JP2021011934A - ソレノイドバルブの制御装置および制御方法 - Google Patents

ソレノイドバルブの制御装置および制御方法 Download PDF

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武道 磯野
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直人 濱田
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Abstract

【課題】ソレノイドバルブの摺動性を良好に確保しつつ制御性をより向上させる。【解決手段】油圧指令値に応じた油圧を出力するようにソレノイドバルブの電磁部に印加される電圧をPWM信号により制御する制御装置は、PWM信号の周期よりも長く定められたディザ周期内で目標電圧に対する加算量および減算量の総和がゼロになるように目標電圧にパルス電圧を重畳させると共に、目標電圧の大きさに応じてディザ周期内におけるパルス電圧の加算回数と減算回数との比を変化させる電圧重畳部を含む。【選択図】図3

Description

本開示は、油圧指令値に応じた油圧を出力するようにソレノイドバルブの電磁部に印加される電圧をPWM信号により制御するソレノイドバルブの制御装置および制御方法に関する。
従来、出力油圧がフィードバックされるように油圧回路に設けられたリニアソレノイドバルブを制御する電流制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この電流制御装置は、PWM信号生成部、目標設定部、デューティ比設定部および振動検出部を含む。目標設定部は、リニアソレノイドバルブの励磁電流の目標値であって、所定のディザ振幅およびPWM信号のパルス周期であるPWM周期よりも長いディザ周期で周期的に変化する目標電流値を設定する。また、振動検出部は、目標電流値と実電流値との位相差を算出し、目標電流値の増加に対して位相差が減少を示すと判定した場合または目標電流値の減少に対して位相差が増加を示すと判定した場合に、出力油圧によるフィードバックとディザ周期でのリニアソレノイドバルブの駆動との共振による自励振動が生じていることを検出する。これにより、リニアソレノイドバルブのスプールを微振動させて静摩擦に起因する応答性の低下や応答ばらつきを抑制すると共に、センサ等を追加することなくリニアソレノイドバルブの自励振動を検出することができる。
特開2018−195624号公報
ところで、上述のようなソレノイドバルブの制御性をより向上させるためには、PWM周期をより短く(PWM周波数をより大きく)することが考えられる。しかしながら、PWM周期が短い場合、ソレノイドバルブに供給される電流の振幅が小さくなることから、ソレノイドバルブのスプール等を適正に微振動させることが困難となり、ソレノイドバルブの摺動性を良好に確保することが困難となる。
そこで、本開示は、ソレノイドバルブの摺動性を良好に確保しつつ制御性をより向上させることを主目的とする。
本開示のソレノイドバルブの制御装置は、油圧指令値に応じた油圧を出力するようにソレノイドバルブの電磁部に印加される電圧をPWM信号により制御するソレノイドバルブの制御装置において、前記油圧指令値に応じた目標電流を設定する目標電流設定部と、前記電磁部に供給される電流が前記目標電流に一致するように目標電圧を設定する目標電圧設定部と、前記PWM信号の周期よりも長く定められたディザ周期内で前記目標電圧に対する加算量および減算量の総和がゼロになるように前記目標電圧設定部からの前記目標電圧にパルス電圧を重畳させると共に、前記目標電圧の大きさに応じて前記ディザ周期内における前記パルス電圧の加算回数と減算回数との比を変化させる電圧重畳部と、前記電圧重畳部により前記パルス電圧が重畳された前記目標電圧を前記PWM信号に変換するPWM信号生成部とを含むものである。
本開示のソレノイドバルブの制御装置の電圧重畳部は、PWM信号の周期よりも長く定められたディザ周期内で目標電圧に対する加算量および減算量の総和がゼロになるように目標電圧設定部からの目標電圧にパルス電圧を重畳させる。これにより、電磁部に供給される電流をディザ周期で振動させてソレノイドバルブを微振動させることができる。ただし、目標電圧に対する1回あたりの加算量は、ソレノイドバルブの電源の電圧と目標電圧との差分の制約を受け、目標電圧に対する1回あたりの減算量は、PWM信号の最小デューティ比に対応した最低保証電圧と目標電圧との差分の制約を受ける。これを踏まえて、電圧重畳部は、目標電圧の大きさに応じてディザ周期内におけるパルス電圧の加算回数と減算回数との比を変化させる。これにより、目標電圧の大きさに拘わらず、ディザ周期内における加算量および減算量を両者の総和をゼロにしつつ、それぞれ適正に確保することが可能となる。従って、ソレノイドバルブの制御性を向上させるためにPWM信号の周期を短くしても、ソレノイドバルブの電磁部に供給される電流の振幅を良好に確保することができる。この結果、本開示のソレノイドバルブの制御装置によれば、ソレノイドバルブの摺動性を良好に確保しつつ制御性をより向上させることが可能となる。
本開示のソレノイドバルブの制御装置を示すブロック構成図である。 本開示のソレノイドバルブの制御装置により実行されるルーチンの一例を示すフローチャートである。 (a)、(b)および(c)は、本開示のソレノイドバルブの制御装置による目標電圧に対するパルス電圧の重畳手順を例示する説明図である。 本開示のソレノイドバルブの制御装置による目標電圧に対するパルス電圧の重畳手順を例示する説明図である。 本開示のソレノイドバルブの制御装置による目標電圧に対するパルス電圧の重畳手順を例示する説明図である。 ディザパターンを変化させる際にソレノイドバルブに供給される電流の状態を示す説明図である。 本開示のソレノイドバルブの制御装置により実行されるルーチンの一例を示すフローチャートである。 (a)、(b),(c)および(d)は本開示のソレノイドバルブの制御装置による目標電圧に対するパルス電圧の重畳手順を例示する説明図である。
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本開示の制御装置である電子制御装置(以下、「ECU」という。)20を示すブロック構成図である。同図に示すECU20は、車両に搭載されるエンジンEGからの動力を左右の駆動輪(図示省略)に連結されたドライブシャフト9に伝達する動力伝達装置1を制御するものである。動力伝達装置1は、クランクシャフトと左右のドライブシャフト9とが略平行をなすように横置きに配置されたエンジンEGに連結されるトランスアクスルとして構成されている。動力伝達装置1は、トランスミッションケース2や、当該トランスミッションケース2の内部に収容される発進装置(流体伝動装置)3、エンジンEGにより駆動される機械式のオイルポンプ4、前後進切換機構5、ベルト式の無段変速機(CVT)6、ギヤ機構7、デファレンシャルギヤ(差動機構)8、ECU20により制御される油圧制御装置10等を含む。なお、動力伝達装置1は、前後進切換機構5および無段変速機6の代わりに、有段変速機、デュアルクラッチトランスミッション、ハイブリッドトランスミッション等を含むものであってもよく、電動オイルポンプを含むものであってもよい。
油圧制御装置10は、作動油貯留部から作動油を吸引して吐出するオイルポンプ4に接続されるものである。油圧制御装置10は、複数の油路が形成されたバルブボディや、プライマリレギュレータバルブ、調圧バルブ、切替バルブ、マニュアルバルブ等(何れも図示省略)に加えて、複数のソレノイドバルブSLを含む。本実施形態において、各ソレノイドバルブSLは、図1に示すように、コイルを含む電磁部EMと、電磁部EMにより軸方向に移動させられる可動部品であるプランジャおよびスプール(図示省略)とを含むリニアソレノイドバルブである。各ソレノイドバルブSLは、信号圧、前後進切換機構5のクラッチへの油圧、前後進切換機構5のブレーキへの油圧、無段変速機6のプライマリシリンダへの油圧、およびセカンダリシリンダへの油圧のうちの対応する油圧を調圧する。
油圧制御装置10の各ソレノイドバルブSLは、車両に搭載された電源としての補機バッテリ50からの電力により駆動される。補機バッテリ50は、例えば12Vの定格出力電圧を有する鉛蓄電池等であり、例えばエンジンEGによって駆動される図示しないオルタネータ等の発電機により発電された電力で充電される。また、補機バッテリ50の電圧(端子間電圧)Vbatは、車両の状態やオルタネータの発電状態等に応じて、例えば9Vから16V程度の範囲内で変動する。
油圧制御装置10を制御するECU20は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を含むマイクロコンピュータや各種ロジックIC等(何れも図示省略)を含む。図1に示すように、ECU20には、CPUやROM、RAM、ロジックICといったハードウエアと、ROMにインストールされた各種プログラムといったソフトウェアとの少なくとも何れか一方により、演算処理部21と、それぞれ油圧制御装置10の対応するソレノイドバルブSLに接続される複数のバルブ駆動制御部22とが機能ブロック(モジュール)として構築される。なお、図1には、説明の簡単のために、1つのバルブ駆動制御部22のみを示す。
また、ECU20は、図示しないアクセルペダルポジションセンサにより検出される車両のアクセルペダルの踏み込み量を示すアクセル開度Accや、図示しない車速センサにより検出される車両の車速V、図示しない電圧センサにより検出される補機バッテリ50の電圧Vbat、図示しない温度センサにより検出される上記作動油の温度(油温)Toil等を入力する。ただし、ECU20は、車速Vの代わりに、図示しない回転速度センサにより検出される無段変速機6のセカンダリシャフト(出力軸)等の回転速度(出力回転速度)Noutを入力するものであってもよい。
ECU20の演算処理部21は、アクセルペダルポジションセンサからのアクセル開度Accや車速センサからの車速Vを入力し、入力したアクセル開度Accおよび車速Vに基づいて各ソレノイドバルブSLから出力されるべき油圧を示す油圧指令値を算出する。更に、演算処理部21は、当該油圧指令値に対応した各ソレノイドバルブSLの電磁部EMに供給される電流Iemの目標値である目標電流Itagを算出する。
ECU20の各バルブ駆動制御部22は、図1に示すように、対応するソレノイドバルブSLの電磁部EMに供給される電流Iemが目標電流Itagに一致するように目標電圧Vtagを設定する目標電圧設定部23と、目標電圧設定部23により設定された目標電圧Vtagにパルス電圧を重畳させる電圧重畳部25と、電圧重畳部25によりパルス電圧が重畳された目標電圧VtagをPWM信号に変換するPWM信号生成部26と、対応するソレノイドバルブSLの電磁部EMに接続される駆動回路27と、対応するソレノイドバルブSLの電磁部EMを流れる電流Iemを検出する電流検出部28と、フィルタ処理部29とを含む。
本実施形態において、目標電圧設定部23は、フィードバック制御部24Bと、フィードフォワード制御部24Fとを含む。フィードバック制御部24Bは、演算処理部21からの目標電流Itagと電流検出部28により検出された電流Iemとの差分に基づくPI制御あるいはPID制御によりフィードバック目標電圧を算出する。すなわち、フィードバック制御部24Bは、目標電流Itagと電流Iemとの差分に基づく比例項や積分項等の和をフィードバック電圧として出力する。また、フィードフォワード制御部24Fは、演算処理部21からの目標電流Itagと、油温Toilを考慮して目標電圧Vtagの前回値と目標電流Itagとから算出される電磁部EMの抵抗値(推定値)との積をフィードフォワード電圧として出力する。そして、目標電圧設定部23は、フィードバック制御部24Bからのフィードバック電圧と、フィードフォワード制御部24Fからのフィードフォワード目標電圧とを合成した目標電圧Vtagを出力する。ただし、目標電圧設定部23からフィードフォワード制御部24Fが省略されてもよい。
電圧重畳部(ディザ制御部)25は、PWM信号生成部26により生成されるPWM信号の周期(PWM周期)よりも長く定められたディザ周期(例えば、5msec)内で目標電圧Vtagに対する加算量および減算量の総和がゼロになるように目標電圧設定部23からの目標電圧Vtagにパルス電圧を重畳させる。これにより、電磁部EMに供給される電流Iemをディザ周期で振動させてソレノイドバルブSLのプランジャやスプール(可動部品)を微振動させ、静摩擦に起因するソレノイドバルブSLの応答性の低下や応答ばらつきを抑制することが可能となる。本実施形態において、ディザ周期は、PWM信号の周期の整数倍であり、電圧重畳部25は、PWM信号の1周期ごとに目標電圧Vtagを増加または減少させる。
PWM信号生成部26は、電圧重畳部25によりパルス電圧が重畳された目標電圧Vtagと補機バッテリ50の電圧Vbatとを入力し、予め定められたPWM周期ごとに、目標電圧Vtagおよび電圧Vbatに基づいてパルスの幅を変調したPWM信号を対応する駆動回路27に出力する。本実施形態において、PWM信号生成部26は、補機バッテリ50の電圧Vbatが高くなるにつれてPWM信号のデューティ比を小さくする。また、PWM信号生成部26により設定されるPWM信号のデューティ比は、油温Toilすなわち電磁部EMの抵抗値が低下するにつれて小さくなる。更に、本実施形態では、PWM周期が例えば1msec程度の極小さい値に設定されており、これによりフィードバック周期をより短くして各ソレノイドバルブの制御性を向上させることができる。ただし、PWM周期が任意の値に定められてもよいことはいうまでもない。
駆動回路27は、例えばMOSFET、バイポーラトランジスタあるいはIGBTである第1および第2スイッチング素子Tr1,Tr2を含む。第1スイッチング素子Tr1のドレインは、補機バッテリ50の正極に接続され、第1スイッチング素子Tr1のソースと第2スイッチング素子Tr2のドレインとは、互いに接続され、第2スイッチング素子Tr2のソースは接地される。また、当該駆動回路27に対応したソレノイドバルブSLの電磁部EMは、互いに接続された第1スイッチング素子Tr1のソースおよび第2スイッチング素子Tr2のドレインと、第2スイッチング素子Tr2のソースとに接続される。更に、PWM信号生成部26は、第1および第2スイッチング素子Tr1,Tr2のゲートに接続される。
これにより、PWM信号生成部26からのPWM信号により第1スイッチング素子Tr1がオンされると共に第2スイッチング素子Tr2がオフされると、補機バッテリ50の電圧Vbatが対応するソレノイドバルブSLの電磁部EM(コイル)に印加され、当該電磁部EMに起電流が流れる。これに対して、PWM信号生成部26からのPWM信号により第1スイッチング素子Tr1がオフされると共に第2スイッチング素子Tr2がオンされると、対応するソレノイドバルブSLの電磁部EM(コイル)が接地され、当該電磁部EMに逆起電流が流れる。
電流検出部28は、第2スイッチング素子Tr2のソースに接続されたシャント抵抗と、当該シャント抵抗の第2スイッチング素子Tr2側と接地側との電圧差を検出するオペアンプと、オペアンプの出力(アナログ信号)をデジタル信号に変換するA/D変換器等を含む(何れも図示省略)。フィルタ処理部29は、フィルタ処理により電流検出部28(A/D変換器)の出力から上記パルス電圧のディザ周期に対応した周波成分を除去するものである。フィルタ処理部29は、バンドストップフィルタであってもよく、ノッチフィルタ、ハイパスフィルタあるいはバンドパスフィルタであってもよい。
続いて、図2から図8を参照しながら、ECU20の電圧重畳部25による目標電圧Vtagへのパルス電圧の重畳手順について説明する。
図2は、目標電圧設定部23からの目標電圧Vtagにパルス電圧を重畳するためにECU20の電圧重畳部25により実行されるルーチンの一例を示すフローチャートである。図2のルーチンは、電圧重畳部25により上記ディザ周期と同一周期(例えば、5msec)で繰り返し実行される。
図2のルーチンの開始に際し、電圧重畳部25は、目標電圧設定部23からの目標電圧Vtagを取得し(ステップS100)、目標電圧VtagがPWM信号生成部26により生成されるPWM信号の最小デューティ比に対応した最低保証電圧Vmin以上であるか否かを判定する(ステップS110)。PWM信号の最小デューティ比は、出力電圧が三角波状にならないようにするPWM信号のデューティ比の最小値(例えば、3%程度)として予め定められる。また、最低保証電圧Vminは、当該最小デューティ比やPWM信号生成部26を構成するICおよび駆動回路27の諸元等に基づいて、補機バッテリ50の電圧Vbatや油温Toil(電磁部EMの抵抗値)に拘わらず、目標電圧Vtagに基づいて設定されるPWM信号のデューティ比を最小デューティ比未満にしない電圧として予め定められる。本実施形態において、最低保証電圧Vminは、例えば、500〜700mV程度の電圧値である。ただし、ステップS110において、目標電圧Vtagは、最低保証電圧Vminの代わりに、予め実験・解析を経て定められた最低保証電圧Vminよりも若干大きい閾値と比較されてもよい。
ステップS110にて目標電圧Vtagが最低保証電圧Vmin以上であると判定した場合(ステップS110:YES)、電圧重畳部25は、フラグFが値1であるか否かを判定し(ステップS120)、フラグFが値0であると判定した場合(ステップS120:NO)、目標電圧Vtagが予め定められた比較的小さい第1閾値VL以上であるか否かを判定する(ステップS130)。ステップS130にて目標電圧Vtagが第1閾値VL以上であると判定した場合(ステップS130:YES)、電圧重畳部25は、目標電圧Vtagが予め定められた第1閾値VLよりも大きい第2閾値VH(VH>VL)以下であるか否かを判定する(ステップS140)。
ステップS130にて目標電圧Vtagが第1閾値VL以上であると判定し、かつステップS140にて目標電圧Vtagが第2閾値VH以下であると判定した場合(ステップS130:YES,ステップS140:YES)、電圧重畳部25は、上記ディザ周期内における目標電圧Vtagに対するパルス電圧の加算回数と減算回数との比を示すディザパターン(加算回数:減算回数)を“2:3”に設定する(ステップS150)。また、ステップS140にて目標電圧Vtagが第2閾値VHを上回っていると判定した場合(ステップS140:NO)、電圧重畳部25は、ディザパターン(加算回数:減算回数)を“3:2”に設定する(ステップS160)。更に、電圧重畳部25は、ステップS130にて目標電圧Vtagが第1閾値VL未満であると判定した場合(ステップS130:NO)、ディザパターン(加算回数:減算回数)を“1:4”に設定する(ステップS170)。
ステップS150,S160またはS170の処理の後、電圧重畳部25は、設定したディザパターンと図2のルーチンの前回実行時におけるディザパターンとを比較し、目標電圧Vtagに対応したディザパターンが変化したか否かを判定する(ステップS180)。ステップS180にてステップS150,S160またはS170にて設定したディザパターンと前回実行時におけるディザパターンとが同一であって目標電圧Vtagに対応したディザパターンが変化していないと判定した場合(ステップS180:YES)、電圧重畳部25は、上記フラグFを値0に設定する(ステップS190)。次いで、電圧重畳部25は、ステップS150,S160またはS170にて設定したディザパターンに従い、ディザ周期が経過するまで、PWM信号の1周期(PWM周期)ごとに目標電圧Vtagを増加または減少させ(ステップS200)、再度ステップS100以降の処理を実行する。
ステップS200において、電圧重畳部25は、ステップS150,S160またはS170にて設定したディザパターンに対応した図示しないマップまたは演算式を用いて目標電圧Vtagおよび補機バッテリ50の電圧Vbatに対応したPWM信号の1周期ごとの加算量(加算電圧)ΔVa(正の値)および減算量(減算電圧)ΔVs(負の値)を設定する。当該マップまたは演算式は、加算量ΔVaと対応するディザパターンにおける加算回数との積と、減算量ΔVsと対応するディザパターンにおける減算回数との積との和(ディザ周期内における加算量ΔVaと減算量ΔVsとの総和)をゼロにする適正な加算量ΔVaおよび減算量ΔVsと目標電圧Vtagおよび電圧Vbatとの関係を規定するように実験・解析を経て予め適合されている。また、当該マップまたは演算式は、上記ディザパターンごとに、加算量ΔVaの絶対値を補機バッテリ50の電圧Vbatと目標電圧Vtagとの差分の絶対値以下にし、かつ減算量ΔVsの絶対値を目標電圧Vtagと上記最低保証電圧Vminとの差分の絶対値以下にするように予め適合されている。そして、ステップS200において、電圧重畳部25は、ステップS150,S160またはS170にて設定したディザパターンにおける加算回数だけPWM信号の1周期ごとに目標電圧Vtagを加算量ΔVaだけ増加させた後、当該ディザパターンにおける減算回数だけPWM信号の1周期ごとに目標電圧Vtagを減算量ΔVs(絶対値)だけ減少させる。
より詳細には、ステップS150にてディザパターン(加算回数と減算回数との比)を“2:3”に設定した場合、電圧重畳部25は、図3(a)に示すように、PWM周期ごとに目標電圧Vtagを加算量ΔVaだけ2回増加させた後、加算量ΔVaと減算量ΔVsとの総和がゼロになるように、PWM周期ごとに目標電圧Vtagを減算量ΔVs(絶対値)だけ3回減少させる。また、目標電圧Vtagが比較的大きく、ステップS160にてディザパターン(加算回数と減算回数との比)を“3:2”に設定した場合、電圧重畳部25は、図3(b)に示すように、PWM周期ごとに目標電圧Vtagを加算量ΔVaだけ3回増加させた後、加算量ΔVaと減算量ΔVsとの総和がゼロになるように、PWM周期ごとに目標電圧Vtagを減算量ΔVs(絶対値)だけ2回減少させる。更に、目標電圧Vtagが比較的小さく、ステップS170にてディザパターン(加算回数と減算回数との比)を“1:4”に設定した場合、電圧重畳部25は、図3(c)に示すように、PWM周期ごとに目標電圧Vtagを加算量ΔVaだけ1回増加させた後、加算量ΔVaと減算量ΔVsとの総和がゼロになるように、PWM周期ごとに目標電圧Vtagを減算量ΔVs(絶対値)だけ4回減少させる。すなわち、電圧重畳部25は、目標電圧Vtagが低くなるにつれて、パルス電圧の加算回数を減らすと共に減算回数を増加させる。また、図3(a)から図3(c)に示すように、目標電圧Vtagに対する1回あたりの加算量ΔVa(絶対値)は、基本的に、目標電圧Vtagが低くなるにつれて大きくなる。
一方、ステップS150,S160またはS170にて設定したディザパターンと前回実行時におけるディザパターンとが同一ではなく、目標電圧Vtagに対応したディザパターンが変化したと判定した場合(ステップS180:NO)、電圧重畳部25は、上記フラグFを値1に設定する(ステップS210)。更に、電圧重畳部25は、ディザパターンを前回のディザパターンからステップS150,S160またはS170にて設定したディザパターンへとスムースに移行させるための移行処理によりPWM信号の1周期ごとに目標電圧Vtagを増加または減少させ(ステップS220)、再度ステップS100以降の処理を実行する。
ステップS220において、ディザパターンの変化(目標電圧Vtagの増加)によりパルス電圧の加算回数が増加する場合、電圧重畳部25は、変化後のディザパターンのマップまたは演算式を用いて目標電圧Vtagおよび補機バッテリ50の電圧Vbatに対応したPWM信号の1周期ごとの減算量ΔVsを設定する。更に、ステップS220において、電圧重畳部25は、図4において破線で示すように、継続して目標電圧Vtagを増加させるタイミング(図4におけるPWM周期の1周期目)での加算量ΔVaを予め定められた制約に従って減少させると共に、図4において太い実線で示すように、ディザパターンの変化に応じて新たに目標電圧Vtagを増加させるタイミング(図4におけるPWM周期の2周期目)での加算量ΔVa(または減算量ΔVs)をディザ周期内における加算量ΔVaと減算量ΔVsとの総和がゼロになるように設定する。そして、電圧重畳部25は、設定した加算量ΔVaおよび減算量ΔVsに従ってPWM信号の1周期ごとに目標電圧Vtagを増加または減少させる。
また、ステップS220において、ディザパターンの変化(目標電圧Vtagの減少)によりパルス電圧の加算回数が減少する場合、電圧重畳部25は、変化後のディザパターンのマップまたは演算式を用いて目標電圧Vtagおよび補機バッテリ50の電圧Vbatに対応したPWM信号の1周期ごとの減算量ΔVsを設定する。更に、ステップS220において、電圧重畳部25は、図5において太い実線で示すように、継続して目標電圧Vtagを増加させるタイミング(図5におけるPWM周期の1周期目)での加算量ΔVaを予め定められた制約に従って増加させると共に、図5において破線で示すように、ディザパターンの変化に応じて新たに目標電圧Vtagを減少させるタイミング(図5におけるPWM周期の2周期目)での減算量ΔVs(または加算量ΔVa)をディザ周期内における加算量ΔVaと減算量ΔVsとの総和がゼロになるように設定する。そして、電圧重畳部25は、設定した加算量ΔVaおよび減算量ΔVsに従ってPWM信号の1周期ごとに目標電圧Vtagを増加または減少させる。本実施形態において、ステップS220の処理は、ディザパターンが変化してから予め定められた移行時間(所定時間)tref(例えば、200msec程度)が経過した時点で加算量ΔVaおよび減算量ΔVsを変化後のディザパターンに対応した値に一致させるように実行される。
ステップS210にてフラグFが値1に設定された後に図2のルーチンが再度実行された際には、ステップS120にてフラグFが値1と判定される。ステップS120にてフラグFが値1であると判定した場合(ステップS120:YES)、電圧重畳部25は、フラグFが値0から値1に変化してからの経過時間が上記移行時間trefに達したか否かを判定する(ステップS125)。ステップS125にて当該経過時間が移行時間trefに達していないと判定した場合(ステップS125:NO)、電圧重畳部25は、上述のステップS220の処理を実行して図2のルーチンを一旦終了させる。これにより、継続して目標電圧Vtagを増加させるタイミングでの加算量ΔVaと、ディザパターンの変化に応じて新たに目標電圧Vtagを増加または減少させるタイミングでの加算量ΔVaまたは減算量ΔVsとが時間の経過と共に徐々に変化していくことになる。また、ステップS125にて当該経過時間が移行時間trefに達したと判定した場合(ステップS125:YES)、電圧重畳部25は、上述のステップS130−S200の処理を実行する。これにより、ステップS190にてフラグFが値0に設定され、ステップS220の処理の実行が解除される。
上述のような図2のルーチンが実行される結果、ECU20の目標電圧設定部23により設定された目標電圧Vtagには、PWM信号の周期(PWM周期)よりも長く定められたディザ周期内で目標電圧Vtagに対する加算量ΔVaおよび減算量ΔVsの総和がゼロになるように電圧重畳部25によってパルス電圧が重畳される(ステップS200,S220)。すなわち、目標電圧Vtagは、PWM周期の整数倍のディザ周期内で加算量ΔVaおよび減算量ΔVsの総和がゼロになるようにPWM信号の1周期ごとに増加または減少する。また、目標電圧Vtagに対する1回あたりの加算量ΔVaは、補機バッテリ50の電圧Vbatと目標電圧Vtagとの差分の制約を受け、目標電圧Vtagに対する1回あたりの減算量ΔVsは、PWM信号の最小デューティ比に対応した最低保証電圧Vminと目標電圧Vtagとの差分の制約を受ける。これを踏まえ、ECU20の電圧重畳部25は、目標電圧Vtagの大きさに応じてディザ周期内におけるパルス電圧の加算回数と減算回数との比を示すディザパターンを変化させる。
これにより、図3に示すように、目標電圧Vtagの大きさに拘わらず、ディザ周期内における加算量ΔVaおよび減算量ΔVsを両者の総和をゼロにしつつ、それぞれ適正に確保することが可能となる。従って、ソレノイドバルブSLの制御性を向上させるためにPWM信号の周期を短くしても、図3に示すように、ソレノイドバルブSLの電磁部EMに供給される電流Iemの振幅を良好に確保することができる。この結果、電磁部EMに供給される電流Iemをディザ周期で振動させてソレノイドバルブSLの摺動性を良好に確保しつつ、当該ソレノイドバルブSLの制御性をより向上させることが可能となる。なお、上記ディザ周期は、PWM信号の周期の整数倍であれば、任意の値であってもよく、ステップS150,S160およびS170にて設定されるディザパターンも任意に定めることができる。
また、ECU20の電圧重畳部25は、図3に示すように、目標電圧Vtagが低くなるにつれて、ディザ周期内におけるパルス電圧の加算回数を減らすと共に減算回数を増加させ、かつ目標電圧Vtagに対する1回(PWM信号の1周期)あたりの加算量ΔVaを大きくする(ステップS200)。これにより、目標電圧Vtagが低く、当該目標電圧Vtagに対する1回あたりの減算量ΔVsがPWM信号の最小デューティ比に対応した最低保証電圧Vminの制約を受ける場合であっても、ディザ周期内における加算量ΔVaおよび減算量ΔVsの総和をゼロにしつつ1回あたりの加算量ΔVaをより大きくし(図3(c)参照)、電磁部EMに供給される電流Iemの振幅を良好に確保することが可能となる。
更に、ECU20の電圧重畳部25は、目標電圧設定部23により設定される目標電圧Vtagの変化に応じてディザパターンすなわち上記加算回数と減算回数との比を変化させる場合、図4および図5に示すように、継続して目標電圧Vtagを増加させるタイミングでの加算量ΔVaと、新たに目標電圧Vtagを増加または減少させるタイミングでの加算量ΔVaまたは減算量ΔVsとを時間の経過と共に徐々に変化させる(ステップS220)。これにより、目標電圧Vtagの変化に応じてディザパターンを変化させる際に、図6において実線で示すように、電磁部EMにおける実効電流Ieffの急変(図中破線参照)を良好に抑制することが可能となる。
引き続き、図7および図8を参照しながら、ステップS110にて目標電圧Vtagが最低保証電圧Vmin未満であると判定された際の電圧重畳部25による目標電圧Vtagへのパルス電圧の重畳手順について説明する。
動力伝達装置1を搭載した車両では、油温Toilが低くソレノイドバルブSLの電磁部EMにおける抵抗値が低下しており、かつ補機バッテリ50の電圧Vbatが比較的高い場合、油圧指令値の低下に応じて目標電圧Vtagが上記最低保証電圧Vmin未満になると、PWM信号生成部26により生成されるPWM信号のデューティ比が上述の最小デューティ比を下回ってしまうおそれがある。そして、目標電圧Vtagが最低保証電圧Vmin未満である状態で上記ステップS130−S220の処理が実行された場合、PWM信号のデューティ比とソレノイドバルブSLの電磁部EMにおける実効電流Ieffとの間の線形性が失われ、電磁部EMに供給される電流Iemを精度よく制御し得なくなってソレノイドバルブSLの制御性が悪化してしまうおそれがある。
このため、ステップS110にて目標電圧Vtagが最低保証電圧Vmin未満であると判定した場合(ステップS110:NO)、電圧重畳部25は、図7に示すように、目標電圧Vtagが当該最低保証電圧Vminの4/5以上であるか否かを判定する(ステップS230)。ステップS230にて目標電圧Vtagが最低保証電圧Vminの4/5以上であると判定した場合(ステップS230:YES)、電圧重畳部25は、上記ディザパターン(加算回数:減算回数)を“4:1”に設定する(ステップS235)。また、ステップS230にて目標電圧Vtagが最低保証電圧Vminの4/5未満であると判定した場合(ステップS230:NO)、電圧重畳部25は、目標電圧Vtagが最低保証電圧Vminの3/5以上であるか否かを判定する(ステップS240)。ステップS240にて目標電圧Vtagが最低保証電圧Vminの3/5以上であると判定した場合(ステップS240:YES)、電圧重畳部25は、ディザパターンを“3:2”に設定する(ステップS245)。
ステップS240にて目標電圧Vtagが最低保証電圧Vminの3/5未満であると判定した場合(ステップS240:NO)、電圧重畳部25は、目標電圧Vtagが最低保証電圧Vminの2/5以上であるか否かを判定する(ステップS250)。ステップS250にて目標電圧Vtagが最低保証電圧Vminの2/5以上であると判定した場合(ステップS250:YES)、電圧重畳部25は、ディザパターンを“2:3”に設定する(ステップS255)。また、ステップS250にて目標電圧Vtagが最低保証電圧Vminの2/5未満であると判定した場合(ステップS250:NO)、電圧重畳部25は、ディザパターンを“1:4”に設定する(ステップS260)。そして、電圧重畳部25は、ステップS235,S245,S255またはS260にて設定したディザパターンに従い、ディザ周期が経過するまで、PWM信号の1周期(PWM周期)ごとに目標電圧Vtagを増加または減少させ(ステップS270)、再度ステップS100以降の処理を実行する。
ステップS270において、電圧重畳部25は、図8(a)、図8(b)、図8(c)および図8(d)に示すように、目標電圧VtagとステップS235,S245,S255またはS260にて設定したディザパターンにおける減算回数との積を加算回数で除した値を目標電圧Vtagに対する1回(PWM信号の1周期)あたりの加算量ΔVaに設定すると共に、目標電圧Vtagを1回あたりの減算量ΔVsに設定する。これにより、図8(a)、図8(b)、図8(c)および図8(d)からわかるように、ディザ周期内における加算量ΔVaおよび減算量ΔVsの総和をゼロにしつつ、目標電圧Vtagと1回あたりの加算量ΔVaとの和を最低保証電圧Vmin以上にすることが可能となる。また、目標電圧Vtagが最低保証電圧Vmin未満である場合、目標電圧Vtagが低くなるにつれて、ディザ周期内におけるパルス電圧の加算回数が減少すると共に減算回数が増加し、目標電圧Vtagに対する1回あたりの加算量ΔVaが基本的に大きくなる。
上述のように、ECU20の電圧重畳部25は、目標電圧VtagがPWM信号の最小デューティ比に対応した最低保証電圧Vmin未満である場合、目標電圧Vtagと加算量ΔVaとの和が当該最低保証電圧Vmin以上になるようにディザ周期内におけるパルス電圧の加算回数と減算回数との比を示すディザパターンを変化させる(ステップS270)。これにより、油圧指令値の低下に応じて目標電圧Vtagが低く設定され、かつPWM信号生成部26により補機バッテリ50の電圧Vbatや油温Toil(電磁部EMの抵抗値)に応じてPWM信号のデューティ比が小さく設定されたとしても、当該PWM信号のデューティ比と電磁部EMにおける実効電流Ieffとの間の線形性が失われてしまうのを抑制することができる。この結果、油圧指令値が低い場合であっても、電磁部EMに供給される電流Iemをディザ周期で振動させてソレノイドバルブSLの摺動性を良好に確保しつつ、PWM信号の周期をより小さくして当該ソレノイドバルブSLの制御性をより向上させることが可能となる。
また、ECU20の電圧重畳部25は、目標電圧Vtagが最低保証電圧Vmin未満である場合、図8に示すように、目標電圧Vtagが低くなるにつれて、ディザ周期内におけるパルス電圧の加算回数を減らすと共に減算回数を増加させ、かつ目標電圧Vtagと減算回数との積を加算回数で除した値を1回あたりの加算量ΔVaに設定すると共に目標電圧Vtagを1回あたりの減算量ΔVsに設定する(ステップS270)。これにより、目標電圧Vtagが非常に低い場合であっても、目標電圧Vtagと加算量ΔVaとの和を最低保証電圧Vmin以上にして、PWM信号のデューティ比と電磁部EMにおける実効電流Ieffとの間の線形性が完全に失われてしまうのを抑制することが可能となる。なお、ステップS270にて目標電圧Vtagを1回あたりの減算量ΔVsに設定することで目標電圧Vtagを減少させるタイミングで出力される電圧がゼロになるが、ソレノイドバルブSLの制御性は、ディザ周期の全体で目標電圧Vtagの低下によりPWM信号のデューティ比が最小デューティ比未満になる場合に比べて良好に確保し得ることが確認されている。また、ステップS235,S245,S255およびS260にて設定されるディザパターンも任意に定めることが可能である。
以上説明したように、本開示のソレノイドバルブの制御装置は、油圧指令値に応じた油圧を出力するようにソレノイドバルブ(SL)の電磁部(EM)に印加される電圧をPWM信号により制御するソレノイドバルブ(SL)の制御装置(20)において、前記油圧指令値に応じた目標電流(Itag)を設定する目標電流設定部(21)と、前記電磁部(EM)に供給される電流(Iem)が前記目標電流(Itag)に一致するように目標電圧(Vtag)を設定する目標電圧設定部(23)と、前記PWM信号の周期よりも長く定められたディザ周期内で前記目標電圧(Vtag)に対する加算量(ΔVa)および減算量(ΔVs)の総和がゼロになるように前記目標電圧設定部(23)からの前記目標電圧(Vtag)にパルス電圧を重畳させると共に、前記目標電圧(Vtag)の大きさに応じて前記ディザ周期内における前記パルス電圧の加算回数と減算回数との比を変化させる電圧重畳部(25)と、前記電圧重畳部(25)により前記パルス電圧が重畳された前記目標電圧(Vtag)を前記PWM信号に変換するPWM信号生成部(26)とを含むものである。
本開示のソレノイドバルブの制御装置の電圧重畳部は、PWM信号の周期よりも長く定められたディザ周期内で目標電圧に対する加算量および減算量の総和がゼロになるように目標電圧設定部からの目標電圧にパルス電圧を重畳させる。これにより、電磁部に供給される電流をディザ周期で振動させてソレノイドバルブを微振動させることができる。ただし、目標電圧に対する1回あたりの加算量は、ソレノイドバルブの電源の電圧と目標電圧との差分の制約を受け、目標電圧に対する1回あたりの減算量は、PWM信号の最小デューティ比に対応した最低保証電圧と目標電圧との差分の制約を受ける。これを踏まえて、電圧重畳部は、目標電圧の大きさに応じてディザ周期内におけるパルス電圧の加算回数と減算回数との比を変化させる。これにより、目標電圧の大きさに拘わらず、ディザ周期内における加算量および減算量を両者の総和をゼロにしつつ、それぞれ適正に確保することが可能となる。従って、ソレノイドバルブの制御性を向上させるためにPWM信号の周期を短くしても、ソレノイドバルブの電磁部に供給される電流の振幅を良好に確保することができる。この結果、本開示のソレノイドバルブの制御装置によれば、ソレノイドバルブの摺動性を良好に確保しつつ制御性をより向上させることが可能となる。
また、前記電圧重畳部(25)は、前記目標電圧(Vtag)が低くなるにつれて、前記加算回数を減らすと共に前記減算回数を増加させるものであってもよい。これにより、目標電圧が低く、当該目標電圧に対する1回あたりの減算量がPWM信号の最小デューティ比に対応した最低保証電圧の制約を受ける場合であっても、ディザ周期内における加算量および減算量の総和をゼロにしつつ、電磁部に供給される電流の振幅を良好に確保することが可能となる。
更に、前記ディザ周期は、前記PWM信号の前記周期の整数倍であってもよく、前記電圧重畳部(25)は、前記PWM信号の1周期ごとに前記目標電圧(Vtag)を増加または減少させるものであってもよい。
また、前記電圧重畳部(25)は、前記目標電圧設定部(23)により設定される前記目標電圧(Vtag)の変化に応じて前記加算回数と前記減算回数との前記比を変化させる場合、継続して前記目標電圧(Vtag)を増加させるタイミングでの前記加算量(ΔVa)と、新たに前記目標電圧(Vtag)を増加または減少させるタイミングでの前記加算量(ΔVa)または前記減算量(ΔVs)とを時間の経過と共に徐々に変化させるものであってもよい。これにより、目標電圧の変化に応じてディザ周期内におけるパルス電圧の加算回数と減算回数との比を変化させる際に、電磁部における実効電流の変動を良好に抑制することが可能となる。
本開示のソレノイドバルブの制御方法は、油圧指令値に応じた油圧を出力するようにソレノイドバルブ(SL)の電磁部(EM)に印加される電圧をPWM信号により制御するソレノイドバルブ(SL)の制御方法において、前記油圧指令値に応じた目標電流(Itag)を設定し、前記電磁部(EM)に供給される電流(Iem)が前記目標電流(Itag)に一致するように目標電圧(Vtag)を設定し、前記PWM信号の周期よりも長く定められたディザ周期内で前記目標電圧(Vtag)に対する加算量(ΔVa)および減算量(ΔVs)の総和がゼロになるように前記目標電圧(Vtag)にパルス電圧を重畳させると共に、前記目標電圧(Vtag)の大きさに応じて前記ディザ周期内における前記パルス電圧の加算回数と減算回数との比を変化させ、前記パルス電圧が重畳された前記目標電圧(Vtag)を前記PWM信号に変換するものである。
かかる方法によれば、ソレノイドバルブの制御性を向上させるためにPWM信号の周期を短くしても、ソレノイドバルブの電磁部に供給される電流の振幅を良好に確保することができる。従って、ソレノイドバルブの摺動性を良好に確保しつつ制御性をより向上させることが可能となる。
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
本開示の発明は、ソレノイドバルブの制御装置の製造産業において利用可能である。
1 動力伝達装置、2 トランスミッションケース、3 発進装置、4 オイルポンプ、5 前後進切換機構、6 無段変速機、7 ギヤ機構、8 デファレンシャルギヤ、9 ドライブシャフト、10 油圧制御装置、20 電子制御装置(ECU)、21 演算処理部、22 バルブ駆動制御部、23 目標電圧設定部、24B フィードバック制御部、24F フィードフォワード制御部、25 電圧重畳部、26 PWM信号生成部、27 駆動回路、28 電流検出部、29 フィルタ処理部、50 補機バッテリ、EG エンジン、Tr1 第1スイッチング素子、Tr2 第2スイッチング素子。

Claims (5)

  1. 油圧指令値に応じた油圧を出力するようにソレノイドバルブの電磁部に印加される電圧をPWM信号により制御するソレノイドバルブの制御装置において、
    前記油圧指令値に応じた目標電流を設定する目標電流設定部と、
    前記電磁部に供給される電流が前記目標電流に一致するように目標電圧を設定する目標電圧設定部と、
    前記PWM信号の周期よりも長く定められたディザ周期内で前記目標電圧に対する加算量および減算量の総和がゼロになるように前記目標電圧設定部からの前記目標電圧にパルス電圧を重畳させると共に、前記目標電圧の大きさに応じて前記ディザ周期内における前記パルス電圧の加算回数と減算回数との比を変化させる電圧重畳部と、
    前記電圧重畳部により前記パルス電圧が重畳された前記目標電圧を前記PWM信号に変換するPWM信号生成部と、
    を備えるソレノイドバルブの制御装置。
  2. 請求項1に記載のソレノイドバルブの制御装置において、
    前記電圧重畳部は、前記目標電圧が低くなるにつれて、前記加算回数を減らすと共に前記減算回数を増加させるソレノイドバルブの制御装置。
  3. 請求項1または2に記載のソレノイドバルブの制御装置において、
    前記ディザ周期は、前記PWM信号の前記周期の整数倍であり、
    前記電圧重畳部は、前記PWM信号の1周期ごとに前記目標電圧を増加または減少させるソレノイドバルブの制御装置。
  4. 請求項1から3の何れか一項に記載のソレノイドバルブの制御装置において、
    前記電圧重畳部は、前記目標電圧設定部により設定される前記目標電圧の変化に応じて前記加算回数と前記減算回数との前記比を変化させる場合、継続して前記目標電圧を増加させるタイミングでの前記加算量と、新たに前記目標電圧を増加または減少させるタイミングでの前記加算量または前記減算量とを時間の経過と共に徐々に変化させるソレノイドバルブの制御装置。
  5. 油圧指令値に応じた油圧を出力するようにソレノイドバルブの電磁部に印加される電圧をPWM信号により制御するソレノイドバルブの制御方法において、
    前記油圧指令値に応じた目標電流を設定し、
    前記電磁部に供給される電流が前記目標電流に一致するように目標電圧を設定し、
    前記PWM信号の周期よりも長く定められたディザ周期内で前記目標電圧に対する加算量および減算量の総和がゼロになるように前記目標電圧にパルス電圧を重畳させると共に、前記目標電圧の大きさに応じて前記ディザ周期内における前記パルス電圧の加算回数と減算回数との比を変化させ、
    前記パルス電圧が重畳された前記目標電圧を前記PWM信号に変換する、
    ソレノイドバルブの制御方法。
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