JP2021013971A - 流体取扱装置およびその製造方法 - Google Patents

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建人 横城
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Abstract

【課題】簡便な方法で、かつ流路を塞ぐこと無く流体取扱装置を製造する方法、およびこれにより得られた流体取扱装置を提供すること。【解決手段】流体取扱装置の製造方法は、凹部114、および前記凹部114に沿って設けられた圧着面113を有する基板110を準備する準備工程と、前記基板110の前記凹部114を覆い、かつ前記圧着面113と接するようにフィルム120を重ねるフィルム配置工程と、前記基板110および前記フィルム120を熱圧着する熱圧着工程と、を有する。前記熱圧着工程において、前記凹部114上の前記フィルム120にかかる圧力が、前記圧着面上の前記フィルムにかかる圧力より小さいことを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、流体取扱装置およびその製造方法に関する。
近年、タンパク質や核酸などの微量な物質の分析を高精度かつ高速に行うために、微細な流路を有する流体取扱装置が使用されている。流体取扱装置は、分析に必要な試薬および試料の量が少なくてもよいという利点を有しており、臨床検査や食物検査、環境検査などの様々な用途での使用が期待されている。
当該流体取扱装置の製造方法として、流路に対応する溝を有する基板と、フィルムとを準備し、これらを熱圧着等により貼り合わせることが一般的である。また、貼り合わせの際、フィルム上に弾性体層および金属層を配置し、フィルムおよび基板の対向面全体に、均一に熱および圧力をかけることが提案されている(特許文献1および特許文献2)。
特開2016−209823号公報 特開2019−42829号公報
しかしながら、上述のように、フィルムおよび基板の対向面全体に均一に圧力をかけると、溝上でフィルムが撓みやすい。その結果、フィルムが流路を塞いだり、流路が狭くなったりする、という課題があった。
本発明は、簡便な方法で、かつ流路を塞ぐこと無く流体取扱装置を製造する方法、およびこれにより得られた流体取扱装置の提供を目的とする。
本発明は、以下の流体取扱装置の製造方法を提供する。
凹部、および前記凹部に沿って設けられた圧着面を有する基板を準備する準備工程と、前記基板の前記凹部を覆い、かつ前記圧着面と接するようにフィルムを配置するフィルム配置工程と、前記基板および前記フィルムを熱圧着する熱圧着工程と、を有し、前記熱圧着工程において、前記凹部上の前記フィルムにかかる圧力が、前記圧着面上の前記フィルムにかかる圧力より小さい、流体取扱装置の製造方法。
本発明は、以下の流体取扱装置も提供する。
凹部および前記凹部に沿って設けられた圧着面を有する基板と、前記凹部を覆うように、前記圧着面に熱圧着されたフィルムと、を有する流体取扱装置であり、前記凹部上の前記フィルムの表面粗さが、前記圧着面上の前記フィルムの表面粗さより小さい、
流体取扱装置。
本発明の流体取扱装置の製造方法によれば、簡便な方法で流体取扱装置を製造することができる。また、当該方法によれば、流路に閉塞等がない、高品質な流体取扱装置が得られる。
図1Aは、本発明の流体取扱装置の製造方法で作製する流体取扱装置の一例の平面図であり、図1Bは、当該流体取扱装置の底面図である。 図2Aは、図1AのA−A線での断面図であり、図2Bは、当該流体取扱装置からフィルムを取り外したときの平面図である。 図3A〜図3Cは、本発明の第1の実施の形態の流体取扱装置の製造方法を説明するための部分拡大断面図である。 図4A〜図4Cは、本発明の第2の実施の形態の流体取扱装置の製造方法を説明するための部分拡大断面図である。 図5A〜図5Cは、本発明の第3の実施の形態の流体取扱装置の製造方法を説明するための部分拡大断面図である。 図6A〜図6Cは、本発明の第4の実施の形態の流体取扱装置の製造方法を説明するための部分拡大断面図である。 図7A〜図7Cは、本発明の第5の実施の形態の流体取扱装置の製造方法を説明するための部分拡大断面図である。
本発明の製造方法で製造する流体取扱装置は、流体を流動させるための流路や、流体を収容したりするための収容部等を有する。当該流体取扱装置は、流路や収容部の一部を担う凹部、および凹部に沿って配置された圧着面を有する基板と、当該基板の凹部および圧着面を覆い、かつ圧着面に熱圧着されたフィルムと、を有していれば、その構造は特に制限されない。
本発明でいう、流体とは、流動性を有する気体や液体等であり、単一の成分を含んでいてもよく、複数の成分を含んでいてもよい、また流体は、溶媒中に固体状の成分が分散されたもの等であってもよい。さらに、溶媒中に、当該溶媒と相溶しないドロップレット(液滴)等が分散されたものであってもよい。
ここで、本発明の流体取扱装置の製造方法で製造する流体取扱装置100の構造の一例を、図1A、図1B、図2A、および図2Bに示す。図1Aは、流体取扱装置100の平面図であり、図1Bは、当該流体取扱装置100の底面図である。図2Aは、図1AにおけるA−A線での断面図であり、図2Bは、流体取扱装置100からフィルム120を取り外した時の基板110の平面図である。ただし、これらの図は、本発明の方法で製造する流体取扱装置の構造の一例を模式的に示したものであり、後述の方法で製造する流体取扱装置は、当該構造に限定されない。
流体取扱装置100は、基板110と、フィルム120とを有する。当該基板110は、図2Aおよび図2Bに示すように、基板110の一方の面に設けられた、略円柱状の第1凹部114aと、略円柱状の第2凹部114bと、第1凹部114aおよび第2凹部114bを連結し、かつこれらにそれぞれ開口を有する溝114cと、を有する(以下、これらをまとめて「凹部114」とも称する)。また、当該基板110では、各凹部114に沿って配置された(当該流体取扱装置100では、各凹部114を囲むように配置された)基板110の天面が、フィルム120を熱圧着するための圧着面113となる。当該圧着面113は、平滑であってもよく、一部に凹凸を有していてもよい。
当該流体取扱装置100では、第1凹部114aとフィルム120とに囲まれた領域、および第2凹部114bとフィルム120とに囲まれた領域が、流体を収容するための収容部となる。また、溝114cとフィルム120とに囲まれた領域が、第1凹部114a側から第2凹部114b側に、もしくはその反対方向に流体を流動させるための流路となる。
ここで、基板110の第1凹部114aや第2凹部11bの形状は円柱状に制限されず、収容する流体の量や種類に応じて適宜選択される。また、基板110が有する収容部の数は、2つに制限されず、1つのみであってもよく、3つ以上であってもよい。さらに、溝114cの幅や深さは、流体を十分に流動させることが可能であればよく、流体の種類や流体取扱装置100の用途に合わせて適宜選択される。なお、従来の方法で流体取扱装置100を製造する場合、溝114cの幅に対して溝114cの深さが浅いと、フィルム120の熱圧着時に、フィルム120が溝114cの底面と圧着されてしまい、流路を塞いだりしやすい。これに対し、後述の製造方法で製造すると、深さの浅い溝114cであっても、フィルム120が溝114c上で撓み難く、得られる流路に閉塞等が生じ難い。ここで、図2Aおよび図2Bに示す基板100では溝114cが直線状であるが、溝114cは曲線状であってもよい。さらに、溝114cの数も1本に制限されず、2本以上であってもよい。また、図2Aおよび図2Bに示す基板100では、溝114cが、第1凹部114aと第2凹部114bとに開口しているが、溝114cは、基板110の一方の側面もしくは両側面に開口を有していてもよい。
なお、当該基板110の第1凹部114aの底面には、第1凹部114aと外部とを連通する第1貫通孔115aが配置されている。さらに、第2凹部114bの底面には、第2凹部114bと外部とを連通する第2貫通孔115bが配置されている。当該第1貫通孔115aおよび第2貫通孔115bは、流体を導入したり、取り出したりするための孔である。なお、第1貫通孔115aや第2貫通孔115bの径や、その形成位置は、流体の種類や流体取扱装置100の用途に合わせて適宜選択される。
当該基板110を構成する材料の例には、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリエチレン、ポリプロピレン、およびシクロオレフィン樹脂等のポリオレフィン;ポリエーテル;ポリスチレン;シリコーン樹脂;ならびに各種エラストマー等の樹脂材料等が含まれる。また、上記基板110は、例えば射出成形等により成形することができる。
ここで、基板110は、光透過性を有していてもよく、光透過性を有さなくてもよい。例えば、流体を流体取扱装置100の底面側(すなわち、フィルム120とは反対側)から観察する場合には、基板110が光透過性を有するように、材料を選択することが好ましい。
一方、フィルム120は、基板110の凹部114および圧着面113を覆い、かつ基板110の圧着面113に熱圧着可能なフィルムであればよい。図1A等に示す流体取扱装置100では、基板110の一方の面を全てフィルム120が覆っているが、フィルム120は基板110の一部の領域のみを覆っていてもよい。
図1A等において、フィルム120は、基板110を覆う平坦な膜であるが、フィルム120は、本発明の目的および効果を損なわない範囲において、凹凸を有するフィルムであってもよい。
フィルム120は、流体取扱装置100内に導入する流体によって浸食されない材料からなる膜であればよく、その厚み等は適宜選択される。フィルムを構成する材料の例には、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリエチレン、ポリプロピレン、およびシクロオレフィン樹脂等のポリオレフィン;ポリエーテル;ポリスチレン;シリコーン樹脂;ならびに各種エラストマー等の樹脂材料等が含まれる。
また、フィルム120は、光透過性を有していてもよく、有さなくてもよい。例えば、流体をフィルム120側から観察する場合には、フィルム120が光透過性を有するように、材料を選択することが好ましい。ただし、流体を流体取扱装置100の底面側から観察する場合や、流体の観察を行わない場合等には、フィルム120が光透過性を有していなくてもよい。
また、フィルムの厚みは特に制限されず、流体取扱装置100の用途に応じて適宜選択されるが、例えば0.01mm以上1mm以下とすることができる。一般に、1mm以下のフィルム120では、基板110と熱圧着する際に、撓み等が生じやすいことから、本発明の効果が十分に得られやすい。一方、0.01mm以上とすることで、フィルム120の強度が十分になりやすい。
ここで、本発明の流体取扱装置100の製造方法では、後で詳しく説明するが、基板110とフィルム120とを熱圧着する際、圧着面113上のフィルム120にかかる圧力より、凹部114上のフィルム120にかかる圧力のほうが小さくなるように、調整する。そのため、得られる流体取扱装置100において、(基板110の)凹部114上のフィルム120の表面粗さが、(基板110の)圧着面113上のフィルム120の表面粗さより小さくなる。本明細書において、フィルム120の表面粗さとは、フィルム120の、基板110との対向面とは反対側の面の表面粗さをいう。
凹部114上のフィルム120の表面粗さが小さいと、例えばフィルム120側から流体を観察する際、光の乱反射が生じ難く、正確に観察や測定を行うことができる。一方、圧着面113上では、フィルム120の表面粗さが粗いほうが、流体取扱装置100を作製する際に使用する金属層や弾性体層等が貼り付きにくく、好ましい。
ここで、基板110の凹部114上におけるフィルム120の表面粗さは、Ra0.01〜Ra0.05μmであることが好ましい。一方、基板110の圧着面113上におけるフィルム120の表面粗さは、Ra0.05〜Ra0.1μmであることが好ましい。また、これらの差は、Ra0.05〜Ra0.09μm程度であることが好ましい。上記表面粗さは、非接触3次元測定装置により測定される値である。
以下、本発明の流体取扱装置の製造方法について、上述の流体取扱装置100を製造する場合を例に、説明する。以下では、5つの実施の形態を例に説明するが、本発明の製造方法は、これらの形態に制限されない。
(1)第1の実施の形態
第1の実施の形態の流体取扱装置の製造方法を、図3A〜図3Cを用いて説明する。図3A〜図3Cは、図1AのB−B線で基板110やフィルム120を切断したときの部分拡大断面図である。
本実施の形態の流体取扱装置の製造方法では、図3Aに示すように、上述の基板110を準備する(準備工程)。すなわち凹部114と、凹部114に沿って設けられた圧着面113と、を有する基板110を準備する。
そして、図3Bに示すように、基板110の凹部114を覆うように、かつ基板110の圧着面113と接するように、上述のフィルム120を配置する(フィルム配置工程)。
その後、基板110とフィルム120とを熱圧着する(熱圧着工程)。本実施の形態では、図3Cに示すように、上述のフィルム120上に、金属層130および弾性体層140を含む積層体150を、金属層130とフィルム120とが接するように配置する。つまり、フィルム120側から金属層130、弾性体層140の順に配置されるように、積層体150を配置する。そして熱プレス機の一対のプレート901によって基板110、フィルム120、および積層体150を挟み込み、加熱しながら、基板110および積層体150を互いに(図3Cにおいて矢印で示す方向に)押しつける。このとき、基板110側のプレート901を固定し、積層体150側のプレート901を押し下げてもよい。一方、積層体150側のプレート901を固定し、基板110側のプレート901を押し上げてもよい。さらに、両側のプレート901の距離が近づくように、両側のプレート901を移動させてもよい。これにより、基板110の圧着面113およびこれに対向するフィルム120が軟化もしくは溶融した状態で密着し、基板110の圧着面113とフィルム120とが接合される。
一方で、上記弾性体層140は、凹部114の形状に対応する貫通孔141を有する。そして、上記熱圧着工程では、弾性体層140の貫通孔141が凹部114上に位置するように積層体150を配置する。そのため、熱圧着時に、凹部114上のフィルム120にかかる圧力が、圧着面113上のフィルム120にかかる圧力より小さくなり、凹部114上でフィルム120が撓み難くなる。なお、本明細書において、凹部114上のフィルム120にかかる力とは、基板110側からフィルム120の表面にかかる力および積層体150(金属層130)側からフィルム120表面にかかる力の総和をいう。同様に、圧着面113上のフィルム120にかかる力とは、基板110側からフィルム120の表面にかかる力および積層体150(金属層130)側からフィルム120表面にかかる力の総和をいう。
ここで、積層体150の金属層130は、フィルム120や基板110に均一に熱を伝えるための層であり、金属を含む層である。金属層130の平面視形状は、例えばフィルム120の平面視形状と略同じとすることができる。ただし、金属層130を平面視したときの外形を、フィルム120を平面視したときの外形より小さくしてもよい。金属層130のほうが小さい場合、熱圧着工程後に、金属層130にフィルム120の痕が残り難く、金属層130(積層体150)を繰返し使用することが可能となる。
また、図3Aでは、金属層130が、フィルム120全体を覆うように配置しているが、金属層130は、基板110とフィルム120とを熱圧着する領域のみ、すなわち基板110の圧着面113上にのみ配置してもよい。
金属層130の厚みは特に制限されないが、例えば0.05mm以上0.2mm以下であることが好ましい。金属層130の厚みが当該範囲であると、熱圧着工程において、金属層130に荷重がかかっても破れたりし難い。
また、金属層130を構成する材料の例には、ステンレス鋼、鉄、アルミニウム、クロム、銅、ニッケル、錫、チタン、またはこれらの合金等が含まれる。ただし、金属層130の材料は、これらに限定されない。
一方、弾性体層140は、熱プレス機のプレート901から伝わる力を、基板110とフィルム120との熱圧着面(基板110の圧着面113およびこれに接するフィルム120)に均一に伝えるための層であり、弾性体から構成される層である。
弾性体層140の貫通孔141以外の領域の平面視形状は、基板110の圧着面113の平面視形状と略同一の形状とすることができる。一方、弾性体層140が有する貫通孔141の平面視形状は、基板110の凹部114の平面視形状と略同一の形状であればよく、貫通孔141の平面視形状が、凹部114の平面視形状より小さくてもよい。貫通孔141が凹部114より小さいと、積層体150とフィルム120等とを重ねる際に多少のずれが生じても、圧着面113の凹部114側の端部上全てに、弾性体層140(貫通孔141以外の領域)を配置することができる。したがって、基板110の圧着面113とフィルム120とを確実に熱圧着することができる。ただし、貫通孔141の平面視形状が、凹部114の平面視形状より大幅に小さいと、凹部114上のフィルム120にも圧力がかかりやすい。その結果、凹部114上のフィルム120が撓んでしまい、得られる流路が狭くなったり閉塞したりする。したがって、弾性体層140が有する貫通孔141の幅は、対応する基板110の凹部114の幅に対して20%以上100%以下であることが好ましい。
弾性体層140の硬さは特に制限されず、例えばショア硬さがD40以上D80以下の材料を用いることができる。ショア硬さがD40以上D80以下の弾性体層140を用いると、熱プレス機の一対のプレート901間にかかる力が、基板110およびフィルム120に伝わりやすく、これらを強固に圧着できる。上記ショア硬さは、JIS K 7215に準拠して、タイプDデュロメーターを用いて測定される値である。
また、弾性体層140の厚みは特に制限されないが、熱プレス機からの押圧力を均一にフィルム120や基板110側に伝えるとの観点で、0.1mm以上1.5mm以下とすることが好ましい。
弾性体層140を構成する材料は、上記ショア硬さを有する弾性体であればよく、その例にはポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等のフッ素樹脂や、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンゴム、ブチルゴム等が含まれる。
なお、上記金属層130および弾性体層140を含む積層体150は、金属層130および弾性体層140をそれぞれ作製し、これらを接着剤等によって貼り合わせて作製することができる。一方で、金属層130および弾性体層140は必ずしも接着されていなくてもよい。この場合、フィルム120上に金属層130および弾性体層140をまとめて配置してもよく、金属層130および弾性体層140を順に配置してもよい。
また、熱圧着工程における熱圧着温度、すなわち熱プレス機の一対のプレート901の温度は、通常80〜150℃程度が好ましい。プレート901の温度が当該範囲であると、基板110やフィルム120を軟化させたり、一部溶融させたりすることができ、確実に熱圧着することができる。またこのとき、プレート901の温度が上記範囲であれば、熱によって、基板110の凹部114上に位置するフィルム120が過度に撓み難く、得られる流路が塞がり難い。
熱圧着工程において、基板110およびフィルム120を熱圧着する際にかける圧力は、1500〜9000Nが好ましく、圧着時間は5〜60秒が好ましい。当該範囲であると、十分に基板110の圧着面113およびフィルム120を熱圧着することができる。
(効果)
本実施の形態の流体取扱装置の製造方法では、弾性体および金属層を基板の圧着面およびフィルム上に配置して熱圧着工程を行う。したがって、これらの界面に熱や圧力を十分に伝えることができ、確実に熱圧着できる。一方で、基板の凹部上には、弾性体層を配置しない。したがって、熱プレス機によりプレスした際、凹部上のフィルムには力が伝わり難く、フィルムが凹部上で撓んだりし難い。したがって、得られる流体取扱装置の流路が閉塞し難い。
(2)第2の実施の形態
第2の実施の形態の流体取扱装置の製造方法を、図4A〜図4Cを用いて説明する。図4A〜図4Cは、図1AのB−B線で基板110やフィルム120を切断したときの部分拡大断面図である。本実施の形態の流体取扱装置の製造方法でも、図4Aに示すように、上述の基板110を準備する(準備工程)。さらに図4Bに示すように、基板110の凹部114を覆うように、かつ基板110の圧着面113と接するように、上述のフィルム120を重ねる(フィルム配置工程)。
その後、基板110とフィルム120とを熱圧着する(熱圧着工程)。本実施の形態では、図4Cに示すように、上述のフィルム120上に、金属層130および弾性体層240を含む積層体250を、フィルム120と金属層130とが接するように配置する。つまり、フィルム120側から金属層130、弾性体層140の順になるように積層体250を配置する。そして熱プレス機の一対のプレート901によって基板110、フィルム120、および積層体250を挟み込み、加熱しながら、基板110および積層体250を互いに(図4Cにおいて矢印で示す方向に)押しつける。このとき、プレート901のいずれか一方のみを移動させてもよく、両方を移動させてもよい。これにより、基板110の圧着面113およびこれに対向するフィルム120が軟化もしくは溶融した状態で密着し、基板110の圧着面113とフィルム120とが接合される。
一方で、積層体250の弾性体層240は、一部に空隙241を有する。そして、本実施の形態の熱圧着工程では、当該空隙241を凹部114上に配置する。そのため、熱圧着時に、凹部114上のフィルム120にかかる圧力が、圧着面113上のフィルム120にかかる圧力より小さくなり、凹部114上でフィルム120が撓み難くなる。
なお、本実施の形態の熱圧着工程は、積層体250の弾性体層240のみが、第1の実施の形態と異なる。そこで、第1の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付して詳しい説明を省略する。また、熱圧着工程における圧着条件(温度、圧力、圧着時間)も第1の実施の形態と同様であるため、ここでの詳しい説明を省略する。以下、積層体250の弾性体層240について詳しく説明する。
弾性体層240は、熱プレス機のプレート901から伝わる力を、基板110とフィルム120との熱圧着面(基板110の圧着面113およびこれに接するフィルム120)に均一に伝えるための層であり、弾性体で構成される層である。
ここで、弾性体層240は、基板110の凹部114と同様の平面視形状を有する空隙241を有する。本明細書において、弾性体層240が空隙241を有するとは、弾性体層240が、他の領域(以下、「厚膜領域」とも称する)より厚みの薄い領域(以下、「薄膜領域」とも称する)を有し、金属層130と弾性体層240との間、もしくは弾性体層240と熱プレス機のプレート901との間等に空隙が生じていること等をいう。また、弾性体層240の一部がくり抜かれており、弾性体層240の内部に空隙241が生じていてもよい。
空隙241の平面視形状は、凹部114の平面視形状と同一であってもよく、空隙241は凹部114より小さくてもよい。空隙241の平面視形状が凹部114の平面視形状より小さいと、積層体250とフィルム120等とを重ねる際に多少のずれが生じても、圧着面113の凹部114側の端部上全てに、弾性体層140の厚膜領域を配置することができる。したがって、基板110とフィルム120とを確実に熱圧着することができる。ただし、空隙241の幅が過度に小さいと、凹部114上のフィルム120に圧力がかかる。その結果、フィルム120が撓んでしまい、流路が狭くなったり閉塞したりする。したがって、弾性体層240の空隙241の幅は、対応する基板110の凹部114の幅に対して20%以上100%以下であることが好ましい。
なお、図4Cでは、空隙241の厚みが一定であり、空隙241の断面形状が四角形状となっている。ただし、空隙241の厚みは一定でなくてもよく、例えば断面形状が半円状や三角形状、多角形状等であってもよい。また、空隙241の厚みは、熱圧着時に応力を十分に吸収可能な厚さであればよく、弾性体層240の硬さや厚みに応じて適宜選択される。
一方、当該弾性体層240の空隙241以外の領域(厚膜領域)は、厚みが一定の平板状であることが好ましく、その平面視形状は、基板110の圧着面113の平面視形状と略同一であることが好ましい。
ここで、弾性体層240の硬さや、材料、厚さ等は、第1の実施の形態の弾性体層140の硬さや材料と同様とすることができる。
なお、上記金属層130および弾性体層240を含む積層体250は、金属層130および弾性体層240をそれぞれ別に作製し、これらを接着剤等によって貼り合わせて作製してもよい。一方で、金属層130および弾性体層240は必ずしも接着されていなくてもよい。この場合、フィルム120上に、金属層130および弾性体層240をまとめて配置してもよく、金属層130および弾性体層240を順に配置してもよい。
(効果)
本実施の形態の流体取扱装置の製造方法では、弾性体および金属層を基板の圧着面およびフィルム上に配置して熱圧着工程を行う。したがって、これらの界面に熱や圧力を十分に伝えることができ、確実に熱圧着できる。一方で、基板の凹部上には、弾性体層の空隙を配置する。したがって、熱プレス機等によりプレスした際、当該空隙が力を吸収して、凹部上のフィルムには力が伝わり難い。つまり、凹部上でフィルムが撓んだりし難く、得られる流体取扱装置の流路が閉塞し難い。
(3)第3の実施の形態
第3の実施の形態の流体取扱装置の製造方法を、図5A〜図5Cを用いて説明する。図5A〜図5Cは、図1AのB−B線で基板110やフィルム120を切断したときの部分拡大断面図である。本実施の形態の流体取扱装置の製造方法でも、図5Aに示すように、上述の基板110を準備する(準備工程)。さらに図5Bに示すように、基板110の凹部114を覆うように、かつ基板110の圧着面113と接するように、上述のフィルム120を重ねる(フィルム配置工程)。
その後、基板110とフィルム120とを熱圧着する(熱圧着工程)。本実施の形態では、図5Cに示すように、上述のフィルム120上に、金属層130および弾性体層340を含む積層体350を、金属層130とフィルム120とが対向するように配置する。つまり、フィルム120側から金属層130、弾性体層340の順に配置されるように積層体350を配置する。そして、熱プレス機の温度調節可能な一対のプレート901によって基板110、フィルム120、および積層体350を挟み込み、加熱しながら、基板110および積層体350を互いに(図5Cにおいて矢印で示す方向に)押しつける。このとき、プレート901のいずれか一方のみを移動させてもよく、両方を移動させてもよい。これにより、基板110の圧着面113およびこれに対向するフィルム120が軟化もしくは溶融した状態で密着し、基板110の圧着面113とフィルム120とが接合される。
一方で、上記弾性体層340は、基板110の凹部114上に配置される低弾性領域341と、当該低弾性領域341より高い弾性率を有する高弾体領域342と、を有する。このような弾性体340に力をかけた場合、低弾性領域341では力が伝わり難い。つまり、このような弾性体層340をフィルム120上に配置して熱圧着工程を行うと、凹部114上のフィルム120にかかる圧力が、圧着面113上のフィルム120にかかる圧力より小さくなり、凹部114上でフィルム120が撓み難い。
なお、本実施の形態の熱圧着工程は、積層体350の弾性体層340のみが、第1の実施の形態と異なる。そこで、第1の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付して詳しい説明を省略する。また、熱圧着工程における圧着条件(温度、圧力、圧着時間)も第1の実施の形態と同様であるため、ここでの詳しい説明を省略する。以下、積層体350の弾性体層340について詳しく説明する。
積層体350の弾性体層340は、熱プレス機のプレート901から伝わる力を、基板110とフィルム120との熱圧着面(基板110の圧着面113およびこれに接するフィルム120)に均一に伝えるための層であり、弾性体で構成される層である。
上述のように、当該弾性体層340は、低弾性領域341と、高弾性領域342と、を有する。低弾性領域341の平面視形状は、凹部114の平面視形状と略相似形状とすることができ、これらは略同一であってもよい。一方で、低弾性領域341の平面視形状は、凹部114の平面視形状より小さくてもよい。低弾性領域341の平面視形状が凹部114の平面視形状より小さいと、積層体350とフィルム120等とを重ねる際に多少のずれが生じても、圧着面113の凹部114側の端部上全てに、高弾性領域342を配置することができる。したがって、基板110の圧着面113とフィルム120とを確実に熱圧着することができる。ただし、低弾性領域341の幅が過度に小さいと、凹部114上のフィルム120にも圧力がかかる。その結果、フィルム120が撓んでしまい、得られる流路が狭くなったり閉塞したりする。そこで、低弾性領域341の幅は、対応する基板110の凹部114の幅に対して20%以上100%以下であることが好ましい。
一方、高弾性領域342の平面視形状(外形)は、基板110の圧着面113と略同一の形状とすることができる。
ここで、低弾性領域341の平均硬さは、ショア硬さD40以上D60以下が好ましい。一方で、高弾性領域342の平均硬さは、ショア硬さD60以上D80以下が好ましい。さらに、低弾性領域341の平均硬さおよび高弾性領域342の平均硬さは、ショア硬さD10以上異なることが好ましい。低弾性領域341および高弾性領域342の硬さの差が当該範囲であると、熱プレス機によって挟み込んだ際に、凹部114上のフィルム120にかかる圧力と、圧着面113上のフィルム120にかかる圧力と差を十分に大きくすることができる。上記ショア硬さは、JIS K 7215に準拠して、タイプDデュロメーターを用いて測定される値である。
上記の低弾性領域341および高弾性領域342を構成する材料は特に制限されず、それぞれ、第1の実施の形態の弾性体層140と同様の材料から選択することができる。また、弾性体層340(低弾性領域341および高弾性領域342)の厚みも、第1の実施の形態の弾性体層140と同様とすることができる。
上記弾性体層340は、低弾性領域341と、高弾性領域342を異なる材料で作製し、高弾性領域342内に低弾性領域341を嵌め込んで作製してもよい。また、別々に作製した部材を、接着剤等で貼り合わせて作製してもよい。また、図3Cでは、低弾性領域341および高弾性領域342が、互いに異なる弾性率を有する材料によって構成されているが、当該構造に限定されない。例えば比較的高い弾性を有する材料によって、第2の実施の形態の弾性体層240と同様の構造体(凹部上に空隙を有する構造体)を作製し、その空隙内に弾性率の低い材料を充填して、低弾性領域341を作製してもよい。
(効果)
本実施の形態の流体取扱装置の製造方法では、弾性体および金属層を基板の圧着面およびフィルム上に配置して熱圧着工程を行う。したがって、これらの界面に熱や圧力を十分に伝えることができ、確実に熱圧着できる。一方で、基板の凹部上には、弾性体層の低弾性領域を配置する。そのため、基板の凹部状では、熱プレス機からの力がフィルムに伝わり難い。したがって、凹部上でフィルムが撓んだりし難く、得られる流体取扱装置の流路が閉塞し難い。
(4)第4の実施の形態
第4の実施の形態の流体取扱装置の製造方法を、図6A〜図6Cを用いて説明する。図6A〜図6Cは、図1AのB−B線で基板110やフィルム120を切断したときの部分拡大断面図である。本実施の形態の流体取扱装置の製造方法でも、図6Aに示すように、上述の基板110を準備する(準備工程)。さらに図6Bに示すように、基板110の凹部114を覆うように、かつ基板110の圧着面113と接するように、上述のフィルム120を重ねる(フィルム配置工程)。
その後、基板110とフィルム120とを熱圧着する(熱圧着工程)。本実施の形態では、図6Cに示すように、上述のフィルム120上に、金属層430および弾性体層440を含む積層体450を、金属層430とフィルム120とが対向するように配置する。つまり、フィルム120側から金属層430、弾性体層440の順に配置されるように、積層体450を配置する。そして、熱プレス機の一対のプレート901によって基板110、フィルム120、および積層体450を挟み込み、加熱しながら、基板110および積層体450を互いに(図5Cにおいて矢印で示す方向に)押しつける。このとき、プレート901のいずれか一方のみを移動させてもよく、両方を移動させてもよい。これにより、基板110の圧着面113およびこれに対向するフィルム120が軟化もしくは溶融した状態で密着し、基板110の圧着面113とフィルム120とが接合される。
一方で、上記金属層430は、基板110の凹部領域114上に、弾性体層440側に凹む凹み領域431を有する。したがって、凹部114上では、フィルム120に圧力がかかり難く、凹部114上のフィルム120にかかる圧力が、圧着面113上のフィルム120にかかる圧力より小さくなる。その結果、凹部114上でフィルム120が撓み難くなる。
本実施の形態の熱圧着工程は、積層体450のみが、第1の実施の形態と異なる。そこで、第1の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付して詳しい説明を省略する。また、熱圧着工程における圧着条件(温度、圧力、圧着時間)も第1の実施の形態と同様であるため、ここでの詳しい説明を省略する。以下、積層体450について説明する。
積層体450は金属層430および弾性体層440を有する。金属層430は、上述のように、弾性体層440側に凹んだ凹み領域431と、その周囲に配置された平板状の領域(以下、「平板領域」とも称する)を有する。平板領域の平面視形状は、基板110の圧着面113の形状と略同一の形状とすることができる。一方、凹み領域431の平面視形状は、基板110の凹部114の平面視形状と略同一であればよく、凹み領域431の平面視形状が、凹部114の平面視形状より小さくてもよい。凹み領域431の平面視形状が凹部114の平面視形状より小さいと、積層体450とフィルム120等とを重ねる際に多少のずれが生じても、圧着面113の凹部114側の端部上全てに、平板領域を配置することができる。したがって、基板110の圧着面113とフィルム120とを確実に熱圧着することができる。ただし、凹み領域431の幅が過度に小さいと、凹部114上のフィルム120にも圧力がかかる。その結果、フィルム120が撓んでしまい、流路が狭くなったり閉塞したりする。したがって、凹み領域431の幅は、対応する基板110の凹部114の幅に対して20%以上100%以下であることが好ましい。
ここで、凹み領域431の凹みの深さは、積層体450を基板110側に押しつけた際に、当該領域において金属層430とフィルム120とが接触し難い深さであればよく、弾性体層440の硬さ等に応じて適宜選択される。また、図6Cでは、凹み領域431の凹みの深さを一定としているが、当該深さは一定でなくてもよい。例えば、凹み領域431の凹みの断面形状が半円状や三角形状、多角形状等であってもよい。
さらに、平板領域における金属層430の厚みおよび凹み領域431における金属層430の厚みは、一定であってもよく、異なっていてもよい。
一方、弾性体層440は、弾性体からなる略平板状の層であり、その平面視形状は、フィルム120の平面視形状と略同じとすることができる。なお、図6Cでは、弾性体層440は、金属層430の凹み領域431に対応する凹みを有しているが、弾性体層440は、必ずしも金属層430と同様の凹みを有する必要はなく、例えば金属層430のみが凹みを有し、弾性体層440は平板状であってもよい。
上記金属層430および弾性体層440を含む積層体450は、金属層430および弾性体層440をそれぞれ作製し、これらを接着剤等によって貼り合わせて作製することができる。一方で、金属層430および弾性体層440は必ずしも接着されていなくてもよい。この場合、フィルム120上に金属層430および弾性体層440をまとめて配置してもよく、金属層430および弾性体層440を順に配置してもよい。
(効果)
本実施の形態の流体取扱装置の製造方法では、弾性体および金属層を基板の圧着面およびフィルム上に配置して熱圧着工程を行う。したがって、圧力および熱を基板の圧着面およびフィルムの界面に十分に伝えることができ、確実に熱圧着できる。一方で、基板の凹部上には、金属層の凹み領域を配置する。そのため、熱プレス機によりプレスした際、基板の凹部上では、フィルムと金属層とが接触し難く、フィルムに力が伝わり難い。したがって、フィルムが凹部上で撓んだりし難く、得られる流体取扱装置の流路が閉塞し難い。
(5)第5の実施の形態
第5の実施の形態の流体取扱装置の製造方法を、図7A〜図7Cを用いて説明する。図7A〜図7Cは、図1AのB−B線で基板110やフィルム120を切断したときの部分拡大断面図である。本実施の形態の流体取扱装置の製造方法でも、図7Aに示すように、上述の基板110を準備する(準備工程)。そしてさらに図7Bに示すように、基板110の凹部114を覆うように、かつ基板110の圧着面113と接するように、上述のフィルム120を重ねる(フィルム配置工程)。
その後、基板110とフィルム120とを熱圧着する(熱圧着工程)。本実施の形態にでは、図7Cに示すように、上述のフィルム120上に、金属層130、弾性体層540、および剛体545を含む積層体550を、金属層130とフィルム120とが対向するように配置する。つまり、フィルム120側から、金属層130、弾性体層540、剛体545がこの順に配置されるように積層体550を配置する。そして、熱プレス機の一対のプレート901によって基板110、フィルム120、および積層体550を挟み込み、加熱しながら、基板110および積層体550を互いに(図7Cにおいて矢印で示す方向に)押しつける。このとき、プレート901のいずれか一方のみを移動させてもよく、両方を移動させてもよい。これにより、基板110の圧着面113およびこれに対向するフィルム120が軟化もしくは溶融した状態で密着し、基板110の圧着面113とフィルム120とが接合される。
一方で、当該積層体550では、凹部114上に配置する弾性体層540の厚みが、圧着面113上に配置する弾性体層540の厚みより厚い。そのため、一対のプレート901によって挟み込んだ際、凹部114上では、他の領域よりフィルム120に力が伝わり難い。したがって、凹部114上でフィルム120が撓み難い。
なお、本実施の形態の熱圧着工程は、積層体550の弾性体層540および剛体545のみが、第1の実施の形態と異なる。そこで、第1の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付して詳しい説明を省略する。また、熱圧着工程における圧着条件(温度、圧力、圧着時間)も第1の実施の形態と同様であるため、ここでの詳しい説明を省略する。以下、積層体550の弾性体層540および剛体545について詳しく説明する。
積層体550の弾性体層540は、熱プレス機のプレート901から伝わる力を、基板110とフィルム120との熱圧着面(基板110の圧着面113およびこれに接するフィルム120)に均一に伝えるための層であり、弾性体で構成される層である。
弾性体層540の平面視形状(外形)は、例えばフィルム120の平面視形状と略同一とすることができる。当該弾性体層540は、凹部114上に配置される厚膜領域541と、厚膜領域541を囲み、かつ厚膜領域541より厚みの薄い薄膜領域542と、を有する。厚膜領域541の平面視形状は、凹部114の平面視形状と略相似形状とすることができ、これらは略同一であってもよい。一方で、厚膜領域541の平面視形状は、凹部114の平面視形状より小さくてもよい。厚膜領域541の平面視形状が凹部114の平面視形状より小さいと、積層体550とフィルム120等とを重ねる際に多少のずれが生じても、圧着面113の凹部114側の端部上全てに、薄膜領域542を配置することができる。したがって、基板110とフィルム120とを確実に熱圧着することができる。ただし、厚膜領域541の幅が過度に小さいと、凹部114上のフィルム120にも圧力がかかる。その結果、フィルム120が撓んでしまい、流路が狭くなったり閉塞したりする。したがって、弾性体層540の厚膜領域541の幅は、対応する基板110の凹部114の幅に対して20%以上100%以下であることが好ましい。一方で、厚膜領域の厚さは、弾性体層540の硬さ等に応じて適宜選択される。
一方、薄膜領域542は、厚みが一定の平板状の領域であることが好ましく、その平面視形状は、基板110の圧着面113の平面視形状に合わせた形状とすることができる。ここで、薄膜領域542の厚みおよび厚膜領域541の厚みは、弾性体層240の硬さ等に応じて適宜選択され、これらの厚みの差も弾性体層540の種類等に応じて適宜選択される。また、厚膜領域541の厚みは一定であってもよく、連続的または断続的に変化していてもよい。
なお、弾性体層540の硬さや、材料は、第1の実施の形態の弾性体層140の硬さや材料と同様とすることができる。
一方、積層体550の剛体545は、プレート901による加圧によって変形しない材料で構成され、かつ金属層130側に熱を十分に伝導可能な材料からなることが好ましい。例えば金属等からなる構造体とすることができる。図7Cでは、平板状のプレート901によって、剛体545全体に均等に圧力をかけるため、凹部114上の剛体545の厚みを、圧着面113上の剛体545の厚みより薄くしている。ただし、プレート901により、剛体545全体に均等に厚みをかけることが可能であれば、剛体545の厚みは特に制限されず、一定であってもよい。
なお、上記金属層130および弾性体層540、および剛体545を含む積層体550は、金属層130、弾性体層540、および剛体545をそれぞれ作製し、これらを接着剤等によって貼り合わせて作製することができる。一方で、これらは接着されていなくてもよい。この場合、フィルム120上に金属層130、弾性体層540、および剛体545をまとめて配置してもよく、これらを順に配置してもよい。
(効果)
本実施の形態の流体取扱装置の製造方法では、弾性体および金属層を基板の圧着面およびフィルム上に配置して熱圧着工程を行う。したがって、圧力および熱を基板の圧着面およびフィルムの界面に十分に伝えることができ、確実に熱圧着できる。一方で、本実施の形態では、基板の凹部上に弾性体層の厚膜領域を配置する。そのため、熱プレス機等によりプレスすると、厚みの厚い厚膜領域が力を吸収し、凹部上のフィルムには力が加わり難い。したがって、フィルムが凹部上で撓んだりし難く、得られる流体取扱装置の流路が閉塞し難い。
[実施例1]
(流体取扱装置の作製)
図2Bに示す構造と同様の基板110を準備した(準備工程)。具体的には、シクロオレフィン製の基板の幅方向の中央部に、略円柱状の第1凹部114aと第2凹部114bと、これらを繋ぐ溝114cとを有する基板110を準備した。当該溝114cの最大幅は、0.7mm、流路深さは0.06mmとした。
次いで、シクロオレフィン製の厚み0.05〜0.2mmのフィルム120を準備し、図3Bに示すように、基板110とフィルム120とを重ね合わせた。このとき、フィルム120が、基板110の凹部114(第1凹部114a、第2凹部114b、および溝114c)と、その周囲のフィルム圧着面113とを覆うように、フィルム120を配置した(フィルム配置工程)。
一方で、平板状の金属層130と、当該金属層130上に配置された弾性体層140とを有する積層体150を準備した。そして、図3Cに示すように、金属層130とフィルム120とが隣接するように積層体150を配置した。なお、弾性体層140には、基板110の凹部114に対応する貫通孔141を形成した。より具体的には、弾性体層140(貫通孔141以外の領域)が、基板110の凹部114の開口縁より0.05mm内側まで覆うように、貫通孔141を形成した。なお、金属層130は、銅からなる層であり、厚みは0.06mmとした。さらに、弾性体層140は、シリコーンからなる層であり、厚みは1mmであり、ショア硬さはD60であった。
そして、熱プレス機の一対のプレート901の間に、基板110、フィルム120、および積層体150を挟み込み、これらを押しつけた(熱圧着工程)。このとき、プレート901の温度は140℃とし、圧力は3000Nとし、さらに圧着時間は30秒とした。
またこのとき、基板110の圧着面113上でフィルムにかかる圧力より、基板110の凹部114上でフィルムにかかる圧力が小さくなることを、感圧紙を用いて確認した。
その後、熱プレス機および積層体150を取り外し、基板110とフィルム120とを含む流体取扱装置100を得た。当該流体取扱装置100の流路(溝141cとフィルム120とに囲まれた領域)におけるフィルム120の撓み量を、以下の方法で測定した。
(フィルム撓み量の測定)
得られた流体取扱装置100の第1凹部114aと溝114cとの接続部(以下、「点A」とも称する)、溝114cの長さ方向中心部(以下、「点B」とも称する)、および第2凹部114bと溝114cとの接続部(以下、「点C」とも称する)の3点について、熱圧着工程前の流路の深さおよび熱圧着工程後の流路の深さをそれぞれ測定した。そして、熱圧着工程前の流路の深さと熱圧着工程後の流路の深さとの差を算出し、これを各点におけるフィルムの撓み量とした。結果を表1に示す。
[実施例2]
弾性体層140の貫通孔141の平面視形状を、基板110の凹部114の平面視形状と同一にした以外は、実施例1と同様に流体取扱装置100を作製した。また上記熱圧着工程において、基板110の圧着面113上でフィルムにかかる圧力より、基板110の凹部114上でフィルムにかかる圧力が小さくなることを、感圧紙を用いて確認した。さらに、当該流体取扱装置100についても、実施例1と同様の方法で、フィルム120の撓み量を算出した。結果を表1に示す。
[比較例1]
弾性体層140に貫通孔を設けなかった以外は、実施例1と同様に流体取扱装置100を作製した。上記熱圧着工程において、基板110の圧着面113上でフィルムにかかる圧力と、基板110の凹部上でフィルムにかかる圧力とを、感圧紙を用いて確認したところ、これらは略同等であった。当該流体取扱装置100についても、実施例1と同様の方法で、フィルム120の撓み量を測定した。結果を表1に示す。
[結果]
上記実施例1、実施例2、および比較例1で作製した流体取扱装置100のフィルム120の撓み量を以下に示す。
Figure 2021013971
上記表1に示すように、基板の凹部上でフィルムに係る圧力が、基板の圧着面上でフィルムにかかる圧力と同等である場合、フィルムが撓みやすく、流路の深さが、半分以下になった(比較例1)。これに対し、凹部上のフィルムにかかる圧力が、圧着面上のフィルムにかかる圧力より小さい場合、流路の各点におけるフィルムの撓み量が比較例1より格段に少なくなった(実施例1および実施例2)。またこれらの流体取扱装置では、基板の凹部上のフィルムの表面粗さが、基板の圧着面上のフィルムの表面粗さより小さくなった。なお、フィルムの表面粗さは、非接触3次元測定装置で測定した。
これらの結果から明らかなように、本発明の流体取扱装置の製造方法によれば、特別な装置特別な工程を必要とせず、簡便な方法でフィルムの撓みが少ない流体取扱装置を製造できる。
本発明の流体取扱装置の製造方法は、各種流体取扱装置の製造に非常に有用であり、特に各種検査や分析に用いられるマイクロ流体取扱装置等の製造に好適である。
100 流体取扱装置
110 基板
113 圧着面
114 凹部
114a 第1凹部
114b 第2凹部
114c 溝
115a 第1貫通孔
115b 第2貫通孔
120 フィルム
130、430、530 金属層
140、240、340、440、540 弾性体層
141 貫通孔
150、250、350、450、550 積層体
241 空隙
341 低弾性領域
342 高弾性領域
431 凹み領域
541 厚膜領域
542 薄膜領域
545 剛体
901 プレート

Claims (7)

  1. 凹部、および前記凹部に沿って設けられた圧着面を有する基板を準備する準備工程と、
    前記基板の前記凹部を覆い、かつ前記圧着面と接するようにフィルムを配置するフィルム配置工程と、
    前記基板および前記フィルムを熱圧着する熱圧着工程と、
    を有し、
    前記熱圧着工程において、前記凹部上の前記フィルムにかかる圧力が、前記圧着面上の前記フィルムにかかる圧力より小さい、
    流体取扱装置の製造方法。
  2. 前記熱圧着工程が、前記フィルム上に、金属層および弾性体層をこの順に配置し、前記弾性体層および前記基板を加熱しながら互いに押しつける工程であり、
    前記弾性体層が貫通孔を有し、
    前記熱圧着工程において、前記貫通孔を前記凹部上に配置する
    請求項1に記載の流体取扱装置の製造方法。
  3. 前記熱圧着工程が、前記フィルム上に、金属層および弾性体層をこの順に配置し、前記弾性体層および前記基板を加熱しながら互いに押しつける工程であり、
    前記弾性体層が一部に空隙を有し、
    前記熱圧着工程において、前記空隙を前記凹部上に配置する、
    請求項1に記載の流体取扱装置の製造方法。
  4. 前記熱圧着工程が、前記フィルム上に、金属層および弾性体層をこの順に配置し、前記弾性体層および前記基板を加熱しながら互いに押しつける工程であり、
    前記熱圧着工程において前記凹部上に配置する前記弾性体層の弾性率が、前記圧着面上に配置する前記弾性体層の弾性率より低い、
    請求項1に記載の流体取扱装置の製造方法。
  5. 前記熱圧着工程が、前記フィルム上に、金属層および弾性体層をこの順に配置し、前記弾性体層および前記基板を加熱しながら互いに押しつける工程であり、
    前記金属層が前記弾性体層側に凹む凹み領域を有し、
    前記熱圧着工程において、前記凹み領域を前記凹部上に配置する、
    請求項1に記載の流体取扱装置の製造方法。
  6. 前記熱圧着工程が、前記フィルム上に、金属層、弾性体層、および剛体をこの順に配置し、前記剛体および前記基板を加熱しながら互いに押しつける工程であり、
    前記熱圧着工程において前記凹部上に配置する前記弾性体層の厚みが、前記圧着面上に配置する前記弾性体層の厚みより厚い、
    請求項1に記載の流体取扱装置の製造方法。
  7. 凹部および前記凹部に沿って設けられた圧着面を有する基板と、
    前記凹部を覆うように、かつ前記圧着面に熱圧着されたフィルムと、
    を有する流体取扱装置であり、
    前記凹部上の前記フィルムの表面粗さが、前記圧着面上の前記フィルムの表面粗さより小さい、
    流体取扱装置。
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WO2023053952A1 (ja) * 2021-09-30 2023-04-06 日本ゼオン株式会社 積層体及びその製造方法

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