本開示は、医薬組成物から保存剤を除去するろ過装置を提供する。ろ過装置は、少なくとも一つの入口及び少なくとも一つの出口、並びに少なくとも一つの入口及び少なくとも一つの出口の間に提供される流体フローチャネルを規定する本体を含む。流体フローチャネルは、少なくとも一つのチャンバーと流体連通している。装置は、少なくとも一つのチャンバー中に配置された少なくとも一つの樹脂及び、流体フローチャネル中に配置された少なくとも一つのフィルターも含む。
本発明の一つの実施態様において、ろ過装置は、インスリンから保存剤をろ過するためのものである。ある構成において、保存剤はフェノール性化合物又はその誘導体である。
本発明の一つの実施態様において、樹脂は無極性化合物を含む。ある構成において、樹脂はポリスチレンを含む。ある構成において、樹脂はポリスチレンである。ある構成において、樹脂は多数の多孔質性のポリスチレン−ジビニル−ベンゼンのビーズを含む。ある構成において、多孔質性のポリスチレン−ジビニル−ベンゼンのビーズは、約100Å未満の細孔径を有する。ある構成において、樹脂は炭素質材料である。
本発明の一つの実施態様において、ろ過装置は、第二フィルターを含み、第一フィルター及び第二フィルターはチャンパーの反対側の上で流体フローチャネル中に提供される。ある構成において、少なくとも第一フィルターは約15μm〜約45μmの間の細孔径を有する。
本発明の一つの実施態様において、更に、ろ過装置は、出口に配置された針を含み、この針は流体フローチャネルと流体連通している。ある構成において、フィルターは、医薬組成物から少なくとも部分的に金属イオン賦形剤を除去する。
更に、本開示は、医薬/薬剤の送達のための注入装置及び注射装置、並びに、ろ過装置を含むシステムを提供する。ろ過装置は、少なくとも一つの入口及び少なくとも一つの出口、並びに少なくとも一つの入口及び少なくとも一つの出口の間に提供される流体フローチャネルを規定する本体を含み、この流体フローチャネルは、少なくとも一つのチャンバー流体連通している。装置は、少なくとも一つのチャンバー中に配置された少なくとも一つの樹脂及び、流体フローチャネル中に配置された少なくとも一つのフィルターも含む。
本発明の一つの実施態様において、更に、ろ過装置は、出口に配置された針を含み、この針は流体フローチャネルと流体連通している。ある構成において、フィルターは、医薬組成物から少なくとも部分的に金属イオン賦形剤を除去する。本開示は、医薬/薬剤の送達のための注入装置及び注射装置、並びにろ過装置を含むシステムも提供する。ろ過装置は、少なくとも一つの入口及び少なくとも一つの出口を有し、並びに少なくとも一つの入口及び少なくとも一つの出口の間に提供される流体フローチャネルを規定する本体を含み、この流体フローチャネルは、少なくとも一つのチャンバー流体連通している。装置は、少なくとも一つのチャンバー中に配置された少なくとも一つの樹脂及び、流体フローチャネル中に配置された少なくとも一つのフィルターも含む。
本発明の一つの実施態様において、注入装置及び注射装置は、シリンジ、自動インジェクター、ペンインジェクター、又は注入ポンプである。ある構成では、少なくとも一つのろ過装置のフィルターは、チャンバーと出口の間に位置付けられる。ある構成では、注入装置及び注射装置はろ過装置の入口に付けられる。本発明の一つの実施態様において、システムは、ろ過装置の出口付けられた針を含む。ある構成において、針は、ろ過装置の出口に脱着可能に付けられる。ある構成において、針は永続的にろ過装置の出口に固定される。
本発明の一つの実施態様に従って、注入装置及び注射装置は、シリンジ、自動インジェクター、ペンインジェクターであり、そして、ろ過装置は、少なくとも2つのフィルターを含み、一つのフィルターはチャンバーと入口との間の流体フローチャネル中に配置され、一つのフィルターはチャンバーと出口との間の流体フローチャネル中に配置され、そして、ろ過装置は出口に付けられた針を含む。
本発明の一つの実施態様において、樹脂は無極性化合物を含む。ある構成において、樹脂はポリスチレンを含む。ある構成において、樹脂はポリスチレンを含む。ある構成において、樹脂は多数の多孔質性のポリスチレン−ジビニル−ベンゼンのビーズを含む。ある構成において、多孔質性のポリスチレン−ジビニル−ベンゼンのビーズは、約100Å未満の細孔径を有する。ある構成において、樹脂は炭素質材料である。
本開示は、更に、医薬組成物から保存剤をろ過する方法を提供する。方法は、少なくとも一つの入口及び少なくとも一つの出口を有し、少なくとも一つの入口及び少なくとも一つの出口の間に提供される流体フローチャネルを規定する(ここで、流体フローチャネルは、少なくとも一つのチャンバー流体連通している)本体を備えたろ過装置中に、組成物を通過させることを含む。装置は、少なくとも一つのチャンバー中に配置された少なくとも一つの樹脂及び、流体フローチャネル中に配置された少なくとも一つのフィルターも含む。
本発明の一つの実施態様において、方法はインスリンから保存剤をろ過する。ある構成において、保存剤はフェノール性化合物又はその誘導体である。
本発明の一つの実施態様において、樹脂は無極性化合物を含む。ある構成において、樹脂はポリスチレンを含む。ある構成において、樹脂はポリスチレンである。ある構成において、樹脂は多数の多孔質性ポリスチレン−ジビニル−ベンゼンのビーズを含む。ある構成において、多孔質性ポリスチレン−ジビニル−ベンゼンのビーズは、約100Å未満の細孔径を有する。ある構成において、樹脂は炭素質材料である。
本発明の一つの実施態様において、方法で使用するろ過装置は、シリンジ、自動インジェクター、ペンインジェクター、又は注入ポンプのような注入装置及び注射装置と流体連通している。ある構成において、注入装置及び注射装置は、ろ過装置の外の入口に付けられる。
本発明の一つの実施態様において、ろ過装置の少なくとも一つのフィルターは、チャンバーと出口の間に位置付けられる。
本発明の一つの実施態様において、ろ過装置は出口付けられた針を含む。ある構成において、針はろ過装置の出口に脱着可能に付けられる。ある他の構成において、針は永続的にろ過装置の出口に固定される。
本発明の一つの実施態様において、注入器及び注射器は、シリンジ、自動インジェクター、又はペンインジェクターであり、そして、ろ過装置は、少なくとも2つのフィルターを含む。一つのフィルターはチャンバーと入口との間の流体フローチャネル中に配置され、一つのフィルターはチャンバーと出口との間の流体フローチャネル中に配置され、そして、ろ過装置は、出口に付けられた針を含む。
本発明は、薬剤を保持するよう配置されたチャンバーを規定するハウジング、ハウジング内に少なくとも複数で配置される移動可能なプランジャーロッド、チャンバーと流体連通している出口を含む注射装置を含むシステムを提供する。システムは、更に、医薬組成物から保存剤を除去するためのろ過装置を含む。ろ過装置は、少なくとも一つの入口及び少なくとも一つの出口を有し、少なくとも一つの入口及び少なくとも一つの出口の間に提供される流体フローチャネルを規定する本体を含み、この流体フローチャネルは、少なくとも一つのチャンバー流体連通している。装置は、少なくとも一つのチャンバー中に配置された少なくとも一つの樹脂及び、流体フローチャネル中に配置された少なくとも一つのフィルターも含む。本発明のシステムにおいて、注射装置の出口は、注射装置のチャンバーがろ過装置の流体フローチャネルと流体連通するように、ろ過装置の入口に付けられている。
本発明の一つの実施態様において、ろ過装置は注射装置に移動可能に付けられている。
本発明の一つの実施態様において、注射装置は、更に、アクチュエータ及び、アクチュエータのアクチュエーション上にプランジャーロッドを前進させるよう配置されたスプリングを含み、更に、ろ過装置は出口に付けられた針を含む。
本発明の一つの実施態様において、注射装置のプランジャーロッドは、手動でアクチュエート出来、更に、ろ過装置は出口に付けられた針を含む。
本発明の一つの実施態様において、注入装置又は注射装置は注入ポンプであり、そして、ろ過装置は、更に、出口に付けられた針を含む。
本発明の一つの実施態様において、注射装置のチャンバー中の薬剤はインスリンである。
本発明の一つの実施態様において、ろ過装置の樹脂は無極性化合物を含む。ある構成において、樹脂はポリスチレンを含む。ある構成において、樹脂はポリスチレンである。ある構成において、樹脂は多数の多孔質性のポリスチレン−ジビニル−ベンゼンのビーズを含む。ある構成において、多孔質性のポリスチレン−ジビニル−ベンゼンのビーズは、約100Å未満の細孔径を有する。ある構成において、樹脂は炭素質材料である。
本発明の一つの実施態様において、医薬組成物を送達する注入セットは、近位端及び遠位端を持つチュービング、チュービングの遠位端と流体連通する針、及び接着剤を有する皮膚パッドを有しても良い。少なくとも一つの針又は皮膚パッドは抗炎症剤を含み得る。針の内側表面及び/又は外側表面は、抗炎症剤を有するコーティングを有しても良い。皮膚パッドの底表面は、抗炎症剤を有する接着剤を有していても良い。注入セットは、更に、注入装置へ接続するためにチュービングの近位端に接続部を有していても良い。接続部はねじ切りの接続部である。抗炎症剤は、ステロイド系又は非ステロイド系の抗炎症剤であり得る。注入セットは、更に、注入ポンプのような注入装置を有しても良い。
本発明の一つの実施態様において、注入セットは、医薬組成物から保存剤を除去するろ過装置を、更に有していても良い。ろ過装置は、少なくとも一つの入口及び少なくとも一つの出口を有し、少なくとも一つの入口及び少なくとも一つの出口の間に提供される流体フローチャネルを規定する本体を含み、この流体フローチャネルは、少なくとも一つのチャンバーと流体連通していても良い。少なくとも一つの樹脂が、少なくとも一つのチャンバー中に配置され、少なくとも一つのフィルターが、流体フローチャネル中に配置されていても良い。医薬組成物は、インスリンであり得る。保存剤はフェノール性化合物又はその誘導体であり得る。樹脂は無極性化合物、ポリスチレン、ジビニルベンゼン又は、多数の多孔質性のポリスチレン−ジビニル−ベンゼンのビーズであり得る。多孔質性のポリスチレン−ジビニル−ベンゼンのビーズは、約100Å未満の細孔径を有し得る。樹脂は炭素質材料であり得る。少なくとも一つのフィルターは約15μm〜約45μmの間の細孔径を有し得る。
以下の記載は、本発明を実施するために想定される記述された態様を、当業者が作成し、及び使用することが出来るようにするために提供するものである。しかしながら、多数の修飾物、等価物、変形物、及び代替物は、当業者にとっては明確なものである。そのような修飾物、等価物、変形物、及び代替物は全て、本発明の精神及び範囲に含まれるものとして意図される。
本明細書に記載において、単数「a」、「an」及び「the」は、他を意味することが明確に示されてない限り、複数形も含む。
空間的又は方向的な用語、「左」、「右」、「内側」、「外側」、「上」、「下」、及び、「など」は、図面において示される発明に関連するものであり、そして、本発明が多様な代替配置を想定し得ることを、限定するものとして考慮すべきではない。
本明細書及び特許請求の範囲で使用する全ての数及び範囲は、用語「約」によって、全ての事象において修正されると理解されるべきである。「約」によって、報告された数値のプラス又はマイナス10%であるように、報告された数値のプラス又はマイナス25%を意味する。しかしながら、これは、均等論下の値の分析に関して限定するために考慮すべきではない。
記載するのでない限り、本明細書中で開示の全ての範囲及び比率は、初期値及び最終値、並びにいかなる全てのそれらの下位範囲又は下位比率を含む。例えば、報告範囲又は比率が「1〜10」では、最小値は1であり、最大値は10である(これらの値も含み)、いかなる全ての下位範囲又は下位比率、つまり、1以上の最小値で始まり、10以下の最大値で終わる全ての下位範囲又は下位比率を含むと考えられる。この範囲及び/又は比率は、特定の範囲及び/又は比率を超えた平均値を本明細書中では表す。
「第一」、「第二」及び「など」は、特定の順序又は時系列を述べることを意図するものではなく、異なる条件、特徴、又は要素を述べたものである。
用語「少なくとも」は「同じ又はそれ以上」と同義である。
本明細書において、「少なくとも一つの」は、「1又はそれ以上」と同義である。例えば、「A,B,及びCの少なくとも一つ」は、A,B,若しくはC、又はA,B,及びCの2つ以上の組合せを意味する。例えば、「A,B,及びCの少なくとも一つ」は、A単独、若しくはB単独、若しくはC単独、又は、A及びB若しくは、A及びC若しくは、B及びC、又は、A,B及びCの全てを含む。
用語「隣接する(adjacent)」は、近似を意味するが、直接的な接触を意味しない。
用語「含有する(includes)」は、「含む(comprises)」と同義である。
本明細書において、「平行」又は「実質的に平行」は、2つの目的物の間の(理論的な交差まで延長した場合の)相対角度が、0°〜5°又は、0°〜3°又は、0°〜2°又は、0°〜1°又は、0°〜0.5°又は、0°〜0.25°又は、0°〜0.1°であり、これらの数値を含む。
本明細書において、「垂直」又は「実質的に垂直」は、実際又は理論的な交差で、2つの目的物間の相対角度が、85°〜90°又は、87°〜90°又は、88°〜90°又は、89°〜90°又は、89.5°〜90°又は、89.75°〜90°又は、89.9°〜90°であり、これらの数値を含む。
図1及び2は、線A−Aに沿った断面図を含む、本開示のろ過装置(100)の例示的な実施態様を示す。ろ過装置(100)は、入口(110)及び出口(120)、並びに入口(110)及び出口(120)の間に延びる流体フローチャネル(125)を含む。流体フローチャネル(125)は、ろ過装置の本体内に配置された少なくとも一つのチャンバー(130)と流体連通している。チャンバー(130)はその中に医薬又は薬剤中に含まれる保存剤、賦形剤又は安定化剤をろ過又は除去するために提供された樹脂(135)を含む。更に、ろ過装置(100)は、樹脂(135)を保持するチャンバー(130)及び出口(120)の間の流体フローチャネル(125)中に配置された少なくとも一つのフィルター(140)を含む。装置は、注射器又はペンのような医療装置を接続可能にするための接続部(112)として構成され得る。一つの実施態様では、接続部は、ルアー接続部(雌又は雄)である。別の実施態様では、装置は、組織変位ゾーンのような医薬又は薬剤の送達を補助するための特徴を含み得る。
本明細書に記載の装置は針(150)を含み得る。針(150)は、チャンバー(130)及びそこにある樹脂(135)を通過する医薬又は薬剤が個々人に投与され得るように、流体フローチャネル(125)内、若しくは外側又は出口(120)の近傍にかかわらず、ろ過装置のいかなる有用な位置に配置され得る。当業者は、本開示のろ過装置(100)に使用する針(150)は、いかなるゲージ及び構成にも適し得ることを理解するであろう。ろ過装置(100)の針(150)は、出口(120)で若しくはその近傍でろ過装置(100)に永続的に固定され得るし、又は同じ位置で装置に移動可能に接続され得る。
ろ過装置(100)の入口(110)は、医薬又は薬剤をその中に受領するように改良されている。従来からの医薬又は薬剤は、通常、患者が医薬又は薬剤を体内に導入するときに悪影響を有し得る保存剤、賦形剤及び/又は安定化剤を含む。
ある構成では、保存剤は、m−クレソールのようなフェノール又はフェノール誘導体であり得る。本明細書で使用する、フェノール又はフェノール性化合物は、少なくとも一つのフェノール基を含む組成物を意味する。フェノール基は、そこ(C6H5O)に結合された水酸基を有する芳香性炭化水素である。本明細書で使用する、フェノール又はフェノール性化合物の誘導体は、置換されたフェノール基を有する化合物を意味する。例えば、限定されることなく、フェノール誘導体は、メチル置換されたフェノール化合物であるm−クレソール(C7H8O)であり得る。フェノール/フェノール性化合物及びそれらの誘導体は、市販インスリン調製物において頻繁に使用されており、本発明は、HUMALOG(登録商標)(インスリン lispro)(Eli Lilly and Company, Indianapolis, IN)及び、APIDRA(登録商標)(インスリン glulisine)(Sanofi S.A.パリ、フランス)及び、NOVOLOG(登録商標)(インスリン aspart)(Novo Nordisk A/S, Bagsvaerd, デンマーク)のような市販のインスリン調製物から保存剤/賦形剤/安定化剤などの除去に適している。市販調製物は、単なる例示であり、そして、当業者は、本開示の装置、システム、及び方法は、保存剤、賦形剤、界面活性剤(イオン性及び非イオン性)及び/又は安定化剤を含む、市販又はそれ以外のインスリン調製物に使用し得ると理解するであろう。一つの実施態様において、保存剤、賦形剤、界面活性剤及び安定化剤は、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール(phenoxyethanol)、及びチメロサール(thimerosal)が含まれる。
チャンバー(130)内の樹脂(135)は、医薬又は薬剤から、保存剤、賦形剤及び安定化剤を除去するために適したいかなる樹脂も含み得るが、但し、樹脂はゼオライトベースの樹脂ではない。ゼオライトに基づくフィルター又は、サイズ排除に基づくろ過材料では、その内外を溶液が通過するのに必要な力が増加することから、そのような材料を含む樹脂は好ましくなく、そして、本開示の範囲内に入るとは考えられない。一つの態様では、樹脂は、極性又はイオン性相互作用に基づいて、保存剤、賦形剤及び安定化剤を、選択的にろ過又は除去する。
本開示のろ過装置(100)中の樹脂(135)は、ある構成では、無極性化合物を含む。本明細書で使用する、用語「無極性」は、樹脂の成分が永続的な双極性(dipolar)分子を含まないことを意味する。ある構成で、樹脂(135)は、ポリスチレンを含む。本明細書で使用する、用語「ポリスチレン」は、スチレンモノマーの芳香族性のポリマーを意味する。本明細書で使用する、用語「スチレン」は、一般式C6H5CH=CH2を有する芳香族性炭化水素のベンゼン誘導体を意味する。好適なスチレン樹脂は、限定されるものではないが、例えば、Dow Chemical Co (AMBERSORB(商標)560, DOWEX(商標)OPTIPORE(商標)L493, DOWEX(商標)OPTIPORE(商標)SD-2, DOWEX(商標)XUS 43578, 及びDOWEX(商標)XUS 43600), Thermo Fisher Scientific (HiPPR)及び、Bio-Rad Laboratories, Inc. (Chelex(登録商標), Bio-Beads(登録商標)SM2)から入手可能である。特に、好ましい構成として、樹脂は、Bio-Rad Laboratories, Inc. (Hercules, CA)により製造されるBio-Beads(登録商標)SM2のようなポリスチレン−ジビニル−ベンゼンのビーズである。そのようなビーズは、好ましくは、約100オングストローム(Å)未満の細孔径を有し得、例えば、限定されることなく、約100,95,90,85,80,75,70,65,60,55,50,45又は40未満である。当業者は、使用する医薬/薬剤、および、そこに含まれる保存剤/賦形剤/安定化剤に基づいて、本発明の範囲及び精神に含まれる細孔径の僅かな変更を理解するであろう。理論に拘束されることなく、これらの物の有効性に関する理論は、Bio-Beads(登録商標)SM2のようなスチレン含有樹脂が、医薬調製物から、保存剤、賦形剤及び/又は安定化剤を、そのような添加剤との疎水性相互作用により除去するように機能することである。最後に、樹脂材料の疎水性は考慮され得る。しかし、細孔径、表面積及び、内側と比較した表面の疎水性の相違も考慮される。
しかし、例えば、インスリンの場合、疎水性相互作用を介した保存剤、賦形剤及び/又は安定化剤を除去する無極性樹脂の使用の場合、医薬/薬剤それ自体も、究極的には患者に投与される組成物から除去される対象にもなる。調製物からのインスリン濃度のある変化は許容可能と考えられるが、インスリンに対するUSP Monograph (Rev.2013年2月1日)のような米国薬局方(USP)により表明された必要事項を遵守するために、調整物は、ラベル上に記載の効能の95.0%〜105.0%を有するべきである。従って、医薬/薬剤を含む溶液を、樹脂に暴露する時間の長さはファクターとなり、以下に検討する。
別の構成では、本開示のろ過装置、システム、及び方法の樹脂(135)は、炭素質材料を含む。本明細書で使用する、用語「炭素質」は、炭素含有が高いことを意味し、そして、活性化炭素材料を含み得る。ある構成では、炭素質材料は、Dow Chemical Co (Midland, MI)により製造されるAMBERSORB(商標)560を含み、これは水溶性溶液から小さい有機分子を除去するために適したポリマー材料である。
上記の特定した樹脂に加えて、チェンバー中で、更に医薬/薬剤のろ過又は改良のための他の潜在的に有用な添加物も本開示の範囲内に含まれる。例えば、そして、限定されることなく、チェンバー中に含まれるキレート剤/キレート薬剤などの添加剤が含まれ、及び/又は、キレート能力も含む樹脂も使用され得、及び/又は、樹脂はキレート剤をその中に含むように機能化され得る。本明細書で使用する、用語「キレート剤/キレート薬剤」は、金属イオンと一つ以上の結合を形成することが出来る、化合物又は組成物を意味する。そのような剤は、本開示のチャンバー及び/又は樹脂中に、有利には含まれ得、例えば、インスリンの場合、インスリンの6量体の解離を起こさせ、インスリンモノマーのより高い%を提供する。好適なキレート剤は、当業者にとっては知られたものであろうし、医薬調製物/薬剤に基づいて、それぞれは、そこに含まれる異なる金属イオンを含むことが出来、異なるものになるであろう。例えば、そして、限定されることなく、インスリンの場合、効果的なキレート剤/キレート薬剤は、多くは市販インスリン調製物に含まれる、亜鉛イオン(Zn2+)をキレートするものになり得る。例えば、限定することなく、そして、好適なキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)であり得る。キレートする機能を含む好適な樹脂には、DOWEX(商標)XUS 43578 (Dow Chemical.Midland. MI)及び(Chelex(登録商標)(Bio-Rad Laboratories, Inc. Hercules, CA)が含まれる。当業者に公知の医薬調製物/薬剤から、好適に金属イオンを除去するものは、好適なキレート剤に含まれ、例えば、そして、限定されることなく、ジピリジルアミン(例えば、ジピコリルアミン)、ジエチルエネトリアミン、エチレングリコールビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸)、ホスフェート、ビホスフェート、及びチオールの誘導体のような、ジピコリン酸誘導体、ピリジン誘導体を含む。
図2を参照すると、実施態様において、本明細書に記載の装置は第二のフィルターを含み得る。ある構成において、フィルター(140,145)は、チャンバー(130)の何れかの側面上で、流体フローチャネル(125)中にフィルターが横たわるようして配置又は位置付けされ得る。つまり、フィルター(140,145)は、樹脂がチャンバー(130)に閉じ込められ、そして、流体フローチャネル(125)を分割して、そこに直接隣接させるように配置される。そのような配置は、注入又は注射装置との一体構造として提供されるろ過装置の構成において、チャンバー(130)から、より大きい医薬の貯蔵部への樹脂(135)の引上げを防止するために有用である。ろ過装置(100)が、医薬/薬剤の引上げ(プランジャーロッド、ポンプフローの逆流又は真空を介して)から貯蔵部又はカートリッジへの返却を可能にするいかなる注入/注射装置と一緒に提供されるとき、チャンバー(130)中の材料が、さらに、同様に貯蔵部又はカートリッジへ引上げられる可能性が存在する。図4のようなフィルターの配置は、ろ過装置(100)から、例えば、注入又は注射装置の貯蔵部又はカートリッジへの樹脂(135)の移動は、組成物の効能を減少させるので、樹脂と医薬/薬剤(例えば、インスリン)との疎水性相互作用の観点から重要である。細孔径を含み、フィルターは、投与される医薬/薬剤及びろ過装置(100)中で採用される特定の樹脂(135)に基づいて選択されると、当業者は理解するであろうが、ある構成において、フィルター(140,145)の少なくとも一つは、約15μm〜約45μmの間の平均細孔径を有する。
図1及び2を参照すると、図はろ過装置(100)及びチャンバー(130)の両方の特定の形状を示すが、医薬/薬剤がチャンバー(130)内で樹脂(135)と接触できる限り、ろ過装置(100)の本体は、いかなる有用な形状及び配置を想定し得ると、当業者は理解するであろう。更に、チャンバー(130)は、流体フローチャネル(125)中に存在することが示されているが、チャンバー(130)は、流体フローチャネル(125)の一部を囲むものでも良く、それにより、流体フローチャネル(125)から樹脂(135)を保持するチャンバーへの医薬/薬剤の流れを可能にし、そして、チャンバー(130)から流体フローチャネル(125)へ戻る流れを可能にして樹脂(130)から出口(120)への流れを連続させる、孔をそこに有しても良い、と当業者は理解するであろう。医薬/薬剤が樹脂(135)と接触できる限り、当業者は、多様な配置が利用できることを理解するであろう。
図3−4に関して、線B−Bに沿った断面図を含む、ろ過装置の別の態様を示す。図1および2に示された装置と同様に、更なる態様の装置は、針(350)、入口(310)、及び出口(320)、並びに、入口(310)と出口(320)の間に延びる流体フローチャネル(325)を含む。流体フローチャネル(325)は、出口(320)、ろ過装置(300)の本体内に配置された少なくとも一つのチャンバー(330)及び入口(310)と流体連通している。チャンバー(330)は、その中に樹脂(335)を含み、樹脂は、医薬又は薬剤に含まれる保存剤、賦形剤、又は安定化剤をろ過又は除去を提供する。更に、ろ過装置(300)は、樹脂(335)を保持するチャンバー(330)と出口(320)間の流体フローチャネル(325)中に配置された少なくとも一つのフィルター(340)を含む。図3に示された実施態様は、結合部(312)は、例えば、自動インジェクター、ペンインジェクターへの接続のためのねじ切り結合(threaded connection)である。
図4を参照して、ねじ切り結合(322)を有する更なる実施態様が示されている。図1〜4に示されるように、ろ過装置(100,300)は、当業者に公知の好適な材料で形成することが出来る。ある構成において、ろ過装置(100)は、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、又はポリカーボネートで作成された本体を有する。しかしながら、これらの材料は、単なる例示であり、そして、好適なポリマーを使用できると、当業者は理解するであろう。ろ過装置(100)は、一の成形装置、又は、チャンバー(130)サイズにおいて変更できるように、二以上のセグメントで製造され得る。
ろ過装置(100,300)は、図1〜4に示されるように、再利用又は使い捨てであろうと、以下に検討するように、シリンジ、自動インジェクター、及びペンインジェクターに適している。
シリンジ、自動インジェクター、及びペンインジェクターに加えて、本開示のろ過装置は、ポンプ及びパッチ注入システムのような注入システムに使用するように適合させることも出来る。例えば、そして、限定することなく、Becton, Dickinson and Company (Franklin Lakes, NJ)により製造されたLIBERTAS(商標)及び、Becton, Dickinson and Company により製造されたFlowSmart(商標)注入セットのような、多様な市販ポンプ/パッチ注入システムにおいて使用することが出来ると、当業者は理解するであろう。本開示のろ過装置は、一列の配置(in line provision)(図5〜8)によって、又は存在するポンプ/パッチ注入システム(図9)上への接続を介して、そのようなシステム中に含まれる。図5及び6を参照すると、ろ過装置(500)の構成が示されている。ろ過装置(500)は、入口(510)及び出口(520)、並びに入口(510)及び出口(520)の間の流体フローチャネル(525)(図5中、流れ方向は、Fで示される)を規定するように配置された本体を含む。流体フローチャネル(525)は、ろ過装置(500)の本体内に配置された少なくとも一つのチャンバー(530)と流体連通している。チャンバー(530)は、医薬又は薬剤中に含まれる保存剤、賦形剤又は安定化剤をろ過又は除去するために提供された樹脂(示されていない)をその中に含む。更に、ろ過装置(500)は、流体フローチャネル(525)中に配置された少なくとも一つのフィルター(540)を含む。図5は、ろ過装置(500)及び、チャンバー(530)の両方の特定の配置を示すが、医薬/薬剤がチャンバー(530)中で樹脂と接触できる限り、そして、ろ過装置の本体は、ポンプ/パッチ注入システムと連動して使用され得る限り、いかなる有用な形状及び配置を想定し得ると、当業者は理解するであろう。上記のように、本開示は、チャンバー(530)は、流体フローチャネル(525)の一部を囲むものでも良く、医薬/薬剤は、流体フローチャネル(525)からチャンバー(530)中の樹脂(535)へ流体フローチャネル(525)中の穴を介して流れ、そして、その後、フィルター(540)を通り、そして出口(520)を通って流れのために、流体フローチャネル(525)に戻る。医薬/薬剤が樹脂(535)と接触できる限り、当業者は、多様な配置が利用できると理解するであろう。
本開示の更なる実施態様において、(図5の線C−Cに沿った、図5のろ過装置の例示的な実施形態の断面図を示す)図6および7を参照し、ある構成において、ポンプ/パッチ注入システム中で使用するためのろ過装置(500)は、第二のフィルター(545)(図7)を含み得る。ある構成において、図7に示されるように、フィルター(540,545)は、チャンバー(530)の何れかの側面上の流体フローチャネル(525)中に、フィルターが横たわるようして配置又は位置付けされ得る。つまり、フィルター(540,545)は、樹脂がチャンバー(530)に閉じ込められ、流体フローチャネル(525)を分割して、そこに直接隣接させるように配置される。そのような配置は、注入又は注射装置との一体構造として提供されるろ過装置の構成において、チャンバー(530)を超えて、医薬のより大きい貯蔵部への樹脂(535)の引上げを防止するために有用である。そのような配置は、ろ過装置(500)から、例えば、注入又は注射装置の貯蔵部又はカートリッジへの樹脂(535)の移動は、組成物の効能を減少させるので、樹脂と医薬/薬剤、例えば、インスリン、との疎水性相互作用の観点から重要である。細孔径を含むフィルターは、投与される医薬/薬剤及びろ過装置(500)中で採用される特定の樹脂に基づいて選択されると、当業者は理解するであろうが、ある構成において、フィルター(540,545)の少なくとも一つは、約15μm〜約45μmの間の平均細孔径(サイズ)を有する。
図8は、チュービング(810)と、針(830)を含有する皮膚アタッチメント(820)とを含む例示的なポンプ/パッチ注入システムを示す。図示していないが、ポンプ/パッチ注入システムは示されるように、投与される医薬/薬剤を含有するカートリッジ又は貯蔵部を含むと当業者は理解するであろう。図8に示される構成において、ろ過装置(840)は、チュービング(810)中で連動して(in line)提供される。フィルターは、チュービング(810)中に永続的に提供されても良いし、そのようなろ過装置(840)を含むチュービング(810)は、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10、又はそれ以上の医薬/薬剤投与のために使い捨て又は再利用可能であり得る。代替的に、ある構成において、ろ過装置(840)は、チュービング(810)中で移動可能なインサートとして提供される。つまり、ろ過装置(840)は使い捨て可能であり、そして、チュービング(810)は再利用可能であり得る。
従前に示したように、ろ過装置(840)は、入口(850)及び出口(860)と、入口(840)及び出口(860)の間の流体フローチャネル(865)を規定するように配置された本体を含む。流体フローチャネル(865)は、ろ過装置(840)の本体内に配置された少なくとも一つのチャンバー(870)と流体連通している。チャンバー(870)は、その中に樹脂(875)を含み、樹脂は、医薬又は薬剤に含まれる保存剤、賦形剤、又は安定化剤をろ過又は除去のために提供される。更に、ろ過装置(840)は、流体フローチャネル(865)中に配置された少なくとも一つのフィルター(840)を含む。図8は、ろ過装置(840)及び、チャンバー(870)の両方の特定の配置を示すが、医薬/薬剤がチャンバー(870)中で樹脂(875)と接触できる限り、そして、ろ過装置の本体は、ポンプ/パッチ注入システムと連動(in line)して使用され得る限り、いかなる有用な形状及び配置を想定し得ると、当業者は理解するであろう。
ある他の実施形態において、ポンプ/パッチ注入システムのチュービングと連動して提供されるよりも、本開示のろ過装置は、ポンプ/パッチ注入システムの通常の皮膚付着/送達のインターフェースと、患者との間で追加して提供されるように、拡張機能(add-on)として提供しても良い。すなわち、フィルターは、そのようなシステム上で針との相互作用を介して、ポンプ/パッチ注入システムの通常の皮膚付着/送達のインターフェースに付着するように配置され得る。図9を参照して、チュービング(910)と、針(930)を含む皮膚付着(920)と、を含む例示的なポンプ/パッチ注入システム(900)を示す。図示されてはいないが、示されるようなポンプ/パッチ注入システムは、投与される医薬/薬剤を含有するカートリッジ又は貯蔵部を含むと当業者は理解するであろう。
図9に示す構成において、ろ過装置(940)は、入口(950)及び出口と、入口(950)及び出口(960)の間の流体フローチャネルを規定するように配置された本体を含む。流体フローチャネルは、ろ過装置(940)の本体内に配置された少なくとも一つのチャンバー(970)と流体連通している。チャンバー(970)は、その中に樹脂(975)を含み、樹脂は、医薬又は薬剤に含まれる保存剤、賦形剤、又は安定化剤をろ過又は除去のために提供される。更に、ろ過装置(940)は、流体フローチャネル(965)中に配置された少なくとも一つのフィルター(980)を含む。図9は、ろ過装置(940)及び、チャンバー(970)の両方の特定の配置を示すが、医薬/薬剤がチャンバー(970)中で樹脂(975)と接触できる限り、そして、ろ過装置がポンプ/パッチ注入システムと連動(in line)して使用され得る限り、ろ過装置の本体は、いかなる有用な形状及び配置を想定し得ると、当業者は理解するであろう。ある構成において、ろ過装置(940)は、装置又は出口の近傍で、永久的に固定又は移動可能に接着された、針(990)を含み得る。
上記のように、図1〜4に示されたろ過装置は、シリンジ、自動インジェクター、及びペンインジェクターの使用に適している。シリンジ、自動インジェクター、及びペンインジェクターであり得る注入装置を含むシステムも、本開示の範囲内に含まれる。注入装置は、医薬若しくは薬剤を保持する若しくは保持できるようによう配置されたチャンバーを規定するハウジング又は本体、ハウジング内で少なくとも部分的に配置された移動可能なプランジャーロッド、及び、チャンバーと流体連通している出口を含む。シリンジ、自動インジェクター、及びペンインジェクターは、例えば、そして、限定されるものではないが、それぞれBecton, Dickinson and Company (Franklin Lakes, NJ)により製造されている、BD NEOPAK(商標)プレフィルドシリンジ、BD(商標)再利用可能ペン、VYSTRA(商標)使い捨てペンインジェクター、又はPHYSIOJECT(商標)使い捨て自動インジェクターのような市販されている装置であり得る。
ろ過装置は、入口及び出口と、入口及び出口の間の流体フローチャネルを規定するように配置された本体を含む。流体フローチャネルは、ろ過装置の本体内に配置された少なくとも一つのチャンバーと流体連通している。チャンバーは、その中に樹脂を含み、樹脂は、医薬又は薬剤に含まれる保存剤、賦形剤、又は安定化剤をろ過又は除去のために提供される。更に、ろ過装置は、流体フローチャネル中に配置された少なくとも一つのフィルターを含む。医薬/薬剤がチャンバー中で樹脂と接触できる限り、そして、ろ過装置は、シリンジ、自動インジェクター、又はペンインジェクターに接続して使用され得る限り、ろ過装置の本体は、いかなる有用な形状及び配置を想定し得ると、当業者は理解するであろう。
ある構成において、ろ過装置は針を含み得る。針は永久的に、例えば、流体フローチャネル内に配列させてろ過装置に固定し得る。他の構成において、針は出口又はその近傍の外側に配置させることが出来、そこにあるチャンバー及び樹脂を通過した医薬/薬剤が個々人に投与され得る。当業者は、本開示のろ過装置で使用される針は、いかなるゲージ及び構成物にも適していると理解するであろう。ろ過装置の針は、出口若しくは出口の近傍でろ過装置に永続的に固定されるか、又は同じ場所で装置に移動可能に接続しても良い。
ろ過装置は、自動インジェクターのような使い捨て装置、又はペンインジェクターのような再利用可能な装置であっても、永続的に固定し得る。ある構成において、ろ過装置は、使い捨て装置、又は再利用可能な装置の何れかに移動可能に接続し得る。
医薬又は薬剤から保存剤、賦形剤、又は安定化剤を除去する方法も本開示により提供される。方法は、本明細書で開示の装置およびシステムの使用に適しており、例えば、そして、限定するものではなく、図1〜7に示すようなろ過装置、及び、図8〜10に示すようなシステムを介して、医薬を通過させることを含むものである。ろ過装置は、入口及び出口と、入口及び出口の間の流体フローチャネルを規定するように配置された本体を含む。流体フローチャネルは、ろ過装置の本体内に配置された少なくとも一つのチャンバーと流体連通している。チャンバーは、その中に樹脂を含み、樹脂は、医薬又は薬剤に含まれる保存剤、賦形剤、又は安定化剤をろ過又は除去するため提供される。更に、ろ過装置は、流体フローチャネル中に配置された少なくとも一つのフィルターを含む。
前述のように、本開示のろ過装置で使用される樹脂は、ある構成において、無極性化合物を含むことが出来、ある構成において、樹脂は、そのような添加剤との疎水性相互作用を介して、医薬又は薬剤から保存剤、賦形剤、及び/又は安定化剤を除去するように機能し得るポリスチレンを含むか、ポリスチレンである。しかしながら、上記で述べたように、例えば、インスリンの場合、疎水性相互作用を介して、医薬又は薬剤から保存剤、賦形剤、及び/又は安定化剤を除去する無極性樹脂の使用それ自体、究極的に患者に投与される組成物からの対象物の除去になる。したがって、医薬又は薬剤が樹脂に暴露される時間は、ファクターになる。最後に、ある構成において、医薬又は薬剤は、300分未満の時間、好ましくは200分未満の時間、より好ましくは100分未満の時間、最も好ましくは50分未満の時間、装置中の樹脂に暴露させる。好ましい構成において、医薬又は薬剤は、5分未満の時間、樹脂に暴露させる。
図14を参照して、抗炎症、放出制御注入セット(300)(以降、「注入セット(300)」という)は、一つの具体例に従って示す。注入セット(300)は、ポンプ及びパッチ注入システムのような注入システムで使用するための配置、一方を患者に接続した長期使用(3日以上)のための配置とすることが出来る。本開示の注入セット(300)は、例えば、そして、限定することなく、Becton, Dickinson and Company (Franklin Lakes, NJ)により製造されたLIBERTAS(商標)装着インジェッターのような多様な市販のポンプ/パッチ注入システムで使用できると、当業者は理解するであろう。図14は、注入セット(300)の特定の形状のみを示すが、注入セット(300)が抗炎症剤の投与量を送達できるように配置されている限り、注入セット(300)は、いかなる有用な形状又は配置になると想定し得ると、当業者は理解するであろう。
本開示の注入セット(300)は、図8を参照し、本明細書で検討したろ過装置(840)のようなろ過装置を含み得る。組合せたろ過/放出制御注入セットは、注入セット(300)の長期の装着時間に対する装置及び賦形剤誘導の生物適合性上の懸念を解決するように配置される。いくつかの具体例では、注入セット(300)の装着時間は、7〜10日である。
図14を連続して参照すると、注入セット(300)は、注入ポンプに接続するように配置された結合部(310)を有する。図示されていないが、注入ポンプは、投与される医薬又は薬剤を含むカートリッジ又は貯蔵部を一般的に含むと、当業者は理解するであろう。いくつかの具体例では、コネクター(310)は、注入ポンプに接続するように配置されて、ルアーロックのようなねじ切り結合部であっても良い。チュービング(320)は、コネクター(310)にその近位端(330)で結合する。チュービング(320)は、その遠位端(330)で、コネクター(310)に、移動可能又は移動不能に結合しても良い。チュービング(320)は、医薬又は薬剤が注入ポンプからチュービング(320)の内孔を通って患者に流れ得るように配置される。チュービング(320)の近位端(340)は、患者の皮膚に付着するように配置された皮膚パッド(350)に接続される。いくつかの具体例では、皮膚パッド(350)は、皮膚パッド(350)の患者の皮膚への移動可能な結合を促進するため接着剤を有する。
図14に示すような注入セット(300)は、当業者に公知のいかなる好適な材料で形成することが出来る。ある構成において、注入セット(300)の少なくとも一部は、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、又はポリカーボネートで作成されても良い。しかしながら、これらの材料は、単なる例示であり、そして、いかなる好適なポリマーを使用できることを、当業者は理解するであろう。注入セット(300)は、一の成形装置、共成形装置又は、移動可能若しくは移動不能に一緒に結合された複数の別々の要素を有する装置として製造することが出来る。
チュービング(320)の近位端(340)は、針(360)と流体連通している。本開示の注入セット(300)内で使用される針(360)は、好適なゲージ及び構成で形成できると、当業者は理解するであろう。注入セット(300)の針(360)は、チュービング(320)の遠位端(330)に永続的に固定されるか、同じ位置で注入セット(300)に移動可能に付けられていても良い。別の構成において、針(360)は、チュービング(320)の外側に配置され、例えば、マニホルド(370)によって、チュービング(320)と流体連通させることも出来る。針(360)は、図14〜15に示すように、当業者に公知のいかなる好適な材料で形成することが出来る。ある構成において、針(360)は、例えば、ステンレススチールのような金属で作成しても良い。しかしながら、これらの材料は、単なる例示であり、そして、いかなる好適な材料を使用できることを、当業者は理解するであろう。針(360)は、針(360)の縦軸に沿った方向に延びる中央孔(380)を有する。任意選択的に、一以上の側面開口(図示せず)が、針(360)の側面を介して中央孔(380)方向の垂直方向又は相対的角度の方向に延びても良い。
図14を連続して参照して、注入セット(300)は、その中に、患者体内中へ放出を制御するために関連する抗炎症剤を有する。注入セット(300)は、予め決められた送達速度で、治療に有効な量で、抗炎症剤の投与量を送達するように配置しても良い。例えば、抗炎症剤は、治療的に有効な量で送達されるとき、注入セット(300)の長期の使用期間中、望ましい効果を達成出来るあらゆる種類の薬、化学品、生物品又は生化学品であり得る。いくつかの具体例として、抗炎症剤は、ステロイド系又は非ステロイド系の抗炎症剤であり得る。多様な具体例として、抗炎症剤は、炎症を起こさせるサイトキナーゼ放出を減少させることを介して、賦形剤注入による影響の改善をするように配置しても良い。
抗炎症剤の制御された放出は、針(360)の少なくとも一部を抗炎症剤でコーティング、皮膚パッド(350)の接着剤に抗炎症剤をローディング、又はこれらの組合せにより影響され得る。
図15〜16を参照すると、注入セット(300)で使用するため配置された針(360)の拡大部分が示されている。抗炎症剤を有するコーティング(390)は、針(360)の中央チャネル(380)の内側表面(400)上に形成されても良い。コーティング(390)は、針(360)の近位端と遠位端の間の針(360)の内側表面(400)の少なくとも一部に沿って形成されても良い。いくつかの具体例において、コーティング(390)は、針(360)の外側表面上の少なくとも一部に形成されても良い。更なる具体例において、コーティング(390)は、内側表面(400)の少なくとも一部の上に及び、針(360)の外側表面の少なくとも一部に形成されても良い。コーティング(390)は、例えば、抗炎症剤を含むフリーズドライ組成物により、針(360)上に形成されても良い。針(360)の少なくとも一部にコーティング(390)を形成するために、多様な他の方法を使用できると、当業者は理解するであろう。コーティング(390)は、針(360)を通して注入される医薬又は薬剤により溶出されるように配置されても良い。いくつかの具体例では、針(360)が患者の体内に挿入されたときに、患者の血液により溶出されるように配置されても良い。更なる具体例で、コーティング(390)は、針(360)を通して注入される医薬又は薬剤により溶出されるように、そして、針(360)が患者の体内に挿入されたときに、患者の血液で溶出できるように配置されても良い。いくつかの具体例では、抗炎症剤の放出速度は、注入セット(300)の装着時間を超えて一定であり得る。他の具体例では、抗炎症剤(300)の放出速度は、注入セット(300)の装着時間を超えて速度が増加又は減少するように、注入セット(300)の装着時間を超えて変動しても良い。
図16を参照すると、皮膚パッド(350)の側面の断面図が示されている。抗炎症剤を有する接着剤は、皮膚パッド(350)の底表面に形成されても良い。接着剤は皮膚パッド(350)の底表面の少なくとも一部に沿って形成されても良い。多様な他の方法を、抗炎症剤付き接着剤を形成するために使用できると、当業者は理解するであろう。接着剤は、患者の皮膚への物理的な接触を介して患者の体の中に放出されるように配置され得る。いくつかの具体例では、注入セット(300)の装着時間を超えて一定であっても良い。他の具体例では、放出速度は、注入セット(300)の装着時間を超えて速度が増加又は減少するように、注入セット(300)の装着時間を超えて変動しても良い。
(市販希釈物からフェノール性保存剤を除去する樹脂の効率評価)
市販インスリン調製物、HUMALOG(登録商標)(Eli Lilly and Company製)の希釈物から、フェノール性保存剤/賦形剤を除去する効率をテストするため、6種類の入手可能な樹脂を同定した。
この最初の概念実証スタディで、1mLの希釈物(1.6mg m−クレソール、0.65mgフェノール)を各20mgの上記特定の樹脂と一緒に、ネガティブコントロール(樹脂なし)と共に、30分間インキュベートした。インキュベート後に残存する賦形剤のレベルは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて決定した。検出はZorbax 300SB−C18カラム(流速:2ml/分)を使用して254nmで行った。液体は、5%アセトニトリル(CAN)から95%CANに勾配を上げた水であった。図10は、インキュベートの結果を示す。樹脂を使用しない場合、希釈物は30分後、100%の賦形剤が残った。樹脂は、最小値で20%の賦形剤(Chelex(登録商標)20%−フェノール及び40%m−クレソール)を除去し、そして、残りの樹脂は、少なくとも80%の賦形剤を除去した。DOWEX(商標)OPTIPORE(商標)SD-2,DOWEX(商標)OPTIPORE(商標)L493及び、AMBERSORB(商標)560(Dow Chemical.Midland. MI)は、最も多くの%の賦形剤を除去した。Bio-Beads(登録商標)SM2 (Bio-Rad Laboratories, Inc. Hercules, CA) 及び、DOWEX(商標)XUS 43578 (Dow Chemical.Midland. MI)は、より少ない%の賦形剤を除去したが、賦形剤の少なくとも80%を除去した。Bio-Beads(登録商標)SM2は80%のフェノール及び>90%のm−クレソールを除去し、XUS 43578は、>90%で両方を除去した。したがって、この結果は、医薬調製物から保存剤/賦形剤の除去に対する多様な樹脂の使用を支持するものである。
(市販希釈物から樹脂を使用した賦形剤除去の時間経過)
上記の結果を追跡すると、次のステップは、賦形剤除去の時間経過を決定することである。2つの樹脂、Bio-Beads(登録商標)SM2及びAmbersorb560、を検証のために選択した。上述のように、1mLの希釈物(Eli Lilly and Company)を、200mgの各樹脂とインキュベートした。t=0,5,10,15,20,25及び30分において、希釈物、10μlアリコートを取除き、そして、上述のように賦形剤レベルを分析した。
図11は、各樹脂(上のパネル−Bio-Beads(登録商標)SM2;下のパネル−及び、
Ambersorb560)に対する賦形剤除去の時間経過を示す。図から分かるように、5分後に、各樹脂は80%の賦形剤を除去し、20分後に、Ambersorb560は効率的に100%の賦形剤を除去した。結果の相違は、Ambersorb560(商標)(より高い)と、Bio-Beads(登録商標)SM2(より低い)の疎水性レベルの相違に関連するかもしれない。これらの結果は、医薬調製物/薬剤から保存剤/賦形剤の迅速な除去に対して多様な樹脂の使用を支持するものである。
(市販インスリン調製物からフェノール性保存剤を除去における樹脂効率の評価)
保存剤/賦形剤の除去に使用される樹脂の効率を更に調査するために、2つの樹脂が、市販インスリン調製物、HUMALOG(登録商標)(インスリン lispro)(Eli Lilly and Company製)及び、APIDRA(登録商標)(インスリン glulisine)(Sanofi S.A.パリ、フランス)から除去効率の評価のために選択された。これらの実験で、0.5mLのlispro 又は glulisineは、100mgの樹脂(Bio-Beads(登録商標)SM2又はAmbersorb(商標)560)とインキュベートした。上記の時間経過実験のように、溶液、10μlアリコートを一定の時間(t=5,10,30,60,120及び360分)に取除き、そして、上述のように賦形剤レベルを分析した。
(HPLCプロトコール)
UV(254nm波長)検出器付HPLCを、インスリン及び賦形剤のレベルを検出するために使用した。緩衝液A=水中に5%(v/v)アセトニトリル及び0.1%(v/v)TFT;緩衝液B=アセトニトリル中に5%(v/v)水及び0.1%(v/v)TFT。HPLCのタイムテーブルは、以下のようであった。
図12A〜12Bは、調製物から賦形剤及びインスリン除去の時間経過を示す。
図で分かるように、Bio-Beads(登録商標)SM2(下のパネル)は、インスリンレベルを維持しつつ、賦形剤(m−クレソール)をより効率良く除去した。Lisproの実験において、Bio-Beads(登録商標)SM2と120分のインキュベーションで、10%未満の賦形剤がまだ存在したが、概ね90%のインスリンが溶液中に残存した(図12A)。対照的に、Ambersorbインキュベーション(上のパネル)では、60%のインスリンしか溶液中に残存しなかった(図12A)。glulisine実験において、Bio-Beads(登録商標)SM2(上のパネル)と120分のインキュベーションで、10%未満の賦形剤がまだ存在した一方で、60%より多くのインスリンが溶液中に残存した(図12B)。同様に、対照的に、Ambersorbインキュベーション(下のパネル)では、10%未満の賦形剤がまだ存在した一方で、40%未満のインスリンしか溶液中に残存しなかった(図12B)。これらの結果は、ある種の樹脂とのインキュベーションは、調製物中に存在する医薬それ自体の十分な量を残しつつ、医薬調製物から保存剤/賦形剤を効率的に除去することが出来ることを示している。
(市販のインスリン調製物から、時間をかけて保存剤を除去する樹脂の効率)
上記の結果に基づいて、樹脂が保存剤/賦形剤を継続して除去出来るレベルを超えた飽和レベルであるかを見るために、市販インスリン調製物に、一つの樹脂を繰返し暴露させて評価した。
このスタディで、インスリン調製物、HUMALOG(登録商標)(インスリン lispro)
(Eli Lilly and Company, Indianapolis, IN)を、Ambersorb(商標)560樹脂の100mgの1アリコートと、インキュベートした。アリコートは、5分毎に取除き、そして、分析された(上述の通り)。
ろ過は、例えば、限定されるものではないが、図1〜7に示されるような装置、図8〜10に示されるようなシステムを介して、医薬を通過させることにより、達成させても良い。図13に示されるように、Ambersorb樹脂は、樹脂により多くの保存剤がろ過されるに従い、時間をかけたm−クレソールの除去については低効率になった。対照的に、インスリンレベルは、一定で高く維持された。これらの結果は、医薬組成物のろ過のプロトコル/方法は、時間と使用される樹脂に依存することを示す。
図17〜19を参照すると、インスリン皮下吸収へのクレソール暴露の一時的影響を決定するためのスタディが行われた。このスタディで、雌シンクレア豚(female Sinclair swine)(n≧4)に、生理食塩水又はm−クレソール(3.15mg/mL)強化インスリン組成で、Roche Rapid D 注入 セットで5日間、皮下注入が行われた。注入処理の1,3、及び5日で、インスリンPKスタディは、4U皮下bolus Humalog(インスリン lispro)注入を介して作用部位で行い、局所吸収を評価した。注射後6時間、血液を経時的にサンプリングし、血しょうを分離し、Humalog含有量を分析した。データは、重量と、個人ポイントで標準化した投与量を、グループ平均±平均の標準誤差として表した。図17は、1日目の皮下インスリン吸収へのクレソール暴露の影響を表す。図18は、3日目の皮下インスリン吸収へのクレソール暴露の影響を表す。図19は、5日目の皮下インスリン吸収へのクレソール暴露の影響を表す。
図17〜19に示されるように、合計インスリン吸収は、血しょうインスリン対時間プロファイルの範囲として規定され、m−クレソール処理からの影響に対するグローバルトレンド(p<0.1)を示す。図19に示されるように、5日目の結果は、3日目より長い時間でクレソール暴露がインスリン吸収に影響を与え得ることを示す。したがって、インスリン組成物フェノール性賦形剤は、インスリン吸収を減少させ、それにより、インスリン注入カテーテルの有効な装着期間を3日間に制限する。例えば、そして限定されるものではないが、図1〜7に示されるような装置、図8〜10に示されるようなシステムを介して、医薬を通過させることにより達成されるろ過は、本明細書に記載されているように、この結果を改善し得る。
本発明は、現在最も実用的であり、且つ好ましいと考えられる実施形態に基づいて、例示目的で詳細に説明してきたが、そのような詳細はその目的のためのものであり、本発明は、開示の実施態様に限定されるものではなく、反対に、発明の精神および範囲内の修正物及び等価物を包含することを意図するものである。例えば、本発明は、ある程度、いかなる実施態様の一つ以上の組合せは、他のいかなる実施態様の一つ以上と組合せることが出来ると理解するであろう。