JP2021017771A - 管内調査用浮流装置、管内調査方法及び管内調査システム - Google Patents
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Abstract
Description
このような道路陥没、管渠閉塞等を予防し下水道管路を保全するため、フィールドにおいて下水道管の内部の性状を調査する必要性が以前にも増して高まっている(以下、下水道管の内部の性状の調査を「下水道管内部の調査」又は単に「調査」ということがある)。
管口カメラは、自走式テレビカメラの一式(後述)と比べ、構造が簡易であるため携行性が高く操作も容易である。また、管口カメラ調査はカメラを移動しないで行うものであるため、自走式テレビカメラ調査(後述)と比べて、日進量(ここでは1日当たり調査可能な下水道管路の長さを指す)を伸ばすことができ、これに伴い調査費用も相対的に安価となる。
管内推進体としての自走式テレビカメラ900は、テレビカメラ913を搭載している。自走式テレビカメラ900は、リモコンケーブル920を介して地上コントローラ950、マニュアル操作部953及び地上モニタ954に接続されている。
自走式テレビカメラ調査は、隣り合うマンホールの間(図中のマンホール800A及びマンホール800Bの間)の1スパンの下水道管路の調査を一工程とし、自走式テレビカメラ900を上流のマンホール800Aから下水道管981の管内982に挿入し、自走式テレビカメラ900を管内982の下流側に向かって推進させながら必要な画像データを収集することによって実施する。
地上に居るオペレータは、テレビカメラ913の操縦を行いつつ、テレビカメラ913で撮影されている映像を地上モニタ954で確認する。自走式テレビカメラ900の走行中、テレビカメラ913は主に前方の状況を映すが、不具合があるものと思われる箇所では、自走式テレビカメラ900を一旦停止させ、テレビカメラ913のレンズ(図示を省略)を回転させて内壁988の状況を確認し劣化状況を判定し必要な撮影を行う。
また、実務上は、管口カメラ調査で「異常の有無」の把握をしつつ大雑把なスクリーニングを行い、管内に異常が有るものと推察される場合には自走式テレビカメラ調査で詳細な調査を行う、というように調査方法の使い分けをするのが一般的である。
下水道管の内部の性状を調査するために管内の下水を浮流可能な管内調査用浮流装置であって、
管内を照明するライトと、
管内の少なくとも内壁を撮影し、撮影によって得られた画像データを出力するカメラと、
それぞれの画像データに管内調査用浮流装置の位置データを対応させるための時間データを出力するタイマーと、
管内調査用浮流装置の加速度を計測して加速度データを出力する加速度計と、
時間データ、加速度データ及び画像データを記憶する記憶装置と、
少なくともカメラ、タイマー、加速度計及び記憶装置を収容し、当該管内調査用浮流装置の本体の外形を画定するケーシングと、
姿勢制御手段と、を備える。
ケーシングは、カメラが撮影する画角の少なくとも一部に対応して設けられ外部からの光が通過する撮影窓を備え、
姿勢制御手段は、カメラ及び撮影窓を下水の水面より上方に保つように本体の姿勢を制御する。
姿勢制御手段は、少なくとも、
一端側が本体の側面に接続されたロープと、
ロープの他端側に接続され、本体を先導して下水を流れるシーアンカーと、
を備えることが好ましい。
シーアンカーは、本体に比べて下水に浮きやすく構成されていることが好ましい。
本体は球状をなしており、ライト及びカメラを上半球の内部に備え、
撮影窓は、上半球の外殻の少なくとも一部をなしていることが好ましい。
当該管内調査用浮流装置から外部に対して電波を発信する電波発信手段を更に備えていることが好ましい。
少なくとも3箇所以上のマンホールを連続的に辿る下水道管路における下水道管の内部の性状を調査する管内調査システムであって、
上記[6]に記載の管内調査用浮流装置と、
マンホールの竪穴に配置されるホール内アンテナと、
ホール内アンテナに接続され、ホール内アンテナが捉えた電波を受信する受信装置と、
を備え、
管内調査用浮流装置は、少なくともマンホール付近を通過する際には、電波発信手段によって標識電波を外部に発信し、
受信装置は、標識電波を受信したとき該標識電波の受信に基づいて管内調査用浮流装置の通過情報を出力するシステムである。
下水道管の内部の性状を、上記した管内調査用浮流装置を使用して調査する管内調査方法であって、
マンホールから下水道管の内部に管内調査用浮流装置を投入する管内調査用浮流装置投入ステップと、
下水道管の内部において、管内調査用浮流装置を浮流させつつ、ライトによって管内を照明し、カメラよって少なくとも管内の内壁を撮影して画像データを収集し、タイマーが出力した時間データ、及び、加速度計が出力した加速度データと共にカメラが出力した画像データを記憶装置に記憶させる管内画像収集ステップと、
記憶装置に記憶されている画像データ、時間データ及び加速度データを読み出し、各画像データを解析して管内の不具合の存否及び程度を解析し、当該画像データに基づく画面中に不具合が存在しているものと判断される場合には、時間データ及び加速度データに基づいて算出された位置データに基づき、不具合が存在している位置を特定する管内不具合解析ステップと、
を含む管内調査方法である。
管内調査用浮流装置は外部に対して電波を発信する電波発信手段を更に備えており、且つ、上流のマンホール及び下流のマンホールの間に位置する中間の各マンホールには、その竪穴にホール内アンテナが配置され、且つ、ホール内アンテナが捉えた電波を受信する受信装置が配置され、
管内画像収集ステップでは、管内調査用浮流装置に画像データの収集を実行させると共に、電波発信手段によって標識電波を当該管内調査用浮流装置から外部に対して発信させ、
受信装置によって、管内調査用浮流装置から発信された標識電波を捉えさせ、管内調査用浮流装置が当該マンホール付近を通過したことを示す通過情報を出力させて、管内調査用浮流装置の存在する区間を把握する存在区間把握ステップを実行することが好ましい。
参考までに、我が国の下水道管路はその殆どが、上記したような不具合を生じやすい「自然流下式」のものである。
本発明の第1実施形態に係る管内調査用浮流装置は、例えば、半透明の球体としてケーシングされた浮流装置の本体(以下、単に「本体」という)の中にライト・カメラ・管内調査用浮流装置の位置データを得るためのデバイス(例えば加速度計とタイマー)・記憶装置が搭載されたものである。これを下水道管の内部に投下すると下水と共に浮流するため、管内調査用浮流装置は浮流しながら、内蔵されたカメラによって順次管内の内壁等を撮影するというものである。以下にその詳細を説明する。
図1は、第1実施形態に係る管内調査用浮流装置1の構成及びその使用例を表した模式図を示す。図2は、第1実施形態の本体100の斜視図を示す。図3は、第1実施形態に係る管内調査用浮流装置1の概念図を示す。
図1に示すように、第1実施形態に係る管内調査用浮流装置1は、下水道管810の内部811(以下、単に「管内811」ということがある)の性状を調査するために管内811の下水890を浮流可能な装置である。管内調査用浮流装置1は下水道管810の内部に投下されると、管内811に流れる下水890と共に下流に向けて浮流するようになっている。管内調査用浮流装置1は、実施形態の例では、大きく分けて本体100と姿勢制御手段200とを備えている。
さらに、管内調査用浮流装置1は姿勢制御手段200を備えている(図1参照)。
以下、各構成要素についての詳細な説明を続ける。
ライト120は管内811を照らすものである。この実施形態では、ライト120として、薄型のLED(LIGHT EMITTING DIODE)120Aを用いることができる。LED120Aは、テープタイプのものであり、透明な材料からなる上ケーシング112の内面に貼り付けられている。LED120Aは、下水道管の内部811(内壁818を含む)に光を投射して管内811を照らすことができる。LED120Aは、例えば、上ケーシング112の赤道付近の円周(縁)に沿って上に等間隔で複数個(例えば10個)配設されている(図3参照)。
なお、ライト120は、管内811を照明可能であれば足りるため、図1及び図2に示すようにケーシング110(つまり本体100)に内蔵されていてもよいし、ケーシング110の外に配置されたものであってもよい(図示を省略)。
カメラ130は、管内811の様子(少なくとも内壁818)を撮影し、撮影によって得られた画像データを出力する。カメラ130は撮像素子132、レンズ134等を有している(図3参照)。この実施形態で使用するカメラ130には、できるだけ広い範囲の管内811の様子を撮影することが期待されている。このため、カメラ130は、広角のレンズを備えたものが望ましい。したがって、カメラ130は、好ましくは全天球カメラで130Aである。
管内811には、例えばGPS(GLOBAL POSITIONING SATELLITE)によるGPS電波が届かないため、管内811で撮影したときのカメラ130の位置(撮影位置、撮影座標)、ひいては管内調査用浮流装置1の位置、を直接的に知ることができない。
そこで、図3に示すように、タイマー162及び加速度計140を用いて撮影位置を間接的に算出して、それぞれの画像データに対応する撮影位置のデータ(位置データ)を紐づけする。具体的には、タイマー162によって得られた時間データ及び加速度計140によって得られた加速度データに基づき、当該管内調査用浮流装置1の位置データ(少なくともカメラ130が撮影したときの撮影位置のデータ)を得るものとする。
当該画像を撮影した時刻(又は時間)を把握しておくことにより、加速度データも踏まえながら当該画像データに位置データを紐づけすることができる(詳細は図6を用いて後述する)。
ここでの「時間データ」は、時間に関するデータで、例えば実時刻データであってもよいし、または当該管内調査用浮流装置1を管内に投下された時刻からの経過時間のデータであってもよい。
ここで、「タイマー162」は、時間が把握できればよく、図3に示されているようにコントローラ160(後述)に実装されている電子デバイス(RTC162A)、カメラ130にタイマーが内蔵されている場合には当該内蔵タイマー、加速度計140にタイマーが内蔵されている場合には当該内蔵タイマー等のいずれのものであってもよい。
図4は、第1実施形態において時間データ及び加速度データに基づいて位置データを算出する一例の模式図を示す。具体的には下水道管路を上空から見たときに模式図である。
図4に示すように、例えばマンホール800Aからマンホール800Bに向かって、管内調査用浮流装置1が移動しているものとする。
管内調査用浮流装置1が、下水道管810のポイントP1を通過したときの速度をVA、ポイントP2を通過したときの速度をVB、ポイントP3を通過したときの速度をVC、ポイントP4を通過したときの速度をVD、ポイントP5を通過したときの速度をVE、ポイントP6を通過したときの速度をVFとする。
それぞれのポイントにおける速度は、各ポイントを通過したときに加速度計140が出力する加速度情報を基に得ることができる。例えば、加速度計140が出力する加速度データが加速度の値であれば、ポイント通過時のかかる加速度の値を時間Tにより積分することによって求めることができる。
隣り合うポイント間を管内調査用浮流装置1が移動するのに要した時間は、タイマー162が出力した時間データが実時刻であれば、当該ポイント通過時の実時刻から直前に通過したポイントの通過時刻を減算することにより求めることができる(図4におけるT1,T2,T3,T4,T5を参照)。
ここで、隣り合うポイント間においては管内調査用浮流装置1が概ね等速で移動しているものと仮定すると、例えば、ポイントP1〜ポイントP4の間の長さL1は、L1≒VAT1+VBT2+VCT3という近似式によって求めることができる。すなわち、ポイントP4の位置情報としては、マンホール800AからL1≒VAT1+VBT2+VCT3で得られるL1の長さだけ下流にオフセットした位置(座標)である、との「位置データ」を算出することができる。
このような対応づけ(紐づけ)を行うことにより、例えば、ポイントP4の画像情報(写真)に下水道管810のクラックが発見された場合には、当該クラックは、ポイントP4の画像データに紐づけられたポイントP4の位置データが示す位置(上記ではマンホール800Aから長さL1分だけオフセットした位置)に存在するものとして場所を特定することができる。
タイマー162、加速度計140及び記憶装置163は、図示しないプリント基板に実装されていてもよい。また、タイマー162、記憶装置163等によってコントローラ160を構成してもよい(図2の下半球において点線で示した部分を参照)。
図5に示すように、コントローラ160は、プロセッサ161、タイマー162としてのRTC(REAL TIME CLOCK)162A、記憶装置163としてのメモリ163A、後述する電波発信手段170を構成する発信回路166、電源回路165、インターフェース回路164等を有している。
プロセッサ161には、バス168を介してインターフェース回路164、メモリ163A、RTC162A等が接続されている。プロセッサ161は、図示しないプログラムに基づいて動作する。プロセッサ161による動作とは、例えば、画像データをカメラ130から取り込んでメモリ163Aに記憶させる、各撮影に対応して時間データとしての実時刻データをRTC162Aから取り込み、当該実時刻データを撮影時刻としてメモリ163Aに記憶させる、適宜のタイミングで加速度データを加速度センサ140Aから取り込んでメモリ163Aに記憶させる、時間データ及び加速度データに基づいて位置データを算出する(例えば上記参照)、それぞれの画像データに対応した位置データを紐づけする等の制御を行う。
発信回路166は、管内調査用浮流装置1から外部に対して電波を発信するための回路である(詳細は後述)。
電源回路165は、蓄電デバイス150としてのバッテリー150Aに接続されており、コントローラ160、入出力デバイス(カメラ130、加速度センサ140A、LED120A等)、発信回路166等が動作するのに必要な電源を生成する。
なお、加速度センサ140Aは、上記したプリント基板の上に、コントローラ160を構成する部品群と共に実装されてもよい(図3参照)。また、蓄電デバイス150としては、バッテリー150A(いわゆる1次電池・2次電池等)の他にキャパシタ等を採用することもできる。また、コントローラ160に実装するタイマー162としてはRTC162Aに限定されるものではなく、例えば、単純なクロックを採用することもできる。
ここで説明した実装の構成は、あくまでも一例であって、本発明において何ら限定的に解釈されるものではない。
次に図2及び図6を参照しながらケーシング110について説明する。
ケーシング110は、少なくともカメラ130、タイマー162、加速度計140及び記憶装置163を収容する。実施形態では、これらに加えてライト120(LED120A)、蓄電デバイス150(バッテリー150A)、発信回路166を含む電波発信手段170、コントローラ160等を収容している。
なお、本体100の比重は、下水890に対して浮力を生じるように適宜設定される。また、本体100の比重は、本体100の吃水深がシーアンカー(後述)の吃水深と所定の関係になるように適宜設定される(詳細は後述)。
「撮影窓113」は、ライト120による光が管内811の物体に反射して生じた反射光がこの「窓」を通過(透過も含む)するように構成されたものである。カメラ130は、「撮影窓113」越しに管内811の様子を撮影できるようになっている。逆に言うと「撮影窓113」は、透かして管内811の様子を撮像することが可能な透明な部材により構成されていることが好ましい。
実施形態で用いる全天球カメラ130Aの仕様として、仰角が例えば−30°〜90°であるとすると(すなわち水平線よりも下方向の−30°から天頂Zの90°までをカバーして撮影することができるとすると)、全天球カメラ130Aを中心とした画角VAは240°ということになる(図6参照)。
撮影窓113を設ける範囲としては、上記した画角VAの範囲のうち一部の範囲にのみ(必要な範囲のみ)撮影窓113を設けてもよい。勿論、上記画角VAの範囲の全てをカバーする範囲(あるいはそれ以上の範囲)について撮影窓113を設けてもよい。
なお、実施形態においては、上ケーシング112の全てを透明な材質(透明プラスチック)のものを採用し、上ケーシング112の全ての範囲を撮影窓113として設定している(図2及び図6のA−B間を参照)。
ケーシング110によって外形が画定された本体100は球状をなしていることが好ましい。別の言い方をすると、外形としては特段の角(凸部)がないことが好ましい。実施形態においては、本体100の外形は凡そ真球となっている。このとき、本体100の直径は、調査対象となる下水道管の口径に応じて選択する。具体的には、例えば、口径が200MM〜350MMの下水道管の調査に向けては本体100の直径を100MMとし、口径が400MM〜600MMの下水道管の調査に向けては本体100の直径を150MMとする。
なお、本体100の外形は球状であることに限定されるものではなく、例えば、直方体状、円環状(ドーナッツ状)であってもよい。
ところで、管内調査用浮流装置1は、下水道管の内部811に投下され、下水890の自然な流れに乗って移動しながら管内811の撮影をするものである。このため、下水890に流されている間の本体100の姿勢制御は、極めて重要である。例えば、この実施形態のように、本体100の外形が球状となっている場合、本体100は下水890の流れ等の外力によって回転しやすい。本体100が回転すれば、これに伴いカメラ130が撮影する光軸も回転することとなり、撮影された画像も不定の角度の画像となり、誤った画像データとして計上される可能性がある。この結果、適切に管内811を撮影できず、、管内811の損傷個所の位置を特定することも困難となる。そこで、管内調査用浮流装置1は、本体100の姿勢を制御する姿勢制御手段200を備えている。
換言すると、カメラ130が主に管内811の上方の内壁818を撮影できるように、姿勢制御手段200は、カメラ130の撮像面132Aが上方を向き、撮影窓113も下水890よりも上方に位置するように、本体100の位置を制御する。
このように定義したとき、上記した「姿勢を制御する」とは、より具体的には、下水道管810の軸に対して、本体100が第1軸を中心に可能な限り回動せず、且つ、第2軸を中心に可能な限り回動せず、且つ、第3軸を中心に可能な限り回動しないように制御することをいう。
シーアンカー210は、楕円球状(ラグビーボール型)をなしており、下水890に対して浮力を生じつつ、本体100よりも下水890の上方を移動できる。すなわち、シーアンカー210は、本体100よりも低比重となるように構成されている。この点については、後ほど詳述する。
直径が150MMの本体100を制御する場合、シーアンカー210の形状は、例えば、長径30MM×短径10MMのラグビーボール型である。また、本体100とシーアンカー210との離間距離が500MMとなるように、ロープ220の長さは設定されている。
さらに具体的には、シーアンカー210は、管内811を流れる下水890の流れを捉えられるものであり、且つ、図1に示すように、シーアンカー210の吃水深D2が本体100の吃水深D1に対して異なるように設定され、シーアンカー210が本体100よりも先行して流れるように、シーアンカー210が構成されていることが好ましい。
下水道管810の軸に垂直な平面で下水道管810を断面視したとき、下水890の流速は、場所によって(水面付近の場所、水面下の場所、下水管の内壁と接触している場所等)異なっている。この実施形態では、そのような流速の違いに応じて、シーアンカー210の吃水深D2を設定する。例えば、本体100の吃水深D1は、本体100と下水890との接触面が主に流速が遅い場所(例えば水面からみて深い部分)と接触するように設定する一方で、シーアンカー210の吃水深D2は、シーアンカー210と下水890との接触面が主に流速が速い場所(例えば水面からみて浅い部分)と接触するように設定する。
管内調査用浮流装置1は、上記構成に加え、当該管内調査用浮流装置1から外部に対して電波を発信する電波発信手段170を更に備えている。
電波発信手段170は、後述するように管内調査用浮流装置1が現在流れている下水道管路の区間(場所)を特定することができる所定の電波であれば、如何なる仕様の電波を発信するものであってもよい。また、回路構成等も如何なるものであってもよい。
なお、この実施形態において、電波発信手段170は、常に標識電波を発信するものとして構成されているが、これに限定されるものではなく、何等かの方法でマンホール800の接近を検出しマンホール800付近を通過する間だけ電波を発信するよう構成されていてもよい。
管内調査用浮流装置1は典型的には次のようにして使用することができる。
上流のマンホールと下流のマンホールとの間の下水道管路を調査するものと想定する。
上流のマンホールから管内調査用浮流装置1を投入し、管内調査用浮流装置1を下水道管の内部811に投下する。管内調査用浮流装置1は下水890の流れと共に浮流することになる。管内調査用浮流装置1が浮流する際には、姿勢制御手段200により本体100(特にカメラ130)の姿勢が保たれる。管内調査用浮流装置1は浮流しながら、カメラ130で管内811の様子(少なくとも内壁818)を撮影し、撮影によって出力されたそれぞれの画像データは、時間データ、加速度データ等に基づいて取得された位置データと対応づけられる(紐づけられる)。
下流のマンホールにおいては管内調査用浮流装置1を回収する。管内調査用浮流装置1の記憶装置163に記憶された各画像データを解析して、管内811の不具合の存否及び程度を解析する。不具合が存在しているものと判断される場合には当該画像データに対応付けられた位置データに基づいて不具合が存在している位置を特定する。
なお、詳細は、第3実施形態及び第4実施形態において説明する。
(1)管内調査用浮流装置1は、管内811を照明するライト120と、管内811の様子(少なくとも内壁818)を撮影し、撮影によって得られた画像データを出力するカメラ130と、それぞれの画像データに管内調査用浮流装置1の位置データを対応させるための時間データを出力するタイマー162と、当該管内調査用浮流装置1の加速度を計測して加速度データを出力する加速度計140と、時間データ及び加速度データ及び画像データを記憶する記憶装置163と、少なくともカメラ130、タイマー162、加速度計140及び記憶装置163を収容し、当該管内調査用浮流装置1の本体100の外形を画定するケーシング110と、姿勢制御手段200と、を備えている。また、ケーシング110は、カメラ130が撮影する画角の少なくとも一部に対応して設けられ外部からの光が通過する撮影窓113を備え、
姿勢制御手段200は、カメラ130及び撮影窓113を下水890の水面より上方に保つように本体100の姿勢を制御する。
そのため人間(調査員)が管内811に潜行せずとも、また、地上でカメラ130等を操縦せずとも管内調査用浮流装置1の自然な流下に沿って管内の様子を撮影することができる。
したがって、従来の下水道管内部を調査する技術に比べ、簡便で効率的な調査を行うことができる。
また、管内調査用浮流装置1は下水890の流れと共に管内811を移動して順次撮影を行うものであり、管内811の様子(特に内壁818など)を間近の位置から撮影することができる。このため、不具合(損傷・劣化等)の存否確認やその程度を高精度で把握することができ、また、不具合の発生した箇所を見落とすリスクを飛躍的に低減することができる。
さらに、撮影によって得られたそれぞれの画像データは、加速度計140、タイマー162等によって算出された位置データが対応づけられる(紐づけられる)ため、調査対象となっている下水道管路の解析を別途行う際にも、不具合(損傷・劣化等)が存在する下水道管路の位置を容易に特定することができる。つまり不具合箇所の位置を高精度で特定することができる。
したがって、従来の下水道管内部を調査する技術に比べて高精度な調査を行うことができる。
このようにシーアンカー210が本体100を先導するように構成されているため、シーアンカー210は本体100の側面(図1におけるA付近)を一方的に引っ張ることとなる。そうすると、本体100は、略水平を保ちながら、図1におけるA−Bを結んだ直線が、下水道管810の軸(下水890が流下する方向)と概略一致し、且つ、Aで示した側面の側が常に流下方向となるようにして牽引されるため、より確実に本体100を適切な姿勢に保つことができる。
このように構成されているため、本体100の底面及び側面が下水890と接触する下水890の場所(断面としてみたときの場所)に比べて、シーアンカー210の底面及び側面を、流速が比較的速い下水890の場所(水面からみて浅い部分)と接触させることができる。このため、シーアンカー210がより適切に本体100を先導することができ、本体100の姿勢を一層適切に保つことができる。
本体100が球状であり引っ掛かりの部分が少ないため、仮に管内811に障害物(土砂、モルタル、油脂、樹木根等)があったとしても、比較的確実に本体100(ひいては管内調査用浮流装置1)を下流のマンホールまで流すことができる。また、上半球の外殻の少なくとも一部を撮影窓113とするようになっているため、本体100の姿勢を保ちさえすればカメラ130は撮影窓113を通じて管内811の様子を撮影することができる。
電波発信手段170が、例えばビーコンのように外部に対して電波を発信するので、外部においては、かかる電波を捉えることにより管内調査用浮流装置1の存在位置を特定することができる。ひいては、管内調査用浮流装置1の回収を確実なものとすることができる(管内調査用浮流装置の位置特定・回収についての詳細は後述する)。
次に第2実施形態に係る管内調査用浮流装置2について説明する。
図7は、第2実施形態に係る管内調査用浮流装置2の構成及びその使用例を表した模式図を示す。第2実施形態において、基本的な構成及び特徴が第1実施形態と同じ構成要素については、第1実施形態と同じ符号を使用し、説明を省略する。
補助ライト300は、下水890に投入したときに浮力を生じ、自身が発光するような材料であればいかなる材料であってもよい。例えば、ライトボール310を採用することができる。
これに加え、本体100の後方側(上流側。図7の符号B参照)において、本体100及び補助ライト300がロープ220を介して接続された構成を更に備えるとより好ましい。
次に第3実施形態に係る管内調査システム10について説明する。
図8は、第3実施形態に係る管内調査システム10の構成図を示す。具体的には、下水道管路の軸に沿って鉛直方向に地中及び地上を切り取ったときの断面を示している。第3実施形態において、基本的な構成及び特徴が第1実施形態,第2実施形態と同じ構成要素については、第1実施形態,第2実施形態と同じ符号を使用し、説明を省略する。
図8に示すように、第3実施形態に係る管内調査システム10は、少なくとも3箇所以上のマンホール(図8においてはマンホール800X,800A,800B,800C,800Y)を連続的に辿る下水道管路における下水道管810の内部の性状を調査する管内調査システムである。
第3実施形態に係る管内調査システム10は、管内調査用浮流装置1,2と、ホール内アンテナ550と、受信装置500と、を備える。
管内調査用浮流装置1,2は、少なくともマンホール付近を通過する際には、電波発信手段170によって標識電波を外部に発信するように構成されている。
図8においては、管内調査用浮流装置1,2を投入する上流のマンホール800Xと、管内調査用浮流装置1,2を回収する下流のマンホール800Yとの間に位置する中間のマンホール800A,800B,800Cの各竪穴805にそれぞれ配置されている。
「通過情報の出力」は如何なる方法によるものであってもよい。例えばインジケータ、ディスプレイパネル等の表示器、ブザー等の音声機器等へ出力してもよい。この場合には、地上調査員が目視等によって通過を認識することができ、管内調査用浮流装置1,2がセクションSC1,SC2,SC3,SC4の何れに存在するのかを把握することができる。
また、「通過情報の出力」は、かかる送信装置による無線通信(図8の例)・有線通信を介して集中管理端末610に出力してもよい。図8では、受信装置500として、受信機能に加え、通信によりPC等へ各種情報を送信する送信装置(符号なし)を更に含んだ中継装置を導入している。なお符号510A,510B,510Cはかかる送信装置に接続された空中アンテナを示している。このような構成にすれば、集中管理端末610のディスプレイパネル等により管内調査用浮流装置1,2が通過を認識しつつ、管内調査用浮流装置1,2が在留しているセクションの把握をすることができる。
管内調査システム10は上記のような構成を有している。このため、管内調査用浮流装置1,2が中間のマンホール800A,800B,800Cの近傍を通過するごとに、管内調査用浮流装置1,2が当該中間のマンホール800A,800B,800Cの直前のセクションSC1,SC2,SC3を無事通過し当該当該中間のマンホールに到着したことを認識することができる(管内調査用浮流装置の通過情報)。別の言い方をすると、管内調査用浮流装置1,2が現在どのセクションに在留しているのか把握することができる。
管内調査用浮流装置の通過情報を活用することで、次のような対処を行うことができる。例えば、所定時間を経過したとしても下流のマンホール800Yにおいて管内調査用浮流装置1,2を検出出来ない場合には、管内調査用浮流装置1,2が上流のいずれかのセクションに在留しているものと推測することができる。そのときは、当該管内調査用浮流装置の通過情報に基づき、管内調査用浮流装置1,2が在留しているセクションを特定し、特定されたセクションを中心に点検し処置(例えば、下水道管路内を、高圧噴射装置等を利用して強制的に流下させる。)することで、確実に管内調査用浮流装置1,2を回収することができる。
次に第4実施形態に係る管内調査方法について説明する。
図9は、第4実施形態に係る管内調査方法のフローチャートを示す。以下の説明において図9の他に図8等も適宜参照されたい。第4実施形態に係る管内調査方法における構成要件のうち、第1実施形態に係る管内調査用浮流装置1、第2実施形態に係る管内調査用浮流装置2及び第3実施形態に係る管内調査システムの構成要件と共通するものの説明は、第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態における説明を援用する。
第4実施形態に係る管内調査方法は、下水道管810の内部811の性状を調査する管内調査方法である。第4実施形態に係る管内調査方法は、第1実施形態に係る管内調査用浮流装置1又は第2実施形態に係る管内調査用浮流装置2を使用して調査を行う。
また、管内画像収集ステップS20と並行して、存在区間把握ステップS30(図9参照)を実行する。存在区間把握ステップS30は、受信装置500によって、管内調査用浮流装置1,2から発信された標識電波を捉えさせ、管内調査用浮流装置1,2が当該マンホール付近を通過したことを示す通過情報を出力させて、管内調査用浮流装置1,2の存在する区間を把握する。
そして、上記した管内調査用浮流装置回収ステップS40においては、存在区間把握ステップS30によって把握した管内調査用浮流装置1,2の存在する区間に基づいて管内調査用浮流装置1,2をマンホールから回収する。
(1)第4実施形態に係る管内調査方法は、第1実施形態に係る管内調査用浮流装置1及び第2実施形態に係る管内調査用浮流装置2を用いることを前提としている。このため、第1実施形態に係る管内調査用浮流装置1及び/又は第2実施形態に係る管内調査用浮流装置2で得られる効果のうち該当する効果を同様に奏する。
第4実施形態に係る管内調査方法がこのような構成となっているため、管内調査用浮流装置1,2が中間のマンホール800A,800B,800Cの近傍を通過するごとに、管内調査用浮流装置1,2が当該中間のマンホールの直前のセクションSC1,SC2,SC3を無事通過し当該当該中間のマンホールに到着したことを認識することができる(管内調査用浮流装置の通過情報)。別の言い方をすると、管内調査用浮流装置1,2が現在どのセクションに在留しているのか把握することができる。
このため、例えば、所定時間を経過したとしても下流のマンホール800Yにおいて管内調査用浮流装置1,2を検出出来ない場合には、当該管内調査用浮流装置の通過情報に基づき、管内調査用浮流装置1,2が在留しているセクションを特定し、特定されたセクションを中心に点検し処置することで、確実に管内調査用浮流装置1,2を回収することができる。
以上、本発明を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形実施も可能である。
なお、図10は、その他の実施形態に係る本体100B,100Cの断面図を示す。またなお、図10(A)及び図10(B)においては、上ケーシング112,112Cの内部は空洞Cが形成され空洞Cが残存しているがこれに限定されるものではない。例えば、空洞Cに対応する部分に所定の材料をモールドしてもよい。
Claims (9)
- 下水道管の内部の性状を調査するために管内の下水を浮流可能な管内調査用浮流装置であって、
前記管内を照明するライトと、
前記管内の少なくとも内壁を撮影し、撮影によって得られた画像データを出力するカメラと、
それぞれの前記画像データに前記管内調査用浮流装置の位置データを対応させるための時間データを出力するタイマーと、
前記管内調査用浮流装置の加速度を計測して加速度データを出力する加速度計と、
前記時間データ、前記加速度データ及び前記画像データを記憶する記憶装置と、
少なくとも前記カメラ、前記タイマー、前記加速度計及び前記記憶装置を収容し、当該管内調査用浮流装置の本体の外形を画定するケーシングと、
姿勢制御手段と、を備え、
前記ケーシングは、前記カメラが撮影する画角の少なくとも一部に対応して設けられ外部からの光が通過する撮影窓を備え、
前記姿勢制御手段は、前記カメラ及び前記撮影窓を前記下水の水面より上方に保つように前記本体の姿勢を制御することを特徴とする管内調査用浮流装置。 - 請求項1に記載の管内調査用浮流装置において、
前記カメラは全天球カメラであることを特徴とする管内調査用浮流装置。 - 請求項1又は2に記載の管内調査用浮流装置において、
前記姿勢制御手段は、少なくとも、
一端側が前記本体の側面に接続されたロープと、
前記ロープの他端側に接続され、前記本体を先導して前記下水を流れるシーアンカーと、
を備えること特徴とする管内調査用浮流装置。 - 請求項3に記載の管内調査用浮流装置において、
前記シーアンカーは、前記本体に比べて前記下水に浮きやすく構成されていることを特徴とする管内調査用浮流装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の管内調査用浮流装置において、
前記本体は球状をなしており、前記ライト及び前記カメラを上半球の内部に備え、
前記撮影窓は、前記上半球の外殻の少なくとも一部をなすことを特徴とする管内調査用浮流装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の管内調査用浮流装置において、
当該管内調査用浮流装置から外部に対して電波を発信する電波発信手段を更に備えたことを特徴とする管内調査用浮流装置。 - 少なくとも3箇所以上のマンホールを連続的に辿る下水道管路における下水道管の内部の性状を調査する管内調査システムであって、
請求項6に記載の管内調査用浮流装置と、
前記マンホールの竪穴に配置されるホール内アンテナと、
前記ホール内アンテナに接続され、前記ホール内アンテナが捉えた電波を受信する受信装置と、
を備え、
前記管内調査用浮流装置は、少なくとも前記マンホール付近を通過する際には、前記電波発信手段によって標識電波を外部に発信し、
前記受信装置は、前記標識電波を受信したとき該標識電波の受信に基づいて前記管内調査用浮流装置の通過情報を出力することを特徴とする管内調査システム。 - 下水道管の内部の性状を、請求項1〜6のいずれか1項に記載の管内調査用浮流装置を使用して調査する管内調査方法であって、
マンホールから前記下水道管の内部に前記管内調査用浮流装置を投入する管内調査用浮流装置投入ステップと、
前記下水道管の内部において、前記管内調査用浮流装置を浮流させつつ、前記ライトによって管内を照明し、前記カメラによって少なくとも前記管内の内壁を撮影して画像データを収集し、前記タイマーが出力した前記時間データ、及び、前記加速度計が出力した前記加速度データと共に前記カメラが出力した前記画像データを前記記憶装置に記憶させる管内画像収集ステップと、
前記記憶装置に記憶されている前記画像データ、前記時間データ及び前記加速度データを読み出し、各前記画像データを解析して管内の不具合の存否及び程度を解析し、当該画像データに基づく画面中に不具合が存在しているものと判断される場合には、前記時間データ及び前記加速度データに基づいて算出された前記位置データに基づき、不具合が存在している位置を特定する管内不具合解析ステップと、
を含むことを特徴とする下水道管の管内調査方法。 - 請求項8に記載の管内調査方法において、
前記管内調査用浮流装置は外部に対して電波を発信する電波発信手段を更に備えており、且つ、上流のマンホール及び下流のマンホールの間に位置する中間の各マンホールには、その竪穴にホール内アンテナが配置され、且つ、前記ホール内アンテナが捉えた電波を受信する受信装置が配置され、
前記管内画像収集ステップでは、前記管内調査用浮流装置に前記画像データの収集を実行させると共に、前記電波発信手段によって標識電波を当該管内調査用浮流装置から外部に対して発信させ、
前記受信装置によって、前記管内調査用浮流装置から発信された前記標識電波を捉えさせ、前記管内調査用浮流装置が当該マンホール付近を通過したことを示す通過情報を出力させて、前記管内調査用浮流装置の存在する区間を把握する存在区間把握ステップを実行することを特徴とする管内調査方法。
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