一態様では、少なくとも2つの連続的に配置されたウェルと、ウェル間の流体連通のために適合されたチャネルとを備える細胞培養プレートが開示されており、チャネルは、チャネルの各端での開口部を介して第1のポンプに接続または連結され、該第1のポンプは、少なくとも2つのウェル間で流体を循環させるように動作可能である。また、(i)少なくとも2つの連続的に配置されたウェルと、ウェル間の流体連通のために適合されたチャネルとを備える細胞培養プレートと、(ii)第1のポンプであって、チャネルが、チャネルの各端での開口部を介して第1のポンプに接続または連結され、第1のポンプが、少なくとも2つのウェル間で流体を循環させるよう動作可能である、第1のポンプと、を備える細胞培養システムまたは細胞培養デバイスが開示されている。好適には、チャネルは、直径が3ミリメートル以下であるか、またはマイクロ流体チャネルである。
好適には、ポンプは、蠕動ポンプである。
好適には、ポンプは、エンコーダを備えるステッパーモーターまたはブラシレスモーターを備える。
各モーターは、モーターコントローラによって制御でき、その動作およびセンサーは、マイクロコントローラによって制御できる。マイクロコントローラの動作は、ブルートゥース(登録商標)コントローラなどの無線コントローラによって制御でき、タブレットなどの無線装置との使用を促進することができる。
好適には、チャネルはさらに、細胞培養プレートから流体を連通するように構成される。
好適には、チャネルは第2のポンプに接続または連結され、該第2のポンプは、プレートからの流体と連通するよう動作可能である。
好適には、第1のポンプおよび/または第2のポンプのモーターは、防水ボックス内に収容される。
好適には、細胞培養プレートは、蓋を装備している。
ある特定の実施形態では、4つのポンプが使用される。
好適には、任意の蓋を有する細胞培養プレートは、インキュベーター内に収容される。インキュベーターは、約37℃など、定義された固定温度でインキュベートするように構成され得る。インキュベーターは、例えば、実験の過程の間、異なる温度である期間にわたってインキュベートするように構成され得る。
好適には、細胞培養プレートおよびポンプ(複数可)の両方は、インキュベーター内に収容される。
好適には、インキュベーター内の温度は、例えば、実験の過程の間、使用中に約0.5℃ずつを超えて変動することはない。
好適には、チャネルは、チャネルの壁内の2つ以上の開口部を備え、チャネルの2つ以上の開口部は、ウェルに連結されるか、または接続される。
好適には、チャネルは、ベースまたはウェルの頂部に接続されている。
好適には、チャネルは、肝臓スフェロイドがその中に含まれている場合には、ウェルの頂部に接続される。
好適には、チャネルは、Uベンドなどのループを形成するように構成されている。
好適には、ウェルは、プレート内のウェルの直線状配置を形成する。
好適には、プレートは、ウェル間の流体と連通することができる少なくとも1つのポンプに各々接続された1、2、3、または4つ以上のチャネルを備える。
好適には、ポンプは、プレートのウェルの外部に位置し、好適には、ポンプは、プレートのウェルの連続して配置されたウェル配置に隣接して位置する。外部に位置する場合、ポンプは、ルアーもしくはルアーロックコネクター、または単純な管コネクターなどの、コネクターを介してプレートに接続され得る。
好適には、ウェルのうちの1つ以上は、細胞を培養するためのインサートを備え、該インサートは、ウェルとインサートとの間の培養培地の通過を可能にする透過性膜を含む。
好適には、ウェルのうちの1つ以上は、表面被覆を含む。
好適には、透過性膜は、インサートの基部上に位置する。
好適には、ウェルには流体、好適には細胞培養培地が含まれている。
好適には、ウェルまたはインサートは細胞を含む。
好適には、ウェルは開いており、密封されていない。
好適には、細胞は、2次元または3次元細胞培養物である。
好適には、細胞培養培地には、1つ以上の作用物質が含まれている。
好適には、ウェルのそれぞれにおける細胞型は、同じ細胞型または異なる細胞型である。
好適には、異なる細胞型は、副腎、膀胱、血管、骨、骨髄、脳、軟骨、子宮頸部、角膜、子宮内膜、食道、胃腸、免疫系、肝臓、肺、リンパ系、筋肉、神経、卵巣、膵臓、下垂体、前立腺、腎臓、唾液、皮膚、健、精巣、および甲状腺から選択され、好適には、細胞型は、肺細胞または肝臓細胞またはニューロンである。
好適には、第1のポンプの流量は、毎分約10μl〜毎分約1000μlである。好適には、第1のポンプの機能は、コンピュータによって制御される。好適には、細胞培養プレートのウェルまたは細胞培養プレートは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から製造される。PEEKは、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)群内の一種である。
好適には、細胞培養プレートのウェルまたは細胞培養プレートは、PEEKを含むか、またはそれからなる。好適には、チャネルは、流体を保持または貯蔵することができる1つ以上の貯蔵部を備えるプレートと流体連通している。
好適には、ウェルの基部は、スフェロイドの凝集を低減または防止するように適合された不連続な表面を備える。
好適には、ウェルの基部は実質的に円形であり、好適には、基部の直径は約6mm±5%〜約16mm±5%であり、好適には、基部の直径は、約6mm±5%、約11mm±5%または約16mm±5%である。
好適には、不連続な表面は、複数の溝を備え、溝の深さおよび幅が、スフェロイドの最大直径±10%に相応する。
好適には、複数の溝の深さおよび幅は、約200〜約1000μm、好適には約600〜約1000μmである。
好適には、溝は、ウェルの基部上に複数の同心のリングを形成する。
好適には、不連続な表面は、閉じた底部および開いた上部を有する複数の穴を備え、穴のサイズは、スフェロイドの最大直径よりも約10%大きい深さおよび幅に相応する。
好適には、ウェルは、スフェロイドを培養するための細胞培養培地を含む。
好適には、ウェルは、ウェルの不連続な表面に捕捉された個別のスフェロイドを含む。
好適には、スフェロイドは、肺スフェロイドである。
好適には、流体がその中に存在する場合、ウェルの入口から出口への流体の流れは、約1〜約500μL/分であり、好適には、約40μL/分である。
好適には、ウェルの剪断応力は、0.1ダイン/cm2未満である。
好適には、ウェルのうちの少なくとも1つの基部は、不連続性を欠いている平坦な表面を備える。
好適には、少なくとも1つのウェルは、ウェルの基部の上に位置付けられたインサートを備え、好適には、インサートは、気/液界面で細胞を培養することができる表面を形成するようにウェル内に位置する透過性膜の頂部に位置する。
好適には、不連続性を欠く平坦な表面を備える少なくとも1つのウェルの深さは、不連続な表面を備える少なくとも一つの深さとは異なり、不連続性を欠いている平坦な表面を備える少なくとも1つのウェルの深さは、不連続な表面を備える少なくとも1つのウェルの深さよりも小さい。
好適には、ウェルは、気液界面で細胞を培養するための細胞培養培地を含む。
好適には、ウェルは、透過性膜上に位置付けられた細胞を含み、該細胞は、気液界面で増殖することができる。
好適には、細胞は、肺細胞である。
好適には、チャネルは、流体を保持することができる1つ以上の貯蔵部を備えるプレートと流体連通している。さらなる態様では、インキュベーター内に収容された本開示による細胞培養プレートを備える細胞培養デバイスが開示されている。
さらなる態様で、(a)本明細書に記載の細胞培養プレートまたは細胞培養デバイスを提供することと、(b)少なくとも2つのウェルを流体に接触させることと、(c)流体を、プレートのウェルを通して循環させることと、を含む、2つ以上の連続的に配置されたウェルの間で流体を循環させるための方法が開示される。
さらなる態様は、(a)本明細書に記載される細胞培養プレートまたは細胞培養デバイスを提供する工程と、(b)細胞培養プレートの少なくとも2つのウェルを、細胞と細胞培養培地とに接触させる工程と、(c)細胞培養培地を、プレートのウェルを通して循環させる工程と、(d)プレートのウェルを、少なくとも1つの作用物質に曝露させる工程と、(e)細胞培養培地をウェルのうちの1つ以上から取り出して、試験する工程と、(f)少なくとも1つの作用物質への曝露の前後に、作用物質の細胞に対する作用を決定する工程と、を含む作用物質の細胞に対する作用を決定するための方法に関する。
さらなる態様は、(a)本明細書に記載される細胞培養プレートと、(b)複数の試料を保存するための1つ以上のウェルを備える試料プレートと、を含む細胞液曝露サンプリングデバイスに関し、該第2のポンプは、細胞培養プレートから試料プレートに向かって流体を伝送させるように動作可能である。
好適には、流体は、複数のピペッタを使用して試料プレートに伝送される。
好適には、マルチヘッドピペッタ上のピペットの数は、試料プレートの列のウェルの数に相応する。
好適には、細胞液曝露サンプリングデバイスは、流体を貯蔵するための貯蔵部を備え、該貯蔵部は、細胞培養プレートのウェルと流体連通する。
好適には、細胞液曝露サンプリングデバイスは、培養培地を貯蔵部から伝送して細胞培養プレートのウェルを再充填するよう適合された少なくとも1つのさらなるポンプをさらに備える。
好適には、少なくとも1つのさらなるポンプは、試料プレートのウェル内で収集されるとき、細胞培養プレートのウェルを同じ容量の培養培地で再充填するように適合されている。
好適には、サンプリングデバイスは、デバイスの動作を自動的に制御するように動作可能なコンピュータコントローラをさらに備える。
さらなる態様では、(a)本明細書に記載の細胞液曝露サンプリングデバイスを提供する工程と、(b)ウェルのうちの少なくとも1つを、細胞が含まれる細胞培養培地と接触させる工程と、(c)細胞培養培地を、細胞培養プレートのウェルを通して循環させる工程と、(d)細胞培養プレートのウェルを、少なくとも1つの作用物質に曝露させる工程と、(e)細胞培養培地を、細胞培養プレートからサンプリングする工程であって、任意に、細胞培養培地が、作用物質への曝露中にリアルタイムでサンプリングされる、サンプリングする工程と、を含む、1つ以上の作用物質に曝露された細胞を含む細胞培養培地をサンプリングするための方法が提供される。
好適には、工程(d)では、細胞培養プレートのウェルは、複数の時点で少なくとも1つの作用物質に曝露される。
好適には、工程(e)でサンプリングされた培養培地の容量は、約50ul〜約200ulである。
好適には、本方法は、細胞培養培地中のサンプリングされた細胞に対する作用物質(複数可)の作用を決定するさらなる工程(f)を含む。
好適には、本方法は、曝露された細胞培養物に対する作用物質(複数可)の動態を決定するさらなる工程(g)を含む。
さらなる態様では、本明細書に記載される細胞培養プレートの、2つ以上のウェルの間で流体を循環させるための使用が開示されている。
さらなる態様で、細胞液曝露サンプリングデバイスの、細胞培養プレートのウェルから流体をサンプリングするための、好適にはリアルタイムでサンプリングするための使用が開示されている。
さらなる態様では、ポリエーテルエーテルケトンを含むか、またはそれからなり、(i)タバコアルカロイド、または(ii)タバコ特異的ニトロソアミン、または(iii)ハロゲン化有機溶媒またはジメチルスルホキシドもしくはテトラヒドロフランではないことを前提とした有機溶媒を含むか、またはこれらの2つ以上の組み合わせを含む作用物質が含まれている、細胞培養デバイスが開示される。
(i)細胞を、ポリエーテルエーテルケトンを含むか、もしくはそれからなる細胞培養デバイスと接触させることと、(ii)細胞を培養することと、(iii)細胞培養デバイス中に含まれる細胞を、(i)タバコアルカロイド、または(ii)タバコ特異的ニトロソアミン、または(iii)ハロゲン化有機溶媒またはジメチルスルホキシドもしくはテトラヒドロフランではないことを前提とした有機溶媒を含むか、またはこれらの2つ以上の組み合わせが含まれている作用物質を含む、1つ以上の作用物質と接触させることと、を含む、細胞を1つ以上の作用物質と接触させるための方法が開示される。
さらなる態様では、細胞培養デバイスを、(i)タバコアルカロイド、または(ii)タバコ特異的ニトロソアミン、または(iii)ハロゲン化有機溶媒またはジメチルスルホキシドもしくはテトラヒドロフランではないことを前提とした有機溶媒を含むか、またはこれらの2つ以上の組み合わせを含む1つ以上の作用物質と接触させることを含む、ポリエーテルエーテルケトンを含むか、またはそれからなる細胞培養デバイスで、作用物質の吸収を低減または阻害するための方法が開示される。
さらなる態様では、ポリエーテルエーテルケトンを含むか、またはそれからなる細胞培養デバイスの、作用物質の吸収を低減または阻害するための使用が開示されており、作用物質が、(i)タバコアルカロイド、または(ii)タバコ特異的ニトロソアミン、または(iii)ハロゲン化有機溶媒またはジメチルスルホキシドもしくはテトラヒドロフランではないことを前提とした有機溶媒を含むか、またはこれらの2つ以上の組み合わせを含む。
適切には、タバコ特異的ニトロソアミンは、4−(メチルニトロソアミノ)−1−(3−ピリジル)−1−ブタノンである。
好適には、タバコアルカロイドは、ニコチン、アナバシン、ノルニコチン、アナタビン、コチニンおよびミオスミン、またはこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
本開示の実施は、別途記載のない限り、遺伝子操作、マイクロエンジニアリング、微生物学、および細胞生物学、および生化学の従来の技術を使用する。かかる技術は、例えば、以下の文献中に完全に解説されている:A Laboratory Manual,second edition(Sambrook et al.,1989)Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(MJ.Gait, ed.,1984);Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.CeIMs, ed.,1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.,1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,IB.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993−8)J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.,eds.,1994)。市販のキットおよび試薬を採用する手順は、別途記載のない限り、通常、製造業者が定めたプロトコールに従い使用される。
本明細書で使用される技術的な用語および表現は概して、分子生物学、微生物学、細胞生物学、および生化学の関連分野において当該用語に一般的に適用される意味が与えられる。以下の用語の定義はすべて、本出願の全内容に適用される。
本明細書で使用される場合、単数形(「一つの(a、an)」および「その(the)」)は、文脈上明白に他の意味を示さない限り、単数および複数の対象の両方を含む。
「および/または」という用語は、(a)もしくは(b)、または(a)および(b)の両方を意味する。
本明細書で使用される「備える(comprising、comprises)」および「で構成される(comprised of)」という用語は、「含む(including、includes)」または「包含する、含んでいる(containing、contains)」と同義であり、包括的または非限定的であり、列挙していない追加の部材、要素、または方法工程を除外しない。
「からなる(consisting of)」という用語は、追加の構成要素が除外され、列挙された要素のみを有し、それ以上の要素を有しないことを意味する。
終点までの数値範囲の列挙には、それぞれの範囲内に包摂されるすべての数および割合、ならびに列挙される終点が含まれる。
パラメータ、量、時間の長さ、およびこれらに類するものなどの測定可能な値に言及するときに、本明細書で使用される「約」という用語は、変動が本開示で実施するのに適切である限り、特定の値の変動および特定の値からの変動、具体的には、特定の値のおよび特定の値からの+/−10%以下、好ましくは+/−5%以下、より好ましくは+/−1%以下、さらにより好ましくは+/−0.1%以下を包含することを意味する。「約」という修飾語句が言及する値もまた、それ自体で具体的かつ好ましく開示されることは理解すべきである。
部材群のうちの1つ以上の部材などの「1つ以上」という用語は、それ自体明瞭であるが、さらなる例証を用いると、この用語は、とりわけ、該部材のうちのいずれか1つへの言及、または、例えば、該部材のうちのいずれか≧3つ、≧4つ、≧5つ、≧6つ、または≧7つなど、該部材のうちのいずれか2つ以上への、および最大ですべての該部材への言及を包含する。
細胞培養プレート
本開示で使用するための細胞培養プレートは、24、48または96ウェル形式など、様々な形式で製造することができ、実験を遂行することが意図されている実験のサイズおよび選択に基づいて、当業者によって容易に選択され得る。好適には、本開示で使用するための細胞培養プレートは、24、48または96ウェル形式の細胞培養プレートである。典型的には、細胞培養プレートは、長さ約12cmおよび幅約8cmを測定する。
細胞培養プレートは、典型的には、複数のウェルを含む平坦なプレートの形態である。一般に、プレート全体は矩形である。
好適には、ウェルの基部の直径は、約6mm±5%〜約16mm±5%であり、好適には、基部の直径は、約6mm±5%、約11mm±5%または約16mm±5%である。一実施形態では、ウェルの基部の直径は、約6mm±5%(例えば、約6.4mm)〜約16mm±5%(例えば、約15.5mm)である。
各ウェルの容量は、約300μL〜約3400μL、または約350μL〜約3400μL、または約370μL〜約3400μLとすることができる。典型的には、細胞培養プレート内で循環される流体の体積は、約2.5mL〜約12mL−例えば約8mLであろう。細胞培養プレートは、少なくとも2つの連続的に配置されたウェルを含むように構成される。細胞培養プレートは、少なくとも2つの直線状に配置されたウェルを含むように構成される。
典型的には、細胞培養プレート内のウェルは、横列と縦列に配置されるであろう。例えば、24ウェルプレートは、各列に4つの隣接するウェルがある6つの直線状の列で構成され得る。さらなる例として、48ウェルプレートは、各列に6つの隣接するウェルがある8つの直線状の列で構成され得る。さらなる例として、96ウェルプレートは、各列に8つの隣接するウェルがある12個の直線状の列で構成され得る。細胞培養プレートは、必要に応じてプレート内に所望の数のウェルを提供するために製造または特注されてもよい。
プレートのすべてのウェルを使用する必要はない。少なくとも2つの連続的に配置されたウェルが細胞培養プレートで使用される場合であれば、これは、本開示に従って実験を遂行するために十分であろう。
細胞培養プレートのウェルは通常、開放され、かつ密封されておらず、これが、細胞の培養/維持およびエアロゾルの循環を助けることができる。
細胞培養プレートは、ウェル内の汚染のリスクを低減するのに役立つプレートの頂部に蓋を備えることができる。蓋はプレートに密封されていないことが好ましく、その結果、空気がプレート内部で循環でき、細胞の培養/維持およびエアロゾルの循環を助けることができる。
細胞培養プレートは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ステンレス鋼(例えば、316L/1.4435)、PEEK、ポリプロピレン、またはポリスルホン、もしくはそれらのうちの2つ以上の組み合わせから作製することができる。コーティング−例えば、パリレンのコーティングは、PTFE、ステンレス鋼(例えば、316L/1.4435)、PEEK、ポリプロピレン、またはポリスルホン材料のいずれかに適用され得る。
ある特定の実施形態では、PEEKの使用は、本明細書に記載されるように、ニコチンおよびNNKに対して吸収性ではないという利点を有するために好ましい。
細胞培養プレートは、必要に応じて、コンピュータ支援設計(CAD)によって設計され得るか、またはこれらは市販されている。CADプレートは、当技術分野で周知の方法を使用して、マイクロ機械加工によって製造することができる。
好適には、細胞培養プレートは、一体成形の細胞培養プレートである。一体成形であるため、細胞培養プレートは層を欠いている。一体成形であるため、細胞培養プレートは接着剤を欠いている。一体成形であるため、細胞培養プレートは、層および接着剤を欠いている。これにより、完全にオートクレーブ処理され得るため、細胞培養プレートの殺菌を支援することができる。
一実施形態では、細胞培養プレートは、当該技術分野において広く利用可能なマイクロ流体細胞培養プレートである。例えば、M04Sマイクロ流体細胞培養プレートは、Cellasic,California,USAから入手可能であり、独立した4つのウェルを含有し、各ウェルが、直径約2.8mmで、高さが120ミクロンである。このプレートの寸法は、約8.5cmの幅、約12.7cmの長さ、および約1.4cmの高さである。
ある特定の実施形態では、細胞培養プレートの長さは、長さ約10cm以上、または長さ約11cm以上、または長さ約12cm超である。ある特定の実施形態では、細胞培養プレートの長さは、長さ約10cm未満−例えば、長さ約9cm、長さ約8cm、長さ約7cm、長さ約6cm、または長さ約5cmである。
細胞培養プレートは、少なくとも2つの連続的に配置されたウェルの間の流体連通を可能にするように適合されている。これは、細胞培養プレートのウェルのそれぞれに少なくとも1つの孔を形成し、次いで、ウェルのそれぞれを孔(複数可)を介してチャネル(例えば、導管またはパイプ)に接続することによって達成することができる。一実施形態では、チャネル(複数可)は、細胞培養プレート内部で直接機械加工されるか、または埋め込まれて、少なくとも2つのウェルの互いの接続を提供する。好適には、チャネル(複数可)は、細胞培養プレートのウェルの下を通っている。チャネル(複数可)は、必要に応じてウェルの底部または頂部に接続できる。チャネルの直径は、約3mm、約1.6mm、または約1mm以下とすることができる。チャネルは、気泡の形成を減らすために、円形の直径を有することができる。.チャネルは、1mm未満の直径を有するマイクロ流体チャネルとすることができる。マイクロ流体チャネルの使用は、当業者に周知である。
チャネルは、各端部に開口部を含んでいる。通常、開口部の各端部は、同一の単一のポンプに接続されている。通常、開口部の各端部は、同一の単一のポンプで終結することになる。
チャネルを第1のポンプに接続するために、様々な種類のコネクターを使用することができる。一例としては、ルアーコネクター例えば、ルアーロックコネクター、または簡単な管コネクターである。ルアーコネクターの使用は、容易に利用可能であり、取り付けが簡単で、かつ滅菌性および締め具合を改善することができるため、有利である。
第1のポンプに向かって流体を伝送するチャネルの一部分は、本明細書では「流体移送チャネル」と称される。流体移送チャネルの壁は、通常、第1のポンプと接続または連結できる一方の端で開口部とは別に密閉されるであろう。言い換えれば、チャネルのこの部分の壁は、いずれの開口部も欠いていることになる。チャネルの別の部分は、本明細書では、流体をチャネルの壁の開口部を介して各ウェルに伝送するため、「ウェル伝送チャネル」と称される。ウェル伝送チャネルの壁の開口部の数は、流体が伝送されるウェルの数に依存するであろう。通常、ウェル伝送チャネルの壁の開口部は、ウェル伝送チャネルの上部に位置するであろう。ウェル伝送チャネルは、通常、ウェルの基部または頂部のいずれかに接続されるであろう。ある特定の実施形態では、肝臓スフェロイドがその中に含まれている場合、ウェル伝送チャネルは、ウェルの頂部に接続されることが好ましい。ウェル伝送チャネルは、ポンプに向かって、またはポンプから離れる方向に流体を伝送することができる。流体移送チャネルおよびウェル伝送チャネルは、一般的に、実質的に直線状の配置で構成され、互いに実質的に平行に配置され得る。
チャネルは、可撓性の管などの管の形態とすることができる。したがって、チャネルは、管材、−例えば、可撓性管材もしくはシリコン管材またはファーメド(Pharmed)管材で作製され得る。ループまたはUベンドは、流体移送チャネルとウェル伝送チャネルとを接合する。ループは、ポンプから流体を離れる方向に伝送し、次いで、流体をポンプに向かって戻すように構成されている。
ループは、細胞培養プレートの内部または外部に位置することができる。ループが細胞培養プレートから外側に位置する場合、コネクター例えば、ルアーコネクターもしくはルアーロックコネクター、または簡単な管コネクターは、ループを細胞培養プレートに封止または係合させるために使用することができる。
管材−例えば、シリコン管材またはファーメド管材−は、異なるチャネルを一緒に接続するために使用することができる。
流体がチャネル内で運ばれるとき、流体はポンプから運ばれ、その後ポンプに戻される。流体は、必要に応じてウェルを通して時計回りまたは反時計回りに循環することができる。第1のポンプは、通常、細胞培養プレートの対向する側面上に配向されるように構成され、これは流体移送チャネルまたはウェル伝送チャネルを通して流体を戻す。第1のポンプおよびループは、実質的に直線状の配置で細胞培養プレートの対向する側面上に配置することができる。ある特定の実施形態において、流体は、第1のポンプから流体移送チャネルへ、およびループを経由してウェル伝送チャネルに伝送されて、第1のポンプに戻る(図2を参照されたい)が、流体が、第1のポンプからウェル伝送チャネルへ、およびループを経由して流体移送チャネルに伝送され、第1のポンプに戻ることも企図される(例えば、図3cおよび9aを参照されたい)。また、流体は、第1のポンプから第1の流体移送チャネルへ伝送され、次いで、第1のループを経由して第1のウェル伝送チャネルに伝送され、次いで第2のループを経由して第2の流体移送チャネルへ、および第3のループを経由して第2のウェル伝送チャネルへ伝送され(例えば、図9bを参照されたい)、次いで、第1のポンプに戻ることも企図される。
少なくとも2つの連続的に配置されたウェルと、第1のポンプに、チャネルの各端部で開口部を介して接続または連結している、ウェル間の流体連通のために適合されたチャネルとを備える細胞培養プレートは、少なくとも2つのウェル間の流体を循環させるための回路を形成することができる。流体は、チャネルおよびポンプを介してウェル間を循環することができる。ある特定の実施形態では、プレートは、1、2、3、または4つ以上の回路から構成される。各回路は、2または4または6または8つ以上のウェルを含むことができる。ウェルのうちの1つ以上は、ウェル内のTranswell(商標)インサートなどのインサートの配置を具体的に許容するように設計され得る。プレートは、標準的な24ウェルプレートまたは96ウェルプレートなどの、必要に応じて様々なサイズとすることができる。好適には、標準プレートは、実質的に円形の形状である2つ以上のウェルまたは複数のウェルを備える。
回路当たり2つまたは4つまたは6つまたは8つのウェルは、その底部に沿って通るマイクロチャネルなどのチャネルによって相互接続され得る。各回路の一方の側には、各回路を蠕動ポンプに接続するために、2つのコネクターが存在することができる。回路が培地で充填され、ポンプに接続されると、プレートの設計は、第1のウェルのインサートと接触し、第2のウェルに存在するスフェロイドを覆うのに十分な循環培地のレベルを確実にする。
2つの回路は互いに接合して(1つの回路の送出コネクターを第2の回路の受入コネクターに接続することによって)、最大4つの組織を相互接続することもできる。
培地が回路内を循環する方法を変更することも可能であり、回路は、培地が再循環する閉ループとするか、または培地に各ウェルを単回通過させる開ループとすることもできる。後者の場合、第1の管は、第1の先端上の培地で充填された貯蔵部に接続されてもよく、第2の側にある回路の受入コネクターに接続されてもよい。次に、このすぐ前の回路の送出コネクターは、ポンプを通過する管に接続され、収集器内に媒体を取り除く。
細胞培養プレートは、プレート内の組織とインキュベーター内に存在する空気との間の最適なガス交換を確実にするために開いていてもよい。ある特定の実施形態では、細胞プレートは、標準細胞培養プレートに等しい空気循環を可能にする蓋またはカバーを備える。
図面を参照すると、細胞培養プレートの特定の非限定的実施形態がより詳細に記載されている。図2は、4つの直線状に配置されたウェル17を含む6つの列で構成された24個のウェル17を含む細胞培養プレート20の一実施形態を図示している。列のうちの4つは、それぞれ、チャネル23を介して4つの直線状に配置されたウェル17のそれぞれの間の流体連通を可能にするように構成されている。流体移送チャネル23aおよびウェル伝送チャネル23bが示されている。チャネルは、細胞培養プレート20へ流体連通を可能にする入口開口部26と、細胞培養プレート20から流体連通してポンプ17に戻ることを可能にする出口開口部25とを備えることができる。ウェル17のうちの少なくとも2つは、それぞれ、少なくとも1つの開口部を含み、ウェル伝送チャネル23bがそれに接続できるようにする。チャネル23は、その一方の端部にループ24を形成するように構成され得る。ループ24は、細胞培養プレート20の内部に含まれ得るか、または外部に位置するループ39を図示する図3に例示するように、細胞培養プレート20の外部に含まれ得る。外部に位置付けられるとき、ループ24は、ループを細胞培養プレート20に接合するコネクターを介して細胞培養プレート20に接続されるであろう。図2に戻ると、チャネル23は、チャネル23のそれぞれの端部で開口部25、26を介して少なくとも1つのポンプ29に接続され、ウェル17間に流体をポンプで送る。開口部25、26の端部は、図3で見ることができるコネクター28を介してポンプ29に接続される。2つ以上のポンプ29が使用される場合、それらは細胞培養プレート20の対向する側面上で千鳥状構成で都合よく構成され得る。
図3は、細胞培養プレート20のさらなる実施形態を図示する。図3aは、ウェル17およびプレート内のインサート10の構成を示す、図3cに図示したウェル17を通る断面A−Aを図示する。図3bは、図3dに示された細胞培養プレート20に含まれるチャネル23を通る断面B−BおよびC−Cを図示する。図3cは、チャネル23に含まれる場合の流体の循環的流れの方向を図示する。流体は、ポンプからウェル伝送チャネル23bへ、およびループを経由して流体移送チャネル23aに伝送され、ポンプ(図示せず)に戻る。防水ハウジング34は、細胞培養プレート20を収容するために使用され得る。防水ハウジングは、蓋38を含み得る。図示した実施形態では、チャネル23のコネクター28およびループ39は、防水ハウジングの外側に収容されている。図3dは、流体移送チャネル23aの直線状構成を図示する。
図4は、図3に描写した細胞培養プレートの3次元表示である。図5は、図4に描写した構築された細胞培養プレートの写真である。
図6は、細胞培養プレート40のさらなる実施形態を図示する。図6(a)は、6つの直線状に配置されたウェル47を含む8つの列で構成された48個のウェルを含む細胞培養プレート40を図示する。列のそれぞれは、チャネル43を介して6つの直線状に配置されたウェル47のそれぞれ間の流体連通を可能にするように構成される。この図で見えるチャネルは、流体移送チャネルである。チャネルは、ウェル47への流体連通を可能にする入口開口部45と、ウェル47からの流体連通を可能にする出口開口部46とを備えることができる。図6(b)は、図6(a)に図示したプレートを通る断面である。図6(c)は、図6(a)に図示したプレートの平面図である。
図7は、各列に2つの直線状に配置されたウェル57を含む4つの列で構成された合計で8つのウェルを含む細胞培養プレート50をさらなる実施形態を図示する。各列は、モーター54を備える別個のポンプ59に接続されている。各ポンプは、異なるポンピングパラメータを有することができる。流体コネクター52が示されている。ポンプ(複数可)のモーターは、防水性であり得る密封ボックス56に入れることができる。密封ボックス56は、蓋を含むことができる。細胞培養プレートは、プレート支持体55上に配置することができる。各モーター54は、モーターコントローラによって制御でき、モーターコントローラの動作は、マイクロコントローラによって制御することができる。マイクロコントローラの動作は、ブルートゥース(登録商標)コントローラなどの無線コントローラによって制御でき、タブレットなどの無線装置との使用を促進することができる。細胞培養プレートおよびポンプ(複数可)は、インキュベーター51内に一緒に収容され得る。
ある特定の実施形態では、ウェルを通る流体の流量は、約1〜約100μL/分である。
ある特定の実施形態では、ウェルを通る流体の流量は、約1〜約500μL/分である。
ある特定の実施形態では、ウェルを通る流体の流量は、約10〜約400μL/分または約10〜250μL/分または約10〜100μL/分である。
ある特定の実施形態では、ウェルを通る流体の流量は、約40μL/分である。
2つ以上のポンプを使用する場合、異なるポンプのうちの1つ以上が、異なる流量を有することができる。2つ以上のポンプを使用する場合、異なるポンプのそれぞれが、異なる流量を有することができる。したがって、各回路の流量は同一であっても異なっていてもよい。
当業者によって理解されるように、流体が固体境界を越えて流れるとき、その境界に対する剪断応力が発生し、これが剪断応力に曝された細胞の撹乱をもたらし得る。本開示の状況下では、流体がウェルを通って移動すると、剪断応力が生成されるであろう。ウェルにおける剪断応力は、約0.1ダイン/cm2未満−例えば、約0.08ダイン/cm2以下または0.04ダイン/cm2以下−であることが望ましく、これが剪断応力に曝された細胞の撹乱を引き起こさないためである。剪断応力は、異なるウェルで異なり得る。例えば、不連続な表面を有するウェルは、約0.04ダイン/cm2の剪断応力を有することができる。例えば、平坦な不連続ではない表面を有するウェルは、約0.08ダイン/cm2の剪断応力を有することができる。好適には、不連続な表面を有するウェルにおける剪断応力は、平坦で不連続ではない表面を有するウェルよりも低い。
光学分析をスクリーニングのために使用することができるように、ウェルの底部は、70%または80%または90%以上の全光線透過率を有する材料から作製され得る。
複数のウェルの深さは、細胞培養プレート全体で同一である必要はなく、ウェルが異なる深さを有することができることが意図されている。少なくとも2つのウェルを接続するチャネルは、チャネルが少なくとも2つのウェルの基部から異なる距離に位置するように、同一の高さとすることができる。この構成により、流体の流れがスフェロイドを攪乱または妨害しないことを確実にし、一方で流体がさらにインサートの透過性膜を通過できることを確実にする。一実施形態では、スフェロイドを培養するためのウェル(複数可)は、最大深さを有する。一実施形態では、スフェロイドを培養するためのウェル(複数可)は、スフェロイド以外の細胞を培養するためのウェル(複数可)よりも大きい深さを有する。一実施形態では、スフェロイドを培養するためのウェル(複数可)は、インサートを含んでいるウェル(複数可)よりも大きい深さを有する。
必要に応じて、図23に描写するように、細胞培養プレートを貯蔵プレート261と共に使用することができる。貯蔵プレートは、1つ以上の流体貯蔵部269を備える。流体貯蔵部(複数可)269は、流体を入れるように構成され得る。この図は、2つの直線状に配置されたウェル17を含む4つの列で構成された8つのウェル17を含む細胞培養プレート20の一実施形態を図示するものであるが、その他のウェルの構成を容易に使用することができることが理解されよう。チャネル23は、細胞培養プレート上に、またはこれに隣接してループを形成するよりもむしろ、このチャネルは、貯蔵プレート261の1つ以上の流体貯蔵部269内を通過する。チャネルは、貯蔵プレート261上またはそれに隣接してループを形成する。流体は、1つ以上の流体貯蔵部269から細胞培養プレートに伝送されて、循環される。貯蔵板261は、流体の体積を増加させるために使用され得る。典型的には、この構成で使用される流体の体積は、約8mL〜約12mLであろう。
試料プレート
本開示で使用するための試料プレートは、24、48または96ウェル形式など、様々な形式で製造することができ、実験を遂行することが意図されている実験のサイズおよび選択に基づいて、当業者によって容易に選択され得る。
試料プレートは、少なくとも2つの連続的に配置されたウェルを含むように構成される。試料プレートは、少なくとも2つの直線状に配置されたウェルを含むように構成される。
典型的には、試料プレート内のウェルは、横列と縦列に配置されるであろう。例えば、8つのウェルプレートは、各列に2つの隣接するウェルがある4つの直線状の列で構成され得る。この構成では、各列に個別のポンプを使用することができる。各ポンプは、異なるポンピングパラメータを有することができる。
さらなる例として、24ウェルプレートは、各列に4つの隣接するウェルがある6つの直線状の列で構成され得る。
さらなる例として、48ウェルプレートは、各列に6つの隣接するウェルがある8つの直線状の列で構成され得る。この構成では、すべての列にわたって同一のポンピングパラメータが使用されるように、単一のポンプをすべての列にわたって使用することができる。別の構成では、3つのポンプが使用される。同じポンピングパラメータを、すべての列にわたって使用することができる。
さらなる例として、96ウェルプレートは、各列に8つの隣接するウェルがある12個の直線状の列で構成され得る。試料プレートは、試料プレート内に所望の数のウェルを提供するために、必要に応じて製造または特注されてもよい。
より多くの実験を遂行することができるように、より大きなプレートの使用が好ましいが、試料プレートが少なくとも2つの連続的に配置されたウェルを含む場合であれば、それを本開示に従って使用することができる。試料プレートのすべてのウェルを使用する必要はない。少なくとも2つの連続的に配置されたウェルが試料プレートで使用される場合であれば、これは、本開示に従って実験を遂行するために十分であろう。
試料プレートは、汚染のリスクを低減するのに役立つプレートの頂部に蓋を備えることができる。
試料プレートは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ステンレス鋼(例えば、316L/1.4435)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリプロピレン、ポリスルホン、またはPTFE、もしくはそれらのうちの2つ以上の組み合わせから作成することができ、任意にパリレンのコーティングを伴う。
ある特定の実施形態では、PEEKの使用は、本明細書に記載されるように、ニコチンおよびNNKに対して吸収性ではないという利点を有するために好ましい。
試料プレートは、必要に応じて、コンピュータ支援設計(CAD)によって設計され得るか、またはこれらは市販されている。CADプレートは、当技術分野で周知の方法を使用して、マイクロ機械加工によって製造することができる。
一実施形態では、試料プレートは、当該技術分野において広く利用可能なマイクロ流体細胞培養プレートである。例えば、M04Sマイクロ流体細胞培養プレートは、Cellasic,California,USAから入手可能であり、独立した4つのウェルを含有し、各ウェルが、直径約2.8mmで、高さが約120ミクロンである。
細胞培養プレートとは異なり、試料プレートは、ピペッタ−例えば自動ピペッタを介して試料プレートのウェルに流体を伝送することができるため、典型的には、試料プレート内のチャネルを欠いている。さらに、試料プレートのウェルの側壁および基部は、通常、チャネルとの流体連通が必要でないため、密封されるであろう。
細胞培養プレートおよび試料プレートは、同数のウェルの列を有することができ、または試料プレートは、以下に論じられるように、より多くの数のウェルの列を有することができる。
ポンプ
一実施形態では、本開示で使用するポンプ(複数可)は、蠕動ポンプなどの流体を循環するように動作可能な容積移送式ポンプである。当技術分野で理解されているように、蠕動ポンプは、流体を移動するために使用されるポンプである。流体は、本明細書に記載のチャネル内に含まれており−チャネルは、ポンプケーシング内に収まる可撓性の管とすることができる。代替的に、チャネルがプレート内に直接機械加工される(例えば、埋め込まれる)場合には、このときはアダプターを使用して、機械加工または埋め込まれたチャネルをポンプに接続することができる。その外周に取り付けられたロータは、可撓性の管またはチャネルを圧縮する。ローターが回転すると、圧縮下にある管またはチャネルの部分が挟まれて閉じられ、管またはチャネルを通して流体が強制的に押される。
第1の(循環)ポンプを使用して、細胞培養プレート内の流体の流れを制御することができる。第2の(試料)ポンプを使用して、流体を、細胞培養プレートから、試料プレートまで移動させることができる。
一実施形態では、第1のポンプの流量は、約10μl毎分〜約1000μl毎分である。
一実施形態では、第2のポンプの流量は、約10μl毎分〜約2000μl毎分である。第2のポンプの流量は、第1のポンプの流量よりも高くすることができる。これは、サンプリングの前に混合を補助することができる。第2のポンプの例示的なより高い流量は、毎550μl毎分〜2000μl毎分である。
一実施形態では、ポンプ(複数可)は、エンコーダを備えるステッパーモーターまたはブラシレスモーターを備える。
各モーターは、モーターコントローラによって制御でき、その動作およびセンサーは、マイクロコントローラによって制御できる。マイクロコントローラの動作は、ブルートゥース(登録商標)コントローラなどの無線コントローラによって制御でき、タブレットなどの無線装置との使用を促進することができる。さらなる実施形態では、第1のポンプは、細胞培養プレートの内部または外部のいずれかに位置する。好適には、外部に位置する第1のポンプは、細胞培養プレートの連続して配置されたウェルに隣接して位置付けられる。複数の第1のポンプが単一の細胞培養プレートと一緒に使用される場合、図5に例示するように、第1のポンプはすべて、細胞培養プレートの同じ側に位置してもよい。代替的に、空間の制約のために、図2に例示するように、第1のポンプは、細胞培養プレートの対向する側面上に、好適には千鳥状配置で位置付けられる必要があり得る。
第2のポンプは、典型的には、試料プレートの外部に位置するであろう。外部に位置する第2のポンプは、流体を細胞培養プレートから試料プレートまで伝送することができるように、細胞 培養プレートに隣接して位置付けられる。好適には、第2のポンプは、第1のポンプに対して細胞培養プレートの対向する側に位置する。
本開示で使用するための市販の第2のポンプの例は、WPM蠕動ポンプ(Welco Co,Ltd,Japan)またはBoxer蠕動性6kPシリーズポンプ(Boxer GmbH,Germany)である。
ある特定の実施形態では、3つ以上のポンプを使用することができる。少なくとも1つのポンプは、サンプリングのために使用することができ、少なくとも1つのポンプは、流体の再充填のために使用することができ、少なくとも1つのポンプは、プレートを通した循環流体のために使用することができる(例えば、図10を参照されたい)。
少なくとも1つのポンプは、密封ボックスなどのハウジング内に入れることができる。密封ボックスは、防水性であり得る。2つ以上のポンプを使用する場合、必要に応じて、ポンプを同一のハウジング内に、または個別のハウジング内に入れることができる。
少なくとも1つのポンプは、インキュベーター内に入れることができる。
少なくとも1つのポンプをハウジング内に入れる場合、ハウジング内のポンプを、インキュベーター内にさらに入れることができる。この実施形態は、図7で例示されており、ここでは、モーター56のそれぞれが、密封ボックス56内に入れられ、かつインキュベーター51内に収容されている。
細胞培養
細胞培養は、一般的には、人工環境中での増殖の前に、組織から細胞を取り出すことを指す。培養される細胞は、培養される細胞を含んでいる組織から直接取り出されることができ、任意に、培養前に酵素的手段または機械的手段を用いて処理されることができる。代替として、培養される細胞は、以前に確立された細胞系統または細胞株から誘導されることもできる。本明細書に記載される細胞培養プレートは、流体−例えば、細胞培養培地を、ウェルからサンプリングするためのシステムまたはデバイスを提供することができる。本明細書に記載される細胞培養プレートは、生理学;生化学;エアロゾルを含む作用物質の作用;作用物質のスクリーニングおよび開発または最適化;作用物質の有効性の研究;作用物質の吸収の研究;毒性スクリーニング;毒性学;標的探索;薬物動態;薬力学;ならびに再生医療が含まれる細胞の様々な態様の、任意にリアルタイムでの研究用のシステムまたはデバイスを提供することができる。
細胞培養プレートは、生物学的エンドポイントアッセイ−全体的な細胞の健全性を示す細胞ベースのアッセイなど(例えば、CellTiter−Glo(登録商標)3D細胞生存アッセイおよびApoTox−Glo(登録商標)Triplexアッセイ)で使用することができる。これは、細胞形態および表現型を研究するため(例えば、組織学的および免疫組織化学)に使用することができる。これは、代謝能力を試験するため(例えば、P450−Glo(登録商標)アッセイ)に使用することができる。これは、細胞機能を研究するため(例えば、ROS−Glo(登録商標)H202アッセイまたはGSH/GSSG−Glo(登録商標)アッセイ)に使用することができる。
細胞培養プレートを使用して、例えば、作用物質の毒性を研究するために、代謝された作用物質の毒性を研究するために、および1つ以上の細胞に対する作用物質の作用を研究するために、広くは毒物学を研究することができる。
インサートおよびウェル
本開示で使用するためのある特定の細胞は、細胞培養プレートのウェル内に収容されるインサートで培養することができる。ある特定の細胞は、インサート内に入れられた透過性膜上で増殖させることができる。一般に、細胞は透過性膜の頂部で培養されるであろう。インサートは、細胞培養プレートのウェル内に置かれる。細胞培養プレートのウェルが、細胞培養培地などの流体で充填されるとき、流体は透過性膜を通過し、それらがインサート内で培養され得るように細胞に接触するであろう。流体は、インサートの底部のみに接触してもよい。本明細書に記載されるように、インサート内で異なる細胞型を培養することができる。インサートを使用して培養される細胞型の一例は、肺細胞である。
本開示で使用するための他の細胞型は、インサートを使用することなく培養することができ、代わりに表面コーティングを含む細胞培養プレートのウェル内で培養することができる。例えば、スフェロイドは、親水性で、生物学的不に活性で、かつ非分解性であり、ウェル底部の内表面に共有結合されている付着表面コーティングを有するCorning(登録商標)スフェロイドマイクロプレートを使用して増殖させることができる。ウェル底部の設計は、3D細胞スフェロイド培養物の高度に再現可能な増殖を可能にする。インサートを使用せずに培養される細胞型の一例は、肝臓細胞である。
ある特定の実施形態では、少なくとも2つのウェルの深さは異なる。例えば、肺細胞および肝臓細胞が使用される場合、肝臓細胞を含むウェルは、流体が肺スフェロイドを覆う必要があるため深くなるであろうが、一方で、肺細胞を含んでいるウェルでは、流体のみがインサートの底部部分に達する必要がある。
ある特定の実施形態では、少なくとも2つのウェルにおける流体レベルは、異なる深さである。
図1は、インサート10が、インサート10の基部に浸透膜12を備える実施形態を図示する。組織/細胞14は、その基部でインサート10内に入れることができる。インサートは、汚染のリスクを低減するために、インサート10の頂部に任意の蓋19を備えることができる。インサート10は、ウェル17内に入れることができる。ウェル17は流体を含むことができる。複数のウェル17を、本明細書に記載の、マイクロ流体チャネルなどのチャネルと共に接続することができる。
インサートは、好都合には市販されており、これが、細胞培養プレートの設計および構築を簡略化するのに役立つ。一例として、ThinCert(商標)透過性細胞培養インサート(USA Scientific,Florida,USA)を使用することができる。これらは様々なサイズおよび仕上げで利用可能であり、本開示で使用するために、当業者によって容易に選択することができる。各インサートは、インサートをわずかに中心から離れるように配置することによって、毛細管作用を排除し、かつウェルへのピペッタアクセスを最大化する自己位置決めハンガーを有することができる。ThinCert(商標)細胞培養インサートは、標準的なマルチウェルプレートと互換性がある。さらなる例として、Corning(登録商標)HTS Transwell(登録商標)透過性支持体(Sigma Aldrich,Dorset,United Kingdom)を使用することができる。Corning(登録商標)HTS Transwell(登録商標)透過性支持体は、硬質トレイによって接続された浸透性インサートを備えた24または96ウェルのアレイを有している。
不連続な表面
スフェロイドが3次元細胞培養中に同じ場所で一緒に凝集し、単一の大きな組織を形成する傾向を有することが本発明者らにより観察されている。理論に束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、スフェロイドの中央部にある細胞が、スフェロイドの外側に向かって位置する細胞と比べて、栄養素へのアクセスが少なく、これにより、スフェロイドの中央部に向かう細胞が、死滅する傾向を有することを観察した。これは、スフェロイドが凝集したとき(これが細胞培養の5時間後に発生し得る)に問題となるが、スフェロイド中の細胞数が多いほど、栄養素へのアクセスがより少なくなるためである。これはまた、スフェロイド内の死細胞の数をさらに増加させる。これは、(1)死細胞から放出される分子が、スフェロイド中の他の細胞に悪影響を及ぼし得ること、(2)死細胞が代謝的に活性でないため、スフェロイドの代謝活性が低減されるであろうこと、および(3)多くのアッセイが単一スフェロイドの使用を必要とすること、を含む多くの理由で問題となり得る。本発明者らは、3次元細胞培養で凝集するスフェロイドの問題を解決するよう努めた。驚くべきことに、本発明者らは、マルチウェルプレートのウェルなどのウェルの基部上に不連続な表面を形成し、これにより、不連続な表面上のスフェロイドが、不連続な表面内に捕捉されるようになることによって、この問題が手際よく解決され得ることを発見した。これが、スフェロイドの凝集の程度を効果的に低減するか、またはスフェロイドの凝集を防止する。有利なことに、本発明者らは、スフェロイドが、個別化された単一スフェロイドとして維持され得ることを発見した。
ある特定の実施形態では、1つ以上のウェルの基部−例えば、マルチウェルプレートの1つ以上のウェルの基部−は、スフェロイドの凝集を低減または防止するように適合された不連続な表面を備えることができる。すべてのウェルがスフェロイドの培養に使用されるわけではないため、すべてのウェルが不連続な表面を含む必要はないことが理解されるべきである。例えば、一部のウェルは、その他の細胞型の培養に使用されてもよく、これは不連続な表面の使用を必要としない。例えば、一部のウェルは、気液界面を作り出すためにインサートの使用を必要とする、他の細胞型の培養に使用され得る。
好適には、不連続な表面は、スフェロイドを捕捉して、その凝集を低減または防止する。好適には、不連続な表面は、単一スフェロイドを捕捉して、その凝集を低減または防止する。
ある特定の実施形態で、不連続的な表面は、1つ以上の溝によって形成される。溝は、スフェロイドを捕捉して、その凝集を低減または防止するように機能し得る。溝(複数可)のサイズは、一般的に、スフェロイドが溝(複数可)内に捕捉されるか、または保持され得るように、スフェロイドの最大直径±10%に相応するであろう。好適には、ウェルの基部上の平坦な表面の存在が、望ましくない大きな細胞凝集体の形成をもたらし得る、凝集するスフェロイドをもたらし得るため、溝(複数可)は、ウェルの基部の大部分を覆うであろう。ある特定の実施形態では、ウェルの基部の少なくとも70%、80%、90%、95%、99%、または100%が、溝(複数可)などの不連続な表面を含むであろう。
好適には、ウェルの基部の、複数の溝などの不連続な表面の深さおよび幅は、約200μm〜約1000μm、好適には、約600μm〜約1000μmである。実際の深さおよび幅は、ウェル内で使用され、かつ捕捉されるように意図されたスフェロイドのサイズによって決定されるであろう。そのため、例えば、一部のスフェロイドは、約600μmの最大直径を有し、その場合、複数の溝などの不連続な表面の深さおよび幅は、約600μm±10%であろう。いくつかの実施形態では、複数の溝などの不連続的な表面の深さおよび幅が、スフェロイドの最大直径よりも大きいこと、例えば、スフェロイドの最大直径よりも20%、30%、40%、50%または60%以上大きいことが望ましい。一実施形態では、スフェロイドは600μmの最大直径を有し、複数の溝などの不連続な表面は、約1mmの高さと、約1mmの幅または約2mmの幅とを有する。
一般に、溝の形状は、平坦形状の底部、U字形状、V字形状、または平坦な底部を有するV字形状などとすることができる。一実施形態で、溝は平坦な底部を有するV字形状を有する。一実施形態で、溝の開口部の最大幅は約2.4mmであり、溝の深さは約1mmであり、溝の基部上の平坦な底部の幅は約400μmである。この実施形態による溝の対向する側面の角度は、約90度である。
図11を参照すると、それぞれが平坦な底部を有するV字形状の溝を含むその基部上に複数の溝116を有するウェル112を備えた細胞培養プレート110が示されている。溝の開口部の最大幅は約2.4mmであり、溝の深さは約1mmであり、溝の基部上の平坦な底部の幅は約400μmである。溝の対向する側面の角度は、約90度である。複数の溝は、同じ形状を有するものとして図示されているが、異なる形状を有する溝を使用することができることが企図される。例えば、ウェルの基部は、溝のうちの1つ以上の形状が異なる複数の溝を備えてもよい。したがって、ウェルの基部は、平坦形状の底部、U字形状、V字形状、または平坦な底部を有するV字形状などのうちの2つ以上を含む複数の溝を備えてもよい。
ある特定の実施形態では、溝は、ウェルの基部上に複数の同心のリングを形成する。一実施形態では、同心のリングの半径は、約1.05mm、約3.45および約5.85mmである。図12を参照すると、細胞培養プレート112の基部が溝116によって形成された複数の同心のリング117を有し、同心リングの半径が、1.05mm、約3.45および約5.85mmであることが示されている。
ここで図14を参照すると、マルチウェルプレートの形態の細胞培養プレート110の平面図が示されている。細胞培養プレート110は、複数のウェル112を含み、ウェルは複数の同心の溝117のいずれかを含むか、またはマイクロ流体チャネル118を含む。ウェルは、列に直線状に配置される。列は、同心の溝117を含む少なくとも1つのウェルを含むように構成され得る。列は、図4に示すように、同心の溝117を含む少なくとも1つのウェルと、マイクロ流体チャネル118を含む少なくとも1つのウェルを含むように構成され得る。
チャネル119は、複数の同心の溝117を含むウェルと、マイクロ流体チャネル118を含むウェルとを接続する。各ウェルは、各ウェルへの、および各ウェルからの流体連通のための入口および出口を含む。図14は、同心の溝117のいずれかを含むか、またはマイクロ流体チャネル118を含む細胞培養プレート110の細胞ウェル112すべてを示すが、当業者であれば、すべてのウェル112が、必ずしもこの方法で構成される必要がないこと、およびウェル12のうちの1つ以上が同心の溝117を含まないこと、および/またはマイクロ流体チャネル118を含まないことが可能であることを理解するであろう。ウェル112のいくつかは空であり、必要に応じて使用されなくてもよい。
ある特定の実施形態では、不連続な表面は、ウェルの基部にわたって波状として形成される1つ以上の溝によって形成される。
ある特定の実施形態で、不連続な表面は複数の孔を含む。孔は通常、閉鎖された底部および開いた頂部を有するであろう。孔は、個々のスフェロイドを捕捉して、その凝集を低減または防止するように機能する。孔のサイズは、一般的に、スフェロイドが孔内に捕捉されるか、または保持され得るように、スフェロイドの最大直径±10%に相応するであろう。不連続な表面は、ウェルの底部わたって分布された10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200個以上の孔を含み得る。不連続な表面は、ウェルの底部にわたって分布された130〜160個の孔を含み得る。不連続な表面は、ウェルの底部にわたって分布された130〜150個の孔を含み得る。不連続な表面は、ウェルの底部にわたって分布された130〜140個の孔を含み得る。一般に、孔の形状は、平坦形状の底部、U字形状、V字形状、または平坦な底部を有するV字形状などを含むことができる。孔の形状は、個々のスフェロイドを捕捉するために、孔がスフェロイドの最大直径±10%を収容できるという条件に、特に限定されない。ある特定の実施形態では、孔の深さおよび幅は、約200〜約1000μm、好適には約600〜約1000μmである。ある特定の実施形態では、ウェルの基部の少なくとも70%、80%または90%以上が、孔で埋められている。
図16を参照すると、その基部上に複数の孔126を有するウェル122を備えた細胞培養プレート120が示されている。孔は、閉鎖された底部および開いた頂部を有する。各孔の最大幅は約0.8mmであり、溝の深さは約0.5mmである。孔の対向する側面の角度は、約118度である。複数の孔は、同じ形状を有するものとして図示されているが、異なる形状を有する孔を使用することができることが企図される。例えば、ウェルの基部は孔のうちの1つ以上の形状が異なる複数の孔を備えてもよい。したがって、ウェルの基部は、平坦形状の底部、U字形状、V字形状、または平坦な底部を有するV字形状などのうちの2つ以上を含む複数の孔を備えてもよい。
図17は、図16に示した細胞培養プレートの120の平面図を図示する。細胞培養プレート120の半径は、約8mmである。複数の孔126を含むウェル122の基部の半径は、約5.8mmである。各孔26の半径は、約0.4mmである。
ここで図18を参照すると、マルチウェルプレートの形態の細胞培養プレート121の平面図が示されている。細胞培養プレート121は、複数のウェル122を含み、ウェルは複数の孔127のいずれかを含むか、またはマイクロ流体チャネル128を含む。ウェル122は、列に直線状に配置される。列は、複数の孔127を含む少なくとも1つのウェルを含むように構成され得る。列は、図14に示すように、複数の孔127を含む少なくとも1つのウェルと、マイクロ流体チャネル128を含む少なくとも1つのウェルを含むように構成され得る。チャネル129は、複数の孔127を含むウェルと、マイクロ流体チャネル128を含むウェルとを接続する。各ウェルは、各ウェルへの、および各ウェルからの流体連通のための入口および出口を含む。
図18は、孔127のいずれかを含むか、またはマイクロ流体チャネル128を含む細胞培養プレート121の細胞ウェル122すべてを示すが、当業者であれば、すべてのウェル122が、必ずしもこの方法で構成される必要がないこと、およびウェル122のうちの1つ以上が孔127を含まないこと、および/またはマイクロ流体チャネル128を含まないことが可能であることを理解するであろう。ウェル122のいくつかは空であり、必要に応じて使用されなくてもよい。
複数のウェルの深さは、本開示に従って使用されるとき、細胞培養プレートにわたって同一である必要はなく、ウェルが異なる深さを有することができることが意図されている。一実施形態では、不連続な表面または孔を備えるウェルは、インサートを備えるウェルよりも大きい深さを有する。少なくとも2つのウェルを接続するチャネルは、チャネルが少なくとも2つの細胞ウェルの基部から異なる距離に位置するように、同一の高さとすることができる。この構成により、流体の流れが不連続な表面上に捕捉されたスフェロイドを攪乱または妨害しないことを確実にし、一方で流体がさらにインサートの透過性膜を通過できることを確実にする。
この構成は図15で描写されており、その基部上に複数の溝116を有する第1のウェル112aと、その中にマイクロ流体チャネル118を有する第2のウェル112bとを備える細胞培養プレート110が示されている。第1のウェル112aは、第2のウェル112bよりも大きい深さを有する。第1のウェル112aは、約20mmの深さを有し、第2の細胞ウェル112bは、約18.3mmの深さを有する。チャネル119は、ウェル112aおよび112bのそれぞれと流体連通している。チャネル119は、第2のウェル112bと比較して、第1のウェル112aの基部からさらに遠くに位置している。
この構成はまた、図19で描写されており、その基部上に複数の孔126を有する第1のウェル122aと、その中にマイクロ流体チャネル128を有する第2のウェル122bとを備える細胞培養プレート120が示されている。第1のウェル122aは、第2のウェル122bよりも大きい深さを有する。第1のウェル122aは、約20mmの深さを有し、第2の細胞ウェル112bは、約18.3mmの深さを有する。チャネル129は、ウェル122aおよび122bのそれぞれと流体連通している。チャネル129は、第2のウェル122bと比較して、第1のウェル122aの基部からさらに遠くに位置している。
細胞源
本開示は、様々な細胞源を利用する。一実施形態では、本開示は、対象から細胞試料を単離するか、または取得する工程を含まない。細胞は、冷凍保存することができる。細胞は、3次元培養物にあることができる。細胞は、スフェロイドの形態とすることができる。細胞は、活発に分裂していてもよい。細胞は、細胞培養培地(例えば、栄養素(例えば、タンパク質、ペプチド、アミノ酸)、エネルギー(例えば、炭水化物)、必須金属および鉱物(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、リン酸塩、硫酸塩)、緩衝剤(例えば、リン酸塩、酢酸塩)、pH変化の指示薬(例えば、フェノールレッド、ブロモ−クレゾールパープル)、選択剤(例えば、化学薬品、抗菌剤)などを含む)で培養され得る。単一細胞培養培地を使用して、同じまたは異なる型の細胞を増殖させることができる。異なる細胞培養培地を使用して、異なる型の細胞を増殖させることができる。細胞培養培地は本開示に従って循環されるため、その後、異なる細胞培養培地の混合が発生する。
いくつかの実施形態では、1つ以上の作用物質が、1つまたは複数の細胞培養培地内に含まれる。細胞は、当該技術分野において周知の方法を使用して、組織または液体から単離することができる。細胞は、幹細胞−例えば、胚性幹細胞または誘導多能性幹細胞から分化され得るか、または体細胞から直接分化され得る。細胞は、天然細胞または変異細胞(例えば、1つ以上の非天然遺伝子変異を含む細胞)であってもよい。細胞は、疾患細胞または疾患モデル細胞であってもよい。例えば、細胞は、癌細胞、または超増殖状態に誘導され得る細胞(例えば、形質転換細胞)とすることができる。
細胞は、ヒトもしくは動物対象、またはヒトもしくは動物細胞であってもよく、またはそれらに由来してもよく、多くの哺乳動物種のいずれか、適切にはヒトが含まれるが、ラット、マウス、ブタ、ウサギ、および非ヒト霊長類なども含まれる。細胞および細胞株は、商業的供給源から取得することもできる。細胞は、副腎、膀胱、血管、骨、骨髄、脳、軟骨、子宮頸部、角膜、子宮内膜、食道、胃腸、免疫系(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、白血球、マクロファージ、および樹状細胞)、肝臓、肺、リンパ系、筋肉(例えば、心筋)、神経、卵巣、膵臓(例えば、島細胞)、下垂体、前立腺、腎臓、唾液、皮膚、腱、精巣、および甲状腺が挙げられるが、これらに限定されない任意の所望の組織もしくは器官タイプからであるか、またはそれらに由来してもよい。
肺細胞−肺上皮細胞を含む−は、特に関心のある1つの細胞型である。気管支および/または気道の上皮細胞は、本開示で特に有用である。ヒト気管支上皮細胞は、気管支鏡検査手順の間にドナーの肺をブラッシングすることにより採取することができる。一実施形態では、肺細胞は、正常ヒト気管支上皮(NHBE)細胞である。肺上皮細胞は、未分化細胞の単層として培養されか、または気液界面で器官型肺上皮様組織へとさらに分化させることができる。肺上皮細胞は、喫煙者または非喫煙者と分類される対象を含む、異なる病態のヒト対象または動物対象から取得することができる。
肝臓細胞は、特に関心のある別の細胞型である。.一実施形態では、使用される細胞は肝細胞である。肝細胞は肝臓の細胞であり、肝臓の細胞質塊の70〜85%を構成する。肝細胞の機能性は、極性表現型を形成するそれら能力に大きく依存しており、極性表現型は3次元培養でのみ確立される。肝臓細胞の1つの供給源は、初代肝細胞であり、肝臓の生理および病理の多くの態様を研究するために広く使用されているインビトロモデルである。ヒト肝細胞を単離するために使用される技術は、提供された肝臓の二段階コラゲナーゼ潅流に基づくことができる、しかしながら、これらの細胞は、代謝酵素を5日を超えて発現しない。別の制約は、その短い生存期間である。これらの欠点は、代替的な長期生存型肝臓細胞株−例えば、ヒトまたは動物の肝前駆細胞株などを使用することで克服することができる。ヒト肝前駆細胞株のこのような一例は、HepaRG細胞株(ThermoFisher Scientific)である。HepaRG細胞は、初代ヒト肝細胞の多くの特徴を保有している。これらは、初代肝細胞と比較して、より大きな肝特異性および代謝遺伝子発現、ならびにより長い生存期間を有する。3次元スフェロイド中でのHepaRG細胞の再組織化は、生存期間および代謝能力の両方をさらに上昇させることから、スフェロイドが、毒性試験のための、より優れた代替インビトロ肝臓モデルを提供し得ることを示唆している。肝スフェロイドは、初代肝細胞と肝星細胞との混合物、または初代肝細胞と脂肪組織由来幹細胞との混合物を用いて生成することもできる。
一実施形態では、肺細胞は、肺上皮細胞−例えば、気管支および/または気道の上皮細胞である。
一実施形態では、肝臓細胞は、HepaRG細胞であり、好適には、スフェロイドHepaRG細胞である。
細胞の組み合わせ
本明細書に記載の細胞のいずれかの組み合わせの使用が企図される。本明細書に記載の細胞のいずれかの組み合わせの、細胞培養プレート内または細胞培養プレートを含むシステムまたは装置内での使用が企図される。細胞の1つの例示的組み合わせは、肝臓細胞および肺細胞の組み合わせである。肺上皮細胞−例えば、気管支および/または気道の上皮細胞と、肝臓細胞−例えば、HepaRG細胞、好適にはスフェロイドHepaRG細胞との組み合わせが企図される。必要に応じて、この組み合わせと共に追加の細胞を使用することができる。
組み合わせの異なる細胞は、一般的に別々のウェルで培養される。
少なくとも2つのウェルまたは少なくとも2つのインサートを備える細胞培養プレートでは、ウェルまたはインサートの各々は、同一または異なる細胞型を含むことができる。好適には、少なくとも2つのウェルまたはインサートのそれぞれは、異なる細胞型を含む。異なる細胞型は、異なる細胞株であってもよい。異なる細胞型は、異なる細胞または組織であってもよい。1つの例示的な実施形態では、細胞培養プレート内の異なる細胞型は、肺細胞および肝臓細胞である。
本開示の1つの利点は、第1の細胞型の第2の細胞型に対する影響を、流体が本明細書に記載の細胞培養プレートを通して循環される際に、流体が第1の細胞型から第2の細胞型に達すると、任意にリアルタイムで研究することができることである。
本開示の別の利点は、第2の細胞型の第1の細胞型に対する影響を、流体が本明細書に記載の細胞培養プレートを通して循環される際に、流体が第2の細胞型から第1の細胞型に達すると、任意にリアルタイムで研究することができることである。
本開示の別の利点は、第1の細胞型からの代謝された作用物質の第2の細胞型に対する影響を、任意にリアルタイムで研究され得ることである。
本開示の別の利点は、第2の細胞型からの代謝された作用物質の第1の細胞型に対する影響を、任意にリアルタイムで研究され得ることである。
本開示の別の利点は、第1の細胞型からの代謝された作用物質および第2の細胞型からの代謝された作用物質の第3の細胞型に対する影響を、任意にリアルタイムで研究され得ることなどである。
本開示の別の利点は、細胞型の組み合わせからの代謝された作用物質の影響を、任意にリアルタイムで研究され得ることなどである。
本開示の別の利点は、2つ以上の細胞型の作用物質への曝露の影響を、任意にリアルタイムで研究され得ることなどである。
3次元細胞培養
本開示は、「3次元細胞培養」の使用を組み込んでおり、これは、マトリックスまたはスキャフォールド−例えば、インサート内の透過性膜の使用を伴うか、または伴わずに、3次元での細胞の培養物を提供する任意の方法を含む。スフェロイド培養および器官型培養を含む、多くの様々な3次元細胞培養方法が開発されている。3次元細胞は、本明細書に記載の細胞培養プレートで増殖および/または維持することができる。
「スフェロイド」という用語は、スフェロイド内での3次元細胞の増殖を支援するためのマトリックスもしくはスキャフォールドの使用を伴うか、または伴わないかのいずれかで、3次元の細胞の球へ、または3次元の複数の細胞の凝集のいずれかへ分裂する単一細胞である、当分野で通常理解される意味とみなされる。3次元スフェロイドは、付着性スフェロイドまたは懸濁液中で増殖したスフェロイドであってもよい。
いくつかの実施形態では、スフェロイドは単一の細胞型を含んでいる。いくつかの実施形態では、スフェロイドは2つ以上の細胞型を含んでいる。いくつかの実施形態では、2つ以上のスフェロイドが増殖される場合、各スフェロイドは同じ型であり、一方、他の実施形態では、2つ以上の異なるタイプのスフェロイドが増殖される。
3次元スフェロイドは、その細胞内情報伝送および細胞外マトッリクスの発生という点で、インビボ組織に非常によく似ている。これらマトッリクスは、生きた組織中で細胞が移動する方法と同様に、スフェロイド内での細胞の移動を補助する。したがって、スフェロイドは、分化、生存、細胞移動、細胞極性化、遺伝子発現、および増殖に関する大きく改善されたモデルである。
スフェロイドは、プレートリーダーを用いて計測される比色分析、蛍光、および発光アッセイが含まれる、当該技術分野において周知の様々な方法を使用して採取および研究でき、または顕微鏡で容易に観察できる。追加の技法としては、ウェスタンブロット、ノーザンブロット、またはサザンブロット、組織学的技法(例えば、免疫組織化学法、インサイチューハイブリダイゼーション、免疫蛍光法)、およびこれに類するものが挙げられる。光学撮像法−例えば、倒立明視野顕微鏡、蛍光顕微鏡、単光子放出コンピュータ断層撮影法(SPECT)、陽電子放出断層撮影法(PET)、磁気共鳴画像法(MRI)、およびチェレンコフ光発光イメージング(CLI)の使用も企図される。
3次元スフェロイドの使用の応用としては、インビボで存在するものにより近い環境中でのインビトロで細胞および組織を増幅させる研究、化合物または作用物質のスクリーニング、毒性アッセイ、細胞療法、細胞送達、薬物送達、生化学的置き換え、生体活性分子の産生、ティッシューエンジニアリング、バイオマテリアル、および臨床試験などが挙げられる。
3次元細胞培養でのスフェロイドの使用は、Expert Opin.Drug Discov.(2015)10,519−540に概ね概説されている。
3次元器官培養システムを、本開示で使用することができ、これらは、器官がどのように機能するかの研究を可能にする。特定の刺激に対する応答、1つの作用物質に対する応答、およびこのような作用物質の薬物動態学的挙動に対する応答を研究することができる。小型化された3次元細胞培養システムにより、細胞または器官の群の組み合わせ研究が可能になる。これにより、異なる組織間の相互作用の複雑性が再現することが可能になる。3次元器官培養は、器官型とすることができ、これは、器官または器官系の主要機能の再現を試みることを意味している。ウェルを相互接続する小型化された流体システムも企図される。
細胞培養プレートは、少なくとも1つの組織型の少なくとも1つの生理学的機能を有することができ、またはより好適には、少なくとも2つの異なる組織型の少なくとも1つの生理学的機能を有する。
肝臓ベースの3次元培養
肝臓は、解毒、炭水化物、脂質およびタンパク質の代謝、ならびに内因性物質および外因性物質の生体内変化において重要な役割を果たしている。肝臓の機能は、高度に専門化した細胞の組立と密接に連携しており、それら細胞の大部分は、いわゆる小葉を構成する複雑な3次元構造中に埋め込まれた肝細胞である。通常、化合物の生体内変化は、非毒性かつより可溶性の代謝物をもたらすが、稀に、肝毒性が生じるより毒性の高い代謝物が形成される場合がある。
肝細胞は、様々な方法を介して3次元へと変化することができ、その方法としては、サンドイッチ培養、固体スキャフォールド材料−例えば、ポリスチレンスキャフォールド、ヒドロゲル−例えば、I型コラーゲン、またはスフェロイドへの肝細胞の自己集合の使用が挙げられる。
単離されたばかりの初代ヒト肝細胞のみを使用することは、好ましい肺細胞型である一方で、その入手可能性は限定的である。ヒト肝臓細胞株の他の選択としては、HepG2およびHep2/C3Aが挙げられる。特に好適な細胞源は、HepaRG細胞株である。ヒト肝細胞の他の供給源は、ヒト胚性幹細胞(hESC)由来肝細胞、および誘導多能性幹細胞(iPSC)に由来する肝細胞である。
一の実施形態において、3次元肝スフェロイドを形成するためには、スフェロイドは、肝臓細胞であるか、または肝臓細胞に由来する。かかる肝スフェロイドは、当該技術分野において既知である様々な方法で、例えば、ALTEX(2014)31,441−477およびToxicol.Sci.Off.J.Soc.Toxicol.(2013)133,67−78に記載される方法を使用して調製することができる。
肺ベースの3次元培養
気道の形態は、上部気道から下部気道へと変化するため、多くの異なる細胞培養モデルが初代細胞または細胞株を使用して確立されており、本開示における使用が企図される。どの細胞または細胞株を使用するかの正確な選択は、所与の研究に対する気道の対象領域に依存するであろう。
肺表面は空気に曝されるため、この細胞モデルは気液界面で培養され、より現実的な肺を模倣することができる。
一実施形態では、3次元肺スフェロイドを形成するためには、スフェロイドは、肺細胞であるか、または肺細胞に由来する。かかる肺スフェロイドは、当該技術分野において既知である様々な方法で、例えば、ALTEX(2014)31,441−477およびToxicol.Sci.Off.J.Soc.Toxicol.(2013)133,67−78に記載される方法を使用して調製することができる。
細胞液曝露サンプリングデバイス
細胞培養プレートは、より大型の装置−例えば、サンプリングデバイス、好適には、細胞液曝露サンプリングデバイスの構成要素とすることができる。少なくとも2つのウェルからの細胞と接触する流体は、デバイスまたはシステムを通して循環させることができ、必要に応じてサンプリングされ、任意に測定および/または分析することができる。細胞培養プレートから試料プレートまで流体の試料を送達するために、第2の(サンプリング)ポンプを使用して、流体を細胞培養プレートから試料レートまで伝送することができる。第2のポンプは上記で説明されている。一般に、デバイス、3つ以上のポンプを含むことができる。少なくとも1つのポンプは、サンプリングのために使用することができ、少なくとも1つのポンプは、流体の再充填のために使用することができ、少なくとも1つのポンプは、プレートを通した循環流体のために使用することができる(例えば、図10を参照されたい)。有利なことに、サンプリングデバイスは、手動の相互作用を最小限にし、スループットを向上させ、かつ汚染のリスクを低減させる自動サンプリングデバイスである。ある特定の実施形態では、サンプリングデバイスは、高スループットサンプリングデバイスである。ある特定の実施形態では、サンプリングデバイスは、リアルタイムのサンプリング用に構成される。あるある特定の実施形態では、サンプリングデバイスは、リアルタイムでの高スループットサンプリング用に構成される。
いくつかの実施形態では、サンプリングデバイスは、複数の(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以上の)細胞培養プレートと、複数の例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以上の)試料プレートとを備える。
いくつかの実施形態では、サンプリングデバイスは、最適な培養条件(例えば、温度、雰囲気および湿度)において細胞培養プレートを維持するために、細胞培養プレートを収容するためのインキュベーターを備える。
いくつかの実施形態では、サンプリングデバイスは、インキュベーターの内部に収容されている。
いくつかの実施形態では、サンプリングデバイスは、細胞培養プレート(複数可)に流体を供給または再供給するための1つ以上のポンプまたはその他の構成要素を含む。
いくつかの実施形態では、培養デバイスの取り扱い、使用、および/または分析を自動化するための、1つ以上のロボット構成要素(例えば、ピペット、アーム、プレートムーバー、および同種のもの)を備える。
いくつかの実施形態では、サンプリングデバイスは、サンプリングデバイスに(新鮮な、または未使用の)流体を供給または補充するために、1つ以上の貯蔵部を備える。
いくつかの実施形態では、サンプリングデバイスは、サンプリングデバイスに洗浄液を供給するために、1つ以上の洗浄用貯蔵部を備える。
システムは、完全にまたは部分的に自動化され得る。
サンプリングデバイスは、本明細書に記載の細胞培養プレートを備える。細胞培養プレートと試料プレートとの間の流体連通を可能にするために、第2のポンプを使用して、流体を細胞培養プレートから試料レートに向かって伝送することができる。第2のポンプは、さらに第2のポンプまで延びるチャネルを適応させることによって、細胞培養プレートと連通することができる。代替的に、第2のチャネルは、参照番号64によって図8に示す通り、細胞培養プレートの(第1の)チャネルに接続されるか、または連結され得る。第2のチャネルは、流体を細胞培養プレート内のウェルから離れる方向に試料プレートに向かって伝送させるように動作可能な第2のポンプに接続されるか、または連結され得る。
サンプリングデバイスはさらに、デバイス内に流体を貯蔵するための貯蔵部を含むことができ、該貯蔵部はウェルと流体連通している。
ある特定の実施形態では、これはさらに、貯留部から流体を伝送して細胞培養プレートおよび/または試料収集プレートのウェルを再充填するように適合された少なくとも1つのさらなるポンプを備えることができる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのさらなるポンプは、試料収集プレートのウェル内で収集されるとき、細胞培養プレートのウェルを同じ容量の流体で再充填するように適合されている。ある特定の実施形態では、これはさらに、流体を試料収集プレートのウェルに移動させるように適合されたピペッタを備える。細胞培養プレート内で連続的に配置されたウェルに対する1つ以上の異なる時点での1つ以上の試料を、分析用にサンプリングすることができる。
ある特定の実施形態では、サンプリングデバイスは、デバイスの動作を自動的に制御するように動作可能なコンピュータコントローラをさらに備えることができる。ある特定の実施形態では、これは、デバイス内の流体レベルを検出する手段を備えることができる。
細胞培養プレートおよび試料プレートを組み込むことができるサンプリングデバイスの具体的な非限定的な例が、ここにより詳細に記載される。図8は、本開示の細胞培養プレート構成および試料プレートを組み込む、細胞液曝露サンプリングデバイス60を図示する。細胞液暴露サンプリングデバイス60は、その中で循環するために流体をサンプリングデバイスに提供するために使用される流体を入れている第1の貯蔵部61を備える。第2の貯蔵部75は、蠕動ポンプなどのポンプ66aに、コネクター65を介して接合され得る。コネクター65とポンプ66aとの間にある、電気弁などの入口弁68aを使用して、どの貯蔵部を使用するかを選択することができる。ポンプ66aと細胞培養プレート62との間に、出口弁68bを含めることによって、ポンプ66aから細胞培養プレート62までの流体の流れを制御することができる。この構成により、細胞培養プレート62に送達される流体の流れおよび量が正確に制御されるようになる。本明細書に記載されるように、液体は細胞培養プレート62を通って循環される。流体の試料を細胞培養プレート62から試料プレート63まで送達させるために、第2のチャネル64を、細胞培養プレート内の第1のチャネル23に接続するか、または連結することができる。第2のポンプ66bを使用して、流体を、細胞培養プレート62から試料プレート63まで送り込むことができる。流体は、複数のヘッドピペッタなどのピペッタ67を使用して試料プレート63に運ばれ得る。必要に応じて、ピペッタ67を使用して、さらなる分析のためにサンプリングデバイスから流体を伝送することができる。ピペッタ67は、その動作を制御するために、任意に1つ以上のセンサー72と、任意に1つ以上の電気モーター74とを含む自動ピペッタとすることができる。ピペッタ67は、流体が試料プレート63内の連続的に配置されたウェルに運ばれ得るように、水平動作を有することができる。流体コネクター77が示されている。廃棄物処理部78も示されている。ある特定の実施形態では、流量は全チャネルに対して同一であり得る。使用される異なるポンプは、それぞれ独自のポンピングパラメータを有することができる。図10は、細胞培養プレートおよび試料プレートを組み込むことができるサンプリングデバイスのさらなる非限定的な例を図示し、ここではより詳細に記載されている。この例では、3つのポンプが示されている。ポンプ1は、貯蔵部を再充填するために使用される。ポンプ2は、流体をプレートを通して循環させるために使用される。ポンプ3は、サンプリングに使用される。
細胞培養プレート62および試料プレート63は、同数のウェルの列を有することができるか、または試料プレート63は、より少ない数のもしくはより多くの数のウェルの列を有することができる。試料は、細胞培養プレート62のすべての流体を含むウェルの列から採取され、試料プレート63の1つ以上のウェルに送達される。同一の試料の複数のアリコートを、好適にはすべてが同じ列にある試料プレート63の複数ウェルに分注することができる。または、複数の試料を、異なる時点で、または異なる作用物質への曝露および試料プレート63への送達後に、細胞培養プレート62の流体を含むウェルの列から採取することができる。典型的には、細胞培養プレート62のウェルを含む流体の列から採取された試料は、試料プレート63の細胞培養プレート62からの試料を追跡することが可能であるように、試料プレート63の対応する列に送達されるであろう。例として、列1の細胞培養プレート62の流体を含むウェルの列から採取された試料は、列1の試料プレート63の1つ以上のウェルに送達されるであろう。さらなる例として、列2の細胞培養プレート62の流体を含むウェルの列から採取された試料は、列2の試料プレート63の1つ以上のウェルに送達される、などである。
試料収集パラメータは、必要に応じて実験を開始する前に、ユーザーインターフェースで定義することができる。
本デバイスは、本明細書に記載される様々な用途に使用することができる。例えば、本デバイスは、リアルタイムの曝露中に1つ以上の作用物質の作用を研究するために使用することができる。例えば、本デバイスは、リアルタイムの曝露中に1つ以上の作用物質の曝露の動態を研究するために使用することができる。
一態様では、(a)本明細書に記載の細胞液曝露サンプリングデバイスを提供する工程と、(b)ウェルのうちの少なくとも1つを、細胞が含まれる細胞培養培地と接触させる工程と、(c)細胞培養培地を、細胞培養プレートのウェルを通して循環させる工程と、(d)細胞培養プレートのウェルを、少なくとも1つの作用物質に曝露させる工程と、(e)細胞培養培地を、細胞培養プレートからサンプリングする工程であって、任意に、細胞培養培地が、作用物質への曝露中にリアルタイムでサンプリングされる、サンプリングする工程と、を含む、1つ以上の作用物質に曝露された細胞培養培地をサンプリングするための方法、例えば、完全にまたは部分的に自動化された方法が提供される。工程(d)では、マルチウェルプレートのウェルは、複数の時点で少なくとも1つの作用物質に曝露され得る。工程(e)でサンプリングされた細胞培養培地の容量は、50ul〜約200ulであり得る。本方法は、サンプリングされた細胞に対する作用物質(複数可)の作用を決定するさらなる工程(f)を含むことができる。
細胞液曝露サンプリングデバイスの、細胞を細胞培養プレートの1つ以上のウェルからのサンプリングするための使用も開示されている。
細胞液曝露サンプリングデバイスの、1つ以上の作用物質に曝露された細胞培養培地を細胞培養プレートの1つ以上のウェルからのサンプリングし、細胞培養培地中の細胞をスクリーニングして、1つ以上の作用物質の細胞に対する作用を決定するための使用も開示されている。
スクリーニング
細胞培養プレートまたはサンプリングデバイスは、サンプリングまたはスクリーニングにおいて、任意にリアルタイムで使用することができる。細胞培養プレートまたはデバイスに含まれる細胞に対する1つ以上の作用物質の作用を、任意にリアルタイムで決定することができる。細胞培養プレートおよび/またはサンプリングデバイスは、例えば、作用物質/薬物の発見、作用物質/薬物特性評価、有効性試験、および毒性試験などで使用することができる。このような試験としては、薬理学的作用評価、発癌性評価、医療用造影剤特性評価、半減期評価、放射線安全性評価、遺伝子毒性試験、生殖・発生試験、薬物/作用物質相互作用評価、用量評価、吸着評価、体内動態評価、代謝評価、免疫毒性試験、処分評価、代謝評価、排泄試験などが挙げられるが、これらに限定されない。特定の細胞型は、特定の試験に使用され得る(例えば、肝毒性には肝細胞、腎毒性には腎近位尿細管上皮細胞、血管毒性には血管内皮細胞、神経毒性にはニューロンおよびグリア細胞、心毒性には心筋細胞)。
一態様では、インビトロで作用物質に対する細胞または組織の応答を評価するための方法が記載されており、本方法は、(i)本明細書に記載の細胞培養プレートまたはサンプリングデバイスに含まれる細胞または組織を、少なくとも1つの作用物質と接触させることと、(ii)少なくとも1つの作用物質と接触した後の1つ以上の応答を測定することと、を含み、少なくとも1つの作用物質との接触前および接触後の1つ以上の応答における差異は、作用物質が細胞または組織の応答を調節することを示す。
さらなる態様では、インビトロで作用物質に対する2つ以上の細胞、組織または器官の応答を評価するための方法が記載されており、本方法は、(i)本明細書に記載の細胞、組織または器官のうちの少なくとも1つを、少なくとも1つの作用物質と接触させることと、(ii)少なくとも1つの作用物質との接触後の1つ以上の細胞、組織または器官における1つ以上の応答を測定することと、を含み、少なくとも1つの作用物質との接触前および接触後の1つ以上の細胞の1つ以上の応答における差異は、作用物質が少なくとも1つの細胞、組織または器官の応答を調節することを示す。
好適には、細胞または組織への少なくとも1つの作用物質の作用または浸透が測定され、または決定される。好適には、細胞または組織への少なくとも1つの作用物質の生体内活性化が測定され、または決定される。好適には、細胞または組織への少なくとも1つの作用物質の代謝が測定され、または決定される。これらの工程は、同時に、または互いに逐次的に行うことができる。
1つ以上の作用物質のエアロゾルなどの作用物質の、細胞、組織または器官への浸透に及ぼす作用、および別の細胞または組織によるそのさらなる生体内活性化または代謝に及ぼす作用は、本明細書に記載の方法を使用して決定することができる。
作用物質は、本明細書に記載の細胞培養プレートの1つ以上のウェルに作用物質を添加することができ、および/または作用物質は、細胞培養プレートのチャネルに添加することができ、その培養された細胞または組織に対する作用を、監視または決定することができる。作用物質は、必要に応じて、貯蔵部に追加することもできる。測定され得る作用の例としては、酸素の消費、二酸化炭素の産生、細胞の生存能力、タンパク質の発現、酵素の活性、浸透、透過障壁機能、表面活性物質の産生、サイトカインへの応答、トランスポーター機能、チトクロームP450の発現、アルブミン分泌などが挙げられる。
細胞培養プレートの1つ以上のウェルは、エアロゾルに曝露することができ、培養された細胞または組織に対するその作用を、監視または決定することができる。測定され得る作用の例としては、酸素の消費、二酸化炭素の産生、細胞の生存能力、タンパク質の発現、酵素の活性、浸透、透過障壁機能、表面活性物質の産生、サイトカインへの応答、トランスポーター機能、チトクロームP450の発現、アルブミン分泌などが挙げられる。
異なる濃度の作用物質を用いて複数のアッセイを並行して行い、様々な濃度に対する異なる応答を取得してもよい。当該技術分野において既知であるように、作用物質の有効濃度の決定プロセスは、通常、1:10または他の対数尺度の希釈から得られる濃度範囲を使用する。もし必要であれば、2回目の連続希釈を用いて濃度をさらに微細化してもよい。通常、これら濃度のうちの1つは、陰性対照として機能する。
作用物質
作用物質は、対象の任意の化合物であってもよく、小有機化合物、ポリペプチド、ペプチド、高分子量炭水化物、ポリヌクレオチド、脂肪酸ならびに脂質、ナノ粒子、エアロゾルもしくはエアロゾルの1つ以上の構成成分など、薬物、毒素、病原体、抗原、抗体、および小分子などが挙げられる。作用物質は、個々に、または化合物のセットもしくはコンビナトリアルライブラリーでスクリーニングされてもよい。作用物質は、合成化合物または天然化合物のライブラリーを含む、多種多様な供給源から得ることができる。細菌、真菌、植物、および動物の抽出物の形態である、天然化合物ライブラリーを使用することができる。天然のまたは合成的に作製されたライブラリー、および従来の化学的手段、物理的手段、および生化学的手段を介して改変された化合物を使用して、コンビナトリアルライブラリーを作製してもよい。既知の薬理学的作用物質は、例えば、アシル化、アルキル化、エステル化、酸性化などの化学的改変を直接または無作為にかけられ、スクリーニング用の構造的アナログを作製してもよい。コンビナトリアルライブラリーを使用してスクリーニングを行う際、化学的に類似した、または化学的に多様な作用物質の大きなライブラリーをスクリーニングすることができる。コンビナトリアルスクリーニングにおいて、見出されるヒット数は、試験された作用物質の数に比例する。1日当たり試験される化合物が数千にもなり得る多数の化合物をスクリーニングしてもよく、その場合、ラボラトリーオートメーションおよびロボット工学が適用されてもよい。分子ライブラリー合成方法の多くの例を、当該技術分野において見出すことができる。小有機化合物としては、約5000未満、通常は約2500未満、通常は約2000未満、より通常には約1500未満、好適には約100〜約1000の分子量の化合物が挙げられる。小有機化合物は、生体有機化合物にまたは合成有機化合物のいずれかであってもよい。小有機化合物中に存在する原子は、一般的には、炭素、水素、酸素、および窒素を含む基の中にあり、もし薬学的に許容可能な形態であれば、ハロゲン、ホウ素、リン、セレニウムおよび硫黄を含んでもよい。概して、もし存在する場合、酸素、窒素、硫黄またはリンは、炭素に結合されているか、または互いに1つ以上で結合されているか、または水素と結合され、例えば、カルボン酸、アルコール、チオール、カルボキサミド、カルバメート、カルボン酸エステル、アミド、エーテル、チオエーテル、チオエステル、ホスフェート、ホスホネート、オレフィン、ケトン、アミン、アルデヒドなどの様々な官能基を形成する。本明細書で使用される場合、小有機化合物という用語または、約5000未満の分子量を有する小ペプチド、小オリゴヌクレオチド、小多糖類、脂肪酸、脂質などを含む。医薬品の例は、The Pharmacological Basis of Therapeutics,Goodman and Gilman,McGraw−Hill,New York,N.Y.,(1996),Ninth editionに記載されている。作用物質は、毒素であってもよい。
溶液中の作用物質および好適な溶媒中に溶解できる固形試料を、アッセイすることができる。ガス状の作用物質も、試料を一定期間、気体に暴露することによりアッセイすることができる。対象の試料としては、環境試料、生体試料、製造試料、化合物ライブラリー、ならびに合成化合物および天然化合物が挙げられる。
少なくとも約5,000、より通常には少なくとも約10,000の分子量を有するポリペプチドもスクリーニングすることができる。試験用ポリペプチドは通常、約5,000〜約5,000,000以上の分子量、より通常には約20,000〜約1,000,000の分子量である。多種多様なポリペプチド、例えば、類似した構造特性を有するポリペプチドのファミリー、特定の生物学的機能を有するポリペプチド、特定の微生物、特に病原性微生物に関連したポリペプチドなどを検討してもよい。このようなポリペプチドとしては、サイトカインまたはインターロイキン、酵素、プロタミン、ヒストン、アルブミン、免疫グロブリン、スクレロポリペプチド(scleropolypeptides)、ホスホポリペプチド(phosphopolypeptides)、ムコポリペプチド(mucopolypeptides)、クロモポリペプチド(chromopolypeptides)、リポポリペプチド(lipopolypeptides)、ヌクレオポリペプチド(nucleopolypeptides)、グリコポリペプチド(glycopolypeptides)、T細胞受容体、プロテオグリカン、ソマトトロピン、プロラクチン、インスリン、ペプシン、ヒト血漿中に存在するポリペプチド、血液凝固因子、血液型判定因子、ポリペプチドホルモン、癌抗原、組織特異性抗原、ペプチドホルモン、栄養マーカー、組織特異性抗原、および合成ペプチドが挙げられ、それらは糖化されていても、糖化されていなくてもよい。
ポリヌクレオチドをスクリーニングしてもよい。試験用ポリヌクレオチドは、天然化合物または合成化合物であってもよい。ポリヌクレオチドとしては、オリゴヌクレオチドが挙げられ、例えば、リボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドなどの天然ヌクレオチドならびにそれらの誘導体から構成されているが、例えば、2’−修飾ヌクレオシド、ペプチド核酸、およびオリゴマーヌクレオシドホスホン酸塩などの非天然ヌクレオチド模倣体も企図される。高分子量のポリペプチドは、約20〜約5,000,000個以上のヌクレオチドを有することができる。
作用物質は、小疎水性分子、例えば146g/mol〜207g/molまたは146g/mol〜176g/molの分子量を有する疎水性分子、または有機溶媒がハロゲン化有機溶媒またはジメチルスルホキシドもしくはテトラヒドロフランではないことを前提とした有機溶媒とすることができる。一実施形態では、作用物質は、タバコアルカロイドを含むか、またはそれからなる。別の実施形態では、製剤は、式1の構造を含むか、
またはその薬学的に許容可能な塩またはその混合物を含み、
または、より好適には、式2の構造であるか、
またはその薬学的に許容可能な塩もしくはその混合物であって、
式中、
zは、0または1であり、
R1は、HまたはC1〜C7アルキルを表し、
R2は、H、=O、またはC1〜C7アルキルを表し、
R3は、H、ハロ、またはC1〜C7アルキルを表し、
点線は、以下のもののいずれかを表す。
(a)単結合、
(b)1つの炭素/炭素または炭素/窒素二重結合および残りの単結合、または
(c)炭素/窒素二重結合および炭素/炭素二重結合および残りの単結合から独立して選択される2つの共役二重結合。
好適には、式2の作用物質は、以下のものであるか、
または
またはその薬学的に許容可能な塩もしくはその混合物である。
好適には、式2の作用物質は、以下のものであるか、
または
またはその薬学的に許容可能な塩またはその混合物である。
より好適には、式1または式2の作用物質は、タバコアルカロイドである。
より好適には、式1または式2の作用物質は、ニコチン、アナバシン、ノルニコチン、アナタビン、コチニン、ミオスミンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくはその混合物である。
「C1〜C7アルキル」は、一般的に1〜7個の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖の飽和炭化水素基、より好適にはC1〜C6アルキル、より好適にはC1〜C3アルキルを指す。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ペンタ−1−イル、ペンタ−2−イル、ペンタ−3−イル、3−メチルブタ−1−イル、3−メチルブタ−2−イル、2−メチルブタ−2−イル、2,2,2−トリメチルエタ−1−イル、n−ヘキシル、n−ヘプチルなどが挙げられる。好適には、アルキル基は、メチルである。
「ハロ」は、F、Cl、Br、またはIを指す。好適には、ハロは、Clである。
「薬学的に許容される塩」とは、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応などを伴わずに、対象の組織との接触において使用するために好適な健全な医学的判断の範囲内にあり、妥当な利益対リスク比に見合い、かつそれらの意図した仕様に有効なものとなる塩を指す。これらの塩には、非毒性酸付加塩(二酸を含む)および塩基性塩が含まれる。化合物または作用物質がカチオン性であるか、またはカチオン性であり得る官能基を有するならば(例えば、−NH2、おそらくは−NH3 +)、そのときは、酸不可塩は、好適なアニオンで形成され得る。好適な無機アニオンの例としては、以下の無機酸、塩化水素酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、硫酸、亜硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、リン酸および亜リン酸に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。好適な有機アニオンの例としては、以下の有機酸:2−アセトキシ安息香酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、経皮酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレン酸、カルボン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、粘液酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、および吉草酸に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。好適なポリマー有機アニオンの例としては、以下の高分子酸:タンニン酸、カルボキシメチルセルロースに由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。このような塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩、炭酸塩、重硫酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、シクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチルスルホン酸塩、ナフタレン酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩、水素リン酸塩、二水素リン酸塩、ピログルタミン酸塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、およびキシナホ酸塩が挙げられる。例えば、化合物がアニオン性であるか、またはアニオン性であり得る官能基を有するならば(例えば、−COOH、おそらくは−COO-、または−SO2H、おそらくは−SO2)、そのときは塩基性塩は、好適なカチオンで形成され得る。好適な無機カチオンの例としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属カチオンなどの金属カチオン、アンモニウムおよび置換アンモニウム、ならびにアミンが挙げられるが、これらに限定されない。好適な金属カチオンの例としては、ナトリウム(Na+)、カリウム(K+)、マグネシウム(Mg2+)、カルシウム(Ca2+)、亜鉛(Zn2+)、およびアルミニウム(Al3+)が挙げられる。好適な有機カチオンの例としては、アンモニウムイオン(すなわち、NH4+)および置換アンモニウムイオン(例えば、NH3R+、NH2R2 +、NHR3 +、NR4 +)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の好適な置換アンモニウムイオンの例は、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、およびトロメタミン、ならびにリシンおよびアルギニンなどのアミノ酸に由来するものである。一般的な四級アンモニウムイオンの一例は、N(CH3)4 +である。好適なアミンの例としては、アルギニン、N,N’−ジベンジルエチレン−ジアミン、クロロカイン、コリン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、グリシン、リシン、N−メチルグルカミン、オルアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール、およびプロカインが挙げられる。有用な酸付加塩および塩基性塩の考察については、S.M.Berge et al.,J.Pharm.Sci.(1977)66:1−19を参照されたく、またStahl and Wermuth,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use(2011)も参照されたい。薬学的に許容される塩は、様々な方法を用いて調製することができる。例えば、所望の塩を与えるために、化合物または作用物質を適切な酸または塩基と反応させることができる。また、化合物または作用物質の前駆体を、酸または塩基と反応させて、酸または塩基に不安定な保護基を除去し、または前駆体のラクトンまたはラクタム基を開くこともできる。さらに、化合物または作用物質の縁を、適切な酸または塩基を用いた処理を通して、またはイオン交換樹脂と接触させることを通して、別の塩に変換することもできる。反応後に、次いで、塩が溶液から沈殿する場合、濾過することによって塩を単離するか、または蒸発によって塩を回収することもできる。塩のイオン化の度合いは、完全にイオン化されたものからほとんどイオン化されていないものまで変化し得る。
別の実施形態ではその作用物質は、ニコチン、ノルニコチン、アナタビン、およびアナバシンを含むタバコアルカロイドの二級および三級アミンのニトロソ化によって形成される化学物質である、タバコ特異的ニトロソアミン(TSNA)である。TSNAは、一部のタバコおよびタバコ製品に見られる。適切には、TSNAは、N−ニトロソニコチン(NNN)、4−(メチルニトロソアミノ)−1−(3−ピリジル)−1−ブタノン(NNK)、N−ニトロソアナバシン(NAB)、N−ニトロソアナタビン(NAT)、4−(メチルニトロソアミノ)4−(3−ピリジル)ブタナール(NNA)、4−(メチルニトロソアミノ)−1−(3−ピリジル)−1−ブタノール(NNAL)、4−(メチルニトロソアミノ)4−(3−ピリジル)−1−ブタノール(イソ−NNAL)、または4−(メチルニトロソアミノ)4−(3−ピリジル)−1−酪酸(イソーNNAC)、またはその薬学的に許容される塩もしくはその混合物である。より適切には、TSNAは、4−(メチルニトロソアミノ)−1−(3−ピリジル)−1−ブタノン(NNK)、またはその薬学的に許容される塩である。
別の実施形態では、作用物質は、飽和脂肪族炭化水素(例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン);芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン);脂肪族アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパン−1−オール、プロパン−2−オール、ブタン−1−オール、2−メチル−プロパン−1−オール、ブタン−2−オール、2−メチル−プロパン−2−オール、ペンタン−1−オール、3−メチル−ブタン−1−オール、ヘキサン−1−オール、2−メトキシ−エタノール、2−エトキシ−エタノール、2−ブトキシ−エタノール、2−(2−メトキシ−エトキシ)−エタノール、2−(2−エトキシ−エトキシ)−エタノール、2−(2−ブトキシ−エトキシ)−エタノール);エーテル(エーテルがテトラヒドロフランではないという前提で)(例えば、ジエチルエーテル、ジ−イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシ−エタン、1,2−ジエトキシ−エタン、1−メトキシ−2−(2−メトキシ−エトキシ)−エタン、1−エトキシ−2−(2−エトキシ−エトキシ)−エタン、1,4−ジオキサン);ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン);エステル(酢酸メチル、酢酸エチル);窒素含有触媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、N−メチル−ピロリドン、ピリジン、キノリン、ニトロベンゼン);硫黄含有溶媒(硫黄含有溶媒がジメチルスルホキシドではないという前提で)(例えば、二硫化炭素、テトラヒドロ−チオフェン−1,1−ジオキシド);およびリン含有触媒(例えば、ヘキサメチルリン酸トリアミド)から選択される有機溶媒である。
一実施形態では、有機溶媒は、飽和脂肪族炭化水素(例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン)である。
一実施形態では、有機溶媒は、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)である。
一実施形態では、有機溶媒は、脂肪族アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパン−1−オール、プロパン−2−オール、ブタン−1−オール、2−メチル−プロパン−1−オール、ブタン−2−オール、2−メチル−プロパン−2−オール、ペンタン−1−オール、3−メチル−ブタン−1−オール、ヘキサン−1−オール、2−メトキシ−エタノール、2−エトキシ−エタノール、2−ブトキシ−エタノール、2−(2−メトキシ−エトキシ)−エタノール、2−(2−エトキシ−エトキシ)−エタノール、2−(2−ブトキシ−エトキシ)−エタノール)である。
一実施形態では、有機溶媒は、エーテル(エーテルがテトラヒドロフランではないという前提で)(例えば、ジエチルエーテル、ジ−イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシ−エタン、1,2−ジエトキシ−エタン、1−メトキシ−2−(2−メトキシ−エトキシ)−エタン、1−エトキシ−2−(2−エトキシ−エトキシ)−エタン、1,4−ジオキサン)である。
一実施形態では、有機溶媒は、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)である。
一実施形態では、有機溶媒は、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル)である。
一実施形態では、有機溶媒は、窒素含有溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、N−メチル−ピロリドン、ピリジン、キノリン、ニトロベンゼン)である。
一実施形態では、有機溶媒は、硫黄含有溶媒(硫黄含有溶媒がジメチルスルホキシドではないという前提で)(例えば、二硫化炭素、テトラヒドロ−チオフェン−1,1−ジオキシド)である。
一実施形態では、有機溶媒は、リン含有触媒(例えば、ヘキサメチルリン酸トリアミド)である。一実施形態で、作用物質は、ニコチンまたはNNKまたはこれらの組み合わせである。
測定され得る1つ以上の変数としては、細胞の定量化可能な要素、細胞内物質、細胞構成要素、または細胞産物が挙げられ、特に、高スループットアッセイシステムまたはデバイスで正確に測定され得る要素が挙げられる。出力は、任意の細胞、細胞構成要素、細胞産物の特性、条件、状態または機能であってもよく、生存能力、呼吸、代謝、細胞表面決定基、受容体、タンパク質またはそれらの構造変化もしくは翻訳後変化、脂質、炭水化物、有機分子もしくは無機分子、DNA、RNAなど、またはかかる細胞構成要素に由来する部分が挙げられる。変数(複数可)は、定量的な読み出しを提供することができる一方で、場合によっては、半定量的または定性的な結果を得ることができる。読み出し変数には、例えば、単一値、または平均値、または中央値、またはそれらの分散を含んでもよい。
様々な方法を使用して変数(複数可)を測定し、作用物質に対する細胞、組織または器官の応答を決定することができる。存在している分子の量を測定するための1つの方法は、作用物質を検出可能な部分で標識することであり、その部分は、蛍光、発光、放射活性、酵素活性などであってもよい。蛍光部分および発光部分は、生体分子、構造、または細胞型の標識に利用可能である。免疫蛍光部分は、特定のタンパク質だけでなく、特定の構造、切断産物、またはリン酸化のような修飾部位への結合も指向させることができる。個々のペプチドおよびタンパク質を操作して、自家蛍光させることができる。免疫アッセイ技術−例えば、免疫組織化学法、放射免疫アッセイ(RIA)、または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)および関連する非酵素技術を使用することができる。これらの技術は、特異抗体をレポーター分子として利用し、特異抗体は、一分子標的への結合に対して高度な特異性のために、特に有用である。細胞ベースのELISAまたは関連する非酵素法もしくは蛍光ベースの方法は、細胞表面パラメータの測定を可能とする。
スクリーニングアッセイの結果は、基準化合物、濃度曲線、対照などから得られた結果と比較してもよい。作用物質は、エアロゾル−例えば、煙または煙由来のエアロゾルであってもよい。
エアロゾル
本発明の実施形態は、細胞、器官または組織上のエアロゾルの作用、またはエアロゾルの細胞、器官または組織への浸透の研究のために使用され得る。エアロゾルは、エアロゾル形成デバイスにより誘導、または生成されてもよい。喫煙物品および喫煙可能物品は、ある種のエアロゾル形成デバイスである。喫煙物品または喫煙可能物品の例には、紙巻タバコ、シガリロ、および葉巻タバコが挙げられるが、これに限定されない。ある特定のエアロゾル形成デバイスでは、燃焼ではなく、タバコ組成物または別のエアロゾル形成材料が、1つ以上の電気加熱素子によって加熱されて、エアロゾルを生成する。別のタイプの加熱式エアロゾル形成デバイスでは、エアロゾルは、可燃性燃料要素または熱源からの熱を、熱源の内部、周囲、または下流に位置し得る物理的に分離されたエアロゾル形成材料に伝達させることにより生成される。典型的には、加熱される喫煙物品において、エアロゾルは、熱源からの熱を、熱源の内部、周囲、または下流に位置し得る物理的に分離されたエアロゾル形成基材または材料に伝達させることにより発生する。喫煙中、熱源からの熱伝送によってエアロゾル形成材料から揮発性化合物が放出され、喫煙物品を介して吸い込まれた空気中に混入される。放出された化合物が冷えるにつれて、これらは凝縮してユーザーによって吸入されるエアロゾルを形成する。本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成材料」という用語は、エアロゾルを形成し得る、加熱することで揮発性化合物を放出することができる材料を記載するために使用される。エアロゾル形成材料は、植物系材料であってもよい。エアロゾル形成材料の例としては、タバコ組成物、タバコ、タバコ抽出物、刻みタバコ、刻みフィラー、乾燥処理タバコ、葉タバコ(expanded tobacco)、拡張したタバコ、均質化したタバコ、紙様葉タバコ(reconstituted tobacco)、およびパイプタバコが挙げられるが、これに限定されない。あるいはエアロゾル形成材料は、非植物系含有材料を含んでもよい。
エアロゾルは、煙の形態であり得る。本明細書で使用される場合、「煙」という用語は、紙巻タバコを吸うことからなどの燃焼から、またはエアロゾル形成材料を燃焼することによって生成される一種のエアロゾルを記述するために使用される。煙は様々な作用物質を含み、それらはもし必要であれば研究用の個々の化合物として提供され得る。このような作用物質の例としては、ニコチンフリー乾燥粒子状物質、一酸化炭素、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、クロトンアルデヒド、メチル−エチルケトン、ブチルアルデヒド、ベンゾ[a]ピレン、フェノール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、1,3−ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、ベンゼン、トルエン、ピリジン、キノリン、スチレン、N’−ニトロソノルニコチン(NNN)、N’−ニトロソアナタビン(NAT)、N’−ニトロソアナバシン(NAB)、4−(メチルニトロソアミノ)−1−(3−ピリジル)−1−ブタノン(NNK)、1−アミノナフタレン、2−アミノナフタレン、3−アミノビフェニル、4−アミノビフェニル、一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(NOx)、シアン化水素酸、アンモニア、ヒ素、カドミウム、クロム、鉛、ニッケル、セレンおよび水銀が挙げられる。
本明細書に記載の細胞培養プレートは、煙に様々な時間暴露され得る。煙は、Vitrocell暴露モジュールを使用して、送達させることができる(Chem Cent J.(2014)8(1):62を参照されたい)。タバコ1本当たりの規定された吹き数、および曝露1分当たりの規定された吹き数を使用してもよく、タバコの本数を変えて、曝露時間を調整してもよい。基準紙巻タバコ−例えば、基準紙巻タバコ3R4Fを煙の供給源として使用してもよく、および国際基準化機構(International Organization for Standardization)の喫煙レジメン(ISO 2000)に基本的に準拠して喫煙ロボット上で喫煙させてもよい。
コンピューティング
本明細書に記載される技術およびデバイスは、プログラムされたコンピューティングシステムを含む、任意の好適なハードウェアなハードウェアで実現され得る。同様に、システムまたはデバイスの制御は、プログラムされたコンピューティングデバイスによって制御され得る。本開示は、多数の汎用もしくは専用コンピューティングシステムの環境または構成で操作可能である。本明細書に用いるのに好適であり得る周知のコンピューティングシステム、環境、および/または構成の例としては、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、手持ち式またはラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、セットトップボックス、プログラム可能な大衆消費電化製品、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記システムもしくはデバイスのいずれかを含む分散コンピューティング環境、またはクラウドベースのコンピューティング環境などを挙げることができるが、これらに限定されない。コンピューティング環境は、プログラムモジュールなどの、コンピュータ実列可能命令を実行することができる。概して、プログラムモジュールには、特定のタスクを実施するか、または特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などが含まれる。本開示はまた、タスクが、通信ネットワークを介してリンクされるリモート処理デバイスによって実施される、分散コンピューティング環境で実践されてもよい。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、メモリ記憶デバイスを含む、ローカルおよびリモートコンピュータ記憶媒体の両方に位置してもよい。
本開示で使用するためのシステムのコンポーネントとしては、処理ユニット、システムメモリ、およびシステムメモリを含む様々なシステムコンポーネントを、処理ユニットへ連結するシステムバスを挙げることができるが、これらに限定されない。システムバスは、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バス、および様々なバスアーキテクチャのいずれかを使用するローカルバスを含む、いくつかのタイプのバス構造のうちのいずれであってもよい。一例として、限定するものではないが、このようなアーキテクチャとしては、業界標準アーキテクチャ(ISA)バス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バス、拡張ISA(EISA)バス、ビデオエレクトロニクススタンダーズアソシエーション(VESA)ローカルバス、およびメザニンバスとして知られる周辺構成要素相互接続(PCI)が挙げられるが、これらに限定されない。
コンピュータは、通常、様々なコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体であることができ、揮発性および不揮発性媒体、取り外し可能および取り外し不可能な媒体の両方を含む。
コンピュータは、リモートコンピュータなどの1つ以上のリモートコンピュータへの論理接続を使用して、ネットワーク化された環境で動作してもよい。リモートコンピュータは、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピアデバイス、または一部の他の共通ネットワークノードであってもよく、通常は、コンピュータに対して上述した要素の多くまたはすべてを含む。
PEEK
本明細書に記載のように、本発明者らは、驚くべきことに、PEEKが、小疎水性分子、例えば146g/mol〜207g/molまたは146g/mol〜176g/molの分子量を有する疎水性分子、または有機溶媒(ハロゲン化有機溶媒またはジメチルスルホキシドもしくはテトラヒドロフランではないことを前提とした有機溶媒)に対して吸収性ではないという利点を有することを見出した。.小疎水性分子または有機溶媒の吸収に対するPEEKの抵抗性は、この材料によるこれらの分子の捕捉を防止または阻害するために重要である。したがって、PEEKを含むか、またはPEEKからなるポリマーから製造された細胞培養プレートおよびその他の細胞を培養するためのこのようなデバイスは、プレートまたは他のこのようなデバイス内に収容される細胞または組織に対する薬物または作用物質の作用の試験に特に好適であり、プレートまたは他のこのようなデバイス内に収容される細胞または組織に対する、薬物または作用物質濃度(もしくはその代謝産物)が材料によって変更されるリスクを回避または緩和するのに好適である。
したがって、PEEKを含むか、またはPEEKからなる細胞培養装置が開示されている。
したがって、PEEKから(独占的に)製造された細胞培養装置も開示されている。
PEEKを含むか、またはPEEKからなる細胞培養プレートも開示されている。
PEEKから(独占的に)製造された細胞培養プレートも開示されている。
したがって、PEEKを含むか、またはPEEKからなる細胞培養プレートのウェルも開示されている。
PEEKから(独占的に)製造された細胞培養プレートのウェルも開示されている。
PEEKを含むか、またはPEEKからなるマルチウェル細胞培養プレートも開示されている。
PEEKから(独占的に)製造されたマルチウェル細胞培養プレートも開示されている。
好適には、細胞培養デバイス、細胞培養プレート、ウェルまたはマルチウェル細胞培養プレートは、1つ以上の小疎水性分子−例えば、1つ以上の小疎水性作用物質を含む。一実施形態では、作用物質は、タバコアルカロイドを含むか、またはそれからなる。
一実施形態では、作用物質は式1の構造を含むか、
またはその薬学的に許容可能な塩もしくはその混合物であって、
または、より好適には、式2の構造であるか、
またはその薬学的に許容可能な塩もしくはその混合物であって、
式中、
zは、0または1であり、
R1は、HまたはC1〜C7アルキルを表し、
R2は、H、=O、またはC1〜C7アルキルを表し、
R3は、H、ハロ、またはC1〜C7アルキルを表し、
点線は、以下のもののいずれかを表す。
(a)単結合、
(b)1つの炭素/炭素または炭素/窒素二重結合および残りの単結合、または
(c)炭素/窒素二重結合および炭素/炭素二重結合および残りの単結合から独立して選択される2つの共役二重結合。
好適には、式2の作用物質は、以下のものであるか、
または
またはその薬学的に許容可能な塩もしくはその混合物である。
好適には、式2の作用物質は、以下のものであるか、
または
またはその薬学的に許容可能な塩もしくはその混合物である。
より好適には、式1または式2の作用物質は、タバコアルカロイドである。
より好適には、式1または式2の作用物質は、ニコチン、アナバシン、ノルニコチン、アナタビン、コチニン、ミオスミンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくはその混合物である。
「タバコアルカロイド」は、タバコ植物体であるか、またはタバコ植物体から誘導可能であるアルカロイドを指し、合成タバコアルカロイドを含み得る。「タバコ植物」は、ニコチアナ(Nicotiana)属に属する植物を指し、N.rusticaおよびN.tabacum(例えば、LA B21、LN KY171、TI 1406、Basma、Galpao、Perique、Beinhart 1000−1、およびPetico)が含まれる。その他の主としては、N.acaulis、N.acuminata、N.africana、N.alata、N.ameghinoi、N.amplexicaulis、N.arentsii、N.attenuata、N.azambujae、N.benavidesii、N.benthamiana、N.bigelovii、N.bonariensis、N.cavicola、N.clevelandii、N.cordifolia、N.corymbosa、N.debneyi、N.excelsior、N.forgetiana、N.fragrans、N.glauca、N.glutinosa、N.goodspeedii、N.gossei、N.hybrid、N.ingulba、N.kawakamii、N.knightiana、N.langsdorffii、N.linearis、N.longiflora、N.maritima、N.megalosiphon、N.miersii、N.noctiflora、N.nudicaulis、N.obtusifolia、N.occidentalis、N.occidentalis subsp.hesperis、N.otophora、N.paniculata、N.pauciflora、N.petunioides、N.plumbaginifolia、N.quadrivalvis、N.raimondii、N.repanda、N.rosulata、N.rosulata subsp.ingulba、N.rotundifolia、N.setchellii、N.simulans、N.solanifolia、N.spegazzinii、N.stocktonii、N.suaveolens、N.sylvestris、N.thyrsiflora、N.tomentosa、N.tomentosiformis、N.trigonophylla、N.umbratica、N.undulata、N.velutina、N.wigandioides、およびN.x sanderaeが挙げられる。好適には、タバコ植物体は、N.tabacumである。
「C1〜C7アルキル」は、一般的に1〜7個の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖の飽和炭化水素基、より好適にはC1〜C6アルキル、より好適にはC1〜C3アルキルを指す。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ペンタ−1−イル、ペンタ−2−イル、ペンタ−3−イル、3−メチルブタ−1−イル、3−メチルブタ−2−イル、2−メチルブタ−2−イル、2,2,2−トリメチルエタ−1−イル、n−ヘキシル、n−ヘプチルなどが挙げられる。好適には、アルキル基は、メチルである。
「ハロ」は、F、Cl、Br、またはIを指す。好適には、ハロは、Clである。
別の実施形態ではその作用物質は、ニコチン、ノルニコチン、アナタビン、およびアナバシンを含むタバコアルカロイドの二級および三級アミンのニトロソ化によって形成される化学物質である、タバコ特異的ニトロソアミン(TSNA)である。TSNAは、一部のタバコおよびタバコ製品に見られる。適切には、TSNAは、N−ニトロソニコチン(NNN)、4−(メチルニトロソアミノ)−1−(3−ピリジル)−1−ブタノン(NNK)、N−ニトロソアナバシン(NAB)、N−ニトロソアナタビン(NAT)、4−(メチルニトロソアミノ)4−(3−ピリジル)ブタナール(NNA)、4−(メチルニトロソアミノ)−1−(3−ピリジル)−1−ブタノール(NNAL)、4−(メチルニトロソアミノ)4−(3−ピリジル)−1−ブタノール(イソ−NNAL)、または4−(メチルニトロソアミノ)4−(3−ピリジル)−1−酪酸(イソーNNAC)、またはその薬学的に許容される塩もしくはその混合物である。より適切には、TSNAは、4−(メチルニトロソアミノ)−1−(3−ピリジル)−1−ブタノン(NNK)、またはその薬学的に許容される塩である。
好適には、有機溶媒は、飽和脂肪族炭化水素(例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン);芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン);脂肪族アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパン−1−オール、プロパン−2−オール、ブタン−1−オール、2−メチル−プロパン−1−オール、ブタン−2−オール、2−メチル−プロパン−2−オール、ペンタン−1−オール、3−メチル−ブタン−1−オール、ヘキサン−1−オール、2−メトキシ−エタノール、2−エトキシ−エタノール、2−ブトキシ−エタノール、2−(2−メトキシ−エトキシ)−エタノール、2−(2−エトキシ−エトキシ)−エタノール、2−(2−ブトキシ−エトキシ)−エタノール);エーテル(エーテルがテトラヒドロフランではないという前提で)(例えば、ジエチルエーテル、ジ−イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシ−エタン、1,2−ジエトキシ−エタン、1−メトキシ−2−(2−メトキシ−エトキシ)−エタン、1−エトキシ−2−(2−エトキシ−エトキシ)−エタン、1,4−ジオキサン);ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン);エステル(酢酸メチル、酢酸エチル);窒素含有触媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、N−メチル−ピロリドン、ピリジン、キノリン、ニトロベンゼン);硫黄含有溶媒(硫黄含有溶媒がジメチルスルホキシドではないという前提で)(例えば、二硫化炭素、テトラヒドロ−チオフェン−1,1−ジオキシド);およびリン含有触媒(例えば、ヘキサメチルリン酸トリアミド)から選択される。
一実施形態では、有機溶媒は、飽和脂肪族炭化水素(例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン)である。
一実施形態では、有機溶媒は、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)である。
一実施形態では、有機溶媒は、脂肪族アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパン−1−オール、プロパン−2−オール、ブタン−1−オール、2−メチル−プロパン−1−オール、ブタン−2−オール、2−メチル−プロパン−2−オール、ペンタン−1−オール、3−メチル−ブタン−1−オール、ヘキサン−1−オール、2−メトキシ−エタノール、2−エトキシ−エタノール、2−ブトキシ−エタノール、2−(2−メトキシ−エトキシ)−エタノール、2−(2−エトキシ−エトキシ)−エタノール、2−(2−ブトキシ−エトキシ)−エタノール)である。
一実施形態では、有機溶媒は、エーテル(エーテルがテトラヒドロフランではないという前提で)(例えば、ジエチルエーテル、ジ−イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシ−エタン、1,2−ジエトキシ−エタン、1−メトキシ−2−(2−メトキシ−エトキシ)−エタン、1−エトキシ−2−(2−エトキシ−エトキシ)−エタン、1,4−ジオキサン)である。
一実施形態では、有機溶媒は、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)である。
一実施形態では、有機溶媒は、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル)である。
一実施形態では、有機溶媒は、窒素含有溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、N−メチル−ピロリドン、ピリジン、キノリン、ニトロベンゼン)である。
一実施形態では、有機溶媒は、硫黄含有溶媒(硫黄含有溶媒がジメチルスルホキシドではないという前提で)(例えば、二硫化炭素、テトラヒドロ−チオフェン−1,1−ジオキシド)である。
一実施形態では、有機溶媒はリン含有溶媒(例えば、ヘキサメチルリン酸トリアミド)である。
一実施形態では、有機溶媒は、石油エーテルではない。
一実施形態では、有機溶媒は、トルエンではない。
一実施形態では、有機溶媒は、アセトンではない。
一実施形態では、有機溶媒は、エタノールではない。一実施形態で、作用物質は、ニコチンまたはNNKまたはこれらの組み合わせである。
PEEKを含むか、またはPEEKからなる、細胞培養デバイス−例えば、細胞培養プレートまたはマルチウェル細胞培養プレートの使用を含む、細胞を培養するための方法も開示されている。
PEEKを含むか、またはPEEKからなる、細胞培養デバイス−例えば、細胞培養プレートまたはマルチウェル細胞培養プレートの使用を含む、細胞を培養するための方法も開示されている。
PEEKから(独占的に)製造された、細胞培養デバイス−例えば、細胞培養プレートまたはマルチウェル細胞培養プレートの使用を含む、細胞を培養するための方法も開示されている。
(i)細胞を、PEEKを含むか、またはPEEKからなる、細胞培養デバイス−例えば、細胞培養プレートまたはマルチウェル細胞培養プレートと接触させることと、(ii)細胞を培養することと、を含む、細胞を培養するための方法も開示されている。
(i)細胞を、PEEKから(独占的に)製造された、細胞培養デバイス−例えば、細胞培養プレートまたはマルチウェル細胞培養プレートと接触させることと、(ii)細胞を培養することと、を含む、細胞を培養するための方法も開示されている。
好適には、上述の方法は、細胞培養デバイス内の細胞を、上述のような1つ以上の小疎水性分子または有機溶媒と接触させる追加の工程を含む。
好適には、細胞培養デバイスは、細胞培養培地中に含まれる細胞、および上述のような、任意に1つ以上の小疎水性分子または有機溶媒を含むことができる。
(i)細胞を、PEEKを含むか、またはPEEKからなる、細胞培養デバイス−例えば、細胞培養プレートまたはマルチウェル細胞培養プレートと接触させることと、(ii)細胞を、上述のような1つ以上の小疎水性分子または有機溶媒に曝露することと、(iii)細胞上の作用物質(複数可)の作用を決定することと、を含む、細胞上の1つ以上の作用物質の作用(例えば、曝露応答)を決定するための方法も開示されている。
(i)細胞を、PEEKから(独占的に)製造された、細胞培養デバイス−例えば、細胞培養プレートまたはマルチウェル細胞培養プレートと接触させることと、(ii)細胞を、上述のような、1つ以上の小疎水性分子または有機溶媒に曝露することと、(iii)細胞上の小疎水性分子または有機溶媒の作用を決定することと、を含む、細胞に対する1つ以上の作用物質の作用(例えば、曝露応答)を決定するための方法も開示されている。
作用物質を、PEEKを含むか、またはPEEKからなる細胞培養デバイスと接触させることを含む、上述のような1つ以上の小疎水性分子または有機溶媒の吸収を低減または阻害する方法も開示されている。
PEEKを含むか、またはPEEKからなる細胞培養デバイスの、上述のような1つ以上の小疎水性分子または有機溶媒の細胞培養デバイスへの吸収を低減または阻害するための使用も開示されている。
本発明は、発明についてさらに詳細に説明するために提供されている、下記の実施例でさらに説明される。本実施例は、本発明を遂行するためにこの時点で意図されている好ましい様式について記載しており、本実施例は、本発明を例証することを意図し、限定を意図するものではない。
実施例1
プレートの製造に使用される様々な材料が検討された。プレートに使用される1つの材料のPEEKは、耐摩耗性である強力なプラスチックポリマーである。PEEKは、例えば、一般的に使用されるポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)とは対照的に、小疎水性分子を保持することが知られているため、薬物試験では有利である。PEEKは、驚くべきことに、アルカロイド−例えば、ニコチン、またはタバコ特異的ニトロソアミン−例えばNNKを保持しないことが見出されている。したがって、本プレートは、プレート内に収容された組織に対するこれらの作用物質の作用の試験に適しており、作用物質濃度が材料によって変更されるリスクを回避または軽減するのに適している。
PEEKプレートの生体適合性は、器官型肺および肝臓モデルで試験される。
肺モデルは、Transwell(商標)インサート上に播種され、さらに気液界面で培養された正常なヒト気管支上皮(NHBE)細胞から構成され、細胞の杯状細胞および線毛細胞への分化を確実にする。これらの組織を使用することで、以下によって実証されるように、肺組織が、PEEKプレートで4週間生存できることを実証することができる:
・線毛細胞および杯状細胞の対照組織(同一バッチから)で観察されたものと類似の比率での存在が、同じ期間にわたって24個のウェルのポリカーボネートプレート内で維持された。
・無傷の形態。4週間にわたって、プレート内で維持された組織、および24個のウェルのプレート内で維持された組織の組織学的分析は、同様の形態を確認した。上皮厚さ、分化状態および杯状細胞、基底細胞ならびに線毛細胞の比率は、これらの2つの条件下で維持された組織間で類似していた。
・安定なATP含有量ATPは細胞内のいくつかのプロセスに使用され、すべての代謝活性細胞はATPを含有しているため、ATP含有量測定値を組織の健康状態についての良好な指標にする。4週間プレート内に維持された組織は、対照組織と比較して同様のATP含有量(約10%未満のATP)を有していた。
・活発な線毛運動。線毛細胞は対照組織と同じ比率でだけ存在していただけではなく、対照組織で観察されたものと類似した頻度でも活活発に線毛運動していた。
・より高い経上皮電気抵抗(TEER)。TEERは、上皮組織における接合帯の完全性を測定し、したがってバリアの完全性の強力な指標である。PEEKプレート内で維持された組織は、対照組織よりも50%高いTEER値を有した。
・保持された代謝能力。代謝能力を証明するチトクロームP450(CYP)誘導性を、組織を特定のCYP酵素誘導体に曝露することによって試験した。48時間の曝露後、CYP 1A1活性は、100倍増加していることが判明し、プレート内に閉じ込められた組織の保持された代謝誘導性を実証していた。
肝臓モデルとして、HepaRG(商標)細胞から構成されるスフェロイドが使用される。PEEKプレート内での培養の4週間後に、これらの肝スフェロイドを用いて得られた第1の結果は、以下を実証している:
・循環培地内のアルブミンの安定した分泌。アルブミンは、肝機能の重要なマーカーである。チップ内では、アルブミンは、対象組織で観察されたものと同様な濃度で、4週間安定であることが判明した。
保持された代謝能力。代謝能力を証明するチトクロームP450(CYP)誘導性を、組織を特定のCYP酵素誘導体に曝露することによって試験した。48時間の暴露後、CYP 1A1活性は対照組織で観察される誘導性と類似していることが判明した。
ニコチンおよびNNKに対するPEEKの吸収性を試験紙、分子が材料によって捕捉されないことが判明した。図22は、4℃での8時間のインキュベーション後の、PEEKプレートおよびPDMSプレート内の残留するニコチンの量を比較するグラフの結果を示す。分かるように、PDMSプレートでの約35%と比べて、PEEKプレートでは、約100%のニコチンが残留していた。したがって、PDMSを使用する市販されているプレートに使用される材料は、小疎水性分子を捕捉するであろう。
実施例2
スフェロイドの凝集を回避するために、肝スフェロイド用に設計されたウェルは、ウェルの底部に同心の溝を含むように適合された。これらの溝の目的は、組織間の空間的分離を作り出して、組織が互いに凝集または融合することを防止することである。溝の機能を実証するために、それぞれが約25,000個の細胞から構成された40個のスフェロイドを、溝を備えたウェルまたは平坦な表面を備えた(すなわち、溝を含まない)ウェルのいずれかに配置した。5日後、平坦な表面を備えたウェルに存在するスフェロイドは、互いに凝集を開始し(図21Aを参照)、凝集体を形成した。これは、溝を備えたウェルでは観察されなかった(図21Bを参照)。図21Aに示された組織(凝集または融合して単一の単位を形成した3つのスフェロイド)は、いくつかのスフェロイドの凝集または融合が得られる結果に悪影響を与えるため、スペロイドで通常実施されるさらなる実験−例えば、ATP含有量の測定には、使用できなかった。図21Bで培養された組織は、凝集または融合しなかったため、さらなる実験に使用された。
本明細書に引用または記載されるあらゆる刊行物は、本出願の出願日以前に開示された関連情報を提供する。本明細書における記述は、本発明者らがそのような開示に先だって権利を与えられないことの承認としては解釈されないものとする。上記の明細書で言及したすべての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の様々な修正および変形が、本発明の範囲および趣旨を逸脱することなく、当業者に明らかになるであろう。特定の好ましい実施形態に関連付けて本発明を説明してきたが、特許請求する通りの本発明は、こうした特定の実施形態に不当に限定されるべきではない。実際に、本発明を実施するための記述された方法について、細胞生物学、分子生物学および植物体生物学の分野または関連する分野の当業者にとって明らかである様々な改良は、以下の特許請求の範囲の範囲内に収まるものであることが意図される。