JP2021012731A - 継時的官能評価システムおよび継時的官能評価方法 - Google Patents

継時的官能評価システムおよび継時的官能評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】継時的官能評価に好適に使用できる新規な官能評価システムの提供。【解決手段】被験者が、視覚的に提示された2個以上の評価項目に基づいて、被験対象物を継時的に官能評価する継時的官能評価に用いる継時的官能評価システムであって、計測された被験者の視線に関する情報に基づいて、被験者が視線を向けている評価項目を特定する特定手段、および特定手段により特定された評価項目に、被験者が視線を向けている視線滞留時間帯と、その視線滞留時間帯における評価項目とを関連付ける関連付け手段を備える、継時的官能評価システム。【選択図】図2

Description

本発明は、継時的官能評価システムおよび継時的官能評価方法に関する。
視線計測から心理状態を把握したり、各種類の製品への関心を解析したりする方法が知られている(例えば、特許文献1および2、非特許文献1および2参照)。
特許文献1には、アンケートの回答者からのアンケートへの回答情報を収集するアンケートシステムであって、アンケートの回答結果を表示画面に表示する表示部、並びに、タッチセンサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、圧力センサ、照度センサ、カメラ、及び集音マイクから選択される少なくとも1種の物理センサを有するアンケート回答装置と、該アンケート回答装置と通信回線を介して接続が可能なサーバ装置とを備え、アンケート回答装置が、物理センサにて検知される、アンケート回答装置に対する物理的動作及び/又はアンケート回答装置の外部状況に関する回答情報を取得する回答情報取得手段と、回答情報取得手段により取得された回答情報に応じて、アンケートの回答結果を表示画面に表示する表示手段と、前記回答情報をサーバ装置に送信する回答情報送信手段とを備え、サーバ装置が、アンケート回答装置から送信された回答情報を受信する回答情報受信手段と、回答情報受信手段により受信した回答情報を記憶する回答情報記憶手段とを備えるアンケートシステムが記載されている。
特許文献1には、回答結果を表示する表示部と視線追跡機能等を有する物理センサとを有するアンケート回答装置を提供して、身体を使うことによる「直感的で感覚的な回答方法を回答者に提供し、回答者自身も明確には認識できていない潜在的な思考、意識、性向、欲求などを、アンケート結果として情報収集する」ことが記載されている。視線については「回答者が長時間視線を向けていた商品、真っ先に視線が向けられた商品、各商品に視線を向けた後に最後に視線が留まっていた商品などを、回答者に推薦する商品とし、その商品に関する商品情報をアンケート回答装置1に送信して、商品購入を促すこともできる」(段落0121)ことなどが記載されている。
特許文献2には、アンケートの設問を表示する表示手段と、設問に対する回答を入力する入力手段と、設問を表示した時点から回答が入力される時点までの反応時間を計測する反応時間計測手段と、回答及び反応時間を対応付けて入力データとして記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶されている複数の回答者から得られた入力データに基づいて回答を集計して設問結果を得るとともに、反応時間に関する所定の分析指標を求める分析手段と、分析手段による分析結果として、少なくとも反応時間に関する所定の分析指標を所定の形式で出力する出力手段と、を備えるアンケート分析装置が記載されている。
特許文献2には、アンケート回答(手動)において設問を表示した時点から回答が入力される時点までの反応時間を計測することに加え、回答者の視線の移動や注視点等に着目して回答者の心理を数値化して表すことが記載されている。視線計測については「視線に関する所定の分析指標は、注視時間、往復数、対象注視時間、注視点数、選択開始時−反応時間差、選択開始時−反応時視線距離、反応時の視線位置、対象内注視点数、統計瞳孔径、非対象領域注視時間、瞬き回数、及び初回注視のうち少なくともいずれか1つ以上を含むことが望ましい」(段落0019)と記載され、実施例ではおおむね好かれていた商品が「選択されるときはやや素早く選択(反応時間)され、対象物の画像の注視時間が多い」ことが記載されている(段落0113)。
非特許文献1では、消費者が視線を向けた順番や滞留時間と製品への嗜好性との関係が検証されている。この文献には、製品への滞留時間と嗜好性の高さとに関連を見出したことが示唆されている。
非特許文献2では、官能評価アンケートに手動で回答する際の視線を計測し、視線の動きと回答結果との間の関係性を検討している。この文献には、視線の動きの相違は回答評価結果に影響を与えないことが示唆されている。
国際公開WO2014/185423号 特開2014−81913号公報
Food Quality and Preference 39 (2015) 46−55 Food Quality and Preference 48 (2016) 185−194 AROMA RESEARCH No.53 Vol.14 (No.1 2013) 29−35
特許文献1および2、非特許文献1および2はいずれも回答しようとする選択肢(評価項目など)を意図的に注視するものではなく、また官能評価の時間分解能や評価項目の切り替わり速度については記載がなかった。
一方、継時的変化を捉える官能評価手法として、TDS(Temporal Dominance of Sensations)と呼ばれる方法が知られている(非特許文献3参照)。TDS法は被験者がある時点において最も強く感じる風味を選択し、各被験者が選択した風味の継時的変化を平均化して明示する方法である。非特許文献3に紹介された方法は、被験対象物を継続的に官能評価する際に、PC(パーソナルコンピュータ)画面上に提示された官能特性を示す評価項目(言葉)のうち、そのときもっとも強く感じられる評価項目を、手動で入力手段を操作して選択して官能評価し、継続的に選択結果を記録する方法である。しかしながら、非特許文献3に紹介された、手動で入力手段を操作する方法は、風味を選択する方法としてマウスクリックやタッチパネル等の指を使った操作が必要であり、風味評価と意思表示の操作を同時並行に行わなければならないなど、評価が難しい方法であった。実際、非特許文献3の33ページには、「違和感はないが、選びたい用語をリアルタイムに選ぶにはさらなるトレーニングや慣れを要する」、「初発の複雑な部分を同時に複数選択したくても出来ない」などの問題点があったと記載されている。
以上のように、従来の継時的官能評価システムは、その官能評価の時間分解能を高くすることなどにおいて、さらに改善が求められるものであった。
本発明が解決しようとする課題は、経時的な官能評価に好適に用いることができる、新規な継時的官能評価システムを提供することである。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、被験者が2個以上の評価項目に基づいて被験対象物を継時的に官能評価する際、被験者が2個以上の評価項目のいずれかに視線を向けて評価項目を選択する場合に、被験者が視線を向けている評価項目の特定を視線計測により行い、かつ、被験者が評価項目に視線を向けている視線滞留時間帯と、その視線滞留時間帯における評価項目とを関連付けることにより、上記の課題を解決できることを見出した。
具体的に、本発明および本発明の好ましい構成は、以下のとおりである。
[1] 被験者が、視覚的に提示された2個以上の評価項目に基づいて、被験対象物を継時的に官能評価する継時的官能評価に用いる継時的官能評価システムであって、
計測された前記被験者の視線に関する情報に基づいて、前記被験者が視線を向けている前記評価項目を特定する特定手段、および
前記特定手段により特定された前記評価項目に、前記被験者が視線を向けている視線滞留時間帯と、その視線滞留時間帯における前記評価項目とを関連付ける関連付け手段を備える、継時的官能評価システム。
[2] 前記評価項目が感覚情報または印象情報である、[1]に記載の継時的官能評価システム。
[3] 前記評価項目が嗅覚、味覚またはその両方で感じられる感覚情報である、[1]または[2]に記載の継時的官能評価システム。
[4] 前記被験者の視線は、視線計測手段により計測される、[3]に記載の継時的官能評価システム。
[5] 前記評価項目のそれぞれが、前記視線計測手段の画像認識により区別できる互いに異なる特徴部を有し、前記視線計測手段が、前記評価項目を画像認識して検出した前記特徴部の種類に基づいて前記評価項目を識別する、[4]に記載の継時的官能評価システム。
[6] 前記視線滞留時間帯とその視線滞留時間帯における評価項目とを記録する記録手段を備える、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の継時的官能評価システム。
[7] 前記関連付け結果に基づいたグラフまたは表を出力する出力手段を有する、請求項[1]〜[6]のいずれか一項に記載の継時的官能評価システム。
[8] 前記関連付け結果に基づいて、評価項目の切り替わり回数または切り替わり速度を導出する解析手段を有する、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の継時的官能評価システム。
[9] 被験者が、視覚的に提示された2個以上の評価項目に基づいて、被験対象物を継時的に官能評価する継時的官能評価方法であって、
前記被験者の視線を計測する計測工程と、
計測された前記被験者の視線に関する情報に基づいて、前記被験者が視線を向けている前記評価項目を特定する特定工程と、
特定された前記評価項目に前記被験者が視線を向けている視線滞留時間帯と、その視線滞留時間帯の前記評価項目とを関連付ける関連付け工程とを含む、継時的官能評価方法。
[10] 前記評価項目の特定を2回以上繰り返す、[9]に記載の継時的官能評価方法。
[11] 前記被験対象物が飲食品、香粧品または香料である、[9]または[10]に記載の継時的官能評価方法。
本発明によって、経時的な官能評価に好適に用いることができる、新規な継時的官能評価システムを提供することができる。
図1は、実施例1で用いた評価項目を示した図である。 図2(A)は、グミAについて、実施例1の視線法(視線による評価項目の選択)の解析結果を、実際の視線滞留時間帯の積み上げ棒グラフとして表現したグラフである。図2(B)は、グミBについて、実施例1の視線法の解析結果を、実際の視線滞留時間帯の積み上げ棒グラフとして表現したグラフである。 図3(A)は、グミAについて、比較例1の手押し法(マウスクリックによる評価項目の選択)の解析結果を、実際の視線滞留時間帯の積み上げ棒グラフとして表現したグラフである。図3(B)は、グミBについて、比較例1の手押し法の解析結果を、実際の視線滞留時間帯の積み上げ棒グラフとして表現したグラフである。 図4は、実施例2で用いた評価項目を示した図である。 図5は、実施例2の1回目の官能評価での視線法の解析結果を、実際の視線滞留時間帯の積み上げ棒グラフとして表現したグラフである。 図6は、実施例2の2回目の官能評価での視線法の解析結果を、実際の視線滞留時間帯の積み上げ棒グラフとして表現したグラフである。 図7は、比較例2の1回目の官能評価での手押し法の解析結果を、実際の視線滞留時間帯の積み上げ棒グラフとして表現したグラフである。 図8は、比較例2の2回目の官能評価での手押し法の解析結果を、実際の視線滞留時間帯の積み上げ棒グラフとして表現したグラフである。 図9は、被験者の主観評価アンケートでQ1の回答欄として用いたスケールである。 図10は、被験者の主観評価アンケートでQ2の回答欄として用いたスケールである。 図11は、被験者の主観評価アンケートでQ3の回答欄として用いたスケールである。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[継時的官能評価システム]
本発明の継時的官能評価システムは、被験対象物に関する2個以上の評価項目を被験者に提示する提示手段、被験者が2個以上の評価項目に基づいて被験対象物を継時的に官能評価する際、被験者が2個以上の評価項目のいずれかに視線を向けることで評価項目を選択する場合に、被験者が視線を向けている評価項目を特定する視線計測手段、および被験者が評価項目に視線を向けている視線滞留時間帯と、その視線滞留時間帯における評価項目とを関連付ける関連付け手段を備える。
この構成により、本発明の継時的官能評価システムは、経時的な官能評価に好適に用いることができる。特に本発明の継時的官能評価システムは、官能評価の時間分解能が高いことが好ましい。官能評価の「時間分解能」とは、「1回の官能評価において選択される評価項目が切り替わる頻度」を意味する。
継時的官能評価方法は、被験対象物から感じられること、例えば、各種感覚、感情、印象などの変遷に応じて、継時的かつ素早く回答を行う必要がある場合がある。被験者にとって「喫食」や「クリック」等の一連の手作業が煩雑で、被験対象物からあることを感じたタイミングとその感じたことの回答タイミングとのずれが生じる、被験対象物から感じられることの変遷速度に対する回答操作時間不足のため感じた風味を全て回答できないなど、継時的官能評価が適切に行われていなかった、という課題があった。
これに対し、本発明は、この課題の解決手段を提供できる発明である。官能評価の時間分解能が高いことなどにより、被験者の意識や意思をより反映した官能評価を行うことができる。詳しくは、本発明では、視線計測手段を利用することで被験者の手作業の負担を減らして意思表示を比較的容易にするとともに、即時的な回答を可能にして被験者の意識や意思の変化を迅速に伝えやすくできる(官能評価に集中できる環境を構築)。その結果、継時的な官能評価における正確性や詳細さを格段に向上させることができる。さらに、本発明の継時的官能評価システムでは官能評価の時間分解能が高いことにより、従来の手動での官能評価では見過ごされてきた評価(新たな評価回答や、評価の切り替わりタイミングの正確な特定)を確認することもできる。
なお、「評価項目の切り替わりの速さ」が優れることも本発明の副次的な効果である。「切り替わりの速さ」とは、「選択された評価項目が他の評価項目に切り替わる速さ」を意味する。また、被験者の作業負担を減らせることも、本発明の副次的な効果である。さらには、本発明のシステムは従来の継時的官能評価に比べて手作業の排除により動作が減らせるため、後述のように各種生理応答データを並行して取得しても生理応答データに動作の影響が出難いという利点もある。
以下、本発明の継時的官能評価システムの好ましい態様を説明する。
<被験対象物>
被験対象物は特に制限はない。被験対象物を提示された被験者にとって、被験対象物から感じ得ること(例えば、各種感覚、感情、印象など)が継時的に変化し得るものであれば、本発明の継時的官能評価システムを特に好適に使用することができるが、経時的に変化しないものであってもよい。
被験対象物は、有形、無形いずれでもよい。有形であれば各種物品を挙げることができ、無形であれば音声、音楽、画像、映像などの各種情報を挙げることができる。
物品の具体例として、各種消費財が挙げられる。より具体的には、飲食品、香粧品、香料、保健衛生品、家具、人間が使用する各種電器、衣料品、医薬品などが挙げられる。またはこれらの2個以上の組み合わせでもよい。これらの中でも、被験対象物は飲食品、香粧品、または香料であることが好ましい。これらは、その風味や香気が継時的に変化しやすいためである。本発明の継時的官能評価システムは、被験対象物から人間が感じ得ることの移り変わりが早い場合に特に有効に使用でき、特に、喫食によって多種多様な風味の変遷が素早く起こる飲食品に好適に使用できる。
飲食品の例としては、各種のアルコール飲料、ソフトドリンク、栄養補助飲料、菓子、総菜、レトルト食品、パン、飯などを挙げることができ、香粧品の例としては、各種の香水、洗剤、柔軟剤、保健衛生品などを挙げることができるが、これらに限定されない。香料としては、飲食品、香粧品やその他物品に賦香目的で使用できるものであれば特に限定されない。
<提示手段>
継時的官能評価システムは、被験対象物に関する2個以上の評価項目を被験者に提示する提示手段を備える。
提示手段は、被験対象物に関する2個以上の評価項目を被験者に提示することができれば、特に制限はない。提示手段は、2次元の平面であっても、3次元の立体であってもよい。
提示手段としては、タッチパネル、PCに付属のディスプレイ、テレビ、ホワイトボード、黒板、紙、木、プラスチック、映像を投影できる被投影物などを挙げることができる。なお、評価項目が立体の場合、提示手段は、当該評価項目を配置した平面や空間と定義してもよい。
提示手段は、タッチパネル、パソコン、テレビなどの映像を映し出すことができるディスプレイや、映像を投影できる被投影物であることが好ましい。2個以上の評価項目が配置された図や映像を、ディスプレイや被投影物の画面に提示することが好ましい。
提示手段が含み得る要素として、評価項目以外に、注視点およびブランク部(すなわち評価項目や注視点などでない部分)を挙げることができる。提示手段は、評価項目に加えて、注視点およびブランク部から選択される1以上を含む構成であることがより好ましい。また、評価項目、注視点およびブランク部のみから構成されることが特に好ましい。
以下、これら要素の好ましい態様について詳述する。
(評価項目)
評価項目は、提示手段によって2個以上被験者に提示され、被験者が官能評価において視線を向けることで選択するものである。評価項目は、視覚によって識別可能なものであれば、特に制限はない。
評価項目は、被験対象物について評価したい観点(本明細書では評価観点と略することもある)を表すものであれば特に制限はない。
評価項目は、例えば、被験対象物の提示による刺激の受容によって被験者が感じ得ることであってよく、被験対象物から感じられる感覚(例えば、人間の感覚器で感知できる視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚、温覚、冷感、食感、平衡覚、体性感覚など)に関する観点、被験対象物に感じる感情に関する観点、または被験対象物に対する印象に関する観点を表すものであればよい。
より具体的には、被験対象物から感じ得る、感覚に関する用語、語句、文章、またはその他情報(甘い、冷たい、柔かい、なめらかなど);感情に関する用語、語句、文章、またはその他情報(はれやか、ぜいたく、落ち着き、不安など);印象に関する用語、語句、文章、またはその他情報であって、色(赤、青、黄色等の被験者が識別可能な各色または色名)、形(四角形などの多角形、楕円含む円形、ドーナツ型、その他非定形の2次元の形状、または3次元の形状または形状名)、模様(二次元または三次元のパターンまたはテクスチャまたはそれらの名称);写真または絵などの画像(風景、動物、静物、人物などを含むものなど)、文章、格言や詩歌などのフレーズ、各種固有名詞(季節、国や地域名、人物名、飲食品や香粧品などの各種商品名、曲名など)、光の明度、などの情報であってよい。また、感覚、感情、印象に関する映像(風景映像、ものや模様の像、動画を含む)でもよく、ピクトグラム、アイコン、携帯電話やスマートフォンなどに表示される絵文字などの各種絵文字でもよい。これらの2種以上を組み合わせたものでもよい。
評価項目は、同様の感覚を生じ得る複数の用語を含む用語群でもよい。例えば、植物をイメージさせる用語群として「森林、山、草原」といった複数の用語を隣接して配置して1個の評価項目を構成することができる。
または、評価項目は、同時に被験者が感じ得る複数の評価観点を含む用語群であってもよい。例えば、「さわやか+水色」あるいは「元気+黄色」などのような、感情および色情報で構成される用語群を1個の評価項目とすることができる。
評価項目は、任意の形状を有してよく、平面でも立体構造を有していてもよい。また、評価項目が映像や画像である場合、平面の映像や画像であっても、立体視できる映像や画像であってもよい。
また、2個以上の評価項目のうち、何も感じられないことを表す評価項目や、当てはまる項目がないことを表す評価項目があってもよい。
本発明では、評価項目が感覚情報または印象情報であることが好ましい。感覚情報の用語としては、五感で感じられる感覚の用語をいずれも用いることができ、その中でも風味用語が好ましい。風味とは、嗅覚、味覚またはその両方で感じられる感覚を意味するものである。風味用語は香り、味またはその両方であってよい。
評価項目は被験者が視線を向けて選択するものであるため、評価観点が文字や記号などで表現されるものの場合や、評価観点として小さい画像を用いるなどして面積が小さい場合、視線を向けにくい場合や、被験者が視線を向けている評価項目の視線計測手段による特定(後述)がしにくい場合がある。その際には、評価観点を一定の面積を有する任意の形状の平面または立体図形内に掲示し、その図形全体を、被験者が視線を向け選択する評価項目と定義することができる。図形の形状は、評価観点自体の特徴に応じて任意に設計できる。
当該図形の大きさは任意であり、被験者が視線を向けやすいように適宜調整してよい。
当該図形の形状も任意であるが、各図形が同等の大きさであることが、視線の向けやすさを同等にして官能評価の正確性を高める観点から好ましい。
当該図形内に評価観点を掲示する態様は特に制限はなく、評価観点を、点線、波線、破線を含む各種の線で形成した平面図形内に掲示する態様、布やプラスチックのシートや立体で構成される図形に貼り付けなどして掲示する態様、ディスプレイの四角枠内に掲示する、態様などが挙げられる。
図1および図4は、評価項目に当該図形を用いた場合の具体例を示している。図1では破線の四角形内にそれぞれ評価観点(図1では風味用語)を掲示しており、この破線の四角形全体を、被験者が視線を向けて選択する評価項目と定義している。同様に、図4では、直線で形成された四角形全体を評価項目と定義している。
なお、図形内に掲示する必要性が必ずしも高くないと考えられる評価観点の例として、それ自体で一定以上の面積を占めることのできる色見本、形、模様、画像、光、映像などが挙げられるが、これらも図形内に掲示してもよい。
評価項目は、提示手段にどのように配置してもよいが、官能評価中の被験者の視点から各評価項目への視線移動の所要時間や移動しやすさが同様なように配置することが好ましい。例えば、提示手段の任意の点、例えば提示手段の中心から各評価項目までの最短距離が、いずれも等しくなるように配置することが好ましい。また、ある評価項目から他の評価項目に視線移動する際、選択するつもりのない評価項目上を視線が通過しづらいように配置することが好ましい。各評価項目の配置として、碁盤目(メッシュ)状、放射状、ランダム、直線状、正多角形状、円または円弧状が例示できる。
−特徴部−
評価項目には、特徴部を設けてもよい。特に、後述する視線計測手段で、被験者がどの評価項目に視線を向けているかを各評価項目の画像認識によって区別する場合に、評価の正確性を確保する観点から、評価項目に特徴部を設けることが好ましい。
視線計測手段による画像認識においては、互いに異なる2個以上の評価項目自体の相違に基づいて評価項目の識別を行ってもよいが、評価項目自体の相違が小さいなどで画像認識による識別が困難と思われる場合には、評価項目のそれぞれが、視線計測手段の画像認識により区別できる互いに異なる特徴部を有することが好ましい。例えば、評価項目(すなわち、上述の評価観点自体またはそれを掲示する上述の図形)の色や模様などを異にして画像として識別容易に各評価項目をデザインすることがより好ましい。すなわち、特徴部とは、評価項目自体とは異なる、評価項目を互いに識別容易にするものである。特徴部は、評価観点自体またはそれを掲示する上述の図形のシルエット(外枠)とは異なるものであることが好ましい。これらの中でも、特徴部は、模様や記号を付したりして互いに異なるものとして画像として容易に識別可能に各評価項目をデザインしたものであることが好ましい。評価項目のシルエットや大きさが互いに大きく異なると被験者の注視しやすさに差が生じる可能性があるため、評価項目の大きさやシルエットは変えずに模様や記号などを付すことが特に好ましい。
(注視点)
提示手段は、その任意の位置に注視点を設けることが好ましい。
注視点は、官能評価の最初期において官能評価の始点の前であることや、最終期において官能評価を終了した終点であるという意思表示をするために使用できる。例えば、被験者に、被験対象物の官能評価を開始してから最初に評価項目に視線を向けるまでの間、ならびに、官能評価が終了した後に、注視点を見つめるように求めることで、それ以外の時間帯は被験対象物の官能評価について意思表示をしていることを担保できる。すなわち、官能評価の始点と終点を明確化できる。注視点を設けることにより、官能評価が終了した終点を示すための、被験者の追加的動作(発声、手を上げるなど)が不要となる利点もある。その結果、官能評価の終点を明確化して官能評価の時間分解能をより高くでき、被験者の作業負担も減らすことができる。
上記の趣旨の注視点を設ける場合は、注視点から各評価項目への視線の到達しやすさが変わらぬように、注視点から各評価項目への最短距離が同等になるように注視点を配置することが好ましい。このような各評価項目の配置として、注視点を図形の重心に一致させた、正多角形状または円状が例示できる。ただし、提示手段の画面中に配置する評価項目の個数が多い場合は、注視点から全ての評価項目への最短距離が同等になるように注視点を配置しなくてもよく、注視点から任意の複数の評価項目への最短距離が同等になるように注視点を配置してもよい。
(ブランク部)
画像認識の正確性の観点から、提示手段には、各評価項目の間に空白部分(以下、ブランク部)を設けることが好ましい。ただし、ある評価項目から別の評価項目への視線移動にかかる時間が長くなり過ぎないように、ブランク部のサイズ(幅、長さ、面積など)は適宜調整することが好ましい。視線のブランク部の移動時間が長くなり過ぎないようにブランク部をある程度小さいサイズに調整することにより、官能評価の時間分解能をより高めることができる。
<視線計測手段>
本発明の継時的官能評価システムは、被験者が2個以上の評価項目に基づいて被験対象物を継時的に官能評価する際、被験者が2個以上の評価項目のいずれかに視線を向けることで評価項目を選択する場合に、被験者が視線を向けている評価項目を特定する視線計測手段を備える。
本発明では、被験者が評価項目に視線を向けている際に、その評価項目を選択したものとする。
視線計測手段としては、特に制限はなく、被験者の視線(視野のどこを見ているか)を検出できるものであれば仕組みは問わない。視線計測手段は、提示手段や評価項目の特性に応じて任意に選択できる。視線計測手段では、視線計測手段に添付のソフトウェア、汎用PCのCPUに実行させられるその他任意のソフトウェアやプログラムなどを用いて、被験者の視線の検出処理を行うことが好ましい。
通常、視線計測手段は、被験者の目の動き(好ましくは瞳孔の動き)を検出して視線の向きを把握し、被験者の視野において視線を向けている場所を検出する。その際、通常は視野を検出する手段(例えばカメラ)および瞳孔の動きを検出する手段を備える視線計測手段を用いる。視野を検出する手段および瞳孔の動きを検出する手段は、一体になっていても、別個になっていてもよく、それぞれの個数も任意である。
視線計測手段の形態は、眼鏡型、ヘッドセット型、ディスプレイ型、その他使用し得る全ての形態のものを本発明では用いることができる。視線計測手段は、据え置きタイプでも、ポータブルタイプでもよい。ポータブルタイプの中では、被験者に装着できるウェアラブルタイプであることが、瞳孔の動きを検出する手段(例えばカメラ)に、被験者の体の他の部分の動きが反映されにくくなる観点から、好ましい。その中でも、眼鏡型であることがより好ましい。視線を計測する眼は両眼でも単眼でもよい。片眼の場合は、左右どちらの眼でも構わないが、人によっては、一方の目がもう片方に比べて意図通りの視線の動きをしにくい場合があり、このような場合には、被験者の意図どおりの視線を示す側の眼をあらかじめ調べておき、被験者の意図どおりの視線を示す眼を測定対象とすることが好ましい。
なお、2種以上の視線計測手段を組み合わせて用いてもよい。
視線計測手段は、視線の較正手段を備えることが好ましい。視線の較正手段としては、視線計測手段に添付のソフトウェア、汎用PCのCPUに実行させられるその他任意のソフトウェアやプログラムなど任意のものを使用できる。
視線計測手段は、前述のように、画像認識によって文字やデザインなどの異なる評価項目同士を互いに識別できる機能を有することが好ましい。すなわち、視線計測手段は、画像認識手段を備えることが好ましい。画像認識手段としては、較正手段と同様、視線計測手段に添付のソフトウェア、汎用PCのCPUに実行させられるその他任意のソフトウェアやプログラムなど任意のものを使用できる。視線計測手段が、評価項目を画像認識して検出した特徴部の種類に基づいて評価項目を識別することがより好ましい。
視線計測手段のサンプリングレートは、特に制限はない。通常25〜2000Hz程度のサンプリングレートの視線計測手段が入手可能であり、評価項目の個数や、被験対象物について評価したい観点、被験対象物から被験者が感じられること(被験対象物が飲食品の場合、風味など)の発現の特徴などの目的および/または解決課題に応じて適切に設定してよい。通常、サンプリングレートが高い程、速い目の動きを捉えることが出来る。
<関連付け手段>
本発明の継時的官能評価システムは、被験者がある評価項目を選択するために視線を向けている時間(視線滞留時間帯という)と、その時間帯における評価項目とを関連付ける関連付け手段を備える。
この関連付けによって、2個以上の評価項目で表される、被験対象物についての評価観点が継時的にどのように変化したかのデータを得ることが出来る。
関連付け手段は、特に制限はない。関連付け手段として、例えば視線計測手段に添付のソフトウェア、汎用PCのCPUに実行させられるその他任意のソフトウェアやプログラムなどで、視線の滞留箇所と時間とを関連付ける処理が可能なものを挙げることができる。これらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、関連付け手段や記録手段などの本明細書の各所の説明における「PC」はCPUを有する機器の例示であり、本発明ではPCの代わりにPC以外のCPUを有する機器を用いてもよい。PC以外のCPUを有する機器としては、例えばPDA、携帯電話、スマートフォン、ゲーム機、テレビなどを挙げることができる。
関連付け手段として、視線計測装置に添付のソフトウェアを用いて、ある評価項目への視線滞留時間帯と、その時間帯における評価項目とを継時的に記録手段(後述)に記録することによって、両者を関連付けることが好ましい。さらに、関連付け結果を出力手段(後述)にリアルタイムで出力しても、後から出力してもよい。
<記録手段>
本発明の継時的官能評価システムは、視線滞留時間帯とその視線滞留時間帯における評価項目とを記録する記録手段を備えることが好ましい。
視線滞留時間帯と、その視線滞留時間帯における評価項目を記録する記録手段として、PCの記憶領域を用いる場合、得られた各種類のデータをPCの内部記憶領域に格納することができる。格納する際、上述の関連付け手段によって視線滞留時間帯とその時間帯における評価項目とを紐づけた状態で記録することが好ましい。または、PCと任意のケーブルやUSBなどを介して接続された任意の外部記憶装置に格納してもよく、通信回線を介して情報をサーバ装置に送信し、受信機能および記録手段を備えるサーバ装置に格納してもよい。記録手段としては、メモリ、ハードディスク、各種ディスクなどが例示できる。
<出力手段>
本発明の継時的官能評価システムは、さらに、被験者が評価項目に視線を向けている視線滞留時間帯と、その視線滞留時間帯における評価項目との関連付け結果を出力する出力手段を備えることが好ましい。
出力手段としては特に制限はなく、例えば、関連付けの解析結果を視認容易な形式に出力する手段であってよい。例えば、視線計測手段に添付のソフトウェア、汎用PCのCPUに実行させられるその他任意のソフトウェアやプログラムなどを使用してよい。出力形式としては、例えば、テキスト形式、csv形式、xlsまたはxlsx形式、doc形式またはdocx形式、pdf形式などが挙げられるが、これらに限定されない。
出力手段のさらなる具体例としては、例えば、ディスプレイを用いることができ、関連付け手段として用いるソフトウェアおよび/またはCPUを備えるPCに付属のディスプレイを用いてもよいし、別のディスプレイを用いてもよい。別の具体例としては、プリンタ、プロジェクタを挙げることが出来る。
以上に例示した出力手段は、1個または複数個併用することができる。
上述の記録手段に格納された関連付け結果を読み込んで出力手段で出力することもでき、リアルタイムで関連付け結果を直接出力手段で出力することもできる。
出力手段では、任意の表現で関連付け結果を出力してよい。例えば、各評価項目とその視線滞留時間との関係を示す積み上げ棒グラフ、数値表、円またはドーナツグラフ、レーダーチャート、バブルグラフ、折れ線グラフなどが例示できる。本発明の継時的官能評価システムは、関連付け結果に基づいたグラフまたは表を出力する出力手段を有することが好ましい。表現においては、各評価項目に対するその視線滞留時間帯の長さとして表現しても、評価項目間の相対的な視線滞留時間帯の比率として表現してもよく、所望の表現態様を採用できる。
<解析手段>
本発明の継時的官能評価システムは、さらに、評価項目とその視線滞留時間との関連付け結果に基づいて、各種解析を行う手段を備えてもよい。
解析手段では、例えば、視線滞留時間帯における評価項目が継時的に切り替わる回数を導出するものであってもよい。例えば、飲食品(被験対象物)の風味の変わりやすさの一指標として、評価項目の切り替わり回数を把握したい場合に有用である。
視線滞留時間帯における評価項目が継時的に切り替わる回数の導出結果を用いて、さらに別のパラメータを導出する解析を行ってもよい。別のパラメータとしては、評価項目の種類、評価項目の切り替わりの速さを挙げることができる。評価項目の種類は、被験者が視線を向けている(選択した)評価項目の個数として、導出することができる。評価項目の切り替わりの速さは、単位時間あたりの評価項目の切り替わりの回数として、導出することができる。
解析手段は、以上に例示したような複数の解析を実行できるものであってよい。本発明の継時的官能評価システムは、関連付け結果に基づいて、評価項目の切り替わり回数または切り替わり速度を導出する解析手段を有することが好ましい。
解析手段としては特に制限はなく、例えば、視線計測手段に付属のソフトウェア、任意の統計解析のソフトウェア、関連付け手段として用いるソフトウェアおよび/またはCPUを備えるPCに付属の汎用のソフトウェアなどを挙げることができる。
また、解析手段で解析された結果も、上述の出力手段により任意の形式で出力してもよい。解析結果の表現の仕方も特に制限はなく、グラフ、数値表、数値を列挙した数値リストなどでよい。
<その他の装置>
継時的官能評価システムは、その他の装置を備えていてもよい。
その他の装置としては、視線による意思表示していることを補強するための手段や、視線計測手段以外の生理応答計測装置などを挙げることができる。
視線による意思表示していることを補強するための手段としては、例えば、ボタン、マウスなどの入力手段を挙げることができる。
本発明の継時的官能評価システムと組み合わせ可能な生理応答計測装置としては、NIRS、MRIなどの脳活動計測装置;サーミスタセンサ、熱電対センサ、サーモグラフィなどの温度計測装置;発汗計;神経活動や生体の動きに由来する電気信号を捉える装置、例えば筋電図、心電図、眼電図、胃電図を取得する装置;脈波計;血圧計;血流計;瞳孔記録計(視線計測手段に付随しているものでもよい);皮膚電位計;呼吸計;などを挙げることができる。
本発明の継時的官能評価システムとその他の生理応答計測装置を組み合わせることによる利点としては、手を使うことが可能となること;指や手への生体センサー(温度センサーなど)の装着が可能となること;評価に手を使用した場合と比較して、手の動き、身体の動きに伴う生理応答ノイズを軽減できるため、官能評価と生理応答の同時計測が可能となること;MRIのような拘束が必要な生理応答計測時に意思表示が可能となること(視線計測手段の部品に金属を含むなど、適用不可の場合を除く);従来通り官能評価手法で官能評価をすると、運動野の活動といった手を動かすという行為だけで生じる脳活動も拾ってしまう可能性があるが、視線によって評価を行うとそういった不必要な脳活動を生じさせずに計測が可能となること;を挙げることができる。
[継時的官能評価方法]
本発明の継時的官能評価方法は、被験対象物に関する2個以上の評価項目を被験者に提示する提示工程、被験者が2個以上の評価項目に基づいて被験対象物を継時的に官能評価する官能評価工程であって、被験者が2個以上の評価項目のいずれかに視線を向けることで評価項目を選択する官能評価工程、被験者が視線を向けている評価項目を特定する視線計測工程、および被験者が評価項目に視線を向けている視線滞留時間帯と、その視線滞留時間帯の評価項目とを関連付ける関連付け工程を含む。
この構成により、本発明の継時的官能評価方法は、経時的な官能評価に好適に用いることができる。特に本発明の継時的官能評価方法は、官能評価の時間分解能が高いことが好ましい。
以下、本発明の継時的官能評価システムの好ましい態様を説明する。なお、本発明の継時的官能評価方法の好ましい態様は、基本的には本発明の継時的官能評価システムの好ましい態様と同様である。
<提示工程>
本発明の継時的官能評価方法は、被験者に、2個以上の評価項目を含む提示手段を提示する工程を含む。提示手段およびその各要素の好ましい態様については上述の通りである。
提示工程では、各評価項目が被験者から同等に視線を向けやすいように、提示手段を配置することが、官能評価の正確性を担保する観点から好ましい。具体的には、被験者の視点と各評価項目との位置関係(距離、高さ、角度など)、提示手段の配置場所の明るさなどを調整し、視線の向けやすさが最適になるようにすることが、視線の向けやすさを確保し、より被験者が被験対象物から感じたことを官能評価に反映しやすくする観点から好ましい。
<官能評価工程>
本発明の継時的官能評価方法は、被験者が2個以上の評価項目に基づいて被験対象物を継時的に官能評価する官能評価工程であって、被験者が2個以上の評価項目のいずれかに視線を向けることで評価項目を選択して官能評価を行う官能評価工程を含む。官能評価工程では、被験者に、被験対象物から感じたこと、例えば感覚、感情、印象などに当てはまる評価項目に視線を向けることで評価項目を選択させることが好ましい。
本発明において、被験者には、被験対象物について最も強く感じた評価項目、例えば香りを嗅いだ時に最も強く感じた評価項目や飲食品を喫食したときに最も強く感じた評価項目を、視線を向けることで選択して、その評価項目を感じられる間はその評価項目に視線を向け続けるように教示し、ある評価項目に視線を向け続けている時間帯を、その評価項目を選択している時間帯(すなわち、視線滞留時間帯)とする。なお、万が一何も感じない場合や当てはまる評価項目がないと感じられる場合は注視点を見るように教示してもよい。
被験者には被験対象物を提示された直後(飲食品であれば飲食直後など)より、任意のタイミングや期間で被験対象物に関する官能評価を行わせることができる。官能評価工程の期間(官能評価期間とも言う)は、官能評価の始点から終点までの期間とする。官能評価工程の始点および終点は、被験対象物を官能評価したいタイミングに応じて、任意に設定してよい。
例えば、官能評価工程の始点は、被験対象物について感じた評価項目に最初に視線を向けている時点でもよく、被験者が被験対象物を提示された時点でもよい。後者の場合、被験対象物の提示時点では被験対象物から何も感じられない場合は、何も感じられないことを表す評価項目を掲示する評価項目に視線を向けるか、上述の注視点に視線を向けることとしてもよい。官能評価の始点より前に、上述の注視点など特定の位置を注視しておいてもよい。より具体的には、被験対象物の提示時点、被験対象物の提示から所望の時間経過時点、不特定または特定の刺激を感じた時点、不特定または特定の感情が生じた時点などが挙げられる。より具体的には、例えば飲食品の場合、飲食品を口に入れた時点またはそれから一定時間経過した時点でもよく、風味の検知閾値(特定できないが何らかの風味を感じられた時点)を上回った時点を始点としてもよく、認知閾値(甘味など特定の風味であると識別可能な時点)を上回った時点を始点としてもよい。咀嚼が必要な飲食品の場合には、口に含んだ直後を始点とすることもできる。
官能評価工程の終点としては、上述のように注視点に視線を向けることや何も感じられないことを表す評価項目を掲示する評価項目に視線を向けることによって行ってもよいし、発声、挙手、頷き、ボタン押下などに任意の方法によって行ってよい。より具体的には、特定の動作が終了した時点や、不特定または特定の刺激が感じられなくなった時点や、不特定または特定の感情が感じられなくなった時点が挙げられる。より具体的には、例えば飲食品の場合、飲食品を口に入れてから一定時間経過した時点、嚥下を行った時点、飲食品が口中から無くなった時点などでもよく、風味の検知閾値(特定できないが何らかの風味を感じられた時点)を下回った時点を終点としてもよいし、認知閾値(甘味など特定の風味であると識別可能な時点)を下回った時点を終点としてもよい。飲食品の場合には、飲食品が口中から無くなった後も風味の余韻が持続する場合があり、そのような場合には、風味の検知閾値または認知閾値を下回った時点を終点としてよい。咀嚼が必要な飲食品の場合には、飲食品全量の嚥下時点又は当該嚥下から一定時間経過後を終点とすることもできる。
本発明の継時的官能評価方法は、官能評価の時間分解能が高いことが好ましく、被験者が評価項目の選択を2回以上繰り返す場合に特に好ましく用いることができる。特に、被験対象物が飲食品の場合であって、その風味が継時的に変化する場合に、本発明の継時的官能評価方法を好ましく用いられる。
ただし、評価項目の特定を2回以上繰り返さない場合も、本発明の継時的官能評価方法を用いることができる。例えば、特定のタイミングに合わせて香料組成物または香料化合物を噴出させる装置の試験に本発明の継時的官能評価方法を用いる場合、官能評価の時間分解能が高いことを用いて、目的の香りを知覚されるタイミングが特定のタイミングに合っているかを確認するために用いることができる。または、上述のように生理応答計測装置を用いて官能評価中に生理応答データを取得する場合でも、クリック等の動作による生理応答データへの影響を軽減できるため、本発明の継時的官能評価方法を好適に用いることができる。
<視線計測工程>
本発明の継時的官能評価方法は、被験者が視線を向けている評価項目を特定する視線計測工程を含む。上述の視線計測手段などを用いて、被験者の視線を計測する。
視線計測工程は、上述の官能評価工程と並行して行うものであるが、官能評価工程の前、後、またはその両方においても行っていてもよい。
視線計測工程の開始前に、視線計測手段の較正を行うことが好ましい。視線の較正を行った後、例えば、被験者に注視点を見るように指示したとき、視線計測手段で計測される視線が正確に注視点をみているか確認することが好ましい。
また、各評価項目の画像認識による識別がし難い場合や、識別精度を高めたい場合は、上述の特徴部を評価項目に設け、どのような特徴部が最も精度よく各評価項目を識別できるかを検討する工程をさらに設けてもよい。
視線計測工程において、サンプリングレートは、特に制限はない。上述の通り、通常25〜2000Hz程度の視線計測装置を用いて実施可能であり、評価項目の個数や、被験対象物について評価したい観点の特徴、被験対象物から人間が感じ得ること(被験対象物が飲食品の場合、風味など)の発現の特徴、などに応じて適切に設定してよい。通常、サンプリングレートが高い程、速い目の動きを捉えることが出来る。
サンプリングレートは、目的に応じて任意に設定することができるので、サンプリングレートを最適な数値に調整する工程をさらに行ってもよい。
<関連付け工程>
本発明の継時的官能評価方法は、被験者が評価項目に視線を向けている視線滞留時間帯と、その視線滞留時間帯における評価項目とを関連付ける工程を含む。より具体的には、被験者が、ある評価項目に視線を向けている際、その評価項目と、その評価項目への視線滞留時間とを関連付ける工程である。上述のように、視線計測手段に付属のソフトウェアや、その他この関連付けを可能にする任意のソフトウェアやプログラムを使用して実施できる。
被験者がある評価項目に視線を向けていると判断する基準は、特に限定されない。例えば、視線がある評価項目に特定期間(時間、フレーム数などで任意に設定可能)以上向けられた際に、その評価項目に視線を向けている時間帯と判断してよい。より具体的には、例えばサンプリングレートが30HZの場合、11フレーム(0.37秒)以上連続して視線が同一の評価項目に滞留している場合を、その評価項目に視線を向けている時間帯とすることができる。被験者の視線移動速度などに応じて、最適なサンプリングレートを調整する工程を更に設けてもよい。
この関連付け結果は、後述する出力方法や解析方法に供することができる。
<出力方法>
本発明の継時的官能評価方法は、さらに、被験者が評価項目に視線を向けている視線滞留時間帯と、その視線滞留時間帯における評価項目との関連付け結果を出力する出力方法を有することが好ましい。
出力方法で使用する出力手段としては特に制限はなく、例えば、関連付け結果を視認容易な形式に出力する手段であってよい。出力形式は上述の通り任意であり、テキスト形式、csv形式、xlsまたはxlsx形式、doc形式またはdocx形式、pdf形式などが挙げられるが、これらに限定されない。出力方法に用いる出力手段としては上述の通り特に制限はなく、例えばディスプレイ、プリンタ、プロジェクタなどを用いることができる。
出力方法では、記録手段に一度格納された関連付け結果を読み込んで出力手段に出力することもでき、リアルタイムで関連付け結果を上述の出力手段に出力することもできる。
出力方法では、任意の表現で関連付け結果を出力してよい。例えば、各評価項目とその視線滞留時間との関係を示す積み上げ棒グラフ、数値表、円またはドーナツグラフ、レーダーチャート、バブルグラフ、折れ線グラフなどが例示できる。表現においては、各評価項目に対するその視線滞留時間帯の長さとして表現しても、評価項目間の相対的な視線滞留時間帯の比率として表現してもよく、所望の表現態様を採用できる。
提示手段にブランク部を設ける場合、ブランク部に視線を向けている(選択している)時間帯の処理の仕方は任意である。例えば、特にブランク部の視線滞留時間帯が短い場合には、ブランク部に視線がある場合は第1の評価項目から第2の評価項目への遷移と考えて処理してもよい。被験者は第2の評価項目に含まれる評価項目に該当すると判断した後に視線を移動させていると考えられるため、ブランク部に視線がある時間帯は被験者が第2の評価項目を注視した時間に含めて処理することができる。ただし、視線がブランク部を移動させている時間帯を「無回答」や「該当なし」の時間帯として処理しても、その時間帯を除去する処理をしてもよい。
<解析方法>
本発明の継時的官能評価方法は、さらに、評価項目とその視線滞留時間との関連付け結果に基づいて、各種解析を行う方法を備えてもよい。
例えば、解析方法は、視線滞留時間帯における評価項目が継時的に切り替わる回数を解析する方法であってもよい。例えば、飲食品(被験対象物)の風味の変わりやすさの一指標として、評価項目の切り替わり回数を把握したい場合に有用である。視線滞留時間帯における評価項目が継時的に切り替わる回数の解析は、評価項目に視線を向けている時間(視線滞留時間帯)により判断する。
解析結果の表現の仕方は特に制限はなく、グラフ、数値表、数値を列挙した数値リストなどでよい。
視線滞留時間帯における評価項目が継時的に切り替わる回数は、解析に用いるソフトウェアを用いて解析してもよい。ただし、継時的官能評価システムが、上述の出力方法で視線滞留時間帯における評価項目が継時的に切り替わることを任意の形式でディスプレイやプリンタなどに出力する場合、目視で解析者が視線滞留時間帯における評価項目が継時的に切り替わる回数を算出してもよい。
視線滞留時間帯における評価項目が継時的に切り替わる回数の解析結果を用いて、さらに別のパラメータを導出する解析を行ってもよい。別のパラメータとしては、評価項目の種類、評価項目の切り替わりの速さを挙げることができる。評価項目の種類は、被験者が注視(選択)した評価項目の個数として、解析することができる。評価項目の切り替わりの速さは、単位時間あたりの評価項目の切り替わりの回数として、解析することができる。
また、解析方法で解析された結果も、上述の出力方法により任意の形式で出力してもよい。
なお、各種類の解析は、機械学習やAI(人工知能)を用いて、解析を行ってもよい。機械学習は、2つまたはそれ以上の変数を含むデータからある傾向を把握するものであるが、人が明示的に挙動を指示することなしにコンピューターに学習能力を与え、変量間の関係性を解析するものである。活用できる機械学習としては、「サポートベクターマシン」や「ニューラルネットワーク解析」などがある。ニューラルネットワーク解析としては、階層型ネットワークモデルや、階層型ネットワークモデルの中間層を多数としたディープラーニング(深層学習)モデルを用いることができる。また、機械学習は、教師なし分析を行っても、教師つき分析を行ってもよい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]:視線による選択法
<継時的官能評価システム>
被験対象物として、グレープ風味の市販のグミAと、グミBを用いた。
以下の構成である、実施例1の継時的官能評価システムを準備した。
(提示手段)
提示手段としてディスプレイ(EIZO 株式会社製、FlexScan M1700C−R)を用い、評価項目を示した図をディスプレイの画面に表示した。
評価項目を示した図(図1)は、グミの風味に関する風味用語1個、すなわち「ゼラチン臭」、「甘味」、「ぶどう」または「酸味」をそれぞれ破線の四角形で囲んでなる評価項目全4個、注視点(図1の+)およびブランク部(すなわち評価項目または注視点でない部分)から構成した。被験者には、これら評価項目に掲示される用語のいずれかを感じられる時間帯は、該当する評価項目に視線を向け続けるように求めた。また、ディスプレイの中心に注視点を配置した。注視点については、被験者に、グミを口に入れて視線計測開始から、グミから前記風味用語のいずれかが感じられるようになるまでの間、および前記風味用語のいずれも感じられなくなったまたはグミを飲み込んだ後は、注視点に視線を向け続けるように求めることで、それ以外の時間帯はグミの風味について意思表示をしていることになる設計とした。
どの評価項目も同じ条件で選択されるようにするため、注視点から各評価項目(すなわち、風味用語を掲示した上述の破線の四角形)までの最短距離が、いずれも等しくなるように各評価項目を配置した。ある評価項目から他の評価項目部分に視線移動する際、選択するつもりのない評価項目上を視線が通過しづらいようにブランク部を配置した。
(視線計測手段)
眼鏡型の視線計測装置(竹井機器工業株式会社製、T.K.K.2950 TalkEye Lite)を用い、被験者に装着させた。視線計測に使用する目は右眼とした。この視線計測装置は、被験者の視野を検出する視野カメラと、被験者の瞳孔の動きを検出する瞳孔カメラを備える。これらのカメラはUSBでPCに直接接続し、視野カメラで捉えた視野画像および瞳孔カメラで検出した視点をPCに付属のディスプレイ上で直接または一度記録して後から確認することができる。視線計測装置が被験者の目の動きを検出して求めた視線が評価項目(すなわち破線の四角形)の内部にあることに基づいて、どの評価項目に視線を向けているかを識別する設定とした。ソフトウェアの任意領域解析処理プログラムによって、風味用語を掲示した破線の四角形内の風味用語(文字)の違いに基づいて、各評価項目を画像認識によって識別させる設定とし、被験者が視線を向けている評価項目として自動的に特定する設定とした。
被験者が各評価項目内に視線を向けている視線滞留時間帯と、その視線滞留時間帯における評価項目を関連付ける関連付け手段として、視線計測装置に添付のソフトウェアの任意領域解析処理プログラムを用いた。関連付けられた視線滞留時間帯と、その視線滞留時間帯における評価項目を記録する記録手段として、PCの記憶領域を用い、PCの記憶領域に得られた各種類のデータを格納する設定とした。使用した視線計測装置の視線滞留時間帯を記録する際のサンプリングレートは30Hzと設定した。30Hzとは1秒間に30回入力を感知することを意味する。また、視線計測装置に添付のソフトウェアの任意領域解析処理プログラムによって、各評価項目の視線滞留時間帯を継時的にPCに記録するように設定した。
<官能評価工程>
被験者No.1および被験者No.2の2人を被験者とした。
以下の方法で、実施例1の継時的官能評価方法を行った。
(視線手段較正工程)
まず、被験者が眼鏡型の視線計測装置を装着した後、視線計測手段に添付のソフトウェアを用いて、較正を行った。較正が終了すると、PC付属のディスプレイに、被験者の視野画像と、検出された被験者の視線(どこを見ているか)が視野画像中に表示される。次いで、被験者に、提示手段の注視点を見るように指示し、ディスプレイ上でも被験者の視線がこの特定位置上に表示されていることを確認した。
(官能評価工程および視線計測工程)
次に、被験者にグミAまたはBを自由咀嚼してもらい、1回の継時的官能評価を行った。自由咀嚼とは、回数や速度等任意に好きなように咀嚼し、好きなタイミングで嚥下してもらうことを意味する。なお、嚥下のタイミングは口中のグミの状態(形状、味等)には関係がない。
視線計測工程は、上述の眼鏡型視線計測装置の較正終了時点から開始することとした。
官能評価においては、被験者には、提示手段の画面の評価項目のうち、グミにその瞬間に感じられた風味に最も近い用語を掲示する評価項目に視線を向け続けるように求めた。官能評価工程の期間は、被験者がグミを口に含んだ時点を始点とし、評価項目に掲示された風味用語をいずれも感じられなくなった時点またはグミを飲み込んだ時点を終点とした。前述のように、官能評価期間の前後は、注視点に視線を向け続けるように被験者に求めた。
官能評価結果のデータ、すなわち被験者が各評価項目内に視線を向けている視線滞留時間帯と、その視線滞留時間帯における評価項目は、視線計測装置に添付のソフトウェアの任意領域解析処理プログラムによって、関連付けて記録手段に記録(格納)した。
<関連付け結果の出力>
関連付け結果をcsv形式で出力するとともに、csvデータに基づいて関連付け結果の積み上げ棒グラフを導出した。PCに付属のディスプレイを出力手段として用い、当該グラフをディスプレイに表示した。ブランク部に視線を向けていると検出されたごく短い時間があったが、その時間は「直前の評価項目に該当しないと考えた結果発生した、その次の評価項目への移動時間中に通過した部分」と考えられ、視線がブランク部を移動中は「次の評価項目を選択していることと同義」と考えて扱った。
実施例1の視線による評価項目の選択(本明細書では視線法とも称する)を行った官能評価における関連付け結果を、実際の視線滞留時間帯の積み上げ棒グラフとして表現したグラフを図2(A)および図2(B)に示した。
[比較例1]:手押し法
テイストテクノロジー合同会社製の官能評価ソフトMagicSenseを用いて、評価項目をマウスクリック(手押し)で選択して、継時的官能評価を行った(本明細書では手押し法とも称する)。サンプリングレートは、3秒に10回のペースで入力を感知する頻度とした。このサンプリングレートは、手押し法で一般的に採用されるものである。比較例1では、実施例1の視線計測装置を装着せず、評価項目の選択をマウスクリックにて行った。マウスクリックでは、上記いずれかの用語の風味を感じた時点でそれを掲示する評価項目を1回クリックし、感じられる風味が変わるごとに該当する評価項目を1回クリックするように被験者に求め、各クリック間の時間帯を、評価項目を選択している時間帯とした。注視点については、被験者に、グミを口に入れて視線計測開始から、グミから前記風味用語のいずれかが感じられるようになるまでの間、および前記風味用語のいずれも感じられなくなったまたはグミを飲み込んだ時点で、注視点をクリックするように被験者に求めた。これら以外は、実施例1と同様とした。なお、実施例1と比較例1のサンプリングレートはこのように異なるが、ヒトが視線を動かすという動作の速度を勘案すると、このサンプリングレートの差は官能評価結果に影響を及ぼし得ないと考えられる。
MagicSenseのデータをTDS−analyzerを用いて評価項目とその項目をマウスクリックで選択した時間帯との関連付けを行った以外は実施例1と同様にして、関連付けおよびその結果の出力を行った。比較例1の手押し法の結果を、実際の視線滞留時間の積み上げ棒グラフとして表現したグラフを図3(A)および図3(B)に示した。
これらの積み上げ棒グラフでは、紙面左側から右側へと時間が経過し、棒グラフの左端が官能評価の開始時点を、棒グラフの右端が官能評価の終了時点を意味する。開始時点から官能評価初期にあたる棒グラフの白色部分は、官能評価開始から、評価項目に記載の風味用語が感じられるようになるまでの時間を表し、この時間帯は注視点に視線を向けていたことを意味する。棒グラフの右端は、被験者が風味を感じられなくなったまたはグミを飲み込んだため注視点に視線を向けたことを意味する。後述の図5〜8についても同様である。
[結果]
<継時的官能評価の時間分解能>
図2(A)、図2(B)、図3(A)および図3(B)の積み上げ棒グラフを解析し、評価項目の切り替わりの回数を導出した。
被験者No.1では、評価項目の切り替わりの回数の解析結果は以下のとおりであった。
グミA評価:実施例1では16回、比較例1では10回。
グミB評価:実施例1では12回、比較例1では8回。
被験者No.2では、評価項目の切り替わりの回数の解析結果は以下のとおりであった。
グミA評価:実施例1では18回、比較例1では13回。
グミB評価:実施例1では18回、比較例1では15回。
これらの結果から、本発明の継時的官能評価システムは、1回の官能評価において選択される評価項目が切り替わる頻度を増やすことができ、官能評価の時間分解能が高いことがわかった。
<評価項目の種類>
図2と図3を比較すると、本発明の視線による選択法が優れていることが示された。例えば、被験者No.1および被験者No.2ともに、グミ(A)の官能評価期間前半期において、実施例1の視線による選択法では「ゼラチン臭」を選択できたものの、比較例1の手押し法では「ゼラチン臭」を選択できていないことがわかった。実施例1の視線による選択法の方が比較例1の手押し法よりも、選択できる評価項目の種類を増やせることがわかった。
これらの結果から、本発明の継時的官能評価システムによれば、被験者の意識をよりよく、よりリアルタイムで反映した継時的官能評価ができることがわかった。視線による選択法では、被験者の作業負担が抑制されたことがその原因の一つと考えられる。
<評価項目の切り替わりの速さ>
図2(A)および図3(A)の比較、および図2(B)および図3(B)の比較より、実施例1の視線による選択法の方が比較例1の手押し法よりも「評価項目の切り替わりの速さ」が優れることがわかった。
この結果から、本発明の継時的官能評価システムは、評価項目の切り替わりの速さが優れるという効果も奏することがわかった。視線による選択法では、被験者の作業負担が抑制されたことがその原因の一つと考えられる。
[実施例2]:視線による選択法
<継時的官能評価システム>
被験対象物として、実施例1で用いた市販のグミBを用いた。
提示手段として、評価項目が記載された画用紙を、壁に貼り付けたものを用いた。評価項目として、グミの風味に関する、「ワキシー」、「フルーティー」、「スウィート」、「フォクシー」なる用語を掲示する四角の評価項目を用いた。なお、フォクシーとは、コンコード種というぶどう品種に特徴的な、当該品種を想起させるブドウの香りである。実施例2で用いた評価項目を示した図を、図4に示した。図4では、評価項目(風味用語を掲示した四角形)、注視点(+部分)およびブランク部(すなわち評価項目でない部分)から構成した。ディスプレイの中央に注視点を配置した。注視点から各評価項目までの最短距離が、いずれも等しくなるように各評価項目を配置した。ある評価項目から他の評価項目に視線移動する際、選択するつもりのない評価項目上を視線が通過しづらいようにブランク部を配置した。各評価項目のデザインがそれぞれ異なるように、特徴部として図4に示すように白四角と黒四角をそれぞれ異なる位置に付記した。
視線計測手段として、実施例1と同じ眼鏡型の視線計測装置を用いた。ただし、ソフトウェアの任意領域解析処理プログラムによって、四角形の各評価項目のデザインの違いを画像認識させて各評価項目を識別する設定とし、被験者が視線を向けている評価項目として自動的に特定するように設定した。
その他は、実施例1と同様として、実施例2の継時的官能評価システムを準備した。
<継時的官能評価方法>
被験者No.1〜4の4人を被験者とした。
まず、被験者が実施例1で用いたものと同じ眼鏡型の視線計測装置を装着した後、実施例1と同様にして較正を行った。
次に、被験者に被験対象物を自由咀嚼してもらい、継時的官能評価を2回繰り返して行った。
その他は、実施例1と同様として、実施例2の継時的官能評価方法を行った。
<関連付け結果の解析>
実施例1と同様にして、関連付け結果の出力を行った。実施例2の1回目の官能評価での視線による選択法の関連付け結果を、実際の視線滞留時間帯の積み上げ棒グラフとして表現したグラフを図5に示した。実施例2の2回目の官能評価での視線による選択法の関連付け結果を、実際の視線滞留時間帯の積み上げ棒グラフとして表現したグラフを図6に示した。
[比較例2]:手押し法
テイストテクノロジー合同会社製の官能評価ソフトMagicSenseを用いて、評価項目をマウスクリック(手押し)で選択して、継時的官能評価を行った。サンプリングレートは、10/3Hzとした。比較例2では、実施例2の視線計測装置を装着せず、評価項目の選択をマウスクリック(手押し)にて行った以外は、実施例2と同様とした。
MagicSenseのデータを、TDS−analyzerを用いて評価項目とその項目をマウスクリックで選択した時間帯との関連付けを行った以外は実施例2と同様にして、関連付け結果の出力を行った。比較例2の1回目の官能評価での手押し法の結果を、実際の視線滞留時間帯の積み上げ棒グラフとして表現したグラフを図7に示した。比較例2の2回目の官能評価での手押し法の結果を、実際の視線滞留時間帯の積み上げ棒グラフとして表現したグラフを図8に示した。
[結果]
<継時的官能評価の全体傾向>
図5〜8に示すように、全体的には、手押し法でも視線による選択法でも、ワキシー、フルーティー、フォクシーの順に時間経過とともに官能評価結果(評価項目)が変化していく傾向であった。
なお、実施例2のように提示手段の評価項目それぞれに固有の特徴部を設け、その特徴部の違いを画像認識して、評価項目を識別した場合、特徴部を設けない場合よりも視線を向けている評価項目の特定がより正確になり得るため、信頼度が高まる可能性がある。
<官能評価の時間分解能>
図5〜8を解析し、評価項目の切り替わりの回数を求めた。
被験者No.1では、手押し法では平均3.5回、視線法では平均7回であり、
被験者No.2では、手押し法では平均4.5回、視線法では平均16回であり、
被験者No.3では、手押し法では平均4.5回、視線法では平均6.5回であり、
被験者No.4では、手押し法では平均5.5回、視線法では平均12回であった。
被験者4人中、全員の時間分解能が大きく上がったことがわかった。
<評価項目の種類>
図5〜8の被験者No.2の後半の期間、および、被験者No.4の前半の期間に特に示されているとおり、マウスクリックなどの手押しで(特定期間において)選択できなかった評価項目を、視線計測手段を用いる場合は選択できた人の割合が増える傾向にあることがわかった。視線による選択法では、被験者の作業負担が抑制されたことがその原因の一つと考えられる。
<評価項目の切り替わりの速さ>
図5〜8のグラフを目視で解析すると、本発明の視線による選択法の方が、手押し法よりも、評価項目の切り替わり回数が増えることに加え、「評価項目の切り替わりの速さ」も速くなる傾向にあることがわかった。視線計測手段で評価項目を選択したデータは、評価項目の切り替わりの頻度が高く、切り替わりの速さも速いことから、被験者が捉えた風味変化をよりダイナミックに(すなわち、被験者が選びたい評価項目をリアルタイムに選びやすく、被験者の意識をより直接的に)官能評価に反映することができることがわかった。視線による選択法では、被験者の作業負担が抑制されたことがその原因の一つと考えられる。
<被験者の作業負担>
手押し法と視線法で継時的官能評価をする場合における、被験者の作業負担を、主観評価アンケートを行って評価した。
実施例2および比較例2においてそれぞれの被験者が自分で評価した結果から得られた4種類のグラフを被験者に見せて、以下のQ1〜Q3のアンケートを行った。アンケートでは、A−1およびA−2は1回目に行った結果であり、B−1およびB−2は2回目に行った結果であることを被験者に示したが、A−1およびA−2のいずれが手押し法の結果であるか視線による選択法の結果であるかをブラインド化して(ランダム化して並べて)示した。B−1およびB−2についても同様にブラインド化して示した。
Q1.実際に食べたときの風味の移り変わりは反映されていますか?
Q2.手押し法と比べたときの視線法の作業負担はどうでしたか?
Q3.手押し法と比べて視線法は、即時性が上がり正確性が向上したと感じますか?
Q1〜Q3の回答欄としてそれぞれ図9〜11のスケールを用い、被験者に該当する部分を選択するように回答を求めた。
それぞれの被験者の主観評価アンケートで得られた回答から、図9〜11のスケールにおいて紙面左側を1点、紙面右側を9点として、選択した回答を点数化した。
4人の被験者の主観評価アンケートの回答をまとめて、以下の主観評価アンケートの結果を得た。
Q1に対する回答の平均値は、手押し法は5点であり、視線法は6.8点であった。手押し法と比べて視線法の方が、実際に食べたときの風味の移り変わりが反映されていたと被験者には感じられることがわかった。なお、この結果は、有意差あり(p<0.05、対応のあるt検定)と言える。
Q2に対する回答の平均値は6.8点であった。手押し法と比べて視線法の方が、作業負担が減ったと被験者には感じられることがわかった。
Q3に対する回答の平均値は6.8点であった。手押し法と比べて視線法の方が、即時性が上がり正確性が向上したと被験者には感じられることがわかった。

Claims (11)

  1. 被験者が、視覚的に提示された2個以上の評価項目に基づいて、被験対象物を継時的に官能評価する継時的官能評価に用いる継時的官能評価システムであって、
    計測された前記被験者の視線に関する情報に基づいて、前記被験者が視線を向けている前記評価項目を特定する特定手段、および
    前記特定手段により特定された前記評価項目に、前記被験者が視線を向けている視線滞留時間帯と、その視線滞留時間帯における前記評価項目とを関連付ける関連付け手段を備える、継時的官能評価システム。
  2. 前記評価項目が感覚情報または印象情報である、請求項1に記載の継時的官能評価システム。
  3. 前記評価項目が嗅覚、味覚またはその両方で感じられる感覚情報である、請求項1または2に記載の継時的官能評価システム。
  4. 前記被験者の視線は、視線計測手段により計測される、請求項3に記載の継時的官能評価システム。
  5. 前記評価項目のそれぞれが、前記視線計測手段の画像認識により区別できる互いに異なる特徴部を有し、前記視線計測手段が、前記評価項目を画像認識して検出した前記特徴部の種類に基づいて前記評価項目を識別する、請求項4に記載の継時的官能評価システム。
  6. 前記視線滞留時間帯とその視線滞留時間帯における評価項目とを記録する記録手段を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の継時的官能評価システム。
  7. 前記関連付け結果に基づいたグラフまたは表を出力する出力手段を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の継時的官能評価システム。
  8. 前記関連付け結果に基づいて、評価項目の切り替わり回数または切り替わり速度を導出する解析手段を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の継時的官能評価システム。
  9. 被験者が、視覚的に提示された2個以上の評価項目に基づいて、被験対象物を継時的に官能評価する継時的官能評価方法であって、
    前記被験者の視線を計測する計測工程と、
    計測された前記被験者の視線に関する情報に基づいて、前記被験者が視線を向けている前記評価項目を特定する特定工程と、
    特定された前記評価項目に前記被験者が視線を向けている視線滞留時間帯と、その視線滞留時間帯の前記評価項目とを関連付ける関連付け工程とを含む、継時的官能評価方法。
  10. 前記評価項目の特定を2回以上繰り返す、請求項9に記載の継時的官能評価方法。
  11. 前記被験対象物が飲食品、香粧品または香料である、請求項9または10に記載の継時的官能評価方法。
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