JP2021015034A - 擬似ギア磁場信号発生装置 - Google Patents
擬似ギア磁場信号発生装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2021015034A JP2021015034A JP2019129526A JP2019129526A JP2021015034A JP 2021015034 A JP2021015034 A JP 2021015034A JP 2019129526 A JP2019129526 A JP 2019129526A JP 2019129526 A JP2019129526 A JP 2019129526A JP 2021015034 A JP2021015034 A JP 2021015034A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electromagnet
- magnetic field
- gear
- core
- field signal
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)
- Transmission And Conversion Of Sensor Element Output (AREA)
Abstract
【課題】多様な仕様の検出対象に対して柔軟に回転角などの検出対象の状態を検出することが可能な擬似ギア磁場信号発生装置を提供する。【解決手段】対向する2相の電磁石3a、3bと、任意電流波形の励磁電流に基づく励磁を行わせる指令を行う波形制御装置1と、波形制御装置の指令に基づいて任意電流波形の励磁電流を2相の電磁石3a、3bに供給してする励磁電流源2とを備える。また、2相の電磁石3a、3bそれぞれの巻線内に配置される2つの第1の電磁石コア4a、4bと、2つの第1の電磁石コア4a、4bの間に配置される第2の電磁石コア5とを備える。さらに、非磁性体材料から構成され、2つの検出素子21a、21bを有するセンサ20を載置するサンプルステージ7を備える。【選択図】図2
Description
本発明は、回転角や回転数などの検出に用いられる回転センサの検査に用いられる擬似ギア磁場信号発生装置に関するものである。
に関するものである。
に関するものである。
従来、電磁式回転センサの検査装置においては、磁性体材料で構成される歯車をモータにより回転駆動させることで得られるセンサ出力から機能判定を行う方式が一般的であった。しかし、この検査方式では、歯車の回転スペースや歯車の回転駆動機構を要するため、検査設備が大型化すると共に設備投資が高額化するという問題があった。また、被検出体である歯車の形状が変化することで、歯車を交換する段取りや専用治具を要することも問題であった。
これらの問題点を鑑みて、特許文献1に開示されている電磁式回転センサの検査装置が提案されている。この検査装置では、交流電源に接続される1つの電磁石に交流電流を印加することで、各電磁ピックアップから検出歯車の回転を検出するときと同様な逆位相の検出出力を発生させる方式を採用している。具体的には、この検査装置は、1つの電磁石と電磁石を励磁する交流電源、電磁石が巻回されるコア、コアの両端からセンサ検出部に対向するよう延設されたヨークから構成される。そして、1つの電磁石を交流電源により交流励磁することで、ヨーク先端から相互に逆位相の磁場を印加することができるようになっている。このような方式の検査装置によれば、歯車を回転させることなく検査することが可能で、検査装置の小型化や設備投資の抑制が実現できる。
しかしながら、特許文献1に示される方式の検査装置では、例えば2つの電磁ピックアップからの検出信号の差分信号を最終出力とする構成の電磁式回転センサに適用する場合、電磁ピックアップの構成は歯車形状に対して、一方の電磁ピックアップに歯の先端が対向するときに、他方の電磁ピックアップに歯車の谷部が対向するようにしなければならない。したがって、各電磁ピックアップに対して、歯車の回転時と同様の磁場を印加することが困難であるし、任意の位相差を有する出力を作り出すことができない。これは特許文献1に示される方式の検査装置をMRE方式の回転センサの検査に適用しようとした場合でも同様である。
また、特許文献1の検査装置では、形状が決まったヨークを用いているために、特定の歯車仕様での回転角しか検出できず、多様な歯車仕様に対して柔軟に回転角の検出を行うことができない。MRE方式の回転角センサの出力信号には、歯車とMRE素子との間のギャップのみならず、歯車形状も寄与する。歯車は、使用環境などによって各々設計されるため、その形状は多岐にわたる。このため、製品検査工程においては、多様な歯車配置を要することによる設備面積の広大化や歯車交換などの段取りによる設備総合効率低下が発生する。このような効率低下を抑制するためには、多様な歯車仕様に対して柔軟に回転角の検出を行えるようにすることが重要であり、特許文献1の検査装置では、その要求を満たすことができない。
なお、ここでは検出対象となるロータとして外周が周期的な凹凸形状とされる歯車を例に挙げて説明しているが、ロータの種類としては歯車に限らない。例えば、周方向において、N極とS極とに周期的に交互に着磁された永久磁石にて構成されたロータや、外周が凹凸形状ではなく、磁性体と非磁性体とが交互に繰り返されるロータであっても良い。また、ロータに限らず、直線状に凹凸などが繰り返されるものを検出対象として、検出対象がその直線の方向に移動する際の移動状態を検出するものの検査についても同様のことが言える。
本発明は上記点に鑑みて、検出対象と電磁ピックアップないしはMR素子との位置関係にかかわらず、多様な仕様の検出対象に対して柔軟に回転角などの検出対象の状態を検出することが可能な擬似ギア磁場信号発生装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、対向する2相の電磁石(3a、3b)と、任意電流波形の励磁電流に基づく励磁を行わせる指令を行う波形制御装置(1)と、波形制御装置の指令に基づいて任意電流波形の励磁電流を2相の電磁石に供給してする励磁電流源(2)と、2相の電磁石それぞれの巻線内に配置される2つの第1の電磁石コア(4a、4b)と、2つの第1の電磁石コアの間に配置される第2の電磁石コア(5)と、非磁性体材料から構成され、2つの検出素子(21a、21b)を有するセンサ(20)を載置するサンプルステージ(7)と、を有し、2相の電磁石への通電を行うと、2つの第1の電磁石コアそれぞれと第2の電磁石コアを通じる磁束を発生させ、サンプルステージ上に載置されたセンサの2つの検出素子に対して、一方の検出素子には一方の第1の電磁石コアと第2の電磁石コアとの間の磁気ベクトルを作用させ、他方の検出素子には他方の第1の電磁石コアと第2の電磁石コアとの間の磁気ベクトルを作用させる。
このような構成により、対向する2相の電磁石の電流位相差を制御して交流励磁することで歯車回転時の微小な磁気ベクトル変化を再現することができる。さらに、波形制御装置により、任意電流波形を励磁電流源に供給することで多様な仕様の検出対象に対するMR素子出力を柔軟に再現することが可能である。よって、検出対象と電磁ピックアップないしはMR素子との位置関係にかかわらず、さらに多様な仕様の検出対象に対して柔軟に回転角などの検出対象の状態を検出することが可能な擬似ギア磁場信号発生装置を提供できる。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
第1実施形態にかかる擬似ギア磁場信号発生装置について説明する。この擬似ギア磁場信号発生装置は、MRE方式などの回転角や回転数などの検出を行う回転センサの検査に用いられ、歯車などの検出対象の回転を模擬した磁場信号を電磁石から供給することで、検出対象の形状によらず効率的に検査を実施するものである。なお、ここでは回転センサの一例として回転角の検出を行う回転角センサを例に挙げて説明する。
第1実施形態にかかる擬似ギア磁場信号発生装置について説明する。この擬似ギア磁場信号発生装置は、MRE方式などの回転角や回転数などの検出を行う回転センサの検査に用いられ、歯車などの検出対象の回転を模擬した磁場信号を電磁石から供給することで、検出対象の形状によらず効率的に検査を実施するものである。なお、ここでは回転センサの一例として回転角の検出を行う回転角センサを例に挙げて説明する。
図1に示す本実施形態の擬似ギア磁場信号発生装置は、波形制御装置1、励磁電流源2、電磁石3a、3b、第1の電磁石コア4a、4bと第2の電磁石コア5および基部6が一体となったE型コア、サンプルステージ7およびワークアタッチメント8を有した構成とされる。
波形制御装置1は、任意電流波形を励磁電流源2に供給することが出来るようなインターフェースであり、例えばC言語のようなソースコードにより入力波形の指令を与えるものである。このため、励磁電流源2を通じて各相の電磁石3a、3bに作用する作用する電流波形状、電流位相差を任意に制御することが可能となる。
励磁電流源2は、波形制御装置1により制御されることで励磁電流を発生させる電流源であり、ここでは波形制御装置1によりリニアレギュレーション方式で制御される。
電磁石3a、3bは、励磁電流源2から供給される励磁電流に基づいて磁場を発生させるものであり、2相が対向して配置されている。2相の電磁石3a、3bの巻線は、高周波特性に優れるエッジワイズ巻により構成されており、それぞれ第1の電磁石コア4a、4bに対して巻回されている。
第1の電磁石コア4a、4b、第2の電磁石コア5および基部6は、ヨークを構成するもので、本実施形態の場合、これらが一体構造とされたE型コアによって構成されている。これらは、例えばSiを含有するアモルファス積層鋼板のような周波数特性に優れた高ケイ素鋼板により形成される。
第1の電磁石コア4a、4bは、それぞれ対向する2相の電磁石3a、3b内を貫くように配置されたコアであり、基部6に連結される棒状部分4aa、4baと棒状部分4aa、4baから張り出した端部4ab、4bbとを有した構成とされている。
棒状部分4aa、4baは、それぞれ対向する2相の電磁石3a、3b内を貫くように配置される部分であり、所定距離離れて平行に配置されている。端部4ab、4bbは、各棒状部分4aa、4baから内側に向けて張り出しており、その張り出した先端位置から第2の電磁石コア5の先端までの距離が所定距離となるように調整されている。本実施形態の場合、端部4ab、4bbは、棒状部分4aa、4baに対して垂直方向に張り出している。端部4ab、4bbの形状についは任意で有り、長方体とされることで先端面が四角形状とされていても良いし、先端が先細り形状とされていても良い。
第2の電磁石コア5は、対向配置された二相の電磁石3a、3bおよび第1の電磁石コア4a、4bの間に配置され、本実施形態ではこれらの中心位置に配置されている。第2の電磁石コア5は、第2の電磁石コア5の中心軸が後述するセンサ取付軸と一致するように設計されている。この第2の電磁石コア5の先端部に対向してMRE方式の回転角センサが設置されるようになっているが、この第2の電磁石コア5の先端は多角形状ではなく、曲面、ここでは断面半円状の面によって構成されている。なお、第2の電磁石コア5は、例えば四角柱状や円柱状で先端が曲面とされたものによって構成されるが、ここでは四角柱状で先端が曲面とされたもので構成されている。
基部6は、第1の電磁石コア4a、4bおよび第2の電磁石コア5を連結するものである。本実施形態の場合、基部6は長方体形状とされており、その中央に第2の電磁石コア5が連結され、第2の電磁石コア5の両側に第1の電磁石コア4a、4bが連結されることで一体構造とされている。
サンプルステージ7は、センサ取り付け時の端面位置を決定する台であり、磁性体材料以外の材料で構成されている。本実施形態の場合、サンプルステージ7は、四角形板状部材で構成され、端部4ab、4bbのうちの基部6側の一面に取り付けられている。このサンプルステージ7上に、図2に示すようにMRE方式の回転角センサ20が配置される。回転角センサ20は、センサチップ21とバイアス磁石22などが樹脂で構成されたハウジング23内に収容された構造とされている。センサチップ21は、ハウジング23の先端の所定位置に配置され、ハウジング23の先端がサンプルステージ7に当接させられることで、回転角センサ20の端面位置、すなわちセンサチップ21が所望位置となるようにして検査が行えるようになっている。なお、実際には回転角センサ20内のセンサチップ21やバイアス磁石22についてはハウジング23内に収容されていて視認できないが、理解を容易にするために図2中に図示してある。
本実施形態の場合、センサチップ21には、ハの字に配置されたピエゾ抵抗にて構成される検出素子21a、21bがハウジング23の先端面に沿って横並びに配置されている。回転角センサ20をサンプルステージ7上に設置した際に、一方の検出素子21aが第1の電磁石コア4aの端部4abと第2の電磁石コア5の先端との間に配置され、もう一方の検出素子21bが第1の電磁石コア4bの端部4bbと第2の電磁石コア5の先端との間に配置されるようになっている。このときに回転角センサ20をサンプルステージ7上に配置したときの回転角センサ20の中心軸、本実施形態の場合は2つの検出素子21a、21bの中心を通る線がセンサ取付軸となる。
ワークアタッチメント8は、非磁性体材料によって構成され、ワークである回転角センサを載置する際に、その位置に保持するアタッチメントとなるものである。ワークアタッチメント8は、サンプルステージ7に取り付けられ、回転角センサ20を挟み込むようにして保持することで、サンプルステージ7上での回転角センサ20の位置ずれを抑制する。
以上のようにして、本実施形態にかかる擬似ギア磁場信号発生装置が構成されている。続いて、擬似ギア磁場信号発生装置の作動について、MRE方式の回転角センサの回転角度検出原理を参照して説明する。
まず、MRE方式の回転角センサの回転角度検出原理について説明する。
図3は、外周面が凹凸面とされた歯車10に対向してMRE方式の回転角センサ20を配置し、歯車10が回転した際に検出素子21a、21bに作用する磁気ベクトル変化を模式的に示した図である。この図に示すように、MRE方式の回転角センサ20としては、2つの検出素子21a、21bを備えるものが一般的である。
図3中の状態(a)は、回転角センサ20に備えられた2つの検出素子21a、21bと対向する位置が共に外周面が歯車10の谷位置となっている場合を示している。状態(b)は、一方の検出素子21aと対向する位置が歯車10の山位置、他方の検出素子21bと対向する位置が歯車10の谷位置となっている場合を示している。状態(c)は、回転角センサ20に備えられた2つの検出素子21a、21bと対向する位置が共に外周面が歯車10の山位置となっている場合を示している。状態(d)は、一方の検出素子21aと対向する位置が歯車10の谷位置、他方の検出素子21bと対向する位置が歯車10の山位置となっている場合を示している。これら状態(a)〜(d)に示されるように、歯車10の回転に伴って各検出素子21a、21bに作用する磁気ベクトルが経時変化する。
上記した特許文献1に開示されている電磁式回転センサは、電磁ピックアップを歯車形状に対して、一方の電磁ピックアップに歯の山位置が対向するときに、他方の電磁ピックアップに歯車の谷位置が対向するように設計されている。そして、各電磁ピックアップの電磁石、つまり検出コイルには相互に逆位相の検出信号が生じる。
これに対して、MRE方式の回転角センサ20では、図4(a)に示すように、磁気ベクトルの振れ角が経時変化したときの振れ角差から得られる差動電圧を用いて図4(b)に示すような検出信号を形成している。具体的には、回転角センサ20は、図5に示す回路構成とされ、2つの検出素子21a、21bの出力を増幅回路23a、23bで増幅し、それぞれの増幅出力を差動増幅器24で差動増幅することでセンサ出力となる検出信号を得ている。そして、この差動増幅器24から出力される検出信号がコンパレータ25によって閾値電圧Vrefと比較されて、回転状態に応じた矩形波とされる。検出素子21a、21bは、それぞれ2つのピエゾ抵抗が直列接続されたハーフブリッジ回路とされており、2つのハーフブリッジ回路の中点電位が各検出素子21a、21bの出力として用いられる。
このような構成においては、2つの検出素子21a、21bが歯車10の周方向に沿って配置されていることから、各検出素子21a、21bの出力に位相差が発生する。この位相差により、回転角センサ20の検出信号が図4(b)に示すような出力波形となる。なお、各検出素子21a、21bの出力は位相差に加えて出力電圧も異なった値になるが、これは各検出素子21a、21bとバイアス磁石22との位置関係に起因するものである。
このように、MR素子を用いた場合には、各検出素子21a、21bの出力に位相差を生じさせるためには検査時に各検出素子21a、21b対して歯車10の回転状態に応じた磁気ベクトルの振れ角変化を擬似的に付与する必要がある。しかしながら、特許文献1に開示されている電磁式回転センサの検査装置では、各検出素子21a、21b対して歯車10の回転状態に応じた磁気ベクトルの振れ角変化を再現することはできない。
これに対して、本実施形態の擬似ギア磁場信号発生装置では、対向する2相の電磁石3a、3bの電流位相差を制御して交流励磁することで歯車回転時の微小な磁気ベクトル変化を再現することができる。さらに、波形制御装置1により、任意電流波形を励磁電流源2に供給することで多様な歯車形状に対するMR素子出力を柔軟に再現することが可能である。これについて、本実施形態にかかる擬似ギア磁場信号発生装置による検査方法を共に説明する。
まず、図2に示したように、本実施形態の擬似ギア磁場信号発生装置のサンプルステージ7上に、回転角センサ20を配置し、ワークアタッチメント8によって回転角センサ20を保持する。これにより、センサチップ21が所望位置となるようにして、回転角センサ20が擬似ギア磁場信号発生装置に設置される。
次に、この状態で、波形制御装置1から励磁電流源2に対して、任意電流波形の電流を各電磁石3a、3bに供給させるための入力波形の指令を与える。これにより、励磁電流源2から任意電流波形の電流が各電磁石3a、3bに対して供給される。このときの任意電流波形は、回転角センサ20に対して、歯車10が回転したときに生じると想定される磁気ベクトルを作用させるものである。
励磁電流源2から各電磁石3a、3bに対して電流を流すと、図2に矢印で示したように磁束が生じる。すなわち、電磁石3aに対して電流を流すと、それに基づき、第1の電磁石コア4aから第2の電磁石コア5を通過して基部6を通り、再び第1の電磁石コア4aに戻る経路の磁束が生じる。同様に、電磁石3bに対して電流を流すと、それに基づき、第1の電磁石コア4bから第2の電磁石コア5を通過して基部6を通り、再び第1の電磁石コア4bに戻る経路の磁束が生じる。
したがって、検出素子21aには端部4abから第2の電磁石コア5に向かう磁気ベクトル、つまり図6(a)中の紙面左上から右下に向かう磁気ベクトルが作用する。また、検出素子21bには端部4bbから第2の電磁石コア5に向かう磁気ベクトル、つまり図6(a)中の紙面右上から左下に向かう磁気ベクトルが作用する。
また、励磁電流源2から各電磁石3a、3bに供給する電流については、電流の流れる方向を逆方向として供給することもできる。このため、電流の方向を逆方向とした場合には、図6(b)中に示した矢印と反対方向に向く磁束が生じる。この場合、検出素子21aには第2の電磁石コア5から端部4abに向かう磁気ベクトル、つまり図6(b)中の紙面右下から左上に向かう磁気ベクトルが作用する。また、検出素子21bには第2の電磁石コア5から端部4bbに向かう磁気ベクトル、つまり図6(b)中の紙面左下から右上に向かう磁気ベクトルが作用する。
そして、励磁電流源2から各電磁石3a、3bに対して供給する電流の大きさを変化させると磁束密度を変化させられるため、磁気ベクトルのスカラーを変化させることもできる。さらに、第1の電磁石コア4a、4bと第2の電磁石コア5および基部6をE型コアで構成しているため、2層の電磁石3a、3bから発生する磁場を発散させることなく、所定の狙い位置に集中させることが可能となる。したがって、作用させる磁気ベクトルを的確に設定でき、狙い通りに磁気ベクトルのスカラーも変化させることができる。また、第2の電磁石コア5の先端が多角形状ではなく曲面で構成されるようにしている。このため、2相の電磁石3a、3bから発生する磁場を所定の狙い位置に集中させる際に、第2の電磁石コア5のエッジ部分でなくコアが形成する面に磁場を集中させることが可能となる。
一方、回転角センサ20には、バイアス磁石22が備えられており、バイアス磁石22からもN極からS極に向かう磁束が生じている。このため、回転角センサ20を擬似ギア磁場信号発生装置に設置した場合、上記したように電磁石3a、3bへの電流供給に基づく磁束に加えて、バイアス磁石22に基づく磁束が生じた状態となる。したがって、各検出素子21a、21bに作用する磁気ベクトルは、両者の磁束の磁気ベクトルの合成ベクトルとなる。
ここで、上記したように、励磁電流源2から各電磁石3a、3bに対して供給する電流の大きさを変化させることで、電磁石3a、3bへの電流供給に基づいて各検出素子21a、21bに作用する磁気ベクトルのスカラーを変化させられる。また、励磁電流源2から各電磁石3a、3bに対して供給する電流の向きを変化させることで、電磁石3a、3bへの電流供給に基づいて各検出素子21a、21bに作用する磁気ベクトルの向きを変化させられる。
したがって、図7(a)〜(d)に示すように、バイアス磁石22に基づく一定の磁気ベクトルに対して、電磁石3a、3bへの電流供給に基づいてスカラーや向きが変化する磁気ベクトルの合成ベクトルが変化する。例えば、図7(a)〜(c)は、電磁石3a、3bへ供給する電流の大きさを変化させて、電磁石3a、3bへの電流供給に基づいて各検出素子21a、21bに作用する磁気ベクトルの向きを変化させた場合を示している。また、図7(d)は、電磁石3a、3bへ供給する電流の向きを変化させて、電磁石3a、3bへの電流供給に基づいて各検出素子21a、21bに作用する磁気ベクトルの向きを変化させた場合を示している。これらに示されるように、バイアス磁石22による磁気ベクトルと電磁石3a、3bへの電流供給に基づく磁気ベクトルとの合成ベクトルの向きを変えられる。したがって、各検出素子21a、21bに対して、歯車10が回転したときに生じると想定される磁気ベクトルを作用させることができる。
そして、励磁電流源2から各電磁石3a、3bに対して異なる電流を供給することで、図4(a)に示すように、各検出素子21a、21bの出力に位相差を設けることができる。例えば、図8(a)に示す波形の電流を励磁電流源2から各電磁石3a、3bに供給する。ここでは、電磁石3aに供給する電流I1と電磁石3bに供給する電流I2を台形波とし、電流I1に対して電流I2の位相を遅らせている。その結果、図8(b)に示すような理想波形に対して、実際にも図8(c)に示すような波形のように再現することができる。
以上説明したように、本実施形態の擬似ギア磁場信号発生装置によれば、検査時に各検出素子21a、21b対して歯車10の回転状態に応じた磁気ベクトルの振れ角変化を擬似的に付与することできる。そして、励磁電流源2から電磁石3a、3bに供給する電流波形を制御することにより、回転角センサ20が実際に使用される際に、検出素子21a、21bと歯車10との位置関係がどのようなものであっても、それに対応した検査が行える。また、多様な仕様の歯車10に対して柔軟に回転角を検出することが可能な擬似ギア磁場信号発生装置とすることができる。
なお、ここでは回転角センサ20を例に挙げて説明したが、検出対象として回転角に限らず回転数などの回転状態を検出する回転センサについて、上記と同様のことが言える。
また、MR素子を用いる回転角センサ20などでは、素子感度の高さから、例えば歯車10が10000rpm以上の高回転で回転されるような場合にも使用可能であるが、その場合を想定した検査はより困難である。
しかしながら、本実施形態のような擬似ギア磁場信号発生装置を用いる場合、波形制御装置1から高周波電流波形を励磁電流源2に印加するような指令を与えることで、高回転時の検査も可能である。
図9(a)は、対向する2相の電磁石3a、3bに高周波電流を作用させた時の電流波形、図9(b)は、その時のMRE方式の回転角センサ20から出力される検出信号を示している。
図9(a)に示すように、擬似ギア磁場信号発生装置にて、2相の電磁石3a、3bに対して位相差を有する正弦波状の高周波電流となる電流I1、I2を供給することで、その周波数での磁気ベクトルの振れ角変化を擬似的に各検出素子21a、21bに付与できる。これにより、図9(b)中に示したように、差動増幅器24から正弦波状の信号が検出信号S1として出力され、それがコンパレータ25にて閾値電圧Vrefと比較されて矩形波信号S2に変換される。この場合でも、図に示されるように、電磁石3a、3bに供給した高周波電流の周波数に対応した矩形波が得られていることから、高回転時の検査も可能であることが判る。したがって、実際に歯車10を高回転させることで検査を行う場合と比較して、より容易な検査とすることが可能となる。特に、2相の電磁石3a、3bを高周波特性に優れるエッジワイズ巻き構造としていることから、好適に高回転検出を行うことができる。
さらに、回転角センサ20によって、歯車10の回転角度や回転数だけでなく回転方向の検出を行うこともある。この場合についても、本実施形態の擬似ギア磁場信号発生装置で対応可能である。
具体的には、歯車10の正転時に想定される磁気ベクトルの振れ角の変化と歯車10の逆転時に想定される磁気ベクトルの振れ角の変化を付与するために、各電磁石3a、3bに流す電流の位相差を逆転させる。このようにすれば、図10(a)および図10(b)に示すように、回転角センサ20の出力波形として位相差が逆転した波形を再現することが可能となる。このため、歯車10の正転時と逆転時の両方について、擬似ギア磁場信号発生装置にて検査を行うことができる。
(他の実施形態)
本開示は、上記した実施形態に準拠して記述されたが、当該実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
本開示は、上記した実施形態に準拠して記述されたが、当該実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
例えば、上記実施形態で説明した各部の材質などは一例を示したに過ぎず、他の材質のものを用いても良い。一例を挙げると、上記実施形態では、電磁石3a、3b高周波特性に優れるエッジワイズ巻きのものを用いたが、同様に高周波特性に優れるという観点から巻線の線種としてリッツ線を使用しても良い。
また、上記実施形態では、端部4ab、4bbが棒状部分4aa、4baに対して垂直方向に張り出す構造としたが、図11に示すように第2の電磁石コア5の先端に向けて折れ曲がった構造、つまり各棒状部分4aa、4ba側に折り返された構造であっても良い。
また、上記実施形態では、第1の電磁石コア4a、4bと第2の電磁石コア5および基部6が一体構造とされたE型コアとし、2相の電磁石3a、3bが備えられたものを例に挙げたが、これも一例を挙げたに過ぎない。すなわち、さらに複数の電磁石および電磁石コアが備えられ、回転角センサ20に対して磁気ベクトルを付与する構造としても良い。
例えば、図12に示すように、擬似ギア磁場信号発生装置を4箇所において磁気ベクトルを付与できる構造とすることもできる。この擬似ギア磁場信号発生装置では、第2の電磁石コア5を中心として第1の電磁石コア4a、4bから90度回転させた位置に電磁石3c、3dおよび第3の電磁石コア4c、4dを配置している。つまり、さらに対向する2相の電磁石3c、3dを備え、それらをそれぞれ貫くように第3の電磁石コア4c、4dを備えている。第3の電磁石コア4c、4dは、基部6の下方において基部6に直交配置された基部9によって連結されている。第3の電磁石コア4c、4dは、棒状部分4ca、4daとその先端から第2の電磁石コア5側に張り出した端部4cb、4dbとを有した構成とされている。このような構成においては、電磁石3c、3dへの通電に基づいて、端部4cb、4dbと第2の電磁石コア5との間においても磁束を生じさせられ、この間においても磁気ベクトルの振れ角を変化させられる。したがって、4箇所において磁気ベクトルを付与できる。
また、図13に示すように、擬似ギア磁場信号発生装置を3箇所において磁気ベクトルを付与できる構造とすることもできる。この擬似ギア磁場信号発生装置では、基部6を直線状ではなくV字状で構成しつつ、V字の先端側に電磁石3eや第3の電磁石コア4eを配置している。つまり、さらに1相の電磁石3eを備え、それを貫くように第3の電磁石コア4eを備えている。第3の電磁石コア4eは、棒状部分4eaを2本有していると共に、その2本の棒状部分4eaの先端から第2の電磁石コア5の先端側に張り出した端部4ebを備えている。さらに、第3の電磁石コア4eは、端部4ebと反対側において2本の棒状部分4eaを繋ぐ連結部4ecを有しており、電磁石3eは連結部4ecに巻回されている。このように構成される擬似ギア磁場信号発生装置では、電磁石3eに対して電流を供給すると、第2の電磁石コア5の先端を通過しつつ第3の電磁石コア4eを1周する磁束が発生し、それによる磁気ベクトルを作用させられる。したがって、3箇所において磁気ベクトルを付与できる。
なお、図12や図13に示す擬似ギア磁場信号発生装置においても、図示していないが、波形制御装置1および励磁電流源2を用いて任意電流波形の励磁電流を各電磁石3a〜3eに対して供給することで、複数箇所で磁気ベクトルを付与している。
また、上記した図12や図13に示す擬似ギア磁場信号発生装置は、第1実施形態で説明したようにセンサチップ21に2つの検出素子21a、21bが形成されるものにも適用できるが、3つ以上の検出素子が備えられる場合への適用に適している。すなわち、第1実施形態のように2つの磁気ベクトルの振れ角変化を作り出す場合、2つの検出素子21a、21bへはその磁気ベクトルの振れ角変化を付与できる。しかしながら、検出素子が3つあると、3つめの検出素子へは磁気ベクトルの振れ角変化を的確に付与できないことがあり得る。このような場合に、図12や図13の擬似ギア磁場信号発生装置を適用すると好ましい。
1 波形制御装置
2 励磁電流源
3a〜3e 電磁石
4a、4b 第1の電磁石コア
5 第2の電磁石コア
6 基部
7 サンプルステージ
8 ワークアタッチメント
10 歯車
20 回転角センサ
2 励磁電流源
3a〜3e 電磁石
4a、4b 第1の電磁石コア
5 第2の電磁石コア
6 基部
7 サンプルステージ
8 ワークアタッチメント
10 歯車
20 回転角センサ
Claims (8)
- 対向する2相の電磁石(3a、3b)と、
任意電流波形の励磁電流に基づく励磁を行わせる指令を行う波形制御装置(1)と、
前記波形制御装置の指令に基づいて前記任意電流波形の励磁電流を前記2相の電磁石に供給してする励磁電流源(2)と、
前記2相の電磁石それぞれの巻線内に配置される2つの第1の電磁石コア(4a、4b)と、
前記2つの第1の電磁石コアの間に配置される第2の電磁石コア(5)と、
非磁性体材料から構成され、2つの検出素子(21a、21b)を有するセンサ(20)を載置するサンプルステージ(7)と、を有し、
前記2相の電磁石への通電を行うと、前記2つの第1の電磁石コアそれぞれと前記第2の電磁石コアを通じる磁束を発生させ、前記サンプルステージ上に載置された前記センサの前記2つの検出素子に対して、一方の前記検出素子には一方の前記第1の電磁石コアと前記第2の電磁石コアとの間の磁気ベクトルを作用させ、他方の前記検出素子には他方の前記第1の電磁石コアと前記第2の電磁石コアとの間の磁気ベクトル、磁界強度を作用させる、擬似ギア磁場信号発生装置。 - 前記第2の電磁石コアは、前記2相の電磁石の間の中心に配置されており、
前記2つの第1の電磁石コアと前記第2の電磁石コアが基部(6)にて連結されることで一体構造のE型コアとされている、請求項1に記載の擬似ギア磁場信号発生装置。 - 前記2つの第1の電磁石コアは、棒状部分(4aa、4ab)と、該棒状部分の先端から前記第2の電磁石コアの先端に向かって張り出した端部(5ab、5bb)とを有し、
前記2相の電磁石に前記励磁電流が供給されると前記2つの第1の電磁石コアそれぞれの前記端部と前記第2の電磁石コアの先端との間を通る磁束を発生させる、請求項1または2に記載の擬似ギア磁場信号発生装置。 - 前記第2の電磁石コアの先端は、断面円形状の曲面とされている請求項1ないし3のいずれか1つに記載の擬似ギア磁場信号発生装置。
- 前記2つの第1の電磁石コアとおよび前記第2の電磁石コアは、高ケイ素鋼板で構成されている、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の擬似ギア磁場信号発生装置。
- 前記波形制御装置は、前記励磁電流源に対してソースコードにより入力波形の指令を与えるインターフェースであり、
前記励磁電流源は、前記波形制御装置によりリニアレギュレーション方式で制御される、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の擬似ギア磁場信号発生装置。 - 前記2相の電磁石の巻線はエッジワイズ巻きとされている、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の擬似ギア磁場信号発生装置。
- 前記2相の電磁石に加えて、少なくとも1相の電磁石(3c、3d、3e)と、
前記少なくとも1相の電磁石の巻線内に配置される第3の電磁石コア(4c、4d、4e)と、を有し、
前記励磁電流源からの前記励磁電流が前記少なくとも1相の電磁石にも供給され、該少なくとも1相の電磁石への通電を行うと、前記第3の電磁石コアと前記第2の電磁石コアを通じる磁束を発生させ、前記センサに対して、前記第3の電磁石コアと前記第2の電磁石コアとの間の磁気ベクトルを作用させる、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の擬似ギア磁場信号発生装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019129526A JP2021015034A (ja) | 2019-07-11 | 2019-07-11 | 擬似ギア磁場信号発生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019129526A JP2021015034A (ja) | 2019-07-11 | 2019-07-11 | 擬似ギア磁場信号発生装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021015034A true JP2021015034A (ja) | 2021-02-12 |
Family
ID=74531815
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019129526A Pending JP2021015034A (ja) | 2019-07-11 | 2019-07-11 | 擬似ギア磁場信号発生装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021015034A (ja) |
-
2019
- 2019-07-11 JP JP2019129526A patent/JP2021015034A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5787412B2 (ja) | 角度検出装置 | |
US6034499A (en) | Method of controlling rotary position of a torque motor | |
JP3740984B2 (ja) | 電動機の磁極位置検出装置 | |
KR20010040261A (ko) | 선형 전자석 기계 | |
JP5443718B2 (ja) | リニアモータシステム及び制御装置 | |
KR20010082564A (ko) | 궤도 콘트롤러 | |
EP3359935B1 (en) | Hysteresis compensated force sensing device and method | |
US10564007B2 (en) | Inductive movement sensors | |
US20180274948A1 (en) | Inductive displacement sensors | |
CN101257274A (zh) | 电动机驱动设备 | |
JPH04229069A (ja) | 電磁駆動システム | |
JP2021015034A (ja) | 擬似ギア磁場信号発生装置 | |
CN104467354A (zh) | 直动-旋转促动器以及其控制方法 | |
JP2010263681A (ja) | リニアモータおよびリニアモータ装置 | |
JP5075022B2 (ja) | 可変リラクタンス型レゾルバ | |
JP2007093500A (ja) | リニアスケール、リニアエンコーダ装置、リニアモータおよび単軸ロボット | |
JP2012037320A (ja) | 回転角度検出装置 | |
JP3067437B2 (ja) | 磁歪式応力センサ | |
Abramenko et al. | Variable Reluctance Resolver With a Modular Stator | |
JP7046721B2 (ja) | 速度検出装置 | |
JPS59107229A (ja) | トルク検出装置 | |
JP2018121404A (ja) | レゾルバステータ、レゾルバ及びダイレクトドライブモータシステム | |
WO2022260070A1 (ja) | 運動検出器 | |
JP2007135304A (ja) | 回転位置検出装置および永久磁石型モータの駆動方法 | |
JP2017083191A (ja) | レゾルバ |