JP2021025508A - 流体ポンプとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】流体ポンプにおいて、シャフトの摺動抵抗の増加を抑えることができる技術を提供する。【解決手段】流体ポンプは、第1端と第2端を有するシャフトと、前記シャフトの前記第1端側を支持する第1軸受と、前記シャフトの前記第2端側を支持する第2軸受と、前記第1軸受が配置されている位置よりも前記シャフトの前記第1端に近い側に取り付けられているインペラと、を備えており、前記第1軸受の中心軸に対する前記第2軸受の中心軸のばらつき範囲の中心位置が、前記インペラの流体昇圧によって前記シャフトに加わる偏心荷重の向きとは反対方向に存在している。【選択図】 図1

Description

本明細書が開示する技術は、流体ポンプとその製造方法に関する。
シャフトに取り付けられたインペラを利用して流体を昇圧し、その流体を圧送する流体ポンプが知られている。このような流体ポンプは様々な用途で利用されており、例えば燃料タンク内の燃料を内燃機関に向けて圧送する燃料ポンプとしても利用されている。特許文献1には、そのような燃料ポンプの一例が開示されている。
特開2017−200279号公報
インペラが取り付けられているシャフトは、その両端側に配置された一対の軸受によって支持されている。通常、これら軸受は、一方の軸受の中心軸と他方の軸受の中心軸が一致するように配置される。しかしながら、流体ポンプを構成する複数の部品を組み立てるときのズレ等の製造ばらつきにより、これら軸受の中心軸の位置ズレが発生してしまう。
ところで、この種の流体ポンプでは、インペラの流体昇圧に起因してシャフトに対して特定の向きに偏心荷重が加わっている。本発明者らの検討によると、一対の軸受の中心軸の位置ズレの向きと偏心荷重の向きの関係によっては、シャフトの摺動抵抗が増加し、ポンプ性能が低下する虞があることが分かってきた。
シャフトに対して偏心荷重が加わる位置を力点とすると、インペラに近い位置に配置された第1軸受とシャフトの接点が支点となり、インペラから遠い位置に配置された第2軸受とシャフトの接点が作用点の関係となる。第1軸受の中心軸に対する第2軸受の中心軸の位置ズレの向きが偏心荷重の向きに一致すると、第1軸受のうちの第2軸受側の端部が支点となり、第2軸受のうちの第1軸受側の端部が作用点となるように、シャフトが第1軸受と第2軸受のそれぞれに接触することがある。この場合、力点と支点の間の距離が長く、支点と作用点の間の距離が短くなることから、作用点のモーメントが大きくなってしまう。このように、第1軸受の中心軸に対する第2軸受の中心軸の位置ズレの向きが偏心荷重の向きに一致すると、シャフトの摺動抵抗が増加し、ポンプ性能が低下する虞があることが分かってきた。本明細書は、このようなシャフトの摺動抵抗の増加を抑えることができる技術を提供する。
本明細書が開示する流体ポンプは、第1端と第2端を有するシャフトと、前記シャフトの前記第1端側を支持する第1軸受と、前記シャフトの前記第2端側を支持する第2軸受と、前記第1軸受よりも前記シャフトの前記第1端に近い側に取り付けられているインペラと、を備えることができる。前記第1軸受の中心軸に対する前記第2軸受の中心軸のばらつき範囲の中心位置が、前記インペラの流体昇圧によって前記シャフトに加わる偏心荷重の向きとは反対向きに位置ズレした位置に存在している。このような位置関係で前記第1軸受の中心軸に対する前記第2軸受の中心軸が存在していると、前記第1軸受のうちの前記第2軸受から遠い側の端部が支点となり、前記第2軸受のうちの前記第1軸受から遠い側の端部が作用点となるように、前記シャフトが前記第1軸受と前記第2軸受のそれぞれに接触することができる。このため、力点と支点の間の距離が短くなり、支点と作用点の間の距離が長くなることから、作用点のモーメントが小さくなる。したがって、上記流体ポンプでは、前記シャフトの摺動抵抗の増加が抑えられる。
上記流体ポンプにおいて、前記ばらつき範囲には、前記第1軸受の中心軸に対する前記第2軸受の中心軸が前記偏心荷重の向きに位置ズレしたときの当たり方境界の位置が含まれなくてもよい。この流体ポンプでは、前記第1軸受の中心軸に対する前記第2軸受の中心軸が製造ばらつきによって位置ズレしたとしても、前記シャフトの摺動抵抗の増加が抑えられるという効果が確実に得られる。
本明細書はまた、第1端と第2端を有するシャフトと、前記シャフトの前記第1端側を支持する第1軸受と、前記シャフトの前記第2端側を支持する第2軸受と、前記第1軸受よりも前記シャフトの前記第1端に近い側に取り付けられているインペラと、を備えている流体ポンプの製造方法を提供することができる。この製造方法は、前記第1軸受の中心軸に対する前記第2軸受の中心軸のばらつき範囲の中心位置が、前記インペラの流体昇圧によって前記シャフトに加わる偏心荷重の向きとは反対向きに位置ズレした位置に存在するように、前記第1軸受と前記第2軸受を配置する工程、を有することができる。この製造方法によると、前記シャフトの摺動抵抗の増加が抑えられた流体ポンプを製造することができる。
上記製造方法では、前記ばらつき範囲には、前記第1軸受の中心軸に対する前記第2軸受の中心軸が前記偏心荷重の向きに位置ズレしたときの当たり方境界の位置が含まれなくてもよい。この製造方法によると、前記第1軸受の中心軸に対する前記第2軸受の中心軸が製造ばらつきによって位置ズレしたとしても、前記シャフトの摺動抵抗の増加が抑えられるという効果が確実に得られる流体ポンプを製造することができる。
流体ポンプの断面図を模式的に示す。 回転軸方向から観測したインペラの平面図を模式的に示す。 インペラの回転軸を原点とし、吸入口の位置を0°とした座標系において、インペラの流体昇圧によってシャフトに加わる荷重のベクトルを示す。 図3の座標系において、対向する角度の荷重を差し引きしたときの荷重のベクトルと、それら荷重を合成した合力のベクトルを示す。 第1軸受の中心軸に対する第2軸受の中心軸が位置ズレ方向に位置ズレしたときの、第1軸受の位置と第2軸受の位置とシャフトの傾きの関係を示す。 第1軸受の中心軸に対する第2軸受の中心軸のばらつき範囲を示す。
(流体ポンプ)
図1に、流体ポンプ100の断面図を示す。流体ポンプ100は、例えば、自動車の燃料タンク内に配置され、燃料タンク内の燃料を内燃機関に向けて圧送する燃料ポンプとして利用される。なお、本明細書に開示する流体ポンプ100は、燃料ポンプ以外の用途にも利用可能である。以下、流体ポンプ100の構成を説明する。
流体ポンプ100は、モータ部22とポンプ部24を備えている。モータ部22及びポンプ部24は、ハウジング80内に収容されている。ハウジング80は、両端が開口された略円筒状であり、筒状に伸びる方向に、モータ部22とポンプ部24が並んで収容されている。モータ部22には、ブラシレスモータ50が配置されている。ブラシレスモータ50は、ロータ30とステータ40を備えている。また、モータ部22は、流体ポンプ100内の燃料を外部に供給する供給口48と連通している。
ステータ40は、ハウジング80の内周面に固定されている。ステータ40は、鉄芯部(ステータコア)42と樹脂層44を備えている。ブラシレスモータ50の回転軸方向(紙面上下方向)において、鉄芯部42の両側に樹脂層44が設けられている。なお、鉄芯部42は、コイルが巻回された複数のスロット(図示省略)を備えている。
ロータ30は、ステータ40から所定距離だけ離れた状態で、ステータ40の内側に配置されており、シャフト72に固定(一体化)されている。ロータ30は、磁性体と樹脂の混合物を用いて射出成形によって製造されたプラスチック磁石(ボンド磁石)であり、周方向にN極とS極が交互に出現するように構成されている。
シャフト72は、第1端72aと第2端72bを有しており、モータ部22とポンプ部24に跨って伸びている。シャフト72は、一対の軸受62,64によってハウジング80に支持されている。具体的には、シャフト72の第1端72a側を支持するように第1軸受62が配置されており、シャフト72の第2端72b側を支持するように第2軸受64が配置されている。第1軸受62は、ポンプ部24のポンプケーシング8に形成されている第1軸受収容部8a内に嵌合固定されている。第2軸受64は、モータ部22の樹脂層44に形成されている第2軸受収容部44a内に嵌合固定されている。詳細は後述するが、第1軸受62の中心軸に対して第2軸受64の中心軸がオフセットするように、第1軸受62と第2軸受64が配置されている。第1軸受62及び第2軸受64の種類は、特に限定されるものではなく、シャフト72の回転を許容できる様々な種類が採用され得る。一例では、第1軸受62及び第2軸受64には、ボールベアリングが採用される。
ポンプ部24は、略円板状のインペラ14と、インペラ14を収容しているポンプケーシング8を備えている。ポンプケーシング8は、吸入口2が形成されている第1ケーシング4と、吐出口10が形成されている第2ケーシング6を備えている。吸入口2は、流体ポンプ100の外部の空間と、ポンプケーシング8内の空間(インペラ14が収容されている空間)を連通している。吐出口10は、ポンプケーシング8内の空間と、モータ部22内の空間を連通している。
インペラ14は、第1軸受62が配置されている位置よりもシャフト72の第1端72aに近い側に取り付けられている。具体的には、シャフト72には、第1軸受62が配置されている位置よりも第1端72aに近い側に係合部76が設けられている。シャフト72の外形は、係合部76を除き、円形である。係合部76には、シャフト72の回転軸に沿って伸びる平面部74が形成されている。そのため、係合部76の断面形状(シャフト72の回転軸に直交する平面の形状)は、円の一部を切り欠いたD形状である。また、インペラ14には、その中心部を貫通するように係合孔12が設けられている。係合孔12の形状もD形状である。シャフト72の係合部76をインペラ14の係合孔12に挿入することによって、インペラ14とシャフト72が係合している。さらに、係合部76及び係合孔12が非円形(D形状)なので、シャフト72はインペラ14に対して空転しない。このため、インペラ14は、シャフト72の回転に伴って、シャフト72と一体に回転することができる。
図2に示されるように、インペラ14には、外周面から一定距離だけ内側の位置に、周方向に沿って並んで配置された複数の羽根溝16が形成されている。複数の羽根溝16は、インペラ14の裏面(吸入口2側の面)と表面(吐出口10側の面)のそれぞれに形成されており、インペラ14の表面と裏面の対応する位置に形成されている一対の羽根溝16は連通している。吸入口2からインペラ14の裏面に形成されている羽根溝16に流入した燃料は、インペラ14の回転に伴って羽根溝16内で昇圧され、インペラ14の表面に形成されている羽根溝16から吐出口10側に向けて吐出される。
流体ポンプ100は、ステータ40のコイルに通電すると、ロータ30が回転し、ロータ30の回転に伴ってインペラ14が回転する。その結果、吸入口2からポンプケーシング8内のインペラ14に燃料が吸い込まれる。上記したように、インペラ14の羽根溝16内の燃料は、昇圧され、吐出口10を通過してモータ部22内に送られる。モータ部22内に送られた燃料は、ステータ40とロータ30の隙間を移動し、供給口48から流体ポンプ100外の内燃機関に向けて圧送される。
(シャフトに加わる偏心荷重)
図2に示されるように、インペラ14の回転軸方向から観測したときに、吸入口2と吐出口10は、インペラ14の周方向において異なる位置に配置されている。なお、この例で示す吸入口2と吐出口10の位置関係は一例であり、吸入口2と吐出口10を他の位置関係に配置することができる。
上記したように、羽根溝16内に流入した燃料は、インペラ14の回転に伴って昇圧される。このため、吸入口2付近の羽根溝16内にある燃料の液圧は相対的に低く、吐出口10付近の羽根溝16内にある燃料の液圧は相対的に高い。このような羽根溝16内の燃料の液圧は、インペラ14を介してシャフト72に荷重を加える。
ここで、インペラ14の回転軸を原点とし、吸入口2の位置を0°とする座標系を定義すると、吐出口10の位置は270°の位置にある。図3には、この座標系を利用して、シャフト72に作用する荷重fのベクトルが10°毎に示されている。シャフト72に作用する荷重fは、吸入口2(0°の位置)から吐出口10(270°の位置)までの間に発生しており、上記したように、羽根溝16内にある燃料の液圧に応じて、吸入口2付近において相対的に低く、吐出口10付近において相対的に高い。
図4には、原点を間において対向する角度(例えば、270°と90°)の荷重fを差し引きしたときの、シャフト72に作用する荷重fのベクトルが示されている。図4に示されるように、シャフト72に作用する荷重fの分布は、非対称な扇状となる。これら荷重fを合成した合力Fは、約30°の位置となる。このように、本実施形態の流体ポンプ100では、インペラ14の羽根溝16内の燃料の液圧差に基づいて、約30°の向きにシャフト72に対して偏心荷重Fが加わる。なお、この例では、偏心荷重Fの向きが約30°であるが、吸入口2と吐出口10の位置関係がこの例と異なれば、偏心荷重Fの向きも異なるものとなる。ただし、上記で説明したように、偏心荷重Fの向きは、吸入口2と吐出口10の位置関係に基づいて一義的に決定され得るものである。
(第1軸受の位置と第2軸受の位置とシャフトの傾きの関係)
図5に、第1軸受62の位置と第2軸受64の位置とシャフト72の傾きの関係を示す。図5(C)は、第1軸受62の中心軸に対して第2軸受64の中心軸が一致して配置されている場合を示す。図5(A)及び図5(B)は、第1軸受62の中心軸(長い一点破線)に対して第2軸受64の中心軸(短い一点破線)が偏心荷重Fの向きに位置ズレして配置されている場合を示す。以下、このような位置ズレを「軸ズレ方向の正の向きの位置ズレ」ということがある。また、ここでいう「軸ズレ方向」とは偏心荷重Fの向きに平行な方向である。図5(D)及び図5(E)は、第1軸受62の中心軸(長い一点破線)に対して第2軸受64の中心軸(短い一点破線)が偏心荷重Fの向きとは反対向きに位置ズレして配置されている場合を示す。以下、このような位置ズレを「軸ズレ方向の負の向きの位置ズレ」ということがある。なお、図示明瞭化を目的として、図5(E)のみに符号を付し、他の図5(A)〜(D)については符号を省略して図示する。
図5(A)の場合、シャフト72は、第1軸受62のうちの第2軸受64に近い側の端部に接触し、第2軸受64のうちの第1軸受62に近い側の端部に接触する。シャフト72に対して偏心荷重Fが加わる位置を力点とすると、第1軸受62とシャフト72の接点62aが支点となり、第2軸受64とシャフト72の接点64aが作用点の関係となる。この場合、力点と支点の間の距離が長くなり、支点と作用点の間の距離が短くなることから、作用点のモーメントMが大きくなることが分かる。また、図5(B)の場合、シャフト72は、軸ズレ方向の一方側で第1軸受62と面接触し、軸ズレ方向の他方側で第2軸受64と面接触し、第1軸受62及び第2軸受64の中心軸方向に対して傾斜していない。本願明細書では、このような状態を「当たり方境界」という。
一方、図5(C)〜(E)の場合、シャフト72は、インペラ14の流体昇圧に起因した偏心荷重Fを受けて傾斜しており、第1軸受62のうちの第2軸受64から遠い側の端部に接触し、第2軸受64のうちの第1軸受62から遠い側の端部に接触する。これらの場合、力点と支点の間の距離が短くなり、支点と作用点の間の距離が長くなることから、作用点のモーメントMが小さくなることが分かる。
このように、図5(C)〜(E)の場合、図5(A)の場合に比して、第2軸受64に作用するモーメントMが小さい。このため、図5(C)〜(E)の場合、図5(A)の場合に比して、シャフト72の摺動抵抗の増加が抑えられる。本実施形態の流体ポンプ100は、図5(C)〜(E)の状態となるように、第1軸受62の中心軸に対する第2軸受64の中心軸の位置が考慮されて製造される。
図6に、第1軸受62の中心軸に対する第2軸受64の中心軸のばらつき範囲を示す。なお、このようなばらつき範囲は、流体ポンプ100を構成する各部品を組み合わせる際のズレ等の製造ばらつきに起因して生じるものである。図の中心(2つの対角線の交点)が第1軸受62の中心軸の位置に対応している。実線101は、第1軸受62の中心軸に対して第2軸受64の中心軸が一致するように製造した比較例における第2軸受64の中心軸のばらつき範囲を示す。図6に示されるように、比較例では、第2軸受64の中心軸が当たり方境界を越えて位置ズレする場合がある。これは、図5(A)に示す状態である。このように、比較例では、シャフト72の摺動抵抗が増加し、ポンプ性能が低下する虞がある。
一方、破線102は、第1軸受62の中心軸に対して第2軸受64の中心軸が位置ズレするように製造した本実施形態の流体ポンプ100における第2軸受64の中心軸のばらつき範囲を示す。このように、本実施形態の流体ポンプ100では、ばらつき範囲102の中心位置102aが、軸ズレ方向の負の向きに位置ズレして配置されている。換言すると、本実施形態の流体ポンプ100は、第1軸受62と第2軸受64がそのような位置関係となるような設計値に基づいて製造される。具体的には、第1軸受62を収容するための第1軸受収容部8a(図1参照)の中心軸に対して第2軸受64を収容するための第2軸受収容部44a(図1参照)の中心軸が、軸ズレ方向の負の向きに位置ズレした位置に存在するように、第1軸受収容部8aと第2軸受収容部44aの設計値が設定されている。
なお、上記したように、このようなばらつき範囲102は、流体ポンプ100を構成する各部品を組み合わせる際のズレ等の製造ばらつきに起因して生じるものであり、様々な不確実性要素に起因した分布範囲となる。ばらつき範囲102の中心位置102aが設計値として設定された第2軸受64の中心軸の位置であるが、実際の第2軸受64の中心軸の位置はその中心位置102aの周囲のばらつき範囲102内に分布する。換言すると、実際に製造された複数の流体ポンプ100の第1軸受62の中心軸に対する第2軸受64の中心軸の位置の平均値又は中央値となる位置が、ばらつき範囲102の中心位置102aと推定することができる。この場合、実際に製造された少なくとも50台の流体ポンプ100の第1軸受62の中心軸に対する第2軸受64の中心軸の位置から平均値又は中央値となる位置を計算すれば、ばらつき範囲102の中心位置102aを推定することができる。
このように、本実施形態の流体ポンプ100は、ばらつき範囲102の中心位置102aが軸ズレ方向の負の向きに位置ズレして配置されるように製造されるので、第1軸受62と第2軸受64とシャフト72の関係が図5(C)〜図5(E)の状態となる。特に、本実施形態の流体ポンプ100では、ばらつき範囲102の中心位置102aが軸ズレ方向の負の向きに大きく位置ズレしているので、ばらつき範囲102に当たり方境界の位置が含まれないことから、第1軸受62と第2軸受64とシャフト72の関係が図5(C)〜図5(E)の状態となることが保証されている。これにより、本実施形態の流体ポンプ100では、シャフト72の摺動抵抗の増加が確実に抑えられる。
なお、ばらつき範囲102の中心位置102aが軸ズレ方向の負の向きに位置ズレしている限り、そのばらつき範囲102に当たり方境界の位置が含まれていてもよい。この場合でも、実線101の比較例に比して、実際に製造される流体ポンプ100の第2軸受64の中心軸の位置が当たり方境界を越えて位置ズレする場合が減少するので、シャフト72の摺動抵抗が増加した流体ポンプ100が製造される確率を減らすことができる。
また、ばらつき範囲102の中心位置102aが軸ズレ方向の負の向きに位置ズレしている限り、ばらつき範囲102の中心位置102aが軸ズレ方向に直交する方向にも位置ズレしていてもよい。ただし、シャフト72の摺動抵抗の増加を抑える効果を最大化するために、ばらつき範囲102の中心位置102aが軸ズレ方向の負の向きのみに位置ズレしていてもよい。すなわち、図6において、ばらつき範囲102の中心位置102aが、軸ズレ方向に伸びる対角線上にあってもよい。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2 :吸入口
8 :ポンプケーシング
10 :吐出口
14 :インペラ
16 :羽根溝
22 :モータ部
24 :ポンプ部
30 :ロータ
40 :ステータ
48 :供給口
50 :ブラシレスモータ
62 :第1軸受
64 :第2軸受
72 :シャフト
80 :ハウジング
100 :流体ポンプ

Claims (4)

  1. 第1端と第2端を有するシャフトと、
    前記シャフトの前記第1端側を支持する第1軸受と、
    前記シャフトの前記第2端側を支持する第2軸受と、
    前記第1軸受が配置されている位置よりも前記シャフトの前記第1端に近い側に取り付けられているインペラと、を備えており、
    前記第1軸受の中心軸に対する前記第2軸受の中心軸のばらつき範囲の中心位置が、前記インペラの流体昇圧によって前記シャフトに加わる偏心荷重の向きとは反対向きに位置ズレした位置に存在している、流体ポンプ。
  2. 請求項1に記載の流体ポンプであって、
    前記ばらつき範囲には、前記第1軸受の中心軸に対する前記第2軸受の中心軸が前記偏心荷重の向きに位置ズレしたときの当たり方境界の位置が含まれない、流体ポンプ。
  3. 第1端と第2端を有するシャフトと、
    前記シャフトの前記第1端側を支持する第1軸受と、
    前記シャフトの前記第2端側を支持する第2軸受と、
    前記第1軸受が配置されている位置よりも前記シャフトの前記第1端に近い側に取り付けられているインペラと、を備える流体ポンプの製造方法であって、
    前記第1軸受の中心軸に対する前記第2軸受の中心軸のばらつき範囲の中心位置が、前記インペラの流体昇圧によって前記シャフトに加わる偏心荷重の向きとは反対向きに位置ズレした位置に存在するように、前記第1軸受と前記第2軸受を配置する工程、を有する、流体ポンプの製造方法。
  4. 請求項3に記載の流体ポンプの製造方法であって、
    前記ばらつき範囲には、前記第1軸受の中心軸に対する前記第2軸受の中心軸が前記偏心荷重の向きに位置ズレしたときの当たり方境界の位置が含まれない、流体ポンプの製造方法。
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