JP2021024081A - 液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】クロストークの影響を低減する。【解決手段】第1軸に沿って液体を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルについてそれぞれ設けられ、前記第1軸の方向からみて前記第1軸に直交する第2軸に沿って並設された複数の個別流路を含む個別流路列と、前記複数の個別流路に共通して連通する共通液室と、を具備する液体吐出ヘッドであって、前記複数の個別流路は、前記個別流路列において隣り合う第1個別流路および第2個別流路を含み、前記共通液室における前記第1個別流路との接続口である第1開口と、前記共通液室における前記第2個別流路との接続口である第2開口とは、前記第1軸の方向における位置が異なる液体吐出ヘッド。【選択図】図3

Description

本発明は、液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置に関する。
インク等の液体を複数のノズルから吐出する液体吐出ヘッドが従来から提案されている。例えば特許文献1には、ノズルに連通する圧力室内の圧力を変動させることで当該ノズルから液体を吐出する構成が開示されている。
特開2013−184372号公報
近年の液体噴射ヘッドにおいてはノズルの高密度化の要求が非常に高い。しかし、多数のノズルを高密度に形成した場合、1つの圧力室内の圧力変動がその近傍の圧力室の圧力変動に影響する現象(以下「クロストーク」という)の発生が問題になる。クロストークが発生すると各ノズルの吐出特性に誤差が生じる。
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係る液体吐出ヘッドは、第1軸に沿って液体を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルについてそれぞれ設けられ、前記第1軸の方向からみて前記第1軸に直交する第2軸に沿って並設された複数の個別流路を含む個別流路列と、前記複数の個別流路に共通して連通する共通液室と、を具備する液体吐出ヘッドであって、前記複数の個別流路は、前記個別流路列において隣り合う第1個別流路および第2個別流路を含み、前記共通液室における前記第1個別流路との接続口である第1開口と、前記共通液室における前記第2個別流路との接続口である第2開口とは、前記第1軸の方向における位置が異なる。
本発明の他の態様に係る液体吐出ヘッドは、第1軸に沿って液体を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルについてそれぞれ設けられ、前記第1軸の方向からみて前記第1軸に直交する第2軸に沿って並設された複数の個別流路を含む個別流路列と、前記複数の個別流路に共通して連通する第1共通液室と、前記複数の個別流路に共通して連通する第2共通液室と、を具備する液体吐出ヘッドであって、前記複数の個別流路は、前記個別流路列において隣り合う第1個別流路および第2個別流路を含み、前記第1共通液室における前記第1個別流路との接続口である第1開口と、前記第1共通液室における前記第2個別流路との接続口である第2開口とは、前記第1軸の方向における位置が異なり、前記第2共通液室における前記第1個別流路との接続口である第3開口と、前記第2共通液室における前記第2個別流路との接続口である第4開口とは、前記第1軸の方向における位置が異なる。
本発明の他の態様に係る液体吐出ヘッドは、第1軸に沿って液体を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルについてそれぞれ設けられ、前記第1軸の方向からみて前記第1軸に直交する第2軸に沿って並設された複数の個別流路を含む個別流路列と、前記複数の個別流路に共通して連通する共通液室と、を具備する液体吐出ヘッドであって、前記複数の個別流路は、前記個別流路列において隣り合う第1個別流路および第2個別流路を含み、前記共通液室における前記第1個別流路との接続口である第1開口の方向と、前記共通液室における前記第2個別流路との接続口である第2開口の方向とは、異なる。
本発明の他の態様に係る液体吐出ヘッドは、第1軸に沿って液体を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルについてそれぞれ設けられ、前記第1軸の方向からみて前記第1軸に直交する第2軸に沿って並設された複数の個別流路を含む個別流路列と、前記複数の個別流路に共通して連通する第1共通液室と、前記複数の個別流路に共通して連通する第2共通液室と、を具備する液体吐出ヘッドであって、前記複数の個別流路は、前記個別流路列において隣り合う第1個別流路および第2個別流路を含み、前記第1共通液室における前記第1個別流路との接続口である第1開口の方向と、前記第1共通液室における前記第2個別流路との接続口である第2開口の方向とは、異なり、前記第2共通液室における前記第1個別流路との接続口である第3開口の方向と、前記第2共通液室における前記第2個別流路との接続口である第4開口の方向とは、異なる。なお、前述の各態様に係る液体吐出ヘッドを具備する液体吐出装置としても本発明は特定される。
本発明の第1実施形態に係る液体吐出装置の構成を示すブロック図である。 液体吐出ヘッドの分解斜視図である。 液体吐出ヘッドの断面図である。 液体吐出ヘッドの断面図である。 液体吐出ヘッドに形成される流路の模式図である。 第1個別流路の断面図である。 第2個別流路の断面図である。 第1共通液室における第1個別流路側の断面図である。 第1共通液室における第2個別流路側の断面図である。 第2共通液室における第1個別流路側の断面図である。 第2共通液室における第2個別流路側の断面図である。
A.実施形態
図1は、本発明の実施形態に係る液体吐出装置100を例示する構成図である。本実施形態の液体吐出装置100は、液体の例示であるインクを媒体12に吐出するインクジェット方式の印刷装置である。媒体12は、典型的には印刷用紙であるが、樹脂フィルムまたは布帛等の任意の材質の印刷対象が媒体12として利用される。図1に例示される通り、液体吐出装置100には、インクを貯留する液体容器14が設置される。例えば液体吐出装置100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、または、インクを補充可能なインクタンクが液体容器14として利用される。色彩が相違する複数種のインクが液体容器14には貯留される。
図1に例示される通り、液体吐出装置100は、制御ユニット20と搬送機構22と移動機構24と液体吐出ヘッド26とを具備する。制御ユニット20は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリー等の記憶回路とを含み、液体吐出装置100の各要素を統括的に制御する。搬送機構22は、制御ユニット20による制御のもとで媒体12をY軸の方向に搬送する。
移動機構24は、制御ユニット20による制御のもとで液体吐出ヘッド26をX軸の方向に往復させる。X軸は、媒体12が搬送されるY軸に交差する。典型的にはX軸とY軸とは直交する。本実施形態の移動機構24は、液体吐出ヘッド26を収容する略箱型の搬送体82と、搬送体82が固定された搬送ベルト84とを具備する。なお、複数の液体吐出ヘッド26を搬送体82に搭載した構成や、液体容器14を液体吐出ヘッド26とともに搬送体82に搭載した構成も採用され得る。
液体吐出ヘッド26は、液体容器14から供給されるインクを制御ユニット20による制御のもとで複数のノズルから媒体12に吐出する。制御ユニット20は、ノズルからインクを吐出させるための各種の信号および電圧を生成して液体吐出ヘッド26に供給する。インクはZ軸に沿って吐出される。X-Y平面に垂直な軸がZ軸である。すなわち、X軸とY軸とはZ軸に直交する。Z軸は「第1軸」の例示であり、Y軸は「第2軸」の例示であり、X軸は「第3軸」の例示である。搬送機構22による媒体12の搬送と搬送体82の反復的な往復とに並行して液体吐出ヘッド26が媒体12にインクを吐出することで、媒体12の表面に所望の画像が形成される。
図2は、液体吐出ヘッド26の分解斜視図である。図2に例示される通り、液体吐出ヘッド26は、Y軸の方向に配列された複数のノズルNを具備する。本実施形態の複数のノズルNは、X軸の方向に相互に間隔をあけて並設された第1列L1と第2列L2とに区分される。第1列L1および第2列L2の各々は、Y軸の方向に直線状に配列された複数のノズルNの集合である。図2に例示される通り、第1列L1と第2列L2との間で各ノズルNのY軸における位置が相違する。具体的には、X軸の方向からみて、第1列L1において相互に隣り合う2個のノズルNの間に第2列L2における1個のノズルNが位置する。
図3は、図2におけるIII−III線の断面図であり、図4は、図2おけるIV−IV線の断面図である。図3は、第1列L1における1個のノズルNに関連する要素の断面図であり、図4は、第2列L2における1個のノズルNに関連する要素の断面図である。図3および図4から理解される通り、第1列L1のノズルNに関連する要素と第2列L2の各ノズルNに関連する要素とは、Y-Z平面に対して反転した関係にある。
図2から図4に例示される通り、液体吐出ヘッド26は、流路構造体30を具備する。流路構造体30は、各ノズルNにインクを供給するための流路を構成する。図2に例示される通り、流路構造体30におけるZ軸の負方向には、振動板42と保護基板46と筐体部48とが設置される。他方、流路基板32におけるZ軸の正方向には、ノズル板62と第1吸振体64と第2吸振体65とが設置される。液体吐出ヘッド26の各要素は、概略的にはY軸に沿う長尺な板状部材であり、例えば接着剤を利用して相互に接合される。
ノズル板62は、複数のノズルNが形成された板状部材であり、流路構造体30におけるZ軸の正方向の表面に設置される。複数のノズルNの各々は、インクを通過させる円形状の貫通孔である。本実施形態のノズル板62には、第1列L1を構成する複数のノズルNと第2列L2を構成する複数のノズルNとが形成される。例えばドライエッチングやウェットエッチング等の半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで、ノズル板62が製造される。ただし、ノズル板62の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
図2から図4に例示される通り、流路構造体30は、流路基板32と圧力室基板34とを具備する。流路基板32は流路構造体30におけるZ軸の正方向に位置し、圧力室基板34は流路構造体30におけるZ軸の負方向に位置する。図2に例示される通り、流路基板32には空間Ka1と空間Ka2とが形成される。空間Ka1および空間Ka2の各々は、Y軸に沿う長尺状の開口である。空間Ka1は、流路基板32におけるX軸の正方向に形成され、空間Ka2は、流路基板32におけるX軸の負方向に形成される。
本実施形態の流路基板32は、第1基板321と第2基板322との積層で構成される。第2基板322と圧力室基板34との間に第1基板321が位置する。図3および図4に例示される通り、空間Ka1は、第1基板321と第2基板322とにわたり形成される。同様に、空間Ka2は、第1基板321と第2基板322とにわたり形成される。
筐体部48は、インクを貯留するためのケースである。筐体部48には、空間Ka1に対応する空間Kb1と、空間Ka2に対応する空間Kb2とが形成される。流路構造体30の空間Ka1と筐体部48の空間Kb1とは相互に連通し、流路構造体30の空間Ka2と筐体部48の空間Kb2とは相互に連通する。空間Ka1と空間Kb1とで構成される空間は、第1共通液室K1として機能し、空間Ka2と空間Kb2とで構成される空間は第2共通液室K2として機能する。第1共通液室K1と第2共通液室K2とは、複数のノズルNにわたり共通に形成された空間であり、複数のノズルNに供給されるインクを貯留する。
筐体部48には、導入口481と排出口482とが形成される。第1共通液室K1には導入口481を介してインクが供給される。第2共通液室K2内のインクは排出口482を介して排出される。図3および図4に例示される通り、第1吸振体64は、第1共通液室K1の壁面の一部を構成する可撓性のフィルムである。第1吸振体64のうち第1共通液室K1内のインクの圧力変動に応じて変形する部分(以下「第1変形部641」という)が、当該第1共通液室K1の壁面の一部を構成する。第1吸振体64のうち流路基板32の表面に固定されていない部分が第1変形部641であるとも換言できる。第1変形部641は、第1共通液室K1内の圧力変動に応じて変形することで、当該第1共通液室K1内のインクの圧力変動を吸収する。以上の説明から理解される通り、第1共通液室K1は第1変形部641を有する。
第2吸振体65は、第2共通液室K2の壁面の一部を構成する可撓性のフィルムである。第2吸振体65のうち第2共通液室K2内のインクの圧力変動に応じて変形する部分(以下「第2変形部651」という)が、当該第2共通液室K2の壁面の一部を構成する。第2吸振体65のうち流路基板32の表面に固定されていない部分が第2変形部651であるとも換言できる。第2変形部651は、第2共通液室K2内の圧力変動に応じて変形することで、当該第2共通液室K2内のインクの圧力変動を吸収する。以上の説明から理解される通り、第2共通液室K2は第2変形部651を有する。
図5は、液体吐出ヘッド26に形成される流路の模式図である。図5に例示される通り、流路構造体30にはノズルN毎に個別流路Qが形成される。すなわち、複数のノズルNについて複数の個別流路Qがそれぞれ設けられる。図3および図4に例示される通り、ノズル板62において個別流路Qの壁面を構成する部分にノズルNが形成される。すなわち、個別流路Qから分岐するようにノズルNが形成される。第1共通液室K1と第2共通液室K2とは、個別流路Qを介して相互に連通する。具体的には、第1共通液室K1の空間Ka1と第2共通液室K2の空間Ka2とが連通するように個別流路Qが形成される。個別流路Qは、第1共通液室K1の内壁面から第2共通液室K2の内壁面にかけて形成される流路である。第1列L1のノズルNに対応する個別流路Qと、第2列L2のノズルNに対応する個別流路QとはY-Z平面に対して反転した関係にある。
図5に例示される通り、複数の個別流路Qは、Y軸に沿って相互に並設される。すなわち、複数の個別流路Qを含む個別流路列が形成される。具体的には、第1列L1のノズルNに対応する個別流路Qと、第2列L2のノズルNに対応する個別流路Qとは、Y軸の方向に交互に配列される。以上の説明から理解される通り、複数の個別流路Qは、第1供給液室K1および第2共通液室K2の各々に連通する。第1共通液室K1から個別流路Qに供給されるインクのうちノズルNから吐出されないインクが第2共通液室K2に貯留される。
図5に例示される通り、液体吐出装置100は循環機構90を具備する。循環機構90は、液体吐出ヘッド26から排出されるインクを当該液体吐出ヘッド26に環流させる機構である。循環機構90は、液体吐出ヘッド26に供給されるインクを循環させる機構であり、例えば供給流路91と排出流路92と循環ポンプ93とを具備する。
供給流路91は、第1共通液室K1にインクを供給するための流路であり、第1共通液室K1の導入口481に接続される。排出流路92は、第2共通液室K2からインクを排出するための流路であり、第2共通液室K2の排出口482に接続される。循環ポンプ93は、排出流路92から供給されるインクを供給流路91に送出する圧送機構である。すなわち、第2共通液室K2から排出されたインクが排出流路92と循環ポンプ93と供給流路91とを経由して第1共通液室K1に環流される。以上の説明から理解される通り、循環機構90は、第2共通液室K2からインクを回収し、回収後のインクを第1共通液室K1に還流させる要素として機能する。なお、循環機構90が、第1共通液室K1からインクを回収し、第2共通液室K2に還流させる構成も採用される。
図5に例示される通り、個別流路Qは、圧力室Cを含む。図2に例示される通り、圧力室Cは圧力室基板34に形成される。圧力室基板34は、複数のノズルNについて複数の圧力室Cがそれぞれ設けられた板状部材である。各圧力室Cは、平面視でX軸に沿う長尺状の空間である。図2および図3に例示される通り、第1列L1の各ノズルNに対応する複数の圧力室Cは、圧力室基板34におけるX軸の正方向の部分において、Y軸の方向に沿って配列される。図4に例示される通り、第2列L2の各ノズルNに対応する複数の圧力室Cは、圧力室基板34におけるX軸の負方向の部分において、Y軸の方向に沿って配列される。各圧力室Cは、平面視においてノズルNに重なる。
流路基板32および圧力室基板34は、前述のノズル板62と同様に、例えば半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造される。ただし、流路基板32および圧力室基板34の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
図2に例示される通り、圧力室基板34において流路基板32とは反対側の表面には振動板42が形成される。本実施形態の振動板42は、弾性的に振動可能な板状部材である。なお、所定の板厚の板状部材のうち圧力室Cに対応する領域について板厚方向の一部を選択的に除去することで、振動板42の一部または全部を圧力室基板34と一体に形成してもよい。圧力室Cは、流路基板32と振動板42との間に位置する空間である。
図2から図4に例示される通り、振動板42において圧力室Cとは反対側の面上には、ノズルN毎にエネルギー発生部44が形成される。複数のノズルNについて複数のエネルギー発生部44がそれぞれ設けられる。各エネルギー発生部44は、インクを吐出するためのエネルギーを発生する。具体的には、エネルギー発生部44は、圧力室C内の圧力を変動させることで、インクをノズルNから吐出させる駆動素子である。本実施形態では、振動板42を変形させることで当該圧力室Cの容積を変化させる圧電素子がエネルギー発生部44として利用される。すなわち、エネルギー発生部44は、インクを吐出するための圧力を発生する。具体的には、エネルギー発生部44は、駆動信号の供給により変形するアクチュエーターであり、平面視でX軸に沿う長尺状に形成される。複数のエネルギー発生部44は、複数の圧力室Cに対応するようにY軸の方向に配列する。エネルギー発生部44の変形に連動して振動板42が振動すると、圧力室C内の圧力が変動することで、圧力室Cに充填されたインクがノズルNを通過して吐出される。
図2の保護基板46は、複数のエネルギー発生部44を保護するとともに振動板42の機械的な強度を補強する板状部材である。振動板42を挟んで圧力室基板34とは反対側に保護基板46が設置される。保護基板46と振動板42との間に複数のエネルギー発生部44が設置される。保護基板46は、例えばシリコン(Si)で形成される。図3および図4に例示される通り、振動板42の表面には、例えば配線基板50が接合される。配線基板50は、制御ユニット20または電源回路と液体吐出ヘッド26とを電気的に接続するための複数の配線が形成された実装部品である。例えばFPC(Flexible Printed Circuit)やFFC(Flexible Flat Cable)等の可撓性の配線基板50が好適に採用される。配線基板50に実装される駆動回路52は、駆動信号を各エネルギー発生部44に供給する。
以下の説明では、Y軸の方向に相互に隣り合う2つの個別流路Qのうち一方を「第1個別流路Q1」と表記し、他方を「第2個別流路Q2」と表記する。図6は、第1個別流路Q1の断面図であり、図7は、第2個別流路Q2の断面図である。図3に例示される個別流路Qの拡大図が図6であり、図4に例示される個別流路Qの拡大図が図7である。
第1個別流路Q1は、第1列L1における任意の1個のノズルN(以下「第1ノズルN1」という)に対応する個別流路Qであり、第2個別流路Q2は、第2列L2における任意の1個のノズルN(以下「第2ノズルN2」という)に対応する個別流路Qである。第1ノズルN1と第2ノズルN2とは、ノズル板62に形成される複数のノズルNのうち、X軸の方向からみて相互に隣り合う2個のノズルNである。また、複数の圧力室Cのうち第1個別流路Q1に対応する圧力室Cを「第1圧力室C1」と表記し、複数の圧力室Cのうち第2個別流路Q2に対応する圧力室Cを「第2圧力室C2」と表記する。第1個別流路Q1と第2個別流路Q2とは、X-Z平面に対して反転した関係にある。なお、第1個別流路Q1の流路抵抗Rと第2個別流路Q2の流路抵抗Rとは略等しい。
図6に例示される通り、第1共通液室K1の壁面には、第1個別流路Q1との接続口である第1開口O1が形成される。第1共通液室K1と第1個別流路Q1との境界面が第1開口O1であるとも換言できる。他方、第2共通液室K2の壁面には、第1個別流路Q1との接続口である第3開口O3が形成される。第2共通液室K2と第1個別流路Q1との境界面が第3開口O3であるとも換言できる。以上の説明から理解される通り、第1開口O1から第3開口O3までに至る流路が第1個別流路Q1である。
また、図7に例示される通り、第1共通液室K1の壁面には、第2個別流路Q2との接続口である第2開口O2が形成される。第1共通液室K1と第2個別流路Q2との境界面が第2開口O2であるとも換言できる。第2共通液室K2の壁面には、第2個別流路Q2との接続口である第4開口O4が形成される。第2共通液室K2と第2個別流路Q2との境界面が第4開口O4であるとも換言できる。以上の説明から理解される通り、第2開口O2から第4開口O4までに至る流路が第2個別流路Q2である。
図6に例示される通り、第1個別流路Q1は、第1連通流路Q11と第2連通流路Q12とを含む。第1連通流路Q11は、第1共通液室K1と第1ノズルN1とを連通する。具体的には、第1連通流路Q11は、空間Ka1の壁面に形成された第1開口O1から、第1ノズルN1におけるZ軸の負方向の開口に至るまでの流路である。本実施形態の第1連通流路Q11は、第1流路111と圧力室Cと第2流路112とを含む。第1流路111は、空間Ka1と第1圧力室C1とを連通する。具体的には、第1流路111は、第1基板321においてZ軸に沿って形成される貫通孔である。第1圧力室C1は、第1流路111と第2流路112とを連通する。上述した通り、第1圧力室C1は、圧力室基板34に形成されるX軸に沿った長尺状の空間である。第1ノズルN1に対応するエネルギー発生部44は、振動板42のうち第1圧力室C1とは反対側の表面に設置される。第1個別流路Q1の途中に第1ノズルN1に対応するエネルギー発生部44が設けられる、とも換言できる。なお、第1ノズルN1に対応するエネルギー発生部44は「第1エネルギー発生部」の例示である。第2流路112は、圧力室Cと第1ノズルN1とを連通する。具体的には、第2流路112は、第1基板321および第2基板322にわたりZ軸に沿って形成される貫通孔である。
第1圧力室C1は、第1流路111を介して第1共通液室K1に連通し、第2流路112を介して第1ノズルN1に連通する。したがって、第1共通液室K1から第1流路111を介して第1圧力室C1に充填されたインクは、当該第1圧力室C1に対応するエネルギー発生部44の変形により、第2流路112を通過して第1ノズルN1から吐出される。
第2連通流路Q12は、第2共通液室K2と第1ノズルN1とを連通する。具体的には、第2連通流路Q12は、第1ノズルN1の中心軸を含みY-Z平面に平行な平面から、空間Ka2の側面に形成された第3開口O3に至るまでの流路である。本実施形態の第2連通流路Q12は、第3流路121と第4流路122と第5流路123とを含む。第3流路121は、第1ノズルN1と第4流路122とを連通する。具体的には、第3流路121は、第2基板322におけるZ軸の正方向の表面にX軸に沿って形成される。第4流路122は、第3流路121と第5流路123とを連通する。具体的には、第4流路122は、第2基板322においてZ軸に沿って形成される貫通孔である。第5流路123は、第4流路122と第2共通液室K2とを連通する。具体的には、第5流路123は、第2基板322におけるZ軸の負方向の表面にX軸に沿って形成される。第1共通液室K1から第1個別流路Q1に供給されたインクのうち第1ノズルN1から吐出されないインクが、第2共通液室K2に貯留される。
図7に例示される通り、第2個別流路Q2は、第3連通流路Q23と第4連通流路Q24とを含む。第3連通流路Q23は第1連通流路Q11に対応し、第4連通流路Q24は第2連通流路Q12に対応する。第1連通流路Q11と第4連通流路Q24とは、X軸の正方向においてY軸に沿って交互に位置する。第2連通流路Q12と第3連通流路Q23とは、X軸の負方向においてY軸に沿って交互に位置する。
第4連通流路Q24は、第1共通液室K1と第2ノズルN2とを連通する。具体的には、第4連通流路Q24は、空間Ka1の側面に形成された第2開口O2から、第2ノズルN2の中心軸を含みY-Z平面に平行な平面に至るまでの流路である。本実施形態の第4連通流路Q24は、第6流路241と第7流路242と第8流路243とを含む。第6流路241は、第1共通液室K1と第7流路242とを連結する。具体的には、第6流路241は、第2基板322におけるZ軸の負方向の表面にX軸に沿って形成される。第7流路242は、第6流路241と第8流路243とを連結する。具体的には、第7流路242は、第2基板322においてZ軸に沿って形成される貫通孔である。第8流路243は、第7流路242と第2ノズルN2とを連通する。具体的には、第8流路243は、第2基板322におけるZ軸の正方向の表面にX軸に沿って形成される。
第3連通流路Q23は、第2共通液室K2と第2ノズルN2とを連通する流路である。具体的には、第3連通流路Q23は、第2ノズルN2のうちZ軸の負方向における開口から、空間Ka2の上面に形成された第4開口O4に至るまでの流路である。本実施形態の第3連通流路Q23は、第9流路231と第2圧力室C2と第10流路232とを含む。第9流路231は、第2ノズルN2と第2圧力室C2とを連結する。具体的には、第9流路231は、第1基板321および第2基板322にわたりZ軸に沿って形成される貫通孔である。第2圧力室C2は、第9流路231と第10流路232とを連通する。上述した通り、第2圧力室C2は、圧力室基板34に形成されるX軸に沿った長尺状の空間である。第2ノズルN2に対応するエネルギー発生部44は、振動板42のうち第2圧力室C2とは反対側の表面に設置される。第2個別流路Q2の途中に第2ノズルN2に対応するエネルギー発生部44が設けられる、とも換言できる。なお、第2ノズルN2に対応するエネルギー発生部44は「第2エネルギー発生部」の例示である。第10流路232は、第2圧力室C2と空間Ka2とを連通する。具体的には、第10流路232は、第1基板321においてZ軸に沿って形成される貫通孔である。
第1共通液室K1から第4連通流路Q24および第9流路231を介して第2圧力室C2にインクが充填される。第2圧力室C2内のインクは、エネルギー発生部44の変形により、第9流路231を介して第2ノズルN2から吐出される。第1共通液室K1から第2個別流路Q2に供給されたインクのうち第2ノズルN2から吐出されないインクが、第2共通液室K2に貯留される。
以下、第1開口O1、第2開口O2、第3開口O3および第4開口O4について詳述する。図8は、第1共通液室K1における第1個別流路Q1側の断面図であり、図9は、第1共通液室K1における第2個別流路Q2側の断面図である。また、図10は、第2共通液室K2における第1個別流路Q1側の断面図であり、図11は、第2共通液室K2における第2個別流路Q2側の断面図である。
図8および図9に例示される通り、第1共通液室K1は、第1面F1と第2面F2と第3面F3と第4面F4とを有する。第1面F1と第2面F2と第3面F3と第4面F4とは、第1共通液室K1の壁面を構成する。第1面F1は、空間Ka1の底面である。空間Ka1の壁面のうちZ軸の正方向においてY軸の沿った部分が第1面F1であるとも換言できる。具体的には、第1面F1は、全体にわたり第1変形部641により構成される。なお、第1面F1の少なくとも一部が第1変形部641により構成されればよい。例えば、第1変形部641と流路基板32とで第1面F1を構成してもよい。第2面F2は、空間Ka1の上面である。空間Ka1の壁面のうちZ軸の負方向においてY軸に沿った部分が第2面F2であるとも換言できる。すなわち、第1面F1と第2面F2とは相互に対向する。具体的には、第2面F2は、流路基板32により構成される。
第3面F3および第4面F4は、空間Ka1の側面の一部である。すなわち、第3面F3および第4面F4は、第1面F1および第2面F2に対して交差する面である。本実施形態では、第3面F3および第4面F4が第1面F1および第2面F2に対して直交する。具体的には、第3面F3は、空間Ka1の側面のうちX軸の負方向においてY軸に沿った部分である。他方、第4面F4は、空間Ka1の側面のうちX軸の正方向においてY軸に沿った部分である。すなわち、第3面F3と第4面F4とは相互に対向する。第3面F3と第4面F4とは、流路基板32により構成される。
図8に例示される通り、第1開口O1は、第2面F2に設けられる。すなわち、第1開口O1は、第1変形部641に対向する。X-Y平面に平行な開口が第1開口O1である。図9に例示される通り、第2開口O2は、第3面F3に設けられる。すなわち、第2開口O2は、第4面F4に対向する。Y-Z平面に平行な開口が第2開口O2である。以上の説明から理解される通り、第1開口O1と第2開口O2とは平行でない。
図8および図9に例示される通り、第1開口O1と第2開口O2とはZ軸の方向における位置が異なる。第1開口O1と第2開口O2とは高さが異なるとも換言できる。第1開口O1のZ軸の方向における位置とは、例えば第1開口O1の重心p1におけるZ軸の方向の位置である。第2開口O2のZ軸の方向における位置とは、例えば第2開口O2の重心p2におけるZ軸の方向の位置である。具体的には、第1開口O1が第2開口O2よりもZ軸の負方向に位置する。第1開口O1が第2開口O2よりも圧力室基板34に近い位置にあるとも換言できる。すなわち、第1開口O1が第2開口O2よりも高い位置にある。
第1開口O1と第1変形部641との距離D1は、第2開口O2と第2変形部651との距離D2とは異なる。距離D1は、例えば、第1開口O1の重心p1から、第1変形部641におけるZ軸の負方向の表面までの最短距離である。距離D2は、例えば、第2開口O2の重心p2から、第1変形部641におけるZ軸の負方向の表面までの最短距離である。具体的には、距離D1は距離D2よりも大きい。すなわち、第1開口O1は、第2開口O2よりも第1変形部641から離れた位置にある。
また、第1開口O1の方向P1と第2開口O2の方向P2とは異なる。第1開口O1の方向P1とは、当該第1開口O1の法線の方向である。第1流路111の中心軸の方向が第1開口O1の方向P1であるとも換言できる。同様に、第2開口O2の方向P2とは、当該第2開口O2の法線の方向である。第6流路241の中心軸の方向が第2開口O2の方向P2であるとも換言できる。具体的には、第1開口O1の方向P1はZ軸に沿った方向であり、第2開口O2の方向P2はX軸に沿った方向である。すなわち、第1開口O1の方向P1と第2開口O2の方向P2とがなす角度は90度である。
図10および図11に例示される通り、第2共通液室K2は、第5面F5と第6面F6と第7面F7と第8面F8とを有する。第5面F5と第6面F6と第7面F7と第8面F8は、第2共通液室K2の壁面を構成する。第5面F5は、空間Ka1の底面である。空間Kb1の壁面のうちZ軸の正方向における部分が第5面F5であるとも換言できる。具体的には、第5面F5は、全体にわたり第2変形部651により構成される。なお、第5面F5の少なくとも一部が第2変形部651により構成されればよい。例えば、第2変形部651と流路基板32とで第5面F5を構成してもよい。第6面F6は、空間Kb1の上面である。空間Kb1の壁面のうちZ軸の負方向における部分が第6面F6であるとも換言できる。具体的には、第6面F6は、流路基板32により構成される。第5面F5と第6面F6とは相互に対向する。
第7面F7および第8面F8は、空間Kb1の側面の一部である。すなわち、第7面F7および第8面F8は、第5面F5および第6面F6に対して交差する面である。本実施形態では、第7面F7および第8面F8が第5面F5および第6面F6に対して直交する。具体的には、第7面F7は、空間Kb1の側面のうちX軸の正方向においてY軸に沿った部分である。他方、第8面F8は、第7面F7は、空間Kb1の側面のうちX軸の負方向においてY軸に沿った部分である。すなわち、第7面F7と第8面F8とは相互に対向する。第7面F7と第8面F8とは、流路基板32により構成される。
図10に例示される通り、第3開口O3は、第7面F7に設けられる。すなわち、第3開口O3は、第8面F8に対向する。Y-Z平面に平行な開口が第3開口O3である。図11に例示される通り、第4開口O4は、第6面F6に設けられる。すなわち、第4開口O4は、第2変形部651に対向する。X-Y平面に平行な開口が第4開口O4である。以上の説明から理解される通り、第3開口O3と第4開口O4とは平行でない。
図8および図9に例示される通り、第3開口O3と第4開口O4とはZ軸の方向における位置が異なる。第3開口O3と第4開口O4とは高さが異なるとも換言できる。第3開口O3のZ軸の方向における位置とは、例えば第3開口O3の重心p3におけるZ軸の方向の位置である。第4開口O4のZ軸の方向における位置とは、例えば第4開口O4の重心p4におけるZ軸の方向の位置である。具体的には、第4開口O4が第3開口O3よりもZ軸の負方向に位置する。第4開口O4が第3開口O3よりも圧力室基板34に近い位置にあるとも換言できる。すなわち、第4開口O4が第3開口O3よりも高い位置にある。
第3開口O3と第2変形部651との距離D3と、第4開口O4と第2変形部651との距離D4とは異なる。距離D4は、例えば、第4開口O4の重心p4から、第2変形部651におけるZ軸の負方向の表面までの最短距離である。距離D3は、例えば、第3開口O3の重心p3から、第2変形部651におけるZ軸の負方向の表面までの最短距離である。具体的には、距離D4は距離D3よりも大きい。すなわち、第4開口O4は、第3開口O3よりも第2変形部651から離れた位置にある。
また、第3開口O3の方向P3と第4開口O4の方向P4とは異なる。第3開口O3の方向P3とは、当該第3開口O3の法線の方向である。第5流路123の中心軸の方向が第3開口O3の方向P3であるとも換言できる。同様に、第4開口O4の方向P4とは、当該第4開口O4の法線の方向である。第10流路232の中心軸の方向が第4開口O4の方向P4であるとも換言できる。具体的には、第3開口O3の方向P3はX軸に沿った方向であり、第4開口O4の方向P4はZ軸に沿った方向である。すなわち、第3開口O3の方向P3と第4開口O4の方向P4とがなす角度は90度である。
上述した通り、第1個別流路Q1と第2個別流路Q2とは反転させた関係にある。したがって、図8および図11に例示される通り、第1開口O1と第4開口O4とは、Z軸の方向における位置が同じである。また、第1開口O1の方向P1と第4開口O4の方向P4とは同じである。すなわち、第1開口O1と第4開口O4とは平行である。また、図9および図10に例示される通り、第2開口O2と第3開口O3とは、Z軸の方向における位置が同じである。また、第2開口O2と第3開口O3とが平行である。具体的には、第2開口O2の方向P2と第3開口O3の方向P3とは逆向きである。
ここで、近接する個別流路Q間におけるクロストークについて説明を行う。クロストークには、流路を構成する構造体を通じて機械的に生じるものと、流路内の液体を通じて流体的に生じるものがある。後者のクロストークは、近接する個別流路Qどうしが流体的に接続する箇所である共通液室K(K1,K2)内の液体の挙動が大きく影響する。例えば各開口O(O1,O2,O3,O4)付近で生じる流束どうしの距離が近いほど、また向きがそろっているほど、相互の流束に及ぼす影響が大きくなり、クロストークは大きくなる。また、各開口Oを通じて共通液室K内に伝搬する圧力変動の吸収および減衰が小さいほど、クロストークは大きくなる。
以上の説明から理解される通り、本実施形態では、第1開口O1と第2開口O2とはZ軸の方向における位置が異なるから、例えば、第1開口O1部と第2開口O2部とでZ軸の方向における位置が同じ構成と比較して、第1開口O1と第2開口O2との距離を大きくすることができる。すなわち、第1開口O1の付近で生じる流束と第2開口O2の付近で生じる流束との距離が大きくなる。その結果、第1開口O1の付近で生じる流束と第2開口O2の付近で生じる流束とが相互に影響しにくい。したがって、第1個別流路Q1と第2個別流路Q2との間のクロストークを低減できる。ひいては、第1ノズルN1および第2ノズルN2の各々における吐出特性の誤差を低減できる。吐出特性は、例えば吐出速度、吐出方向および吐出量である。以上の説明から理解される通り、複数の個別流路Qを高密度に配置した場合でも、相互に隣り合う個別流路Qの間におけるクロストークを抑制できるという利点がある。
第1開口O1の方向P1と第2開口O2の方向P2とが異なる本実施形態の構成によれば、第1開口O1の付近で生じる流束と第2開口O2の付近で生じる流束との向きが相違する。すなわち、第1開口O1の付近で生じる流束と第2開口O2の付近で生じる流束とが相互に影響しにくい。したがって、第1開口O1の方向P1と第2開口O2の方向P2とが同じ構成と比較して、第1個別流路Q1と第2個別流路Q2との間のクロストークを低減できる。ひいては、第1ノズルN1および第2ノズルN2の各々における吐出特性の誤差を低減できる。本実施形態では特に、第1開口O1の方向P1と第2開口O2の方向P2とがなす角度が90度であるから、第1個別流路Q1と第2個別流路Q2との間のクロストークを低減できる、という効果が顕著である。
第1開口O1は第2開口O2よりもエネルギー発生部44に近い位置にあるから、当該エネルギー発生部44による圧力変動が第1開口O1を介して第1共通液室K1に伝播しやすい。本実施形態では、距離D1が距離D2よりも大きいから、第1開口O1から第1変形部641に向けて伝播する圧力変動が減衰しやすい。したがって、クロストークを低減できるという効果が顕著である。第1開口O1が第2面F2に設けられ、第2開口O2が第3面F3に設けられるから、例えば第1開口O1と第2開口O2とが同じ面に設けられる構成と比較して、クロストークを低減できるという効果が顕著である。また、第1開口O1が第1変形部641に対向する構成によれば、第1開口O1を介して伝播する圧力変動を第1変形部641が吸収しやすいという利点がある。同様に、第4開口O4が第2変形部651に対向するから、第4開口O4を介して伝播する圧力変動を第2変形部651が吸収しやすい。
例えば、第3開口O3におけるZ軸の方向の位置が第1開口O1と同じであり、第4開口O4におけるZ軸の方向の位置が第2開口O2と同じである構成では、第1個別流路Q1の流路長と第2個別流路Q2の流路長とが相違し、第1ノズルN1および第2ノズルN2の各々において吐出特性の誤差が発生する。それに対して、第1開口O1と第4開口O4とがZ軸の方向における位置が同じであり、第2開口O2と第3開口O3とがZ軸の方向における位置が同じである本実施形態の構成によれば、第1個別流路Q1の流路長と第2個別流路Q2の流路長とが近づくから、第1ノズルN1および第2ノズルN2の各々における吐出特性の誤差を低減できる。
また、例えば、第3開口O3の方向P3が第1開口O1の方向P1と平行であり、第4開口O4の方向P4が第2開口O2の方向P2と平行である構成では、第1個別流路Q1の流路長と第2個別流路Q2の流路長とが相違し、第1ノズルN1および第2ノズルN2の各々において吐出特性の誤差が発生する。それに対して、本実施形態では、第1開口O1の方向P1と第4開口O4の方向P4とが平行であり、第2開口O2の方向P2と第3開口O3の方向P3とが平行であるから、第1個別流路Q1の流路長と第2個別流路Q2の流路長とが近づく。したがって、第1ノズルN1および第2ノズルN2の各々における吐出特性の誤差を低減できる。なお、第3開口O3と第4開口O4との関係における各構成は、以上に例示した第1開口O1と第2開口O2との関係における各構成の効果と同様の効果が実現できる。
B.変形例
以上に例示した形態は多様に変形され得る。前述の形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
(1)個別流路Qの形状は、前述の形態で例示した構成に限定されない。例えば、第1連通流路Q11が、第1流路111と第1圧力室C1と第2流路112とに加えて他の流路を含んでもよい。第2連通流路Q12、第3連通流路Q23および第4連通流路Q24についても同様である。また、第1個別流路Q1と第2個別流路Q2とで形状を相違させてもよいし、第1個別流路Q1と第2個別流路Q2とが同じ形状でもよい。すなわち、第1開口O1と第4開口O4との間においてZ軸の方向における位置が相違する構成、または、第2開口O2と第3開口O3との間においてZ軸の方向における位置が相違する構成も採用される。
(2)前述の形態では、第1基板321と第2基板322との積層で流路基板32を構成したが、流路基板32の構成は以上の例示に限定されない。例えば、単層で流路基板32を構成してもよいし、3層以上の積層で流路基板32を構成してもよい。
(3)前述の形態では、第1開口O1と第2開口O2とでZ軸の方向における位置が異なる構成と、第1開口O1の方向P1と第2開口O2の方向P2とが異なる構成との双方を採用した液体吐出ヘッド26を例示したが、何れか一方の構成のみを採用してもよい。第1開口O1と第2開口O2とでZ軸の方向における位置が異なる構成、および、第1開口O1の方向P1と第2開口O2の方向P2とが異なる構成の何れか一方のみを採用しても、第1個別流路Q1と第2個別流路Q2との間におけるクロストークを低減するという効果は実現できる。
(4)前述の形態では、第1共通液室K1の第2面F2に第1開口O1を形成し、第3面F3に第2開口O2を形成したが、第1開口O1と第2開口O2とが形成される位置は任意である。例えば、第1開口O1が第3面F3に形成され、第2開口O2が第2面F2に形成されてもよい。すなわち、第1開口O1および第2開口O2の一方が第1変形部641に対向すればよい。同様に、第3開口O3および第4開口O4の一方が第2変形部651に対向すればよい。
また、第1開口O1および第2開口O2が同じ面に形成されてもよい。例えば、第1開口O1および第2開口O2の双方が第2面F2に形成される構成、または、第1開口O1および第2開口O2の双方が第2面F2に形成される構成も採用される。同様に、第3開口O3および第4開口O4が同じ面に形成されてもよい。
(5)前述の形態において、第1吸振体64と第2吸振体65とは省略され得る。すなわち、第1共通液室K1の壁面の一部を第1変形部641が構成し、第2共通液室K2の壁面の一部を第2変形部651が構成することは必須ではない。
(6)前述の形態において、液体吐出装置100が循環機構90を具備する構成を例示したが、液体吐出装置100が循環機構90を具備することは必須でない。すなわち、第1列L1または第2列L2の何れか一方が省略される。例えば第2列L2が省略される場合は、当該第2列L2に関する各種の要素も省略される。例えば、第2共通液室K2が省略される。すなわち、第3開口O3および第4開口O4も省略される。
(7)前述の形態では、第1開口O1の方向P1と第2開口O2の方向P2がなす角度が90度である構成を例示したが、第1開口O1の方向P1と第2開口O2の方向P2がなす角度は任意である。クロストークを低減するという観点からは、第1開口O1の方向P1と第2開口O2の方向P2がなす角度は45度以上が好適である。なお、第1開口O1の方向P1と第2開口O2の方向P2がなす角度が90度に近づくほど、クロストークを低減するという効果が顕著である。ただし、第1開口O1の方向P1と第2開口O2の方向P2がなす角度は45度を下回る構成も採用される。同様に、第3開口O3の方向P3と第4開口O4の方向P4がなす角度も任意である。
(8)圧力室C内の液体をノズルNから吐出させるためのエネルギーを発生するエネルギー発生部44は、圧電素子に限定されない。例えば、加熱により圧力室Cの内部に気泡を発生させて圧力を変動させる発熱素子をエネルギー発生部44として利用することも可能である。以上の例示から理解される通り、エネルギー発生部44は、圧力室C内の液体をノズルNから吐出させる要素として包括的に表現され、圧電方式および熱方式等の動作方式や具体的な構成の如何は不問である。すなわち、液体を吐出するためのエネルギーには、熱と圧力との双方が包含される。
(9)前述の形態では、液体吐出ヘッド26を搭載した搬送体82を往復させるシリアル方式の液体吐出装置100を例示したが、複数のノズルNが媒体12の全幅にわたり分布するライン方式の液体吐出装置にも本発明を適用することが可能である。
(10)前述の形態で例示した液体吐出装置100は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置やコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体吐出装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する液体吐出装置は、液晶表示パネル等の表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を吐出する液体吐出装置は、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。また、生体に関する有機物の溶液を吐出する液体吐出装置は、例えばバイオチップを製造する製造装置として利用される。
100…液体吐出装置、12…媒体、14…液体容器、20…制御ユニット、22…搬送機構、24…移動機構、82…搬送体、84…搬送ベルト、26…液体吐出ヘッド、30…流路構造体、32…流路基板、321…第1基板、322…第2基板、34…圧力室基板、42…振動板、44…エネルギー発生部、46…保護基板、48…筐体部、481,482…導入口、50…配線基板、52…駆動回路、62…ノズル板、64…第1吸振体、65…第2吸振体、641…第1変形部、651…第2変形部、90…循環機構、91…供給流路、92…排出流路、93…循環ポンプ、C…圧力室、C1…第1圧力室、C2…第2圧力室、L1…第1列、L2…第2列、N…ノズル、N1…第1ノズル、N2…第2ノズル、K1…第1共通液室、K2…第2共通液室、Q…個別流路、Q1…第1個別流路、Q11…第1連通流路、Q12…第2連通流路、Q2…第2個別流路、Q23…第3連通流路、Q24…第4連通流路、111…第1流路、112…第2流路、121…第3流路、122…第4流路、123…第5流路、241…第6流路、242…第7流路、243…第8流路、231…第9流路、232…第10流路、O1…第1開口、O2…第2開口、O3…第3開口、O4…第4開口、F1…第1面、F2…第2面、F3…第3面、F4…第4面、F5…第5面、F6…第6面、F7…第7面、F8…第8面。

Claims (11)

  1. 第1軸に沿って液体を吐出する複数のノズルと、
    前記複数のノズルについてそれぞれ設けられ、前記第1軸の方向からみて前記第1軸に直交する第2軸に沿って並設された複数の個別流路を含む個別流路列と、
    前記複数の個別流路に共通して連通する共通液室と、
    を具備する液体吐出ヘッドであって、
    前記複数の個別流路は、前記個別流路列において隣り合う第1個別流路および第2個別流路を含み、
    前記共通液室における前記第1個別流路との接続口である第1開口と、前記共通液室における前記第2個別流路との接続口である第2開口とは、前記第1軸の方向における位置が異なる
    液体吐出ヘッド。
  2. 前記共通液室は、内部の液体の圧力変動に応じて変形する変形部を有し、
    前記第1開口と前記変形部との距離は、前記第2開口と前記変形部との距離とは異なる
    請求項1の液体吐出ヘッド。
  3. 前記共通液室は、相互に対向する第1面および第2面と、第3面とを有し、
    前記第1面の少なくとも一部は、前記共通液室内の液体の圧力変動に応じて変形する変形部により構成され、
    前記第2面には、前記第1開口が設けられ、
    前記第3面には、前記第2開口が設けられる
    請求項1の液体吐出ヘッド。
  4. 前記第1開口の方向と前記第2開口の方向とは異なる
    請求項1から請求項3の何れかの液体吐出ヘッド。
  5. 第1軸に沿って液体を吐出する複数のノズルと、
    前記複数のノズルについてそれぞれ設けられ、前記第1軸の方向からみて前記第1軸に直交する第2軸に沿って並設された複数の個別流路を含む個別流路列と、
    前記複数の個別流路に共通して連通する第1共通液室と、
    前記複数の個別流路に共通して連通する第2共通液室と、
    を具備する液体吐出ヘッドであって、
    前記複数の個別流路は、前記個別流路列において隣り合う第1個別流路および第2個別流路を含み、
    前記第1共通液室における前記第1個別流路との接続口である第1開口と、前記第1共通液室における前記第2個別流路との接続口である第2開口とは、前記第1軸の方向における位置が異なり、
    前記第2共通液室における前記第1個別流路との接続口である第3開口と、前記第2共通液室における前記第2個別流路との接続口である第4開口とは、前記第1軸の方向における位置が異なる
    液体吐出ヘッド。
  6. 前記第1開口と前記第4開口とは、前記第1軸の方向における位置が同じであり、
    前記第2開口と前記第3開口とは、前記第1軸の方向における位置が同じである
    請求項5の液体吐出ヘッド。
  7. 前記第1共通液室は、内部の液体の圧力変動に応じて変形する第1変形部を有し、
    前記第2共通液室は、内部の液体の圧力変動に応じて変形する第2変形部を有し、
    前記第1開口と前記第1変形部との距離は、前記第2開口と前記第1変形部との距離とは異なり、
    前記第3開口と前記第2変形部との距離は、前記第4開口と前記第2変形部との距離とは異なる
    請求項5または請求項6の液体吐出ヘッド。
  8. 前記第1個別流路においては、前記第1共通液室と前記複数のノズルのうちの第1ノズルとを連通させる第1連通流路の途中に、液体を吐出するためのエネルギーを発生する第1エネルギー発生部が設けられ、
    前記第2個別流路においては、前記第2共通液室と前記複数のノズルのうちの第2ノズルとを連通させる第2連通流路の途中に、液体を吐出するためのエネルギーを発生する第2エネルギー発生部が設けられ、
    前記第1開口と前記第1変形部との距離は、前記第2開口と前記第1変形部との距離よりも大きく、
    前記第4開口と前記第2変形部との距離は、前記第3開口と前記第2変形部との距離よりも大きい
    請求項7の液体吐出ヘッド。
  9. 前記第1開口は、前記第1変形部に対向し、
    前記第4開口は、前記第2変形部に対向する
    請求項8の液体吐出ヘッド。
  10. 前記第1開口の方向と第2開口の方向とは異なり、
    前記第3開口の方向と第4開口の方向とは異なる
    請求項5から請求項9の何れかの液体吐出ヘッド。
  11. 請求項5から請求項10の何れかの液体吐出ヘッドと、
    前記第1共通液室および前記第2共通液室の一方から液体を回収し、他方に還流させる循環機構と
    を具備する液体吐出装置。
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