JP2020519619A - 炎症性腸疾患の治療における使用のためのコビトリモド - Google Patents

炎症性腸疾患の治療における使用のためのコビトリモド Download PDF

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Abstract

本発明はヒト被験者における炎症性腸疾患の治療において使用するための、5'-GGAACAGTTCGTCCATGGC-3'(配列番号2)の配列を含むオリゴヌクレオチドを提供し、ここで前記オリゴヌクレオチドの150mg〜350mgの個々の用量が少なくとも2つの別々の機会に該被験者に投与され、ここで前記別々の機会は3週間離れている。【選択図】図1

Description

本発明は炎症性腸疾患、例えば活動性潰瘍性大腸炎(active ulcerative colitis)(UC)を治療するための新たな療法に関連し、ここでオリゴヌクレオチド、特にコビトリモド(cobitolimod)が最適化された投与計画(dosage regime)に従って投与される。
発明の背景
潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis)(UC)は直腸と結腸の粘膜の慢性的な炎症により特徴付けられる疾患であり、最初の段階で最も内側の内壁を冒す。この疾患は再発性であり、病理学、症状及び治療において異なる、活動性と非活動性の両方の段階を有する。UCの発症の基となる原因は理解されておらず、何が引き金となってその疾患がその非活動型と活動型の間を繰り返すかも判っていない(Irvine, E. J. (2008) Inflamm Bowel Dis 14(4): 554-565)。活動性UCの症状は、出血を伴う進行性の軟便と排便頻度の増加を含む。活動性の粘膜の炎症は内視鏡検査により診断される。
便は膿、粘液及び血液を含み、便意の切迫性を有する腹部の痙攣(渋り腹(tenesmi))をしばしば伴う。下痢は潜行して発症することもあり、又はより稀には非常に突然に開始することもある。重度の場合には症状は、発熱と全身倦怠感を含むことがある。重度の段階では、腹部圧痛、頻脈、発熱、及び腸穿孔の危険を伴う、腸壁の深部の炎症を発症することもある。さらにUCを有する患者は、例えば関節痛及び関節炎、結節性紅斑、壊疽性膿皮症、並びに眼の炎症等の、腸管外の兆候を患っていることもある。寛解又は非活動性のUCの場合には、患者は通常は腸の症状を有さない。
粘膜が炎症を起こす又は損傷を受ける程度は、UCを有する患者の間で異なる。直腸のみが冒されているUCは潰瘍性直腸炎と呼ばれている。炎症性変化が結腸の左側から脾湾曲部までに存在するときには、その状態は遠位又は左側大腸炎(left sided colitis)と呼ばれる。広範囲に及ぶUCにおいては横行結腸もまた冒されており、全大腸炎(pancolitis)は結腸全体が関連している疾患を言う。
活動性の粘膜の炎症は内視鏡検査により診断され、それは血管のパターンの消失、浮腫、点状出血、特発性出血、及び線維性滲出液により特徴付けられる。内視鏡画像は継続的な炎症のものであり、直腸から始まり、結腸の近位に様々な程度で伸展する。内視鏡検査で得られ組織学的な試験にかけられた生検は、状態の診断の助けとなる。クロストリジウム・ディフィシル、カンピロバクター(camphylobacter)、サルモネラ、及び赤痢菌(Shigella)を含む感染性の要因はUCを模倣することがあり、便の培養により考慮しなくし得る。
UCの医学的管理は、活動型疾患の治療と寛解の維持に分けられる。
活動型UCを有する患者の治療は、炎症の低減、並びに結腸の治癒及び粘膜の回復の促進を目的とする。軽度な場合には疾患は、スルファサラジン、5−アミノサリチル酸(5−ASA)(Sutherland, L., F. Martin, S. Greer, M. Robinson, N. Greenberger, F. Saibil, T. Martin, J. Sparr, E. Prokipchuk及びL. Borgn (1987) Gastroenterology 92: 1894-1898)、及び糖質コルチコステロイド(GCS)(Domenech, E., M. Manosa及びE. Cabre (2014). Dig Dis 32(4): 320-327)を含む通常の薬剤により制御され得る。
GCSの長期使用には重大な副作用があり、ステロイド依存性疾患を発症する可能性があるので、GCSは一般的には疾患の再発(flare-up)を治療するのに使用され、寛解の維持には推奨されない。糖質コルチコイド薬剤は非選択的に作用するために、長期的には多くの健康的な同化(anabolic)プロセスを損なうかもしれない。結果として、全身的なGCSによる維持治療は勧められない(Prantera, C.及びS. Marconi (2013) Therap Adv Gastroenterol 6(2): 137-156)。
GCSに対して難治性となり、重度の又は中等度の重篤度のUCの発作を患っている患者については、例えばシクロスポリン、6−メルカプトプリン、及びアザチオプリン等の免疫調節剤の追加を用いることがある。しかしながら、免疫調節剤は作用が遅く、これらの患者における寛解誘導はしばしば一時的なものである(Khan, K. J., M. C. Dubinsky, A. C. Ford, T. A. Ullman, N. J. Talley及びP. Moayyedi (2011) Am J Gastroenterol 106(4): 630-642)。
さらなるUCの治療選択肢は生物学的な薬剤を含む(Fausel, R.及びA. Afzali (2015) Ther Clin Risk Manag 11: 63-73)。中等度から重度のUCの治療のために現在認可されている3つのTNF−α阻害剤は、インフリキシマブ、アダリムマブ、及びゴリムマブである。3つ全ては、それらの使用に伴う潜在的な危険性があり、一定の患者においては避けなければならず、それは例えば制御不能な感染症、進行した心不全、神経学的な状態を有する患者、及び、悪性腫瘍の病歴を有する患者(腫瘍の成長を促進させる潜在的な危険性があるため)である。TNF−α阻害剤療法の他の潜在的な副作用は、好中球減少症、肝毒性、血清病、白血球破砕性血管炎、乾癬様皮疹を含む発疹、自己免疫の誘導、並びに、アナフィラキシー、痙攣、及び低血圧を含む注射又は注入部位反応を含む。
3つ全てのTNF−α阻害剤とそれらに関連したバイオシミラー/誘導体の同等物を、UCを有する患者において、臨床応答と寛解を誘導して維持するのに使用してもよい。アザチオプリンを用いた組み合わせ療法もまた、寛解の誘導に使用される。しかしながら、TNF−α阻害剤の投与を受けている患者の50%超は誘導用量に対して応答しないか、又は時間と共にTNF−α阻害剤に対する応答を消失する(Fausel, R.及びA. Afzali (2015) Ther Clin Risk Manag 11: 63-73)。
α4β7インテグリン阻害剤であるベドリズマブは、UCの治療のために最近認可された。GEMINI 1治験においてベドリズマブは、臨床上の応答、臨床上の寛解の誘導と維持、及び粘膜治癒においてプラセボよりも有効性が高いことが見出された(Feagan, B. G., P. Rutgeerts, B. E. Sands, S. Hanauer, J. F. Colombel, W. J. Sandborn, G. Van Assche, J. Axler, H. J. Kim, S. Danese, I. Fox, C. Milch, S. Sankoh, T. Wyant, J. Xu, A. Parikh及びG. S. Group (2013). "Vedolizumab as induction and maintenance therapy for ulcerative colitis." N Engl J Med 369(8): 699-710)。
慢性的に活動性であり既知の治療に対して難治性である潰瘍性大腸炎の患者は、医学上の深刻な課題をもたらし、大抵は残る唯一の行動方針は結腸切除術である。全結腸切除術は重度のUCを治療する可能性がある選択肢であるが、嚢の不全、回腸嚢炎、骨盤内敗血症、女性の不妊、及び夜間の便失禁などの合併症が続くかもれしれないので、危険性を伴う人生を変えてしまう手術である。よって手術は、重度の難治性の疾患、手術上の若しくは他の緊急性を有する患者、又は直腸結腸の異形成若しくはがんを有する患者のために取っておかれるのが通常である。
UCに対する新興の三次治療は、修飾された一本鎖デオキシリボ核酸(DNA)に基づいた、長さが19塩基の合成オリゴヌクレオチドであるコビトリモド(カッパプロクト(Kappaproct)/DIMS0150)である。コビトリモドは5'-GACAGTTCGTCCATC-3'(配列番号1)の配列を有し、ここでCGジヌクレオチドはメチル化していない。
コビトリモドは、免疫細胞に存在するトール様受容体9(TLR9)を標的とすることにより、免疫調節剤として機能する。これらの免疫細胞(すなわち、B細胞及び形質細胞様樹状細胞(pDC))は、結腸及び鼻の粘膜等の粘膜表面に多量に存在する。免疫システムは、UCの変化の鍵となるメディエーターである。UCを有する患者の結腸と直腸の粘膜は慢性的に炎症を起こしており、活性の免疫細胞を含む。コビトリモドを炎症部位に局所的に投与してもよく、その局所投与では薬剤は多数の意図する標的細胞と近接して接触するように置かれ、TLR9発現細胞が豊富な場所に薬剤が到達するであろうことを保証する。コビトリモドによるこれらの細胞の活性化は、古典的な抗炎症性サイトカインであり、コビトリモドの臨床効果のために重要な因子であると信じられている、I型インターフェロン及びインターロイキン10(IL−10)等の様々なサイトカインを誘導する。
コビトリモドを用いて、様々な非臨床安全性試験のみならず、4つの臨床試験が行われている。試験の大部分は、比較的に低い用量(30mg)のコビトリモドの投与に関係している。全体としてコビトリモドに関するデータは、慢性の活動性UCを有する患者に対する肯定的な利益−危険性評価を支持している。コビトリモドは安全であり、耐容性が良好であり、且つ、慢性的な活動性のUCを有する患者における臨床応答と寛解を誘導するのみならず、治療難治性の、中程度から重度の慢性の活動性のUCを有する患者の症状と内視鏡上の寛解の誘導にも有用であると示されている。
臨床的な使用のために有効性/安全性プロファイルを最大化する、コビトリモドのための改善された投与計画に対する需要が、今や存在する。
発明の要旨
驚くべきことに、今回、UC等の炎症性腸疾患の治療のために、コビトリモドを150mg〜350mg、好ましくは250mgくらいの投与量で、少なくとも2回、好ましくは2回、3週間離れた別々の機会(separate occasion three weeks apart)に投与することが、例えば寛解を誘導するのに最適であることが見出された。250mgにおけるその薬剤の有効性の増加は、ずっと低い用量で実施された過去の臨床試験からの予測を上回る。
よって本発明は、ヒト被験者における炎症性腸疾患の治療において使用するための、5’-GGAACAGTTCGTCCATGGC-3’(配列番号2)の配列を含むオリゴヌクレオチドを提供し、ここで前記オリゴヌクレオチドの150mg〜350mgの個々の用量が少なくとも2つの別々の機会に該被験者に投与され、ここで前記別々の機会は3週間離れている。
本発明は、本明細書において規定されるオリゴヌクレオチドを、1つ以上の医薬的に許容可能な担体と共に含む、本明細書に規定されたヒト被験者において、本明細書に規定された炎症性腸疾患の治療において使用するための医薬組成物もまた提供し、ここで前記組成物の個々の投与は、少なくとも2回の別々の機会に該被験者に投与され、ここで前記の別々の機会は3週間離れており、及びここで該組成物の各々の投与は、本明細書において規定される量のオリゴヌクレオチドを送達する。
本発明は、本明細書において規定されるオリゴヌクレオチド又は本明細書において規定される組成物を前記被験者に投与することを含む、本明細書において規定されるヒト被験者において、本明細書において規定される炎症性腸疾患を治療する方法もまた提供し、ここで前記オリゴヌクレオチド又は組成物の個々の投与は少なくとも2回の別々の機会に患者に投与され、ここで前記の別々の機会は3週間離れており、ここで該オリゴヌクレオチド又は該組成物の各々の投与は本明細書において規定される量のオリゴヌクレオチドを送達する。
好適な態様において、該オリゴヌクレオチドは5’-GACAGTTCGTCCATC-3’(配列番号1)の配列を有し、ここでCGジヌクレオチドがメチル化されていない。よって好適な態様において該ヌクレオチドはコビトリモドである。
図1は、治療群とプラセボ群の、本発明のオリゴヌクレオチド又はプラセボ(標準治療(S.o.C)に加えられた)の投与に続く週毎の、便中の血液がゼロである(7日間の患者報告アウトカムの最大)と報告している割合の、プラセボ比較臨床試験(placebo-controlled clinical trial)からの結果を示す。 図2は、治療群とプラセボ群の、本発明のオリゴヌクレオチド又はプラセボ(標準治療(S.o.C)に加えられた)の投与に続く週毎の、1週間当たりの排便頻度が18回未満である(7日間の患者報告アウトカムの概要)と報告している割合の、プラセボ比較臨床試験からの結果を示す。 図3は、治療群とプラセボ群の、本発明のオリゴヌクレオチド又はプラセボ(標準治療(S.o.C)に加えられた)の投与に続く週毎の、1週間当たりの排便頻度が35回未満である(7日間の患者報告アウトカムの概要)と報告している割合の、プラセボ比較臨床試験からの結果を示す。 図4は、治療群とプラセボ群の、本発明のオリゴヌクレオチド又はプラセボ(標準治療(S.o.C)に加えられた)の投与に続く週毎の、1日当たりの排便頻度が3回未満である(7日間の患者報告アウトカムの1日当たりの平均)と報告している割合の、プラセボ比較臨床試験からの結果を示す。 図5は、治療群とプラセボ群の、本発明のオリゴヌクレオチド又はプラセボ(標準治療(S.o.C)に加えられた)の投与に続く週毎の、1日当たりの排便頻度が4回未満である(7日間の患者報告アウトカムの1日当たりの平均)と報告している割合の、プラセボ比較臨床試験からの結果を示す。 図6は、治療群とプラセボ群の、本発明のオリゴヌクレオチド又はプラセボ(標準治療(S.o.C)に加えられた)の投与に続く週毎の、1日当たりの排便頻度が5回未満である(7日間の患者報告アウトカムの1日当たりの平均)と報告している割合の、プラセボ比較臨床試験からの結果を示す。 図7は、DSS誘導大腸炎マウスモデルにおけるマウスの、10日間に亘る体重減少の結果を示す。 図8は、DSS誘導大腸炎マウスモデルの、10日間に亘る疾患活動性指数(DAI)の結果を示す。 図9は、DSS誘導大腸炎マウスモデルの、10日間に亘る内視鏡上の大腸炎の等級付け(endoscopic colitis grading)の結果を示す。 図10は、10日目にDSS誘導大腸炎マウスモデル内のマウス結腸標本から単離された、粘膜固有層(Lamina propria)単核細胞(LPMC)のCD4+T細胞サブセット内の、IL17,RORγT及びIL17RORγT細胞のパーセンテージを示すフローサイトメトリー解析を示す。 図11は、10日目にDSS誘導大腸炎マウスモデル内のマウス結腸の標本から単離された、骨髄由来のサプレッサー細胞(MDSC CD11Gr)集団のフローサイトメトリー解析を示す。
発明の詳細な説明
本明細書で引用された全ての特許、特許出願、及び刊行物は、その全体として参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用される用語「被験者(subject)」は、ヒト被験者/患者を言う。用語「被験者」と「患者」は、本明細書では交換可能なように使用される。
本明細書で使用される用語である炎症性腸疾患(IBD)は、結腸及び消化管の炎症状態の1群を言う。IBDの主要な型は潰瘍性大腸炎(UC)(ulcerative colitis)とクローン病である。UCとクローン病の間の主要な差は、炎症性変化の位置と性質である。クローン病は口から肛門まで消化管の任意の部位を冒すことができるが、一方、UCは結腸(colon)と直腸(rectum)に限定されている。いくつかの場合には、症状(presentation)の特異性のために、クローン病又はUCの何れであるかの最終的な診断を行うことができない。この場合には中間型大腸炎(intermediate colitis)の診断が行われ得る。他の型のIBDは、限定されるものではないが、コラーゲン性大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎(ischaemic colitis)、空置大腸炎(diversion colitis)、ベーチェット病、及び中間型大腸炎を含む。
典型的には、炎症性腸疾患は潰瘍性大腸炎(UC)である。
潰瘍性大腸炎(UC)の疾患は本技術分野の当業者に良く知られている。本発明に従って治療される潰瘍性大腸炎は、潰瘍性直腸炎、遠位又は左側大腸炎、広範性大腸炎(extensive colitis)、全大腸炎、及び嚢炎の治療に関連し得る。
UCを有する患者は典型的には、寛解から重度の活動性までに及ぶ疾患重篤度のスペクトルを示す。D’Haens, Gastroenterology 2007; 132: 763-786(この全体は参照により本明細書に援用される)の中で規定されるように、臨床的評価を使用してUCの患者を疾患活動性の4つの亜群に分類することができる:(1)寛解(1日当たり排便が2回又は3回以下、便中に血液及び/又は膿が存在せず、全身症状がない);(2)軽度の活動性疾患(1日当たり排便は3回又は4回、及び/又は毎日ではないが便に血液及び/又は膿が存在し、発熱又は体重減少の全身症状がない);(3)中等度の活動性疾患(1日当たり排便が4回超、及び/又は毎日便に血液及び/又は膿が存在し)最小限の全身症状がある;並びに(4)重度の活動性疾患(1日当たり血便が6回超、及び発熱、頻脈、貧血、又は赤血球沈降速度ESRにより実証される毒性の証拠)。
典型的には、患者は中等度から重度のUCを患っている。好ましくは、患者は上記で規定されたような中等度から重度のUCを患っている。
本明細書で使用される用語「治療」及び「治療する」とは、疾患(disease)又は状態(condition)の症状の、治療及び/又は改善(amelioration)及び/又は予防、若しくは深刻化(aggravation)/悪化(worsening)の低減のみならず、疾患又は状態の原因の治療も包含すると理解されるべきであり、症状、臨床兆候、及び状態の基となる病理を、被験者の状態を改善(improvement)又は安定化する様な態様で逆転し、低減し、又は停止することを含んでもよい。
特に潰瘍性大腸炎と関連において「治療する」とは、典型的には活動性の潰瘍性大腸炎を有する患者を応答又は寛解に誘導することを言う。よって典型的に、オリゴヌクレオチドは患者において活動性の潰瘍性大腸炎の応答又は寛解を誘導するためのものである。応答を誘導するとは、例えば活動性疾患の症状と臨床兆候を低減し及び/又は停止することにより、患者の状態を改善することを意味する。寛解を誘導するとは患者を、彼らが疾患の活動性の段階であると見做される状態から、彼らが寛解していると見做される状態に移行させることを意味する。
UC患者の応答又は寛解の誘導は、典型的には、内視鏡検査、組織学、患者記録アウトカム(patient recorded outcome)、及びクオリティ・オブ・ライフ・アウトカムの1つ以上により評価される。よって応答又は寛解の誘導への言及は、内視鏡検査上の寛解、内視鏡検査上の応答、組織学的な寛解、組織学的な応答、医師により又は患者記録アウトカムにより測定された応答又は寛解、及び、クオリティ・オブ・ライフにより測定された応答又は寛解の1つ以上の誘導を含む。典型的には1つ以上の標準的な指数を参照にすることによりこれを評価することができる。
典型的には、潰瘍性大腸炎は慢性の活動性潰瘍性大腸炎である。
本明細書で使用される用語「慢性の活動性潰瘍性大腸炎」は、活動性であり且つ慢性の両方である潰瘍性大腸炎を有する患者に対して言う。活動性潰瘍性大腸炎は典型的には本明細書において規定されるものであり、すなわち、患者は寛解していない。慢性の潰瘍性大腸炎は、直腸と結腸の粘膜の慢性的な炎症により特徴付けられる疾患を言う。
好ましくは、本明細書において「治療する」への言及は、慢性の活動性潰瘍性大腸炎を有する患者において応答又は寛解を誘導することを言う。よって典型的には、オリゴヌクレオチドは、患者において慢性の活動性潰瘍性大腸炎の応答又は寛解を誘導するためのものである。
UC患者における応答及び寛解の誘導は、1つ以上の標準的な疾患指数に従って測定されてもよい。典型的な疾患指数は限定されるものではないが、以下に述べるもの;(i)臨床上の及び生化学的な疾患活動性により測定される疾患活動性、(ii)内視鏡上の疾患活動性により測定される疾患活動性、(iii)臨床上と内視鏡上の疾患活動指数の複合により測定される疾患活動性、(iv)クオリティ・オブ・ライフ、(v)組織学上の疾患活動性を含む。これらの指数はD’Haens(同上)の中で議論されている。
臨床上の及び生化学上の疾患活動性により測定される疾患活動性に基づく指数は、TrueloveとWittsの重篤度指数(Truelove and Witts Severity Index);Powell-Tuck (St. Mark’の)指数(Powell-Tuck (St. Mark’s) Index);臨床上の活動性(Rachmilewitz)指数(Clinical Activity (Rachmilewitz) Index);活動性(Seo)指数(Activity (Seo) Index);医師総合評価(Physician Global Assessment);Lichtigerの(改変されたTrueloveとWittsの重篤度)指数(Lichtiger (Modified Truelove and Witts Severity) Index);治験責任医師による総合評価(Investigators Global Evaluation);簡易臨床的大腸炎活動性指数(Simple Clinical Colitis Activity Index);個々の症状のスコアに基づく改善(Improvement Based on Individual Symptom Scores);潰瘍性大腸炎臨床スコア(Ulcerative Colitis Clinical Score);及び患者が規定する寛解(Patient-defined remission)を含む。これらの指数はD’Haens(同上)の中で議論されている。
内視鏡上の疾患活動性により測定される疾患活動性に基づく指数は、Truelove and WittsのS状結腸鏡検査評価(Truelove and Witts Sigmoidoscopic Assessment);Baronスコア(Baron score);Powell-TuckのS状結腸鏡検査評価(Powell-Tuck Sigmoidoscopic Assessment);内視鏡(Rachmilewitz内視鏡)指数(Endoscopic (Rachmilewitz Endoscopic) Index);S状結腸鏡検査指数(Sigmoidoscopic Index);S状結腸鏡検査炎症等級付けスコア(Sigmoidoscopic Inflammation Grade Score);Mayoスコア・フレキシブル直腸S状結腸鏡検査評価(Mayo Score Flexible Proctosigmoidoscopy Assessment);Sutherlandの粘膜外観評価(Sutherland Mucosal Appearance Assessment);及び改変Baron スコア(Modified Baron Score)を含む。これらの指数はD’Haens(同上)の中で議論されている。
臨床上と内視鏡上の疾患活動性指数の複合により測定される疾患活動性に基づく指数は、Mayoスコア(Mayoクリニックスコア/疾患活動性指数)(Mayo Score (Mayo Clinic Score/Disease Activity Index));改変Mayoスコア(Modified Mayo Score)及びSutherland 指数(疾患活動性指数/UC疾患活動性指数)(Sutherland Index(Disease Activity Index/UC Disease Activity Index))を含む。MayoスコアとSutherland指数はD’Haens(同上)の中で議論されている。
クオリティ・オブ・ライフに基づく指数は、IBD患者の懸念事項の評価表(Rating Form of IBD Patient Concerns);及び炎症性腸疾患問診票(Inflammatory Bowel Disease Questionnaire)(IBDQ)を含む。これらの指数はD’Haens(同上)の中で議論されている。
組織学的な疾患活動性に基づいた指数は、Geboes指数(Geboes Index)及びRiley指数(Riley Index)等のD’Haens(同上)の中で議論されているもの、及びNancy指数(Nancy Index)及びRobarts指数(Robarts Index)等のさらなる指数を含む。
UC患者を評価するための好適な指数は、臨床上の活動性(Rachmilewitz)指数、Mayoスコア、及び改変Mayoスコアを含む。
臨床上の活動性(Rachmilewitz)指数は、7つの変数:排便の回数、便の中の血液、症状状態の治験責任医師による総合評価(Investigator’s Global Evaluation)、腹部の疼痛又は痙攣、大腸炎による発熱、腸管外の兆候、及び研究室の所見、を考慮に入れる指数である。これはD’Haens(同上)とRachmilewitz D., BMJ 1989; 298: 82-86(その全体は参照により本明細書に援用される)の中でさらに議論されている。臨床上の活動性(Rachmilewitz)指数の測定は、0〜29点の範囲の患者のためのスコアを作成する(より高いスコアはより重度の疾患を意味する)。
臨床上の寛解は、臨床上の活動性(Rachmilewitz)指数スコアが4点以下であると見做すことができる。臨床上の活動性(Rachmilewitz)指数により測定される応答は、患者が治療後に、治療前よりも低いスコアを有することを意味する。
Mayoスコアは4つの項目:排便の頻度、直腸の出血、下部消化管(GI)内視鏡検査上の所見、及び医師総合評価(Physician Global Assessment)(PGA)、を考慮に入れる指数である。これはD’Haens(同上)とSchroeder KWらN Engl J Med 1987; 317: 1625-1629(その全体は参照により本明細書に援用される)の中でさらに議論されている。Mayoスコアの測定は、0〜12点の範囲のスコアを作成する(より高いスコアはより重度の疾患を意味する)。4つの特定の項目に加えて、患者の機能的評価も測定され、それは12点の指数計算の中に含まれることを意図するものではないが、PGAスコアを測定するときに全般的な健康状態の尺度として使用されるべきである。
4つの各々の項目についてのMayoスコアは下記の表に述べられたように測定される。
Mayoスコアに従う寛解は、(1)排便頻度(正常な排便頻度)、(2)直腸出血(直腸出血なし)、(3)患者の機能評価スコア(全般的に良好)、(4)内視鏡上の所見(正常)の完全な解決、及び0のPGAスコアにより規定され得る。Mayoスコアにより測定される応答は典型的には、PGAスコアにおける改善(ベースラインから最小でも1点の減少)と少なくとも1つの他の臨床評価(排便頻度、直腸出血、患者の機能評価、内視鏡検査上の所見)における改善、及び他の何れの臨床評価においても悪化がないことを必要とする。
あるいは臨床上の寛解は、0のMayoスコア、及びMayoスコアのベースラインからの3点以上の低減としての臨床上の改善(応答)として規定され得る。
あるいは臨床上の寛解は、0のMayoスコア、及びMayoスコアのベースラインからの3点以上の低減(又はベースラインのMayoスコアが3点以下であった場合には、2点以上の低減)としての臨床上の改善(応答)として規定され得る。
あるいはMayoスコアにより測定される寛解は、S状結腸鏡検査と直腸出血の両方についてサブスコアが0であり、排便頻度とPGAサブスコアについてスコアが0又は1であることを要すると規定され得る。応答はMayoスコアのベースラインからの3点以上の低減として規定され得;臨床応答はMayoスコアのベースラインからの2点以上の低減として規定され得(内視鏡検査サブスコアなしで、部分的Mayoスコア(Partial Mayo Score)としても知られている)、内視鏡上の応答は内視鏡上のサブスコアのベースラインからの1点以上の低減として規定され得る。
あるいは臨床上の寛解は、個々のサブスコアが1点を超えず、合計のMayoスコアが2点以下であると規定され得、臨床上の応答は、合計Mayoスコアのベースラインからの3点以上及び30%以上の低減、及び直腸出血サブスコアの1点以上の低減又は0若しくは1の絶対直腸出血サブスコアとして規定され得、並びに粘膜治癒は0又は1の内視鏡上の絶対サブスコアとして規定され得る。
1態様において活動性潰瘍性大腸炎を有する患者は、2を超えるMayoスコアを有する。潰瘍性大腸炎の寛解の段階にある患者は、典型的には2以下のMayoスコア有する。
改変Mayoスコアは上記で規定したMayoスコアと関連している。改変Mayoスコアは、大腸内視鏡検査/S状結腸鏡検査のスコア付けは易出血性(friability)をあまり考慮しない点でMayoスコアと異なる。よって改変Mayoスコアについての点数表は以下の通りである。
改変Mayoスコアにおける寛解と応答の値は、上記でMayoスコアについて述べた通りである。改変Mayoスコアは典型的には、http://www.fda.gov/downloads/Drugs/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/Guidances/UCM515143.pdfに見出される、FDAのガイダンス案文書“Ulcerative Colitis: Clinical Trial Endpoints Guidance for Industry”に従って評価される。
あるいは、改変Mayoスコアは、大腸内視鏡検査/S状結腸鏡検査のスコア付けは易出血性をあまり考慮しないこと、及び医師総合評価は決定的ではないことにおいてもMayoスコアと異なるかもしれない。よって改変Mayoスコアについてのスコア表も下記のようであるかもしれない。
この代替の改変Mayoスコアについての寛解と応答の値は典型的には、上記でMayoスコアについて述べた通りである。あるいはこの代替の改変Mayoスコアに従って寛解を、i)0の直腸出血、ii)0又は1の排便頻度(ベースラインである0週から少なくとも1点低減する)、及びiii)0又は1の内視鏡検査スコア(易出血性を除く)、のサブスコアにより規定し得る。
UCの寛解の誘導は、S. P. L. Travis, Aliment Pharmacol Ther 2011; 34: 113-124(その全体は参照により本明細書に援用される)の中で設定された基準、すなわち、直腸出血、便意の切迫性及び増加した排便頻度の完全な中断に従ってもよく、好ましくは内視鏡検査上の粘膜治癒により確認される。
あるいは応答又は寛解の誘導は、E.F. Stange, Journal of Crohn's and Colitis (2008) 2, 1-23;S.P.L. Travis, Journal of Crohn's and Colitis (2008) 2, 24-62; K Geboes, Gut 2000; 47: 404-409(その全体は参照により本明細書に援用される)の中で設定された基準に従ってもよい。
クローン病患者における応答又は寛解の誘導は、1つ以上の標準的な疾患指数に従って測定され得る。典型的な指数としてクローン病活動性指数(Crohn’s Disease Activity Index)(CDAI)が挙げられる。CDAIは、Loveの“Pharmacotherapy for Moderate to Severe Inflammatory Bowel Disease:Evolving Strategies”, Am J Manag Care. 2016;22:S39-S50;Peyrin-Birouletら“Defining disease severity in inflammatory bowel diseases: current and future directions” Clin Gastroenterol Hepatol. 2015;pii: S1542-3565(15)00787-00789. doi: 10.1016/j.cgh.2015.06.001;及びUngarら“Advances in the development of new biologics in inflammatory bowel disease”, Annals of Gastroenterology (2016) 29, 243-248の中で議論されている。クローン病患者を評価する代わりの指数は、Harvey-Bradshaw指数(Harvey-Bradshaw index)及び炎症性腸疾患問診票(Inflammatory Bowel Disease Questionnaire)を含む。
CDAIはクローン病に関連する多数の症状を考慮に入れる複合スコアであり、液状の便又は軟便の回数;腹部の疼痛;全般的な健康状態;合併症の存在(関節の疼痛(関節痛)又はフランク関節炎(frank arthritis)の存在;虹彩の炎症又はぶどう膜炎;結節性紅斑、壊疽性膿皮症、又はアフタ性潰瘍の存在;肛門の裂傷、瘻又は膿瘍;他の瘻;前の週の間の発熱);下痢のためロモティル(lomotil)又はオピエートの使用;腹部腫瘤の存在;ヘマトクリット値;及び標準体重からのパーセント偏差を含む。CDAIによる臨床上の寛解は、典型的には150未満のスコアで示される。
本発明により治療される被験者は典型的には、抗炎症療法に対して難治性(refractory)又は十分に応答しない又は不耐性(intolerant)であり、及び/又は、少なくとも1つの免疫調節剤、TNF−α阻害剤、又は抗インテグリン剤に対して不適切な応答、応答の消失、又は不耐性を示すか又は過去に示した。よって典型的には被験者は、抗炎症療法、好ましくはUCに対する抗炎症療法及び/又は免疫調節剤、TNF−α阻害剤又は抗インテグリン剤療法、好ましくはUCに対するそのような療法を過去に受けたか、又は現在受けている。UCのための抗炎症療法は本明細書で議論され、典型的にはGCS、スルファサラジン、及び5−ASAを含む。
免疫調節剤、TNF−α阻害剤及び抗インテグリン剤は本明細書で議論され、典型的には、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、並びに、TNF−α阻害剤であるインフリキシマブ及びそのバイオシミラー及び誘導体、ゴリムマブ及びそのバイオシミラー及び誘導体、アダリムマブ及びそのバイオシミラー及び誘導体、及び抗インテグリン剤であるベドリズマブ及びそのバイオシミラー及び誘導体を含む、生物学的製剤を含む。
難治性の疾患又は療法に対して応答が不十分である疾患は、典型的には、少なくとも1コースの療法、本発明の関連における抗炎症療法を受けた治療歴があるにも関わらず、活動性疾患の兆候と症状が持続する疾患である。典型的にはUCの治療の関連において、抗抗炎症療法の2コース以上の治療歴にも関わらず、活動性疾患の兆候と症状が持続する。UCに対する抗炎症療法による治療の典型的なコースは、本技術分野の当業者に良く理解されるであろうし、典型的には、典型的な患者において寛解を誘導するのに十分な用量での十分な回数の投薬に関連するであろう。
療法に対する不耐性、本発明との関連における抗炎症療法に対する不耐性とは、その療法がその被験者に認容されない、例えば典型的には療法の中断をもたらす副作用を引き起こしていることを意味する。
典型的には、被験者はアミノサリチル酸(5−ASA)、好ましくはUCのために5−ASA療法を過去に受けたか又は現在受けている。
典型的には被験者は、経口の糖質コルチコステロイド(GCS)、好ましくはUCのための経口GCS療法を過去に受けたか、又は現在受けている。
典型的には、抗炎症療法に対して難治性であるか又は応答が不十分であるか又は不耐性である被験者は、直腸の、経口の、及び/又は非経口のGCS治療に対する不適切な応答、若しくは応答の消失(すなわち難治性である)、若しくは不耐性(早期の副作用のためにGCS療法を行わないことを含む)を示すか、又は過去に示している。
典型的には、抗炎症療法に対して難治性であるか又は応答が不十分であるか又は不耐性である被験者は、GCS治療に対する不適切な応答(例えばステロイド難治性)、若しくはステロイド依存性、若しくは対する応答の消失、若しくは不耐性の治療歴を有するか、又は現在その状態にある。潰瘍性大腸炎の治療コースの中で典型的には、被験者はステロイド/GCS投与を受けているであろう。
ステロイド難治性は、典型的には意義のある臨床応答が欠けている、すなわち、少なくとも1コースのステロイド治療の治療歴、例えばプレドニゾンを1日当たり40〜60mgと同等の用量を、30日に亘る期間経口投与する、又は7日〜10日に亘る期間静脈内(IV)投与することを含む導入療法(induction regimen)にも関わらず、持続的な活動性潰瘍性大腸炎の兆候及び症状を示す患者に対して言う。
ステロイド依存は典型的には、活動性の潰瘍性大腸炎が再発することなく、ステロイドを開始して3か月以内に、プレドニゾロン10mg/日と同等未満にステロイドを低減することができないか、又はステロイドを中止して3か月以内に再発している患者に対して言う。
GCS治療の不耐性とは典型的には、被験者が、GCS治療に続いて、それに限定されるものではないが、例えばクッシング症候群、骨減少症/骨粗鬆症、高血糖、不眠症、又は感染症等の被験者により容認されない副作用を経験したことを意味する。
免疫調節剤に対する不適切な応答又は応答の消失とは典型的には、少なくとも1つの免疫調節剤による過去の治療、例えば経口でアザチオプリン(1.5mg/kg以上)又は6−メルカプトプリン(0.75mg/kg以上)を8週間という1回の投与計画にも関わらず、活動性潰瘍性大腸炎の兆候及び症状が持続することを意味する。
免疫調節剤に対する不耐性とは典型的には、被験者が、免疫調節剤の投与を受けた後に、吐き気/嘔吐、腹部の疼痛、膵炎、肝機能試験(LFT)異常、リンパ球減少症、チオプリン・メチルトランスフェラーゼ(TPMT)遺伝子変異、若しくは感染症、又は他の副作用を経験していることを意味する。
TNF−α阻害剤に対する不適切な応答又は応答の消失とは、少なくとも1つのTNF−α阻害剤、例えば、インフリキシマブ(5mg/kg IV、少なくとも2週間離して2回投薬)又はそのバイオシミラー若しくは誘導体;ゴリムマブ(200/100mg(SC)、少なくとも2週間離して2回投薬)又はそのバイオシミラー若しくは誘導体;アダリムマブ(160/80mg(SC)、少なくとも2週間離して2回投薬)又はそのバイオシミラー若しくは誘導体、の4週間の導入療法(induction regimen)(又は現在のラベルにより推奨される用量)等の過去の治療にも関わらず、活動性潰瘍性大腸炎の兆候及び症状が持続すること、又は先の臨床利益を受けての維持的投薬の間に症状が再発することを意味する。
TNF−α阻害剤に対する不耐性とは、TNF−α阻害剤の投与を受けた後に続く、インフュージョン関連反応、脱髄、うっ血性心不全、感染症、又は他の副作用を意味する。
抗インテグリン剤に対する不適切な応答又は応答の消失とは、例えば、ベドリズマブ300mg(IV)又はそのバイオシミラー若しくは誘導体の少なくとも10週間の(又は現在のラベルで推奨されているような)投与計画等の、抗インテグリン剤による過去の治療にも関わらず、活動性潰瘍性大腸炎の兆候及び症状が持続すること、又は先の臨床利益を受けての維持的投薬の間に症状が再発することを意味する。
典型的には被験者は、左側の潰瘍性大腸炎、すなわち直腸S状結腸炎を含む遠位大腸炎であると診断されている。
典型的には、前記の患者は結腸切除術について選択できる(elective for colectomy)。
本明細書で使用される用語「結腸切除術」とは、大腸(結腸)を任意の程度、手術で切除することを言う。本明細書において結腸切除術には、限定されるものではないが、右半結腸切除術、左半結腸切除術、拡大(extended)半結腸切除術、横行結腸切除術、S状結腸切除術、直腸S状結腸切除術、ハルトマン手術、「二連銃式(double-barrel)」又はミクリッツ(Mikulicz)人工肛門造設術、結腸全摘術(レーン術式(Lane’s Operation)としても知られている)、大腸全摘術、及び結腸亜全摘術を含む。本明細書で使用されるフレーズ「結腸切除術について選択できる(elective for colectomy)」とは、医師と執刀医の評価に基づいて、緊急では無い結腸切除術の手法を受けることを選択するかもしれない被験者に対して言う。結腸切除術について選択できる被験者は、限定されるものではないが、(潰瘍性大腸炎のために)利用できる療法に対して難治性か、又は(潰瘍性大腸炎のために)利用できる療法に不耐性の被験者であり得る。急性の疾患又は損傷を有し、即時の治療を必要とする被験者のための急性の治療介入である緊急の結腸切除術とは、この点で異なる。このフレーズは結腸切除術を選択する(elected for colectomy)被験者もまた含む。
本明細書で使用される用語「オリゴヌクレオチド」とは、複数の連結した個々のヌクレオシド単位から形成されるポリオリゴヌクレオシドを言う。そのようなオリゴヌクレオチドは、ゲノムDNA若しくはcDNA、プラスミド、ベクター、又は細菌のDNAを含む既存の核酸源から得ることができるが、好ましくは合成法により作製される。ヌクレオシド残基は多数の既知のヌクレオシド間連結の何れかにより、互いに結合することが可能である。そのようなヌクレオシド間リンケージ(linkage)は、限定されるものではないが、天然のヌクレオシド間のホスホジエステル結合、又は、限定されるものではないが、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホネート、アルキルホスホノチオエート、ホスホトリエステル、ホスホロアミデ−ト、シロキサン、カーボネート、カルボアルコキシ、アセトアミデート(acetamidate)、カルバメート、モルホリノ、ボラノ(borano)、チオエーテル、架橋ホスホロアミデ−ト、架橋メチレンホスホネート、架橋ホスホロチオエート、及びスルホンのヌクレオシド間リンケージ等の実際に修飾されたヌクレオシド間リンケージを含む。用語「オリゴヌクレオチド」は、1つ以上の立体特異的なヌクレオシド間リンケージ(例えば(Rp)−又は(Sp)−ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、又はホスホトリエステルリンケージ)を有するポリヌクレオシドもまた包含する。本明細書で使用される用語「オリゴヌクレオチド」と「ジヌクレオチド」は、リンケージがリン酸基を含むか含まないかに関わらず、任意のそのようなヌクレオシド間リンケージを有するポリヌクレオシド及びジヌクレオチドを含むことを明示的に意図している。ある好適な態様においてこれらのヌクレオシド間リンケージは、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、若しくはホスホロジチオエートリンケージ、又はその組み合わせであってもよい。
用語「オリゴヌクレオチド」は、限定されるものではないが、タンパク質基、親油性基、挿入剤、ジアミン、葉酸、コレステロール及びアダマンタンを含む、追加の置換基を有するポリヌクレオシドもまた包含する。用語「オリゴヌクレオチド」は、限定されるものではないが、ペプチド核酸(PNA)、リン酸基を有するペプチド核酸(PHONA)、ロックド核酸(locked nucleic acid)(LNA)、モルフォリノ骨格オリゴヌクレオチド、及びアルキルリンカー又はアミノリンカーを有する骨格部位を有するオリゴヌクレオチドを含む、任意の他のヌクレオ塩基含有ポリマーもまた包含する。アルキルリンカーは、分岐しているか又は分岐していなくてもよく、置換されているか又は置換されていなくてもよく、及び光学的に純粋であるか又はラセミ混合物であってもよい。
本発明のオリゴヌクレオチドは、天然由来のヌクレオシド、修飾されたヌクレオシド、又はその混合物を含むことができる。本明細書で使用される用語「修飾されたヌクレオシド」は、修飾された複素環塩基、修飾された糖部分(moiety)、又はその組み合わせを含むヌクレオシドである。幾つかの態様において修飾されたヌクレオシドは、本明細書で述べられる非天然のピリミジン又はプリンヌクレオシドである。幾つかの態様において修飾されたヌクレオシドは、2’−置換されたリボヌクレオシド、アラビノヌクレオシド、又は2’−デオキシ−2’−置換アラビノシドである。
本明細書において用語「ハイブリッドオリゴヌクレオチド」は、1超の型のヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドである。
本明細書において用語「オリゴヌクレオチド」は、ハイブリッド又はキメラのオリゴヌクレオチドを含む。「キメラヌクレオチド」は、その配列構造の中に1超の型のヌクレオシド間リンケージを有するオリゴヌクレオチドである。そのようなキメラヌクレオチドの1つの好適な例は、ホスホロチオエート、ホスホジエステル又はホスホロジチオエート領域、及び例えばアルキルホスホネート又はアルキルホスホノチオエートリンケージ等の非イオン性リンケージを含むキメラオリゴヌクレオオチドである(米国特許第5635377号及び米国特許第5366878号)。
本明細書において用語「オリゴヌクレオチド」は、環状変異体と環状オリゴヌクレオチドもまた含む。
好ましくは、オリゴヌクレオチドは少なくとも1つの天然由来のホスホジエステル、若しくは1つの修飾されたホスホロチオエート、又はホスホロジチオネートのヌクレオチド間リンケージを含むが、好適なリンケージは又は実際の骨格修飾は、限定するものではないが、メチルホスホネート、メチルホスホノチオエート、ホスホトリエステル、ホスホチオトリエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、トリエステルプロドラッグ、スルホン、スルホンアミド、スルファメート、ホルムアセタール、N−メチルヒドロキシルアミン、2’OMe(2’位におけるオキシメチル基)、カーボネート、カルバメート、モルフォリノ、ボラノホスホネート(boranophosphonate)、ホスホロアミデ−ト、特に1級アミノ−ホスホロアミデート、N3ホスホロアミデート、及びN5ホスホロアミデートを含み、立体特異的なリンケージ(例えば、(Rp)−又は(Sp)−ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、又はホスホジエステルリンケージ)もまた想定される。
ヌクレオシドの糖部分は、非天然由来の糖部分であることも可能である。本明細書中における「天然由来の糖部分」とは、例えば、リボースと2’−デオキシリボース等の核酸の一部分として天然に生じる糖部分であり、「非天然由来の糖部分」とは、オリゴヌクレオチドのための骨格中に使用することができるが、核酸の一部分として天然に生じない任意の糖であり、例えばヘキソースであるがそれに限定されない。アラビノースとアラビノース誘導体は好適な糖部分の例である。
修飾された又は置換されたオリゴヌクレオチドは、例えば促進された細胞内取り込み、核酸標的に対する促進された親和性、及びヌクレアーゼの存在下における増加した安定性等の望ましい性質のために、しばしば天然型よりも好まれる。オリゴヌクレオチドは通常は、10個を超え100個以上までのデキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドからなるが、好ましくは約8個と約40個の間、最も好ましくは約8個と約20個の間である。正確な大きさは多くの要因に依って決まり、結局はオリゴヌクレオチドの最終的な機能又は用途に依って決まるであろう。オリゴヌクレオチドは、化学合成、DNA複製、逆転写、又はその組み合わせを含む、任意の様式で作製できる。
本発明で使用するためのオリゴヌクレオチドは、配列5’-GGAACAGTTCGTCCATGGC-3’(配列番号2)を含む。典型的には少なくとも1つのCGジヌクレオチドがメチル化されていない。
典型的には、前記オリゴヌクレオチド中の少なくとも1つのヌクレオチドは、骨格の修飾を有する。典型的には、前記オリゴヌクレオチド中の少なくとも1つのヌクレオチドは、リン酸骨格の修飾を有する。骨格の修飾は典型的には、ホスホロチオエート又はホスホロジチオエート修飾である。
ホスホロチオエートリンケージは、配列中アスタリスク()例えば配列:
5’−GACAGTTCGTCCATC−3’(配列番号1)で描くことができ、ここでCGジヌクレオチドはメチル化されていない。
好ましくは、前記オリゴヌクレオチドは配列
5’−GACAGTTCGTCCATC−3’(配列番号1)を有し、ここでCGジヌクレオチドはメチル化されていない。よって好ましくは、前記オリゴヌクレオチドはコビトリモド(cobitolimod)である。
よって本発明は好ましくは、本明細書において規定されるヒト被験者において、本明細書において規定される活動性潰瘍性大腸炎の治療において使用するためのコビトリモドを提供し、ここで本明細書において規定される量のコビトリモドの個々の用量が少なくとも2回の別々の機会に該被験者に投与され、ここで前記別々の機会は3週間離れている。
本発明の療法において、前記オリゴヌクレオチド、好ましくはコビトリモドの150mg〜350mgの個々の用量が投与される。典型的には同じ投与量のオリゴヌクレオチドが個々の用量/投与において投与されるが、異なる投与量もまた使用することができる。
通常は、前記オリゴヌクレオチド、好ましくはコビトリモドは、100mg超〜350mgまでの個々の用量で投与される。
典型的には前記オリゴヌクレオチド、好ましくはコビトリモドの175mg〜325mg、好ましくは200mg〜300mg、より好ましくは210〜290、さらにより好ましくは220〜280、いっそうより好しくは230〜270、なおさらにより好ましくは240〜260、なおさらにより好ましくは245〜255、なおさらにより好ましくは249〜251mgの前記オリゴヌクレオチドが、各々の用量/投与において投与される。
好ましくは、前記オリゴヌクレオチド、好ましくはコビトリモドの約250mgが投与される。よって前記オリゴヌクレオチド、好ましくはコビトリモドの約250mgが、少なくとも2回の別々の機会にそれぞれ投与される。
活性薬剤の投与量に関連して、本明細書で使用される「約」は+/−10%、典型的には+/−5%、好ましくは+/−1%を意味する。
より好ましくは、前記オリゴヌクレオチド、好ましくはコビトリモドの250mgが投与される。
本発明の療法において、前記オリゴヌクレオチドの(本明細書で特定される量の)個々の用量が、少なくとも2回の別々の機会に患者に投与され、ここで前記別々の機会は3週間離れている。これは、患者の用量は3週間離れた特定された用量/投与の間に、如何なる追加オリゴヌクレオチドの投与を受けることはないことを意味している。3週間離れた特定された用量/投与の間の3週間のウィンドウの中で、患者は本明細書において規定されるオリゴヌクレオチドの投与を受けないが、潰瘍性大腸炎の治療のための1つ以上の追加の治療剤の投与を受けてもよい。
前記オリゴヌクレオオチドの用量が2回より多い機会に患者に投与されるときには、典型的には各々の機会は前回の機会の3週間後である。典型的には前記オリゴヌクレオチドの(本明細書で特定された量の)用量は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10回の別々の機会に患者に投与され、各機会は前回の投与の3週間後である。典型的には、前記オリゴヌクレオオチドの用量が患者に、その患者が本明細書において規定される寛解に至るまで投与される。幾つかの態様において、個々の用量が被験者に2回の別々機会にのみ投与され、その別々の機会は3週間離れている。
少なくとも2回の別々の機会(ここで前記別々の機会が3週間離れている)の投与との言及は、寛解を誘導するための単一の治療計画を言うことを理解するべきである。よって本発明による治療コースに続いての、例えば寛解の後の活動性疾患の状態の再発の後等、将来におけるオリゴヌクレオチドを用いたさらなる治療は除外されるものではない。
2回の投与のみを受ける患者に関しては、1回目の用量は0日目に送達され、2回目の用量はその3週間後に送達されるであろう。3回の投与を受ける患者に関しては、1回目の用量は0日目に送達され、2回目の用量はその3週間後に送達され、3回目の用量はさらにその3週間後、即ち0日目から6週間後に送達されるであろう。
本明細書で使用される用語「3週間離れている」とは、まさに21日離れて投与する特定の態様を意味し、即ち、最初の用量は0日目に投与され、さらなる用量は21日目に投与される。しかしながら、これからの僅かな変動はなお、本発明の範囲内であることが理解されるであろう。かかる僅かな変動は、例えば患者の病気の、又は薬剤が入手できないために、避けられないものであり得る。よって本明細書において使用される「3週間離れている」とは、18〜28日間離して、典型的には18〜24日間離して、あるいは、19〜23日間離して、又は20〜23日間離して投与することを意味する。
よって態様によっては、本発明は、本明細書において規定されるオリゴヌクレオチドを、本明細書において規定されるヒト被験者において、本明細書において規定される潰瘍性大腸炎の治療において使用するために提供し、ここで前記オリゴヌクレオチドの本明細書において規定される量の個々の用量が、少なくとも2回、例えば2回の別々の機会に患者に投与され、ここで前記の離れた機会は18〜24日間離れており、19〜23日間離れており、又は20〜23日間離れている。
本発明で使用するための薬剤は、下記においてより詳細に述べるように、症状のための単剤療法として、又は症状のための補助療法として他の薬剤(複数可)と共に投与されてもよい。補助(又は「追加(add-on)」)療法の場合には、本発明で使用するための薬剤を、例えば固定した用量を組み合わせて又は別々の用量で、他の薬剤(複数可)と同時に、別々に、又は順次に投与してもよい。
本明細書で使用される用語「追加(add-on)」とは、現在の療法又は投与計画を中断することなく、現在の療法又は投与計画に加えて前記オリゴヌクレオチドを投与することを言う。
よってオリゴヌクレオチドを単剤療法として投与しても、又は潰瘍性大腸炎の治療のための1つ以上の追加治療剤と組み合わせて投与してもよい。典型的にはオリゴヌクレオチドは単剤療法として投与しても、又は免疫調節剤、抗TNF療法剤、又は潰瘍性大腸炎の治療のための他の適切な薬剤から選択される、潰瘍性大腸炎の治療のための1つ以上の追加治療剤と組み合わせて投与してもよい。
前記オリゴヌクレオチドと組み合わせて使用するのに適している、かかる薬剤の例は、限定されるものではないが、GCS又は誘導体;プレドニゾロン、デコルチン(Decortin)、抗TNF剤又は誘導体;インフリキシマブ並びにそのバイオシミラー及び誘導体、アダリムマブ並びにそのバイオシミラー及び誘導体、ゴリムマブ並びにそのバイオシミラー及び誘導体、抗インテグリン剤又は誘導体;ベドリズマブ並びにそのバイオシミラー及び誘導体、天然IFN−β、チオプリン又は誘導体;アザチオプリン、6−メルカプトプリン、5−ASA、スルファサラジン、メトトレキサート、シクロスポリン、及びその同等物を含む。
典型的には前記オリゴヌクレオチドの投与を受ける被験者は、GCS、デコルチン、5−ASA、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、スルファサラジン、メトトレキサート、プレドニゾロン、及びその同等物又は誘導体から選択される1つ以上の他の薬剤の投与もまた受ける。
好ましくは、前記オリゴヌクレオチドの投与を受けている被験者は、GCS、5−ASA、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、スルファサラジン、及びメトトレキサートから選択される1つ以上の他の薬剤の投与もまた受ける。
より好ましくは、前記オリゴヌクレオチドの投与を受けている被験者は、経口GCS、経口5−ASA、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、及び経口メトトレキサートから選択される1つ以上の他の薬剤の投与もまた受ける。
いくつかの態様において、前記オリゴヌクレオチドの投与を受けている被験者は、1つ以上のステロイド剤、例えばコルチコステロイド及び糖質コルチコステロイドの投与もまた受ける。
本発明の目的において、用語「組み合わせて」と「追加(add-on)」は、同じ患者における同じ疾患の治療コースを意味し、オリゴヌクレオチドと1つ以上の追加治療剤を、同時投与のみならず、最大で数か月離れた時間間隔の順番を含む、任意の順番で投与することを含む。
典型的には、前記オリゴヌクレオチドは例えば粘膜への局所投与等、局所的に投与される。
典型的には、前記オリゴヌクレオチドは結腸内投与される。結腸内投与は典型的には、直腸を介して達成される。結腸内投与は典型的には、浣腸又はカテーテルを用いて達成される。結腸内投与には、直腸浣腸による投与が関与してもよい。結腸内投与は局所的なものでもよく、例えば結腸内視鏡検査の生検チャンネルを介して挿入された、噴霧カテーテル(spraying catheter)又は他の適切な医療器具を用いた結腸内視鏡検査の間に行われる。前記オリゴヌクレオチドは下行結腸の上部に又は結腸の横行領域に送達されてもよいが;しかしながら、適切な場合には他の領域もまた可能である。消化管の他の部分への局所送達もまた可能である。この観点のさらに別の態様において、限定されるものではないが、前記オリゴヌクレオチドを、例えば吸入、鼻腔内、非経口、経口、皮内、皮下、膣内、及び直腸投与等の、任意の適切な投与経路により投与することが可能である。さらに態様によっては、前記オリゴヌクレオチドの全身的な投与も使用することができる。
オリゴヌクレオチドを、本明細書において規定されるオリゴヌクレオチドを1つ以上の医薬的に許容可能な担体と共に含む、医薬組成物の形で投与してもよい。本明細書中で使用される用語「担体」は、任意の賦形剤、希釈剤、増量剤、塩、緩衝液、水、安定化剤、可溶化剤、脂質、又は医薬製剤において使用されるために本技術分野で良く知られている他の材料を包含する。担体の特性は、特定の適用のための投与経路に依るであろうことは理解されるであろう。
本明細書で使用される用語「医薬的に許容可能な担体」とは、免疫調節性オリゴヌクレオチドの有効性には干渉せず、且つ、例えば、細胞、細胞培養物、組織、器官、又は生物等の生物系に適合する材料を言う。好ましくは、生物系は脊椎動物等の生体である。
典型的には、組成物は液体担体中のオリゴヌクレオチドの溶液である。
典型的には担体は水であり、好ましくは滅菌水である。よって典型的には、組成物は本明細書において規定されるオリゴヌクレオチドと水を含む。
好ましくは、担体は水であり、(組成物の形の)オリゴヌクレオチドは、例えば直腸浣腸として結腸内に投与される。
有利なことにオリゴヌクレオチドは水の中で安定であることが見出されており、よってオリゴヌクレオチドを、実質的に本明細書において規定されるオリゴヌクレオチドと水からなる組成物として投与することが可能である。組成物は本明細書において規定されるオリゴヌクレオチドと水からなってもよい。
実質的に成分からなる組成物とは、その組成物を実質的に構成する成分のみならず、他の成分も含む組成物を言い、但し、その他の成分はその組成物の実質的な特性に大きく影響することはない。典型的には、実質的にある成分からなる組成物は、それらの成分を95重量%以上(組成物の総重量に対して)、又はそれらの成分を99重量%以上(組成物の総重量に対して)含むであろう。
よって、本明細書において規定されるオリゴヌクレオチドと水から実質的になる組成物は、オリゴヌクレオオチドと水を95重量%以上(組成物の総重量に対して)、又はオリゴヌクレオオチドと水を99重量%以上(組成物の総重量に対して)含む。
医薬組成物中のオリゴヌクレオチドの濃度は、投与されるオリゴヌクレオオチドの投与量を含む、いくつかの因子に依って変わるであろう。典型的には溶液である組成物中のオリゴヌクレオチドの濃度は、1mg/ml〜20mg/ml、好ましくは4〜10mg/ml、場合によっては10〜20mg/ml、好ましくは4.8mg/ml〜5.2mg/ml、より好ましくは約5.0mg/mlである。
好ましくは、本発明は、本明細書において規定されるヒト被験者において、本明細書において規定される潰瘍性大腸炎の治療において使用するためのコビトリモドを提供し、ここでコビトリモド約250mgの個々の用量は、2回の別々の機会にのみ患者に投与され、前記の別々の機会は3週間離れている。
あるいは、本発明は、本明細書において規定されるヒト被験者において、本明細書において規定される潰瘍性大腸炎の治療において使用するためのコビトリモドを提供し、ここでコビトリモドの約250mgの個々の用量は、被験者が寛解、典型的には本明細書において規定される指数により測定される寛解に至るまで、3週間離れている2回以上の別々の機会に患者に投与される。
より好ましくは、本発明は、本明細書において規定されるヒト被験者において、本明細書において規定される活動性潰瘍性大腸炎の治療において使用するためのコビトリモドを提供し、ここでコビトリモドの約250mgの個々の用量は2回の別々の機会にのみ患者に投与され、前記の別々の機会は3週間離れており、ここでコビトリモドは、コビトリモドと水を含む医薬組成物の形で投与される。
より好ましくは、本発明は、本明細書において規定されるヒト被験者において、本明細書において規定される活動性潰瘍性大腸炎の治療において使用するためのコビトリモドを提供し、ここでコビトリモドの約250mgの個々の用量は2回の別々の機会にのみ患者に投与され、前記別々の機会は3週間離れており、ここでコビトリモドは結腸内に又は直腸に投与される。
より好ましくは、本発明は、本明細書において規定されるヒト被験者において、本明細書において規定される活動性潰瘍性大腸炎の治療において使用するためのコビトリモドを提供し、ここでコビトリモドの約250mgの個々の用量は2回の別々の機会にのみ患者に投与され、前記別々の機会は3週間離れており、ここでコビトリモドは、コビトリモドと水を含む医薬組成物の形で結腸内に又は直腸に投与される。
なおさらに好ましくは、本発明は、本明細書において規定されるヒト被験者において、本明細書において規定される慢性の活動性潰瘍性大腸炎の治療において使用するためのコビトリモドを提供し、ここでコビトリモドの約250mgの個々の用量は2回の別々の機会にのみ患者に投与され、前記別々の機会は3週間離れており、ここでコビトリモドは、コビトリモドと水を含む医薬組成物の形で結腸内に又は直腸に投与される。
本発明は、本明細書において規定されるヒト被験者において、本明細書において規定される炎症性腸疾患の治療において使用するための、本明細書において規定されるオリゴヌクレオチドを1つ以上の医薬的に許容可能な担体と共に含む医薬組成物もまた提供し、ここで前記組成物の個々の投与は少なくとも2回の別々の機会に被験者に施され、ここで前記別々の機会は3週間離れており、ここで組成物の各々の投与は、本明細書において規定される量のオリゴヌクレオチドを送達する。
上記で規定された使用のためのオリゴヌクレオチドの好適な特徴は、使用のための組成物の好適な特徴でもある。
本発明は、本明細書において規定されるヒト被験者において、本明細書において規定される炎症性腸疾患の治療に使用するための医薬の製造における、本明細書において規定されるオリゴヌクレオチド、又は本明細書において規定される医薬組成物の使用もまた提供し、ここで前記オリゴヌクレオチド又は組成物の個々の投与は少なくとも2回の別々の機会に患者に施され、ここで前記別々の機会は3週間離れており、ここでオリゴヌクレオチド又は組成物の各々の投与は、本明細書において規定される量のオリゴヌクレオチドを送達する。
上記で規定した使用のためのオリゴヌクレオチドの好適な特徴は、オリゴヌクレオチド又は組成物の使用の好適な特徴でもある。
本発明は、本明細書において規定されるヒト被験者において、本明細書において規定される炎症性腸疾患の治療方法もまた提供し、その方法は、本明細書において規定されるオリゴヌクレオチド又は本明細書において規定される組成物を前記被験者に投与する工程を含み、ここで前記オリゴヌクレオチド又は組成物の個々の投与は少なくとも2回の別々の機会に患者に施され、ここで前記別々の機会は3週間離れており、ここでオリゴヌクレオチド又は組成物の各々の投与は、本明細書において規定される量のオリゴヌクレオチドを送達する。
本発明は、本明細書において規定されるヒト被験者において、本明細書において規定される炎症性腸疾患の治療方法もまた提供し、その方法は:
(a)本明細書において規定される患者を選択する工程;及び
(b)本明細書において規定されるオリゴヌクレオチド又は本明細書において規定される組成物を、前記患者に投与する工程であって、ここで前記オリゴヌクレオチド又は組成物の個々の投与は少なくとも2回の別々の機会に患者に投与され、ここで前記別々の機会は3週間離れており、ここでオリゴヌクレオチド又は組成物の各々の投与は、本明細書において規定される量のオリゴヌクレオチドを送達する工程
を含む。
上記で規定される使用のためのオリゴヌクレオチドの好適な特徴は、特許請求される方法の好適な特徴でもある。
下記は本発明を説明する非限定的な実施例である。
実施例1−臨床試験研究
無作為化二重盲検プラセボ比較試験(randomized double-blind placebo controlled, trial)は、確立された方法に従って、中等度から重度の活動性潰瘍性腸疾患患者における局所性コビトリモドの有効性と安全性を評価する。
方法:下記を含む本分野における標準的な試験対象患者基準に従って、試験のために男性と女性を選択する:
1.18歳以上の男性又は女性
2.診断からの時間が最短で3か月以上の確定したUCの診断
3.6〜12の(内視鏡検査のサブスコアのグレード1の易出血性を除く)改変Mayoスコアにより測定された、中等度から重度の活動性の左側のUC(疾患は肛門縁の上15cm以上に伸展しているが、脾湾曲部を超えていない)であって、スクリーニングビジット1b(7日目〜10日目のスクリーニングビジット)において行われた内視鏡検査のセントラルリーディングにより評価された2以上の内視鏡検査上のサブスコアを有し、1未満の他の個々のサブスコアがない
4.現在の経口5−ASA/SPの使用、又は経口5−ASA/SP使用の薬歴
5.現在のGCSの使用、又はGCS依存性、難治性、若しくは早期の副作用によりGCS治療を行わないことを含む不耐性の病歴(GCS基準の1つのみが満たされるべきである、欧州クローン病・大腸炎会議(ECCO)のガイドラインにおける規定を見よ)
6.下記の薬剤の少なくとも1つに対する、不適切な応答、応答の消失、又は不耐性が示されたこと:
・免疫調節剤、例えばシクロスポリン、メトレキサート、AZA/6−MP、タクロリムス、
○例えば、経口のAZA(1.5mg/kg以上)、又は6−MP(0.75mg/kg以上)、又は不耐性又はチオプリン・メチルトランスフェラーゼ(TPMP)欠損により促されたより低い用量の8週間の投与計画による少なくとも1回の過去の治療にも関わらず、持続的な活動性疾患の兆候又は症状があること、又は
○例えば、少なくとも1つの免疫調節剤に対する過去の不耐性(限定されないが、吐き気/嘔吐、腹部疼痛、膵炎、肝機能試験(LFT)異常、リンパ球減少症、TPMP遺伝子変異、感染症を含む)
・TNF−α阻害剤及び/又は抗インテグリン剤:
○例えば、
・インフリキシマブ5mg/kg(静脈内注射(IV))、又は、
・ゴリムマブ200/100mg(皮下注射(SC))、又は、
・アダリムマブ160/80mg(SC)、又は、
・ベドリズマブ300mg(IV)
の少なくとも2週間離れた2回の投与(又は現在のラベルによる推奨された投与)による、少なくとも1回の誘導投与計画による過去の治療にも関わらず、持続的な活動性疾患の兆候及び症状があること、又は
○不耐性の病歴(があること)(限定されるものではないが、インフュージョン関連反応、脱髄、うっ血性心不全、感染症を含む)
先の臨床利益を受けての上記の薬剤の何れかによる維持的投与の間の症状の再発(2次性不全)[臨床利益が認定されないにも関わらずに中断すること]
7.試験の間に下記のUC薬剤の治療量の投与を受けることが許可されていること:
a)経口GCS療法(1日当たり20mg以下のプレドニゾン又は同等量)、但しその用量はビジット(visit)1a(14日目)の前に2週間安定していることを条件とする
b)ビジット(visit)1aの少なくとも8週間前に開始された、経口MMXブデソニド療法(1日当たり9mg)
c)経口5−ASA/SP化合物、但しその用量はビジット(visit)1aの前の2週間安定しており、ビジット(visit)1aの少なくとも8週間前に開始されたことを条件とする
d)AZA/6−MP、但しその用量がビジット(visit)1bの前の8週間安定しており、ビジット(visit)1aの少なくとも3か月前に開始されていることを条件とする
8.治療を理解する能力があり、全ての試験要件に従う意思があり、及びインフォムド・コンセントを提供する能力があること
下記を含むこの分野で既知の除外基準に従って患者を治験から除外してもよい:
1.例えば、クローン腸炎、虚血性大腸炎、放射線大腸炎、中間型大腸炎(intermediate colitis)、感染性大腸炎、憩室性疾患(diverticular disease)、関連大腸炎、顕微鏡的大腸炎、重度の偽ポリポーシス(massive pseudopolyposis)、又は通過不能な狭窄(non-passable stenosis)等の異なる診断の疑い
2.急性劇症UC及び/又は全身毒性の兆候
3.直腸に限定されたUC(伸展が肛門縁の上15cm未満の疾患)
4.以下を除く悪性腫瘍の病歴
・治療済みの(治癒した)基底細胞又は扁平上皮内がん
・治療済みの(治癒した)子宮頸部上皮内腫瘍、又はスクリーニングビジット1aの前の過去5年以内に再発の証拠がない子宮頸部の上皮内がん
5.治験責任医師の意見において、プロトコール及びプロトコールの手順を患者が守る可能性に影響を及ぼすかもしれない、又は試験結果を混乱させる若しくは患者の安全性を損なうであろう、任意の臨床上顕著な疾患の病歴又は存在
6.登録時における、シクロスポリン、メトトレキサート、タクロリムス、TNF−α阻害剤、抗インテグリン剤又は類似の免疫抑制剤と免疫調節剤による同時治療。そのような薬剤による如何なる先行治療も、ビジット(visit)1aの少なくとも8週間前に中断されているか、又は測定不可能な血清濃度レベルを有していなければならない
7.直腸にGCS、5−ASA/SP又はタクロリムスを用いることによる、ビジット(visit)1bの前の2週間以内の治療
8.ビジット(visit)1aの前の2週間以内の、抗生物質又は非ステロイド抗炎症剤(NSAID)による長期治療(抗生物質の1回の短期の治療計画と時々のNSAIDの使用は許される)
9.重篤な活動性の感染症
10.クロストリジウム・ディフィシル便アッセイ陽性を含む胃腸感染症
11.非経口栄養又は輸血を現在受けていること
12.スクリーニング期間に授乳中であるか又は血清妊娠試験が陽性である女性
13.研究の期間に亘って信頼できる避妊方法(信頼できる方法は、バリア保護、ホルモン避妊、子宮内避妊器具、又は禁欲である)を使用していない妊娠可能な女性
14.試験治療を有する他の臨床試験への同時参加、又は5半減期以内であり且つ登録前の実験産物の最後の治療の後少なくとも30日以内の過去の試験治療の使用
15.過去におけるコビトリモドとの接触
試験に選ばれた患者は、有効投与量のコビトリモド(3週間離して250mgのコビトリモドの投与を2回受ける群を含む)とプラセボの、直腸浣腸による直腸投与を含む治療シークエンス(treatment sequence)に対して無作為化される。
試験のエンドポイント/評価された臨床上の基準は以下の通りである:
・4週又は6週における、臨床上の寛解、症状の寛解、内視鏡上の寛解、又は(完全な)組織学上の寛解の誘導を有する患者の割合
・4週又は6週における、直腸出血がない患者の割合
・4週又は6週における、正常な又は促進された排便頻度を有する患者の割合
・6週及び10週における、持続的な症状の寛解の誘導を有する患者の割合
・6週における、臨床応答中の患者の割合
・6週における、組織学的な応答を有する患者の割合
・便意の切迫性のスコアが低減している患者の割合
・0週と比較しての、1、2、3及び6週における便中カルプロテクチン(faecal calprotectin)の平均変化
・6週から10週における、寛解中の患者におけるステロイド投与量の平均変化
・0週と比較しての6週における、炎症性腸疾患問診票(IBDQ)サブドメインの各々における平均変化
・6週における、内視鏡上及び組織学上の寛解を有する患者の割合
結論:中程度から重度の潰瘍性大腸炎を患っている患者において、3週間離して250mgのコビトリモドを2回投与する治療は、臨床効果の改善をもたらし、潰瘍性大腸炎の治療におけるコビトリモドの有用性が示される。
参照例1−最適な投与頻度を示す臨床試験結果
無作為化二重盲検プラセボ比較試験において、中等度から重度の活動性炎症性大腸炎を有する131人の患者を無作為化し、ベースラインと4週目の下部消化管(GI)内視鏡検査の間に、2回の単一用量のコビトリモド/カッパプロクト(Kappaproct)(30mg)又はプラセボの局所投与を受けるようにした。
治療群とプラセボ群の患者が、電子日記を使用して12週間、彼らの毎週の便中の血液の最大量(なし、少量、又は多量として)、毎週の排便頻度(18回未満、18〜35回、36〜60回、又は61回+として)、及び毎日の排便頻度(1回未満、1〜1.99回、2〜2.99回、3〜3.99回、4〜4.99回、5〜5.99回、6〜6.99回、7〜7.99回、又は8回+として)をモニターした。
結果を収集し、プラセボ群と比較しての治療群の治療デルタ(treatment delta)を計算した。それらの結果から、最初の投与の3週間後に特に高い治療デルタがあることが見られる。
治療群とプラセボ群についての結果は下記の表に示されている:
図1は、治療群とプラセボ群の、便中の血液がゼロである(7日間の患者報告アウトカムの最大)と報告している割合を週毎に示す。
図2は、治療群とプラセボ群の、1週間の排便頻度が18回未満(7日間の患者報告アウトカムの概要)と報告している割合を週毎に示す。
図3は、治療群とプラセボ群の、1週間の排便頻度が35回未満(7日間の患者報告アウトカムの概要)と報告している割合を週毎に示す。
図4は、治療群とプラセボ群の、1日当たりの排便頻度が3回未満(7日間の患者報告アウトカムの1日当たりの平均)と報告している割合を週毎に示す。
図5は、治療群とプラセボ群の、1日当たりの排便頻度が4回未満(7日間の患者報告アウトカムの1日当たりの平均)と報告している割合を週毎に示す。
図6は、治療群とプラセボ群の、1日当たりの排便頻度が5回未満(7日間の患者報告アウトカムの1日当たりの平均)と報告している割合を週毎に示す。
試験で評価された様々な臨床アウトカムについての治療デルタは、下記の表中に与えられている。

実施例2−デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導大腸炎マウスモデル
材料及び方法
マウス:Balb/cマウスを、チャールスリバーラボラトリ−、リサーチモデル・アンド・サービス(ズルツフェルト、ドイツ)から得た。8週齢のメスのBalb/cマウスを実験のために使用し、動物福祉法(Animal Welfare Act)に従い、個々に換気されたケージの中で飼育した。水と餌は自由に摂取させた。
DSS誘導大腸炎:3%(w/v)デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)(MPバイオメディカルズ、イルキルシュ、フランス)を、8週齢のメスBalb/cマウスの飲用水に10日間投与した。全く処置がなされていない3匹のマウスの追加コントロール群もまた実験設定の一部とした。食物摂取と体重を0、2、4、6、7、8、及び10日目にモニターした。
コビトリモドの直腸投与:マウス当たり40μg、84μg、1000μg又は1560μgのコビトリモドを2回、直腸投与した(4日目と8日目)。個々の濃度のコビトリモドを滅菌水で希釈し、直腸投与のためにマウス当たり100μlを使用した。マウスにおける1000μgの用量は、ヒトにおける250mgの用量とほぼ同等である(“Guidance for Industry - Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Health Volunteers”,アメリカ合衆国保健福祉省、食品医薬局品、医薬品評価研究センター、2005年7月を見よ)。このマウスモデルにおいて観察された結果は、150mg〜350mgの個々の用量のコビトリモドを、3週間離れた2回の別々の機会に投与されたヒトにおいて観察される効果を予測させるものと見做すことができる。マウスにおける84μgの用量はヒトにおける30mgの用量とほぼ同等である。
コビトリモドを含まない滅菌水を7匹のコントロール群のマウス(プラセボ)に直腸に適用した。実験の開始前に、処置が異なる群に由来するマウスを無作為にケージ毎に混ぜ、実験条件が同程度であることを保証した。
DSS誘導大腸炎の評価:0、2、4、6、7、8及び10日目に、体重減少をモニターした。疾患活動性指数(DAI)は、当初の体重と比較した体重減少、便の硬さ、便中の目に見える血液を組み合わせたスコアである。マウス当たりの最大スコアは12である。0、2、4、6、7、8及び10日目にDAIを評価した。加えて、小型の内視鏡(外径1.9mmのスコープ)、キセノン光源、トリプルチップカメラ、及び空気ポンプ(全てカールストルツ、トゥットリンゲン(Tuzingen)、ドイツ)からなるColowiew内視鏡システムを使用して、結腸の炎症をインビボで研究し、マウス結腸の制御された膨張(inflation)を達成した。内視鏡検査のために、0.2〜0.5L/分の流速で100%酸素中の4%のイソフルランを用いてマウスを麻酔し、維持には2%イソフルランを用いた。内視鏡上の大腸炎の等級付けは5つのパラメーター:結腸の肥厚、正常な血管パターンの変化、フィブリンの存在、粘膜の細顆粒性(mucosal granularity)、及び便の硬さ、からなる。各パラメーター(スコア0〜3)について内視鏡上の等級付けを行い、0〜15の間の累積スコアがもたらされた。0、2、4、6、7、8、及び10日目に内視鏡上の等級付けを解析した。
結果
図7は実験コースに亘っての、様々な治療群におけるマウスの体重変化を示す。DSS処置を開始した4日後に、全てのDSS処置群は同様に体重が減少し始めた。4日目におけるコビトリモドの直腸適用は、プラセボ処置マウスと比較して、84μgのコビトリモド(P=0.0472)と1000μgのコビトリモド(P=0.0122)で処置されたマウスにおいて、6日目に有意に少ない体重の低減をもたらした。7日目に、1000μgのコビトリモド(P=0.0012)で処置されたマウス群は、84μgのコビトリモド(P=0.0122)で処置されたマウスと比較して、体重減少はより有意に低減し、その後両群における体重減少は10日目(実験の終了)まで、プラセボ処置群のそれよりも有意に少なくあり続けた。40μgのコビトリモドで処置されたマウス群もまた、7日目から僅かな体重減少の低減を示したが、この低減は有意ではなかった。1560μgのコビトリモドで処置された群のマウスは、プラセボで処置されたマウスと比較して体重減少の増加を示した。10日目の実験終了時に、プラセボ処置群と類似した体重減少を示した1560μgのコビトリモドで処置された群は別として、全てのコビトリモド処置群は、プラセボ処置群と比較して体重減少の低減を示した。完全に無処理(DDSなし、コビトリモド/プラセボなし)のマウスの体重は、実験の間ずっと変化がなかった(図7)。
図8は実験のコースに亘っての様々な処置群における、マウスの疾患活動性指数(DAI)の変化を示す。DAIのデータは、コビトリモドの直腸適用はDSS誘導大腸炎を改善することを示す。全てのコビトリモド処理マウスは、40μgコビトリモド処理マウスを除き、類似したDAIの変化を示す。40μgのコビトリモドで処置されたマウス群は、プラセボコントロールと比較して、DAIの有意な低減を示さなかった。84μgと1000μgのコビトリモドで処置されたマウスは6日目以降、プラセボ群と比較してDAIの低減を示す。投与量が最も早い時点(6日目)で有意なDAIの低減(P=0.0216)を示すのは、1000μgのコビトリモドで処置された群であった。84μgと1000μgのコビトリモドで処置されたマウスは、8日目と10日目(***P=0.0006)に、DAIの有意な低減を示した。1560μgのコビトリモドで処置された群は、7日目にDAIの低減を示し、8日目と10日目の低減は有意であった(それぞれ、**P=0.0023と***P=0.0006)。完全に無処置(DDSなし、直腸適用なし)のマウスのDAIは、実験の間ずっと変化がなかった(図8)。
図9は実験のコースに亘っての様々な処置群における、内視鏡上の大腸炎の等級付けの変化を示す。内視鏡上の大腸炎の等級付けは、体重減少とDAIの結果と一致していた。コビトリモドにより処置された全てのマウスは、プラセボ処置群と比較して、DSS誘導大腸炎の兆候の発症が少なかった。プラセボ群と比較した内視鏡上の大腸炎の等級付けは、コビトリモドの最初の適用の後、実験が終了するまで、全てのコビトリモド処置群において低減した。40μgコビトリモド処置群を除いて、全てのコビトリモド処置群において、7日目から低減は有意であった(**P≦0.01)。投与量が内視鏡上の大腸炎等級付けにおいて最も早い時点(6日目)で有意な低減(P=0.0408)を示すのは、1000μgのコビトリモドで処置された群であった(図9)。
結論
まとめるとこれらの結果は、コビトリモド処置マウスの体重減少、疾患活動性指数、及び内視鏡上の大腸炎の等級を有意に低減することにより、コビトリモド処置はDSS誘導大腸炎を改善することを示している。4日目と8日目に1000μgのコビトリモドが投与されたマウスでは、体重減少、DAI、及び内視鏡上の大腸炎の等級付けの有意な改善が達成された。特にDAIと内視鏡上の大腸炎の等級付けにおける改善は、1000μgの用量については、他のコビトリモドの用量についてよりも早い時点で観察された。
実施例3−デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導大腸炎マウスモデルにおけるフローサイトメトリーの結果
材料及び方法
マウス:Balb/cマウスを、チャールスリバーラボラトリ−、リサーチモデル・アンド・サービス(ズルツフェルト、ドイツ)から得た。8週齢のメスのBalb/cマウスを実験のために使用し、動物福祉法(Animal Welfare Act)に従い、個々に換気されたケージの中で飼育した。水と飼料は自由に摂取させた。
DSS誘導大腸炎:3%(w/v)デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)(MPバイオメディカルズ、イルキルシュ、フランス)を、8週齢のメスBalb/cマウスの飲用水に10日間投与した。全く処置がなされていない3匹のマウスの追加コントロール群もまた実験設定の一部とした。
コビトリモドの直腸投与:マウス当たり40μg、84μg、500μg、又は1560μgのコビトリモドを、2回直腸投与した(4日目と8日目)。個々の濃度のコビトリモドを滅菌水で希釈し、直腸投与のためにマウス当たり100μlを使用した。マウスにおける500μgの用量は、ヒトにおける125mgの用量とほぼ同等である(HED、“Guidance for Industry - Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Health Volunteers”, アメリカ合衆国保健福祉省、食品医薬局品、医薬品評価研究センター、2005年7月を見よ)。マウスにおける84μgの用量は、ヒトにおける30mgとほぼ同等である。
コビトリモドを含まない滅菌水をコントロール群の7匹のマウス(プラセボ)に追加で直腸に適用した。実験の開始前に、処置が異なる群に由来するマウスを無作為にケージ毎に混ぜ、実験条件が同程度であることを保証した。
フローサイトメトリー:10日目に頸椎脱臼によりマウスを殺処分し、フローサイトメトリー解析のための結腸標本を採取した。消化管の標本由来の粘膜固有層(Lamina propria)単球細胞(LPMC)を、ラミナプロプリアキット(ミルテニーバイオテク、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)を使用して単離した。細胞内染色の前に細胞を、PMA、ゴルジ−ストップ及びイオノマイシン(イーバイオサイエンス、フランクフルト、ドイツ)を含む刺激カクテルで、37℃で4時間処置した。トランスクリプション・ファクター緩衝液セット(BDバイオサイエンス、ハイデルベルグ、ドイツ)を使用して、細胞を固定化して透過処理した。細胞をCD4(BDファーミンゲン、フランクリン、米国)、IL17A(バイオレジェンド、サンディエゴ、米国)、RoryT(BDファーミンゲン、フランクリン、米国)、及び各々のイソタイプコントロールについて染色した。骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)について、単離されたLPMCを、CD11b(ミルテニーバイオテク、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)及びGr−1(BDファーミンゲン、フランクリン、米国)について細胞外染色した。フローサイトメトリー解析は、FACS Calibur(BDバイオサイエンス、ハイデルベルグ、ドイツ)を用いて行った。FlowJo single cell analysis Softwear(Version10.Ir5、ツリースター アシュランド、米国)を用いて細胞を解析した。
統計解析:統計解析は、Graph Pad Prism(Graph Pad Software Version 6.05、ラホヤ、カリフォルニア州)を用いて行った。シャピロ・ウィルク正規性検定により正規分布の検定を行った後に、対応のないスチューデントt検定(unpaired Student’s t test)又はマン・ホイットニーUランク検定を用いて試料間の有意差を計算した(P≦0.05、**P≦0.01、***P≦0.001以下)。
結果
図10は、10日目のマウスから採取した結腸試料内のLPMCの細胞内染色の結果を示す。古典的にはIBDは、CD内のTh1細胞又はUC内のTh2細胞により主として仲介されると思われていたが、今はTh17細胞及びそれらに関連したサイトカインが、両方の状態における重要なメディエーターであることが知られている。Th17細胞はIBD患者の炎症を起こした腸に大量に浸潤し、そこでそれらはIL17Aと他のサイトカインを生成し、炎症の過程を引き起こし且つ増幅させる(Galvez J., Role of Th17 Cells in the Pathogenesis of Human IBD. ISRN Inflamm. 2014 Mar 25;2014:928461)。IL17/Th17のレベルは、健康なコントロール被験者と比較して、UC患者の血清/結腸においては有意に高かったことが示されている(Gong, Y.ら, The Th17/Treg immune balance in ulcerative colitis patients with two different chinese syndromes: dampness-heat in large intestine and spleen and kidney yang deficiency syndrome. Evid Based Complement Alternat Med. 2015: p. 264317)。よってTh17とIL17の減少は、IBD患者において臨床エンドポイントを改善する重要な過程である。
Th17細胞と転写因子レチノイン酸受容体関連オーファン受容体ガンマt(RORγt、Th17の分化を制御する転写因子)の存在について、結腸のLPMCを染色した。予期されたように、Th17(RORγt、IL17)、RORγt、及びIL17細胞集団は、大腸炎を患っているマウス(DSS処置)においては、健康な動物(コントロ−ル、DSSなし)と比較して増加していた。水処置と比較して、コビトリモド処置の後ではこの増加は有意に抑えられていた。10日目の実験終了時に採取されたマウス結腸標本から単離されたLPMCのフローサイトメトリー解析から、コビトリモドで処理されたマウスではプラセボ処置マウスと比較して、RoryTIL17、RoryT、及びIL17T細胞のレベルは、有意に減少していることが明らかとなった。500μgのコビトリモドで処置された群では、他の群よりも、CD4TL17細胞の減少はより顕著であった(図10)。
図11は、10日目のマウス結腸から単離された粘膜固有層(Lamina propria)単球細胞(LPMC)中に存在する、骨髄由来のサプレッサー細胞(CD11Gr1)のパーセンテージを示す、フローサイトメトリー解析を示す。
骨髄細胞は白血球の、最も豊富であり不均一な集団である。それらは血液から炎症部位に迅速に動員され、多くの重要な生物学的な機能を行う。慢性的な炎症状態は、骨髄由来のサプレッサー細胞(MDSC)の生成に貢献する。これらの病的に活性化された細胞は、がんとIBDにおける重要なプレーヤーであると次第に認識されてきている。IBDにおけるMDSCの役割は未だに議論の的であるが、腸の炎症状態により誘導されたMDSCは、Th17の生成とIL17の産生と炎症誘発性環境の確立に関与し、それによってIBDの発症に役割を果たしている可能性があることが示されている(Yeon-Jeong Kim.ら, Myeloid-Derived Suppressor Cells in Inflammatory Bowel Disease. Intest. Res. 2015: 13(2): 105-111の中で概説されている)。よってMDSCの減少は、IBD患者における腸内炎症の治療に寄与することが可能である。
さらなる解析により、コビトリモド処置されたマウスと比較して、プラセボ処置マウスにおいては、Gr1CD11bMDSCのレベルが上昇していることが明らかとなった。500μgのコビトリモドで処置されたマウスは、Gr1CD11bMDSCのレベルを有意に(P≦0.05)ダウンレギュレートした(図11)。Gr1CD11bMDSC集団の減少は、500μgのコビトリモドを投与されたマウスにおいて最も顕著であった。
結論
これらの結果は、コビトリモド処置は、DSS誘導大腸炎モデルのマウスの結腸における炎症誘導性IL17+粘膜T細胞とGr1CD11bMDSCの集団を有意に減少させることを示している。500μgのコビトリモドを投与されたマウスは、結腸から採取された試料において最も有望な結果を示した(IL17+CD4+細胞とGr1CD11bMDSCの集団の減少)。驚くべきことに、500μgの用量におけるIL17+CD4+細胞の減少は、84μgと1560μgの用量における減少よりも大きく、これらの値の間の投与量は、IBDで免疫応答を調節するのに最も有効であることを示唆している。この知見は、ヒトにおいて、150mgから350mgのコビトリモドを、3週間離した少なくとも2回の別々の機会に投与する計画は、他のより高い及びより低い用量よりも、免疫応答をより良く調節することができ、よってIBDの治療により効果的であろうこともまた示唆している。

Claims (25)

  1. ヒト被験者における炎症性腸疾患の治療において使用するための、5’-GGAACAGTTCGTCCATGGC-3’(配列番号2)の配列を含むオリゴヌクレオチドであって、ここで前記オリゴヌクレオチドの150mg〜350mgの個々の用量が少なくとも2回の別々の機会に該被験者に投与され、ここで前記別々の機会は3週間離れている、オリゴヌクレオチド。
  2. 前記炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎である、請求項1に記載の使用のためのオリゴヌクレオチド。
  3. 前記潰瘍性大腸炎が活動性潰瘍性大腸炎である、請求項2に記載の使用のためのオリゴヌクレオチド。
  4. 前記潰瘍性大腸炎が慢性の活動性潰瘍性大腸炎である、請求項2又は3に記載の使用のためのオリゴヌクレオチド。
  5. 前記被験者が抗炎症療法に対して、難治性であるか、又は十分に応答しないか、又は不耐性である、先行する請求項の何れかに記載の使用のためのオリゴヌクレオチド。
  6. 前記被験者が大腸切除術について選択できる、先行する請求項の何れかに記載の使用のためのオリゴヌクレオチド。
  7. 少なくとも1つのCGジヌクレオチドがメチル化されていない、先行する請求項の何れかに記載の使用のためのオリゴヌクレオチド。
  8. 前記オリゴヌクレオチド中の少なくとも1つのヌクレオチドが骨格修飾を有する、先行する請求項の何れかに記載の使用のためのオリゴヌクレオチド。
  9. 前記骨格修飾が、ホスホロチオエート又はホスホロジチオエート修飾により表されるリン酸骨格の修飾である、請求項8に記載の使用のためのオリゴヌクレオチド。
  10. 前記骨格修飾が、前記オリゴヌクレオチドの5’及び/又は3’端に位置する、請求項8と9の何れかに記載の使用のためのオリゴヌクレオチド。
  11. 前記オリゴヌクレオチドが、5’-GGAACAGTTCGTCCATGGC-3’(配列番号2)の配列を有し、ここでCGジヌクレオチドがメチル化されていない、先行する請求項の何れかに記載の使用のためのオリゴヌクレオチド。
  12. 前記オリゴヌクレオチドが5’-GACAGTTCGTCCATC-3’(配列番号1)の配列を有し、ここでCGジヌクレオチドがメチル化されていない、先行する請求項の何れかに記載の使用のためのオリゴヌクレオチド。
  13. 前記オリゴヌクレオチドがコビトリモドである、先行する請求項の何れかに記載の使用のためのオリゴヌクレオチド。
  14. 前記オリゴヌクレオチドの240mg〜260mgの個々の用量が投与される、先行する請求項の何れかに記載の使用のためのオリゴヌクレオチド。
  15. 前記オリゴヌクレオチドの約250mgの個々の用量が投与される、先行する請求項の何れかに記載の使用のためのオリゴヌクレオチド。
  16. 前記オリゴヌクレオチドの個々の用量が、3週間離れている2回の別々の機会にのみ被験者に投与される、先行する請求項の何れかに記載の使用のためのオリゴヌクレオチド。
  17. 前記オリゴヌクレオチドの個々の用量が、該被験者が寛解するまで、3週間離れている2回以上の別々の機会に被験者に投与される、請求項1〜15の何れかに記載の使用のためのオリゴヌクレオチド。
  18. 前記被験者が、炎症性腸疾患、典型的には潰瘍性大腸炎の治療のための1つ以上の追加の治療剤の投与を受ける、先行する請求項の何れかに記載の使用のためのオリゴヌクレオチド。
  19. 前記オリゴヌクレオチドが粘膜に局所的に投与される、先行する請求項の何れかに記載の使用のためのオリゴヌクレオチド。
  20. 前記オリゴヌクレオチドが直腸に投与される、先行する請求項の何れかに記載の使用のためのオリゴヌクレオチド。
  21. 該オリゴヌクレオチドがコビトリモドであり、コビトリモドの約250mgの個々の用量は、3週間離れている2回の別々の機会にのみ該被験者に投与される、先行する請求項の何れかに記載の使用のためのオリゴヌクレオチド。
  22. 請求項1及び7〜13の何れかにおいて規定されたオリゴヌクレオチドを、1つ以上の医薬的に許容可能な担体と共に含む、請求項1、5及び6の何れかにおいて規定されたヒト被験者において、請求項1〜4の何れかにおいて規定された炎症性腸疾患の治療において使用するための医薬組成物であって、ここで前記組成物の個々の投与は、少なくとも2回の別々の機会に該被験者に投与され、ここで前記の別々の機会は3週間離れており、及びここで該組成物の各々の投与は、請求項1、14及び15の何れかにおいて規定された量のオリゴヌクレオチドを送達する、医薬組成物。
  23. 医薬的に許容可能な担体が水である、請求項22に記載の使用のための組成物。
  24. 該医薬組成物は実質的に前記オリゴヌクレオチドと水からなる、請求項22と23の何れかに記載の使用のための組成物。
  25. 請求項1及び7〜13の何れかにおいて規定されたオリゴヌクレオチド又は請求項21〜23の何れかにおいて規定された組成物を前記被験者に投与することを含む、請求項1、5及び6の何れかにおいて規定されたヒト被験者において、請求項1〜4の何れかにおいて規定された炎症性腸疾患を治療する方法であって、ここで前記オリゴヌクレオチド又は組成物の個々の投与は少なくとも2回の別々の機会に患者に投与され、ここで前記の別々の機会は3週間離れており、ここで該オリゴヌクレオチド又は該組成物の各々の投与は請求項1、14及び15の何れかにおいて規定された量のオリゴヌクレオチドを送達する、方法。
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