JP2021011305A - 医療用多層容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸素バリア性、紫外線吸収性、低溶出性に優れる医療用多層容器を提供すること。【解決手段】熱可塑性樹脂(b)を含有する第1の樹脂層と、テトラリン環を有する構成単位を含有するポリエステル化合物(a)及びジベンゾイルメタン系化合物を含む樹脂層と、熱可塑性樹脂(b)を含有する第2の樹脂層と、の少なくとも3層をこの順に有する、医療用多層容器。【選択図】なし
Description
本発明は、医療用多層容器に関する。
薬液を密閉状態で充填、保管する為の医療用包装容器として、ガラス製のアンプル、バイアル、プレフィルドシリンジ等が使用されている。また、ガラス代替としてポリカーボネート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー等のプラスチックが医療用包装容器として検討されている。
一方、薬液の中には、酸素や紫外線、容器からの溶出物によって品質や性状が変化する薬液がある。近年ではバイオ医薬の新薬登録が急速に増加しており、承認医薬品に占めるバイオ医薬品の比率が高まっているが、これらの医薬品は特に酸素バリア、紫外線バリア、低溶出性能が担保された容器での保存が求められる。
特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂材料からなる医療用容器が開示されている。容器にポリオレフィン系樹脂材料を使用した場合、水蒸気バリア性に優れた容器が提供できるとされている。
特許文献2には、最内層と最外層とがポリオレフィン樹脂からなり、中間層がバリア性に優れた樹脂からなる多層構造である容器が開示されている。特許文献2の容器は、酸素バリア性を向上させることができるとされている。
特許文献3及び4には、容器を遮光ラベルで被覆する方法や、遮光性を有する包装体の中に容器を収納する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1の医療用容器は、酸素バリア性の不足により薬液の品質に影響を与える。また、特許文献2の容器は、紫外線遮光性が付与されていない。さらに、特許文献3及び4の方法では、遮光ラベルが剥がれたり、遮光性を有する包装体から容器を取り出したりした場合に、容器内の薬液が紫外線に曝されるおそれがある。
また、医療用容器には、低溶出性能が求められる。
また、医療用容器には、低溶出性能が求められる。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、酸素バリア、紫外線バリア、及び低溶出性に優れた医療用多層容器を提供することにある。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
<1> 熱可塑性樹脂(b)を含有する第1の樹脂層と、テトラリン環を有する構成単位を含有するポリエステル化合物(a)及びジベンゾイルメタン系化合物を含む樹脂層と、熱可塑性樹脂(b)を含有する第2の樹脂層と、の少なくとも3層をこの順に有する、医療用多層容器。
<2> 前記ポリエステル化合物(a)が、下記式(1)で表される構成単位を含む、上記<1>に記載の医療用多層容器。
<3> 前記ポリエステル化合物(a)における前記式(1)で表される構成単位の割合が、含有する全構成単位に対して50〜100モル%である、上記<2>に記載の医療用多層容器。
<4> 前記ジベンゾイルメタン系化合物が、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンを含む、上記<1>〜<3>のいずれかに記載の医療用多層容器。
<5> 医療用多層容器が、アンプル、バイアル又はプレフィルドシリンジである、上記<1>〜<4>のいずれかに記載の医療用多層容器。
<1> 熱可塑性樹脂(b)を含有する第1の樹脂層と、テトラリン環を有する構成単位を含有するポリエステル化合物(a)及びジベンゾイルメタン系化合物を含む樹脂層と、熱可塑性樹脂(b)を含有する第2の樹脂層と、の少なくとも3層をこの順に有する、医療用多層容器。
<2> 前記ポリエステル化合物(a)が、下記式(1)で表される構成単位を含む、上記<1>に記載の医療用多層容器。
<4> 前記ジベンゾイルメタン系化合物が、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンを含む、上記<1>〜<3>のいずれかに記載の医療用多層容器。
<5> 医療用多層容器が、アンプル、バイアル又はプレフィルドシリンジである、上記<1>〜<4>のいずれかに記載の医療用多層容器。
本発明によれば、酸素バリア、紫外線バリア、及び低溶出性に優れた医療用多層容器を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されない。
本実施形態の医療用多層容器は、熱可塑性樹脂(b)を含有する第1の樹脂層(以下、層Bともいう)と、ポリエステル化合物(a)及びジベンゾイルメタン系化合物を含む樹脂層(以下、層Aともいう)と、熱可塑性樹脂(b)を含有する第2の樹脂層(層B)と、の少なくとも3層をこの順に有する。
本実施形態の医療用多層容器における層構成は、これらの層がB/A/Bの順に配列されている限り、層A及び層Bの数や種類は特に限定されない。例えば、1つの層A、2つの層B1及び2つの層B2からなるB1/B2/A/B2/B1の3種5層構成であってもよく、1層の層A並びに層B1及び層B2の2種2層からなるB1/A/B2の3種3層構成であってもよい。また、本実施形態の医療用多層容器は、必要に応じて接着層(層AD)等の任意の層を含んでもよく、例えば、B1/AD/B2/A/B2/AD/B1の4種7層構成であってもよい。
[ポリエステル化合物(a)及びジベンゾイルメタン系化合物を含む樹脂層(層A)]
本実施形態における層Aは、テトラリン環を構成単位として有するポリエステル化合物(a)及びジベンゾイルメタン系化合物を含有する。
本実施形態における層Aは、テトラリン環を構成単位として有するポリエステル化合物(a)及びジベンゾイルメタン系化合物を含有する。
<ポリエステル化合物(a)>
本実施形態におけるポリエステル化合物(a)は、テトラリン環を構成単位として有するポリエステル化合物であれば何ら限定されず、例えば、国際公開第2013/077436号(特許文献1)に記載されたポリエステル化合物を用いることができる。中でも、成形加工性と医療用能の観点から、ポリエステル化合物(a)としては、上記式(1)の構成単位を有するポリエステル化合物が好ましい。ここで、「構成単位として有する」とは、化合物中に当該構成単位を1以上有することを意味する。かかる構成単位は、ポリエステル化合物(a)中に繰り返し単位として含まれていることが好ましい。このようにポリエステル化合物が重合体である場合、上記構成単位のホモポリマー、上記構成単位と他の構成単位とのランダムコポリマー、上記構成単位と他の構成単位とのブロックコポリマーのいずれであっても構わない。
本実施形態におけるポリエステル化合物(a)は、テトラリン環を構成単位として有するポリエステル化合物であれば何ら限定されず、例えば、国際公開第2013/077436号(特許文献1)に記載されたポリエステル化合物を用いることができる。中でも、成形加工性と医療用能の観点から、ポリエステル化合物(a)としては、上記式(1)の構成単位を有するポリエステル化合物が好ましい。ここで、「構成単位として有する」とは、化合物中に当該構成単位を1以上有することを意味する。かかる構成単位は、ポリエステル化合物(a)中に繰り返し単位として含まれていることが好ましい。このようにポリエステル化合物が重合体である場合、上記構成単位のホモポリマー、上記構成単位と他の構成単位とのランダムコポリマー、上記構成単位と他の構成単位とのブロックコポリマーのいずれであっても構わない。
さらに、成形加工性と医療用における性能の観点から、ポリエステル化合物(a)が含有する全構成単位に対する上記式(1)で表される構成単位の割合は、50〜100モル%が好ましく、70〜100モル%より好ましく、90〜100モル%がさらに好ましい。ポリエステル化合物(a)は、本実施形態の効果を過度に損なわない範囲で、上記式(1)で表される構成単位以外の構成単位を含有することができる。
さらに、ポリエステル化合物(a)は、3価以上の多価アルコール、3価以上の多価カルボン酸及びその誘導体、3価以上のヒドロキシカルボン酸及びその誘導体のうち、少なくとも1種の多官能化合物に由来する構成単位を含有することができる。これら多官能化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。多官能化合物に由来する構成単位を含有する場合、ポリエステル化合物(a)に分岐構造を導入することができ、通常より分子量が高く、粘度が向上したポリエステル化合物(a)を得ることができる。多官能化合物としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール;トリメリット酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸、ピロメリット酸無水物等の多価カルボン酸及びその誘導体;が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でもグリセリンが好ましい。
ポリエステル化合物(a)が多官能化合物に由来する構成単位を含有する場合、ポリエステル化合物(a)が含有する全構成単位に対する多官能化合物に由来する構成単位の割合は、0.01〜5モル%が好ましく、0.1〜3モル%がより好ましく、0.2〜1モル%がさらに好ましい。
ポリエステル化合物(a)は、国際公開第2013/077436号に記載された公知の方法で製造することができる。また、ポリエステル化合物(a)には、性能に影響しない程度で、テトラリン環を有さない構成単位を共重合成分として組み込んでもよい。具体的には、特許文献1に記載された公知の化合物を共重合成分として用いることができる。
上記ポリエステル化合物(a)のガラス転移温度(Tg)は特に限定されないが、多層容器の成形加工性を考慮すると、50〜110℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。ガラス転移温度を上記の好ましい範囲とした場合、医療用多層容器への成形加工がより容易となる。
本実施形態のポリエステル化合物(a)の極限粘度(フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの質量比6:4の混合溶媒を用いた25℃での測定値)は特に限定されないが、多層容器の成形加工性の観点から、0.1〜2.0dL/gが好ましく、0.5〜1.5dL/gがより好ましく、0.8〜1.0dL/gがさらに好ましい。
上記ポリエステル化合物(a)の溶融粘度は特に限定されないが、多層容器の成形加工性を考慮すると、260℃における剪断速度1216sec-1の溶融粘度は100〜300Pa・secが好ましく、150〜250Pa・secがより好ましい。溶融粘度を上記の好ましい範囲とした場合、医療用多層容器への成形加工がより容易となる。
本実施形態における層Aには、本実施形態の効果を損なわない範囲で、乾燥剤、顔料、染料、酸化防止剤、スリップ剤、帯電防止剤、安定剤等の添加剤、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、シリカ等の充填剤、消臭剤等を添加してもよい。添加される剤は、以上に示したものに限定されることなく、種々の材料を混合することができる。これらの中でも、酸化防止剤を添加することが好ましい。これらの剤の配合量は、特に制限されないが、ポリエステル化合物(a)を100質量部としたとき、通常0.01〜10質量部の範囲である。
本実施形態における層A中のポリエステル化合物(a)の含有量は、層Aを構成する成分全量に対し、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましい。前記範囲の場合、50質量%未満の場合に比べ、酸素バリア性能をより高めることができる。ポリエステル化合物(a)の含有量の上限値は、100質量%未満であればよい。
<ジベンゾイルメタン系化合物>
本実施形態における層Aは、ジベンゾイルメタン系化合物を含む。ジベンゾイルメタン系化合物としては、ジベンゾイルメタン構造を有する化合物であれば特に制限されず、例えば、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、2−2’−メチレン−ビス−[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、4−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−(1,1−ジメチルプロピル)ジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、4,4'−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4' −ジメトキシジベンゾイルメタン、4−(1,1−ジメチルプロピル)−4'−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−イソピロピル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−(1,1−ジメチルプロピル)−4'−メトキシベンゾイルメタン、2,4−ジメチル−4'−メトキシベンゾイルメタン及び2,6−ジメチル−4−(1,1−ジメチルプロピル)−4'−メトキシジベンゾイルメタン等が挙げられる。これらは1種単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
これらの中でも、好ましくは4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンである。
本実施形態における層Aは、ジベンゾイルメタン系化合物を含む。ジベンゾイルメタン系化合物としては、ジベンゾイルメタン構造を有する化合物であれば特に制限されず、例えば、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、2−2’−メチレン−ビス−[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、4−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−(1,1−ジメチルプロピル)ジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、4,4'−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4' −ジメトキシジベンゾイルメタン、4−(1,1−ジメチルプロピル)−4'−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−イソピロピル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−(1,1−ジメチルプロピル)−4'−メトキシベンゾイルメタン、2,4−ジメチル−4'−メトキシベンゾイルメタン及び2,6−ジメチル−4−(1,1−ジメチルプロピル)−4'−メトキシジベンゾイルメタン等が挙げられる。これらは1種単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
これらの中でも、好ましくは4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンである。
層Aにおけるジベンゾイルメタン系化合物は、ポリエステル化合物(a)を100質量部としたとき、好ましくは0.01質量部以上含み、より好ましくは0.05質量部以上含み、さらに好ましくは0.1質量部以上含む。ジベンゾイルメタン系化合物を0.01質量部以上含むことにより、紫外線バリアを高めることができる。また、層Aにおけるジベンゾイルメタン系化合物の含有量の上限は、特に制限されないが、ポリエステル化合物(a)を100質量部としたとき、通常10質量部以下であり、5質量部以下であってもよく、3質量部以下であってもよい。
本実施形態の層Aの厚みは、特に制限はないが、1〜1000μmが好ましく、20〜800μmがより好ましく、50〜700μmがさらに好ましい。この場合、厚みが上記範囲を外れる場合に比べて、層Aが酸素バリア性能をより高めることができるとともに経済性が損なわれることを防止することができる。
[熱可塑性樹脂(b)を含有する第1及び第2の樹脂層(これらの層を総称して層Bという)]
本実施形態における層Bは、熱可塑性樹脂(b)を含有する樹脂層である。層Bにおける熱可塑性樹脂(b)の含有率は特に限定されないが、層Bの総量に対する熱可塑性樹脂(b)の含有率が、70〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%がさらに好ましい。
本実施形態における層Bは、熱可塑性樹脂(b)を含有する樹脂層である。層Bにおける熱可塑性樹脂(b)の含有率は特に限定されないが、層Bの総量に対する熱可塑性樹脂(b)の含有率が、70〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%がさらに好ましい。
本実施形態の医療用多層容器は、層Bを少なくとも2層有し、3層以上有していてもよく、複数の層Bの構成は互いに同一であっても異なっていてもよい。層Bの厚みは、用途に応じて適宜決定することができ、多層容器に要求される落下耐性等の強度や柔軟性等の諸物性を確保するという観点からは、好ましくは5〜1000μm、より好ましくは50〜800μm、さらに好ましくは100〜500μmである。
<熱可塑性樹脂(b)>
本実施形態における熱可塑性樹脂(b)は、シクロオレフィンポリマー(以下、COPとも表記する)を含むことが好ましい。COPとは、ノルボルネンを開環重合し水素添加した重合物である。COPの具体例は、例えば特開平5−317411号公報などに記載されている。
本実施形態における熱可塑性樹脂(b)は、シクロオレフィンポリマー(以下、COPとも表記する)を含むことが好ましい。COPとは、ノルボルネンを開環重合し水素添加した重合物である。COPの具体例は、例えば特開平5−317411号公報などに記載されている。
また、COPは、例えば日本ゼオン株式会社製、ゼオネックス(登録商標)またはゼオノア(登録商標)や株式会社大協精工製、Daikyo Resin CZ(登録商標)として市販されている。COPは、耐熱性や耐光性などの化学的性質や耐薬品性はポリオレフィン樹脂としての特徴を示し、機械特性、溶融、流動特性、寸法精度などの物理的性質は非晶性樹脂としての特徴を示すことから特に好ましい材質である。
また、上記の熱可塑性樹脂(b)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは50〜110℃であり、より好ましくは60〜80℃である。ガラス転移温度を上記の好ましい範囲とした場合、医療用多層容器への成形加工がより容易となる。なお、ここでいうガラス転移温度は、示差走査熱量測定により測定される値を意味する。
さらに、熱可塑性樹脂(b)のガラス転移温度(Tg)とポリエステル化合物(a)のガラス転移温度(Tg)の差の絶対値は0〜40℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。ガラス転移温度(Tg)の差の絶対値が小さいほど、医療用多層容器への成形加工がより容易となる。
上記の熱可塑性樹脂(b)の溶融粘度は特に限定されないが、多層容器の成形加工性を考慮すると、260℃における剪断速度1216sec-1の溶融粘度は100〜300Pa・secが好ましく、150〜250Pa・secがより好ましい。溶融粘度を上記の好ましい範囲とした場合、医療用多層容器への成形加工がより容易となる。
さらに、熱可塑性樹脂(b)の260℃における剪断速度1216sec-1の溶融粘度とポリエステル化合物(a)の260℃における剪断速度1216sec-1の溶融粘度の差の絶対値は0〜150Pa・secが好ましく、0〜100Pa・secがより好ましい。260℃における剪断速度1216sec-1の溶融粘度の差の絶対値が小さいほど、医療用多層容器への成形加工がより容易となる。
熱可塑性樹脂(b)は、本実施形態の効果を過度に損なわない範囲でCOP以外の熱可塑性樹脂や公知の添加剤を含有することができる。層Bの総量に対するCOPの含有量としては、50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%が特に好ましい。
本実施形態の医療用多層容器は、層A及び熱可塑性樹脂(b)を含有する層(層B)に加えて、所望する性能等に応じて任意の層を含んでいてもよい。そのような任意の層としては、例えば、接着層等が挙げられる。
本実施形態の医療用多層容器において、隣接する2つの層の間で実用的な層間接着強度が得られない場合には、当該2つの層の間に接着層(層AD)を設けることが好ましい。接着層は、接着性を有する熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。接着性を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリエステル系ブロック共重合体を主成分とした、ポリエステル系熱可塑性エラストマーが挙げられる。接着層としては、接着性の観点から、層Bとして用いられている熱可塑性樹脂と同種の樹脂を変性したものを用いることが好ましい。接着層の厚みは、実用的な接着強度を発揮しつつ成形加工性を確保するという観点から、好ましくは2〜100μm、より好ましくは5〜90μm、さらに好ましくは10〜80μmである。
<医療用多層容器の製造方法>
本実施形態の医療用多層容器の製造方法については特に限定されず、通常の射出成形法により製造することができる。例えば、2台以上の射出機を備えた成形機及び射出用金型を用いて、層Aを構成する材料及び層Bを構成する材料をそれぞれの射出シリンダーから金型ホットランナーを通して、キャビティー内に射出して、射出用金型の形状に対応した多層容器を製造することができる。また、先ず、層Bを構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層Aを構成する材料を別の射出シリンダーから、層Bを構成する樹脂と同時に射出し、次に層Bを構成する樹脂を必要量射出してキャビティーを満たすことにより3層構造B/A/Bの多層容器が製造できる。
本実施形態の医療用多層容器の製造方法については特に限定されず、通常の射出成形法により製造することができる。例えば、2台以上の射出機を備えた成形機及び射出用金型を用いて、層Aを構成する材料及び層Bを構成する材料をそれぞれの射出シリンダーから金型ホットランナーを通して、キャビティー内に射出して、射出用金型の形状に対応した多層容器を製造することができる。また、先ず、層Bを構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層Aを構成する材料を別の射出シリンダーから、層Bを構成する樹脂と同時に射出し、次に層Bを構成する樹脂を必要量射出してキャビティーを満たすことにより3層構造B/A/Bの多層容器が製造できる。
また、先ず、層Bを構成する材料を射出し、次いで層Aを構成する材料を単独で射出し、最後に層Bを構成する材料を必要量射出して金型キャビティーを満たすことにより、5層構造B/A/B/A/Bの多層容器が製造できる。
また、先ず、層B1を構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層B2を構成する材料を別の射出シリンダーから、層B1を構成する樹脂と同時に射出し、次に層Aを構成する樹脂を層B1、層B2を構成する樹脂と同時に射出し、次に層B1を構成する樹脂を必要量射出してキャビティーを満たすことにより5層構造B1/B2/A/B2/B1の多層容器が製造できる。
成形加工性の観点から、層Bを構成する材料の射出温度と層Aを構成する材料の射出温度の差の絶対値は0〜30℃が好ましく、0〜20℃がより好ましく、0〜10℃がさらに好ましい。また、成形加工性の観点から、各層の射出温度における溶融粘度の差の絶対値は0〜150Pa・secが好ましく、0〜100Pa・secがより好ましい。
また、射出成形法ではないが、圧縮成形法により多層成形体を得てもよい。例えば、熱可塑性樹脂溶融物中に酸素吸収樹脂剤を設け、その溶融塊を雄型に供給するとともに、雌型により圧縮し、圧縮成形物を冷却固化することにより成形体を得られる。
また、押出成形、圧縮成形(シート成形、ブロー成形)等の成形手段によって所望の容器形状に成形加工してもよい。
[医療用多層容器]
本実施形態の医療用多層容器の形状は特に限定されず、収納、保存する物品に応じて適宜設定することができる。このような容器としては、パウチ、カップ、トレイ、ボトル、バイアル、アンプル、プレフィルドシリンジ、真空採血管等として好適に用いることができる。
本実施形態の医療用多層容器の形状は特に限定されず、収納、保存する物品に応じて適宜設定することができる。このような容器としては、パウチ、カップ、トレイ、ボトル、バイアル、アンプル、プレフィルドシリンジ、真空採血管等として好適に用いることができる。
さらに、例えば、フィルム状或いはシート状の医療用多層体を製袋することで、三方シール平袋、スタンディングパウチ、ガセット包装袋、ピロー包装袋、主室と副室とからなり主室と副室との間に易剥離壁を設けた多室パウチ、シュリンクフィルム包装等とすることができる。また、熱成形を施すことで、任意の形状の容器にすることもできる。ここで、上記医療用多層体とは、熱可塑性樹脂(b)を含有する第1の樹脂層と、テトラリン環を有する構成単位を含有するポリエステル化合物(a)及びジベンゾイルメタン系化合物を含む樹脂層と、熱可塑性樹脂(b)を含有する第2の樹脂層と、の少なくとも3層をこの順に有する、積層体であり、本実施形態の医療用多層容器に成形される前の形態である。
より具体的には、上記のフィルム状或いはシート状の医療用多層体を、真空成形、圧空成形、プラグアシスト成形等の方法で成形することにより、トレイ、カップ、ボトル、チューブ、PTP(プレス・スルー・パック)等の所定の形状の医療用容器を作製することができる。また、射出機を用い、溶融した樹脂を、多層多重ダイスを通して射出金型中に共射出又は逐次射出することによって所定の形状の多層容器に一挙に成形することもできる。
なお、フランジ部を有する熱成形容器を作製する場合には、そのフランジ部に易剥離機能を付与する特殊加工を施してもよい。また、上記の医療用多層体を容器の蓋材、トップシール等の部材として用いることで、これらの容器に酸素吸収機能を付与することができる。
本実施形態の医療用多層容器は、低湿度から高湿度までの広範な湿度条件(相対湿度0%〜100%)での医療用能に優れ、かつ内容物の品質保持性に優れるため、種々の物品の包装に適している。特に、医薬品等の包装材としても好適である。例えば、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK等のビタミン剤;アトロピン等のアルカロイド、アドレナリン、インシュリン等のホルモン剤;ブドウ糖、マルトース等の糖類;セフトリアキソン、セファロスポリン、シクロスポリン等の抗生物質;オキサゾラム、フルニトラゼパム、クロチアゼパム、クロバザム等のベンゾジアゼピン系薬剤;等、任意の天然物や化合物を充填可能である。本実施形態の医療用多層容器は、これらの天然物や化合物を充填した場合、これらの天然物や化合物の吸着量が少なく、またこれらの酸化による変質を抑制することができ、また、溶媒(例えば水分)の蒸散を抑制することもできる。また、医薬品以外の被保存物の具体例としては、牛乳、ジュース、コーヒー、茶類、アルコール飲料等の飲料;ソース、醤油、ドレッシング等の液体調味料、スープ、シチュー、カレー等の調理食品;ジャム、マヨネーズ等のペースト状食品;ツナ、魚貝等の水産製品;チーズ、バター等の乳加工品;肉、サラミ、ソーセージ、ハム等の畜肉加工品;にんじん、じゃがいも等の野菜類;卵;麺類;調理前の米類、調理された炊飯米、米粥等の加工米製品;粉末調味料、粉末コーヒー、乳幼児用粉末ミルク、乳幼児用調理食品、粉末ダイエット食品、介護調理食品、乾燥野菜、せんべい等の乾燥食品;農薬、殺虫剤等の化学品;化粧品;ペットフード;洗剤等、種々の物品を挙げることができるが、これらに特に限定されない。
[殺菌処理]
なお、これらの被保存物の充填(包装)前後に、被保存物に適した形で、容器や被保存物の殺菌処理を施すことができる。殺菌方法としては、例えば、100℃以下での熱水処理、100℃以上の加圧熱水処理、130℃以上の超高温加熱処理等の加熱殺菌;紫外線、マイクロ波、ガンマ線等の電磁波殺菌;エチレンオキサイド等のガス処理;過酸化水素や次亜塩素酸等の薬剤殺菌;等が挙げられる。
なお、これらの被保存物の充填(包装)前後に、被保存物に適した形で、容器や被保存物の殺菌処理を施すことができる。殺菌方法としては、例えば、100℃以下での熱水処理、100℃以上の加圧熱水処理、130℃以上の超高温加熱処理等の加熱殺菌;紫外線、マイクロ波、ガンマ線等の電磁波殺菌;エチレンオキサイド等のガス処理;過酸化水素や次亜塩素酸等の薬剤殺菌;等が挙げられる。
以下に実施例と比較例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、特に記載が無い限り、NMR測定は室温で行った。なお、実施例ではバイアルを例に挙げているが、アンプル、プレフィルドシリンジに対する要求特性はバイアルに対するものと同じである為、本発明がこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。
ポリマー製造例で得られたポリマーの各種物性値は以下の測定方法及び測定装置により測定した。
(ガラス転移温度の測定方法)
ガラス転移温度はJIS K7122に準拠して測定した。測定装置は株式会社島津製作所製「DSC−60」を使用した。
ガラス転移温度はJIS K7122に準拠して測定した。測定装置は株式会社島津製作所製「DSC−60」を使用した。
(溶融粘度の測定方法)
溶融粘度は株式会社東洋精機製作所製キャピラリーレオメーター「キャピログラフ1D」を用いて、温度260℃、剪断速度1216sec-1の条件で測定した。
溶融粘度は株式会社東洋精機製作所製キャピラリーレオメーター「キャピログラフ1D」を用いて、温度260℃、剪断速度1216sec-1の条件で測定した。
[モノマー合成例]
内容積18Lのオートクレーブに、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル2.20kg、2−プロパノール11.0kg、5%パラジウムを活性炭に担持させた触媒350g(50wt%含水品)を仕込んだ。次いで、オートクレーブ内の空気を窒素と置換し、さらに窒素を水素と置換した後、オートクレーブ内の圧力が0.8MPaとなるまで水素を供給した。次に、撹拌機を起動し、回転速度を500rpmに調整し、30分かけて内温を100℃まで上げた後、さらに水素を供給し圧力を1MPaとした。その後、反応の進行による圧力低下に応じ、1MPaを維持するよう水素の供給を続けた。7時間後に圧力低下が無くなったので、オートクレーブを冷却し、未反応の残存水素を放出した後、オートクレーブから反応液を取り出した。反応液を濾過し、触媒を除去した後、分離濾液から2−プロパノールをエバポレーターで蒸発させた。得られた粗生成物に、2−プロパノールを4.40kg加え、再結晶により精製し、テトラリン−2,6−ジカルボン酸ジメチルを80%の収率で得た。なお、NMRの分析結果は下記のとおりであった。1H‐NMR(400MHz CDCl3)δ7.76-7.96(2H m)、7.15(1H d)、3.89(3H s)、3.70(3H s)、2.70-3.09(5H m)、1.80-1.95(1H m)。
内容積18Lのオートクレーブに、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル2.20kg、2−プロパノール11.0kg、5%パラジウムを活性炭に担持させた触媒350g(50wt%含水品)を仕込んだ。次いで、オートクレーブ内の空気を窒素と置換し、さらに窒素を水素と置換した後、オートクレーブ内の圧力が0.8MPaとなるまで水素を供給した。次に、撹拌機を起動し、回転速度を500rpmに調整し、30分かけて内温を100℃まで上げた後、さらに水素を供給し圧力を1MPaとした。その後、反応の進行による圧力低下に応じ、1MPaを維持するよう水素の供給を続けた。7時間後に圧力低下が無くなったので、オートクレーブを冷却し、未反応の残存水素を放出した後、オートクレーブから反応液を取り出した。反応液を濾過し、触媒を除去した後、分離濾液から2−プロパノールをエバポレーターで蒸発させた。得られた粗生成物に、2−プロパノールを4.40kg加え、再結晶により精製し、テトラリン−2,6−ジカルボン酸ジメチルを80%の収率で得た。なお、NMRの分析結果は下記のとおりであった。1H‐NMR(400MHz CDCl3)δ7.76-7.96(2H m)、7.15(1H d)、3.89(3H s)、3.70(3H s)、2.70-3.09(5H m)、1.80-1.95(1H m)。
<ポリマー製造例>
(製造例1)
充填塔式精留塔、分縮器、全縮器、コールドトラップ、撹拌機、加熱装置及び窒素導入管を備えたポリエステル樹脂製造装置に、モノマー合成例で得たテトラリン−2,6−ジカルボン酸ジメチル543g、エチレングリコール217g、多官能化合物としてグリセリンを1.0g、テトラブチルチタネート0.038g、酢酸亜鉛0.15gを仕込み、窒素雰囲気下で230℃まで昇温してエステル交換反応を行った。ジカルボン酸成分の反応転化率を90%以上とした後、昇温と減圧を徐々に90分かけて行い、260℃、133Pa以下で重縮合を1時間行い、テトラリン環含有ポリエステル化合物(1)を得た。
(製造例1)
充填塔式精留塔、分縮器、全縮器、コールドトラップ、撹拌機、加熱装置及び窒素導入管を備えたポリエステル樹脂製造装置に、モノマー合成例で得たテトラリン−2,6−ジカルボン酸ジメチル543g、エチレングリコール217g、多官能化合物としてグリセリンを1.0g、テトラブチルチタネート0.038g、酢酸亜鉛0.15gを仕込み、窒素雰囲気下で230℃まで昇温してエステル交換反応を行った。ジカルボン酸成分の反応転化率を90%以上とした後、昇温と減圧を徐々に90分かけて行い、260℃、133Pa以下で重縮合を1時間行い、テトラリン環含有ポリエステル化合物(1)を得た。
得られたポリエステル化合物(1)のガラス転移温度と融点をDSCにより測定を行った結果、ガラス転移温度は69℃、融点は非晶性のため認められなかった。また、ポリエステル化合物(1)の溶融粘度を測定した。結果を表1に示す。
<バイアルの製造>
下記の条件により、層Bを構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層Aを構成する材料を別の射出シリンダーから、層Bを構成する樹脂と同時に射出し、次に層Bを構成する樹脂を必要量射出して射出金型内キャビティーを満たすことにより、B/A/Bの3層構成の射出成形体を得た後、射出成形体を所定の温度まで冷却し、ブロー金型へ移行した後にブロー成形を行うことでバイアルを製造した。バイアルの総質量を5gとし、層Aの質量をバイアルの総質量の30質量%とした。
下記の条件により、層Bを構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層Aを構成する材料を別の射出シリンダーから、層Bを構成する樹脂と同時に射出し、次に層Bを構成する樹脂を必要量射出して射出金型内キャビティーを満たすことにより、B/A/Bの3層構成の射出成形体を得た後、射出成形体を所定の温度まで冷却し、ブロー金型へ移行した後にブロー成形を行うことでバイアルを製造した。バイアルの総質量を5gとし、層Aの質量をバイアルの総質量の30質量%とした。
<バイアルの形状>
全高45mm、外径24mmφ、肉厚1mmとした。なお、バイアルの製造には、射出ブロー一体型成形機(日精エー・エス・ビー機械株式会社製、型式:ASB12N―10T、4個取り)を使用した。
全高45mm、外径24mmφ、肉厚1mmとした。なお、バイアルの製造には、射出ブロー一体型成形機(日精エー・エス・ビー機械株式会社製、型式:ASB12N―10T、4個取り)を使用した。
<バイアルの評価>
実施例及び比較例で得られたバイアルの酸素バリア性、紫外線吸収性、低溶出性について、以下の方法で測定し評価した。
実施例及び比較例で得られたバイアルの酸素バリア性、紫外線吸収性、低溶出性について、以下の方法で測定し評価した。
(1)酸素バリア性
23℃、成形体外部の相対湿度50%、内部の相対湿度100%の雰囲気にて、測定開始から30日目の酸素透過率を測定した。測定は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、商品名:OX−TRAN 2−21 ML)を使用した。測定値が低いほど酸素バリア性が良好であることを示す。なお、測定の検出下限界は酸素透過率5×10-5mL/(0.21atm・day・package)であった。
23℃、成形体外部の相対湿度50%、内部の相対湿度100%の雰囲気にて、測定開始から30日目の酸素透過率を測定した。測定は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、商品名:OX−TRAN 2−21 ML)を使用した。測定値が低いほど酸素バリア性が良好であることを示す。なお、測定の検出下限界は酸素透過率5×10-5mL/(0.21atm・day・package)であった。
(2)紫外線吸収性
バイアル胴部中央を切り出し、波長250nm、300nm、350nm、400nmの光線透過率を測定した。測定は紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製 V−730)を使用した。
バイアル胴部中央を切り出し、波長250nm、300nm、350nm、400nmの光線透過率を測定した。測定は紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製 V−730)を使用した。
(3)低溶出性
バイアルに、純水10mLを充填し、ゴム栓及びアルミキャップにて密封した容器を40℃、60%RH下に6カ月保存し、その後、純水中のトータルカーボン量(以下、TOC)を測定した。
(TOC測定)
装置;株式会社島津製作所製 TOC−VCPH
燃焼炉温度;720℃
ガス・流量;高純度空気、TOC計部150mL/min
注入量;150μL
検出限界;1μg/mL
バイアルに、純水10mLを充填し、ゴム栓及びアルミキャップにて密封した容器を40℃、60%RH下に6カ月保存し、その後、純水中のトータルカーボン量(以下、TOC)を測定した。
(TOC測定)
装置;株式会社島津製作所製 TOC−VCPH
燃焼炉温度;720℃
ガス・流量;高純度空気、TOC計部150mL/min
注入量;150μL
検出限界;1μg/mL
(実施例1)
ポリエステル化合物(1)100質量部に対し、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.1質量部、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(商品名:アボベンゾン)が0.1質量部となるようドライブレンドし、樹脂組成物を得た。層Aを構成する樹脂として前記樹脂組成物を用い、また、層Bにはシクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製、商品名:ZEONEX 5000、ガラス転移温度68℃、剪断速度1216sec-1における260℃の溶融粘度194Pa・sec)を用いて、以下に示す成形条件でバイアルを製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
(バイアルの成形条件)
層A用の射出シリンダー温度:260℃
層B用の射出シリンダー温度:260℃
射出金型内樹脂流路温度 :260℃
射出金型温度 : 50℃
ブロー金型冷却水温度 : 30℃
サイクルタイム : 15秒
ポリエステル化合物(1)100質量部に対し、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.1質量部、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(商品名:アボベンゾン)が0.1質量部となるようドライブレンドし、樹脂組成物を得た。層Aを構成する樹脂として前記樹脂組成物を用い、また、層Bにはシクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製、商品名:ZEONEX 5000、ガラス転移温度68℃、剪断速度1216sec-1における260℃の溶融粘度194Pa・sec)を用いて、以下に示す成形条件でバイアルを製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
(バイアルの成形条件)
層A用の射出シリンダー温度:260℃
層B用の射出シリンダー温度:260℃
射出金型内樹脂流路温度 :260℃
射出金型温度 : 50℃
ブロー金型冷却水温度 : 30℃
サイクルタイム : 15秒
(実施例2)
ポリエステル化合物(1)100質量部に対し、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.1質量部、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(商品名:アボベンゾン)が0.5質量部となるようドライブレンドし、樹脂組成物を得たこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。結果を表2に示す。
ポリエステル化合物(1)100質量部に対し、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.1質量部、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(商品名:アボベンゾン)が0.5質量部となるようドライブレンドし、樹脂組成物を得たこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。結果を表2に示す。
(実施例3)
ポリエステル化合物(1)100質量部に対し、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.1質量部、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(商品名:アボベンゾン)が1.0質量部となるようドライブレンドし、樹脂組成物を得たこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。結果を表2に示す。
ポリエステル化合物(1)100質量部に対し、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.1質量部、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(商品名:アボベンゾン)が1.0質量部となるようドライブレンドし、樹脂組成物を得たこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。結果を表2に示す。
(実施例4)
ポリエステル化合物(1)100質量部に対し、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.2質量部、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(商品名:アボベンゾン)が0.1質量部となるようドライブレンドし、樹脂組成物を得たこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。結果を表2に示す。
ポリエステル化合物(1)100質量部に対し、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.2質量部、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(商品名:アボベンゾン)が0.1質量部となるようドライブレンドし、樹脂組成物を得たこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。結果を表2に示す。
(実施例5)
ポリエステル化合物(1)100質量部に対し、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.2質量部、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(商品名:アボベンゾン)が0.5質量部となるようドライブレンドし、樹脂組成物を得たこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。結果を表2に示す。
ポリエステル化合物(1)100質量部に対し、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.2質量部、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(商品名:アボベンゾン)が0.5質量部となるようドライブレンドし、樹脂組成物を得たこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。結果を表2に示す。
(実施例6)
ポリエステル化合物(1)100質量部に対し、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.2質量部、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(商品名:アボベンゾン)が1.0質量部となるようドライブレンドし、樹脂組成物を得たこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。結果を表2に示す。
ポリエステル化合物(1)100質量部に対し、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.2質量部、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(商品名:アボベンゾン)が1.0質量部となるようドライブレンドし、樹脂組成物を得たこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。結果を表2に示す。
(実施例7)
ポリエステル化合物(1)100質量部に対し、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.3質量部、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(商品名:アボベンゾン)が0.1質量部となるようドライブレンドし、樹脂組成物を得たこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。結果を表2に示す。
ポリエステル化合物(1)100質量部に対し、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.3質量部、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(商品名:アボベンゾン)が0.1質量部となるようドライブレンドし、樹脂組成物を得たこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。結果を表2に示す。
(実施例8)
ポリエステル化合物(1)100質量部に対し、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.3質量部、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(商品名:アボベンゾン)が0.5質量部となるようドライブレンドし、樹脂組成物を得たこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。結果を表2に示す。
ポリエステル化合物(1)100質量部に対し、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.3質量部、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(商品名:アボベンゾン)が0.5質量部となるようドライブレンドし、樹脂組成物を得たこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。結果を表2に示す。
(実施例9)
ポリエステル化合物(1)100質量部に対し、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.3質量部、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(商品名:アボベンゾン)が1.0質量部となるようドライブレンドし、樹脂組成物を得たこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。結果を表2に示す。
ポリエステル化合物(1)100質量部に対し、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.3質量部、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(商品名:アボベンゾン)が1.0質量部となるようドライブレンドし、樹脂組成物を得たこと以外は、実施例1と同様にして多層バイアルを製造した。結果を表2に示す。
(比較例1)
シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製、商品名:ZEONEX 5000、ガラス転移温度68℃、剪断速度1216sec−1における260℃の溶融粘度194Pa・sec)を用いて実施例1と同形状の単層バイアルを製造し、評価を行った。結果を表3に示す。
シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製、商品名:ZEONEX 5000、ガラス転移温度68℃、剪断速度1216sec−1における260℃の溶融粘度194Pa・sec)を用いて実施例1と同形状の単層バイアルを製造し、評価を行った。結果を表3に示す。
(比較例2)
シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製、商品名:ZEONEX 5000、ガラス転移温度68℃、剪断速度1216sec−1における260℃の溶融粘度194Pa・sec)100質量部にヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.1質量部となるようドライブレンドしたものを用いて実施例1と同形状の単層バイアルを製造し、評価を行った。結果を表3に示す。
シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製、商品名:ZEONEX 5000、ガラス転移温度68℃、剪断速度1216sec−1における260℃の溶融粘度194Pa・sec)100質量部にヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.1質量部となるようドライブレンドしたものを用いて実施例1と同形状の単層バイアルを製造し、評価を行った。結果を表3に示す。
(比較例3)
シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製、商品名:ZEONEX 5000、ガラス転移温度68℃、剪断速度1216sec−1における260℃の溶融粘度194Pa・sec)100質量部にヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.5質量部となるようドライブレンドしたものを用いて実施例1と同形状の単層バイアルを製造し、評価を行った。結果を表3に示す。
シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製、商品名:ZEONEX 5000、ガラス転移温度68℃、剪断速度1216sec−1における260℃の溶融粘度194Pa・sec)100質量部にヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が0.5質量部となるようドライブレンドしたものを用いて実施例1と同形状の単層バイアルを製造し、評価を行った。結果を表3に示す。
(比較例4)
シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製、商品名:ZEONEX 5000、ガラス転移温度68℃、剪断速度1216sec−1における260℃の溶融粘度194Pa・sec)100質量部にヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が1.0質量部となるようドライブレンドしたものを用いて実施例1と同形状の単層バイアルを製造し、評価を行った。結果を表3に示す。
シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製、商品名:ZEONEX 5000、ガラス転移温度68℃、剪断速度1216sec−1における260℃の溶融粘度194Pa・sec)100質量部にヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)が1.0質量部となるようドライブレンドしたものを用いて実施例1と同形状の単層バイアルを製造し、評価を行った。結果を表3に示す。
表2から明らかなように、実施例1〜9のバイアルは、酸素バリア性、紫外線吸収性、及び低溶出性に優れることが確認された。
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂(b)を含有する第1の樹脂層と、
テトラリン環を有する構成単位を含有するポリエステル化合物(a)及びジベンゾイルメタン系化合物を含む樹脂層と、
熱可塑性樹脂(b)を含有する第2の樹脂層と、の少なくとも3層をこの順に有する、
医療用多層容器。 - 前記ポリエステル化合物(a)が、下記式(1)で表される構成単位を含む、
請求項1に記載の医療用多層容器。
- 前記ポリエステル化合物(a)における前記式(1)で表される構成単位の割合が、含有する全構成単位に対して50〜100モル%である、
請求項2に記載の医療用多層容器。 - 前記ジベンゾイルメタン系化合物が、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンを含む、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の医療用多層容器。 - 医療用多層容器が、アンプル、バイアル又はプレフィルドシリンジである、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の医療用多層容器。
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