JP2020517720A - ネガティブ選択により誘導されるcd34+幹細胞を含む治療用製剤 - Google Patents
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Abstract
ネガティブ選択により誘導されるCD34+幹細胞を含む治療用製剤を記載する。製剤内の細胞は、多くの治療目的のために遺伝子改変することができる。本開示は、脆弱な幹細胞又はCD34+発現レベルが低い幹細胞を有する患者の治療に特に有用である。
Description
関連出願の相互参照
本出願は、2017年4月27日に出願された米国仮特許出願第62/491,116号明細書及び2017年5月9日に出願された米国仮特許出願第62/503,801号明細書の優先権を主張するものであり、当該出願は両方とも、本明細書において完全に記載されたと同じように参照により組み込まれる。
本出願は、2017年4月27日に出願された米国仮特許出願第62/491,116号明細書及び2017年5月9日に出願された米国仮特許出願第62/503,801号明細書の優先権を主張するものであり、当該出願は両方とも、本明細書において完全に記載されたと同じように参照により組み込まれる。
配列表の参照
2018年4月24日に作成されたファイルサイズ176KBの「17−098−WO−PCT_ST25.txt」というタイトルのコンピューター読み取り可能なテキストファイルには本出願の配列表が含まれており、このファイルは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
2018年4月24日に作成されたファイルサイズ176KBの「17−098−WO−PCT_ST25.txt」というタイトルのコンピューター読み取り可能なテキストファイルには本出願の配列表が含まれており、このファイルは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本開示は、ネガティブ選択により誘導されるCD34+幹細胞を含む治療用製剤を提供する。製剤内の細胞は、多くの治療目的のために遺伝子改変することができる。本開示は、脆弱な幹細胞又はCD34+発現レベルが低い幹細胞を有する患者の治療に、特に有用である。
造血幹細胞(HSC)は、免疫系の白血球(例えば、ウイルスと戦うT細胞及び抗体産生B細胞)及び赤血球など、すべての血球系を生じ得る幹細胞である。HSCの治療的投与は、免疫不全疾患、血液疾患、悪性がん、感染症、放射線被曝(例えば、がん治療、事故又は攻撃に基づく放射線被曝)などのさまざまな有害な状態の治療に使用することができる。例として、80以上の原発性免疫不全症が世界保健機関によって認定されている。これらの疾患は、免疫系の内因性欠陥によって特徴付けられ、場合によっては、身体は感染症に対する抗体を、まったく、又は十分に産生することができない。他の症例では、感染症と戦うための細胞防御が適切に機能できない。通常、原発性免疫不全は遺伝性障害である。
原発性免疫不全の一例は、ファンコーニ貧血(FA)である。FAは、骨髄(BM)不全を引き起こす遺伝性血液障害である。部分的には、DNA修復機構の不全として特徴付けられる。FA患者の少なくとも20%は、急性骨髄性白血病、並びに皮膚、肝臓、消化管及び婦人科系のがんなどのがんを、発症する。皮膚及び胃腸の腫瘍は、通常、扁平上皮癌である。がんを発症する患者の平均年齢は、白血病では15歳、肝臓腫瘍では16歳、その他の腫瘍では23歳である。
原発性免疫不全の別の例は、重症複合免疫不全(SCID)である。SCIDは、T細胞の欠如、ナチュラルキラー(NK)細胞の欠如及び機能的B細胞の欠如により機能的免疫系の欠如をもたらす遺伝性疾患である。SCIDは多くの場合、例えば、BM移植(BMT)又は遺伝子治療によって免疫系が再構成されない限り、人生の最初の2年間で死に至る。
続発性又は後天性の免疫不全は、遺伝性の遺伝子異常の結果ではなく、免疫系が免疫系外の因子によって損なわれている個人に発症する。例としては、外傷、ウイルス、化学療法、毒素及び汚染が挙げられる。後天性免疫不全症候群(AIDS)は、ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる続発性免疫不全障害の例であり、Tリンパ球の枯渇により、身体が感染症と戦うことができなくなる。
臨床環境では、HSCは、HSCを含む生体試料(例えばBM試料)を入手し、この試料を操作して、そこからHSCを取得することにより得られる。HSCは、それらが細胞表面で発現する特定のタンパク質に基づいて、試料内で「同定」することができる。
生体試料からHSCを取得するための現在のゴールドスタンダードは、細胞表面タンパク質のCD34に基づいている。例えば、CD34に結合する抗体を使用することによって、CD34を発現するHSCをポジティブ選択することができる。いくつかの手順では、CD34に結合する抗体は、抗体と結合したCD34+HSCを試料の残部と磁気的に分離できるように、磁気要素を含む。他の手順では、抗体と結合したCD34+HSCを、蛍光活性化セルソーターを使用して試料から分離できるように、抗体は、蛍光要素を含むことができる。他の手順では、CD34結合抗体のコピーを固体マトリックス(プレートなど)に結合させ、試料を、CD34+HSCが抗体に「捕捉」されるように該固体マトリックス上を通過させることができる。この手順は「パニング」と呼ばれる。
生体試料からCD34+HSCを取得するための上記の各手順では、CD34+HSCに対するポジティブ選択を使用する。つまり、HSCはCD34の存在(つまり、CD34+)に基づいて同定され、試料の残部と直接分離される。しかし残念ながら、そのような積極的な実験室操作は、細胞を損傷及び/又は殺す可能性がある。別の欠点は、細胞に結合した抗体が、磁気要素又は蛍光要素に結合しているかどうかにかかわらず、患者に再導入されたときに、治療用細胞に結合したままになることである。患者が機能的免疫系を有している場合、この免疫系は外来の磁気要素又は蛍光要素を攻撃し、意図しない炎症を患者に引き起こす。
これらの欠点に基づいて、とりわけ、ネガティブ選択を使用してCD34+HSCを単離する別のアプローチが検討されている。ネガティブ選択では、試料からCD34+HSCではない細胞を同定して、除去することが目的である。この様式では、目的の治療用細胞は直接操作されないので、実験室操作の悪影響は低減する。したがって、CD34+HSCのポジティブ選択に取って代わる1つのアイデアが、他の細胞型を除去するネガティブ選択であった。
CD34+HSCの治療用集団を取得するためのネガティブ選択の使用に対する1つの障害は、出発生体試料中に存在する多様な量の細胞型である。各細胞型は、細胞表面でタンパク質の異なるアレイを発現し、細胞型ごとに1つの抗体を使用して、試料からCD34+HSC以外のすべての不要な細胞を除去することは不可能である。したがって、ネガティブ選択はCD34+HSCの直接操作がより少ないという事実にもかかわらず、ポジティブ選択が臨床使用標準のままであった。
臨床においてCD34+HSCのポジティブ選択を使用し続けている間、このアプローチに対する追加の欠点が、特に治療される個々の疾患又は状態に関連して現れてきた。例えば、FAの特徴は、BM不全をもたらすCD34+HSCの加速的な低減である。FA患者のCD34+HSC細胞集団は比較的限られているため、十分な出発CD34+HSCを含む試料を取得することは困難である。出発数が少ないため、処理及び製剤化の際に試料中の既存のCD34+HSCが損傷を受けないことがさらに重要となる。さらに、FA患者での作業において、本明細書でさらに説明する追加の欠点により、CD34+HSCのポジティブ選択に代わるものが必要であることがさらに明らかとなった。
本開示は、CD34+HSCのネガティブ選択を達成するためのシステム及び方法を提供する。このシステム及び方法は、CD34+HSCのポジティブ選択に以前から頼り続けた先行技術の多くの課題に対処する。また、特定の疾患状態におけるCD34+HSCの収集での、これまで知られていなかった新しい課題にも対処する。例えば、CD34+HSC細胞の絶対数が少ないことに加えて、本開示は、FA患者における既存のCD34+HSC細胞の多くは、発現するCD34が比較的少量であることを提示する。CD34の発現レベルが低いということは、CD34シグナルが弱いため、ポジティブ選択の際に同定される細胞が少なくなることを意味する。本開示は、たとえ得られたとしても、特定の治療目的に効果的に使用できるものは、主に大量のCD34を発現するCD34+HSCであることを提供する。さらに、FA患者に由来し得る治療目的のCD34+HSCの画分は非常に脆弱であり、ポジティブ選択の実験室処理により損傷を受けやすい。したがって、特定の患者集団中で最適なCD34+レベルを発現するHSCの数が非常に少ないこと、及びその脆弱性により、ポジティブ選択が課す実験室操作でこれらの既存の細胞を危険にさらさないことが非常に重要になる。
本明細書で開示されるシステム及び方法は、以下によってネガティブ選択から誘導されるCD34+HSCを含む治療用製剤を実現する:(1)CD34+HSCを含む治療用製剤の開発に問題のある細胞を生体試料から同定し、除去する工程;(2)これらの不要な細胞を試料から効率的に除去する細胞表面マーカーの選択された組み合わせを使用する工程、並びに(3)実験室環境においてCD34+HSCの健康と維持を支援する細胞を維持する工程。
利点(1)、「CD34+HSCを含む治療用製剤の開発に問題のある細胞を生体試料から同定し、除去する工程」に関しては、投与用のCD34+HSCの製剤化と、その後の製剤化されたHSCの患者への投与との両方に有害な細胞型が多く存在する。例えば、顆粒球は短命の細胞型である。これらの細胞は、試料の処理と製剤化に必要な期間中に死ぬことが多く、その内容物を治療用製剤中に放出する。その後、治療用製剤が患者に投与されると、顆粒球から放出された細胞内容物が患者の体内で炎症反応を引き起こす可能性がある。
T細胞及びNK細胞は、他の細胞に対して細胞毒性があるため、試料の処理及び製剤化の際に問題となる可能性がある。つまり、CD34+HSCを患者に投与する前に、それらの細胞が治療用CD34+HSCなどの他の有益な細胞を殺す可能性がある。これは、開始時にCD34+HSCの数が少ない、及び/又はそれらが脆弱である生体試料では特に問題となる。
他の細胞型は、対象への投与後に有害になるため、除去することが重要である。例えば、単球は抗原提示細胞である。それらが製剤中に保持され、患者に投与された場合、患者において望ましくない免疫応答及び炎症が引き起こされる。
利点(2)、「不要な細胞を試料から効率的に除去する細胞表面マーカーの選択された組み合わせを使用する工程」に関しては、生体試料内の各細胞型は、細胞表面で別々のタンパク質のアレイを発現し、細胞型ごとに1つの抗体又は結合タンパク質を使用して試料からすべての不要な細胞を除去することは、不可能である。本開示は、細胞を効率的に標的化及び除去して、ネガティブ選択により誘導されるCD34+HSCを含む治療用製剤を取得するために使用できるマーカーの組み合わせを提供する。特定の実施形態では、CD45RAを発現する細胞を標的とし、試料から除去して、ネガティブ選択により得られたCD34+HSCを含む治療用集団を取得する。特定の実施形態では、CD45RA、CD3、CD14、CD16及び/又はCD19を発現する細胞を標的とし、試料から除去して、ネガティブ選択により得られたCD34+HSCを含む治療用集団を取得する。特定の実施形態では、ネガティブ選択は、標的となる不要な細胞の少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%の除去をもたらす。
利点(3)「実験室環境においてCD34+HSCの健康と維持を支援する細胞を維持する工程」に関しては、不要な細胞を除去するマーカーの組み合わせは、CD34+HSCを含む治療用製剤内において他の細胞を保持する能力に基づいて選択された。例えば、間葉系幹細胞(MSC)は、処理中及び投与後のCD34+HSCの健康と機能を促進する。したがって、特定の実施形態では、選択されたマーカーの組み合わせはMSCを除去しない。
開示されたシステム及び方法は、CD34+HSCポジティブ選択に対する臨床的に実行可能な代替手段を提供し、FAのための遺伝子治療の臨床試験などを悩ませてきた血液幹細胞及び前駆細胞の単離における障壁を克服する。初期の血液産物処理の際に利用可能なCD34+HSCを保存するための開示されたアプローチは、FA、並びにSCID、鎌状赤血球症(SCD)及び先天性角化異常症などの直接CD34選択が非効率的であることが証明されている他の疾患を含む特にCD34+HSCの可用性が限られている状況で、自己幹細胞移植、遺伝子治療及び遺伝子編集を改善する。特定の実施形態では、ネガティブ選択の使用は、試料内の出発CD34+HSC集団の少なくとも50%、少なくとも70%、又は少なくとも90%を保存する。特定の実施形態では、CD34+HSCはCD34+、CD45RA−及びCD90+HSCである。
特定の実施形態では、本開示は、ウイルスベクターを利用する遺伝子治療を利用する。
本明細書に提出された図面の多くは、色によりさらによく理解される。出願者は、図面のカラー版を提出物原本の一部とみなし、後の手続きで図面のカラー画像を提示する権利を保有する。
造血幹細胞(HSC)は、白血球及び赤血球などのすべての血球系を生じ得る幹細胞である。造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)は、わずかにより分化の進んだ細胞型を反映しているが、本明細書のHSCの説明の範囲内に含まれる。HSCの治療的投与は、免疫不全疾患、血液疾患、悪性がん、感染症、放射線被曝(例えば、がん治療、偶発的又は攻撃に基づく)などのさまざまな有害な状態の治療に使用することができる。例として、80以上の原発性免疫不全症が、世界保健機関によって認定されている。これらの疾患は、免疫系の内因性欠陥によって特徴付けられ、場合によっては、身体は感染症に対する抗体をまったく、又は十分に産生することができない。他の症例では、感染症と戦うための細胞防御が適切に機能できない。通常、原発性免疫不全は遺伝性障害である。
原発性免疫不全の一例は、ファンコーニ貧血(FA)である。FAは、骨髄(BM)不全を引き起こす遺伝性血液障害である。部分的には、DNA修復機構の不全として特徴付けられる。FA患者の少なくとも20%は、急性骨髄性白血病などのがん、皮膚、肝臓、消化管及び婦人科系のがんを発症する。皮膚及び胃腸の腫瘍は通常、扁平上皮癌である。がんを発症する患者の平均年齢は、白血病では15歳、肝臓腫瘍では16歳、その他の腫瘍では23歳である。
原発性免疫不全の別の例は、重症複合免疫不全(SCID)である。SCIDは、T細胞の欠如、ナチュラルキラー(NK)細胞の欠如及び機能的B細胞の欠如により機能的免疫系の欠如をもたらす遺伝性疾患である。SCIDは多くの場合、例えば、BM移植(BMT)又は遺伝子治療によって免疫系が再構成されない限り、人生の最初の2年間で死に至る。
続発性又は後天性の免疫不全は遺伝性の遺伝子異常の結果ではなく、免疫系が免疫系外の因子によって損なわれている個人に発症する。例としては、外傷、ウイルス、化学療法、毒素及び汚染が挙げられる。後天性免疫不全症候群(AIDS)は、ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる続発性免疫不全障害の例であり、Tリンパ球の枯渇により、身体が感染症と戦うことができなくなる。
臨床環境では、HSCは、HSCを含む生体試料(例えばBM試料)を入手し、この試料を操作して、そこからHSCを取得することにより得られる。HSCは、細胞表面で発現する特定のタンパク質に基づいて、試料内で「同定」することができる。
生体試料からHSCを取得するための現在のゴールドスタンダードは、細胞表面タンパク質のCD34に基づいている。例えば、CD34に結合する抗体を使用することによって、CD34を発現するHSCをポジティブ選択することができる。いくつかの手順では、抗体は、抗体と結合したCD34+HSCを試料の残部から磁気的に分離できるように、磁気要素を含む。他の手順では、抗体は、抗体と結合したCD34+HSCを蛍光活性化セルソーターを使用して試料から分離できるように、蛍光要素を含むことができる。他の手順では、CD34結合抗体のコピーを固体マトリックス(プレートなど)に結合させ、試料を、CD34+HSCが抗体に「捕捉」されるように該固体マトリックス上を通過させることができる。この手順は「パニング」と呼ばれる。
上記の各手順では、CD34+HSCに対するポジティブ選択を使用する。つまり、HSCはCD34の存在(つまり、CD34+)に基づいて同定され、試料の残部から直接分離される。しかし残念ながら、そのような積極的な実験室操作は、細胞を損傷する及び/又は殺す可能性がある。別の欠点は、細胞に結合した抗体が、磁気要素又は蛍光要素に結合しているかどうかにかかわらず、患者に再導入されたときに治療用細胞に結合したままになることである。患者が機能的免疫系を有している場合、この免疫系は外来の磁気要素又は蛍光要素を攻撃し、意図しない炎症を患者に引き起こす。
これらの欠点に基づいて、とりわけ、ネガティブ選択を使用してCD34+HSCを単離する別のアプローチが検討されている。ネガティブ選択では、試料からCD34+HSCではない細胞を同定して、除去することが目的である。この様式では、目的の治療用細胞は直接操作されないので、実験室操作の悪影響が低減する。したがって、CD34+HSCのポジティブ選択に取って代わる1つのアイデアが、他の細胞型を除去するネガティブ選択であった。
CD34+HSCの治療用集団を取得するためのネガティブ選択の使用に対する1つの障害は、出発生体試料中に存在する多様な量の細胞型である。各細胞型は、細胞表面でタンパク質の異なるアレイを発現し、細胞型ごとに1つの抗体を使用して、試料からCD34+HSC以外のすべての不要な細胞を除去することは不可能である。したがって、ネガティブ選択はCD34+HSCの直接操作がより少ないという事実にもかかわらず、ポジティブ選択が臨床使用標準のままであった。
臨床においてCD34+HSCのポジティブ選択を使用し続けている間、このアプローチに対する追加の欠点が、特に治療される個々の疾患又は状態に関連して現れてきた。例えば、FAの特徴は、BM不全をもたらすCD34+HSCの加速的な低減である。FA患者のCD34+HSC細胞集団は比較的限られているため、十分な出発CD34+HSCを含む試料を取得することは困難である。出発数が少ないため、処理及び製剤化の際に試料中の既存のCD34+HSCが損傷を受けないことがさらに重要となる。さらに、FA患者での作業において、本出願においてさらに説明する追加の欠点により、CD34+HSCのポジティブ選択に代わるものが必要であることがさらに明らかとなった。
本開示は、CD34+HSCのネガティブ選択を達成するためのシステム及び方法を提供する。このシステム及び方法は、CD34+HSCのポジティブ選択に以前から頼り続けた先行技術の多くの課題に対処する。また、特定の疾患状態におけるCD34+HSCの収集での、これまで知られていなかった新しい課題にも対処する。例えば、CD34+HSC細胞の絶対数が少ないことに加えて、本開示は、健康なドナーと比較して原発性免疫不全の患者におけるCD34Hi細胞とCD34Lo細胞との比率の改変、及びCD34Hi細胞のみでの排他的なin vitro再増殖能を実証する。例えば、コロニー播種アッセイにより、CD34Hi細胞のみがFA及び健康なドナーの血液産物のin vitroコロニー形成能に寄与することが実証され、これらの患者への遺伝子導入のためのex vivo操作の際に可能な限り多くの利用可能なCD34+細胞が保存される必要性を強調している。
重要なのは、総CD34+細胞数の減少がFAに限定されないことである。ヒドロキシ尿素で治療された鎌状赤血球症(SCD)患者もBM中のCD34+細胞の頻度の減少を示し、血管閉塞の危険性が高まるため、利用可能なCD34+細胞の動員は禁忌である。先天性角化異常症などの他の遺伝性BM不全症候群も、CD34+細胞の異常な頻度と挙動に関連している。多数の疾患標的が遺伝子治療研究に関連する可能性があり、追加の患者集団はCD34+細胞の頻度の変動及び抗原発現を示すことがあり得る。
さらに、FA患者に由来し得る治療目的のCD34+HSCの画分は非常に脆弱であり、ポジティブ選択の実験室処理により損傷を受けやすい。特定の実施形態では、脆弱なCD34+細胞は、ex vivoでの培養及び操作中に、フリーラジカルによって誘発されるDNA損傷に対する感受性が高い。特定の実施形態では、CD34+細胞は、細胞を本明細書に記載の標準メチルセルロースアッセイにより測定した場合に20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、1%未満又はそれ以下のコロニー形成能を有する場合に脆弱である。特定の実施形態では、CD34+細胞は、細胞が本明細書に記載される標準メチルセルロースアッセイにより測定されるコロニー形成能を有さない場合、脆弱である。特定の実施形態では、ex vivoでの培養及び操作によるCD34+細胞のポジティブ選択後に、得られたCD34+細胞がCD34+細胞の総出発量のうちの50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、1%未満、又はそれ以下である場合、CD34+細胞は脆弱である。したがって、特定の患者集団中でこれらの細胞の数が非常に少ないこと、及びその脆弱性により、ポジティブ選択が課す実験室操作でこれらの既存の細胞を危険にさらさないことが非常に重要になる。
本明細書に記載の特定の実施形態は、生体試料からCD34+細胞を間接的に濃縮する、臨床的に実行可能な手順を提供する。特定の実施形態では、この方法は、初期CD34+細胞画分の60%以上を保持しながら、健康なドナー産物から系列+細胞の90%超を効率的に枯渇させ、全有核細胞を1〜2log減少させ、遺伝子導入後の形質導入効率及び細胞生存率を維持する。形質導入系列細胞産物は免疫不全マウスモデルに生着し、同等のCD34+細胞用量で移植した場合、同じドナー由来の精製CD34+細胞のものと同等であった。この新規な選択戦略は、FA−A患者の遺伝子治療研究において規制当局によって承認されている(臨床プロトコル(NCT01331018))。
このシステム及び方法は、以下によってネガティブ選択から誘導されるCD34+HSCの治療用製剤を実現する:(1)さまざまな理由で治療用CD34+HSC細胞の開発に問題のある細胞を生体試料から同定し、除去する工程;(2)不要な細胞を試料から効率的に除去する細胞表面マーカーの選択された組み合わせを使用する工程、並びに(3)実験室環境においてCD34+HSCの健康と維持を支援する細胞を維持する工程。
利点(1)「治療用CD34+HSC細胞の開発に問題のある細胞を生体試料から同定し、除去する工程」に関しては、投与用のCD34+HSCの製剤化と、その後の製剤化されたHSCの患者への投与との両方に有害な細胞型が多く存在する。例えば、顆粒球は短命の細胞型である。これらの細胞は、試料の処理と製剤化に必要な期間中に死ぬことが多く、その内容物を治療用製剤中に放出する。その後、治療用製剤が患者に投与されると、顆粒球から放出された細胞内容物が患者の体内で炎症反応を引き起こす可能性がある。
T細胞及びNK細胞は、他の細胞に対して細胞毒性があるため、試料の処理及び製剤化の際に問題となる可能性がある。つまり、CD34+HSCを患者に投与する前に、それらの細胞が治療用CD34+HSCなどの他の有益な細胞を殺す可能性がある。これは、開始時にCD34+HSCの数が少ない、及び/又はそれらが脆弱である生体試料では特に問題となる。
他の細胞は、対象への投与後に有害になるため、除去することが重要である。例えば、単球は抗原提示細胞である。それらが製剤中に保持され、患者に投与された場合、患者において望ましくない免疫応答及び炎症が引き起こされる。
特定の実施形態は、生体試料からB細胞、T細胞、単球、マクロファージ、顆粒球及びNK細胞(合せて不要な細胞)を枯渇させる工程を含む。特定の実施形態では、ネガティブ選択は、不要な細胞の少なくとも70%の減少、不要な細胞の少なくとも80%の減少、又は不要な細胞の少なくとも90%の減少をもたらす。特定の実施形態では、「選択された不要な細胞」は、不要な細胞の特定のサブセットを指し得る。特定の実施形態では、ネガティブ選択は、CD3+細胞の少なくとも70%の減少、CD3+細胞の少なくとも80%の減少、又はCD3+細胞の少なくとも90%の減少をもたらす。特定の実施形態では、ネガティブ選択は、CD14+細胞の少なくとも70%の減少、CD14+細胞の少なくとも80%の減少、又はCD14+細胞の少なくとも90%の減少をもたらす。特定の実施形態では、ネガティブ選択は、CD16+細胞の少なくとも70%の減少、CD16+細胞の少なくとも80%の減少、又はCD16+細胞の少なくとも90%の減少をもたらす。特定の実施形態では、ネガティブ選択は、CD19+細胞の少なくとも70%の減少、CD19+細胞の少なくとも80%の減少、又はCD19+細胞の少なくとも90%の減少をもたらす。特定の実施形態では、ネガティブ選択は、CD3+及びCD14+細胞の少なくとも70%の減少、CD3+及びCD14+細胞の少なくとも80%の減少、又はCD3+及びCD14+細胞の少なくとも90%の減少をもたらす。特定の実施形態では、ネガティブ選択は、CD3+及びCD16+細胞の少なくとも70%の減少、CD3+及びCD16+細胞の少なくとも80%の減少、又はCD3+及びCD16+細胞の少なくとも90%の減少をもたらす。特定の実施形態では、ネガティブ選択は、CD3+及びCD19+細胞の少なくとも70%の減少、CD3+及びCD19+細胞の少なくとも80%の減少、又はCD3+及びCD19+細胞の少なくとも90%の減少をもたらす。特定の実施形態では、ネガティブ選択は、CD14+及びCD16+細胞の少なくとも70%の減少、CD14+及びCD16+細胞の少なくとも80%の減少、又はCD14+及びCD16+細胞の少なくとも90%の減少をもたらす。特定の実施形態では、ネガティブ選択は、CD14+及びCD19+細胞の少なくとも70%の減少、CD14+及びCD19+細胞の少なくとも80%の減少、又はCD14+及びCD19+細胞の少なくとも90%の減少をもたらす。特定の実施形態では、ネガティブ選択は、CD16+及びCD19+細胞の少なくとも70%の減少、CD16+及びCD19+細胞の少なくとも80%の減少、又はCD16+及びCD19+細胞の少なくとも90%の減少をもたらす。特定の実施形態では、ネガティブ選択は、CD3+、CD14+及びCD16+細胞の少なくとも70%の減少、CD3+、CD14+及びCD16+細胞の少なくとも80%の減少、又はCD3+、CD14+及びCD16+細胞の少なくとも90%の減少をもたらす。特定の実施形態では、ネガティブ選択は、CD3+、CD14+及びCD19+細胞の少なくとも70%の減少、CD3+、CD14+及びCD19+細胞の少なくとも80%の減少、又はCD3+、CD14+及びCD19+細胞の少なくとも90%の減少をもたらす。特定の実施形態では、ネガティブ選択は、CD14+、CD16+及びCD19+細胞の少なくとも70%の減少、CD14+、CD16+及びCD19+細胞の少なくとも80%の減少、又はCD14+、CD16+及びCD19+細胞の少なくとも90%の減少をもたらす。特定の実施形態では、ネガティブ選択は、CD3+、CD14+、CD16+及びCD19+細胞の少なくとも70%の減少、CD3+、CD14+、CD16+及びCD19+細胞の少なくとも80%の減少、又はCD3+、CD14+、CD16+及びCD19+細胞の少なくとも90%の減少をもたらす。
利点(2)、「不要な細胞を試料から効率的に除去する細胞表面マーカーの選択された組み合わせを使用する工程」に関しては、生体試料内の各細胞型は、細胞表面でタンパク質の異なるアレイを発現し、細胞型ごとに1つの抗体を使用して、試料からすべての不要な細胞を除去することは不可能である。本開示は、不要な細胞を効率的に標的化及び除去して、ネガティブ選択により誘導されるCD34+HSCの治療用製剤を取得するために使用できるマーカーの組み合わせを提供する。
特定の実施形態では、CD45RAを発現する細胞を標的とし、試料から除去して、ネガティブ選択により得られた治療用CD34+HSC集団を取得する。特定の実施形態では、CD45RA及びCD3を発現する細胞を標的とし、試料から除去して、ネガティブ選択により得られた治療用CD34+HSC集団を取得する。特定の実施形態では、CD45RA及びCD14を発現する細胞を標的とし、試料から除去して、ネガティブ選択により得られた治療用CD34+HSC集団を取得する。特定の実施形態では、CD45RA及びCD16を発現する細胞を標的とし、試料から除去して、ネガティブ選択により得られた治療用CD34+HSC集団を取得する。特定の実施形態では、CD45RA及びCD19を発現する細胞を標的とし、試料から除去して、ネガティブ選択により得られた治療用CD34+HSC集団を取得する。特定の実施形態では、CD3、CD14、CD16及び/又はCD19のうちの1以上を発現する細胞を標的とし、試料から除去して、ネガティブ選択により得られた治療用CD34+HSC集団を取得する。特定の実施形態では、CD3、CD14及びCD19を発現する細胞を標的とし、試料から除去して、ネガティブ選択により得られた治療用CD34+HSC集団を取得する。特定の実施形態では、CD3、CD14、CD16及びCD19を発現する細胞を標的にして試料から除去し、ネガティブ選択により得られた治療用CD34+HSC集団を取得する。
利点(3)「実験室環境においてCD34+HSCの健康と維持を支援する細胞を維持する工程」に関しては、不要な細胞を除去するマーカーの組み合わせは、ネガティブ選択により誘導されるCD34+HSCの治療用製剤内において他の細胞を保持する能力に基づいて選択される。特定の実施形態では、特にBM由来産物の場合、本明細書で開示されるシステム及び方法は、間葉系幹細胞(MSC)を枯渇させるマーカーを含まない。MSCは、処理中及び投与後のCD34+HSCの健康と機能を促進することができる。したがって、特定の実施形態では、選択されたマーカーの組み合わせはMSCを除去しない。
以下の項では、ネガティブ選択により誘導されるCD34+HSCの治療用製剤の製造を支援するための情報及び手順について記載する:(i)HSC源;(ii)末梢血(PB)の動員;(iii)CD34+HSC集団及びアクセサリー細胞を取得するためのネガティブ選択;(iv)ネガティブ選択されたCD34+HSC集団の遺伝子改変;(v)細胞製剤;(vi)使用方法;(vii)対照集団から誘導された参照レベル;並びに(viii)キット。
(i)HSC源。特定の実施形態では、HSC及びHSPCは、本明細書で互換的に使用される。特定の実施形態では、HSCはCD34+CD45RA−CD90+HSCである。HSC源としては、臍帯血、胎盤血、BM及びPBが挙げられる(US5004681、US7399633及びUS7147626を参照されたい)。HSCのさらなる供給源としては、胎児肝、胚性幹細胞(ESC)、HSCに分化可能な人工多能性幹細胞、大動脈−性腺−中腎由来細胞、並びに適切な年齢のドナーからのリンパ、肝臓、胸腺及び脾臓が挙げられる。血液及び組織試料の収集、抗凝固及び処理などに関する方法は、当技術分野において周知である。収集されたすべてのHSC供給源は、その時点で承認されている現在の基準に従って、不要な成分についてスクリーニングし、廃棄、処理又は使用することができる。
BMが生体試料である場合、BMは針穿刺吸引により後腸骨稜から取得することができる。特定の実施形態では、ネガティブ選択の前に、BM試料をN−アセチルシステイン(NAC)補填細胞培養培地で希釈して、25%以下のヘマトクリット値を得ることができる。
(ii)末梢血(PB)の動員。BM採取を行うための外科的処置を避けるために、PBからHSCを採取するアプローチが開発されている。動員は、収集のためにHSCがBMニッチからPBへと刺激される方法である。動員は、PB内でのHSCの増殖の促進にもつながり得る。したがって、動員により、PB内のHSCの頻度の増加、HSC収集の目標値に達するためのアフェレーシスの日数の最小化、ドナーの不快感の最小化が可能になる。
特定の実施形態では、PB試料を取得する前に、患者は、指定数のCD34+HSCがPB中を循環していることが検出されるまで動員される。特定の実施形態では、指定数は8細胞/μL以上、9細胞/μL以上又は10細胞/μL以上である。特定の実施形態では、患者は5、6又は7日間動員される。
特定の実施形態では、患者は6日間動員される。1〜6日目に、患者は顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF、フィルグラスチム)を16μg/kgの用量で皮下投与される。4〜6日目に、患者はCXCR4アンタゴニストのプレリキサフォル(AMD3100としても知られている)を240μg/kgの用量で皮下投与される。
特定の実施形態では、G−CSFを単一薬剤として投与し、次いでAMD3100を同時投与することができる。特定の実施形態では、治療プロトコルには6日間の治療が含まれ、G−CSFを1日目、2日目、3日目及び4日目に投与することができ、5日目に、PB収集の6〜8時間前にG−CSF及びAMD3100が投与される。
特定の実施形態では、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)を単一薬剤として投与し、次いでAMD3100を同時投与することができる。特定の実施形態では、治療プロトコルには5日間の治療が含まれ、GM−CSFを1日目、2日目、3日目及び4日目に投与することができ、5日目に、PB収集の6〜8時間前にGM−CSF及びAMD3100が投与される。
PBからのHSPCは、対象の静脈に挿入された注射器又はカテーテルを介して血液から収集することができる。例えば、PBはアフェレーシス装置を使用して収集することができる。血液は静脈からカテーテルを通ってアフェレーシス装置に流れ込み、HSPCを含む白血球を血液の残部から分離し、その後残りの血液を対象の体に戻す。アフェレーシスは、十分なHSPCが収集されるまで、数日間(例えば、1〜5日間)実行することができる。
特定の実施形態では、循環CD34+細胞が10細胞/μL以上であるときに出発して、大量白血球除去療法が2日間にわたって実施される。初日、得られた試料は、自己血漿試料で200×106細胞/mL以下の濃度に希釈される。2日目に、得られた試料は最初の試料と一緒にプールされる。プールの前又は後に、試料を洗浄して血小板を除去する。特定の実施形態では、大量白血球除去療法は、ドナー又は患者の3〜6総血液量(TBV)を処理することを指す。特定の実施形態では、大量白血球除去療法は、ドナー又は患者の3TBV以上を処理することを指す。特定の実施形態では、大量白血球除去療法は、ドナー又は患者の4TBV以上を処理することを指す。特定の実施形態では、大量白血球除去療法は、ドナー又は患者の5TBV以上を処理することを指す。特定の実施形態では、大量白血球除去療法は、より大量の血液の処理、血流量の増加、ヘパリン抗凝固剤の追加及び/又は長期間の手順により、標準容量の白血球除去療法とは異なる。特定の実施形態では、本開示のシステム及び方法は、標準容量白血球除去療法を使用することができる。
本開示内で、動員は、対象のPB内を循環するHSCの数を増加させる、本明細書に記載の、又は当技術分野で公知の任意の(1以上の)薬剤で対象を処置することにより実施することができる。一般的に使用される動員剤としては、G−CSF、GM−CSF及びAMD3100が挙げられる。
G−CSFはサイトカインであり、HSPC動員におけるその機能としては、顆粒球拡大の促進、接着分子のプロテアーゼ依存性及び非依存性の減衰、SDF−1/CXCR4軸の破壊が挙げられる。特定の実施形態では、任意の市販の形態のG−CSFを使用することができる(例えば、Neupogen(R)及び/又はNeulasta(R)、Amgen Inc.,Thousand Oaks、カリフォルニア)。特定の実施形態では、G−CSFは配列番号1〜4のいずれかを含むことができる。特定の実施形態では、G−CSFの有効量には0.1μg/kg〜100μg/kgが含まれる。特定の実施形態では、G−CSFの有効量には、0.5μg/kg、1μg/kg、2μg/kg、3μg/kg、4μg/kg、5μg/kg、6μg/kg、7μg/kg、8μg/kg、9μg/kg、10μg/kg、11μg/kg、12μg/kg、13μg/kg、14μg/kg、15μg/kg、16μg/kg、17μg/kg、18μg/kg、19μg/kg又は20μg/kg。が含まれる。特定の実施形態では、G−CSFの有効量には16μg/kgが含まれる。
GM−CSFはコロニー刺激因子2(CSF2)としても知られる単量体の糖タンパク質で、サイトカインとして機能し、マクロファージ、T細胞、マスト細胞、NK細胞、内皮細胞及び線維芽細胞によって自然に分泌される。特定の実施形態では、任意の市販の形態のGM−CSFを使用することができる(例えば、サルグラモスチム(Leukine、Bayer Healthcare Pharmaceuticals、Seattle、WA)及びモルグラモスチム(Schering−Plough、Kenilworth、NJ))。特定の実施形態では、GM−CSFは配列番号5を含むことができる。投与するGM−CSFの有効量には、例えば0.1〜50μg/kg又は0.5〜30μg/kgの範囲の用量が含まれ得る。
AMD3100(プレリキサフォルとしても知られている;UMK121、AMD3000、GZ 316455、GZ316455、JM3100及びSDZSID791)は、ビシクラムクラスの合成有機分子である。これはケモカイン受容体拮抗薬で、SDF−1のCXCR4への結合を可逆的に阻害し、HSPCの動員を促進する。AMD3100は、骨髄腫及びリンパ腫患者のHSPC動員のためにG−CSFと組み合わせて使用することが承認されている。AMD3100の構造は以下のとおりである:
特定の実施形態では、AMD3100の有効量には0.1mg/kg〜100mg/kgが含まれる。特定の実施形態では、AMD3100の有効量には、100μg/kg、150μg/kg、200μg/kg、250μg/kg、300μg/kg、又は350μg/kgが含まれる。特定の実施形態では、AMD3100の有効量は240μg/kgである。
幹細胞因子(SCF;KITリガンド、KL、c−kitリガンド、マスト細胞成長因子又はスチール因子(steel factor)としても知られる)は、c−kit受容体(CD117)に結合するサイトカインである。SCFは、膜貫通タンパク質及び可溶性タンパク質の両方として存在することができる。このサイトカインは、造血、精子形成及びメラニン形成に重要な役割を果たす。特定の実施形態では、任意の市販の形態のSCFを使用することができる(例えば、Ancestim、Stemgen(R)、Amgen Inc.,Thousand Oaks、カリフォルニア)。特定の実施形態では、SCFは配列番号6を含むことができる。投与するSCFの有効量には、例えば0.1〜100μg/kg又は0.5〜50μg/kgの範囲の用量が含まれ得る。
特定の実施形態では、インターロイキン(IL)−1、IL−7、IL−8、IL−11、Flt3リガンド又はトロンボポエチン(TPO)から選択される1以上のサイトカイン又は成長因子で対象を処置することによってPBを動員することができる。特定の実施形態では、1以上のケモカイン(例えば、マクロファージ炎症性タンパク質−1α(MIP1α))、ケモカイン受容体リガンド(例えば、GROβ及び/又はGROβΔ4(King et al.(2001)Blood 97:1534−1542))及び/又はケモカイン受容体類似体(例えば、間質細胞由来因子−1α(SDF−1α))で対象を処置することによりPBを動員することができる。
特定の実施形態では、1以上の抗インテグリンシグナル伝達薬で対象を処置することによりPBを動員することができる。抗インテグリンシグナル伝達薬としては、抗超後期抗原4(VLA−4)阻害剤又は抗体(例えば、ナタリズマブ(Zohren et al.(2008)Blood 111:3893−3895));BIO5192(Ramirez et al.(2009)Blood 114:1340−1343);抗血管細胞接着分子1(VCAM−1);α4β1及びα4β7インテグリン阻害剤、α4β1/7(Kim et al.(2016)Blood 128:2457−2461);ベドリズマブ(Rosario et al.(2016)Clin Drug Investig 36:913−923);及びN−(ベンゼンスルホニル)−L−プロリル−L−O−(1−ピロリジニルカルボニル)チロシン(Cao et al.(2016)Nat Commun 7:11007)が挙げられる。
特定の実施形態では、シクロホスファミド、エトポシド、イホスファミド、シスプラチン、シタラビン及び/又はパクリタキセルなどの化学療法剤を動員因子として使用することができる。
特定の実施形態では、1以上の動員因子を皮下又は静脈内に投与することができる。特定の実施形態では、1以上の動員因子を、1日、連続2日、連続3日、連続4日、連続5日、連続6日又はそれ以上にわたって投与することができる。特定の実施形態では、1以上の動員因子を、指定数のCD34+HSCがPB中を循環するまで投与することができる。
PB動員に関する追加の情報及び選択肢については、Richter et al.(2017)Transfus Med Hemother 44:151−164;Bendall & Bradstock(2014)Cytokine & Growth Factor Reviews 25:355−367;Craddock et al.,1997,Blood 90(12):4779−4788;Jin et al.,2008,Journal of Translational Medicine 6:39;Pelus,2008,Curr.Opin.Hematol.15(4):285−292;Papayannopoulou et al.,1998,Blood 91(7):2231−2239;Tricot et al.,2008,Haematologica 93(11):1739−1742;Weaver et al.,2001,Bone Marrow Transplantation 27(2):S23−S29);WO2003/043651;WO2005/017160;WO2011/069336;US5637323;US7288521;US9782429;US2002/0142462;及びUS2010/02268を参照されたい。
(iii)CD34+HSC集団及びアクセサリー細胞を取得するためのネガティブ選択。特定の実施形態では、ネガティブ選択を妨げる可能性のある汚染細胞集団を除去することが重要である。例えば、生体試料がBMである場合、ネガティブ選択の前に赤血球(RBC)を除去することができる。RBCは、界面活性剤使用する溶解、ヘタスターチ、ヘタスターチ及び遠心分離、細胞洗浄、細胞洗浄及び密度勾配、フィコール・ハイパック、Sepx、Optipress、フィルター並びにHSC細胞の製造及び/又は研究及び治療目的の遺伝子治療の両方に使用されている他のプロトコルによって除去することができる。特定の実施形態は、ヘタスターチ沈降を利用してRBCを枯渇させる。例えば、Rubinstein,et al.(1995).Proc−Natl−Acad−Sci−USA 92(22):10119−22を参照されたい。特定の実施形態では、ヘタスターチ沈降は、1mM NACを補填した0.9%NaCl中6%のHESをヘマトクリット値が25%以下の血液又は骨髄試料に加え、30分以上沈降させる工程、及びRBC層を除去する工程を含み得る。特定の実施形態では、沈降は、CliniMACS Prodigy(商標)装置(Miltenyi Biotec GmbH、Auburn、カリフォルニア)を用いて実施される。
動員されたPBが生体試料として使用される場合、血小板は、ネガティブ選択の前に、例えば血小板洗浄により除去することができる。特定の実施形態では、血小板洗浄は、血液試料のフィコール・パック密度勾配遠心分離から得られたバフィーコート(白血球及び血小板)に対して室温で低速回転(120g〜400g)を実施する工程、血小板が豊富な上清を除去及び廃棄する工程、細胞ペレットを培養培地又は緩衝液(例えばPBS)などの新しい緩衝液に再懸濁する工程、並びにこれらの工程を少なくとも2回繰り返し、合計で3回以上洗浄する工程を含み得る。特定の実施形態では、血小板洗浄は、CliniMACS Prodigy(商標)装置(Miltenyi Biotec GmbH、Auburn、カリフォルニア)を用いて実施される。特定の実施形態では、血小板洗浄は、最初のバフィーコート工程なしで白血球除去産物に対して行うことができる。特定の実施形態では、血小板洗浄は、白血球除去産物に対して室温で低速回転(120g〜400g)を実施する工程、血小板が豊富な上清を除去及び廃棄する工程、細胞ペレットを培養培地又は緩衝液(例えばPBS)などの新しい緩衝液に再懸濁する工程、並びにこれらの工程を少なくとも2回繰り返し、合計で3回以上洗浄する工程を含み得る。
CD34、CD45RA、CD3、CD14、CD16及びCD19に関しては、当業者によって理解されている。他の読者にとって、CD(表面抗原分類(clusters of differentiation))抗原は、細胞の表面に発現されるタンパク質であり、特異的結合タンパク質(例えば、抗体又はその結合断片)を介して検出可能である。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD抗原をコードする配列及びCD抗原の配列は、配列番号7〜30であり得る。CD34は、BM細胞の1〜4%に発現される高度にグリコシル化されたI型膜貫通タンパク質である。CD45RAはフィブロネクチンIII型に関連し、分子量205〜220kDaを有し、B細胞、ナイーブT細胞及び単球上に発現される。CD3は、細胞傷害性T細胞(CD8+ナイーブT細胞)とTヘルパー細胞(CD4+ナイーブT細胞)との両方の活性化を助けるT細胞共受容体である。CD3には、成熟T細胞の表面に発現される、4つの異なる鎖を含むタンパク質複合体が含まれる。哺乳動物では、この複合体にはCD3γ鎖、CD3δ鎖及び2つのCD3ε鎖が含まれる。これらの鎖は、T細胞受容体(TCR)及びζ鎖(ゼータ鎖)と結合して、T細胞で活性化シグナルを生成する。TCR、ζ鎖及びCD3分子が一緒になってTCR複合体を構成する。CD14は先天性免疫系の成分であり、病原体関連分子パターンを認識する機能を果たし、Toll様受容体4(TLR4)及びMD2(リンパ球抗原96)の共受容体として作用して、リポ多糖(LPS)及びリポテイコ酸などの細菌性リガンドと結合する。CD14は、グリコシルホスファチジルイノシトールの尾部を介した膜固定型(mCD14)と、mCD14の脱落後に現れる(48kDa)か、若しくは細胞内小胞から直接分泌される(56kDa)可溶性型(sCD14)との2つの形態で存在する。CD14は主にマクロファージによって発現され、その発現は好中球、樹状細胞、及び腸細胞(腸管吸収細胞)においても見出される。CD16は、NK細胞、好中球多形核白血球、単球及びマクロファージの表面において見出されるIII型Fcγ膜受容体(FcγRIII)である。CD16はIgG抗体のFc部分に結合でき、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)に関与している。CD16は、CD16a(FcγRIIIa)とCD16b(FcγRIIIb)との2つの形態で存在する。CD19は膜貫通タンパク質であり、ヒトでは形質細胞を除くすべてのB系列細胞及び濾胞樹状細胞において発現される。ヒトB細胞では、CD19はアダプタータンパク質として作用して細胞質シグナル伝達タンパク質を膜に動員することができ、CD19/CD21複合体で機能してB細胞受容体シグナル伝達経路の閾値を下げることもできる。すべてのB細胞に存在するため、CD19はB細胞発生のバイオマーカーである。
選択された各CDマーカーに対する抗体は市販されており、当業者には公知である。例えば、CD45RAに対するヒト抗体としては、クローン5H9(BD Horizon、San Jose、カリフォルニア)、クローンJS−83(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)、クローンHI100(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)及び抗CD45RA[MEM−56](Abcam、Cambridge、MA)が挙げられる。CD3に対するヒト抗体としては、クローンUCHT1(BD Biosciences、San Jose、カリフォルニア)、クローンSK7(Biolegend、San Diego、カリフォルニア)、クローンOKT3(Biolegend、San Diego、カリフォルニア)及びクローンCD3−12(Bio−Rad、Hercules、カリフォルニア)が挙げられる。CD14に対するヒト抗体としては、クローン61D3(Thermo Fisher Scientific、Pittsburgh、ペンシルバニア)、クローンHCD14(Biolegend、San Diego、カリフォルニア)、クローン63D3(Biolegend、San Diego、カリフォルニア)及びクローンM5E2(Biolegend、San Diego、カリフォルニア)が挙げられる。CD16に対するヒト抗体としては、クローン3G8(BD Biosciences、San Jose、カリフォルニア)、クローンLNK16(Bio−Rad、Hercules、カリフォルニア)、クローンDJ130c(Bio−Rad、Hercules、カリフォルニア)及びクローンKD1(Bio−Rad、Hercules、カリフォルニア)が挙げられる。CD 19に対するヒト抗体としては、クローン4G7(BD Pharmingen、San Diego、カリフォルニア)、クローンHIB19(Biolegend、San Diego、カリフォルニア)、クローンLT19(Bio−Rad、Hercules、カリフォルニア)及びクローンFMC63(Millipore Sigma、Burlington、MA)が挙げられる。実施例1に詳述されているように、さらなる実験作業のためのマウス抗体も利用可能である。
除去のために選択されたマーカーの組み合わせに応じて、選択された不要な細胞を、任意の適切な技術を使用して試料から除去することができる。適切な収集及び単離手順としては、磁気分離(例えば、抗体でコーティングされた磁気ビーズを使用);蛍光活性化細胞選別(FACS);フルオロフォア発現に基づくナノ選別;アフィニティークロマトグラフィー;モノクローナル抗体に結合した、又はモノクローナル抗体と組み合わせて使用される細胞傷害剤、例えば補体及び細胞毒;固体マトリックスに結合された結合タンパク質(例えば、抗体又はその結合断片)による「パニング」;大豆などのレクチンを使用した選択的凝集;又はこれらの技術の組み合わせなどが挙げられる。
特定の実施形態では、生体試料を処理して、磁性粒子に直接又は間接的に結合したCD45RA、CD3、CD14、CD16及び/又はCD19の1以上に対する適切な結合タンパク質を、磁気細胞分離器、例えば、CliniMACS(R)Cell Separation System(Miltenyi Biotec、Bergisch Gladbach、Germany)と組み合わせて使用して、選択した不要な細胞を除去することができる。CliniMACS(R)Cell Separation Systemは、特異的モノクローナル抗体に結合した酸化鉄及びデキストランで構成されるナノサイズの超常磁性粒子を用いる。CliniMACS(R)Cell Separatorは、単回使用の使い捨てチューブセットを備えた密閉滅菌システムである。使い捨てセットは、単一の生体試料を処理して、選択された不要な細胞を除去するために使用し、その後廃棄することができる。
特定の実施形態では、細胞集団は、側方散乱チャネル(SSC)輝度及び前方散乱チャネル(FSC)輝度に基づく細胞の光散乱特性に基づいて除去することができる。側方散乱とは、フローサイトメトリーで測定された、直交方向(レーザー光源の方向から90°)に散乱される光の量を指す。前方散乱は、光源の方向から概して90°未満で散乱される光の量を指す。一般に、細胞の粒度が増加すると、側方散乱が増加し、細胞の直径が増加すると、前方散乱が増加する。
側方散乱と前方散乱は、光の強度として測定される。当業者は、側方散乱の量はユーザー定義の設定により差異を生じさせることが可能であることを認識している。特定の実施形態では、低(lo)側方散乱は、フローサイトメーターの側方散乱チャネルにおいて50%未満の強度、40%未満の強度、30%未満の強度、又はさらに低い強度を指す。逆に、高(hi)側方散乱細胞は、低側方散乱ではない細胞の相反集団である。前方散乱は、側方散乱と同じ様式で定義されるが、光は前方散乱チャネルで収集される。したがって、特定の実施形態は、細胞表面マーカー(CDマーカー)とこれらの細胞の関連する光散乱特性との正確な組み合わせに基づく細胞集団の除去を含む。
「hi」、「int」、「lo」、「+」及び「−」が、ネガティブ又は他の集団に対するシグナルの強度を指すことは、フローサイトメトリーの当業者によって理解されている。特定の実施形態では、ポジティブ発現(+)は、マーカーがフローサイトメトリーを使用して細胞上で検出可能であることを意味する。特定の実施形態では、ネガティブ発現(−)は、マーカーがフローサイトメトリーを使用して検出できないことを意味する。特定の実施形態では、「hi」は、目的のマーカーのポジティブ発現が、(例えばFACSを使用して)蛍光により測定した場合に他のポジティブな発現の細胞よりも明るいことを意味する。これらの実施形態では、当業者は、明るさが検出の閾値に基づいていることを認識している。一般的に、当業者はまずネガティブ対照チューブを分析し、FSC及びSSCによって目的の集団の周囲にゲート(ビットマップ)を設定し、光電子増倍管の電圧と所望の発光波長における蛍光の増加を、ネガティブ対照では、97%の細胞が蛍光マーカーで染色されていないように見えるように調整する。これらのパラメーターが確立されると、染色細胞を検出及び/又は除去できる。特定の実施形態では、典型的なFACSプロットの表示では、hiは最も右端(x線)又は最上部の最上線(右又は左上方)を意味し、loは左下象限内又は右象限と左象限の中間(ただし、ネガティブ集団に対してシフトしている)を意味する。特定の実施形態では、「hi」は、+細胞と比較して検出可能な蛍光の増加が20倍超の+、30倍超の+、40倍超の+、50超の+、60倍超の+、70倍超の+、80倍超の+、90倍超の+、100倍超の+、又はそれ以上を指す。逆に、「lo」は、「hi」と定義された集団の相反集団を指す。
任意選択的に、選択された不要な細胞を除去する前に、生体試料のアリコートを、全有核細胞数及び/又はCD34+含有量について確認することができる。特定の実施形態では、選択された不要な細胞の除去後、CD34+HSCが回収される。特定の実施形態では、CD34+HSCはCD34+、CD45RA−、CD90+HSCである。
ネガティブ選択により誘導されたCD34+HSC試料は、その後処理することができる。特定の実施形態では、CD34+HSCの処理は、RetroNectin(商標)(Takara Bio USA、Mountain View、カリフォルニア)でコーティングされた培養フラスコにおいて、4μg/mLの硫酸プロタミン;100ng/mLのヒトSCF;100ng/mLのTPO;100ng/mLのFlt−3リガンド;及び1mMのNACを補填したStemSpan(商標)(StemCell Technologies、Vancouver、British Columbia)培地中1×106細胞/mL及び2.9×105細胞/cm2の密度でCD34+HSCを培養する工程を含む。
特定の実施形態では、CD34+HSCの処理は、輸送又は保存のために適切な細胞培養培地中でCD34+HSCを培養する工程を含む。特定の実施形態では、細胞培養培地は、IL−3、IL−6、TPO、Flt−3L及びSCFを補填したSTEMSPAN(商標)無血清増殖培地からなる。
特定の実施形態では、HSC増殖を実施することができる。増殖は、1以上の成長因子、例えば、アンジオポエチン様タンパク質(Angptl、例えば、Angptl2、Angptl3、Angptl7、Angpt15及びMfap4)、エリスロポエチン、線維芽細胞成長因子−1(FGF−1)、FLT3−L、G−CSF、GM−CSF、インスリン成長因子−2(IFG−2)、IL−3、IL−6、IL−7、IL−11、SCF、TPO、及びそれらの類似体の存在下で生じ得る(類似体には、天然に存在する成長因子の生物学的活性を有する成長因子の任意の構造的変異体が含まれる;例えば、WO2007/1145227及びUS2010/0183564を参照されたい)。明確にするために、成長因子剤を動員剤として使用することもできる。特定の実施形態は、SCF、TPOとFLT3−L、又はSCFとIL−3、又は成長因子の他の組み合わせのいずれかが補填されたHSC支援培地(例えば、StemSpan)での増殖を利用する。
特定の実施形態では、HSCを増殖させるために適した成長因子のタイプ、量及び/又は濃度は、増殖を促進するのに有効な量又は濃度である。HSC集団は、好ましくは、ヒト対象への少なくとも1回の注入を提供するのに十分な細胞数、典型的には約104細胞/kg〜109細胞/kgが得られるまで増殖させる。
HSCの増殖に適した成長因子の量又は濃度は、成長因子調製物の活性、及び成長因子とHSCの間の種の対応などに依存する。一般に、(1以上の)成長因子とHSCとが同じ種の場合、培養培地中の成長因子の総量は1ng/ml〜5μg/ml、5ng/ml〜1μg/ml又は5ng/ml〜250ng/mlの範囲である。さらなる実施形態では、成長因子の量は、5〜1000又は50〜100ng/mlの範囲であり得る。
培養中のHSCを増殖及び/又は維持するための追加の方法は、StemSpan SFEM又はACF培地(両方ともStem Cell Technologies製)又はXVivo培地タイプ(Lonza)などの市販の基礎培地の1以上に、下記の1以上を補填したものが利用できる:サイト/ケモカイン(例えば、G−CSF、SCF、TPO、FLT3−L、IL−3、IL−6);アリール炭化水素受容体拮抗薬などの小分子(例えば、StemRegenin1(フェノール、4−[2−[[2−ベンゾ[b]チエン−3−イル−9−(1−メチルエチル)−9H−プリン−6−イル]アミノ]エチル]);GNF351(N−(2−(3H−インドール−3−イル)エチル)−9−イソプロピル−2−(5−メチル−3−ピリジル)−7H−プリン−6−アミン、N−(2−(1H−インドール−3−イル)エチル)−9−イソプロピル−2−(5−メチルピリジン−3−イル)−9H−プリン−6−アミン);CH223191(1−メチル−N−[2−メチル−4−[2−(2−メチルフェニル)ジアゼニル]フェニル−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド)、ピリミドインドール誘導体(例えば、UM171(1r,4r)−N1−(2−ベンジル−7−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−9H−ピリミド[4,5−b]インドール−4−イル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン);UM729(メチル4−((3−(ピペリジン−1−イル)プロピル)アミノ)−9H−ピリミド[4,5−b]インドール−7−カルボキシレート);UM118428(トラニルシプロミンHCl、(トランス−2−フェニルシクロプロピルアミン塩酸塩))及びグルココルチコイド受容体拮抗薬(例えば、ミフェプリストン(RU−486)、RU−43044、ミコナゾール、11−オキサコルチゾール、11−オキサプレドニゾロン、メシル酸デキサメタゾン)。利用できる追加の薬剤には、硫酸プロタミン、ラパマイシン、ポリブレン、フィブロネクチン断片、プロスタグランジン又は非ステロイド性抗炎症薬(例えば、セレコキシブ、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダク及びトルメチン)が含まれる。内皮細胞の共培養も使用することができる。
(iv)ネガティブ選択されたCD34+HSC集団の遺伝子改変。ネガティブ選択されたCD34+HSC集団は、例えば研究及び/又は治療目的のために遺伝子改変することができる。特定の実施形態では、ネガティブ選択されたCD34+HSC集団は、治療用遺伝子を含むように、及び/又は治療用遺伝子産物を産生するように遺伝子改変することができる。
特定の実施形態では、遺伝子とは、1以上のタンパク質のすべて又は一部を含み、例えば、遺伝子発現の条件を決定するプロモータ配列などの制御(非転写)DNAを含むことができる特定のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを指す。遺伝子の転写領域は、イントロン、5’−非翻訳領域(UTR)及び3’−UTR並びにコード配列を含む非翻訳領域を含んでもよい。特定の実施形態では、遺伝子は、エンハンサー、コザック配列、ポリアデニル化シグナル、制限酵素部位、マルチクローニング部位、内部リボソーム進入部位(IRES)、リコンビナーゼ認識部位(例えば、LoxP、FRT及びAtt部位)、終止コドン、転写終結シグナル及びエピトープタグを含むことができる。
免疫不全を治療するための治療用の遺伝子及び/又は遺伝子産物の特定の例としては、以下を含むFA関連遺伝子を挙げることができる:FancA、FancB、FancC、FancD1(BRCA2)、FancD2、FancE、FancF、FancG、FancI、FancJ(BRIP1)、FancL、FancM、FancN(PALB2)、FancO(RAD51C)、FancP(SLX4)、FancQ(ERCC4)、FancR(RAD51)、FancS(BRCA1)、FancT(UBE2T)、FancU(XRCC2)、FancV(MAD2L2)及びFancW(RFWD3)。FAに関連する例示的な遺伝子及びタンパク質としては以下のものが挙げられる:ホモサピエンスFANCAコード配列(配列番号31);ホモサピエンスFANCCコード配列(配列番号32);ホモサピエンスFANCEコード配列(配列番号33);ホモサピエンスFANCFコード配列(配列番号34);ホモサピエンスFANCGコード配列(配列番号35);ホモサピエンスFANCA AA(配列番号36);ホモサピエンスFANCC AA(配列番号37);ホモサピエンスFANCE AA(配列番号38);ホモサピエンスFANCF AA(配列番号39);及びホモサピエンスFANCG AA(配列番号40)。
免疫不全を治療する治療用の遺伝子及び/又は遺伝子産物の特定の例としては、以下を含むSCID関連遺伝子を挙げることができる:γC、JAK3、IL7RA、RAG1、RAG2、DCLRE1C、PRKDC、LIG4、NHEJ1、CD3D、CD3E、CD3Z、CD3G、PTPRC、ZAP70、LCK、AK2、ADA、PNP、WHN、CHD7、ORAI1、STIM1、CORO1A、CIITA、RFXANK、RFX5、RFXAP、RMRP、DKC1、TERT、TINF2、DCLRE1B及びSLC46A1。SCIDに関連する例示的な遺伝子及びタンパク質としては以下が挙げられる:例示的コドン最適化ヒトγC DNA(配列番号41);例示的天然ヒトγC DNA(配列番号42);例示的天然イヌγC DNA(配列番号43);例示的ヒトγC AA(配列番号44);及び例示的天然イヌγC AA(91%がヒトで保存されている)(配列番号45)。SCIDに関連する例示的な遺伝子及びタンパク質としては、以下が挙げられる:ホモサピエンスJAK3コード配列(配列番号46);ホモサピエンスPNPコード配列(配列番号47);ホモサピエンスADAコード配列(配列番号48);ホモサピエンスRAG1コード配列(配列番号49);ホモサピエンスRAG2コード配列(配列番号50);ホモサピエンスJAK3 AA(配列番号51);ホモサピエンスPNP AA(配列番号52);ホモサピエンスADA AA(配列番号53);ホモサピエンスRAG1 AA(配列番号54);及びホモサピエンスRAG2 AA(配列番号55)。
治療用の遺伝子及び/又は遺伝子産物の追加の例には、赤血球及び凝固に関連する疾患に対して治療上有効な応答を提供できるものが含まれる。特定の実施形態では、疾患は、サラセミアのような異常ヘモグロビン症、又はSCD/形質である。例示的治療用遺伝子には、F8及びF9が含まれる。
治療用の遺伝子及び/又は遺伝子産物の追加の例には、リソソーム蓄積症に対して治療上有効な応答を提供できるものが含まれる。特定の実施形態では、リソソーム蓄積症はムコ多糖症(MPS)I型;MPS II又はハンター症候群;MPS III又はサンフィリッポ症候群;MPS IV又はモルキオ症候群;MPS V;MPS VI又はマロトーラミー症候群;MPS VII又はスライ症候群;アルファ−マンノース症;ベータ−マンノース症;GSDI、フォン・ギールケ病としても知られる糖源病I型又はテイ・サックス病;ポンペ病;ゴーシェ病;又はファブリー病である。治療用遺伝子は、例えば、酵素をコードする、若しくはその産生を誘導する遺伝子、又はそうでなければリソソーム中のムコ多糖の分解を引き起こす遺伝子であり得る。例示的な治療用遺伝子としては、IDUA又はイズロニダーゼ、IDS、GNS、HGSNAT、SGSH、NAGLU、GUSB、GALNS、GLB1、ARSB及びHYAL1が挙げられる。
治療用の遺伝子及び/又は遺伝子産物の追加の例には、がんに対して治療上有効な応答を提供できるものが含まれる。治療用遺伝子は、例えば、腫瘍抑制遺伝子、アポトーシスを誘導する遺伝子、酵素をコードする遺伝子、抗体をコードする遺伝子又はホルモンをコードする遺伝子であり得る。例示的な治療用の遺伝子及び遺伝子産物としては、101F6、123F2(RASSF1)、53BP2、abl、ABLI、ADP、aFGF、APC、ApoAI、ApoAIV、ApoE、ATM、BAI−1、BDNF、ベータ*(BLU)、bFGF、BLC1、BLC6、BRCA1、BRCA2、CBFA1、CBL、C−CAM、CFTR、CNTF、COX−1、CSFIR、CTS−1、シトシンデアミナーゼ、DBCCR−1、DCC、Dp、DPC−4、E1A、E2F、EBRB2、erb、ERBA、ERBB、ETS1、ETS2、ETV6、Fab、FCC、FGF、FGR、FHIT、fms、FOX、FUS1、FUS1、FYN、G−CSF、GDAIF、Gene21(NPRL2)、Gene26(CACNA2D2)、GM−CSF、GMF、gsp、HCR、HIC−1、HRAS、hst、IGF、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、ING1、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、IRF−1、JUN、KRAS、LCK、LUCA−1(HYAL1)、LUCA−2(HYAL2)、LYN、MADH4、MADR2、MCC、mda7、MDM2、MEN−I、MEN−II、MLL、MMAC1、MYB、MYC、MYCL1、MYCN、neu、NF−1、NF−2、NGF、NOEY1、NOEY2、NRAS、NT3、NT5、OVCA1、p16、p21、p27、p53、p57、p73、p300、PGS、PIM1、PL6、PML、PTEN、raf、Rap1A、ras、Rb、RB1、RET、rks−3、ScFv、scFV ras、SEM A3、SRC、TAL1、TCL3、TFPI、トロンボスポンジン、チミジンキナーゼ、TNF、TP53、trk、T−VEC、VEGF、VHL、WT1、WT−1、YES及びzac1が挙げられる。
治療用の遺伝子及び/又は遺伝子産物の追加の例には、感染症に対して治療上有効な応答を提供できるものが含まれる。特定の実施形態では、感染症はHIVである。治療用遺伝子は、例えば、免疫細胞をHIV感染に耐性にする遺伝子、又は免疫再構築により免疫細胞がウイルスを効果的に中和することを可能にする遺伝子、免疫細胞により発現されるタンパク質をコードする遺伝子の多型、感染と戦うのに有利な患者において発現していない遺伝子、感染因子、受容体又は共受容体をコードする遺伝子;受容体又は共受容体のリガンドをコードする遺伝子;ウイルス複製に不可欠なウイルス性及び細胞性遺伝子、例えば、特定の転写因子の作用を遮断するための、リボザイム、アンチセンスRNA、低分子干渉RNA(siRNA)又はデコイRNAをコードする遺伝子;ドミナントネガティブウイルスタンパク質、細胞内抗体、イントラカイン及び自殺遺伝子をコードする遺伝子であり得る。例示的な治療用の遺伝子及び遺伝子産物としては、α2β1;αvβ3;αvβ5;αvβ63;BOB/GPR15;Bonzo/STRL−33/TYMSTR;CCR2;CCR3;CCR5;CCR8;CD4;CD46;CD55;CXCR4;アミノペプチダーゼ−N;HHV−7;ICAM;ICAM−1;PRR2/HveB;HveA;α−ジストログリカン;LDLR/α2MR/LRP;PVR;PRR1/HveC;及びラミニン受容体が挙げられる。
治療用の遺伝子及び/又は遺伝子産物の追加の例としては、可溶性CD40;CTLA;Fas L;CD4、CD5、CD7、CD52などに対する抗体;IL1、IL2、IL6に対する抗体;自己反応性T細胞に特異的に存在するTCRに対する抗体;IL4;IL10;IL12;IL13;IL1Ra、sIL1RI、sIL1RII;sTNFRI;sTNFRII;TNFに対する抗体;P53、PTPN22及びDRB1*1501/DQB1*0602;グロビンファミリー遺伝子;WAS;phox;ジストロフィン;ピルビン酸キナーゼ;CLN3;ABCD1;アリールスルファターゼA;SFTPB;SFTPC;NLX2.1;ABCA3;GATA1;リボソームタンパク質遺伝子;TERT;TERC;DKC1;TINF2;CFTR;LRRK2;PARK2;PARK7;PINK1;SNCA;PSEN1;PSEN2;APP;SOD1;TDP43;FUS;ユビキリン2;及び/又はC9ORF72が挙げられる。
治療用遺伝子は、任意の適切な方法を使用して送達することができる。特定の実施形態では、治療用遺伝子はウイルスベクターを利用して送達される。
特定の実施形態では、ウイルス媒介遺伝子導入は、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、アルファレトロウイルスベクター又はガンマレトロウイルスベクターを利用することができる。
レンチウイルスベクター。「レンチウイルス」とは、分裂細胞及び非分裂細胞に感染することができ、典型的には高いウイルス力価を生じるレトロウイルスの属を指す。レンチウイルスベクターは、多くの疾患の遺伝子治療に使用されている。例えば、レンチウイルスベクター又はガンマレトロウイルスベクターを使用した造血遺伝子治療は、X連鎖副腎白質ジストロフィー及びベータサラセミアに使用されている。レンチウイルスのいくつかの例としては、HIV(HIV1型及びHIV2型を含む);ウマ感染性貧血ウイルス;ネコ免疫不全ウイルス(FIV);ウシ免疫不全ウイルス(BIV);及びサル免疫不全ウイルス(SIV)が挙げられる。
ウイルスベクターの追加の例としては、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス5(Ad5)、アデノウイルス35(Ad35)、アデノウイルス11(Ad11)、アデノウイルス26(Ad26)、アデノウイルス48(Ad48)又はアデノウイルス50(Ad50))、アデノ随伴ウイルス(AAV、US5604090を参照されたい)、アルファウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、フラビウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペス)、インフルエンザウイルス、パピローマウイルス(例えば、ヒト及びウシのパピローマウイルス、US5719054を参照されたい)、ポックスウイルス、ワクシニアウイルス、改変ワクシニアアンカラ(MVA)、NYVAC又はそれらに由来する株が挙げられる。他の例としては、鶏痘ベクター(例えば、FP9)又はカナリア痘ベクター(例えば、ALVAC及びそれに由来する株)などの禽痘ベクターが挙げられる。
特定の実施形態では、組込みの効率、組み込むことができるDNA配列のサイズ及びゲノムに組み込むことができるDNA配列のコピー数を、トランスポゾンを使用することにより改善することができる。トランスポゾン又は転位因子には、上流及び下流に末端反復配列を持つ短い核酸配列が含まれる。活性トランスポゾンは、標的DNA配列への核酸の切除及び挿入を促進する酵素をコードすることができる。
ヒトを含む脊椎動物のゲノムへの核酸の挿入を促進する多くの転位因子が当技術分野で記載されている。例としては、スリーピングビューティ(sleeping beauty)(例えば、サケ科の魚のゲノム由来);ピギーバック(piggybac)(例えば、鱗翅目細胞及び/又はトビイロホオヒゲコウモリ(Myotis lucifugus)由来);mariner(例えば、ショウジョウバエ由来);フロッグプリンス(frog prince)(例えば、ヒョウガエル(Rana pipiens)由来);Tol2(例えば、メダカ由来);TcBuster(例えば、コクヌストモドキ(red flour beetle)トリボリウム・カスタネウム(Tribolium castaneum)由来)及びspinONが挙げられる。
遺伝子送達の他の方法としては、哺乳動物人工染色体(Vos、1998)及び酵母人工染色体(YAC)などの人工染色体ベクターの使用が挙げられる。YACは通常、挿入された核酸が従来のベクターに対して大きすぎる場合(例えば、12kbを超える場合)に使用される。
特定の実施形態では、核酸は細胞のゲノムに安定に組み込まれる。特定の実施形態では、核酸は、別個のエピソームセグメントとして細胞内で安定に維持される。
核酸を送達するベクター及び他の方法は、核酸分子の発現を制御する調節配列を含むことができる。これらの調節配列は、本質的に真核生物配列であっても、又は原核生物配列であってもよい。特定の実施形態では、調節配列は、組織特異的プロモータであり得、したがって、1以上の治療用タンパク質の発現は、他の型の組織と比較して標的組織型において実質的に大きくなる。特定の実施形態では、調節配列は、細胞へのベクターの進入時に1以上の治療用タンパク質の恒常的発現をもたらし得る。又は、調節配列は誘導配列を含むことができる。誘導性調節配列は、当業者に周知であり、1以上の治療用タンパク質の発現をもたらすために追加の誘導因子の存在を必要とする配列である。適切な調節配列の例には、内因性核タンパク質に基づく組織特異的転写因子に対応する結合部位、特定の細胞型における発現を指示する配列、lacオペレーター、テトラサイクリンオペレーター及びステロイドホルモンオペレーターが含まれる。当業者に公知の任意の誘導性調節配列を使用することができる。
遺伝子改変の手順に関する追加情報については、Anderson,Science 256:808−813(1992);Nabel & Felgner,TIBTECH 11:211−217(1993);Mitani & Caskey,TIBTECH 11:162−166(1993);Dillon,TIBTECH 11:167−175(1993);Miller,Nature 357:455−460(1992);Van Brunt,Biotechnology 6(10):1149−1154(1988);Vigne,Restorative Neurology and Neuroscience 8:35−36(1995);Kremer & Perricaudet,British Medical Bulletin 51(1):31−44(1995);Haddada et al.,in Current Topics in Microbiology and Immunology Doerfler and Bohm(eds)(1995);及びYu et al.,Gene Therapy 1:13−26(1994)を参照されたい。
(v)細胞製剤。ネガティブ選択により誘導されるCD34+HSCは、対象への投与用に製剤化することができる。例示的な担体としては、食塩水、緩衝生理食塩水、生理食塩水、水、ハンクス液、リンゲル液、Nonnosol−R(Abbott Labs)、Plasma−Lyte A(R)(Baxter Laboratories、Inc.,Morton Grove、イリノイ)、グリセロール、エタノール及びそれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、細胞系製剤は、最初の製剤に続いて合理的に可能な限り早く対象に投与される。
特定の実施形態では、担体には、ヒト血清アルブミン(HSA)若しくは他のヒト血清成分又はウシ胎児血清若しくは他の種の血清成分を補填することができる。特定の実施形態では、注入用の担体には、5%HSA又はデキストロースを含む緩衝生理食塩水が含まれる。追加の等張剤としては、グリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール又はマンニトールなどの、三価以上の糖アルコールを含む多価糖アルコールが挙げられる。
担体としては、クエン酸緩衝液、コハク酸緩衝液、酒石酸緩液、シュウ酸緩衝液、乳酸緩衝液、衝液、フマル酸緩衝液、グルコン酸緩衝、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液及び/又はトリメチルアミン塩などの緩衝剤を挙げることができる。
安定剤とは、増量剤から、細胞が容器壁に付着するのを防ぐ助けをする添加剤までの機能範囲に及ぶ広いカテゴリーの賦形剤を指す。典型的な安定剤としては、多価糖アルコール、アルギニン、リジン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、L−ロイシン、2−フェニルアラニン、グルタミン酸及びスレオニンなどのアミノ酸;ラクトース、トレハロース、スタキオース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、ミオイニシトール(myoinisitol)、ガラクチトール、グリセロール及びイノシトールなどのシクリトールなどの有機糖又は糖アルコール;PEG;アミノ酸ポリマー;尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α−モノチオグリセロール及びチオ硫酸ナトリウムなどの硫黄含有還元剤、;低分子量ポリペプチド(すなわち、<10残基);HSA、ウシ血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;キシロース、マンノース、フルクトース及びグルコースなどの単糖類;ラクトース、マルトース、スクロースなどの二糖類;ラフィノースなどの三糖類並びにデキストランなどの多糖類が挙げられる。
必要又は有益な場合、細胞系製剤には、注射部位の痛みを和らげるためにリドカインなどの局所麻酔薬を含めることができる。
細胞系製剤内の細胞の治療有効量は、102細胞超、103細胞超、104細胞超、105細胞超、106細胞超、107細胞超、108細胞超、109細胞超、1010細胞超又は1011細胞超であり得る。
本明細書に開示される細胞系製剤では、細胞は一般に1リットル以下、500ml以下、250ml以下又は100ml以下の体積中にある。したがって、投与される細胞の密度は、典型的には104細胞/ml、107細胞/ml又は108細胞/mlよりも大きい。
本明細書に開示される細胞系製剤は、例えば、注射、注入、灌流、又は洗浄による投与用に調製することができる。
特定の実施形態では、細胞及び/又は細胞系製剤を凍結保存することが必要又は有益であり得る。「凍結(frozen/freezing)」と「凍結保存(cryopreserved/cryopreserving)」という用語は互換的に使用することができる。凍結には凍結乾燥が含まれる。当業者によって理解されるように、細胞の凍結は破壊的であり得る(Mazur,P.,1977,Cryobiology 14:251−272を参照されたい)が、そのような損傷を防ぐために利用可能な多くの手順がある。例えば、(a)凍結防止剤の使用、(b)凍結速度の制御及び/又は(c)分解反応を最小限に抑えるために十分に低い温度での保存により、損傷を回避することができる。例示的な凍結保護剤としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)(Lovelock and Bishop,1959,Nature 183:1394−1395;Ashwood−Smith,1961,Nature 190:1204−1205)、グリセロール、ポリビニルピロリジン(Rinfret,1960,Ann.N.Y.Acad.Sci.85:576)、ポリエチレングリコール(Sloviter and Ravdin,1962,Nature 196:548)、アルブミン、デキストラン、スクロース、エチレングリコール、i−エリスリトール、D−リビトール、D−マンニトール(Rowe et al.,1962)、D−ソルビトール、i−イノシトール、D−ラクトース、塩化コリン(Bender et al..,1960)、アミノ酸(Phan The Tran and Bender,1960)、メタノール、アセトアミド、グリセロールモノアセテート(Lovelock,1954)及び無機塩(Phan The Tran and Bender,1960;Phan The Tran and Bender,1961)が挙げられる。特定の実施形態では、DMSOを使用することができる。血漿の添加(例えば、20〜25%の濃度まで)は、DMSOの保護効果を高めることができる。1%の濃度のDMSOは、4℃を超える温度では有毒になる可能性があるため、DMSOを添加した後、凍結するまで細胞を0℃に維持することができる。
細胞の凍結保存では、冷却速度を低速に制御することが重要になる場合があり、凍結保護剤の違い及び細胞型の違いにより最適な冷却速度が異なる。水が氷に変わる融合相の熱は最小限に抑える必要がある。冷却手順は、例えば、プログラム可能な凍結装置又はメタノール浴手順の使用により実施することができる。プログラム可能な凍結装置は、最適な冷却速度の決定を可能にし、標準的な再現可能な冷却を促進する。
特定の実施形態では、DMSO処理細胞を氷上で予冷し、冷メタノールを含むトレイに移し、次に、これを−80℃の械式冷蔵庫(例えば、Harris又はRevco)に入れる。メタノール浴と試料の熱電対測定により、冷却速度は1°〜3℃/分が好ましいことが示される。少なくとも2時間後、標本は−80℃の温度に達し、液体窒素(−196℃)に直接入れることができる。
完全に凍結した後、細胞は素早く長期極低温保存容器に移すことができる。好ましい実施形態では、試料は、液体窒素(−196℃)又は蒸気(−1℃)中で極低温保存することができる。このような保存は、非常に効率的な液体窒素冷凍機の利用可能性によって容易である。
細胞の操作、凍結保存及び長期保存に関するさらなる考察及び手順は、以下の例示的な参考文献に記載されている:US4199022;US3753357;及びUS4559298;Gorin,1986;Bone−Marrow Conservation,Culture and Transplantation,Proceedings of a Panel,Moscow,July 22−26,1968,International Atomic Energy Agency,Vienna,pp.107−186)。
凍結保存後、凍結細胞は、当業者に公知の方法に従って使用のために解凍することができる。凍結細胞は迅速に解凍され、解凍後すぐに冷却されることが好ましい。特定の実施形態では、凍結細胞を含むバイアルを温水浴にその首まで浸し、穏やかに回転させることにより、細胞懸濁液が解凍するときに確実に混合され、温水から内部の氷塊への熱伝達が増加する。氷が完全に溶けたらすぐに、バイアルをすぐに氷上に置くことができる。
特定の実施形態では、解凍中の細胞凝集を防ぐための方法を使用することができる。例示的な方法としては、凍結の前及び/又は後の、DNase、低分子量デキストラン及びシトレート、ヒドロキシエチルデンプンなどの添加が挙げられる。
ヒトに対して毒性である凍結保護剤が使用される場合、治療的使用の前に除去されなければならないことは、当業者によって理解されている。DMSOは深刻な毒性を有していない。
(vi)使用方法。本明細書に開示される製剤は、対象(ヒト、獣医動物(犬、猫、爬虫類、鳥など)、家畜(馬、牛、山羊、豚、鶏など)、及び研究動物(猿、ラット、マウス、魚など))を治療するために使用することができる。特定の実施形態では、対象はヒト患者である。対象の治療には、治療有効量の送達が含まれる。治療有効量には、予防処置及び/又は治療処置の有効量を提供する量が含まれる。
「有効量」とは、対象に望ましい生理学的変化をもたらすのに必要な製剤の量である。有効量は、多くの場合研究目的で投与される。
「予防処置」には、治療される状態の兆候若しくは症状を示さないか、又は治療される状態の初期の兆候若しくは症状のみを示す対象に施される処置が含まれ、したがって、処置は、状態を発症するリスクを縮小、予防又は減少させる目的で施される。したがって、予防処置は、状態に対する予防的処置として機能する。
「治療処置」には、状態の症状又は兆候を示す対象に施される処置が含まれ、状態の重症度又は進行を軽減する目的で対象に施される。
特定の対象に投与される治療用製剤の実際の用量及び量は、医師、獣医、又は研究者が、標的;体重;状態のタイプ;状態の重症度;既知の場合の今後の関連イベント;以前又は同時発生の治療的介入;対象の突発性疾患;投与経路などを含む物理的及び生理学的要因などのパラメーターを考慮して決定することができる。さらに、in vitro及びin vivoアッセイを任意選択的に使用して、最適な投与量範囲を特定できる。
治療有効量は、注射、注入、灌流、洗浄などの任意の適切な投与経路を通じて投与することができる。
特定の実施形態では、本開示の方法を使用してFAを治療することができる。特定の実施形態では、リンパ球の再構成、クローンの多様性及び胸腺形成の改善、感染の減少及び/又は患者の予後の改善を通じて治療効果を観察することができる。治療効果は、体重の増加と成長、胃腸機能の改善(下痢の減少など)、上気道症状の減少、口の真菌感染症(鵞口瘡)の減少、肺炎の発生率と重症度の減少、髄膜炎及び血流感染の減少並びに耳感染の減少の1以上を通じて観察することもできる。特定の実施形態では、本開示の方法でFAを治療する工程は、マイトマイシンC(MMC)に対するBM由来細胞の耐性を増加させる工程を含む。特定の実施形態では、MMCに対するBM由来細胞の耐性は、メチルセルロース及びMMCにおける細胞生存アッセイにより測定することができる。
特定の実施形態では、本開示の方法を使用してSCIDを治療することができる。特定の実施形態では、リンパ球の再構成、クローンの多様性及び胸腺形成の改善、感染の減少、及び/又は患者の予後の改善を通じて治療効果を観察することができる。治療効果は、体重の増加と成長、胃腸機能の改善(下痢の減少など)、上気道症状の減少、口の真菌感染症(鵞口瘡)の減少、肺炎の発生率と重症度の減少、髄膜炎及び血流感染の減少並びに耳感染の減少の1以上を通じて観察することもできる。
特定の実施形態では、本開示の方法を使用して低ガンマグロブリン血症を治療することができる。低ガンマグロブリン血症は、Bリンパ球の不足によって引き起こされ、血中の抗体レベルが低いことが特徴である。低ガンマグロブリン血症は、慢性リンパ球性白血病(CLL)、多発性骨髄腫(MM)、非ホジキンリンパ腫(NHL)及び白血病関連の免疫機能障害と治療関連の免疫抑制の両方の結果として、他の関連する悪性腫瘍の患者に発症し得る。そのような血液悪性腫瘍に続発する後天性低ガンマグロブリン血症の患者、及びポストHSPC移植を受けている患者は、細菌感染症にかかりやすい。体液性免疫の不全は、特にカプセル化された微生物によるこれらの患者の感染関連の罹患率及び死亡率のリスク増加の主な原因である。例えば、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)及びスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)並びにレジオネラ属(Legionella)及びノカルジア属(Nocardia spp.)は、CLLの患者において肺炎を引き起こす高頻度の病原性微生物である。ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)、真菌、ウイルス、マイコバクテリアなどの日和見感染も観察されている。これらの患者の感染の数と重症度は、免疫グロブリンの投与により大幅に減少させることができる(Griffiths H et al.(1989)Blood 73:366−368;Chapel HM et al.(1994)Lancet 343:1059−1063)。
特定の実施形態では、本開示の方法は、BM機能の回復を必要とする対象のBM機能を回復させることができる。特定の実施形態では、BM機能を回復する工程は、本明細書に記載の治療を施されていない、それを必要とする対象と比較して、遺伝子修正細胞によるBM再増殖を改善する工程を含み得る。遺伝子修正された細胞によるBM再増殖の改善には、遺伝子修正された細胞の割合を増加させる工程が含まれる。特定の実施形態では、細胞は白血球及びBM由来細胞から選択される。特定の実施形態では、遺伝子修正された細胞の割合は、定量的リアルタイムPCR及びフローサイトメトリーから選択されたアッセイを使用して測定することができる。
特定の実施形態では、本開示の方法は、それを必要とする対象における免疫化に対する一次及び二次抗体応答を正常化することができる。免疫化に対する一次及び二次抗体応答を正常化する工程には、抗原に対するクラススイッチング及びメモリ応答で機能するB細胞及び/又はT細胞サイトカインシグナル伝達プログラムを回復する工程が含まれる。免疫化に対する一次及び二次抗体応答の正常化は、バクテリオファージ免疫化アッセイにより測定することができる。特定の実施形態では、B細胞及び/又はT細胞サイトカインシグナル伝達プログラムの回復は、T細胞依存性ネオ抗原バクテリオファージφX174による免疫化後にアッセイすることができる。特定の実施形態では、免疫化に対する一次及び二次抗体応答を正常化する工程は、それを必要とする対象におけるIgA、IgM及び/又はIgGのレベルを、対照集団に由来する参照レベルに匹敵するレベルまで増加させる工程を含み得る。特定の実施形態では、免疫化に対する一次及び二次抗体応答の正常化は、それを必要とする対象におけるIgA、IgM及び/又はIgGのレベルを、本明細書に記載の遺伝子治療を施されていない、それを必要とする対象のレベルよりも高いレベルまで増加させる工程を含み得る。IgA、IgM及び/又はIgGのレベルは、例えば免疫グロブリン試験により測定することができる。特定の実施形態では、免疫グロブリン試験は、IgG、IgA、IgM、カッパ軽鎖、ラムダ軽鎖及び/又は重鎖に結合する抗体を含む。特定の実施形態では、免疫グロブリン試験には、血清タンパク質電気泳動、免疫電気泳動、放射状免疫拡散、ネフェロメトリー及び比濁法が含まれる。市販の免疫グロブリン検査キットとしては、MININEPH(商標)(Binding site、Birmingham、UK)、Dako(Denmark)及びDade Behring(Marburg、Germany)の免疫グロブリン検査システムが挙げられる。特定の実施形態では、免疫グロブリンレベルの測定に使用できる試料には、血液試料、血漿試料、脳脊髄液試料及び尿試料が含まれる。
特定の実施形態では、製剤は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎白質ジストロフィー、突発性骨髄化生、先天性無巨核球性血小板減少症(amegakaryocytosis/congenital thrombocytopenia)、毛細血管拡張性運動失調症、重症型β−サラセミア、慢性肉芽腫症、CLL、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病、分類不能型免疫不全症(CVID)、補体障害、先天性無ガンマグロブリン血症、ダイヤモンドブラックファン症候群、家族性赤血球貪食性リンパ組織球増多症、ホジキンリンパ腫、ハーラー症候群、高IgM、IgGサブクラス欠損症、若年性骨髄単球性白血病、異染性白質ジストロフィー、ムコ多糖症、多発性骨髄腫、骨髄異形成、非ホジキンリンパ腫、発作性夜間血色素尿症(PNH)、抗体欠損を伴う原発性免疫不全疾患、赤芽球癆、難治性貧血、シュワッハマン−ダイヤモンド−ブラックファン貧血、選択的IgA欠損、重症再生不良性貧血、SCD、特異的抗体欠損、ウィスコット−アルドリッジ症候群及び/又はX連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)を治療するために対象に投与される。
特定の実施形態は、外傷、ウイルス、化学療法、毒素及び汚染によって引き起こされる免疫不全などの続発性又は後天性免疫不全の治療を含む。前述のように、AIDSは、ウイルスのHIVによって引き起こされる続発性免疫不全障害の例であり、Tリンパ球の枯渇により、身体が感染症と戦うことができなくなる。HIVの治療のための治療有効量は、例えば、HIVに対する対象の免疫を高め、AIDS若しくはHIVに関連する症状を改善する、又はHIVに対する対象の先天性若しくは適応性の免疫応答を誘導することができる。HIVに対する免疫応答には抗体産生が含まれ、AIDSの予防及び/又は対象のAIDSの症状若しくはHIV感染の改善、又はHIVの感染性及び/又は毒性の減少若しくは除去をもたらし得る。
特定の実施形態では、本開示の方法は、それを必要とする対象におけるリンパ球再構成の動態及び/又はクローン多様性を改善することができる。特定の実施形態では、リンパ球再構成の動態を改善する工程は、循環Tリンパ球の数を、対照集団に由来する参照レベルの範囲内まで増加させる工程を含み得る。特定の実施形態では、リンパ球再構成の動態を改善する工程は、絶対CD3+リンパ球数を、対照集団に由来する参照レベルの範囲内まで増加させる工程を含み得る。参照レベルの範囲は、所定のパラメーターについて正常な(すなわち、非免疫無防備状態の)対象で観察される、又は示される値の範囲であり得る。特定の実施形態では、リンパ球再構成の動態を改善する工程は、本明細書に記載の治療を施されていない、それを必要とする対象と比較して、正常リンパ球数に達するのに必要な時間を短縮する工程を含み得る。特定の実施形態では、リンパ球再構成の動態を改善する工程は、本明細書に記載の治療を施されていない、それを必要とする対象と比較して、遺伝子修正リンパ球の頻度を増加させる工程を含み得る。特定の実施形態では、リンパ球再構成の動態を改善する工程は、本明細書に記載の遺伝子治療を施されていない、それを必要とする対象と比較して、対象の遺伝子修正リンパ球のクローンレパートリの多様性を増加させる工程を含み得る。遺伝子修正リンパ球のクローンレパートリの多様性を増加させる工程には、RIS分析で測定した特有のレトロウイルス組込み部位(RIS)のクローン数を増加させる工程を含み得る。
特定の実施形態では、本開示の方法は、それを必要とする対象においてT細胞媒介免疫応答を回復させることができる。T細胞媒介免疫応答の回復には、胸腺からの流出を回復する工程及び/又は正常なTリンパ球発生を回復する工程を含み得る。
特定の実施形態では、胸腺からの流出を回復する工程は、PBにおいてCD45RAを発現するCD3+T細胞の頻度を、対照集団に由来する参照レベルの頻度に匹敵するレベルまで回復させる工程を含み得る。特定の実施形態では、胸腺出力を回復する工程は、106個の成熟T細胞あたりのT細胞受容体切除サークル(TREC)の数を、対照集団に由来する参照レベルの数に匹敵するレベルまで回復させる工程を含み得る。106個の成熟T細胞あたりのTRECの数は、Kennedy DR et al.(2011)Vet Immunol Immunopathol 142:36−48に記載されているように決定することができる。
特定の実施形態では、正常なTリンパ球の発生を回復する工程は、CD4+細胞:CD8+細胞の比率を2に回復させる工程を含む。特定の実施形態では、正常なTリンパ球の発生を回復する工程は、循環Tリンパ球中のαβTCRの存在を検出する工程を含む。循環Tリンパ球におけるαβTCRの存在は、例えば、TCRのα鎖及び/又はβ鎖に結合する抗体を使用するフローサイトメトリーにより検出することができる。特定の実施形態では、正常なTリンパ球の発生を回復させる工程は、対照集団に由来する参照レベルのレパートリに匹敵する多様なTCRレパートリの存在を検出する工程を含む。TCRの多様性は、TCRβ遺伝子の可変領域の遺伝的再配列を分析するTCRVβスペクトルタイピングによって評価することができる。強い正常なスペクトルタイプのプロファイルは、TCRVβセグメントの17ファミリーにまたがるサイズの断片のガウス分布によって特徴付けることができる。特定の実施形態では、正常なTリンパ球の発生を回復する工程は、T細胞特異的シグナル伝達経路を回復させる工程を含む。T細胞特異的シグナル伝達経路の回復は、T細胞マイトジェンフィトヘマグルチニン(PHA)への暴露後のリンパ球増殖によって評価することができる。特定の実施形態では、正常なTリンパ球の発生を回復する工程は、白血球数、好中球数、単球数、リンパ球数及び/又は血小板細胞数を、対照集団に由来する参照レベルに匹敵するレベルに回復させる工程を含む。
特定の実施形態では、治療有効量は、免疫及び他の血球に機能を提供し、免疫媒介状態を軽減又は排除する、及び/又は免疫媒介状態の症状を軽減又は排除することができる。
特定の実施形態では、特定の使用方法は、修正された細胞が修正されていない細胞よりも選択的な利点を有する、状態の治療を含む。例えば、FA及びSCIDでは、修正された細胞には利点があり、治療用遺伝子を「少数」のHSPCに形質導入するだけで治療効果には十分である。
(vii)対照集団に由来する参照レベル。本明細書に記載の治療に関連するパラメーターについて得られた値は、対照集団に由来する参照レベルと比較することができ、この比較は、本明細書に記載の治療がそれを必要とする対象に有効かどうかを示すことができる。参照レベルは、対照集団に由来する1以上の関連データセットから取得することができる。本細書で使用される「データセット」は、所望の状態の試料(又は試料集団)の評価から生じる数値のセットである。データセットの値は、例えば、試料から測定値を実験的に取得し、これらの測定値からデータセットを構築することにより取得することができる。当業者によって理解されるように、参照レベルは、例えば、個々のデータポイント、例えば、平均、中央値、平均の中央値の集合から意味のある集合参照レベルに到達するために当技術分野において有用で公知の任意の数式又は統計式に基づくことができる。又は、参照レベル若しくは参照レベルを作成するためのデータセットは、実験室などのサービスプロバイダーから、又はデータセットが保存されているデータベース若しくはサーバーから取得することができる。
データセットからの参照レベルは、対照集団に由来する以前の測定値から誘導することができる。「対照集団」とは、指定の特徴などによりグループ化された任意の対象又は試料である。グループ化は、例えば、臨床パラメーター、臨床評価、治療計画、疾患状態、状態の重症度などに従って行うことができる。特定の実施形態では、グループ化は、年齢範囲(例えば、0〜2歳)及び非免疫無防備状態に基づいている。特定の実施形態では、正常な対照集団には、試験対象と年齢が一致し、非免疫無防備状態である個体が含まれる。特定の実施形態では、年齢が一致するとは、例えば、状況に応じて臨床的に関連する0〜6ヶ月齢;0〜1歳;0〜2歳;0〜3歳;10〜15歳が含まれる。特定の実施形態では、対照集団は、免疫不全を有し、治療有効量が投与されたことがない集団を含み得る。
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療に関連する特定のパラメーターの値に対する関連参照レベルは、本明細書に開示の治療がそれを必要とする対象にとって治療的に有効であるかどうかを判断するために、対照集団の治療に関連する特定の対応パラメーターの値に基づいて取得される。
特定の実施形態では、試料の値が参照レベルと統計的に有意差があるか、統計的に有意差がないかどうかに基づいて結論が導き出される。差が偶然のみに基づいて発生すると予想されるレベル内にある場合、測定値は統計的に有意差がない。対照的に、統計的に有意な差又は増加は、偶然のみにより発生すると予想されるものよりも大きいものである。統計的有意性又はその欠如は、当技術分野で周知のさまざまな方法のいずれかによって判定することができる。一般的に使用される統計的有意性の尺度の例は、p値である。p値は、特定のデータポイントに相当する所与の結果が得られる確率を表し、このデータポイントは偶然のみの結果である。p値が0.05以下の場合、結果は多くの場合(偶然ではなく)重要とみなされる。特定の実施形態では、試料の値と参照レベルとが、統計的に有意差がない場合、試料値は正常な対照集団に由来する参照レベルと「同等」である。
(viii)キット。本明細書に開示される方法を実施するための成分の組み合わせを使用して、ネガティブ選択により誘導されるCD34+HSCを作製及び/又は使用するキットを作製することができる。
特定の実施形態では、キットは、BM試料又は動員されたPB試料を取得するための医療用品を含む。特定の実施形態では、キットは、G−CSF/Filgrastim (Amgen Inc.,Thousand Oaks,カリフォルニア)、GM−CSF、AMD3100(Sigma−Aldrich、St.Louis、ミズーリ)、SCF及び/又は化学療法剤を含む。特定の実施形態では、キットは、G−CSF/Filgrastim(Amgen Inc.,Thousand Oaks、カリフォルニア)及びAMD3100(Sigma−Aldrich、St.Louis、ミズーリ)を含む。
特定の実施形態では、キットは、CD45RA、CD3、CD14、CD16及び/又はCD19に結合する1以上のタンパク質(例えば、抗体)を含む。特定の実施形態では、キットは、抗CD45RA抗体(例えば、クローン5H9)、抗CD3抗体(例えば、クローンUCHT1)、抗CD14抗体(例えば、クローン61D3)、抗CD16抗体(例えば、クローン3G8)、抗CD19抗体(例、クローン4G7)のうちの1以上を含む。特定の実施形態では、キットは磁気要素及び/又は蛍光要素を含む。
特定の実施形態では、キットはチューブセットを含む。
特定の実施形態では、キットはStemSpan(商標)を含む。特定の実施形態では、キットは硫酸プロタミンを含む。特定の実施形態では、キットはヒトSCFを含む。特定の実施形態では、キットはTPOを含む。特定の実施形態では、キットはFlt−3リガンドを含む。特定の実施形態では、キットはNACを含む。
特定の実施形態では、キットは、ウイルスベクターなどの遺伝子治療のための成分を含む。特定の実施形態では、キットはレンチウイルスベクターを含む。特定の実施形態では、キットは、本明細書に開示の治療用遺伝子(例えば、治療FA遺伝子)をコードする核酸を含む。
特定の実施形態では、キットは、対象への投与のために細胞を製剤化するための培地を含む。
キットには、医薬品又は生物製剤の製造、使用又は販売を規制する政府機関によって規定された形式の通知を含めることもでき、この通知は、前記機関によるヒト投与のための製造、使用又は販売の承認を反映している。通知には、提供された活性成分を対象に投与できる旨を記載することができる。キットは、このキットを使用するためのさらなる使用説明書、例えば、製剤及び/又は動員因子の投与に関する使用説明書を含むことができる。使用説明書は、キット内に提供される印刷された使用説明書の形態であっても、又はキット自体の一部に印刷することもできる。使用説明書は、シート、パンフレット、パンフレット、CD−ROM、又はコンピューターで読み取り可能なデバイスの形式であっても、又はウェブサイトなどの遠隔地にある使用説明書への指示を提供することができる。特定の実施形態では、キットは、このキットを効果的に使用するために必要な必須の医療用品、例えば、注射器、アンプル、チューブ、フェイスマスク、注射キャップ、スポンジ、滅菌接着ストリップ、Chloraprep、手袋などの一部又はすべてを含むこともできる。本明細書に記載のキットのいずれの内容も変更が可能である。
例示的実施形態。
1.生体試料からネガティブ選択により誘導されるCD34+造血幹細胞(HSC)集団を形成する工程を含む方法。
2.ネガティブ選択がCD45RA+細胞のみを除去する、実施形態1の方法。
3.ネガティブ選択がCD45RA+細胞、CD3+細胞、CD14+細胞、CD16+細胞及びCD19+細胞の1以上を除去する、実施形態1の方法。
4.ネガティブ選択がCD45RA+細胞及びCD3+細胞を除去する、実施形態1の方法。
5.ネガティブ選択がCD45RA+細胞及びCD14+細胞を除去する、実施形態1の方法。
6.ネガティブ選択がCD45RA+細胞及びCD16+細胞を除去する、実施形態1の方法。
7.ネガティブ選択がCD45RA+細胞及びCD19+細胞を除去する、実施形態1の方法。
8.ネガティブ選択がCD45RA+、CD3+細胞、CD14+細胞、CD16+細胞及びCD19+細胞を除去する、実施形態1の方法。
9.ネガティブ選択がCD3+細胞、CD14+細胞、CD16+細胞及びCD19+細胞のみを除去する、実施形態1の方法。
10.ネガティブ選択が、生体試料と、除去される細胞型に関連するCDマーカーに結合する結合タンパク質とを接触させる工程を含む、実施形態1〜9のいずれかの方法。
11.結合タンパク質が抗体又はその結合断片を含む、実施形態10の方法。
12.抗体が、クローン5H9、クローンJS−83、クローンHI100、抗CD45RA[MEM−56]、クローンUCHT1、クローンSK7、クローンOKT3、クローンCD3−12、クローン61D3、クローンHCD14、クローン63D3、クローンM5E2、クローン3G8、クローンLNK16、クローンDJ130c、クローンKD1、クローン4G7、クローンHIB19、クローンLT19及び/又はクローンFMC63を含む、実施形態11の方法。
13.抗体が、クローン5H9、クローンUCHT1、クローン61D3、クローン3G8及びクローン4G7を含む、実施形態12の方法。
14.ネガティブ選択が、磁気分離、蛍光活性化細胞選別(FACs)、ナノ選別、アフィニティークロマトグラフィー、パニング及び/又は選択的凝集を実施する工程を含む、実施形態1〜13のいずれかの方法。
15.結合タンパク質が磁気ビーズ、フルオロフォア及び/又は親和性タグに結合されている、実施形態10〜14のいずれかの方法。
16.ネガティブ選択により、CD3+細胞、CD14+細胞、CD16+細胞及びCD19+細胞が、合せて少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%減少する、実施形態1〜15のいずれかの方法。
17.ネガティブ選択により、CD3+細胞、CD14+細胞、CD16+細胞及び/又はCD19+細胞から選択される系列+細胞が、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%減少する、実施形態1〜15のいずれかの方法。
18.ネガティブ選択により、生体試料中の出発CD34+細胞の少なくとも50%、少なくとも70%又は少なくとも90%が保持される、実施形態1〜17のいずれかの方法。
19.保持されたCD34+細胞がCD34+、CD45RA−及びCD90+である、実施形態18の方法。
20.ネガティブ選択後に生体試料中に保持される細胞が間葉系幹細胞を含む、実施形態1〜19のいずれかの方法。
21.培養培地におけるネガティブ選択後、生体試料中に保持されたCD34+細胞を培養する工程をさらに含む、実施形態1〜20のいずれかの方法。
22.培養培地に硫酸プロタミン、幹細胞因子、トロンボポエチン、Flt−3リガンド及びN−アセチルシステイン(NAC)を補填する、実施形態21の方法。
23.CD34+細胞を、フィブロネクチン断片でコーティングされた培養フラスコにおいて培養する、実施形態18〜22のいずれかの方法。
24.生体試料が骨髄試料又は動員末梢血試料である、実施形態1〜23のいずれかの方法。
25.ネガティブ選択の前に生体試料の赤血球(RBC)を枯渇させる工程をさらに含む、実施形態1〜24のいずれかの方法。
26.生体試料が、25%以下のヘマトクリット値を得るためにNACを含む細胞培養培地で希釈された骨髄試料である、実施形態1〜25のいずれかの方法。
27.ネガティブ選択により誘導されたCD34+細胞集団内のCD34+細胞を遺伝子改変する工程をさらに含む、実施形態1〜26のいずれかの方法。
28.遺伝子改変が、治療用遺伝子をコードする核酸の挿入である、実施形態27の方法。
29.治療用遺伝子が、FancA、FancB、FancC、FancD1、FancD2、FancE、FancF、FancG、FancI、FancJ、FancL、FancM、FancN、FancO、FancP、FancQ、FancR、FancS、FancT、FancU、FancV、FancW、γC、JAK3、IL7RA、RAG1、RAG2、DCLRE1C、PRKDC、LIG4、NHEJ1、CD3D、CD3E、CD3Z、CD3G、PTPRC、ZAP70、LCK、AK2、ADA、PNP、WHN、CHD7、ORAI1、STIM1、CORO1A、CIITA、RFXANK、RFX5、RFXAP、RMRP、DKC1、TERT、TINF2、DCLRE1B、SLC46A1、F8、F9、IDUA、イズロニダーゼ、IDS、GNS、HGSNAT、SGSH、NAGLU、GUSB、GALNS、GLB1、ARSB、HYAL1、101F6、123F2、53BP2、abl、ABLI、ADP、aFGF、APC、ApoAI、ApoAIV、ApoE、ATM、BAI−1、BDNF、Beta*(BLU)、bFGF、BLC1、BLC6、BRCA1、BRCA2、CBFA1、CBL、C−CAM、CFTR、CNTF、COX−1、CSFIR、CTS−1、シトシンデアミナーゼ、DBCCR−1、DCC、Dp、DPC−4、E1A、E2F、EBRB2、erb、ERBA、ERBB、ETS1、ETS2、ETV6、Fab、FCC、FGF、FGR、FHIT、fms、FOX、FUS 1、FUS1、FYN、G−CSF、GDAIF、Gene 21、Gene 26、GM−CSF、GMF、gsp、HCR、HIC−1、HRAS、hst、IGF、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11 IL−12、ING1、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、IRF−1、JUN、KRAS、LCK、LUCA−1、LUCA−2、LYN、MADH4、MADR2、MCC、mda7、MDM2、MEN−I、MEN−II、MLL、MMAC1、MYB、MYC、MYCL1、MYCN、neu、NF−1、NF−2、NGF、NOEY1、NOEY2、NRAS、NT3、NT5、OVCA1、p16、p21、p27、p53、p57、p73、p300、PGS、PIM1、PL6、PML、PTEN、raf、Rap1A、ras、Rb、RB1、RET、rks−3、ScFv、scFV ras、SEM A3、SRC、TAL1、TCL3、TFPI、トロンボスポンジン、チミジンキナーゼ、TNF、TP53、trk、T−VEC、VEGF、VHL、WT1、WT−1、YES、zac1、α2β1、αvβ3、αvβ5、αvβ63、BOB/GPR15、Bonzo/STRL−33/TYMSTR、CCR2、CCR3、CCR5、CCR8、CD4、CD46、CD55、CXCR4、アミノペプチダーゼ−N、HHV−7、ICAM、ICAM−1、PRR2/HveB、HveA、α−ジストログリカン、LDLR/α2MR/LRP、PVR、PRR1/HveC、ラミニン受容体、可溶性CD40、CTLA、Fas L、グロビンファミリー遺伝子、WAS、phox、ジスロトフィン、ピルビン酸キナーゼ、CLN3、ABCD1、アリールスルファターゼA、SFTPB、SFTPC、NLX2.1、ABCA3、GATA1、リボソームタンパク質遺伝子、TERT、TERC、DKC1、TINF2、CFTR、LRRK2、PARK2、PARK7、PINK1、SNCA、PSEN1、PSEN2、APP、SOD1、TDP43、FUS、ユビキリン2、C9ORF72及び/又はCD4、CD5、CD7、CD52、IL−1、IL−2、IL−6に対する抗体;TNF;自己反応性T細胞に特異的に存在するP53、PTPN22、DRB1*1501/DQB1*0602若しくはTCR;IL−4;IL−10;IL−12;IL−13;IL−1Ra、sIL−1RI、sIL−1RII;sTNFRI;及び/又はsTNFRIIの1以上から選択される、実施形態28の方法。
30.核酸が配列番号31〜35、41〜43及び/又は46〜50から選択される配列を含む、実施形態28又は29の方法。
31.核酸が、配列番号36〜40、44、45及び/又は51〜55から選択されるタンパク質をコードする、実施形態28〜30のいずれかの方法。
32.治療用遺伝子をコードする核酸が転位因子を含む、実施形態28〜31のいずれかの方法。
33.遺伝子改変がウイルスベクターを利用する、実施形態27〜32のいずれかの方法。
34.ウイルスベクターがレンチウイルスベクターから選択される、実施形態33の方法。
35.遺伝子改変が、5〜10感染単位(IU)/細胞の感染多重度(MOI)でウイルスベクターを形質導入する工程を含む、実施形態27〜34のいずれかの方法。
36.レンチウイルスベクターが自己不活性化レンチウイルスベクターである、実施形態34又は35の方法。
37.レンチウイルスベクターがヒトホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモータを含む、実施形態34〜36のいずれかの方法。
38.ヒトPGKプロモータが配列番号56を含む、実施形態37の方法。
39.ネガティブ選択により誘導されたCD34+細胞集団を対象への投与のために製剤化する工程をさらに含む、実施形態1〜38のいずれかの方法。
40.製剤化されたCD34+細胞が、CD34+細胞の参照集団に匹敵するコロニー形成能を有する、実施形態39の方法。
41.コロニー形成能が、コロニー形成細胞(CFC)アッセイによって測定される、実施形態40の方法。
42.製剤化されたCD34+細胞の投与が、CD34+細胞の参照集団に匹敵する、対象におけるCD45+細胞生着、T細胞生着、単球生着、及び/又はB細胞生着をもたらす、実施形態39〜41のいずれかの方法。
43.CD34+細胞の参照集団が、CD34+マーカーのポジティブ選択を受けた細胞である、実施形態42の方法。
44.実施形態1〜43のいずれかの方法によって作製された治療用細胞製剤。
45.治療用製剤を対象に投与することにより、実施形態44の治療用細胞製剤で対象を治療する工程を含む方法。
46.対象が脆弱なCD34+細胞集団を有する、実施形態45の方法。
47.対象がCD34lo細胞集団を有する、実施形態45又は46の方法。
48.対象が、ファンコーニ貧血(FA)、重症複合免疫不全(SCID)、鎌状赤血球症(SCD)又は先天性角化異常症を有する、実施形態45〜47のいずれかの方法。
49.対象が原発性免疫不全、続発性免疫不全及び/又はがんを有する、実施形態45〜47のいずれかの方法。
50.続発性免疫不全がHIVによって引き起こされる、実施形態49の方法。
51.がんが白血病である、実施形態49の方法。
52.対象に動員因子を投与する工程をさらに含む、実施形態45〜51のいずれかの方法。
53.指定数のCD34+細胞が末梢血中を循環していることが検出されるまで、動員因子を連続した日に投与する、実施形態52の方法。
54.指定数が10個のCD34+細胞/μL以上である、実施形態53の方法。
55.動員因子が、G−CSF、GM−CSF、SCF、AMD3100及び/又は化学療法剤から選択される、実施形態52〜54のいずれかの方法。
56.動員因子を投与する工程が、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目及び6日目にG−CSFを投与する工程、並びに4日目、5日目及び6日目にAMD3100を投与する工程を含む、実施形態52〜55のいずれかの方法。
57.動員因子を投与する工程が、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目及び6日目に16μg/kg/日のG−CSFを投与する工程、並びに4日目、5日目及び6日目に240μg/kg/日のプレリキサフォルを投与する工程を含む、実施形態52〜56のいずれかの方法。
58.動員因子を投与する工程が皮下投与を含む、実施形態52〜57のいずれかの方法。
59.白血球除去療法を実施する工程をさらに含む、実施形態45〜58のいずれかの方法。
60.白血球除去療法が2日間にわたって行われる、実施形態59のいずれかの方法。
61.白血球除去療法が大量白血球除去療法である、実施形態59又は60の方法。
62.収集された動員末梢血試料が自己血漿で希釈される、実施形態59〜61のいずれかの方法。
63.収集された動員末梢血試料が、1日目に自己血漿で200×106細胞/mL以下の濃度に希釈される、実施形態59〜62の方法。
64.2日目に収集された動員末梢血試料が、希釈された1日目試料と一緒にプールされる、実施形態59〜63のいずれかの方法。
65.白血球除去療法後に血小板洗浄を実施する工程をさらに含む、実施形態59〜64のいずれかの方法。
66.対象から骨髄試料を取得する工程をさらに含む、実施形態45〜51のいずれかの方法。
67.骨髄試料に対してヘタスターチ沈降を実施して赤血球(RBC)を除去する工程をさらに含む、実施形態66の方法。
本明細書に開示のタンパク質及び/又は核酸配列の変異体も、使用することができる。変異体には、本明細書に記載又は開示のタンパク質及び核酸配列との少なくとも70%の配列同一性、80%の配列同一性、85%の配列同一性、90%の配列同一性、95%の配列同一性、96%の配列同一性、97%の配列同一性、98%の配列同一性又は99%の配列同一性を有する配列が含まれ、この変異体は実質的に類似又は改善された生物学的機能を示す。
「配列同一性%」とは、配列を比較することにより決定される、2以上の配列間の関係を指す。当技術分野において、「同一性」とは、このような配列のストリング間の一致により決定される、タンパク質配列及び核酸配列の間の配列関連性の程度も意味する。「同一性」(「類似性」と呼ばれることも多い)は、以下に記載されている方法を含む公知の方法で容易に計算することができる:Computational Molecular Biology(Lesk,A.M.,ed.)Oxford University Press,NY(1988);Biocomputing:Informatics and Genome Projects(Smith,D.W.,ed.)Academic Press,NY(1994);Computer Analysis of Sequence Data,Part I(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.)Humana Press,NJ(1994);Sequence Analysis in Molecular Biology(Von Heijne,G.,ed.)Academic Press(1987);及びSequence Analysis Primer(Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.)Oxford University Press,NY(1992)。同一性を決定するための好ましい方法は、被験配列間の最適な一致をもたらすように設計されている。同一性及び類似性を決定する方法は、公的に利用可能なコンピュータープログラムで体系化されている。配列アライメントと同一性パーセントの計算は、LASERGENE bioinformatics computing suite(DNASTAR,Inc.,Madison、Wisconsin)のMegalignプログラムを使用して実行することができる。配列の多重アライメントは、Clustalアライメント法(デフォルトのパラメーター(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=10)を用いたHiggins and Sharp CABIOS、5、151−153(1989))を使用して実行することもできる。関連するプログラムとしては、GCG suite of programs(Wisconsin Package Version 9.0,Genetics Computer Group(GCG),Madison,Wisconsin);BLASTP,BLASTN,BLASTX(Altschul,et al.,J.Mol.Biol.215:403−410(1990);DNASTAR(DNASTAR,Inc.,Madison,Wisconsin);及びSmith−Watermanアルゴリズムを組み入れたFASTAプログラム(Pearson,Comput.Methods Genome Res.,[Proc.Int.Symp.](1994),Meeting Date 1992,111−20.Editor(s):Suhai,Sandor.Publisher:Plenum,New York,N.Y.も挙げられる。本開示の文脈内で、配列解析ソフトウェアが解析に使用される場合、解析結果は参照プログラムの「デフォルト値」に基づいていることは理解されよう。「デフォルト値」とは、最初に初期化されたときにソフトウェアに元々ロードされている値又はパラメーターのセットを意味する。
[実施例1]
系列枯渇は、遺伝子治療用の自己血HSCを保存する。ファンコーニ貧血(FA)の遺伝的基礎は、ヌクレオチド除去とその後の相同組換えによる、ストランド間架橋のDNA修復を担う、FA/乳がん経路を構成するタンパク質成分を有する19の遺伝子のいずれか1つの突然変異である。結果として生じる遺伝子完全性の損傷は、造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)のほぼ均一な減少、青年期までの骨髄異形成症候群又は急性骨髄性白血病の50%の発生率、及び頭頸部扁平上皮癌又は婦人科系がんの25%の生涯発生率と関連している。一部の患者では、血球クローンは野生型への自然復帰(つまり、体細胞モザイク現象)を示し、最大27年間、血球数の改善と安定化につながる。したがって、FA造血欠陥の修正は、疾患の臨床経過を大きく変える可能性があり、このことがFAのHSPC遺伝子治療の数十年の研究を推進している。
系列枯渇は、遺伝子治療用の自己血HSCを保存する。ファンコーニ貧血(FA)の遺伝的基礎は、ヌクレオチド除去とその後の相同組換えによる、ストランド間架橋のDNA修復を担う、FA/乳がん経路を構成するタンパク質成分を有する19の遺伝子のいずれか1つの突然変異である。結果として生じる遺伝子完全性の損傷は、造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)のほぼ均一な減少、青年期までの骨髄異形成症候群又は急性骨髄性白血病の50%の発生率、及び頭頸部扁平上皮癌又は婦人科系がんの25%の生涯発生率と関連している。一部の患者では、血球クローンは野生型への自然復帰(つまり、体細胞モザイク現象)を示し、最大27年間、血球数の改善と安定化につながる。したがって、FA造血欠陥の修正は、疾患の臨床経過を大きく変える可能性があり、このことがFAのHSPC遺伝子治療の数十年の研究を推進している。
初期の臨床試験では、原発性免疫不全の治療を受けた患者など、他の遺伝子治療患者と比較して、FA患者の真のHSPCの数が劇的に50倍減少したことが示された。さらに、遺伝子導入のためにex vivoで操作した場合、FA HSPCは非常に脆弱であった。治療を受けた患者のいずれも、血球数の安定した改善及び遺伝子修正された血球の長期持続を示さなかった。これらの研究は、FA遺伝子治療における技術革新の2つの必要性を強調している:(1)遺伝子導入及び注入のための収集に利用可能なHSPCの数を増やすこと、及び(2)遺伝子導入後のこれらの細胞の生着能を高めること。
International FA Gene Therapy Working Groupの勧告に従って、FA相補群A(FA−A)患者に対する遺伝子治療の第I相臨床試験が2014年に開始された(National Clinical Trials Registry ID NCT01331018)。この試験計画には、HSPCの数と適合性の向上を目的としたいくつかの特徴が組み込まれている。これらには、ヒトホスホグリセリン酸キナーゼ(hPGK)プロモータによって制御されるFANCA cDNAを導入するための自己不活性化(SIN)レンチウイルスベクター(LV)、ex vivo操作を最小限に抑える短い一晩の形質導入、並びに操作を通しての抗酸化剤N−アセチルシステイン(NAC)の添加及び酸化的DNA損傷を制限するための低酸素(5%)下での培養が含まれる。
遺伝子導入の標的HSPC集団は、CD34細胞表面タンパク質を発現する(CD34+)。CD34に対するフルオロフォア結合抗体で染色し、フローサイトメトリーで分析すると、BM細胞のごく一部がCD34+であり、原始幹細胞とよりコミットされた前駆細胞との両方が表された。これらの細胞を分離するための標準的な臨床手順には、まず、BM収集又は顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)若しくはG−CSFとケモカイン受容体CXCR4アンタゴニストのプレリキサフォルとの組み合わせによるサイトカイン刺激を介した循環への細胞の動員、続くPB白血球除去療法(mAPH)が含まれる。初期の分離技術は、細胞表面でのCD34抗原の発現に依存しており、ビオチン−アビジン親和性、パニング又は免疫磁気ビーズベースのアプローチを利用していた。予想される収率は、利用可能なCD34+細胞全体の50%であり、純度はさまざまであり、技術全体で20〜90%の範囲であった[Collins.Stem Cells.1994;12(6):577−585で総説]。これらのうち、免疫磁気ビーズベースのポジティブ選択は、今日の臨床規模で最も広く適用されており、2014年にヒト用の臨床機器が最初のFDA承認を受けている。自動化を含むこの技術の進歩により、回収の確実性が平均収率70%に向上し、純度は定常的に90%を超えている[Spohn et al.Cytotherapy.2015;17(10):1465−1471及びAvecilla et al.Transfusion.2016;56(5):1008−1012]。ただし、これらの値はBM及びmAPH産物に基づいており、全細胞の1〜3%がCD34抗原を発現し、これらの細胞の大部分は高レベルのCD34を提示する。FA患者の場合、CD34+細胞の頻度ははるかに低く、BMでは0.1〜1.5%である。Muller&Williams.Mutat Res.2009;668(1−2):141−149;Kelly et al.Mol Ther.2007;15(1):211−219。これは、FAでの遺伝子導入のために、限られた数のHSPCを保存する非標準的な方法が必要であり得ることを意味する。
ここでは、3人の患者のHSPC収集結果について記載する。最初に、このプロトコルは、動員を事前に試みずにBMからCD34+細胞を直接単離することを提案しており、FA患者中の限られた数のHSPCを使い尽くす可能性がある。これにより、CD34発現パターンの評価と、標準的な臨床プロトコルを使用した直接分離の可能性が可能になり、代替HSPC分離戦略の必要性のエビデンスが得られた。
方法。患者の選択。この研究は、ヘルシンキ宣言及び米国食品医薬品局(FDA)に従って、フレッド・ハッチンソンがん研究センター(Hutchinson Cancer Research Center)(フレッド・ハッチ(Fred Hutch))の施設内倫理委員会により承認され、組換えDNA分子を含む研究に関する国立衛生研究所のガイドラインに準拠している。インフォームドコンセントはすべての患者から得た。4歳以上のFA患者は、マイトマイシンC(MMC)又はジエポキシブタンによる染色体切断に対する感受性の増加についてのポジティブ試験により診断された。試験で定義されたBM分析において正常な核型を示したA相補群の患者を研究の対象とみなした。登録された患者の特徴は、図1において利用可能である。
レンチウイルスベクター。すべてのSIN LVベクターを、第3世代の分割パッケージングシステムで作製し、水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質(VSVG)でシュードタイプ化した。健康なドナー細胞の形質導入に使用されるLVは、高感度緑色蛍光タンパク質(eGFP)導入遺伝子(pRSC−PGK.eGFP−sW)又は完全長のFANCA cDNA(pRSC−PGK.FANCA−sW)のいずれかをコードし、これらは双方ともヒトホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモータにより調節される。特定の実施形態では、PGKプロモータは配列番号56の配列を有する。研究グレードのベクターを、Fred Hutch Vector Production Coreによって作製した。臨床グレードLV(pRSC−PGK.FANCA−sW)は、IUVPFが保有する承認済みのドラッグマスターファイルに基づき優良医薬品製造基準(Good Manufacturing Practices)に従って、大規模で検証済みの方法を使用してIndiana University Vector Production Facility(IUVPF)によって生産された。感染力価は、HT1080ヒト線維肉腫由来細胞の連続形質導入によって決定し、eGFP発現に関するフローサイトメトリーによって、又はTaqman qPCRのいずれかによって評価した。
研究デザイン及びHSPCの単離。患者に、15cc/kg体重の標的収集目標でBM採取を行うか、又は毎日G−CSF(フィルグラスチム;16μg/kg BID;1〜6日目)及びプレリキサフォル(240μg/kg/日;4〜6日目)を皮下投与するかのいずれかで、CD34+細胞を動員した。動員された患者を、循環CD34+血球数が10細胞/μL以上になったときに大量白血球除去療法に供した。健康なドナー血液産物は、市販の供給源(BM産物;StemExpress、Folsom、カリフォルニア)又は機関共有供給源(mAPH産物)から購入した。免疫磁気ビーズは、Miltenyi Biotech、Gmbh(Auburn、カリフォルニア)から入手した。BM産物の場合、ヘタスターチ沈降によりRBCを減量し、その後CliniMACS Prodigy(商標)デバイス(Miltneyi Biotec GmbH、Auburn、カリフォルニア)で標識した。mAPH産物の場合、まず血小板洗浄を行い、その後標識した。系列枯渇のカスタムプログラミングを設計し、CliniMACS Prodigy(商標)デバイス(Miltenyi Biotec GmbH、Auburn、カリフォルニア)で実行した。完全な処理方法は、次の項に含まれている。
BM及びmAPH産物の処理。すべての処理は、クラスII、タイプA2の生物学的安全キャビネット又はCliniMACS Prodigy(商標)デバイス(Miltenyi Biotec GmbH、Auburn、カリフォルニア)で行った。デバイスに充填する前に、1LのPlasmaLyte A(Baxter Healthcare、Deerfield、イリノイ)にNACを最終濃度1mMまで補填し、十分混合した。3LバッグのCliniMACS(PBS/EDTA)緩衝液(Miltenyi Biotec GmbH、Auburn、カリフォルニア)に、60mLの25%ヒト血清アルブミン(HSA;Baxter Healthcare)及びNACを最終濃度1mMまで補填し、十分混合した。BM産物の場合、600mLバッグの0.9%NaCl中6%ヘタスターチ(HES)(Hospira Inc.,Lake Forest、イリノイ)に、NACを最終濃度1mMまで補填した。免疫磁気ビーズ試薬を、カスタムプログラム及びTS 510チューブセット(Miltenyi Biotec GmbH、Auburn、カリフォルニア)を使用してデバイス上で濃縮し、総量を14mL以下にした後、3mLの10%IVIg(GAMMAGARD;Baxter Healthcare)及び20mLの空気を含む60mLの注射器に移し、必要になるまで2〜8°Cで保存した。デバイスに充填するために、TS 510チューブセットを取り付けた。
BM産物を、標準的な臨床手順によって収集した。収集したら、全血球計算値を取得し、BMをPlasmaLyte A+NACで希釈し、ヘマトクリット値を25%以下にして、その後チューブセットのアプリケーションバッグに充填した。HESの沈降を促進するために、400mLの漏斗付クライオバッグ(OriGen Biomedical、Austin、テキサス)を取り付け前にチューブセットに滅菌接合した。複数のバッグを使用する場合、色分けされた三分岐標準ボア延長セット(Smiths Medical、Saint Paul、ミネソタ)に滅菌接合によりバッグを接続し、次いでチューブセットに取り付けた。
大量のmAPH産物を、COBE Spectra又はOptiaアフェレーシスシステム(Terumo BCT、Lakewood、コロラド)において標準的な臨床手順によって収集した。mAPH産物の場合、初日収集は全血球計算値を得るためにサンプリングし、必要に応じて自己血漿で200×106細胞/mL以下の濃度に希釈して、2〜8°Cで一晩保存した。2日目の収集を行ったら、産物をプールし、全血球計算値を得た。TS 510チューブセットの準備中に、提供された標的細胞及び非標的細胞バッグを取り外し、3Lのトランスファーパック(Fenwal、Lake Zurich、イリノイ)に交換して、大量の細胞産物を収容した。mAPH産物は、アプリケーションバッグを介してチューブセットに充填した。
デバイスのセットアップ及び運転:
すべての過程で、バルブの構成は以下のとおりである:
バルブ1:CliniMACS(PBS/EDTA)バッファー+NAC+HSA
バルブ2:空っぽ
バルブ3:濃縮ビーズ試薬+IVIg
バルブ4:漏斗付クライオバッグ(BM産物のみ)
バルブ5:HES+NAC(BM産物のみ)
バルブ6:空っぽ
バルブ7:空っぽ
バルブ8:アプリケーションバッグ(チューブセット付き標準)
バルブ9:予備分離カラム
バルブ10:プライミングバッグ
バルブ11〜16及び21:方向バルブ
バルブ17〜18:Centricultユニット
バルブ19:廃棄バッグ
バルブ20:非標的細胞バッグ
バルブ22:標的細胞バッグ
バルブ23:中間保管バッグ
バルブ24:空っぽ
すべての過程で、バルブの構成は以下のとおりである:
バルブ1:CliniMACS(PBS/EDTA)バッファー+NAC+HSA
バルブ2:空っぽ
バルブ3:濃縮ビーズ試薬+IVIg
バルブ4:漏斗付クライオバッグ(BM産物のみ)
バルブ5:HES+NAC(BM産物のみ)
バルブ6:空っぽ
バルブ7:空っぽ
バルブ8:アプリケーションバッグ(チューブセット付き標準)
バルブ9:予備分離カラム
バルブ10:プライミングバッグ
バルブ11〜16及び21:方向バルブ
バルブ17〜18:Centricultユニット
バルブ19:廃棄バッグ
バルブ20:非標的細胞バッグ
バルブ22:標的細胞バッグ
バルブ23:中間保管バッグ
バルブ24:空っぽ
チューブセットが充填され、プログラムが起動されると、ユーザーは初期産物がBMかmAPHかを選択する。BMが選択されている場合、処理を開始するために必要な5つのユーザー入力がある:(1)充填された希釈BM産物の体積(完全な充填には+10mL)、(2)測定された希釈後ヘマトクリット値、(3)充填に必要なステージ数(総希釈BM体積をステージごとに300mLで除算し、最も近い整数に切り上げ)、(4)枯渇(「ビーズ結合」)細胞を標的とする系列マーカーを発現する細胞の推定頻度、及び(5)アプリケーションバッグに充填された細胞の百万単位の数。入力後、デバイスは、デバイスへの充填が正確であることを確認するためにクランプと接続のいくつかのチェックを実行するようにユーザーに促し、自動化方法が開始される。開始したら、HES沈降が完了するまで、ユーザーインターフェイスは必要ない。ユーザーは、方法を続行するか、又は必要に応じてより長い沈降を許可するかを選択することができる。沈降が完了すると、ユーザーはRBCの除去を開始するように促され、ユーザーが減量されたRBCの体積に満足するまで、漏斗付クライオバッグの底部から(複数のバッグを使用する場合は一度に1つずつ)移送されるRBCの体積を入力する。ユーザーがRBSの除去が十分であることを示すと、プログラムは自動的に継続して系列枯渇を開始する。系列枯渇が完了すると、標的細胞産物バッグには、形質導入のための所望の系列細胞画分が含まれ、チューブセットをヒートシールすることによりデバイスから取り外される。
mAPHが選択された場合、処理を開始するために必要な2つのユーザー入力がある:(1)アプリケーションバッグに充填された細胞の百万単位の数、及び(2)枯渇(「ビーズ−結合」)細胞を標的とする系列マーカーを発現する細胞の推定頻度。入力後、デバイスは、デバイスへの充填が正確であることを確認するためにクランプと接続のいくつかのチェックを実行するようにユーザーに促し、自動化方法が開始される。ユーザーは、自動プログラムの開始時の2回のすすぎ工程でアプリケーションバッグを混合するように促される。このインターフェイスの後、系列枯渇過程が完了するまで、他のユーザーインターフェイスは必要ない。系列枯渇が完了すると、標的細胞産物バッグには、形質導入のための所望の系列画分が含まれ、チューブセットをヒートシールすることによりデバイスから取り外される。
患者1単独については、RBC減量BM産物をCliniMACS Prodigyデバイスから取り外し、CliniMACS抗CD34マイクロビーズ(Miltenyi Biotech GmbH、Auburn、カリフォルニア)によって標識することによってさらに処理し、次いでCD34+細胞を、CliniMACS Select Plus instrument(Miltenyi Biotech GmbH、Auburn、カリフォルニア)において製造業者の推奨事項に従って免疫磁気ポジティブ選択を使用して精製した。患者2のBM産物には、RBC減量後のさらなる濃縮戦略は適用しなかった。患者3から初日に収集したmAPH産物は、1mM濃度のNACの存在下でオービタルシェーカー上で一晩4°Cにおいて保持し、CliniMACS ProdigyデバイスでのRBC減量及び系列枯渇のために翌日の2回目の収集と一緒にプールした。
形質導入。CD34濃縮細胞を、4μg/mLの硫酸プロタミン(American Pharmaceutical Partners;APP、East Shaumburg、イリノイ)、各100ng/mLの組換えヒト幹細胞因子(rhSCF)、トロンボポエチン(rhTPO)及びFlt−3リガンド(rhFLT3L)(CellGenix GmbH、Freiburg、ドイツ)並びに1mMのN−アセチルシスチン(Cumberland Pharmaceuticals、Nashville、テネシー)を補填したStemSpan ACF培地(StemCell Technologies、Vancouver、ブリティッシュコロンビア)において、RetroNectin(商標)コーティング培養フラスコで1x106細胞/mL及び2.9x105細胞/cm2の密度で培養した。細胞を、5〜10感染単位(IU)/細胞の感染多重度(MOI)で即時形質導入した。37℃、5%CO2及び5%O2で12〜24時間インキュベートした後、注入及び/又は分析のために細胞を回収した。
NSGマウスへの移植。すべての動物実験は、フレッド・ハッチ施設内動物管理使用委員会によって承認されたプロトコル1864の下で実施した。NOD.Cg−PrkdcscidIL2rγtmlWj/Szj(NOD/SCID/IL2rγnull、NSG)マウスは、アメリカ実験動物認定協会(American Association for Accreditation of Laboratory Animal Care)によって承認された病原体のない状態でフレッド・ハッチにおいて飼育された。8〜12週齢のマウスに275 cGy TBIを行った。TBIの4時間後、1%ヘパリン(APP)を含む200μLのリン酸緩衝生理食塩水(D−PBS、Life Technologies Corporation、Grand Island、ニューヨーク)に再懸濁した1x106個の遺伝子改変総有核細胞(TNC)を、尾静脈を介して注入した。血液試料を、眼窩後部穿刺によりエチレンジアミン四酢酸(EDTA)マイクロテイナー(BD Bioscience、San Jose、カリフォルニア)に収集し、分析前にPBSで1:1に希釈した。剖検で、脾臓とBMを収集した。組織を70μmメッシュ(BD Bioscience)で濾過し、ダルベッコのPBS(D−PBS)で洗浄した。
コロニー形成細胞アッセイ。形質導入された細胞産物を、下記を例外とした前述(Radtke et al.Sci Transl Med.2017;9(414))のメチルセルロース培地(H4230、StemCell Technologies)での標準コロニー形成細胞(CFC)アッセイ(Radtke et al.Sci Transl Med。2017;9(414))において播種した:FANCA遺伝子機能を評価するために、MMC(Sigma Aldrich、セントルイス、ミズーリ)を0nM、5nM、10nM又は20nMの濃度で添加した。完全なコロニーDNA抽出及びPCR方法については、次の項に記載する。
コロニー形成アッセイの方法。コロニー形成アッセイでは、2%の熱不活性化ウシ胎児血清(ThermoFisher、Waltham、マサチューセッツ)及び各100ng/mLの以下の成長因子を含むメチルセルロースにプレーティングした:rh−インターロイキン3(IL−3)、rhIL−6、rh−TPO、rh−エリスロポエチン(EPO)、rhSCF、rh−顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)及びrh−顆粒球単球コロニー刺激因子(GM−CSF)[IL−3、IL−6及びTPOはPeproTechから購入、EPO、SCF及びG−CSFは、Amgen Inc.,Thousand Oaks、カリフォルニアから購入、並びにGM−CSFは、Miltenyi Biotech GmbH、Auburn、カリフォルニアから購入した]。細胞を堅牢なコロニーの発達が達成されるまで12〜14日間培養し、コロニー数と表現型、ハローの出現を伴う濃い白いコロニーとして識別される顆粒球−単球(GM)コロニー、ヘモグロビン産生による明瞭な赤色として識別される赤血球(E)コロニー、又はヘモグロビン産生コロニーと白色コロニーの混合物によって識別される混合型(GEMM)コロニーとして評価した。個々のコロニーを、QuickExtract DNA Extraction Solution 1.0(Epicenter、Lucigen Corporation、Middleton、ウィスコンシン)にも突いて採取した。65℃で20分間加熱した後、酵素反応を停止させるために、99℃で10分間加熱してゲノムDNAを単離した。LV骨格に特異的なプライマー(フォワード、5’−AGAGATGGGTGCGAGAGCGTCA(配列番号57)、リバース、5’−TGCCTTGGTGGGTGCTACTCCTAA(配列番号58))を使用したPCRによってDNAを分析した。反応混合物を、最初の変性のために94℃で2分間、続いて94℃で1分間(変性)、65℃で0.5分間(アニーリング)及び72℃(伸長)の38サイクル、最後に72℃で10分間(最終延長)のPCR条件に供した。DNA試料を、内在性DNA対照であるβ−アクチンに関する別の反応にも供した(フォワード、5’−TCCTGTGGCATCGACGAAACT(配列番号59);リバース、5’−GAAGCATTTGCGGTGGACGAT(配列番号60))。この反応混合物を、最初の変性のために95℃で2分間、続いて95℃で1分間(変性)、62℃で1分間(アニーリング)及び72℃(伸長)の37サイクル、最後に72℃で10分間(最終延長)のPCR条件に供した。LV及びβ−アクチンの両方に対して予想されるバンドを含むコロニーを、形質導入に関してポジティブであるとスコア化した。β−アクチン産物を産生しなかった反応は、評価不能とみなした。
ベクターコピー数の定量的リアルタイムPCRに基づく測定。ゲノム等価物あたりのベクターコピー数(VCN)を、LV特異的プライマー/プローブの組み合わせ(フォワード、5’−TGAAAGCGAAAGGGAAACCA(配列番号61);リバース、5’−CCGTGCGCGCTTCAG(配列番号62);プローブ、5’−AGCTCTCTCGACGCAGGACTCGGC(配列番号63;Integrated DNA Technologies;IDT、Coralville、アイオワ))を用いた2連の反応で、並びにβ−グロビン特異的プライマー/プローブの組み合わせ(フォワード、5’−CCTATCAGAAAGTGGTGGCTGG(配列番号64);リバース、5’−TTGGACAGCAAGAAAGTGAGCTT(配列番号65);プローブ、5’−TGGCTAATGCCCTGGCCCACAAGTA(配列番号66)(IDT、Coralville、アイオワ))を用いた別の反応で、TaqMan 5’ヌクレアーゼ定量的リアルタイムPCRアッセイによって評価した。2つの標準曲線を、同じLV骨格の単一の組込み体を含むことが確認されたヒト細胞株(HT1080)から、及び健康なドナーから収集された末梢白血球から、両方のプライマー−プローブセットを独立して使用して単離されたgDNAの連続希釈によって確立した。
個々のコロニーgDNA試料をマルチプレックスリアルタイムTaqman qPCRに供し、LV特異的産物及び内在性対照を増幅させた(Taqman Copy Number Reference assay RNaseP、Thermo Fisher Scientific、Pittsburgh、ペンシルバニア)。平均VCNが0.5以上の試料を、形質導入されたとみなした。
造血サブセットのフローサイトメトリー分析。FACS Canto II、FACS Aria II又はFACS LSR II(すべてBD Biosciences、San Jose、カリフォルニア製)で染色細胞を取得し、FlowJoソフトウェアv10.0.8(Tree Star Inc.,Ashland、オレゴン)を使用して分析した。分析は最大20,000個の細胞に対して実施した。ゲートを、フル・マイナス・ワン(full minus one)染色対照を使用して確立した。
抗体には、抗ヒトCD34(クローン563)、CD16(クローン3G8)、CD3(クローンUCHT1)、CD4(クローンL200)、CD8(クローンRPA−T8)、すべてBD Biosciences、San Jose、カリフォルニア;CD14(クローン61D3、Thermo Fisher Scientific、Pittsburgh、ペンシルバニア);CD19(クローン4G7、BD Pharmingen、San Diego、カリフォルニア);CD90(クローン5E10)、CD20(クローン2H7)、CD15(クローンW6D3)、すべてBiolegend(San Diego、カリフォルニア);CD133(クローン293C3、Miltenyi Biotec GmbH、Auburn、カリフォルニア);CD45(クローンD058−1283)及びCD45RA(クローン5H9)、どちらもBD Horizon(San Jose、カリフォルニア)が含まれた。
マウス試料の場合、抗体は抗マウスCD45−V500(561487、クローン30−F11)、抗ヒトCD45−PerCP(347464、クローン2D1)、CD3−FITC(555332、クローンUCHT1)、CD4−V450(560345、クローンRPA−T4)、CD8−APCCy7(557834、クローンSK1)、CD20−PE(555623、クローン2H7)及びCD14−APC(555824、クローン581)、すべてBD Biosciences、San Jose、CAであった。
結果。FA−A BM及びmAPHにおいて減少したCD34Hi発現細胞。登録された2人の患者に、入手可能なCD34+HSPCを収集するためにBM採取を行った(患者1及び2)。3番目の患者には、フィルグラスチムとプレリキサフォルを用いて動員して、次いでPB白血球除去療法を行った(患者3)。3人の患者全員が、収集及び治療前のBM吸引物のスクリーニングで、並びにCD34+細胞の単離及び遺伝子導入のために収集された細胞産物において、健康なドナーのBM産物と比較してCD34発現及びCD34+細胞の推定数の減少を示した(図2A−2F)。2つのCD34発現レベル、CD34Lo(平均蛍光強度(MFI)=3,512±627)及びCD34Hi(MFI=20,070±5,008)が観察された。注目すべきことに、CD34Hi細胞の割合は、健康なドナーで観察されたものと比較してFA−A患者で著しく減少していた(図2A−2F)。
FA−A CD34Hi細胞はin vitroでの再増殖能を示したが、CD34Lo細胞は示さなかった。どのCD34+細胞が再増殖能を示したかを判定するために、CFC能を代理として使用した。これには、in vitroアッセイ用にCD34Lo及びCD34Hi細胞をフロー選別するのに十分な血液産物が必要であった。患者3から収集されたmAPH産物のみがこの研究に十分であった。直接比較するために、CD34Lo及びCD34Hi細胞を、健康なドナーmAPH産物から選別精製した。FA−A患者由来のCD34Hi細胞のみがコロニー形成能を示した(図3A)。健康なドナーでは、CD34Hi細胞はまた、CD34Lo細胞と比較してより高いCFC能力を示し、FA−A患者と比較してはるかに高いレベルであった(図3B)。これらのデータは、再増殖能がCD34Hi細胞画分に限定されていることを示唆しており、遺伝子導入法のためにこれらの細胞を可能な限り多く保存する必要があることを強調している。
現在の臨床精製プロトコルでのFA−A CD34Hi細胞の大幅な損失。CD34+細胞濃縮の現在の臨床標準は、CD34Hi細胞の収集に最適化されている。しかし、患者1では、このプロトコルを使用したCD34+細胞の直接濃縮は非効率的であり、結果として収量は29%であり、遺伝子導入に利用可能な総CD34+細胞はわずか9.4×106であった(図4)。さらに、濃縮細胞産物の純度はわずか59.6%であり、培養及び遺伝子導入中に生細胞の50%の損失が観察された。得られた遺伝子改変細胞は、コロニー形成能力を保持し、LV媒介FANCA遺伝子導入後のMMCに対する獲得耐性を示した(図5)。
患者2では、CD34の直接濃縮及び遺伝子導入の際の推定損失は、形質導入に利用可能な細胞産物が患者1で観察されるよりも低いレベルに低下すると予想された。したがって、CD34の直接濃縮工程を排除し、赤血球(RBC)枯渇BM産物全体を形質導入可能にするための緊急の修正をFDAに提出した。この処理の変更により、CD34+細胞がより多く保存され(図4)、形質導入及び生存率が改善されたが(図5)、法外な量(80mL)の濃縮された臨床グレードのLVベクターが必要であった。合せて、これらのデータは、FA−A患者由来の標的CD34+細胞の最小限の操作が、in vivoでの収量、遺伝子導入効率及び機能を改善できるが、実行可能なLV使用を達成するために非標的細胞の数を減らす必要があることを示唆していた。
系列+細胞を枯渇させる新規な戦略の開発。非標的成熟B細胞、T細胞、単球及び顆粒球を枯渇させると、CD34発現細胞を直接標識、選択又は洗浄することがないので、最小限の操作で貴重なCD34+細胞を保持しながら、BM細胞産物の形質導入に必要なLVの量が減少すると仮定した(図6)。CliniMACS Prodigy(商標)デバイス(Adair et al.Nat Commun.2016;7:13173)を使用して細胞の選択と遺伝子導入を自動化する以前の研究に基づいて、カスタマイズされた自動RBC減量及び免疫磁気ビーズベースの系列枯渇戦略を設計した。このアプローチでは、4種の異なるビーズ結合抗体試薬:抗CD3(T細胞除去)、抗CD14(単球除去)、抗CD16(顆粒球及びNK細胞除去)及び抗CD19(B細胞除去)を使用した。このプロトコルは、BM産物及びmAPH産物の両方のために設計した。
系列枯渇は、利用可能なCD34+細胞を保存し、LV媒介遺伝子導入のためにTNCを実行可能な数に減少させる。合計9種のBM及び10種のmAPH産物を処理して、方法の有効性を確立した。BM CD45+細胞の平均60%及びmAPH CD45+細胞の50%が、4つの標的マーカー(CD3、CD14、CD16又はCD19)のうちの1つを発現した(それぞれ図7A及び図7B)。これらの産物のCD34+細胞含有量は、BM中で0.35%〜1.4%、mAPH産物中で0.06%〜0.9%の範囲であった。BM産物の平均方法実行時間は10時間であったが、mAPH産物は13時間かけて処理された。観察されたTNCの減少は、系列枯渇後のBM及びmAPH産物の両方で1logであった(図8A)。すべての標的系列+細胞は初期の10%未満まで枯渇し、CD34+細胞はBM産物では90%超、mAPH産物では70%超保持された(図8B)。BM CD34+細胞の24%は標準的なメチルセルロースアッセイにおいてコロニーを形成し、一方、mAPH CD34+細胞は51%がコロニーを形成した(図8C、図9A〜9D)。しかし、FA−A患者細胞に対して提案された同じプロトコルを使用したこれらの細胞のLV形質導入後、両方の細胞産物タイプ由来のCFCへの50%の遺伝子導入率が一貫して観察された(図8D)。単一コロニーの分析により、VCN/CFCの平均はBM CD34+細胞では0.7、mAPH CD34+細胞では1.6が示された。VCNをまた、in vitroで10日間培養されたバルク形質導入細胞で評価し、BM及びmAPH産物の両方について平均値5を示した(図8E)。マイコプラズマと無菌性に関して試験した最終細胞産物はネガティブであり、エンドトキシン試験は患者の注入基準内の値を示した。6つのmAPH及びBM産物由来の系列枯渇細胞及び形質導入細胞はそれぞれ、1×106 TNC/マウスの標的細胞用量でNSGマウスに注入された。平均して、BM産物のCD34+細胞用量/マウスは2.86×104 CD34+細胞(SEM=6.67×103)であり、mAPH産物については1.08×105 CD34+細胞(SEM=1.45×104)であった。PB WBCについてのフローサイトメトリー分析を使用して、経時的な生着(ヒトCD45+)及びT細胞(ヒトCD3+)、B細胞(ヒトCD20+)及び単球(ヒトCD14+)への系列発生を評価した(図8F)。mAPHとBM産物は両方とも、20週間にわたるモニタリングで長期生着を示した。BMから精製され、同様の細胞用量で注入されたCD34+細胞による生着レベルは、Wiekmeijerら(Biores Open Access.2014;3(3):110−116)により報告された結果に匹敵した。
系列枯渇細胞産物を、CD34濃縮産物と同等に異種移植(xenoengraft)する。この実施例では、健康なドナーのBM産物を2つのアリコートに分割した。一方は系列を枯渇させ、他方はCD34を濃縮した。得られた細胞集団に同一の条件下で同じLVベクターを形質導入し、NSGマウスに同等のCD34+細胞用量で注入した。CD34の選択と比較して、系列枯渇でより高いCD34+細胞の保持が観察されたが、形質導入効率やコロニー形成能に他の違いは観察されなかった(図10A、10B)。CD34選択細胞を与えられたマウスと比較して、形質導入された系列枯渇細胞を与えられたマウスにおけるヒトCD45+血球生着のレベルはわずかに高いが、有意差は認められなかった。CD34選択細胞産物を与えられたマウスと比較して、系列枯渇細胞産物を与えられたマウスにおけるT細胞及びB細胞の生着のより高い安定性も観察された(図10C)。
系列枯渇プロトコルは、限定されたFA CD34Hi細胞を保存する。これらのデータはまとめて、系列枯渇が利用可能なCD34+細胞を保存し、形質導入効率又は細胞適合性を損なうことなく、形質導入のためのTNC数を実現可能な数に減らしたことを示唆している。FDAの承認の下、臨床プロトコルは、BM産物及びmAPH産物の両方、並びにCD34+細胞濃縮の方法として系列枯渇を含むように改変された。改変されたプロトコルで最初に治療された患者3は、相補性研究によりFA−Aが確認された5歳の男子であった。ベースライン好中球は平均1.7K/mcLであり、ベースライン血小板は治療の6ヶ月前で平均32K/mcLであり、好中球及び血小板は過去2年間にわたって減少している(図11A〜11C)。10個以上のCD34+細胞/μL PBの動員が達成され、2回の連続したアフェレーシス収集により、合計1.6x108のCD34+細胞を含む8.5x1010のTNCが得られた(図4及び12A)。カラムの制限により、5×1010TNC(9.5×107の総CD34+細胞に相当)を系列枯渇に供し、残りは凍結保存した。系列枯渇により、TNCが94%減少し、利用可能なCD34+細胞が56%保持された。CD34の純度は1.6%であり、患者1及び2と比較して、形質導入及び注入に利用可能なCD34+細胞/kgの総数が1〜2log倍数増加した(図4)。合計52.8×106のCD34+細胞に5 IU/細胞で形質導入し、最終細胞用量は2.4×106総CD34+細胞/kgが得られ、トリパンブルー色素排除に基づいて生存率は99.3%であった。この細胞産物中のCFCの26%が形質導入され、平均VCNは1(0.9)を示した(図5)。他のすべての注入基準が満たされたが、MycoAlert(商標)ラピッドテストを使用したマイコプラズマの偽陽性結果が観察され、qPCRアッセイの陰性結果によって確認された。したがって、限られたCD34+細胞を、形質導入効率を損なうことなくFA−A患者由来の血液産物の系列枯渇を使用して、間接的に濃縮した。
細胞産物は、合併症を起こすことなく再注入された。患者は、動員及び白血球除去療法の際に合計2回の血小板輸血及び2回の濃縮血球輸血パックを必要とした(図12B)。患者は、注入後5日で始まり注入後36日で終了する追加の5回の血小板輸血を受けた(図12C)。低ヘマトクリットの場合、注入後15日目及び28日目に濃縮血球輸血パックを2回追加投与した。
当業者によって理解されるように、本明細書に開示される各実施形態は、その特定の記載された要素、工程、構成要素若しくは成分を含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなり得る。したがって、「含む(include)」又は「含むこと(including)」という用語は、「含む(comprise)、からなる(consist of)、又は本質的からになる(consist essentially of)」と列挙していると解釈されるべきである。「含む(comprise)」又は「含む(comprises)」という移行用語には、不特定の要素、工程、構成要素又は成分を含むことを意味するが、これらに限定されるものではない。移行句「からなる」は、指定されていない任意の要素、工程、構成要素又は成分を除外する。「本質的からになる」という移行句は、実施形態の範囲を、特定の要素、工程、構成要素又は成分、及びこの実施形態に重大な影響を及ぼさないものに限定する。重大な影響とは、本明細書に記載のシステム及び方法のCD34+細胞のネガティブ選択を達成する能力の低下を引き起こすものである。
特に他のことが明記されない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される構成要素の量、分子量などの特性、反応条件などを表すすべての数字は、すべての場合に「約」という用語によって修飾されているものと理解されるべきである。したがって、反対のことが示されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメーターは、本発明によって取得することが求められる所望の特性に応じて変わり得る近似値である。少なくとも、及び特許請求の範囲に対する等価物の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメーターは、報告された有効桁数を考慮して、通常の端数処理技法を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。さらに明確にする必要がある場合、「約」という用語は、記載された数値又は範囲と組み合わせて使用される場合、当業者によって合理的に割り当てられた意味を有する、すなわち、記載された値の±20%、記載された値の±19%、記載された値の±18%、記載された値の±17%、記載された値の±16%、記載された値の±15%、記載された値の±14%、記載された値の±13%、記載された値の±12%、記載された値の±11%、記載された値の±10%、記載された値の±9%、記載された値の±8%、記載された値の±7%、記載された値の±6%、記載された値の±5%、記載された値の±4%、記載された値の±3%、記載された値の±2%又は記載された値の±1%の範囲内の記載された値又は範囲よりもいくぶん大きいか又はいくぶんか小さいことを表す。
本発明の広い範囲を説明する数値範囲及びパラメーターは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載されている数値は可能な限り正確に報告されている。ただし、数値には、それぞれの試験測定で見出された標準偏差から必然的に生じる特定の誤差が本質的に含まれている。
用語「a」、「an」、「the」及び本発明を説明する文脈で(特に以下の特許請求の範囲で)使用される類似の指示対象は、特に他のことが明記されない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、単に、その範囲内に入る個々の値を個別に参照する簡略表記方法として機能することを意図している。本明細書において特に他のことが明記されない限り、各個別の値は、あたかも個別に本明細書に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書で説明されるすべての方法は、特に他のことが明記されない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供されるありとあらゆる例又は例示的な言葉(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、特許請求される本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中の言語は、本発明の実施に不可欠な、特許請求されていない要素を示すものと解釈されるべきではない。
本明細書に開示された本発明の代替の要素又は実施形態のグループ化は、限定として解釈されるべきではない。各グループのメンバーは、個別に、又はグループの他のメンバー若しくは本明細書で見出される他の要素との任意の組み合わせで、参照及び特許請求することができる。グループの1以上のメンバーが、利便性及び/又は特許性の理由でグループに含まれたり、グループから削除されたりすることが予想される。そのような包含又は削除が発生した場合、本明細書は、添付の特許請求の範囲で使用されるすべてのマーカッシュグループの記述を満たすように修正されたグループを含むとみなされる。
本明細書では、本発明を実施するために本発明者らに知られている最良の形態を含む本発明の特定の実施形態が記載される。当然のことながら、これらの記載された実施形態の変形は、前述の説明を読むことにより当業者には明らであろう。発明者は、当業者が必要に応じてそのような変形を使用することを予期しており、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で本発明が実施されることを意図している。したがって、本発明は、準拠法で許可されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙された主題のすべての修正及び等価物を含む。さらに、そのすべての可能な変形における上記要素の任意の組み合わせは、特に他のことが明記されない限り、又は文脈により明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
さらに、本明細書全体を通じて、特許、印刷出版物、雑誌記事及び他の書面のテキストに対して多くの参照が行われている(参照資料)。参照資料のそれぞれは、参照された教示のために、その全体が参照により本明細書に個別に組み込まれている。
最後に、本明細書で開示される本発明の実施形態が、本発明の原理の例示であることを理解されたい。採用され得る他の修正は、本発明の範囲内である。したがって、限定ではなく例として、本発明の代替構成を本明細書の教示に従って利用することができる。したがって、本発明は、示され説明されたとおりのものに限定されない。
本明細書に示される詳細は、例としてであり、本発明の好ましい実施形態の例示的な説明のみを目的としており、本発明のさまざまな実施形態の原理及び概念的態様の最も有用及び容易に理解されると考えられるものを提供するために提示される。その際、本発明の基本的な理解に必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細を示す試みは行われず、図面及び/又は実施例の説明は、本発明のいくつかの形態がどのように実際に具体化され得るかを当業者に明らかにする。
本開示で使用される定義及び説明は、以下の実施例で明白及び明確に変更されない限り、又は意味の適用が任意の構造を無意味又は本質的に無意味にする場合を除き、将来の任意の構造において制御されることを意味及び意図する。用語の構成が定義及び説明を無意味又は本質的に無意味にする場合、定義はWebster’s Dictionary,3rd Edition、又は当業者に公知の辞書、例えば、Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology(Eds.Attwood T et al.,Oxford University Press,Oxford,2006)から解釈されるべきである。
Claims (82)
- 脆弱なCD34+造血幹細胞(HSC)集団を有する対象を同定する工程;
脆弱なCD34+細胞を含む生体試料を前記対象から取得する工程;
CD3+、CD14+、CD16+及びCD19+細胞のみを前記生体試料から除去する工程;
前記生体試料内に残ったCD34+細胞を、治療用遺伝子を含むウイルスベクターを前記残ったCD34+細胞のゲノムに挿入することによって遺伝子改変する工程;並びに
前記遺伝子改変されたCD34+細胞を、前記対象への投与のために製剤化する工程を含む、方法。 - 前記対象がファンコーニ貧血を有するヒト患者である、請求項1に記載の方法。
- 前記除去する工程により、CD3+細胞、CD14+細胞、CD16+細胞及びCD19+細胞が、合せて少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%減少する、請求項1に記載の方法。
- 前記生体試料中の出発CD34+細胞の少なくとも50%、少なくとも70%又は少なくとも90%が、保持される、請求項1に記載の方法。
- 保持されたCD34+細胞が、CD34+、CD45RA−及びCD90+である、請求項1に記載の方法。
- 前記除去する工程の後に、前記生体試料中に間葉系幹細胞が残る、請求項1に記載の方法。
- 治療用遺伝子が、FancA、FancB、FancC、FancD1、FancD2、FancE、FancF、FancG、FancI、FancJ、FancL、FancM、FancN、FancO、FancP、FancQ、FancR、FancS、FancT、FancU、FancV又はFancWを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記除去する工程が、CD3に結合する結合タンパク質、CD14に結合する結合タンパク質、CD16に結合する結合タンパク質及びCD19に結合する結合タンパク質からなる結合タンパク質と、前記生体試料を接触させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
- 結合タンパク質が、抗体又はその結合断片を含む、請求項8に記載の方法。
- 結合タンパク質が、磁気ビーズ、フルオロフォア及び/又は親和性タグに結合されている、請求項8に記載の方法。
- 前記除去する工程が、磁気分離、蛍光活性化細胞選別(FACs)、ナノ選別、アフィニティークロマトグラフィー、パニング及び/又は選択的凝集を実施する工程を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記抗体が、クローン5H9、クローンJS−83、クローンHI100、抗CD45RA[MEM−56]、クローンUCHT1、クローンSK7、クローンOKT3、クローンCD3−12、クローン61D3、クローンHCD14、クローン63D3、クローンM5E2、クローン3G8、クローンLNK16、クローンDJ130c、クローンKD1、クローン4G7、クローンHIB19、クローンLT19及びクローンFMC63から選択される、請求項9に記載の方法。
- 前記抗体が、クローン5H9、クローンUCHT1、クローン61D3、クローン3G8及びクローン4G7からなる、請求項12に記載の方法。
- 前記遺伝子改変が、5〜10感染単位(IU)/細胞の感染多重度(MOI)でウイルスベクターを形質導入する工程を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、請求項14に記載の方法。
- 前記レンチウイルスベクターが、自己不活性化レンチウイルスベクターである、請求項15に記載の方法。
- 前記レンチウイルスベクターが、ヒトホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモータを含む、請求項15に記載の方法。
- 前記ヒトPGKプロモータが、配列番号56を含む、請求項17に記載の方法。
- 前記生体試料が、骨髄試料又は動員末梢血試料である、請求項1に記載の方法。
- 治療的又は実験的目的のために、ネガティブ選択を利用して、アクセサリー細胞を含むCD34+細胞集団を形成する工程を含む方法であって、
骨髄試料又は動員末梢血試料を取得する工程;
CD45RA+、CD3+、CD14+、CD16+及び/又はCD19+細胞を生体試料から除去する工程;
を含み、
これにより、治療的又は実験的目的のために、ネガティブ選択を利用して、アクセサリー細胞を含むCD34+細胞集団を形成する方法。 - CD45RA+細胞のみを除去する工程を含む、請求項20に記載の方法。
- CD3+、CD14+、CD16+及びCD19+細胞を除去する工程を含む、請求項20に記載の方法。
- CD3+、CD14+及びCD19+細胞を除去する工程を含む、請求項20に記載の方法。
- CD3+、CD14+、CD16+及びCD19+細胞のみを除去する工程を含む、請求項20に記載の方法。
- 前記アクセサリー細胞が、間葉系幹細胞である、請求項20に記載の方法。
- 前記除去する工程により、CD3+細胞、CD14+細胞、CD16+細胞及びCD19+細胞が、合せて少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%減少する、請求項20に記載の方法。
- 前記生体試料中の出発CD34+細胞の少なくとも50%、少なくとも70%又は少なくとも90%が、保持される、請求項20に記載の方法。
- 保持されたCD34+細胞が、CD34+、CD45RA−及びCD90+である、請求項27に記載の方法。
- CD34+細胞集団内のCD34+細胞を遺伝子改変する工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
- 前記遺伝子改変する工程が、レンチウイルスベクターを形質導入する工程を含む、請求項29に記載の方法。
- 前記レンチウイルスベクターが、自己不活性化レンチウイルスベクターである、請求項30に記載の方法。
- 前記レンチウイルスベクターが、配列番号31〜35、41〜43及び46〜50から選択される配列を含む、請求項30に記載の方法。
- 前記レンチウイルスベクターが、配列番号36〜40、44、45及び51〜55から選択されるタンパク質をコードする配列を含む、請求項30に記載の方法。
- 前記レンチウイルスベクターが、治療用遺伝子を含む、請求項30に記載の方法。
- 前記治療用遺伝子が、FancA、FancB、FancC、FancD1、FancD2、FancE、FancF、FancG、FancI、FancJ、FancL、FancM、FancN、FancO、FancP、FancQ、FancR、FancS、FancT、FancU、FancV、FancW、γC、JAK3、IL7RA、RAG1、RAG2、DCLRE1C、PRKDC、LIG4、NHEJ1、CD3D、CD3E、CD3Z、CD3G、PTPRC、ZAP70、LCK、AK2、ADA、PNP、WHN、CHD7、ORAI1、STIM1、CORO1A、CIITA、RFXANK、RFX5、RFXAP、RMRP、DKC1、TERT、TINF2、DCLRE1B、SLC46A1、F8、F9、IDUA、イズロニダーゼ、IDS、GNS、HGSNAT、SGSH、NAGLU、GUSB、GALNS、GLB1、ARSB、HYAL1、101F6、123F2、53BP2、abl、ABLI、ADP、aFGF、APC、ApoAI、ApoAIV、ApoE、ATM、BAI−1、BDNF、Beta*(BLU)、bFGF、BLC1、BLC6、BRCA1、BRCA2、CBFA1、CBL、C−CAM、CFTR、CNTF、COX−1、CSFIR、CTS−1、シトシンデアミナーゼ、DBCCR−1、DCC、Dp、DPC−4、E1A、E2F、EBRB2、erb、ERBA、ERBB、ETS1、ETS2、ETV6、Fab、FCC、FGF、FGR、FHIT、fms、FOX、FUS 1、FUS1、FYN、G−CSF、GDAIF、Gene 21、Gene 26、GM−CSF、GMF、gsp、HCR、HIC−1、HRAS、hst、IGF、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11 IL−12、ING1、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、IRF−1、JUN、KRAS、LCK、LUCA−1、LUCA−2、LYN、MADH4、MADR2、MCC、mda7、MDM2、MEN−I、MEN−II、MLL、MMAC1、MYB、MYC、MYCL1、MYCN、neu、NF−1、NF−2、NGF、NOEY1、NOEY2、NRAS、NT3、NT5、OVCA1、p16、p21、p27、p53、p57、p73、p300、PGS、PIM1、PL6、PML、PTEN、raf、Rap1A、ras、Rb、RB1、RET、rks−3、ScFv、scFV ras、SEM A3、SRC、TAL1、TCL3、TFPI、トロンボスポンジン、チミジンキナーゼ、TNF、TP53、trk、T−VEC、VEGF、VHL、WT1、WT−1、YES、zac1、α2β1、αvβ3、αvβ5、αvβ63、BOB/GPR15、Bonzo/STRL−33/TYMSTR、CCR2、CCR3、CCR5、CCR8、CD4、CD46、CD55、CXCR4、アミノペプチダーゼ−N、HHV−7、ICAM、ICAM−1、PRR2/HveB、HveA、α−ジストログリカン、LDLR/α2MR/LRP、PVR、PRR1/HveC、ラミニン受容体、可溶性CD40、CTLA、Fas L、グロビンファミリー遺伝子、WAS、phox、ジスロトフィン、ピルビン酸キナーゼ、CLN3、ABCD1、アリールスルファターゼA、SFTPB、SFTPC、NLX2.1、ABCA3、GATA1、リボソームタンパク質遺伝子、TERT、TERC、DKC1、TINF2、CFTR、LRRK2、PARK2、PARK7、PINK1、SNCA、PSEN1、PSEN2、APP、SOD1、TDP43、FUS、ユビキリン2、C9ORF72及び/又はCD4、CD5、CD7、CD52、IL−1、IL−2、IL−6に対する抗体;TNF;自己反応性T細胞に特異的に存在するP53、PTPN22、DRB1*1501/DQB1*0602若しくはTCR;IL−4;IL−10;IL−12;IL−13;IL−1Ra、sIL−1RI、sIL−1RII;sTNFRI;及び/又はsTNFRIIを含む、請求項34に記載の方法。
- 前記除去する工程が、前記生体試料を、CD45RAに結合する結合タンパク質、CD3に結合する結合タンパク質、CD14に結合する結合タンパク質、CD16に結合する結合タンパク質及び/又はCD19に結合する結合タンパク質を含む結合タンパク質と接触させる工程を含む、請求項20に記載の方法。
- 結合タンパク質が、抗体又はその結合断片を含む、請求項36に記載の方法。
- 結合タンパク質が、磁気ビーズ、フルオロフォア及び/又は親和性タグに結合されている、請求項36に記載の方法。
- 前記除去する工程が、磁気分離、蛍光活性化細胞選別(FACs)、ナノ選別、アフィニティークロマトグラフィー、パニング及び/又は選択的凝集を実施する工程を含む、請求項20に記載の方法。
- 前記抗体が、クローン5H9、クローンJS−83、クローンHI100、抗CD45RA[MEM−56]、クローンUCHT1、クローンSK7、クローンOKT3、クローンCD3−12、クローン61D3、クローンHCD14、クローン63D3、クローンM5E2、クローン3G8、クローンLNK16、クローンDJ130c、クローンKD1、クローン4G7、クローンHIB19、クローンLT19及び/又はクローンFMC63を含む、請求項37に記載の方法。
- 前記抗体が、クローン5H9、クローンUCHT1、クローン61D3、クローン3G8及び/又はクローン4G7を含む、請求項40に記載の方法。
- 前記除去する工程の前に、前記生体試料から赤血球を除去する工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
- 前記生体試料が、骨髄試料であり、N−アセチルシステイン(NAC)を含む細胞培養培地で前記骨髄試料を希釈して、25%以下のヘマトクリット値を得る工程を含む、請求項20に記載の方法。
- 硫酸プロタミン、幹細胞因子、トロンボポエチン、Flt−3リガンド及びN−アセチルシステインを補填した培地におけるネガティブ選択後に前記生体試料中に保持されたCD34+細胞を培養する工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
- CD34+細胞を、対象への投与のために製剤化する工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
- 脆弱なCD34+造血幹細胞(HSC)集団、CD34+lo HSC集団、原発性免疫不全、続発性免疫不全及び/又はがんを有する対象を同定する工程;
CD34+細胞を含む生体試料を前記対象から取得する工程;
CD45RA+、CD3+、CD14+、CD16+及び/又はCD19+細胞を前記生体試料から除去する工程;並びに
前記生体試料内に残ったCD34+細胞を、治療用遺伝子をコードする核酸をゲノム内に挿入することによって遺伝子改変する工程を含む、方法。 - 前記遺伝子改変されたCD34+細胞を、前記対象への投与のために製剤化する工程をさらに含む、請求項46に記載の方法。
- 前記対象が、ファンコーニ貧血、鎌状赤血球症(SCD)又は先天性角化異常症を有するヒト患者である、請求項46に記載の方法。
- 前記続発性免疫不全が、HIVによって引き起こされる、請求項46に記載の方法。
- 前記がんが白血病である、請求項46に記載の方法。
- 前記除去する工程により、CD3+細胞、CD14+細胞、CD16+細胞及びCD19+細胞が、合せて少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%減少する、請求項46に記載の方法。
- 前記生体試料中の出発CD34+細胞の少なくとも50%、少なくとも70%又は少なくとも90%が保持される、請求項46に記載の方法。
- 保持されたCD34+細胞が、CD34+、CD45RA−及びCD90+である、請求項52に記載の方法。
- 間葉系幹細胞が、前記除去する工程の後に前記生体試料中に残る、請求項46に記載の方法。
- 前記遺伝子改変する工程が、5〜10感染単位(IU)/細胞の感染多重度(MOI)でウイルスベクターを形質導入する工程を含む、請求項46に記載の方法。
- 前記遺伝子改変する工程が、レンチウイルスベクターを形質導入する工程を含む、請求項46に記載の方法。
- 前記レンチウイルスベクターが、自己不活性化レンチウイルスベクターである、請求項56に記載の方法。
- 前記レンチウイルスベクターが、配列番号31〜35、41〜43及び46〜50から選択される配列を含む、請求項56に記載の方法。
- 前記レンチウイルスベクターが、配列番号36〜40、44、45及び51〜55から選択されるタンパク質をコードする配列を含む、請求項56に記載の方法。
- 前記除去する工程が、CD45RAに結合する結合タンパク質、CD3に結合する結合タンパク質、CD14に結合する結合タンパク質、CD16に結合する結合タンパク質及び/又はCD19に結合する結合タンパク質を含む結合タンパク質と、前記生体試料を接触させる工程を含む、請求項46に記載の方法。
- 結合タンパク質が、抗体又はその結合断片を含む、請求項60に記載の方法。
- 結合タンパク質が、磁気ビーズ、フルオロフォア及び/又は親和性タグに結合されている、請求項60に記載の方法。
- 前記除去する工程が、磁気分離、蛍光活性化細胞選別(FACs)、ナノ選別、アフィニティークロマトグラフィー、パニング及び/又は選択的凝集を実施する工程を含む、請求項46に記載の方法。
- 前記抗体が、クローン5H9、クローンJS−83、クローンHI100、抗CD45RA[MEM−56]、クローンUCHT1、クローンSK7、クローンOKT3、クローンCD3−12、クローン61D3、クローンHCD14、クローン63D3、クローンM5E2、クローン3G8、クローンLNK16、クローンDJ130c、クローンKD1、クローン4G7、クローンHIB19、クローンLT19及び/又はクローンFMC63を含む、請求項61に記載の方法。
- 前記抗体が、クローン5H9、クローンUCHT1、クローン61D3、クローン3G8及びクローン4G7を含む、請求項64に記載の方法。
- 請求項1〜65のいずれかに記載のネガティブ選択の後に生体試料中に保持されたCD34+細胞を含む、治療用細胞製剤。
- 請求項1〜66のいずれかに記載のネガティブ選択の後に生体試料中に保持されたCD34+細胞を含み、請求項1〜66のいずれかに記載の遺伝子改変を含む、治療用細胞製剤。
- CD45RA、CD3、CD14、CD16及び/又はCD19に結合する1以上のタンパク質;
培養培地;並びに
FancA、FancB、FancC、FancD1、FancD2、FancE、FancF、FancG、FancI、FancJ、FancL、FancM、FancN、FancO、FancP、FancQ、FancR、FancS、FancT、FancU、FancV、FancW、γC、JAK3、IL7RA、RAG1、RAG2、DCLRE1C、PRKDC、LIG4、NHEJ1、CD3D、CD3E、CD3Z、CD3G、PTPRC、ZAP70、LCK、AK2、ADA、PNP、WHN、CHD7、ORAI1、STIM1、CORO1A、CIITA、RFXANK、RFX5、RFXAP、RMRP、DKC1、TERT、TINF2、DCLRE1B、SLC46A1、F8、F9、IDUA、イズロニダーゼ、IDS、GNS、HGSNAT、SGSH、NAGLU、GUSB、GALNS、GLB1、ARSB、HYAL1、101F6、123F2、53BP2、abl、ABLI、ADP、aFGF、APC、ApoAI、ApoAIV、ApoE、ATM、BAI−1、BDNF、Beta*(BLU)、bFGF、BLC1、BLC6、BRCA1、BRCA2、CBFA1、CBL、C−CAM、CFTR、CNTF、COX−1、CSFIR、CTS−1、シトシンデアミナーゼ、DBCCR−1、DCC、Dp、DPC−4、E1A、E2F、EBRB2、erb、ERBA、ERBB、ETS1、ETS2、ETV6、Fab、FCC、FGF、FGR、FHIT、fms、FOX、FUS 1、FUS1、FYN、G−CSF、GDAIF、Gene 21、Gene 26、GM−CSF、GMF、gsp、HCR、HIC−1、HRAS、hst、IGF、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11 IL−12、ING1、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、IRF−1、JUN、KRAS、LCK、LUCA−1、LUCA−2、LYN、MADH4、MADR2、MCC、mda7、MDM2、MEN−I、MEN−II、MLL、MMAC1、MYB、MYC、MYCL1、MYCN、neu、NF−1、NF−2、NGF、NOEY1、NOEY2、NRAS、NT3、NT5、OVCA1、p16、p21、p27、p53、p57、p73、p300、PGS、PIM1、PL6、PML、PTEN、raf、Rap1A、ras、Rb、RB1、RET、rks−3、ScFv、scFV ras、SEM A3、SRC、TAL1、TCL3、TFPI、トロンボスポンジン、チミジンキナーゼ、TNF、TP53、trk、T−VEC、VEGF、VHL、WT1、WT−1、YES、zac1、α2β1、αvβ3、αvβ5、αvβ63、BOB/GPR15、Bonzo/STRL−33/TYMSTR、CCR2、CCR3、CCR5、CCR8、CD4、CD46、CD55、CXCR4、アミノペプチダーゼ−N、HHV−7、ICAM、ICAM−1、PRR2/HveB、HveA、α−ジストログリカン、LDLR/α2MR/LRP、PVR、PRR1/HveC、ラミニン受容体、可溶性CD40、CTLA、Fas L、グロビンファミリー遺伝子、WAS、phox、ジスロトフィン、ピルビン酸キナーゼ、CLN3、ABCD1、アリールスルファターゼA、SFTPB、SFTPC、NLX2.1、ABCA3、GATA1、リボソームタンパク質遺伝子、TERT、TERC、DKC1、TINF2、CFTR、LRRK2、PARK2、PARK7、PINK1、SNCA、PSEN1、PSEN2、APP、SOD1、TDP43、FUS、ユビキリン2、C9ORF72及び/又はCD4、CD5、CD7、CD52、IL−1、IL−2、IL−6に対する抗体;TNF;自己反応性T細胞に特異的に存在するP53、PTPN22、DRB1*1501/DQB1*0602若しくはTCR;IL−4;IL−10;IL−12;IL−13;IL−1Ra、sIL−1RI、sIL−1RII;sTNFRI;及び/又はsTNFRIIから選択される治療用遺伝子を含むウイルスベクターを含む、キット。 - 結合するタンパク質が、CD45RAに結合するタンパク質からなる、請求項68に記載のキット。
- 結合するタンパク質が、CD3、CD14、CD16及びCD19に結合するタンパク質からなる、請求項68に記載のキット。
- 結合するタンパク質が、CD3、CD14及びCD19に結合するタンパク質からなる、請求項68に記載のキット。
- 治療用遺伝子が、FancA、FancB、FancC、FancD1、FancD2、FancE、FancF、FancG、FancI、FancJ、FancL、FancM、FancN、FancO、FancP、FancQ、FancR、FancS、FancT、FancU、FancV及びFancWを含む、請求項68に記載のキット。
- 硫酸プロタミン、ヒト幹細胞因子、トロンボポエチン、Flt−3リガンド及びN−アセチルシステインのうち1つ以上を含む、請求項68に記載のキット。
- 動員因子を含む、請求項68に記載のキット。
- 動員因子が、G−CSF、GM−CSF、SCF、AMD3100及び化学療法剤から選択される、請求項74に記載のキット。
- 結合タンパク質が、クローン5H9、クローンJS−83、クローンHI100、抗CD45RA[MEM−56]、クローンUCHT1、クローンSK7、クローンOKT3、クローンCD3−12、クローン61D3、クローンHCD14、クローン63D3、クローンM5E2、クローン3G8、クローンLNK16、クローンDJ130c、クローンKD1、クローン4G7、クローンHIB19、クローンLT19及び/又はクローンFMC63を含む、請求項68に記載のキット。クローン5H9、クローンUCHT1、クローン61D3、クローン3G8及び/又はクローン4G7を含む。
- 磁気ビーズ、フルオロフォア及び/又は親和性タグをさらに含む、請求項68に記載のキット。
- 骨髄試料又は動員末梢血試料を取得するための医療用品をさらに含む、請求項68に記載のキット。
- チューブセットをさらに含む、請求項68に記載のキット。
- 前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、請求項68記載のキット。
- 前記レンチウイルスベクターが、自己不活性化レンチウイルスベクターである、請求項80に記載のキット。
- 対象への投与のために細胞を製剤化する培地をさらに含む、請求項68に記載のキット。
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