JP2020531539A - カナキヌマブの使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、心筋梗塞(MI)に罹患したhsCRPが上昇した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を防止する際に使用するためのカナキヌマブに関する。

Description

本開示は、カナキヌマブを投与することを含む、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための新規の使用及び方法に関する。
アテローム血栓症は、血栓形成を伴うアテローム性動脈硬化病変の破壊を特徴とし、急性冠症候群(ACS)及び心血管死の主な原因である。アテローム血栓症は、先進工業国における主な死亡原因である。動脈の炎症及び内皮機能不全は、アテローム血栓性プロセスの全ての段階で重要な役割を果たす。炎症性メディエーターは、アテローム性動脈硬化プラークの開始、進行、及び破裂に至る一連の事象に密接に関係している。血管内皮細胞は、有害な刺激又は病的状態に慢性的にさらされると単球を動員する様々な接着分子を発現する。脂質異常症などの有害な状態は、単球の炎症誘発性サブセットの濃縮に関連している。これらの単球は、走化性刺激の影響で内膜に進入するようで、修飾低密度リポタンパク質(LDL)及びコレステロール結晶を飲み込む(Duewell P et al,Nature.2010;464(7293):1357−61)。食細胞によって内在化された物質は、ファゴリソソームの損傷及びその後のサイトゾルへの内容物の漏出を誘導して、インフラマソーム及びカスパーゼ1を活性化し、その結果、プロインターロイキン−1βからのインターロイキン−1β(IL−1β)が生成される。
インターロイキンは、心血管(CV)疾患の慢性血管炎症反応の重要なメディエーターであり、動物モデル及びヒトにおいて炎症誘発性プロセスの強力なモジュレーターであることが実証されている。これらのサイトカイン及びその受容体が高度に発現され、平滑筋細胞、マクロファージの特定のサブセット、及びT細胞、並びに内皮を含む、アテローム性動脈硬化の病因に関与するほぼ全ての細胞型で機能しているという事実は、血管疾患におけるインターロイキンの役割を支持する。この概念は、スタチン療法が脂質異常症を軽減し、それによって心筋梗塞、脳卒中、及び心血管死のリスクを低下させるという成功にもかかわらず、スタチン療法を受けている多くの心筋梗塞後(post−myocardial)患者が、生命を脅かす血管事象に苦しみ続けているという考えによってさらに支持される。積極的な二次予防戦略の使用にもかかわらず、再発性心血管事象のこの高いリスクは、少なくとも部分的には残留炎症によるものである(Ridker PM.Eur Heart J.2016;37(22):1720−2)。従って、炎症を軽減し、血管機能を改善し、アテローム性動脈硬化の負担を減少させ、最終的に心血管事象の減少につながる新規な治療法は、満たされていない重要な医療ニーズを満たす。
炎症はアテローム血栓症プロセスの全ての段階に寄与し、hsCRP及びIL−6などの炎症性バイオマーカーが上昇した患者は、積極的な二次予防戦略の使用にもかかわらず、血管リスクが増加している。本開示は、部分的に、カナキヌマブの投与による炎症の直接的な阻害が、カナキヌマブに反応する心筋梗塞後患者における心血管事象の再発のリスクを低減する、又は再発を予防するという発見に関係する。
従って、本発明は、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための方法に関し、この方法は、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブを投与することを含み、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つカナキヌマブは、最も早くてMIの30日後に投与され、且つ前記患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
本発明はまた、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための方法に関し、この方法は、約150mg〜約300mgのカナキヌマブを投与することを含み、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つカナキヌマブは、最も早くてMIの30日後に投与され、且つ前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
従って、本発明は、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際に使用するためのカナキヌマブにも関し、
前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
約150mg〜約300mgのカナキヌマブは、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになり、且つ
前記患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
従って、本発明は、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際のカナキヌマブの使用にも関し、
(i)前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
(ii)約150mg〜約300mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
(iii)前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
本発明はさらに、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための薬剤の製造のためのカナキヌマブに関し、
(i)前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
(ii)約150mg〜約300mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
(iii)前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになり、且つ
(iv)前記患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
本発明はまた、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための薬剤の製造のためのカナキヌマブの使用にも関し、
(i)前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
(ii)約150mg〜約300mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
(iii)前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
本開示のさらなる特徴及び利点は、本発明の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
試験追跡中の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)、低密度リポタンパク質(LDL)コレステロール、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール、及びトリグリセリドの血漿レベルに対する、プラセボと比較したカナキヌマブの効果。データは、ベースラインからの増減率の中央値として表されている。3ヶ月、12ヶ月、24ヶ月、36ヶ月、及び48ヶ月での特定のデータポイント、並びに3ヶ月及び12ヶ月でのインターロイキン−6(IL−6)のデータポイントを表2〜表6に示す。 図2:パネルA〜C:プラセボ群、並びにカナキヌマブ50mg群(パネルA)、150mg群(パネルB)、及び300mg群(パネルC)における非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、又は心血管死の試験の主要評価項目の累積発生率。パネルD〜F:プラセボ群、並びにカナキヌマブ50mg群(パネルD)、150mg群(パネルE)、及び300mg群(パネルF)における試験の副次的評価項目(主要心血管評価項目に加えて、緊急の血行再建を必要とする不安定狭心症での入院)の累積発生率。 (上記の通り。) CANTOS試験の線図。 カナキヌマブの初回投与から3ヶ月後のhsCRP、IL−6、及び脂質に対するプラセボ及びカナキヌマブの効果。LDLC=低密度リポタンパク質コレステロール、HDLC=高密度リポタンパク質コレステロール、TG=トリグリセリド。 150mg群と300mg群との組み合わせにおける心血管主要評価項目の累積発生率(150mg/300mg).SC=皮下投与q三か月=三か月毎。 150mg群と300mg群との組み合わせにおける心血管副次的評価項目の累積発生率(150mg/300mg).SC=皮下投与q三か月=三か月毎。 ベースラインの臨床的特徴に基づく事前に指定されたサブグループによる、試験の主要評価項目(非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、又は心血管死、左)及び試験の副次的評価項目(非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、予想外の血行再建を必要とする不安定狭心症での入院、又は心血管死、右)についてのプラセボと比較したカナキヌマブの臨床効果。LDLC=低密度リポタンパク質コレステロール、HDLC=高密度リポタンパク質コレステロール、mhsCRP=高感度C反応性タンパク質、TG=トリグリセリド。 3ヶ月処置中hsCRPレベルが一般的に使用される2mg/Lの臨床カットポイントよりも高いか又は低いかによる、プラセボ群及び組み合わせカナキヌマブ群のCANTOSにおける心血管事象の累積発生率。試験の主要評価項目(非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、又は心血管死)についてのデータが示されている。 3ヶ月処置中hsCRPレベルが一般的に使用される2mg/Lの臨床カットポイントよりも高いか又は低いかによる、プラセボ群及び組み合わせカナキヌマブ群でのCANTOSにおける心血管事象の累積発生率。事前に指定された重要な副次的主要評価項目(非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、予想外の血行再建を必要とする不安定狭心症での入院、又は心血管死)についてのデータが示されている。 カナキヌマブの初回投与の3ヶ月後に達成された処置中hsCRPの三分位数による、プラセボ群及び組み合わせカナキヌマブ群におけるCANTOSの主要評価項目(非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、又は心血管死)の累積発生率。 カナキヌマブの初回投与の3ヶ月後に達成された処置中hsCRPの三分位数による、プラセボ群及び組み合わせカナキヌマブ群におけるCANTOSの事前に指定された重要な副次的心血管評価項目(非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、心血管死、又は緊急の血行再建を必要とする不安定狭心症)の累積発生率。 150mgのカナキヌマブで処置された患者で観察されたCANTOSの主要評価項目(非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、又は心血管死)の累積発生率、及びカナキヌマブの初回投与の3ヶ月後に達成されたhsCRPが1.5mg/L未満及び1.5mg/L以上のサブグループにおけるカナキヌマブ患者の反事実プラセボ応答を予測するために共変量を使用して導出された平均プラセボ曲線。 150mgのカナキヌマブで処置された患者で観察されたCANTOSの主要評価項目(非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、又は心血管死)の累積発生率、及びカナキヌマブの初回投与の3ヶ月後に達成されたhsCRPが1.8mg/L未満及び1.8mg/L以上のサブグループにおけるカナキヌマブ患者の反事実プラセボ応答を予測するために共変量を使用して導出された平均プラセボ曲線。 150mgのカナキヌマブで処置された患者で観察されたCANTOSの主要評価項目(非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、又は心血管死)の累積発生率、及びカナキヌマブの初回投与の3ヶ月後に達成されたhsCRPが2mg/L未満及び2mg/L以上のサブグループにおけるカナキヌマブ患者の反事実プラセボ応答を予測するために共変量を使用して導出された平均プラセボ曲線。
本発明は、とりわけ、心筋梗塞(MI)事象を経験した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための方法を提供し、この方法は、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブを投与することを含み、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、カナキヌマブは、最も早くてMIの30日後に投与され、且つ前記患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
本発明はまた、心筋梗塞(MI)事象を経験した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための方法を提供し、この方法は、約150mg〜約300mgのカナキヌマブを投与することを含み、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つカナキヌマブは、最も早くてMIの30日後に投与され、且つ前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
本発明は、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際に使用するためのカナキヌマブを提供し、
(i)前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
(ii)約150mg〜約300mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
(iii)前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになり、且つ
(iv)前記患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
本発明はまた、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際のカナキヌマブの使用を提供し、
(i)前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
(ii)約150mg〜約300mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
(iii)前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
本発明は、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための薬剤の製造に使用するためのカナキヌマブを提供し、
(i)前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
(ii)約150mg〜約300mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
(iii)前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになり、且つ
(iv)前記患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
本発明はまた、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための薬剤の製造に使用するためのカナキヌマブを提供し、
(i)前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
(ii)約150mg〜約300mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
(iii)前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
本発明は、四半期ごとのカナキヌマブの皮下投与が、hsCRPが上昇した安定した心筋梗塞後患者における再発性心血管事象を予防できるか否かを評価するようにデザインされた、CANTOS試験(参照によりその全開示内容が本明細書に組み入れられる、Ridker PM et al,Am Heart J.2011;162(4):597−605、及び国際公開第2013/049278号パンフレットに開示されている)、即ち無作為化二重盲検プラセボ対照事象駆動試験から生成されたデータの分析から生まれた。心筋梗塞及び炎症性アテローム性動脈硬化症の登録患者10,061人は、2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)を有していた。カナキヌマブの3つの増加する用量(50mg、150mg、300mgを3ヶ月ごとに皮下投与)をプラセボと比較した。
カナキヌマブ(国際一般的名(INN)番号8836)は、参照によりその全開示内容が本明細書に組み入れられる国際公開第02/16436号パンフレットに開示されている。カナキヌマブは、IL−1βによる炎症性疾患の治療用に開発された、IgG1/kアイソタイプの完全ヒトモノクローナル抗ヒトIL−1β抗体である。カナキヌマブは、ヒトIL−1βに結合し、それによりサイトカインとその受容体の相互作用をブロックするようにデザインされている。高感度C反応性タンパク質(hsCRP)及び他の炎症マーカーレベルを低下させる際のカナキヌマブを使用したIL−1β媒介性炎症の拮抗作用は、クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS)及び関節リウマチの患者で急性期反応を示している。この証拠は、カナキヌマブを使用する2型糖尿病(T2DM)であり、且つ開発中の他のIL−1β抗体療法を受けている患者で再現されているが、T2DMでのhsCRPレベルの低下は、標準治療に対する有効性の増加にはつながらなかった。長期間にわたるIL−1βの阻害は、それにより主要な炎症経路を阻害するため、有利な場合もそうでない場合もあり得る予期せぬ影響を有するため、複数のパラメーターを監視する大規模な無作為化プラセボ対照臨床試験が必要である。
本発明者らは、現在、カナキヌマブでの処置が、HDLコレステロール、LDLコレステロール、及びトリグリセリドのレベルに影響を与えることなく、カナキヌマブの投与により残存炎症リスクを低下させることによって、hsCRPが上昇した安定した心筋梗塞後患者において再発性心血管事象を経験するリスクを有意に低下させることを見出した。
一実施形態では、本発明は、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための方法を提供し、この方法は、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブを投与することを含み、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つカナキヌマブは、最も早くてMIの30日後に投与され、且つ前記患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。一実施形態では、本開示は、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための方法を提供し、この方法は、約150mg〜約300mgのカナキヌマブを投与することを含み、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つカナキヌマブは、最も早くてMIの30日後に投与され、且つ前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。一実施形態では、本発明の任意の方法は、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、又はそれらの任意の組み合わせのカナキヌマブを投与することを含む。
本発明の任意の方法の一実施形態は、150mgのカナキヌマブ又は300mgのカナキヌマブを投与することを含む。本発明の任意の方法の特に好ましい一実施形態は、150mgのカナキヌマブを投与することを含む。本明細書に記載される任意の方法の好ましい一実施形態では、カナキヌマブは、最も早くてMIの30日後に投与される。
本明細書に記載される任意の方法の一実施形態では、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された3mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有する。本明細書に記載される任意の方法の一実施形態では、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された4mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有する。本明細書に記載される任意の方法の一実施形態では、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された5mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有する。本明細書に記載される任意の方法の一実施形態では、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された6mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有する。本明細書に記載される任意の方法の一実施形態では、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された7mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有する。本明細書に記載される任意の方法の一実施形態では、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された8mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有する。本明細書に記載される任意の方法の一実施形態では、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された9mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有する。本明細書に記載される任意の方法の一実施形態では、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された10mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有する。
本発明の任意の方法の一実施形態では、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された低下したhsCRPのレベルは、1.9mg/L未満、1.8mg/L未満、1.7mg/L未満、1.6mg/L未満、1.5mg/L未満、1.4mg/L未満、1.3mg/L未満、1.2mg/L未満、1.1mg/L未満、1.0mg/L未満、0.9mg/L未満、0.8mg/L未満、0.7mg/L未満、0.6mg/L未満、又は0.5mg/L未満である。一実施形態では、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価されたhsCRPの低下したレベルは1.8mg/L未満である。別の実施形態では、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された低下したhsCRPのレベルは1.5mg/L未満である。
従って、本発明の一実施形態は、心筋梗塞(MI)事象を経験した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための方法を提供し、この方法は、約3ヶ月ごとに約150mgのカナキヌマブを投与することを含み、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、カナキヌマブは、最も早くてMIの30日後に投与され、且つ前記患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。従って、本発明の別の実施形態は、心筋梗塞(MI)事象を経験した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための方法を提供し、この方法は、約150mgのカナキヌマブを投与することを含み、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、カナキヌマブは、最も早くてMIの30日後に投与され、且つ前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
本開示の別の実施形態は、心筋梗塞(MI)事象を経験した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための方法を提供し、この方法は、約150mgのカナキヌマブを投与することを含み、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、カナキヌマブは、最も早くてMIの30日後に投与され、且つ前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された1.8mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
別の実施形態は、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための方法を提供し、この方法は、約150mgのカナキヌマブを投与することを含み、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、カナキヌマブは、最も早くてMIの30日後に投与され、且つ前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に1.5mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
本明細書で提供される任意の方法の一態様では、患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後及び約6ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
本明細書で提供される任意の方法の別の実施形態では、患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後、約6ヶ月後、及び約9ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
本明細書で提供される任意の方法の別の実施形態では、患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後、約6ヶ月後、及び約9ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
本明細書で提供される任意の方法の別の実施形態では、患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後、約6ヶ月後、約9ヶ月後、及び約12ヶ月に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
本明細書で提供される任意の方法の別の実施形態では、患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に最初に評価され、そしてその後に約3ヵ月間隔で評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
従って、一実施形態では、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための方法が提供され、この方法では、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、前記患者への約150mgのカナキヌマブの初回投与を含み、且つ前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後及び約6ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、約3ヶ月ごとの約150mgのカナキヌマブの追加投与を含む。
別の実施形態では、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための方法が提供され、この方法では、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、前記患者への約150mgのカナキヌマブの初回投与を含み、且つ前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後、約6ヶ月後、及び約9ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、約3ヶ月ごとの約150mgのカナキヌマブの追加投与を含む。
別の実施形態では、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための方法が提供され、この方法では、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、前記患者への約150mgのカナキヌマブの初回投与を含み、且つ前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後、約6ヶ月後、約9ヶ月後、及び12ヶ月後評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、約3ヶ月ごとの約150mgのカナキヌマブの追加投与を含む。
別の実施形態では、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための方法が提供され、この方法では、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、前記患者への約150mgのカナキヌマブの初回投与を含み、且つ前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後及び約9ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、約3ヶ月ごとの約150mgのカナキヌマブの追加投与を含む。
一実施形態ではまた、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための方法が提供され、この方法は、約3ヶ月ごとに約150mgのカナキヌマブを投与することを含み、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ前記患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に最初に評価され、そしてその後に約3ヶ月間隔で評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
別の実施形態では、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための方法が提供され、この方法では、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、前記患者への約150mgのカナキヌマブの初回投与を含み、且つ前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に最初に評価され、そしてその後に約3ヶ月間隔で評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、約3ヶ月ごとの約150mgのカナキヌマブの追加投与を含む。
本明細書で使用される「再発性CV事象」という用語は、患者のカナキヌマブでの処置が適格である、心筋梗塞後に起こる反復CV事象であり、且つ非致死性MI、非致死性脳卒中、心血管(CV)死、及び予想外の血行再建を必要とする不安定狭心症での入院から選択される。
本発明の任意の方法の一実施形態では、前記再発性CV事象は、非致死性MI、非致死性脳卒中、心血管(CV)死、及び予想外の血行再建を必要とする不安定狭心症の入院から選択される。本発明の任意の方法の別の実施形態では、前記再発性CV事象は、非致死性MI、非致死性脳卒中、及び心血管(CV)死から選択される。本発明の任意の方法のさらに別の実施形態では、前記再発性CV事象は、非致死性MI又は心血管(CV)死である。本発明の任意の方法の別の実施形態では、前記再発性CV事象は非致死MIである。本発明の任意の方法の別の実施形態では、前記再発性CV事象は、予想外の血行再建を必要とする不安定狭心症の入院である。
一実施形態では、本発明の方法は、カナキヌマブの初回投与の約2週間(+/−3日)後に300mgの追加用量のカナキヌマブを患者に投与することを任意選択によりさらに含む。
従って、本開示は、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための方法を提供し、この方法は、300mgの初期用量のカナキヌマブを投与することを含み、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、カナキヌマブは、最も早くてMIの30日後に投与され、初回投与の2週間後に300mgのカナキヌマブの追加投与をさらに含み、且つ前記患者が、カナキヌマブの初回投与の少なくとも3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は、約3ヶ月ごとの約150mg、好ましくは300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
本発明の一態様では、MIの少なくとも28日後に評価された2mg/L以上のhsCRPレベルを有する安定した心筋梗塞後患者における再発性CV事象を経験するリスクは、約150mg〜約300mgのカナキヌマブを含む投与後に20%、又は21%、又は22%、又は23%、又は24%、又は25%、又は26%、又は27%、又は28%、又は29%、又は30%低下する。
本発明による任意の方法の他の実施形態では、hsCRP以外のバイオマーカーには、限定されるものではないがIL−6が含まれる(Ridker et al(2018)Eur Heart J,in press)。
本発明の他の実施形態は、本明細書に記載される使用又は方法のいずれかによるカナキヌマブの使用を含む。
本発明の他の実施形態には以下が含まれる。
心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際に使用するためのカナキヌマブ、
(i)前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
(ii)約150mg〜約300mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
(iii)前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになり、且つ
(iv)前記患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際に使用するためのカナキヌマブ、
(i)前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
(ii)約150mg〜約300mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
(iii)前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための薬剤の製造のためのカナキヌマブの使用、
(i)前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
(ii)約150mg〜約300mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
(iii)前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになり、且つ
(iv)前記患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための薬剤の製造のためのカナキヌマブの使用、
(i)前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
(ii)約150mg〜約300mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
(iii)前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
以降の頁では、上記の4つの段落で述べた2つの使用の様々な態様について説明し、これら全ての態様を一緒に組み合わせることができる。当業者は、以降の頁の実施形態は全て互いに組み合わせることができ、且つこれらの頁の様々な実施形態からの特徴を組み合わせた特定の態様が、当業者に十分に開示されていると見なされることになることを理解する。
一実施形態では、本発明の任意の使用は、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、又はそれらの任意の組み合わせのカナキヌマブを投与することを含む。
本明細書に記載される任意の使用の一実施形態では、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された3mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有する。本明細書に記載される任意の使用の一実施形態では、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された4mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有する。本明細書に記載される任意の使用の一実施形態では、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された5mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有する。本明細書に記載される任意の使用の一実施形態では、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された6mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有する。本明細書に記載される任意の使用の一実施形態では、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された7mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有する。本明細書に記載される任意の使用の一実施形態では、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された8mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有する。本明細書に記載される任意の使用の一実施形態では、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された9mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有する。本明細書に記載される任意の使用の一実施形態では、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された10mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有する。
本発明の任意の使用の一実施形態では、150mg又は300mgのカナキヌマブが投与される。本発明の任意の使用の好ましい一実施形態では、150mgのカナキヌマブが投与される。本明細書に記載される任意の使用の好ましい一実施形態では、カナキヌマブは、最も早くてMIの30日後に投与される。
本発明の任意の使用の一実施形態では、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された低下したhsCRPのレベルは、1.9mg/L未満、1.8mg/L未満、1.7mg/L未満、1.6mg/L未満、1.5mg/L未満、1.4mg/L未満、1.3mg/L未満、1.2mg/L未満、1.1mg/L未満、1.0mg/L未満、0.9mg/L未満、0.8mg/L未満、0.7mg/L未満、0.6mg/L未満、又は0.5mg/L未満である。一実施形態では、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された低下したhsCRPのレベルは、1.8mg/L未満である。別の実施形態では、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された低下したhsCRPのレベルは、1.5mg/L未満である。
従って、本発明の別の実施形態は、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際に使用するためのカナキヌマブを提供し、
(i)前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
(ii)約150mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
(iii)前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mgのカナキヌマブが継続して投与されることになり、且つ
(iv)前記患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
従って、一実施形態は、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際に使用するためのカナキヌマブを提供し、
(i)前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
(ii)約150mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
(iii)前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は約3ヶ月ごとに約150mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
従って、一実施形態は、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際に使用するためのカナキヌマブを提供し、
(i)前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
(ii)約150mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
(iii)前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された1.8mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は約3ヶ月ごとに約150mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
従って、別の実施形態は、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際に使用するためのカナキヌマブを提供し、
(i)前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
(ii)約150mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
(iii)前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された1.5mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は約3ヶ月ごとに約150mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
別の実施形態では、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための薬剤の製造のためのカナキヌマブの使用が提供され、
(i)前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
(ii)約150mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
(iii)前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mgのカナキヌマブが継続して投与されることになり、且つ
(iv)前記患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
一実施形態では、本発明は、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際の薬剤の製造のためのカナキヌマブを提供し、
(i)前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
(ii)約150mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
(iii)前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
別の実施形態では、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際の薬剤の製造のためのカナキヌマブを提供し、
(i)前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
(ii)約150mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
(iii)前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された1.8mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
さらに別の実施形態は、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際の薬剤の製造のためのカナキヌマブを提供し、
(i)前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
(ii)約150mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
(iii)前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された1.5mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は約3ヶ月ごとに約150mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
一実施形態では、本発明の任意の使用は、カナキヌマブの初回投与の約2週間(+/−3日)後に約300mgの追加用量のカナキヌマブを患者に投与することをさらに含む。
従って、一実施形態では、本発明は、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際のカナキヌマブを提供し、
(i)前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
(ii)300mgの初回用量のカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
(iii)300mgの追加用量のカナキヌマブが、初回投与の2週間後に投与され、且つ
(iv)前記患者が、カナキヌマブの初回投与の少なくとも3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は約3ヶ月ごとに約150mg、好ましくは300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
本明細書で提供される任意の使用の一実施形態では、患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後及び約6ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
本明細書で提供される任意の使用の別の実施形態では、患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後、約6ヶ月後、及び約9ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
本明細書で提供される任意の使用の別の実施形態では、患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後、約6ヶ月後、及び約9ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
本明細書で提供される任意の使用の別の実施形態では、患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後、約6ヶ月後、約9ヶ月後、及び約12ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
本明細書で提供される任意の使用の別の実施形態では、患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に最初に評価され、そしてその後に約3ヵ月間隔で評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
従って、一実施形態は、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際に使用するためのカナキヌマブを提供し、
i.前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
ii.約150mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
iii.前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後及び約6ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は約3ヶ月ごとに約150mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
別の実施形態では、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際に使用するためのカナキヌマブが提供され、
i.前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
ii.約150mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
iii.前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後、約6ヶ月後、及び約9ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は約3ヶ月ごとに約150mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
別の実施形態では、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際に使用するためのカナキヌマブが提供され、
i.前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
ii.約150mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
iii.前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後、約6ヶ月後、約9ヶ月後、及び約12ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は約3ヶ月ごとに約150mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
別の実施形態では、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際に使用するためのカナキヌマブが提供され、
i.前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
ii.約150mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
iii.前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後及び約9ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は約3ヶ月ごとに約150mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
別の実施形態では、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際に使用するためのカナキヌマブが提供され、
i.前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
ii.約150mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
iii.前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に最初に評価され、そしてその後に約3ヵ月間隔で評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は約3ヶ月ごとに約150mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
本明細書で提供される任意の使用の一実施形態では、カナキヌマブは、最も早くてMIの30日後に投与される。
本発明の任意の使用の一実施形態では、前記再発性CV事象は、非致死性MI、非致死性脳卒中、心血管(CV)死、及び予想外の血行再建を必要とする不安定狭心症の入院から選択される。本発明の任意の使用の別の実施形態では、前記再発性CV事象は、非致死性MI、非致死性脳卒中、及び心血管(CV)死から選択される。本発明の任意の使用のさらに別の実施形態では、前記再発性CV事象は、非致死性MI又は心血管(CV)死である。本発明の任意の使用の別の実施形態では、前記再発性CV事象は非致死MIである。本発明の任意の使用の別の実施形態では、前記再発性CV事象は、予想外の血行再建を必要とする不安定狭心症の入院である。
本明細書に開示される任意の使用又は方法の実施形態では、カナキヌマブは、皮下投与又は静脈内投与することができる。カナキヌマブは、50〜200mg/mlの濃度のカナキヌマブ、50〜300mM スクロース、10〜50mM ヒスチジン、及び0.01〜0.1%の界面活性剤を含む再構成製剤中で投与することができ、この製剤のpHは5.5〜7.0である。カナキヌマブは、50〜200mg/mlの濃度のカナキヌマブ、270mM スクロース、30mM ヒスチジン、及び0.06%のポリソルベート20又は80を含む再構成製剤中で投与することができ、製剤のpHは6.5である。
本明細書に開示される任意の使用又は方法の実施形態では、カナキヌマブは、50〜200mg/mlの濃度のカナキヌマブと、クエン酸塩、ヒスチジン、及びコハク酸ナトリウムからなる群から選択される緩衝系と、スクロース、マンニトール、ソルビトール、アルギニン塩酸塩、及び界面活性剤、例えばポリソルベート20又はポリソルベート80からなる群から選択される安定剤とを含む液体製剤中で投与することもでき、この製剤のpHは5.5〜7.0である。カナキヌマブはまた、50〜200mg/mlの濃度のカナキヌマブ、50〜300mM マンニトール、10〜50mM ヒスチジン、及び0.01〜0.1%の界面活性剤を含む液体製剤中で投与することができ、この製剤のpHは5.5〜7.0である。カナキヌマブはまた、50〜200mg/mlの濃度のカナキヌマブ、270mM マンニトール、20mM ヒスチジン、及び0.04%のポリソルベート20又は80を含む液体製剤中で投与することができ、この製剤のpHは6.5である。
本明細書に開示される任意の使用又は方法に従って皮下投与される場合、カナキヌマブは、事前充填シリンジ、自己注射器に含められる液体形態で、又は再構成用の凍結乾燥形態として患者に投与することができる。
本発明の任意の方法又は使用の他の実施形態では、前記患者は、再発性CV事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する標準治療を同時に受けている。前記標準治療としては、限定されるものではないが、脂質低下剤、例えば、HMG−CoA還元酵素阻害剤、例えば、スタチン、例えば、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン、又はそれらの混合物若しくはエゼチミブとの混合物、ナイアシン、アムロジピンベシル酸、プロタンパク転換酵素スサブチリシン/ケキシン9型の阻害剤(PCSK9i)、例えば、アリロクマブ(Praluent(登録商標))、エボロクマブ(Repatha(登録商標))、ボコシズマブ、コレステリルエステル転移タンパク質(CETP)の阻害剤、例えば、アナセトラピブ、トルセトラピブ、ダルセトラピブ、降圧薬、例えば、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、アムロジピン、ジルチアゼム、ニフェジピン、ニカルジピン、ベラパミル)、若しくはβアドレナリン遮断薬、例えば、エスモロール、メトプロロール、ナドロール、ペンブトロール、又は降圧薬、例えば、ラベタロール、メトプロロール、ヒドララジン、ニトログリセリン、ニカルジピン、ニトロプルシドナトリウム、クレビジピン、又は利尿薬、例えば、チアジド利尿薬、クロルタリドン、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、メトラゾン、塩酸アミロライド、スピロノラクトン、トリアムテレン、又はアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、例えば、ラミプリル、ラミプリラト、カプトプリル、リシノプリル、又はアンジオテンシンII受容体遮断薬、例えば、ロサルタン、バルサルタン、オルメサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、エプロサルタン、又はアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤(ARNI)、例えば、サキュビトリル/バルサルタン(エントレスト(Entresto)(登録商標))、又は抗凝固剤、例えば、アセノクマロール、クマテトラリル、ジクマロール、ビスクマ酢酸エチル、フェンプロクモン、ワルファリン、ヘパリン、低分子量ヘパリン、例えば、ベミパリン、セルトパリン、ダルテパリン、エノキサパリン、ナドロパリン、パルパナリン、レビパリン、チンザパリン、又は血小板凝集阻害剤、例えば、クロピドグレル、エリノグレル、プラスグレル、カングレロール、チカグレロール、チクロピジン、シロスタゾール、ジピリダモール、ピコタミド、アブシキシマブ、エプチフィバチド、チロフィバン、若しくはテルトロバン、又はプロスタグランジン類似体(PGI2)、例えば、ベラプロスト、プロスタサイクリン、イロプロスト、若しくはトレプロスチニル、又はCOX阻害剤、例えば、アスピリン、アロキシプリン、若しくはカルバサラートカルシウム、インドブフェン、又はトリフルサル、又はクロリクロメン、又はジタゾール、又は1,3−インダンジオン、例えば、クロリンジオン、ジフェナジオン、若しくはフェニンジオン、又はチオクロマロール、又は直接トロンビン(II)阻害剤、例えば、ヒルジン、ビバリルジン、レピルジン、デシルジン(二価)、若しくはアルガトロバン、若しくはダビガトラン(一価)、又はオリゴ糖、例えば、フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、又はヘパリノイド、例えば、ダナパロイド、スロデキシド、デルマタン硫酸、又は直接Xa阻害剤、例えば、アピキサバン、ベトリキサバン、エドキサバン、オタミキサバン、リバロキサバン、若しくはREG1、若しくはデフィブロチン、若しくはラマトロバン、若しくは抗トロンビンIII、若しくはプロテインC(ドロトレコギンアルファ)、若しくはフィブリン溶解性プラスミノーゲン活性化因子:r−tPA、例えば、アルテプラーゼ、レテプラーゼ、テネクテプラーゼ、又はUPA、例えば、ウロキナーゼ、若しくはサルプラーゼ、若しくはストレプトキナーゼ、若しくはアニストレプラーゼ、若しくはモンテプラーゼ、若しくは他のセリンエンドペプチダーゼ、若しくはアンクロド、若しくはフィブリノリシン;又はブリナーゼ、若しくはクエン酸塩、若しくはEDTA、若しくはシュウ酸塩、若しくはジギタリス、又はジゴキシン、又はネシリタイド、又は酸素、又は硝酸塩、例えば、グリセリルトリニトラート(GTN)/ニトログリセリン、二硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビド、又は鎮痛薬、例えば、硫酸モルヒネ、又はレニン阻害剤、例えば、アリスキレン、又はエンドセリンA受容体阻害剤、又はアルドステロン阻害剤が挙げられる。
本発明の別の実施形態は、約150mg〜約300mgのカナキヌマブを投与することを含む、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための医薬組成物を提供し、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に投与され、且つ前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになり、且つ前記患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヵ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
上記の任意の態様の別の実施形態は、約150mg〜約300mgのカナキヌマブを投与することを含む、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための医薬組成物を含み、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に投与され、且つ前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヵ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
一実施形態では、本発明は、約150mg〜約300mgのカナキヌマブを投与することを含む、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための、カナキヌマブに対する応答性について患者を識別する際のバイオマーカーとしての高感受性C反応性タンパク質(hsCRP)の使用を提供し、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つ初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、カナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に投与され、且つ前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになり、且つ前記患者は、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する。
別の実施形態では、本発明は、約150mg〜約300mgのカナキヌマブを投与することを含む、心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための、カナキヌマブに対する応答性について患者を識別する際のバイオマーカーとしての高感受性C反応性タンパク質(hsCRP)の使用を提供し、前記患者は、MIの少なくとも28日後、且つ初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、カナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に投与され、且つ前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる。
本明細書で使用される「患者を識別する」という句は、患者の試料における本明細書で言及されるhsCRPのレベルに関して生成された情報又はデータを使用して、カナキヌマブを含む療法から恩恵を受ける可能性が高いとして又はそれほど恩恵を受けないとして患者を識別又は選択することを指す。一実施形態では、カナキヌマブを含む療法が、再発性心血管(CV)事象を経験する患者のリスクを低減する場合、前記患者は、前記療法に応答している(従って、前記療法から恩恵を受ける可能性がより高い)と見なされる。一実施形態では、前記リスクは、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、又は少なくとも30%低減される。また、カナキヌマブを含む療法がカナキヌマブの初回投与後に再発性心血管(CV)事象を経験するリスクを低下させない場合、前記患者は、前記療法に応答していない(従って、前記療法の恩恵を受けない可能性がより高い)と見なされる。この場合、応答しない患者に薬剤が投与されなければ、不必要な医療費又は患者への暴露を回避することができる。
残留炎症リスクの評価に有用な別のバイオマーカーは、IL−1β、例えばインターロイキン−6(IL−6)の下流のメディエーターを含む。IL−6は、肥満、2型糖尿病、及び心筋梗塞に関連する心血管疾患の既知のマーカーである。本発明者らはまた、安定したMI後患者へのカナキヌマブの投与により、炎症のマーカーであるIL−6のレベルが低下することを見出した。従って、本発明による任意の使用の別の実施形態では、IL−6は、最も早くてMIの30日後に投与される、約150mg〜約300mgのカナキヌマブの投与に対する安定したMI患者の応答を評価するためのバイオマーカーとして使用される。
全般:
本明細書で言及される全ての特許、公開特許出願、刊行物、参考文献、及び他の資料は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
本明細書で使用される「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」及び「からなる(consisting)」を包含し、例えば、Xを「含む(comprising)」組成物は、Xのみからなってもよいし、又は何か追加を含む、例えばX+Yであってもよい。
本明細書で使用される、化合物、例えばカナキヌマブ又は標準的なケア剤に関連する「投与する」という用語は、任意の送達経路によるその化合物の送達を指すために使用される。
本明細書で使用される、数値xに関する「約」という用語は、例えば、+/−10%を意味する。
本明細書で使用される、「実質的に」という語は、「完全に」を除外するものではなく、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まなくてもよい。必要に応じて、「実質的に」という語は、本開示の定義から除外してもよい。
本明細書で使用される「3ヶ月」という用語は、3ヶ月の1週間前及び1週間後まで延長した期間を含む(3ヶ月±1週間)。別の実施形態では、「約3ヶ月」という用語には、90日+/−15日又は90日+/−10日が含まれる。
本明細書で使用される「バイオマーカー」という用語は一般に、分子、即ち遺伝子(又は前記遺伝子をコードする核酸)、タンパク質を指し、患者からの生物学的試料におけるその発現は、当技術分野で標準的な方法によって検出することができ、それが得られた患者の状態を予測する、又は状態を示す。本発明によると、例示的なバイオマーカーとしては、限定されるものではないが、hsCRP及びIL−6が挙げられる。
本明細書で使用される「アッセイする」という用語は、いずれも従来の手段によって行うことができる検出、識別、スクリーニング、又は決定の行為を指すために使用される。例えば、ELISAアッセイ、ノーザンブロット、イメージングなどを使用することによって特定のマーカーの存在について試料をアッセイして、そのマーカーが試料中に存在するか否かを検出することができる。
本明細書で使用される「C反応性タンパク質」及び「CRP」という用語は、炎症に対する急性期反応の指標として使用される血清C反応性タンパク質を指す。本明細書に記載される使用及び方法の特定の実施形態では、hsCRPレベルは、患者から得られた生物学的試料、例えば血液で評価される。患者からの生物学的試料は、hsCRPのレベルについてアッセイされる。本明細書で使用される「hsCRP」という用語は、高感度CRP試験によって測定される血液中のCRPのレベルを指す。血漿中のCRP又はhsCRPのレベルは、任意の濃度、例えば、mg/dl、mg/L、nmol/Lで示すことができる。CRP又はhsCRPのレベルは、様々な周知の方法、例えば、放射免疫拡散法、電気免疫測定法、免疫比濁法、ELISA、比濁法、蛍光偏光免疫測定法、及びレーザーネフェロメトリーで測定することができる。CRPの試験では、標準CRP試験又は高感度CRP(hsCRP)試験(即ち、レーザーネフェロメトリーを使用して、試料中の低レベルのCRPを測定できる高感度試験)を利用することができる。CRP又はhsCRPのレベルを検出するためのキットは、様々な企業、例えば、Calbiotech,Inc、Cayman Chemical、Roche Diagnostics Corporation、Abazyme、DADE Behring、Abnova Corporation、Aniara Corporation、Bio−Quant Inc.、Siemens Healthcare Diagnosticsなどから購入することができる。
「アッセイする」という用語は、所与のマーカー(例えば、hsCRP又はIL−6)の存在又はレベルのいずれかについて試料を(直接又は間接的に)試験できることを示すために使用される。物質のレベルが可能性を示す状況では、そのような物質のレベルを使用して治療の決定を誘導できることが理解されるであろう。例えば、定量的又は比較的定量的な手段(例えば、他の試料のレベルに対するレベル)によってその存在をアッセイすることにより、患者のhsCRPのレベルを決定することができる。開示された方法は、とりわけ、患者における特定のマーカー、例えばhsCRPのレベルを決定することを含む。
本明細書で使用される「患者」及び「対象」という用語は互換的に使用される。
本明細書で使用される「心血管死」という用語には、心臓突然死、急性心筋梗塞(AMI)による死、心不全による死、脳卒中による死、及び他の心血管原因による死が含まれる。
本明細書で使用される「突然の心臓死」は、寛解ではない悪性腫瘍又は末期慢性肺疾患などの事前の末期症状を有していない、以前は安定していた患者で起こる突然死である。
急性心筋梗塞(AMI)による死:進行性うっ血性心不全(CHF)、不十分な心拍出量、又は難治性不整脈などの、心筋梗塞の直後に見られる結果に関連する心筋梗塞(MI)から30日以内の死を指す。
心不全又は心原性ショックによる死は、臨床的に悪化する症状及び/又は別の死因の証拠のない心臓の兆候との関連で発生する死を指し、心不全の悪化による入院中に起こる突然死、及び進行性の心不全又は機械的補助装置の埋め込み後の心原性ショックによる死を含む。
脳卒中(頭蓋内出血又は非出血性脳卒中)による死とは、臨床徴候及び症状、並びに神経画像検査及び/又は剖検に基づいて疑われる脳卒中の30日後までに発生する、別の死因の決定的な証拠がない死のことである。
本明細書で使用される「他の心血管原因による死」は、上記のカテゴリーに含まれない心血管原因による死(例えば、リズム障害、肺塞栓症、心血管インターベンション、大動脈瘤破裂、又は末梢動脈疾患)を指す。心臓手術又は非外科的血行再建の致命的な合併症は、たとえ本質的に「非心血管」であったとしても、心血管死として分類されるべきである。
本明細書で使用される「原因不明の死」(推定心血管)という用語は、推定心血管死とみなされる、心血管死のカテゴリーに起因しない又は非心血管原因の全ての死を指す。本明細書で使用される「非心血管死」は、心臓死又は血管死に含まれないあらゆる死として定義され、次のように分類される:肺の原因、腎臓の原因、胃腸の原因、感染(敗血症を含む)、非感染性の原因、悪性腫瘍、事故/外傷、自殺、非心血管系臓器不全(例えば、肝臓)、出血、非頭蓋内、又はその他。
本明細書で使用される「心筋梗塞(MI)」という用語は「急性心筋梗塞」を指し:心筋虚血と一致する臨床状況において心筋壊死の証拠が存在する場合は、心筋梗塞(MI)という用語が使用される。MIという用語には、ST上昇MI(STEMI)又は非ST上昇MI(NSTEMI)が含まれる。これらの条件下では、以下の基準のいずれか1つがMIの診断を満たす。
「自然MI」という用語は、次の少なくとも1つを伴う心筋虚血の証拠と共に、参照上限値(URL)の99パーセンタイルを超える少なくとも1つの値を有する心臓バイオマーカーの上昇及び/又は低下の検出を指す:虚血の症状、新たな虚血を示すECG変化(ST上昇−2つの連続したリードにおけるJポイントでの新たなST上昇、カットオフポイント:V2〜V3のリードにおいて男性で0.2mV以上、女性で0.15mV以上、且つ/又は他のリードでは0.1mV以上、ST低下及びT波の変化−2つの連続したリードにおける新たな水平又は下降傾斜ST低下が0.05mV以上;且つ/又は顕著なR波又は1以上のR/S比の2つの連続したリードにおけるT反転が0.1mV以上)、ECGにおける病的Q波の発生(0.02秒以上のリードV2〜V3における任意のQ波又はリードV2及びV3におけるQS複合波、連続したリード群(I、aVL、V6、V4〜V6、II、III、aVF)の任意の2つのリードにおけるリードI、II、aVL、aVF、若しくはV4〜V6における0.03秒以上且つ0.1mV深さ以上のQ波又はQS複合)、生存心筋の新たな喪失又は新たな局所壁運動異常の画像証拠。
「経皮的冠動脈インターベンション(PCI)関連心筋梗塞」という用語は、周縁処置心筋壊死の指標である、処置の24時間以内の99パーセンタイルURLを超える心臓バイオマーカーの正常なベースライントロポニン値の上昇を有する患者におけるPCIを指す。慣例により、3×99パーセンタイルURLを超えるバイオマーカーの増加は、PCI関連心筋梗塞に一致している。PCIの前に心臓バイオマーカーが上昇している場合、PCIの24時間以内のその第2の心臓バイオマーカーの値の20%以上の増加、及び再発性MIの疑いの前に心臓バイオマーカーが減少していたという証拠書類(少なくとも6時間離れた2つの試料)もまた、PCI関連MIに一致している。心虚血の症状は必要ではない。
「CABG関連心筋梗塞」という用語は、30日以上持続するECGでの少なくとも2つの連続したリードにおける新たな病的Q波、又は新たな左脚ブロック(LBBB)、又は血管造影法により記録された新たな移植片、又は生まれつきの冠動脈閉塞、又は生存心筋の新たな喪失の画像証拠のいずれかに関連する場合、CABG後の最初の72時間の間、正常基準範囲の99パーセンタイルの5倍を超えた心臓バイオマーカーが上昇した、正常なベースライントロポニンを有する患者のCABGを指す。
CABGの前に心臓バイオマーカーが上昇している場合、CABGの72時間以内に第2の心臓バイオマーカーの値の20%以上の増加、及び再発性MIの疑いの前に心臓バイオマーカーが減少していたという証拠書類(少なくとも6時間離れた2試料)に加えて、ECGでの少なくとも2つの連続したリードにおける新たな病的Q波、又は新たなLBBB、血管造影法により記録された新たな移植片、又は生まれつきの冠動脈閉塞、又は生存心筋の新たな喪失の画像証拠は、CABG後の周縁処置心筋梗塞と一致する。心虚血の症状は必要ではない。
以前の心筋梗塞の基準:次の基準のいずれかが、以前の心筋梗塞の診断を満たす:症状を伴う又は伴わない新たな病理学的Q波の発生、非虚血性原因の非存在下での薄くて収縮しない生存心筋の領域の喪失の画像証拠、治癒した又は治癒中の心筋梗塞の病理学的所見。
以前の心筋梗塞に関連するECGの変化:
・リードV2〜V3における0.02秒以上の任意のQ波、又はリードV2及びV3におけるQS複合波
・連続したリード群(I、aVL、V6、V4〜V6、II、III、及びaVF)の任意の2つのリードにおけるリードI、II、aVL、aVF、又はV4〜V6における0.03秒以上且つ0.1mV深さ以上のQ波又はQS複合波
・V1〜V2における0.04秒以上のR波、及び伝導欠陥の非存在で一致した正のT波で1以上のR/S
再梗塞の基準:再発性MIが初期梗塞後の臨床徴候又は症状から疑われる患者では、採用された心臓バイオマーカーの即時測定が推奨されている。第2の試料は、3〜6時間後に得る必要がある。第2の試料の値の増加が20%以上である場合、再発性梗塞と診断される。この値は、99パーセンタイルURLを超える必要がある。しかしながら、新たなMIが疑われる前に心臓バイオマーカーが上昇した場合は、新たなMIが疑われる前の値の低下(少なくとも6時間離れた2つの試料)の証拠書類も必要である。値が低下している場合、ECGの特徴又はイメージングと共にバイオマーカーのさらなる測定による再梗塞の基準を適用することができる。
初期梗塞後の再梗塞のECG診断:初期の進展的なECGの変化によって混同され得る。少なくとも2つの連続したリードにおいて程度が低いST上昇又は新たな特徴的Q波を有する入院患者で0.1mV以上のST上昇が再発した場合、特に10分以上の虚血症状に関連する場合、再梗塞と見なすべきである。しかしながら、STセグメントの再評価は、恐ろしい心筋破裂にも見られることがあり、追加の診断精密検査につながるはずである。ST低下又はLBBB自体は、心筋梗塞の有効な基準と見なされるべきではない。
バイオマーカーが増加している、又はピークに達していない場合、再発性MIを診断するにはデータが不十分である。
様々な種類の心筋梗塞の臨床的分類:
・1型−プラーク侵食及び/又は破裂、亀裂、又は解離などの主要な冠動脈事象による虚血に関連する自然MI。
・2型−酸素必要量の増加又は供給の減少、例えば、冠動脈痙攣、貧血、低血圧、冠動脈塞栓症、不整脈、高血圧、又は低血圧のいずれかに起因する虚血に続発するMI。
・3型−多くの場合、恐らく新たなST上昇を伴う心筋虚血を示唆する症状、又は新たなLBBB、又は血管造影及び/又は剖検による冠動脈の新鮮血栓の証拠を有する、心停止を含む突然の予期しなかった心臓死であるが、血液試料を採取する前又は血液中に心臓バイオマーカーが出現する前に生じる死。
・4a型−PCI(経皮的冠動脈インターベンション)に関連するMI。
・4b型−剖検又は血管造影で立証されたステント血栓症に関連するMI。
・5型−CABG(冠動脈バイパス術)に関連するMI。
「サイレントMI」という用語:以下の基準を中心ECG読み取り業者が使用して、ベースラインECGと年間ECGとの間の区間「サイレント」(臨床症状も兆候もない)MIを定義する(Surawicz B et al,Chou’s electrocardiography in clinical practice :adult and pediatric.Philadelphia:Saunders;2001)。
心筋梗塞は、病的Q波に基づいてのみ報告されている。病的Q波は、Q波持続時間が40ミリ秒よりも長く、且つQ/R比=1/3として定義されている。
V1又はV2における任意のQ波の後にR波が続く場合は、異常と見なされるべきである。
病的Q波(即ち、心筋梗塞)が存在する場合、ST上昇又はT波反転を使用して、心筋梗塞を新たな心筋梗塞又は急性心筋梗塞として分類することができる。しかしながら、病的Q波の非存在下でのST上昇又はT波の反転は、心筋梗塞の診断には十分な基準ではない。
・前外壁MI−リードV3〜V6における病的Q波。
・前壁MI−V3及びV4における病的Q波。
・前壁中隔MI−V1〜V4リードにおける病的Q波又はQS。
・広範前壁方MI−リードI、aVL、及びV1〜V6における病的Q波。
・高位側壁MI−リードI及びaVLにおける病的Q波。
・下壁MI−下壁リード:aVF、III、IIの少なくとも2つにおける病的Q波又はQS。
・側壁MI−リードI、aVL、及びV5〜V6における病的Q波。
・中隔MI−リードV1〜V2(V3)における病的Q波又はQS。LAHB又はLVHの存在下では、V3におけるQ又はQSが必要である。
・後壁MI−VI又はV2における初期R波の持続時間40ミリ秒、R>S、且つ直立T波。下壁又は側壁MIも通常は存在する。
本明細書で使用される「新たなMI」という用語は、Expert Consensus Documentの基準よりも厳密なMIの基準に基づいており、Q波の継続時間が0.04秒以上、R/S比が1/3以上である必要がある。これらの基準(心臓学の文献から引用)は、下壁及び前外壁リードにおける非常に小さな生理学的Q波によるMIの誤検出を最小限に抑えるようにデザインされている。
本明細書で使用される「脳卒中」という用語は、明らかな非血管原因(例えば、腫瘍、外傷、感染)を伴わない脳血流及び/又は脳出血の閉塞に起因する新たな持続性神経障害の急な発症として定義される。利用可能な神経画像検査は、臨床的影響を支援するため、及び急性脳卒中に適合する明らかな病変が存在するか否かを判断するために検討されることになる。非致死性脳卒中は、虚血性、出血性、又は不明として分類されることになる。
本明細書で使用される「予想外の血行再建を必要とする不安定狭心症」は、心臓バイオマーカーの上昇がないこと、及び心臓の症状が10分以上持続し、最終診断で心筋虚血とみなされる臨床症状(以下のいずれか)(安静狭心症又は新規発症(2ヶ月未満)の重症狭心症(CCS分類重症度≧III;Grading of Angina Pectoris According to Canadian Cardiovascular Society Classification)又は狭心症の悪化(強度、持続時間、及び/又は頻度)、及び緊急の血行再建を必要とする重度の再発性虚血と定義され:インデックス入院での冠動脈血行再建術の実施を促す狭心症のエピソード、又は冠動脈血行再建術の実施中に再入院となった退院後の再発性狭心症のエピソード;及び以下の少なくとも1つによって定義される:ECGにおける新たな又は悪化するST又はTセグメントの変化、ST上昇(2つの解剖学的に連続したリードにおけるJポイントでの新たなST上昇、カットオフポイント:V2〜V3のリードにおいて、男性で0.2mV以上(40歳未満の男性で0.25mV超)又は女性で0.15mV以上、且つ/又は他のリードでは0.1mV以上)、心臓画像検査によるストレス検査でのST低下及びT波の虚血の証拠、心臓画像検査を用いないが、病変が70%以上であるという血管造影の証拠を有するストレス検査での虚血の証拠、及び/又は心外膜冠動脈の血栓若しくは抗狭心症治療の投与の開始/増加、心外膜冠動脈に病変及び/又は血栓が70%以上であるという血管造影の証拠。
本明細書で使用される「冠動脈血行再建術」は、経皮的経管インターベンション、その後のステント留置、バルーン血管形成術、又はCABGのいずれかが閉塞した冠動脈を緩和するために行われる、通常は冠動脈造影に続く侵襲的処置として定義される。医療専門家チームは、説明された手順を実行する侵襲的処置を行う心臓専門医(経皮経管インターベンション、その後ステント留置、バルーン血管形成術)又は胸部外科医(CABG)のいずれかによって率いられる。
本明細書で使用される「非冠動脈血行再建術」という用語は、血管手術又は経皮インターベンションとして定義される。血管手術は、近位及び/又は遠位の吻合を伴う又は伴わない導管の配置として定義される。経皮インターベンションは、ステント留置を伴う又は伴わないバルーン拡張として定義される。
本明細書で使用される「アテローム性動脈硬化」という用語は、脂肪質及びプラークと呼ばれる物質が動脈壁に蓄積すると発生する。これにより管腔が狭くなる。
本明細書で使用される「MACE」という用語は、非致死性心臓発作、非致死性脳卒中、及び心血管(CV)死を含む。
各実施形態は、そのような組み合わせが実施形態の説明と一致する範囲で、1つ又は複数の他の実施形態と組み合わせることができることを理解されたい。さらに、上記で提供された実施形態は、実施形態の組み合わせの結果としてのそのような実施形態を含め、全ての実施形態を含むと理解されることを理解されたい。
本発明の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
以下の実施例は、上記の本発明を例示する;しかしながら、それらの実施例は、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
以下の実施例は、本発明の理解を助けるために記載されているが、決してその範囲を限定することを意図するものでも、解釈されるべきものでもない。
hsCRPが上昇した安定した心筋梗塞後患者の再発性心血管事象の予防における、四半期ごとの皮下のカナキヌマブの無作為化二重盲検プラセボ対照事象駆動試験
この研究は、最近MIに罹患した、hsCRPの上昇によって証明されている炎症性負荷が高い患者の心血管有害事象に対するカナキヌマブの効果に関する明確な証拠を提供するために、多施設無作為化並行群プラセボ対照二重盲検事象駆動型試験としてデザインされた。この研究デザインは、カナキヌマブによる抗炎症処置が主要な有害心血管事象を低減するという仮説を検証するための最も強固な臨床試験デザインであった。
研究デザインの理論的根拠
試験集団。患者は、心筋梗塞の既往歴があり、且つ積極的な二次予防戦略の使用にもかかわらず2mg/L以上のhsCRPの血中濃度を有していた場合、登録の対象であった。この試験では、慢性又は再発感染の既往歴、基底細胞皮膚癌以外の過去の悪性腫瘍、疑われる又は既知の免疫不全状態、結核若しくはHIV関連疾患の既往歴若しくはその高いリスクを有する者、又は他の全身性疾患抗炎症処置を受けている者は登録から除外した。
試験対象患者の基準
研究に含めるのに適した患者は、以下の基準を全て満たさなければならなかった:
1.あらゆる評価を実施する前に同意書を得た
2.男性、又は出産の可能性のない女性
3.1回目の訪問時に18歳以上
4.無作為化の少なくとも30日前に文書化された自然MI(STセグメント上昇の証拠の有無にかかわらず普遍的なMI基準に従って診断)(Duewell P et al,Nature.2010;464(7293):1357−61)
・MIと認定する診断は、基準の上限の99パーセンタイルを超える心臓バイオマーカー(好ましくはトロポニン)の上昇に関連する心筋虚血と一致する臨床症状の病歴、又は症状に関係なく新たな病的Q波の発生に基づくべきである。詳細については、MIの普遍的な定義を参照されたい(Duewell P et al,Nature.2010;464(7293):1357−61)
a.急性MI(入院記録):基準の上限(URL)の99パーセンタイルを超える少なくとも1つの値又はMIについての上記基準の診断を有する心臓バイオマーカー(好ましくはトロポニン)の上昇及び/若しくは低下の証拠書類、及び以下の少なくとも1つによって示される心筋虚血の証拠が必要である:
i.虚血の症状
ii.新たな虚血を示すECGの変化(新たなST−Tの変化又は新たなLBBB)
iii.病的Q波の発生
iv.生存心筋の新たな喪失又は新たな局所壁運動異常の画像証拠
b.過去のMI(急性事象の病院記録が存在しない):以下のいずれかの証拠書類が必要である:
i.症状を伴う又は伴わない病的Q波の発生
ii.非虚血性原因の非存在下での薄くて収縮しない生存心筋の喪失領域の画像証拠
iii.治癒又は治癒中のMIの病理学的所見
・PCI又はCABGに起因するMIの患者は対象外とした
5.安定した(少なくとも4週間の)長期(心血管)薬(標準治療)で2mg/L以上のhsCRPを有する(2回目の訪問の60日以前に採取され、中央検査室で行われ、これは、MI認定の最短で28日後又はMI認定とは別に行われた任意のPCI後である)。
無作為化。患者を、最初にカナキヌマブ150mg、カナキヌマブ300mg、又はプラセボに1:1:1の比率で無作為化を割り付けた。741人の参加者の登録後、規制当局の要求に応じて50mgの用量を追加し、それに応じて無作為化比を調整した;本発明者らは、1.5:1:1:1の最終無作為化比を達成しようとした。全ての試験薬の用量及びプラセボを、3ヶ月ごとに1回皮下投与した;300mgの用量では、レジメンは、最初の2回の投与では2週間ごとに300mg、その後3ヶ月ごとに1回であった。無作為化は、集中型コンピューターシステムを使用して、インデックス心筋梗塞(index myocardial infarction)からの時間及び試験部分(50mgの用量を含む前と後)による層別化を用いて行った。
評価項目。主要有効性評価項目は、非致死性心筋梗塞、あらゆる非致死性脳卒中、又は心血管死の最初の発生までの時間とした。この試験は、2つの重要な副次的有効性評価項目を有していた。最初の重要な副次的評価項目には、主要評価項目の構成要素、及び緊急の血行再建を必要とする不安定狭心症の入院が含まれていた。事前に指定された他の2つの副次的評価項目は、全死因死亡と、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、又は全死因死亡の複合とした。これらの評価項目の全ての構成要素は、評価項目裁定委員会によって裁定され、メンバーには、試験薬の割り当てが隠されていた。
統計分析。hsCRP及び脂質レベルのベースラインからの増減率の分布を、最大48ヶ月の間隔でプラセボと各カナキヌマブ群で比較した。IL−6についても、最大12ヶ月の同様の比較を行った。インデックス心筋梗塞及び試験部分からの時間によって層別化されたログランク試験及びCox比例ハザードモデルを使用して、intention−to−treatの原則に従って試験の追跡中に発生した事前に指定された主要及び重要な副次的心血管転帰を分析した。多重性調整された個々の用量についての有意性の正式な評価は閉手順に従った。閉手順に基づき、事前に指定されたαエラーの割り当てを使用すると、主要評価項目の統計的有意性の両側P値の閾値は、用量300mgのカナキヌマブとプラセボの試験では0.01058であり、他の2つの用量とプラセボの試験では0.02115であった。閉手順では、重要な副次的評価項目の正式な有意性試験は、その用量での主要評価項目の有意性閾値が満たされた場合にのみ、任意の所与の用量で行われることになることも指定された。
主要分析戦略は、個々の用量群とプラセボ群の一対比較に基づいていたが、プラセボでの発生率と用量が増加する全カナキヌマブでの発生率の比較(傾向分析での用量に比例した0、1、3、6のスコアを使用)、及び組み合わせられた有効なカナキヌマブ処置群とプラセボの比較も行った。さらに、処置時分析を行って、最後の試験注射をしてから119日後まで各患者を追跡した。これらの試験の有意性の閾値は、多重性調整しなかった。同様の分析を有害事象に使用した。全てのP値は両側であり、全ての信頼区間は95%レベルで計算されている。
患者。試験登録は2011年4月に始まり、2014年3月に完了した;最後の試験の訪問は2017年6月であった。中央研究所でスクリーニングされた梗塞後患者17,482人のうち10,061人(57.6%)を正しく無作為化し、少なくとも1用量の試験薬を投与した(図3)。除外の最も一般的な理由は、2mg/L未満のhsCRP(除外された対象のうちの46%)、活動性結核又は結核危険因子(25.4%)、及び除外される随伴性疾患(9.9%)であった。
無作為化された参加者の平均年齢は61歳であり、26%が女性であり、40%が糖尿病であった(表1)。殆どの参加者は、過去に血行再建術を受けていた(67%が経皮的冠動脈インターベンション、14%が冠動脈バイパス術)。ベースラインでは、抗血栓療法は95%、脂質低下療法は93%、抗虚血剤は91%、レニン−アンジオテンシン系の阻害剤は79%であった。エントリー時のhsCRPの中央値は4.2mg/Lであり、LDLコレステロールの中央値は82mg/dLであった。
炎症性バイオマーカーと脂質レベルへの影響。プラセボと比較して、48ヵ月時点で、hsCRPが、50mg、150mg、300mgのカナスキヌマブ群でそれぞれ26%、37%、及び41%減少した(カナキヌマブでの増減率の中央値とプラセボでの増減率の中央値との比較では全P値<0.001)(図1、図4、及び表2〜表6)。IL−6についても同様の効果が観察された(12ヶ月まで測定)。対照的に、カナキヌマブの使用では、LDLコレステロール又はHDLコレステロールは減少せず、トリグリセリドは中央値が4〜5%増加した。
追跡及び臨床評価項目への影響。追跡が終わるまでに、組み合わせカナキヌマブ群の患者の18.7%が試験薬を中止したのと比較して、プラセボ群の患者の18.1%が試験薬を中止した(図3)。3.7年間の追跡期間中央値では、プラセボ群、50mg群、150mg群、300mg群での主要評価項目(非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、又は心血管死を含む)の発生率はそれぞれ、100人年当たり4.50、4.11、3.86、及び3.90であった(表7)。
プラセボと比較して、カナキヌマブ50mg用量群の主要評価項目について有意な効果は観察されなかった(ハザード比[HR]0.93、P=0.30)(図2A)。対照的に、カナキヌマブ150mg用量群では、主要評価項目の統計的に有意な効果が観察された(HR 0.85、P=0.02075、閾値P値0.02115)(図2B)。カナキヌマブ300mg用量群では、ハザード比は同様であったが、P値は、事前に指定された有意性閾値(HR 0.86、P=0.0314、閾値P値0.01058)を満たさなかった(図2C)。プラセボと比較した有効用量群全体の傾向のP値は0.020であり、組み合わせた全ての用量とプラセボとの比較のP値は0.015であった(両方の結果は複数の試験で調整されなかった)。さらに、3ヶ月後のカナキヌマブでの処置後にhsCRPレベルの大幅な低下を示した患者のサブグループは、全処置集団と比較してMACEの統計的に有意な大きなリスクの低下を示している。150mg及び300mgのカナキヌマブが投与された、hsCRPレベルが1.8mg/L未満に低下した患者はそれぞれ、指数関数的生存分布を想定した因果推論分析に基づいた、500のブートストラップ試料に基づく推定値である、MACEの相対リスクの24%及び22%の減少を示した(表8)。150mg及び300mgのカナキヌマブが投与されたhsCRPレベルが1.5mg/L未満に低下した患者はそれぞれ、指数関数的生存分布を想定した因果推論分析に基づいた、500のブートストラップ試料に基づく推定値である、MACEの相対リスクの26%及び27%の減少を示した(表8)。
重要な副次的心血管評価項目(主要評価項目に加えて、緊急の血行再建を必要とする不安定狭心症の入院を含む)については、プラセボ群、50mg群、150mg群、及び300mg群での発生率はそれぞれ、100人年当たり5.13、4.56、4.29、及び4.25であった(表7)。カナキヌマブ150mgの用量(P値が主要評価項目の有意性閾値を満たす)では、副次的心血管評価項目のハザード比は0.83であった(P=0.00525、閾値P値0.00529)(図2D)。閉手順によると、事前に指定された副次的評価項目の正式な有意性試験は、50mg及び300mgの用量では行わなかった。これらの用量のハザード比はそれぞれ、0.90及び0.83であった(図5及び図6)。プラセボと比較した有効用量群全体の傾向のP値は、0.003であり、組み合わせた全ての用量とプラセボとの比較のP値は、0.001であった(両方の結果は複数の試験で調整されなかった)。
追加の副次的評価項目の分析、並びに主要及び副次的評価項目の構成要素の分析は、複数の試験で調整しなかった(表7)。名目上有意な減少が、150mgの用量のカナキヌマブでは心筋梗塞で見られ;150mg及び300mgの用量では緊急の血行再建を必要とする不安定狭心症の入院で見られ;3つ全ての用量ではあらゆる冠動脈血行再建術で見られた。カナキヌマブの全用量とプラセボとの比較では、全死因死亡率は中立であった(HR 0.94、95%CI 0.83〜1.06、P=0.31)。主要評価項目の処置中の分析では、プラセボ群、50mg群、150mg群、及び300mg群で観察されたハザード比は、1.0、0.90、0.83、及び0.79であった(群全体のP−trend=0.003)。重要な副次的心血管評価項目の比較分析では、対応するハザード比は、1.0、0.88、0.80、及び0.77であった(群全体のP−trend<0.001)。
有害事象及び他の臨床転帰。好中球減少症は、カナキヌマブが割り当てられた者の間でより一般的であり、3つのカナキヌマブ群をプールしてプラセボと比較した場合、感染又は敗血症に起因する致命的事象の統計的に有意な増加があった(100人年当たりの発生率0.31対0.18、P=0.023)(表9)。感染症にかかった参加者は、年齢が高く、糖尿病になりやすい傾向があった。この試験では、結核の発生が、カナキヌマブ群とプラセボ群において同じ割合で6例確認された(0.06%);インドで5例、台湾で1例発生した。
血小板減少症は、カナキヌマブが割り当てられた患者の間でより一般的であったが、出血の差は観察されなかった。注射部位反応の増加は観察されなかった。IL−1β阻害の既知の効果と一致して、カナキヌマブは、関節炎、痛風、及び変形性関節症の報告の有意な減少をもたらした(表9)。また、カナキヌマブにより、癌による死亡率も有意に低下した。
CANTOSは、アテローム血栓症の炎症仮説を直接試験するためにデザインされた。この試験では、心筋梗塞の既往歴のある患者の間で、カナスキヌマブによってhsCRPレベル及びIL−6レベルが有意に低下し、脂質レベルは低下しなかった。50mgの用量のカナキヌマブは、プラセボと比較して主要心血管評価項目に統計的に有意な影響を与えなかったが、150mg用量群の参加者は、主要評価項目では15%の相対的ハザード低下(100人年当たり4.50〜3.86事象)及び重要な副次的心血管評価項目の17%(100人年当たり5.13〜4.29事象)を経験した。これらの評価項目の両方のP値は、事前に指定された統計的有意性の多重性調整閾値に適合した。300mg用量群のハザード減少は、150mg用量群のハザード減少に類似していたが、統計的有意性の事前に指定された閾値はこの群では適合しなかった。しかしながら、全てのカナキヌマブ用量の統合分析及び傾向分析の両方が、心血管転帰に対するカナキヌマブの有益な効果を示唆している。アテローム性動脈硬化事象の二次予防のためのサイトカインベースの療法としてのIL−1βの特異的な標的化は、いくつかの観察に基づいている。炎症誘発性サイトカインIL−1βは、凝血促進活性の誘導、血管内皮細胞への単球及び白血球の接着の促進、並びに血管平滑筋細胞の成長を含むアテローム血栓性プラークの発生に複数の役割を果たす(Dinarello CA et al,Nat Rev Drug Discov.2012;11(8):633−52;Dinarello CA.Blood.2011;117(14):3720−32;Libby P et al,Am J Pathol.1986;124(2):179−85)。マウスでは、IL−1βの欠乏は病変形成を減少させるが、コレステロールを与えられたブタでは、外因性IL−1βへの曝露は血管内膜内側の肥厚を増加させる(Kirii H et al,Arterioscler Thromb Vasc Biol.2003;23(4):656−60;Shimokawa H et al,J Clin Invest.1996;97(3):769−76)。Nod様受容体タンパク質3(NLRP3)インフラマソームは、IL−1βを活性化し、これは、コレステロール結晶、好中球細胞外トラップ、局所低酸素症、及びアテロームの流れによって促進されるプロセスである(Duewell P et al,Nature.2010;464(7293):1357−61;Rajamaki K et al,PLoS One.2010;5(7):e11765;Xiao H et al,Circulation.2013;128(6):632−42;Folco EJ et al,Circ Res.2014;115(10):875−83。IL−1βのこの活性化は、アテローム血栓症の潜在的な因果経路として、メンデル無作為化試験によって示唆される下流のIL−6受容体シグナル伝達経路を刺激する(Hingorani AD et al,Lancet.2012;379(9822):1214−24;Sarwar N et al,Lancet.2012;379(9822):1205−13。最近では、並体結合マウスの試験(Sager HB et al,Circulation.2015;132(20):1880−90)及びクローン性造血試験(Fuster JJ et al,Science.2017;355(6327):842−7;Jaiswal S et al,N Engl J Med.2017;377(2):111−21)により、骨髄の活性化がアテローム性動脈硬化を加速させるプロセスにおけるIL−1βの関与が確認された。さらに、IL−1βに影響を与える特定のインフラマソーム遺伝子モジュールの発現は、高齢者の全死因死亡率及びアテローム性動脈硬化の増加と関連している(Furman D et al,Nat Med.2017;23(2):174−84)。
CANTOSでの患者は、一般に十分に制御されたLDLコレステロール値を有していたが、プラセボの事象率が高く、5年で累積発生率が20%を超えていた。従って、本発明者らのデータにより、ベースラインhsCRPが2mg/Lを超えると評価された、残存炎症リスクを有するスタチン処置を受けた患者が、LDLコレステロールに起因する残存リスクを有するスタチン処置を受けた患者よりも高くないにしても、少なくとも同程度に高い将来の事象率を有することが確認された。これらの2つの患者群は、異なる場合があり、個別の処置アプローチが必要であり得る(Ridker PM.Eur Heart J.2016;37(22):1720−2)。コレステロール値が低下しなかったという事実にもかかわらず、カナキヌマブ(3ヶ月ごとに与えられる)による心血管事象への影響の大きさは、PCSK9を標的とするモノクローナル抗体(2〜4週間ごとに与えられる)に関連する影響の大きさに匹敵した(Sabatine MS et al,N Engl J Med.2017;376(18):1713−22;Ridker PM et al,N Engl J Med.2017;376(16):1527−39)。しかしながら、IL−1βの阻害は、アテローム形成抑制の標的として役立つ可能性がある多くの潜在的な抗炎症経路のたった1つに相当する視野の狭いインターベンションである(Morton AC et al,Eur Heart J.2015;36(6):377−84;Van Tassell BW et al,Circulation.2013;128(17):1910−23;Ridker PM et al,Eur Heart J.2014;35(27):1782−91)。本発明者らは、カナキヌマブによる致死性の感染及び敗血症の統計的に有意な増加、並びに出血の増加を伴わない血小板数の減少を観察した。対照的に、カナキヌマブに割り当てられた患者の間で癌死亡率の有意な減少があり、これは、特定の腫瘍、特に肺癌の進行及び浸潤にIL−1を関連付ける実験データと一致する発見である(Ridker PM et al,Lancet.2017;390(10105):1833−42;Apte RN et al,Cancer Metastasis Rev.2006;25(3):387−408;Grivennikov SI et al,Lancet 2000;355:735−740)。全原因死亡率には処置群間に有意差がなかった。重大な肝毒性は認められなかった。関節炎、痛風、及び変形性関節症で観察されるカナキヌマブの有益な効果は、これらの障害におけるIL−1及びIL−6経路の十分に説明された効果と一致している。結論として、CANTOSでは、心筋梗塞の既往歴があり、且つ2mg/L以上のhsCRPレベルを有する患者を、3つの用量のカナキヌマブ又はプラセボのいずれかに無作為化した。カナキヌマブは、LDLコレステロール、HDLコレステロール、及びトリグリセリドを低下させることなくhsCRPレベルを有意に低下させ、150mgの用量は、副作用の許容レベルを維持しながら再発性心血管事象の発生率を有意に低下させた。
高応答者分析
血液試料を、カナキヌマブ(又はプラセボ)の反復注射の直前の3ヶ月の時点で、無作為化時にカナキヌマブ群及びプラセボ群の全ての試験参加者のうちの9,534人の参加者(94.8%)から得た。全てのベースライン及び3ヶ月の試料を、中央検査室でhsCRP及び脂質レベルについてアッセイを行った。
高応答者分析では、将来の心血管事象率に対するカナキヌマブの全体的な効果が、年齢、性別、糖尿病、喫煙状態、肥満度指数、hsCRP、又は脂質レベルを含む一般的なベースライン臨床的特徴によって変化するか否かを最初に確認した。カナキヌマブに割り当てられた試験参加者を、3ヶ月でのhsCRPのレベルがhsCRPで一般的に使用される臨床カットポイントである2mg/L未満であるか又は2mg/L以上であるかによって2つの群に分けた。カイ二乗検定を使用して、カテゴリー変数についてはこれら2つの群間の有意差を評価し、連続変数についてはウィルコクソンの順位和検定を使用した。
事前に指定されたプロトコルごとのベースで、インデックス心筋梗塞からの時間によって層別化されたコックス比例ハザードモデル及び試験部分を使用して、プラセボに割り当てられた参加者と比較して、これら2つの群の主要な有害心血管事象の相対ハザードを推定した。同様の分析により、心血管死亡率と全死因死亡率の結果、及び感染症などの主要な悪影響を比較した。交絡の問題に対処するために、多変数モデリングを使用して、年齢、性別、喫煙状態、高血圧、糖尿病、肥満度指数を含め、hsCRPに軽度に影響を与えることが知られているベースライン特徴を調整した。多変数モデルを、ベースラインhsCRP及びLDL−Cに対してさらに調整した。このアプローチの有効性を確認するための内部チェックとして、上記のプロセスを選択的に繰り返して、3ヶ月でのhsCRPのレベルが、処置中の検査中央値である1.8mg/L未満であるか又は1.8mg/L以上であるかに応じて;3ヶ月での処置中のhsCRPの(中央値ではなく)三分位数に基づいて;3ヶ月でのhsCRPの低減の達成が50%未満であるか又は50%以上であるかに基づいて;及びhsCRPの中央値減少率以上の達成であるか又はそれ未満の達成であるかに基づいて、コホートを分けた。個々のカナキヌマブ用量レベルで同様の分析を行って、これに基づいて交絡の可能性を排除した。
全ての場合において、Cox比例ハザードモデルを使用して、異なる処置中カナキヌマブ群とプラセボを比較するハザード比(HR)を推定した。傾向の試験のP値を、0、1、又は2とスコアが付けされたこれらの3つの群全てで計算した。群間のあらゆる差異を視覚的に評価するために、カプラン−マイヤー曲線を作成した。処置中の群の潜在的な差異を評価する代替方法として、カナキヌマブで処置された個々の参加者の潜在的な結果を、プラセボで反事実的に処置した場合と比較する因果推論分析を行った。この後者の分析を、個々のカナキヌマブ用量レベルで再度行い、これに基づいて交絡の可能性を排除した。臨床効果の総合評価を提供するために、心筋梗塞、脳卒中、冠動脈血行再建、又は何らかの原因による死を含む評価項目のために5年間に必要な処置の回数(NNT)を、カプラン−マイヤーのリスクの推定に基づいたカナキヌマブで処置された患者のリスクとプラセボで処置された患者のリスクとの間の絶対差の逆数として計算した。推定値を、コホート全体について計算し、且つ2mg/L未満のhsCRPレベルを達成した参加者又は達成しなかった参加者の間で個別に計算した。
全てのP値は両側であり、全ての信頼区間は95%レベルで計算した。試験は、ClinicalTrial.gov,NCT01327846に記録されている。
CANTOS集団のあらゆるベースライン臨床的特徴が、臨床結果に対するカナキヌマブの効果を変更した可能性があるか否かが最初に検討された。しかしながら、全ての主要な臨床サブグループは、主要及び副次的心血管評価項目の両方でカナキヌマブの恩恵を受けた(図7)。カナキヌマブは、LDLCレベルが、試験開始時のおおよその試験中央値レベルである80mg/dL(2.06mmol/L)よりも高い参加者及びこれよりも低い参加者の間で同様の有効性を有していた(図7)。
処置中のhsCRPレベルがカナキヌマブによる臨床転帰を予測できるか否かの評価を開始するために、より低いレベルを達成した参加者が達成しなかった参加者とどのように異なるかを調べた。表10は、処置中のhsCRPレベルが3ヶ月(次の投与を受ける前)で測定したときに2mg/L未満であったか又は2mg/L以上であったかによる、プラセボ群及び組み合わせカナキヌマブ群の試験集団のベースライン特徴を示している。予想されたように、hsCRPレベルは、ベースラインで、3ヶ月で2mg/L未満のレベルをその後に達成しなかった参加者と比較して、達成した参加者で低かった。2mg/L未満の処置中hsCRPレベルを達成した個人の割合は、プラセボ群、並びにカナキヌマブ50mg群、150mg群、及び300mg群でそれぞれ、22%、44%、55%、及び65%であった(P<0.0001)。
単変量分析では、カナキヌマブによるhsCRPの減少の程度は、カナキヌマブ処置に関連する臨床的利益の程度に直接関係していた(表11)。プラセボと比較して、任意の用量のカナキヌマブに割り当てられた、3ヶ月hsCRPレベルが2mg/L以上の参加者では、臨床的事象の統計的に有意な減少はなかった;この群(N=2,868)では、プラセボと比較した試験の主要評価項目のハザード比は0.95(95%CI 0.84〜1.09、P=0.48)であった。対照的に、カナキヌマブに割り当てられた、2mg/L未満の3ヶ月hsCRPを達成した試験参加者では、リスクが非常に有意に且つ遥かに大きく25%減少した(主要評価項目のハザード比=0.75、95%CI 0.65〜0.85、P<0.0001)(図8)。この分析では、hsCRP層全体の傾向の試験のP値は0.0001未満であった。これらのデータは、プラセボ群、並びに2mg/L未満のhsCRPレベルを達成しなかった及び達成した組み合わせカナキヌマブ群でそれぞれ100人年当たり4.39事象、4.20事象、及び3.28事象の主要価項目の発生率に対応している。
一連の感度分析を行って、これらの所見のロバスト性を評価し、あらゆる潜在的な交絡因子が、カナスキヌマブ自体と同程度に達成されたhsCRPに影響を与えたか否かを検討した。第1に、ベースラインhsCRPレベル及びLDLコレステロールレベル、並びにhsCRPに軽度に影響を与えることが知られている臨床的特徴(年齢、性別、喫煙状態、高血圧、糖尿病、及び肥満度指数を含む)を調整した。これらの多変量分析では、3ヶ月で2mg/L未満又は2mg/L超のhsCRPレベルを有していた、カナキヌマブで処置された参加者の主要な有害心血管事象の算出ハザード比(それぞれ、調整HRが0.75及び0.90)は、単変量分析で観察された算出ハザード比(それぞれ、未調整HRが0.75及び0.95)からわずかに変化していた(表11)。
第2に、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、緊急の血行再建を必要とする不安定狭心症での入院、又は心血管死を含む、事前に指定された試験の副次的心血管評価項目試験を使用して分析を繰り返した。プラセボと比較して、任意の用量のカナキヌマブに割り当てられた、2mg/L未満の3ヶ月hsCRPを達成しなかった参加者では、試験の副次的評価項目の統計的に有意な減少はなかった;この群では、プラセボと比較した試験の副次的評価項目の調整ハザード比は0.91であった(95%CI 0.81〜1.03、P=0.14)。対照的に、カナキヌマブに割り当てられた、2mg/L未満の3ヶ月hsCRPを達成した試験参加者では、リスクが統計的に有意に26%減少した(主要評価項目の調整ハザード比は0.74、95%CI 0.65〜0.83、P<0.0001)(図9)。この分析では、hsCRP層全体の傾向の試験のP値は0.0001未満であり、アクティブな処置群間の比較のP値は0.0011であった。これらのデータは、プラセボ群、並びに2mg/L未満のhsCRPレベルを達成しなかった及び達成した組み合わせカナキヌマブ群でそれぞれ、100人年当たり5.02事象、4.57事象、及び3.70事象の試験の副次的評価項目の発生率に対応している。
第3に、任意の用量(2mg/Lの臨床的カットポイントではなく1.8mg/L)のカナキヌマブに割り当てられた、参加者間で観察されたhsCRPの3ヶ月の処置中の中央値を使用して分析を繰り返し、単変数分析及び多変数分析の両方で同様の効果が観察された(表11)。
第4に、主要及び副次的心血管評価項目の分析を、3ヶ月での処置中のhsCRPレベル(中央値レベルではなく)の三分位数にわたって繰り返した。効果は、ここでもまた単変量分析と多変量分析の両方で同様であり、hsCRPの減少が最大の参加者の間で生じる主要及び副次的評価項目の両方のリスクが最も減少した(表11、図10、及び図11)。
第5に、3ヶ月でのhsCRPの50%未満又は50%以上の減少の処置中の目標を使用した繰り返し分析では、同様の結果(群全体のP−trendが0.0008)が得られたが、2つのアクティブな群間での減衰は軽度であった(表11)。
第6に、hsCRPの減少率の中央値未満又は中央値以上の処置中の目標を使用して分析を繰り返すと、ここでもまた同様の結果(群全体のP−trendが0.0010)が観察された(表11)。
第7に、CANTOSプロトコルで事前に指定された3つの追加の心血管評価項目について分析を繰り返した。心血管死(完全調整0.69、95%CI 0.56〜0.85、P=0.0004)及び全死因死亡率(完全調整HR 0.69、95%CI 0.58〜0.81、P<0.0001)は両方とも、2mg/L未満の処置中hsCRPレベルを達成した参加者で有意に低下した。2mg/L未満の処置中hsCRPを達成した参加者では、心筋梗塞、脳卒中、又は何らかの原因による死の追加プロトコルの事前に指定された主要評価項目でも同様の利点が観察された(HR 0.73、95%CI 0.65〜0.82、P<0.0001)。対照的に、この閾値未満のhsCRPレベルを達成しなかった、カナキヌマブで処置された参加者では、これらの追加の主要評価項目のいずれにも有意な効果は観察されなかった(表12)。
第8に、無作為化された薬物割付による残留交絡の可能性を評価するために、個々のカナキヌマブの用量について個別の分析を行った。プラセボと比較して、2mg/L未満の3ヶ月処置中hsCRPレベルを達成した参加者の主要評価項目の多変数調整ハザード比は、カナキヌマブ50mg群、150mg群、及び300mg群でそれぞれ、0.78(95%CI 0.63〜0.96、P=0.0195)、0.75(95%CI 0.62〜0.91、P=0.0028)、及び0.74(95%CI 0.62〜0.88、P=0.0009)であった。対照的に、カナキヌマブの有意な利点は、2mg/L未満の3ヶ月hsCRPレベルを達成しなかった参加者では、いずれの個々の用量でも観察されなかった。3つ全ての用量群についての同時にさらに調整される多変数調整モデルでは、2mg/L未満の3ヶ月処置中hsCRPレベルを達成した参加者の主要評価項目の調整ハザード比は0.79(95%CI 0.66〜0.94、P=0.0065)であったが、この閾値よりも低い3か月でhsCRPレベルを達成しなかった参加者は有意な利点が得られなかった(HR=0.94、95%CI 0.80〜1.10、P=0.41)。
プラセボに反事実的に割り当てられた、個々のカナキヌマブ処置患者では、ベースライン共変量(年齢、性別、肥満度指数、喫煙状態、糖尿病、血圧、hsCRP、総コレステロール及びHDLコレステロール、糸球体濾過率、血管疾患の既往及びタイミング)を使用して潜在的な結果をモデル化し、次いでモデルの効果を観察された効果と比較する因果推論分析をさらに行った。hsCRPの目標レベルを達成した患者におけるカナキヌマブの処置効果の推定に対応するように設計されたこの代替分析アプローチでは、個々の用量のカナキヌマブで非常に類似した結果が観察された。例えば、150mgのカナキヌマブで処置され、2mg/Lの試験中央値未満の3ヶ月hsCRPを達成した患者では、プラセボに反事実的に割り当てられた場合の結果と比較した、主要な有害心血管事象の相対ハザード比は0.76(95%CI 0.64〜0.91)であったが、2mg/L以下の3ヶ月hsCRPを達成した参加者では、比較可能な相対ハザードは0.90(95%CI 0.75〜1.07)であった。同様に、2mg/L未満の3ヶ月hsCRPを達成した、300mgのカナキヌマブで処置された患者では、プラセボに反事実的に割り当てられた場合の結果と比較した、主要な有害心血管事象の相対ハザード比は0.80(95%CI 0.69〜0.96)であったが、2mg/L以上の3ヶ月hsCRPを達成した患者では、比較可能な相対ハザードは0.93(95%CI 0.74〜1.04)であった。
CANTOSコホート全体の心筋梗塞、脳卒中、冠動脈血行再建、又は何らかの原因による死について、5年間にわたる処置に必要な算出回数(NNT)は24であった。2mg/L未満の処置中hsCRP値を有する患者では、5年間のNT推定値は16であった。5年間のNNT推定値は、この閾値未満の処置中hsCRPレベルを達成しなかった患者では57であった。
hsCRPの処置中レベルではなく、インターロイキン−6(IL−6)の処置中のレベルを使用する上記の分析で、実質的に同一の結果が得られた。
カナキヌマブは、肝臓、腎臓、又は出血のいかなる悪影響とも関連がなく、この安全性プロファイルは、hsCRPの処置中レベルによって層別化される分析でも観察された。CANTOS全体では、カナキヌマブは、致死性感染症の増加と関連していたが、この後者の影響は用量依存的ではなかった。処置中分析では、2mg/L未満の3ヶ月hsCRPを達成したカナキヌマブ処置患者の致死性感染症の発生率は100人年当たり0.27であり、このレベルのhsCRPを達成しなかったカナキヌマブ処置患者の致死性感染症の発生率は100人年当たり0.35であった。これらの発生率はどちらも、100人年当たり0.18のプラセボでの発生率よりも高かったが、3ヶ月でのhsCRPの処置中レベルによって定義された2つのカナキヌマブ群と比較して、致死性感染症の発生率に統計的に有意な差はなかった(P=0.33)。しかしながら、致死性感染症の総数が少ないため、差異の検出能力は限定されていた。
CANTOSにおける9,534人の心筋梗塞後患者の分析は、カナキヌマブの初回投与後のhsCRPの減少の程度が、心血管事象発症、心血管死、及び全死因死亡率の長期的な臨床的利益の程度に直接関係していることを実証している。達成されたhsCRP濃度に基づいてCANTOSで観察された結果の差は、処置中の測定値(中央値、三分位数、減少率、又は一般的に使用される臨床カットポイントによって定義される閾値よりも高い値又は低い値)の選択に対してロバストであり、達成されたhsCRPレベルに影響を与えることが知られているベースライン臨床的特徴については調整による影響は最小限であり、全ての個々の用量レベルで観察され、そして因果推論分析でさらに観察された。逆に、この分析では、感染症の発生率を含め、達成されたhsCRPと安全性の結果との間に実質的な差異がないことが示された。
これは、いくつかの理由から興味深い。第1に、カナキヌマブ及び処置中hsCRPのデータは、脂質低下試験及びLDL−Cの処置中レベルからの以前の研究と類似している。さらに、殆どのCANTOS参加者は、既に高強度スタチン療法を受けていたため、現在のデータは、炎症の低減及びコレステロールの低減の「2つの目標」を達成することがアテローム血栓の予防に関して最大の臨床的利益をもたらすという一般的な概念を独立に裏付ける。
第2に、データは、心筋梗塞後患者の補助療法としてのカナキヌマブの潜在的な使用に実用的意義を有する。図7に示されているように、全ての一般的な臨床サブグループは、カナキヌマブと同様の相対リスクの低下を達成したが、統計的に有意な不均一性の証拠はなかった。従って、高い絶対リスク以外に、CANTOSコホートのベースライン臨床的特徴を使用してカナキヌマブの有効性を最大化する簡単な方法はないようである。
対照的に、本明細書に示されているように、心血管事象(及び全死因死亡率)についてのカナキヌマブに関連する利益の程度は、単回投与後に達成されたhsCRPの減少の程度に直接関係していた。実際、hsCRPの実質的な減少を達成しなかった参加者は、わずかで有意でない利益しか得られなかった(図8〜図11)。これらのデータは、持続的なカナキヌマブ処置の候補者と継続処置の恩恵を受ける可能性が遥かに低い個人とを区別するための単純な臨床メカニズムとしてのhsCRPの処置中の測定値の使用を支持する。
この臨床戦略の適用により、カナキヌマブのリスク比に対する有利な利益が保証され、同時に費用対効果が向上するであろう。例えば、心筋梗塞、脳卒中、あらゆる冠動脈血行再建、又は何らかの原因による死を含む主要評価項目についてのCANTOSでの処置に必要な5年間の合計回数は24回である。しかしながら、処置中のhsCRP値が2mg/L未満の参加者のみを分析すると、処置に必要な5年間の回数は16回である。これは、2mg/L未満のhsCRPレベルを達成しなかった参加者の処置に必要な5年間の回数が57回とは対照的である。
hsCRP及びカナキヌマブの用量を含む広範囲のベースライン臨床的特徴の多変量調整が研究結果への影響を最小限にしたため、データの差異は僅かであるように思われた。また、ほぼ同一の効果の差異が、カナキヌマブで処置された参加者がプラセボで反事実的に処置されたとしてモデル化された因果推論分析でも観察された。分析では残留交絡を完全に排除することはできないが、異なる形式の調整が同様の結果をもたらし、研究結果全体的に比較的小さな影響しか与えなかったという事実は、hsCRPに対するカナキヌマブの直接的な生物学的効果の程度が、他の潜在的な臨床変数に関連する効果の程度よりもはるかに大きいという仮説に一致している。
事前に指定された処置中分析に示されているように、150mgのカナキヌマブよりも300mgのカナキヌマブに割り当てられた個人の方が高い割合で、最大の臨床的利点に関連する閾値未満の3ヶ月hsCRPを達成した。従って、薬物反応のばらつきが存在し得る個々の患者では、150mg及び300mgの用量の両方を利用可能であることから、がカナキヌマブの臨床的有用性が拡大され得る。
要約すると、多国籍CANTOS試験からのこれらの事前に指定された分析では、LDL−Cに変化がないときのhsCRPの減少の程度は、心血管事象の減少及びカナキヌマブ療法後の全死因死亡率の減少の程度と強く関係していた。
因果干渉分析
別の因果推論分析を行った:この方法では、カナキヌマブによる処置後3ヶ月で特定の目標よりも低いhsCRPレベルを達成した患者のサブグループにおける平均処置効果を推定する。これらの潜在的な結果の推定は、関心対象の目標レベル未満の処置中hsCRP値を達成するだろう患者集団の平均的な処置の比較を確認できるという点で、上記の多変数調整とは異なる。因果推論分析の適用では、分析に寄与する事象を有する可能性があったが、アッセイされた試料が入手できなかったために当初は除外された患者を排除することによってバイアスが導入されることを回避するために、3か月の評価時に生存していた、抜けているhsCRP値の複数のインピュテーションに依存することで試料を提供できたであろう10,009人の患者全てを含むように分析に含まれる患者数を増加させた。
カナキヌマブ処置患者では、関心対象(MACE)の主要評価項目の発生のハザード率としての処置効果が観察されたが、プラセボ患者では、カナキヌマブで処置中のhsCRPレベルは不明である。従って、カナキヌマブ「応答」患者、即ちプラセボで反事実的に処置されたカナキヌマブ応答患者のプラセボ生存率は、カナキヌマブ応答患者の共変量値から予測されるプラセボ患者の平均生存率を導出すことによって得られる。ベースライン共変量は、カナキヌマブで処置されたときに特定の目標レベルよりも低いhsCRP応答を予測するのに有用な共変量:ベースラインhsCRP、肥満度指数(BMI)、欧州心臓病学会によって確立されたSMARTリスクスコア(Dorresteijn,J.A.N.et al,Heart.2013;99(12):866−72)、LDL−C、及びベースラインスタチン用量である。これら2つの群のハザード率は、以下から導出される:観察されたリスクを用いてカナキヌマブで処置された患者、及びカナキヌマブで処置されれば応答者となっただろうプラセボ患者の共変量重み付け生存率の平均。次いで、ハザード率を、MIを生存と認定し、次いでハザードを推定してからの時間によって層別化したノンパラメトリックモデル又はセミパラメトリックモデル(Cox回帰)を使用して得た。因果推論アプローチは、適用されたブートストラップ再サンプリング手順からの通常の両側95%間隔に対応する分位数として計算された境界のみを提供し、p値を提供しない。これらのハザード率を使用してハザード比を導出し、信頼限界が3,000回のブートストラップ反復から導出され、これには、3か月の時点での検査値を有しておらず、且つ92日目又はそれ以前に死亡日を有していなかった患者の多重代入されたhsCRP値の不確実性の説明が含まれる。
2mg/L未満の3ヶ月hsCRPを達成した150mgのカナキヌマブで処置された参加者では、プラセボに反事実的に割り当てられた場合の結果と比較した主要な有害心血管事象(MACE)の相対HRは0.77(95%CI 0.64〜0.92)であったが、2mg/L以上の3ヶ月hsCRPを達成した参加者では、比較可能な相対ハザードは0.88(95%CI 0.74〜1.05)であった(表13及び図14)。同様に、1.8mg/Lの試験中央値よりも低い3ヶ月hsCRPを達成した参加者では、プラセボに反事実的に割り当てられた場合の結果と比較した主要な有害心血管事象の相対ハザード比は0.77(95%CI 0.63〜0.92)であったが、1.8mg/L以上の3ヶ月hsCRPを達成した参加者では、比較可能な相対ハザードは0.87(95%CI 0.73〜1.03)であった(表13及び図13)。150mgのカナキヌマブで処置され、1.5mg/L未満の3ヶ月hsCRPを達成した参加者では、プラセボに反事実的に割り当てられた場合の結果と比較した主要な有害心血管事象(MACE)の相対HRは0.75(95%CI 0.6〜0.91)であったが、1.5mg/L以上の3ヶ月hsCRPを達成した参加者では、比較可能な相対ハザードは0.88(95%CI 0.74〜1.02)であった(表13及び図12)。本明細書に示されているように、主要な有害心血管事象に対するカナキヌマブに関連する利益の程度は、カナキヌマブの単回投与後に達成されたhsCRPレベルに直接関係している。

Claims (29)

  1. 心心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための方法であって、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブを投与することを含み、前記患者が、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に投与され、且つ前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する、方法。
  2. 心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための方法であって、約150mg〜約300mgのカナキヌマブを投与することを含み、前記患者が、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に投与され、且つ前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる、方法。
  3. 150mg又は300mgのカナキヌマブを投与することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 150mgのカナキヌマブを投与することを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための方法であって、約3ヶ月ごとに約150mgのカナキヌマブを投与することを含み、前記患者が、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に投与され、且つ前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する、方法。
  6. カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価されたhsCRPの低下したレベルが1.8mg/L未満である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価されたhsCRPの低下したレベルが1.5mg/L未満である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記再発性CV事象が、非致死性MI、非致死性脳卒中、心血管(CV)死、及び予想外の血行再建を必要とする不安定狭心症の入院から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記再発性CV事象が、非致死性MI、非致死性脳卒中、及び心血管(CV)死から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記再発性CV事象が、非致死性MI又は心血管(CV)死である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記再発性CV事象が非致命性MIである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記再発性CV事象が、予想外の血行再建を必要とする不安定狭心症の入院である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記患者が、再発性CV事象のリスクを低減する、又は前記事象を予防するための標準治療を同時に受けている、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際に使用するためのカナキヌマブであって、
    (i)前記患者が、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
    (ii)約150mg〜約300mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に前記患者に投与され、且つ
    (iii)前記患者が、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになり、且つ
    (iv)前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する、カナキヌマブ。
  15. 心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際に使用するためのカナキヌマブであって、
    (i)前記患者が、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
    (ii)約150mg〜約300mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に前記患者に投与され、且つ
    (iii)前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる、カナキヌマブ。
  16. 心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための薬剤の製造のためのカナキヌマブの使用であって、
    (i)前記患者が、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
    (ii)約150mg〜約300mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
    (iii)前記患者が、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになり、且つ
    (iv)前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する、使用。
  17. 心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又は前記事象を予防するための薬剤の製造のためのカナキヌマブの使用であって、
    (i)前記患者が、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
    (ii)約150mg〜約300mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に患者に投与され、且つ
    (iii)前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する場合、前記患者は、約3ヶ月ごとに約150mg〜約300mgのカナキヌマブが継続して投与されることになる、使用。
  18. 150mg又は300mgのカナキヌマブを投与することを含む、請求項14〜17のいずれか一項に記載の使用。
  19. 150mgのカナキヌマブを投与することを含む、請求項14〜18のいずれか一項に記載の使用。
  20. 心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防する際に使用するためのカナキヌマブであって、
    (i)前記患者が、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
    (ii)約150mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に前記患者に投与され、且つ
    (iii)前記患者が、約3ヶ月ごとに約150mgのカナキヌマブが継続して投与されることになり、且つ
    (iv)前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する、使用。
  21. 心筋梗塞(MI)に罹患した患者における再発性心血管(CV)事象のリスクを低減する、又はこの事象を予防するための薬剤の製造のためのカナキヌマブの使用であって、
    (i)前記患者が、MIの少なくとも28日後、且つカナキヌマブの初回投与前に評価された2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有し、且つ
    (ii)約150mgのカナキヌマブが、最も早くてMIの30日後に前記患者に投与され、且つ
    (iii)前記患者が、約3ヶ月ごとに約150mgのカナキヌマブが継続して投与されることになり、且つ前記患者が、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された2mg/L未満の低下したhsCRPレベルを有する、使用。
  22. 前記hsCRPの低下したレベルが、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された1.8mg/L未満である、請求項14〜21のいずれか一項に記載の使用。
  23. 前記hsCRPの低下したレベルが、カナキヌマブの初回投与の約3ヶ月後に評価された1.5mg/L未満である、請求項14〜22のいずれか一項に記載の使用。
  24. 前記再発性CV事象が、非致死性MI、非致死性脳卒中、心血管(CV)死、又は予想外の血行再建を必要とする不安定狭心症の入院から選択される、請求項14〜23のいずれか一項に記載の使用のためのカナキヌマブ。
  25. 前記再発性CV事象が、非致死性MI、又は非致死性脳卒中、又は心血管(CV)死から選択される、請求項14〜23のいずれか一項に記載の使用のためのカナキヌマブ。
  26. 前記再発性CV事象が、非致死性MI又は心血管(CV)死である、請求項14〜23のいずれか一項に記載の使用のためのカナキヌマブ。
  27. 前記再発性CV事象が非致死性MIである、請求項14〜23のいずれか一項に記載の使用のためのカナキヌマブ。
  28. 前記再発性CV事象が、予想外の血行再建を必要とする不安定狭心症での入院である、請求項14〜23のいずれか一項に記載の使用のためのカナキヌマブ。
  29. 前記患者が、再発性CV事象のリスクを低減する、又は前記事象を予防するための標準治療を同時に受けている、請求項14〜28のいずれか一項に記載の使用のためのカナキヌマブ。
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