する。同様に、第2準備工程S2で求めた参照試料Bの擬似インピーダンスは、第1準備工程S1で求めた参照試料Bのインピーダンスと、鉄損測定装置の容量性の寄生インピーダンス及び誘導性の寄生インピーダンスとの合成インピーダンスに相当する。したがって、参照試料A及び参照試料Bのそれぞれについて式(16)及び式(17)式が成り立つ。
式(16)及び式(17)式は、鉄損測定装置10の誘導性の寄生インピーダンスZ1(ω)及び容量性の寄生インピーダンスZ2(ω)を未知数とする複素数連立方程式である。この連立方程式を解くと(18)式及び(19)式が得られる。第1準備工程S1でインピーダンスZxA(ω)及びインピーダンスZxB(ω)が複素数として求められるとともに第2準備工程S2で擬似インピーダンスZmA(ω)及び擬似インピーダンスZmB(ω)が複素数として求められているので、誘導性の寄生インピーダンスZ1(ω)及び容量性の寄生インピーダンスZ2(ω)が複素数として決定される。そして、誘導性の寄生インピーダンスZ1(ω)及び容量性の寄生インピーダンスZ2(ω)からこれらの周波数特性が決定され、決定された誘導性の寄生インピーダンスZ1(ω)の周波数特性及び容量性の寄生インピーダンスZ2(ω)の周波数特性は、記憶部4aに記憶される。
ここで、誘導性の寄生インピーダンスZ1(ω)の実数部であるレジスタンスをR1(ω)とし、誘導性の寄生インピーダンスZ1(ω)の虚数部であるリアクタンスをX1(ω)とすると、誘導性の寄生インピーダンスZ1(ω)は、(20)式で表される複素数として決定される。そして、誘導性の寄生インピーダンスZ1(ω)から誘導性の寄生インピーダンスZ1(ω)の周波数特性が決定され、決定された誘導性の寄生インピーダンスZ1(ω)の周波数特性は、記憶部4aに記憶される。同様に、容量性の寄生インピーダンスZ2(ω)の実数部であるレジスタンスをR2(ω)とし、容量性の寄生インピーダンスZ2(ω)の虚数部であるリアクタンスをX2(ω)とすると、容量性の寄生インピーダンスZ2(ω)は、(21)式で表される複素数として決定される。そして、容量性の寄生インピーダンスZ2(ω)から容量性の寄生インピーダンスZ2(ω)の周波数特性が決定され、決定された容量性の寄生インピーダンスZ2(ω)の周波数特性は、記憶部4aに記憶される。
(18)式の解は、複号が含まれているので2つ存在する。しかしながら、誘導性の寄生インピーダンスZ1(ω)は測定試料に直列に入るインピーダンスなので、低インピーダンスであることが適切と考えられる。したがって、2つの解のうちの誘導性の寄生インピーダンス|Z1(ω)|が小さい方を解として採用する。(19)式から容量性の寄生インピーダンスZ2(ω)を求める際は、このZ1(ω)を用いる。
第1準備工程S1、第2準備工程S2及び第3準備工程S3は、決定した誘導性の寄生インピーダンスZ1(ω)及び容量性の寄生インピーダンスZ2(ω)が変化してしまうような物理的な変更、改造等を鉄損測定装置に行わない限り、1度だけ実施して誘導性の寄生インピーダンスZ1(ω)及び容量性の寄生インピーダンスZ2(ω)を記憶部4aに記憶すれば、再度実施する必要はない。
第1計測工程S4において、測定試料に測定用の周期信号を印加した後に、測定試料の擬似両端電圧及び測定試料に流れる擬似電流を測定し、測定した擬似両端電圧及び擬似電流に基づいて、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含む高調波に対する測定試料の擬似インピーダンスを求める。
角周波数ω0のk次高調波に対する測定試料7の擬似インピーダンスをZmL(kω0)とし、擬似インピーダンスZmL(kω0)の実数部であるレジスタンスをRmL(kω0)とし、擬似インピーダンスZmL(kω0)の虚数部であるリアクタンスをXmL(kω0)とすると、(22)式の関係が成り立つ。
図7は、本発明による鉄損測定方法の実施の形態の第1計測工程、第2計測工程及び第3計測工程を説明するための図である。図7に示す記憶部4aには、第3準備工程S3で決定した誘導性の寄生インピーダンスZ1(ω)及び容量性の寄生インピーダンスZ2(ω)が予め記憶されている。
図7において、測定試料7が恒温槽8内に配置された状態を示し、7のボックスには測定試料7のインピーダンスの周波数特性を示しているが、ボックス内は(ω)を省略している。
第1計測工程S4では、角周波数ωの正弦波信号を信号発生器6から測定試料7に印加する。このときに電圧測定回路1で測定した測定試料7の擬似両端電圧VmL(t)及び電流測定回路2で測定した測定試料7の擬似電流ImL(t)をそれぞれ、(24)式及び(26)式で表されるフーリエ級数に展開する。擬似両端電圧VmL(t)のk次高調波をVmL_k(t)と表記し、vmL_kは、擬似両端電圧VmL(t)のk次高調波VmL_k(t)の振幅であり、擬似電流ImL(t)のk次高調波をImL_k(t)と表記し、imL_kは、擬似電流ImL(t)のk次高調波ImL_k(t)の振幅であり、θmL(kω0)は、擬似両端電圧VmL_k(t)に対する擬似電流ImL_k(t)の位相である。
鉄損測定装置10で測定試料7に印加される周期信号は正弦波に限定されるわけではなく、また、一般的な測定試料であるコイル部品の鉄心は、磁気特性がヒステリシス曲線を持つように擬似両端電圧VmL(t)と擬似電流ImL(t)との関係が非線形であることが多い。したがって、擬似両端電圧VmL(t)及び擬似電流ImL(t)は、印加される角周波数ω0の高調波成分が多く含まれる場合がある。
(27)式で示す擬似両端電圧VmL(t)のk次高調波成分と擬似電流ImL(t)のk次高調波成分の振幅比から、角周波数ω0のk次高調波に対する測定試料7の擬似インピーダンスの大きさ|ZmL(kω0)|を求める。また、(26)式の擬似電流ImL(t)の高調波成分の位相から、角周波数ω0のk次高調波に対する測定試料7の擬似インピーダンスの位相θmL(kω0)を求める。
これより、(28)式及び(29)式に従って、測定試料7のレジスタンスRmL(kω0)及びリアクタンスXmL(kω0)を求める。
(28)式及び(29)式を(22)式に適用することによって、k次高調波に対する測定試料7の擬似インピーダンスZmL(kω0)が求められる。
第2計測工程S5において、誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性、容量性の寄生インピーダンスの周波数特性及び測定試料の擬似インピーダンスに基づいて、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含む高調波に対する測定試料のインピーダンスを求める。
図7に示すように、第1計測工程S4で求めた擬似インピーダンスZmL(kω0)は、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含むk次高調波に対する測定試料7の正確なインピーダンスZxL(kω0)と、第3準備工程S3で求めた鉄損測定装置の誘導性の寄生インピーダンスZ1(kω0)及び容量性の寄生インピーダンスZ2(kω0)との合成インピーダンスに相当する。したがって、k次高調波に対して(30)式が成り立つ。
これにより、(31)式が成り立つ。
第1計測工程S4で擬似インピーダンスZmL(kω0)が複素数として求められるとともに第3準備工程S3で鉄損測定装置の誘導性の寄生インピーダンスZ1(kω0)及び容量性の寄生インピーダンスZ2(kω0)が複素数として求められている。したがって、測定周波数の基本波を含むk次高調波に対する測定試料7の正確なインピーダンスZxL(kω0)が複素数として求まる。なお、第3準備工程S3で求めた鉄損測定装置10の誘導性の寄生インピーダンスZ1(ω)及び容量性の寄生インピーダンスZ2(ω)に、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含むk次高調波に対する誘導性の寄生インピーダンスZ1(kω0)及び容量性の寄生インピーダンスZ2(kω0)が含まれていないことがある。この場合は、鉄損測定装置10の誘導性の寄生インピーダンスZ1(ω)及び容量性の寄生インピーダンスZ2(ω)を1次関数で内挿又は外挿したものを使用すればよい。
ここで、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含むk次高調波に対する測定試料7の正確なインピーダンスZxL(kω0)の実数部及び虚部であるリアクタンスをそれぞれRxL(kω0)及びXxL(kω0)とすると、測定試料7の正確なインピーダンスZxL(kω0)は、(32)式で表される複素数で求められている。
したがって、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含むk次高調波に対する測定試料7の正確なインピーダンスZxL(kω0)の位相θxL(kω0)は、(33)式により求められる。
第3計測工程S6において、擬似両端電圧の振幅及び位相を、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含む高調波に対する測定試料のインピーダンスに基づいて周波数ごとに補正することによって、測定試料に流れる電流を求める。また、第3計測工程S6において、測定試料に流れる電流の振幅及び位相を、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含む高調波に対する測定試料のインピーダンスに基づいて周波数ごとに補正することによって、測定試料の両端電圧を求める。さらに、第3計測工程S6において、求めた測定試料に流れる電流及び測定試料の両端電圧に基づいて、測定試料の鉄損を算出する。
測定試料7に流れる正確な電流をIxL(t)とし、測定試料7の正確な両端電圧をVxL(t)とし、これらのk次高調波をそれぞれIxL_k(t)及びVxL_k(t)とすると、測定試料7に流れる正確な電流IxL(t)及び測定試料7の正確な両端電圧VxL(t)はそれぞれ、(34)式及び(35)式のフーリエ級数で表される。
ここで、図7からわかるように、測定試料7に流れる正確な電流IxL(t)のk次高調波IxL_k(t)について(36)式が成り立つ。
(36)式の右辺に(24)式、(20)式及び(32)式を適用することによって、(37)式が成り立つ。
さらに、(37)式の分母について(38)式のようにおくとともに複素解析で一般によく知られているEulerの公式を用いることにより、(37)式は、(39)式のようになる。
(39)式を(34)式に代入することによって(40)式が成り立つ。測定試料7に流れる正確な電流IxL(t)は、測定試料7の擬似両端電圧VmL(t)の測定周波数の基本波を含むk次高調波に対して、振幅を1/√倍(√内は(40)式に準じる)し、位相をφ(kω0)だけ遅らせる補正を行い、その総和をとれば求めることができる。
次に、測定試料7の正確な両端電圧VxL(t)を求める。図7からわかるように、測定試料7の正確な両端電圧VxL(t)のk次高調波について(41)式が成り立つ。
ここで、(33)式が成り立つことから、Eulerの公式より(41)式は、(42)式のようになる。
(42)式を(35)式に代入することによって、(43)式が成り立つ。
測定試料7の正確な両端電圧VxL(t)は、測定試料7に流れる正確な電流IxL(t)の測定周波数の基本波を含むk次高調波に対して、振幅を√(√内は(43)式に準じる)倍し、位相をθxL(kω0)だけ進ませる補正を行い、その総和をとれば求めることができる。
測定試料に流れる正確な電流IxL(t)が(40)式から求められるとともに測定試料の正確な両端電圧VxL(t)が(43)式から求められたので、測定周期をT0=2π/ω0とすれば、測定試料7の正確な(単位体積当たりの)鉄損Pcvは(44)式で算出される。ここで、Veは測定試料の体積である。
次に、本発明を実際の試料に適用した実施例について説明する。
[実施例1]
鉄損測定装置として、岩崎通信機製B-HアナライザSY-8218(シャント抵抗は1Ω)を使用し、測定試料を恒温槽に配置するときは、岩崎通信機製B-HアナライザSY-8218と同社製恒温槽スキャナシステムSY-321Aとを組合せた測定装置を使用した。B-HアナライザSY-8218は、測定試料の室温での鉄損を測定することができ、オプションの恒温槽スキャナシステムSY-321Aと組合せると、恒温槽内に配置した測定試料の鉄損を測定することができる。
第1準備工程では、参照試料AとしてCIPトロイダルコイル(カーボニル鉄粉コア、インダクタンスL=3.5μH)を準備し、参照試料Bとして50Ω面実装抵抗(長さ3.2mm、幅2.5mm)を準備した。そして、参照試料Aのインピーダンスの大きさ|ZxA(ω)|の周波数特性、参照試料Bのインピーダンスの大きさ|ZxB(ω)|の周波数特性、参照試料Aのインピーダンスの位相θxA(ω)の周波数特性及び参照試料Aのインピーダンスの位相θxB(ω)の周波数特性を、Keysight technologies製インピーダンスアナライザE4990Aを用いて20Hz〜120MHzの範囲で測定した。測定結果から得られるこれらの周波数特性を図8、図9、図10及び図11にそれぞれ示す。
図8、図9、図10及び図11に示す周波数特性を用いながら(3)式、(4)式、(5)式及び(6)式に従って参照試料AのインピーダンスのレジスタンスRxA(ω)及びリアクタンスXxA(ω)並びに参照試料BのインピーダンスのレジスタンスRxB(ω)及びリアクタンスXxB(ω)を求めた。さらに、参照試料AのインピーダンスのレジスタンスRxA(ω)及びリアクタンスXxA(ω)並びに参照試料BのインピーダンスのレジスタンスRxB(ω)及びリアクタンスXxB(ω)を(1)式及び(2)式に適用することによって、参照試料AのインピーダンスZxA(ω)の周波数特性及び参照試料BのインピーダンスZxB(ω)の周波数特性を求めた。参照試料AのインピーダンスのレジスタンスRxA(ω)及びリアクタンスXxA(ω)、参照試料BのインピーダンスのレジスタンスRxB(ω)及びリアクタンスXxB(ω)並びに参照試料AのインピーダンスZxA(ω)及び参照試料BのインピーダンスZxB(ω)の結果は、式から容易に算出できるのでここでは省略する。
第2準備工程では、参照試料A及び参照試料Bを恒温槽スキャナシステムSY-321Aに配置して角周波数ωの正弦波信号を印加し、参照試料Aの擬似インピーダンスの大きさ|ZmA(ω)|、参照試料Bの擬似インピーダンスの大きさ|ZmB(ω)|、参照試料Aの擬似インピーダンスの位相θmA(ω)及び参照試料Bの擬似インピーダンスの位相θmB(ω)を、正弦波信号の角周波数に対応する測定周波数が100kHz〜5MHzの範囲で測定した。測定結果から得られるこれらの周波数特性を、図8、図9、図10及び図11にそれぞれ上書きすることによって新たに図12、図13、図14及び図15に示す。各図に示された2つのグラフは、寄生インピーダンスの影響で一致していない。
ここで、100kHzより低い測定周波数を測定しないのは、SY-321Aではこの周波数での寄生インピーダンスの影響が小さく無視できるからである。また、5MHzより高い測定周波数で測定しないのは、SY-321Aの測定上限周波数が5MHzだからである。
図12、図13、図14及び図15に示す周波数特性を用いながら(12)式、(13)式、(14)式及び(15)式に従って参照試料Aの擬似インピーダンスのレジスタンスRmA(ω)及びリアクタンスXmA(ω)並びに参照試料Bの擬似インピーダンスのレジスタンスRmB(ω)及びリアクタンスXmB(ω)を求めた。さらに、参照試料Aの擬似インピーダンスのレジスタンスRmA(ω)及びリアクタンスXmA(ω)並びに参照試料Bの擬似インピーダンスのレジスタンスRmB(ω)及びリアクタンスXmB(ω)を(7)式及び(8)式に適用することによって、参照試料Aの擬似インピーダンスZmA(ω)の周波数特性及び参照試料Bの擬似インピーダンスZmB(ω)の周波数特性を求めた。参照試料Aの擬似インピーダンスのレジスタンスRmA(ω)及びリアクタンスXmA(ω)、参照試料Bの擬似インピーダンスのレジスタンスRmB(ω)及びリアクタンスXmB(ω)並びに参照試料Aの擬似インピーダンスZmA(ω)及び参照試料Bの擬似インピーダンスZmB(ω)の結果は、式から容易に算出できるのでここでは省略する。
上述したように、参照試料AのインピーダンスZxA(ω)の周波数特性及び参照試料BのインピーダンスZxB(ω)の周波数特性が第1準備工程で求められるとともに参照試料Aの擬似インピーダンスZmA(ω)の周波数特性及び参照試料Bの擬似インピーダンスZmB(ω)の周波数特性が第2準備工程で求められた。したがって、第3準備工程では、鉄損測定装置の誘導性の寄生インピーダンスZ1(ω)の周波数特性及び容量性の寄生インピーダンスZ2(ω)の周波数特性を、(18)式及び(19)式を用いて測定周波数が100kHz〜5MHzの範囲で求めた。得られる周波数特性を図16及び図17に示す。なお、誘導性の寄生インピーダンスZ1(ω)は、(18)式の2つの解のうちのインピーダンスの大きさ|Z1(ω)|が小さくなる複号が+の方を採用し、(19)式から容量性の寄生インピーダンスZ2(ω)を求める際は、この複号が+の方の誘導性の寄生インピーダンスZ1(ω)を用いた。
図16に示すインピーダンスの大きさ|Z1(ω)|は、低周波から高周波になるにつれて大きくなり、誘導性であることを示している。図17に示すインピーダンスの大きさ|Z2(ω)|は、インピーダンスの大きさ|Z1(ω)|とは逆に低周波から高周波になるにつれて小さくなり、容量性であることを示している。これは、誘導性の寄生インピーダンスZ1(ω)が測定試料に直列に入るインピーダンスであり、容量性の寄生インピーダンスZ2(ω)が電圧測定回路の差動入力間に入るインピーダンスであることと定性的に合致している。
鉄損測定装置の未知であった誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性及び容量性の寄生インピーダンスの周波数特性が決定されたので、参照試料Aとは別のCIPトロイダルコイル(カーボニル鉄粉コア、インダクタンスL=6.8μH、体積Ve=4.49×10-6m3)の正確な鉄損を本発明による鉄損測定方法を実施して算出する。
図18は、本発明による鉄損測定方法を実施する前の参照試料Aとは別のCIPトロイダルコアの単位体積当たりの鉄損Pcvを測定周波数が100kHz〜5MHzの範囲で測定した結果である。一方の周波数特性は、従来の特許文献1に記載された準備工程及び計測工程を実施してB-HアナライザSY-8218に配置して測定したものであり、他方の周波数特性は、恒温槽スキャナシステムSY-321Aに配置して測定したものである。測定周波数が1MHzを超えると、SY-321Aに配置して測定したPcvは、SY-8218に配置して測定したPcvに対して差異が生じ始め、測定周波数が5MHzとなると、差異は約400%に達していた。
以下、測定周波数が3MHzである例について、本発明の計測工程の具体例を説明することにする。
第1計測工程では、参照試料Aとは別のCIPトロイダルコイルを測定試料として恒温槽スキャナシステムSY-321Aに配置して、周波数3MHzの正弦波信号を信号発生器6から印加し、電圧測定回路1で測定試料の擬似両端電圧VmL(t)を測定するとともに電流測定回路2で測定試料の擬似電流ImL(t)を測定した。その結果を図19及び図20に示す。それぞれにFFT(Fast Fourier Transform)を行い、(24)式及び(26)式に従って7次高調波までフーリエ級数に展開したもののうちの3次高調波までを(45)式及び(46)式に記す。
なお、フーリエ展開する高調波の次数kは、鉄損の値に影響を及ぼすことがなく、振幅が基本波の振幅の1/1000以下になるところまで展開すれば十分である。
この結果を用いて、測定周波数3MHzに対応する正弦波信号の角周波数の基本波を含むk次高調波に対するCIPトロイダルコイルの擬似インピーダンスの大きさ|ZmL(kω0)|を(27)式から求めるとともに、測定周波数3MHzに対応する正弦波信号の角周波数の基本波を含むk次高調波に対するCIPトロイダルコイルの擬似インピーダンスの位相θmL(kω0)を(46)式のImL(t)の高調波成分の位相から求める。さらに、求められた擬似インピーダンスの大きさ|ZmL(kω0)|及び擬似インピーダンスの位相θmL(kω0)を(22)式に適用することによって、測定周波数3MHzに対応する正弦波信号の角周波数の基本波を含むk次高調波に対するCIPトロイダルコイルの擬似インピーダンスZmL(kω0)を求めた。上述した擬似インピーダンスの大きさ|ZmL(kω0)|、擬似インピーダンスの位相θmL(kω0)及び擬似インピーダンスZmL(kω0)の結果は、式から容易に算出できるのでここでは省略する。
上述したように、測定周波数3MHzに対応する正弦波信号の角周波数の基本波を含むk次高調波に対するCIPトロイダルコイルの擬似インピーダンスZmL(kω0)が第1計測工程で求められ、鉄損測定装置の誘導性の寄生インピーダンスZ1(kω0)の周波数特性及び容量性の寄生インピーダンスZ2(kω0)の周波数特性が第3準備工程で求められた。第2計測工程では、測定周波数3MHzに対応する正弦波信号の角周波数の基本波を含むk次高調波に対するCIPトロイダルコイルの正確なインピーダンスZxL(kω0)を(31)式を用いて求め、さらに、(33)式を適用することによって、測定周波数3MHzに対応する正弦波信号の角周波数の基本波を含むk次高調波に対するCIPトロイダルコイルの正確なインピーダンスZxL(kω0)の位相θxL(kω0)を求めた。測定周波数3MHzに対応する正弦波信号の角周波数の基本波を含むk次高調波に対するCIPトロイダルコイルの正確なインピーダンスZxL(kω0)及びその位相θxL(kω0)の結果は、式から容易に算出できるのでここでは省略する。
なお、第3準備工程で求めた鉄損測定装置の誘導性の寄生インピーダンスZ1(kω0)及び容量性の寄生インピーダンスZ2(kω0)は、図16及び図17に示すように5MHzまでの測定周波数についてにしか求められていない。したがって、ここで用いた測定周波数3MHzに対応する正弦波信号の角周波数の2次高調波以上の誘導性の寄生インピーダンスZ1(kω0)及び容量性の寄生インピーダンスZ2(kω0)については、誘導性の寄生インピーダンスZ1(ω)及び容量性の寄生インピーダンスZ2(ω)を1次関数で外挿したものを使用した。
上述したように、第2計測工程で正確なインピーダンスZxL(kω0)が求められたので、第3計測工程では、位相φ(kω0)を(38)式から求め、この位相φ(kω0)と(45)式の擬似電圧VmL(t)を(40)式に適用することによって、CIPトロイダルコイルに流れる正確な電流IxL(t)をフーリエ展開したものが求まる。その結果を(47)式及び図21に示す。図21において、比較のために図20の擬似電流ImL(t)も記してある。
さらに、第2計測工程で位相θxL(kω0)が求められたので、この位相θxL(kω0)と(47)式のIxL(t)を(43)式に適用することによって、CIPトロイダルコイルの正確な両端電圧VxL(t)をフーリエ展開したものが求まる。その結果を(48)式及び図22に示す。図22において、比較のために図19の擬似両端電圧VmL(t)も記した。
上述したように、CIPトロイダルコイルに流れる正確な電流IxL(t)及び正確な両端電圧VxL(t)を求めることができたので、これらを(44)式に適用すると、角周波数3MHzでの(単位体積当たりの)正確な鉄損Pcv=0.2294kW/m3が算出される。
同様に、CIPトロイダルコアの(単位体積当たりの)鉄損Pcvを測定周波数100kHz〜5MHzで本発明による鉄損測定方法を実施して算出した結果を、図18に上書きすることによって新たに図23に示す。
測定試料をSY-321Aに配置したにも関わらず、本発明による鉄損測定方法を実施して算出した(単位体積当たりの)鉄損Pcvは、SY-8218に配置して測定したPcvとの差異が短縮し、測定周波数が5MHzでも差異は約45%となり、本発明の計測工程を実施する前の差異であった約400%の約1/10まで大幅に縮小し改善されたことが分かる。
本実施の形態によれば、第3準備工程S3において、鉄損測定装置の誘導性の寄生インピーダンスZ1(kω0)の周波数特性及び容量性の寄生インピーダンスZ2(kω0)の周波数特性を決定して記憶部4aに記憶する。
また、第2計測工程S5において、測定周波数3MHzに対応する正弦波信号の角周波数の基本波を含むk次高調波に対する正確なインピーダンスZxL(kω0)を求めるとともに測定周波数3MHzに対応する正弦波信号の角周波数の基本波を含むk次高調波に対する正確なインピーダンスZxL(kω0)の位相θxL(kω0)を求める。
さらに、第3計測工程S6において、第2計測工程で求められた測定周波数3MHzに対応する正弦波信号の角周波数の基本波を含むk次高調波に対する正確なインピーダンスZxL(kω0)及びその位相θxL(kω0)を用いて測定試料7の正確な両端電圧VxL(t)及び測定試料7に流れる正確な電流IxL(t)を求める。そして、第3計測工程S6において、求めた測定試料7の正確な両端電圧VxL(t)及び測定試料7に流れる正確な電流IxL(t)を用いて測定試料7の鉄損Pcvを算出する。
したがって、本実施の形態によれば、鉄損測定装置10において測定試料7を恒温槽8内に配置しても、測定試料7の正確な両端電圧VxL(t)及び測定試料7に流れる正確な電流IxL(t)を求めて鉄損Pcvを算出するので、測定試料7を恒温槽8内に配置する前に測定した鉄損との差異が大幅に短縮され、正確な鉄損Pcvを算出することが可能となる。すなわち、本実施の形態によれば、測定試料7が鉄損測定装置の外部に配置される等の理由により測定試料7に接続された信号経路が延びても正確な鉄損Pcvを算出することができる。
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。例えば、上記実施の形態において、恒温槽8に配置した測定試料7の鉄損を測定する場合について説明してきたが、本発明は、測定試料を恒温槽に配置した場合に限定されず、何らかの理由で測定試料を鉄損測定装置から引き離して鉄損を測定する場合にも適用可能である。例えば、加工歪みの鉄損への影響を見るために、測定試料に応力を印加した状態で鉄損を測定する場合がある。この場合、測定試料に応力を印加する治具が必要になるため、測定試料は鉄損測定装置から引き離さざるを得ない。したがって、測定試料を恒温槽に配置したときと同様に、測定試料に接続された信号経路が延び、その経路に未知の寄生インピーダンスが生成される。生成された寄生インピーダンスの周波数特性を本実施例と同様に決定することによって、本発明による鉄損測定方法及び鉄損測定装置により測定試料の正確な鉄損を算出することが可能になる。
上記実施の形態において、電流検出素子としてシャント抵抗を用いた場合について説明したが、カレントセンサー、電流プローブ、カレントトランス等を電流検出素子として用いてもよい。
1 電圧測定回路
2 電流測定回路
3 シャント抵抗
4,4’ 制御演算部
4a 記憶部
5 表示装置
6 外部信号発生器
7 測定試料
7A 参照試料
8 恒温槽
8a,10a 端子
10 鉄損測定装置
21,22a,22b,23 信号経路

Claims (8)

  1. 測定試料の両端電圧を測定する電圧測定回路と、電流検出素子と、前記電流検出素子に流れる電流に対応する測定試料に流れる電流を測定する電流測定回路と、記憶部を有する制御演算部と、を備える鉄損測定装置を使用して測定試料の鉄損を測定する鉄損測定方法であって、
    互いにインピーダンスの周波数特性が異なる2つの参照試料のインピーダンスの周波数特性を、インピーダンス測定器による参照試料の測定に基づいて決定する第1準備工程と、
    互いにインピーダンスの周波数特性が異なる2つの参照試料にそれぞれ測定用の周期信号を印加した後に、互いにインピーダンスの周波数特性が異なる2つの参照試料の擬似インピーダンスの周波数特性を、前記鉄損測定装置による参照試料の測定に基づいて決定する第2準備工程と、
    互いにインピーダンスの周波数特性が異なる2つの参照試料のインピーダンスの周波数特性及び擬似インピーダンスの周波数特性に基づいて、前記鉄損測定装置と測定試料との間の信号経路に生成される誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性及び前記鉄損測定装置と測定試料との間の信号経路に生成される容量性の寄生インピーダンスの周波数特性を、前記制御演算部により決定して前記記憶部に記憶する第3準備工程と、
    前記誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性及び前記容量性の寄生インピーダンスの周波数特性を用いて測定試料の鉄損を前記制御演算部により算出することによって測定試料の鉄損を測定する測定工程と、を有することを特徴とする鉄損測定方法。
  2. 前記測定工程は、
    測定試料に測定用の周期信号を印加した後に、測定試料の擬似両端電圧を前記電圧測定回路で測定するとともに測定試料に流れる擬似電流を前記電流測定回路で測定し、測定した擬似両端電圧及び擬似電流に基づいて、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含む高調波に対する測定試料の擬似インピーダンスを前記制御演算部により求める第1計測工程と、
    前記誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性、前記容量性の寄生インピーダンスの周波数特性及び測定試料の擬似インピーダンスに基づいて、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含む高調波に対する測定試料のインピーダンスを前記制御演算部により求める第2計測工程と、
    前記擬似両端電圧の振幅及び位相を、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含む高調波に対する測定試料のインピーダンスに基づいて周波数ごとに補正することによって、測定試料に流れる電流を求め、測定試料に流れる電流の振幅及び位相を、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含む高調波に対する測定試料のインピーダンスに基づいて周波数ごとに補正することによって、測定試料の両端電圧を求め、求めた測定試料に流れる電流及び測定試料の両端電圧に基づいて、測定試料の鉄損を前記制御演算部により算出する第3計測工程と、を有する、請求項1に記載の鉄損測定方法。
  3. 前記第2準備工程において、恒温槽内に配置される又は治具により応力が印加される参照試料に測定用の周期信号を印加し、
    前記第1計測工程において、恒温槽内に配置される又は治具により応力が印加される測定試料に測定用の周期信号を印加する、請求項2に記載の鉄損測定方法。
  4. 前記電流検出素子は、シャント抵抗、カレントセンサー、電流プローブ又はカレントトランスである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の鉄損測定方法。
  5. 測定試料の両端電圧を測定する電圧測定回路と、
    電流検出素子と、
    前記電流検出素子に流れる電流に対応する測定試料に流れる電流を測定する電流測定回路と、
    制御演算部と、を備える鉄損測定装置であって、
    前記制御演算部は、
    前記鉄損測定装置と測定試料との間の信号経路に生成される誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性及び前記鉄損測定装置と測定試料との間の信号経路に生成される容量性の寄生インピーダンスの周波数特性を記憶する記憶部を有し、
    前記誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性及び前記容量性の寄生インピーダンスの周波数特性を用いて測定試料の鉄損を算出することを特徴とする鉄損測定装置。
  6. 前記誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性及び前記容量性の寄生インピーダンスの周波数特性は、
    互いにインピーダンスの周波数特性が異なる2つの参照試料のインピーダンスの周波数特性を、インピーダンス測定器による参照試料の測定に基づいて決定する第1準備工程と、
    互いにインピーダンスの周波数特性が異なる2つの参照試料にそれぞれ測定用の周期信号を印加した後に、互いにインピーダンスの周波数特性が異なる2つの参照試料の擬似インピーダンスの周波数特性を、前記鉄損測定装置による参照試料の測定に基づいて決定する第2準備工程と、
    互いにインピーダンスの周波数特性が異なる2つの参照試料のインピーダンスの周波数特性及び擬似インピーダンスの周波数特性に基づいて、前記鉄損測定装置と測定試料との間の信号経路に生成される誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性及び前記鉄損測定装置と測定試料との間の信号経路に生成される容量性の寄生インピーダンスの周波数特性を、前記制御演算部により決定して前記記憶部に記憶する第3準備工程と、を実行することによって取得される周波数特性である、請求項5に記載の鉄損測定装置。
  7. 前記制御演算部は、
    前記電圧測定回路で測定した擬似両端電圧及び前記電流測定回路で測定した擬似電流に基づいて、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含む高調波に対する測定試料の擬似インピーダンスを求める第1計測工程と、
    前記誘導性の寄生インピーダンスの周波数特性、前記容量性の寄生インピーダンスの周波数特性及び測定試料の擬似インピーダンスに基づいて、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含む高調波に対する測定試料のインピーダンスを求める第2計測工程と、
    前記擬似両端電圧の振幅及び位相を、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含む高調波に対する測定試料のインピーダンスに基づいて周波数ごとに補正することによって、測定試料に流れる電流を求め、測定試料に流れる電流の振幅及び位相を、測定用の周期信号の角周波数の基本波を含む高調波に対する測定試料のインピーダンスに基づいて周波数ごとに補正することによって、測定試料の両端電圧を求め、求めた測定試料に流れる電流及び測定試料の両端電圧に基づいて、測定試料の鉄損を算出する第3計測工程と、を実行する、請求項6に記載の鉄損測定装置。
  8. 前記電流検出素子は、シャント抵抗、カレントセンサー、電流プローブ又はカレントトランスである、請求項5〜7のいずれか一項に記載の鉄損測定装置。
JP2019141534A 2019-07-31 2019-07-31 鉄損測定方法及び鉄損測定装置 Pending JP2021025799A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019141534A JP2021025799A (ja) 2019-07-31 2019-07-31 鉄損測定方法及び鉄損測定装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019141534A JP2021025799A (ja) 2019-07-31 2019-07-31 鉄損測定方法及び鉄損測定装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021025799A true JP2021025799A (ja) 2021-02-22

Family

ID=74663803

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019141534A Pending JP2021025799A (ja) 2019-07-31 2019-07-31 鉄損測定方法及び鉄損測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021025799A (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01285881A (ja) * 1988-05-12 1989-11-16 Tokin Corp 磁性体の鉄損計測装置
JPH0261574A (ja) * 1988-08-26 1990-03-01 Ryowa Denshi Kk 鉄損計測システムの校正方法
JPH0261573A (ja) * 1988-08-26 1990-03-01 Ryowa Denshi Kk 鉄損計測システムにおける寄生容量等の補正方法
JP2008051521A (ja) * 2006-08-22 2008-03-06 Bridgestone Corp ゴム組成物−金属複合体の接着界面評価装置と接着界面評価法
JP2016133355A (ja) * 2015-01-16 2016-07-25 公立大学法人首都大学東京 鉄損測定方法および鉄損測定装置
JP2019120547A (ja) * 2017-12-28 2019-07-22 岩崎通信機株式会社 鉄損測定方法、インピーダンスアナライザのテストフィクスチャ及び鉄損測定装置の試料台

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01285881A (ja) * 1988-05-12 1989-11-16 Tokin Corp 磁性体の鉄損計測装置
JPH0261574A (ja) * 1988-08-26 1990-03-01 Ryowa Denshi Kk 鉄損計測システムの校正方法
JPH0261573A (ja) * 1988-08-26 1990-03-01 Ryowa Denshi Kk 鉄損計測システムにおける寄生容量等の補正方法
JP2008051521A (ja) * 2006-08-22 2008-03-06 Bridgestone Corp ゴム組成物−金属複合体の接着界面評価装置と接着界面評価法
JP2016133355A (ja) * 2015-01-16 2016-07-25 公立大学法人首都大学東京 鉄損測定方法および鉄損測定装置
JP2019120547A (ja) * 2017-12-28 2019-07-22 岩崎通信機株式会社 鉄損測定方法、インピーダンスアナライザのテストフィクスチャ及び鉄損測定装置の試料台

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7383140B2 (en) Capacitance, inductance and impedance measurements using multi-tone stimulation and DSP algorithms
JP6296452B2 (ja) 鉄損測定方法および鉄損測定装置
Desjardins et al. Transient eddy current method for the characterization of magnetic permeability and conductivity
CN106066425B (zh) 一种阻抗测量装置及其实现校准补偿的方法
JP2011202973A (ja) 高周波測定装置、および、高周波測定装置の校正方法
TW201120468A (en) A device for measuring alternating current magnetic permeability and method of measuring the same
Luloff et al. Solution for a transmit-receive eddy current probe above a layered planar conductive structure
EP2397864A1 (en) Electricity meter and method for determining a quantity
JP2010048723A (ja) 鉄筋腐食検査方法,鉄筋腐食検査装置
Luloff et al. Examination of Dodd and Deeds solutions for a transmit-receive eddy current probe above a layered planar structure
JPH0720172A (ja) 回路定数・材料特性測定装置
JP2021025799A (ja) 鉄損測定方法及び鉄損測定装置
JP4369909B2 (ja) 磁気特性測定方法及び測定器
CN102707118B (zh) 压流互感器及其测量系统
CN106019072B (zh) 罗氏线圈集中参数的测量方法
Shen et al. Investigation of the eddy current effect on the high frequency response of the Mirnov probe on J-TEXT
US9007053B2 (en) Circuitry for and a method of compensating drift in resistance in eddy current probes
JP6441604B2 (ja) 高周波測定装置、および、高周波測定装置の校正方法
Setiadi et al. Inductance analyzer based on auto-balanced circuit for precision measurement of fluxgate impedance
RU2456589C1 (ru) Способ вихретокового измерения толщины металлических покрытий
JP2009250678A (ja) 材料試験機
JP6516063B2 (ja) 測定装置および材料試験機
Joneit et al. Correction of eddy current measurements to obtain accordance with simulation results
WO2008062031A1 (en) Signal processing method and unit for a dimension-gauging system
Paophan et al. Partial Discharge Measurement Based on an Inductive Mode Air-Core Sensor

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190731

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200929

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210525

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210720

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210921