JP2021021127A - 銅合金材料及び熱交換器 - Google Patents

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Abstract

【解決課題】低コストであり、強度が高く且つ加工性に優れたCu−Ni−P系の銅合金材料を提供すること。【解決手段】0.40〜1.50質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金からなり、該銅合金は、銅合金を溶体化する溶体化処理と、該溶体化処理後に、225℃±100℃で加熱する熱処理(A1)と、が施された銅合金であり、該熱処理(A1)後の引張強さ(σ2)と該熱処理(A1)前の引張強さ(σ1)の差(σ2−σ1)が20MPa以上であり、且つ、該熱処理(A1)前の伸び(δ1)と該熱処理(A1)後の伸び(δ2)の差(δ1−δ2)が0〜10%であること、を特徴とする銅合金材料。【選択図】なし

Description

本発明は、製造コストが低く、高強度であり、且つ、加工性に優れた銅合金材料に関する。
従来より、銅材の高強度化を目的として、微量の元素を添加した銅合金が提案されている。そのうちの1つとして、Cu−Ni−P系の銅合金がある(例えば、特許文献1:特開平4−218631号公報)。
このCu−Ni−P系の銅合金は、Ni−P系析出物により析出強化される銅合金であり、溶体化処理後、適正な温度での熱処理(時効処理)を行うことによって、高強度化される。
そして、Cu−Ni−P系の銅合金により、板材、管材等の種々の形態の同材料が製造されているが、その用途や使用条件によっては、強度の加工が行われる場合があるため、Cu−Ni−P系の銅合金材料には、高強度であることのみならず、加工性が良好であることが必要であり、伸びの良好な銅材料が求められている。
管材の場合、例えば、ルームエアコン、パッケージエアコン等の空調機用熱交換器、冷凍機等の伝熱管又は冷媒配管に使用される銅管においては、近年の薄肉化の要求に伴い、材料の高強度化が求められている。そのためには、適正な合金成分であることの他、その合金成分に応じた適正な熱処理条件等の製造条件を規定することが重要である。
しかし、特許文献1に記載のCu−Ni−P系の銅合金材料は、強度(引張強さ)は300MPaを超えており、高強度化されているものの、伸びが低く、強加工を行うには適さない。
そこで、高強度であり且つ加工性に優れるCu−Ni−P系の銅合金材料としては、例えば、特許文献2には、0.40〜1.50質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金を溶体化処理した後、冷間加工及び中間焼鈍を行い、銅合金に650℃±100℃で加熱する第一熱処理と、その後に850℃±100℃で加熱する第二熱処理と、を施すことにより、高強度且つ伸びが高い銅合金材料が得られることが開示されている。
特開平4−218631号公報 国際公開第2015/122423号
銅合金材料は、汎用性が高く、種々の用途に用いられるため、高性能なものであることは勿論、低コストであることも求められる。
ここで、銅合金材料の製造における低コスト化の方策の一つとして、熱処理の処理温度を低くすることが考えられる。
特許文献2の方法では、高強度でありながら、伸びが高いという優れた性能を有する銅合金材料が得られるものの、650℃±100℃で加熱する第一熱処理と、850℃±100℃で加熱する第二熱処理が必須である。
特許文献2において、850℃±100℃で加熱する第二熱処理は、ろう付け加熱に対応するものなので、銅合金材料がろう付けにより製品に適用される場合には、避けられない熱処理であり、この熱処理温度を低くすることは困難である。一方、引用文献2において、650℃±100℃で加熱する第一熱処理は、ろう付け加熱前の熱処理なので、改善の余地がある。
ところが、引用文献2において、第一熱処理の温度の範囲が、550〜750℃と規定されているのは、この温度範囲で熱処理を行ったときにはじめて、引用文献2の効果、すなわち、高強度でありながら、伸びが高い銅合金材料が得られるという効果を奏するためである。
そのため、単に、製造コストの低減のために、第一熱処理の処理温度を低くしたのでは、高強度且つ伸びが高い銅合金材料が得られないということは、技術常識から容易に推測される。
従って、本発明の目的は、低コストであり、強度が高く且つ加工性に優れたCu−Ni−P系の銅合金材料を提供することにある。
上記技術背景の基、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、銅合金のNi及びPの含有量を特定の範囲にした上で、該銅合金を、時効処理を行う温度としては低温である225±100℃で熱処理することにより、500〜750℃での時効処理により析出する析出物とは異なる析出物であるNi12が析出することを見出し、且つ、このNi12が、銅合金を、高強度であり且つ伸びが高いものとすることに寄与することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明(1)は、0.40〜1.50質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金からなり、
該銅合金は、銅合金を溶体化する溶体化処理と、該溶体化処理後に、225℃±100℃で加熱する熱処理(A1)と、が施された銅合金であり、
該熱処理(A1)後の引張強さ(σ2)と該熱処理(A1)前の引張強さ(σ1)の差(σ2−σ1)が20MPa以上であり、且つ、該熱処理(A1)前の伸び(δ1)と該熱処理(A1)後の伸び(δ2)の差(δ1−δ2)が0〜10%であること、
を特徴とする銅合金材料を提供するものである。
また、本発明(2)は、0.40〜1.50質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金からなり、
該銅合金は、銅合金を溶体化する溶体化処理と、該溶体化処理後に、850±100℃で加熱後、加熱温度から300℃まで、50℃/秒以下の平均冷却速度で冷却する処理(B)と、該処理(B)後に、225℃±100℃で加熱する熱処理(A2)と、が施された銅合金であり、
該熱処理(A2)後の引張強さ(σ2)と該処理(B)前の引張強さ(σ1)の差(σ2−σ1)が30MPa以上であり、且つ、該処理(B)前の伸び(δ1)と該熱処理(A2)後の伸び(δ2)の差(δ1−δ2)が0〜10%であること、
を特徴とする銅合金材料を提供するものである。
また、本発明(3)は、前記銅合金は析出物を含有し、該析出物の全部又は一部がNi12であることを特徴とする(1)又は(2)の銅合金材料を提供するものである。
また、本発明(4)は、0.40〜1.50質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金からなり、
該銅合金は析出物を含有し、該析出物の全部又は一部がNi12であること、
を特徴とする銅合金材料を提供するものである。
また、本発明(5)は、継目無管であることを特徴とする(1)〜(4)いずれかの銅合金材料を提供するものである。
また、本発明(6)は、(1)〜(4)いずれかの銅合金材料が用いられていることを特徴とする熱交換器を提供するものである。
本発明によれば、低コストであり、強度が高く且つ加工性に優れたCu−Ni−P系の銅合金材料を提供することができる。
本発明の第一の形態の銅合金材料は、0.40〜1.50質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金からなり、
該銅合金は、銅合金を溶体化する溶体化処理と、該溶体化処理後に、225℃±100℃で加熱する熱処理(A1)と、が施された銅合金であり、
該熱処理(A1)後の引張強さ(σ2)と該熱処理(A1)前の引張強さ(σ1)の差(σ2−σ1)が20MPa以上であり、且つ、該熱処理(A1)前の伸び(δ1)と該熱処理(A1)後の伸び(δ2)の差(δ1−δ2)が0〜10%であること、
を特徴とする銅合金材料である。
銅合金材料は、先ず、所定の化学組成の銅合金鋳塊を鋳造し、その後、種々の加工や処理を行うことにより、製造されるが、本発明者らは、銅合金の種々の加工や処理を行う中で、特定の化学組成の銅合金、すなわち、0.40〜1.50質量%のNi、好ましくは0.70〜1.20質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のP、好ましくは0.20〜0.40質量%のPと、を含有する銅合金を、溶体化処理し、その後に行う熱処理として、225℃±100℃で加熱する熱処理(A1)を行うことにより、銅合金中に、Ni12の組成を有する析出物を析出させることができ、析出強化により銅合金材料の強度を向上させることができることを見出した。
本発明の第一の形態の銅合金材料は、0.40〜1.50質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金により形成されている。なお、本発明において、上記Ni及びPの含有量とは、熱処理(A1)を施した後の銅合金材料中のNi及びPの含有量を指す。
本発明の第一の形態の銅合金材料のNi含有量は、0.40〜1.50質量%である。Niは、銅合金が225℃±100℃で加熱された場合に、銅合金中でPとの化合物によりNi12の組成を有する析出物を形成し、引張強さを向上させる成分である。Ni含有量が上記範囲にあることにより、銅合金材料の引張強さが高くなる。一方、Ni含有量が上記範囲を超えると、伸びが低くなってしまい、加工性、例えば、板材の場合の強度の曲げ加工や、管材の場合のヘアピン曲げ加工及び拡管性が低くなり、また、Ni含有量が上記範囲未満だと、銅合金材料の強度が低くなってしまう。特に、本発明の第一の形態の銅合金材料が管材である場合、管材の強度が高く且つ加工性に優れる点で、本発明の第一の形態の銅合金材料のNi含有量は、0.70〜1.20質量%であることが好ましい。
本発明の第一の形態の銅合金材料のP含有量は、0.10〜0.50質量%である。Pは、銅合金が225℃±100℃で加熱された場合に、銅合金中でNiとの化合物によりNi12の組成を有する析出物を形成し、引張強さを向上させる成分である。P含有量が上記範囲にあることにより、銅合金材料の引張強さが高くなる。一方、P含有量が上記範囲を超えると、加工性が低くなり、熱間加工や冷間加工において割れが生じるおそれがあり、また、P含有量が上記範囲未満だと、析出物の析出量が少なくなるため、銅合金材料の強度が低くなってしまう。特に、本発明の第一の形態の銅合金材料が管材である場合、管材の強度が高く且つ加工性に優れる点で、本発明の第一の形態の銅合金材料のP含有量は、0.20〜0.40質量%であることが好ましい。
本発明の第一の形態の銅合金材料は、0.40〜1.50質量%のNi、好ましくは0.70〜1.20質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のP、好ましくは0.20〜0.40質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金を、溶体化処理し、溶体化処理後に、225℃±100℃で加熱する熱処理(A1)を行い得られた銅合金からなる。つまり、本発明の第一の形態の銅合金材料は、0.40〜1.50質量%のNi、好ましくは0.70〜1.20質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のP、好ましくは0.20〜0.40質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金を鋳造した後、種々の加工(例えば、熱間圧延、熱間押出等の熱間加工や、冷間圧延、冷間引抜等の冷間加工)及び種々の熱処理を行い銅合金材料を得る過程で、銅合金を、700〜900℃、好ましくは800〜900℃で加熱し、急冷する溶体化処理を行い、その後に行う熱処理として、225℃±100℃で加熱する熱処理(A1)を行うことにより得られる。熱処理(A1)での熱処理温度が上記範囲にあることにより、Ni12の組成を有する析出物を少なくとも一部に含むCu−Ni−P系の析出物が析出する。一方、熱処理(A1)での熱処理温度が、上記範囲未満だと、Ni12の組成を有する析出物が析出し難く、また、上記範囲を超えても、Ni12の組成を有する析出物が析出し難い。
熱処理(A1)での熱処理時間は、好ましくは10〜1000分間、特に好ましくは30〜600分間である。熱処理(A1)での熱処理時間が上記範囲にあることにより、本発明の第一の銅合金材料の強度向上効果を得ることができる程度に十分な量のNi12の組成を有する析出物を析出させることができる。一方、熱処理(A1)での熱処理時間が、上記範囲未満だと、Ni12の組成を有する析出物の析出量が少なくなり易く、銅合金材料の強度向上効果が得られ難くなり、また、上記範囲を超えると、析出物が大きくなり、銅合金材料の強度が低下し易くなる。
なお、本発明において、「溶体化処理と、溶体化処理後に熱処理(A1)と、が施された」とは、銅合金に、溶体化処理が施された直後に、熱処理(A1)が施されることのみを指すのではなく、溶体化処理と熱処理(A1)の間に、「加熱を伴わない処理又は工程」及び/又は「325℃を超える温度で加熱される処理又は工程」が施されてもよい。つまり、銅合金に、溶体化処理が施された直後に、熱処理(A1)が施されてもよいし、あるいは、溶体化処理が施された後に、「加熱を伴わない処理又は工程」及び/又は「325℃を超える温度で加熱される処理又は工程」が施されてから、熱処理(A1)が施されてもよい。また、溶体化処理が施された後、熱処理(A1)が施されるまでの間に、本発明の効果に影響しない程度の短時間であれば、125〜325℃の範囲の温度に銅合金が晒されることがあってもよい。例えば、溶体化処理が施された後、熱処理(A1)が施されるまでの間に、325℃を超える温度で加熱される処理又は工程を施す場合においては、所定の温度までの昇温のために125〜325℃の温度範囲を通過することになるが、125〜325℃の温度範囲を通過する時間が、本発明の効果に影響しない程度の短時間であれば、許容される。また、溶体化処理と熱処理(A1)の間に、125℃未満の温度での処理又は加工が施されてもよい。
本発明の第一の形態の銅合金材料は、熱処理(A1)後の引張強さ(σ2)と熱処理(A1)前の引張強さ(σ1)の差(σ2−σ1)が、20MPa以上、好ましくは30MPa以上、特に好ましくは40MPa以上である銅合金で形成されている。
本発明の第一の形態の銅合金材料の引張強さ(σ)は、好ましくは200〜280MPa、特に好ましくは240〜280MPaである。なお、本発明の第一の形態の銅合金材料の引張強さ(σ)とは、熱処理(A1)を行った後の銅合金材料の引張強さを指す。
本発明の第一の形態の銅合金材料は、熱処理(A1)前の伸び(δ1)と熱処理(A1)後の伸び(δ2)の差(δ1−δ2)が、0〜10%、好ましくは0〜5%である銅合金で形成されている。
本発明の第一の形態の銅合金材料の伸び(δ)は、好ましくは20%以上、特に好ましくは30%以上である。なお、本発明の第一の形態の銅合金材料の伸び(δ)とは、熱処理(A1)を行った後の銅合金材料の伸びを指す。
本発明の第一の形態の銅合金材料において、銅合金を溶体化する溶体化処理と、溶体化処理後に225℃±100℃で加熱する熱処理(A1)と、が施された銅合金は、Cu−Ni−Pの析出物を含有し、その析出物の全部又は一部がNi12の組成を有する析出物である銅合金である。
また、本発明の第一の形態の銅合金材料において、銅合金を溶体化する溶体化処理が施された後に、225℃±100℃で加熱する熱処理(A1)が施されることにより、銅合金中に、Ni12の組成を有する析出物を析出させることができるので、熱処理(A1)前の伸び(δ1)と熱処理(A1)後の伸び(δ2)の差(δ1−δ2)が、0〜10%、好ましくは0〜5%と伸びが維持されたまま、熱処理(A1)後の引張強さ(σ2)と熱処理(A1)前の引張強さ(σ1)の差(σ2−σ1)が、20MPa以上、好ましくは30MPa以上、特に好ましくは40MPa以上となる。
本発明の第一の形態の銅合金材料の製造例について、以下に述べる。なお、以下に述べる本発明の第一の形態の銅合金材料の製造例は、本発明の第一の形態の銅合金材料を製造するための一例であって、本発明の第一の形態の銅合金材料は、以下に示す方法によって製造されたものに限定されるものではない。
先ず、常法に従って、溶解及び鋳造を行い、0.40〜1.50質量%のNi、好ましくは0.70〜1.20質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のP、好ましくは0.20〜0.40質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金の鋳塊を得る鋳造工程を行い、次いで、鋳造工程を行い得られる銅合金鋳塊を加熱して均質化処理を行った後、均質化処理した銅合金を熱間加工し、次いで、熱間加工を行った銅合金を冷間加工し、所望の銅合金材料の形状に加工する。熱間加工としては、板材の場合は熱間圧延が挙げられ、また、管材の場合は熱間押出が挙げられる。また、冷間加工としては、板材の場合は冷間圧延が挙げられ、また、管材の場合は冷間圧延、冷間引抜、内面溝を形成させる転造加工が挙げられる。
そして、本発明の第一の形態の銅合金材料の製造例では、これらの熱間加工から冷間加工までの途中又は冷間加工後に、溶体化処理及び熱処理(A1)を行う。
溶体化処理であるが、熱間加工後且つ冷間加工の前又は冷間加工の後に、銅合金を700〜900℃、好ましくは800〜900℃に加熱した後、急冷する溶体化処理を行う。急冷は、例えば、加熱した銅合金を水冷することにより行われる。また、冷間加工を複数回行う場合は、熱間加工後且つ全ての冷間加工の前、冷間加工と冷間加工の間、又は全ての冷間加工の後に、銅合金を700〜900℃、好ましくは800〜900℃に加熱した後、急冷する溶体化処理を行う。また、熱間加工後に、熱間加工された銅合金を急冷することによって、溶体化処理を行うこともできる。
熱処理(A1)であるが、溶体化処理を行った後に、銅合金を225℃±100℃で加熱する熱処理(A1)を行う。熱処理(A1)での加熱時間は、好ましくは10〜1000分間、特に好ましくは30〜600分間である。本発明では、溶体化処理を行った後、熱処理(A1)を行うまでに、「加熱を伴わない処理又は工程」及び/又は「325℃を超える温度で加熱される処理又は工程」が施されてもよい。つまり、本発明において、溶体化処理を行った後に、熱処理(A1)を行うとは、溶体化処理を行った直後に、熱処理(A1)を行うということのみを指すのではなく、溶体化処理と熱処理(A1)の間に、「加熱を伴わない処理又は工程」及び/又は「325℃を超える温度で加熱される処理又は工程」が施されてもよい。よって、溶体化処理を行った直後に、熱処理(A1)を行ってもよいし、あるいは、溶体化処理を行った後に、「加熱を伴わない処理又は工程」及び/又は「325℃を超える温度で加熱される処理又は工程」を行ってから、熱処理(A1)を行ってもよい。また、溶体化処理が施された後、熱処理(A1)が施されるまでの間に、本発明の効果に影響しない程度の短時間であれば、125〜325℃の範囲の温度に銅合金が晒されることがあってもよい。例えば、溶体化処理が施された後、熱処理(A1)が施されるまでの間に、325℃を超える温度で加熱される処理又は工程を施す場合においては、所定の温度までの昇温のために125〜325℃の温度範囲を通過することになるが、125〜325℃の温度範囲を通過する時間が、本発明の効果に影響しない程度の短時間であれば、許容される。また、溶体化処理と熱処理(A1)の間に、125℃未満の温度での処理又は加工が施されてもよい。
本発明の第二の形態の銅合金材料は、0.40〜1.50質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金からなり、
該銅合金は、銅合金を溶体化する溶体化処理と、溶体化処理後に、850±100℃で加熱後、加熱温度から300℃まで、50℃/秒以下の平均冷却速度で冷却する処理(B)と、処理(B)後に、225℃±100℃で加熱する熱処理(A2)と、が施された銅合金であり、
該熱処理(A2)後の引張強さ(σ2)と該熱処理(A2)前の引張強さ(σ1)の差(σ2−σ1)が30MPa以上であり、且つ、該熱処理(A)前の伸び(δ1)と該熱処理(A)後の伸び(δ2)の差(δ1−δ2)が0〜10%であること、
を特徴とする銅合金材料である。
本発明者らは、銅合金の種々の加工や処理を行う中で、特定の化学組成の銅合金、すなわち、0.40〜1.50質量%のNi、好ましくは0.70〜1.20質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のP、好ましくは0.20〜0.40質量%のPと、を含有する銅合金を、溶体化処理し、その後に行う熱処理として、850±100℃で加熱後、加熱温度から300℃まで、50℃/秒以下の平均冷却速度で冷却する処理(B)と、処理(B)の後に225℃±100℃で加熱する熱処理(A2)とを行うことにより、Ni12の組成を有する析出物を析出させることができ、析出強化により銅合金材料の強度を向上させることができることを見出した。
本発明の第二の形態の銅合金材料は、0.40〜1.50質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金により形成されている。なお、本発明において、上記Ni及びPの含有量とは、熱処理(A2)を施した後の銅合金材料中のNi及びPの含有量を指す。
本発明の第二の形態の銅合金材料のNi含有量は、0.40〜1.50質量%である。Niは、銅合金が、850±100℃で加熱後、加熱温度から300℃まで、50℃/秒以下の平均冷却速度で冷却された後、更に225℃±100℃で加熱された場合に、銅合金中でPとの化合物によりNi12の組成を有する析出物を形成し、引張強さを向上させる成分である。Ni含有量が上記範囲にあることにより、銅合金材料の引張強さが高くなる。一方、Ni含有量が上記範囲を超えると、伸びが低くなってしまい、加工性、例えば、板材の場合の強度の曲げ加工や、管材の場合のヘアピン曲げ加工及び拡管性が低くなり、また、Ni含有量が上記範囲未満だと、銅合金材料の強度が低くなってしまう。特に、本発明の第二の形態の銅合金材料が管材である場合、管材の強度が高く且つ加工性に優れる点で、本発明の第二の形態の銅合金材料のNi含有量は、0.70〜1.20質量%であることが好ましい。
本発明の第二の形態の銅合金材料のP含有量は、0.10〜0.50質量%である。Pは、銅合金が、850±100℃で加熱後、加熱温度から300℃まで、50℃/秒以下の平均冷却速度で冷却された後、更に225℃±100℃で加熱された場合に、銅合金中でNiとの化合物によりNi12の組成を有する析出物を形成し、引張強さを向上させる成分である。P含有量が上記範囲にあることにより、銅合金材料の引張強さが高くなる。一方、P含有量が上記範囲を超えると、加工性が低くなり、熱間加工や冷間加工において割れが生じるおそれがあり、また、P含有量が上記範囲未満だと、析出物の析出量が少なくなるため、銅合金材料の強度が低くなってしまう。特に、本発明の第二の形態の銅合金材料が管材である場合、管材の強度が高く且つ加工性に優れる点で、本発明の第二の形態の銅合金材料のP含有量は、0.20〜0.40質量%であることが好ましい。
本発明の第二の形態の銅合金材料は、0.40〜1.50質量%のNi、好ましくは0.70〜1.20質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のP、好ましくは0.20〜0.40質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金を、溶体化処理し、溶体化処理後に、850±100℃で加熱後、加熱温度から300℃まで、50℃/秒以下の平均冷却速度で冷却する処理(B)を行い、更にその後225℃±100℃で加熱する熱処理(A2)を行い得られた銅合金からなる。つまり、本発明の第二の形態の銅合金材料は、0.40〜1.50質量%のNi、好ましくは0.70〜1.20質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のP、好ましくは0.20〜0.40質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金を鋳造した後、種々の加工(例えば、熱間圧延、熱間押出等の熱間加工や、冷間圧延、冷間引抜等の冷間加工)及び種々の熱処理を行い銅合金材料を得る過程で、銅合金を、700〜900℃、好ましくは800〜900℃で加熱し、急冷する溶体化処理を行い、その後に行う熱処理として、850±100℃で加熱後、加熱温度から300℃まで、50℃/秒以下の平均冷却速度で冷却する処理(B)と、更にその後225℃±100℃で加熱する熱処理(A2)を行うことにより得られる。処理(B)の加熱温度及び冷却速度と、熱処理(A2)での熱処理温度が上記範囲にあることにより、Ni12の組成を有する析出物を少なくとも一部に含むCu−Ni−P系の析出物が得られる。一方、熱処理(A2)での熱処理温度が、上記範囲未満だと、Ni12の組成を有する析出物が析出し難く、また、上記範囲を超えても、Ni12の組成を有する析出物が析出し難い。また、処理(B)での加熱温度が、上記範囲未満だと、300℃までの冷却過程で析出に十分な時間が確保できず、また、上記範囲を超えると、結晶粒が粗大化し過ぎた結晶組織となる。また、処理(B)での加熱後の加熱温度から300℃までの平均冷却速度が上記範囲を超えると、熱処理による強度向上効果、つまり、「σ2−σ1」の値が小さくなる。なお、本発明の第二の形態の銅合金材料が、ろう付けにより、他の部材とろう付けされる場合、ろう付けの際のろう付け加熱及びその後の冷却により、処理(B)を行ってもよい。
処理(B)での加熱時間は、好ましくは10〜1800秒間、特に好ましくは10〜180秒間である。処理(B)での加熱時間が上記範囲にあることにより、強度向上効果が大きくなる。一方、処理(B)での加熱時間が、上記範囲未満だと、材料への加熱が不十分で温度が不均一となり、機械的性質がばらつく要因となり、また、上記範囲を超えると、銅合金材料が軟化し易くなる。
処理(B)では、850±100℃での加熱後、加熱温度から300℃まで、50℃/秒以下の平均冷却速度で冷却する。冷却速度が、上記範囲にあることにより、強度向上効果が大きくなる。冷却方式としては、例えば、加熱温度から300℃までの平均冷却速度が25〜50℃/秒の場合は、強制空冷等の冷却方式が挙げられ、また、加熱温度から300℃までの平均冷却速度が20℃/秒以下の場合は、自然空冷等の冷却方式が挙げられる。
熱処理(A2)での熱処理時間は、好ましくは10〜2000分間、特に好ましくは30〜1000分間である。熱処理(A2)での熱処理時間が上記範囲にあることにより、本発明の銅合金材料の強度向上効果を得ることができる程度に十分な量のNi12の組成を有する析出物を析出させることができる。一方、熱処理(A2)での熱処理時間が、上記範囲未満だと、Ni12の組成を有する析出物の析出量が少なくなり易く、銅合金材料の強度向上効果が得られ難くなり、また、上記範囲を超えると、析出物が大きくなり、銅合金材料の強度が低下し易くなる。
なお、本発明において、「溶体化処理と、溶体化処理後に処理(B)と、処理(B)後に熱処理(A2)と、が施された」とは、銅合金に、溶体化処理が施された直後に、処理(B)が施され、処理(B)の直後に、熱処理(A2)が施されることのみを指すのではなく、溶体化処理と処理(B)との間又は処理(B)と熱処理(A2)の間に、「加熱を伴わない処理又は工程」及び/又は「325℃を超える温度で加熱される処理又は工程」が施されてもよい。つまり、銅合金に、溶体化処理が施された直後に、処理(B)が施され、処理(B)の直後に、熱処理(A2)が施されてもよいし、あるいは、溶体化処理が施された後に、「加熱を伴わない処理又は工程」及び/又は「325℃を超える温度で加熱される処理又は工程」が施されてから、処理(B)が施されてもよいし、処理(B)が施された後、「加熱を伴わない処理又は工程」及び/又は「325℃を超える温度で加熱される処理又は工程」が施されてから、熱処理(A2)が施されてもよい。また、溶体化処理が施された後、処理(B)が施されるまでの間に、あるいは、処理(B)が施された後、熱処理(A2)が施されるまでの間に、本発明の効果に影響しない程度の短時間であれば、125〜325℃の範囲の温度に銅合金が晒されることがあってもよい。例えば、処理(B)が施された後、熱処理(A2)が施されるまでの間に、325℃を超える温度で加熱される処理又は工程を施す場合においては、所定の温度までの昇温のために125〜325℃の温度範囲を通過することになるが、125〜325℃の温度範囲を通過する時間が、本発明の効果に影響しない程度の短時間であれば、許容される。また、溶体化処理と処理(B)の間又は処理(B)と熱処理(A2)の間に、125℃未満の温度での処理又は加工が施されてもよい。
本発明の第二の形態の銅合金材料は、熱処理(A2)後の引張強さ(σ2)と処理(B)前の引張強さ(σ1)の差(σ2−σ1)が、30MPa以上、好ましくは40MPa以上、特に好ましくは50MPa以上である銅合金で形成されている。
本発明の第二の形態の銅合金材料の引張強さ(σ)は、好ましくは200〜280MPa、特に好ましくは240〜280MPaである。なお、本発明の第二の形態の銅合金材料の引張強さ(σ)とは、熱処理(A2)を行った後の銅合金材料の引張強さを指す。
本発明の第二の形態の銅合金材料は、処理(B)前の伸び(δ1)と熱処理(A2)後の伸び(δ2)の差(δ1−δ2)が、0〜10%、好ましくは0〜5%である銅合金で形成されている。
本発明の第二の形態の銅合金材料の伸び(δ)は、好ましくは20%以上、特に好ましくは30%以上である。なお、本発明の第二の形態の銅合金材料の伸び(δ)とは、熱処理(A2)を行った後の銅合金材料の伸びを指す。
本発明の第二の形態の銅合金材料において、銅合金を溶体化する溶体化処理と、溶体化処理後に850±100℃での加熱後、加熱温度から300℃まで、50℃/秒以下の平均冷却速度で冷却する処理(B)と、処理(B)後に225℃±100℃で加熱する熱処理(A2)と、が施された銅合金は、Cu−Ni−Pの析出物を含有し、その析出物の全部又は一部がNi12の組成を有する析出物である銅合金である。
また、本発明の第二の形態の銅合金材料において、銅合金を溶体化する溶体化処理が施された後に、850±100℃での加熱後、加熱温度から300℃まで、50℃/秒以下の平均冷却速度で冷却する処理(B)と、処理(B)後に225℃±100℃で加熱する熱処理(A2)が施されることにより、銅合金中に、Ni12の組成を有する析出物を析出させることができるので、処理(B)前の伸び(δ1)と熱処理(A2)後の伸び(δ2)の差(δ1−δ2)が、0〜10%、好ましくは0〜5%と伸びが維持されたまま、熱処理(A2)後の引張強さ(σ2)と処理(B)前の引張強さ(σ1)の差(σ2−σ1)が、30MPa以上、好ましくは40MPa以上、特に好ましくは50MPa以上となる。
本発明の第二の形態の銅合金材料の製造例について、以下に述べる。なお、以下に述べる本発明の第二の形態の銅合金材料の製造例は、本発明の第二の形態の銅合金材料を製造するための一例であって、本発明の第二の形態の銅合金材料は、以下に示す方法によって製造されたものに限定されるものではない。
先ず、常法に従って、溶解及び鋳造を行い、0.40〜1.50質量%のNi、好ましくは0.70〜1.20質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のP、好ましくは0.20〜0.40質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金の鋳塊を得る鋳造工程を行い、次いで、鋳造工程を行い得られる銅合金鋳塊を加熱して均質化処理を行った後、均質化処理した銅合金を熱間加工し、次いで、熱間加工を行った銅合金を冷間加工し、所望の銅合金材料の形状に加工する。熱間加工としては、板材の場合は熱間圧延が挙げられ、また、管材の場合は熱間押出が挙げられる。また、冷間加工としては、板材の場合は冷間圧延が挙げられ、また、管材の場合は冷間圧延、冷間引抜、内面溝を形成させる転造加工が挙げられる。
そして、本発明の第二の形態の銅合金材料の製造例では、これらの熱間加工から冷間加工までの途中又は冷間加工後に、溶体化処理、処理(B)及び熱処理(A2)を行う。
溶体化処理であるが、熱間加工後且つ冷間加工の前又は冷間加工の後に、銅合金を700〜900℃、好ましくは800〜900℃に加熱した後、急冷する溶体化処理を行う。急冷は、例えば、銅合金を水冷することにより行われる。また、冷間加工を複数回行う場合は、熱間加工後且つ全ての冷間加工の前、冷間加工と冷間加工の間、又は全ての冷間加工の後に、銅合金を700〜900℃、好ましくは800〜900℃に加熱した後、急冷する溶体化処理を行う。また、熱間加工後に、熱間加工された銅合金を急冷することによって、溶体化処理を行うこともできる。
処理(B)であるが、溶体化処理を行った後に、銅合金を850±100℃で加熱後、加熱温度から300℃まで、50℃/秒以下の平均冷却速度で冷却する処理(B)を行う。処理(B)での加熱時間は、好ましくは10〜1800秒間、特に好ましくは10〜180秒間である。処理(B)では、850±100℃での加熱後、加熱温度から300℃までの冷却速度は、50℃/秒以下である。冷却方式としては、例えば、加熱温度から300℃までの平均冷却速度が25〜50℃/秒の場合は、強制空冷等の冷却方式が挙げられ、また、加熱温度から300℃までの平均冷却速度が20℃/秒以下の場合は、自然空冷等の冷却方式が挙げられる。本発明の第二の形態の銅合金材料が管材の場合、特に、ルームエアコン、パッケージエアコン等の空調機用熱交換器又は冷凍機等の伝熱管又は冷媒配管の場合、空調機用熱交換器又は冷凍機等は、管材を他の部材と共に組み付けた後、ろう付け加熱することにより、管材と他の部材をろう付けして製造されるが、このろう付け加熱を、本発明の第二の形態の銅合金材料に係る処理(B)としてもよい。つまり、0.40〜1.50質量%のNi、好ましくは0.70〜1.20質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のP、好ましくは0.20〜0.40質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金である鋳塊を用いて熱間加工及び冷間加工を行い管材の形状に加工し、且つ、溶体化処理を行った管材を、空調機用熱交換器又は冷凍機を構成する他の部材と共に組み付け、次いで、850℃±100℃で加熱した後、加熱温度から300℃まで、50℃/秒以下の平均冷却速度で冷却して、管材と他の部材をろう付けすることにより、処理(B)を行い、熱処理(A2)前の銅合金材料を得ることもできる。本発明では、溶体化処理を行った後、処理(B)を行うまでに、「加熱を伴わない処理又は工程」及び/又は「325℃を超える温度で加熱される処理又は工程」を行ってもよい。つまり、本発明において、溶体化処理を行った後に、処理(B)を行うとは、溶体化処理を行った直後に、処理(B)を行うということのみを指すのではなく、溶体化処理と処理(B)の間に、「加熱を伴わない処理又は工程」及び/又は「325℃を超える温度で加熱される処理又は工程」を行ってもよい。よって、溶体化処理を行った直後に、処理(B)を行ってもよいし、あるいは、溶体化処理を行った後に、「加熱を伴わない処理又は工程」及び/又は「325℃を超える温度で加熱される処理又は工程」を行ってから、処理(B)を行ってもよい。また、溶体化処理が施された後、処理(B)が施されるまでの間に、本発明の効果に影響しない程度の短時間であれば、125〜325℃の範囲の温度に銅合金が晒されることがあってもよい。例えば、溶体化処理が施された後、処理(B)が施されるまでの間に、325℃を超える温度で加熱される処理又は工程を施す場合においては、所定の温度までの昇温のために125〜325℃の温度範囲を通過することになるが、125〜325℃の温度範囲を通過する時間が、本発明の効果に影響しない程度の短時間であれば、許容される。また、溶体化処理と処理(B)の間に、125℃未満の温度での処理又は加工が施されてもよい。
熱処理(A2)であるが、処理(B)を行った後に、銅合金を225℃±100℃で加熱する熱処理(A2)を行う。熱処理(A2)での加熱時間は、好ましくは10〜2000分間、特に好ましくは30〜1000分間である。なお、処理(B)を行った後、熱処理(A2)を行うまでに、「加熱を伴わない処理又は工程」及び/又は「325℃を超える温度で加熱される処理又は工程」を行ってもよい。つまり、本発明において、処理(B)を行った後に、熱処理(A2)を行うとは、処理(B)を行った直後に、熱処理(A2)を行うということのみを指すのではなく、処理(B)と熱処理(A2)の間に、「加熱を伴わない処理又は工程」及び/又は「325℃を超える温度で加熱される処理又は工程」を行ってもよい。よって、処理(B)を行った直後に、熱処理(A2)を行ってもよいし、あるいは、処理(B)を行った後に、「加熱を伴わない処理又は工程」及び/又は「325℃を超える温度で加熱される処理又は工程」を行ってから、熱処理(A2)を行ってもよい。処理(B)が、ろう付け加熱により行われた場合は、銅合金の管材と他の部材とがろう付けされたろう付け体を、225℃±100℃で加熱することにより、熱処理(A2)を行う。また、処理(B)が施された後、熱処理(A2)が施されるまでの間に、本発明の効果に影響しない程度の短時間であれば、125〜325℃の範囲の温度に銅合金が晒されることがあってもよい。例えば、処理(B)が施された後、熱処理(A2)が施されるまでの間に、325℃を超える温度で加熱される処理又は工程を施す場合においては、所定の温度までの昇温のために125〜325℃の温度範囲を通過することになるが、125〜325℃の温度範囲を通過する時間が、本発明の効果に影響しない程度の短時間であれば、許容される。また、処理(B)と熱処理(A2)の間に、125℃未満の温度での処理又は加工が施されてもよい。
本発明の第一の形態の銅合金材料に係る溶体化処理及び熱処理(A1)を行い得られる銅合金材料及び本発明の第二の形態の銅合金材料に係る溶体化処理、処理(B)及び熱処理(A2)を行い得られる銅合金材料は、0.40〜1.50質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金からなり、且つ、銅合金材料を形成する銅合金が、析出物として、Ni12を含有する。
すなわち、本発明の第三の形態の銅合金材料は、0.40〜1.50質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金からなり、
該銅合金は析出物を含有し、該析出物の全部又は一部がNi12であること、を特徴とする銅合金材料である。
本発明の第三の形態の銅合金材料のNi含有量は、0.40〜1.50質量%、好ましくは0.70〜1.20質量%である。Ni含有量が上記範囲にあることにより、銅合金材料の引張強さが高くなる。一方、Ni含有量が上記範囲を超えると、伸びが低くなってしまい、加工性、例えば、板材の場合の強度の曲げ加工や、管材の場合のヘアピン曲げ加工及び拡管性が低くなり、また、Ni含有量が上記範囲未満だと、銅合金材料の強度が低くなってしまう。
本発明の第三の形態の銅合金材料のP含有量は、0.10〜0.50質量%、好ましくは0.20〜0.40質量%である。P含有量が上記範囲にあることにより、銅合金材料の引張強さが高くなる。一方、P含有量が上記範囲を超えると、加工性が低くなり、熱間加工や冷間加工において割れが生じるおそれがあり、また、P含有量が上記範囲未満だと、析出物の析出量が少なくなるため、銅合金材料の強度が低くなってしまう。
本発明の第三の形態の銅合金材料を形成する銅合金は析出物を含有している。そして、本発明の第三の形態の銅合金材料を形成する銅合金中の析出物の全部又は一部がNi12である。なお、本発明において、銅合金がNi12で表される組成の析出物を含有することは、銅合金を以下の分析方法により分析することで確認される。銅合金材料をファインカッタとマイクロカッタで厚さ約0.5mmに切り出し、さらに回転研磨機・耐水研磨紙400〜1200番で厚さ0.2mmまで機械研磨する。この薄膜試料を直径3mmの円形に成形した後、以下の条件で電解研磨する。電解研磨液として硝酸濃度が30重量%となるようにメチルアルコールで希薄した溶液を用い、液温約−30℃で試料をジェット研磨する。ジェット電解研磨装置には、STRUERS社製テヌポールIIIを使用する。試料を、電解研磨後、直ちにTEM観察する。TEM観察には、日本電子製のJEOL−2100F(加速電圧200kV)を用いる。観察の際、結晶方位を100あるいは110晶帯からの入射になるように2軸試料傾斜機構を用いて調整する。観察は、対物絞りを透過波に入れた明視野像、回折波を対物絞りに入れた暗視野像、および制限視野回折像である。露光時間は明視野像の場合約0.5秒前後、暗視野像および制限視野回折像の場合約5秒前後である。
本発明の第三の形態の銅合金材料は、銅合金を溶体化する溶体化処理と、溶体化処理後に、225℃±100℃で加熱する熱処理(A1)と、が施された銅合金、又は銅合金を溶体化する溶体化処理と、溶体化処理後に、850±100℃で加熱後、加熱温度から300℃まで、50℃/秒以下の平均冷却速度で冷却する処理(B)と、処理(B)後に、225℃±100℃で加熱する熱処理(A2)と、が施された銅合金である。
本発明の第三の形態の銅合金材料の引張強さ(σ)は、好ましくは200〜280MPa、特に好ましくは240〜280MPaである。また、本発明の第三の形態の銅合金材料の伸び(δ)は、好ましくは20%以上、特に好ましくは30%以上である。
本発明の銅合金材料、すなわち、本発明の第一の形態の銅合金材料、本発明の第二の形態の銅合金材料及び本発明の第三の形態の銅合金材料は、225℃±100℃と低温で熱処理を行い得られる銅合金材料なので、製造コストを低減することができる。
本発明の銅合金材料、すなわち、本発明の第一の形態の銅合金材料、本発明の第二の形態の銅合金材料及び本発明の第三の形態の銅合金材料としては、板材、棒材、管材、特に継目無管等が挙げられる。本発明の銅合金材料が管材の場合、本発明の銅合金材料は、ルームエアコン、パッケージエアコン等の空調機用熱交換器又は冷凍機等の伝熱管又は冷媒配管として、好適に用いられる。また、本発明の銅合金材料である管材には、内面に溝のないベアー管と、内面に溝を有する内面溝付管がある。また、本発明の銅合金材料が板材の場合、本発明の銅合金材料は、強い加工が必要な種々の用途に、すなわち、強加工用の銅合金板材として、好適に用いられる。
(実施例及び比較例)
(1)表1に示す銅合金鋳塊を溶解及び鋳造し、熱間押出用のビレットを作製した。
(2)上記ビレットを加熱し、850℃にて熱間押出を行い、押出素管を得た。次いで、熱間押出した押出素管を、水中に押出して急冷した。
・押出前に熱間で内径約75mm穿孔した。
・押出素管の外径は102mm、内径は75mmであった。
(3)上記押出素管を、ビルガーミル圧延機によって冷間圧延し、圧延素管を得た。
・圧延素管の外径は46mm、内径は39.8mmであった。
・冷間圧延での加工度(断面減少率)は、88.9%であった。
断面減少率(%)=((加工前の断面積−加工後の断面積)/加工前の断面積)×100
(4)上記の圧延素管を、冷間にて抽伸を複数回行い、抽伸素管を得た。
・抽伸素管の外径は38mm、内径は33mmであった。
・冷間抽伸全体での加工度は、断面減少率で96.6%であった。
・冷間圧延及び冷間抽伸の総加工度、すなわち、冷間加工の総加工度は、断面減少率で99.8%であった。
(5)上記の抽伸素管を中間焼鈍し、転造工程に供するための原管を得た。
・中間焼鈍は保持温度550℃で実施した。
(6)上記の原管を、ボール転造加工して、内面溝付銅合金管aを得た。
<内面溝付銅合金管aの寸法諸元>
・外径:7.0mm
・底肉厚:0.30mm
・フィン高さ:0.22mm
・フィン頂角:13°
・溝条数:44条
・リード角θ:24°
(7)上記の内面溝付管に対し、表1に示す処理を表に示す順で行い、内面溝付銅合金管bを得た。
(8)表1に示す処理後の銅合金管の引張強さ(σ)と伸び(δ)を測定した。その結果を表1に示す。また、得られた内面溝付銅合金管bを形成する銅合金の析出物を分析した。その結果を表1に示す。
<処理>
・処理p:850℃で1800秒間加熱後、水冷を行う。
・処理q:225℃で10000秒間加熱後、空冷を行う。
・処理r:850℃で30秒加熱後、空冷を行う。
・処理s:500℃で1000秒加熱後、空冷を行う。
なお、上記空冷において、加熱温度から300℃までの平均冷却速度は、2〜20℃/秒である。
<引張強さ(σ)、伸び(δ)>
銅合金の引張強さ(σ)、伸び(δ)は、JIS Z2241に準拠して測定した。
<析出物の分析>
銅合金材料をファインカッタとマイクロカッタで厚さ約0.5mmに切り出し、さらに回転研磨機・耐水研磨紙400〜1200番で厚さ0.2mmまで機械研磨した。この薄膜試料を直径3mmの円形に成形した後、以下の条件で電解研磨した。電解研磨液として硝酸濃度が30重量%となるようにメチルアルコールで希薄した溶液を用い、液温約−30℃で試料をジェット研磨した。ジェット電解研磨装置には、STRUERS社製テヌポールIIIを使用した。試料を、電解研磨後、直ちにTEM観察した。TEM観察には、日本電子製のJEOL−2100F(加速電圧200kV)を用いた。観察の際、結晶方位を100あるいは110晶帯からの入射になるように2軸試料傾斜機構を用いて調整した。観察は、対物絞りを透過波に入れた明視野像、回折波を対物絞りに入れた暗視野像、および制限視野回折像である。露光時間は明視野像の場合約0.5秒前後、暗視野像および制限視野回折像の場合約5秒前後である。
Figure 2021021127

Claims (6)

  1. 0.40〜1.50質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金からなり、
    該銅合金は、銅合金を溶体化する溶体化処理と、該溶体化処理後に、225℃±100℃で加熱する熱処理(A1)と、が施された銅合金であり、
    該熱処理(A1)後の引張強さ(σ2)と該熱処理(A1)前の引張強さ(σ1)の差(σ2−σ1)が20MPa以上であり、且つ、該熱処理(A1)前の伸び(δ1)と該熱処理(A1)後の伸び(δ2)の差(δ1−δ2)が0〜10%であること、
    を特徴とする銅合金材料。
  2. 0.40〜1.50質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金からなり、
    該銅合金は、銅合金を溶体化する溶体化処理と、該溶体化処理後に、850±100℃で加熱後、加熱温度から300℃まで、50℃/秒以下の平均冷却速度で冷却する処理(B)と、該処理(B)後に、225℃±100℃で加熱する熱処理(A2)と、が施された銅合金であり、
    該熱処理(A2)後の引張強さ(σ2)と該処理(B)前の引張強さ(σ1)の差(σ2−σ1)が30MPa以上であり、且つ、該処理(B)前の伸び(δ1)と該熱処理(A2)後の伸び(δ2)の差(δ1−δ2)が0〜10%であること、
    を特徴とする銅合金材料。
  3. 前記銅合金は析出物を含有し、該析出物の全部又は一部がNi12であることを特徴とする請求項1又は2記載の銅合金材料。
  4. 0.40〜1.50質量%のNiと、0.10〜0.50質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金からなり、
    該銅合金は析出物を含有し、該析出物の全部又は一部がNi12であること、
    を特徴とする銅合金材料。
  5. 継目無管であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の銅合金材料。
  6. 請求項1〜4いずれか1項記載の銅合金材料が用いられていることを特徴とする熱交換器。
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