JP2021023987A - 可変温度制御式はんだごて - Google Patents

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Abstract

【課題】自動可変温度制御を有する改善されたはんだごてシステムを提供する。【解決手段】自動可変温度制御を有するはんだごてシステムであって、はんだこて先、磁界を発生するコイル、及びはんだこて先の温度を感知するための温度センサを有するはんだ付けカートリッジを含むハンドピース又はロボットアームと、はんだこて先を加熱するための可変電力をコイルへ送電するための可変電源と、設定温度入力、及びはんだこて先の感知された温度を受け入れ、可変電源を、はんだこて先の温度を設定温度入力の実質的に一定のレベルに保つために適した電力をコイルへ送電するよう制御するための制御信号を提供するための関連回路を含むプロセッサと、を備えるはんだごてシステム。【選択図】図1A

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月26日に出願された、米国特許出願第16/365,279号の一部継続出願である。米国特許出願第16/365,279号は、2017年3月6日に出願された、米国特許出願第15/450,425号の一部継続出願である。米国特許出願第15/450,425号は、2016年10月25日に出願された、米国特許出願第15/333,590号の一部継続出願である。米国特許出願第15/333,590号は、2016年4月11日に出願された、米国特許出願第15/096,035号、現在、米国特許第9,511,439号の継続出願である。米国特許出願第15/096,035号は、2015年12月11日に出願された、米国特許出願第14/966,975号、現在、米国特許第9,327,361号の継続出願である。米国特許出願第14/966,975号は、2015年7月8日に出願された、米国特許出願第14/794,678号、現在、米国特許第9,516,762号の一部継続出願である。米国特許出願第14/794,678号は、2014年8月4日に出願された、米国仮特許出願第62/033,037号の利益を主張する。これらの全ての内容全体は本明細書において参照により明示的に組み込まれる。
本開示の発明は、概して、はんだ付けを用いたプリント回路板(PCB(printed circuit board))の製造、修理及びリワークに関し、より詳細には、自動可変温度制御を有するはんだごてに関する。
より多様な構成要素、より小さな受動構成要素、及びより細かいボールピッチ寸法を有するより大規模なICがプリント回路板(PCB)上で用いられるようになるのに伴い、PCB組立品(PCBA(PCB assembly))の製作及びリワークを助けるための高品質のはんだ接合部の需要が増大した。欠陥のあるはんだ接合部は長年にわたって数十億ドルもの損失を企業に与えた。ウェーブはんだ付けシステムのための失敗率を低減するために、多くのプロセスが開発された。しかし、ポイントツーポイント式の手持ち式はんだ付け及びリワーク適用物のために、企業は、良質の電気接続を有する良好なはんだ接合部を作製するために、操作者の技能に頼っている。はんだごての操作者がどれほど訓練を実施されても、はんだ付け活動の最中に手引きがなければ、良好な電気接続を有するはんだ接合部を形成するためのはんだごてによる熱伝達に影響を及ぼす多くの因子が存在するという事実のゆえに、操作者は誤りを犯し、それを繰り返し得る。これらの因子は、はんだこて先温度、はんだこて先の幾何形状、はんだの酸化、人間挙動、及び同様のものを含む。
さらに、自動(例えば、ロボット)はんだ付けは、現在、もっぱら、ロボットが特定の接合部へ移動し、はんだこて先が接合部上に自動的に配置され、はんだが自動的に適用され、(ロボットのための特定のソフトウェアによって決定された)所定の時間の後に、はんだこて先が接合部から自動的に除去される、開ループ時間ベースのイベントである。このプロセスが、ロボットのプログラムが完了するまで繰り返される。
はんだこて先の加熱は、通例、電源からの(固定)電流を抵抗加熱要素に流すことによって遂行される。しかし、異なるはんだ付け適用物は異なる加熱温度を必要とする。特定の合金を有する単一のこて先は、特定の(最大)温度で発熱する能力を有するため、異なる加熱適用物のためには異なるはんだこて先が必要とされる。単純なはんだごては、電力(電流)入力、及びそれが接触するワークピースの材料に依存する、熱平衡によって決定される温度レベルに達する。しかし、こて先が大きなワークピース、例えば、大きな質量の金属に接触すると、こて先温度は降下し、したがって、小さなはんだこて先は、大きなワークピースをはんだ付けするためにかなりの温度を失うことになる。より高機能のはんだごては、こて先の温度が降下したときに、より多くの電力をこて先へ送電することによって、こて先温度を一定のレベルで定常に保つための温度センサを有する機構を有する。
通例、温度を自動的に測定又は調節することなくこて先の平衡温度を変更する、可変電力制御である。他のシステムは、はんだ付けカートリッジ/こて先への電力を自動的にオン及びオフに切り替える、多くの場合、こてのこて先の内部にある、サーモスタットを用いる。こて先の温度を監視し、所望の一定の温度を維持するよう、カートリッジの加熱要素へ送電される電力を調整するための熱電対センサが用いられてもよい。
別のアプローチは、特定の温度(キュリー点)においてそれらの磁気特性を失う磁化されたはんだこて先を用いることである。このアプローチは特定のこて先材料の電気的及び冶金学的特性に依存する。例えば、こて先は、高い導電率を有する材料である銅、及び高い抵抗率を有する別の磁性材料(金属)を含み得る。はんだこて先が磁性を有している限り、それは電源及び加熱要素へのスイッチを閉じている。こて先の温度が(特定の適用物のための)要求温度を超えると、それはスイッチを開き、それゆえ、こて先は、こて先材料の磁化を回復するに足るだけ温度が降下するまで冷却し始める。固定されたキュリー点を有する材料の選択は、特定の自己制御された温度及び一定のレベルを発生して維持する加熱器をもたらし、それゆえ、加熱器は校正を必要としない。すなわち、加熱器の温度が降下すると(それが熱負荷と接触すると)、電源は、ワークピースを正しくはんだ付けするべくこて先温度を再び固定要求温度に高めるために必要とされる十分な電力をもって応答する。この場合も先と同様に、特定の磁化特性を有する特定の合金を有する特定のこて先は、特定の温度の、又はその温度までの発熱能力を有する。したがって、異なる加熱適用物のためには、異なるはんだこて先が必要とされる。これは、異なる熱的特性を有する種々の異なるはんだこて先の在庫及び維持を必要とする。それはまた、操作者がはんだこて先を交換し続けなければならないため、十分に大きい、又は異なるこて先を必要とする異なる種類の構成要素を有するワークピースのはんだ付けプロセスに相当の時間を加える。
発明の概要
実施形態によっては、本開示の発明は、自動可変温度制御を有するはんだごてシステムである。はんだごてシステムは、はんだこて先、加熱コイル、及びはんだこて先の温度を感知するための温度センサを有するはんだ付けカートリッジを含むハンドピース又はロボットアームと、はんだこて先を加熱するための可変電力を加熱コイルへ送電するための可変電源と、設定温度入力、及びはんだこて先の感知された温度を受け入れ、可変電源を、はんだこて先の温度を設定温度入力の実質的に一定のレベルに保つために適した電力を加熱コイルへ送電するよう制御するための制御信号を提供するための関連回路を含むプロセッサと、を含む。
実施形態によっては、本開示の発明は、自動可変温度制御を有するはんだごてシステムである。はんだごてシステムは、はんだこて先、加熱コイル、及びはんだこて先のインピーダンスを測定するためのインピーダンス測定デバイスを有するはんだ付けカートリッジを含むハンドピース又はロボットアームと、はんだこて先を加熱するための可変電力を加熱コイルへ送電するための可変電源と、設定温度入力、及びはんだこて先の測定されたものを受け入れ、測定されたインピーダンスからはんだこて先の温度を決定し、可変電源を、はんだこて先の温度を設定温度入力の実質的に一定のレベルに保つために適した電力を加熱コイルへ送電するよう制御するための制御信号を提供するための関連回路を含むプロセッサと、を含む。
実施形態によっては、本開示の発明は、自動可変温度制御を有するはんだごてシステムである。はんだごてシステムは、はんだこて先、加熱コイルを有するはんだ付けカートリッジを含むハンドピース又はロボットアームと、はんだこて先を加熱するための可変電力を加熱コイルへ送電するための可変電源と、設定温度入力、及びはんだこて先の測定されたものを受け入れ、はんだこて先への電力を切り、コイルの電圧を測定することによって、はんだこて先のインピーダンスを決定し、測定されたインピーダンスからはんだこて先の温度を決定し、可変電源を、はんだこて先の温度を設定温度入力の実質的に一定のレベルに保つために適した電力を加熱コイルへ送電するよう制御するための制御信号を提供するための関連回路を含むプロセッサと、を含む。
実施形態によっては、設定温度入力は、はんだごてシステムの操作者によって調整可能であるか、或いはプロセッサによって、カートリッジの種類、こて先の種類、こて先のサイズ、こて先の形状、熱負荷の種類若しくはサイズ、及びはんだこて先によって形成されているはんだ接合部の、プロセッサによって決定された品質のうちの1つ以上に基づいて自動的に調整可能である。
実施形態によっては、プロセッサは、はんだ接合部の金属間構成要素(IMC)の厚さを決定し、IMCの厚さが所定の範囲内にあるかどうかを決定することによって、はんだ接合部の品質を決定する。
本開示の発明の自動可変温度制御は、ワークピースをはんだ付けするための手持ち式はんだごて又は自動(ロボット)はんだ付けステーションにおいて用いられ得る。
はんだ付けプロセスの最中に、はんだ接合部はランダムにはんだ付けされ得る。はんだ付け情報データがはんだ付け作業ごとに収集されるが、はんだ付け識別情報は収集されず、このため、どのはんだ接合部が作業されているのかは分からない。したがって、本発明の別の態様は、インテリジェントはんだ付けハンドピースであって、ハウジングと、はんだこて先と、はんだこて先を加熱するための加熱器と、インテリジェントはんだ付けハンドピースによってはんだ付けされているはんだ接合部の画像を受信し、はんだ接合部情報を決定し、はんだ接合部の画像を、それぞれの接合部ごとに決定されたはんだ接合部情報を特徴付けるために、決定されたはんだ接合部情報と関連付けるためのプロセッサと、を備えるインテリジェントはんだ付けハンドピースを含む。
直前に説明された態様の1つ以上の実装形態は以下のことのうちの1つ以上を含む:カメラがハンドピースに関連付けられており、カメラが、はんだ付けされているはんだ接合部の画像を得ること;ハンドピースが、カメラを有する遠位部分を含むこと;カメラが内部カメラであること;内部カメラがハウジングの内部の配線及び電子機器を含むこと;カメラが外部カメラであること;外部カメラがハウジングの外部の配線及び電子機器を含むこと;プロセッサが、はんだ接合部のはんだ付けが行われる前に、はんだ付けされているはんだ接合部の画像を受信し、はんだ接合部のはんだ付けが行われた後に、はんだ付けされているはんだ接合部の画像を受信すること;プロセッサが、はんだ接合部のはんだ付けが行われている間に、はんだ付けされているはんだ接合部の画像を受信すること;及び/又はプロセッサが、はんだこて先によって形成されているはんだ接合部の金属間化合物(IMC(intermetallic compound))の厚さを決定し、IMCの厚さが所定の範囲内にあるときには、信頼できるはんだ接合部接続が形成されたことを指示する指示信号を生成し、はんだ接合部の画像を指示信号に関連付けること。
実施形態によっては、本開示の発明は、自動可変温度制御を有するはんだごてシステムであって、はんだこて先、磁界を発生するコイル、及びはんだこて先の温度を感知するための温度センサを有するはんだ付けカートリッジを含むハンドピース又はロボットアームと、はんだこて先を加熱するための可変電力をコイルへ送電するための可変電源と、設定温度入力、及びはんだこて先の感知された温度を受け入れ、可変電源を、はんだこて先の温度を設定温度入力の実質的に一定のレベルに保つために適した電力をコイルへ送電するよう制御するための制御信号を提供するための関連回路を含むプロセッサと、を備えるはんだごてシステムである。
直前に説明された態様の1つ以上の実装形態は以下のことのうちの1つ以上を含む:温度センサが、はんだこて先の温度を感知するための温度センサであり、プロセッサが、設定温度入力、及びはんだこて先の感知された温度を受け入れ、可変電源を、はんだこて先の温度を設定温度入力の実質的に一定のレベルに保つために適した電力をコイルへ送電するよう制御するための制御信号を提供するための関連回路を含むこと;制御信号が、可変電源の出力電力を制御するためのパルス幅変調信号であること;設定温度入力がはんだごてシステムの操作者によって調整可能であること;設定温度入力が、プロセッサによって、カートリッジの種類、こて先の種類、こて先のサイズ、こて先の形状、熱負荷の種類若しくはサイズ、及びはんだこて先によって形成されているはんだ接合部の、プロセッサによって決定された品質のうちの1つ以上に基づいて自動的に調整可能であること;プロセッサが、はんだ接合部の金属間化合物(IMC)の厚さを決定し、IMCの厚さが所定の範囲内にあるかどうかを決定することによって、はんだ接合部の品質を決定すること;プロセッサが、IMCの厚さが所定の範囲内にあるときには、信頼できるはんだ接合部接続が形成されたことを指示する指示信号を生成し、指示信号を伝送すること;コイルが高周波交流電流を受電し、電磁誘導を発生し、導電性物体である、はんだこて先を渦電流によって加熱すること;はんだ付けカートリッジが、熱的性能を最大化するための固有PID因子を記憶するメモリを含むこと;はんだ付けカートリッジが複数のはんだ付けカートリッジを含み、複数のはんだ付けカートリッジの各はんだ付けカートリッジが、熱的性能を最大化するための固有PID因子を記憶するメモリを含むこと;及び/又は、はんだごてシステムが温度センサを用いて、異なる温度設定点を制御すること。
図1Aは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、例示的な手持ち式はんだごてを示す。 図1Bは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、プロセッサ及び関連構成要素の例示的なブロック図である。 図1Cは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、プロセッサ及び関連回路機構が電源内にある例示的な手持ち式はんだごてを示す。 図1Dは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、プロセッサ及び関連回路機構がハンドピース内にある例示的な手持ち式はんだごてを示す。 図1Eは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、プロセッサ及び関連回路機構がカートリッジ内にある例示的な手持ち式はんだごてを示す。 図1Fは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、プロセッサ及び関連回路機構が作業スタンド内にある例示的な手持ち式はんだごてを示す。 図1Gは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、例示的な自動はんだ付けステーションを示す。 図1Hは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、はんだこて先温度を可変制御し、設定するためのはんだごてのための例示的な回路を示す。 図1Iは、本開示の発明の別の実施形態に係る、例示的な手持ち式はんだごてシステムを示す。 図1Jは、図1Iの手持ち式はんだごてシステムのはんだごての種々の構成要素の一実施形態の斜視図である。 図1Kは、図1Iの手持ち式はんだごてシステムの種々の構成要素を伴うはんだごてハンドピースの一実施形態の斜視図である。 図2は、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、例示的なプロセスフローを示す。 図3Aは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、3つの所与の負荷サイズのための、はんだこて先の経時的な温度変化のためのグラフを示す。 図3Bは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、3つの所与の電力レベル及び3つの所与の温度のための、はんだこて先の経時的なインピーダンス変化のためのグラフを示す。 図4Aは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、IMCの厚さ対時間のためのグラフを示す。 図4Bは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、IMCのための厚さ対はんだ付け時間のためのグラフを示す。 図4Cは、はんだ付けイベントのためのIMC層を示す。 図5は、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、複数のカメラからの画像を用いた液相線検出及び接続検査のための例示的なプロセスフローである。 図6Aは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、液相線の検出のために用いられる様々な画像を示す。 図6Bは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、液相線の検出のために用いられる様々な画像を示す。 図6Cは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、液相線の検出のために用いられる様々な画像を示す。 図6Dは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、液相線の検出のために用いられる様々な画像を示す。 図7Aは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、貫通孔構成要素のためのいくつかの例示的なはんだ接合部を示す。 図7Bは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、表面実装構成要素のためのいくつかの例示的なはんだ接合部を示す。 図8は、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、例示的なインテリジェントはんだ付けカートリッジを示す。 図9は、外部カメラを含む遠位部分を有するハンドピースを含む手持ち式はんだごての別の実施形態の斜視図である。 図10は、内部カメラを含む遠位部分を有するハンドピースを含む手持ち式はんだごてのさらなる実施形態の斜視図である。
実施形態の説明
実施形態によっては、本開示の発明は、自動はんだ付け接続検証を有するはんだ付けステーションである。はんだ付けステーションは、マイクロプロセッサ又はコントローラなどのプロセッサと、メモリと、入力/出力回路機構と、はんだ付け接続検証を遂行するために必要な他の電子回路機構とを含む。
実施形態によっては、プロセッサははんだ接合部及びはんだ付けステーションの様々な特性を受信し、はんだ付けイベントの間に良好なはんだ接合部が形成されたことを確実にするためにはんだ及びPCB基板の金属間化合物(IMC)の厚さを算出するプロセスを遂行する。はんだ接合部のための良好な電気接続が確認されると、はんだ付けステーション内、例えば、はんだ付けステーション内のハンドピース内又はディスプレイ上の、音声、LED、又は振動インジケータが、操作者又ははんだ付けロボットプログラムに良好なはんだ接合部の形成を通知する。通例、SAC(すず−銀−銅)はんだ及び銅基板PCBによって形成される良好なはんだ接合部は、はんだの金属間化合物の厚さが1um〜4umであるときである。したがって、はんだ付けステーションが、例えば、SAC305(96.5% Sn、3% Ag、0.5% Cu)はんだ線を銅基板PCBとともに用いる場合には、CuSnのIMCの厚さが本開示の発明のいくつかの実施形態によって算出され、はんだ付けイベントの間に、はんだのIMCの厚さが1um〜4umに達すると、操作者又はロボットは告知される。
銅基板とはんだ付けとの間の化学反応は以下のように示すことができる:
3Cu+Sn−>CuSn (段階1) (1)
2CuSn+3Sn−>CuSn (段階2−IMC厚さは1um〜4um) (2)。
化学反応の段階1は一時的(過渡的)なものであり、したがって、はんだ接合部の品質の決定のためには用いられない。
図1Aは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、例示的な手持ち式はんだごてを示す。図示のように、手持ち式はんだごては、ディスプレイ104、例えば、LCDディスプレイ、並びにLEDインジケータ106a及び106bなどの、様々なインジケータ106を含む、電源ユニット102を含む。発音デバイス又は触覚デバイスなどの、他のインジケータも同様に用いることができる。はんだごては、電源ユニット102に結合されたハンドピース108と、ハンドピース108を収容する(作業)スタンド110とをさらに含む。ハンドピース108は電源ユニット102から電力を受電し、ワークピースに対するはんだ付けを遂行するために、はんだ付けカートリッジに取り付けられているか、又はその内部に配置されたはんだこて先を加熱する。実施形態によっては、はんだ付けカートリッジは、こて先温度を感知し、そのデータをプロセッサへ伝送するためのはんだこて先に熱的に結合された温度センサを含み得る。
ハンドピース108は、その上に1つ以上のLED及び/又はブザーなどの様々なインジケータを含み得る。実施形態によっては、電源ユニット102又はハンドピース108は、マイクロプロセッサ、メモリ、入力/出力回路機構、及び様々なプロセスを遂行するために必要な他の電子回路機構を含む。当業者は、マイクロプロセッサ(又はコントローラ)は、電源内、ハンドピース、又ははんだ付けシステムのスタンド内に配置され得ることを認識するであろう。ローカルコンピュータ、リモートサーバ、はんだ付けを遂行するためのロボット、プリンタ、及び同様のものなどの、外部デバイスとの通信が、作業スタンドにおいて、周知の有線及び/又は無線インターフェース及びプロトコルを用いて、有線及び/又は無線接続によって遂行され得る。
実施形態によっては、マイクロプロセッサ及び関連回路は、以下においてより詳細に説明されるように、いかなるはんだ付けカートリッジが用いられているのかを識別し、こて先幾何形状を検証し、温度及び負荷(はんだ接合部)が、選択されたはんだ付けカートリッジが、負荷をはんだの融点に至らせるために十分なエネルギーを生み出すことができることを確実にするよう整合されていることを検証し、液相線温度を検出し、次に、はんだのIMC厚さを決定する。例えば、こて先幾何形状が負荷にとって小さすぎる場合には、こて先は接合部をはんだ融点に至らせることができないであろう。液相線温度は、その上方で材料が完全に液体となる温度である。液相線温度は、主として、ガラス、合金、及び石などの、不純物質(混合物)のために用いられる。液相線温度の上方では、材料は均質であり、平衡にある液体である。液相線温度の下方では、材料に依存した、十分な時間の後に結晶が材料中に形成される。
図8は、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、例示的なインテリジェントはんだ付けカートリッジを示す。実施形態によっては、インテリジェントはんだ付けカートリッジは、はんだこて先802、関連配線804、磁気シールド806、こて先を加熱するための加熱器808、シャフト又はハウジング810、電気接続及び機械接続の両方のためのコネクタ812、並びに不揮発性メモリ(non-volatile memory、NVM)などの記憶デバイス814を含む。インテリジェントはんだ付けカートリッジは、こて先の温度を測定するための温度センサ、及び/又はこて先のインピーダンスを測定するための電位差計などの、1つ以上のセンサ818、無線周波数識別デバイス(radio frequency identification device、RFID)820、及び/又はデータ通信への入力/出力回路及び有線及び/又は無線インターフェースなどのプロセッサ及び関連回路機構816をさらに含み得る。カートリッジをハンドピース又はロボットアームに接続するための機械コネクタ(図示せず)が効率的な急速解放動作のために含まれてもよい。
実施形態によっては、カートリッジID、例えば、特定のカートリッジに固有の通し番号又はコードが、カートリッジ、その種類、並びに関連パラメータ及び仕様情報を識別するために、NVM814又はRFID820から読み取られる。NVM814はまた、図3A、図3B、図4A、及び図4Bのグラフと同様の、複数のはんだこて先の経時的な温度変化に関する情報も記憶し得る。特定のはんだこて先が使用されると、使用されているこて先の温度変化に関する情報がNVMから取得される。通例、はんだ付けイベントの間に、こて先の温度は、それがはんだ接合部を加熱するにつれて降下し、それゆえ、加熱器はこて先を再加熱することが必要となり、これが、しばしば、こて先のための要求(設定)温度を行き過ぎる結果をもたらす。しかし、実施形態によっては、温度センサ818がこて先の温度を定期的に感知し、負荷又は他の因子に起因する任意の温度降下(又は増大)が生じた場合には、温度を調整するために、情報をプロセッサに(又は加熱器808に直接)供給する。このように、適切な量の熱がはんだ接合部へ直接送られる。
実施形態によっては、NVM及び/又はRFIDは、部品番号、ロットコード、通し番号、総使用量、総ポイント、こて先質量/重量、こて先構成、認証コード(存在する場合)、熱効率、熱的特性、及び同様のものなどの、カートリッジの特性に関連するデータを記憶する。このデータは、プロセッサ(例えば、内部プロセッサ816又は外部プロセッサ)によって、開始時、及びはんだ付け作業の最中に定期的に取得され得る。実施形態によっては、データはまた、有線又は無線方法を介して受信及び伝送され得る。
実施形態によっては、カートリッジのNVM及び/又はRFIDは以下の情報の全て又は一部を含む。
1.加熱器/こて先の温度、及び任意選択的に、様々な負荷サイズのための温度の経時的な変化に関する情報、
2.こて先の、はんだとの接触面、こて先の加熱器からの距離、こて先の質量を含み得る、こて先幾何形状、
3.こて先の熱効率因子(質量、形状、加熱器等に基づく)、
4.トレーサビリティのために用いられ得る、特定のこて先によって遂行されたはんだ付けイベントの回数
5.こて先使用時間(例えば、保証及びトレーサビリティのためのこて先が使用となっている総時間)
6.カートリッジの製造日
7.カートリッジのための通し番号及び識別コード
8.部品番号
9.CV選択フラグ(こて先及び/又はカートリッジがCV技術の対象となるかどうか)
10.データチェックサム
11.熱的性能を最大化するためのカートリッジごとの異なる比例−積分−微分(proportional-integral-derivative)コントローラ(「PID」)因子
こて先温度、こて先幾何形状、及び熱効率は、以下において説明されるように、IMC層厚のための近似値を算出するために用いられる。はんだ付けイベントの回数、こて先使用時間、及び製造日は、以下において説明されるように、IMC厚さの算出のプロセスをさらに洗練するために用いることができる。使用時間、はんだ付けイベントの回数、及び同様のものなどの、履歴情報はNVMに書き戻され、蓄積されてもよい。
通し番号、部品番号、及びCV選択フラグは、維持管理、トレーサビリティ、及び/又はプロセスがIMC形成の有効な指示を提供することになる、提供することができる/提供するはずであるかどうかの判断のためのものである。データチェックサムは、実施形態によっては、NVMにおける不良、又は通信データ転送エラーが存在するかどうかを決定するために用いられ得る。実施形態によっては、ロボットはんだ付けステーションのためのインテリジェントカートリッジは、ロボットアームが回転させられている時に、カートリッジが不必要に回転することを防止するための回転防止Dリングを含む。
実施形態によっては、インテリジェントはんだ付けカートリッジは、図2及び図5の両方のプロセスフローに従う液相線検出及び接続検査のプロセスを遂行する能力を有する。例えば、プロセッサ816は、カートリッジの特性に関する情報をNVM若しくはRFIDから取得し、はんだ接合部における液相線発生を検出し、はんだ接合部の3D現在画像を受信し、3D現在画像から液相線の発生後の分注されたはんだの体積を決定し、分注されたはんだのうちのどれほどが胴上へ、又は胴の表面区域上で消散させられたかを決定するために、分注されたはんだの体積を、貫通孔構成要素のために孔の胴内を充填するため、又は表面実装構成要素のために孔の胴の表面内を充填するために必要とされるはんだの量と比較し、分注されたはんだが胴又は胴の表面区域を充填するまで、分注されたはんだの体積の比較を繰り返し、分注されたはんだが所定の許容差以内で胴又は胴の表面区域を充填したときには、信頼できるはんだ接合部接続が形成されたことを指示する指示信号を生成する能力を有する。
加えて、プロセッサ816は、カートリッジの特性に関する情報を取得し、はんだ接合部における液相線発生を検出し、はんだ接合部の3D現在画像を受信し、3D現在画像から液相線の発生後の分注されたはんだの体積を決定し、分注されたはんだのうちのどれほどが胴上へ、又は胴の表面区域上で消散させられたかを決定するために、分注されたはんだの体積を、貫通孔構成要素のために孔の胴内を充填するため、又は表面実装構成要素のために孔の胴の表面内を充填するために必要とされるはんだの量と比較する能力を有し得る。次に、プロセッサは、分注されたはんだが胴又は胴の表面区域を充填するまで、分注されたはんだの体積の比較を繰り返し、分注されたはんだが所定の許容差以内で胴又は胴の表面区域を充填したときには、信頼できるはんだ接合部接続が形成されたことを指示する指示信号を生成し得る。
図1Bは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、プロセッサ及び関連構成要素の例示的なブロック図である。図示のように、プロセッサ112、メモリ114、不揮発性メモリ(NVM)116、及びI/Oインターフェース118が、本開示の発明のいくつかの実施形態のプロセッサ及び関連回路機構を含むためのバス120に結合されている。I/Oインターフェース118は、はんだ付けステーションの外部の構成要素への有線インターフェース及び/又は無線インターフェースであり得る。任意選択的に、はんだ接合部からの画像を様々な視点から取り込むための1台以上のカメラ122及び124がバス120又はI/Oインターフェース118を介してプロセッサ及びメモリに結合されている。追加的に、はんだこて先の温度を感知するための任意選択的な温度センサ126がバス120又はI/Oインターフェース118を介してプロセッサ112及びメモリ114に結合されていてもよい。任意選択的な温度センサははんだこて先又はその付近に配置され得る。
当業者であれば容易に理解するであろうように、図1Bに示される異なる構成要素は、以下において部分的に説明されるように、はんだごて又は自動はんだ付けステーションの異なる部分内に配置されていてもよい。例えば、カメラは、はんだごて又は自動はんだ付けステーションの異なる構成要素の外部に配置され、それらから切り離されていてもよく、その一方で、プロセッサ及び関連回路機構は、(後述されるように)はんだごて又は自動はんだ付けステーションの任意の構成要素内に配置されていてもよい。センサはまた、それらの適用物に依存して、はんだごて又は自動はんだ付けステーションの異なる構成要素内に/に配置されていてもよい。
図1Cは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、プロセッサ及び関連回路機構が電源内にある例示的な手持ち式はんだごてを示す。図示のように、電源ユニットは、プロセッサ及び関連回路機構、並びに電源によってハンドピース、カートリッジ、及び/又ははんだこて先へ供給される電力を検出し、変更するための内部電力監視ユニット/回路を含む。電源ユニットはまた、ハンドピース、LED、カートリッジ、及び/又は外部デバイスと電子的に通信するための有線及び/又は無線インターフェースを含む。プロセッサがはんだ接合部の品質を決定すると、それは、操作者に、はんだ接合部の決定された品質について告知するべく、LED、発音デバイス、及び触覚デバイスのうちの1つ以上を作動させるための適切な信号を出力する。
さらに、カートリッジID、例えば、特定のカートリッジに固有の通し番号又はコードが、カートリッジ及びその種類を識別するためにカートリッジのメモリ(例えば、NVM又はRFID)から読み取られる。これは有線又は無線接続によって行われ得る。例えば、カートリッジ内のRFIDの場合には、RFID(又はさらにNVM)は(プロセッサによって)無線で読み取られ得る。インテリジェントはんだ付けカートリッジ及びその種類が識別されると、カートリッジの関連パラメータがプロセッサによってメモリ、例えば、EEPROMから取得される。カートリッジ関連パラメータを記憶するメモリはカートリッジ内又はその外部にあり得る。実施形態によっては、関連(カートリッジ)パラメータの全てが、(カートリッジ内にある)メモリ内に記憶されている場合には、パラメータがカートリッジのメモリ内ですでに入手可能であり、カートリッジに特定的であるため、カートリッジが特定的に識別される必要がなくなり得る。
実施形態によっては、カートリッジは、カートリッジを識別するためのバーコード、磁気ストライプ、又は「スマートチップ」を有し得る。カートリッジが識別されると、関連情報が、バーコード、磁気ストライプ、スマートチップから読み取られるか、或いはインターネットなどのコンピュータネットワークに結合されたメモリ又はデータベースなどの、外部ストレージからフェッチされ得る。本出願及びクレームされている発明の目的のために、記憶デバイスはまた、バーコード、磁気ストライプ、及びスマートチップも含むであろう。
図1Dは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、プロセッサ及び関連回路機構がハンドピース内にある例示的な手持ち式はんだごてを示す。これらの実施形態の一般機能及び動作は、プロセッサ(及び関連回路機構)並びに電力監視ユニット/回路が今度はハンドピースと共に配置されていることを除いて、図1Cに関して説明されたものと同様である。
図1Eは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、プロセッサ及び関連回路機構がカートリッジ内にある例示的な手持ち式はんだごてを示す。これらの実施形態では、カートリッジは、図8に示され、以上において説明されたインテリジェントカートリッジと同様であり得る。これらの実施形態の一般機能及び動作は、プロセッサ(及び関連回路機構)並びにメモリが今度はカートリッジと共に配置されていることを除いて、図1Cに関して説明されたものと同様である。この場合も先と同様に、カートリッジ、ハンドピース、及び外部デバイスの間の通信は有線式及び/又は無線式であり得る。当業者であれば容易に認識するであろうように、電力監視ユニット/回路(図示せず)は、電源ユニット、ハンドピース、又はカートリッジ自体の内部に配置され得る。これらの実施形態では、操作者に告知するデバイス(例えば、LED、発音デバイス、及び/又は触覚デバイス)は、ハンドピース又はカートリッジ自体と共に配置され得る。ハンドピースと共に配置されている場合には、ハンドピースは、カートリッジ(及び任意の関連外部デバイス)と通信するための有線及び/又は無線インターフェースを含む。
図1Fは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、プロセッサ及び関連回路機構がカートリッジ内にある例示的な手持ち式はんだごてを示す。これらの実施形態の一般機能及び動作は、プロセッサ(及び関連回路機構)並びに電力監視ユニット/回路が今度ははんだごての作業スタンドと共に配置されていることを除いて、図1Cに関して説明されたものと同様である。
図1Gは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、例示的な自動はんだ付けステーションを示す。これらの実施形態では、ハンドピース及びカートリッジは、図示のように、ロボットアーム上に取り付けられているか、又はその一部である。図示のように、ロボットアーム140は3次元運動及び回転の能力を有する。ハンドピース144がロボットアームに結合されており、インテリジェントはんだ付けカートリッジ、例えば、図8に係るインテリジェントはんだ付けカートリッジがハンドピースに接続されている。実施形態によっては、インテリジェントはんだ付けカートリッジ142は、ハンドピースの役割を果たすであろう、ロボットアーム140に直接結合され得る。
プリント配線板(PWB(printed wiring board))などの、ワークピース154が、はんだ付け作業を上で遂行させる移動プラットフォーム156上に配置されている。はんだフィーダ146が、把持具(grip)、固定具(anchor)、ローラ、又は管148を介してはんだをワークピース154に提供する。異なる角度で配置された1台以上のカメラ152がワークピース上のはんだ接合部の近接写真を取り込む。電源150が電力をカートリッジ及びその内部の関連電子機器に提供する。
このように、本開示の発明のCV技術は、フィードバック(閉ループシステム)を任意の従来の自動はんだ付けステーションに提供する能力を有する。例えば、従来のアプローチの開ループ時間ベースのイベントが、はんだ品質のリアルタイムフィードバックを提供することによって大幅に改善される。すなわち、はんだ接合部のための所定の時間を用いる代わりに、CV技術はロボット運動制御システムに、良好な接合部がいつできたのかを指示するフィードバック信号を提供する。実施形態によっては、良好な接合部の指示を受けたときにのみ、ロボットはプログラムにおいて次の接合部に進むことができる。不良接合部ができたときには、ロボットは、直ちに、又はプログラムの最後に停止し、操作者にはんだ接合部の問題を警告する。
図1Hは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、はんだこて先温度を可変制御し、設定するためのはんだごてのための例示的な回路を示す。図示のように、可変電源162がはんだ付けハンドピース又はロボットアーム164のコイル164に、コイルを加熱するために電力を送電する。コイル164の熱は、次に、はんだこて先166へ伝達される。ハンドピース又はロボットアーム164は、後述されるアプローチによれば、こて先の温度を測定するための温度センサ172、及び/又はこて先のインピーダンスを測定するための、電位差計などの、インピーダンス測定デバイス172を含む。温度センサの場合には、センサは、こて先の温度を測定するための接触又は非接触センサであり得る。
次に、温度測定情報167及び/又はインピーダンス測定情報168が、関連回路機構及びプログラムを有するプロセッサ169によって受信される。加えて、温度設定情報170もプロセッサ169によって受信される。温度設定情報170、温度測定情報167、及び/又はインピーダンス測定情報168に基づいて、プロセッサ169は、可変電源162を、コイルが設定温度において一定の温度を保つべく、温度設定情報170によって設定された要求電力をコイル164へ送電するよう(制御信号171を介して)制御する。可変電源162の出力電力は、その出力電圧の変化、又はパルス幅変調(PWM)制御信号171に基づいて変更され得る。周知のPWMは、コイル164へ送電される電圧を、電圧(及びその結果得られるこて先温度)を所望のレベルにおいて近似する、適切なデューティサイクルを用いてスイッチングすることによって、電源162の出力を調節する。
実施形態によっては、温度設定情報170は操作者によって、適用物のための要求温度に依存して提供される。実施形態によっては、温度設定情報170は、プロセッサ169によって、カートリッジの種類、こて先の種類、こて先のサイズ、こて先の形状、熱負荷の種類若しくはサイズ、及び後述される検証プロセスによって決定された接続の品質のうちの1つ以上に依存して自動的に設定及び変更される(調整可能である)。
このように、同じはんだこて先を異なる加熱適用物のために用いることができ、結果は、種々の異なるはんだこて先の在庫及び維持、並びに大きなワークピース、又は異なるこて先を必要とする異なる種類の構成要素を有するワークピースのはんだ付け時間の低減である。
図1I〜図1Kを参照して、本開示の発明の一実施形態に係る自動可変温度制御を有する例示的な手持ち式はんだごてシステム174が説明される。
自動可変温度制御を有するはんだごてシステム174は、シャフト177、並びにはんだこて先180、磁界を発生するためのコイル182、磁気シールド183、及び温度を感知するか、若しくははんだこて先180のインピーダンスを測定するための温度センサ若しくはインピーダンス測定デバイス184を有するはんだ付けカートリッジ178を含むハンドピース176を含む。はんだごてシステム174は、表皮効果によってはんだこて先180を加熱するための可変電力をコイル182へ送電するためのRF可変電源186を含む。高周波交流電流がコイル182を流れ、電磁誘導を発生し、渦電流によって、導電性物体であるこて先180を加熱する。(作業)スタンド187がハンドピース176を収容する。プロセッサ及び関連回路を含むチップを有するコネクタ188が、はんだこて先180の設定温度入力及び感知された温度を受け入れ、RF可変電源186を、はんだこて先180の温度を設定温度入力の実質的に一定のレベルに保つために適した電力を加熱コイル182へ送電するよう制御するための制御信号を提供する。はんだこて先保持器190がはんだこて先180を覆う。
別の実施形態では、手持ち式はんだごてシステム174をより正確で強力にするために、各はんだ付けカートリッジ178は、熱的性能を最大化するためにカートリッジ178ごとに異なるPID因子を記憶するカートリッジ178に内蔵されたメモリ(例えば、NVM814、RFID820)を含む。
誘導加熱手持ち式はんだごてシステムにおいて従来行われていたように、キュリー点を用いて固定温度を得る代わりに、手持ち式はんだごてシステム174は温度センサ184を用いて異なる温度設定点(すなわち、任意の所望の温度設定点)を制御する。手持ち式はんだごてシステム174では、誘導加熱の瞬間応答のゆえに、従来のキュリー点固定温度より優れ、電子構成要素を損傷する過度の行き過ぎを回避するために、固有PID因子を各々の異なるカートリッジ内に記憶する、はんだ付けカートリッジ178を用い、感知された温度に基づいて熱を制御することが、キュリー点を用いて固定温度を得た過去の誘導加熱手持ち式はんだごてシステムよりも有利である。
図2は、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、例示的なプロセスフローを示す。ブロック202に示されるように、構成要素とPCB基板との間の全ての接続接合部を検証するためのプロセスが開始する。ブロック204において、使用されているカートリッジを識別し、識別されたカートリッジに関連するデータを、カートリッジ内、又はカートリッジの外部の、EEPROMなどの、不揮発性メモリ(NVM)から取得する。上述されたように、実施形態によっては、識別されたカートリッジに関連するデータは、プロセッサによって、カートリッジ内のNVMから取得される。
ブロック206において、プロセス(例えば、プロセッサ)は電力レベルをチェックし、或る期間内において、任意のはんだ付けアクションが遂行されているかどうかを決定する。はんだ付けアクションがまだ遂行されない場合には、プロセスはブロック206において待機する。例えば、タイマを所定の時間に設定することができ、その時間以内にアクションが起きない場合には、プロセスは待機する。しかし、はんだ付けアクションが遂行されることになる場合には、プロセスは、インジケータをリセットする、任意選択的なブロック208へ進む。
図3Aは、3つの所与の負荷サイズのための、はんだこて先の経時的な温度変化のためのグラフを示す。上述されたように、このデータはカートリッジのメモリ内に記憶され得る。グラフ306は、大きな負荷サイズ(例えば、〜104 Cu Mil)のためのものであり、グラフ304は、中程度の負荷サイズ(例えば、〜54 Cu Mil)のためのものであり、グラフ302は、小さな負荷サイズ(例えば、〜24 Cu Mil)を示す。図3Aに示されるように、所与のこて先に対して、負荷が重いほど、温度降下は高くなる。実施形態によっては、こて先温度降下が、(実験データによって決定された)所定の値、例えば、25℃前後よりも大きい場合には、電源が、はんだ付けイベントを完了するために必要とされる時間(例えば、8秒)以内に、こて先の温度を維持するよう電力をこて先へ送電し続けるために十分に速く回復することが不可能であろうから、プロセスは中止される。
実施形態によっては、温度降下は、こて先のインピーダンスを測定し、次に、以下の式(3)によってこて先温度を決定することによって検出され得る。インピーダンスは、カートリッジ/こて先への電力を切り、こて先と熱接触した(カートリッジ内の)コイルの電圧を測定することによって測定され得る。このとき、こて先のインピーダンスは、コイルの電圧・掛ける・インピーダンス重み係数(式(3)中のk)になるであろう。インピーダンス重み係数はこて先の種類に依存することになり、例えば、カートリッジ自体の内部の、メモリ内に記憶される。実施形態によっては、こて先の温度降下を直接読み、それをマイクロプロセッサへ通信する温度センサがカートリッジ内に配置され得る。
imd=+Rmax/(1+[k*e^(−T)]) (3)。
ここで、Rimdはインピーダンス値であり、Rminはインピーダンスの最小値であり、Rmaxはインピーダンスの最大値であり、kは重み係数であり、Tは、こて先と負荷との間の温度差である、デルタ温度である。こて先温度降下は、通例、開始時におけるこて先から負荷への熱伝達に起因するものであり、6°から48°まで変動可能であり得、こて先幾何形状、加熱器、及びこて先の種類に依存する。Rminは、電力が開始時にオンになる前の、はんだこて先のための最小インピーダンス値である。Rmaxは、電力が開始時に所定量の時間の間、オンになった後の、例えば、2秒後の、はんだこて先のための最大インピーダンス値である。これらの値は、使用されている特定のはんだこて先に特定的であり、プロセッサによってアクセス可能なメモリ内に記憶される。
図3Bは、電源ユニットによってはんだこて先へ送電される3つの所与の電力レベル、及びはんだこて先の3つの所与の温度についての、はんだこて先の経時的なインピーダンス変化のためのグラフを示す。以上において説明されたように、このデータもカートリッジのメモリ内に記憶され得る。グラフ318は小さな電力のためのものであり、グラフ312は大きな電力のためのものであり、グラフ314は中程度の電力を示す。さらに、グラフ310は小さいもののためのものであり、グラフ316は中程度の温度のためのものであり、グラフ320は大きな温度のためのものである。
実施形態によっては、温度降下は、以下の式(4)に示されるように、(カートリッジ内、又はカートリッジの外部の、メモリ内に記憶される)所与のこて先幾何形状及び加熱器材料ごとの熱効率因子を定義することによって検出され得る。電力の引き出しがTE_factorよりも高い場合には、システムは、例えば、赤色LEDを点灯させるか、触覚デバイスを作動させるか、又は発音デバイスを作動させることによって、プロセスにおいて中止を決定する。
TE_factor=TipMass*TipStyle*HTR_factor*Const (4)、
ここで、TipMassは銅の重量(mg)であり、この重量は、ロングリーチ(LongReach)こて先については0.65、普通(Regular)こて先については1、強力(Power)こて先については1.72である。TipStyleは、こて先の先端からカートリッジ内の加熱器までの距離を指す。例えば、現在市場で入手可能ないくつかのはんだこて先のためのデータによれば、TipStyleは、「ロングリーチ」こて先については20mm、「普通」こて先については10mm、及び「強力」こて先については5mmである。HTR_factorは、加熱器温度・掛ける・加熱器の種類に基づいて与えられた(事前に決定された)因子(例えば、0.01)である。全ての種類の加熱器について、Const=4.651*10−3である。例えば、HTR_factorは、様々な加熱器の種類について、800F*0.01=8、700F*0.01=7、600F*0.01=6、又は500F*0.01=5であり得る。これらのパラメータ値は、はんだごて、はんだ付けステーションの、又はカートリッジ自体の内部のメモリ(例えば、NVM)内に記憶され得る。
図2を再び参照すると、ブロック210において、(例えば、式(3)若しくは(4)、又は温度センサに従う)所定の期間、例えば、はんだ付けイベントの最初の2〜3秒以内におけるこて先温度降下に基づく、こて先幾何形状/温度及び負荷が整合されていることを確実にするための熱効率チェックが遂行される。例えば、はんだ付けの開始から2秒後の最大電力が、使用されているはんだこて先の熱効率因子以下であるときには、整合がある。パラメータはNVMから取得され得る。
実施形態によっては、熱効率チェックプロセスは、こて先及び負荷に対するはんだ付けステーションの熱伝達及び電力の回復を監視する。各々のこて先の種類は、こて先温度、質量、及び構成/様式に応じた、その独自の熱的特性を有する。様々なこて先の種類のために、それらの熱的特性及び効率因子(TE)が、カートリッジ内、又はカートリッジの外部のメモリ内に記憶される。
最初の期間(例えば、2〜3秒)の最中に、こて先への電力が(例えば、電源から)測定され、こて先のTEと比較される。測定された電力が、閾値、例えば、TE因子の95%+/−10%よりも大きい場合には、それは、こて先が小さすぎるか、又は負荷が大きすぎることを意味する。なぜなら、それらが多量の電力を必要とするためである。この場合には、熱効率チェックは不合格になり(210a)、プロセスはブロック226において中止され、任意選択的に、1つ以上のインジケータ、例えば、赤色LED、触覚デバイス、及び/又は発音デバイスが作動させられる。熱効率チェックが合格した場合には(210b)、プロセスは、操作者又はロボットプログラムに、熱効率チェックプロセスが合格したことを知らせるために、緑色LED及び/又はビープなどの合格インジケータを作動させる、任意選択的なブロック212へ進む。
ブロック214において、液相線温度を以下の熱伝達の式に基づいて検出する。
ΔT=P*TR (5)、
ここで、ΔTは、こて先温度・マイナス・負荷温度であり、Pはこて先への(電)力レベルであり、TRは、NVMから取得され得るこて先と負荷との間の熱抵抗である。
負荷温度は、それが平衡に達するまで増大し続けるため、ΔTははんだ付けアクション全体を通じて減少する。また、はんだ付けイベントが最初に開始する際に、こて先への電力は増大する。したがって、以下において示されるように、TRは減少していくことになる。液相線が発生すると、以下において示されるように、TRは安定化し、それゆえ、こて先への電力Pは今度は減少し始める。したがって、検出された液相線温度に対して、はんだこて先へ送電される電力の変化状態が観察される。
ΔT↓=P↑*TR↓
ΔT↓=P↓*TR〜
ブロック216において、電力がピークにあり、低下しているかどうかをチェックする。そうでない場合には、プロセスは時間切れになり(216a)、ブロック226において中止される。電源から測定された、こて先への電力がピークにあり、低下している場合には、プロセスはブロック218へ進み、インジケータ、例えば、LED及び/又はビープ音を作動させる。電力がピークにあり、低下しているときには、それは、はんだ付けイベントが液相線状態にあることを意味する。
ブロック220において、IMCの厚さを以下の式によって決定する。
IMC=1+(k*ln(t+1)) (6)、
ここで、kは、(はんだの製造業者によって提供され、メモリ内に記憶された)使用されているはんだの種類のための重み係数であり、tは、液相線後の所与の時間においてIMC厚さを決定するためのサンプル/感知間隔時間、例えば、100msである。例えば、kは0.2173の値をもって一定であり、tは0.1秒であり、すなわち、IMCは、小さな負荷のための行き過ぎを回避するために、0.1sの間隔で算出される。すなわち、こて先は、それがはんだ接合部を加熱するのにつれて冷却し、加熱器がこて先を再加熱しようと試みる際に、温度はその設定(所望)値から行き過ぎてしまうおそれがある。通例、IMCの厚さは1〜4umの間で変動する。
概して、はんだ接合部のIMCの厚さは時間及び温度の関数になるであろう。温度がはんだ負荷の融点(例えば、220〜240℃)にあるときには、それははんだ接合部のIMCの厚さに大きな影響を及ぼさない。したがって、式(6)は時間及び固定温度のみに基づく。
図4Aは、多くのはんだ接合部及びIMC厚さの測定を用いて、実験によって得られた、重み係数k=0.2173の場合の、はんだ接合部のIMCの厚さ対時間のためのグラフを示す。図4Aに示されるように、実験データに基づいて、IMC厚さは経時的に増大する。
図2を再び参照すると、ブロック222は、所定の時間量(冷却期間)内において、IMCの決定された厚さが所定の範囲、例えば、1um〜4um以内にあるかどうかをチェックする。そうである場合には、プロセスは、操作者に通知する、ブロック224へ進む。ブロック222における試験の結果が偽である場合には、プロセスは時間切れになり(222b)、ブロック226において中止される。
実施形態によっては、本発明は、接合部形成の成功又は潜在的な不成功の指示を、金属間接合部情報を収集する能力、及び後処理のためのその特定の接合部のための動作パラメータとともに操作者に提供する。指示は、視覚手段、聴覚手段、及び/又はハンドピースの振動を介して達成することができる。
例えば、限定するわけではないが、図9及び図10は、過去において、接合部はしばしばランダムにはんだ付けされており、はんだ付け情報データがはんだ付けイベントごとに収集されたであろうが、どの接合部が作業されているのかは分からなかったため、作業されている接合部を決定するべくはんだ接合部の画像を得るために用いられ得るはんだ付けハンドピースのためのカメラ900、910の実施形態を示す。本明細書において示され、説明されるものに対する、図9及び図10における同様の要素は、同様の参照符号を用いて、ただし、「a」の接尾辞を付けて示される/説明されることになる。図1〜図8に関して示され、及び/又は説明された主題がここに組み込まれる。例えば、限定するわけではないが、図1Bに関して示され、及び/又は説明されたプロセッサ及び関連構成要素がここに組み込まれる。
図9の実施形態では、カメラ900は、ハウジング/シャフト810aの遠位部分902においてハンドピース108aによって担持された外部カメラである。外部カメラ900は、コード920、アダプタ930、及びプラグ/コネクタ940を介して電源ユニット102aに結合されている。代替的な諸実施形態では、外部カメラ900はハウジング/シャフト810aの遠位部分902以外に配置され得る。例えば、限定するわけではないが、外部カメラ900ははんだ付け活動の近くの(例えば、作業台上の)三脚上に設置され得る。
図10の実施形態では、カメラ910は、ハウジング/シャフト810aの遠位部分902においてハンドピース108aによって担持された内部カメラであるが、外部カメラ900の場合とは異なり、内部カメラ910の場合には、全ての配線/電子機器がシャフト810a及び/又は電源ユニット102aの内部にある。例えば、限定するわけではないが、内部カメラ910は電源ユニット102a上に設置され得る。
使用時、カメラ900、910は、はんだ付けイベントの前、及びはんだ付けイベントの後に接合の画像を得る。画像は、接合部ごとに、本明細書において示され、及び/又は説明された、収集及び/又は決定されたはんだ付け情報(例えば、こて先幾何形状、液相線温度、加熱器/こて先の温度、様々な負荷サイズのための経時的な温度変化に関する情報、こて先の、はんだとの接触面、こて先の、加熱器からの距離、こて先の質量を含み得る、こて先幾何形状、こて先の熱効率因子(質量、形状、加熱器等に基づく)、トレーサビリティのために用いられ得る、特定のこて先によって遂行されたはんだ付けイベントの回数、こて先使用時間(例えば、保証及びトレーサビリティのための、こて先が使用となっている総時間)、カートリッジの製造日、カートリッジのための通し番号及び識別コード、部品番号、CV選択フラグ(こて先及び/又はカートリッジがCV技術の対象となるかどうか)、データチェックサム、はんだ接合部における液相線発生を検出すること、はんだ接合部の3D現在画像を受信すること、3D現在画像から液相線の発生後の分注されたはんだの体積を決定すること、分注されたはんだのうちのどれほどが胴上へ、又は胴の表面区域上で消散させられたかを決定するために、分注されたはんだの体積を、貫通孔構成要素のために孔の胴内を充填するため、又は表面実装構成要素のために孔の胴の表面内を充填するために必要とされるはんだの量と比較すること、信頼できるはんだ接合部接続が形成されたことを指示する指示信号)のうちの1つ以上に関連付けられ、これにより、各々のそれぞれの接合部のための収集された/決定されたはんだ付け情報を特徴付けることができる。代替的に、カメラ900、910ははんだ付けイベントの最中に接合部の画像を得るか、或いははんだ付けイベントの前、最中、及び/又は後に接合部の画像を得る。
デバッグモード(ブロック228)が、例えば、プロセスエンジニアによって、はんだ付けイベントの最中に含まれるステップの経過を追うために用いられる。デバッグモードに入るために、ユーザはデバッグモードをオンにする必要がある。
液相線の検出のための同様のプロセスが、はんだの全てが接合部から除去されることを確実にするべく、はんだ接合部からのはんだの除去のために用いられ得る。例えば、液相線温度が検出されると、接合部からはんだを除去するために真空(機)が(自動的に、又は手動で)作動させられる。このように、真空機は適時に作動させられる。なぜなら、それが液相線温度よりも早く作動させられた場合には、はんだは液体状態ではなく、それゆえ、除去することができないからである。また、真空が液相線温度の前に作動させられた場合には、接合部に加えられている熱のほとんどが真空によって吸い出される。
図4Bは、IMCのための厚さ対はんだ付け時間のためのグラフを示す。図示のように、グラフ402は300℃の温度のためのものであり、Y=0.176X+1.242であり、グラフ404は275℃の温度のためのものであり、Y=0.044X+1.00であり、グラフ404は220℃の温度のためのものであり、Y=0.049X+0.297である。ここで、Xは時間であり、YはIMC厚さである。定数は複数の実験から導出される。図示のように、IMC厚さのブレイクアウトが3つの異なる温度範囲において出来する。IMCの厚さは時間及び温度の関数であるため、温度が上昇するに従い、IMCは線形関数としてより大きく成長する。適用物に依存して、これらの曲線のうちのいずれかが、式(6)における重み係数kを決定するために用いられ得る。例えば、SAC305のこて先(その仕様はカートリッジのNVM内に記憶され得る)を有するはんだ付け適用物のためには、グラフ404が用いられる。
図4CはIMC層を10umのスケールで示す。鉛直の矢印は、IMC厚さの測定が遂行され得る場所である。上述されたように、本開示の発明は液相線温度を検出し、IMCの厚さを決定し、所望の厚さが達成されることを確実にする。
このように、本開示の発明の諸実施形態は、金属間化合物の厚さを算出することによって2つの金属の間の良好な接着及び電気接続を確実にし、したがって、不良接合部を早い段階で防止する。さらに、本発明は、接合部品質及びプロセス問題に関する即時のフィードバックを(インジケータによって)操作者に提供し、それゆえ、操作者は、接合部品質に関する情報を事後分析のために追跡する能力を有する。操作者は、特定の適用物要求を満たすために、異なるパラメータを変更するか、又はメニューから選択することができる。
実施形態によっては、自己制御温度フィードバック技術が利用されるときには、顧客の現場におけるシステムの校正を要しない。本発明はまた、操作者が、自分が不適切なこて先/カートリッジの組み合わせをはんだ付けイベントのために使用しているのかどうかを識別することを助ける能力を提供する。例えば、本発明は、NVM内に記憶された熱効率閾値に基づいて、はんだこて先が、開始から所定の時間(例えば、2秒)後に負荷を融点に至らせるために必要とされる十分なエネルギーを送り出すことができないときに、(例えば、LED、発音デバイス、触覚デバイス等を介して)操作者に通知する能力を有する。
実施形態によっては、本発明は少なくとも2台の高解像度カメラを用いて2つ以上の2D画像を取り込み、それらの2D画像から(様々な既知の技法を利用して)3D画像を得、2D及び3D画像を用いて液相線段階を検出し、次に、貫通孔構成要素のためのビア孔(胴)を通して充填されたはんだの量、又は表面実装構成要素のための構成要素の周りに広げられた量はんだを算出する。
図5は、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、複数のカメラからの画像を用いた液相線検出及び接続検査のための例示的なプロセスフローである。実施形態によっては、はんだ付けイベントの前及び後に、2つの視点(角度)からはんだ接合部の2D画像を取り込むために、少なくとも2台の高解像度カメラが2つの異なる位置においてはんだ接合部に接近して配置されている。2D画像の比較から液相線が検出される。次に、貫通孔構成要素の場合には、貫通孔の胴(胴)の体積が、2D画像から生成された3D画像から決定される。表面実装(SMT(surface mounted))構成要素の場合には、PCB上の胴の表面が2D画像から決定される。ブロック502に示されるように、図6Aに示されるように、はんだ付けイベントの前に、2つの参照画像を生成するために、はんだ付け区域(接合)の2つの画像を2台のカメラによって取り込む。ブロック504において、はんだ付けイベントの前に、はんだ付け区域の3D参照画像を周知の方法によって2つの参照画像から生成する。
ブロック506において、貫通孔のための胴の体積V及び/又はSMT構成要素のための胴の表面積Sを3D参照画像から決定し、どれほどのはんだが、胴、又は胴の表面区域を充填するために必要であるかを決定する。胴の表面はまた、カメラの位置に依存して、2D画像からも決定され得る。例えば、はんだ接合部に対する各カメラの距離及び角度が分かれば、単純な周知の三角法を用いて任意の点(例えば、胴表面の外周上の点)の距離が決定され得る。また、第2の(立体)カメラを有することで、体積決定のために用いられるべき少なくとも4つの点がもたらされる。また、3D画像から体積(及び表面積)を測定する能力を有する周知のソフトウェアツール(例えば、コンピュータビジョンソフトウェア)も存在する。例えば、MediaCybernetics(商標)からのImage-Pro Premier 3D(商標)及びImage-Pro Plus(商標)は、体積内の複数の材料の特性を測定し、成分百分率、材料質量、配向、直径、半径、及び表面積を容易に発見する能力を有する。ツールは、物体体積、ボックス体積、深さ、直径、半径、及び表面積を測定する能力を有する。同様の機能性を有するいくつかの他のツールも利用可能であり、当業者に知られている。
したがって、構成要素の種類に依存して、胴、又は胴の表面内を充填するために必要とされるはんだの量が決定される。はんだ付けイベントが開始された直後に、ブロック508において、はんだ付け区域の2つの現在画像を取り込む。ブロック510において、はんだの広がりに起因する現在画像内のピクセルの任意の色の変化を検出するために、はんだ付けイベントが進行するのに従って、2D参照画像内の各ピクセルの色値を2D現在画像内の各々の対応するピクセルの色値と比較する。はんだの色のピクセル値は既知であるため、このプロセスは、図6Bに示されるように、ピクセルがはんだピクセルである、すなわち、はんだを包含するかどうかを決定することができる。
ブロック512において、現在画像内の全てのピクセルが、分注されたはんだのピクセルであると決定されるまで、すなわち、図6Dに示されるように、液相線が今や検出されるまで、ブロック508(図6C)及び510におけるプロセスが繰り返される。現在画像内の全てのピクセルがはんだのピクセルであると決定されなかった場合には、ブロック512におけるプロセスは所定量の時間(例えば、8秒)後に時間切れになる。最後の2つの現在画像内の全てのピクセルが、(許容差範囲内で)分注されたはんだのピクセルであると決定すると、ブロック514において、液相線を検出する。
液相線の検出後に、ブロック516において、各カメラからの最後の現在画像を処理し、3D現在画像を生成する。次に、ブロック518において、式(7)〜(9)のうちの1つ以上によって、分注されたはんだの体積Vを3D現在画像から決定する。ブロック520において、分注されたはんだのうちのどれほどが胴内へ、又は胴の表面積上で消散させられたのかを決定するために、分注されたはんだの算出された体積Vを、胴(すなわち、V)、又は胴の表面積(すなわち、S)内を充填するために必要とされるはんだの決定された量と比較する。ブロック522において、分注されたはんだが胴、又は胴の表面積を充填するまで、このプロセス(ブロック520)を繰り返す。すなわち、目に見える分注されたはんだの体積が、所定の許容差範囲内で、(VVb)又は(V)に達した。ブロック522におけるプロセスは所定量の時間(例えば、8秒)後に時間切れになる。次に、胴、又は胴の表面の全てを、分注されたはんだで充填することによって、接続が今や形成されたことを操作者に告知するために、インジケータ(例えば、LED及び/又はビープ)が作動させられる。
換言すれば、貫通孔構成要素の場合には、算出された体積が、胴を充填するために必要とされ、貫通孔構成要素のための既定の許容差以内にある所定量に低下すると、図7Aに示されるように、良好なはんだ接合部が形成されている。実施形態によっては、はんだ接合部の高さ及び体積の算出は以下の式に基づいて遂行される。
lead=πrlead h (7)
barrel=πrbarrel h (8)
required=πh(rbarrel h−rlead h) (9)
ここで、図7Aに示されるように、Vleadは構成要素リードの体積であり、Vbarrelは貫通孔の胴の体積であり、Vrequiredは、胴を充填するために必要とされるはんだの体積であり、rleadは(貫通孔)構成要素リードの半径であり、rbarrelは貫通孔の胴の半径であり、hは板厚である。
図7Aは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、貫通孔構成要素のための、画像が2台のカメラによって取り込まれる、いくつかの例示的なはんだ接合部を示す。図7Bは、本開示の発明のいくつかの実施形態に係る、表面実装構成要素のための、画像が2台のカメラによって取り込まれる、いくつかの例示的なはんだ接合部を示す。この場合には、本発明は負荷全体の高さを、放物線状又は直線状の形状を形成するための所定の基準高さ(望ましい高さ)と比較する。識別された形状面積が既定の許容差内で負荷(胴)表面積の既定の割合と等価になると、良好なはんだが表面実装構成要素のために形成されている。図7Bに示されるように、より大きな表面実装構成要素に対しては、はんだ接合部は構成要素の側部に放物線形状として形成される。しかし、より小さな表面実装構成要素に対しては、構成要素の小さなサイズのゆえに、カメラが、直線状に充填された区域を取り込むことしかできないため、はんだ接合部は構成要素の側部に直線形状として形成される。
液相線の検出のための同様のプロセスが、はんだの全てが接合部から除去されることを確実にするべく、はんだ接合部からのはんだの除去のために用いられ得る。例えば、液相線温度が上述のプロセスを用いて検出されると、接合からはんだを除去するために真空(機)が(自動的に、又は手動で)作動させられる。このように、真空機は適時に作動させられる。
上述された本発明の例示された実施形態及び他の実施形態に対する様々な変更が、その広い進歩性から逸脱することなく行われ得ることが当業者によって認識されるであろう。したがって、本発明は、開示される特定の諸実施形態又は構成に限定されず、むしろ、添付の請求項によって定義されるとおりの本発明の範囲及び趣旨に含まれる任意の変更、適合、又は修正を包括することを意図されることが理解されるであろう。
102、102a 電源ユニット
104 ディスプレイ
106 インジケータ
106a、106b LEDインジケータ
108、108a、144、176 ハンドピース
110 作業スタンド
112 プロセッサ
114 メモリ
116 不揮発性メモリ
118 I/Oインターフェース
120 バス
122、124、152 カメラ
126、172、184 温度センサ
140 ロボットアーム
142 インテリジェントはんだ付けカートリッジ
146 はんだフィーダ
148 管
150 電源
154 ワークピース
156 移動プラットフォーム
162 可変電源
164 はんだ付けハンドピース
166、180、802 はんだこて先
167 温度測定情報
168 インピーダンス測定情報
169、816 プロセッサ
170 温度設定情報
171 制御信号
174 手持ち式はんだごてシステム
177、810、810a シャフト
178 はんだ付けカートリッジ
182 コイル
183、806 磁気シールド
186 RF可変電源
187 作業スタンド
188、812、940 コネクタ
190 はんだこて先保持器
804 関連配線
808 加熱器
814 記憶デバイス
818 センサ
820 無線周波数識別デバイス
900 外部カメラ
902 遠位部分
910 内部カメラ
920 コード
930 アダプタ

Claims (16)

  1. 自動可変温度制御を有するはんだごてシステムであって、
    はんだこて先、磁界を発生するコイル、及び前記はんだこて先の温度を感知するための温度センサを有するはんだ付けカートリッジを含むハンドピース又はロボットアームと、
    前記はんだこて先を加熱するための可変電力を前記コイルへ送電するための可変電源と、
    設定温度入力、及び前記はんだこて先の前記感知された温度を受け入れ、前記可変電源を、前記はんだこて先の前記温度を前記設定温度入力の実質的に一定のレベルに保つために適した電力を前記コイルへ送電するよう制御するための制御信号を提供するための関連回路を含むプロセッサと、
    を備え、
    前記設定温度入力が、前記プロセッサによって、カートリッジの種類、こて先の種類、こて先のサイズ、こて先の形状、熱負荷の種類若しくはサイズ、及び前記はんだこて先によって形成されているはんだ接合部の、前記プロセッサによって決定された品質のうちの1つ以上に基づいて自動的に調整可能である、はんだごてシステム。
  2. 前記温度センサが、前記はんだこて先の温度を感知するための温度センサであり、前記プロセッサが、設定温度入力、及び前記はんだこて先の前記感知された温度を受け入れ、前記可変電源を、前記はんだこて先の前記温度を前記設定温度入力に保つために適した電力を前記コイルへ送電するよう制御するための制御信号を提供するための関連回路を含む、請求項1に記載のはんだごてシステム。
  3. 前記制御信号が、前記可変電源の出力電力を制御するためのパルス幅変調信号である、請求項1又は2に記載のはんだごてシステム。
  4. 前記プロセッサが、前記はんだ接合部の金属間化合物(IMC)の厚さを決定し、前記IMCの前記厚さが所定の範囲内にあるかどうかを決定することによって、前記はんだ接合部の前記品質を決定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のはんだごてシステム。
  5. 前記プロセッサが、金属間化合物(IMC)の厚さが所定の範囲内にあるときには、信頼できるはんだ接合部接続が形成されたことを指示する指示信号を生成し、前記指示信号を伝送する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のはんだごてシステム。
  6. 前記コイルが交流電流を受電し、電磁誘導を発生し、導電性物体である、前記はんだこて先を渦電流によって加熱する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のはんだごてシステム。
  7. 前記はんだ付けカートリッジが、熱的性能を最大化するための固有PID因子を記憶するメモリを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のはんだごてシステム。
  8. 自動可変温度制御を有するはんだごてシステムであって、
    はんだこて先、磁界を発生するコイル、及び前記はんだこて先の温度を感知するための温度センサを有するはんだ付けカートリッジを含むハンドピース又はロボットアームと、
    前記はんだこて先を加熱するための可変電力を前記コイルへ送電するための可変電源と、
    設定温度入力、及び前記はんだこて先の前記感知された温度を受け入れ、前記可変電源を、前記はんだこて先の前記温度を前記設定温度入力の実質的に一定のレベルに保つために適した電力を前記コイルへ送電するよう制御するための制御信号を提供するための関連回路を含むプロセッサと、
    を備え、
    前記はんだ付けカートリッジが複数のはんだ付けカートリッジを含み、前記複数のはんだ付けカートリッジの各はんだ付けカートリッジが、熱的性能を最大化するための固有PID因子を記憶するメモリを含む、はんだごてシステム。
  9. 前記はんだごてシステムが前記温度センサを用いて、異なる温度設定点を制御する、請求項8に記載のはんだごてシステム。
  10. 前記制御信号が、前記可変電源の出力電力を制御するためのパルス幅変調信号である、請求項8又は9に記載のはんだごてシステム。
  11. 前記設定温度入力が前記はんだごてシステムの操作者によって調整可能である、請求項8〜10のいずれか一項に記載のはんだごてシステム。
  12. 前記設定温度入力が、前記プロセッサによって、カートリッジの種類、こて先の種類、こて先のサイズ、こて先の形状、熱負荷の種類若しくはサイズ、及び前記はんだこて先によって形成されているはんだ接合部の、前記プロセッサによって決定された品質のうちの1つ以上に基づいて自動的に調整可能である、請求項8〜11のいずれか一項に記載のはんだごてシステム。
  13. 前記プロセッサが、前記はんだ接合部の金属間化合物(IMC)の厚さを決定し、前記IMCの前記厚さが所定の範囲内にあるかどうかを決定することによって、前記はんだ接合部の前記品質を決定する、請求項12に記載のはんだごてシステム。
  14. 前記プロセッサが、金属間化合物(IMC)の厚さが所定の範囲内にあるときには、信頼できるはんだ接合部接続が形成されたことを指示する指示信号を生成し、前記指示信号を伝送する、請求項12又は13に記載のはんだごてシステム。
  15. 前記コイルが交流電流を受電し、電磁誘導を発生し、導電性物体である、前記はんだこて先を渦電流によって加熱する、請求項8〜14のいずれか一項に記載のはんだごてシステム。
  16. 前記はんだ付けカートリッジが、熱的性能を最大化するための固有PID因子を記憶するメモリを含む、請求項8〜15のいずれか一項に記載のはんだごてシステム。
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