JP2020523491A - 植物材料の処理方法およびその製品 - Google Patents

Abstract

【課題】皮革のような特性を有する製品に変換するための植物材料の処理方法およびその製品を提供する。【解決手段】本発明は、植物材料を皮革に類似した特性を有する製品に変換するための植物材料の処理方法に関する。本願で特許請求される方法は、植物材料を皮革のような材料に変換するための、植物材料の化学処理またはなめしを含む。この方法は、少なくとも化学処理、乾燥および溶着のステップを含む。最終製品は、皮革との類似性を特徴とし、とりわけ、衣類、履物、ハンドバッグ、アクセサリーおよび家具などの属する産業の様々な分野に適用することができる。【選択図】図１

Description

本発明は、植物材料の処理方法およびその製品に関し、特に、植物材料を処理して、それを皮革に類似した特性を有するなめし製品に変換する植物材料の処理方法に関する。本願で特許請求される製品は、皮革との間の物理的類似性により、様々な用途で皮革のような製品として使用することができる。したがって、皮なめし、衣類、履物、ハンドバッグ、アクセサリー、家具、その他の産業において使用することができる。

従来技術は、衣類、履物、ハンドバッグ、アクセサリー、家具およびその他の産業で使用できる植物材料から得られた製品を含む。ただし、使用される原材料および取得プロセスは、以下で明らかにされるように、本明細書で説明されるものおよび本願で特許請求されるものとは完全に異なる。

本願で特許請求される製品を得るために使用される原材料は、無傷の植物材料である。つまり、切断、粉砕、または他のタイプの断片化プロセスを必ずしも経ず、そのため、植物繊維は無傷のままであり、植物材料がその天然の形状を保っている。本明細書に開示されるプロセスは、皮革に類似した特徴を有する製品に当該植物材料を形質転換するための当該植物材料の処理として包括的に説明することができる。

植物材料を使用して不織布製品を得る製品および方法は、パイナップルの葉から得られる製品に係る特許文献１、およびコルクから得られる皮革のような材料に係る特許文献２に記載されている。

皮革に関しては、有機材料からだけでなく、植物から得られる製品も市販されており、きのこ類から得られるマスキンブランド（muskin brands）のような皮革の外観を模倣する製品、セルロースから作られるジャクロキ（Jacroki）、および樹皮(例えば、クワ科の木の樹皮)から作られるバーククロス（Barkcloth）がある。

米国特許出願公開第２０１３／０１４９５１２号明細書 韓国特許第１０１６１１３６１号明細書

上記の特許文献は、その原材料および取得プロセスが本願において特許請求されているものとは全く異なる製品について説明している。原材料は、無傷の植物材料からのものではなく、またはそれぞれの取得プロセスには、植物材料を粉砕することを含む。原材料のいくつかは、植物由来のものでさえなく、または得られるために植物材料を前処理することを必要としている。これは、以下に開示されるプロセスでは必要ではない。

上記の２つの特許文献のいずれも、本願で特許請求される処理方法および製品におけるように、植物材料を処理して皮革のような製品に変換する方法を教示していない。

本発明は、使用される原材料の性質により、以下に記載されるように、そのステップ、成分およびそれぞれの濃度において化学処理が完全に適合されたという点で、伝統的な動物皮なめしプロセスとは異なる。

本発明の目的とするところは、皮革のような特性を有する製品に変換するための植物材料の処理方法およびその製品を提供することにある。

本願で特許請求される方法は、植物材料を皮革のような材料に変換するための、植物材料の化学処理またはなめし処理を含む。この方法は、少なくとも化学処理、乾燥および溶着のステップを含む。最終製品は、皮革との類似性を特徴とし、とりわけ、衣類、履物、ハンドバッグ、アクセサリーおよび家具などが属する産業の様々な分野に適用することができる。

この方法の特定の目的は、植物材料を皮革のような製品に変換することである。そのため、このような製品は、衣類、履物、バッグ、旅行鞄、バックパック、器具および種々のアクセサリーに使用される動物由来又は人造由来の皮革の代替品として役立つ。

より具体的には、この方法は、無傷の植物材料、すなわち、必ずしも切断、粉砕、またはあらゆるタイプの断片化プロセスを経ない植物材料から製品を取得することを含むため、植物繊維は無傷のままであり、植物材料はその自然な形状を維持する。

本願で特許請求される製品を得るために使用される原材料は、好ましくは、無傷の植物材料、すなわち、成分を抽出または変更するための前処理、切断、粉砕または任意のタイプの断片化プロセスを必ずしも経ない植物材料であり、植物繊維は無傷のままで、植物材料はその自然な形状を保持する。特定の目的は、新鮮で無傷の植物材料の使用、および重金属のような環境的に有害な化学物質を使用しない処理である。

本願で特許請求される製品の実施例を示す図面代用写真である。 摩耗試験を受けた製品を示す図面代用写真である。 本発明の新品（Ａ）と、エージング加速試験（１００℃で７２時間）を受けた製品（Ｂ）との比較を示している図面代用写真である。 本願で特許請求される製品で作られた履物を示す図面代用写真である。

第１の実施形態は、植物材料を処理して、その外観および物理的特性を皮革に類似する製品に変換するためのプロセスを説明する。この方法は、植物材料を化学的に処理し、乾燥し、製品を溶着するといった基本的なステップを含む。

本方法の詳しい実施形態では、植物材料の化学処理は、酸性化、白化、潤滑、なめしおよび固化を含む。植物材料を化学的に処理するステップは、例えば、必要な化学成分を含むポットまたは類似の容器中で、またはこれに適した工業機械中で行うことができる。

酸性化サブステップは、任意の有機酸、例えば、ギ酸又は酢酸で実行できる。白化サブステップは、亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸ナトリウムのような、任意の漂白剤を用いて行うことができる。潤滑ステップは、例えば、硫化物油、硫酸化油、脂肪アルコール、魚油、植物油、鉱油、および合成油で行うことができる。

なめしサブステップは、当業者によって、予備なめしとなめしとの間で分けることができる。しかしながら、説明を単純化し、プロセスの理解を容易にするために、サブステップは単になめしと呼ぶ。以下の成分は、植物の有機材料のなめしに有用であり得る化合物の例である。すなわち、グルタルアルデヒド、ホスホニウム、オキシジリジン、スルホン、フェノール合成タンニン、植物タンニン、微粉化タール、クロム、アルミニウム、ジルコニウム、アクリル樹脂および種々のポリマーが例示できる。

固化サブステップは、例えば、ギ酸または酢酸のような有機酸を用いて行うことができる。

本方法の代替の実施形態では、植物材料の化学処理ステップは、滅菌、洗浄、および化学処理環境の緩衝、酸性化またはアルカリ化を含む。このような任意のステップは、システムを安定化させ、菌類およびバクテリアのような微生物の増殖を防止する必要性に応じて、プロセス中の任意の時点で行うことができる。

例えば、滅菌、緩衝、酸性化またはアルカリ化の各ステップは、例えば、酸性化と白化との間、なめしと潤滑との間、潤滑となめしとの間、なめしまたは潤滑と固化との間、または酸性化、白化、なめし、潤滑または固化のステップのいずれかと同時に行うことができる。

本方法の好ましい実施形態では、処理過程中に、なめしおよび潤滑のサブステップが繰り返される。例えば、このようなサブステップは、白化後、潤滑後、または滅菌ステップおよび緩衝、酸性化またはアルカリ化後に実施することができる。

本願で特許請求される処理方法は、任意に、ステップｃで得られた製品の熱可塑性処理のステップを更に含む。このようなステップで、例えば、ポリエチレン（ＰＥ）、ポリプロピレン（ＰＰ）及びポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）のような熱可塑性バインダーを使用することができる。熱可塑性処理は、例えば、アトマイザー装置を用いて行うことができる。

得られた製品を強化するためのステップ、例えば、より大きな引裂抵抗を提供する他の材料を用いた接着または縫合は、本願で特許請求される処理方法に含まれ得る。

乾燥ステップｂは、屋外であろうと適切な工業装置であろうと、対流下の任意の環境において、ステップＡの製品表面全体がそのような流れにさらされ、その結果、乾燥が効率的に起こるように実施することができる。乾燥は、室温で、または温室内で、２５〜７５℃、好ましくは３０〜６０℃、または４０〜５０℃の温度で行うことができる。

次に、ステップｂから得られる製品溶着は、適切な固着フィルム、例えば、参照として本明細書に組み込まれる２０１１年９月６日の特許ＰＩ０１０３９３８−５に記載される方法およびフィルムを使用して、当該方法に従って実施することができる。必要に応じて、溶着後、製品の仕上げ及び最終着色が行われ、様々な美的効果が得られる。

本方法の好ましい実施形態では、植物材料は、葉、花、果実、花序、茎、根および種子、ならびにそれらの一部から選択することができる。

また、本願では、上記の方法によって得られた製品も特許請求する。この製品は、上記の方法によって形質転換された植物材料を含むことを特徴とする。

本願で特許請求される製品は、植物材料の水性成分が、油およびグリセリンのような非水性化合物で置き換えられているという事実によって特徴付けることもできる。水性成分は、完全にまたは部分的に置き換えることができる。任意選択で、本願で特許請求される製品は、無傷の植物繊維を含むことによって特徴付けることもできる。

[実施例]
以下の実施例は、当業者の理解を容易にするために、上述したものを例示することのみを目的とする。ただし、本特許の説明または範囲を以下の実施形態に限定することは意図されていない。

図１に示されるように、選択された植物材料は葉であった。

植物材料の酸性化は、０．５％〜１０％、ｐＨ１．５〜４．５のギ酸水溶液中で２４時間行うことができる。その後、植物材料を亜塩素酸ナトリウム０．１％〜１０％中で３０分間漂白し、グリセリン１％〜４０％および合成油０．５％〜６％で２４時間潤滑することができる。植物材料のなめしは、グルタルアルデヒド１％〜８％およびホスホニウム１％〜８％で行うことができ、材料は殺菌剤で滅菌することができる。ｐＨをバランスさせるために、０．４〜４．８％の酢酸ナトリウム緩衝液を用いてｐＨを３〜７に保つことができる。その際、潤滑ステップを実施することが望ましい場合があり、この目的のために、グリセリン１％〜４０％を使用することができる。材料の新しいなめしのために、スルホン２％〜２７％およびアクリル樹脂１％〜１７％のようななめし剤を使用することができる。これまでのところ、処理された植物材料は、水で洗浄でき、必要に応じて、重炭酸ナトリウムで洗浄することができる。

なめしプロセスでは、合成油１％〜２０％、レシチン油１％〜２０％、合成ポリマー１％〜２０％、グリセリン１％〜２０％、およびアクリル樹脂１％〜１７％を、例えば２時間使用することができる。このプロセスを終了するために、植物材料は、固化前に殺菌剤での処理を再び経ることができ、これは、０．５％〜１０％のギ酸で実施することができる。

処理された葉は、対流、例えば屋外にさらすことができる。乾燥後、葉は、２０１１年９月６日の特許ＰＩ０１０３９３８−５に記載されているように、溶着ステップを経ることができる。溶着後、葉は、必要に応じて、熱可塑性プラスチック、塗料などで処理される。これにより、図１に示すような製品を得ることができる。

上記の実施例で得られた製品は、以下の表に記載された物理的性質を有する。

表１に示されるデータを決定するための方法は、標準ＤＩＮ ＥＭ １４３２７：０４に基づく。図２は、摩耗試験を受ける前後の製品を示す。

引裂荷重の決定は、標準ＤＩＮ ＥＭ ＩＳＳＯ ３３７７−３：０３／ＩＵＰ８に基づいている。

表３のデータの決定は、ＤＩＮ ＥＭ ＩＳＯ ３３７４：１２に基づいている。

皮革と本願で特許請求される製品との間の物理的類似性は、現在特許請求されている皮革のような製品を様々な用途で使用することを可能にする。

Claims (12)

1. 植物材料を処理する方法において、
   植物材料の化学処理を行う化学処理ステップと、
   前記化学処理ステップで得られた製品を乾燥させる乾燥ステップと、
   前記乾燥ステップで得られた製品を溶着する溶着ステップと、
   を備えていることを特徴とする植物材料の処理方法。
2. ステップｂで得られた製品の熱可塑性処理を行う熱可塑性処理ステップを更に備えていることを特徴とする、請求項１に記載の植物材料の処理方法。
3. 前記植物材料の化学処理が、酸性化、白化、潤滑、なめし、および固化を含むことを特徴とする、請求項１に記載の植物材料の処理方法。
4. 前記なめし及び前記固化のサブステップが繰り返されることを特徴とする、請求項３に記載の植物材料の処理方法。
5. 必要に応じて、緩衝、酸性化又はアルカリ化の１つ以上のステップを含むことを特徴とする、請求項３に記載の植物材料の処理方法。
6. 必用に応じて、前記植物材料を滅菌する１つ以上のステップを含むことを特徴とする、請求項３に記載の植物材料の処理方法。
7. ステップｂで得られた材料の前記熱可塑性処理を熱可塑性バインダーで行うことを特徴とする、請求項２に記載の植物材料の処理方法。
8. 前記植物材料が、葉、花、果実、偽果、花序、茎、根および種子、ならびにそれらの一部から選択されることを特徴とする、請求項１に記載の植物材料の処理方法。
9. 請求項１〜８の何れかに記載の処理方法によって形質転換された植物材料を含むことを特徴とする製品。
10. 前記植物材料の水性成分を非水性化合物で置き換えたことを特徴とする、請求項９に記載の製品。
11. 無傷の植物繊維を含むことを特徴とする、請求項９に記載の製品。
12. 前記植物材料が、葉、花、果実、偽果、花序、茎、根および種子、ならびにそれらの一部から選択されることを特徴とする、請求項９に記載の製品。