JP2020529478A - バイオ治療薬としてのロゼブリア・ホミニス(roseburia hominis)、ユーバクテリウム・エリゲンス(eubacterium eligens)、およびこれらの組み合わせ - Google Patents

バイオ治療薬としてのロゼブリア・ホミニス(roseburia hominis)、ユーバクテリウム・エリゲンス(eubacterium eligens)、およびこれらの組み合わせ Download PDF

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Abstract

本開示は、生きているバイオ治療薬製品、プロバイオティクス、該プロバイオティクスを含む医薬組成物、およびこれらを用いて種々のヒト疾患を処置する方法に関する。いくつかの態様において、本開示は、ロゼブリア・ホミニス(Roseburia hominis)、ユーバクテリウム・エリゲンス(Eubacterium eligens)細菌株を含むそのような組成物、および代謝に関連する疾患または障害を処置する上での該組成物の使用を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年8月4日に出願された米国仮出願第62/541,387号に対する優先権の恩典を主張する。
電子提出したテキストファイルの説明
本明細書と共に電子提出した次のテキストファイルの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。配列表ファイル名:SEGE_004_01WO_SeqList_ST25.txt、作成日2018年8月2日、ファイルサイズほぼ21.4キロバイトのコンピュータ可読フォーマットコピー。
分野
本開示は、生細菌を含む、治療的処置のための新規のかつ治療上有効な組成物および方法に関する。微生物組成物はとりわけ、対象における健常なグルコース恒常性を取り戻す上で適用される。高血糖、糖尿病ならびに異常な代謝調節および/または消化管疾患と関連する状態および病態の処置、寛解および/または予防における本組成物の使用が想定される。
背景
消化管マイクロバイオームは、宿主生物の健康において重要な役割を担っている多種多様な微生物、主として原核生物を含む。マイクロバイオームの操作が健康上の利益を提供することができ、いくつかの疾患および障害を処置する上で有効であり得ることを示す研究が増加するにつれて、マイクロバイオームの複雑性は、その集団形成および混成機能の両方の点で、近年重要な研究領域となっている。現に、生きた細菌および酵母を含有するいくつかのプロバイオティクスが市場に出ており、ヒトの体内で天然に存在するこれらの微生物の利点を増大させると考えられている。生きているバイオ治療薬製品(LBP)は、疾患の処置における管理された臨床試験および規制承認のためにますます開発されている。これらの疾患は、多面的であり、診断上無数の形で存在する。
血糖の恒常性を回復させることができるだけでなく、個体におけるその関連する合併症も処置することができる治療薬の開発について、当技術分野において大いなる必要性がある。不適切に機能している血糖の制御および調節が多種多様な代謝症候群、状態、および/または障害を引き起こす可能性があることが、研究により実証されてきた。本明細書で教示する生きているバイオ治療薬製品、プロバイオティクスおよびその組成物は、恒常性が回復して確立されるレベルまでヒトの健康面のいくつかを回復させ、疾患、状態、または代謝因子もしくは炎症性因子における何らかのわずかな不均衡を予防しまたは処置する。
開示の概要
いくつかの実施形態において、治療有効量の生菌を含む組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象を処置するための方法が提供され、この生菌は、ロゼブリア・ホミニス(Roseburia hominis)(R.ホミニス)とユーバクテリウム・エリゲンス(Eubacterium eligens)(E.エリゲンス)との組み合わせであり、R.ホミニス細菌は、配列番号1と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である16S rRNA遺伝子を含み、E.エリゲンス細菌は、配列番号5と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である16S rRNA遺伝子を含む。
いくつかの実施形態において、高血糖を経験しているまたは高血糖と診断された対象を処置する方法が提供される。
いくつかの実施形態において、対象におけるグルコース恒常性を改善する方法が提供される。
いくつかの実施形態において、対象は、代謝障害と診断されているかまたは代謝障害に罹患している。
いくつかの実施形態において、代謝障害は、高血糖、高インスリン血症、糖尿病前症、1型糖尿病、肥満、2型糖尿病、メタボリックシンドローム、心臓代謝リスク、高血圧、脂質異常症、インスリン抵抗性、高インスリン血症、脂肪肝、腎疾患、心血管疾患、脳血管障害、および末梢血管疾患からなる群から選択される。他の実施形態において、代謝障害は、高血糖、インスリン抵抗性、および2型糖尿病からなる群から選択される。さらに他の実施形態において、代謝障害は高血糖である。
いくつかの実施形態において、対象は、2型糖尿病と診断されていない。他の実施形態において、対象は、1型糖尿病と診断されていない。
いくつかの実施形態において、対象は、約125mg/dLまたは130mg/dLよりも高い空腹時血中グルコース値を呈している。
いくつかの実施形態において、対象は、約140mg/dLよりも高い、75グラム経口グルコース負荷試験についての2時間値を呈している。
いくつかの実施形態において、投与することは、組成物の初回投与前の対象の空腹時血中グルコース値の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%または40%の対象の空腹時血中グルコース値の低減をもたらす。
いくつかの実施形態において、対象の空腹時血中グルコース値の低減は、組成物の初回投与の1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、または12か月後に測定される。
いくつかの実施形態において、対象は、消化管疾患と診断されている。他の実施形態において、消化管疾患は、腸上皮関門機能の低減と関連している。なおも他の実施形態において、消化管疾患は、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)、過敏性腸症候群(IBS)、胃腸粘膜炎、化学療法誘発性粘膜炎、放射線誘発性粘膜炎、壊死性腸炎、回腸嚢炎、機能的下痢、機能的消化不良、機能的便秘、機能的腹痛、機能的腹部膨満、心窩部痛症候群、食後窮迫症候群、消化管逆流疾患(GERD)およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、本方法は、約1〜52週の期間にわたって1日1回、2回または3回、組成物を対象に投与することを含む。他の実施形態において、本方法は、1年超の期間にわたって1日1回、2回または3回、組成物を対象に投与することを含む。
いくつかの実施形態において、R.ホミニスは、配列番号2と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である16S rRNA遺伝子、配列番号3と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である16S rRNA遺伝子、および/または配列番号4と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である16S rRNA遺伝子をさらに含む。
いくつかの実施形態において、R.ホミニスは、R.ホミニス GenBankアクセッション番号CP003040と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、99.999%、または100%同一であるゲノムを含む。他の実施形態において、同一性百分率は、参照ゲノム配列全体の80%、85%、90%、95%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、99.999%、または100%に対して計算される。さらに他の実施形態において、配列同一性は、BLASTプログラムを用いて計算される。
いくつかの実施形態において、R.ホミニスは、株A2−183(DSM 16839)である。
いくつかの実施形態において、E.エリゲンスは、配列番号6と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である16S rRNA遺伝子、配列番号7と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である16S rRNA遺伝子、配列番号8と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である16S rRNA遺伝子、および/または配列番号9と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である16S rRNA遺伝子をさらに含む。
いくつかの実施形態において、E.エリゲンスは、E.エリゲンス GenBankアクセッション番号NC_012778と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または99.9%、99.99%、99.999%、または100%同一であるゲノムを含む。他の実施形態において、同一性百分率は、参照ゲノム配列全体の80%、85%、90%、95%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、99.999%、または100%に対して計算される。さらに他の実施形態において、配列同一性は、BLASTプログラムを用いて計算される。
いくつかの実施形態において、E.エリゲンスは、株C15−B4(DSM 3376)である。
いくつかの実施形態において、組成物中のR.ホミニスおよび/またはE.エリゲンスは、生存可能である。
いくつかの実施形態において、治療有効量のR.ホミニスは、約1×10〜1×1012コロニー形成単位(CFU)を含む。
いくつかの実施形態において、治療有効量のE.エリゲンスは、約1×10〜1×1012コロニー形成単位(CFU)を含む。
いくつかの実施形態において、R.ホミニスおよび/またはE.エリゲンスを含む組成物は、錠剤、カプセル剤、液剤、および液状懸濁剤からなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、R.ホミニスおよび/またはE.エリゲンスを含む組成物は、ヨーグルト、チーズ、乳、食肉、クリーム、またはチョコレートからなる群から選択される、食品を基にした製品である。
いくつかの実施形態において、R.ホミニスおよび/またはE.エリゲンスを含む組成物は、ペットフードである。他の実施形態において、ペットは、イヌ、ネコ、またはウシである。
実施例1に説明する、ob/obマウスモデルにおける血中グルコース値に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置の効果(図1A)および血中グルコース値の百分率変化(図1B)を示す。 実施例2に説明する、ob/obマウスモデルにおけるグルコース恒常性に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置の効果を示す。 実施例2に説明する、ob/obマウスモデルにおけるグルコース恒常性に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置の効果を示す。 実施例2に説明する、ob/obマウスモデルにおけるグルコース恒常性に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置の効果を示す。 実施例2に説明する、ob/obマウスモデルにおけるグルコース恒常性に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置の効果を示す。 実施例2に説明する、処置の2週間後(15日目、図3A)および処置の終了時(22日目、図3B)のob/obマウスモデルにおける血中インスリン値に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置の効果を示す。 実施例3に説明する、ob/obマウスモデルにおける体重減少(図4A)および体重減少百分率(図4B)に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置の効果を示す。 実施例4に説明する、炎症性腸疾患のDSSモデルにおける上皮中心関門機能の測定値に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスの投与の効果を示す(R.h.はロゼブリア・ホミニスを表し、E.eはユーバクテリウム・エリゲンスを表す)。 実施例4に説明する、炎症性腸疾患のDSSモデルにおける関門機能障害に関与する炎症測定値に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスの投与の効果を示す(R.h.はロゼブリア・ホミニスを表し、E.eはユーバクテリウム・エリゲンスを表す)。 実施例4に説明する、炎症性腸疾患のDSSモデルにおける体重減少に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスの投与の効果を示す(R.h.はロゼブリア・ホミニスを表し、E.eはユーバクテリウム・エリゲンスを表す)。 実施例4に説明する、炎症性腸疾患のDSSモデルにおける肉眼でのR.ホミニスおよびE.エリゲンスの投与の効果を示す(R.h.はロゼブリア・ホミニスを表し、E.eはユーバクテリウム・エリゲンスを表す)。 実施例4に説明する、炎症性腸疾患のDSSモデルにおける結腸重量対長さ比に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスの投与の効果を示す(R.h.はロゼブリア・ホミニスを表し、E.eはユーバクテリウム・エリゲンスを表す)。 実施例5に説明する、ob/obマウスモデルにおける上皮中心関門機能の測定値に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置の効果を例示する。 実施例5に説明する、処置の2週間後(15日目、図11A)および処置の終了時(22日目、図11B)のob/obマウスモデルにおける関門機能障害に関与する炎症測定値に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置の効果を例示する。 図12A、12Bはそれぞれ、実施例5に説明する、処置の終了時(22日目)のob/obマウスモデルにおける小腸(SI)および結腸の長さに対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置の効果を示す。
詳細な説明
定義
本明細書で別途定義されていない限り、本出願において使用される科学用語および技術用語は、当業者によって通常理解される意味を有する。概して、本明細書で説明される化学、分子生物学、細胞生物学および癌生物学、免疫学、微生物、薬理学、ならびにタンパク質化学および核酸化学の技術と関連して使用される命名法は、当業者に周知であり、当技術分野において通常使用される。したがって、次の用語は当業者によって十分に理解されると考えられているが、次の定義は、現に開示されている対象事項の説明を容易にするために記載されている。
本明細書を通して、「を含む(comprise)」という語または「を含む(comprises)」もしくは「を含む(comprising)」などの変形は、記載の構成要素、または構成要素の群の包含を意味するが、いかなる他の構成要素、または構成要素の群の排除も意味しないことを理解するであろう。
「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、該実体のうちの1つ以上を指し、すなわち、複数の指示対象を指すことができる。このようなものとして、「1つの(a)」または「1つの(an)」、「1つ以上」および「少なくとも1つ」という用語は、本明細書で交換可能に使用される。さらに、「1つの(a)」または「1つの(an)」という不定冠詞による「要素」に対する参照は、この要素のうちの1つおよび1つのみがあることを文脈が明確に必要としない限り、この要素のうちの1つ超が存在する可能性を排除しない。
本明細書で使用する場合、「微生物(microorganism)」または「微生物(microbe)」は広義に使用されるものとする。これらの用語は、交換可能に使用され、2つの原核生物ドメインである細菌および古細菌、ならびに真核性の真菌および原生生物を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本開示は「微生物(microbe)」を指す。この特徴づけは、微生物の特定された細菌属だけでなく、特定された分類種、ならびに種々の新規のかつ新たに特定された細菌株も指すことができる。
本明細書で使用する場合、「単離する」、「単離された」、「単離された微生物」、および類似の用語は、1つ以上の微生物が、特定の環境において関連している材料(例えば、消化液、胃腸組織、ヒト消化液、ヒト消化組織など)のうちの少なくとも1つから分離されていることを意味するよう企図されている。したがって、「単離された微生物」は、該微生物が自然発生する環境においては存在せず、むしろ、本明細書に説明する種々の技術を経て、微生物がその天然環境から取り出され、非天然の存在状態に置かれている。したがって、単離された株は、例えば、ヒト投与に適した薬学的に許容される担体と共に、生物学的に純粋な培養物として、または胞子(もしくは該株の他の形態)として存在していてもよい。
本開示のある特定の態様において、単離された微生物は、単離されかつ生物学的に純粋な培養物として存在する。本明細書で使用する場合、「生物学的に純粋な」という用語は、生物の他の種を実質的に含まない実験培養物を指す。好ましくは、細菌種は、生物の単一種の培養物の形態にある。特定の微生物の単離されかつ生物学的に純粋な培養物が、他の生きている生物を(科学的理由の範囲内で)実質的に含有しておらず、問題の個々の微生物のみを含有することを示すことは、当業者には認識されるであろう。この培養物は、さまざまな濃度の該微生物を含有することができる。本開示は、単離されかつ生物学的に純粋な微生物が往々にして、「あまり純粋ではないまたは不純な材料とは必然的に異なっている」ことを示す。例えば、In re Bergstrom,427 F.2d 1394,(CCPA 1970)(精製されたプロスタグランジンを考察)を参照されたく、In re Bergy,596 F.2d 952(CCPA 1979)(精製された微生物を考察)も参照されたく、Parke−Davis&Co.v.H.K.Mulford&Co.,189F.95(S.D.N.Y.1911)(精製されたアドレナリンを考察しているLearned Hand)、aff’d in part rev’d in part、196 F.496(2d Cir.1912)も参照されたく、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。さらに、いくつかの態様において、本開示は、単離されかつ生物学的に純粋な微生物培養物で見出されなければならないある特定の濃度の定量尺度、または純度制限を規定する。これらの純度値の存在は、ある特定の実施形態において、本明細書で開示されている微生物を、自然な状態で存在する微生物と区別するさらなる属性である。例えば、参照により本明細書に組み込まれるMerck&Co.v.Olin Mathieson Chemical Corp.,253 F.2d 156(4th Cir.1958)(微生物によって産生されるビタミンB12についての純度制限を考察)を参照されたい。
本開示のある特定の態様において、単離された微生物は、本明細書に説明する細菌の種または株の変異体またはバリアントの使用も包含する。本明細書で使用する場合、「変異体」および「バリアント」という用語は、参照される株のゲノム配列と少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する派生細菌株を含む。変異体およびバリアントは、とりわけ、自然な過程、変異誘発キャンペーン(mutagenesis campaign)、無作為培養、および遺伝子操作技術によって取得可能である。「変異体」という用語は本明細書において、「バリアント」という用語と交換可能に使用される。
本明細書で使用する場合、「個々の単離物」は、1つ以上の他の微生物からの分離後に、微生物の単一の属、種、または株の圧倒的に多い量を含む組成物、または培養物を意味するよう使用されるものとする。該句は、微生物が単離されたまたは精製された程度を示すよう使用されないものとする。しかしながら、「個々の単離物」は、微生物の実質的に唯一の属、種、または株を含むことができる。
本明細書で使用する場合、「プロバイオティクス」は、実質的に純粋な微生物(すなわち、単一の単離物)または所望の微生物の混合物を指し、微生物相を回復させるまたは変化させるために対象(例えば、ヒト)に投与することができる何らかの追加の構成要素も含むことができる。本開示のプロバイオティクスまたは微生物接種物組成物は、微生物が消化管の環境で生き残るようにする、すなわち、微生物が低pHに抵抗して消化管環境内で成長するようにする物質と共に投与することができる。いくつかの実施形態において、本組成物(例えば、微生物組成物)は、いくつかの態様においてプロバイオティクスである。
本明細書で使用する場合、「プレバイオティクス」は、1つ以上の所望の微生物の数および/または活性を増大させる物質を指す。本開示の方法において有用であり得るプレバイオティクスの非限定例としては、フルクトオリゴ糖(例えば、オリゴフルクトース、インスリン、インスリン型フルクタン)、ガラクトオリゴ糖、アミノ酸、アルコール、およびこれらの混合物が挙げられる。Ramirez−Farias et al.(2008. Br.J.Nutr.4:1−10)およびPool−Zobel and Sauer(2007.J.Nutr.137:2580−2584 and supplemental)を参照されたい。
本明細書で使用する場合、「生きているバイオ治療薬製品」または「LBP」は、1)細菌などの生きた生物を含有し、かつ2)疾患または状態の予防、処置、または治癒を必要とする対象の疾患または状態の予防、処置、または治癒に適用可能である、生物学的製品を指す。いくつかの実施形態において、LBPとは、臨床規制承認を受けることになるまたは受けた治療用組成物である。
2つ以上の細菌の「併用」には、同じ材料もしくは製品または物理的に接続した製品のいずれかにおける細菌の物理的な共存在、および異なる細菌の一時的な共投与または共局在が含まれる。
例えば、「配列同一性」という記載、「同一性百分率」という記載、「相同性百分率」という記載、または「と50%同一の配列」を含む記載は、本明細書で使用する場合、配列同士が、比較のウィンドウにわたってヌクレオチド対ヌクレオチドベースで同一である程度を指す。したがって、「配列同一性の百分率」は、比較のウィンドウにわたって2つの最適に整列した配列を比較すること、同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、I)が両配列内で生じる位置の数を決定して、一致した位置の数を得ること、一致した位置の数を比較のウィンドウ(すなわち、ウィンドウサイズ)における位置の総数で除すること、およびその結果に100を乗じて配列同一性の百分率を得ること、によって計算することができる。
本明細書で使用する場合、配列「同一性」は、当業者に既知の標準的な技術を用いて決定することができる。例えば、同一性は、blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiで公的に入手可能なオンラインアルゴリズムである「BLAST」プログラムを用いて決定してもよい。あるいはまたは加えて、2つの核酸配列の%同一性を決定するために、配列を最適な比較目的のために整列させることができる(例えば、最適な整列のために第1および第2の配列のうちの片方または両方にギャップを導入することができ、非同一配列の一部は、比較目的のために適宜無視することができる)。ある特定の実施形態において、比較目的のために整列した参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%である。次に、対応するヌクレオチド位置におけるヌクレオチドを比較する。この2つの配列間の同一性百分率は、2つの配列の最適な整列のために導入される必要のあるギャップ数と、各ギャップの長さとを考慮した、配列によって共有される同一の位置の数の関数である。
少なくとも2つの核酸の文脈における「実質的に類似の」および「実質的に同一の」という句は典型的には、参照ポリヌクレオチドとの比較において少なくとも約70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%または99.9%の配列同一性を有する配列を含むことを意味する。
宿主生物の「コロニー形成」には、細菌または他の微視的生物の非一過性滞在が含まれる。
「患者」、「対象」、および「個体」という用語は、交換可能に使用されることができ、ヒトまたは非ヒト動物のいずれかを指す。これらの用語には、ヒト、非ヒト霊長類、家畜(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、家禽)、伴侶動物(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、アナウサギ)および齧歯類(例えば、マウスおよびラット)などの哺乳類動物が含まれる。ある特定の実施形態において、該用語はヒト患者を指す。例示的な実施形態において、該用語は、例えば、2型糖尿病、高血糖、高インスリン血症、肥満、消化管炎症状態(例えば、IBD)、またはこれらのいずれかの組み合わせに罹患しているヒト患者を指す。
本明細書で使用する場合、「阻害することおよび抑制すること」ならびに類似の用語は、完全な阻害または抑制が必須であると解釈されるべきではないが、いくつかの実施形態においてはこのことが望ましい。したがって、「阻害された免疫応答」または「炎症性サイトカインの阻害」は、絶対的な阻害を必要としていない。
本明細書で使用する場合、「高血糖」という用語は、過剰のグルコースが血流中にある状態を指す。例えば、約125mg/dLまたは130mg/dLよりも高い(約7mmol/Lよりも高い)空腹時血糖値を使用して、対象における高血糖を診断することができる。
本明細書で使用する場合、「肥満」という用語は、過剰の体脂肪を特徴とする状態である。例えば、30以上のBMI(ボディマス指数、kg/m)は肥満であるとみなされる。
本明細書で使用する場合の「腸」という用語は、消化管(gastrointestinal tract)または消化管(digestive tract)(消化管(alimentary canal)ともいう)の全体を指し、該用語は、食物を摂取し、それを消化してエネルギーおよび栄養素を抽出し、残存廃棄物を排出する多細胞動物内の器官の系を指す。本明細書で使用する場合、「消化管」という用語は、口腔から直腸までの消化管全体を指す。「消化管」という用語には、口が含まれるがこれに限定されず、食道、胃、小腸、大腸、直腸および最終的には肛門へと進む。
本明細書で使用する場合、「治療有効量」という用語は、任意の医学的処置に適用可能な妥当な利益/リスク比で、処置された対象に治療効果を与える治療薬(例えば、本開示の微生物、生きているバイオ治療薬製品(LBP)、および/またはプロバイオティクス)の量を指す。このような治療効果は、客観的(すなわち、何らかの検査またはマーカーによって測定可能)であっても主観的(すなわち、対象は効果の徴候を示すか、または効果を感じる)であってもよい。いくつかの実施形態において、「治療有効量」は、関連する疾患もしくは状態を処置し、寛解させ、もしくは状態は予防する(例えば、その発症を遅延させる)こと、ならびに/あるいは疾患と関連した症状を寛解させること、疾患の発症を予防しもしくは遅延させること、および/または疾患の症状の重症度もしくは頻度も弱化させることによってなどの、検出可能な治療効果あるいは予防効果を呈するのに有効な治療薬または組成物の量を指す。
本明細書で使用する場合、「処置」(「処置する」または「処置すること」も)という用語は、特定の疾患、障害、および/または状態(例えば、消化管(GI)の慢性または再発性免疫応答および炎症、慢性または再発性高血糖)の1つ以上の症状または特色の発現を部分的にまたは完全に緩和し、寛解させ、軽減し、抑制し、その発症を遅延させ、低減するという点で所望の効果を達成する治療投与計画による治療薬(例えば、本開示の微生物、生きているバイオ治療薬製品(LBP)、および/またはプロバイオティクス)の任意の投与を指し、いくつかの実施形態においては、治療投与計画による治療薬の投与は、所望の効果の達成と相関している。このような処置は、関連する疾患、障害、および/もしくは状態の徴候を呈さない対象ならびに/または関連する疾患、障害、および/もしくは状態の早期徴候のみを呈する対象の処置であり得る。あるいはまたはそれに加えて、このような処置は、関連する疾患、障害、および/または状態の1つ以上の確立された徴候を呈する対象の処置であり得る。いくつかの実施形態において、処置は、関連する疾患、障害、および/または状態に罹患していると診断された対象の処置であり得る。いくつかの実施形態において、処置は、関連する疾患、障害、および/または状態の発症のリスク上昇と統計的に相関している1つ以上の感受性因子を有していることが既知である対象の処置であり得る。
本明細書で使用する場合、「薬剤」という用語は、ヒト医学および獣医学におけるヒトおよび動物での使用の両方のための薬剤を包含する。加えて、本明細書で使用する「薬剤」という用語は、治療上のおよび/または有益な効果を提供する何らかの物質を意味する。本明細書で使用する「薬剤」という用語は、市販承認を必要とする物質に必ずしも限定されないが、化粧品、栄養補助食品、食品(例えば、飼料および飲料を含む)、プロバイオティクス培養物、栄養補給剤、および天然薬において使用することができる物質を含むことができる。加えて、本明細書で使用する「薬剤」という用語は、動物飼料、例えば、家畜飼料および/またはペット飼料での組込みのために設計された製品を包含する。
「薬学的」は、組成物、微生物、試薬、方法、およびこれらに類するものが、薬学的効果をもたらすことができること、ならびに組成物を対象に安全に投与することができることも含意する。「薬学的に許容される」は、動物における安全な使用、より詳細にはヒトにおける安全な使用のために、連邦政府もしくは州政府の規制省庁によって認可されている、または米局薬局方もしくは他の一般に承認されている薬局方において列挙されることを意味する。「薬学的に許容されるビヒクル」または「薬学的に許容される賦形剤」は、本明細書に説明する微生物が共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤または担体を指す。薬学的組成物または追加の有効成分の調製は、参照により本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990によって例証されるように、本開示に照らして当業者に既知である。その上、動物(例えば、ヒト)への投与のために、調製物がFDA Office of Biological Standardsによって必要とされるような無菌性、発熱性、全身への安全性および純度標準を満たすべきであることは理解されるであろう。
本明細書に教示する治療用薬学的組成物は、1つ以上の天然産物を含み得るが、ある特定の実施形態において、治療用薬学的組成物はそれ自体、天然ではない。さらに、ある特定の実施形態において、治療用薬学的組成物は、自然界に存在し得る何らかの個々の天然対応物と比較して顕著に異なる特徴を有する。すなわち、ある特定の実施形態において、治療有効量の少なくとも1つの単離された微生物を含む本明細書に教示する薬学的組成物は、自然界に存在し得る何らかの単一の個々の構成要素と比較して、顕著に異なる特徴を組成物へ全体として付与する少なくとも1つの構造的および/または機能的な特性を有する。裁判所は、自然界に存在し得る何らかの個々の構成要素と比較して顕著に異なる特徴を有する天然産物を含む組成物が法定の対象物であるとの判決を下した。したがって、教示される治療用薬学的組成物は全体として、顕著に異なる特徴を有している。これらの特徴は、本明細書で教示するデータおよび例において説明されている。
本開示の詳細は、本明細書で明らかにされる。本明細書に説明する方法および材料と類似のまたは等価の方法および材料を本開示の実施または検査において使用することができるが、実例となる方法および材料を次に説明する。本開示の他の特色、目的、および利点は、本明細書からおよび特許請求の範囲から明らかとなる。
代謝上の健康に有益な消化管細菌
腸マイクロバイオームの組成物は、代謝疾患および代謝障害(Eid et al.,2017,Front Pharmacol,8:387)、心血管疾患(Tang et al.,2017,Circ Res,120:1183−1196)、および肝疾患(Henao−Mejia et al.,2013,J Autoimmun,46:66−73)を含む種々の疾患および障害と密接に関連していることが実証されており、動物モデルを含むヒトおよび動物の両方において血糖制御の変化(Palau−Rodriguez,2015,Front Microbiol,6:1151)と連関していた。
グルコース恒常性とは、いくぶん狭い生理学的限界内での耐グルコース能の維持である。耐グルコース能を維持することができないことは、インスリン抵抗性を含むがこれに限定されないいくつかの有害な下流効果に寄与する可能性がある。インスリン抵抗性とは、膵細胞によって血流中へと分泌されたインスリンを適宜使用することができる筋肉、脂肪または肝臓の細胞の能力の低下である。結果として、同量のグルコースを処理するためにより多くのインスリンを産生し、結果として高インスリン血症を生じることがある。インスリン抵抗性とグルコース恒常性の乏しさとの組み合わせは結果として、高血糖および高インスリン血症の両方を生じて、2型糖尿病(T2DM)のリスクをもたらす可能性がある。非常に高い血糖値の短期合併症には、ケトアシドーシス(血中のケトンの有害な蓄積)および高浸透圧性非ケトン性症候群が含まれる。T2DMの長期合併症には、糖尿病性網膜症、腎疾患、糖尿病性神経障害、および大血管における問題が含まれる。
代謝障害に罹患している人の腸マイクロバイオームと、対応する健常者の腸マイクロバイオームとの比較を含め、代謝障害に罹患している人の腸マイクロバイオームを分析するために、数多くの研究が行われてきた。このような研究を実施するために、関心対象の対象由来の糞便物質を収集し、分析して、糞便中の細菌の種類および時には相対的な量を決定する。結果として生じるデータは、各対象の腸マイクロバイオームを示す。試料中に存在する具体的かつ個々の細菌を分子要素および計算要素の組み合わせを包含するいくつかの方法によって決定する。具体的には、細菌は、(ヌクレオチドマイクロアレイによるまたは配列決定による)独特な微生物16SリボソームRNA(rRNA)配列の特定によって、または全ゲノムショットガン配列決定および集合を採用することができるメタゲノミクス分析を経て特定されることができる。各方法の結果は、試料調製およびPCR増幅から、各プログラムについて選択された実験データおよびパラメータを解析するために使用されるソフトウェアプログラムまでに及ぶいくつかの変数に従属している。
対象の代謝上の健康における機能的重要性を有する細菌株を特定するために、代謝障害に罹患している対象に由来する腸マイクロバイオームの収集および特徴づけを含む研究を解析した。このような研究には、2型糖尿病と診断された対象対健常患者における腸微生物相(Qin et al.,2012,Nature 490:55−60、Forslund et al.,2015,Nature,528:262−266)、Roux−en−Y胃バイパス手術を受ける前後の対象に由来する腸微生物相(Sweeney and Morton,2013,JAMA Surg,148:563−569、Tremaroli et al.,2015,Cell Metab,22:228−238)、および健常な対象、またはBMI、HbA1c、コレステロール値、もしくは耐グルコース能などの種々の代謝疾患マーカーと相関している潜在性臨床疾患に罹患していると決定された対象に由来する腸微生物相(Karlsson et al,2013,Nature 498:99−103、Zeevi et al,2015,Cell,163:1079−1094、Yassour et al,2016,Genome Med,8:17)の比較が含まれる。微生物の存在を、多様性および量の両方の点で特徴づけた。選択された研究からの16s rRNAおよびメタゲノム配列データを独立して解析し、罹患している対象の腸内で認められる傾向がより強い細菌種と比較して、健常対象の腸内で認められる傾向がより強い細菌種を特定した。
健常個体と潜在的に有意に関連していると特定された細菌株を取得し、培養し、および分析して、代謝障害に特徴的な生理学的パラメータを改善する該細菌株の能力を検査した。これらの実験研究から、組み合わされた組成物におけるR.ホミニスおよびE.エリゲンスの投与が、確立された肥満モデルであるob/obマウスへ投与されると、血中グルコース値の低減をもたらすことが決定された(後の実施例1を参照されたい)。ob/obマウスはレプチンを欠き、過剰に食餌する。結果として、マウスは肥満となり、過食、高血糖の糖尿病様症候群、耐糖能障害、血漿インスリン上昇、平均以下の出生率、創傷治癒低下、ならびに下垂体および副腎の両方からのホルモン産生の上昇などの他の症状を呈する。その上、グルコース負荷試験(GTT)において、未処置の対象に対してグルコース値が低減した。したがって、本データは、生きたR.ホミニスおよびE.エリゲンスの組み合わせを含む組成物が、処置された対象のグルコース恒常性を改善し、血中グルコースを低減するのに有効であることを実証する。
代謝症候群関連障害に対する処置の効果を試験する別の一般的な方法は、脂肪約60%および炭水化物20%である食餌を与えられるC57BL/6Jマウスなどの高脂肪食誘導マウスモデルを使用することである。C57BL/6Jマウスは、この高脂肪食餌で維持したとき、肥満、2型糖尿病、および粥状硬化に易罹患性である(Collins et al.,2004,Physiol Behav,81:243−248)。
加えて、腸上皮関門機能に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置の効果を評価するために実験が実施された。具体的に、腸上皮関門の完全性を低下させることが知られている物質であるデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)により処置したマウスおよびob/obマウスに、R.ホミニスおよびE.エリゲンスを投与した(それぞれ、実施例4および5を参照されたい)。ob/obマウスを処置するために使用されたとき、R.ホミニスおよびE.エリゲンスの効果は観察されなかったが、DSSにより処置されたマウスへのR.ホミニスおよびE.エリゲンスの投与は、腸上皮関門透過性の低減、リポ多糖結合タンパク質(LBP)の低減、DSSの有害作用による体重減少の低減、および臨床スコアの減少(すべてこの大腸炎のマウスモデルにおけるR.ホミニスおよびE.エリゲンス処置の有益な効果の証拠である)をもたらした。したがって、潰瘍性大腸炎およびクローン病を含むがこれらに限定されない炎症性腸疾患に罹患した対象を処置するための方法が本明細書に提供され、またR.ホミニスおよびE.エリゲンスを含む組成物を対象に投与することを含む方法も提供される。
治療に有効な生菌
代謝障害または炎症性腸疾患に罹患している対象を処置するのに有用な細菌組成物は、生きたR.ホミニスおよびE.エリゲンスを含むことができ、それらの各々は後でさらに説明される。
いくつかの実施形態において、本明細書で教示される微生物は、16S rRNA遺伝子配列を利用して特定される。rRNA大サブユニット16Sの一次構造は、異なる速度で進化し、ドメインなどの非常に古代の系譜と属などのより現代の系譜との両方の解明を可能にする保存領域、可変領域、および超可変領域の特定の組み合わせを含む。16Sサブユニットの二次構造には、残基の約67%の塩基対形成を結果として生じるおよそ50のらせんが含まれる。超可変領域は、細菌の特定に有用な種特異的/株特異的なシグネチャー配列を提供することができる。先の数十年にわたって、16S rRNA遺伝子は、最も配列決定された分類学上のマーカーとなっており、細菌および古細菌の現行の系統的な分類のための基礎である(Yarza et al.2014.Nature Rev.Micro.12:635−645)。
微生物は、利用可能な表現型データおよび遺伝子型データをすべてコンセンサス分類へと組み込む多相分類学に基づいた属へと分類することができる(Vandamme et al.,1996,Microbiol Rev,60:407−438)。いくつかの実施形態において、2つの16S rRNA遺伝子についての94.5%以下の配列同一性は、異なる属の強力な証拠であり、86.5%以下は異なる科の強力な証拠であり、82%以下は異なる目の強力な証拠であり、78.5%は異なる綱の強力な証拠であり、かつ75%以下は異なる門の強力な証拠である。また、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%超の同一性を共有する集団は、同じ種のバリアントであるとみなすことができる。種を規定するための別の容認された遺伝子型法は、本開示のマーカー遺伝子を単離すること、これらの遺伝子を配列決定すること、かつ複数の単離物またはバリアントに由来するこれらの配列決定された遺伝子を整列させることである。
種を規定するための別の容認された遺伝子型法は、全体的なゲノムの関連性に基づいており、それにより、標準条件下で5℃以下のΔT(相同雑種と非相同雑種との間の融点における差)で、DNA間ハイブリッド形成を用いておよそ70%以上の関連性を共有する株は、同じ種のメンバーであるとみなされる。
本明細書で開示する細菌株(R.ホミニスおよびE.エリゲンス)およびそれらのバリアントは、少なくとも1つの16S rRNA配列を、参照株ゲノム配列の対応する16S rRNA配列と一部または全体で比較することにより特徴づけられ得る。概して、細菌株ゲノム配列は、16S rRNA配列の複数のコピーを含有することになる。16S rRNA遺伝子配列は、多数の株について決定されてきた。GenBank(www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank/)は、2000万を超える寄託配列を有し、そのうち、90000超は16S rRNA遺伝子である。細菌16S rRNA遺伝子配列の比較は、好ましい遺伝子技術として出現してきており、新たな株は、例えば、BLAST(blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)を用いて、配列と既知の細菌DNA配列との比較によって特定することができる。手短には、16S rRNA配列の比較によって、種および亜種のレベルを含む複数のレベルの株を分類することに加えて、細菌のすべての主要な門にわたる属のレベルで生物間の分化が可能となる。
ロゼブリア・ホミニス(R.ホミニス)
ファーミキューテス門内の系統学的クラスターXIVaの共生腸嫌気性生物であるR.ホミニスは、ヒトの腸内の主要細菌群であり、主な酪酸産生菌でもある。研究により、ロゼブリア種のいくつかの重要なゲノムが非常に異なることが示されており、機能性が多様であることが示されている。細菌種R.インテスティナリス(R.intestinalis)、R.ホミニス、およびE.レクタル(E.rectale)(それらすべてが酪酸産生菌である)を含むクロストリジウムクラスターXIVaの細菌は、腸細胞に対して非常に異なる特徴的な効果を誘導することができるが、相乗的な好ましい効果も有し得る。
いくつかの実施形態において、R.ホミニスは、GenBankアクセッション番号CP003040(またGenBank RefSeqアクセッション番号NC_015977)からのR.ホミニス 16S rRNA遺伝子配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または99.9%同一である16S rRNA遺伝子配列を含む。CP003040は、アクセッション番号DSM l6839でLeibniz Institute DSMZ−German Collection of Microorganisms and Cell Culturesにおいて入手可能なR.ホミニス株A2−183(別名、A2−183T)のゲノム配列を含有する。R.ホミニスの16S RNA遺伝子配列は、GenBankアクセッション番号CP003040内で、位置25,465〜26,999(配列番号1)、625,894〜627,428(配列番号2)、1,035,384〜1,036,918(配列番号3)、および3,095,887〜3,097,421の補集合(配列番号4)に位置する。本開示の実施例1〜5に使用される細菌種は、ロゼブリア・ホミニス株A2−183である。
Duncan et al.(2006,Int.J.Syst.Evol.Microbiol,56:2437−2441)に記載されるE.エリゲンスと細菌種R.ホミニスとの組み合わせ、および/またはTravis et al.(2015,Genome Announcements 3(6))に記載されるR.ホミニスも本明細書において企図される。
ユーバクテリウム・エリゲンス(E.エリゲンス)
ファーミキューテス門内の系統学的クラスターXIVaの共生腸嫌気性生物であるユーバクテリウム・エリゲンスは、ヒトの腸内の主要細菌群であり、酪酸産生菌でもある。
細菌種ロゼブリア・インテスティナリス、ユーバクテリウム・シラエウム(Eubacterium siraeum)、およびユーバクテリウム・レクタルを含むクロストリジウムクラスターXIVaの細菌は、腸細胞に対して非常に異なる特徴的な効果を誘導することができるが、相乗的な好ましい効果も有し得る。
いくつかの実施形態において、E.エリゲンスは、GenBankアクセッション番号NC_012778からのE.エリゲンス 16S rRNA遺伝子配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または99.9%同一であるE.エリゲンス 16S rRNA遺伝子配列を含む。NC_012778は、E.エリゲンスの完全なゲノム配列(アクセッション番号DSM 3376でLeibniz Institute DSMZ−German Collection of Microorganisms and Cell Culturesにおいて入手可能な株C15−B4)を含有する。E.エリゲンスの16S rRNA遺伝子配列は、例えば、GenBankアクセッション番号NC_012778内で、位置15,553〜17,092(配列番号5)、413,145〜414,685(配列番号6)、697,427〜698,966(配列番号7)、872,234〜873,773(配列番号8)、および2,029,850〜2,031,389(配列番号9)において特定されている。GenBankアクセッション番号L34420は、E.エリゲンス 16S rRNA配列を説明しており、本明細書において、配列番号10として提供される。本開示の実施例1〜5に使用される細菌種は、E.エリゲンス株C15−B4である。
追加のE.エリゲンス株のゲノム配列は、GenBankアクセッション番号NZ_CZBU00000000およびNZ_CZBV00000000において認めることができる。他の実施形態において、細菌種は、Mahowald et al.(2009,Proc Natl Acad Sci USA 106:5859−5864)に記載されるE.エリゲンスである。
本開示は、本開示の株の遺伝材料を変更するための遺伝子操作技術または本開示の株の遺伝材料を他のポリヌクレオチドと組換えることによって取得したものを含む、本明細書に説明する細菌の種または株のバリアントの使用も包含する。このようなバリアント株を取得するために、当業者は、UV照射または変異原性化学物質への曝露などの標準的な変異原性技術を使用することができる。本開示は、上述の配列同一性をGenBankアクセッション番号CP003040またはNC_012778の配列と共有する合成由来のゲノムを保有する任意の微生物をさらに含む。したがって、本開示には、天然に単離された、組換え作出された、および合成由来の微生物が含まれる。
いくつかの実施形態において、バリアントには、参照される株(例えば、E.エリゲンス GenBankアクセッション番号NC_012778および/またはR.ホミニス GenBankアクセッション番号CP003040)のポリヌクレオチド配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、または99.999%同一であるゲノム配列を有する変異体または派生細菌株が含まれる。配列比較を実施することができるソフトウェアの例としては、例えば、BLASTパッケージ(Ausubel,et al.1999 Short Protocols in Molecular Biology,4th Ed−Chapter 18を参照されたい)、BLAST 2(FEMS Microbial Lett 1999 174(2):247−50;FEMS Microbial Lett 1999 177(1):187−8を参照されたい)、FASTA(Altschul,et al.1990 J Mol Biol 403−410)、およびAlignXが挙げられるが、これらに限定されない。
したがって、本開示の微生物は、GenBankアクセッション番号CP003040またはNC_012778において示される配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、または99.999%同一であるゲノム配列を含み、後でさらに詳細に説明するように、健康を改善する必要のある対象の健康を改善する機能的能力も有する。
いくつかの実施形態において、本開示の微生物は、GenBankアクセッション番号CP003040またはNC_012778において示される配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、または99.999%同一であるゲノム配列を含み、血中グルコース値を低減する、腸上皮関門透過性を低減する(すなわち、対象における(またはインビトロ細胞アッセイにおける)消化管上皮細胞関門機能を高める、および/または対象に投与したとき、炎症促進性サイトカインを低減する機能的能力も有する。いくつかの態様において、本開示の微生物は、対象に投与したとき、TNF−αおよび/またはIL−23を低減することができる。追加の、または代替えの実施形態において、R.ホミニスおよびE.エリゲンス、またはそれらのバリアントを含む組成物は、対象に投与したとき、抗炎症性サイトカインを増加させる機能的能力も有する。例えば、本開示による組成物は、対象に投与したとき、血中のIL−10を増加させることができる。
炎症性腸障害または腸疾患に罹患している対象を処置するために使用されるとき、R.ホミニスおよびE.エリゲンス、またはそれらのバリアントを含む組成物の投与は、例えば、該組成物を投与されないIBDに罹患している対象と比較して、体重減少もまた予防する、または代替的に体重減少を予防し得る。いくつかの実施形態において、該組成物の投与は、対象の消化管粘膜関門の機能性を高める。結腸において、外粘液層は、共生細菌の生息環境である。内粘液層は、細菌を通さず、表面杯細胞により毎時再生される。したがって、粘膜層の増加は、プロバイオティクスまたは生きているバイオ治療薬製品(LBP)、例えば、R.ホミニスおよびE.エリゲンス、またはそれらのバリアントを含むものによる処置の利点である。
いくつかの実施形態において、本開示の微生物は、GenBankアクセッション番号CP003040またはNC_012778において示される配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、または99.999%同一であるゲノム配列を含み、クローン病もしくは潰瘍性大腸炎疾患などの炎症性腸疾患の少なくとも1つの副作用を改善するか、または少なくとも1つの症状を寛解させることを必要とする患者に投与したとき、クローン病もしくは潰瘍性大腸炎疾患などの炎症性腸疾患の少なくとも1つの副作用を改善するか、または少なくとも1つの症状を寛解させる機能的能力も有する。
いくつかの実施形態において、本開示の微生物は、GenBankアクセッション番号CP003040またはNC_012778において示される配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、または99.999%同一であるゲノム配列を含み、少なくとも1つの副作用を改善するか、または少なくとも1つの症状を寛解させるか、またはグルコース恒常性および/もしくは糖制御を改善および/もしくは調節することを必要とする患者に投与したとき、少なくとも1つの副作用を改善するか、または少なくとも1つの症状を寛解させるか、またはグルコース恒常性および/もしくは血糖制御を改善および/もしくは調節する機能的能力も有する。
R.ホミニスおよびE.エリゲンスの治療的使用
対象のマイクロバイオームが代謝障害の素因または発生率に影響することができまたは関連することができることを、ますます多くの研究が示している(総説については、例えば、Eid et al.,2017,Front Pharmacol,8:article 387、Johnson et al.,2017,J Mol Med,95:1−8、Yang and Kweon,2016,BMB Rep,49:536−541)を参照されたい)。代謝障害に罹患している対象に、R.ホミニスおよびE.エリゲンスの両方を生細菌として含有する組成物を投与することによって代謝障害を処置するための方法が本明細書に提供される。後に提供する実施例は、これらの細菌の投与が、動物において血中グルコース値を低減することができ、かつ耐グルコース能を高めることができることを示す。グルコース恒常性におけるこの改善は、幾多の代謝疾患および代謝障害がグルコース恒常性機能不全と連関しているので、組成物が幾多の代謝疾患または代謝障害の処置において有用であることを示す。本明細書に開示するようなR.ホミニスおよびE.エリゲンスを含んでいる組成物により処置することができるこのような代謝疾患および代謝障害は、後でより詳細に説明される。これにより、本明細書に開示するようなR.ホミニスおよびE.エリゲンスを含んでいる組成物が、これらの疾患および障害の1つ以上の症状を低減するか、寛解させるか、または逆転させることがさらに可能である。
したがって、治療有効量または予防有効量の本明細書に説明するような微生物(複数可)を、疾患または状態の少なくとも1つの症状を処置し、予防し、または寛解させることを必要とする対象、すなわち、該疾患もしくは状態、または該疾患もしくは状態の少なくとも1つの症状に罹患しているもしくは発症するリスクのある対象に投与することを含む、疾患または状態の少なくとも1つの症状を処置し、予防し、または寛解させるための方法が提供される。
メタボリックシンドロームとは、血圧上昇、高血糖(high blood sugar)(高血糖(hyperglycemia))、過剰な腹囲体脂肪を含む肥満、および異常なコレステロール値またはトリグリセリド値を含むひとまとまりの状態を指すために使用される用語である。これらの状態は、一緒に生じる傾向があり、心疾患、卒中および糖尿病のリスクを高める可能性がある。状態のうちのいずれか1つは、2型糖尿病または粥状硬化などの重篤な疾患の素因を示す可能性がある。
高い血中グルコース値の状態である高血糖は、代謝の変化の特徴である。高血糖の影響は、細胞レベルでいくつかの決定的な過程を損ない、そして組織特異的な様式の有害作用(例えば、失明)、器官全体の有害作用(例えば、腎疾患)、および全身的な宿主効果の様式の有害作用(例えば、ケトアシドーシス、昏睡、死亡など)さえも有するため、複数のレベルで致命的である。
T2DMおよび/または肥満に罹患しているまたはその素因のある対象は、正常よりも高い空腹時血中グルコース値、例えば、約125mg/dL超または130mg/dL超を呈する可能性がある(例えば、Pippitt et al.,2016,Amer Fam Physic,93:103−109を参照されたい)。空腹時血中グルコース値は、少なくとも8時間絶食した対象における血中グルコースの測定である。R.ホミニスおよびE.エリゲンスによる療法から利益を得ることができる対象には、約125mg/dL、130mg/dL、140mg/dL、150mg/dL、160mg/dL、170mg/dL、180mg/dL、190mg/dLまたは200mg/dLよりも高い空腹時血中グルコース値を有すると決定された対象が含まれる。したがって、高血糖または血中グルコース値を低減する必要のある対象における高血糖または血中グルコース値を低減する方法が本明細書において想定され、R.ホミニスおよびE.エリゲンスを含む組成物の投与は、対象における空腹時血中グルコース値を125mg/dL未満、130mg/dL未満、140mg/dL未満、または150mg/dL未満の値まで低減する。
これらの対象は、耐糖能不全を有する、例えば、75g経口グルコース負荷試験における2時間血漿グルコースが約140〜199mg/dL(1Lあたり7.8〜11.0mmol)である可能性がある。空腹時血中グルコース値の決定は、R.ホミニスおよびE.エリゲンスを含む組成物の対象への初回投与の1〜7日または1〜4週間前に実施することができる。R.ホミニスおよびE.エリゲンスによる療法から利益を受けることができる対象には、75グラム経口グルコース負荷試験(OGTT)についての2時間値が約140mg/dL、150mg/dL、160mg/dL、170mg/dL、180mg/dL、190mg/dL、または200mg/dLを超えると決定された対象が含まれる。
あるいは、高血糖に罹患している対象は、食後に生じる食後高血糖または反応性高血糖を有する可能性がある。食後高血糖または反応性高血糖とは、食後1〜2時間で約180mg/dLを上回る血中グルコース値である。したがって、高血糖または血中グルコース値を低減する必要のある対象における高血糖または血中グルコース値を低減する方法が本明細書において想定され、R.ホミニスおよびE.エリゲンスを含む組成物の投与は、食事の1または2時間後に測定すると、180mg/dL未満、190mg/dL未満、200mg/dL未満、または210mg/dL未満の値まで食後血中グルコースを低減する。
高血糖の症状は、頭痛、排尿の増加、口渇、吐き気、霧視、体重減少、疲労、および昏睡であり得る。高血糖は、膵臓のインスリン産生β細胞がインスリンを生成することができない、または生成して血流中へ分泌するインスリンの量が低減する状態である低インスリン血症によって発症し得る。このような場合、血糖値は劇的に上昇して、高血糖をもたらす。高血糖は、血中で利用可能なインスリンの一部もしくは全部が身体の細胞の受容体へ結合し損なうこと、および/または細胞内のインスリンの内部移行の低減に起因する可能性もある。したがって、高血糖の1つ以上の症状を低減させ、寛解させ、または逆転させる方法が本明細書に提供される。
糖尿病とは、糖、すなわちグルコース、および身体の代謝に関与する他の化合物を身体が適切に利用することができないことを主として包含する人体の代謝上の化学的障害である。糖尿病は、血中の糖濃度の上昇および尿中での糖の出現を特徴とする。世界人口の1.5〜2%がある種の糖尿病に罹患していると概算されている。一般的な用語において、糖尿病は、3つの主要な種類、すなわち、1型糖尿病、耐糖能不全(IGT)および2型糖尿病(T2DM)へと分類される。1型糖尿病のほとんどの場合、膵臓内のβ細胞は、おそらく自己免疫反応を経て、人の血流中へとインスリンを産生しなくなる。インスリンは、生命維持に重要であり、その理由は、代謝過程の一部として血中の糖の適切な利用および完了が可能となるからである。
耐糖能不全およびT2DMにおいて、膵臓はインスリンを産生し続けるが、インスリンは、適切な細胞受容体へ結合できない可能性があり、および/または細胞内でのインスリンの内部移行が低減する可能性がある。このような場合、血中には十分なレベルのインスリンがあり得るが、内部移行するインスリンの低減のため、グルコースを取り込む細胞の能力が低減しているかまたは存在しない。
T2DMは、高血糖の最も一般的な原因のうちの1つである。大規模DCCT試験(The Diabetes Control and Complications Trial Research Group(1993)N.Engl.J.Med.329,977−986を参照されたい)は、慢性的に高値の血中グルコースが、いくつかの糖尿病状態における合併症の発症に潜む主因であると結論付けた。米国におけるDCCT試験によって、慢性的に高値の血中グルコースが糖尿病の合併症の発症の主な理由であり、余命の低下をもたらすことが明らかになった。一例として、冠動脈性心疾患のリスクを伴う心血管死は、この集団において2〜4倍高まった。糖尿病の合併症の例としては、網膜疾患におそらく顕著である小血管および大血管の損傷、失明、腎不全、および四肢の喪失に至ることがあるまたはない腎症、ならびに心血管疾患のリスクの上昇が挙げられるが、これらに限定されない。
ヒトにおける1型糖尿病、IGT、または2型糖尿病の有無は通常、経口グルコース負荷試験(OGTT)によって決定される。OGTTとは、空腹時の個体に口から既知の量のグルコース(糖)を与えられる検査であり、血液を一定間隔で検査して、その後、血糖の量を記録する。次に、個体についての重要な情報を描くことができる曲線を構築する。グルコース負荷試験曲線は典型的には、個体が高血糖(糖尿病性)であるかどうかまたは個体が血中にあまりにも少量の糖を有していてそれゆえ低血糖であるかどうかを示すことになる。後の実施例2は、ob/obマウスへのR.ホミニスおよびE.エリゲンスの投与がグルコースAUC(曲線下面積)の減少によってみられる耐グルコース能を高めたことを示す。
R.ホミニスおよびE.エリゲンスの投与が対象の血中グルコース値を低減し、耐グルコース能(およびグルコースの恒常性)を高める能力を鑑みて、本明細書において、R.ホミニスおよびE.エリゲンスを含む組成物、ならびにこれらの組成物を用いて、高血糖、高インスリン血症、高脂血症、インスリン抵抗性、インスリン不応症、糖代謝不全、耐糖能不全、2型糖尿病、肥満、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、足部潰瘍、代謝性アシドーシス、白内障、糖尿病性腎症、糸球体硬化、糖尿病性神経障害、勃起障害、月経前症候群、血管再狭窄、冠動脈性心疾患、高血圧、狭心症、心筋梗塞、卒中、皮膚および結合組織障害、関節炎、骨粗鬆症、およびこれらの組み合わせに罹患している対象を処置することが、提供される。上述に列挙した障害のうちのいずれかの1つ以上の症状を低下させ、寛解させ、および/または逆転させるための方法も提供される。このような症状には、例えば、頭痛、霧視、頻尿、口渇、吐き気、体重減少、疲労、および昏睡が含まれる。
対象がヒト、非ヒト霊長類、またはイヌおよびネコなどのペット、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、ウサギなどの家畜、ならびに齧歯類(マウスおよびラット)などの他の動物、またはそれを必要とするその他の動物を含むがこれらに限定されない他の動物であり得ることは理解される。
ディスバイオシスは、炎症および免疫などの他の生理学的性質に及ぼす有害作用を有することも既知である。したがって、プロバイオティクスまたは生きているバイオ治療薬製品を用いた療法の有益な効果が、単一の障害を越えて拡大することは大いにあり得る。例えば、代謝障害と関連した症状を処置するためのR.ホミニスおよびE.エリゲンスを含む組成物の投与は、クローン病または潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患を含む炎症性障害などの他の障害に対しても有益な効果を有し得る。いくつかの実施形態において、炎症性障害と診断された対象に、R.ホミニスおよびE.エリゲンスを含む組成物を投与することを含む方法が提供される。炎症性障害の一例は、炎症性腸疾患(IBD)である。IBDには、例えば、潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)が含まれる。したがって、いくつかの実施形態において、該方法は、IBDと診断された対象に、R.ホミニスおよびE.エリゲンスを含む組成物を投与することを含む。他の実施形態において、IBDは、UCまたはCDである。
IBDを処置する上で有効であるとして本開示による組成物の有効性を検査するための1つの手段は、腸上皮関門疾患のインビトロアッセイである。消化管上皮関門の完全性は、細胞単層の電気抵抗を測定する経上皮/経内皮電気抵抗(TEER)アッセイを用いたインビトロ実験系において測定することができる。この非常に感受性が高くかつ信頼可能な方法は、単層の完全性および透過性を決定する。TEERアッセイの背景情報は、例えば、Dewi,et al.(2004)J.Virol.Methods.121:171−180,and in Mandic,et al.(2004)Clin.Exp.Metast.21:699−704において入手可能である。経内皮細胞アルブミン透過性アッセイに関するガイダンスは、例えば、Dewi,et al.(2008)J.Gen.Virol.89:642−652において入手可能である。スタウロスポリンとは、TEERアッセイにおいて対照として使用することができる試薬である。したがって、いくつかの実施形態において、R.ホミニスおよびE.エリゲンスを含む組成物により腸上皮関門機能の完全性を高めるための方法が提供され、該方法は、TEERアッセイにおいて電気抵抗を、R.ホミニスおよびE.エリゲンスの不在下でのTEERアッセイの試行と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%高める。
本明細書に開示する組成物および方法の治療有効性は、処置される徴候に関連する症状の低減を包含することができる。例えば、2型糖尿病と診断され、それについて処置されている対象は、口渇および痒感性皮膚、霧視、酵母感染の発症ならびに足または脚における疼痛またはしびれ感からなる群から選択される1つ以上の症状の低減が見られる。症状の低減は、24時間の間に対象がその症状(複数可)を経験する回数の低減であり得る。1つ以上の症状における低減は、例えば、処置の開始後約1〜2か月、1〜5か月、または6〜12か月にわたって観察することができる。
R.ホミニスおよびE.エリゲンスを含む組成物
本開示の微生物組成物は、それを必要とする対象に、全身の健康および快適性を高めならびに/または代謝障害もしくは本明細書に説明するような腸上皮関門機能の低減と関連する障害などの疾患もしくは障害を処置しもしくは予防するために投与することができる。いくつかの実施形態において、微生物組成物は、生きているバイオ治療薬製品(LBP)であるのに対し、他の実施形態において、微生物組成物は、プロバイオティクスである。いくつかの実施形態において、微生物(R.ホミニスおよびE.エリゲンス)のうちの1つまたは両方を単離し、対象の外側で培養して、微生物の数または濃度を増加させ、それによりその微生物集団を含む組成物の治療有効性を高めた。
いくつかの実施形態において、微生物組成物は、生菌集団の形態にある。生きた集団は、例えば、凍結され、凍結保護されまたは凍結乾燥されていることができる。他の実施形態において、微生物組成物は、非生菌調製物、またはその細胞構成要素を含む。いくつかの実施形態において、微生物組成物が非生菌調製物である場合、例えば、熱殺菌細菌、照射細菌および溶解細菌から選択される。
いくつかの実施形態において、細菌種は、生物の他の種を実質的に含まない、生物学的に純粋な形態にある。いくつかの実施形態において、細菌種は、生物の単一種の培養物の形態にある。
本開示によるR.ホミニスおよびE.エリゲンスを含む組成物は、対象に投与するために適したいくつかの容認されたプロバイオティクスまたは生きているバイオ治療薬製品(LBP)送達系のうちのいずれかであり得る。重要なことに、R.ホミニスおよびE.エリゲンスの生きた集団の送達のための組成物は、微生物の生存度を維持するために製剤化されなければならない。いくつかの実施形態において、組成物は、胃の酸性環境から細菌を保護する要素を含む。いくつかの実施形態において、組成物には腸溶性コーティングが含まれる。
いくつかの実施形態において、組成物は、食物を基にした製品である。食物を基にした製品は、例えば、ヨーグルト、チーズ、乳、食肉、クリーム、またはチョコレートであり得る。このような食物を基にした製品は、可食性とみなすことができ、このことは、ヒトまたは動物の消費のために承認されていることを意味する。
本開示の一態様は、先に定義した細菌種を含む食品に関する。「食品」という用語は、固体、ゼリー状または液体であり得るすべての消費可能な製品を網羅するよう企図される。適切な食品には、例えば、機能的食品、食物組成物、ペットフード、家畜用食餌、健康食品、飼育原料、およびこれらに類するものが含まれてもよい。いくつかの実施形態において、食品は、処方された健康食品である。
本明細書で使用する場合、「機能的食品」という用語は、栄養効果だけでなく消費者へさらなる有益な効果を送達することもできる食物を意味する。したがって、機能的食品とは、純粋な栄養効果以外の具体的な機能的、例えば、医学的または生理学的有益性を食物に付与する構成要素または構成要素へ組み込まれた成分(本明細書に説明する成分など)を有する普通の食物である。
本開示へ適用可能な具体的な食品の例としては、ヒトのための、乳を基にした製品、すぐに食べられるデザート、例えば、乳もしくは水で再構成するための粉末、チョコレートミルク飲料、麦芽飲料、すぐに食べられる料理、即席で作れる料理もしくは飲料、またはヒト、ペット、もしくは家畜のために企図された完全食もしくは部分食を表す食品組成物が挙げられる。
一実施形態において、本開示による組成物は、ヒト、ペットまたは家畜のために企図された食品である。組成物は、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、または家禽からなる群から選択される動物のために企図されてもよい。別の実施形態において、組成物は、成体種、特に成人のために企図された食品である。
本開示の別の態様は、先に定義した細菌種を含有する食品、栄養補助食品(dietary supplement)、栄養補助食品(nutraceutical)、栄養調合物、飲料および薬剤ならびにこれらの使用に関する。
本開示において、「乳を基にした製品」は、種々の脂肪含有量を有する何らかの液体または半固体の乳または乳清を意味する。乳を基にした製品は、例えば、牛乳、ヤギ乳、羊乳、スキムミルク、全乳、粉乳から再構成された乳、およびいかなる加工もしていない乳清、またはヨーグルト、凝乳、カード、サワーミルク、サワー全乳、バターミルク、および他のサワーミルク製品であり得る。別の重要な群には、乳清飲料、発酵飲料、コンデンスミルク、幼児もしくは乳児用の乳、風味付き乳、アイスクリーム、菓子などの乳含有食物が含まれる。
微生物組成物は、錠剤、咀嚼錠剤、カプセル剤、スティックパック、散剤、または発泡剤であり得る。組成物は、細菌を含有する被覆したビーズを含むことができる。散剤は、投与のために水などの飲料用液体中に懸濁または溶解することができる。
いくつかの実施形態において、微生物組成物は、単離された微生物を含む。単離された微生物は、1つ以上の追加の物質(複数可)と共に組成物中に含まれることができる。例えば、単離された微生物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤(複数可)と共に医薬組成物中に含まれることができる。
いくつかの実施形態において、微生物組成物は、ヒトの健康を促進しまたは改善するために使用することができる。いくつかの態様において、微生物組成物は、腸の健康を改善するために使用することができる。いくつかの態様において、微生物組成物は、食欲を調節するために使用することができる。いくつかの態様において、微生物組成物は、血中グルコース値を調節するために使用することができる。いくつかの態様において、微生物組成物は、インスリンの感度を調節するために使用することができる。いくつかの実施形態において、開示された微生物組成物は、対象における食欲を調節するために使用される。
本明細書に説明する微生物は、予防用途においても使用することができる。予防用途において、本開示による細菌種または組成物は、特定の疾患に易罹患性の患者またはさもなくば該疾患のリスクのある患者に、疾患を発症するリスクを少なくとも部分的に低減するのに十分である量で投与される。正確な量は、患者の健康状態および体重などのいくつかの患者特異的因子による。
いくつかの実施形態において、本開示は、教示された微生物およびその組み合わせを含む種々の即時性および徐放性製剤を用意する。徐放性製剤は時には、細菌上に配置される徐放性コーティングを包含する。特定の実施形態において、徐放性コーティングは、腸溶コーティング、遅延放出コーティングであってもよく、またはパルス化放出コーティングが所望されてもよい。特に、コーティングは、活発な放出(すなわち、治療用微生物およびその組み合わせの放出)において適切なラグを提供する場合、適切となる。いくつかの実施形態において、腸内の所望の標的に到達する前に、教示された微生物を潜在的に分解し得および/または破壊し得る胃の酸性環境中へと治療用微生物およびその組み合わせが放出されるのを所望しないことが認識され得る。
いくつかの実施形態において、本開示の微生物組成物は、先に説明したようなR.ホミニスおよびE.エリゲンス、ならびにそれらの任意のバリアントを包含する。
いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、組成物の総重量に対し約1〜約30重量%、好ましくは5〜20重量%の量でプレバイオティクスをさらに含む。好ましい炭水化物は、フルクトオリゴ糖(またはFOS)、短鎖フルクトオリゴ糖、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、ペクチン、キシロオリゴ糖(またはXOS)、キトサンオリゴ糖(またはCOS)、ベータグルカン、アラビアゴム、難消化性加工デンプン、ポリデキストロース、D−タガトース、アカシア繊維、イナゴマメ、エンバク、およびカンキツ繊維から選択される。特に好ましいプレバイオティクスは、短鎖フルクトオリゴ糖(簡素化のために後はFOSs−c.cとして本明細書に示す)であり、該FOSs−c.cは、ビート糖の転換によって一般に取得され、かつ3つのグルコース分子が結合している糖分子を含んでおり、消化性炭水化物ではない。
一実施形態において、該組成物は、少なくとも1つの他の種類の食品等級細菌をさらに含み、食品等級細菌は好ましくは、乳酸細菌、ビフィドバクテリウム、プロピオニバクテリウム、またはこれらの混合物からなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、微生物組成物は、R.ホミニスおよびE.エリゲンスの各々を10〜1012CFU(コロニー形成単位)、10〜1012CFU、1010〜1012CFU、10〜1010CFU、または10〜1011CFU含む。他の実施形態において、微生物組成物は、R.ホミニスおよびE.エリゲンスの各々を約10、約10、約10、約10、約1010、約1011、または約1012CFU含む。
本開示によるR.ホミニスおよびE.エリゲンスを含む組成物は、投与される個体内の所望の作用部位への送達のために製剤化され得る。例えば、該組成物は、経口投与および/または直腸投与のために製剤化されてもよい。追加的に、該組成物は、消化管への投与のための、または腸、回腸末端、または結腸内での遅延放出のための製剤であってもよい。
薬物として、すなわち疾患、障害、または状態の処置または予防のために採用されるとき、本明細書に説明する組成物は、薬学的組成物の形態で典型的に投与される。このような組成物は、薬学分野において周知の様式で調製されることができ、少なくとも1つの活性のある化合物、すなわち、本明細書に説明する生きた株を含む。概して、該組成物は、薬学的に有効な量、すなわち、治療有効量または予防有効量で投与される。投与される活性薬、すなわち、本明細書に説明するような微生物の量は典型的には、処置される状態、選択された投与経路、投与される1種または複数種の微生物の活性、個々の患者の年齢、体重、および応答、患者の症状の重症度、ならびにこれらに類するものを含む関連環境に照らして、医師によって典型的に決定されることになる。
組成物は、口腔、直腸、および鼻内を含む種々の経路によって投与することができる。企図される送達経路に応じて、該組成物は、注射可能組成物もしくは経口組成物のいずれかとして、または膏薬、ローション剤、もしくはパッチ剤のいずれかとして製剤化される。
経口投与のための組成物は、バルクの液状の液剤もしくは懸濁剤、またはバルクの散剤の形態をとることができる。しかしながら、より一般的には、該組成物は、精確な投薬を容易にするために、単位剤形で提示される。典型的な単位剤形には、液体組成物の事前充填された事前測定されたアンプル剤もしくは注射器、または固体組成物の場合は丸剤、錠剤、カプセル剤、もしくはこれらに類するものが含まれる。経口投与可能な、または注射可能な投与可能な組成物についての上述の構成要素は単に代表に過ぎない。他の材料ならびに加工技術およびこれらに類するものは、参照により本明細書に組み込まれるRemington’s The Science and Practice of Pharmacy,21st edition,2005,Publisher:Lippincott Williams&Wilkinsの第8部において記載されている。
経口投与のために、圧縮錠剤、丸剤、錠剤、ゲル剤、滴剤、およびカプセル剤により特定の使用がなされる。
組成物は、単位剤形で、すなわち単位用量、または単位用量の複数の単位もしくは部分単位を含有する離散部分の形態で、製剤化することができる。
別の実施形態において、本開示の組成物は、1つ以上の他の活性薬との組み合わせで投与される。このような場合、本開示の組成物は、1つ以上の他の活性薬と連続して、同時にまたは順次投与することができる。
用量および投与スケジュール
本明細書に開示する用量は、平均の場合の例示である。より多量のまたはより少量の用量範囲が正当である個々の場合はもちろんあり得、このような場合は本開示の範囲内である。「単位剤形」という用語は、投与される個体についての単位用量として適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、所望の治療効果または予防効果を生じるよう計算された活性のある材料のあらかじめ決めておいた量を含有し、適切な薬学的賦形剤と共にあってもよい。
いくつかの実施形態において、対象における有効日用量は、約1×10〜約1×1012コロニー形成単位(CFU)、1×10〜1×1012CFU、1×10〜1×1012CFU、1×10〜1×1011CFU、1×10〜1×1010CFU、1×10〜1×10CFU、1×10〜1×1012CFU、1×1010〜1×1012CFU、または1×1010〜1×1011CFUである。対象は、ヒトまたは非ヒト霊長類であり得る。あるいは、対象は、ラット、マウス、ウサギなどの別の哺乳類であってもよい。
いくつかの実施形態において、前記の日用量は、対象に約1〜2週、1〜4週、1〜2か月、1〜6か月、1〜12か月間毎日投与される。
あるいは、約1×10〜約1×1012コロニー形成単位(CFU)、1×10〜1×1012CFU、1×10〜1×1012CFU、1×10〜1×1011CFU、1×10〜1×1010CFU、1×10〜1×10CFU、1×10〜1×1012CFU、1×1010〜1×1012CFU、または1×1010〜1×1011CFUの範囲の用量は、対象に隔日で、1週間に1回、1週間に3回、1週間に5回、1か月間に1回、1か月間に2回、1か月間に3回、2か月間に1回、または1年に3回、4回、もしくは6回投与される。これらの実施形態において、用量は、対象に約1〜2週間、1〜4週間、1〜2か月間、1〜6か月間、1〜12か月間かけて、投与することができる。
対象に投与される用量は、疾患および/もしくは状態を処置するのに、疾患および/もしくは状態を部分的に逆転させるのに、疾患および/もしくは状態を完全に逆転させるのに、または健常状態のマイクロバイオームを確立するのに十分であるべきである。いくつかの態様において、対象に投与される用量は、高血糖、2型糖尿病、または肥満などの代謝障害と関連する症状の発症を予防するのに十分であるべきである。他の実施形態において、用量は、炎症性障害を処置しまたは寛解させるために有効である。いくつかの実施形態において、炎症は、クローン病または潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患である。
投薬は、1回、または2回以上の投与の組み合わせであり得、例えば、毎日、隔日、毎週、毎月、またはさもなくば臨床医もしくは開業医の判断に従って、年齢、体重、疾患の重症度、および各投与において投与される用量などの因子を考慮し得る。
別の実施形態において、有効量は、1mlあたりもしくは1グラムあたり10〜1011個の細菌を有する1〜500mlもしくは1〜500グラムの細菌組成物、または10〜1011個の細菌を有する1mg〜1000mgの凍結乾燥した粉末を有するカプセル剤、錠剤、もしくは坐剤で提供することができる。一過性の処置を受ける者は、長期投与を受けている者(例えば、病院作業従事者または長期ケア施設へと入院した者)よりも多量の用量を服用することができる。
上述のような有効量は、例えば、経口で、直腸に、静脈内に、皮下注射を介して、または経皮的に投与することができる。有効量は、固体または液体として提供することができ、かつ1つ以上の剤形単位(例えば、錠剤またはカプセル剤)で存在することができる。
併用療法
治療用微生物を含む本明細書に教示する組成物は、他の処置療法および/または薬学的組成物と組み合わせることができる。例えば、高血糖、肥満または2型糖尿病などの代謝症候群または代謝障害に罹患している患者は、状態を処置するために担当医によって処方された薬剤をすでに服用していてもよい。複数の実施形態において、本明細書に教示する組成物は、患者の既存の薬剤と共に投与することができる。
いくつかの実施形態において、相乗効果は、本開示の治療用微生物または微生物の組み合わせと1つ以上の追加の治療薬とを組み合わせた場合に達成される。例えば、いくつかの実施形態において、R.ホミニスおよびE.エリゲンス両方の投与は、いずれかの細菌単独よりも空腹時血中グルコース値を低減する、食後血中グルコースを低減する、耐グルコース能を高める、インスリン抵抗性を低下させる、インビトロTEERアッセイもしくはインビボアッセイによる腸上皮関門の完全性を高める、または腸の炎症を減少させるのに相乗的により有効である。
1つ以上のプレバイオティクスを含有するまたは含有しない組成物は、抗菌薬などの他の薬剤と共に併用療法様式で投与することができる。投与は、数時間または数日の期間にわたって順次であっても、同時であってもよい。
一実施形態において、1つ以上のプレバイオティクスを含有するまたは含有しない微生物組成物は、抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、および抗寄生虫薬などの1つ以上の抗微生物薬との併用療法に含まれる。いくつかの実施形態において、抗微生物薬(複数可)は、R.ホミニスおよび/またはE.エリゲンスを殺滅しない、またはその機能もしくは成長を抑制しない。
マイクロバイオームを基にした患者の選択
いくつかの実施形態において、対象はヒトである。他の実施形態において、対象は、非ヒト霊長類、ブタ、ヤギ、イヌ、ウシ、ウマ、ニワトリ、マウス、ラット、およびネコを含むがこれらに限定されない他の動物である。
例えば、血中グルコース値、耐グルコース能、および/またはBMIを決定することによって、R.ホミニスおよびE.エリゲンスの投与を含む療法から利益を受けることができる対象を特定することに加えて、対象は、腸マイクロバイオームの特性により特定することができる。特定の細菌組成物は、個々の対象についてまたは特定の特性を有する対象について選択することができる。例えば、16S rRNA配列決定は、所与の対象が自身の微生物相内に存在する細菌を特定するために実行することができる。16S rRNA配列決定は、他の方法、例えば、対象のマイクロバイオーム特性を決定するためのマイクロプロファイリングと共に使用することができる。配列決定により、(科、属、または種のレベルに対する)16S配列決定を用いて対象の全マイクロバイオームを特徴づけることができるか、16S配列決定を用いて対象のマイクロバイオームの一部を特徴づけることができるか、または多剤耐性生物もしくは関心対象の具体的な属のマーカーなどの、健康状態もしくは特定の病態についてのバイオマーカーである具体的な候補細菌の有無を検出するために使用することができる。バイオマーカーデータに基づいて、特定の組成物は、健康を回復させ、または疾患を処置もしくは予防するために、対象の微生物相を補充または補完するための対象への投与のために選択することができる。別の実施形態において、処置の成功の見込みを決定するために、微生物相の組成を決定するよう、対象をスクリーニングすることができる。
キット
ある特定の態様において、本開示は、代謝障害もしくは代謝疾患または炎症性障害もしくは炎症性疾患の処置のためのキットに関する。キットは、本開示による微生物組成物を含む。いくつかの実施形態において、キットは、本明細書に説明するような第2の治療薬であるプレバイオティクス、またはその組み合わせをさらに含む。
提供されるキットは、1つ以上の容器を含むことができる。容器は、1つ以上の微生物を含む個々に単離された微生物組成物を含み得、および/または1つ以上の炭水化物を含む個々に単離されたプレバイオティクス組成物を含む個々に単離された微生物組成物を含み得る。異なる容器中での1つ以上のプレバイオティクスを含有するまたは含有しない微生物組成物は、同時にまたは異なるときに投与することができ、特定の順序で投与することができる。
1つ以上のプレバイオティクスを含有するまたは含有しない微生物組成物は、生きている微生物、凍結乾燥した(lyophilized)、凍結乾燥した(freeze−dried)、および/もしくは実質的に脱水した微生物を含むことができるか、または組成物は細菌胞子を含むことができる。
次の実施例は、本開示を説明するよう企図されているが、本開示を限定しない。
次の実験は、教示された微生物の治療能力を単独でおよび組み合わせで実証するために、肥満/糖尿病のモデルを利用したインビボ実験の組み合わせ、ならびにその方法を利用する。ヒトの肥満、高血糖、2型糖尿病、ならびに関連する状態および疾患を模倣するために一般に使用される動物モデルは、ob/obマウスモデルの使用である(総説については、例えば、Lindstrom,P.(2007)Scientific World Journal.7:666−685を参照されたい)。さらに、脂肪約60%および炭水化物約20%の食餌を与えられたC57BL/6Jマウスなどの高脂肪食誘導マウスモデルを使用することができる(Collins et al.,2004,Physiol Behav,81:243−248)。
IBDおよび他の結腸炎症障害に対する生株の効果を試験するために、IBDのいくつかの特色と似ている多くの異なる動物モデルが存在する。これらのモデルの総説は、例えば、Westbrook et al.,(2016)Arch Toxicol 90:2109−2130およびValatas et al.(2013) Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 305:G763−G785において認めることができる。大腸炎の動物モデルは、ある特定の種の感受性株(類遺伝子性)においてまたは交雑により自然に生じるもの、ノックアウトおよびトランスジェニック技術により生み出された遺伝子操作されたモデル、リンパ球がリンパ球減少性マウスに移入された移入モデル、ならびにデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)などの大腸炎誘導化学物質の特定の濃度の投与を要する化学的に誘導されたモデルを含む。腸炎症の化学誘導モデルは、最も一般的に使用され、最もよく説明されているIBDモデルである。
次の実験は、教示された微生物の治療能力を単独でおよび組み合わせで実証するために、肥満/糖尿病およびIBDの動物モデルを利用したインビボ実験の組み合わせ、ならびにその方法を利用する。
実施例1
ロゼブリア・ホミニス(R.ホミニス)およびユーバクテリウム・エリゲンス(E.エリゲンス)はob/obマウスにおいて高血糖を改善する
次の実験は、本明細書に開示されるR.ホミニスおよびE.エリゲンスを含む微生物組成物の、代謝障害を処置するための治療能力を実証するために、インビボモデルであるob/obマウスの使用を伴う。ob/obマウスモデルは、重度のインスリン抵抗性を発症し、肥満、2型糖尿病、ならびに糖尿病と関連する疾患および状態(例えば、高血糖)などのヒト代謝障害の状態を模倣するために使用される。
実験は、血中グルコース値に対する処置の効果を示すために実施された。ob/obマウスは次のように処置された。
Figure 2020529478
0日目に開始して、マウスを、以下の総用量:(1)2×10コロニー形成単位(CFU)のロゼブリア・ホミニス株A2−183(DSM/DSMZ番号16839)および1×10CFUのユーバクテリウム・エリゲンス株C15−B4(DSM/DSMZ番号3376)を含有する0.1mlのPBS、(2)アッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)(ATCC寄託番号BAA−835)、本開示全体を通してA.ムシニフィラまたはアッカーマンシアとも称される)を含有する0.1mlのPBS、(3)陰性対照としてビヒクルを含有する0.1mlのPBS、または(4)陽性処置対照としてのメトホルミン、で経口(p.o.)処置した。処置は22日目まで隔日継続し、経口グルコース負荷試験を20日目に実施し、22日間の処置の後、マウスを安楽死させた。
対照株として使用したA.ムシニフィラは、グルコース代謝を改善することが知られている。例えば、Liu et al.,Oncotarget,Jan.17 2017,8(3):37987−3810およびGreer et al.,Nat Commun.,Nov.14,2016,7:13329を参照されたい。
メトホルミン(N,N−ジメチルイミドジカルボンイミドジアミド)は、2型糖尿病の個体の処置に最もよく処方される薬物療法である。例えば、Sharma et al.(2016)BJM Open 6:e010210を参照されたい。メトホルミンは、肝グルコース産生およびグルコースの腸吸収を低下させ、末梢グルコースの取り込みおよび利用を増加させることにより機能し、基礎グルコースおよび食後血漿グルコースの両方を低下させる。メトホルミンは、T2Dの患者の耐グルコース能を改善する。メトホルミン療法により、インスリンの分泌は未変化のままであるが、空腹時インスリン値および終日血漿インスリン応答は低下し得る。メトホルミンは、腸中のA.ムシニフィラの高い相対的存在量と関連していることが示されている。例えば、de la Cuesta−Zuluaga, Jan.2017,40(1):54−62を参照されたい。
給餌血中グルコース値は処置の間中測定された。結果を図1Aに示し、平均±SEMとして表す。血中グルコース値の百分率変化も各マウスについて決定された。これらの結果を図1Bに示し、平均±SEMとしても表す。
R.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置は、ビヒクルまたはメトホルミンによる処置よりも有意に低いグルコース値、およびグルコース値の百分率低下をもたらした。グルコース値はまた、メトホルミンによる処置後よりもR.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置後により早く低下した。つまり、グルコース値の低下(およびグルコース値の百分率低下)は、7日目に収集された最初の処置後データ点で劇的に大きい。
7日目からのデータは、例えば、平均給餌血中グルコース値が、それぞれ、ビヒクル、A.ムシニフィラ、R.ホミニスおよびE.エリゲンス、ならびにメトホルミンにおいて、416、489、371、および477mg/dLであることを示す。処置後14日目に、R.ホミニスおよびE.エリゲンスにより処置されたマウスは、二元配置ANOVA(n=8〜10)により決定した場合、ビヒクル処置マウスと比較して、グルコースにおいて有意な変化を示した。
実施例2
R.ホミニスおよびE.エリゲンスは、ob/obマウスにおいて高血糖およびグルコース恒常性を改善する
経口グルコース負荷試験(OGTT)を実施し、インスリン値を測定することによって、ob/obマウスにおけるグルコース恒常性に対する処置の効果を示すために実験を行った。ob/obマウスは、先の実施例1に説明されるように処置されたマウスであった。
R.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置は、ob/obマウスにおいてグルコース恒常性の有意な改善をもたらした。結果を図2A〜2Dに示す。OGTTは、5時間絶食させた後に実施された。口腔経管栄養により1g/kgのグルコースをマウスに与え、テールクリッピングから2時間にわたって循環グルコース値を測定した。二元配置ANOVAおよびフィッシャーのLSD試験により統計値を決定した。曲線下面積(AUC)は、GraphPad Prismを使用して決定した。
R.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置は、OGTTによって測定されるように、耐グルコース能の有意な改善をもたらした。結果は図2A(OGTT)および図2B(正規化されたOGTT)に表され、R.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置がグルコース投与後に血中グルコース値のより迅速な低下をもたらすことを示す。その上、30分後、循環グルコース値は、ビヒクル群と比較してR.ホミニスおよびE.エリゲンス処置マウスにおいて有意に低かった。AUCはしたがって、ビヒクル処置マウスと比較して有意に低下した(図2Cを参照されたい)。AUCは、他のいずれの処置でも有意に改善されなかった。図2Dは、5時間絶食させた後、およびグルコースを投与する直前の動物における血中グルコース値を示す。R.ホミニスおよびE.エリゲンスにより処置されたマウスは、ビヒクル処置マウスと比較して有意に低い血中グルコース値を示した。
試験により、ob/obマウスにおいてインスリン値に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置の効果をさらに調査した。ob/obマウスは、先の実施例1に説明されるように処置されたマウスであった。フィッシャーのLSD試験により統計値を決定した。
インスリン値は、処置の2週間後(15日目)および試験の終了時(3週間、22日目)に測定された。血清中のインスリンはELISAにより測定された。結果は、図3A(15日目)および図3B(22日目)に表される。インスリンに対する処置の有意な効果は2週間では観察されなかったが、試験の終わりには、インスリン値は、ビヒクル処置マウスと比較してA.ムシニフィラ処置マウスにおいて有意に高かった。メトホルミンならびにR.ホミニスおよびE.エリゲンス群のインスリン値は、ビヒクルのインスリン値と有意には異ならず、R.ホミニスおよびE.エリゲンスにより処置された動物において観察された耐グルコース能の増加はインスリン値の増加によるものではないことを示唆する。
実施例3
ob/obマウスにおける体重減少に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスの効果
実施例3は、ob/obマウスモデルにおける体重変化に対する処置の効果を示す。ob/obマウスは、先の実施例1に記載されるように処置されたマウスであった。
各マウスの体重は処置の間中測定され、結果は平均±SEMとして図4Aに提供される。0日目の開始体重からの百分率変化も各マウスについて決定された。これらの結果を図4Bに示し、平均±SEMとしても表す。
A.ムシニフィラによる処置は概して、全体的な体重増加および体重の百分率増加の両方において低下をもたらした。R.ホミニスおよびE.エリゲンスの投与は、このモデルにおいて、体重増加または百分率体重増加における有意な低下をもたらさなかった。R.ホミニスおよびE.エリゲンスにより処置されたマウスの体重減少は、メトホルミンおよびビヒクルのみで観察された体重減少と類似した。群間の統計差は、二元配置ANOVA(n=8)の反復測定により決定された。
実施例4
R.ホミニスおよびE.エリゲンスは炎症性腸疾患のDSSモデルにおける上皮中心関門機能の測定値を改善する
次の実験は、インビボモデル(デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)により処置されたC57BL/6マウスにおいて、上皮関門機能障害または関連代謝障害を処置するための、本明細書に開示されるR.ホミニスおよびE.エリゲンスを含む微生物組成物の治療能力を実証する。
インビボにおいて、上皮関門機能の低下と関連する炎症性腸疾患をモデル化するために、C57BL/6マウスを、飲料水中2.5%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)により6日間処置した(例えば、Chassaign et al.,2014,Curr Protoc Imunol,104:Unit−15.25、Kiesler et al.,2015,Cell Mol Gastroenterol Hepatolを参照されたい)。0日目に、(1)マウスは、4.7×10コロニー形成単位(CFU)のロゼブリア・ホミニス株A2−183(DSM/DSMZ番号16839)および2.2×10 CFUのユーバクテリウム・エリゲンス株C15−B4(DSM/DSMZ番号3376)を含有する0.2mlのPBSの総用量で経口(p.o.)処置された、(2)Gly2−GLP処置マウスは、腹腔内(i.p.)に0.1mlのPBS+10%グリセロールに再構築された50nmol/kgのGly2−GLP2を与えられた、そして(3)ビヒクル処置マウスは、i.p.に0.1mlのPBS+10%グリセロールを与えられた。6時間後、DSS処置を開始し、マウスは、次の6日間、飲料水中2.5%DSSを与えられた。R.ホミニスおよびE.エリゲンス、Gly2−GLP2、ならびにビヒクルの処置は、DSS曝露の間、隔日で継続された。未処置のマウスは、通常の飲料水で維持され、実験の全過程を通していかなる処置も受けなかった。6日目に、マウスを4時間絶食させ、その後、フルオレセインイソチオシアネートで標識された600mg/kgの4KDa dextranデキストラン(4KDa−FITC)で経口経管栄養した。4KDa−FITCの1時間後、経管栄養マウスを安楽死させ、血液を収集し、血清中のFITCシグナルを測定した。
A.腸上皮関門機能に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスの効果
結果を図5に示し、平均±SEMとして表す。上皮関門を横切る4KDa−FITCデキストラン転位における有意な増加は、未処置マウスと比較してビヒクル処置DSSマウスにおいて観察された(p<0.0001)。R.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置は、ビヒクルのみで処置されたDSSマウスと比較して4KDa−FITCデキストラン転位において有意な低減をもたらした(p=0.03)。R.ホミニスおよびE.エリゲンスについて観察された4KDa−FITCデキストラン転位の規模は、結腸損傷の重症度を低減することが知られており(例えば、Drucker D.J.,et al.(1999)Am J Physiol 276;G79−91を参照されたい)、血糖制御を改善することが近年示されている(例えば、Amato et al.,(2016)J Endocrinol 229:R57−R66を参照されたい)グルカゴン様ペプチド2(Gly2−GLP2;p=0.48)の安定した類似体の陽性対照と類似した。結果は平均±SEMとして表され、統計分析は一元配置ANOVA(n=10)により実施された。
B.血清LBP値に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスの効果
実施例4に説明されるように処置された動物は、血清において測定されたリポ多糖結合タンパク質(LBP)の値についても評価された。DSS処置動物の血清中のLBPの低減は、上皮関門修復の徴候であり得る。処置の6日後、マウスを安楽死させ、血液を収集し、血清中のLBPをELISAにより測定した。LBPは、細菌接種に対する自然免疫応答の活性化において主な役割を果たす(例えば、Ding P.H.and Jin L.J.(2014)J Periodontal Res.49:1−9、Schroder N.W.,et al.(2004)J immunol 173:2683−91を参照されたい)。
結果を図6に示し、平均±SEMとして表す。LBP濃度における有意な増加は、DSSに対する応答において観察された(p<0.0001)。LBPの低減は、ビヒクルにより処置されたDSSマウスと比較して、DSSを与えられたR.ホミニスおよびE.エリゲンス処置マウスにおいて観察された(p=0.07)。結果は平均±SEMとして表され、統計分析は一元配置ANOVA(n=10)により実施された。LBPにより報告される炎症応答は、したがって、R.ホミニスおよびE.エリゲンスを含む組成物の投与によって低減される。
C.体重に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスの効果
上皮関門機能障害および関連する炎症性腸疾患は有害な体重減少をもたらし得る。実施例4に説明されるように処置されたマウスは、体重に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置の効果についても評価された。
このDSSモデル試験に含まれたマウスの体重を毎日測定した。結果を図7に示し、平均±SEMとして表す。各マウスについて、0日目(「0」)の開始体重からの百分率変化を決定した。DSS処置マウスへのR.ホミニスおよびE.エリゲンスの投与は、ビヒクル処置DSSマウスと比較して体重を有意に改善した(p=0.05)。6日目にR.ホミニスおよびE.エリゲンスにより処置されたマウスの体重減少は、Gly2−GLP2で観察された体重減少と類似した(p=0.51)。群間の統計差は、二元配置ANOVA(n=10)の反復測定により決定された。
D.肉眼所見に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスの効果
実施例4に説明されるように処置されたマウスは、腸の肉眼所見に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置の効果についても評価された。結果を図8に示し、平均±SEMとして表す。
DSS処置マウスへのR.ホミニスおよびE.エリゲンスの投与は、ビヒクル処置DSSマウスと比較して肉眼所見を有意に改善した(p=0.008)。しかしながら、DSSを与えられたマウスとGly2−GLP2またはR.ホミニスおよびE.エリゲンスのいずれかで処置されたマウスとの間で、臨床スコアの差は観察されなかった(p=0.54)。使用された臨床スコアシステムは、(0)=肉眼所見なし、(1)=糞便中に目に見える血が混じっている、(2)=完全に血の混じった糞塊、(3)=盲腸中に目に見える血便物質、(4)=盲腸中に血便物質および軟便、(5)=直腸出血。群間の統計差は、一元配置ANOVA(n=10)により決定された。
E.結腸重量対長さ比に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスの効果
DSS処置は結腸組織の短縮を誘導する一方で、同時に、結果として生じる結腸重量の増加を伴う浮腫を誘導する。したがって、DSS処置は、結腸組織の重量対長さ(Wt./Ln.)比の増加をもたらす。実施例4に説明されるように処置されたマウスは、したがって、結腸Wt./Ln.比に関して評価された。結腸の長さおよび重量は、これらのマウスにおいて測定され、結果は図9に示され、平均±SEMとして表される。
DSS処置マウスへのR.ホミニスおよびE.エリゲンスの投与は、DSSにより誘発された結腸Wt./Ln.比の増加を阻止したが、差は統計的に有意ではなかった(p=0.07)。統計分析は一元配置ANOVA(n=10)を使用して実施された。
実施例5
上皮関門機能の測定値、炎症中心関門機能の測定値、ならびに小腸(SI)および結腸の長さの維持に対する、ob/obマウスにおけるR.ホミニスおよびE.エリゲンス処置の効果
ob/obマウスにおいて腸の健康および機能に対するR.ホミニスおよびE.エリゲンスの投与の効果を試験するために、実験を実施した。ob/obマウスは、先の実施例1に説明されるように処置された。
R.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置の2週間後、腸透過性についてマウスを試験した(先の実施例4の方法を参照されたい)。4〜5時間の絶食後、マウスに200mg/kgのFITC−デキストラン(4kD)を経管栄養で与えた。経管栄養の1時間後、末梢血を収集した。腸透過性は、血清中の蛍光強度により測定された。結果は、図10に説明され、A.ムシニフィラまたはR.ホミニスおよびE.エリゲンスによる処置が腸透過性に対して効果がない一方で、メトホルミン処置が、ビヒクルにより処置された動物と比較して腸透過性の有意な増加をもたらしたことを示す。
リポ多糖(LPS)結合タンパク質(LBP)は、処置の2週間後および試験の終了時(3週間)に測定された。炎症およびLPS曝露のマーカーであるLBPは、ELISAにより血清において測定された。図11A(15日目)および図11B(22日目)に示されるように、処置のいずれもLBPに影響しなかった。
試験の終了時(22日目)、細菌処置が腸の健康に影響したかを決定するために、小腸の長さおよび結腸の長さを各マウスについて測定した。結果を図12A(小腸)および図12B(結腸)に示す。処置のいずれも、ビヒクルのみで処置された動物と比較して結腸または小腸の長さに影響しなかった。
実施例6
2型糖尿病の処置のためのR.ホミニスおよびE.エリゲンス
ロゼブリア・ホミニスおよびユーバクテリウム・エリゲンスの両方を含有する生きているバイオ治療薬製品の効果を試験する臨床試験を行い、2型糖尿病を処置するための本組成物の効果を試験した。本試験には、処置前後の糞便物質中のR.ホミニスおよびE.エリゲンス細菌、耐グルコース能、ならびにインスリン感受性の測定が含まれる。
本試験は、無作為化した偽薬対照の二重盲検治験とする。2型糖尿病と診断された24名の成人を無作為に試験群(n=12)および対照群(n=12)に割り当てる。試験群における各対象に等量のR.ホミニスおよびE.エリゲンス(各約10CFU)を含有するカプセル剤を経口投与するのに対し、対照群における対象は、偽薬カプセル剤を与えられる。試験群における各対象に、含有カプセル剤を経口投与する。対照群における各対象に、偽薬錠剤を経口投与する。カプセル剤を各対象に午前中に1日4回、4週の期間投与する。処置の週の間発酵乳製品を控えるよう対象に指導する。経口グルコース負荷試験(OGTT)前の48時間は激しい身体運動を回避する。経口抗糖尿病薬およびスタチンを1週間、すべての他の薬剤を24時間与えないでおく。
カプセル剤の初回投与の前24時間以内、および投与の最終日に糞便試料を収集する。試料を24時間以内に5℃に保ち、実験室内で分析するまで−80℃で保存する。全細菌DNAおよびゲノムDNAを糞便試料から抽出する。
糞便試料中のR.ホミニスおよびE.エリゲンスの値を決定するために、R.ホミニスおよびE.エリゲンスに特異的な遺伝子配列をPCR増幅し、DNA配列決定によって確認した後、リアルタイムPCRによって分析して、各対象の糞便試料中のR.ホミニスおよびE.エリゲンスの値を決定する。
本試験の開始時および終了時にOGTTを実施して、耐グルコース能に関する処置の効果を決定する。各対象は、カプセル剤の初回経口投与の前日および投与の最終日に経口グルコース負荷試験(OGTT)を受ける。対象は、500mlの水に希釈した75gのグルコースを5分間かけて飲む。血漿グルコースを、ベースライン、ならびにグルコース投与後1時間および2時間で測定する。
インスリン抵抗性に対する処置の効果を、高インスリン性正常血糖クランプ技術を用いて測定する。概して、一晩の絶食後、対象は実験室へ行き、インスリン、グルコース、および電解質の投与のための静脈内カテーテルを肘正中静脈内に配置する。反対側の手の背静脈に逆行性カテーテルを挿入する。
クランプの持続時間は180分である。インスリン(100IU/ml)を1mあたり0.120IU/分の流量で継続的に注入する。血漿グルコースおよびKを、時間1の間は5分間隔、および時間2と時間3との間は10分間隔で測定する。血漿グルコース値は、コンピュータ制御の注入ポンプでグルコースの注入流量(200g/l)を調整することによって5.0±0.2mmol/lを標的とする。グルコースの全身代謝速度MをDeFronzo et al.(1979,Am J Physiol 237:E214−E223)の方程式によって120〜180分の間隔におけるグルコース注入流量から計算する。Kを有する等張性塩類溶液を継続的に注入して、低カリウム血症を回避する。インスリンの分析のための血液を30分ごとにEDTA含有チューブへと抜き取り、直ちに遠心分離する。分析まで血漿を−80℃で保存する。
実施例7
潰瘍性大腸炎の処置のためのR.ホミニスおよびE.エリゲンス
中程度〜重度の活動性潰瘍性大腸炎(内視鏡的証拠により決定されるとき、組成物投与の試験2週間以内のMayoスコア≧6およびMayo内視鏡サブスコア≧2)と診断された対象に経口投与されたときの、R.ホミニスおよびE.エリゲンスを含有する組成物の治療効果を決定するために、無作為化した偽薬対照治験を実施する。経口アミノサリチレート、プレドニゾン、免疫抑制薬、静脈内(IV)ヒドロコルチゾン、または抗TNF剤のうちの1つ以上に対して不適切な応答を有した、先のうちの1つ以上に不耐性であった、および/または経口アミノサリチレート、プレドニゾンもしくはアザチオプリン、または6−メルカプトプリンを最近与えられていた250人の成人対象が選ばれる。
2型糖尿病と診断された24名の成人を無作為に試験群(n=12)および対照群(n=12)に割り当てる。試験群における各対象に等量のR.ホミニスおよびE.エリゲンス(各約10〜10CFU)を含有するカプセル剤を経口投与するのに対し、対照群における対象は、偽薬カプセル剤を与えられる。試験群における各対象に、含有カプセル剤を経口投与する。対照群における各対象に、偽薬錠剤を経口投与する。カプセル剤を各対象に午前中に1日4回、12週の期間投与する。
一次エンドポイントは、12週目での、処置群の対象における臨床寛解(個々のサブスコアが>1点ではないMayoスコア<2点と定義される)の割合である。12週目の主要な二次エンドポイントは、臨床応答(Mayoスコアにおいてベースラインから≧3点および≧30%の低減、直腸出血サブスコアにおいて≧1の低減、または絶対直腸出血サブスコア≦1)、粘膜治癒(内視鏡検査サブスコア≦1)、および炎症性腸疾患質問事項(IBDQ)回答(ベースラインから≧16点の変化)である。
Mayoスコアは、4つの疾患変数(糞便頻度、直腸出血、内視鏡検査知見、および医師の総合評価)の総合指数であり、各々0〜3のスケールでスコア化され、より高いスコアは頻度または重症度がより大きいことを示す(総スコア:0〜12)(Schroeder et al.,1987,N Engl J Med,317:1625−1629;Rutgeerts et al.,2005,N Engl J Med,353:2462−2476)。部分的Mayoスコア(内視鏡検査サブスコアは省かれる)は0〜9である。Mayoスコア(内視鏡検査を含む)はベースラインおよび12週目に評価され、部分的Mayoスコアは1、2、5、7、および12週目に記録される。患者の下痢を利用して、Mayoスコアの計算を補助する。
IBDQは、1(深刻な影響)〜7(通常の健康)の回答範囲で、4つの側面(腸、全身症状、情緒機能、および社会的機能)にわたる生活の質を評価する32項目の質問事項を自己記入するものである。総IBDQスコアは32〜224の範囲であり、より高いスコアはより良い生活の質を示す(Guyatt et al.,1989,Gastroenterology,96:804−810;Mitchell et al.,1988,J Clin Gastroenterol,10:306−310)。IBDQはベースラインおよび12週目に記入される。IBDQの回答はIBDQにおいて≧16点増加と定義される。
hsCRPの評価用の血液は、ベースライン、ならびに1、3、5、7、9、および12週目に採取される。糞便中カルプロテクチンは、ベースラインおよび12週目に糞便試料において評価される。生検後の腸粘膜の組織学的評価は、0(構造上の変化または他の組織学的異常の欠如)が最小重度の損傷を示し、4(腺窩破壊)が最も重度な損傷を示す、7構成要素指数のGeboes指数を使用して実施される。
上述の開示を、理解の明確さの目的のためである例解および実施例によってある程度詳細に説明してきたが、特定の変更および改変が、添付の特許請求の範囲において描出されている本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく実施され得ることは当業者に明らかとなる。したがって、本明細書は、本開示の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。

Claims (25)

  1. 代謝障害を処置することを必要とする対象において代謝障害を処置するための方法であって、
    a.前記対象に、
    i.治療有効量の単離されたロゼブリア・ホミニス(Roseburia Hominis)(R.ホミニス)細菌株と、
    ii.治療有効量の単離されたユーバクテリウム・エリゲンス(Eubacterium eligens)(E.エリゲンス)細菌株と、
    iii.薬学的に許容される担体と
    を含む組成物を投与すること
    を含む、方法。
  2. 前記R.ホミニスおよびE.エリゲンスが、各々、生存可能である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記代謝障害が、高血糖、2型糖尿病、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記代謝障害が1型糖尿病ではない、請求項1に記載の方法。
  5. 前記対象が、約125mg/dLよりも高いまたは約130mg/dLよりも高い空腹時血中グルコース値を呈している、請求項1に記載の方法。
  6. 前記対象が、約140mg/dLよりも高い75グラム経口グルコース負荷試験における2時間値を呈している、請求項1に記載の方法。
  7. 前記治療有効量のR.ホミニスが、約1×10〜1×1012コロニー形成単位(CFU)のR.ホミニスを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記治療有効量のE.エリゲンスが、約1×10〜1×1012コロニー形成単位(CFU)のE.エリゲンスを含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記組成物を前記対象に少なくとも約1〜52週の期間にわたって1日に1回、2回または3回投与することを含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記組成物の初回投与前の前記対象の空腹時血中グルコース値の少なくとも約5%、10%、20%、30%または40%の前記対象の空腹時血中グルコース値の低減をもたらす、請求項1に記載の方法請求項1に記載の方法。
  11. 前記対象の空腹時血中グルコース値の前記低減が、前記組成物の前記初回投与の1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、または12か月後に測定される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記ロゼブリア・ホミニス細菌株が、配列番号1と少なくとも97%同一である16S rRNA配列、配列番号2と少なくとも97%同一である16S rRNA配列、配列番号3と少なくとも97%同一である16S rRNA配列、および/または配列番号4と少なくとも97%同一である16S rRNA配列を有する、請求項1に記載の方法。
  13. 前記ユーバクテリウム・エリゲンス細菌株が、配列番号5と少なくとも97%同一である16S rRNA配列、配列番号6と少なくとも97%同一である16S rRNA配列、配列番号7と少なくとも97%同一である16S rRNA配列、配列番号8と少なくとも97%同一である16S rRNA配列、配列番号9と少なくとも97%同一である16S rRNA配列、および/または配列番号10と少なくとも97%同一である16S rRNA配列を有する、請求項1に記載の方法。
  14. 前記ロゼブリア・ホミニス細菌株が、配列番号1と少なくとも98%同一である16S rRNA配列、配列番号2と少なくとも98%同一である16S rRNA配列、配列番号3と少なくとも98%同一である16S rRNA配列、および/または配列番号4と少なくとも98%同一である16S rRNA配列を有する、請求項1に記載の方法。
  15. 前記ユーバクテリウム・エリゲンス細菌株が、配列番号5と少なくとも98%同一である16S rRNA配列、配列番号6と少なくとも98%同一である16S rRNA配列、配列番号7と少なくとも98%同一である16S rRNA配列、配列番号8と少なくとも98%同一である16S rRNA配列、配列番号9と少なくとも98%同一である16S rRNA配列、および/または配列番号10と少なくとも98%同一である16S rRNA配列を有する、請求項1に記載の方法。
  16. 前記ロゼブリア・ホミニス細菌株が、配列番号1と少なくとも99%同一である16S rRNA配列、配列番号2と少なくとも99%同一である16S rRNA配列、配列番号3と少なくとも99%同一である16S rRNA配列、および/または配列番号4と少なくとも99%同一である16S rRNA配列を有する、請求項1に記載の方法。
  17. 前記ユーバクテリウム・エリゲンス細菌株が、配列番号5と少なくとも99%同一である16S rRNA配列、配列番号6と少なくとも99%同一である16S rRNA配列、配列番号7と少なくとも99%同一である16S rRNA配列、配列番号8と少なくとも99%同一である16S rRNA配列、配列番号9と少なくとも99%同一である16S rRNA配列、および/または配列番号10と少なくとも99%同一である16S rRNA配列を有する、請求項1に記載の方法。
  18. 前記ロゼブリア・ホミニス細菌株が、配列番号1と100%同一である16S rRNA配列、配列番号2と100%同一である16S rRNA配列、配列番号3と100%同一である16S rRNA配列、および/または配列番号4と100%同一である16S rRNA配列を有する、請求項1に記載の方法。
  19. 前記ユーバクテリウム・エリゲンス細菌株が、配列番号5と100%同一である16S rRNA配列、配列番号6と100%同一である16S rRNA配列、配列番号7と100%同一である16S rRNA配列、配列番号8と100%同一である16S rRNA配列、配列番号9と100%同一である16S rRNA配列、および/または配列番号10と100%同一である16S rRNA配列を有する、請求項1に記載の方法。
  20. 血液中のグルコース値を低減させる必要のある対象において血液中のグルコース値を低減させるための方法であって、
    前記対象に、
    i.治療有効量の単離されたロゼブリア・ホミニス細菌株と、
    ii.治療有効量の単離されたユーバクテリウム・エリゲンス細菌株と、
    iii.薬学的に許容される担体と
    を含む組成物を投与すること
    を含む、方法。
  21. 前記対象の前記血液が、前記組成物を投与する前に125mg/dLよりも高いグルコース値を有する、請求項20に記載の方法。
  22. 前記組成物が経口摂取用に製剤化される、請求項20に記載の方法。
  23. 前記組成物が、可食性製品である、請求項20に記載の方法。
  24. 前記組成物が、錠剤、カプセル剤、液剤、または液状懸濁剤として製剤化される、請求項20に記載の方法。
  25. 消化管疾患を処置することを必要とする対象において消化管疾患を処置するための方法であって、
    a.前記対象に、
    i.治療有効量の単離されたロゼブリア・ホミニス細菌株と、
    ii.治療有効量の単離されたユーバクテリウム・エリゲンス細菌株と、
    iii.薬学的に許容される担体と
    を含む組成物を投与すること
    を含む、方法。
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