JP2021024866A - 無機−有機三次元ナノ構造体 - Google Patents

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鈴木 康介
Kosuke Suzuki
康介 鈴木
山口 和也
Kazuya Yamaguchi
和也 山口
水野 哲孝
Tetsutaka Mizuno
哲孝 水野
赤峰 李
Chifeng Li
赤峰 李
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Abstract

【解決課題】欠損型ポリオキソメタレートに基づいて、安定性が高いポリオキソメタレート系化合物を提供すること。【解決手段】ヘテロ原子に対してポリ原子が酸素原子を介して配位した構造を有し、ヘテロ原子がケイ素、ゲルマニウム、リン又はヒ素であり、かつ、ポリ原子がモリブデン又はタングステンである欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオンの欠損構造部位に、ピリジン又はピリジン誘導体が導入されたアニオン(I)を含む化合物。

Description

本発明は、新規の無機−有機三次元ナノ構造体及びその調製方法に関わる。より具体的には、欠損型ポリオキソ金属酸塩に特定の配位子を配位させたアニオン部分を含む化合物及びその調製方法に関わる。
工業化学プロセスにおいて、目的製品を選択的・効率的に合成するためには、反応に合わせた触媒設計が必要であり、そのための触媒調製技術を確立することは重要な課題の一つである。
ポリオキソメタレート(POM)は、金属が高い酸化状態(例えば、Mo6+、W6+、V5+)であるアニオン性金属酸化物のクラスターであり、それらの化学的および物理的性質は、構造および金属原子の適切な選択によって容易に、触媒作用、光触媒作用、センサー、バッテリー、エネルギー変換、磁性などの応用範囲として調節され得る(例えば、非特許文献1〜3)。
POMの中でも、モリブデン酸化物クラスターは、水素イオンや電子の受け渡しにおける独特な性質を生かして、工業合成化学における重要な触媒材料の1つになっている。
また、ポリオキソメタレート(POM)から1つ以上の{MO}単位が除去されている欠損型(Lacunary)POMは、有機配位子および金属種のための構造的に明確に定義された非常に反応性の高い空隙部を有する(非特許文献4〜7)。特に、安定構造から一部のモリブデン原子が欠損した欠損型モリブデン酸化物クラスターは、モリブデン原子が欠損した部位に他の金属を導入することで、さらに高効率・高選択的な物質変換が可能な触媒や、センサー・電池材料等の機能性材料を開発できると期待される材料である。
しかしながら、欠損型モリブデン酸化物クラスターは安定性が低く、溶液中で速やかに構造が変化し、取り扱いが難しく、また、狙い通りの金属配列の実現や、有機分子との複合化によるナノ材料の設計は困難であり、有効な解決策が求められていた。
Pope, M. T. Heteropoly and Isopoly Oxometalates; Springer: Berlin, 1983. Mizuno, M.; Misono, M. Heterogeneous Catalysis. Chem. Rev. 1998, 98, 199. Hill, C. L. Comprehensive Coordination Chemistry II; McCleverty, J. A.; Meyer, T. J., Eds.; Elsevier Pergamon: Amsterdam; 2004; Vol. 4, p 679. Proust, A.; Thouvenot, R.; Gouzerh, P. Functionalization of Polyoxometalates: Towards Advanced Applications in Catalysis and Materials Science. Chem. Commun. 2008, 1837. Dolbecq, A.; Dumas, E.; Mayer, C. R.; Mialane, P. Hybrid Organic-Inorganic Polyoxometalate Compounds: From Structural Diversity to Applications. Chem. Rev. 2010, 110, 6009. Long, D.-L.; Tsunashima, R.; Cronin, L. Polyoxometalates: Building Blocks for Functional Nanoscale Systems. Angew. Chem., Int. Ed. 2010, 49, 1736. Proust, A.; Matt, B.; Villanneau, R.; Guillemot, G.; Gouzerh, P.; Izzet, G. Functionalization and Post-Functionalization: A Step Towards Polyoxometalate-Based Materials. Chem. Soc. Rev. 2012, 41, 7605.
本発明は、欠損型ポリオキソメタレートに基づいて、安定性が高いポリオキソメタレート系化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、欠損型モリブデン酸化物クラスターを安定化する手法について鋭意検討した結果、ピリジン系化合物を用いた構造制御によりモリブデン酸化物クラスターの安定性が飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
[1]ヘテロ原子に対してポリ原子が酸素原子を介して配位した構造を有し、ヘテロ原子がケイ素、ゲルマニウム、リン又はヒ素であり、かつ、ポリ原子がモリブデン又はタングステンである欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオンの欠損構造部位に、ピリジン又はピリジン誘導体が導入されたアニオン(I)を含む化合物。
[2]前記欠損構造部位に、ピリジン又はピリジン誘導体が配位している、[1]に記載の化合物。
[3][YMo34n−の組成式(式中、Yは、P、Ge、Si又はAsから選択され、nは9または10である。)で表される欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオンの欠損構造部位に、ピリジン又はピリジン誘導体が導入されたアニオン(I)を含む化合物。
[4]前記アニオン(I)が以下の組成式(1):
[(py)6−2aYMo34−an− (1)
(式中、pyはピリジン又はその誘導体を表し、Yは、P、Ge、Si又はAsから選択され、aは0より大きく、3以下である。nは9または10である。)
で表される、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の化合物。
[5]前記アニオン(I)が[(py)PMo313−で表される、[4]に記載の化合物。
[6]前記アニオン(I)が[(py)SiW10344−で表される、[1]又は[2]に記載の化合物。
[7]前記ピリジン誘導体が以下の式(a)により表される、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物。
(式中、Rは、1〜5個の同一又は異なる置換基であり、該置換基は炭素数1〜10の置換又は無置換のアルキル基、ハロゲン原子、アミノ基又はニトロ基から選択される。)
[8][YMo34−9の組成式(式中、Yは、P、Ge、Si又はAsから選択される)で表される2つの欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオンと、4、4’−ビピリジン又はその誘導体とを含み、2つの欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオンが1以上の4、4’−ビピリジン又はその誘導体を介して会合しているアニオン(II)を含むナノ構造体。
[9]前記アニオン(II)が以下の組成式(2):
[(bpy)(py)6−2b(YMo31m−(2)
(式中、bpyは4、4’−ビピリジン又はその誘導体を表し、pyはピリジン又はその誘導体を表し、Yは、P、Ge、Si又はAsから選択され、bは1〜3の整数であり、mは6〜8である。)
で表される、[8]に記載のナノ構造体。
[10]前記アニオン(II)が[(bpy)(PMo316−で表される、[9]に記載のナノ構造体。
[11][YMo34n−の組成式(式中、Yは、P、Ge、Si又はAsから選択され、nは9または10である。)で表される4つの欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオンと、ピリジル基を有するポルフィリンを含み、4つの欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオンが1以上の前記ポルフィリンを介して会合しているアニオン(III)を含むナノ構造体。
[12]前記アニオン(III)が以下の式(3):
[(tpyp)(py)12−4c(YMo31p− (3)
(式中、tpypは4つのピリジル基を有するポルフィリンを表し、pyはピリジン又はその誘導体を表し、Yは、P、Ge、Si又はAsから選択され、cは1又は2であり、pは12〜16である。)
で表される、[11]に記載のナノ構造体。
[13]前記アニオン(III)が[(tpyp)(py)(PMo3112−で表される、[12]に記載のナノ構造体。
[14]tpypが5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィリンである、[12]又は[13]に記載の化合物。
[15]X[(py)6−2aYMo34−a]の組成を有する、[4]に記載の化合物(式中、Xは対カチオンを表す)。
[16]X[(py)PMo31]の組成を有する、[5]に記載の化合物(式中、Xは対カチオンを表す)。
[17]Xが、テトラブチルアンモニウム又はテトラフェニルホスホニウムである、[15]又は[16]に記載の化合物
[18]X[(bpy)(py)6−2b(YMo31]の組成を有する、[9]に記載のナノ構造体(式中、Xは対カチオンを表す)。
[19]X[(bpy)(PMo31]の組成を有する、[10]に記載のナノ構造体(式中、Xは対カチオンを表す)。
[20]X12[(tpyp)(py)12−4c(YMo31]の組成を有する、[12]に記載のナノ構造体(式中、Xは対カチオンを表す)。
[21]X12[(tpyp)(py)(PMo31]の組成を有する、[13]に記載のナノ構造体(式中、Xは対カチオンを表す)。
[22]Xが、テトラブチルアンモニウム又はテトラフェニルホスホニウムである、[18]〜[21]のいずれか1項に記載のナノ構造体。
[23][11]〜[14]、[20]〜[21]のいずれか1項に記載のナノ構造体の内部に有機分子が取り込まれているナノ構造体。
[24]前記有機分子が芳香族化合物である、[23]に記載のナノ構造体。
[25](1)モリブデン酸ナトリウム二水和物及びリン酸二水素ナトリウム二水和物を含む水溶液を提供する工程、
(2)(1)で得られた水溶液に、酸性下で、XBr(Xは、対カチオンである)を加えることにより、X[HPMo34]を得る工程、及び
(3)X[HPMo34]に、過剰量のピリジン又はピリジン誘導体を加える工程、
を含む、X[pyPMo31](pyは、ピリジン又はピリジン誘導体である)を調製する方法。
[26]X[pyPMo31](Xは、対カチオンである)及び4,4’−ビピリジン又はその誘導体を有機溶媒に溶解することを含む、X[(bpy)(PMo31](bpyは、4,4’−ビピリジン又はその誘導体である)の組成を有するナノ構造体を調製する方法。
[27]X[pyPMo31]及びtpyp(5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィリンであって、各々のピリジル基は同一又は異なる1以上の置換基を有していてもよい)を有機溶媒に溶解することを含む、X12[(tpyp)(py)(PMo31]の組成を有するナノ構造体を調製する方法。
[28][MnPMo37(CHCOO)q−のアニオン(qは2〜6である)を含む化合物。
[29][28]に記載の化合物を含む、アルカン、アルケン、アルコール、アルデヒド、芳香族化合物、含窒素有機化合物、含硫黄有機化合物等の酸化反応、及び酸反応用の触媒。
を提供するものである。
本発明においては、欠損型ポリオキソメタレートに、ピリジン又はその誘導体を配位させることにより、安定性が高いポリオキソメタレート系化合物を提供することができる。本発明の化合物は、溶液中・大気中においてその構造が安定に保たれる。
また、本発明の化合物を前駆体として用いて、2つのモリブデン酸化物クラスターと1〜3つ(好適には3つ)のビピリジンが組み合わされたナノ構造体を得ることができ、このナノ構造体は溶液中においても安定である。
また、本発明の化合物を前駆体として用いることにより、4つのモリブデン酸化物クラスターと2つのポルフィリンが組み合わされたナノ構造体を得ることができ、このナノ構造体は2つのポルフィリンの間のナノ空隙に様々な有機分子を取り込むことができる。
更に、本発明のポリオキソメタレート系化合物に金属イオンを導入することにより、様々な構造・組成・物性を有する触媒や新規材料を設計することが可能である。
モリブデン酸化物クラスターに基づく本発明の化合物の模式図。 本発明のナノ構造体の非限定的な例の模式図。 TBA[HPMo34]とピリジンからTBA−Iを合成する模式図(図3a)、TBA−Iの結晶構造(図3b)、TBA−Iの31P NMRスペクトル(図3c)、室温で7日間保存した後のアセトニトリル−d中のTBA−Iの31P NMRスペクトル(図3d)、室温で7日間保存した後のアセトニトリル−dおよびピリジン−d混合物(9/1、v/v)中のTBA−1の31P NMRスペクトル(図3e)を示す。 アセトニトリル中のTBA−IのH NMRスペクトルを示す。 アセトニトリル中のTBA−Iのコールドスプレーイオン化(CSI)質量スペクトルを示す。 アセトニトリルとピリジンの混合物(9/1、v/v)中のTBA−IのCSI質量スペクトルを示す。 TPP−Iのアニオン部分の熱楕円体プロット図(50%確率水準)を示す。 TPP−Iの31P NMRスペクトル(アセトニトリル−d中)を示す。 TPP−IのH NMRスペクトル(アセトニトリル−d中)を示す。 アセトニトリル中のTPP−Iの陽イオンCSI質量スペクトル図10a)及び陽イオンESI質量スペクトル(図10b)を示す。 2つのIおよび3つのbpy配位子からIIを合成する模式図(図11a)、TBA−IIの結晶構造(図11b)、アセトニトリル中のTBA−IIの陽イオンESI質量スペクトル(図11c)、TBA−IIの31P NMRスペクトル(図11d)、ニトロメタン−d中のTBA−IIのH NMRスペクトル(図11e)を示す。 TBA−IIのアニオン部分の熱楕円体プロット図(50%確率水準)を示す。 4個のIおよび2個のtpyp配位子からIIIの合成及びANQのIIIへの挿入を示す模式図(図13a)、TPP―IIIの結晶構造(図13b及びc)、 TPP―III・ANQの結晶構造(図13d)、アセトニトリル−d中のTBA―IIIのH NMRスペクトル(図13e)、TPP―IIIのアセトニトリル中の陽イオンESI質量スペクトル(図13f)、アセトニトリル中のTPP−IIIとANQの混合物の陽イオンESI質量スペクトル(図13g)を示す。 TPP−IIIのアニオン部分の熱楕円体プロット図(50%確率水準)を示す。 アセトニトリル−d中のTBA−IIIの31P NMRスペクトルを示す。 IIIの構造の部分的ボールスティックの表示図(図16a)、アセトニトリル−d中のTBA−IIIのH NMRスペクトル(図16b)を示す。 アセトニトリル−d中のTBA−IIIのH−H COSY NMRスペクトルを示す。 アセトニトリル−d中のTBA−IIIのH−H NOESY NMRスペクトルを示す。 アセトニトリル中のTBA−IIIのUV−Visスペクトルを示す。 ゲスト分子の存在下におけるアセトニトリル中のTPP−IIIのESI質量スペクトルを示す(a)1,4−ジヒドロキシナフタレン(G1)、b)1,4−ナフトキノン(G2)、及びc)1,8−ナフタル酸無水物(G3))。 TPP−III・ANQのアニオン部分の熱楕円体プロット図(50%確率水準)を示す。 TPP−III・ANQ中のANQのカルボニル酸素原子と、tpypおよびpy配位子のピリジル基のC−H結合の間の水素結合の表示図を示す。 MnPMo37(CHCOO)5−のCSI−MSスペクトルを示す。 熱楕円体図で示したアニオン部分のORTEP表示を示す(50%確率水準)。
1.本発明の化合物
本発明の1つの実施態様は、ヘテロ原子に対してポリ原子が酸素原子を介して配位した構造を有し、ヘテロ原子がケイ素、ゲルマニウム、リン又はヒ素であり、かつ、ポリ原子がモリブデン又はタングステンである欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオンの欠損構造部位に、ピリジン又はピリジン誘導体が導入されたアニオン(I)を含む化合物である(以下、「本発明の化合物」とも言う)。
本発明の化合物においては、好適には、欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオンの欠損構造部位にピリジン又はピリジン誘導体が配位した構造を有する。
本発明の化合物の1つの側面においては、[YMo34n−の組成式(式中、Yは、P、Ge、Si又はAsから選択され、nは9または10である。)で表される欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオンの欠損構造部位に、ピリジン又はピリジン誘導体が導入されたアニオン(I)を含む。
Yは、好ましくは、P(リン)である。
本発明の化合物について、ポリ原子がモリブデン、ヘテロ原子がリンである欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオン(モリブデン酸化物クラスター)である場合について図1の模式図を用いて説明する。
図1の左図で表されるように、モリブデン酸化物クラスターは約1nm程度のサイズを有し、6つの活性点を有している。この活性点はモリブデン原子が欠損した部位であり、金属イオンと反応し易いが、非常に不安定で、溶液中で速やかに構造が変化する。理論に拘束されることを意図するものではないが、本発明者らは、この活性点の内1〜3つの活性点、好ましくは3つの活性点にピリジン又はその誘導体を導入することにより、ピリジンの窒素原子がモリブデン酸化物クラスターの反応性が高い部位に結合して保護基として機能し、不要な構造変化を抑制できることを見出した。
そして、本発明の化合物を前駆体として用いることにより、後述する三次元ナノ構造体を調製することができ、また、モリブデン原子が欠損した部位に他の金属を導入することで、さらに高効率・高選択的な物質変換が可能な触媒や、センサー・電池材料等の機能性材料を開発できることが可能となる。
本発明の化合物の1つの側面においては、アニオン(I)は以下の組成式(1)で表される。
[(py)6−2aYMo34−an− (1)
式(1)において、pyはピリジン又はその誘導体を表す。aが2以上である場合は、pyは同一又は異なっていてもよい。
ピリジン誘導体は、以下の式(a)により表される。

式(a)において、Rは、1〜5個の同一又は異なる置換基であり、該置換基は炭素数1〜10の置換又は無置換のアルキル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アミノ基又はニトロ基から選択される。
好ましくは、pyはピリジンである。
Yは、P、Ge、Si又はAsから選択され、好ましくは、P(リン)である。
aは、0より大きく3以下であり、好ましくは、1以上3以下の整数であり、より好ましくは3である。
また、nは9または10である。
本発明の化合物の好ましい側面において、アニオン(I)は[(py)PMo313−で表される。
pyは、ピリジン又はその誘導体であり、pyは同一又は異なっていてもよい。pyは、好ましくはピリジンである。
本発明の化合物の別の側面において、アニオン(I)は[(py)SiW10344−で表される。pyについては上記した通りである。
本発明の化合物は、アニオン(I)と、当該アニオンと対をなすカチオンとで塩を形成することができる。
アニオン(I)の塩を形成する対カチオンとしては、同一もしくは異なっていてもよく、第4級アンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリブチルメチルブチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウム、トリラウリルメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム等)、第4級フォスフォニウム(テトラメチルフォスフォニウム、テトラエチルフォスフォニウム、テトラプロピルフォスフォニウム、テトラブチルフォスフォニウム、ベンジルトリフェニルフォスフォニウム等)等が挙げられる。
対カチオンとして、好ましくは、テトラブチルアンモニウム、テトラフェニルホスホニウムである。
本発明の1つの側面は、X[(py)6−2aYMo34−a]の組成を有する化合物である。
py、Y、aは上記した通りである。
Xは、上記の対カチオンを表し、好ましくは、テトラブチルアンモニウム又はテトラフェニルホスホニウムである。
本発明の1つの好ましい側面は、X[(py)PMo31]の組成を有する化合物である。
pyは、ピリジン又はその誘導体を表し、好ましくはピリジンである。
Xは、上記の対カチオンを表し、好ましくは、テトラブチルアンモニウム又はテトラフェニルホスホニウムである。
本発明の化合物又はその塩は、水和物及び/又は溶媒和物(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、N,N−ジメチルアセトアミド、ニトロメタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン)として存在する場合もあるが、これらの物質も本発明の範囲内である。
2.本発明のナノ構造体
本発明のもう1つの実施態様は、[YMo34n−の組成式(式中、Yは、P、Ge、Si又はAsから選択され、nは9または10である。)で表される2つの欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオンと、4、4’−ビピリジン又はその誘導体とを含み、2つの欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオンが1以上の4、4’−ビピリジン又はその誘導体を介して会合しているアニオン(II)を含むナノ構造体である(以下、「本発明のナノ構造体1」とも言う)。
本発明のナノ構造体1の非限定的な例の模式図を図2に示す(図2の上段)。
図2の上段真中に記載されている、[(py)PMo313−で表されるアニオン(I)を含む前駆体(ここで、pyはピリジンである)を用いて、これに4、4’−ビピリジンを加えて、ピリジンとイオン交換させることにより、2つの(PMo31)アニオンが4、4’−ビピリジンを介して会合又は連結しているダイマーの構造を有するアニオン(II)を含む三次元ナノ構造体を形成させることができる。本発明のナノ構造体1は溶液中においても安定に存在することができる。
本発明のナノ構造体1の1つの側面において、アニオン(II)は以下の組成式(2)で表される。
[(bpy)(py)6−2b(YMo31m− (2)
式(2)において、bpyは4、4’−ビピリジン又はその誘導体を表す。bが2以上である場合は、bpyは同一又は異なっていてもよい。
4、4’−ビピリジンの誘導体は、1又はそれ以上の置換基を有する4、4’−ビピリジンである。置換基としては、炭素数1〜10の置換又は無置換のアルキル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アミノ基又はニトロ基から選択される。
pyはピリジン又はその誘導体を表し、ピリジン誘導体については上記で説明した通りである。
式(2)において、Yは、P、Ge、Si又はAsから選択され、好ましくはP(リン)である。
式(2)において、bは1〜3の整数であり、好ましくは3である。
また、式(2)において、mは、6〜8である。
本発明のナノ構造体1の好ましい側面において、アニオン(II)は、[(bpy)(PMo31−6で表される。
bpyは4、4’−ビピリジン又はその誘導体であり、同一又は異なっていてもよい。bpyは、好ましくは4、4’−ビピリジンである。
本発明のナノ構造体1は、アニオン(II)と、当該アニオンと対をなすカチオンとで塩を形成することができる。対カチオンについては、本発明の化合物において説明したのと同様である。
本発明の1つの側面は、X[(bpy)(py)6−2b(YMo31]の組成を有するナノ構造体である。
bpy、py、Y、bについては上記した通りである。
Xは、対カチオンを表し、その詳細については本発明の化合物において説明したのと同様である。Xは、好ましくは、テトラブチルアンモニウム又はテトラフェニルホスホニウムである。
本発明の1つの好ましい側面は、X[(bpy)(PMo31]の組成を有するナノ構造体である。
bpyは、4、4’−ビピリジン又はその誘導体を表し、好ましくは4、4’−ビピリジンである。
Xは、対カチオンを表し、好ましくは、テトラブチルアンモニウム又はテトラフェニルホスホニウムである。
本発明のナノ構造体1又はその塩は、水和物及び/又は溶媒和物(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、N,N−ジメチルアセトアミド、ニトロメタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン)として存在する場合もあるが、これらの物質も本発明の範囲内である。
本発明のもう1つの実施態様は、[YMo34−9の組成式(式中、Yは、P、Ge、Si又はAsから選択される)で表される4つの欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオンと、ピリジル基を有するポルフィリンとを含み、4つの欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオンが1以上の前記ポルフィリンを介して会合しているアニオン(III)を含むナノ構造体である(以下、「本発明のナノ構造体2」とも言う)。
本発明のナノ構造体2の非限定的な例の模式図を図2に示す(図2の下段)。
図2の上段真中に記載されている、[(py)PMo313−で表されるアニオン(I)を含む前駆体(ここで、pyはピリジンである)を用いて、これに5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィリンを加えて、ピリジンとイオン交換させることにより、4つの(PMo31)アニオンが当該ポルフィリンを介して会合又は連結しているテトラマーの構造を有するアニオン(III)を含む三次元ナノ構造体を形成させることができる。本発明のナノ構造体2は溶液中においても安定に存在することができる。
本発明のナノ構造体2の1つの側面において、アニオン(III)は以下の式(3)で表される。
[(tpyp)(py)12−4c(YMo31p− (3)
式(3)において、tpypは4つのピリジル基を有するポルフィリンを表す。tpypは、好ましくは、5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィリンである。このポルフィリンの各々のピリジル基部分は、1又はそれ以上の同一又は異なる置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素数1〜10の置換又は無置換のアルキル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アミノ基又はニトロ基から選択される。
pyはピリジン又はその誘導体を表し、ピリジン誘導体については上記で説明した通りである。
式(3)において、Yは、P、Ge、Si又はAsから選択され、好ましくはP(リン)である。
cは、1又は2であり、好ましくは2である。
また、pは12〜16である。
本発明のナノ構造体2の好ましい側面において、アニオン(III)は[(tpyp)(py)(PMo3112−で表される。
tpyp、pyについては、上記で説明したのと同様である。
本発明のナノ構造体2は、アニオン(III)と、当該アニオンと対をなすカチオンとで塩を形成することができる。対カチオンについては、本発明の化合物において説明したのと同様である。
本発明の1つの側面は、X12[(tpyp)(py)12−4c(YMo31]の組成を有するナノ構造体である。
tpyp、py、Y、cについては上記した通りである。
Xは、対カチオンを表し、その詳細については本発明の化合物において説明したのと同様である。Xは、好ましくは、テトラブチルアンモニウム又はテトラフェニルホスホニウムである。
本発明の1つの好ましい側面は、X12[(tpyp)(py)(PMo31]の組成を有するナノ構造体である。
Xは、対カチオンを表し、その詳細については本発明の化合物において説明したのと同様である。Xは、好ましくは、テトラブチルアンモニウム又はテトラフェニルホスホニウムである。
本発明のナノ構造体2又はその塩は、水和物及び/又は溶媒和物(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、N,N−ジメチルアセトアミド、ニトロメタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン)として存在する場合もあるが、これらの物質も本発明の範囲内である。
本発明のもう1つの態様は、2つのポルフィリン化合物が配位したナノ構造体2又はその塩の内部に有機分子が取り込まれたナノ構造体である。
即ち、4つのモリブデン酸化物クラスターと2つのポルフィリン化合物が組み合わされた本発明のナノ構造体2又はその塩は、2つのポルフィリン化合物の間にナノ空隙を有しており、その空隙内に様々な有機分子を1分子取り込むことができる。
有機分子としては、芳香族化合物(例えば、ベンゼン、トルエン、アセナフトキノン、1,4−ジヒドロナフタレン、1,4−ナフトキノン)等が挙げられる。有機分子として好ましくは、アセナフトキノン、1,4−ジヒドロナフタレン、1,4−ナフトキノンである。
3.本発明の化合物の製造方法
本発明のもう1つの実施態様は、
(1)モリブデン酸ナトリウム二水和物(NaMoO・2HO)及びリン酸二水素ナトリウム二水和物(NaHPO・2HO)を含む水溶液を提供する工程、
(2)(1)で得られた水溶液に、酸性下で、XBr(Xは、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウム等の対カチオンである)を加えることにより、X[HPMo34]を得る工程、
(3)X[HPMo34]に、過剰量のピリジン又はピリジン誘導体を加える工程、
を含む、X[(py)PMo31]を調製する方法である。
上記(2)の工程においては、塩酸等の酸を加えることによりpHを酸性に調整することができる。
上記(3)の工程において、ピリジン又はピリジン誘導体の添加量は、X[HPMo34]の物質量に対して5当量以上である。ここで、ピリジン等の添加量を上記の範囲より少ない量で調整することにより、3つの活性点にピリジン又はピリジン誘導体を導入せずにその一部にピリジン又はピリジン誘導体を導入することができる。これにより、X[(py)6−2aPMo34−a]の組成を有する化合物を調製することが可能である。
4.本発明のナノ構造体の製造方法
本発明のもう1つの実施態様は、
[PyPMo31]及び4,4’−ビピリジン又はその誘導体を有機溶媒に溶解することを含む、X[(bpy)(PMo31]の組成を有するナノ構造体1を調製する方法である。
4,4’−ビピリジン又はその誘導体の添加量は、X[(py)PMo31]の物質量に対して1.5当量である。ここで、4,4’−ビピリジン又はその誘導体の添加量を上記の範囲より少ない量で調整することにより、((py)PMo31)のアニオンのpy(ピリジン等)の一部を4,4’−ビピリジン又はその誘導体と置き換えることにより、X[(bpy)(py)6−2b(PMo31]の組成を有するナノ構造体を調製することが可能である。
有機溶媒としては、アセトニトリル、アセトン、ニトロメタン等が用いられる。
[(py)PMo31]及び4,4’−ビピリジン又はその誘導体を有機溶媒に溶解した後、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル等の第2の有機溶媒を添加することが好ましい。
第2の有機溶媒を添加した後、室温程度で数日程度静置すると本発明のナノ構造体が生成される。
本発明のもう1つの実施態様は、X[(py)PMo31]及び5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィン(各々のピリジル基は同一又は異なる1以上の置換基を有していてもよい)を有機溶媒に溶解することを含む、X12[(tpyp)(py)(PMo31]の組成を有するナノ構造体2を調製する方法である。
5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィン(各々のピリジル基は同一又は異なる1以上の置換基を有していてもよい)の添加量は、X[(py)PMo31]の物質量に対して0.5当量である。ここで、当該ポルフィリンの添加量を上記の範囲より少ない量で調整することにより、ポルフィリン化合物が1当量だけ導入されたナノ構造体を調製することが可能である。
有機溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド/1,2−ジクロロエタンの混合溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド/ジクロロメタンが用いられる。
[PyPMo31]及びポルフィリン化合物を有機溶媒の溶解した後、
50℃で1時間撹拌した後、室温に戻し、第2の有機溶媒(トルエン等)を添加してもよい。
第2の有機溶媒を添加した後、室温程度で数日程度静置すると本発明のナノ構造体が生成される。
5.本発明の化合物の用途
本発明の化合物は、モリブデン酸化物クラスター等の欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオンにピリジンを導入することにより安定化されていることから、ピリジンを金属イオンに置き換えることにより様々な構造・組成・物性を有する新規材料の設計が可能である。
即ち、本発明のもう1つの態様は、X[(py)PMo31]の組成を有する化合物において、pyがM(金属イオン)で置き換えられた化合物である。
このような化合物の一例として、[MnPMo37(CHCOO)q−(qは2〜6である)のアニオンを含む化合物が挙げられる。
かかる化合物は、アルカン、アルケン、アルコール、アルデヒド、芳香族化合物、含窒素有機化合物、含硫黄有機化合物等の酸化反応、及び酸反応用の触媒として使用することができる。
以下本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
機器
CSI質量スペクトルはJEOL JMS−T100CS装置で測定した。
ESI質量スペクトルは、Waters Xevo G2−XS QTof装置で測定した。
FT−IRスペクトルは、KClディスクを用いてJASCO FT/IR−4100装置で測定した。
NMRスペクトルは、5mmチューブを用いてJEOL ECA−500分光計(H、500.16MHz;31P、202.47MHz)で測定した。化学シフト(δ)は、H NMRスペクトルについてはTMSから低磁場へのppmで、31P NMRスペクトルについてはHPO(溶媒、DO)からの高磁場でそれぞれ記した。
UV−Visスペクトルは、1.0cmの光路長を有する石英セルを用いてJASCO V−570装置で測定した。
TG−DTAは、Rigaku Thermo plus TG 8120装置で測定した。
PおよびMoのICP−AES分析は、島津製ICPS−8100装置を用いて行った。
C、H、Nの元素分析は、東京大学理学部元素分析センターのElementar vario MICRO cubeで行った。
材料
モリブデン酸ナトリウム二水和物(和光)、リン酸二水素ナトリウム二水和物(和光)、塩酸(関東化学)、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム(TBABr、TCI)、臭化テトラフェニルホスホニウム(TPPBr、TCI)、N、N−ジメチルアセトアミド(DMA、関東化学)、アセトン(関東化学)、アセトニトリル(関東化学)、ニトロメタン(TCI)、1,2−ジクロロエタン(関東化学)、1,4−ジオキサン(関東化学)、酢酸エチル(関東化学)、ジエチルエーテル(関東化学)、ピリジン(py、関東化学)、4,4’−ビピリジン(bpy、TCI)、5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)ポルフィリン(tpyp、TCI)、アセナフテンキノン(TCI)、1,4−ジヒドロキシナフタレン(TCI)、1,4−ナフトキノン(TCI)、1,8−ナフタル酸無水物(TCI)および重水素化溶媒(ジメチルスルホキシド−d、アセトニトリル−d、ニトロメタン−d、およびピリジン−d)(関東化学)をそのまま使用した。
X線結晶構造解析
単結晶X線回折測定は、123Kでグラフィック単色化Mo Kα放射線(λ=0.71069Å、50kV、24mA)を有するRigaku MicroMax−007 Saturn 724 CCD検出器で行った。データは、Crystal Clear(CrystalClear 1.3.6, Rigaku and Rigaku/MSC, The Woodlands, TX、Pflugrath, J. W. Acta Crystallogr. Sect. D 55, 1718 (1999))及びHKL2000(Otwinowski, W. Minor, Processing of X-ray Diffraction Data Collected in Oscillation Mode in Methods in Enzymology, (Eds.: C. W. Carter, Jr., R. M. Sweet), Macromolecular Crystallography, Part A, Academic press, New York, 276, 307 (1997).)を使用して収集および処理した。
中性散乱因子は標準供給源から得た。データの削減においては、ローレンツ補正と偏光補正を行った。構造解析は、CrystalStructure(CrystalStructure 3.8, Rigaku and Rigaku/MSC, The Woodlands, TX)とWinGX(Farrugia, L. J. J. Appl. Crystallogr, 32, 837 (1999))を用いて行った。
すべての構造をSHELXS−97(直接法)によって解決し、SHELXL−2014(Sheldrick, G. M. SHELX97, Programs for Crystal Structure Analysis, Release 97-92, University of Gcttingen, Gcttingen, Germany, 1997、Sheldrick, G. M. SHELX-2014, Programs for Crystal Structure Analysis, University of Gcttingen, Gcttingen, Germany, 2014.)によって精密化した。
POM骨格中の金属原子(P、Mo)及び酸素原子、配位子及びTPPカチオンは、異方性的に精密化した。結晶化溶媒およびTBAカチオンは等方的に精密化した。
TPP−III・ANQについての大きなRおよびwR値は、TPPカチオンおよび溶媒分子の著しい無秩序のためである可能性が高い。TBA−I、TBA−II、TPP−III・ANQの無秩序なTBAカチオンと溶媒分子はSQUEEZEプログラム(van der Sluis, P. A. & Spek, L. Acta Crystallogr. Sect. A 46, 194 (1990))を用いて除いた。
結合価数合計(BVS)計算
観察された結晶中の2つの原子iとjの間の結合価Vを有する結合の長さrijの変化についての以下の式により、BVS値を計算した。式中、Bは0.37Åに等しい定数、r′は与えられた原子対に対する結合原子価パラメータである(Brown, I. D. & Altermatt, D. Acta Crystallogr. Sect. B 41, 244 (1985)、Brese, N. E. & O’Keeffe, M. Acta Crystallogr. Sect. B 47, 192 (1991))。
[合成実施例1]
TBA−Iの合成
モリブデン酸ナトリウム二水和物(NaMoO・2HO)(8.72g、36.0mmol)を水(200mL、5℃)に溶かし、リン酸二水素ナトリウム二水和物(NaHPO・2HO)(624mg、4.00mmol)を加えた。37%の塩酸を滴下し、pHを1.0に調整した後に、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBABr)(12.9g、40.0mmol)を加え、5℃で1分程激しく撹拌した。出来た沈殿を濾過により回収し、冷水で洗浄し、室温で真空乾燥させた。得られた淡黄色粉末はTBA[HPMo34]とする(9.70g、純度86%、りん酸二水素二水和物をベースにして収率96%)。
TBA[HPMo34]を1g秤量し、ピリジン(5.0mL)を加えた。30分程撹拌した後、出来た沈殿をメンブレンフィルターで濾過し、回収した。得られた沈殿をピリジン(1.0 mL)で洗浄した後、アセトニトリル/ピリジンの混合溶媒(アセトニトリル/ピリジン=9/1(v/v)、5.00mL)に溶かした。溶液に過剰量の酢酸エチルを加え、出来た沈殿を濾過により回収し、酢酸エチルで洗浄した後、真空乾燥させた。得られた白色粉末はTBA−Iとする(515mg、TBA[HPMo34]をベースにして収率53.3%)。
X線結晶解析のために、TBA−IをN,N−ジメチルアセトアミド/ピリジン混合溶媒(DMA/ピリジン=9/1(v/v))に溶かし、25℃で酢酸エチルを蒸気拡散法による結晶化させ、二日後に無色な結晶が得られた。
Positive-ion MS (ESI, acetonitrile): m/z 2360.075 (calcd. 2360.110 for [TBA4PMo9O31]+). Positive-ion MS (CSI, acetonitrile/pyridine, v/v, 9/1): m/z 2360.2 (calcd. 2360.1 for [TBA4PMo9O31]+), m/z 2401.2 (calcd. 2401.1 for [TBA4PMo9O31(CH3CN)]+), 2439.3 (calcd. 2439.2 for [TBA4PMo9O31(C5H5N)]+). 31P NMR (202.47 MHz, acetonitrile-d3): δ = -0.26 ppm. 1H NMR (500.16 MHz, acetonitrile-d3): 8.81 (d, J = 5.15 Hz, 6H), 7.83 (tt, J = 7.73, 1.72 Hz, 3H), 7.36 (t, J = 7.45 Hz, 6H), 3.11 (m, 24H), 2.93 (s, 3H), 2.81 (s, 3H), 1.96 (s, 3H), 1.60 (m, 24H), 1.35 (m, 24H), 0.95 (m, 36H). IR (KCl pellet, cm-1): 1633, 1605, 11483, 1446, 1380, 1219, 1152, 1055, 1010, 933, 919, 898, 872, 846, 763, 721, 668, 650, 633, 594, 570, 519. Elemental analysis calcd (%) for TBA3[A-α-PMo9O31(py)3]・DMA (C67H132Mo9N7O32P): C, 32.95; H, 5.45; N, 4.01; Mo, 35.36; P, 1.27; found: C, 32.69; H, 5.61; N, 4.00; Mo, 36.34; P, 1.28.
[合成実施例2]
TPP−Iの合成
TPP[HPMo34]はTBA[HPMo34]と同じ合成法で、テトラブチルアンモニウムブロミドをテトラフェニルホスホニウムブロミド(TPPBr)に変更して合成した。
TPP[HPMo34]を1g秤量し、ピリジン(5.0mL)を加えた。1分程激しく撹拌した後、アセトン(30.0mL)を加え、出来た沈殿を濾過により回収し、更にアセトン(5.0 mL)で洗浄し、真空乾燥させた。得られた白色粉末はTPP−Iとする(770mg、収率67.7%)。
X線結晶解析のために、TPP−Iをピリジンに溶かし、25℃でアセトンを蒸気拡散法による結晶化させ、二日後に無色な結晶が得られた。
Positive-ion MS (ESI, acetonitrile): m/z 2748.431 (calcd. 2748.493 for [TPP4PMo9O31]+). 31P NMR (202.47 MHz, acetonitrile-d3): δ = 23.62 (TPP cation) and -0.25 ppm. 1H NMR (500.16 MHz, acetonitrile-d3): 8.69 (br, 6H), 7.90 (m, 12H), 7.77 (m, 3H), 7.75-7.70 (m, 24H), 7.60-7.63 (m, 24H), 7.34-7.29 (m, 6H). IR (KCl pellet, cm-1): 3418, 3061, 2924, 2360, 1705, 1634, 1604, 1586, 1484, 1437, 1356, 1339, 1318, 1217, 1189, 1165, 1148, 1109, 1054, 1007, 931, 916, 898, 873, 842, 768, 722, 689, 650, 633, 616, 595, 569, 527, 495, 464, 430, 370. Elemental analysis calcd (%) for TPP3[A-α-PMo9O31(py)3]・2py・1H2O (C97H87Mo9N5O32P4): C, 41.28; H, 3.11; N, 2.48; Mo, 30.60; P, 4.39; found: C, 41.45; H, 3.52; N, 2.52; Mo, 31.10; P, 4.45.
[合成実施例3]
TBA−IIの合成
TBA−I(244mg、100μmol)、と4,4’−ビピリジン(23.4mg、150μmol)を秤量し、アセトニトリル(10.0mL)に溶かした。1時間程撹拌した後、1,4−ジオキサン(20.0 mL)を加えた。この溶液を開放系にし、室温で二日程静置した後、TBA−IIの無色結晶が得られた。X線結晶解析のために、TBA−IIをニトロメタンに溶かし、25℃で1,4−ジオキサンを蒸気拡散法による結晶化させ、二日後に無色結晶が得られた。
Positive-ion MS (ESI, acetonitrile): m/z 1810.569 (calcd. 1810.571 for [TBA9(PMo9O31)2(bpy)3]3+; m/z 2594.832 (calcd. 2594.713 for [TBA8(PMo9O31)2(bpy)3]2+). 31P NMR (202.47 MHz, nitromethane-d3): δ = −0.70 ppm. 1H NMR (500.16 MHz, nitromethane-d3): 9.14 (br, 12H), 7.67 (br, 12H), 3.57 (s, 24H), 3.25 (m, 48H), 1.70 (m, 48H), 1.38 (m, 48H), 0.94 (m, 72H). IR (KCl pellet, cm-1): 3418, 2959, 2925, 2871, 2852, 2360, 2342, 1700, 1653, 1610, 1534, 1507, 1483, 1469, 1410, 1379, 1315, 1286, 1254, 1220, 1151, 1120, 1056, 1012, 953, 933, 922, 901, 870, 842, 809, 763, 721, 636, 594, 569, 519, 494, 430, 369, 339. Elemental analysis calcd (%) for TBA6[(A-α-PMo9O31)2(bpy)3]・3(1,4-dioxane)・3H2O (C138H270N12O71P2Mo18): C, 33.00; H, 5.42; N, 3.35; Mo, 34.38; P, 1.23; found: C, 33.05; H, 5.37; N, 3.29; Mo, 35.45; P, 1.25.
[実施例1]
上記の合成実施例で得られた試料について、単結晶X線構造分析、NMRスペクトルを用いて構造解析を行った。TBA−Iについての結果を図3に示す。
図3aは、TBA[HPMo34]とピリジンからTBA−Iを合成する模式図を示す。矢印はピリジンの配位部位を示す。
図3bは、TBA−Iの結晶構造を示す。
図3cは、調製したままのアセトニトリル−d中のTBA−1の31P NMRスペクトルを示す。図3dは、室温で7日間保存した後のアセトニトリル−d中のTBA−1の31P NMRスペクトルを示す。図3eは、室温で7日間保存した後のアセトニトリルdおよびピリジン−d混合物(9/1、v/v)中のTBA−1の31P NMRスペクトルを示す。
また、表1にTBA−I、TPP−I、TBA−IIの結晶データを示す。
単結晶X線構造分析により、3つのピリジン配位子がMo−N結合を介してTBA−1の空隙部に導入されることが明らかにされた(図3a、図3b、図7、表1)。
アセトニトリル−d中のTBA−Iの31P NMRスペクトルは、−0.26ppmに単一のシグナルを示した(図3c)。
また、アセトニトリル中のTBA−IのH NMRスペクトルを図4に示す。ここで、●はピリジル配位子、▲はTBA、◇はDMA、○はアセトニトリル、◆は水を示す。図4から、8.82、7.83、および7.35ppmにリジンのシグナルが示される。これは遊離ピリジンのシグナル(8.57、7.73、および7.33ppm)と比較してわずかに低磁場にシフトしている。
図5にアセトニトリル中のTBA−Iのコールドスプレーイオン化(CSI)質量スペクトルを示す。
また、図6にアセトニトリルとピリジンの混合物(9/1、v/v)中のTBA−IのCSI質量スペクトルを示す。ここで、図6中の挿入図は、2375−2425、2415−2465、及び2490−2545の範囲のスペクトル、並びに、[TBAPMo31(m/z 2360)、[TBAPMo31(CHCN)](m/z 2401)、及び[TBAPMo31(CN)](m/z 2439)についてシミュレーションしたパターンを示す。
図5及び図6の何れも、[TBAPMo31に割り当て可能なm/z:2360に一連のシグナルを示しており、これは、配位したピリジン配位子が不安定であることを示している(図3a)。
TBA−Iの安定性はTBA[A−α−PMo34]の安定性と比較して増強されており、過剰のピリジンを添加することによって、7日を超えても異性化は完全に防止される(図3d及び図3e)。
合成実施例2に記載したように、Iのテトラフェニルホスホニウム(TPP)塩(TPP−I)もまた、TBABrの代わりにTPPBrを使用することによって合成することができた(表1)。
また、TPP−Iのアニオン部分の熱楕円体プロット図(50%確率水準)を図7に示す。図7のaは側面図であり、図7のbは上面図であり、2つのアニオンが観察された。
また、TPP−Iの31P NMRスペクトル(アセトニトリル−d中)を図8に示す。
図9にTPP−IのH NMRスペクトル(アセトニトリル−d中)を示す。図9中、●はピリジル配位子を、▲はTPPを、◆は水を、◇はアセトンを、○はアセトニトリルを示す。
図10に、アセトニトリル中のTPP−Iの陽イオンCSI質量スペクトル(a))及び陽イオンESI質量スペクトル(b))を示す。ここで、図10中の挿入図は、m/z 2720−2780の範囲のスペクトル、及び[TPPPMo31(m/z 2748.493)の模擬パターンを示す。
上記のように、TBA−I中の配位ピリジン分子は不安定である。次に、Iと多座配位子ピリジル配位子と反応させて得た化合物の特性を調べた。
[実施例2]
TBA−Iをアセトニトリル中で4,4’−ビピリジル(bpy)と反応させることにより合成実施例3で得たTBA−IIの単結晶について、単結晶X線構造分析、NMRスペクトルを用いて構造解析を行った。その結果を図11に示す。
図11aは、2つのIおよび3つのbpy配位子からIIを合成する模式図を示す。図11bはTBA−IIの結晶構造を示す。
また、図12は、TBA−IIのアニオン部分の熱楕円体プロット図(50%確率水準)(a:側面図、b:上面図)を示す。
図11a、bおよび図12、表1から、TBA−IIのアニオンは、3つのbpy配位子によって柱状にされた2つのA−α−Keggin型トリバカントラクナリホスホモリブデートを含むことが分かる。
図11cは、アセトニトリル中のTBA−IIの陽イオンESI質量スペクトルを示す。ここで、挿入図は、m/z 1795−1825の範囲のスペクトルと[TBA(PMo31(bpy)3+の模擬パターン、及び、2570−2620の範囲のスペクトルと[TBA(PMo31(bpy)2+の模擬パターンを示す。
図11dは、31P NMRスペクトルを示す。また、図11eは、ニトロメタン−d中のTBA−IIのH NMRスペクトル(●:4,4’−ビピリジル配位子、▲:TBA、◇:ニトロメタン、○:1,4−ジオキサン)(結晶化溶媒)、◆:水)を示す。
上記の結果から、TBA−IIのアニオン部分のサイズは10.2×19.7Åである。アセトニトリル中のTBA−IIの電子スプレーイオン化(ESI)質量スペクトルは、m/z 1810.569と2594.706のシグナルのセットを示し、[TBA(PMo31(bpy)3+(理論的m/z:1810.571)、及び、[TBA(PMo31(bpy)2+(理論的m/z:2594.713)(図11c)。
ニトロメタン−d中のTBA−IIの31P NMRスペクトルは、−0.70ppmに単一のシグナルを有することを示す(図11d)。
さらに、アセトニトリル−d中のTBA−IIのH NMRスペクトルは9.14および7.67 ppmのbpyのHシグナルを示し(図11e)、これは遊離のbpyのもの(8.71および7.70ppm)と比較してわずかにシフトしている。これらの結果は、二座bpy配位子がハイブリッドの安定性を高め、そしてその構造が溶媒中で維持されたことを示す。
これらの結果、元素分析、および熱重量分析と示差熱分析(TG−DTA)の全てのデータはTBA−IIが以下の式で表されることを示している。
TBA[(A−α−PMo31(bpy)]・3(1,4−dioxane)・3H
ポルフィリンは、多様な生物学的過程における重要なモチーフであり、配位化学で十分に研究されている。更に、コフェイシャルポルフィリンは、ゲスト認識および他の応用のためのホスト分子として広く研究されている。したがって、本発明者らは、コフェイシャルポルフィリンベースのハイブリッド構造の合成において有機リンカーとしてポルフィリンを導入することとした。
[合成実施例4]
TPP−IIIの合成
TPP−I(112mg、40.0μmol)、と5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィン(12.4mg、20.0μmol)を秤量し、N,N−ジメチルアセトアミド/1,2−ジクロロエタンの混合溶媒に溶かした。50℃で一時間程攪拌した後、室温まで冷やし、トルエンを加え、25℃で静置した。二日後に、TPP−IIIの紫色結晶が得られた(95.6 mg、収率80.7%)。
X線結晶解析のために、TPP−IIIをN,N−ジメチルアセトアミド/1,2−ジクロロエタンの混合溶媒に溶かし、更にピリジン(TPP−IIIに対して100当量)を加え、25℃でジエチルエーテルを蒸気拡散法により結晶化させ、二日後に紫色結晶が得られた。
Positive-ion MS (ESI, acetonitrile): m/z 3057.365, (calcd. 3057.358 for [TPP16(PMo9O31)4(tpyp)2]4+). IR (KCl pellet, cm-1): 3418, 3079, 3057, 2360, 2342, 1630, 1610, 1586, 1559, 1483, 1436, 1415, 1354, 1339, 1318, 1217, 1189, 1164, 1108, 1054, 1010, 971, 954, 932, 918, 899, 872, 842, 802, 766, 721, 688, 615, 593, 570, 527, 428, 369, 360. Elemental analysis calcd (%) for TPP12[(A-α-PMo9O31)4(tpyp)2(py)4]・5DMA・12H2O (C408H381Mo36N25O141P16): C, 41.39; H, 3.24; N, 2.96; Mo, 29.18; P, 4.19; found: C, 41.17; H, 3.24; N, 2.98; Mo, 28.95; P, 4.14.
[合成実施例5]
TBA−IIIの合成
TBA−I(195mg、80.0μmol)、と5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィン(24.8mg、40.0μmol)を秤量し、ジメチルアセトアミド/1,2−ジクロロエタンの混合溶媒に溶かした。50℃で一時間程攪拌した後、室温まで冷やし、トルエンを加え、25℃で静置した。二日後に、TBA−IIIの紫色結晶が得られた(130 mg、収率61.4%)。X線結晶解析のために、TBA−IIIをN,N−ジメチルアセトアミド/1,2−ジクロロエタンの混合溶媒に溶かし、更にピリジン(TBA−IIIに対して100当量)を加え、25℃で酢酸エチルを蒸気拡散法による結晶化させ、二日後に紫色結晶が得られた。
Positive-ion MS (ESI, acetonitrile): m/z 2669.722, (calcd. 2669.725 for [TBA16(PMo9O31)4(tpyp)2]4+). 31P NMR (202.47 MHz, acetonitrile-d3): δ =-0.24 ppm. 1H NMR (500.16 MHz, acetonitrile-d3): 9.67 (d, J = 5.15 Hz, 4H), 9.41 (d, J = 5.44 Hz, 4H), 9.22 (d, J = 5.15 Hz, 4H), 9.14 (d, J = 4.58 Hz, 8H), 9.11 (d, J = 5.44 Hz, 4H), 9.06 (d, J = 5.44 Hz, 4H), 8.63-8.58 (m, 10H), 8.54 (d, J = 5.15 Hz, 4H), 8.51 (d, J = 4.58 Hz, 4H), 8.30 (t, J = 6.87 Hz, 4H), 8.18 (t, J = 4.87 Hz, 8H), 7.76-7.72 (m, 12H), 7.36 (t, J = 7.02 Hz, 4H), 6.39 (d, J = 4.01 Hz, 4H), 5.30 (t, J = 5.44 Hz, 4H), 4.40 (t, J = 5.44 Hz, 4H), 3.12 (m, 96H), 1.61 (m, 96H), 1.35 (m, 96H), 0.92 (m, 144H). IR (KCl pellet, cm-1): 3409, 3089, 3049, 2959, 2931, 2871, 2360, 2341, 1633, 1611, 1558, 1484, 1446, 1415, 1400, 1380, 1352, 1261, 1217, 1190, 1153, 1055, 1011, 933, 920, 899, 872, 846, 802, 762, 722, 680, 593, 569, 520, 494, 369. UV-Vis (acetonitrile): λmax (ε, M-1・cm-1) = 414 nm (6.09 × 105), 518 nm (3.66 × 104), 552 nm (1.64 × 104), 590 nm (1.37 × 104), 646 nm (6.92 × 103). Elemental analysis calcd (%) for TBA10H2[(A-α-PMo9O31)4(tpyp)2(py)4]・2py・7DMA・5DCE (C308H513N39Cl10P4Mo36O131): C, 34.28; H, 4.79; N, 5.06; Mo, 32.00; P, 1.15; found: C, 34.69; H, 4.97; N, 5.04; Mo, 32.25; P, 1.15.
[合成実施例6]
TPP−III・ANQの合成
TPP−III(118.4mg、10μmol)、とアセナフテンキノン(18.2mg、100μmol)を秤量し、ジメチルアセトアミド/1,2−ジクロロエタンの混合溶媒に溶かし、更にピリジン(79.1mg、1mmol)を加えた。室温で一時間程攪拌した後、酢酸エチルを加え、25℃で静置した。三日後に、TPP−III・ANQの褐色結晶が得られた(86.0mg、収率70.1%)。この結晶をX線結晶解析に使った。
Positive-ion MS (ESI, acetonitrile): m/z 3102.103, (calcd. 3102.109 for [TPP16(PMo9O31)4(tpyp)2(ANQ)]4+). IR (KCl pellet, cm-1): 3418, 3087, 3058, 2361, 2342, 1725, 1631, 1610, 1483, 1437, 1417, 1371, 1353, 1318, 1242, 1218, 1189, 1164, 1108, 1053, 1011, 971, 932, 919, 899, 872, 843, 804, 765, 721, 688, 595, 571, 527, 494, 429, 403, 370, 333. Elemental analysis calcd (%) for TPP12[(A-α-PMo9O31)4(tpyp)2(py)4(ANQ)]・4DMA・3(ethyl acetate)・15H2O (C428H408N24P16Mo36O151): C, 41.95; H, 3.36; N, 2.74; Mo, 28.19; P, 4.04; found: C, 41.79; H, 3.46; N, 2.72; Mo, 28.88; P, 4.01.
[実施例3]
上記合成実施例で得られた試料について、単結晶X線構造分析、NMRスペクトルを用いて構造解析を行った。TPP−IIIについての結果を図13に示す。
図13aは、4個のIおよび2個のtpyp配位子からIIIの合成及びANQのIIIへの挿入を示す模式図である。
図13b及びcは、TPP―IIIの結晶構造を示す(b:上面図、c:側面図)。
図13dは、TPP―III・ANQの結晶構造の側面図を示す。
図13eは、アセトニトリル−d中のTBA―IIIのH NMRスペクトルを示す(◆:ピリジン)。
図13fは、TPP―IIIのアセトニトリル中の陽イオンESI質量スペクトルを示す。ここで、挿入図は、m/z範囲3040―3080のスペクトル及び[TPP16(PMo9314(tpyp)4+のシミュレーションパターンを示す。
図13gは、アセトニトリル中のTPP−IIIとANQの混合物(TPP−IIIに対して100当量)の陽イオンESI質量スペクトルを示す。ここで、 挿入図は、m/z範囲3085−3120のスペクトル及び[TPP16(PMo31(tpyp)・ANQ]4+のシミュレーションパターンを示す。
表2にTPP−III及びTPP−III・ANQの結晶データを示す。
陰イオンIIIは、共面配置の2つのtpyp分子および角の4つの[A−α−PMo313−単位からなる(図13a、b、c、表2)。
図14は、TPP−IIIのアニオン部分の熱楕円体プロット図(50%確率水準)(a:側面図、b:上面図)を示す。同図から、IIIのサイズは約23.5×22.9Åである(図12a)。tpypのピリジル基は、空いている部位の3つの反応性Mo原子のうちの2つに配位し、一方pyは他のMo原子に配位する。IIIにおける2つのtpyp単位は、約6.6Åの距離に位置している(図14b)。
特に、アセトニトリル中のTPP−IIIのESIマススペクトルは、[TPP16(PMo31(tpyp)4+(理論値 m/z:3057.356、図14f)に割り当て可能なm/z:3057.365のシグナルのセットを示しており、これはコフェイシャルポルフィリン構造が溶液中で安定であることを示している。前駆体としてTBA−Iを使用することによって同様の構造(TBA−III)を合成することもできる。
TPP−IIIの溶解度が低いため、TBA−IIIをNMRおよびUV−Vis分光法に使用した(図13e、図15、図19)。
図13はアセトニトリル−d中のTBA−IIIの31P NMRスペクトルである。
図16aは、IIIの構造の部分的ボールスティックの表示図を示す。図16bは、アセトニトリル−d中のTBA−IIIのH NMRスペクトルを示す。(▲:TBA、◇:DMA、◆:ピリジン、○:水、●:アセトニトリル)
図17は、アセトニトリル−d中のTBA−IIIのH−H COSY NMRスペクトルを示す(◆:ピリジン)。
図18は、アセトニトリル−d中のTBA−IIIのH−H NOESY NMRスペクトルを示す(◆:ピリジン)。
図19は、アセトニトリル中のTBA−III(0.0025mM)のUV−Visスペクトルを示す。
アセトニトリル−d中のTBA−IIIの31P NMRスペクトルは、−0.24ppmに単一のシグナルを示し(図15)、溶媒中での構造の高い安定性も示している。上記の結果、元素分析およびTG−DTAデータに基づくと、TPP−IIIの式はTPP12[(A−α−PMo31(tpyp)(py)]・5DMA・12HOと、TBA−IIIの式はTBA10[(A−α−PMo31(tpyp)(py)]・2py・7DMA・5DCEとなる。
π−π積層芳香族化合物の面間隔(3.3から3.4Å)を考慮すると、TPP−IIIは芳香族化合物の挿入に理想的な(約6.6Å分離された)共面ポルフィリンを有する。実際、アセナフテンキノン(TPP−IIIに対してANQ100当量)の存在下でのTPP−IIIのアセトニトリル溶液のESI質量スペクトルは、[TBA16(PMo31(tpyp)・ANQ]4+(理論値 m/z:3102.109、図16g)に帰属可能な、m/z:3102.103において一組のシグナルを示し、これは、ANQの挿入を示している。
同様に、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ナフトキノン、および1,8−ナフタル酸無水物などの他のゲストのインターカレーションもESI質量分析によって示された(図20)。
図20は、ゲスト分子の存在下(IIIに対して10当量)におけるアセトニトリル中のTPP−IIIのESI質量スペクトルを示す(a)1,4−ジヒドロキシナフタレン(G1)、b)1,4−ナフトキノン(G2)、及びc)1,8−ナフタル酸無水物(G3))。ここで、挿入図は、a)m/z 3080−3120の範囲のスペクトル、および[TPP16(PMo31(tpyp)・G1]4+(m/z 3096.867)の模擬パターンを、b)m/z 3080−3120の範囲のスペクトル、および[TPP16(PMo31(tpyp)・G2]4+(m/z 3096.363)の模擬パターンを、c)m/z 3090−3120の範囲のスペクトル、および[TPP16(PMo31(tpyp)・G3]4+(m/z 3106.362)の模擬パターンを示す。
単結晶X線構造解析により、TPP−III・ANQではANQが2つのポルフィリンに挟まれていることが明らかになった(図13a、dおよび図21、表2)。
ここで、図21は、TPP−III・ANQのアニオン部分の熱楕円体プロット図(50%確率水準)(a:側面図、b:上面図)を示す。
また、図22は、TPP−III・ANQ中のANQのカルボニル酸素原子と、tpypおよびpy配位子のピリジル基のC−H結合の間の水素結合(青い破線)の表示図である。ANQの2つのカルボニル基は、py配位子を指し、ANQのカルボニル酸素原子を有するtypy配位子とpy配位子の両方のC−H間の多重水素結合(C−H・・・O距離;2.9〜3.1Å)によって安定化される可能性がある。明瞭にするために、構造の一部はワイヤーフレームとして示されている。
以上より、本発明者らは、ホスホモリブデン酸塩とピリジル配位子を用いたアニオン性POM有機構造の自己集合を実証した。ここで、2つの重要な発見がなされた。
第一に、ピリジル基は準安定ラクナリホスホモリブデン酸塩の高反応性空位部位を保護し、それらの望ましくない異性化と二量化を抑制した。保護基としてピリジンを反応性の空いている部位に導入することによって、ピリジン配位性A−α−Keggin型トリバカントなラクナリーホスホモリブデート(I)を合成し、単離した。リンモリブデン酸塩は、触媒作用、電池、電子デバイス、およびエネルギー変換を含む広範囲の分野において重要な材料であるが、官能基化および/または金属置換は、主にラクナリー種の安定性が低いために研究されていない。したがって、本発明による安定化方法は、ホスホモリブデン酸塩についての新しい研究および適用の可能性を提示する。
第二に、導入されたピリジル基は適度に不安定である。従って、アニオン性POM−有機構造体の合成における前駆体として利用することができる。Iを有機リンカーとしての4,4’−ジピリジンと反応させることによって、二量体構造IIを合成する。さらに、5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)ポルフィリン(tpyp)をIと反応させることによって、二層コフェイシャルポルフィリン構造を有する四量体構造IIIを合成することができる。特に、IIIは様々な芳香族分子を収容することができる。したがって、本明細書で報告されている方法は、新規のPOM−有機構造の合成のための構成要素として多塩基性空乏POMを安定化し利用するための合成プロトコルを実証する。
[実施例4]
[MnPMo37(CHCOO)5−(II)の合成及び評価
アセトニトリルとジクロロメタン(1/1、v/v、4mL)の混合物に、TPP−I(100mg、35.5μmol)およびMn(OAc)・2HO(TPP−I 38.1mg、142μmol、4当量)を添加し、得られた溶液を0℃、1気圧の空気中で2時間撹拌した。反応後、容器を開けたまま室温で溶液を静置し、1週間後にX線結晶構造解析に適したIIの褐色結晶を得た。負イオンMS(CSI、アセトニトリル):m/z2904(計算値:2904)[TPPHMnPMo37(CHCOO)
得られたMnPMo37(CHCOO)5−のCSI−MSスペクトルを図23に示す。
X線結晶構造解析及び結合価数合計(BVS)計算は、以下の手順で行った。
X線結晶構造解析
X線回折測定は、123Kでグラフィック単色化Mo Kα放射線(λ=0.71069Å、50kV、24mA)を有するRigaku VariMax Saturn 724回折計で行った。データは、Crystal Clearを使用して収集し、CrysAlisPro(Rigaku OD. CrysAlis PRO. Rigaku Oxford Diffraction Ltd, Yarnton, England (2018))を用いて処理した。
中性散乱因子は標準供給源から得た。データの削減においては、ローレンツ補正と偏光補正を行った。構造解析は、WinGX(L. J. Farrugia, J. Appl. Crystallogr.,1999,32,837)を用いて行った。
すべての構造をSHELXS−97(直接法)によって解決し、SHELXL−2018((a) G. M. Sheldrick, Acta Cryst.,2008,A64,112; (b)G.M.Sheldrick, Acta Cryst.,2015,C71,3.)によって精密化した。
POM骨格中の全ての原子は、異方性的に精密化した。高度に無秩序化した溶媒分子はSQUEEZEプログラム(P. van der Sluis and A. L. Spek, Acta Crystallogr.,1990,A46,194)を用いて省略した。
結合価数合計(BVS)計算
結合価Vを有する観察された結晶中の2つの原子iとjの間の結合の長さrijの変化についての以下の式により、BVS値を計算した。式中、Bは0.37Åに等しい定数、r′は与えられた原子対に対する結合原子価パラメータである(Brese, N. E. & O’Keeffe, M. Acta Crystallogr. Sect. B 47, 192 (1991))。
[MnPMo37(CHCOO)5−の結晶データを以下の表3に示す。
酸素原子と金属原子のBVS値を以下の表4に示す。
選択した結合長と結合角を以下の表5に示す。
熱楕円体図で示したアニオン部分のORTEP表示(50%確率水準)を図24に示す。

Claims (29)

  1. ヘテロ原子に対してポリ原子が酸素原子を介して配位した構造を有し、ヘテロ原子がケイ素、ゲルマニウム、リン又はヒ素であり、かつ、ポリ原子がモリブデン又はタングステンである欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオンの欠損構造部位に、ピリジン又はピリジン誘導体が導入されたアニオン(I)を含む化合物。
  2. 前記欠損構造部位に、ピリジン又はピリジン誘導体が配位している、請求項1に記載の化合物。
  3. [YMo34n−の組成式(式中、Yは、P、Ge、Si又はAsから選択され、nは9または10である。)で表される欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオンの欠損構造部位に、ピリジン又はピリジン誘導体が導入されたアニオン(I)を含む化合物。
  4. 前記アニオン(I)が以下の組成式(1):
    [(py)6−2aYMo34−an−(1)
    (式中、pyはピリジン又はその誘導体を表し、Yは、P、Ge、Si又はAsから選択され、aは0より大きく、3以下であり、nは9または10である。)
    で表される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
  5. 前記アニオン(I)が[(py)PMo313−で表される、請求項4に記載の化合物。
  6. 前記アニオン(I)が[(py)SiW10344−で表される、請求項1又は2に記載の化合物。
  7. 前記ピリジン誘導体が以下の式(a)により表される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
    (式中、Rは、1〜5個の同一又は異なる置換基であり、該置換基は炭素数1〜10の置換又は無置換のアルキル基、ハロゲン原子、アミノ基又はニトロ基から選択される。)
  8. [YMo34−9の組成式(式中、Yは、P、Ge、Si又はAsから選択される)で表される2つの欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオンと、4、4’−ビピリジン又はその誘導体とを含み、2つの欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオンが1以上の4、4’−ビピリジン又はその誘導体を介して会合しているアニオン(II)を含むナノ構造体。
  9. 前記アニオン(II)が以下の組成式(2):
    [(bpy)(py)6−2b(YMo31m− (2)
    (式中、bpyは4、4’−ビピリジン又はその誘導体を表し、pyはピリジン又はその誘導体を表し、Yは、P、Ge、Si又はAsから選択され、bは1〜3の整数であり、mは6〜8である。)
    で表される、請求項8に記載のナノ構造体。
  10. 前記アニオン(II)が[(bpy)(PMo316−で表される、請求項9に記載のナノ構造体。
  11. [YMo34n−の組成式(式中、Yは、P、Ge、Si又はAsから選択され、nは9または10である。)で表される4つの欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオンと、ピリジル基を有するポルフィリンとを含み、4つの欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレートアニオンが1以上の前記ポルフィリンを介して会合しているアニオン(III)を含むナノ構造体。
  12. 前記アニオン(III)が以下の式(3):
    [(tpyp)(py)12−4c(YMo31p− (3)
    (式中、tpypは4つのピリジル基を有するポルフィリンを表し、pyはピリジン又はその誘導体を表し、Yは、P、Ge、Si又はAsから選択され、cは1又は2であり、pは12から16である。)
    で表される、請求項11に記載のナノ構造体。
  13. 前記アニオン(III)が[(tpyp)(py)(PMo3112−で表される、請求項12に記載のナノ構造体。
  14. tpypが5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィリンである、請求項12又は13に記載の化合物。
  15. [(py)6−2aYMo34−a]の組成を有する、請求項4に記載の化合物(式中、Xは対カチオンを表す)。
  16. [(py)PMo31]の組成を有する、請求項5に記載の化合物(式中、Xは対カチオンを表す)。
  17. Xが、テトラブチルアンモニウム又はテトラフェニルホスホニウムである、請求項15又は16に記載の化合物
  18. [(bpy)(py)6−2b(YMo31]の組成を有する、請求項9に記載のナノ構造体(式中、Xは対カチオンを表す)。
  19. [(bpy)(PMo31]の組成を有する、請求項10に記載のナノ構造体(式中、Xは対カチオンを表す)。
  20. 12[(tpyp)(py)12−4c(YMo31]の組成を有する、請求項12に記載のナノ構造体(式中、Xは対カチオンを表す)。
  21. 12[(tpyp)(py)(PMo31]の組成を有する、請求項13に記載のナノ構造体(式中、Xは対カチオンを表す)。
  22. Xが、テトラブチルアンモニウム又はテトラフェニルホスホニウムである、請求項18〜21のいずれか1項に記載のナノ構造体。
  23. 請求項11〜14、20〜21のいずれか1項に記載のナノ構造体の内部に有機分子が取り込まれているナノ構造体。
  24. 前記有機分子が芳香族化合物である、請求項23に記載のナノ構造体。
  25. (1)モリブデン酸ナトリウム二水和物及びリン酸二水素ナトリウム二水和物を含む水溶液を提供する工程、
    (2)(1)で得られた水溶液に、酸性下で、XBr(Xは、対カチオンである)を加えることにより、X[HPMo34]を得る工程、及び
    (3)X[HPMo34]に、過剰量のピリジン又はピリジン誘導体を加える工程、
    を含む、X[pyPMo31](pyは、ピリジン又はピリジン誘導体である)を調製する方法。
  26. [pyPMo31](Xは、対カチオンである)及び4,4’−ビピリジン又はその誘導体を有機溶媒に溶解することを含む、X[(bpy)(PMo31](bpyは、4,4’−ビピリジン又はその誘導体である)の組成を有するナノ構造体を調製する方法。
  27. [(py)PMo31]及びtpyp(5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィリンであって、各々のピリジル基は同一又は異なる1以上の置換基を有していてもよい)を有機溶媒に溶解することを含む、X12[(tpyp)(py)(PMo31]の組成を有するナノ構造体を調製する方法。
  28. [MnPMo37(CHCOO)q−のアニオン(qは2〜6である)を含む化合物。
  29. 請求項28に記載の化合物を含む、アルカン、アルケン、アルコール、アルデヒド、芳香族化合物、含窒素有機化合物、含硫黄有機化合物等の酸化反応、及び酸反応用の触媒。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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