JP2021012129A - 軸振動監視システム、回転機械 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、主軸を支持するガイド軸受に臨む位置に、一対のセンサー(プローブ)を備え、一対のセンサーの検出信号に基づいて、回転軸の振動異常判定を行う構成が開示されている。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、回転機械の稼働率を高めることができる軸振動監視システム、回転機械を提供することを目的とする。
この発明の第一態様によれば、軸振動監視システムは、軸線回りに回転する回転軸、及び前記回転軸を前記軸線回りに回転可能に支持する軸受を備える回転機械の軸振動監視システムである。軸振動監視システムは、複数のセンサーと、センサー異常判定部と、軸振動監視部と、を備える。複数の前記センサーは、前記回転軸の振動を検出する。前記センサー異常判定部は、複数の前記センサーから出力される検出信号を比較し、複数の前記センサーのうちの少なくとも一つに異常が生じているか否かを判定する。前記軸振動監視部は、複数の前記センサーから出力される検出信号と、前記センサー異常判定部の判定結果とに基づいて、前記回転軸の振動を監視する。
このように構成することで、異常が生じているセンサーの検出信号が補正されるので、軸振動異常判定部では、センサーの異常に起因する検出信号の変動の影響を受けることが抑えられ、回転軸に異常振動が生じていると誤判定されることを抑えられる。
このように構成することで、軸振動異常判定部で、センサーの異常に起因する検出信号の変動によって、回転軸に異常振動が生じていると誤判定されることを抑えられる。
このように構成することで、フィルターによって、センサーの検出信号を、軸振動異常判定部で回転軸に異常振動が生じていると判定される基準値以下となるように補正することができる。
このように構成することで、信号カット部によって、センサーの検出信号を、軸振動異常判定部で回転軸に異常振動が生じていると判定される基準値以下となるように補正することができる。
このようにすることで、軸振動異常判定部により回転軸に異常振動が生じていると判定された場合には、機器異常をオペレータに伝えることで速やかに運転を停止させることができる。
このように構成することで、他のセンサーで検出信号の変動がある一定のレベルを超えない状態のときに、複数のうちの一つ以上のセンサーの検出信号の変動が大きく生じれば、変動が大きいセンサーに異常が生じていると判定することができる。
このように構成することで、周方向に間隔をあけて配置された複数のセンサーのうちの少なくとも一つに異常が生じた場合、センサーの異常の発生を、センサー異常判定部で検出することができる。
このように構成することで、軸線方向に間隔をあけて配置された複数のセンサーのうちの少なくとも一つに異常が生じた場合、センサーの異常の発生を、センサー異常判定部で検出することができる。
このようにすることで、軸受の第一側と第二側とに設けられた複数のセンサーのうち、異常が生じていないセンサーの検出信号のみを用いて、回転軸の振動を監視することができる。
このようにすることで、第一側と第二側とのうち、一方のセンサーに異常が生じている場合でも、異常が生じていない他方のセンサーの検出信号を用いることで測定点数が減少することを抑制できる。そのため、振動モードを高精度に検出可能な状態で回転軸の振動監視を継続できる。
(第一実施形態)
図1は、第一実施形態における軸振動監視システム、回転機械の全体構成を示す模式図である。
図1に示すように、この実施形態の蒸気タービンシステム1は、蒸気タービン2(回転機械)及び軸振動監視システム30を備えている。
回転軸4は、水平方向に延びる軸線Oを中心とした円柱形状をなしている。回転軸4の一部には、スラストカラー4aが形成されている。スラストカラー4aは、軸線Oを中心として円板形状をなしており、フランジ状をなすように回転軸4の本体から回転軸4の径方向外側に一体的に張り出している。
ケーシング21は、ロータ3の一部を外周側から囲うように設けられている。上述したロータ3の回転軸4は、このケーシング21を軸線O方向に貫通している。このように貫通することで、回転軸4の両端は、ケーシング21外に位置している。ケーシング21外に配置された回転軸4の両端は、スラスト軸受8及びジャーナル軸受9に支持されている。ロータ3の動翼列群5は、ケーシング21の内側に配置されている。
軸振動監視システム30は、センサー部50と、軸振動監視装置60と、を備えている。
センサー部50は、ジャーナル軸受9の軸受台10に取り付けられている。各センサー部50は、複数のセンサー51により構成されている。複数のセンサー51は、回転軸4の振動を検出する。この実施形態におけるセンサー部50は、各ジャーナル軸受9に対して、一組ずつ設けられている。
図2に示すように、複数のセンサー51は、回転軸4周りに配置されている。具体的には、複数のセンサー51は、軸線Oを中心とした周方向に間隔をあけて配置されている。この実施形態において、各センサー部50のセンサー51は、各ジャーナル軸受9に対して二つずつ設けられている場合を例示している。これらセンサー51は、軸線Oを中心として、例えば90°の開き角で配置されている。なお、一つのセンサー部50が備える複数のセンサー51同士の開き角は、90°以外であってもよい。
図3に示すように、各センサー51は、ブラケット52を介してジャーナル軸受9の軸受台10に固定されている。各センサー51の先端には、センサー検出部51aが設けられている。これらセンサー検出部51aは、回転軸4の外周面に近接するよう配置されている。この実施形態で例示するセンサー51は、渦電流式ギャップセンサーであって、センサー51のセンサー検出部51aは、回転軸4の外周面に近接して配置されている。センサー51の検出信号は、センサー検出部51aと回転軸4の外周面との間に生じる渦電流の変動に応じて変動する。各センサー51の検出信号は、軸振動監視装置60に送信される。
図4に示すように、軸振動監視装置60は、CPU61(Central Processing Unit)、ROM62(Read Only Memory)、RAM63(Random Access Memory)、HDD64(Hard Disk Drive)、信号受信モジュール65を備えるコンピュータである。信号受信モジュール65は、各センサー51からの検出信号を受信する。
制御部71は、軸振動監視システム30に備わる他の機能部を制御する。
軸振動異常判定部72は、信号入力部70で受信した、複数のセンサー51からの検出信号に基づいて、回転軸4に異常振動が生じているか否かを判定する。この軸振動異常判定部72は、センサー51からの検出信号に基づいて、回転軸4に、予め定められたレベル以上の振動が検出される場合、回転軸4に異常振動が生じていると判定する。軸振動異常判定部72で、回転軸4に異常振動が生じていると判定された場合、制御部71は、蒸気タービン2の運転を停止させることが可能になっている。
センサー異常判定部73は、センサー部50の第一センサー51A(図2参照)からの検出信号Saと、第二センサー51B(図2参照)からの検出信号Sbとを比較する。例えば、図6に示すように、検出信号Saと、検出信号Sbとで、出力レベルの変動pの発生するタイミングが、回転している回転軸4が第一センサー51Aを通過してからから第二センサー51Bを通過するまでの時間だけずれている場合、センサー異常判定部73は、第一センサー51A、第二センサー51Bの双方が正常に動作していると判定する。このとき、第一センサー51Aと第二センサー51Bとでは、回転軸4に対する取り付け向き等に応じて、検出信号Sa、Sbの出力信号が異なっていることがある。しかし、変動pの発生するタイミングが、ほぼ同時出るため、センサー異常判定部73では、第一センサー51Aと第二センサー51Bとが正常に動作していると判定される。
例えば、図7に示すように、検出信号Saと、検出信号Sbとの一方のみに、タイミングが同期していない出力レベルの変動qがある場合、センサー異常判定部73は、変動qを含む検出信号Saを出力した第一センサー51Aに異常が生じていると判定する。
このような信号補正部74としては、例えば、ノッチフィルター等のフィルター77(図5参照)を用いることができる。
図8に示すように、フィルター77は、異常が生じていると判定されたセンサー51の検出信号(例えば、第一センサー51Aの検出信号Sa)から、定められたレベル以上の信号(例えば、スパイクノイズ等)を除去する。このようにして、スパイク状のノイズが重畳したりして異常が生じていると判定されたセンサー51からの信号を、フィルター77で補正することで、検出信号が基準値M以下となるように補正される。
ノッチフィルターとは、信号の特定の周波数帯域だけを非常に低いレベルに減衰させるフィルター回路である。センサー信号に発生するスパイクノイズは、電源ノイズが混入しているケースが多い。フィルター77としてノッチフィルターを用いる場合、電源周波数(50Hzや60Hz)を除去周波数とすることで、ノッチフィルターによって、これらの周波数域のノイズを低減させることができる。
図9に示すように、第二センサー51Bがほぼフラットな出力であるのに対し、第一センサー51Aの出力だけが漸次増加しているような場合、第一センサー51Aに異常が発生していると判断する。この第一センサー51Aの出力の漸次増加がDC成分の増加によるものであれば、信号カット部78を構成するDCカットフィルターにより、このDC成分の増加分をカットして、フラットな出力に補正可能である。DCカットフィルターはハイパスフィルタの一種であり、コンデンサと抵抗を組み合わせた回路にて構成可能である。このようにして、直流成分が増加するような異常が生じていると判定されたセンサー51からの信号を、信号カット部78で補正することで、検出信号が基準値M以下となるように補正される。なお、フィルター77と信号カット部78とは併用してもよい。
図10は、第一実施形態に係る軸振動監視システムの軸振動監視装置における、センサーの監視方法のフローチャートである。
図10に示すように、軸振動監視装置60は、蒸気タービン2の運転が開始されると、センサー部50の複数のセンサー51から出力される検出信号を取得する(ステップS1)。
具体的には、信号補正部74は、異常が生じていると判定されたセンサー51の検出信号を、基準値M(閾値)以下となるように補正する。この補正した検出信号は、軸振動異常判定部72に入力される。つまり、センサー異常に起因して回転軸4に異常振動が生じているとは判定されないようになる。これにより、センサー51に異常が生じている場合であっても、蒸気タービン2の運転はそのまま継続可能となる。
軸振動異常判定部72では、入力された検出信号に基づいて、軸振動異常判定の処理を行い(ステップ4)、上述した一連の処理を繰り返す(リターン)。軸振動異常判定部72による軸振動異常判定の処理で軸振動が異常であると判定された場合には、例えば、制御部71によって、蒸気タービン2が運転停止される。
次に、この発明に係る軸振動監視システム、回転機械の第二実施形態について説明する。以下に説明する第二実施形態においては、第一実施形態とセンサー部の構成のみが異なるので、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
図11に示すように、蒸気タービンシステム1Bは、蒸気タービン2(回転機械)及び軸振動監視システム30Bを備える。
センサー部50Bは、ジャーナル軸受9の軸受台10にそれぞれに取り付けられている。センサー部50Bは、軸線O方向において定められた寸法の範囲内で離間した2以上の位置に、それぞれ複数のセンサー51が設けられている。具体的には、この第二実施形態におけるセンサー部50Bは、ジャーナル軸受9に対して、軸線O方向第一側と、軸線O方向第二側とに、それぞれ複数のセンサー51を備えている。ここで、各センサー部50Bにおいて、軸線O方向で複数のセンサー51同士を互いに離間させる間隔は、例えば、軸受台10の軸方向の幅寸法程度とすればよい。
図12に示すように、ジャーナル軸受9の軸線O方向第一側と、軸線O方向第二側とのそれぞれにおいて、各センサー51は、ブラケット52を介してジャーナル軸受9の軸受台10に固定されている。各センサー51は、その先端に設けられたセンサー検出部51aが、回転軸4の外周面に摺接、または近接するよう配置されている。各センサー51における検出信号は、所定の微少間隔ごとに、軸振動監視装置60に送信される。
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
例えば、実施形態では本発明を蒸気タービン2に適用した例について説明したが、例えばガスタービン等の他の回転機械に適用してもよい。
また、第二実施形態では、ジャーナル軸受9の軸線O方向一方側に設けられたセンサー51の数と軸線O方向他方側に設けられたセンサー51の数とが、同一である場合について説明したが、同一に限られない。
さらに、第二実施形態において、軸振動監視部76(軸振動異常判定部72及び信号補正部74)を省略してもよい。
2 蒸気タービン(回転機械)
3 ロータ
4 回転軸
4a スラストカラー
5 動翼列群
6 動翼列
7 動翼
8 スラスト軸受
9 ジャーナル軸受
10 軸受台
20 ステータ
21 ケーシング
22 静翼列群
23 静翼列
24 静翼
30、30B 軸振動監視システム
50、50B センサー部
51 センサー
51A 第一センサー
51B 第二センサー
51a センサー検出部
52 ブラケット
60 軸振動監視装置
61 CPU
62 ROM
63 RAM
64 HDD
65 信号受信モジュール
70 信号入力部
71 制御部
72 軸振動異常判定部
73 センサー異常判定部
74 信号補正部
75 出力部
76 軸振動監視部
77 フィルター
78 信号カット部
M 基準値
O 軸線
Sa、Sb 検出信号
Claims (14)
- 軸線回りに回転する回転軸、及び前記回転軸を前記軸線回りに回転可能に支持する軸受を備える回転機械の軸振動監視システムであって、
前記回転軸の振動を検出する複数のセンサーと、
複数の前記センサーから出力される検出信号を比較し、複数の前記センサーのうちの少なくとも一つに異常が生じているか否かを判定するセンサー異常判定部と、
複数の前記センサーから出力される検出信号と、前記センサー異常判定部の判定結果とに基づいて、前記回転軸の振動を監視する軸振動監視部と、を備える
軸振動監視システム。 - 前記軸振動監視部は、
複数の前記センサーから出力される検出信号に基づいて、前記回転軸に異常振動が生じているか否かを判定する軸振動異常判定部と、
前記センサー異常判定部で複数の前記センサーのうちの少なくとも一つに異常が生じていると判定された場合、異常が生じていると判定された前記センサーの検出信号を補正する信号補正部と、を備える
請求項1に記載の軸振動監視システム。 - 前記信号補正部は、
異常が生じていると判定された前記センサーの検出信号を、前記軸振動異常判定部で前記回転軸に異常振動が生じていると判定される基準値以下となるように補正する、
請求項2に記載の軸振動監視システム。 - 前記信号補正部は、
異常が生じていると判定された前記センサーの検出信号から、定められたレベル以上の信号を除去するフィルターを備える、
請求項2又は3に記載の軸振動監視システム。 - 前記信号補正部は、
異常が生じていると判定された前記センサーからの検出信号を、定めたレベル以下にカットする信号カット部を備える、
請求項2から4の何れか一項に記載の軸振動監視システム。 - 前記軸振動異常判定部により、前記回転軸に異常振動が生じていると判定された場合、機器異常の警報出力部を備える請求項2から5の何れか一項に記載の
軸振動監視システム。 - 前記センサー異常判定部は、
複数の前記センサーからの検出信号に生じた変動のタイミングを比較することで、複数の前記センサーのうちの少なくとも一つに異常が生じているか否かを判定する、
請求項1から6の何れか一項に記載の軸振動監視システム。 - 複数の前記センサーは、
前記回転軸の前記軸線を中心とした周方向に間隔をあけて配置されている、
請求項1から7の何れか一項に記載の軸振動監視システム。 - 複数の前記センサーは、
前記回転軸の前記軸線方向で互いに異なる位置に配置されている、
請求項1から8の何れか一項に記載の軸振動監視システム。 - 前記センサーは、
前記軸線方向で前記軸受の第一側と第二側とにそれぞれ設けられている請求項1から9の何れか一項に記載の軸振動監視システム。 - 前記センサーは、
前記軸線方向で前記軸受の第一側と第二側とにそれぞれ設けられ、
前記軸振動監視部は、
複数の前記センサーの検出信号のうち、前記異常が生じていると判定された前記センサーの検出信号を除外する
請求項1又は2に記載の軸振動監視システム。 - 前記軸振動監視部は、
前記センサー異常判定部により前記軸受の第一側と第二側とのうちの一方の前記センサーに異常が生じていると判定された場合に、他方の前記センサーの検出信号を用いて前記回転軸の振動を監視する
請求項11に記載の軸振動監視システム。 - 軸線回りに回転する回転軸、及び前記回転軸を前記軸線回りに回転可能に支持する軸受を備える回転機械の軸振動監視システムであって、
前記軸線方向で前記軸受の第一側と第二側とにそれぞれ前記回転軸の振動を検出するセンサーを有したセンサー部と、
前記センサー部から出力される検出信号に基づいて、前記回転軸に異常振動が生じているか否かを判定する軸振動異常判定部と、を備える、
軸振動監視システム。 - 請求項1から13の何れか一項に記載の軸振動監視システムと、
軸線回りに回転する回転軸と、
前記回転軸を前記軸線回りに回転可能に支持する軸受と、を備える
回転機械。
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