これより、様々な実施形態を詳細に参照し、それらの1つ以上の実施例を図に示す。図面に関する以下の説明の中で、同じ参照番号は同じ構成要素を指す。概して、個々の実施形態に関する相違のみが説明される。各実施例は、単なる説明として提示されており、限定を意味するものではない。さらに、ある実施形態の一部として図示又は記載される特徴は、他の実施形態において用いることができ、又は、他の実施形態と併用することができ、これにより、さらに別の実施形態が生み出される。本記載には、このような修正例及び変形例が含まれることが意図されている。
本明細書に記載された実施形態において使用されるフレキシブル基板は、典型的に、屈曲可能であることに留意されたい。用語「フレキシブル基板」又は「基板」は、用語「箔(foil)」又は用語「ウェブ」と同義的に使用され得る。具体的には、本明細書に記載された堆積装置の実施形態は、任意の種類のフレキシブル基板をコーティングするために利用できることを理解するべきであり、それは、例えば、均一な厚さを有する平坦なコーティングを製造するため、又は、フレキシブル基板若しくは下位のコーティング構造の上部に所定形状でコーティングパターン又はコーティング構造を製造するためである。例えば、マスキング、エッチング、及び/又は堆積によって、電子デバイスがフレキシブル基板上に形成され得る。例えば、本明細書に記載されたフレキシブル基板には、PET、HC−PET、PE、PI、PU、TaC、OPP、CPPのような材料、1つ以上の金属、紙、これらの組み合わせ、及びハードコートPET(例えば、HC−PET、HC−TaC)などのコーティング済の基板が含まれ得る。幾つかの実施形態では、フレキシブル基板は、指数が一致した(IM)層が両面に設けられたCOP基板である。
本明細書に記載された実施形態は、概して、層のスタックでフレキシブル基板をコーティングするための装置及び方法に関する。本明細書に記載された「層のスタック(stack of layers)」とは、交互に堆積された2つ、3つ、又はそれより多くの層であると理解してよい。2つ、3つ、若しくはそれより多くの層は、同一の材料から構成されてもよく、又は2つ、3つ、若しくはそれより多くの異なる材料から構成されてもよい。例えば、層のスタックは、1つ以上の導電層(例えば、金属層)、及び/又は1つ以上の絶縁層(例えば、誘電体層)を含み得る。幾つかの実施形態では、層のスタックは、1つ以上の透明層(例えば、SiO2層又はITO層)を含み得る。幾つかの実施形態では、層のスタックの少なくとも1つの層は、導電性の透明層(例えば、ITO層)であり得る。例えば、ITO層は、例えば、タッチパネル用の容量性タッチアプリケーションにおいて有益であり得る。幾つかの実施形態では、1つ以上の層は、パターニングされてもよい。幾つかの実施形態では、1つ以上のSiO2層が、基板の第1の主要面に堆積され、その後、1つ以上のITO層が続き、任意選択的に、その後、1つ以上の金属層(例えば、銅層)が堆積され得る。幾つかの実装形態では、例えば、本明細書に記載された実施形態に係る堆積装置において、同じ層のスタック又は種々の層スタックで、基板の第2の主要面もコーティングされてもよい。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、堆積装置は、500m以上、1000m以上、又は数キロメートルの長さの基板に対して構成され得る。基板の幅は、300mm以上、具体的には、500mm以上、より具体的には、1m以上であり得る。一実施例によると、基板の幅は、約1.4mである。例えば、約1.4mの基板の幅に対して構成された堆積装置は、例えば、容量性タッチ用途アプリケーションのために、ITOの1つ以上の層を堆積するように構成され得る。別の実施例によると、基板の幅は、約1.7mである。例えば、約1.7mの基板の幅に対して構成された堆積装置は、例えば、ウィンドウ膜用途のために、1つ以上の層を基板に堆積するように構成され得る。基板の幅は、3m以下、具体的には、2m以下であり得る。典型的に、基板の厚さは、20μm以上及び1mm以下、具体的には、50μmから200μmであり得る。
幾つかの実施形態によれば、堆積装置の幾つかのチャンバ又はすべてのチャンバは、排気可能な真空チャンバとして構成され得る。例えば、堆積装置は、スプールチャンバ、及び堆積チャンバなどの処理システムの少なくとも一部において、真空を生成又は維持することを可能にする構成要素又は機器を含み得る。堆積装置は、堆積装置の少なくとも一部において真空を生成又は維持するために、真空ポンプ、排気ダクト、真空シールなどを含み得る。例えば、各チャンバは、それぞれのチャンバを排気するための、個別に対応する真空ポンプ又はポンプステーションを有し得る。幾つかの実施形態では、2つ以上のターボ真空ポンプは、少なくとも1つの真空チャンバに接続されてよく、特に堆積装置の各真空チャンバに接続されてよい。
幾つかの実施形態によれば、堆積装置の真空チャンバは、真空密封エンクロージャを形成する真空条件下で作動するように適合されており、すなわち、堆積の間、10mbar以下、具体的には、1mbar以下、又はさらに1x10−4mbarと1x10−2mbar以下との間の圧力を有する真空まで排気され得る。特に、10−3mbarの範囲内で行われ得るスパッタリングなどのPVDプロセス、及び通常mbar範囲内で行われるCVDプロセスに対して、種々の圧力範囲を考慮するべきである。さらに、真空チャンバは、1×10−6mbar以下の圧力で背景真空(background vacuum)まで排気され得る。背景圧力とは、任意のガスの注入口が全くない状態で、チャンバの排気によって達成される圧力のことを意味する。
図1は、薄い層のスタックでフレキシブル基板10をコーティングするための堆積装置100を例示する。堆積装置100は、大気圧未満の圧力まで排気され得る複数の真空チャンバを含む。図1に示す堆積装置100は、第1のスプールチャンバ110、第1のスプールチャンバ110の下流に配置された堆積チャンバ120、及び堆積チャンバ120の下流に配置された第2のスプールチャンバ150を含む。第1のスプールチャンバ110は、フレキシブル基板が巻かれたストレージスプールを収納するように構成された真空チャンバであるとみなすことができ、第2のスプールチャンバ150は、堆積の後、コーティングされたフレキシブル基板を巻き取るための巻き取りスプールを収容するように構成された真空チャンバであるとみなすことができる。
堆積装置100は、フレキシブル基板10が、基板搬送経路に沿って、第1のスプールチャンバ110から第2のスプールチャンバ150まで誘導されるように構成され得る。基板搬送経路は、堆積チャンバ120を貫通し得る。フレキシブル基板は、堆積チャンバ120内で層のスタックでコーティングされ得る。複数のロールを備えたローラアセンブリ又はローラは、基板搬送経路に沿って基板を搬送するように設けられ得る。ローラアセンブリの2つ以上のローラ、5つ以上のローラ、又は10個以上のローラが、ストレージスプールと巻き取りスプールとの間に配置され得る。本開示では、ローラアセンブリは、巻き取り/送り出しシステム(winding system)とも呼ばれ得る。
本明細書の幾つかの実施形態によれば、基板搬送経路は、部分的に凸状で部分的に凹状であり得る。言い換えるならば、基板搬送経路は、一部の誘導ローラがフレキシブル基板の第1の主要面に接触し、一部の誘導ローラが第1の主要面の反対側のフレキシブル基板の第2の主要面に接触するように、部分的に右方に湾曲し、部分的に左方に湾曲している。例えば、図1の第1の誘導ローラ107は、フレキシブル基板の第2の主要面に接触し、フレキシブル基板は、第1の誘導ローラ107(基板搬送経路の「凸状」部分)によって誘導される間に左方に曲げられる。図1の第2の誘導ローラ108は、フレキシブル基板の第1の主要面に接触し、フレキシブル基板は、第2の誘導ローラ108(基板搬送経路の「凹状」部分)によって誘導される間に右方に曲げられる。基板搬送経路は、第1のスプールチャンバと第2のスプールチャンバとの間で、凹状部分(すなわち、基板の第1の主要面が支持面に接触する区域)、及び凸状部分(すなわち、基板の第2の主要面が支持面に接触する区域)において何度か方向を変えるので、2面堆積用にも適切であり得るコンパクトな堆積装置が設けられ得る。
本明細書に記載された「〜の上流(upstream from)」及び「〜の下流(downstream from)」という表現は、各チャンバや各構成要素が、基板搬送経路に沿って、別のチャンバ又は構成要素に対してどの位置にあるかを表し得る。例えば、作動中、基板は、ローラアセンブリによって、基板搬送経路に沿って、第1のスプールチャンバ110から堆積チャンバ120を経由して、その後、第2のスプールチャンバ150まで誘導される。したがって、堆積チャンバ120は、第1のスプールチャンバ110の下流に配置され、第1のスプールチャンバ110は、堆積チャンバ120の上流に配置される。作動中、基板は、最初に第1のローラ又は第1の構成要素を通過するように誘導又は搬送され、続いて、第2のローラ又は第2の構成要素を通過するように誘導又は搬送される。第2のローラ又は第2の構成要素は、第1のローラ又は第1の構成要素の下流に配置されている。
第1のスプールチャンバ110は、ストレージスプール112を収納するように構成されており、ストレージスプール112は、フレキシブル基板10が巻かれた状態で設けられ得る。作動中、フレキシブル基板10は、ストレージスプール112から送り出すことができ、基板搬送経路に沿って、第1のスプールチャンバから堆積チャンバに向けて搬送され得る。本明細書に記載された「ストレージスプール(storage spool)」という用語は、コーティングされるフレキシブル基板が格納されるロールとして理解することができる。したがって、本明細書に記載された「巻き取りスプール(wind−up spool)」という用語は、コーティングされたフレキシブル基板を受け入れるように適合されたロールとして理解することができる。また、「ストレージスプール」という用語は、本明細書では「供給ロール(supply roll)」と呼ばれることもあり、「巻き取りスプール(wind−up spool)」という用語は、本明細書では「取り込みロール(take−up roll)」と呼ばれることもある。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、ストレージスプール112からフレキシブル基板を送り出すために、ストレージスプール112を回転させるためのストレージスプール駆動部が設けられ得る。言い換えると、ストレージスプール112は、能動的に駆動されるローラであり得る。
図1に概略的に示されているように、堆積チャンバ120は、第1のスプールチャンバ110の直ぐ下流に配置され得る。代替的に、1つ以上のさらなる真空チャンバ、例えば、洗浄チャンバは、第1のスプールチャンバ110と堆積チャンバ120との間に配置され得る。図1に示す実施形態では、スリットのような小通路を通って、第1のスプールチャンバ110を出て行くフレキシブル基板は、堆積チャンバ120に直接に入り得る。
第1のスプールチャンバ110は、ロードロックチャンバとして構成され得る。言い換えると、残りの真空チャンバの中の真空を損なうことなく、第1のスプールチャンバ内のストレージスプールを新しいストレージスプールと交換するために、第1のスプールチャンバ110がフラッド(flooded)され得る。第1のスプールチャンバ110と第1のスプールチャンバの下流に配置された真空チャンバとの間の壁の通路又は開孔を密封することができる。したがって、例えば、フレキシブル基板がストレージスプールから送り出され、第1のスプールチャンバ内のストレージスプールを交換する間、堆積装置100の他の真空チャンバ、特に堆積チャンバを排気状態に保つことができる。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、フレキシブル基板10は、真空チャンバ群を互いから分離するそれぞれの壁の開口(例えば、スリット)を通して誘導され得る。例えば、2つ真空チャンバ間の壁のスリットは、基板を一方の真空チャンバから他方の真空チャンバへと誘導するように適合され得る。幾つかの実施形態では、開口によって連結された2つの真空チャンバの圧力条件を少なくとも実質的に分離するために、開口には密封デバイスが設けられ得る。例えば、開口によって連結されたチャンバが種々の圧力条件をもたらす場合、壁の開口は、チャンバ内のそれぞれの圧力を維持するように設計され得る。
本明細書に記載された実施形態によれば、例えば、第1のスプールチャンバをその下流に配置された真空チャンバから分離するため、2つの隣接する真空チャンバを互いから分離するように少なくとも1つの間隙スルース(水門)又はロードロックバルブが設けられ得る。少なくとも1つの間隙スルースは、そこをフレキシブル基板が通過できるように構成され得る。間隙スルースは、真空シールを設けるように開閉され得る。したがって、例えば、第1のスプールチャンバ110を排気することができる一方で、堆積チャンバ120を技術的真空(technical vacuum)下で維持することができる。
例えば、第1のスプールチャンバ110と堆積チャンバ120との間に配置された密封デバイス105は、図1に概略的に示されている。しかしながら、対応する機能性を付与するさらなる密封デバイスは、他の互いに隣接する真空チャンバ間、例えば、堆積チャンバ120と第2のスプールチャンバ150との間に設けられ得ることを理解するべきである。したがって、有利には、巻き付け及び送り出しチャンバ(すなわち、第1のスプールチャンバ110及び第2のスプールチャンバ150)を、個別に、特に堆積チャンバとは別に、排気又は真空引きすることができる。
密閉デバイス105は、基板を平坦な密閉面に対して押圧するように構成された膨張可能なシールを含み得る。したがって、開口内にフレキシブル基板が存在し得るときでも、第1のスプールチャンバ110と堆積チャンバ120との間の壁の開口を密封することができる。密封デバイスの開閉には、フレキシブル基板の取り出しは必要ではない場合がある。
しかし、間隙スルースを選択的に開閉するための他のデバイス又は装置を利用してもよく、基板の挿入時に、開閉(すなわち、開放された基板経路及び真空シール)を行うことができる。新しいロールからの基板を前のロールからの基板に取り付けることができるので、基板の挿入時に真空シールを閉じる間隙スルースは、特に基板の容易な交換を可能にする。
密封デバイス、スリット、開口、又は間隔スルースは、フレキシブル基板を第1のスプールチャンバから後続の真空チャンバに誘導することに関連して説明されているが、本明細書に記載された密封デバイス、スリット、開口、又は間隔スルースは、他のチャンバ間、又は堆積装置の部分において使用されてもよい。
堆積チャンバ120は、フレキシブル基板10を複数の堆積ユニット121を通過させて誘導するように構成されたコーティングドラム122を含み得る。コーティングドラム122は、回転軸123の周りで回転可能であり得る。コーティングドラムは、湾曲した基板支持面、例えば、コーティングドラム122の外面を含み得る。この支持面上で、フレキシブル表面は、複数の堆積ユニット121を通過するように誘導され得る。複数の堆積ユニット121を通過するようにフレキシブル基板が誘導されている間、フレキシブル基板は、コーティングドラムの基板支持面に直接接触し得る。この基板支持面は、冷却されている場合がある。フレキシブル基板がコーティングドラムと直接的に熱的接触しているとき、フレキシブル基板の温度は、堆積中に減少し得る。
フレキシブル基板10は、複数の堆積ユニット121によって、1つ以上の薄い層でコーティングされ得る。例えば、複数の堆積ユニット121のうちの堆積ユニットは、図1に概略的に示すように、コーティングドラム122の周りで円周方向に配置され得る。堆積チャンバ120は、基板搬送経路に沿って、互いに隣り合うように配置された2つ以上の堆積ユニットを含み得る。フレキシブル基板の第1の主要面がコーティングされ得るが、第1の主要面の反対側のフレキシブル基板の第2の主要面、すなわち、フレキシブル基板の背面は、コーティングドラムの湾曲した基板支持面に接触し得る。
コーティングドラム122が回転するにつれて、フレキシブル基板は、堆積ユニットを通過するように誘導される。堆積ユニットは、コーティングドラムの湾曲した基板支持面に面しており、これにより、フレキシブル基板の第1の主要面は、所定の速度で堆積ユニットを通過する間にコーティングされ得る。
幾つかの実施形態では、1つ以上のローラ、例えば、ローラアセンブリの誘導ローラは、ストレージスプール112と、コーティングドラム112及び/又はコーティングドラム122の下流との間に配置され得る。例えば、図1に示す実施形態では、2つの誘導ローラが、ストレージスプール112とコーティングドラム122との間に設けられている。少なくとも1つの誘導ローラが、第1のスプールチャンバ内に配置されてもよく、少なくとも1つの誘導ローラが、コーティングドラム122の上流の堆積チャンバ内に配置されてもよい。幾つかの実施形態では、3つ、4つ、5つ以上、具体的には、8つ以上の誘導ローラが、ストレージスプールとコーティングドラムとの間に設けられる。誘導ローラは、能動型ローラ又は受動型ローラであってもよい。
本明細書に記載された「能動型」ローラ又はロールは、それぞれのローラを能動的に動かす又は回転させるための駆動部又はモータが設けられたローラであると理解することができる。例えば、所定のトルク又は所定の回転速度をもたらすように能動型ローラを調整することができる。典型的には、ストレージスプール112及び巻き取りスプール152は、能動型ローラとして設けられ得る。幾つかの実施形態では、コーティングドラムは、能動型ローラとして構成され得る。さらに、能動型ローラは、作動中、所定の張力で基板に引っ張るように構成された基板引っ張りローラとして構成され得る。本明細書に記載された「受動型」ローラは、受動型ローラを能動的に動かす又は回転させるための駆動部を備えていないローラ又はロールとして理解することができる。受動型ローラは、作動中に外側ローラ面に直接接触し得るフレキシブル基板の摩擦力によって回転し得る。
本開示では、「ロール」又は「ローラ」は、フレキシブル基板を堆積装置内の基板搬送路に沿って搬送している間、フレキシブル基板又はフレキシブル基板の一部と接触し得る表面が設けられたデバイスであると理解することができる。本明細書で言及されているローラの少なくとも一部は、堆積の前又は堆積の後にフレキシブル基板と接触するために、円形形状を含み得る。ほぼ円筒な形状は、真っ直ぐな長手方向軸の周りに形成され得る。幾つかの実施形態によれば、ローラは、基板が搬送されている間、例えば、堆積プロセスの間に、又は、基板が堆積装置内に存在しているときに、基板を誘導するように適合された誘導ローラであり得る。ローラは、スプレッダローラ(spreader roller)、すなわち、フレキシブル基板に対して規定された張力をもたらすように適合された能動型ローラとして構成され得る。スプレッダローラは、kローラとも呼ばれ得る。図5に例示されているように、スプレッダローラ117は、コーティングドラム122の下流、特に直ぐ下流に配置され得る。さらに、本明細書に記載されたローラは、処理ローラ(例えば、コーティング中にフレキシブル基板を支持するコーティングドラム)、湾曲した基板搬送路に沿って基板を偏向させる偏向ローラ、調節ローラ、ストレージスプール、巻き取りスプール等として構成され得る。
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの偏向ローラは、フレキシブル基板を時計回り方向に偏向するように構成され得、少なくとも1つの偏向ローラは、フレキシブル基板を反時計回り方向に偏向するように構成され得る。例えば、図1に示す実施形態では、第1の誘導ローラ107は、フレキシブル基板を反時計回り方向に偏向し(すなわち、フレキシブル基板は、基板搬送経路に沿って動かされたときに左方に曲げられる)、第2の誘導ローラ108は、フレキシブル基板を時計回り方向に偏向する(すなわち、フレキシブル基板は、基板搬送経路に沿って動かされたときに右方に曲げられる)。ここでは、第1の誘導ローラ107は、反時計回り方向に回転し得、第2の誘導ローラ108は、時計回り方向に回転し得る。部分的に凸状で部分的に凹状な基板搬送経路が設けられ得る。フレキシブル基板を搬送している間に時計回り方向に回転する誘導ローラは、本明細では「時計回り回転ローラ」と呼ばれ得、フレキシブル基板を搬送している間に反時計回り方向に回転するローラは、本明細では「反時計回り回転ローラ」と呼ばれ得る。
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの誘導ローラ(例えば、第1の誘導ローラ107)は、基板の第1の主要面に接触し、少なくとも1つの誘導ローラ(例えば、第2の誘導ローラ108)は、基板の第2の主要面、すなわち、第1の主要面の反対側の表面と接触する。したがって、巻き取り及び送り出しの障害のリスクを減らすために、フレキシブル基板の両主要面を洗浄することが有益であり得る。
幾つかの実装形態によれば、本明細書に記載されたローラは、特に両軸受ローラ構造を有する低摩擦ローラ軸受に取り付けられ得る。したがって、本明細書に記載された搬送装置のローラの平行度を達成することができ、基板の搬送中に、横断する基板の「揺動」をなくすことができる。したがって、有益には、本明細書に記載されたローラアセンブリによって、低摩擦ローラ軸受を備えた高精度巻き取り/送り出しシステムがもたらされる。
幾つかの実施形態では、フレキシブル基板を基板搬送経路に沿って誘導する誘導ローラは、張力測定を行うようにさらに構成され得る。典型的な実施形態によれば、少なくとも1つの張力測定ローラ、例えば、受動型ローラが、堆積装置内に設けられ得る。有益には、コーティングドラムの両側の、1つ、2つ、又はそれより多くの張力測定ローラが設けられ得る。これらは、コーティングドラムの巻き取り側と送り出し側の張力測定を可能にする。具体的には、張力測定ローラは、フレキシブル基板の張力を測定するように構成され得る。したがって、基板搬送をより良く制御することができ、コーティングドラム上の基板の圧力を制御することができ、且つ/又は基板に対する損傷を低減又は回避することができる。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、複数の堆積ユニットは、フレキシブル基板の第1の主要面をコーティングするように構成され得る。したがって、堆積チャンバ内の複数の堆積ユニットによって、層のスタックが、フレキシブル基板の第1の主要面に堆積され得る。言い換えると、幾つかの実施形態によれば、堆積装置を通して、フレキシブル基板を基板搬送経路に沿って搬送している間、フレキシブル基板の第1の主要面のみが層のスタックでコーティングされ得る。
フレキシブル基板の第2の主要面もコーティングするために、コーティングされた第1の主要面を有するフレキシブル基板は、第1のスプールチャンバ内に再度ローディングされ、反転した配向で、堆積装置を通して搬送され得る。本明細書に記載された「反転した配向」では、基板の第2の主要面(すなわち、堆積装置を通ったフレキシブル基板の第1の通過部分に対する他の主要面)は、フレキシブル基板が基板搬送経路に沿って搬送されている間、複数の堆積ユニットに向けて方向付けられる。したがって、同一のフレキシブル基板を、堆積装置を通して2度誘導することによって、フレキシブル基板に対する2面堆積が可能となる。幾つかの実施形態では、第1の層のスタックが、堆積装置を通る第1の通過でフレキシブル基板の第1の主要面に堆積され、第2の層のスタックが、堆積装置を通る第2の通過でフレキシブル基板の第2の主要面に堆積される。第1の層のスタック及び第2の層のスタックは、対応する厚さ及び/又は対応する材料配列を有し得る。幾つかの実施形態では、2つのコーティングされた主要面を有するフレキシブル基板は、基板の中央面に対して実質的に対称的であり得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、コーティングドラムは、能動的に駆動され得る。言い換えれば、コーティングドラムを回転させるために駆動部が設けられ得る。
幾つかの実施形態では、1つ以上の誘導ローラ113は、コーティングドラム122の下流、及び第2のスプールチャンバ150の上流に配置され得る。例えば、少なくとも1つの誘導ローラは、フレキシブル基板10を真空チャンバに向けて(例えば、堆積チャンバ120の下流に配置された第2のスプールチャンバ150に向けて)誘導するために、コーティングドラム122の下流の堆積チャンバ120内に配置され得、又は、フレキシブル基板を巻き取りスプール152に滑らかに誘導するために、フレキシブルローラをコーティングドラムの基板支持面に対するほぼ接線方向に誘導するように、少なくとも1つの誘導ローラは、コーティングドラム122の上流の第2のスプールチャンバ150内に配置され得る。これらの誘導ローラのうちの少なくとも1つ以上は、以下でさらに詳細に説明される機能を有し得る。
第2のスプールチャンバ150は、堆積チャンバ120の直ぐ下流に配置され得る。他の実施形態では、1つ以上の真空チャンバが、堆積チャンバ120と第2のスプールチャンバ150との間に配置され得る。第2のスプールチャンバ150は、堆積後にフレキシブル基板を巻き取るための巻き取りロール152を収容するように構成され得る。密封デバイスは、真空チャンバ間の壁、具体的には、第2のスプールチャンバ150を堆積チャンバから分離する壁に設けられ得る。例えば、図1に示す実施形態では、密封デバイス105が、堆積チャンバ120と第2のスプールチャンバ150との間に設けられる。密閉デバイス105は、基板を密閉面に対して押圧するように構成された膨張可能なシールを含み得る。したがって、開口内にフレキシブル基板が存在し得るときでも、堆積チャンバ120と第2のスプールチャンバ150との間の壁の開口を密封することができる。密封デバイスの開閉には、フレキシブル基板の取り出しは必要ではない場合がある。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、フレキシブル基板を巻き取るための巻き取りスプール152を回転させるために、巻き取りスプール駆動部が設けられ得る。言い換えると、巻き取りスプール152は、能動型ローラであり得る。
第2のスプールチャンバ150は、ロードロックチャンバとして構成され得る。ここでは、第2のスプールチャンバ150がフラッドされている可能性のある間、コーティングされたフレキシブル基板を巻き取った巻き取りスプールを、第2のスプールチャンバからアンローディングすることができるように、第2のスプールチャンバは構成され得る。第2のスプールチャンバ150をフラッドするために、第2のスプールチャンバ150と第2のスプールチャンバの上流に配置された真空チャンバとの間の通路を、密封デバイス105を介して密封することができる。したがって、巻き取りスプールを新しい巻き取りスプールと交換する間、堆積装置の他の真空チャンバ、及び特に堆積チャンバを排気状態に保つことができる。幾つかの実施形態では、第2のスプールチャンバ150は、第2の堆積チャンバと第2のスプールチャンバとの間の通路又はスリットを開閉するための、例えば、密封デバイスを含む、間隙スルース又はロードロックバルブを含み得る。密封デバイスが密封している状態で、基板は開口内に留まり得る。
堆積中、例えば、スパッタ源が使用される場合、堆積チャンバ120は、中真空又は高真空(例えば、1×10−2mbarと1×10−4mbarとの間の圧力)となり得る。堆積ユニットの内部の圧力は、堆積チャンバの主要空間内の圧力より、例えば一桁高いことがある。例えば、スパッタ堆積の間、スパッタ堆積ユニットの内部の圧力は、約5×10−3mbarであり得る。第1のスプールチャンバ110及び第2のスプールチャンバ150の内部の圧力は、堆積中の堆積チャンバ内の圧力より、例えば、1桁又は2桁高い場合がある。例えば、第1のスプールチャンバ及び/又は第2のスプールチャンバの内部の背景圧力は、10−1mbarと10−3mbarとの間であり得る。1つ以上の真空制御ユニットは、例えば、少なくとも1つの真空チャンバ及び/又は少なくとも1つの堆積ユニット内に設けられ得る。
堆積前、堆積中、且つ/又は堆積後、フレキシブル基板上に粒子が集まることがあり、取り除かれないと、塵となり、基板の表面が損傷する恐れがある。特に、粒子が上面に形成されたフレキシブル基板が誘導ローラの支持面と接触すると、基板の表面は、スクラッチを負ったり、損傷したりし得る。このような問題は、「巻き取り欠陥(winding defects)」とも呼ばれ得る。より詳細には、このような欠陥は、通常、10ミクロン程度の小さな領域であり、堆積した層、又は、さらにはフレキシブル基板全体が、局所的にすり減る。これらの欠陥の発生源として可能性があるのは、例えば、貯蔵スプールのフレキシブル基板上に存在する粒子、及びコーティング処理によって発生し基板に付着する粒子であり得る。
巻き取り欠陥の問題を回避すべく、幾つかのアプローチが行われてきた。1つのアプローチは、フレキシブル基板の一方の主要面、例えば、コーティングされていない表面のみが、堆積処理中、ローラ表面と直接接触するシステムである。しかしながら、このような設計は、2面堆積処理、及び進歩した張力制御を用いる薄膜堆積処理のためには適切ではない場合がある。具体的には、凹状部分及び凸状部分の両方を有する基板搬送経路を含む堆積装置では、フレキシブル基板の両主要面が、搬送中、ローラ表面と直接接触し得る。したがって、巻き取り欠陥のリスクを減らすためには、基板の主要面の一方又は両方を洗浄することが有益であり得る。
幾つかの実施形態では、巻き取り欠陥を回避するために、堆積装置は、特にフレキシブル基板が、ローラに巻き付けられる前、又は、高張力でローラ表面と直接接触する前に、基板を洗浄するように構成された少なくとも1つの洗浄デバイスを含み得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、第1の洗浄デバイスは、フレキシブル基板の第1の主要面、例えば、層のスタックでコーティングされた第1の主要面を洗浄するために設けられ得、且つ/又は第2の洗浄デバイスは、フレキシブル基板の第2の主要面、例えば、第1の主要面の反対側の、フレキシブル基板の背面を洗浄するために設けられ得る。
図2は、第1の洗浄デバイス171及び第2の洗浄デバイス172を含む、フレキシブル基板10をコーティングするための堆積装置100を例示する。図2の堆積装置100のほとんどの特徴が、図1に示す堆積装置のそれぞれの特徴に対応する。そのため、上記の説明を参照することが可能であり、かかる説明をここでは繰り返さない。
第1の洗浄デバイス171は、フレキシブル基板の第1の主要面を洗浄するために設けられ得、第2の洗浄デバイス172は、フレキシブル基板の第2の主要面を洗浄するために設けられ得る。第1の洗浄デバイス171及び/又は第2の洗浄デバイス172は、堆積チャンバ内での堆積の前に、フレキシブル基板の表面を洗浄することができるように、複数の堆積ユニットの上流に配置され得る。
基板の第1の主要面は、堆積チャンバ内で連続的にコーティングされる基板表面であり得、基板の第2の主要面は、第1の主要面の反対側の基板表面であり得る。幾つかの実施形態では、第2の主要面は、コーティングされていない基板表面であり得るが、他の実施形態では、第2の主要面は、以前に(例えば、堆積装置を通る第1の通過時に)コーティングされている場合がある。フレキシブル基板の第1の主要面に既に存在し得る粒子又はその他の種類の汚染は、堆積前に取り除くことができ、それにより、第1の主要面のコーティング品質を改善することができる。フレキシブル基板の第2の主要面に既に存在し得る粒子又はその他の種類の汚染は、第2の主要面(又は既にそこに設けられたコーティング)が、コーティングドラムの基板支持面と接触する前に取り除くことができ、それにより、巻き取り欠陥を避けることができる。
他の実施形態では、第1の洗浄デバイスのみが設けられ得るか、又は、第2の洗浄デバイスのみが設けられ得る。例えば、基板の第1の主要面のみが洗浄されてもよく、又は、コーティングドラムの基板支持面と接触する第2の主要面のみが洗浄されてもよい。
幾つかの実施形態では、第1の洗浄デバイス171及び/又は第2の洗浄デバイス172は、図2に示されているように、第1のスプールチャンバ110の下流、及び堆積チャンバ120の上流に設けられ得る洗浄チャンバ170内に配置され得る。他の実施形態では、第1の洗浄デバイス171及び/又は第2の洗浄デバイス172は、ストレージスプール112の下流の第1のスプールチャンバ又はコーティングドラム122の上流の堆積チャンバ120の内部に設けられてもよい。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、別個の洗浄チャンバは設けられ得ない。洗浄チャンバ170を設けることにより、通常一定の間隔でフラッドされる第1のスプールチャンバ110と堆積チャンバとの間により優れた真空分離の利点を実現することができる。具体的には、洗浄チャンバは、第1のスプールチャンバと堆積チャンバとの間のさらなるガス分離領域として機能し得る。幾つかの実施形態では、フレキシブル基板を誘導して通過させるスリットなどの小さな通路のみが、洗浄チャンバと堆積チャンバとの間に設けられ得る。洗浄デバイスを洗浄チャンバ170内に収容することにより、洗浄デバイスの構成要素をより簡単に交換することができ、且つ、洗浄処理によって生じた汚染物が、堆積チャンバに入らずに洗浄チャンバから圧送され得るというさらなる利点を実現することができる。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、さらなる洗浄デバイスは、追加的に又は代替的に、基板搬送経路の沿った他の位置に設けられてもよい。例えば、図2に示す実施形態では、コーティング後洗浄デバイス173が、複数の堆積ユニット121の下流に位置付けされ得る。コーティング後洗浄デバイス173は、複数の堆積ユニット121によって、フレキシブル基板の第1の主要面にコーティングされたコーティングの表面を洗浄するように構成され得る。
洗浄は、複数の堆積ユニット121の直ぐ下流で実行され得る。これにより、コーティング中にコーティング面で発生した粒子を、コーティング面がローラ表面と接触する前に確実に取り除くことができる。本明細書に記載された「直ぐ下流(directly downstream)」とは、フレキシブル基板を、誘導ローラ又はプーリへ誘導せずに、コーティング直後に洗浄することを示唆し得る。誘導ローラ又はプーリは、新たにコーティングされた表面に圧力をかけることができる。巻き取り欠陥の発生を減少させたり、避けたりすることができる。
洗浄デバイスの目的は、誘導ローラによって、高張力で基板を巻き取ったり、偏向させたりする前に、フレキシブル基板上の粒子又は他の種類の汚染物を集めることであり得る。例えば、フレキシブル基板とコーティングドラムとの間の熱接触を改善するため、フレキシブル基板は、通常、高張力でコーティングドラムの周りで引っ張られる。そのため、コーティングドラムの上流での基板の第2の主要面の洗浄は有益であり得る。巻き取り欠陥の発生を減少させたり、完全に避けたりすることができる。
例えば、図2に示すように、堆積後、且つ、任意の誘導ローラに接触する前、フレキシブル基板10の(新たにコーティングされた)第1の主要面は、コーティング後洗浄デバイス173によって洗浄される。コーティング後洗浄デバイス173は、複数の堆積ユニット121の直ぐ下流に位置付けされる。いかなる実施形態にも限定されないが、コーティング後洗浄デバイスは、典型的に、フレキシブル基板の新たにコーティングされた側面を洗浄するように構成される。
幾つかの実施形態では、フレキシブル基板10がコーティングドラム122と接触している位置でコーティング後洗浄デバイス173がフレキシブル基板10に接触するように、コーティング後洗浄デバイス173は位置付けされ得る。この場合、フレキシブル基板10がコーティングドラム122と接触している位置は、例えば、コーティングドラム122の回転軸123の周りの周方向にある複数の堆積ユニット121のうちの最後の堆積ユニットの下流にある。堆積ユニットの少なくとも一部、特に複数の堆積ユニット121の半数より多くが、図2に示すように、コーティングドラム122の回転軸123の下方に位置付けされ得る。
洗浄デバイスのうちの少なくとも一部が、以下のように構成され得る。本明細書では、コーティング後洗浄デバイスは、洗浄デバイスであると見なされることに留意するべきである。洗浄デバイスの機能性は、第1の洗浄デバイス171に関連して説明される。第1の洗浄デバイス171は、粒子変位ユニット、及び粒子消散ユニットを含み得る。粒子変位ユニットは、接着又は粘着面を有する第1の接着性ロール175として示されており、粒子消散ユニットは、接着又は粘着面を有する第2のロール176として示されている。幾つかの実施形態では、第2の接着性ロール176の粘着性は、第1の接着性ロール175の粘着性よりも高い(すなわち、粒子を第2の接着性ロールに接着させる第2の接着性ロールの能力は、粒子を第1の接着性ロールに接着させる第1の接着性ロールの能力より高い)。
第1の接着性ロール175及び第2の接着性ロール176を含む第1の洗浄デバイス171は、以下のように作動し得る。第1の接着性ロール175は、洗浄されるべきフレキシブル基板10の主要面と直接接触するように位置付けされる。第1の接着性ロール175は、通常、反対側に配置された誘導ローラの円周速度と同一の円周速度で回転する。反対側に配置された誘導ローラは、対圧面を設ける。第1の接着性ロール175は、堆積装置の作動中に第1の接着性ロール175と摩擦接触しているフレキシブル基板によって駆動され得る。
第1の接着性ロール175の粘着性により、フレキシブル基板上の粒子は、第1の接着性ロールの粘着面によって集められる。したがって、粒子は、一時的に第1の接着性ロールに付着して、第1の接着性ロールの外周上で回転し、第1の接着性ロールの反対側に至る。第2の接着性ロール176は、第1の接着性ロール175と接触するように位置付けされる。第2の接着性ロール176は、通常、フレキシブル基板と接触しないことに留意されたい。第2の接着性ロールの粘着性は第1の接着性ロールの粘着性と比較して大きいので、第1の接着性ロール上の粒子は、第2の接着性ロールの粘着面に付着する。
したがって、粒子は、第2の接着性ロールの表面に残るが、第1の接着性ロールの外面は、戻ってフレキシブル基板と再び接触するであろう。これにより、第1の接着性ロールがフレキシブル基板に接触するとき、第1の接着性ロール上には粒子が少しも存在しなくなるであろう。したがって、第1の接着性ロールとフレキシブル基板との接触は、損傷を少しも生じさせないことになる。むしろ、粒子は、第2の接着性ロール上に溜められる。時々、第2の接着性ロールは、新しい第2の接着性ロールと交換されることがある。
幾つかの実施形態では、第2の洗浄デバイス172、コーティング後洗浄デバイス173、及びあり得るさらなる洗浄デバイスは、対応する設定を有し得る。例えば、コーティングドラム122の基板支持面は、コーティング後洗浄デバイス173の第1の接着性ロールに対する対圧面として作用し得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、少なくとも1つのコーティングデバイスは、追加的又は代替的に、フレキシブル基板の幅全体を覆うように拡大し得るレーザを含む。通常、拡大したレーザビームは、フレキシブル基板の表面から粒子を分離するのに十分なエネルギーを有する。代替的には、レーザは、自動粒子位置特定システムによって制御され得る。自動粒子位置特定システムは、カメラ、及び撮影した画像を分析するためのコントローラを含み得る。位置特定システムは、対応する洗浄デバイスの上流に位置付けされてもよい。粒子位置特定システムは、基板上の個々の粒子を位置特定し得る。レーザは、フレキシブル基板上で位置特定された粒子にレーザビームを方向付けすることができる。
幾つかの実施形態では、レーザビームは、粒子を基板から分離するのに十分である。粒子を基板から恒久的に取り除くために、吸引デバイスなどのさらなる粒子消散ユニットが設けられ得る。吸引デバイスは、レーザの下流に位置付けされ得る。諸実施形態では、粒子がレーザビームによって消散するように、レーザは制御且つ操作される。この場合、吸引デバイスなどのさらなる貯蔵デバイスは不要となり得る。
幾つかの実施形態では、吸引デバイスは、洗浄デバイスとして機能し得る。この実施形態に限定されずに、概して、最後の堆積ユニットとその堆積ユニットの直ぐ下流に配置されたコーティング後洗浄デバイスとの間にさらなるガス分離段階を設けることが可能である。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、イオン化粒子ビーム生成ユニットによって生成されたイオン化粒子ビームは、追加的又は代替的に、本明細書に記載された洗浄デバイスのうちの1つとして機能し得る。イオン化粒子ビームは、フレキシブル基板の幅全体を覆うように拡大され得る。例えば、エアブレード又はノズルのアレイは、出口として設けられ得る。イオン化粒子の流れは、粒子をフレキシブル基板の表面から分離するように機能し得る。ビームは、窒素を含み得るか、又は窒素からなる場合がある。代替的には、イオン化粒子ビームは、自動粒子位置特定システムによって制御され得る。自動粒子位置特定システムは、カメラ、及び撮影した画像を分析するためのコントローラを含み得る。
コーティング中の潜在的に高い温度に起因して、且つコーティング後洗浄デバイスを堆積処理の近傍に位置付けすることに起因して、コーティング後洗浄デバイスは、少なくとも50℃、70℃、又はさらに100℃以上の温度に耐えるように構成され得る。フレキシブル基板の温度、又はコーティングドラムの温度は、作動中、具体的には、フレキシブル基板上のスパッタ堆積の間、−30℃から+100℃、具体的には、−15℃から+30℃であり得る。
具体的には、高い発熱反応を含み得る堆積処理では、コーティングドラムを冷却することが望ましい場合がある。スパッタリングでは、処理熱は、主に、フレキシブル基板上の粒子の凝縮エネルギー、及びイオン衝突に起因する熱に関連する。フレキシブル基板の高温を避けることが望ましい場合がある。したがって、本開示に開示されたコーティングドラムは、冷却ユニット(図示せず)、例えば、コーティングドラムを0℃未満の温度まで冷却するように構成された冷却ユニットを含み得る。
追加的又は代替的に、洗浄デバイスのうちの少なくとも1つは、冷却ユニットを含み得る。したがって、洗浄デバイスは、洗浄デバイスからの未知の又は望ましくないガスの蒸発を許容可能なレベルに維持可能な温度に維持することができる。このような洗浄デバイスの洗浄は、堆積処理が高温で実行される場合に特に有益である。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、図2に例示するように、複数の堆積ユニット121の上流に、事前処理デバイス201が設けられ得る。例えば、事前処理デバイス201は、複数の堆積ユニット121の上流の堆積チャンバ120内に位置し得る。幾つかの実施形態では、フレキシブル基板がコーティングドラム122の基板支持面と接触する場合、フレキシブル基板を事前処理することができるように事前処理デバイス201が配置される。幾つかの実施形態では、1つより多くの事前処理デバイスが設けられ得る。事前処理デバイス201は、堆積される層のスタックの接着を促進するために、フレキシブル基板の第1の主要面を活性化するように構成され得る。例えば、事前処理デバイスは、DCグロー放電(DC glow discharge)を含み得る。
一実施例によると、事前処理デバイス201は、プラズマでフレキシブル基板を事前処理するように構成されたプラズマ源、例えば、RFプラズマ源を含み得る。例えば、プラズマを用いた事前処理は、基板表面に堆積された膜の接着性を向上させるために基板表面の表面改質をもたらすことができ、又は、その処理を改善するために別の方法で基板形態を改善することができる。
別の実施例によると、事前処理デバイス201は、イオン源、具体的には、リニアイオン源(LIS)であり得る。事前処理デバイス201は、フレキシブル基板の第1の主要面をコーティングする前に、第1の主要面を事前洗浄するように構成され得る。事前処理デバイス201は、炭化水素を焼き払うため、且つ表面を活性化して堆積される層の接着を促進するために、プラズマジェットをフレキシブル基板の第1の主要面に向けて方向付けるように構成され得る。幾つかの実施形態では、アルゴンイオンは、フレキシブル基板の効果的なプラズマ洗浄をもたらすように使用されてもよい。幾つかの実施形態では、ガスの組み合わせ、例えば、アルゴンイオンと酸素イオンとの組み合わせが、効果的なプラズマ洗浄をもたらすように使用されてもよい。幾つかの実施形態では、例えば、PIベースの基板の事前処理のためには、N2も利用可能なガスである。
幾つかの実施形態では、フレキシブル基板上の電荷を適合させるための少なくとも1つの放電アセンブリが設けられ得る。例えば、ある放電アセンブリは、例えば、第1のスプールチャンバ内で、複数の堆積ユニットの上流に配置されてもよく、任意選択的に、さらなる放電アセンブリが、複数の堆積ユニットの下流に配置されてもよい。例えば、正電荷及び/又は負電荷がフレキシブル基板上で蓄積し得るので、処理結果の質を上げるために放電アセンブリを設けることが有益であり得る。具体的には、フレキシブル基板がストレージスプールから送り出されている間に電荷が発生し得る。次いで、フレキシブル基板が堆積チャンバ内に移動するときでも静電荷が基板上に残ることがあり、このため、浮遊粒子がフレキシブル基板の表面に誘引されることがある。したがって、本明細書に記載された放電アセンブリを設けることにより、反対の極性のイオンを供給することができる。反対の極性のイオンは、フレキシブル基板の表面に移動して、電荷を中性化する。したがって、基板の処理(例えば、コーティング)の質を改善することができるように、フレキシブル基板のクリーンで放電された表面を設けることができる。
本開示では、「放電アセンブリ」という用語は、電場を通してガスをイオン化することが可能な任意のデバイスを表すように意図されている。放電アセンブリは、受動型ユニット若しくは能動型ユニット、又はこの両方であり得る。さらに、放電アセンブリは、電源及び制御ユニットに接続され得る1つ以上の中性化デバイスを含み得る。1つ以上の中性化デバイスは、1つ以上のスパイクを有する中性化ランス(neutralizing lance )又はイオン化ランス(ionization lance)として設けられ得る。さらに、電源、具体的には、高電圧電源が、中性化デバイスに接続され得る。それは、高電圧を1つ以上のスパイクに供給して、処理ガスの電気破壊を起こし、イオンを生成するためである。このイオンは、フレキシブル基板上の電荷を中性化するために、フレキシブル基板の表面に向かって電場内を移動し得る。制御ユニットは、中性化デバイスによって負に帯電した又は正に帯電したイオンの流れが生成されるように、コマンドを起動するか、又は予めプログラミングされた放電プロファイルを実行することができる。負に帯電した又は正に帯電したイオンの流れが、基板の表面に流れることにより、基板の表面上の電荷とは反対の極性のイオンが、基板の表面に移動して、そこの電荷を中性化し得る。
したがって、本明細書に記載された実施形態によれば、静電荷削減デバイス、例えば、本明細書に記載された放電アセンブリを使用することにより、製造歩留りに対する粒子の影響を減らすことができる。送り出しの間に基板搬送に利用されるロールによって引き起こされる基板の荷電に起因して、粒子状材料が誘引されることを防止することができる。これは、基板表面における外因性の汚染を一定のレベルの留めることに役立つ。
図3は、本明細書に記載された実施形態に係る、フレキシブル基板10をコーティングするための堆積装置100を例示する。図3の堆積装置100のほとんどの特徴が、図1に示す堆積装置のそれぞれの特徴に対応する。そのため、上記の説明を参照することが可能であり、かかる説明をここでは繰り返さない。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、複数の堆積ユニット121の上流にアニーリングユニット114が設けられ得る。アニーリングユニット114は、複数の堆積ユニット121の上流の位置でフレキシブル基板10を加熱又はアニーリングするように構成され得る。堆積前にフレキシブル基板のガス抜きを可能にするために、ストレージスプール112から送り出されたフレキシブル基板を加熱することが有益であり得る。さらに、フレキシブル基板(例えば、PET、HC−PET、PE、PI、PU、TaC、COPのような合成物質を含む基板)は、かなりの量の水分を含み得る。高い真空条件下でのコーティング処理中の水分の脱気は、堆積される層のスタックの特性(例えば、層接着性)、光学的均一性、シート抵抗性、及びさらなる層特性に悪影響を及ぼす恐れがある。したがって、複数の堆積ユニット121の上流のフレキシブル基板をアニーリングすることが有益であり得る。
アニーリングユニット114を堆積チャンバの上流の1つ以上の真空チャンバのうちの1つの中に置くことにより、アニーリング処理による堆積チャンバ内の真空条件の障害を低減又は回避することができる。例えば、アニーリングユニット114は、ストレージスプール112の下流の第1のスプールチャンバ110内に設けられ得るか、又は、アニーリングユニット114は、第1のスプールチャンバ110と堆積チャンバ120との間に位置付けされた(任意選択的な)洗浄チャンバ内に設けられ得る。
幾つかの実施形態では、アニーリングユニット114は、加熱可能なローラ115、及び熱放射をフレキシブル基板に向けて方向付けるように構成された放射ヒータ116のうちの少なくとも1つを含み得る。幾つかの実施形態では、加熱ゾーンを有する追加の加熱チャンバが設けられてもよい。幾つかの実施形態では、フレキシブル基板は、アニーリングユニット114によって、80℃以上、具体的には、100℃以上、又はさらに150℃以上の温度までアニーリングされ得る。
加熱可能なローラ115は、固有のローラ駆動部がない状態でフレキシブル基板を基板搬送経路に沿って誘導するように適合された受動型ローラ、又は能動型ローラであり得る。幾つかの実施形態では、加熱可能なローラは、所定の偏角によってフレキシブル基板を偏向させるための偏向ローラであり得る。幾つかの実施形態では、加熱可能なローラ115は、油又は水などの熱伝達媒体によって加熱され得る。しかしながら、このようなローラは、チューブを介する伝達媒体用の回転フィードスルーの真空密封を必要とする場合がある。
幾つかの実施形態では、加熱可能なローラ115用に電気加熱デバイスが設けられ得る。加熱デバイスは、第1の端部及び第2の端部を含み得、加熱デバイスは、第1の端部及び第2の端部において保持され得る。電気加熱デバイスは、加熱可能なローラの内部に配置され得る。幾つかの実施形態では、加熱デバイスは、第1の端部及び第2の端部に固定され得る。
幾つかの実施形態では、加熱デバイスは、照射加熱デバイス(赤外線加熱デバイス、誘導加熱デバイス、又は同等物)であり得る。幾つかの実施形態によれば、電気加熱デバイスは、非接触型加熱デバイスであり得る。非接触型加熱デバイスは、フレキシブル基板に接触せずに、加熱可能なローラの表面を規定の温度までもっていくことができる。幾つかの実施形態によれば、加熱デバイスは、2つの端部を有し得、両端で支持、保持、又は固定されるように適合され得る。一実施形態では、加熱デバイスは、実質的に円筒の形態を有し得、加熱デバイスの2つの端部は、実質的な円筒の加熱デバイスの長手方向軸の2つの端部である。
幾つかの実施形態では、堆積装置には、例えば、加熱可能なローラを使用することによってフレキシブル基板からガス抜きされた蒸気を収集するためのトラップ、例えば、冷トラップが設けられ得る。具体的には、フレキシブル基板から、ガス抜きされた蒸気を収集するためのトラップは、フレキシブル基板の表面の対向する位置に配置され得る。例えば、アニーリングユニット114によってフレキシブル基板を加熱する間、フレキシブル基板の表面から水分が蒸発し得る。
図6は、本明細書に記載された実施形態に係る堆積装置100で使用され得る加熱可能なローラ115の側面図を示す。例えば、加熱可能なローラ115は、図3に例示するように、ストレージスプールの直ぐ下流の偏向ローラとして使用されてもよく、又は基板搬送経路に沿ってさらに下流に配置された偏向ローラとして使用されてもよい。幾つかの実施形態では、2つ以上の加熱可能なローラは、第1のスプールチャンバ110及び/又は他の真空チャンバ、例えば、第1のスプールチャンバの下流の洗浄チャンバの中に設けられ得る。加熱可能なローラ115は、フレキシブル基板10と接触するように適合されるローラ表面210を含み得る。加熱可能なローラ115のローラ表面210は、誘導ローラとしてフレキシブル基板を誘導するように適合され得る。加熱可能なローラ115の内部には、電気加熱デバイス220が設けられる。電気加熱デバイス220は、真空条件下で作動するように適合され得る。
図6では、電気加熱デバイスの外面は、参照符号225で表示される。電気加熱デバイス220の第1の端部250及び第2の端部260は、加熱デバイスの実質的な円筒形状の前面に位置するように見える。加熱デバイスは、第1の端部250及び第2の端部260で保持され得る。幾つかの実施形態によれば、第1の端部250は、第1の保持デバイス271によって保持され、第2の端部260は、第2の保持デバイス272によって保持される。
電気加熱デバイスを両端で支持することにより、電気加熱デバイス220を含む加熱可能なローラ115は、特にフレキシブル基板の重量に関わらず、堆積装置の動作中に安定的に保持され得る。幾つかの実施形態によれば、堆積装置100の確実な動作を保証するために、ローラの位置の精度がより高いことが望ましい。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、アニーリングユニット114は、追加的又は代替的に、放射ヒータ116を含み得る。放射ヒータは、幾つかの実施形態では、加熱ランプ、例えば、赤外線ランプとして構成され得る。幾つかの実施形態では、放射ヒータ116は、加熱可能なローラ115の直ぐ上流又は直ぐ下流に配置され得る。例えば、図3に示すように、アニーリングユニット114は、加熱可能なローラ115、及び加熱可能なローラ115の直ぐ下流に位置付けされた放射ヒータ116を含み得る。
放射ヒータ116は、フレキシブル基板が放射ヒータ116を通過するように誘導されるにつれて、熱放射をフレキシブル基板に向けて方向付けるように構成され得る。例えば、1つ又は2つの通過部分において、放射ヒータ116を通過するようフレキシブル基板を誘導するために、1つ、2つ、又はそれより多くの誘導ローラが設けられ得る。脱気の効率を改善することができる。例えば、フレキシブル基板を100℃以上、又はさらに最大150℃の温度まで加熱することにより、フレキシブル基板を、コーティング前に確実に脱気及び事前アニーリングすることができる。
図3に概略的に示されているように、堆積装置100は、堆積後にフレキシブル基板の欠陥を検出するための欠陥検査デバイス154をさらに含み得る。欠陥検査デバイス154は、複数の堆積ユニット121の下流に配置され得る。例えば、図3の実施形態に示すように、欠陥検査デバイス154は、第2のスプールチャンバ150内に設けられ得る。他の実施形態では、2つ以上の欠陥検査デバイスが設けられ得る。
欠陥検査デバイス154は、フレキシブル基板上に堆積された層のスタックにおける巻き取り欠陥又はコーティング欠陥(例えば、ピンホール、割れ目、又は他の開口)などの欠陥を検出するように構成され得る。欠陥検査デバイス154は、インラインで、すなわち、層のスタックの堆積の後、基板搬送経路に沿って、フレキシブル基板を搬送する間に欠陥を検出するように操作され得る。例えば、新しくコーティングされた層スタックが、欠陥検査デバイス154によって継続的に検査され得る。ここでは、欠陥検査デバイス154は、真空条件の下で、すなわち、真空チャンバ(例えば、第2のスプールチャンバ)を通して、基板を搬送する間に、基板を検査するように構成され得る。
50μm以下、具体的には、30μm以下、より具体的には、15μm以下、又はさらに5μm以下のサイズを有する、堆積された層のスタックにおける欠陥(例えば、ピンホール、割れ目、又は開口)は、欠陥検査デバイス154を用いて検出され得る。1つ以上の検出された欠陥のサイズ(例えば、最大直径)及び/又は表面積当たりの欠陥の数が判断され得る。
幾つかの実装形態では、欠陥検査デバイス154は、具体的には、光源155、及びカメラなどの光検出器156を含む光学欠陥検査デバイスであり得る。堆積された層のスタックにおける欠陥の数及びおおよそのサイズを推定することは、有益であり得る。コーティングされた基板の検査は、コーティング結果を確認するために合理的であり得る。幾つかの実施形態では、Cu層などの金属層であり得る、層のスタックの最外層の欠陥の数を最小限に留めるべきである。幾つかの実施形態では、10μm以上のサイズ(例えば、最大直径)の欠陥は、堆積された層のスタックの機能性を損なう恐れがある。したがって、欠陥検査デバイスは、10μm以上のサイズの欠陥、又はそれより小さな欠陥を検出するように構成され得る。
幾つかの実施形態では、本明細書に記載された実施形態に係る堆積装置は、フレキシブル基板の第1の主要表面に層のスタックを堆積するように構成され得、具体的には、層のスタックの最外層は、金属層、例えば、Cu層であり得る。最外層の層品質は、最外層が30μm以上のサイズの欠陥又はピンホールを実質的に有しない状態であるか、最外層が625cm2の表面積(A4判面積)当たり15μmから30μmのサイズの欠陥又はピンホールを10個未満有する状態であるか、且つ/又は最外層が625cm2の表面積(A4判面積)当たり5μmから15μmのサイズの欠陥又はピンホールを15個未満有する状態であり得る。欠陥検査デバイス154は、コーティングされた層のスタックのこれらの品質特性又は類似の品質特性があるかどうかを検査するように構成され得る。
欠陥検査デバイス154は、特に金属層などの非透過層を検査する場合、光透過測定を行うように構成され得る。例えば、フレキシブル基板及び/又はその上に堆積された層の透過測定を行うことができるように、光源155が、フレキシブル基板の第1の側面に設けられ得、光検出器156が、フレキシブル基板の第2の側面に設けられ得る。光検出器によって測定されたフレキシブル基板の透過性が増大しているということは、フレキシブル基板上に堆積された非透過層がピンホール又は開口などの欠陥を有している可能性があることを意味する。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、欠陥検査デバイス154は、第1の誘導ローラと第2の誘導ローラとの間、すなわち、フレキシブル基板の「フリースパン」セクションにおいて実装され得、ここでは、フレキシブル基板は、誘導ローラのうちの1つと直接接触しない。例えば、光源155によって生成された光ビームが、フレキシブル基板のフリースパンセクションを通って透過することができるように、欠陥検査デバイス154の光源155は、フレキシブル基板の第1の側面に設けられ得る。光検出器156によって、フレキシブル基板のフリースパンセクションを通って伝搬する光ビームを検出することができるように、欠陥検査デバイスの光検出器156をフレキシブル基板の他の側に配置してもよい。幾つかの実施形態では、欠陥検査デバイスは、堆積装置の下流及び巻き取りスプールの上流、例えば、巻き取りスプールの直ぐ上流にある2つの誘導ローラ間に取リ付けられてもよい。
幾つかの実施形態では、光源155によって生成された光ビームの幅は、フレキシブル基板の幅に適合されてもよい。それにより、フレキシブル基板を、フレキシブル基板の全幅にわたって、又は少なくとも堆積された層のスタックの全幅にわたって検査することができる。例えば、光ビームの幅は、500mm以上、具体的には、1m以上、より具体的には、1.2mと1.8mとの間であり得る。幾つかの実施形態では、特に光源が真空チャンバ内に配置されている場合、光源を、例えば、冷却流体(例えば、水)を用いて冷却することができる。例えば、特に光源155が真空チャンバ内に配置されている場合、光源155を冷却するために水路が設けられ得る。例えば、第2のスプールチャンバの壁を通る真空フィードスルーを含む、冷却媒体(例えば、水)を真空チャンバ内に供給するための供給チューブが設けられ得る。さらに、幾つかの実施形態では、さらなる媒体(例えば、電気)を真空チャンバ内に供給するために、真空フィードスルーが設けられ得る。例えば、光源及び/又は光検出器を制御及び/又は電気駆動するための制御ケーブル及び/又は電力供給ケーブルは、1つ以上の真空フィードスルーを介して、真空チャンバの壁を通して誘導され得る。
幾つかの実施形態では、1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのカメラを含み得る光検出器156は、真空チャンバの外側、例えば、真空チャンバの壁に設けられた、1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの窓の背後に設けられてもよい。これにより、調整、位置合わせ、及び保守のために、光検出器156に簡単にアクセスすることが可能になる。さらに、光検出器156が真空チャンバの外側に配置されている場合、光検出器を制御且つ電気駆動するために、真空フィードスルーが設けられない場合がある。さらに、真空チャンバの内部の利用可能なスペースが限られている場合があるので、光検出器156を真空チャンバの内部に設けることは困難な場合がある。したがって、よりコンパクトな真空チャンバが設けられ得る。
したがって、幾つかの実施形態では、光源155は、真空チャンバの内部、例えば、第2のスプールチャンバ150の内部に配置されてもよく、光検出器156は、真空チャンバの外側、例えば、第2のスプールチャンバ150の壁の1つ以上の窓の背後に配置されてもよい。代替的に、光源及び光検出器のうちの少なくとも1つが、例えば、第2のスプールチャンバ150内の、例えば、真空チャンバの主要空間内に位置する大気ボックスにおいて、真空チャンバ内に設けられた真空気密エンクロージャ内に収容されてもよい。例えば、2つ、3つ、又はそれより多くの窓は、第2のスプールチャンバ150の上壁又は真空気密エンクロージャの壁に設けられてもよく、フレキシブル基板を通って伝搬する光ビームは、2つ以上の窓を通って上方に、光検出器156の2つ以上のカメラに向けて方向付けされてもよい。幾つかの実装形態では、光源155と光検出器156との間の距離を適切に調節することができるように、光検出器156は、真空チャンバの外側の調節可能バー上に取り付けられ得る。
例えば、1つ以上のパラメータ(例えば、検査幅、光検出器のカメラの数、光ビームの焦点距離等)に応じて、光検出器を、堆積された層のスタックから一定の距離離して取り付けることが合理的であり得よう。したがって、幾つかの実施形態では、真空対応カメラが必要とされない場合がある。記載されたインライン欠陥検査デバイスは、R2R堆積装置において、高解像度で正確な欠陥検出を可能にする。
他の実施形態では、光源155及び光検出器156の両方が、真空チャンバの外側、例えば、1つ以上の対応する窓の背後に配置されてもよい。例えば、光ビームを逆反射するために、リフレクタが真空チャンバの内部に設けられ得、これにより、光源155及び光検出器156を、例えば、真空チャンバの外側で、フレキシブル基板の同じ側に配置することができる。さらに他の実施形態では、図3に概略的に示されているように、光源155及び光検出器156が、真空チャンバの内部に配置されてもよい。しかし、欠陥検査デバイスのさらなる設定が可能である。これには、例えば、光源を真空チャンバの外側に設け、光検出器を真空チャンバの内部に設けることが含まれる。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、図3に例示するように、堆積装置100は、複数の堆積ユニット121の下流に配置されたモニタリングデバイス161をさらに含み得る。幾つかの実施形態では、モニタリングデバイス161は、特に真空条件下で、堆積装置の動作中に作動可能であり得るインラインモニタリングデバイスであり得る。具体的には、モニタリングデバイス161は、フレキシブル基板上に堆積された少なくとも1つ層の1つ以上の特性を検出するように構成され得る。例えば、モニタリングデバイス161は、複数の堆積ユニット121によって堆積された1つ以上の層の1つ以上の特性を検出且つ測定するように構成され得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、モニタリングデバイス161は、コーティングドラム122の下流の堆積チャンバ120内に配置され得る。能動型ローラ及び受動型ローラなどの1つ以上の誘導ローラは、コーティングドラムとモニタリングデバイスとの間に配置され得る。
モニタリングデバイスは、フレキシブル基板上に堆積された1つ以上の層の電気特性及び光学特性のうちの少なくとも1つを測定するように構成され得る。例えば、フレキシブル基板上に堆積された1つ以上の層の導電率に関連する電気特性を測定することができる。具体的には、フレキシブル基板上に堆積された1つ以上の層の電気シート抵抗性が測定されうる。幾つかの実施形態では、基板上に堆積された1つ以上の層の電気特性は、1つ以上の層の2つの離間された位置間に電位又は電圧を印加することによって、且つ2つの離間された位置間で1つ以上の層を通流する電流を測定することによって、測定することができる。
幾つかの実施形態では、基板上に堆積された1つ以上の層のシート抵抗などの電気特性は、1つ以上の層内で過電流などの局所電流を誘起することによって、且つ誘起された渦電流の強度を測定することによって、測定することができる。1つ以上の層において過電流を誘起することによって、フレキシブル基板上に堆積された1つ以上の層の電気特性を測定することは、電気特性の空間的に分解された測定が可能となり得るという利点を有する。例えば、フレキシブル基板の側面領域のシート抵抗は、フレキシブル基板の側面領域の渦電流を誘起且つ測定することによって、測定することができる。同様に、フレキシブル基板の中央領域におけるシート抵抗は、フレキシブル基板の中央領域の渦電流を誘起且つ測定することによって、測定することができる。さらに、非接触態様で渦電流を誘起することができる。したがって、コーティングされた基板を損傷するリスクを低減することができる。
幾つかの実施形態では、モニタリングデバイス161は、代替的又は追加的に、フレキシブル基板上に堆積された1つ以上の層の1つ以上の光学特性を測定するように構成され得る。例えば、1つ以上の層の透過率、反射率、及び/又は色の値を測定することができる。基板上のコーティングを、特定のスペクトル反射率及び透過率、並びに結果的な色の値によって特徴付けることができ、堆積処理の制御のために考慮するべき側面は、コーティングを生成する間の透過と反射を確実にインライン測定することであり得る。測定された透過率及び/又は反射率の値から層の均一性及び/又は層の厚さの値を差し引いてもよい。
移動中のフレキシブル基板に対して反射率を測定することは、基板の平坦性のほんの小さなずれにより、反射ビームの検出器に至る経路に幾何学的変化が生じるので、困難であり得、結果的に誤った測定結果が導き出される。プラスチック基板が堆積装置の誘導ローラと機械的に接触している位置で反射率を測定することにより、プラスチック基板をローラの表面と確実に平坦接触させることができる。透過測定は、第1のローラと第2のローラとの間の位置で行うことができる。第1のローラと第2のローラとの間の領域は、フレキシブル基板の「フリースパン」セクションと呼ばれてもよい。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、モニタリングデバイス161は、フレキシブル基板若しくは1つ以上のコーティング層の1つ以上の光学特性を測定するように構成され得る。幾つかの実施形態では、モニタリングデバイスは、少なくとも1つの球構造体を含み得る。球構造体は、積分球、例えば、ウルブリヒト球(Ulbricht sphere)であってよい。球構造体は、第1の誘導ローラと第2の誘導ローラとの間のフリースパン領域内に位置付けされ得る。球構造体は、球構造体の内部で均一な光の散乱又は拡散をもたらすことができる。球構造体の内表面に入射する光は、球構造体の内部で均等に分配され得る。ポートを通して球構造体から放射される散乱光は、フレキシブル基板又は1つ以上のコーティング層の少なくとも1つの光学特性を測定するために、フレキシブル基板上に照射され得る。
幾つかの実施形態では、少なくとも1つのモニタリングデバイスは、コーティング結果を測定且つ評価するための、光学層測定システムなどの層測定システム(LMS)を含み得る。したがって、諸実施形態は、例えば、透明又は半透明なフレキシブル基板又はコーティング層との使用のために、例えば、光学反射及び/又は透過システムの使用を通して1つ以上の堆積された層の厚さの評価のための計測能力を提供することを理解すべきである。
幾つかの実施形態では、少なくとも1つのモニタリングデバイスは、1つ以上のコーティング層の絶対厚さ及び/又は厚さの均一性を測定するように設けられ得る。
さらに、特に薄い基板(例えば、200μm以下、又は100μm以下、又は50μm以下、例えば、約25μmの厚さを有する基板)については、しわができない基板処理及び/又は基板の巻き取りが有益であると同時に、困難である。幾つかの実施形態によれば、1つ以上の張力ローラ及び/又は1つ以上の張力測定ローラを使用して、しわができず、張力を制御した基板の巻き取り/送り出し及び/又は搬送(又はしわの発生を減らした基板の巻き取り/送り出し及び/又は搬送)をもたらすことができる。
本明細書に記載された幾つかの実施形態によれば、図4に概略的に示されているように、堆積装置は、1つ以上の引っ張りローラ、及び1つ以上の張力測定ローラを含み得る。したがって、基板搬送経路に沿ってフレキシブル基板を誘導且つ搬送するように構成されたローラアセンブリは、張力が制御された状態で操作され得る。引っ張りローラは、例えば、調節可能な駆動力を用いて、ローラを駆動するための駆動部を含む能動型ローラであると理解してよい。張力測定ローラは、ローラ表面の上を誘導されるフレキシブル基板の一部の張力を測定するセンサを含むローラであると理解してよい。張力測定ローラの周りでのフレキシブル基板10の巻き付け角(enlacement angle)は、測定結果の確実性を改善するために、90°以上、具体的には、120°以上、又はさらに最大180°であり得る。
幾つかの実施形態では、少なくとも1つ以上の次のローラは、能動型ローラであり得る:ストレージスプール112、コーティングドラム122、及び巻き取りスプール152。幾つかの実装形態では、追加の能動型ローラが設けられ得る。例えば、図4に示す実施形態では、例えば、引っ張りローラ181が堆積チャンバ内に設けられ得る。能動型ローラは、図4では、曲線矢印でマーキングされている。
幾つかの実施形態では、張力測定ローラは、能動型ローラのうちの少なくとも1つに関連付けられ得る。幾つかの実施形態では、2つ以上の能動型ローラは、それぞれ、関連付けられた張力測定ローラを有し得る。幾つかの実施形態では、能動型ローラのうちの1個を除くすべてが、それぞれ、関連付けられた張力測定ローラを有し得る。関連付けられた張力測定ローラを有しないことがあるこの1個の能動型ローラは、本明細書では、「マスターローラ」と呼ばれ得る。「ライン速度」とも呼ばれる搬送経路に沿ったフレキシブル基板の搬送速度は、所定の回転速度で回転し得るマスターローラの回転速度によって決定され得る。
張力測定ローラは、張力測定ローラに関連付けられる能動型ローラの上流又は下流に配置され得る。通常、能動型ローラと、関連付けられる張力測定ローラとの間に、さらに能動型ローラが設けられることはない。しかしながら、場合によっては、1つ、2つ、又はそれより多くの受動型ローラが、能動型ローラと、関連付けられる張力測定ローラとの間に設けられ得る。具体的には、基板搬送経路に沿って能動型ローラ及び張力測定ローラを代替的に設けることができるが、受動型ローラは、それらの間に配置されてもよく、又は配置されなくてもよい。
一例として、図4に示す実施形態では、第1の張力測定ローラ184は、ストレージスプール112に関連付けられ、第2の張力測定ローラ185は、引っ張りローラ181に関連付けられ、第3の張力測定ローラ188は、巻き取りスプール152に関連付けられる。能動型ローラでもあり得るコーティングドラムは、マスターローラとして構成され得る。マスターローラは、フレキシブル基板の搬送速度を決定し、関連付けられる張力測定ローラを有しないことがある。この配置は、例示的な設定であることを理解されたい。例えば、他の実施形態では、別の能動型ローラがマスターローラとして構成され得る。さらに、幾つかの実施形態では、3つより多くの又は3つより少ない張力測定ローラが設けられてもよく、且つ/又は1つより多くの又は1つより少ない引っ張りローラが設けられ得る。張力測定ローラ及び引っ張りローラの設定及びそれぞれの位置は、他の実施形態では異なる場合がある。フレキシブル基板の張力制御のための数々の可能性のある設定のうちの1つが図4に示されており、詳細に説明されている。
図4に示す実施形態では、第1の張力測定ローラ184は、ストレージスプール112に関連付けられる。第1の張力測定ローラ184は、ストレージスプール112の下流に位置付けされてもよく、1つ、2つ、又はそれより多くの受動型ローラは、ストレージスプール112と第1の張力測定ローラ184との間に配置され得る。例えば、第1の張力測定ローラ184は、次の能動型ローラであるコーティングドラム122の上流の堆積チャンバ120内に位置付けされ得る。
第1の張力測定ローラ184の位置における基板張力のための設定点(すなわち、目標値)をあらかじめ設定することができる。第1の張力測定ローラ184によって設定点を上回る張力値が測定された場合、ストレージスプール112駆動部によって与えられるトルク値を減少させてもよい。第1の張力測定ローラ184によって設定点を下回る張力値が測定された場合、ストレージスプール112駆動部によって与えられるトルク値を増加させてもよい。したがって、ストレージスプールの下流にあるフレキシブル基板の適切な張力を確保することができる。広範囲に及ぶ基板張力によって引き起こされるフレキシブル基板の破裂、割れ目、ピンホール、又は巻き取り欠陥を回避することができる。さらに、基板張力が低いことによって引き起こされる基板の過剰な基板温度に起因するしわ、起伏、弛み、又は欠陥を回避することができる。
図4の実施形態では、コーティングドラム122は、基板搬送経路に沿ってフレキシブル基板の搬送速度を決定するマスターローラであり得る。マスターローラの回転速度は、適宜設定され得る。例えば、フレキシブル基板の搬送速度は、1m/分以上及び5m/分以下、具体的には、約2m/分であり得る。基板搬送経路に沿った、他のすべての能動型ローラの駆動部は、関連付けられる張力測定ローラの測定値に応じて張力制御され得る。
図4に概略的に示すように、幾つかの実施形態では、第2の張力測定ローラ185は、引っ張りローラ181などの別の能動型ローラに関連付けられ得る。第2の張力測定ローラ185は、コーティングドラム122の直ぐ下流、及び引っ張りローラ181の直ぐ上流に位置し得る。しかしながら、他の実施形態では、1つ以上の受動型ローラは、それらの間に配置され得る。例えば、第2の張力測定ローラ185は、コーティングドラム122の下流の堆積チャンバ120内に位置し得る。第2の張力測定ローラ185は、コーティングドラム122の下流の位置で基板張力を測定するように構成され得る。
第2の張力測定ローラ185の位置における基板張力のための設定点(すなわち、目標値)をあらかじめ設定することができる。第2の張力測定ローラ185によって設定点を上回る張力値が測定された場合、引っ張りローラ181の駆動部によって与えられるトルク値を減少させてもよい。第2の張力測定ローラ185によって設定点を下回る張力値が測定された場合、引っ張りローラ181の駆動部によって与えられるトルク値を増加させてもよい。したがって、コーティングドラムの周りのフレキシブル基板の適切な張力を確保することができる。
高い基板張力が巻き取り欠陥のリスクを高め得ることに留意されたい。例えば、フレキシブル基板が、高い張力でローラ表面に押圧された場合、スクラッチ又はその他の巻き取り欠陥が発生し得る。したがって、フレキシブル基板がローラ表面と直接接触している位置では、低い基板張力が有益であり得る。一方で、フレキシブル基板がコーティングドラムの冷却された基板支持面と接近している場合、堆積中にフレキシブル基板をより効率良く冷却することができるので、コーティングドラムの周りの高い基板張力が有益であり得る。したがって、基板搬送経路に沿って基板張力を厳密に制御することが有益である。
したがって、第2の張力測定ローラ185の目標値は、第1の張力測定ローラ184の目標値より高いことがある。これは、ストレージスプール112と第1の張力測定ローラ184との間の低い基板張力が、巻き取り欠陥のリスクを減らすために有益であり得、コーティングドラム122と引っ張りローラ181との間のより高い基板張力が、フレキシブル基板とコーティングドラム122の基板支持面との間の熱接触を改善するために有益であり得るからである。例えば、コーティングドラム122の周りの意図された基板張力を表し得る、第2の張力測定ローラ185の目標値は、100N以上及び900N以下、具体的には、200Nから400Nであり得る。幾つかの実施形態では、200N未満の基板張力の目標値は有益であり得る。
図4に概略的に示すように、幾つかの実施形態では、第3の張力測定ローラ188は、巻き取りスプール152の上流に設けられて、巻き取りスプール152に関連付けられ得る。第3の張力測定ローラ188によって測定された張力値に応じて、巻き取りスプール152の駆動部によって発生したトルクを制御することができる。第3の張力測定ローラ188によって設定点を上回る張力値が測定された場合、巻き取りスプール152によって与えられるトルク値を減少させてもよい。第3の張力測定ローラ188によって設定点を下回る張力値が測定された場合、巻き取りスプール152によって与えられるトルク値を増加させてもよい。したがって、巻き取りスプールの上流にあるフレキシブル基板の適切な張力を確保することができる。
2つの能動型ローラの間の中央セクションにおいて基板張力を減らすために、1つ以上の追加の引っ張りローラ、例えば、引っ張りローラ181を設けることが有益であり得る。2つの能動型ローラの間は、長い距離であるか、又は、それらの間に幾つかの受動型ローラを有する。例えば、幾つかの実施形態では、少なくとも1つの引っ張りローラが、コーティングドラムと巻き取りスプールとの間に配置され得る。さらに、1つ以上の引っ張りローラを設けることは、部分的に凸状で部分的に凹状な基板搬送経路を設ける堆積装置において有益であり得る。さらなる能動型ローラを設けることが有利であり得るように、例えば、基板の方向の変化、及び種々の屈曲方向における大きな屈曲角度が、基板張力を増し加え得る。さらに、追加の引っ張りローラを設けることは、基板張力を、それぞれの領域において適切であるように、基板搬送経路に沿った種々の領域において種々の値に設定できるという利点を有し得る。
図5は、本明細書に記載の実施形態に係る、堆積装置100の概略断面図を示す。堆積装置100は、第1のスプールチャンバ110、洗浄チャンバ170(任意選択)、堆積チャンバ120、及び第2のスプールチャンバ150を含む複数の真空チャンバを含む。さらに、堆積装置100は、基板搬送経路に沿ってフレキシブル基板を搬送するように構成されたローラアセンブリを含む。
図5に概略的に示すように、真空チャンバは、実質的に線形の設定で配置され得る。言い換えると、基板搬送経路に沿った第2のチャンバ、すなわち、洗浄チャンバ170は、基板搬送経路に沿った第1のチャンバ、すなわち、第1のスプールチャンバ110の片側、例えば、右側に配置され得る。同様に、基板搬送経路に沿った第3のチャンバ、すなわち、堆積チャンバ120は、第2のチャンバ、すなわち、洗浄チャンバ170の片側、例えば、右側に配置され得る。同様に、基板搬送経路に沿った第4のチャンバ、すなわち、第2のスプールチャンバ150は、第3のチャンバ、すなわち、堆積チャンバ120の片側、例えば、右側に配置され得る。したがって、真空チャンバは、実質的に線形の設定で、又は図5で左から右へと延びる列として配置され得る。したがって、基板搬送経路の全体的方向も同様に左から右へと延在し得る。しかしながら、基板搬送経路は、図5に示すように、個々の真空チャンバの中で、例えば、下方及び上方に、並びに/又は右方及び左方に湾曲するか、又は何度か方向を変更し得る。
例えば、幾つかの実施形態では、基板搬送経路は、代替的に、下方及び上方に湾曲してもよい。したがって、有益には、空間要件が低減し得る。図5の例示的な実施形態では、基板搬送経路は、ストレージスプール112から加熱可能なローラ115へと下方に延在する。加熱可能なローラ115は、反時計回りに回転するローラであり得る。次に、基板搬送経路は、時計回りに回転するローラであり得る誘導ローラ113に向かって上方に湾曲し得る。誘導ローラ113は、フレキシブル基板を、反時計回りに回転するローラであり得る偏向ローラに向けて、再び下方に転回させ得る。偏向ローラは、フレキシブル基板を、第1のスプールチャンバ110と洗浄チャンバ170との間の壁のスリットに向けて偏向させ得る。例えば、膨張可能なシールを含む密封デバイス105が、第1のスプールチャンバ110と洗浄チャンバ170との間の壁に設けられ得る。加熱可能なローラ115から誘導ローラ113への進路において、又は誘導ローラ113の下流で、フレキシブル基板は放射ヒータ116によって加熱され得る。
時計回りに回転するローラは、フレキシブル基板の第1の主要面と接触し得る。第1の主要面は、堆積装置を通るそれぞれの通過過程の間にコーティングされるべき主要面であり得る。反時計回りに回転するローラは、フレキシブル基板の第2の主要面と接触し得、第2の主要面は、基板の背面(既にコーティングされた表面であってもよく、又はそうでなくてもよい)であり得る。したがって、第1の主要面を洗浄するように構成された第1の洗浄デバイス171、及び第2の主要面を洗浄するように構成された第2の洗浄デバイス172を設けることが有益であり得る。第1の洗浄デバイス171及び第2の洗浄デバイスは、洗浄チャンバ170内に配置され得る。第1の洗浄デバイス171及び第2の洗浄デバイス172は、相手側から直ぐ上流に又は相手側から直ぐ下流に配置されてもよい。図5に示す実施形態では、反時計回りに回転するローラのローラ表面は、第1の洗浄デバイス171のための対圧面として機能してもよく、時計回りに回転するローラのローラ表面は、第2の洗浄デバイス172のための対圧面として機能してもよい。前記時計回りに回転するローラは、フレキシブル基板を、洗浄チャンバ170と堆積チャンバ120との間の壁の開口に向けて偏向させ得る。洗浄チャンバ170と堆積チャンバ120との間のガス分離を改善するため、且つ洗浄デバイスによって放出されたガスが堆積チャンバ120に入ることを回避するために、さらなる密封デバイスが、任意選択的に、洗浄チャンバ170と堆積チャンバ120との間の壁に配置されてもよい。
堆積チャンバ120の中では、2つ以上及び5つ以下、とりわけ3つの誘導ローラが、コーティングドラム122の上流に設けられてもよく、2つ以上及び5つ以下、とりわけ3つの誘導ローラが、コーティングドラム122の下流に設けられてもよい。以上でより詳細に説明されているように、コーティングドラム122の上流に配置された誘導ローラのうちの1つは、ストレージスプール112に関連付けられ得る第1の張力測定ローラ184として構成され得る。コーティングドラム122の直ぐ上流に配置された誘導ローラは、フレキシブル基板10をコーティングドラム122の基板支持面に円滑に誘導するための偏向ローラとして構成され得る。
さらに、コーティングドラム122の下流に配置された誘導ローラのうちの少なくとも1つ、具体的には、コーティングドラム122の直ぐ下流に配置された誘導ローラは、第2の張力測定ローラ185として構成され得る。さらに、第2の張力測定ローラ185の下流に配置された誘導ローラのうちの1つは、第2の張力測定ローラ185に関連付けられた引っ張りローラ181として構成され得る。張力制御という概念は、以上で既により詳細に説明されており、ここで繰り返すことはない。図5に概略的に示されているように、基板搬送経路は、堆積チャンバ120内のコーティングドラム122の下流から、何度か方向を変更し得る。基板搬送経路の方向転換は、誘導ローラに、120°以上、具体的には、150°以上、又はさらに約180°以上の巻き付け角度を設けることによって発生し得る。例えば、第2の張力測定ローラ185の巻き付け角度は、約180°であり得る。堆積装置の全体的にコンパクトな設定を実現することができるように、フレキシブル基板は、何度か方向を完全に変え得る。幾つかの実施形態では、モニタリングデバイス161は、堆積チャンバ120内で、コーティングドラム122の下流に設けられ得る。
さらに、図5では、2つの代替的な巻き取り/送り出し経路(winding pass)が示されている。具体的には、ローラアセンブリは、堆積装置を通して誘導されるフレキシブル基板の実線として示される、第1の巻き取り/送り出し経路を設けるように構成され得る。図5に例示する第1の巻き取り/送り出し経路の構成は、厚い膜の巻き取り/送り出しに有益である。追加的に又は代替的に、ローラアセンブリは、点線によって示された第2の巻き取り/送り出し経路111を設けるように構成され得る。この点線は、第1の巻き取り/送り出し経路に対する違いを示す。典型的に、第2の巻き取り/送り出し経路は、第1の巻き取り/送り出し経路より多くのローラを含み得る。図5に例示する第2の巻き取り/送り出し経路の構成は、薄い膜の巻き取り/送り出しに有益であり得る。
堆積チャンバ120内の最後の誘導ローラは、堆積チャンバ120と第2のスプールチャンバ150との間の壁の開口に向けて、フレキシブル基板を偏向させるための偏向ローラとして構成され得る。幾つかの実施形態では、密封デバイス(任意選択)が、堆積チャンバ120と第2のスプールチャンバ150との間の壁に設けられてもよい。
とりわけ、幾つかの実施形態によれば、本明細書に記載された堆積装置は、モジュール設計を有し得る。例えば、幾つかの実施形態では、第2の堆積チャンバが設けられ得る。この場合、第1の堆積チャンバと第2の堆積チャンバとの間に接続チャンバが設けられ得る。さらに、第2のスプールチャンバが、第2の堆積チャンバに接続され得る。例えば、接続チャンバは、第1の接続チャンバ、例えば、堆積チャンバ120の下流、及び第2の堆積チャンバの上流に配置されてもよい。接続チャンバは、フレキシブル基板を第1の接続チャンバから受け入れるための接続チャンバ入口、及びフレキシブル基板を第2の堆積チャンバ内に誘導するための接続チャンバ出口を含み得る。したがって、第1の接続チャンバと第2の堆積チャンバとの間のガス分離を改善することができる。フレキシブル基板が、接続チャンバと第2の堆積チャンバとの間の通路(例えば、小さなスリット)を通って、第2の堆積チャンバ内に円滑に入ることができるように、フレキシブル基板を接続チャンバ出口の方向に偏向するため、1つ以上の誘導ローラが、接続チャンバ内に配置され得る。
他の実施形態では、第3の堆積チャンバを追加することが合理的であり得る。この場合、第2の堆積チャンバの下流に、第2のスプールチャンバの代わりに第2の接続チャンバが設けられてもよく、第3の接続チャンバ及び第2のスプールチャンバは、第2の接続チャンバの下流に接続されてもよい。したがって、堆積装置には、フランジ又は接続ベースが設けられてもよい。これで、さらなる真空チャンバを接続することにより、又は、図5に示す堆積装置100から真空チャンバのうちの幾つかを取り除くことにより、堆積装置の拡張が可能になる。したがって、堆積装置の作動範囲拡張のために、さらなる真空チャンバを設けてもよいことを理解すべきである。したがって、本明細書に記載された堆積装置のモジュラー設計により、ユーザの要求(例えば、工場の空間要件)に合致するベース形状の大きさの調整が可能になる。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、処理されるフレキシブル基板がインターリーフ(interleaf)と共にストレージスプール112に設けられる場合、堆積装置には、インターリーフモジュール(明示せず)が設けられ得る。したがって、インターリーフをフレキシブル基板の互いに隣接する層の間に設けることができ、それにより、ストレージスプール上で、フレキシブル基板の一方の層が、フレキシブル基板の隣接する層と直接接触することを回避することができる。例えば、第1のスプールチャンバ110は、ストレージスプール112上の基板の保護のために設けられるインターリーフを取り上げるための第1のインターリーフモジュールを備え得る。インターリーフモジュールは、ストレージスプールからインターリーフと共にフレキシブル基板を送り出す際に、インターリーフをインターリーフ取り上げロールに誘導するための幾つかのインターリーフ誘導ロールを含み得る。したがって、第2のスプールチャンバ150は、インターリーフ供給ロールから供給されたインターリーフを巻き取りスプール152へ誘導するためのインターリーフ誘導ロールを含むインターリーフモジュールをさらに含み得る。したがって、第2のインターリーフモジュールは、インターリーフを供給し得る。このインターリーフは、処理された基板と共に巻き取りスプール上に巻き付けられ、巻き取りスプール上の処理された基板を保護する。第1のスプールチャンバ110及び第2のスプールチャンバ150には、インターリーフ取り上げロール及びインターリーフ供給ロールをそれぞれ取り付けるための保持部及び/又は受容部、並びにそれぞれのインターリーフ誘導ロールを取り付けるための保持部及び/又は受容部が設けられ得ることを理解するべきである。
第2の堆積チャンバの基本的な設定は、第1の堆積チャンバ、すなわち、堆積チャンバ120の設定に対応し得るので、上記の説明を参照することができ、ここでは繰り返さない。具体的には、第2の堆積チャンバ内の基板の張力は、第1の接続チャンバと似たような方法で制御され得る。しかしながら、幾つかの実施形態では、第1の接続チャンバ内で第1の複数の堆積ユニットの上流に設けられ得る事前処理デバイス201は、第2の堆積チャンバ内に設けられない場合がある。さらに、幾つかの実施形態では、モニタリングデバイス、例えば、本明細書に記載されたモニタリングデバイス161は、第2の堆積チャンバ内で第2の複数の堆積ユニットの下流にのみに設けられ得る。第2の複数の堆積ユニットは、第1の複数の堆積ユニット、すなわち、本明細書に記載された複数の堆積ユニット120と似たように構成され得る。例えば、幾つかの実施形態では、第2の複数の堆積ユニットの下流の層のスタックのモニタリングは、十分であり得る。代替的に、本明細書に記載されたモニタリングデバイス161として構成され得る第1のモニタリングデバイス及び第2のモニタリングデバイスが設けられ得る。さらに、幾つかの実施形態では、第1の複数の堆積ユニットのうちの堆積ユニットは、第2の複数の堆積ユニットのうちの堆積ユニットと異なり得る。あとは、第2の堆積チャンバは、本明細書に記載された堆積チャンバ120と類似する又は同一である設定を有し得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、さらなる密封デバイスが、第2の堆積チャンバと第2のスプールチャンバとの間の壁に設けられ得る。幾つかの実施形態では、以上でより詳細に説明される欠陥検査デバイス154が、第2のスプールチャンバ内で巻き取りスプール152の上流に配置され得る。
図7は、本明細書に記載の実施形態に係る、コーティングドラム122の概略断面図を示す。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、コーティングドラム122は、フレキシブル基板10に接触するための湾曲した基板支持面401であって、回転軸123の周りで回転可能であり得、基板誘導領域403を含み得る湾曲した基板支持面401、湾曲した基板支持面401内に配置され、ガス流を放出するように適合された一群のガス排出口404、及びガス流をガス排出口404の第1の下位群に選択的に供給し、ガスがガス排出口404の第2の下位群に流れることを選択的に防止するガス分配システム405であって、ガス排出口404の第1の下位群が、基板誘導領域403内に少なくとも1つのガス排出口を含み、ガス排出口の第2の下位群が、基板誘導領域403の外側に少なくとも1つのガス排出口を含む、ガス分配システム405を含み得る。
典型的に、コーティングドラム122は、回転軸123の周りで回転可能である。幾つかの実施形態では、コーティングドラム122は、固定部分、及び、例えば、固定部分の周りで回転可能な部分を含む。例えば、コーティングドラム122は、内側固定部分(幾つかの実施形態では、ガス分配システム又はガス分配システムの構成要素を含み得る)、及び内側固定部分の周りで回転する外側回転部分を含み得る。
幾つかの実施形態によれば、コーティングドラム122は、湾曲した基板支持面401を含む。コーティングドラム122の湾曲した基板支持面は、堆積装置100の作動中、フレキシブル基板に(少なくとも部分的に)接触するように適合され得る。本明細書に記載された他の任意の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、湾曲した基板支持面は、円筒形の対称面であり得る。具体的には、湾曲した基板支持面は、円筒面、凸状円筒面、円錐面、及び円錐台面からなる群から選択されてもよい。
幾つかの実施形態によれば、湾曲した基板支持面401は、堆積装置の作動中、接触位置でフレキシブル基板に接触し得る。例えば、コーティングドラムの湾曲した基板支持面の表面特性(粗度等)に起因して、基板は湾曲した基板支持面と点接触し得る。粗度を有する湾曲した基板支持面とは、湾曲した基板支持面の微視的表示「山と谷」が見えることを意味し得る。湾曲した基板支持面と基板との間の点接触は、湾曲した基板支持面の粗度が「山」を有する位置で行われる。他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、コーティングドラムの湾曲した基板支持面の粗度は、典型的に、約0.1Rzから約1.5Rzの間、より典型的には、約0.2Rzから約0.8Rzの間の範囲であり得る。幾つかの実施形態によれば、コーティングドラム122と基板との間の接触は、コーティングドラム122の回転時の基板の移動を可能にし得る。
作動中、基板は、湾曲した基板支持面401の基板誘導領域403にわたって誘導される。幾つかの実施形態では、基板誘導領域403は、コーティングドラムの作動中に、基板が湾曲した基板面に接触するコーティングドラム122の角範囲であると定義することができ、コーティングドラムの巻き付け角に対応し得る。
幾つかの実施形態では、コーティングドラムの巻き付け角は、図5に概略的に示されているように、120°以上、具体的には、180°以上、又はさらには270°以上であり得る。幾つかの実施形態では、作動中、コーティングドラムの最上部分はフレキシブル基板に接触しない場合があり、コーティングドラムの巻き付け領域は、コーティングドラムの少なくとも下半分の全体を覆い得る。幾つかの実施形態では、コーティングドラムは、フレキシブル基板によって、実質的に対称になるように巻き付けられ得る。
図7に示すコーティングドラムの例示的な実施形態は、湾曲した基板支持面401内に配置された一群のガス排出口404をさらに含む。ガス排出口404は、それぞれのガス排出口が配置された位置で、特に湾曲した基板支持面401に対して実質的に垂直な方向に、コーティングドラム122のガス分配システム405からガスを放出するように適合されている。図7に示したコーティングドラムの実施例では、ガス排出口は、コーティングドラムの円周全体にわたって分散している。幾つかの実施形態では、ガス排出口404は、コーティングドラムの円周全体にわたって規則的に分散し得る。
本明細書に記載された他の任意の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、任意の個々のガス排出口、ガス排出口の任意の下位群、又はすべてのガス排出口は、開口、孔、スリット、ノズル、送風管、噴射弁、ダクト開口部、オリフィス、噴射口、多孔質材料により設けられた排出口などからなる群から選択され得る。幾つかの実施形態によれば、排出口は、通常、漏斗状又はカップ形状である、表面の凹部であり、凹部には、凹部の底部から又は側部からガスが供給される。本明細書に記載されたコーティングドラムのガス排出口は、多孔層の開口でもあり得る。幾つかの実施形態によれば、本明細書で言及されるガス排出口は、実質的に丸い形、円形、楕円形、三角形、長方形、正方形、多角形などの任意の適切な形状や、不規則な丸い形状、不規則な角のある形状、ガス排出口ごとに異なる形状などの不規則形状を有し得る。幾つかの実施形態によれば、ガス排出口は、表面から突出しない。
本明細書に記載の実施形態に係るコーティングドラム122は、ガス分配システム405をさらに含む。幾つかの実施形態によれば、ガス分配システム405は、ガス源408を含む。ガス分配システム405は、ガス流をガス排出口の第1の下位群に選択的に供給することを可能にする。例えば、図7に例示するように、ガス排出口404及びガス分配システム405を有するコーティングドラムは、ガス流を湾曲した基板支持面の基板誘導領域403のガス排出口404に供給する。基板誘導領域403内に(一時的に)配置されたガス排出口は、ガス排出口の第1の下位群として示され得る。本明細書に記載された幾つかの実施形態によれば、コーティングドラム内のガス分配システム405は、基板誘導領域403の外側のコーティングドラムのガス排出口にガスが流れるのを選択的に防止するように適合されている。基板誘導領域403の外側に(一時的に)配置されたガス排出口は、ガス排出口の第2の下位群として示され得る。
コーティングドラムの回転の間、任意の単一のガス排出口は、第1の下位群及び第2の下位群に一時的に属する。言い換えるならば、開放されているガス排出口は、その後のある時点で閉鎖されることがあり、また、その逆もあり得る。湾曲した基板支持面が回転している間、基板誘導領域403に入るガス排出口は、開放されるか、又はガス源に接続される。すなわち、所属は第1の下位群に変更される。湾曲した基板支持面が回転している間、基板誘導領域を離れるガス排出口は、閉鎖されるか、又はガス源から切断される。すなわち、所属は第2の下位群に変更される。
コーティングドラムのガス分配システム405は、規定されたガス排出口にガス流を選択的に供給し、規定されたガス排出口へのガス流を防止するように適合され得る。例えば、図7の実施例では、コーティングドラムのガス分配システム405は、コーティングドラム122の固定部分406内に配置されたガス源408を含む。ガス源408は、コーティングドラムの固定部分の周縁区域を包含するサイズを有する。コーティングドラムの湾曲した基板支持面401は、コーティングドラムの回転軸123の周りを回転することができ、具体的には、コーティングドラムの固定部分(ガス源を含む)の周りを回転することができる。
本明細書に記載された幾つかの実施形態によれば、ガス分配システム405は、ガスチャネル407を含み得る。各ガス排出口が基板誘導領域403内にあるとき、ガスチャネル407は、ガス源408から湾曲した基板支持面401上のガス排出口404に至り得る。ガスチャネルは、ガス源408から湾曲した基板支持面401上のガス排出口404の第1の下位群に至り得る。ガス源408及びガスチャネル407を有するガス分配システム405は、部分回転式及び部分固定式であると説明することができる。ガスチャネル407がガス源408の周りを回転している状態で、ガス分配システム405は、ガスチャネル407を、ガス源408に選択的に接続し、且つガス源408から選択的に切断することを可能にする。
幾つかの実施形態によれば、ガス分配システム405、具体的には、ガス源408は、ガス流をガス排出口404に供給する。幾つかの実施形態では、ガス分配システム405によってガス排出口404に供給されるガス流は、フレキシブル基板が湾曲した基板支持面401になお接触することを可能にするガス流である。例えば、ガス流は、典型的に、約10sccmから約400sccmの間、より典型的には、約30sccmから約300sccmの間であり得る。幾つかの実施形態では、コーティングドラム122は、湾曲した基板支持面401の単位面積当たり、典型的には、約10sccm/m2から約200sccm/m2の間、より典型的には、約30sccm/m2から約120sccm/m2の間のガスの流量に適合され得る。一実施例では、コーティングドラムは、湾曲した基板支持面の単位面積当たり、典型的に、約100sccm/m2であり得るガスの流量に適合され得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、ガス排出口の数は、特に(図7に例示するように)ガスチャネルを有するコーティングドラムについては、典型的に、20から100個の間、より典型的に、40から100個の間であり得る。幾つかの実施形態によれば、湾曲した基板支持面は、数々のガスセクションに区切られ得る。幾つかの実施形態では、各ガスセクションは、幾つかのガス排出口を有する。幾つかの実施形態では、基板誘導領域内のガス排出口の数は、5から20個の間である。コーティングドラムの多孔層のためのガス排出口の数は、典型的に、少なくとも5000個、より典型的に、少なくとも6000個、さらにより典型的に、少なくとも8000個であり得る。幾つかの実施形態によれば、ガス排出口の数が20から100個の間であるか、又はコーティングドラムがガス排出口を設ける多孔層を含む。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、本明細書で言及されるガス排出口は、約0.1mmから約1mmの間の断面サイズを有し得る。この断面サイズは、湾曲した基板支持面のガス排出口の最小断面として測定されてもよい。幾つかの実施形態では、ガス排出口の流体コンダクタンスは、典型的に、約0.001リットル/秒から約0.1リットル/秒の間、より典型的に、約0.009リットル/秒から約0.05リットル/秒の間であり得る。一実施形態では、ガス排出口の流体コンダクタンスは、約0.01リットル/秒であり得る。
幾つかの実施形態によれば、堆積装置の作動中、基板に向かう方向で供給されるガス流は、結果的に、基板とコーティングドラムの湾曲した基板支持面401との間の、ガスベアリング、とりわけ、流体力学的な又は熱的なガスベアリングをもたらし得る。幾つかの実施形態では、ガスベアリングとは、基板と湾曲した基板支持面との間の接触位置の外側にある一種の薄い又は小さなガスクッションを意味することもできる。コーティングドラムの湾曲した基板支持面に接触し、湾曲した基板支持面との間にガスベアリングを有する基板は、湾曲した基板支持面のある接触位置(例えば、湾曲した基板支持面の粗度によってもたらされる点位置)で接触することができ、接触位置間にガスベアリングを有し得ることを理解してよい。基板と湾曲した基板支持面との間の接触位置(湾曲した基板支持面の領域又は点など)間では、ガス排出口から放出されたガス流によってガスベアリングが形成され得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、ガスベアリング内の圧力は、堆積中、典型的に、約0.1mbarから約10mbarの間、より典型的に、約1mbarから約10mbarの間である。
幾つかの実施形態では、基板と湾曲した基板支持面との間のガスベアリングは、コーティングドラムの湾曲した基板支持面及び基板の粗度、特に、基板と湾曲した基板支持面との間の接触位置の外側の粗度により存在するボイドを充填し得る。ガスベアリングの厚みは、互いに接触しているコーティングドラムの湾曲した基板支持面と基板との粗度に対応し得る。
幾つかの実施形態によれば、ガス排出口から放出されるガス流によって、基板と湾曲した基板支持面との間に複数のガスベアリングが形成される。
基板上に層のスタックを堆積する間、例えば、基板を冷却又は加熱するため、基板と湾曲した基板支持面との間の1つ又は複数のガスベアリングが、コーティングドラムと基板との間の熱伝導率を改善することができる。例えば、コーティングドラムは、例えば、コーティングドラムを冷却又は加熱するための温度調節システムを含み得、これは、温度調節システム430として例示される。コーティングドラムによって供給されるガスベアリングは、基板とコーティングドラムとの間の熱伝導率を高めるのに役立つ。本明細書に記載された幾つかの実施形態では、堆積中、フレキシブル基板の温度を規定された上限未満に保持することができる。
図7に例示するコーティングドラムは、他のシステムの幾つかの問題の解決を可能にする。例えば、より低い基板張力で基板をコーティングドラムの基板支持面にわたって誘導することができるので、基板損傷のリスクを減らすことができる。具体的には、フレキシブル基板とコーティングドラムとの間の熱伝導率向上により、基板の冷却が改善され、十分な冷却効率を得るために、高い基板張力で基板を冷却された基板支持面に向けて引っ張ることが必要でなくなることがある。より高い堆積率(コーティング速度)により、基板に向かう熱負荷が増える。高い堆積率を利用する(例えば、コーティング処理を促進する)ためには、基板とコーティングドラムとの間の適切な熱接触が有益である。
例えば、図7に示すコーティングドラム122の例示的な実施形態は、2面堆積処理で有益に使用することができる。ここでは、第1の主要面が既にコーティングされたフレキシブル基板は、その第2の側面もコーティングするために、コーティングドラムによって搬送され得る。第2の主要面をコーティングする間、既にコーティングされた第1の主要面は、コーティングドラム122の湾曲した基板支持面401と接触し得る。したがって、例えば、フレキシブル基板を、コーティングドラムの湾曲した基板支持面にわたって又は別のローラの表面にわたって、過剰な張力で誘導すると、フレキシブル基板の既にコーティングされた第1の主要面を損傷するリスクが存在し得る。幾つかの実施形態によれば、フレキシブル基板の第1の主要面上のコーティングされた膜は、例えば、アニーリングユニット114を介して、フレキシブル基板の第2の主要面をコーティングする前に既に脱気されている。脱気された表面は、熱伝導がより低下し得る。本明細書に記載された実施形態に係るコーティングドラムは、フレキシブル基板と湾曲した基板支持面との間の熱伝導率を高めることを可能にし、特に2面堆積処理において、脱気されたウェブの低い熱伝達を補う。
本明細書に記載された実施形態に係るコーティングドラム122は、駆動部410(図7で概略的に示す)を含む。駆動部410は、作動中にコーティングドラムを回転させ、コーティングドラムと接触している基板を移動させるためのものである。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、ガス分配システム405のためのガスは、不活性ガス、アルゴン、ヘリウム、窒素、水素、シラン、及びこれらの任意の混合物からなる群から選択され得る。幾つかの実施形態では、ガス排出口から放出されるガスは、少なくとも0.01W/mK、より典型的に、少なくとも0.1W/mK、さらにより典型的に、少なくとも0.15W/mKの熱伝導率を有するガスである。
基板がコーティングドラムに接触している間に形成されるガスベアリングは、真空環境に実質的に影響を及ぼさない程度に十分に小さい(すなわち、含有するガスの量が十分に少ない)か、又はコーティング処理に使用される真空環境を少なくとも阻害しない程度に十分に小さい場合がある。特に精密な処理に関しては、又は、真空環境の汚染のリスクを依然として下げなければならない場合、幾つかの実施形態は、真空環境の汚染を積極的に防止するためのさらなる特徴を有し得る。
例えば、幾つかの実施形態では、真空生成システム(図7に図示せず)は、真空生成システムに接続されたガスチャネル407を通して吸引を実現することができる。真空生成システムは、基板から離れて真空生成システムに向かう方向に吸引を実現し得る。ガス源から放出されて、基板とコーティングドラムとの間に1つ又は複数の流体力学的なサーマルベアリング(hydrodynamic thermal bearing)を形成するガスを真空生成システムで除去することができる。例えば、基板が基板誘導領域403を離れる前に、ガスを除去することができる。コーティングドラムの真空環境は、真空生成システムによって保護される。
図8は、本明細書に記載された実施形態に係る堆積装置において使用され得るコーティングドラム122を示す。図8のコーティングドラム122は、図7に例示するコーティングドラムと類似する。図7に関連して説明される特徴は、図8の実施形態にも適用され得る。図8のコーティングドラム122の実施形態は、シーリングをさらに含む。幾つかの実施形態では、シーリングは、少なくとも部分的に弾性材料から作られるシーリングユニットなどの、複数のシーリングユニット413から作られ得る。幾つかの実施形態によれば、シーリングユニット413は、リップシーリングユニットであり得る。シーリングは、ガスベアリングのガスが堆積チャンバの真空環境の中へ広がるのを防止するか、又はその量を制限し得る。幾つかの実施形態では、シーリングユニット413は、コーティングドラム122が配置され得る堆積チャンバの主要空間に向かうガス流を減らすか、又は防止する。
シーリングユニット413は、コーティングドラム122の円周方向に対して実質的に垂直な方向、及びコーティングドラム122の径方向に対して実質的に垂直な方向で配置され得る。幾つかの実施形態では、シーリングユニット413は、コーティングドラム122の幅方向に配置され得る。
シーリングユニットは、湾曲した基板支持面401と接触している基板の第2の主要面上に個々の加圧されたポケットを設け得る。幾つかの実施形態では、2つのシーリングユニット間に形成された各ポケットは、個々の圧力を供給し得る。個々のポケット内の圧力は、ポケットの回転位置に左右され得る。
幾つかの実装形態では、例えば、コーティングドラムを、種々の幅を有する基板に適合させるために、湾曲した基板支持面をコーティングドラムの幅方向に区切ってもよい。例えば、コーティングドラムは、約0.5mから約2mの間、より典型的に、約1.2mから約1.8mの間の基板幅に適合し得る。区切られたセグメントは、ガス排出口に適合した分配を実現することができ、例えば、種々の数のガス排出口、湾曲した基板支持面上のガス排出口の種々の密度、種々のサイズのガス排出口などに適合した分配を実現することができる。幾つかの実施形態では、ガス源は、種々のセクションに分割可能であり得、(特に幅方向において)コーティングドラムの種々のセグメントにガスを供給する。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、コーティングドラムは、1つ以上のEチャックデバイスを有し得る。具体的には、1つ以上のEチャックデバイスは、コーティングドラムの湾曲した基板支持面に接触する基板を保持するための誘引力を付与することができる。幾つかの実施形態によれば、湾曲した基板支持面の各セグメントは、個別のEチャックタイルを含み得る。個々のEチャックタイルは、例えば、コーティングドラムの回転位置に応じて、適切な誘引力を基板に付与することができる。幾つかの実施形態では、個々のEチャックタイルは、基板誘導領域内のセグメント又は基板誘導領域の外側のセグメントの位置に応じて動作するよう制御される。幾つかの実施形態によれば、Eチャックタイルは、ガス分配システム405のガス源408に関連してそれぞれのセグメントの位置に応じて動作するように制御され得る。幾つかの実施形態では、コーティングドラムは、コーティングドラムの回転位置、とりわけ各セグメントの回転位置を感知するためのセンサ及び制御ユニットを含み得る。制御ユニットは、感知したデータに応じてEチャックの動作を制御し得る。
幾つかの実施形態によれば、コーティングドラムは、多孔層を支持するためのバッキング構造を含み得る。この多孔層は、基板に接触する凹状基板支持面401を形成し得る。多孔層は、基板に向けてガスを放出するためのガス排出口404をさらに設け得る。幾つかの実施形態では、バッキング構造は、支持バー、及び支持バー間に配置されたガス放出用領域を含み得る。具体的には、支持バー、及びガス放出用領域は、円周方向で交互に配置され得る。
幾つかの実施形態によれば、多孔層は、多孔質材料から作られ得、材料の多孔性によって複数のガス排出口を設ける。多孔質材料は、特に、He、Ar、及び/又はH2を基板に向けて放出するのに適切であり得る。例えば、多孔質材料は、典型的に、約60%から約85%の間、より典型的に、約65%から約75%の間の密度を有し得る。一実施例では、多孔質材料は、約70%の密度を有する。幾つかの実施形態では、多孔質材料は、焼結材料であってもよい。例えば、多孔質材料は、ステンレス鋼、焼結ステンレス鋼、アルミニウム、クロム、又は金属合金などの金属であってもよい。
幾つかの実施形態によれば、多孔質材料と、動作中に基板に接触する湾曲した基板支持面との粗度に影響を及ぼすために、多孔質材料を処理(例えば、研磨等)してもよい。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、多孔質材料は、多孔質材料よりも低い粗度を有する材料の層によってコーティングされてもよい。例えば、多孔質材料は、Cr層などの金属層でコーティングされてもよい。幾つかの実施形態によれば、多孔層上のコーティング層、又はさらに多孔層自体が、穿孔やレーザ切断などによって層内に処理加工された追加のガス排出口を有し得る。
本明細書に記載された幾つかの実施形態では、コーティングドラム122は、温度制御されたコーティングドラムであり得る。温度制御されたコーティングドラムは、基板の冷却を可能にし得る。例えば、コーティングドラムは、温度調節システム430などの温度調節システムを含み得る。コーティングドラムの温度調整システム430は、コーティングドラムの冷却又は加熱のために、コーティングドラム内に配置されたチャネルのシステムを含み得る。コーティングドラムの温度調整システムのチャネルは、表面の近くに配置され得る。「近くに(close to)」という表現は、湾曲した基板支持面401と、支持面に向けられたチャネルの面との間の、典型的に、5cm未満、より典型的に、2.5cm未満、又はさらにより典型的に、1cm未満の距離に関連する。チャネルは、典型的に、冷却流体を受容するように適合されている。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、コーティングドラムは、典型的に、約−30°Cから約+170°Cの間、より典型的に、約−20°Cから約+150°Cの間、さらにより典型的に、約−20°Cから約+ 80°Cの間の温度で保持されるよう制御され得る。具体的には、最大100°Cまでの温度、さらにより具体的には、室温未満の温度では、冷却流体は、典型的には水グリコール混合液である。他の用途、具体的には、表面が加熱される用途では、冷却流体は、典型的には熱伝導オイルである。使用済の冷却流体は、典型的に最大400℃、さらにより典型的に最大300℃の温度に適している。使用される可能性のある熱伝導オイルは、ナフテン又はパラフィンなどの石油に基づいて作られる。代替的に、熱伝導オイルは、異性体複合物(isomer composite)などの合成物質であり得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、コーティングドラム122は、典型的に、0.1mから4m、より典型的に、0.5mから2mの範囲(例えば、約1.4m)の幅を有し得る。コーティングドラムの直径は、1mを越える(例えば、1.5mから2.5mの間)場合がある。
図5に概略的に示されているように、複数の堆積ユニット121は、3つ以上及び12個以下の堆積ユニットを含み得、これらの堆積ユニットは、コーティングドラム122の周りで円周方向に配置され得る。同様に、第1の接続チャンバ及び第2の堆積チャンバを含む幾つかの実施形態では、第2の複数の堆積ユニットは、3つ以上及び12個以下の第2の堆積ユニットを含み得、これらの第2の堆積ユニットは、第2のコーティングドラムの周りで円周方向に配置され得る。例えば、6つの第1の堆積ユニットが、第1の接続チャンバ内に配置されてもよく、且つ/又は6つの第2の堆積ユニットが、第2の堆積チャンバ内に配置されてもよい。
幾つかの実施形態では、堆積ユニットは、それぞれ、対応するコーティングドラムの下半分を覆い得る。言い換えると、フレキシブル基板は、コーティングドラムの湾曲面の上方角領域でコーティングドラムと接触し得、回転する湾曲面によって、コーティングドラムの周縁の下半分に部分的又は全体的に設けられ得る堆積ユニットを通過するように下方に誘導され得、湾曲した基板支持面の第2の上方角領域まで再び上方にもっていかれた後、湾曲した基板支持面を離れ得る。幾つかの実装形態では、堆積ユニットは、それぞれのコーティングドラムに周りで実質的に対称的に配置され得る。言い換えると、それぞれのコーティングドラムの周りの堆積ユニットの配置は、それぞれのコーティングドラムの回転軸を通って交差する垂直対称面に対して実質的に対称であり得る。例えば、合計6つの堆積ユニットのうちの3つの堆積ユニットが、垂直対称面の第1の側に配置されてもよく、残りの3つの堆積ユニットが、垂直対称面の第2の側に配置されてもよい。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、動作中、一方の堆積ユニットから他方の堆積ユニットへの(例えば、隣接する堆積ユニットへの)処理ガスの流れを減らすために、ガス分離ユニット510が、2つの隣接する堆積ユニット512の間に設けられ得る。互いに隣接する堆積ユニット512の間のガス分離ユニット510は、図5及び図9に概略的に示されている。
ガス分離ユニット510は、堆積チャンバの内部空間を複数の個別の区画に分割するガス分離壁として構成され得、各区画は、1つの堆積ユニットを含み得る。2つの隣接するガス分離ユニット510の間にそれぞれ1つの堆積ユニット512が配置され得る。言い換えるならば、堆積ユニットは、それぞれ、ガス分離ユニット510によって分離され得る。したがって、有益には、互いに隣接する区画/堆積ユニットの間に優れたガス分離が実現し得る。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、それぞれの堆積ユニットを収容する各区画を、他の堆積ユニットを収容する他の区画とは別個に排気することができ、これにより、個々の堆積ユニット512の堆積条件を適宜設定することができる。ガス分離ユニット510によって分離され得る隣接する堆積ユニットによって、異なる材料をフレキシブル基板上に堆積することができる。
幾つかの実施形態によれば、ガス分離ユニット510は、ガス分離壁を含み得る。ガス分離壁は、一方の堆積ユニットから、ガスが、隣接する堆積ユニットに向かって流れるか、又は堆積チャンバの主要空間に入ることを防止したり、又は減少させたりする。ガス分離ユニット510は、それぞれのガス分離ユニットとそれぞれのコーティングドラムとの間のスリット511の幅を調整するように構成され得る。幾つかの実施形態によれば、ガス分離ユニット510は、スリット511の幅を調整するように構成されたアクチュエータを含み得る。互いに隣接する堆積ユニット間のガス流を低減するため、且つ互いに隣接する堆積ユニット間のガス分離係数を上げるために、ガス分離ユニットとコーティングドラムとの間のスリット511の幅は、小さな値、例えば、1cm以下、具体的には、5mm以下、より具体的には、2mm以下であり得る。幾つかの実施形態では、円周方向でのスリット511長さ、すなわち、2つの隣接する堆積区画間のそれぞれのガス分離通路の長さは、1cm以上、具体的には、5cm以上、又はさらに10cm以上であり得る。幾つかの実施形態では、スリットの長さは、それぞれ、約14cmであってもよい。2つの堆積ユニット間のスリット511の長さを延長することにより、2つの隣接する堆積ユニット間のガス分離係数を改善することできる。1/100以上のガス分離係数が与えられ得る。堆積ユニット内の堆積の間、ガス分子の平均自由行程長は、数センチ程度であり得る。したがって、隣接する堆積ユニット間に5mm未満の幅及び10cmを越える長さのスリット511を設けることにより、堆積ユニット間で伝搬するガス分子はほとんどない。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、複数の堆積ユニット121のうちの少なくとも1つの第1の堆積ユニットは、スパッタ堆積ユニットであり得る。幾つかの実施形態では、複数の堆積ユニット121の各堆積ユニットは、スパッタ堆積ユニットである。ここでは、1つ以上のスパッタ堆積ユニットは、DCスパッタリング、ACスパッタリング、RF(高周波)スパッタリング、MF(中周波)スパッタリング、パルススパッタリング、パルスDCスパッタリング、マグネトロンスパッタリング、反応性スパッタリング、又はこれらの組み合わせのために構成され得る。DCスパッタ源は、導電性材料を用いて(例えば、銅などの金属を用いて)フレキシブル基板をコーティングするのに適切であり得る。交流(AC)スパッタ源、例えば、RFスパッタ源又はMFスパッタ源は、導電性材料又は絶縁材料を用いて(例えば、誘電体材料、半導体、又は金属を用いて)フレキシブル基板をコーティングするのに適切であり得る。
しかしながら、本明細書に記載された堆積装置は、スパッタ堆積に限定されず、幾つかの実施形態では他の堆積ユニットも利用することができる。例えば、幾つかの実装形態では、CVD堆積ユニット、蒸発堆積ユニット、PECVD堆積ユニット、又は他の堆積ユニットが利用されてもよい。特に、堆積装置のモジュール式設計により、第1の堆積ユニットを堆積チャンバから半径方向に取り除き、別の堆積ユニットを堆積チャンバ内にロードすることで、第1の堆積ユニットを第2の堆積ユニットと置き換えることが可能であり得る。そのため、堆積チャンバには、密閉リッドが設けられ得る。密閉リッドは、1つ以上の堆積ユニットを交換するために開閉することができる。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、フレキシブル基板に非導電性材料を堆積するために、少なくとも1つのACスパッタ源が、例えば、堆積チャンバ内に設けられてもよい。幾つかの実施形態では、フレキシブル基板に導電性材料を堆積するために、少なくとも1つのDCスパッタ源が、堆積チャンバ内に設けられてもよい。
幾つかの実施形態では、複数の堆積ユニット121のうちの少なくとも1つの第1の堆積ユニット301は、ACスパッタ源であり得る。図9に示す実施形態では、複数の堆積ユニットのうちの最初の2つの堆積ユニットは、ACスパッタ源、例えば、以下でより詳細に説明されるデュアルターゲットスパッタ源である。酸化ケイ素などの誘電体材料は、ACスパッタ源を用いてフレキシブル基板に堆積され得る。例えば、2つの隣接する堆積ユニット(例えば、第1の堆積ユニット301)は、反応性スパッタ処理において、酸化ケイ素層をフレキシブル基板の第1の主要面に直接堆積するように構成され得る。結果として得られる酸化ケイ素層の厚さは、互いに隣り合う2つ以上のACスパッタ源を利用することによって、(例えば、2倍に)増大し得る。
複数の堆積ユニット121のうちの残りの堆積ユニットは、DCスパッタ源であり得る。図9に示す実施形態では、少なくとも1つの第1の堆積ユニット301の下流に配置された複数の堆積ユニットのうちの少なくとも1つの第2の堆積ユニット302は、例えば、ITO層を堆積するように構成されたDCスパッタ源であり得る。他の実施形態では、ITO層を堆積するように構成された2つ以上のDCスパッタ源が設けられ得る。幾つかの実施形態では、ITO層は、少なくとも1つの第1の堆積ユニット301によって堆積された酸化ケイ素層の上部に堆積されてもよい。
さらに、幾つかの実施形態では、少なくとも1つの第2の堆積ユニット302の下流に配置された少なくとも1つの第3の堆積ユニット303(例えば、3つの第3の堆積ユニット)は、例えば、第1の金属層(例えば、銅層)を堆積するために、DCスパッタユニットとして構成され得る。少なくとも1つの第3の堆積ユニット303によって、種々の金属の幾つかの層が堆積され得るか、又は単一の金属(例えば、Cu)の1つの厚い層が堆積され得る。
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの第2の堆積ユニット302によって堆積された酸化ケイ素層の上部に、第1の金属層が堆積されてもよい。
したがって、堆積チャンバ内で、層のスタック(例えば、積み重なり合う酸化シリコン層、ITO層、及びCu層を含む)がフレキシブル基板の第1の主要面に堆積され得る。
第1の接続チャンバ及び第2の堆積チャンバを含む幾つかの実施形態では、その後、さらなる層が第2の堆積チャンバ内で堆積されてもよい。例えば、第2の複数の堆積ユニットのうちの少なくとも1つの第4の堆積ユニットは、第1の金属層の上部に、第2の金属層(例えば、第2のCu層)を堆積するため、DCスパッタユニットとして構成され得る。幾つかの実装形態では、第2の複数の堆積ユニットのすべての堆積ユニットが、それぞれ、金属層を堆積するように構成されたDCスパッタユニットであり得る。さらに、幾つかの実装形態では、同一の金属、例えば、銅が堆積されてもよい。したがって、単一の厚い金属層、例えば、厚い銅層が、第2の複数の堆積ユニットによって堆積され得る。
したがって、例えば、図5に示す実施形態では、合計6つの堆積ユニットが設けられ得る。最初の2つの堆積ユニット(少なくとも1つの第1の堆積ユニット301)は、酸化ケイ素層を堆積するように構成され、後続の堆積ユニット(少なくとも1つの第2の堆積ユニット302)は、ITO層を堆積するように構成され、残りの3つの堆積ユニット(第3の堆積ユニット303)は、厚い銅層を堆積するように構成され得る。記載された配置は例示的な配置に過ぎず、堆積ユニットの合計数、堆積ユニットの種類、堆積ユニットの順序、堆積ユニットのよって堆積される材料の変更は、適宜可能であることを理解するべきである。
SiO2層、ITO層、及び銅層を含む層スタックは、フレキシブル基板に堆積され得る。フレキシブル基板は、指数が一致した(IM)層が、片側の主要面又は両側の主要面に設けられたポリマー基板であり得る。例えば、フレキシブル基板は、両側の主要面にIM層を有するCOP基板であってもよい。
層のスタックでフレキシブル基板の第1の主要面をコーティングした後、片側がコーティングされた基板は、反転した配向で第1のスプールチャンバ内に再度ロードされ得る。その後、反転した配向でフレキシブル基板を、堆積装置100を通して再度搬送することにより、フレキシブル基板の第2の主要面も対応する層のスタック又は異なる層のスタックでコーティングされ得る。したがって、両面がコーティングされた基板を製造することができ、巻き取り欠陥を減らすか、又は完全に避けることができる。
堆積チャンバ、例えば、堆積チャンバ120の一部の拡大図を示す図9では、複数の堆積ユニット、すなわち、6つの堆積ユニットが、堆積チャンバ内に配置される。ガス分離ユニット510は、それぞれ、互いに隣接する堆積ユニット間に設けられる。したがって、図9に例示するように、6つの堆積ユニットのための6つの区域が、コーティングドラムの周りに、特にコーティングドラムの下半分の周りに設けられ得る。フレキシブル基板は、ガス分離ユニット510とコーティングドラム122との間のスリット511を通して搬送され得る。堆積中、フレキシブル基板に向けて加えられる熱負荷が、減少するか又は最小限となるように、堆積ユニットは構成され得る。
少なくとも1つの第1の堆積ユニット301は、ACスパッタ源610として構成されてもよく、少なくとも1つの第2の堆積ユニット302は、DCスパッタ源612として構成されてもよく、少なくとも1つの第3の堆積ユニット303は、DCスパッタ源612として構成されてもよい。
図10は、ACスパッタ源610をより詳細に示しており、図11はDCスパッタ源612をより詳細に示している。
図10に示したACスパッタ源610は、2つのスパッタデバイス、すなわち、第1のスパッタデバイス701及び第2のスパッタデバイス702を含み得る。以下では、「スパッタデバイス」は、フレキシブル基板に堆積される材料を含むターゲット703を含むデバイスとして理解されたい。ターゲットは、堆積される材料で、又は少なくとも堆積される材料の成分で作られてもよい。幾つかの実施形態では、スパッタデバイスは、回転軸を有する回転式ターゲットとして構成されたターゲット703を含み得る。幾つかの実装形態では、スパッタデバイスは、ターゲット703が配置され得るバッキングチューブ704を含み得る。幾つかの実装形態では、スパッタデバイスの操作中に磁場を生成するための磁石アレンジメントが、例えば、回転式ターゲットの内部に設けられ得る。回転式ターゲット内に磁石アレンジメントが設けられる場合、スパッタデバイスは、スパッタマグネトロンと呼ばれることがある。幾つかの実装形態では、スパッタデバイス又はスパッタデバイスの部品を冷却するために、冷却チャネルがスパッタデバイス内に設けられ得る。
幾つかの実装形態では、スパッタデバイスは、堆積チャンバの支持体に接続されるように適合され得、例えば、フランジが、スパッタデバイスの端部に設けられてもよい。幾つかの実施形態によれば、スパッタデバイスは、カソード又はアノードとして操作され得る。例えば、第1のスパッタデバイス701は、カソードとして操作されてよく、第2のスパッタデバイス702は、ある時点でアノードとして操作されてもよい。第1のスパッタデバイス701と第2のスパッタデバイス702との間に交流が印加される場合、その後のある時点で、第1のスパッタデバイス701はアノードとして機能してもよく、第2のスパッタデバイス702はカソードとして機能してもよい。幾つかの実施形態では、ターゲット703は、シリコンを含むか、又はシリコンから作られ得る。
「ツインスパッタデバイス」という用語は、一対のスパッタデバイス、例えば、第1のスパッタデバイス701と第2のスパッタデバイス702を意味する。第1のスパッタデバイス及び第2のスパッタデバイスは、一対のツインスパッタデバイスを形成し得る。例えば、一対のツインスパッタデバイスの両スパッタデバイスは、フレキシブル基板をコーティングするため、同一の堆積処理で同時に使用され得る。ツインスパッタデバイスは、同様に設計され得る。例えば、ツインスパッタデバイスは、同一のコーティング材料を供給してもよく、ほぼ同一のサイズとほぼ同一の形状を有してもよい。ツインスパッタデバイスは、堆積チャンバ内に配置され得るスパッタ源を形成するため、互いに隣接して配置され得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、ツインスパッタデバイスの2つのスパッタデバイスは、同一の材料(例えば、シリコン)から作られたターゲットを含む。
図9及び図10からわかるように、第1のスパッタデバイス701は、第1のスパッタデバイス701の回転軸であり得る回転軸である得る。第2のスパッタデバイス702は、第2のスパッタデバイス702の回転軸となり得る第2の回転軸を有する。スパッタデバイスは、フレキシブル基板上に堆積される材料を供給する。反応性堆積処理に関しては、最終的にフレキシブル基板の上に堆積される材料は、付加的に処理ガスの化合物を含み得る。したがって、例えば、ケイ素又はドープされたケイ素からなるターゲット703は、ケイ素材料を含むが、典型的な酸素を処理ガスとして加えることができ、最終的に酸化ケイ素が堆積されることを理解されたい。
図9に例示する実施形態によれば、フレキシブル基板は、コーティングドラム122によって、ツインスパッタデバイスを通過するよう誘導される。ここでは、コーティングウィンドウは、コーティングドラム122上のフレキシブル基板の第1の位置705、及びコーティングドラム122上のフレキシブル基板の第2の位置706によって制限される。コーティングウィンドウ、すなわち、第1の位置705と第2の位置706との間のフレキシブル基板の一部は、材料が堆積され得る基板の領域を画定する。図9からわかるように、第1のスパッタデバイス701から放出される堆積材料の粒子、及び第2のスパッタデバイス702から放出される堆積材料の粒子は、コーティングウィンドウ内のフレキシブル基板に到達する。
第1のスパッタデバイス701の第1の軸から第2のスパッタデバイス702の第2の軸までの距離が300mm以下、具体的には、200mm以下になるように、スパッタ源610は適合され得る。典型的には、第1のスパッタデバイス701の第1の軸と第2のスパッタデバイス702の第2の軸との距離は、150mmから200mmの間、より典型的には、170mmから185mmの間、例えば、180mmであり得る。
幾つかの実施形態によれば、円筒形のスパッタデバイスであり得る第1のスパッタデバイス及び第2のスパッタデバイスの外径は、90mmから120mm、より典型的には、約100mmから約110mmの範囲内であり得る。
幾つかの実施形態では、第1のスパッタデバイス701には、第1の磁石アレンジメントが備えられ、第2のスパッタデバイス702には、第2の磁石アレンジメントが備えられ得る。磁石アレンジメントは、堆積効率を改善する磁場を生成するように構成された磁石ヨークであってよい。幾つかの実施形態によれば、磁石アレンジメントは、互いに向かって傾けられてもよい。互いに向かって傾くように配置された磁石アレンジメントとは、この文脈では、磁石アレンジメントによって生成される磁場が、互いに向けて方向付けられることを意味し得る。
幾つかの実施形態によれば、上述のスパッタデバイスは、非導電性及び/又は導電性材料をフレキシブル基板上に堆積するように使用され得る。例えば、スパッタ源610は、ケイ素、チタン、アルミニウムなどのターゲット材料を供給し得る。1つ以上の処理ガスを導入するためのガス入口と共に、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの材料を、例えば、反応性スパッタリング処理によって、フレキシブル基板上に堆積させることができる。具体的には、ACスパッタ源610は、SiO2の反応性スパッタリングなど、反応性スパッタ処理に使用することができる。したがって、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、堆積装置には、酸素又は窒素などの処理ガスのためのガス入口などのさらなる装置が備わっていてもよい。
幾つかの実施形態によれば、ACスパッタ源610は、2つのスパッタデバイスが中間周波数(約10kHzから約50kHzの間の周波数範囲など)で動作する処理で使用され得る。一実施形態では、ACスパッタ源610は、2つのスパッタデバイスのうちの一方をアノードとして使用し、対応する他方をカソードとして使用するように適合され得る。概して、ACスパッタ源610は、スパッタデバイスのアノード及びカソードとしての動作を交互に行うことができるように適合されている。これは、印加電圧の周波数に応じて、前にアノードとして使用されていたスパッタデバイスをカソードとして使用することができ、前にカソードとして使用されていたスパッタデバイスをアノードとして作動させることができることを意味している。
幾つかの実施形態によれば、ACスパッタ源610は、反応性堆積処理のために構成され得る。反応性堆積処理のための閉ループ制御がもたらされ得る。反応性堆積処理は、酸化ケイ素層の堆積に使用することができる。ケイ素は、スパッタデバイスからスパッタされ、酸素などの処理ガスは、ガス入口から供給される。処理ガスの流量が少なく、スパッタデバイスに高電界が印加される場合、処理は金属モードで行われる。処理ガスの流量がより高い場合、堆積処理が酸素モードに変わることがあり、この場合、透明な酸化ケイ素層が堆積され得る。したがって、反応性堆積処理を制御する方法は、移行モードで実現されるように堆積処理を制御することができ、この場合、酸化ケイ素などの透明な層が、比較的速い速度で堆積され得る。
幾つかの実施形態では、電圧制御の使用によりスパッタデバイスを移行モードに維持することができる電圧供給を与えることによって、堆積処理を制御することができる。ここでは、スパッタデバイスに接続されてスパッタデバイスに電力供給する電源は、例えば、固定電圧をスパッタデバイスに供給するよう電圧制御されて動作し得る。しかしながら、電源に電圧制御を与える場合、電圧源は結果的に電圧制御され、電力が一定に保たれない。なぜなら、電源は、1つのパラメータしか固定を保つことできないからである。電圧制御が用いられる場合、電力、すなわち、堆積速度が、使用される処理ガスにより変化することがあり、これは常に許容可能ではない。
したがって、電源を電圧制御することに加えて、電力制御を閉制御ループとして実現することができる。実際の電力がモニタリングされ、処理ガスの流量は、電力をほぼ一定に保つために制御される。それにより、ほぼ一定の堆積速度を与える閉ループ制御をもたらすことができる。したがって、幾つかの実装形態では、反応性堆積処理が電圧制御されて、スパッタ電力を一定に保つ酸素流調節が確立される。
幾つかの実装形態では、処理ガスは、酸素、アルゴン、窒素、水素、H2O、及びN2Oのうちの少なくとも1つを含み得る。通常、反応性堆積処理のための反応性ガスとして酸素を供給することができる。酸素ベースの反応処理のための処理ガス内に少量の窒素を供給することは、生成されたプラズマを安定化させるために有益であり得る。
典型的な実施形態によれば、電圧の上限値として電圧設定点値が、電源に与えられ得る。この電圧は、電源がスパッタデバイスに与え得るものである。電源の電圧は、設定点値によって固定され得る。電源によって供給される電力は、プラズマ領域内の反応性ガスの流れに依存し得る。例えば、酸化ケイ素堆積処理では、電力は、酸素流に依存し得るが、それと同時に電圧設定点値によって制限される。閉ループ制御をもたらすコントローラは、スパッタデバイスに供給される実際の電力に応じて処理ガス流を制御する。
プラズマ領域内に導入される処理ガスの流量は、スパッタデバイスに供給される電源の出力電力に比例し得る。コントローラがガス流量を制御することにより、電源からコントローラに信号として与えられ得る実際の電力値がほぼ一定に保たれ得る。
したがって、本明細書に記載された実施形態によれば、反応性堆積処理を移行モードに維持することができ、ACスパッタ源610として構成され得る少なくとも1つの第1の堆積ユニット301によって、酸化ケイ素層などの非常に均一な非導電層をフレキシブル基板上に堆積することができる。
図11は、本明細書に記載された実施形態の幾つかで使用され得るDCスパッタ源612の拡大概略図を示す。幾つかの実施形態では、図9に示す少なくとも1つの第2の堆積ユニット302は、DCスパッタ源612として構成され、且つ/又は少なくとも1つの第3の堆積ユニット303は、DCスパッタ源612として構成される。
DCスパッタ源612は、堆積されるべき材料をフレキシブル基板上に供給するためのターゲット614を含む少なくとも1つのカソード613を含み得る。少なくとも1つのカソード613は、回転式カソード、とりわけ、回転軸の周りで回転可能であり得る実質的に円筒形のカソードであってもよい。
ターゲット614は、堆積される材料から作られ得る。例えば、ターゲット614は、銅又はアルミニウムのターゲットなどの、金属ターゲットであってよい。生成されたプラズマを閉じ込めるための磁石アセンブリ615が、回転式カソードの内部に配置され得る。
幾つかの実装形態では、DCスパッタ源612は、図11に例示するように、単一のカソードを含み得る。幾つかの実施形態では、導電性表面、例えば、堆積チャンバの壁面は、アノードとして動作し得る。他の実装形態では、ロッドの形状を有するアノードなどの分離されたアノードが、カソードの隣に設けられ得、それにより、少なくとも1つのカソード613と分離されたアノードとの間に電場が構築され得る。少なくとも1つのカソード613とアノードとの間に電場を印加するため、電源が設けられ得る。金属などの導電性材料の堆積を可能し得るDC電場が印加され得る。幾つかの実装形態では、パルスDC場が、少なくとも1つのカソード613に印加される。幾つかの実施形態では、DCスパッタ源612は、1つより多くのカソード、例えば、2つ以上のカソードのアレイを含み得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、本明細書に記載された堆積ユニットは、図12に例示するように、ダブルDC平面カソードスパッタ源616として構成され得る。例えば、ダブルDC平面カソードは、第1の平面ターゲット617及び第2の平面ターゲット618を含み得る。第1の平面ターゲットは、第1のスパッタ材料を含み得、第2の平面ターゲットは、第1のスパッタ材料とは異なる第2のスパッタ材料を含み得る。幾つかの実装形態によれば、図12に例示するように、保護シールド619が、第1の平面ターゲット617と第2の平面ターゲット618との間に設けられ得る。保護シールドの冷却を行うことができるように、保護シールドを冷却された部分に取り付け(例えば、固定)してもよい。より具体的には、保護シールドを第1の平面ターゲットと第2の平面ターゲットとの間で構成且つ配置することにより、第1の平面ターゲット及び第2の平面ターゲットから供給されるそれぞれの材料の混合を防止することができる。さらに、図12に例示するように、保護シールドは、保護シールドとコーティングドラム122上の基板との間に狭い間隙Gが設けられるように構成され得る。したがって、ダブルDC平面カソードは、有益には、2つの異なる材料を堆積するように構成され得る。典型的には、本明細書に記載されているように、ACスパッタ源610、DCスパッタ源612、又はダブルDC平面カソードスパッタ源616を含む堆積ユニットは、本明細書に記載された区画、すなわち、本明細書に記載された2つのガス分離ユニット510間に設けられた区画内に設けられる。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、堆積ユニット、特にカソード(例えば、ACスパッタ源、DC回転式カソード、ツイン回転式カソード、及びダブルDC平面カソード)は置き換え可能であると理解されたい。したがって、共通の区画設計が設けられ得る。さらに、堆積ユニットは、各堆積ユニットを個別に制御できるように構成された処理コントローラに接続され得る。したがって、有益には、反応性処理を完全に自動化して実行できるように、処理コントローラが設けられ得る。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、堆積装置は、タッチパネルで使用する透明体を製造するために使用することができる。第1の透明層スタックは、フレキシブル基板の第1の主要面に堆積され得る。第1の透明層スタックは、1つ以上のケイ素含有層、例えば、酸化ケイ素層を含み得る。透明導電性膜、例えば、ITO膜が、第1の透明層スタックの上部に堆積され得る。ITO膜は、所定のパターンで設けられ得る。幾つかの実施形態では、モニタリングデバイスは、堆積中、第1の透明層スタック及び透明導電性膜のうちの少なくとも1つの光学特性(例えば、透過及び/又は反射)を測定するために設けられ得る。幾つかの実施形態では、金属層は、透明層スタックの上部に堆積され得る。
その後、幾つかの実施形態では、同じ層のスタック又は異なる層のスタックが、フレキシブル基板の反対側の主表面である基板の第2の主表面に堆積され得る。基板の第2の主面は、片側がコーティングされた面を反転した配向で堆積装置内にロードすることによって、且つフレキシブル基板を反転した配向で堆積チャンバ内に設けられた堆積ユニットを通過させるように搬送することによって、コーティングできことができ、第2の主面は、同じ層のスタック又は異なる層のスタックでコーティングされ得る。
部分的に凹状及び部分的に凸状である基板搬送経路に沿ったフレキシブル基板の張力制御された搬送により、両面コーティングされたフレキシブル基板は、欠陥の数が少なくなり得る。さらに、特に、堆積前及び/又は堆積後、特に、フレキシブル基板のそれぞれの主表面が高い張力でローラ表面と接触する前に、基板の両主表面を洗浄できるので、欠陥の数が少ない両面コーティングされたフレキシブル基板を提供することができる。
図13Aから13Cは、本明細書に記載された実施形態に係る、堆積チャンバ内のコーティングドラムの周りに設けられ得る堆積ユニットのシーケンスの例示的な概略レイアウトを示す。以下では、図13Aから13Cに示される種々のレイアウト例の複数の堆積ユニット121のシーケンスを左から右へと説明する。すなわち、図13Aから13Cでは、第1の堆積ユニットは、最も左側の堆積ユニットを指し、第6の堆積ユニットは、最も右側の堆積ユニットを指す。さらに、よりわかりやすくするため、典型的に、第1の堆積ユニットは、例えば、第1の層を基板上に堆積するための、基板搬送部に沿った第1の堆積ユニットである。
具体的には、図13Aは、本明細書に記載されたコーティングドラムの周りに設けられた複数の堆積ユニット121の第1の例示的な概略レイアウトを示す。図13Aに例示的に示すように、本明細書に記載された任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第1の堆積ユニットは、SiO2の堆積用に構成されたツイン回転式堆積ユニット、具体的には、本明細書に記載されたACスパッタ源610であり得る。第2の堆積ユニットは、NbOx堆積用に構成されたDC回転式堆積ユニット、具体的には、本明細書に記載されたDCスパッタ源612であり得る。第3の堆積ユニット、第4の堆積ユニット、及び第5の堆積ユニットは、SiO2堆積用に構成されたツイン回転式堆積ユニット、具体的には、本明細書に記載されたACスパッタ源であり得る。第6の堆積ユニットは、ITO堆積用に構成されたDC回転式堆積ユニット、具体的には、本明細書に記載されたDCスパッタ源612であり得る。したがって、図13Aに示す第1の例示的な概略レイアウトでは、SiO2の第1層、NbOxの第2層、SiO2の第3層、SiO2の第4層、SiO2の第5層、及びITOの第6層を有する層のスタックが、基板上に堆積され得る。このような層スタックは、例えば、基板(例えば、PET基板)上にITO上部層がある状態でハードコートを設けるために使用できる。
図13Bに例示される複数の堆積ユニット121の第2の例示的なレイアウトによれば、第1堆積ユニットは、SiO2堆積用に構成されたツイン回転式堆積ユニット、具体的には、本明細書に記載されたACスパッタ源610であり得る。さらに、第2の堆積ユニット、第3の堆積ユニット、及び第4の堆積ユニットは、SiO2堆積用に構成されたツイン回転式堆積ユニット、具体的には、本明細書に記載されたACスパッタ源であり得る。第5の堆積ユニット及び第6の堆積ユニットは、ITO堆積用に構成されたDC回転式堆積ユニット、具体的には、本明細書に記載されたDCスパッタ源612であり得る。したがって、図13Bに示す第2の例示的な概略レイアウトでは、SiO2の第1層、SiO2の第2層、SiO2の第3層、SiO2の第4層、ITOの第5層、及びITOの第6層を有する層のスタックが、基板上に堆積され得る。このような層スタックは、例えば、基板上にSiO2の4つの層を有する状態で、屈折率整合層スタックにITO二重上部層を設けるために使用され得る。
図13Cに例示される複数の堆積ユニット121の第3の例示的なレイアウトによれば、第1の堆積ユニット及び第2の堆積ユニットは、それぞれ誘電体層の堆積用に構成されたツイン回転式堆積ユニット、具体的には、本明細書に記載されたACスパッタ源であり得る。第3の堆積ユニットは、シード層堆積用に構成されたDC回転式堆積ユニット、具体的には、本明細書に記載されたDCスパッタ源612であり得る。第4の堆積ユニットは、銀(Ag)及びブロッカ層の堆積用に構成された、本明細書に記載された二重DC平面カソードスパッタ源616であり得る。第5の堆積ユニット及び第6の堆積ユニットは、それぞれ誘電体層の堆積用に構成されたツイン回転式堆積ユニット、具体的には、本明細書に記載されたACスパッタ源であり得る。したがって、図13Cに示す第3の例示的な概略レイアウトでは、第1の誘電体層、第2の誘電体層、シード層である第3の層、Ag及びブロッカである第4の層、第5の誘電体層、及び第6の誘電体層を有する層のスタックが、基板上に堆積され得る。このような層スタックは、例えば、低Eコーティング(low E−coating)としても知られる低エミッタンスコーティングを設けるために使用され得る。
図14は、本明細書に記載された実施形態に係る、層のスタックでフレキシブル基板をコーティングする方法800を示すフロー図である。当該方法は、本明細書に記載されたいずれかの実施形態に係る堆積装置100で実行されてもよい。ここでは、フレキシブル基板は、部分的に凸状で部分的に凹状な基板搬送経路に沿って、第1のスプールチャンバ内のストレージスプールから第2のスプールチャンバ内の巻き取りスプールへと搬送される。当該方法は、ボックス810では、第1のスプールチャンバ内に設けられたストレージスプールからフレキシブル基板を送り出すことと、次いで、ボックス820では、フレキシブル基板が、堆積チャンバ内に設けられたコーティングドラムによって誘導されている間、層のスタックの少なくとも1つの第1の層をフレキシブル基板の第1の主要面に堆積することと、次いで、ブロック830では、堆積の後に、第2のスプールチャンバ内に設けられた巻き取りスプールにフレキシブル基板を巻き取ることとを含む。
その後、ボックス840では、第2のスプールチャンバから、(コーティングされた第1の主要面を有し得る)フレキシブル基板が巻かれた巻き取りスプールを取り外し、第1のスプールチャンバ内のストレージスプールを反転した配向の取り除かれた巻き取りスプールと交換することと、次いで、ボックス850では、堆積チャンバを通してフレキシブル基板を誘導している間、第2の主要面に第2の層のスタックを堆積することと、次いで、ボックス860では、第2のスプールチャンバ内に設けられたさらなる巻き取りスプールにフレキシブル基板を巻き取ることとによって、フレキシブル基板の第2の主要面も第2の層のスタックで任意選択的にコーティングされ得る。
本明細書に記載されたさらなる態様によれば、図15に示すフロー図によって例示されているように、フレキシブル基板をコーティングするための堆積装置を位置合わせする方法900が提供される。具体的には、本明細書に記載された任意の実施形態の堆積装置は、フレキシブル基板に層のスタックを堆積するために使用される前に位置合わせされ得る。堆積装置は、ローラアセンブリを含み得る。ローラアセンブリは、フレキシブル基板を、部分的に凸状で部分的に凹状な基板搬送経路に沿って、第1のスプールチャンバ内に配置されたストレージスプールから第2のスプールチャンバ内に配置された巻き取りスプールへと搬送するように構成されている。
位置合わせする方法は、ボックス910では、第1の回転軸を有するローラアセンブリの少なくとも1つの誘導ローラを基準ローラとして規定することと、ボックス920では、基準ローラの第1の回転軸に対して平行に延びるように、基準ローラの第1の回転軸に対して、ローラアセンブリの2つ以上の残りの誘導ローラの回転軸を位置合わせすることとを含み得る。言い換えると、ローラアセンブリのローラは、1つのマスターローラ、すなわち、基準ローラを基準とし得る。
残りの各誘導ローラのローラ軸が基準ローラの第1の回転軸に対して位置合わせされた場合、すべての誘導ローラのローラ軸は、基準ローラに対して平行であるだけでなく、互いに対しても平行になる。これにより、ローラの位置合わせが優れているローラアセンブリを提供することができ、フレキシブル基板に作用する斜めの引っ張り力を回避することができる。具体的には、ローラアセンブリのローラは、特に水平方向及び/又は垂直方向において、<0.1mm/mの長さの偏差に調整することができる。
幾つかの実施形態では、誘導ローラのローラ軸は、回転軸に沿って、1m以上及び2m以下、具体的には、約1.5m又は約1.8mの長さを有し得る。堆積装置は、20個より多くの誘導ローラ及び60個未満の誘導ローラ、例えば、約30個の誘導ローラを有してもよく、これらは、基準ローラとほぼ平行になり、ひいては互いに対して平行になるために、それぞれ基準ローラに対して位置合わせされ得る。
本明細書に記載された実施形態の観点から、従来の堆積システムと比較して、層のスタックでフレキシブル基板の片方又は両方の主表面をコーティングするための改良された堆積装置が提供されることを理解されたい。この場合、層は均一性が高く、表面積あたりの欠陥数が少ない。
以上の説明は実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱せずに他の実施形態及びさらなる実施形態を考案してもよく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。