JP2020515651A - 高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤、その配合方法、および、その使用 - Google Patents

高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤、その配合方法、および、その使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤、その配合方法、および、その使用、を提供する。本発明は、従来製品の機能が単一であり、二次汚染を引き起こすなどの問題を解決し、幅広く使用でき、特に粉塵パーティクルが小さい道路、たとえば全浮遊微粒子(TSP)、PM2.5、PM10、および、窒素酸化物、の捕集吸着に適用する。本発明の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤は、重量比で、主に、ポリビニルアルコール:0.1〜10%、珪酸ナトリウム:0〜5%、グリセリン:10〜50%、界面活性剤:0〜5%、防腐剤:0〜5%、残部:水、を、混合してなるものである。

Description

本願は、2017年3月27日に中国専利局に提出された、出願番号がCN201710186866Xであり、発明名称が「高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤、その配合方法、および、その使用」である中国特許出願の優先権を主張し、引用によりその全ての内容を本願に組み込む。
本発明は、環境衛生分野に関し、特に、高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤、その配合方法、および、その使用、に関する。
パーティクル汚染は、我が国の都市の大気質への影響範囲が広く、数多くの都市の大気汚染に係る主要要素である。国内外では、通常、露天粉塵発生源の防止対策として、主に散水粉塵抑制、被覆粉塵抑制、防風壁粉塵抑制、密閉構造の建築、化学粉塵抑制、などが利用されている。散水粉塵抑制は、大量の水を無駄に費やすのみならず、北部地域では、夏になると気温が高くなるため蒸発が早く(通常、一回の散水により10分間しか維持できない)、冬になると気温が低く凍結しやすいため、その実用が大きく制限されている。バルクカーゴの被覆織物は、強度が低く、滑らかで、重量が軽く、風を捉えやすく、使用期限が短く、コストが高いので、資源を無駄にするばかりではなく、被覆および積み上げ工程は手間がかかるので、作業効率を高めることが難しい。粉塵抑制防風壁および密閉構造による粉塵抑制は、一回の投資額が膨大であり、大気に漂う粉塵を捉えることができないので、絶えずに新たな粉塵を生成する作業地に対して、その粉塵抑制能力は限りがある。化学粉塵抑制の方法は、誕生して以来、世界各国で幅広く利用され、良い効果を奏しており、科学研究および工業利用において、露天粉塵発生源の巻き上げ汚染に対する最適な方法であると考えられている。
従来の粉塵抑制剤は、概ね、湿潤型、結着性、吸湿保湿型、および、多機能複合型、に分けられ、そのうち単一機能のものが多く、複合型の粉塵抑制剤に関する報告が少ない。一般的に、単一機能の粉塵抑制剤は、粉塵抑制効果が理想的ではない。今まで、国内外では、粉塵抑制効果がよく汎用できる汎用型粉塵抑制剤が開発されず、広範囲に使用でき効果が理想的な複合型粉塵抑制剤の研究は始まったばかりである。このため、良い粉塵抑制効果を奏し、かつ、環境に優しい、路面粉塵抑制剤の開発は、解決が望まれる技術課題である。これに鑑みて、本発明を提出する。
本発明は、従来製品の、機能が単一であり、二次汚染を引き起こす、などの問題を解決できる、高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤を提供することを目的とする。
本発明は、簡単で、効果が高く、コストが低く、かつ、普及しやすい、上記の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤の配合方法を提供することを第二の目的とする。
本発明は、上記の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤の使用を提供することを第三の目的とする。その使用範囲は幅広く、石炭、各種類の金属、非金属の掘採場、鉱物スラグ置き場、石炭ならびに粉鉱の運送、鉱物の貯蔵卸場、建物の解体、建設中道路の沿線、火力発電所、セメント工場、製鉄所、冶金工場、粉塵作業場、および、人工養浜ならびに砂漠化地域、などの場所に適用することができ、特に粉塵パーティクルが小さい道路、たとえば、全浮遊微粒子(TSP)、PM2.5、PM10、および、窒素酸化物、の捕集吸着に適用する。
上記の目的を達成するために、本発明は、以下の技術方案を提供する。
高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤は、重量比で、主に、ポリビニルアルコール:0.1〜10%、珪酸ナトリウム:0〜5%、グリセリン:10〜50%、界面活性剤:0〜5%、防腐剤:0〜5%、残部:水、を、混合してなるものである。
好ましくは、本発明に係る高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤は、重量比で、主に、ポリビニルアルコール:0.1〜10%、珪酸ナトリウム:0.1〜5%、グリセリン:10〜50%、界面活性剤:0.01〜5%、防腐剤:0〜5%、残部:水、を、混合してなるものである。
以上のレシピは、ポリビニルアルコール、小分子の吸湿保湿剤、および、界面活性剤、を選んで混合してなるものであり、粉塵微粒子、特に粒径が小さいパーティクル(TSP、PM2.5、PM10、窒素酸化物、自動車の排気ガスなど)の捕集、吸着、凝集を有効に行うことができるとともに、湿潤、吸湿、浸食防止、などの役割も果たす。以上の粉塵抑制剤により形成された結着層は、さらに大きい強度を有し、通常の自然の天候によって削られることを防止することができる。
また、本発明の前記粉塵抑制剤の成分は、いずれも天然材料または自然分解可能な材料を使用するので、二次汚染を引き起こさない環境適合性が高い処理剤である。
本発明の効果は、各成分の単純な合計によって実現されたものではなく、各成分の相乗的効果であり、すなわち、各成分が単に主機能を果たすのみならず、副機能も果たし、副機能は、その他の成分との相乗効果によって引き起こされる場合があることを注意すべきである。たとえば、珪酸ナトリウムは、吸水性能を有するとともに、ポリビニルアルコールとの相乗効果によって結着作用を果たす。グリセリンは、よい保湿性を有するため、大気から水分を吸収し、粉塵表面のフィルムの下に保水層を形成するので、湿潤作用を果たすとともに、ポリビニルアルコールとの相乗効果によって保水、蒸発防止の作用を果たす。これによって、粉塵抑制剤の粉塵抑制効率をより高く向上させる。
より高い保湿率、粉塵抑制効率、および、より長い粉塵抑制周期、を得るために、好ましくは、上記レシピの各成分として、たとえば以下のものを使用する。
好ましくは、前記界面活性剤は、アニオン性界面活性剤および非イオン界面活性剤の一方または両方の混合から選ばれるものである。
より好ましくは、前記アニオン性界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ペンタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ヘプタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、および、オクタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、からなる群から選ばれる少なくとも1つである。また、より好ましくは、前記非イオン界面活性剤はアルコールエトキシレートである。
さらに好ましくは、前記アニオン性界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、および、ラウリル硫酸ナトリウム、からなる群から選ばれる少なくとも1つである。
さらに好ましくは、前記アルコールエトキシレートの分子量は、300〜330または575〜605である。
特に好ましくは、前記界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびアルコールエトキシレートを1:1〜3の重量比で混合してなるものである。
好ましくは、前記ポリビニルアルコールの分子量は、2万〜30万である。より好ましくは、前記ポリビニルアルコールの分子量は、5万〜10万である。さらに好ましくは、前記ポリビニルアルコールの分子量は、6.5万〜8.5万である。
好ましくは、前記防腐剤は、安息香酸ならびにその塩類、ソルビン酸ならびにその塩類、プロピオン酸カルシウム、パラベン、および、デヒドロ酢酸ならびにそのナトリウム塩類、からなる群から選ばれる少なくとも1つである。より好ましくは、前記防腐剤は、デヒドロ酢酸ならびにそのナトリウム塩類である。
同様に、各成分の含有量は、保湿性能および粉塵抑制性能に対しても重要な影響を与える。高レベルの総合性能を果たすために、好ましくは、上記の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤は、重量比で、主に、
ポリビニルアルコール:5〜8%、
珪酸ナトリウム:0〜1%、
グリセリン:20〜30%、
界面活性剤:0.01〜0.1%、
防腐剤:0.01〜5%、
残部:水、
を、混合してなるものである。
より好ましくは、上記の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤は、重量比で、主に、
ポリビニルアルコール:5〜8%、
珪酸ナトリウム:0.1〜1%、
グリセリン:20〜30%、
界面活性剤:0.01〜0.1%、
防腐剤:0.01〜5%、
残部:水、
を、混合してなるものである。
さらに好ましくは、上記の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤は、重量比で、主に、
ポリビニルアルコール:7〜8%、
珪酸ナトリウム:0.1〜0.5%、
グリセリン:25〜30%、
界面活性剤:0.01〜0.02%、
防腐剤:0.01〜5%、
残部:水、
を、混合してなるものである。
特に好ましくは、上記の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤は、重量比で、主に、
ポリビニルアルコール:7〜8%、
珪酸ナトリウム:0.1〜0.3%、
グリセリン:25〜30%、
界面活性剤:0.01〜0.02%、
防腐剤:0.01〜5%、
残部:水、
を、混合してなるものである。
本発明は、さらに、上記の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤の配合方法を提供し、ポリビニルアルコールを熱水に溶解させて、その他の原料を均一になるまで混合することによって、製品を得る。
好ましくは、前記熱水の温度は90〜95℃である。
具体的には、まず一定量のポリビニルアルコールおよび水を反応器に加入し、恒温(好ましくは90〜95℃)の条件で、完全に溶解まで加熱する。そして、その他の成分と残部相当の水とを容器に投入し、均一に撹拌する。上記のように得られた溶液を混合することによって、最終に粉塵抑制剤溶液である乳白色液体を得る。これにより、上記の方法は、簡単な物理的混合だけで実現でき、操作が簡単であり、厳しい反応条件を必要としないので、コストが低く、容易に普及させることができる。
本発明の上記高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤は、結着性、湿潤性、成膜性、膜強度、洗掘抵抗性、および、浸食抵抗性が、いずれも顕著であり、また、異なる粒径範囲のパーティクルのいずれに対しても、安定であるとともに強い吸着能を果たすので、普及に適する。
また、石炭、各種類の金属、非金属の掘採場、鉱物スラグ置き場、石炭ならびに粉鉱運送、鉱物の貯蔵卸場、建物の解体、建設中道路の沿線、火力発電所、セメント工場、製鉄所、冶金工場、粉塵作業場、および、人工養浜ならびに砂漠化地域、などの場所に用いることができ、特に粉塵パーティクルが小さい道路、たとえば全浮遊微粒子(TSP)、PM2.5、PM10、および、窒素酸化物、の捕集吸着に適用する。
本発明の粉塵抑制剤の使用は散布により行われる。すなわち、前記高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤を路面に散布すればよい。
本発明の粉塵抑制剤の使用量は好ましくは1.5〜3L/mである。
以上により、本発明は、従来技術に比べて、以下の技術効果を果たす。
(1)保湿性がより強く、40%以上に達する。
(2)粉塵抑制安定性がより高く、粉塵抑制周期が少なくとも7日間である。
(3)浸透性が強く、粉塵を迅速に捕集吸着できる。
(4)目的性がより強く、TSP、PM2.5、PM10、および、窒素酸化物、が多い路面に対する粉塵抑制効果が最もよく、PM2.5の粉塵抑制効率、および、PM10の粉塵抑制効率が、いずれも89%以上に達する。
(5)天然または分解可能な材料を使用し、二次汚染が生じない。
(6)より高い道路使用安全性を有し、本発明の粉塵抑制剤を散布しても、道路安全運転に影響を与えない。
(7)植物への毒害影響がより小さく、より安全であり、環境適合性がより高い。
本発明に使用される用語の定義について、特に断りがない限り、本明細書における最初の定義が明細書全体の当該用語に適用する。本明細書において具体的に定義されなかった用語について、公開された内容、前後内容および本分野の一般的知識および/または常識によって、当業者が認める意味または解釈を付与する。
たとえば、ポリビニルアルコール1750における「1750」は平均重合度を表し、当該ポリビニルアルコールの分子量が約1750×44(モノマー分子量)=77000であることを表す。
以下、具体的な実施形態を参照して、本発明の技術方案を明瞭かつ完全に説明する。当業者は、以下説明する実施例が、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではなく、本発明を説明するものに過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではないと理解すべきである。当業者が本発明における実施例に基づいて創造的な労働を伴わずに得られる全てのその他の実施例は、本発明の保護範囲に該当する。実施例において具体的な条件を説明していない場合、常用条件または製造業者の普及する条件で行う。使用される試薬または計器において製造業者名が記載されていない場合、市販により獲得する常用製品を使用することができる。
〔実施例1〕
本発明に係る高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤は、以下のレシピに記載の重量比で各原料を混合して得られる。
ポリビニルアルコール1750:5%、
珪酸ナトリウム:0.1%、
グリセリン:20%、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:0.02%、
デヒドロ酢酸ナトリウム:0.01%、
残部:水。
配合工程は、以下の通りである。
(1)A溶液の配合
ポリビニルアルコール1750と適量な脱イオン水とを反応器に加入し、恒温(90〜95℃)の条件で、完全に溶解するまで加熱する。
(2)B溶液の配合
その他の原料と残部相当の脱イオン水とを容器に加入し、均一に撹拌する。
(3)B溶液を少しずつA溶液に投入しながら均一に撹拌することによって、当該道路粉塵抑制剤溶液である乳白色液体を得る。
〔実施例2〕
本発明に係る高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤は、以下のレシピに記載の重量比で各原料を混合して得られる。
ポリビニルアルコール1750:7%、
珪酸ナトリウム:0.2%、
グリセリン:25%、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:0.02%、
デヒドロ酢酸ナトリウム:0.01%、
残部:水。
配合工程は、実施例1と同様である。
〔実施例3〕
本発明に係る高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤は、以下のレシピに記載の重量比で各原料を混合して得られる。
ポリビニルアルコール1750:8%、
珪酸ナトリウム:0.3%、
グリセリン:30%、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:0.02%、
デヒドロ酢酸ナトリウム:0.01%、
残部:水。
配合工程は、実施例1と同様である。
〔実施例4〜5〕
実施例1との相違点は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムに替えて、それぞれ、ラウリルスルホン酸ナトリウム、アルコールエトキシレートAEO‐3、を使用する点である。
〔実施例6〜7〕
実施例1との相違点は、いずれも、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムに替えて、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムとアルコールエトキシレートAEO‐3との混合物を使用し、混合の重量比がそれぞれ1:1、1:3である点である。
〔実施例8〜9〕
実施例1との相違点は、ポリビニルアルコールの分子量および使用量であり、それぞれ、分子量が2.2万である0.1%のポリビニルアルコール、分子量が10.5万である010%のポリビニルアルコール、を使用する。
〔実施例10〜11〕
実施例1との相違点は、珪酸ナトリウムの使用量であり、それぞれ、1%および5%である。
〔実施例12〕
実施例1との相違点は、防腐剤の種類であり、デヒドロ酢酸ナトリウムに替えて安息香酸ナトリウムを使用し、その使用量は5%である。
〔実施例13〕
実施例1との相違点は、珪酸ナトリウムの使用量であり、それが0(すなわち、珪酸ナトリウムを含まない。)である。
〔実施例14〕
実施例2との相違点は、珪酸ナトリウムの使用量であり、それが0(すなわち、珪酸ナトリウムを含まない。)である。
〔実施例15〕
実施例3との相違点は、珪酸ナトリウムの使用量であり、それが0(すなわち、珪酸ナトリウムを含まない。)である。
〔実施例16〕
実施例2との相違点は、ポリビニルアルコールの使用量であり、3%である。
〔比較例1〜5〕
比較例1〜5で使用されている粉塵抑制剤の規格は、それぞれ、BSS、YYJ、WH、DS、および、RC、であり、上記規格の粉塵抑制剤は、全て市販製品である。
以下、実験例を参照し、本発明の粉塵抑制剤の有益効果を説明する。
〔実験例1 保湿効率の測定〕
保湿効率は、本発明の粉塵抑制剤測定の1つの重要指標であり、高い保湿率を有すると、粉塵抑制効果を容易に果たすことができる。通常、保湿率が35%以上になると、よい粉塵抑制効果を実現することができ、特に、保湿率が40%以上になる場合、その粉塵抑制効果がよりよくなる。
土サンプルの前処理は以下の通りである。10メッシュ数以下の土サンプルを選出し、50℃の温度条件でオーブン内において300分間加熱することによって、水分を除去してから、乾燥器に入れて準備状態とする。
測定方法は、以下の通りである。粒径が10メッシュ数より小さい一定量の土サンプル(前処理済)を計量し、培養皿内に入れる。そして、一定量の粉塵抑制剤溶液を計量し、均一に土サンプルの表面に滴下して、徐々に土サンプルの中に浸入させた後、粉塵皿を40℃の恒温乾燥器内に入れて乾燥させる。また、1時間ごとに1回、粉塵皿の質量を計量し、以下の数式1によってサンプルの保湿率を計算する。
Figure 2020515651
ただし、
η:保湿率(%)、m:粉塵抑制剤溶液を滴加した粉塵皿の質量(g)、m:第i時間まで加熱した後の粉塵皿の質量(g)、m:粉塵抑制剤溶液を滴下しなかった粉塵皿の質量(g)。
上記の方法によって、本発明の実施例および比較例に係る前記粉塵抑制剤の保湿性能をそれぞれ測定し、その結果が表1に示されている。
Figure 2020515651
上記の結果から分かるように、本発明の粉塵抑制剤は、よい保湿性能を有し、保湿率が35%に達する。特に最適化された成分および組成によって、保湿率が40%以上に達し、従来の市販製品である粉塵抑制剤に比べて高い保湿性能を示し、よりよい粉塵抑制効果を達成できる。
〔実験例2 粉塵抑制効果の測定〕
2.1 粉塵抑制効率の測定
粉塵抑制効率は、粉塵抑制剤の最も重要な性能指標の1つである。粉塵抑制効率の値が大きいほど、より良い粉塵抑制効果を有する。中国環境保護産業協会基準「T/CAEPI 7−2017水溶性道路粉塵抑制剤」によれば、粉塵抑制効率が80%以上である場合に、良い粉塵抑制効果を有すると認められるとともに、当該粉塵抑制剤が良い粉塵抑制性能を有すると考えられている。
10メッシュ数以下の土サンプルを選出し、80℃の温度条件で炉内にて180分間加熱することによって、水分を除去してから、準備状態とする。適量の上記土サンプルを計量し、それぞれ2つのシャーレに入れて、サンプルの表面をシャーレと面一にさせる。シャーレ内にそれぞれ粉塵抑制剤(散布量:3L/m)を散布し、80℃の温度条件で炉内にて180分間加熱した後、計量する。そのうち、サンプルの質量をwとする。その後、それぞれ風洞に置き入れて、サンプル表面の風速が30m/sの条件で5分間の風食を行った後、それぞれ計量する。そのうち、残留サンプルの質量をwとする。以下の数式2によって、それぞれの風食率を計算する。
Figure 2020515651
ただし、
E:サンプル風食率、w:風食前の土サンプルの質量、w:風食後の土サンプルの質量。
得られたサンプル1の風食率をE、サンプル2の風食率をEとし、それらの平均値をEとする。その後、以下の数式3によって粉塵抑制効率を算出する。
Figure 2020515651
2.2 PM 2.5 粉塵抑制効率およびPM 10 粉塵抑制効率の測定
中国環境保護産業協会基準「T/CAEPI 7−2017水溶性道路粉塵抑制剤」付録A:粉塵抑制効率の測定方法を参照する。
各サンプルに対して3回の実験を行い、それぞれ、平均PM2.5粉塵抑制効率(%)および平均PM10粉塵抑制効率(%)を算出する。
2.3 粉塵抑制周期の測定
主要の機器および材料は、連続的にTSP、PM2.5、PM10の濃度変化をリアルタイムにモニタリングできる2050型の多機能サンプラと、NOx測定器EC9841と、撒水車と、カウンタと、道路粉塵抑制剤と、水道水と、を含む。
一部の町道を選定し、散布路面および比較路面においてそれぞれサンプリング点を設けて、散布前後の大気内粉塵巻き上げの主要パラメータであるNOx、PM2.5、および、PM10、の濃度変化を測定する。
粉塵抑制剤溶液を配合し、撒水車を利用して路面に対して散布作業を行う。散布道が約2kmであり、変換してなる粉塵抑制剤の使用量が1.5L/mである。粉塵抑制剤溶液の散布が一回しか行わず、同時に同じの水量で比較箇所周囲の路面に散布する。その後、大気の改善効果を比較するために、モニタリングが完了するまで対象路面に対していずれの処理を行わない。粉塵抑制剤を散布する2日前からモニタリングし、合計14日間モニタリングする。
道路粉塵抑制の方式を利用して道路上における大気汚染物の抑制を実施し、連続的に14日間モニタリングすると、粉塵抑制剤を散布した場合、粉塵抑制剤を散布しなかった比較路面に比べて、NOx、PM2.5、および、PM10、の濃度が著しく下降した。
粉塵抑制周期は、粉塵抑制剤を散布してNOx、PM2.5、および、PM10、の濃度が下降し始めるとき、すなわち、効果を奏してからその濃度が散布前の濃度範囲に達するまでの期間である。
上記方法によって、本発明の実施例と比較例に係る前記粉塵抑制剤の、粉塵抑制効率、PM2.5粉塵抑制効率、PM10粉塵抑制効率、および、粉塵抑制周期、をそれぞれ測定する。その結果が表2に示されている。
Figure 2020515651
上記の結果からわかるように、本発明の粉塵抑制剤は、従来の市販製品である粉塵抑制剤に比べて、高い粉塵抑制効果を果たし、総合的な粉塵抑制効率が85%以上になり、PM2.5粉塵抑制効率およびPM10粉塵抑制効率がそれぞれ89%以上になった。そして、5日間以上の長い期間にわたって粉塵抑制効果を保つことができるので、環境の改善および保護に、より寄与できる。
〔実験例3 路面摩擦減衰率の測定〕
路面摩擦減衰率は、本発明の粉塵抑制剤測定のその他の重要指標であり、粉塵抑制剤の散布による路面摩擦係数への影響を表し、主に粉塵抑制剤を散布した後の道路上の安全運転に対して影響を与えるか否かの評価に用いられる。中国環境保護産業協会基準「T/CAEPI 7−2017水溶性道路粉塵抑制剤」によると、路面摩擦減衰率は、ウェットベースが10%以下であり、半ウェットベースが6%以下である場合に適当であり、道路安全運転に影響を与えない。
基準JTG E60−2008およびT0964−2008により規定された路面摩擦減衰率の測定方法を参照し、その測定結果が表3に示されている。
Figure 2020515651
上記の結果から分かるように、本発明の粉塵抑制剤は、従来の市販製品である粉塵抑制剤に比べて、より高い道路使用安全性を有し、本発明の粉塵抑制剤を散布しても、路面摩擦減衰率が小さく、中国環境保護産業協会基準「T/CAEPI 7−2017水溶性道路粉塵抑制剤」の規定を満たし、道路安全運転への影響が発生しない。
〔実験例4 植物種の相対危害率の測定〕
植物種の相対危害率は、本発明の粉塵抑制剤測定のその他の重要指標であり、粉塵抑制剤の散布による道路付近の緑化植物への毒性影響を表す。中国環境保護産業協会基準「T/CAEPI 7−2017水溶性道路粉塵抑制剤」によって、植物種の相対危害率が40%以下であると許容されるが、高い安全性を確保する観点より、植物種の相対危害率を20%以下またはそれより低くコントロールすべきである。
DB11/T 161−2012により規定された方法によって、植物種の相対危害率を測定し、その結果が表4に示されている。
Figure 2020515651
上記の結果から分かるように、本発明の粉塵抑制剤は、従来の市販製品である粉塵抑制剤に比べて、植物種への毒害影響がより小さく、より安全であり、環境適合性がより高い。
最後に、上記の各実施例が、本発明の技術思想を説明するためのものであり、これを制限するものではないと説明すべきである。上記実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者は、上記実施例に記載の技術方案を修正、または、その一部あるいは全部の技術特徴を均等に置き換えることができる。これらの修正または置き換えは、相応する技術方案の本質を本発明の各実施例の技術思想の範囲から脱離させない。
本発明は、従来の粉塵抑制剤製品の機能が単一であり、二次汚染を引き起こすなどの問題を解決し、使用範囲が幅広くて、特に粉塵パーティクルが小さい道路、たとえば、全浮遊微粒子(TSP)、PM2.5、PM10および窒素酸化物の捕集吸着に適用できる。また、十分よい粉塵抑制効果を果たし、より長い期間内で粉塵抑制効果を保つことができる。また、本発明の粉塵抑制剤は、道路安全運転への影響が発生せず、植物の毒害影響が小さく、より安全であり、環境適合性がより高くなり、そのため普及しやすく、使用価値を有する。

Claims (19)

  1. 重量比で、主に、
    ポリビニルアルコール:0.1〜10%、
    珪酸ナトリウム:0〜5%、
    グリセリン:10〜50%、
    界面活性剤:0〜5%、
    防腐剤:0〜5%、
    残部:水、
    を、混合してなることを特徴とする高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤。
  2. 重量比で、主に、
    ポリビニルアルコール:0.1〜10%、
    珪酸ナトリウム:0.1〜5%、
    グリセリン:10〜50%、
    界面活性剤:0.01〜5%、
    防腐剤:0〜5%、
    残部:水、
    を、混合してなることを特徴とする高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤。
  3. 前記界面活性剤は、アニオン性界面活性剤および非イオン界面活性剤からなる群から選ばれるいずれか1つであることを特徴とする請求項1または2に記載の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤。
  4. 前記アニオン性界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ペンタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ヘプタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、および、オクタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
    前記非イオン界面活性剤は、アルコールエトキシレートであることを特徴とする請求項3に記載の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤。
  5. 前記アニオン性界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、および、ラウリル硫酸ナトリウム、からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項4に記載の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤。
  6. 前記アルコールエトキシレートの分子量は、300〜330または575〜605であることを特徴とする請求項4に記載の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤。
  7. 前記界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびアルコールエトキシレートを1:1〜3の重量比で混合してなるものであることを特徴とする請求項3に記載の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤。
  8. 前記界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびアルコールエトキシレートを1:3の重量比で混合してなるものであることを特徴とする請求項7に記載の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤。
  9. 前記ポリビニルアルコールの分子量は、2万〜30万であることを特徴とする請求項1または2に記載の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤。
  10. 前記ポリビニルアルコールの分子量は5万〜10万であり、好ましくは、前記ポリビニルアルコールの分子量は6.5万〜8.5万であることを特徴とする請求項9に記載の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤。
  11. 前記防腐剤は、安息香酸ならびにその塩類、ソルビン酸ならびにその塩類、プロピオン酸カルシウム、パラベン、および、デヒドロ酢酸ならびにそのナトリウム塩類、からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、好ましくは、前記防腐剤は、デヒドロ酢酸ならびにそのナトリウム塩類であることを特徴とする請求項1または2に記載の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤。
  12. 重量比で、主に、
    ポリビニルアルコール:5〜8%、
    珪酸ナトリウム:0〜1%、
    グリセリン:20〜30%、
    界面活性剤:0.01〜0.1%、
    防腐剤:0.01〜5%、
    残部:水、
    を、混合してなることを特徴とする請求項1に記載の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤。
  13. 重量比で、主に、
    ポリビニルアルコール:5〜8%、
    珪酸ナトリウム:0.1〜1%、
    グリセリン:20〜30%、
    界面活性剤:0.01〜0.1%、
    防腐剤:0.01〜5%、
    残部:水、
    を、混合してなることを特徴とする請求項2〜12のいずれか1項に記載の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤。
  14. 重量比で、主に、
    ポリビニルアルコール:7〜8%、
    珪酸ナトリウム:0.1〜0.5%、
    グリセリン:25〜30%、
    界面活性剤:0.01〜0.02%、
    防腐剤:0.01〜5%、
    残部:水、
    を、混合してなることを特徴とする請求項13に記載の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤。
  15. 重量比で、主に、
    ポリビニルアルコール:7〜8%、
    珪酸ナトリウム:0.1〜0.3%、
    グリセリン:25〜30%、
    界面活性剤:0.01〜0.02%、
    防腐剤:0.01〜5%、
    残部:水、
    を、混合してなることを特徴とする請求項14に記載の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤の配合方法であって、ポリビニルアルコールを熱水に溶解させて、その他の原料を均一になるまで混合することによって、製品を得ることを特徴とする高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤の配合方法。
  17. 前記熱水の温度は、90〜95℃であることを特徴とする請求項16に記載の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤の配合方法。
  18. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤の使用であって、前記高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤を路面に散布して粉塵防止に用いられ、好ましくは、全浮遊微粒子、PM2.5、PM10、および、窒素酸化物、の捕集吸着に用いられることを特徴とする高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤の使用。
  19. 前記高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤の使用量は、1.5〜3L/mであることを特徴とする請求項18に記載の高効率かつ高環境適合性の粉塵抑制剤の使用。
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