JP2021014120A - テープ貼付装置、テープ貼付方法、及び複合成形品の製造方法 - Google Patents

テープ貼付装置、テープ貼付方法、及び複合成形品の製造方法 Download PDF

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政人 菅森
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Abstract

【課題】 テープを被貼付面に貼付けて繊維強化プラスチック成形品を製造する際における、テープの被貼付面に対する貼付け角度が最適角度に設定され、あるいは設定・調整することができ、被貼付面に対するテープ貼付に関する性能を高めることができるテープ貼付装置を提供すること。【解決手段】 テープAを押圧しながら被貼付面5aに貼り付けるATLヘッド3を備えたATL装置1であって、ATLヘッド3に、被貼付面5aにテープAを供給するフィーダー9と、被貼付面5aにテープAを押し付ける押圧手段10と、テープA及び/又は被貼付面5aを加熱する加熱手段80と、を装備し、テープAの被貼付面5aへの貼付け角度が10度以上70度以下となるように、フィーダー9を、可変機構9Aを介して押圧手段10に取付ける。【選択図】 図2

Description

本発明はテープ貼付装置、テープ貼付方法、及び複合成形品の製造方法に関し、より詳細には、テープを被貼付面に貼付けることにより、繊維強化プラスチック(FRP)成形品などを製造する際に用いられるテープ貼付装置、該装置を用いたテープ貼付方法、及び該方法を使用して成形品を製造する複合成形品の製造方法に関する。
炭素繊維等の繊維束に、予め樹脂を含浸させてテープ状に成形したものをプリプレグテープ、UDテープなどと呼ぶことが多い。厳密にではないが当該樹脂が半硬化の熱硬化性のものである場合をプリプレグテープ、熱可塑性のものである場合をUDテープと呼ぶことが多く、本明細書でもこの定義に依るものとする。
これらテープをワークの被貼付面に貼付けてゆくことで、所望の形状をした繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)成形品が製造できることが知られている。
FRP成形品の製法には、ATL(Auto Tape Layup)法、ATW(Auto Tape Welding)法、AFP(Auto Fiber Placement)法など種々の称呼があるが、これらの製法は厳密に区別されているものではない。本明細書においては、テープを押圧しながら被貼付面に貼付けていく製法を総称してATL法と記し、その装置(テープ貼付装置)をATL装置と記すこととする。
図6は、下記の特許文献1に開示されたATL装置のATLヘッドの部分を示す側面図である。類似の構成の装置が、特許文献2にも開示されている。
ATLヘッド30は、ベース材70に赤外線ランプ8、熱風ノズル18、フィーダー9、押圧手段10等が装備されて構成されている。
押圧手段10は、テープAをワーク5の被貼付面5aに押し付ける押圧ローラ10a、エアシリンダ10dを備えている。
ワーク5は、例えば、熱可塑性樹脂の射出成型品からなり、ワーク5の表面に、例えば、同じ熱可塑性樹脂が含浸されたUDテープAが貼り付けられ、ワーク5が補強されることとなる。
[発明が解決しようとする課題]
一般にUDテープAに含浸されている熱可塑性樹脂は常温では固体であり、プリプレグテープ(熱硬化性樹脂が含浸)の場合と相違し、その表面は粘着性やタック性を有しないのが普通である。従って、UDテープAをワーク5の被貼付面5aに貼付けるに際しては、少なくともUDテープAに含浸されている熱可塑性樹脂を、その軟化点や融点近傍にまで加熱する必要がある。
例えば、最も軟化点温度の低いポリプロピレン(以下PP)で150℃前後、多用されるナイロン系(ポリアミド系、以下PA系)だと、ナイロン6で180℃前後、ナイロン66系では230℃程度、さらに高耐熱性のポリフェニレンサルファイド(以下PPS)では280℃程度の加熱が必要であると言われている。
また、成形品の仕上がりには、この被貼付面5a近傍における加熱状況とともに、UDテープAの被貼付面5aに対する貼付け角度が大きく影響すると言われている。
上記したATL装置の場合、フィーダー9は、赤外線ランプ8、熱風ノズル18とともに、ベース材70に固定されおり、被貼付面5aに対するUDテープAの貼付け角度をUDテープAの素材の違いを考慮した最適角度に設定しなおすことはできなかった。
また、貼付ける条件や、テープAの構成材料によっては、テープAの貼付け時に折れ曲がってしまう事故の発生確率も高くなるといった課題も有していた。
これらのことから、テープAの被貼付面5aに対する貼付け角度が最適角度に設定された、あるいは設定・調整できる装置の出現が望まれていた。
特開2018−149729号公報 特開2018−149730号公報
課題を解決するための手段及びその効果
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、テープを被貼付面に貼付けて繊維強化プラスチック成形品を製造する際における、テープの被貼付面に対する貼付け角度が最適角度に設定され、あるいは設定・調整することができ、被貼付面に対するテープ貼付に関する性能を高めることができるテープ貼付装置、テープ貼付方法、及び複合成形品の製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係るテープ貼付装置(1)は、
テープを押圧しながら被貼付面に貼付ける貼付ヘッドを備えたテープ貼付装置であって、
前記貼付ヘッドが、
前記被貼付面に前記テープを供給するテープ供給手段と、
前記被貼付面に前記テープを押し付ける押圧手段と、
前記テープ及び/又は前記被貼付面を加熱する加熱手段とを備え、
前記テープの前記被貼付面への貼付け角度が10度以上70度以下となるように、前記テープ供給手段が、取付け手段を介して前記押圧手段に取付けられていることを特徴としている。
ここで、前記テープの前記被貼付面への貼付け角度とは、前記テープと前記ワークの表面(被貼付面)の接線とのなす角度のことをいい、上記テープ貼付装置(1)によれば、前記テープの前記被貼付面への貼付け角度を最適の角度に設定して貼付工程を進行させることができ、前記被貼付面に対するテープ貼付に関する性能を高めて成形品の仕上がり、例えば、仕上がり強度を向上させることができる。
また、貼付け角度が70度以下に抑えられることにより、貼付工程における前記テープの折曲がり事故の発生を阻止して、成形品の仕上がりを向上させることができる。
また、貼付け角度が10度以上に保たれることにより、前記貼付ヘッドの前記被貼付面への接触事故の発生を阻止することもできる。
また、本発明に係るテープ貼付装置(2)は、上記テープ貼付装置(1)において、前記テープの前記被貼付面への貼付け角度が20度以上50度以下となるように、前記テープ供給手段が前記押圧手段に取付けられていることが好ましい。
上記テープ貼付装置(2)によれば、上記テープ貼付装置(1)における上記した効果をさらに確実なものとすることができる。
また、本発明に係るテープ貼付装置(3)は、上記テープ貼付装置(1)又は(2)において、
前記取付け手段が、前記テープの前記被貼付面への貼付け角度を可変とする可変機構を備えていることが好ましい。
上記テープ貼付装置(3)によれば、前記テープの種類、例えば軟化点の違いによる前記貼付け角度の設定・調整を容易に実施することができる。
また、本発明に係るテープ貼付装置(4)は、上記テープ貼付装置(3)において、
前記可変機構が、スライド機構を含んで構成されていることが好ましい。
上記テープ貼付装置(4)によれば、前記テープの種類、例えば軟化点の違いによる貼付け角度の設定・調整をより容易に実施することができる。
また、本発明に係るテープ貼付装置(5)は、上記テープ貼付装置(1)〜(4)のいずれかにおいて、前記加熱手段が、異なる方式の複数の加熱部を備えて構成されていることが好ましい。
前記熱風ノズルにより熱風を吹き付ける加熱気体方式のものは、構造が簡単で、前記赤外線ランプやレーザー光源を用いた輻射エネルギー方式のものに比べると、装置の製造コストを大幅に低く抑えることができる利点を有している。しかしながら、赤外線ランプ等を用いた輻射エネルギー方式のものに比べると、前記被貼付面における加熱温度の制御性にはやや劣る。
上記テープ貼付装置(5)においては、異なる方式、例えば、加熱気体方式や輻射エネルギー方式などの異なる方式からなる複数の加熱部を備えていることから、両者の特長をうまく引き出しながら、装置を構成することができ、イニシャルコスト・テープ貼付工程におけるランニングコストを抑えながら、しかも、前記被貼付面に対するテープ貼付に関する性能を高めることも可能となる。
また、本発明に係るテープ貼付装置(6)は、上記テープ貼付装置(5)において、
前記複数の加熱部のうち、少なくとも一つは輻射エネルギー方式によるものであり、他の少なくとも一つは、加熱気体方式によるものであることが好ましい。
上記テープ貼付装置(6)によれば、加熱気体方式によるイニシャルコスト・ランニングコスト削減効果を最大限に利用しながら、輻射エネルギー方式による高い制御性能を組み合わせることにより、イニシャルコスト・テープ貼付工程におけるランニングコストを抑えながら、制御性を高めて成形品の仕上がりを向上させることができる。
また、本発明に係るテープ貼付装置(7)は、上記テープ貼付装置(5)又は(6)において、前記複数の加熱部のうち、少なくとも一つは前記テープの上方に配置され、他の少なくとも一つは、前記テープの下方に配置されるものであることが好ましい。
例えば、前記テープの上方に輻射エネルギー方式によるものが配置され、前記テープの下方に加熱気体方式によるものが配置されてもよい。
上記テープ貼付装置(7)によれば、前記被貼付面のみならず、前記テープ自体も適切に加熱することが容易となり、また、前記テープに対して折れ曲がりを抑制することができる場合があり、テープ貼付に関する性能を高めて成形品の仕上がりを向上させることが容易となる場合がある。
また、本発明に係るテープ貼付装置(8)は、上記テープ貼付装置(1)〜(7)のいずかにおいて、前記加熱手段の前記押圧手段に対する配置を可変とする可変機構を備えていることが好ましい。
前記テープの貼付工程において、前記加熱手段に供給すべき電力量は、該加熱手段から被貼付面までの距離に大きく影響を受ける。
上記テープ貼付装置(8)によれば、前記加熱手段から前記被貼付面までの距離を、前記可変機構を介して自在に調整することができ、前記加熱手段を制御するのに適した範囲内の最短距離まで前記加熱手段を前記被貼付面に近付けることができる。
従って、使用電力量を極限にまで抑えることが可能となり、成形品の製造コストを大幅に削減することが可能となる。
また、前記加熱手段の容量(出力)を小さくできるため、小型で低価格な加熱手段を選択できることになり、装置の製造コストを削減することも可能となる。さらには、加熱領域の最適化が可能となり、必要な箇所のみの加熱を実現することができ、周辺(貼り付けない箇所)への熱の影響を抑えることが可能となり、成形品の仕上がりを向上させることが可能となる。
また、前記加熱手段を制御するのに最適の距離を維持しつつ、前記被貼付面を最適の温度に加温して貼付工程を進行させることが容易となり、前記被貼付面に対するテープ貼付に関する性能を高めて成形品の仕上がりを向上させることも容易となる。
また、本発明に係るテープ貼付方法(1)は、上記テープ貼付装置(1)〜(8)のいずれかを用い、前記被貼付面に前記テープを貼り付けるテープ貼付方法であって、前記テープの厚みが0.16mm以上1mm以下の範囲であることが好ましい。
上記テープ貼付方法(1)によれば、前記テープの厚みをこの範囲とすることで、前記テープを所望する厚みまで貼付する回数を少なくして消費電力を抑えつつ、前記テープの折れ、乱れや積層乱れなどを抑制して、成形品の特性(弾性率、強度)および熱老化性、耐温水性などの耐久特性を高めることができる。また、前記テープの厚みが0.2mm以上0.5mm以下の範囲であることがより好ましい。前記テープの厚みが0.2mm以上であることで、上記の効果に加えて、前記加熱手段からの熱風による貼付位置のずれを抑制する効果を高めることができる。また、前記テープの厚みが0.5mm以下であることで、前記テープ支持手段により前記テープが傷つきにくくなる。そのため、前記テープを支持しやすくなるとともに、前記テープが適度な剛性を有することにより、前記被貼付面に対する溶着性を向上させることができる。
また、本発明に係るテープ貼付方法(2)は、上記テープ貼付装置(1)〜(8)のいずれかを用い、前記被貼付面に前記テープを貼り付けるテープ貼付方法であって、
前記テープが、少なくとも一部に予め樹脂が含浸された繊維束からなり、前記樹脂が熱可塑性樹脂で構成されたものであることが好ましい。
上記テープ貼付方法(1)、(2)によれば、前記テープの前記被貼付面への貼付け角度を最適の角度に設定して貼付工程を進行させることができ、前記被貼付面に対するテープ貼付に関する性能を高めて成形品の仕上がり、例えば、仕上がり強度を向上させることができる。
また、貼付け角度が70度以下に抑えられることにより、貼付工程における前記テープの折曲がり事故の発生を阻止して、成形品の仕上がりを向上させることができる。
また、貼付け角度が10度以上に保たれることにより、貼付工程における前記貼付ヘッドの前記被貼付面への接触事故の発生を阻止することもできる。
また、上記テープ貼付方法(2)によれば、前記テープが、少なくとも一部に予め樹脂が含浸された繊維束からなり、前記樹脂が熱可塑性樹脂で構成されたものであることによって、前記樹脂が含侵された繊維束中のボイドが少なく、溶着時に前記樹脂を極度に溶融させる必要がないため、使用電力量を抑えながら、力学特性の高い成形品を得ることができる。
また、本発明に係るテープ貼付方法(2)を採る場合において、上記テープ貼付方法(1)を採用することが好ましい。
また、本発明に係るテープ貼付方法(3)は、上記テープ貼付装置(1)〜(8)のいずれかを用い、前記被貼付面に前記テープを貼り付けるテープ貼付方法であって、
前記テープが、少なくとも一部に予め樹脂が含浸された繊維束からなり、該繊維束は、溶融させた熱可塑性樹脂が充満した含浸ダイに連続繊維を投入し、スリットダイから引き抜くことにより成形されたものであることが好ましい。
上記テープ貼付方法(3)によれば、熱可塑性樹脂が充満した含浸ダイに連続繊維を投入し、スリットダイから引き抜くことにより成形された前記テープを用い、高強度・高品質の成形品を製造することができる。
また、本発明に係るテープ貼付方法(3)を採る場合において、上記テープ貼付方法(1)又は(2)もしくはその両方を採用することが好ましい。
また、本発明に係るテープ貼付方法(4)は、上記テープ貼付方法(2)又は(3)において、
前記押圧手段の少なくともその表面温度を、前記樹脂の軟化点未満に抑えながら前記テープを前記被貼付面に貼り付けることが好ましい。
上記テープ貼付方法(4)によれば、前記押圧手段に前記テープがくっ付いてくることを阻止しながら、該テープを前記被貼付面側に押し付けていくことができ、前記テープの貼付作業をスムーズなものとすることができる。
また、本発明に係るテープ貼付方法(5)は、上記テープ貼付方法(1)〜(4)のいずれかにおいて、
前記被貼付面が熱可塑性樹脂を含むものであることが好ましい。
上記テープ貼付方法(5)によれば、前記被貼付面に対するテープ貼付に関する性能を高めることができる。
また、本発明に係るテープ貼付方法(6)は、上記テープ貼付方法(1)〜(5)のいずれかにおいて、
前記テープの特性に合わせて前記テープの前記被貼付面への貼付け角度を調整することが好ましい。
上記テープ貼付方法(6)によれば、貼付工程における前記テープの折曲がり事故や、貼付工程における前記貼付ヘッドの前記被貼付面への接触事故の発生を阻止しながら、前記被貼付面に対するテープ貼付に関する性能を一段と高めて成形品の仕上がり、例えば、強度を一段と向上させることができる。
また、本発明に係る複合成形品の製造方法(1)は、上記テープ貼付方法(1)〜(6)のいずれかを使用し、前記被貼付面に前記テープが貼付されて成形された成形品を製造することが好ましい。
上記複合成形品の製造方法(1)によれば、前記被貼付面に対するテープ貼付に関する性能を高めた成形品を製造することができ、例えば、強度を向上させることができ、強度、外観に優れた成形品を製造することができる。
本発明の実施の形態に係るATL装置全体の概略構成を示す斜視図である。 実施の形態に係るATL装置におけるATLヘッドの構成を示す側面図である。 図2に示した実施の形態に係るATLヘッドの別の状態を示す側面図である。 図2に示した実施の形態に係るATLヘッドのさらに別の状態を示す側面図である。 図1に示した実施の形態に係るATL装置の貼付処理動作中の一状態を示す斜視図である。 従来のATL装置におけるATLヘッドの構成例を示す側面図である。
以下、本発明の実施の形態に係るテープ貼付装置、テープ貼付方法、及び複合成形品の製造方法を図面に基づいて説明する。
図1は、実施の形態に係るATL装置1全体の概略構成を示す斜視図である。ATL装置1は、多関節ロボット2、多関節ロボット2のアーム2aの先端部分に取付けられたATLヘッド3、ATLヘッド3に予め切断されたテープAを供給・搬送するテープ搬送手段4、切断されたテープAを載置しておく載置台13、ワーク5を保持するワーク台6等を含んで構成されている。
本実施の形態におけるワーク5は、例えば、熱可塑性樹脂の射出成型品からなり、その表面に同じ熱可塑性樹脂が含浸された炭素繊維束からなる裁断済みの(UD)テープAが貼付けられて補強される。ワーク5の形状、及びテープAを貼付ける位置、貼付ける長さは設計により予め定められている。
多関節ロボット2としては市販の汎用の産業用ロボットを用いることができる。多関節ロボット2のアーム2aの先端部分にATLヘッド3が取り付けられている。
ATLヘッド3では、図2に示したように、赤外線ランプ8と熱風ノズル18とが可変機構7を介して押圧手段10側に取付けられており、可変機構7はリンク部7aとスライド部7bとを含んで構成されている。赤外線ランプ8はリンク部7aに支持され、熱風ノズル18はスライド部7bに支持され、押圧手段10に対する相対的位置は、例えば、図2に示した位置から、図3あるいは図4に示した位置まで、それぞれリンク部7a、スライド部7bが許す範囲で自在に調整可能となっている。
本実施の形態では、可変機構7の作用により、赤外線ランプ8及び熱風ノズル18の両者が押圧手段10に対する相対位置可変となっているが、別の実施の形態では、赤外線ランプ8及び熱風ノズル18のうちの少なくとも一つが、相対位置可変に構成されていてもよい。
赤外線ランプ8は、反射板やレンズ等の光学系(図示せず)を備えており、図2中にBで示す貼付ポイントのやや上流側を狙い、その領域に赤外線を集光することで、その領域内に存在する被貼付面5aを主として加熱できるように構成されている。
赤外線ランプ8のケースには非接触の温度センサ17が取付けられている。
熱風ノズル18は、ヒータ(図示せず)を内蔵しており、供給系(図示せず)から供給される窒素ガスを加熱し、その先端より、所定温度、所定流量の加熱ガスとして噴出するように構成されている。熱風ノズル18からの加熱ガスも貼付ポイントBよりもやや上流の領域に吹き付けられ、主として被貼付面5aを加熱するように構成されている。
なお、供給するガスとしては、窒素ガスの他、炭酸ガス、あるいは空気であってもよい。
フィーダー9は、取付け手段としての可変機構9Aを介して押圧手段10に取付けられており、可変機構9Aは、円弧状のスライダー部9a、スライダー部9aに形成されたスライド溝9aa、このスライド溝9aaに係合してスライドする係合突起(図示せず)を含んで構成されている。この係合突起は、フィーダー9のケース部に形成されており、この係合突起がスライド溝9aa内をスライド移動することにより、テープAの被貼付面5aへの貼付け角度を可変とする。
テープAを保持搬送するフィーダー9は、例えば、図6に示すように、搬送ベルト11a、11bを内蔵しており、テープAは搬送ベルト11a、11b間に挟持されて搬送されるようになっている。搬送ベルト11a、11bの内部にはヒータ12a、12bが配置され、搬送ベルト11a、11bを所定温度に予熱することができるように構成されている。
予熱された搬送ベルト11a、11b間をテープAが搬送されることで、テープAが貼付ポイントBに到達する前に、所定温度にまでテープAを予備加熱することも可能となっている。
なお、この予備加熱は必須のものではなく、テープAやワーク5の構成材料、厚さ等によっては不要の場合もある。
押圧手段10は、押圧ローラ10aが、ローラ支持部10bを介してベース部10cに取付けられて構成されている。押圧ローラ10aは、テープAを被貼付面5aに押し付けるもので、ローラ支持部10b内には、押圧ローラ10aに圧力を付与するエアシリンダ10dが配置されている。
テープ搬送手段4(図1)は、予め所定長さに裁断されたテープAが積載される載置台13、載置台13からテープAを1本ずつピックアップするピックアップハンド14、ピックアップハンド14を鉛直方向および水平方向に移動させるガントリ軸15、16を含んで構成されている。
ピックアップハンド14は、真空吸着チャック14aを複数個備え、この真空吸着チャック14aにより載置台13上に積載されたテープAを1本ずつピックアップする。
テープAが貼付けられるワーク5は、様々な形状(3次元形状)を有している。そのため、ATLヘッド3では、テープAに対する押圧ローラ10aの押圧状態を一定に保つため、押圧ローラ10aがワーク5の被貼付面5aの接線方向に直交する方向(法線方向)から被貼付面5aを押圧するように、ATLヘッド3の姿勢(傾き)を制御する。例えば、ワーク5に対するATLヘッド3の姿勢制御は、ワーク5の3次元設計データに基づいて実施されるようになっている。
次に、図1〜5に基づいてATL装置1によるテープAの貼付動作を説明する。
なお、貼付動作の説明に直接関係のない部材に関しては、図面を見やすくするため、符号の表記を省略している。
まず、テープAの構成材料を考慮し、テープAの被貼付面5aへの貼付け角度を設定する。
例えば、テープAの構成樹脂成分がPA系のナイロン6(軟化温度180℃前後)で構成されている場合は、可変機構9Aを操作してフィーダー9を図2に示した位置に近い範囲に配置する。すなわち、テープAの被貼付面5aへの貼付け角度を60度近傍、例えば55〜65度に設定する。
また、例えば、テープAの構成樹脂成分がPA系のナイロン66(軟化温度230℃前後)で構成されている場合は、可変機構9Aを操作してフィーダー9を図3に示した位置に近い範囲に配置する。すなわち、テープAの被貼付面5aへの貼付け角度を45度近傍、例えば40〜50度に設定する。
次に、テープAの構成材料を考慮し、赤外線ランプ8及び熱風ノズル18の押圧手段10に対する相対的位置(図2、3)、換言すれば、貼付ポイントBまでの距離関係を決定し、この距離に合わせた加熱手段80としての加熱工程プログラムを設定しておく。
例えば、テープAの構成樹脂成分がPA系のナイロン6(軟化温度180℃前後)で構成されている場合は、可変機構7を操作して図2に示した位置に近い範囲に、赤外線ランプ8及び熱風ノズル18の押圧手段10に対する相対的位置を決定し、加熱工程プログラムを設定しておく。
また、例えば、テープAの構成樹脂成分がPA系のナイロン66(軟化温度230℃前後)で構成されている場合は、可変機構7を操作し、図3に示した位置に近い範囲に、赤外線ランプ8及び熱風ノズル18の押圧手段10に対する相対的位置を決定し、加熱工程プログラムを設定しておく。
次に、ATL装置1を始動させると、ガントリ軸15、16が動作し、ピックアップハンド14が、載置台13上のテープAを1本だけピックアップする(図5)。このとき、テープAの両端(少なくとも一端)が、ピックアップハンド14の両端より長さ方向に突き出た状態で、真空吸着チャック14aがテープAを吸着しピックアップする。
次に、ピックアップハンド14が受渡し位置まで移動する。受渡し位置においてピックアップハンド14が保持するテープAをATLヘッド3内のフィーダー9に受け渡す。受け渡し位置は、ガントリ軸15、16によるピックアップハンド14の可動領域と、多関節ロボット2によるATLヘッド3の可動領域の共通領域内であればよく、その位置に特に制限はない。
受渡し位置において、ATLヘッド3内のフィーダー9の上部挿入口(図示せず)に、ピックアップハンド14が保持するテープAの一端が若干挿入されるように多関節ロボット2が動作し、フィーダー9はお辞儀動作をする。
テープAの一端が所定長さ、フィーダー9に挿入されると、真空吸着チャック14aの吸着が解除され、テープAがATLヘッド3に受け渡される。同時にフィーダー9が作動し、テープAを所定の待機位置まで搬送する。
次に多関節ロボット2を動作させ、貼付開始位置までATLヘッド3を移動させる。続けて多関節ロボット2を動作させ、押圧ローラ10aを被貼付面5aに押し付ける。
このとき、押圧ローラ10aが被貼付面5aに接触するタイミングに合わせてフィーダー9が動作し、丁度テープAの先端が押圧ローラ10aと被貼付面5aとの間に挟まるようにテープAを搬送する。
赤外線ランプ8と熱風ノズル18もこのタイミングに同期して点灯及び動作を開始し、被貼付面5aへの加熱を開始する。
ATLヘッド3は、テープAの貼付経路に沿って、ワーク5の被貼付面5a上を移動及び首振り動作をしつつ、テープAを被貼付面5aに貼り付けていく。その間もフィーダー9は作動しており、テープAを搬送、供給する。
テープAを被貼付面5aの後端まで貼り終わると、赤外線ランプ8が消灯、熱風ノズル18の動作が停止し、多関節ロボット2の動作により押圧ローラ10aによる被貼付面5aへの押圧が解除され、1本のテープAの貼付が完了する。
以下、同じ動作が繰り返され、被貼付面5a上にテープAが貼付けられていく。
以下、実施例、比較例について説明する。まず、実施例、比較例で採用した物性の測定方法について説明する。
(1)曲げ評価
テープAが貼付されたワーク5から、幅10mm×長さ150mm(繊維長手方向)×厚み3.0mmの短冊状試験片を切り出し、スパン間距離80mm、曲げ速度2mm/minで短冊を押し曲げた。n=3で測定し、曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。
(2)耐熱老化性試験
曲げ評価用の短冊試験片を80℃雰囲気下の熱風オーブン(タバイ社製)に投入し、500時間経過後に取り出し、23℃、50%RHで24時間放置し、曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。
(3)耐温水性評価
(1)における曲げ評価用の短冊試験片を50℃の温水に浸漬し、500時間経過後に取り出し、水分除去した後に、23℃、50%RHで24時間放置し、(1)の方法で曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。
<テープAの製造>
製造例1:繊維強化樹脂成形体(A−1)の製造
東レ(株)製炭素繊維“トレカ”(登録商標)T700S(12K)を一方向に引き揃え、ナイロン6樹脂で充満された含浸ダイに投入した後、引き抜き成形によって、幅50mm、厚み0.28mm、連続繊維含有量60重量%のテープ(A−1)を得た。
製造例2:繊維強化樹脂成形体(A−2)の製造
東レ(株)製炭素繊維“トレカ”(登録商標)T700S(12K)を一方向に引き揃え、ナイロン66樹脂で充満された含浸ダイに投入した後、引き抜き成形によって、幅50mm、厚み0.28mm、連続繊維含有量60重量%のテープ(A−2)を得た。
製造例3:繊維強化樹脂成形体(A−3)の製造
厚みを0.15mmに変更した以外は、製造例1と同様の方法を用いて、幅50mm、連続繊維含有量60重量%のテープ(A−3)を得た。
<ワークの製造>
GF強化ナイロン6(東レ株式会社製 CM1011G−15)を用いて、射出成形を行うことにより、図1に示すワーク5を製造した。
<実施例1>
テープAとして上記製造例1に係る繊維強化樹脂成形体(A−1)を採用し、用意したテープAを、図1に示した状態に、載置台13上に並べておいた。
可変機構9Aを操作してフィーダー9を図2に示した位置に近い範囲に配置し、テープAの被貼付面5aへの貼付け角度を60度に設定した。
また、赤外線ランプ8と熱風ノズル18の押圧手段10に対する相対的位置が図2に示した状態近くになるように可変機構7を用いてセッティングした。
その後、加熱手段80から貼付ポイントBまでの距離を考慮し、この距離に合わせた加熱手段80としての加熱工程プログラムを設定しておいた。
その後、ATL装置1を始動させ、ワーク5の被貼付面5a上にテープAを貼付していった。
テープAが貼付された成形品から上記した試験片を切り出し、上記各評価試験を実施した。
併せて、加熱手段80における使用電力量を求めた。
<実施例2>
テープAとして上記製造例2に係る繊維強化樹脂成形体(A−2)を採用し、用意したテープAを、図1に示した状態に、載置台13上に並べておいた。
可変機構9Aを操作してフィーダー9を図3に示した位置に近い範囲に配置し、テープAの被貼付面5aへの貼付け角度を45度に設定した。
また、赤外線ランプ8と熱風ノズル18の押圧手段10に対する相対的位置が図3に示した状態近くになるように可変機構7を用いてセッティングした。
その後、加熱手段80から貼付ポイントBまでの距離を考慮し、この距離に合わせた加熱手段80としての加熱工程プログラムを設定しておいた。
その後、ATL装置1を始動させ、ワーク5の被貼付面5a上にテープAを貼付していった。
テープAが貼付された成形品から上記した試験片を切り出し、上記各評価試験を実施した。
併せて、加熱手段80における使用電力量を求めた。
<実施例3>
テープAとして上記製造例2に係る繊維強化樹脂成形体(A−2)を採用し、用意したテープAを、図1に示した状態に、載置台13上に並べておいた。
可変機構9Aを操作してフィーダー9を図4に示した位置に近い範囲に配置し、テープAの被貼付面5aへの貼付け角度を45度に設定した。
また、赤外線ランプ8と熱風ノズル18の押圧手段10に対する相対的位置が図4に示した状態近くになるように、すなわち、赤外線ランプ8はテープAの上方に位置するように可変機構7を用いてセッティングした。
その後、加熱手段80から貼付ポイントBまでの距離を考慮し、この距離に合わせた加熱手段80としての加熱工程プログラムを設定しておいた。
その後、ATL装置1を始動させ、ワーク5の被貼付面5a上にテープAを貼付していった。
テープAが貼付された成形品から上記した試験片を切り出し、上記各評価試験を実施した。
併せて、加熱手段80における使用電力量を求めた。
<実施例4>
テープAとして上記製造例1に係る繊維強化樹脂成形体(A−1)を採用した以外は、実施例2と同様の方法を用いてテープAが貼付された成形品を作製し、各評価試験を行うとともに、加熱手段80における使用電力量を求めた。
<実施例5>
テープAとして上記製造例3に係る繊維強化樹脂成形体(A−3)を採用した以外は、実施例2と同様の方法を用いてテープAが貼付された成形品を作製し、各評価試験を行うとともに、加熱手段80における使用電力量を求めた。
<実施例6>
テープAとして上記製造例3に係る繊維強化樹脂成形体(A−3)を採用した以外は、実施例2と同様の方法を用いてテープAを2枚積層して貼付された成形品を作製し、各評価試験を行うとともに、加熱手段80における使用電力量を求めた。
<比較例1>
テープAとして上記製造例1に係る繊維強化樹脂成形体(A−1)を採用し、用意したテープAを、図1に示した状態に、載置台13上に並べておいた。
フィーダー9を図6に示した位置に近い範囲に配置し、テープAの被貼付面5aへの貼付け角度が75度になるように、従来のATLヘッド30を採用した。
また、赤外線ランプ8と熱風ノズル18の押圧手段10に対する相対的位置が図6に示した状態近くになるように従来のATLヘッド30を採用した。
その後、加熱手段80から貼付ポイントBまでの距離を考慮し、この距離に合わせた加熱手段80としての加熱工程プログラムを設定しておいた。
その後、ATL装置を始動させ、ワーク5の被貼付面5a上にテープAを貼付していった。
テープAが貼付された成形品から上記した試験片を切り出し、上記各評価試験を実施した。
併せて、加熱手段80における使用電力量を求めた。
<比較例2>
実施例1において、テープAの貼付角度が5度となるように変更した以外は、同様の方法で貼付テストを行った。その結果、装置がワーク5と干渉し、貼付が完了しなかった。
<比較例3>
テープAとして上記製造例3に係る繊維強化樹脂成形体(A−3)を採用した以外は、比較例1と同様の方法を用いてテープAが貼付された成形品を作製し、各評価試験を行うとともに、加熱手段80における使用電力量を求めた。
<比較例4>
テープAとして上記製造例3に係る繊維強化樹脂成形体(A−3)を採用した以外は、比較例1と同様の方法を用いてテープAが2枚積層して貼付された成形品を作製し、各評価試験を行うとともに、加熱手段80における使用電力量を求めた。
[試験結果]
実施例1
曲げ強度(MPa) 曲げ弾性率(GPa)
(1)曲げ評価 364 20
(2)耐熱老化性試験 355 19
(3)耐温水性評価 350 18
(4)消費電力 比較例1と比べ 約20%削減
実施例2
曲げ強度(MPa) 曲げ弾性率(GPa)
(1)曲げ評価 365 20
(2)耐熱老化性試験 358 19
(3)耐温水性評価 352 19
(4)消費電力 比較例1と比べ 約30%削減
実施例3
曲げ強度(MPa) 曲げ弾性率(GPa)
(1)曲げ評価 366 21
(2)耐熱老化性試験 359 20
(3)耐温水性評価 353 20
(4)消費電力 比較例1と比べ 約35%削減
実施例4
曲げ強度(MPa) 曲げ弾性率(GPa)
(1)曲げ評価 364 21
(2)耐熱老化性試験 360 21
(3)耐温水性評価 355 20
(4)消費電力 比較例1と比べ 約40%削減
実施例5
曲げ強度(MPa) 曲げ弾性率(GPa)
(1)曲げ評価 280 16
(2)耐熱老化性試験 260 14
(3)耐温水性評価 260 14
(4)消費電力 比較例2と比べ 約20%削減
実施例6
曲げ強度(MPa) 曲げ弾性率(GPa)
(1)曲げ評価 350 21
(2)耐熱老化性試験 330 19
(3)耐温水性評価 330 19
(4)消費電力 比較例3と比べ 約15%削減
比較例1
曲げ強度(MPa) 曲げ弾性率(GPa)
(1)曲げ評価 300 15
(2)耐熱老化性試験 250 12
(3)耐温水性評価 250 12
(4)消費電力 基準値
ただし、比較例1のものでは、貼付け角度が70度を超えていたため、数回に1度の割合でテープAに割れを生じ、うまく貼付けが実施できなかった。
比較例3
曲げ強度(MPa) 曲げ弾性率(GPa)
(1)曲げ評価 250 15
(2)耐熱老化性試験 200 12
(3)耐温水性評価 200 12
(4)消費電力 基準値(比較例1と同等)
比較例4
曲げ強度(MPa) 曲げ弾性率(GPa)
(1)曲げ評価 330 19
(2)耐熱老化性試験 280 18
(3)耐温水性評価 270 16
(4)消費電力 基準値(比較例1と比べ90%増加)
上記した実施の形態によれば、テープAの被貼付面5aへの貼付け角度を最適の角度に設定して貼付工程を進行させることができ、被貼付面5aに対するテープAの貼付性能を高めて、曲げ特性、耐熱老化性、耐温水性に優れる成形品が得られた。
一方、比較例1〜4においては、テープ貼付に関する性能が不十分であり、曲げ特性、耐熱老化性、耐温水性、消費電力のいずれかが不十分であった。
また、貼付け角度が70度以下に抑えられることにより、貼付工程におけるテープAの折曲がり事故の発生を阻止して、成形品の仕上がりを向上させることができた。
また、貼付け角度が10度以上に保たれることにより、ATLヘッド3の被貼付面5aへの接触事故の発生を阻止することもできた。
また、加熱手段80から被貼付面5aまでの距離を、可変機構7を介して自在に調整することができ、加熱手段80を制御するのに適した範囲内の最短距離まで加熱手段80を被貼付面5aに近付けることができた。
従って、使用電力量を極限にまで抑えることが可能となり、成形品の製造コストを大幅に削減することができる。また、加熱手段80を制御するのに最適の距離を維持しつつ、被貼付面5aを最適の温度に加温して貼付工程を進行させることが容易となり、被貼付面5aに対するテープAの貼付に関する性能を高めて成形品の強度などを向上させることも容易となった。
また、加熱気体方式による製造・ランニングコスト削減効果を最大限に利用しながら、輻射エネルギー方式による高い制御性能を組み合わせることにより、ATL装置1の製造コスト・テープ貼付工程のランニングコストを抑えながら、制御性を高めて成形品の仕上がりを向上させることもできた。
さらには、赤外線ランプ8をテープAの上方に配置することにより、被貼付面5aのみならず、テープA自体も適切に加熱することが容易となり、テープAの貼付に関する性能を高めて成形品の強度、外観を向上させることも実現することができた。
また、ポリアミド系樹脂が充満した含浸ダイに連続繊維を投入し、スリットダイから引き抜くことにより成形されたテープAを用い、製造コストを大幅に削減しながら、強度、外観に優れた複合成形品を製造することができた。
また、上記実施の形態においては、テープ搬送手段4にガントリ構造体を採用しているが、別の実施の形態では、ガントリ構造体に代えて多関節ロボットを採用してもよい。
また、上記実施の形態においては、ATLヘッド3の駆動装置として多関節ロボット2を採用しているが、別の実施の形態では、多関節ロボットに代えてガントリ構造体を採用しても差し支えない。
ガントリ構造体を採用した場合には、ATLヘッド3のXYZ軸方向への運動制御を安定して行うことができる。また、ATLヘッド3の剛性を高めることができ、ATLヘッド3による押圧力を高めることができ、さらには、ATL装置1のフットプリント(換言すると、装置全体の動作範囲を含めた占有体積)を小さくすることができるという利点も得ることができる。
また、上記実施の形態においては、加熱手段80の一つとして赤外線ランプ8が採用されているが、別の実施の形態では、輻射エネルギー方式の加熱源としてレーザー光源を採用してもよい。レーザー光源は高出力かつ高エネルギー密度で、出力制御も容易であるという利点を有している。ただし、発振管、光ファイバ(導光管)、光学系、電源、制御装置などを含めて少し高価なものとはなる。
1 ATL装置(テープ貼付装置)
2 多関節ロボット
2a アーム
3 ATLヘッド(貼付ヘッド)
4 テープ搬送手段
5 ワーク
5a 被貼付面
6 ワーク台
7 可変機構
7a リンク部
7b スライド部
8 赤外線ランプ
9 フィーダー(テープ供給手段)
9A 可変機構(取付け手段)
9a スライダー部
9aa スライド溝
10 押圧手段
10a 押圧ローラ
10b ローラ支持部
10c ベース部
10d シリンダ部
11a、11b 搬送ベルト
12a、12b ヒータ
13 載置台
14 ピックアップハンド
14a 真空吸着チャック
15 ガントリ軸
16 ガントリ軸
17 温度センサ
18 熱風ノズル
80 加熱手段
30 ATLヘッド(従来)
70 ベース材(従来)

A テープ
B 貼付ポイント

Claims (15)

  1. テープを押圧しながら被貼付面に貼り付ける貼付ヘッドを備えたテープ貼付装置であって、
    前記貼付ヘッドが、
    前記被貼付面に前記テープを供給するテープ供給手段と、
    前記被貼付面に前記テープを押し付ける押圧手段と、
    前記テープ及び/又は前記被貼付面を加熱する加熱手段とを備え、
    前記テープの前記被貼付面への貼付け角度が10度以上70度以下となるように、前記テープ供給手段が、取付け手段を介して前記押圧手段に取付けられていることを特徴とするテープ貼付装置。
  2. 前記テープの前記被貼付面への貼付け角度が20度以上50度以下となるように、前記テープ供給手段が前記押圧手段に取付けられていることを特徴とする請求項1記載のテープ貼付装置。
  3. 前記取付け手段が、前記テープの前記被貼付面への貼付け角度を可変とする可変機構を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のテープ貼付装置。
  4. 前記可変機構が、スライド機構を含んで構成されていることを特徴とする請求項3記載のテープ貼付装置。
  5. 前記加熱手段が、異なる方式の複数の加熱部を備えて構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載のテープ貼付装置。
  6. 前記複数の加熱部のうち、少なくとも一つは輻射エネルギー方式によるものであり、他の少なくとも一つは、加熱気体方式によるものであることを特徴とする請求項5記載のテープ貼付装置。
  7. 前記複数の加熱部のうち、少なくとも一つは前記テープの上方に配置され、他の少なくとも一つは、前記テープの下方に配置されるものであることを特徴とする請求項5又は請求項6記載のテープ貼付装置。
  8. 前記加熱手段の前記押圧手段に対する配置を可変とする可変機構を備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載のテープ貼付装置。
  9. 請求項1〜8のいずれかの項に記載のテープ貼付装置を用い、前記被貼付面に前記テープを貼り付けるテープ貼付方法であって、
    前記テープの厚みが0.16mm以上1mm以下の範囲であることを特徴とするテープ貼付方法。
  10. 請求項1〜8のいずれかの項に記載のテープ貼付装置を用い、前記被貼付面に前記テープを貼り付けるテープ貼付方法であって、
    前記テープが、少なくとも一部に予め樹脂が含浸された繊維束からなり、前記樹脂が熱可塑性樹脂で構成されたものであることを特徴とするテープ貼付方法。
  11. 請求項1〜8のいずれかの項に記載のテープ貼付装置を用い、前記被貼付面に前記テープを貼り付けるテープ貼付方法であって、
    前記テープが、少なくとも一部に予め樹脂が含浸された繊維束からなり、該繊維束は、溶融させた熱可塑性樹脂が充満した含浸ダイに連続繊維を投入し、スリットダイから引き抜くことにより成形されたものであることを特徴とするテープ貼付方法。
  12. 前記押圧手段の少なくともその表面温度を、前記樹脂の軟化点未満に抑えながら前記テープを前記被貼付面に貼り付けることを特徴とする請求項10又は請求項11記載のテープ貼付方法。
  13. 前記被貼付面が熱可塑性樹脂を含むものであることを特徴とする請求項9〜12のいずれかの項に記載のテープ貼付方法。
  14. 前記テープの特性に合わせて前記テープの前記被貼付面への貼付け角度を調整することを特徴とする請求項9〜13のいずれかの項に記載のテープ貼付方法。
  15. 請求項9〜14のいずれかの項に記載のテープ貼付方法を使用し、前記被貼付面に前記テープが貼付されて成形された成形品を製造することを特徴とする複合成形品の製造方法。

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