JP2020532278A - 2−o−硫酸化酵素変異体、および3−o−硫酸化酵素変異体、ならびにそれらを用いる方法 - Google Patents
2−o−硫酸化酵素変異体、および3−o−硫酸化酵素変異体、ならびにそれらを用いる方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2020532278A JP2020532278A JP2019565572A JP2019565572A JP2020532278A JP 2020532278 A JP2020532278 A JP 2020532278A JP 2019565572 A JP2019565572 A JP 2019565572A JP 2019565572 A JP2019565572 A JP 2019565572A JP 2020532278 A JP2020532278 A JP 2020532278A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- amino acid
- acid sequence
- residue
- seq
- sulfated
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N9/00—Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
- C12N9/10—Transferases (2.)
- C12N9/13—Transferases (2.) transferring sulfur containing groups (2.8)
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08B—POLYSACCHARIDES; DERIVATIVES THEREOF
- C08B37/00—Preparation of polysaccharides not provided for in groups C08B1/00 - C08B35/00; Derivatives thereof
- C08B37/006—Heteroglycans, i.e. polysaccharides having more than one sugar residue in the main chain in either alternating or less regular sequence; Gellans; Succinoglycans; Arabinogalactans; Tragacanth or gum tragacanth or traganth from Astragalus; Gum Karaya from Sterculia urens; Gum Ghatti from Anogeissus latifolia; Derivatives thereof
- C08B37/0063—Glycosaminoglycans or mucopolysaccharides, e.g. keratan sulfate; Derivatives thereof, e.g. fucoidan
- C08B37/0075—Heparin; Heparan sulfate; Derivatives thereof, e.g. heparosan; Purification or extraction methods thereof
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N15/00—Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
- C12N15/09—Recombinant DNA-technology
- C12N15/63—Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
- C12N15/70—Vectors or expression systems specially adapted for E. coli
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12P—FERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
- C12P19/00—Preparation of compounds containing saccharide radicals
- C12P19/26—Preparation of nitrogen-containing carbohydrates
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Y—ENZYMES
- C12Y208/00—Transferases transferring sulfur-containing groups (2.8)
- C12Y208/02—Sulfotransferases (2.8.2)
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Zoology (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Plant Pathology (AREA)
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
Abstract
Description
〔1〕下記:
(a)配列番号2のアミノ酸配列;
(b)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(c)配列番号2のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列;あるいは
(d)配列番号2のアミノ酸配列における69番目から356番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
(e)配列番号2のアミノ酸配列における69番目から356番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(f)配列番号2のアミノ酸配列における69番目から356番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列;
のいずれかのアミノ酸配列において、321番目のロイシン残基が塩基性アミノ酸残基に置換されており、かつ、2−O−硫酸転移活性を有する2−O−硫酸化酵素変異体。
〔2〕塩基性アミノ酸残基が、アルギニン残基またはリジン残基である、〔1〕の2−O−硫酸化酵素変異体。
〔3〕ヘキスロン酸残基の2位の水酸基が硫酸化された修飾ヘパロサン化合物の製造方法であって、
2−O−硫酸化酵素変異体の存在下において、ヘパロサン化合物を、ヘキスロン酸残基の2位の水酸基が硫酸化された修飾ヘパロサン化合物に変換することを含み、
2−O−硫酸化酵素変異体が、下記:
(a)配列番号2のアミノ酸配列;
(b)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(c)配列番号2のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列;あるいは
(d)配列番号2のアミノ酸配列における69番目から356番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
(e)配列番号2のアミノ酸配列における69番目から356番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(f)配列番号2のアミノ酸配列における69番目から356番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列;
のいずれかのアミノ酸配列において、321番目のロイシン残基が塩基性アミノ酸残基に置換されており、かつ、2−O−硫酸転移活性を有する2−O−硫酸化酵素変異体である、方法。
〔4〕前記ヘパロサン化合物が、N−硫酸化ヘパロサン、N−硫酸化エピメリ化ヘパロサン、N−硫酸化低分子化ヘパロサン、またはN−硫酸化エピメリ化低分子化ヘパロサンである、〔3〕の方法。
〔5〕前記2−O−硫酸化酵素変異体を産生する形質転換微生物、またはその抽出物の存在下において、ヘキスロン酸残基の2位の水酸基が硫酸化されたヘパロサン化合物が製造される、〔3〕または〔4〕の方法。
〔6〕前記形質転換微生物がエシェリヒア属細菌である、〔5〕の方法。
〔7〕エシェリヒア属細菌がエシェリヒア・コリである、〔6〕の方法。
〔8〕下記:
(a’)配列番号8のアミノ酸配列;
(b’)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(c’)配列番号8のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列;あるいは
(d’)配列番号8のアミノ酸配列における48番目から311番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
(e’)配列番号8のアミノ酸配列における48番目から311番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(f’)配列番号8のアミノ酸配列における48番目から311番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列;
のいずれかのアミノ酸配列において、
(i)77番目のメチオニン残基がリジン残基に置換されているか、
(ii)96番目のトリプトファン残基がフェニルアラニン残基に置換されているか、
(iii)125番目のプロリン残基がアラニン残基に置換されているか、
(iv)164番目のバリン残基がイソロイシン残基に置換されているか、
(v)167番目のアスパラギン残基がヒスチジン残基に置換されているか、
(vi)171番目のリジン残基がグルタミン残基に置換されているか、または
(vii)259番目のチロシン残基がフェニルアラニン残基に置換されており、かつ
3−O−硫酸転移活性を有する3−O−硫酸化酵素変異体。
〔9〕α−D−グルコサミン残基の3位の水酸基が硫酸化された修飾ヘパロサン化合物の製造方法であって、
3−O−硫酸化酵素変異体の存在下において、ヘパロサン化合物を、α−D−グルコサミン残基の3位の水酸基が硫酸化された修飾ヘパロサン化合物に変換することを含み、
3−O−硫酸化酵素変異体が、下記:
(a’)配列番号8のアミノ酸配列;
(b’)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(c’)配列番号8のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列;あるいは
(d’)配列番号8のアミノ酸配列における48番目から311番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
(e’)配列番号8のアミノ酸配列における48番目から311番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(f’)配列番号8のアミノ酸配列における48番目から311番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列;
のいずれかのアミノ酸配列において、
(i)77番目のメチオニン残基がリジン残基に置換されているか、
(ii)96番目のトリプトファン残基がフェニルアラニン残基に置換されているか、
(iii)125番目のプロリン残基がアラニン残基に置換されているか、
(iv)164番目のバリン残基がイソロイシン残基に置換されているか、
(v)167番目のアスパラギン残基がヒスチジン残基に置換されているか、
(vi)171番目のリジン残基がグルタミン残基に置換されているか、または
(vii)259番目のチロシン残基がフェニルアラニン残基に置換されており、かつ
3−O−硫酸転移活性を有する3−O−硫酸化酵素変異体である、方法。
〔10〕前記ヘパロサン化合物が、N−硫酸化6−O−硫酸化ヘパロサン、N−硫酸化6−O−硫酸化エピメリ化ヘパロサン、N−硫酸化2−O−硫酸化6−O−硫酸化ヘパロサン、N−硫酸化2−O−硫酸化6−O−硫酸化エピメリ化低分子化ヘパロサン、N−硫酸化6−O−硫酸化低分子化ヘパロサン、N−硫酸化6−O−硫酸化エピメリ化低分子化ヘパロサン、N−硫酸化2−O−硫酸化6−O−硫酸化低分子化ヘパロサン、またはN−硫酸化2−O−硫酸化6−O−硫酸化エピメリ化低分子化ヘパロサンである、〔9〕の方法。
〔11〕前記3−O−硫酸化酵素変異体を産生する形質転換微生物、またはその抽出物の存在下において、α−D−グルコサミン残基の3位の水酸基が硫酸化された修飾ヘパロサン化合物が製造される、〔9〕または〔10〕の方法。
〔12〕前記形質転換微生物がエシェリヒア属細菌である、〔11〕の方法。
〔13〕エシェリヒア属細菌がエシェリヒア・コリである、〔12〕の方法。
〔14〕ヘパラン硫酸の製造方法であって、
ヘパロサンを、(1)α−D−グルコサミン残基のN−脱アセチル化、(2)低分子化、(3)α−D−グルコサミン残基のN−硫酸化、(4)ヘキスロン酸残基のC5−エピメリ化、(5)ヘキスロン酸残基の2−O−硫酸化、(6)α−D−グルコサミン残基の6−O−硫酸化、および(7)α−D−グルコサミン残基の3−O−硫酸化を含む処理に供して、ヘパラン硫酸を生成することを含み、
(I)ヘキスロン酸残基の2−O−硫酸化が、下記:
(a)配列番号2のアミノ酸配列;
(b)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(c)配列番号2のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列;あるいは
(d)配列番号2のアミノ酸配列における69番目から356番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
(e)配列番号2のアミノ酸配列における69番目から356番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(f)配列番号2のアミノ酸配列における69番目から356番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列;
のいずれかのアミノ酸配列において、321番目のロイシン残基が塩基性アミノ酸残基に置換されており、かつ、2−O−硫酸転移活性を有する2−O−硫酸化酵素変異体の存在下で行われるか、あるいは
(II)α−D−グルコサミン残基の3−O−硫酸化が、下記:
(a’)配列番号8のアミノ酸配列;
(b’)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(c’)配列番号8のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列;あるいは
(d’)配列番号8のアミノ酸配列における48番目から311番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
(e’)配列番号8のアミノ酸配列における48番目から311番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(f’)配列番号8のアミノ酸配列における48番目から311番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列;
のいずれかのアミノ酸配列において、
(i)77番目のメチオニン残基がリジン残基に置換されているか、
(ii)96番目のトリプトファン残基がフェニルアラニン残基に置換されているか、
(iii)125番目のプロリン残基がアラニン残基に置換されているか、
(iv)164番目のバリン残基がイソロイシン残基に置換されているか、
(v)167番目のアスパラギン残基がヒスチジン残基に置換されているか、
(vi)171番目のリジン残基がグルタミン残基に置換されているか、または
(vii)259番目のチロシン残基がフェニルアラニン残基に置換されており、かつ
3−O−硫酸転移活性を有する3−O−硫酸化酵素変異体の存在下で行われる、方法。
本発明の変異体を用いる本発明の方法によれば、目的物質を効率的に製造することができる。
(1−1)2−O−硫酸化酵素変異体
本発明は、下記(a)〜(f)のいずれかのアミノ酸配列において、321番目のロイシン残基が塩基性アミノ酸残基に置換されており、かつ、2−O−硫酸転移活性を有する2−O−硫酸化酵素変異体を提供する。
(a)配列番号2のアミノ酸配列;
(b)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(c)配列番号2のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列;あるいは
(d)配列番号2のアミノ酸配列における69番目から356番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
(e)配列番号2のアミノ酸配列における69番目から356番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(f)配列番号2のアミノ酸配列における69番目から356番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列。
本発明はまた、下記(a’)〜(f’)のいずれかのアミノ酸配列において、
(i)77番目のメチオニン残基がリジン残基に置換されているか、
(ii)96番目のトリプトファン残基がフェニルアラニン残基に置換されているか、
(iii)125番目のプロリン残基がアラニン残基に置換されているか、
(iv)164番目のバリン残基がイソロイシン残基に置換されているか、
(v)167番目のアスパラギン残基がヒスチジン残基に置換されているか、
(vi)171番目のリジン残基がグルタミン残基に置換されているか、または
(vii)259番目のチロシン残基がフェニルアラニン残基に置換されており、かつ
3−O−硫酸転移活性を有する3−O−硫酸化酵素変異体を提供する。
(a’)配列番号8のアミノ酸配列;
(b’)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(c’)配列番号8のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列;あるいは
(d’)配列番号8のアミノ酸配列における48番目から311番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
(e’)配列番号8のアミノ酸配列における48番目から311番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(f’)配列番号8のアミノ酸配列における48番目から311番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列。
(b)、(e)、(b’)または(e’)のアミノ酸配列では、アミノ酸残基の欠失、置換、付加および挿入からなる群より選ばれる1、2、3または4種の変異により、1個または数個のアミノ酸残基が改変され得る。アミノ酸残基の変異は、アミノ酸配列中の1つの領域に導入されてもよいが、複数の異なる領域に導入されてもよい。用語「1個または数個」は、タンパク質の活性を大きく損なわない個数を示す。用語「1個または数個」が示す数は、例えば、1〜100個、好ましくは1〜80個、より好ましくは1〜50個、さらにより好ましくは1〜40個、特に好ましくは1〜30個、1〜20個、1〜10個または1〜5個(例、1個、2個、3個、4個、または5個)である。
(2−1)ヘパロサン化合物
本発明の製造方法では、ヘパロサン化合物を出発物質として用いることにより所定の目的物質を製造することができる。
(1)α−D−グルコサミン残基のN−脱アセチル化;
(2)低分子化(depolymerization);
(3)α−D−グルコサミン残基のN−硫酸化;
(4)ヘキスロン酸残基のC5−エピメリ化;
(5)ヘキスロン酸残基の2−O−硫酸化;
(6)α−D−グルコサミン残基の6−O−硫酸化;または
(7)α−D−グルコサミン残基の3−O−硫酸化。
これらの修飾様式の詳細は、図面の簡単な説明に記載したとおりである。このようなヘパロサン誘導体は、後述する処理により調製することができる。
本発明は、ヘキスロン酸残基の2位の水酸基が硫酸化された修飾ヘパロサン化合物の製造方法を提供する。本方法は、上述したような2−O−硫酸化酵素変異体の存在下において、ヘパロサン化合物を、ヘキスロン酸残基の2位の水酸基が硫酸化された修飾ヘパロサン化合物に変換することを含む。
本発明は、α−D−グルコサミン残基の3位の水酸基が硫酸化された修飾ヘパロサン化合物の製造方法を提供する。本方法は、上述したような3−O−硫酸化酵素変異体の存在下において、ヘパロサン化合物を、α−D−グルコサミン残基の3位の水酸基が硫酸化された修飾ヘパロサン化合物に変換することを含む。
本発明は、ヘパラン硫酸(好ましくはヘパリン)の製造方法を提供する。本方法は、ヘパロサンを、(1)α−D−グルコサミン残基のN−脱アセチル化、(2)低分子化、(3)α−D−グルコサミン残基のN−硫酸化、(4)ヘキスロン酸残基のC5−エピメリ化、(5)ヘキスロン酸残基の2−O−硫酸化、(6)α−D−グルコサミン残基の6−O−硫酸化、および(7)α−D−グルコサミン残基の3−O−硫酸化を含む処理に供して、ヘパラン硫酸を生成することを含み、
(I)ヘキスロン酸残基の2−O−硫酸化が、上述したような2−O−硫酸化酵素変異体の存在下で行われるか、あるいは
(II)α−D−グルコサミン残基の3−O−硫酸化が、上述したような3−O−硫酸化酵素変異体の存在下で行われることを特徴とする。
上記(2−2)〜(2−4)の方法における各反応は、適切な系(例、緩衝液系、発酵系)において適宜行うことができる。これらの反応の条件としては、既報(例、上述した文献を参照)、または実施例に記載される条件を採用することができる。例えば、(2−2)および(2−3)の方法は、0.1〜50g/L へパロサン化合物、0.05〜10mM PAPSを含む適切なpH(例、5.0〜9.0)の緩衝液(例、MES、HEPES)中において、適切な温度(例、25〜42℃)で所望の時間(例、10分〜48時間)反応させることにより、行うことができる。
(1)ヘパロサン発酵
WO2015/050184の実施例1に記載のヘパロサン生産菌(エシェリヒア・コリBL21(DE3)/pVK9−kfiABCD株)および培養条件にてヘパロサンを含有する培養液を得た。
培養液から遠心分離により培養上清を回収した。培地成分を除去するために1mLの培養上清をUF膜を用いてmilliQ水で洗浄し、250μLまで濃縮した。UF膜濃縮液250μLに500μLの100%エタノールを加え、遠心分離によってヘパロサンを沈降させた。得られた沈殿を風乾させ、ヘパロサンを得た。残りの培養上清から同様の手順でヘパロサンを精製し、ヘパロサン計10gを得た。
先ず、ヘパロサン1.22gにHydrazine・H2O 61mLおよび1N硫酸4.7mLを添加し、気相を窒素置換後、100℃に加温し、4.75時間反応させた。
(4−1)ヘパリナーゼIIIの調製
<Flavobacterium heparinum由来hepC遺伝子の発現プラスミドの構築>
Flavobacterium heparinum(ATCC13125)よりヘパリナーゼIIIをコードするhepC遺伝子をpMIV−Pnlp0ベクター(米国特許出願公開20050196846号)にクローニングし、hepC遺伝子の発現プラスミドpMIV−Pnlp0−hepCを構築した。pMIV−Pnlp0−terには強力なnlp0プロモーター(Pnlp0)とrrnBターミネーターが組み込まれており、プロモーターとターミネーターの間に目的の遺伝子を挿入することで発現ユニットとして機能させることができる。「Pnlp0」はエシェリヒア・コリK−12株由来の野生型nlpD遺伝子のプロモーターを示す。
hepC遺伝子の発現プラスミドpMIV−Pnlp0−hepCをエシェリヒア・コリBL21(DE3)株(ライフテクノロジーズ社)へエレクトロポレーション(Cell:80μL,200Ω,25μF,1.8kV,キュベット:0.1mL)により導入し、ヘパリナーゼIII生産株としてエシェリヒア・コリBL21(DE3)/pMIV−Pnlp0−hepC株を得た。この株を25μg/mLクロラムフェニコール添加LB培地にて37℃で一晩前培養を行った。その後、培養液を、坂口フラスコに300mL張りこんだLB培地中に終濃度2%v/vとなるよう植菌した。37℃にて4時間振とう培養を行い、培養を終了した。遠心分離後、菌体を0.85%NaClにて2回洗浄し、30mLの50mM HEPESバッファー(pH7.0)にて懸濁した。懸濁液を超音波破砕に供して菌体を破砕した。細胞破砕液を遠心分離し、上清(無細胞抽出液)としてヘパリナーゼIII酵素液を調製した。
上記(3)で得られたN−アセチル基残存率14.9%のN−脱アセチル化ヘパロサン1gおよび31.3mIU/μLのヘパリナーゼIII溶液2mLを100mM NaClおよび1.5mM CaCl2を含むTris緩衝溶液(pH8.0)100mLに溶解し、37℃にて5.3時間反応させた。反応液に16%NaCl水溶液100mLおよびEtOH 900mLを添加して混合し、遠心分離して上清を除去し、低分子化N−脱アセチル化ヘパロサンを得た。ヘパリナーゼIIIによる低分子化後の分子量について、プルランを標準としてGPCにより測定した。その結果、数平均分子量(Mn)は、9860、重量平均分子量(Mw)は、15430であった。
先ず、上記(4)で得られた低分子化N−脱アセチル化ヘパロサン1gをmilliQ水50mLに溶解させ、20mg/mL NaHCO3/20mg/mL Trimethylamine・SO3水溶液を50mL添加して55℃で一晩反応させた。
N−硫酸化低分子化ヘパロサンの二糖分析は、既報(T.Imanari,et.al.,“High−performance liquid chromatographic analysis of glycosaminoglycan−derived oligosaccharides.”J.O.Chromato.A,720,275−293(1996))の条件に従い実施した。すなわち、N−硫酸化低分子化ヘパロサンをヘパリナーゼIIおよびIIIを用いて不飽和二糖に分解し、分解物をHPLCで分析することにより、各構成二糖の量を定量した。
(a)ヘパリナーゼII 0.2U(Sigma)、ヘパリナーゼIII 0.02〜0.03mIU、多糖サンプル5μg、および酵素消化用buffer(100mM CH3COONa,10mM(CH3COO)2Ca,pH7.0)10μLを混合し、milliQ水で100μLにメスアップし、反応溶液とした。
(b)反応溶液を37℃で16時間以上反応させた後、100℃にて2分間煮沸し、反応を停止させた。
(c)0.45μmのフィルターで不溶物を除去した溶液を二糖分析用サンプルとした。
(d)分析は、カラムにはInertsil ODS−3 150mm×2.1mm、粒子径5μmを用い、温度は50℃、流速は0.25mL/min、検出波長は230nm、溶離液はA液として4%Acetonitrile、1.2mM Tributylamineを用い、B液として4%Acetonitrile、0.1M CsClを用い、B液1−90%のグラジエント条件で行った。
(6−1)精製D−グルクロニル C5−エピメラーゼ(Dlce)の調製
<ゼブラフィッシュ由来Dlce発現菌株の構築>
pMAL−c2x(配列番号23、New England BioLabs社)をテンプレートDNAとし、配列番号24および25をプライマーとして用いたPCR反応によって、変異型Maltose binding protein(MBP*)のC末端領域DNA断片を得た。上記PCR反応においては、5’末端に制限酵素BglII、3’末端に制限酵素HindIII、BamHI、SacI、XhoI、およびNotIの認識サイトを付加した。pMAL−c2xプラスミドDNAおよびMBP*のC末端領域DNA断片をBglIIおよびHindIIIにより切断し、ライゲーション反応を行うことによりpMAL−MBP*プラスミドを得た。pMAL−MBP*プラスミドのヌクレオチド配列を配列番号26に示す。
エシェリヒア・コリOrigami B(DE3)/pMAL−MBP*−dreDlce(G70)を100μg/mLアンピシリンを添加したLB培地に植菌し、37℃にて一晩前培養を行った。その後、100μg/mLアンピシリンを添加したLB+Glycerol培地(95%(v/v)LB培地、1.0%(v/v)グリセロール、5mM MOPS−KOH (pH 7.0))を100mL張り込んだ500mL容坂口フラスコに、終濃度1%となるように植菌し、37℃にてOD660が0.5−0.7となるまで振とう培養後、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)(ナカライテスク社)を終濃度0.5mMとなるよう添加し、さらに一晩22℃にて培養を行った。
上記(4)で取得したN−硫酸化低分子化ヘパロサンのC5−エピメリ化反応を実施した。4g/L N−硫酸化低分子化ヘパロサン、50mM MES(pH7.0)、1mM塩化カルシウムに8mU/mLの精製MBP*−dreDlce(G70)を添加し、37℃にて一晩反応した。95℃、15分間の熱処理による反応停止後、反応停止液をアミコンウルトラ−15 3K(Merck Millipore)を用いて超純水に液置換した。
C5−エピメリ化率の定量は、亜硝酸分解による二糖組成分析により実施した。その結果、C5−エピメリ化率は26.7%であった。
NaNO2(CAS No.:7632−00−0,MW:69.01)
クエン酸(CAS No.:77−92−9,MW:192.1)
2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(CAS No.:119−26−6,MW:198.1)50%含水品(略:DNPH)
NaNO2水溶液:試薬49.5mgをH2O 1mLに溶解
クエン酸水溶液:試薬384.2mgをH2O 1mLに溶解
DNPH溶液:試薬20.4mg(50%含水)をアセトニトリル1mLに溶解
1.5mLマイクロチューブ(Eppendorf)に反応液10μL、クエン酸緩衝液20μL、NaNO2水溶液10μLを順に添加し、混合溶液を65℃で2hr撹拌(1000rpm)し、亜硝酸分解液を得た。得られた亜硝酸分解液40μLにDNPH溶液20μLを添加し、45℃で2hr撹拌(1000rpm)し、誘導化液を得た。得られた誘導化液の組成を下記に示す条件によりHPLCで分析した。
カラム:住化分析センター製ODS Z−CLUE3μm 2.0mm×250mm
カラム槽温度:50℃
溶離液流量:0.3mL/min
検出:UV365nm
注入量:5μL
溶離液組成:A液 50mM−HCOONH4(pH4.5)
B液 MeCN
(1)pC2−1の構築
2−O硫酸化酵素(2−OST)としては、チャイニーズハムスター由来の2−OSTの94番目のチロシン残基をアラニンに変換した変異体の触媒部位(Asp69−Asn356)と、マルトース結合タンパク質MBPとの融合タンパク質(MBP**−2−OST)を利用した。
変異型2−OST発現プラスミドを構築するため、各種変異型に対応するプライマー(配列番号37〜64)を用いて、pMAL−MBP**−2−OST(Y94A)を鋳型として、PCRを実施した。各変異とプライマーの関係を表3に示す。得られたPCR産物をDpnIで消化した後、該反応液でエシェリヒア・コリJM109株を形質転換し、100μg/mLのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布後、37℃で終夜培養した。生育してきた形質転換微生物のコロニーから公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、3100ジェネティックアナライザー(アプライドバイオシステムズ社製)を用いてヌクレオチド配列の確認を行い、目的の構造を持つプラスミドpC2−2、3、4、5、6、7、8、10、11、12を取得した。同様の方法で、pC2−3を鋳型として、PCRを実施し、pC2−22、25、26、27、28を構築した。各変異とプライマーおよびプラスミドの関係を表3に示す。
シャペロニン発現プラスミドpGro7(TaKaRa社)でエシェリヒア・コリOrigami B(DE3)株(ノバジェン社)を形質転換し、エシェリヒア・コリOrigami B(DE3)/pGro7を構築した。これを上記(1)および(2)で構築したプラスミドpC2−1、2、3、4、5、6、7、8、10、11、20、21、22、23、24、25、26、27、28によりそれぞれ形質転換し、菌株C2−1、2、3、4、5、6、7、8、10、11、20、21、22、23、24、25、26、27、28を取得した。
実施例2で取得した菌株を100μg/mLアンピシリンおよび25μg/mLクロラムフェニコールを添加したLB培地に植菌し、37℃にて一晩前培養を行った。その後、100μg/mLアンピシリンおよび25μg/mLクロラムフェニコールを添加したLB+Glycerol培地を100mL張り込んだ500mL容坂口フラスコに、終濃度1%となるように植菌し、37℃にてOD660が0.5−0.7となるまで振とう培養後、IPTG(ナカライテスク社)を終濃度0.5mM、L−アラビノース(和光純薬工業社)を終濃度0.2%となるよう添加し、さらに一晩22℃にて培養を行った。
実施例3で取得した無細胞抽出液0.5mLを、緩衝液−2で予め平衡化したSuperose 6 increase 10/300カラム(GEヘルスケア社)に注入し、流速0.25mL/分にて分子量分画した。0.2倍のカラムボリューム量以降の透過液を0.4mLずつ98穴プレートに回収した。分子量スタンダードとしては、ゲルろ過スタンダード(バイオ・ラッド社、#151−1901)および分子量マーカー(HPLC)(オリエンタル酵母工業株式会社、#46804000)を使用した。
(1)2−O硫酸化反応
実施例1で調製したN−硫酸化エピメリ化低分子化ヘパロサンを基質として反応を実施した。反応液(2mg/mL N−硫酸化エピメリ化低分子化ヘパロサン、0.6mM 3’−Phosphoadenosine−5’−phosphosulfate、50mM MES(pH7.0))に各無細胞抽出液を1.9%添加し、37℃で30分間反応を行い、2倍量の2.0M クエン酸水溶液と混合し、95℃、15分間の熱処理により反応を停止した。陰性対照として、反応液に無細胞抽出液の代わりに緩衝液−2を添加した条件で酵素反応を実施した。
変換率(2−O−硫酸化率および3−O−硫酸化率)の定量は、亜硝酸分解による二糖組成分析により実施した。
NaNO2(CAS No.:7632−00−0,MW:69.01)
クエン酸(CAS No.:77−92−9,MW:192.1)
2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(CAS No.:119−26−6,MW:198.1)50%含水品(略:DNPH)
Heparin(Aldrich製)
Heparin標準溶液:1mg/mL
NaNO2水溶液:試薬49.5mgをH2O1mLに溶解
クエン酸水溶液:試薬384.2mgをH2O1mLに溶解
DNPH溶液:試薬20.4mg(50%含水)をアセトニトリル1mLに溶解
<LC条件>
カラム:住化分析センター製ODS Z−CLUE3μm 2.0mm×250mm
カラム槽温度:50℃
溶離液流量:0.3mL/min
検出:UV365nm
注入量:5μL
溶離液組成:A液 50mM−HCOONH4(pH4.5)
B液 MeCN
イオン化法 ;エレクトロスプレーイオン化(ESI(+/−))
DL温度 :250℃
ヒートブロック :250℃
ネブライザーガス流速:1.5L/min
ドライガス流速 :15L/min
1.5mLマイクロチューブ(Eppendorf)にHeparin標準液又は被験液10μL、クエン酸buffer水溶液20μL、NaNO2水溶液10μLを順に添加し、混合溶液を65℃で2hr撹拌(1000rpm)し、亜硝酸分解液を得た。得られた亜硝酸分解液40μLにDNPH溶液20μLを添加し、45℃で2hr撹拌(1000rpm)し、誘導化液を得た。得られた誘導化液の組成をLC−MSで分析した。Heparin標準液を分析して得られるIdoA(2S)−GlcN(NS6S)のピークから換算係数(1mg×IdoA(2S)−GlcN(NS6S)のarea純度/IdoA(2S)−GlcN(NS6S)のarea値)を算出し、被験液中の各二糖誘導体のarea値からその濃度を求めた。算出された二糖構造とその割合を表3に示す。表中、N−アセチル基を有する二糖誘導体等を含むと考えられる未同定ピークのデータは割愛し、GlcA(2S)−GlcN(NS)、IdoA(2S)−GlcN(NS)、GlcA−GlcN(NS)、およびIdoA−GlcN(NS)の総量を100%とした。
(1)N−硫酸化低分子化ヘパロサンの6−O硫酸化
<反応前の精製>
実施例1(5)で得られたN−硫酸化低分子化ヘパロサン30mLを遠心分離し(7000G、30分)、その上清を0.45μmのフィルターで濾過した。濾過液27.3gをファルマシア製カラム(型番:XK26)に充填した弱アニオン交換樹脂15g(DIAION、WA−30三菱化学製 事前に25.6mM NaH2PO4でpH5.5に調整)に投入して多糖成分を吸着し、洗浄液(0.5M NaCl+25.6mM NaH2PO4(pH5.5))480mLを通液した(流速:6.4mL/min)。次に、溶離液(2M NaCl+25.6mM NaH2PO4(pH5.5))230mLを通液し(流速6.4mL/min)、多糖成分を含む溶離液を得た。得られた溶離液をAmicon−3K(メルクミリポア製)にチャージして遠心分離(4000G)を行った。得られた濃縮液に更に水100mLを添加して再度遠心分離を行った。この洗浄操作を3回実施して洗浄濃縮液11gを取得した。
強カチオン交換樹脂(DIAION、UBK550三菱化学製 予め1M塩酸でH型に変換)3mLに洗浄濃縮液11gを通液した後(pH2.25)、トリブチルアミン2.36mg/エタノール10μLの混合液1.8mLを添加して中和した(pH8.36)。得られた中和液を凍結乾燥した。
アルゴン気流下で凍結乾燥物全量にDMF1.92mL及び三酸化硫黄ピリジン付加物76.4mg(0.48mmol)を添加し、−10℃で48時間撹拌した。反応液に5M酢酸Na水溶液2.8mL及び水31mLを添加して室温で1時間撹拌することで反応を停止した。反応停止液を0.2μmのフィルターで濾過し、その濾過液をAmicon−3K(メルクミリポア製)にチャージして遠心分離(4000G)を行った。得られた濃縮液に更に水20mLを添加して再度遠心分離を行った。この洗浄操作を2回実施して洗浄濃縮液3.92gを取得した。得られた洗浄濃縮液をサンプリングし、実施例1と同様の手順で亜硝酸分解により二糖組成分析を行った。その結果、洗浄濃縮液3.92g中に二糖単位の量に換算して76.5mgの反応生成物N−硫酸化6−O硫酸化低分子化ヘパロサンが含まれていることを確認した。
(1)pETDuet−3−OST−1の構築
マウス由来3−OST−1のアミノ酸配列(NCBI−Protein ID:NP_034604;配列番号8)をKEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)データベースより取得した。既報(Edavettal S.C.et al.,J Biol Chem.2004;279(24)25789−97)を参考に、エシェリヒア・コリのcodon usageに合わせて最適化した、同3−OST−1の触媒部位(Gly48−His311;配列番号10)をコードする塩基配列(配列番号9)を含むDNA断片を合成した。得られたDNA断片をpETDuet−1ベクター(Novagen)のEcoRI−SalIサイトに挿入して、3−OST−1発現プラスミドpETDuet−3−OST−1を構築した。この発現プラスミドによれば、N末端側にHis−Tagが付加された3−OST−1が発現するため、Hisタグによる3−OST−1の精製が可能となる。
変異型3−OST−1発現プラスミドを構築するため、各種変異型に対応するプライマー(配列番号65〜138)を用いて、pETDuet−3−OST−1を鋳型として、PCRを実施した。各変異とプライマーの関係を表6に示す。得られたPCR産物をDpnIで消化した後、該反応液でエシェリヒア・コリJM109株を形質転換し、100μg/mLのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布後、37℃で終夜培養した。生育してきた形質転換微生物のコロニーから公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、3100ジェネティックアナライザー(アプライドバイオシステムズ社製)を用いてヌクレオチド配列の確認を行い、目的の構造を持つプラスミドpET3OST#1、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40を取得した。各変異とプライマーおよびプラスミドの関係を表8−1および8−2に示す。
野生型3−OST−1を搭載した発現プラスミドpETDuet−3−OST−1、および変異型3−OST−1を搭載した37種の発現プラスミドpET3OSTをエシェリヒア・コリBL21(DE3)株へ実施例1(5)と同様の手法で導入し、野生型3−OST−1発現株pETDuet−3−OST−1/BL21(DE3)株(3OS−WT)および37種の変異型3−OST−1発現株を得た。
実施例7で取得した菌株を100μg/mLのアンピシリンを含むLB培地3mL(1.0%(w/v)ペプトン、0.5%(w/v)酵母エキス、1.0%(w/v)NaCl、1.5%(w/v)寒天)に接種し、試験管にて37℃での一晩前培養を行なった。トリプトントリプトン(BD社製)1.2%(w/v)、酵母エキス(BD社製)2.4%(w/v)、グリセリン(純正化学社製)0.5%(w/v))及び水からなる溶液Aを120℃、20分オートクレーブ処理して調製し、リン酸二水素カリウム(純正化学社製)2.3%(w/v)、リン酸水素二カリウム(純正化学社製)12.5%(w/v)及び水からなる溶液Bを0.45μmフィルター(メルク社製)を用いてろ過調製した。上記の溶液Aと溶液BをA:B=9:1となるように無菌環境下混合し、TB培地を調製した。TB培地3mL(100μg/mLアンピシリン含有)を張り込んだ試験管に、前培養した培養液を終濃度1%となるよう添加し、37℃にて、120往復/分でOD660が0.5−0.7に到達するまで振とう培養した。そこでIPTG(ナカライテスク社)を終濃度0.2mMとなるよう添加し、さらに24〜26時間振とう培養を行なった。培養液1mLを遠心分離(4℃、15,000rpm、5分)によって集菌した。沈殿として得られた菌体を1mLの平衡化バッファー(50mM リン酸ナトリウム、300mM NaCl、pH7.0)に懸濁し、再度遠心分離(4℃、8,000rpm、5分)することによって菌体を洗浄した。洗浄操作を2回繰り返した後、沈殿として得られた菌体を400μLの平衡化バッファーに再度懸濁し、4℃冷却水で冷やしながら超音波破砕装置Bioruptor(ソニック・バイオ社製)を用いて、菌体破砕を行った。破砕液を遠心分離(4℃、15,000rpm、20分)し、得られた上清を無細胞抽出液とした。
(1)GlcN残基の3−O硫酸化反応
実施例6で得られたN−硫酸化6−O硫酸化低分子化ヘパロサンを基質として反応を実施した。反応液として、1g/L N−硫酸化6−O硫酸化低分子化ヘパロサン、1.25mM PAPS、50mM HEPES(pH7.5))の混合液80μLを調製した。水浴中で予め37℃に保温した同混合液に実施例8で調製した無細胞抽出液 20μLを添加し酵素反応を開始した。37℃で反応を進行させ、1時間経過後に100℃3分加熱し酵素を失活させた。
実施例5(2)と同様の手順で亜硝酸分解により反応生成物の二糖組成分析を行った。反応停止液を亜硝酸分解による二糖組成分析に供することより3−O硫酸化率を算出した。3−O硫酸化率の計算方法は、式(I)の通りである。
実施例9(2)で求めた3−O硫酸化率をもとに3−OST活性を算出した。1分間に1μmolの3−O硫酸化二糖単位GlcA−GlcNS3S6S(分子量 593)を生成させる酵素量を1Uと定義した。野生型3−OST−1の酵素活性を1とする変異型3−OST相対活性を表9に示す。活性評価の結果、M77K、P125A、およびV164Iの変異導入により、3−OST活性が向上することが明らかとなった。
配列番号2は、チャイニーズハムスター由来2−O硫酸化酵素(2−OST)の全長アミノ酸配列を示す。
配列番号3は、チャイニーズハムスター由来2−O硫酸化酵素(2−OST)の触媒部位(Asp69−Asn356)のアミノ酸配列を示す。
配列番号4は、Y94A変異を有する、チャイニーズハムスター由来2−O硫酸化酵素(2−OST)の全長アミノ酸配列を示す。
配列番号5は、エシェリヒア・コリにおけるcodon usageに最適化された、Y94A変異を有するチャイニーズハムスター由来2−O硫酸化酵素(2−OST)の触媒部位(Asp69−Asn356)をコードするヌクレオチド配列を示す。
配列番号6は、Y94A変異を有するチャイニーズハムスター由来2−O硫酸化酵素(2−OST)の触媒部位(Asp69−Asn356)のアミノ酸配列を示す。
配列番号7は、マウス由来3−O硫酸化酵素(3−OST−1)をコードする全長ヌクレオチド配列を示す。
配列番号8は、マウス由来3−O硫酸化酵素(3−OST−1)の全長アミノ酸配列を示す。
配列番号9は、エシェリヒア・コリにおけるcodon usageに最適化された、マウス由来3−O硫酸化酵素(3−OST−1)の触媒部位(Gly48−His311)をコードするヌクレオチド配列を示す。
配列番号10は、マウス由来3−O硫酸化酵素(3−OST−1)の触媒部位(Gly48−His311)のアミノ酸配列を示す。
配列番号11は、プライマーP1のヌクレオチド配列を示す。
配列番号12は、プライマーP2のヌクレオチド配列を示す。
配列番号13は、Pnlp0プロモーターのPaeI−SalI断片のヌクレオチド配列のヌクレオチド配列を示す。
配列番号14は、プライマーP3のヌクレオチド配列を示す。
配列番号15は、プライマーP4のヌクレオチド配列を示す。
配列番号16は、rrnB遺伝子のターミネーター領域約300bpを含むDNA断片のヌクレオチド配列を示す。
配列番号17は、プライマーP5のヌクレオチド配列を示す。
配列番号18は、プライマーP6のヌクレオチド配列を示す。
配列番号19は、プライマーP7のヌクレオチド配列を示す。
配列番号20は、プライマーP8のヌクレオチド配列を示す。
配列番号21は、実施例1でクローニングされたhepC遺伝子のヌクレオチド配列を示す。
配列番号22は、配列番号21のヌクレオチド配列がコードするヘパリナーゼIII(HepC)のアミノ酸配列を示す。
配列番号23は、pMAL−c2xプラスミドのヌクレオチド配列を示す。
配列番号24および25は、実施例1でMBP*を作成するために使用したプライマーのヌクレオチド配列を示す。
配列番号26は、pMAL−MBP*プラスミドのヌクレオチド配列を示す。
配列番号27および28は、実施例1でpMAL−MBP*のDNA断片を取得するために使用したプライマーのヌクレオチド配列を示す。
配列番号29および30は、実施例1でゼブラフィッシュ由来D−グルクロニル C5−エピメラーゼの断片を取得するために使用したプライマーのヌクレオチド配列を示す。
配列番号31は、ゼブラフィッシュ由来D−グルクロニル C5−エピメラーゼの部分アミノ酸配列(Gly70−Asn585)をコードするコドン最適化ヌクレオチド配列を示す。
配列番号32は、ゼブラフィッシュ由来D−グルクロニル C5−エピメラーゼの部分アミノ酸配列(Gly70−Asn585)を示す。
配列番号33〜138は、プライマーのヌクレオチド配列を示す。
Claims (14)
- 下記:
(a)配列番号2のアミノ酸配列;
(b)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(c)配列番号2のアミノ酸配列に対して90%以上の相同性を有するアミノ酸配列;あるいは
(d)配列番号2のアミノ酸配列における69番目から356番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
(e)配列番号2のアミノ酸配列における69番目から356番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(f)配列番号2のアミノ酸配列における69番目から356番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して90%以上の相同性を有するアミノ酸配列;
のいずれかのアミノ酸配列において、321番目のロイシン残基が塩基性アミノ酸残基に置換されており、かつ、2−O−硫酸転移活性を有する2−O−硫酸化酵素変異体。 - 塩基性アミノ酸残基が、アルギニン残基またはリジン残基である、請求項1記載の2−O−硫酸化酵素変異体。
- ヘキスロン酸残基の2位の水酸基が硫酸化された修飾ヘパロサン化合物の製造方法であって、
2−O−硫酸化酵素変異体の存在下において、ヘパロサン化合物を、ヘキスロン酸残基の2位の水酸基が硫酸化された修飾ヘパロサン化合物に変換することを含み、
2−O−硫酸化酵素変異体が、下記:
(a)配列番号2のアミノ酸配列;
(b)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(c)配列番号2のアミノ酸配列に対して90%以上の相同性を有するアミノ酸配列;あるいは
(d)配列番号2のアミノ酸配列における69番目から356番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
(e)配列番号2のアミノ酸配列における69番目から356番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(f)配列番号2のアミノ酸配列における69番目から356番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して90%以上の相同性を有するアミノ酸配列;
のいずれかのアミノ酸配列において、321番目のロイシン残基が塩基性アミノ酸残基に置換されており、かつ、2−O−硫酸転移活性を有する2−O−硫酸化酵素変異体である、方法。 - 前記ヘパロサン化合物が、N−硫酸化ヘパロサン、N−硫酸化エピメリ化ヘパロサン、N−硫酸化低分子化ヘパロサン、またはN−硫酸化エピメリ化低分子化ヘパロサンである、請求項3記載の方法。
- 前記2−O−硫酸化酵素変異体を産生する形質転換微生物、またはその抽出物の存在下において、ヘキスロン酸残基の2位の水酸基が硫酸化されたヘパロサン化合物が製造される、請求項3または4記載の方法。
- 前記形質転換微生物がエシェリヒア属細菌である、請求項5記載の方法。
- エシェリヒア属細菌がエシェリヒア・コリである、請求項6記載の方法。
- 下記:
(a’)配列番号8のアミノ酸配列;
(b’)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(c’)配列番号8のアミノ酸配列に対して90%以上の相同性を有するアミノ酸配列;あるいは
(d’)配列番号8のアミノ酸配列における48番目から311番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
(e’)配列番号8のアミノ酸配列における48番目から311番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(f’)配列番号8のアミノ酸配列における48番目から311番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して90%以上の相同性を有するアミノ酸配列;
のいずれかのアミノ酸配列において、
(i)77番目のメチオニン残基がリジン残基に置換されているか、
(ii)96番目のトリプトファン残基がフェニルアラニン残基に置換されているか、
(iii)125番目のプロリン残基がアラニン残基に置換されているか、
(iv)164番目のバリン残基がイソロイシン残基に置換されているか、
(v)167番目のアスパラギン残基がヒスチジン残基に置換されているか、
(vi)171番目のリジン残基がグルタミン残基に置換されているか、または
(vii)259番目のチロシン残基がフェニルアラニン残基に置換されており、かつ
3−O−硫酸転移活性を有する3−O−硫酸化酵素変異体。 - α−D−グルコサミン残基の3位の水酸基が硫酸化された修飾ヘパロサン化合物の製造方法であって、
3−O−硫酸化酵素変異体の存在下において、ヘパロサン化合物を、α−D−グルコサミン残基の3位の水酸基が硫酸化された修飾ヘパロサン化合物に変換することを含み、
3−O−硫酸化酵素変異体が、下記:
(a’)配列番号8のアミノ酸配列;
(b’)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(c’)配列番号8のアミノ酸配列に対して90%以上の相同性を有するアミノ酸配列;あるいは
(d’)配列番号8のアミノ酸配列における48番目から311番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
(e’)配列番号8のアミノ酸配列における48番目から311番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(f’)配列番号8のアミノ酸配列における48番目から311番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して90%以上の相同性を有するアミノ酸配列;
のいずれかのアミノ酸配列において、
(i)77番目のメチオニン残基がリジン残基に置換されているか、
(ii)96番目のトリプトファン残基がフェニルアラニン残基に置換されているか、
(iii)125番目のプロリン残基がアラニン残基に置換されているか、
(iv)164番目のバリン残基がイソロイシン残基に置換されているか、
(v)167番目のアスパラギン残基がヒスチジン残基に置換されているか、
(vi)171番目のリジン残基がグルタミン残基に置換されているか、または
(vii)259番目のチロシン残基がフェニルアラニン残基に置換されており、かつ
3−O−硫酸転移活性を有する3−O−硫酸化酵素変異体である、方法。 - 前記ヘパロサン化合物が、N−硫酸化6−O−硫酸化ヘパロサン、N−硫酸化6−O−硫酸化エピメリ化ヘパロサン、N−硫酸化2−O−硫酸化6−O−硫酸化ヘパロサン、N−硫酸化2−O−硫酸化6−O−硫酸化エピメリ化低分子化ヘパロサン、N−硫酸化6−O−硫酸化低分子化ヘパロサン、N−硫酸化6−O−硫酸化エピメリ化低分子化ヘパロサン、N−硫酸化2−O−硫酸化6−O−硫酸化低分子化ヘパロサン、またはN−硫酸化2−O−硫酸化6−O−硫酸化エピメリ化低分子化ヘパロサンである、請求項9記載の方法。
- 前記3−O−硫酸化酵素変異体を産生する形質転換微生物、またはその抽出物の存在下において、α−D−グルコサミン残基の3位の水酸基が硫酸化された修飾ヘパロサン化合物が製造される、請求項9または10記載の方法。
- 前記形質転換微生物がエシェリヒア属細菌である、請求項11記載の方法。
- エシェリヒア属細菌がエシェリヒア・コリである、請求項12記載の方法。
- ヘパラン硫酸の製造方法であって、
ヘパロサンを、(1)α−D−グルコサミン残基のN−脱アセチル化、(2)低分子化、(3)α−D−グルコサミン残基のN−硫酸化、(4)ヘキスロン酸残基のC5−エピメリ化、(5)ヘキスロン酸残基の2−O−硫酸化、(6)α−D−グルコサミン残基の6−O−硫酸化、および(7)α−D−グルコサミン残基の3−O−硫酸化を含む処理に供して、ヘパラン硫酸を生成することを含み、
(I)ヘキスロン酸残基の2−O−硫酸化が、下記:
(a)配列番号2のアミノ酸配列;
(b)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(c)配列番号2のアミノ酸配列に対して90%以上の相同性を有するアミノ酸配列;あるいは
(d)配列番号2のアミノ酸配列における69番目から356番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
(e)配列番号2のアミノ酸配列における69番目から356番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(f)配列番号2のアミノ酸配列における69番目から356番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して90%以上の相同性を有するアミノ酸配列;
のいずれかのアミノ酸配列において、321番目のロイシン残基が塩基性アミノ酸残基に置換されており、かつ、2−O−硫酸転移活性を有する2−O−硫酸化酵素変異体の存在下で行われるか、あるいは
(II)α−D−グルコサミン残基の3−O−硫酸化が、下記:
(a’)配列番号8のアミノ酸配列;
(b’)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(c’)配列番号8のアミノ酸配列に対して90%以上の相同性を有するアミノ酸配列;あるいは
(d’)配列番号8のアミノ酸配列における48番目から311番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
(e’)配列番号8のアミノ酸配列における48番目から311番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列;または
(f’)配列番号8のアミノ酸配列における48番目から311番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して90%以上の相同性を有するアミノ酸配列;
のいずれかのアミノ酸配列において、
(i)77番目のメチオニン残基がリジン残基に置換されているか、
(ii)96番目のトリプトファン残基がフェニルアラニン残基に置換されているか、
(iii)125番目のプロリン残基がアラニン残基に置換されているか、
(iv)164番目のバリン残基がイソロイシン残基に置換されているか、
(v)167番目のアスパラギン残基がヒスチジン残基に置換されているか、
(vi)171番目のリジン残基がグルタミン残基に置換されているか、または
(vii)259番目のチロシン残基がフェニルアラニン残基に置換されており、かつ
3−O−硫酸転移活性を有する3−O−硫酸化酵素変異体の存在下で行われる、方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022139264A JP7456466B2 (ja) | 2017-09-05 | 2022-09-01 | 2-o-硫酸化酵素変異体、および3-o-硫酸化酵素変異体、ならびにそれらを用いる方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017170637 | 2017-09-05 | ||
JP2017170637 | 2017-09-05 | ||
PCT/JP2018/033897 WO2019050051A1 (en) | 2017-09-05 | 2018-09-05 | MUTANT OF 2-O-SULFATION ENZYME AND MUTANT OF 3-O-SULFATION ENZYME, AND METHOD OF USE |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022139264A Division JP7456466B2 (ja) | 2017-09-05 | 2022-09-01 | 2-o-硫酸化酵素変異体、および3-o-硫酸化酵素変異体、ならびにそれらを用いる方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020532278A true JP2020532278A (ja) | 2020-11-12 |
JP7200948B2 JP7200948B2 (ja) | 2023-01-10 |
Family
ID=63794579
Family Applications (2)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019565572A Active JP7200948B2 (ja) | 2017-09-05 | 2018-09-05 | 2-o-硫酸化酵素変異体、および3-o-硫酸化酵素変異体、ならびにそれらを用いる方法 |
JP2022139264A Active JP7456466B2 (ja) | 2017-09-05 | 2022-09-01 | 2-o-硫酸化酵素変異体、および3-o-硫酸化酵素変異体、ならびにそれらを用いる方法 |
Family Applications After (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022139264A Active JP7456466B2 (ja) | 2017-09-05 | 2022-09-01 | 2-o-硫酸化酵素変異体、および3-o-硫酸化酵素変異体、ならびにそれらを用いる方法 |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
US (2) | US11851688B2 (ja) |
EP (2) | EP3679147A1 (ja) |
JP (2) | JP7200948B2 (ja) |
CN (1) | CN117417912A (ja) |
WO (1) | WO2019050051A1 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113646427A (zh) | 2019-01-15 | 2021-11-12 | 奥普蒂姆维亚有限公司 | 工程化芳基硫酸酯依赖性酶 |
JP2022540849A (ja) | 2019-07-09 | 2022-09-20 | オプティムヴィア、エルエルシー | 抗凝固性多糖類の合成方法 |
WO2021199445A1 (en) * | 2020-04-03 | 2021-10-07 | Rensselaer Polytechnic Institute | Method for producing sulfated polysaccharide and method for producing paps |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017115674A1 (ja) * | 2015-12-28 | 2017-07-06 | 味の素株式会社 | 抗凝固活性を有するヘパラン硫酸の製造法 |
Family Cites Families (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
MXPA02003357A (es) | 1999-09-30 | 2004-09-10 | Rpl Holdings Ltd | Refrigerante de reemplazo para cfc 12. |
US8227449B2 (en) | 2000-03-30 | 2012-07-24 | Glycores 2000 S.R.L. | Glycosaminoglycans derived from K5 polysaccharide having high anticoagulant and antithrombotic activities and process for their preparation |
DK1379639T3 (da) | 2000-12-08 | 2005-11-28 | Biotie Therapies Corp | Muse-glucuronyl-C5-epimerase, DNA der koder for samme, og anvendelser deraf |
ATE447615T1 (de) | 2001-03-30 | 2009-11-15 | Ajinomoto Kk | Verfahren zur sekretion und produktion von protein |
US7344874B2 (en) | 2004-03-04 | 2008-03-18 | Ajinomoto Co., Inc. | L-glutamic acid-producing microorganism and a method for producing L-glutamic acid |
WO2005103278A1 (ja) | 2004-04-20 | 2005-11-03 | Ajinomoto Co., Inc. | タンパク質の製造法 |
IN2014DN02837A (ja) | 2005-05-12 | 2015-07-10 | Univ North Carolina | |
RU2355763C2 (ru) | 2006-09-13 | 2009-05-20 | Закрытое акционерное общество "Научно-исследовательский институт Аджиномото-Генетика" (ЗАО АГРИ) | Мутантная ацетолактатсинтаза и способ продукции разветвленных l-аминокислот |
EP3620525A1 (en) | 2013-10-02 | 2020-03-11 | Ajinomoto Co., Inc. | Heparosan-producing bacterium and heparosan manufacturing method |
EP3399045B9 (en) | 2015-12-28 | 2023-10-04 | Ajinomoto Co., Inc. | Heparan sulfate having high 3-o-sulfation rate of glucosamine residues |
-
2018
- 2018-09-05 CN CN202311171443.2A patent/CN117417912A/zh active Pending
- 2018-09-05 WO PCT/JP2018/033897 patent/WO2019050051A1/en unknown
- 2018-09-05 EP EP18783145.8A patent/EP3679147A1/en active Pending
- 2018-09-05 JP JP2019565572A patent/JP7200948B2/ja active Active
- 2018-09-05 EP EP21202338.6A patent/EP4050036A1/en active Pending
-
2020
- 2020-02-20 US US16/795,991 patent/US11851688B2/en active Active
-
2022
- 2022-09-01 JP JP2022139264A patent/JP7456466B2/ja active Active
- 2022-11-18 US US18/056,853 patent/US20230105158A1/en active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017115674A1 (ja) * | 2015-12-28 | 2017-07-06 | 味の素株式会社 | 抗凝固活性を有するヘパラン硫酸の製造法 |
Non-Patent Citations (5)
Title |
---|
BIOCHEMISTRY, 2006, VOL. 45, NO. 16, PP. 5122-5128, JPN6022027855, ISSN: 0004818077 * |
J BIOL CHEM, 1997, VOL. 272, NO. 21, PP. 13980-13985, JPN6022027854, ISSN: 0004818078 * |
J BIOL CHEM, 2004, VOL. 279, NO. 24, PP. 25789-25797, JPN6022027857, ISSN: 0004818075 * |
J BIOL CHEM, 2010, VOL. 285, NO. 15, PP. 11106-11113, JPN6022027856, ISSN: 0004818076 * |
PROC NATL ACAD SCI U S A, 2008, VOL. 105, NO. 48, PP. 18724-18729, JPN6022027858, ISSN: 0004818074 * |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US20230105158A1 (en) | 2023-04-06 |
JP7456466B2 (ja) | 2024-03-27 |
CN111065740A (zh) | 2020-04-24 |
JP7200948B2 (ja) | 2023-01-10 |
US20200181588A1 (en) | 2020-06-11 |
CN117417912A (zh) | 2024-01-19 |
EP4050036A1 (en) | 2022-08-31 |
EP3679147A1 (en) | 2020-07-15 |
JP2022169789A (ja) | 2022-11-09 |
WO2019050051A1 (en) | 2019-03-14 |
US11851688B2 (en) | 2023-12-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7456466B2 (ja) | 2-o-硫酸化酵素変異体、および3-o-硫酸化酵素変異体、ならびにそれらを用いる方法 | |
JP6569530B2 (ja) | ヘパロサン生産細菌及びヘパロサンの製造法 | |
US10704068B2 (en) | Method of producing heparan sulfate having anticoagulant activity | |
US20210115484A1 (en) | Method for Enzymatic Sulfurylation of Alcohols and Amines Using Bacterium of the Family Enterobacteriaceae | |
US11473068B2 (en) | Engineered aryl sulfate-dependent enzymes | |
US11639513B2 (en) | Method for producing heparosan compound having isomerized hexuronic acid residue | |
EP3399045B9 (en) | Heparan sulfate having high 3-o-sulfation rate of glucosamine residues | |
CN111065740B (zh) | 2-o-硫酸化酶突变体和3-o-硫酸化酶突变体及其使用方法 | |
JP2018102282A (ja) | トリプトファンシンターゼβサブユニット遺伝子が導入された形質転換体及びその処理物、形質転換体の処理物の製造方法、並びに形質転換体の処理物を用いたL−カルボシステインの製造方法 | |
KR20230160222A (ko) | 개변형 니코틴아미드 포스포리보실트랜스퍼라아제 | |
KR20220032086A (ko) | 항응고제 다당류의 합성 방법 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210614 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210713 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220705 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220901 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20221122 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20221205 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7200948 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |