[0037] 以下の説明は、様々な例示的な実施形態のみに関するものであり、本開示の範囲、適用性、または構成を決して限定することを意図するものではない。むしろ、以下の説明は、最良の形態を含む改良された様々な実施形態を実施するための便利な例証を提供することを意図している。明らかになるように、添付の記載の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に記載された要素の機能および構成において様々な変更がなされてもよい。
[0038] 簡潔にするために、バッテリパックの構造、構成、および使用のための従来の技術、ならびに熱管理、動作、測定、最適化、および/または制御のための従来の技術は、本明細書では詳細な説明をしない。さらに、本明細書に含まれる様々な図に示される接続線は、様々な要素間の例示的な機能的関係および/または物理的結合を表すことを意図している。実際のシステムまたは関連する使用方法、例えば電気自動車用のバッテリパックには、多くの代替的または追加の機能的関係または物理的接続が存在し得ることに留意されたい。
[0039] 本開示の原理に従って構成されたバッテリパックおよび関連する構成要素を利用することによって、従来のバッテリおよび/または熱管理システムなどの様々な欠点に対処することができる。例えば、従来の二相冷却アプローチは、典型的には、一体型ヒートパイプおよび/または流体中に完全に浸されたバッテリセルを利用していたため、かなりの重量が加わりエネルギ密度が低下していた。ウィッキング(wicking)を使用する他の従来の手法は、各バッテリセルをウィッキング材料で完全に包み込み、蒸気の移動を制限し、冷却がバッテリパックの下方に提供されるときに重力を乗り越える毛管力を制限し、セル間隔を増加させ、体積および重量エネルギ密度を大幅に減少させる。
[0040] 対照的に、本明細書に開示される例示的なシステムおよび方法は、スペースおよびバッテリセル形状に対する制限を排除することによって、並びに軽量材料を利用することによって、バッテリパックレベルでのエネルギ密度の向上を可能にする。さらに、例示的なシステムは、迅速な熱応答および最大の熱伝達を保証するために液−気相変化メカニズムを利用する。重要なことに、例示的なシステムは、重力支持状態、傾斜状態、水平状態、および反重力状態を含む全ての方向において効果的な熱管理を提供する。さらに、広い範囲の電気絶縁性であるが熱伝導性の材料が、ウィッキング材料および作動流体のために利用され得る。さらに、例示的なシステムは、バッテリパックの一部(またはその中の特定の位置)での熱伝達を向上させ、および/または標的とする。さらにまた、蒸気チャンバ内で共有する作動流体環境を使用することによって、バッテリパック内の特定のバッテリセルの熱暴走に対処し、最小化し、および/または防止することができる。
[0041] 本開示の原理による熱管理システムは、所望の寸法、機械的、電気的、化学的、および/または熱的特性を提供するために、任意の適切な構成要素、構造、および/または要素を用いて構成され得る。
[0042] 本明細書で使用される「バッテリパック」は、単一の統合されたものとして、エネルギ貯蔵および/または電力をシステムに提供するために直列もしくは並列、または直列と並列の組合せで相互接続された任意の数のバッテリセルのセットを表す。バッテリパックの一例は電気自動車のリチウムイオンバッテリパックであり、これは何千もの円筒形リチウムイオンバッテリセルからなっていてもよい。
[0043] 本明細書で使用される「バッテリセル」は、化学反応から電気エネルギを発生させることができる電気化学セルを表す。いくつかのバッテリセルは、セルを通して電流を導入することによって充電可能であり得る。バッテリセルは、電流を発生させるために使用される化学反応に基づいて、鉛酸、ニッケルカドミウム、ニッケル水素、ニッケル金属水素化物、リチウムイオン、塩化ニッケルナトリウム(別名「ゼブラ」)などの様々な種類がある。バッテリセルは化学反応に基づいて電気を生成するので、セルの温度は電気が生成される効率に影響を及ぼし得る。バッテリセルは、水素−酸化物プロトン交換膜セル、リン酸セル、または固体酸セルなどの燃料電池にすることもできる。本開示の原理は、望ましくは多種多様なバッテリセルタイプに適用することができ、特定のバッテリセルの化学的性質、サイズ、または構成に限定されない。
[0044] 本明細書で使用される「ヒートポンプ」は、外部電源の適用によって、「熱源」として知られるシステムの一部分から、「ヒートシンク」として知られるシステムの別の部分に、熱エネルギを移動させるシステムを表す。典型的には、熱源とヒートシンクとの間を循環する流体の動きによって熱が伝達される。例としては、可逆的二相冷媒系および単相エチレン−グリコールシステムが挙げられる。
[0045] 本明細書で使用される「蒸気チャンバ」(または「ヒートパイプ」)は、2つのインターフェイス間の熱伝達を効率的に管理するために熱伝導率と相変遷の両方の原理を組み合わせた熱伝達装置を表す。
[0046]図1Aから図1Dを参照すると、様々な例示的な実施形態において、熱管理システム100は、蒸気チャンバ110、コールドプレート130、及びヒートポンプ150を備える。コールドプレート130は、蒸気チャンバ110とヒートポンプ150との間に配置されて熱的に結合される。いくつかの実施形態では、コールドプレート130とヒートポンプ150とは別々の構成要素である。他の例示的な実施形態では、ヒートポンプ150の表面形成部分はコールドプレート130として機能すると考えることができる。さらに他の例示的実施形態では、蒸気チャンバ110の表面形成部分はコールドプレート130として機能すると考えることができる。熱管理システム100は、熱管理システム100および/またはその構成要素を、支持、案内、修正、および/または他の方法で動作を管理および/または制御するように構成された任意の他の適切な構成要素、例えばセンサ、ポート、シール、及び/又は電気制御などを備え得る。熱管理システム100を利用して、例えば蒸気チャンバ110内に(または部分的な内部に)配置されたバッテリセル112に対して等温および/またはほぼ等温の状態を提供することができる。
[0047] いくつかの例示的な実施形態では、蒸気チャンバ110は、例えば図1Aおよび図1Bに示すように、1つまたは複数のバッテリセル112を完全に収容するように構成される。
[0048] 他の例示的な実施形態では、蒸気チャンバ110は、例えば図1C及び図1Dに示すように、1つ又は複数のバッテリセル112を部分的に収容するように構成される。これらの例示的な実施形態では、蒸気チャンバ110は、作動流体115を蒸気チャンバ110内に効果的に保持しながら1つ以上のバッテリセル112を少なくとも部分的に受け入れるために様々なオリフィス及び/又はシールなどで構成される。これらの例示的な実施形態では、各バッテリセル112の十分な熱調節を提供しながら各バッテリセル112が蒸気チャンバ110内に完全に収容されるアプローチと比較して、各バッテリセル112の一端へのアクセス(例えば電気配線用)が容易になる。さらに、これらの例示的な実施形態では、蒸気チャンバ110は、バッテリセル112を互いに少なくとも部分的に保持、固定、および/または位置合わせし、他のバッテリセル112の保持部品および/または配置部品の必要性を低減および/または排除するように機能し得る。
[0049] 引き続き図1C及び図1Dを参照すると、ある例示的な実施形態では、蒸気チャンバ110は、蒸気チャンバ110内からの作動流体115の漏れおよび/または蒸発を防止しながら複数のバッテリセル112の一部を収容することができるように、蒸気チャンバ110は、様々なシール、保持機構、および/または封止剤などを有して構成される。例えば、例示的な一実施形態では、各バッテリセル112が蒸気チャンバ110内に挿入されるインターフェイスに圧縮可能なシールを提供するために、蒸気チャンバ110はエラストマーでオーバーモールドされた(overmolded)硬質な原材料を備える。他の例示的な実施形態では、Oリングまたは他の機械的シール手法を利用することができる。さらに、バッテリセル112と蒸気チャンバ110との間の接合部をシールするために適切なポッティング材を利用することができる。例えば、様々な例示的な実施形態では、バッテリセル112と蒸気チャンバ110との間の接合部を可撓性または半可撓性のポッティング材、接着剤、又は密閉剤、エポキシ、またはホットメルトでシールすることができる。シーリング材料は、シリコーン、ウレタン、ポリウレタン、ポリエステル、またはポリアミドをベースとするものであってもよいし、および/または他の任意の適切なシーリングおよび/または接着材料もしくは化合物を含み得る。
[0050] 蒸気チャンバ110は、バッテリセル112の長さ(および/または表面領域、容積など)の任意の適切な部分を受け入れるように構成されてもよい。他の例示的な実施形態では、各バッテリセル112について、蒸気チャンバ110は、バッテリセル112の約10%から約90%の長さを受け入れるように構成されてもよい。他の例示的な実施形態では、各バッテリセル112について、上記チャンバ110は、バッテリセル112の約20%から約50%の長さを受け入れるように構成されてもよい。さらに、蒸気チャンバ110は、例えば、バッテリパックにおけるバッテリセル112の位置に応じて、異なる割合のバッテリセル112を受け入れるように構成されてもよい。例示的な実施形態では、蒸気チャンバ110は、バッテリパックの端部に配置されたバッテリセル112の約25%の長さ、及びバッテリパックのほぼ中央に配置されたバッテリセル112の約50%の長さを収容する。さらに、蒸気チャンバ110は、その特定のバッテリセル112に望まれる温度調節の量に少なくとも部分的に基づいて、任意の適切な割合のバッテリセル112を受け入れるように構成されてもよい。このようにして、より高い冷却度を必要とするバッテリセル112を他のバッテリセル112よりも十分に冷却し得る。
[0051] 様々な例示的実施形態では、蒸気チャンバ110は、耐久性材料、例えばプラスチック及び/又は金属などで形成された封止または再封止可能な容器を備える。いくつかの実施形態では、蒸気チャンバ110は、アルミニウム及び/又は鋼鉄などのうちの1つ又は複数を備える。蒸気チャンバ110は、任意の適切なプロセス、又はプロセスの組み合わせ、例えばオーバーモールド及び/又はレーザ溶接などによって形成することができる。
[0052] 蒸気チャンバ110は、例えばそこからの圧力を解放するために、及び/又はその中の作動流体115のレベルを調整できるようにするために、1つ又は複数の通気口および/またはアクセスポートなどを有して構成され得る。いくつかの例示的な実施形態では、蒸気チャンバ110は、蒸気チャンバ110内の作動流体115の量を(例えば、間隔を置いて、特定の温度および/または圧力閾値で、リアルタイムなどで)調整できるようにするために内部温度センサおよび/または圧力センサを有して構成される。
[0053] 蒸気チャンバ110は、熱管理されるべき1つ以上の品目、例えば複数のバッテリセル112を収容する(または部分的に収容する)ように構成されている。バッテリセル112は一般に略円筒形で構成されるが、様々な例示的な実施形態では、蒸気チャンバ110内で、バッテリセル112(又はその一部)は、任意の適切な向き、数、配置、寸法、および/または形状で構成されてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、蒸気チャンバ110内に高密度のバッテリセル112を得るために、バッテリセル112を水平方向および/または垂直方向にずらして(in offset)詰め込む。多くの例示的な実施形態では、バッテリセル112は、(例えば、図1Aから図1Dに示されるように)円筒形バッテリ構造の共通端部上の正端子および負端子を有して構成される。このようにして、熱管理システム100では、バッテリセル112の配線を容易にしながら、バッテリセル112の効果的な熱管理を可能にする。
[0054] 蒸気チャンバ110は、選択された量の作動流体115を収容する。作動流体115は、任意の適切な材料または材料の組み合わせ、例えば、水、メタノール、エタノール(エチルアルコール)、アセトン、ペンタン、ペルフルオロメチルシクロヘキサン、および/またはヘプタンなどを含み得る。作動流体115は、バッテリセル112で利用される構成要素と電気的に絶縁性および/または非反応性であることが望ましい。作動流体115は、蒸気チャンバ110の効率的な動作を可能にするように選択される。様々な例示的な実施形態では、調整および/または最適化することができる作動流体の特性としては、密度、粘度、表面張力、沸点、蒸発潜熱、熱管理システム100の他の構成要素に対する反応性などが挙げられる。
[0055] 熱管理システム100において、蒸気チャンバ110は、所望の量の作動流体115、例えば蒸気チャンバ110内に収容される全てのウィッキング材料120を飽和させるのに十分な量で、満たされてもよい。さらに、蒸気チャンバ110は、ウィッキング材料120を飽和させるのに必要な量を超える量の作動流体115で満たされてもよい。蒸気チャンバ110内に配置された作動流体115の量は、バッテリセル112に対する所望のレベルの温度調整、及び/又は蒸気チャンバ110からの作動流体115の予想損失率または予想漏洩率などに基づいて選択することができる。
[0056] また、蒸気チャンバ110は、複数のバッテリセル112および作動流体115と相互作用するように構成された、選択された量のウィッキング材料120を含む。
[0057] ウィッキング材料120は、作動流体115中に浸されてもよく、毛管作用ならびに蒸発および凝縮のための最大の濡れ性を提供するために、メッシュ状、多孔性、または樹状構造、またはそれらの組み合わせであり得る。
[0058] 様々な例示的な実施形態では、ウィッキング材料120は、作動流体115と適合する電気絶縁性であるが熱伝導性の材料を含む。例えば、ウィッキング材料120は、微孔性構造の様々な布地、(様々な密度および/または分岐構成の)例えばアモルファスシリカ繊維、ガラス繊維、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、及び/又はポリエチレンなどを含み得る。さらに、ウィッキング材料120は、粉末、フィラメント、繊維、布地、メッシュ、マット、及び/又は膜などで構成されてもよい。
[0059] いくつかの実施形態では、ウィッキング材料120は、液体固体界面と液体蒸気界面との交点間の接触角が90度未満である(すなわち、ウィッキング材料120は親水性である)。接触角は、表面張力と重力などの要素の組み合わせによって決まる。ウィッキング材料120はまた、高い毛管効果を有することから利益を得る。材料構造/粗さ/質感のわずかな変化は、毛管力の著しい変化をもたらし得る。様々な例示的な実施形態では、選択、調整、および/または最適化することができるウィッキング材料120の特性としては、ウィック(wick)材料の有効半径、ウィック材料の透過性(粒径および多孔度の両方の結果として)、ウィック材料の断面積、及び/又は熱伝達経路の有効長さなどが挙げられる。
[0060] ウィッキング材料120は、蒸気チャンバ110内のバッテリセル112に沿って、向かって、及び/又はその間で少なくとも部分的に作動流体115を搬送するように構成されてもよい。例えば、図1Aに示すように、コールドプレート130が蒸気チャンバ110の下に配置されている実施形態では、ウィッキング材120は、作動流体115をバッテリセル112の側面に沿って少なくとも部分的に上方に引き寄せるように作用し、バッテリセル112から作動流体115への熱エネルギの伝達を容易にする。さらに、作動流体115が凝縮によって(例えば、蒸気チャンバ110の上面および/または側面に沿って)液相に戻ると、ウィッキング材料120は、蒸気チャンバの側面を流れ落ちて蒸気チャンバ110の中央に向かって戻る作動流体115を引き込むように作用する。
[0061] 様々な例示的な実施形態では、ウィッキング材料120は、作動流体115と関連して利用されるときに所望の毛管速度を達成するように構成される。いくつかの実施形態では、ウィッキング材料120は最大約7mm/sの毛管速度を達成する。他の例示的な実施形態では、ウィッキング材料120は、約4mm/sから約7mm/sの間の毛管速度を達成する。さらに、熱管理システム100では、ウィッキング材料120(作動流体115と共に)は、作動流体115の十分な継続的な流れをバッテリセル112と接触するように搬送することによってバッテリセル112の効果的な熱調整を可能にするのに十分な毛管速度を提供するように構成され得る。
[0062] いくつかの例示的な実施形態では、ウィッキング材料120は各バッテリセル112に沿って約10%未満の距離で延びる。他の例示的な実施形態では、ウィッキング材料120は各バッテリセル112に沿って約25%未満の距離で延びる。さらに他の例示的な実施形態では、ウィッキング材料120は各バッテリセル112に沿って約50%未満の距離で延びる。理解されるように、熱管理システム100はウィッキング材料120が各バッテリセル112に沿って完全に延びる必要がないので、大幅な軽量化とコスト削減が実現できる。しかしながら、熱管理システム100では、ウィッキング材料120は各バッテリセル112に沿って任意の適切な選択された距離を延ばすことができる。
[0063] 様々な例示的な実施形態では、ウィッキング材料120は、任意の適切なプロセス、例えば、溶媒キャスティング、シート状成形および横方向延伸、及び/又は射出成形などによって構成され得る。さらに、ウィッキング材料120の特性は、製造時および/または蒸気チャンバ110内で利用されるときに変化し得る。例えば、ウィッキング材料120が射出成形される様々な例示的な実施形態では、得られたウィック構造のカスタマイズされたおよび/または目標とされた熱的性能を可能にするように、ウィッキング材料120の特性は射出部位ごとに異なっていてもよい。例えば、第1の材料(または材料の混合物)、密度、多孔度、及び/又は毛管現象のレベルなどを有するウィッキング材料120が第1の射出部位に射出され、第2の材料(または材料の混合物)密度、多孔度、及び/又は毛管現象のレベルなどを有するウィッキング材料120が第2の射出部位に射出されてもよい。さらに、射出成形によって製造される場合、ウィッキング材料120は、最小約0.75mmの厚さで構成されてもよく、それによって、バッテリセル112を非常に近くに配置することを可能にしながらウィッキング材料120を蒸気チャンバ110内のバッテリセル112間に配置することができる。
[0064] コールドプレート130は、蒸気チャンバ110とヒートポンプ150との間で熱エネルギを伝達するように構成される。例えば、熱管理システム100が蒸気チャンバ110内のバッテリセル112を冷却するために利用されるとき、コールドプレート130は蒸気チャンバ110から熱エネルギを受け取り、その熱エネルギをヒートポンプ150へ送る。逆に、熱管理システム100が蒸気チャンバ110内のバッテリセル112を温めるために利用されるとき(例えば、熱管理システム100が寒い周囲環境に置かれた車両の一部を形成するとき)、コールドプレート130は、ヒートポンプ150から熱エネルギを受け取り、その熱エネルギを蒸気チャンバ110に送る。コールドプレート130は、任意の適切な耐久性のある熱伝導性材料、例えば、陽極酸化アルミニウムを含んでもよい。
[0065] 例示的な実施形態では、コールドプレート130は、ミニチャネル冷却および/またはマイクロチャネル冷却を用いて構成される。コールドプレート130内および/またはコールドプレート130上に形成されたチャネルは、任意の適切なサイズおよび/または幾何学形状、例えば円形、長方形、「歯」または他の突起を有する円形、及び/又は台形などであり得る。コールドプレート130は、ヒートポンプ150とインターフェイスするコールドプレート130の側面上のみ、蒸気チャンバ110とインターフェイスするコールドプレート130の側面上のみ、又はコールドプレート130の両側に、流体が流れるためのチャネルを有するように構成され得る。コールドプレート130上のチャネルは、関連する熱伝達を最大にするために、コールドプレート130を通る乱流を引き起こすおよび/またはそれを維持するように構成される。
[0066] 様々な例示的な実施形態では、ヒートポンプ150は、例えば水、水−グリコール混合物、ヒドロフルオロカーボン冷媒液などの冷却剤のポンプ循環によって、コールドプレート130から熱を除去する(または加熱モードで熱を提供する)ように動作する。ヒートポンプ150は、コールドプレート130へおよび/またはコールドプレート130から熱を伝達するために、当技術分野で知られているように、任意の適切なポンプ、インペラ、バルブ、ホース、チューブ、ラジエータなどを含んでもよい。
[0067] 図1A及び図1Cを再び参照すると、様々な例示的な実施形態では、熱管理システム100は、コールドプレート130が蒸気チャンバ110の下に配置されるように構成および/または配向され得る。図1Bおよび図1Dを参照すると、様々な例示的な実施形態では、熱管理システム100は、コールドプレート130が蒸気チャンバ110の上方に配置されるように構成および/または配向され得る。さらに、多くの例示的な実施形態では、例えば、熱管理システム100を上下逆さまにすること、熱管理システム100をその側面または水平面に対する傾斜に配置することなどによって、コールドプレート130と蒸気チャンバ110との関係は変更されてもよい。したがって、図1Eに示すように、熱管理システム100は、熱管理システム100の向きに関係なく、蒸気チャンバ100内に収容されている品目に適切な冷却および/または加熱能力を提供するように構成される。言い換えれば、熱管理システム100は、効果的に機能するために、重力に関するいかなる特定の向きにも依存しない。対照的に、蒸気ベースの冷却に対する従来のアプローチは、典型的に凝縮および流体の戻りに関して重力に大きく依存しており、重力補助がないと適切に作動することができないであろう。理解されるように、本明細書に開示される例示的なシステムの配向非依存性の特徴は、傾斜配向で動作することが多い電気自動車などの非静止エネルギ貯蔵システムにおいて非常に望ましい。例えば、熱管理システム100は、自動車が走行しているとき、または上り坂または下り坂に駐車しているときでも、電気自動車で利用されるときに効果的に機能するように構成される。さらに、熱管理システム100は、電気飛行機、ドローンなどで利用されるとき、熱管理システム100の向きが、上昇、下降、旋回中の傾きなどによって変化しているときでも、効果的に機能するように構成される。
[0068] 熱管理システム100の動作中、最適性能を達成するために少なくとも2つの熱伝達経路が動作可能である。第1の熱伝達は、流体(例えば、水−グリコール流体など)を介してバッテリセル112から又はバッテリセル112へ熱を送る外部ヒートポンプ150によって達成される。蒸気チャンバ110内では、ウィッキング材料120に覆われる及び/又はウィッキング材料120によって形成されるボイド及び/又はキャビティ内の液−気相変化によって熱伝達が促進される。熱管理システム100の冷却モードの間、蒸発潜熱によって迅速な熱応答が確立され、ウィッキング材料120の内部の作動流体115は、蒸気空間117内に蒸発する(本明細書において、「蒸気空間」は、固体または液体によって占められていない蒸気チャンバ110内の空間を指す)。熱を運び去るヒートポンプ150は蒸気を凝縮させ、ウィッキング材料120は毛管力を作用させて凝縮物を蒸発部位に引き戻し、これにより上記のサイクルを繰り返す。熱管理システム100のバッテリ予熱モードの間、ヒートポンプ150は、蒸気チャンバ110に熱を供給する熱源として機能する。蒸気チャンバ110内の蒸気空間は、熱をバッテリセル112の壁に伝達する1つまたは複数の熱サイフォンとして動作する。大きな蒸発潜熱は予熱過程を促進し、寒冷地において有益である。
[0069] 少し図1Fを参照すると、本開示の原理はまた、バッテリパック、パワーエレクトロニクス、並びにモータ又は発電機が、バッテリパック、パワーエレクトロニクス、並びにモータ又は発電機のための二相冷却を採用する統合システムを介して冷却または加熱され得る電気自動車用の統合熱管理システムが想定される。いくつかの例示的な実施形態では、ヒートポンプ150は、バッテリパック151、パワーエレクトロニクス152、および電気モータ153(なお、バッテリパック151、パワーエレクトロニクス152、及び電気モータ153は、ヒートポンプ150によって循環される流体に関して互いに対して任意の順序で配置され得る)に流体(プロピレングリコールなどのような)を循環させる。さらに他の例示的な実施形態では、バッテリパック151、パワーエレクトロニクス152、および電気モータ153は、それぞれ専用の流体ラインを介してヒートポンプ150に結合されているが、共通の流体リザーバを共有する。様々な例示的な実施形態では、バッテリパック151、パワーエレクトロニクス152、および電気モータ153のそれぞれは、本明細書に開示されるように作動流体および/またはウィッキング材料を利用する二相冷却によって少なくとも部分的に冷却される。
[0070] 熱管理システム100では、例えば、特定レベルの熱性能、体積エネルギ密度、バッテリセル112の機械的保持および/または固定等を達成するために、ウィッキング材料120を望み通りに構成することができる。例えば、ウィッキング材料120は、蒸気チャンバ110内の特定の位置におよび/または互いに対して少なくとも部分的にバッテリセル112を保持するように構成されてもよい。
[0071] さらに図2Aおよび図2Bを参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、ウィッキング材料120はハニカム様構造で構成される。これらの例示的な実施形態では、ウィッキング材料120は、熱流動コンタクト領域220を有するコンタクトリング210として構成され、熱流動コンタクト領域220は、バッテリセル112(バッテリセル112は各コンタクトリング210内に個別に配置されている)からコンタクトリング210間の蒸気経路230に熱を伝導する。図2Aでは、コンタクト領域220は、接触リング210のセグメントとして示されているが、接触リング210内の連続面もまた利用され得る。特にバッテリセル212が円筒形ではない場合(例えば、長方形セル)、円形以外の形状のコンタクトリング210を使用してもよい。コンタクト領域220とバッテリセル112との間の接触領域は、最適な熱伝達のために接触リング210の形状を変えることによって調整することができる。図2Bは、いくつかのコンタクトリング210内に配置された円筒形バッテリセル112を有するウィッキング材料120を示す。実際の使用の多くの場合、すべてのコンタクトリング210は対応するバッテリセル112が挿入されている。コンタクトリング210は、図示のように直線の壁セグメントから形成されてもよいし、あるいは角を有さず滑らかに円形であってもよい。蒸気経路230は、コンタクトリング210の効率的な積み重ね配置のために三角形であってもよいし、任意の他の適切な形状であってもよい。さらに、コンタクトリング210内のウィッキング材料120の厚さは、コンタクトリング210内でおよび/またはリングごとに変化してもよい。例えば、隣接するバッテリセル112の間に直接位置するコンタクトリング210の部分は薄くてもよく、一方、蒸気経路230の縁部を形成するコンタクトリング210の部分は厚くてもよい。このようにして、所望のレベルの熱性能を提供するために十分な量のウィッキング材料120が各バッテリセル112と接触したまま(またはごく接近した状態)で、バッテリセル112を互いに近接して配置することができる。
[0072] 次に図2Cおよび図2Dを参照すると、様々な例示的な実施形態では、ウィッキング材料120は複数のポスト状構造として構成される。いくつかの実施形態では、ポスト211は、ウィッキング材料120で三面ポスト形状に形成され、ポスト211間およびバッテリセル112間に蒸気空間231が存在するようにパターン化される。ポスト211は、バッテリセル112の形状にしっかりと嵌合するための刻み目または他の形状を含んでもよい。ポスト211の三面形状は、バッテリセル112の効率的な積み重ね配置を可能にする。しかしながら、ポスト211のための任意の適切な形状が利用されてもよい。さらに、蒸気チャンバ110内の特定の位置で選択されたレベルの熱性能を提供するために、ポスト211は、サイズ、形状、材料、または他の特性がポスト211ごとに異なり得る。
[0073] さらに、蒸気チャンバ110では、任意の適切な数のポスト211が利用されてもよい。例えば、蒸気チャンバ110では、各バッテリセル112は、少なくとも1つのポスト211、又は少なくとも2つのポスト211、又は少なくとも3つのポスト211、又は少なくとも4つのポストと接触してもよい。さらに、蒸気チャンバ110では、蒸気チャンバ110の向きにかかわらず作動流体115の効果的な移動を容易にするために、特定のポスト211(及び/又はすべてのポスト211)が蒸気チャンバ110の内面から蒸気チャンバ110の反対側の対応する内面までずっと延びていてもよい。
[0074] いくつかの例示的な実施形態(例えば、バッテリセル112が概して円形である場合)において、ポスト211は、バッテリセル112が可能な限り幾何学的に近く収容されたときにバッテリセル112間に存在する空間に完全に収まるように寸法決め及び/又は構成され得る。このようにして、熱管理システム100は、バッテリセル112間のスペースにいかなる体積も加えることなく、バッテリセル112の改善された熱制御を達成するように構成される。
[0075] 次に図2Eおよび図2Fを参照すると、様々な例示的な実施形態では、ウィッキング材料120は、シリアル織り(weave)パターンで構成される。ウィッキング材料120のシリアル織り壁212は、蒸気を戻すための蒸気空間232を残しながら各バッテリセル112が部分的に接触するようにパターン化されている。シリアル織りパターンは、ウィッキング材料120の単一の連続したストリップから、または別々のストリップからであり得る。さらに、シリアル織り壁212の厚さまたは他の特性は、例えば蒸気チャンバ110内のバッテリセル112の位置に応じて変わり得る。
[0076] 次に図2Gを参照すると、様々な例示的実施形態では、ウィッキング材料120はパラレル織り(weave)パターンで構成されている。ウィッキング材料120のパラレル織り壁213は、蒸気を戻すための蒸気空間232を残しながら各バッテリセル112が部分的に接触するようにパターン化されている。パラレル織りパターンは、ウィッキング材料120の単一の連続したストリップから、または別々のストリップからであり得る。さらに、パラレル織り壁213の厚さまたは他の特性は、例えば蒸気チャンバ110内のバッテリセル112の位置に応じて変わり得る。
[0077] ここで図2Hを参照すると、様々な例示的な実施形態では、ウィッキング材料120は、先細および/または可変の厚さで構成されてもよい。例えば、ウィッキング材料120は、バッテリセル112に沿って延びるにつれて厚さが変化してもよい。いくつかの例示的な実施形態において、ウィッキング材料120は、バッテリセル112の基部から当該バッテリセルの遠位端に向かって延びるにつれて厚さが減少してもよい。このようにして、蒸気チャンバ110内で使用されるウィッキング材料120の量を減らすことができ、重量とコストの節約をもたらす。ウィッキング材料120は、均等に先細になっていてもよい。あるいは、ウィッキング材料120は、必要に応じて、段階的または不均一な方法で先細になっていてもよい。さらに、ウィッキング材料120は、所望の量の利用可能な蒸気空間を提供しながらバッテリセル112の近くに特定の量の毛管現象を提供することの間の所望のバランスを提供するために先細にされ得る。
[0078] 可変の厚さに加えて、ウィッキング材料120は、バッテリセル112に沿って延びるにつれて他の特性が変化してもよい。例えば、バッテリセル112の基部付近に配置されたウィッキング材料120の部分は、毛管現象によってバッテリセル112に沿って作業流体115を効率的に伝達するように構成され、一方バッテリセル112に沿って離れて配置されたウィッキング材料120の部分は、作動流体115の効率的な気化を促進するように構成されてもよい。
[0079] 熱管理システム100では、ウィッキング材料120は、蒸気チャンバ110内のそれらの位置に応じて、様々なバッテリセル112が経験する様々な熱条件を少なくとも部分的に考慮する及び/又は管理するように構成することができる。図2Iを参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、ウィッキング材料120は蒸気チャンバ110内および/または特定のバッテリセル112に対して不均一に配置されている。例えば、ウィッキング材料120−Aは、蒸気チャンバ110の側壁に隣接するバッテリセル112の側面に沿って第1の距離だけ延びてもよい。ウィッキング材料120−Bは、蒸気チャンバ110内の別のバッテリセル112に隣接する(および/または蒸気チャンバ110の縁からと離れて配置される)バッテリセル112の側面に沿って第2のより長い距離だけ延びてもよい。言い換えれば、蒸気チャンバ110は、蒸気チャンバ110内の他のバッテリセル112によって少なくとも部分的に囲まれているバッテリセル112(および/またはバッテリセル112の側面)に追加のウィッキング材料120を提供するように構成されてもよい。
[0080] さらに、様々な例示的な実施形態では、形状およびサイズ以外の特性が、特定のバッテリセル112に関連してウィッキング材料120について変化してもよい。例えば、第1のバッテリセル112と接触しているウィッキング材料120の多孔度は、第2のバッテリセル112と接触しているウィッキング材料120の多孔度と異なっていてもよい。このようにして、バッテリセル112は、蒸気チャンバ110内の特定の位置により良く合わされた異なる冷却速度および/または加熱速度を与えられ、バッテリ112全体にわたってより均一な熱条件を保証する。言い換えれば、熱管理システム100は、標的ゾーンの冷却および/または加熱能力で構成することができる。ウィッキング材料120の量、形状、および特性は、特定のバッテリパックの熱プロファイルとともに変化させる、バッテリパックの特定の部分における利用可能な熱除去速度を変化させる、などとしてもよい。
[0081] ここで図2Jを参照すると、様々な例示的な実施形態において、熱管理システム100は、バッテリパック内の特定のバッテリセル112の位置に少なくとも部分的に応じて、バッテリセル112に異なる熱伝達率を提供するように構成される。例えば、図2Jを参照すると、例示的なバッテリパックでは、特定のバッテリセル112、例えば、バッテリパックの側面に少なくとも部分的に隣接して配置された(および/または他のバッテリセル112によって遮られないバッテリパックの側面への経路を有する)バッテリセル112は、「端部」セルと考えられる。さらに、例示的なバッテリパックでは、特定のバッテリセル112、例えば、少なくとも1つの端部セルに隣接しているがバッテリパックの側面には隣接していないバッテリセル112は、「内側」セルと考えられる。さらにまた、例示的なバッテリパックでは、特定のバッテリセル112、例えば内側セルおよび/または他の中央セルのみに隣接して配置されたバッテリセル112は、「中央」セルと考えられる。様々な例示的な実施形態では、熱管理システム100は、内側バッテリセル112および/または端部バッテリセル112と比較して中央バッテリセル112へのより高い熱伝達率を提供するように構成される(例えば、追加のウィッキング材料120の使用、作動流体115のより効率的な気化を容易にするウィッキング材料120の使用、蒸気チャンバ110へのバッテリセル112のより深い挿入などによって)。さらに、熱管理システム100は、端部バッテリセル112と比較して、内側バッテリセル112へのより高い熱伝達率を提供するように構成されてもよい。さらに、システム110は、2つの特定の中央バッテリセル112間で、又は2つの特定の内側バッテリセル112間で、および/または2つの特定の端部バッテリセル112間で、異なる熱伝達率を提供するように構成され得る。当然のことながら、バッテリセル112の標的熱管理の前述の例は単なる例示であり、熱管理システム100では、追加の加熱および/または冷却を必要とするバッテリセル112には、蒸気チャンバ110内の等温状態により密接に近い条件を提供するために、更なる熱伝達を備えてもよい。
[0082] さらに、熱管理システム100は、コールドプレート130に関連する熱流体の流れの方向および/または経路に少なくとも部分的に基づいて、異なる速度の熱伝達をバッテリセル112に提供するように構成されてもよい。例えば、ヒートポンプ150の動作中、熱流体は、例えば蛇行状の経路でコールドプレート130を横切ってポンピングされる。熱管理システム100が冷却モードで動作しているとき、熱流体は、コールドプレート130を横切るにつれて熱を獲得する。したがって、熱流体は、コールドプレート130と接触し始めたときと比較して、コールドプレート130と接触し終えるときに高温になる。よって、コールドプレート130に対して、熱流体がコールドプレート130と接触し始める領域(「入口」セル)またはその付近に配置されたバッテリセル112には、熱流体がコールドプレート130と接触し終える領域またはその近傍に配置されたバッテリセル112(「出口」セル)に対して、異なる構成の関連したウィッキング材料120を設けることができる。これは、入口セルが出口セルよりもコールドプレート130からより高い程度の直接伝導性冷却を得ることができるからである。このようにして、熱管理システム100の動作を介して、バッテリパック内のバッテリセル112は、真の等温状態により近い状態を実現し得る。
[0083] 熱管理システム100において、いくつかの例示的な実施形態では、ウィッキング材料120は、単一の種類、層、および/または構成の材料を含む。他の例示的な実施形態では、ウィッキング材料120は、複数の層および/またはセグメントまたは部分として構成されてもよい。第1の部分のウィッキング材料120は、第2の部分のウィッキング材料120とは異なる材料および/または特性を備え得る。例えば、孔径、材料密度、繊維の厚さなどといったウィッキング材料120の特性は、部分ごとに異なり得る。様々な例示的な実施形態では、ウィッキング材料120の孔径は、約1マイクロメートル(μm)から約100μmの範囲であり得る。このようにして、蒸気チャンバ110内では、他の特定の部分で相変化作用を促進させつつ、ウィッキング作用を特定の部分で増大させることができる。このようにして、バッテリセル112をより効果的に冷却するために、蒸気チャンバ110内の作動流体115の分配を最適化することができる。
[0084] 次に図3Aから図3Dを参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、ウィッキング材料120は、第1の層と第2の層と(より一般的には第1のウィッキング部分322と第2のウィッキング部分326)で構成される。第1のウィッキング部分322は、作動流体115を第2の部分326に(例えば、一連のバッテリセル112に対して横方向に、すなわち、概して円筒形のバッテリセル112の場合、円筒軸に対して概して垂直な方向に)迅速かつ/または効果的に送るように構成され得る。第1のウィッキング部分322は、バッテリセル112の間に嵌合するために、貫通する穴または開口部323を有するように構成され得る。これらの例示的な例では、バッテリセル112の端部は、それらの間にウィッキング材料が配置されることなくコールドプレート130と直接接触し得る。このようにして、ウィッキング材料120の動作を介して蒸気チャンバ110内に作動流体115を効率的に分配することを可能にしながら、バッテリセル112の端部からコールドプレート130への伝導性熱伝達を促進させることができる。
[0085] 第2のウィッキング部分326は、第2の方向への(例えば、特定のバッテリセル112の長さに沿った)作動流体115の分配を主に促進し、および/または作動流体115の気化をより効果的に促進するように構成され得る。いくつかの例示的な実施形態では、第2のウィッキング部分326は、蒸気経路として機能するように貫通する開口部328をそれぞれが有する一連のほぼ三角形のポスト327として構成することができる。ポスト327はまた、追加の蒸気経路を提供するために個々のポスト327の間に空間329を有してもよい。複数の部分で構成されたウィッキング材料120を利用することによって、作動流体115の改善された分配を実現することができ、その結果、蒸気チャンバ110内のより良好な熱分配がもたらされる。
[0086] 次に図4Aから図4Dを参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、ウィッキング材料120の第1のウィッキング部分422は、バッテリセル112の下を通るように、および/またはバッテリセル112と蒸気チャンバ110の側面、上面、又は底面との間に配置されるように構成される。これらの手法では、第1のウィッキング部分422は、バッテリセル112が通過するための穴または開口部を有しないように構成され、第2のウィッキング部分426は、例えば第2のウィッキング部分326と同様に(つまり、ポスト427と開口部428を有して)、適切な方法で構成され得る。さらに、第1のウィッキング部分422は、図視されるように、一群のバッテリセル112の輪郭に大体近似するように構成されてもよい。
[0087] さらに他の例示的な実施形態では、ウィッキング材料120の第1のウィッキング部分522は、図5Aから図5Dに示すように、連続材料のシートまたは平面として構成することができる。第2のウィッキング部分526は、第2のウィッキング部分326および/または426と同様に構成することができる。さらに、第1のウィッキング材料322/422/522および対応する第2のウィッキング部分326/426/526は、互いに別々に製造されてもよい。あるいは、第1のウィッキング部分322/422/522および対応する第2のウィッキング部分326/426/526は、例えば射出成形によって一緒に製造されてもよい。
[0088] 理解されるように、図3Aから図5Dに記載された複数部分の手法は、図2Aから図2Jの議論に関連して記載されたウィッキング材料120のための様々な構成および形状と互換性があり、それらと一緒に使用され得る。さらに、理解されるように、熱管理システム100の動作中、特に蒸気チャンバ110が重力に対して傾斜して及び/又は横向きに配置されているときには、第1のウィッキング部分322/422/522は、蒸気チャンバ110内の作動流体115をより均一に分配するよう機能する。
[0089] 従来の熱管理アプローチと比較して、本開示の原理は、様々な利点、例えば、改善された冷却性能、軽量化などを可能にする。例えば、図3Aから図3Dに示された実施形態では、単一のポスト327の密度はアルミニウムの密度の4分の1未満でありながら、依然として少なくとも3倍の熱性能を達成する。さらに、ポスト327の独特の配置は、ポスト327ではなくバッテリセル112の間隔を、セル保持具の製造性によって管理することを可能にする。さらに、ポスト327は、隣接するバッテリセル112が互いに接触するときに達成される最小間隔にさえ適応し得る。言い換えれば、熱管理システム100では、蒸気チャンバ110、ウィッキング材料などの動作によるバッテリセル112の効果的な熱管理を依然として可能にしながら、90.69%の最大可能体積効率(円筒形バッテリの場合)を達成するようにバッテリセル112を配置することができる。さらに、熱管理システム100では、バッテリセル112は、80%と90.69%の間、より好ましくは85%と90.69%の間、さらにより好ましくは88%と90.69%との間の体積効率を達成するように配置されてもよい。
[0090] 様々な例示的な実施形態では、蒸気チャンバ110内の特定のバッテリセル112に関連するポスト327の質量は、バッテリセル112の0.5%未満であり、極めて高いエネルギ密度を可能にする。いくつかの例示的な実施形態では、蒸気チャンバ110内のすべてのウィッキング材料120の質量は、蒸気チャンバ110の動作によって熱管理されるすべてのバッテリセル112の質量の0.5%未満である。蒸気チャンバ110内のすべてのウィッキング材料120の質量は、蒸気チャンバ110の動作によって熱的に管理されるすべてのバッテリセル112の質量の約0.1%と約1%の間である。
[0091] ここで図6を参照すると、様々な例示的な実施形態において、本開示の原理は、バッテリセル112のパックのレベルではなく、個々のバッテリセル112のレベルで適用され得る。例えば、バッテリセル112の熱管理を提供するために、例示的な実施形態では、二相熱管理システムが単一のバッテリセル112の端部に結合される。例示的な実施形態では、「コールドウェル(coldwell)」610がバッテリセル112の端部に結合され、コールドウェル610の外壁とバッテリセル112の端部との間に完全に密閉された空間を形成する。コールドウェル610は、その底部および端部に少なくとも部分的に沿って配置されたウィッキング材料120を含み、コールドウェル610内で、ウィッキング材料120は、バッテリセル112の端部とも接触している。コールドウェル610は、選択された量の作動流体115を収容する。動作中、作動流体115は、バッテリセル112とウィキング材料120との間のインターフェイスまたはその近傍で気化し、概して、図6に示す「凝縮領域」で凝縮する。バッテリセル112およびコールドウェル610の向きに応じて、毛管作用(および/または重力)が、ウィッキング材料120を介して凝縮した作動流体115をバッテリセル112の表面に向かって引き戻し、そしてこのサイクルが繰り返される。コールドウェル610は、そこから熱を除去するため、またはそこへ加熱するために、任意の適切な追加の構成要素(例えば、ヒートポンプ、ファンなど)に結合されてもよい。理解されるように、サーマルレギュレーションを提供するために、コールドウェル610をバッテリパック内の各バッテリセル112(またはバッテリパック内のバッテリセル112の一部のみ)に結合されてもよく、さらに、関連するコールドウェル610の特性は、バッテリパック内のバッテリセル112間で異なってもよい。
[0092] ここで図7Aから図7Cを参照すると、様々な例示的な実施形態において、本開示の2段冷却原理を利用して、バッテリパックコントローラ回路、モータまたは発電機電子制御システムなどといった電力段構成要素に熱管理を提供することができる。図7Aから7Cは、バッテリパックコントローラ回路またはモータ/発電機電子制御システムなどといった電力段構成要素730を冷却するために利用される2段冷却システムの例を示す。外部ヒートポンプ750は、電力段システム全体に冷却を提供する。動力段構成要素730は、冷却を提供するために作動流体を動力段構成要素730に吸い上げるウィッキング材料720によって少なくとも部分的に包囲されている。チャネル760は、電力段構成要素730を外部ヒートポンプ750に接続する蒸気チャンバとして作用するようにウィッキング材料720に組み込むことができ、ウィッキング材料720を通じた毛管作用により、電力段構成要素730への液相戻りのために、外部ヒートポンプ750によって蒸気を冷却して凝縮ささせることができる。
[0093] 動作中、蒸気チャンバ110は、1つ又は複数の要因によって支配されるその熱輸送能力に対する上限を有する。いくつかの例示的な実施形態では、蒸気チャンバ110の動作は、毛管限界、エントレインメント限界、沸騰限界、音速限界、および/または粘性限界の要因によって影響を受ける可能性がある。毛管限界は、液体循環の駆動圧力、すなわち毛管作用によって作動流体115を移送するためのウィッキング材料120の能力を示す。エントレインメント限界:動作中、蒸気速度は温度と共に増加し、凝縮領域から蒸発領域への液体作動流体115の戻り流に剪断力効果を生じさせるのに十分に高くなり得、それは蒸気による液体のエントレインメントを引き起こし、流体の流れが不足して最終的にはウィッキング材料120の一部の乾燥をもたらす。沸騰限界:温度差が核沸騰条件に関して持続可能な過熱度を超えると到達する点であり、ウィッキング材料120内での沸騰の開始は、作動流体115の液体循環を妨害し、ウィッキング材料120の一部の乾燥を引き起こす可能性がある。音速限界:蒸気圧限界を超える温度では、蒸気速度は音速と同程度(すなわち、Maが1に近い、1に等しい、および/または1を超える)であり得、蒸気流れが「閉塞」し、熱伝達能力のさらなる増加を妨げる。粘性限界は典型的には低温で生じ、蒸気チャンバ110の低温始動能力の尺度を表す。様々な例示的な実施形態では、熱管理システム100の動作は関連する毛管限界によって支配され、言い換えると、熱管理システム100は他の限界に達する前に毛管限界に達し得る。
[0094] 以下の表1は、コールドプレート130が蒸気チャンバ110の下に配置されている例示的な熱管理システム100(すなわち、例えば図1Aおよび図1Cに示すような「反重力」配向)の例示的な動作値を示す。より低い操作温度では、粘性限界が支配的であり、これにより蒸気流れが制限される。蒸気チャンバ110の飽和温度は最適に設計されており、このため動作中に毛管限界が制限要因となる。熱管理システム100では、構成要素は、重力を克服するだけでなく、作動流体115をバッテリセル112に沿って所望の高さまで引き戻すのに十分な力も付与するように構成される。表1に示すように、この例示的な実施形態では、蒸気チャンバ110の最大性能は、異なる構成および動作条件に応じて、バッテリセル112レベルで約9.26Wから約28.03Wの熱損失の範囲である。したがって、様々な例示的な実施形態では、熱管理システム100は、蒸気チャンバ110内がほぼ等温で、約0.018K/Wから約0.054K/Wの熱抵抗(または1メートルケルビンあたり約617.33ワット(W/mK)から約5,606W/mKの実効熱伝導率)を達成することができる。
[0096] 従来のバッテリ熱管理システムと比較して、熱管理システム100は、バッテリセル112レベルで極めて高いレベルの冷却を達成する。いくつかの例示的な実施形態では、熱管理システム100は、バッテリセル112レベルで約1500W/mKの熱伝達(すなわち、ダイヤモンドとの直接接触に匹敵する熱伝達率)を提供する。他の例示的な実施形態では、熱管理システム100は、バッテリセル112レベルで約500W/mK(すなわち、銅と直接接触するレベルよりわずかに高い熱伝達のレベル)から約2000W/mK(すなわち、銅との直接接触の約500%の熱伝達のレベル)までの熱伝達を提供する。さらに、理解されるように、様々な例示的な実施形態において、熱管理システム100は、バッテリ112レベルで、アルミニウム、銅などの一般に伝導性熱伝達に利用される様々な固体材料との直接接触よりも約3倍から約5倍の大きさに相当するレベルの熱伝達レベルを提供する。
[0097] さらに、従来のアプローチと比較して、本開示の原理は、バッテリパックレベルで高いエネルギ密度を可能にする。例えば、蒸気チャンバ110は軽量になるように構成することができる。これは、バッテリパックレベルではるかに高いエネルギ密度に寄与する。例えば、様々な例示的な実施形態におけるバッテリパックレベルでの蒸気チャンバ110の質量は、蒸気チャンバ110内のウィッキング材料120の構成に応じて約1.45kgから約2.9kg(98kWhバッテリパックの場合)までの範囲である。理解されるように、ウィッキング材料120のポストは追加の空間を占有しないので、その総体積エネルギ密度は高エネルギ密度の円筒形セルで最大にすることができる。その結果、体積エネルギ密度の損失がない。様々な既存の手法と比較して、同一容量の同一バッテリセルを利用する場合、熱管理システム100の例示的な実施形態は、少なくとも更に56Wh/Lの体積エネルギ密度(12%超の増加)を達成し、本開示の原理の利点は、パックに対してより高い容量のみを増加する。
[0098] 例えば、約105Lの体積では、例示的なバッテリパックは55kWh超の貯蔵量を達成することができるが、同じバッテリの化学的性質およびバッテリセル寸法を利用する従来の手法では約46kWhしか達成することができなかった。様々な例示的な実施形態では、熱管理システム100において、バッテリセル112は、約0mm(すなわち、隣接するバッテリセル112が互いに接触する)と約2mmとの間のセル間隔で配置されてもよい。対照的に、従来の冷却手法は、バッテリセルが少なくとも2mm離れていることをしばしば必要とする。
[0099] さらに、従来の二相冷却アプローチと比較して、熱管理システム100の例示的な実施形態における重量エネルギ密度はより良好である。いくつかの例示的な実施形態において、重量エネルギ密度の改善は、約0.5%から約15%の範囲であり得る。他の例示的な実施形態では、重量エネルギ密度の向上は、約5%から約15%の範囲であり得る。さらに他の例示的な実施形態では、重量エネルギ密度の改善は、約8%から約12%の範囲であり得る。さらに、従来の伝導的に結合された単相冷却の解決策と比較して、本明細書に開示される例示的なシステムは、著しく高い重量および体積エネルギ密度を提供する。
[00100] 本開示の原理によれば、例示的なバッテリ熱管理システムは、電気自動車または移動産業用機器、例えば、自動車、トラクタ、トラック、トロリー、電車、バン、クワッド、ゴルフカート、スクータ、ボート、飛行機、ドローン、フォークリフト、テレハンドラ、バックホーなどの品目と関連して利用されることが望ましい。
[00101] 様々な例示的な実施形態では、熱管理システム100は、蒸気および作動流体115の移動および/または分配を容易にするために追加の構造および/または構成要素を利用することができる。図8Aから8Cを参照すると、様々な例示的な実施形態において、熱管理システム100は、1つ以上の毛管114を使用するように構成され得る。毛管114は、作動流体115の蒸気から液体状態への凝縮を促進する。加えて、毛管114は、熱管理システム100内の作動流体115のより均一な分配を促進する。毛管114はまた、毛管114を通る作動流体115の移動に起因する振動によってバッテリセル112から(および/またはバッテリセル112へ)の改善された熱伝達をもたらす。別の言い方をすれば、毛管114は相変化熱伝達に加えて強制対流を促進する。さらに、毛管114は、バッテリセル112から発生する熱エネルギの一部を作動流体115のスラッグ(slugs)および蒸気泡の運動エネルギに変換する。さらに、毛管114は、その動作中に熱管理システム100内の安定したおよび/またはほぼ均一な蒸気圧を促進する。別の言い方をすれば、熱管理システム100において、毛管は蒸発器から凝縮器への圧力降下を減少させることを促す。
[00102] 様々な例示的な実施形態では、毛管114は、アルミニウム、銅などの熱伝導性材料を備える。毛管114は、例えば酸化アルミニウムなどの誘電体コーティングを介して電気的に絶縁および/または隔絶されていてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、毛管114はプラスチックなどの耐久性のある材料を備え得る。一般に、毛管114は、作動流体115と両立できるおよび/または非反応である材料から形成され得る。毛管114は円形管を備えてもよい。あるいは、毛管114は、楕円形の断面、長方形の断面、または他の適切な形状を有してもよい。毛管114は、共通の主要部分につながる(すなわち、河川をつなぐ支流と同様の配置で)複数の入口部分を有してもよい。さらに、毛管114は、複数の戻り部分につながる(すなわち、デルタで複数の経路に広がる川に似た配置で)共通の主要部分を有してもよい。別の言い方をすれば、毛管114は単一の入口端部および/または戻り端部を有してもよい。あるいは、毛管114は、複数の入口端部および/または戻り端部を有してもよい。さらに、毛管114は、所望に応じて、その経路に沿って直径、壁厚、または他の特性が変化してもよい。
[00103] 特定の熱管理システム100で利用される特定の毛管114の直径、特定の毛管114の壁厚、および/または毛管114の数は、以下のうちの1つまたは複数に基づいて選択され得る。つまり、熱管理システム100内の特定の熱負荷、毛管114の長さ、作動流体115の表面張力、毛管114の傾斜角、蒸気チャンバ110内の蒸気圧、毛管114の曲がり回数、毛管114を通る所望の水平方向流速および/または垂直方向流速、蒸気チャンバ110内に少なくとも部分的に含まれるバッテリセル112の数などに基づいて選択され得る。さらに、毛管114は、毛管114内の蒸気の凝縮および/または毛管114を通る作動流体115の輸送を容易にするために、内部および/または外部の構成要素、例えば、織り目加工(textured)の内面および/または外面で構成され得る。
[00104] 例示的な実施形態では、毛管114は、3mmの内径を有する銅管を備える。別の例示的な実施形態では、毛管114は、5mmの内径を有する銅管を備える。様々な例示的な実施形態では、毛管114は、12mmを超えない内径を有する金属管を備える。作動流体115がエタノールを含み、蒸気チャンバ110の内部が0.18バールの蒸気圧にさらされる(約40℃のエタノールの沸点をもたらす)さらに別の例示的な実施形態では、毛管114は3.6mmの内径を有するように構成される。
[00105] 熱管理システム100の動作中、毛管114内の凝縮は、蒸気/空気の泡によって分離された作動流体115の「スラグ」の形成をもたらす。毛管114内の気泡およびスラグの形成は、それを通る流体の流れの動作における摂動を招く。したがって、毛管114で構成された熱管理システム100では、毛管114の構成は、所望の「充填比」、すなわち毛管114内の蒸気/空気に対する作動流体115の量の比を得るために調整され得る。スラグに対する気泡のより高い比率(すなわち、毛管114内の作動流体115の総量が少ない)は、毛管114の直径を小さくすることによって典型的に達成され、顕熱伝達のための作動流体115の質量流量が低くなる。気泡に対するスラグのより高い比率(すなわち、毛管114内の作動流体115の総量が多い)は、毛管114のより大きな直径によって典型的に達成され、ポンピング作用および熱伝達を低減しながら振動を小さくする。したがって、毛管114は、熱管理システム100の動作を最適化するための所望のトレードオフ、例えばポンピング作用と質量流量との間の所望のバランスを得るように寸法決めされてもよい。
[00106] 毛管114は、様々な方法で熱管理システム100内に配置することができる。例示的な実施形態では、熱管理システム100は、蒸気チャンバ110の共通側に配置された入口端部および戻り端部を有する1つまたは複数の毛管114を利用する。毛管114は、蒸気チャンバ110内に、蒸気チャンバ110を通って、および/または蒸気チャンバ110と熱結合される。熱管理システム100が動作しているとき、毛管114内の蒸気は作動流体115の液体形態に凝縮し、毛管114内の蒸気/空気の気泡と作動流体115のスラグとを交互に生じる。蒸気チャンバ110内で発生した蒸気圧は、スラグを毛管114を通して押し出し、毛管114の戻り端部から作動流体115を流出させ、その結果ポスト211の基部に凝縮した作動流体115が堆積する。
[00107] ここで図9Aから図9Cを参照すると、いくつかの例示的な実施形態において、熱管理システム100は、蒸気チャンバ110の第1の側面に入口端部を有し、蒸気チャンバ100の反対の側面(または直行側面、もしくは概して任意の異なる側面)に戻り端部を有する1つ以上の毛管114を利用する。例えば、図9Cに示すように、略矩形の蒸気チャンバ110を有する熱管理システム100は、2本の毛管114で構成され得る。第1の毛管114の入口端部および第2の毛管114の戻り端部は、略矩形の蒸気チャンバ110の一側面に配置され得る。矩形の反対の側面には、第1の毛管114の戻り端部と第2の毛管114の入口端部とが配置されている。このようにして、新たに凝縮された作動流体115の供給が蒸気チャンバ110の2つの反対側の側面に導入される。
[00108] 理解されるように、様々な例示的実施形態では、熱管理システム100内の作動流体115の流れを方向付けるために複数の毛管114を利用することができる。そのような構成は、熱管理システム100内に作動流体115を望み通りに分配するように対称的、非対称的、ループ状、または他の方法であってもよい。例えば、図9Dを一時的に参照すると、例示的な一実施形態では、熱管理システム100は4面蒸気チャンバ110で構成され、4本の毛管114を利用する。第1の毛管114−Aは蒸気チャンバ110の側面S1に入口端部を有し、隣接する側面S2に戻り端部を有する。第2の毛管114−Bは側面S2に入口端部を有し、隣接する側面S3に戻り端部を有し、第3の毛管114−Cは、側面S3に入口端部を有し、隣接する側面S4に戻り端部を有し、そして第4の毛管114−Dは、側面S4に入口端部を有し、隣接する側面S1に戻り端部を有する。熱管理システム100の動作中、作動流体115は4つの毛管114を介してラウンドロビン方式で循環し、熱管理システム100内の作動流体115のより均一な分配をもたらし、したがって内部で利用されるバッテリのよりバランスの取れた熱管理を可能にする。
[00109] ここで図10Aおよび図10Bを参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、熱管理システム100は、毛管114、ならびに蒸気チャンバ110と凝縮チャンバ140との間の蒸気/流体通路または経路で構成される。これらの構成では、蒸気は毛管114を介して集められ、凝縮チャンバ140内の作動流体115の共通プールに導入される。凝縮チャンバ140内では、作動流体115は、重力の作用および作動流体115の表面張力を介して凝縮チャンバ140全体に行き渡ってプールされ(すなわち、容器が満たされるのにつれて容器の側全体に液体が行き渡るのと同様)、さらに、作動流体115は、凝縮チャンバ140の加速または凝縮チャンバ140の水平からの傾斜に応じて凝縮チャンバ140内に分配されてもよい。ポスト211は、凝縮チャンバ140内に収容された作動流体115のプール内に延び、毛管作用によって作動流体115を吸い上げ、作動流体115を蒸気チャンバ110内に持ち上げる。その後、上記した様々な実施形態で記載したように、作動流体115は蒸発してバッテリセル112を冷却する。
[00110] これらの例示的な実施形態では、コールドプレート130は、ポスト211がコールドプレート130を通過して凝縮チャンバ140内の作動流体115にアクセスすることを可能にするように複数の開口部131を有して構成されている。言い換えると、これらの例示的な実施形態では、コールドプレート130は、蒸気チャンバ110と凝縮チャンバ140との間に配置された有孔バリアとして構成されている。しかしながら、理解されるように、冷却剤が蒸気チャンバ110内へ漏れることなく及び/又は作動流体115と混ざり合うことなくコールドプレート130を通過できるように、コールドプレート130は開口部131の周囲でシールされたままである。
[00111] 様々な例示的な実施形態では、開口部131は、蒸気チャンバ110内のバッテリセル112間のスペースに対応するように寸法決めされる。言い換えれば、開口部131は、例示的なバッテリパックが所望のエネルギ密度を維持できるように、バッテリセル112間の拡張スペースを必要としない態様で寸法決めすることができる。
[00112] 様々な例示的な実施形態では、開口部131は、コールドプレート130の平面に対して垂直に見たときに概ね円形の穴として構成される。他の例示的な実施形態では、開口部131は、1つ以上の三角形、ルーロー三角形、疑似三角形(pseudotriangle)、正方形、長方形、楕円形、および/またはそれらの組み合わせのうちの1又は複数の形状を有するように構成される。様々な例示的な実施形態では、開口部131は、6mmを超えない直径(および/または最長寸法)で構成される。例示的な一実施形態では、開口部131は、直径4mmの円形の穴を含む。
[00113] 理解されるように、熱管理システム100において、開口部131は、互いに異なる形状および/またはサイズで構成されてもよい。例えば、熱管理システム100では、中に配置されたポスト211を有する第1の開口部131は、4mmの直径を有する円形の穴として構成されてもよい。内部にポスト211が配置されていない第2の開口部131は、直径2mmの円形の穴として構成され得る。別の例では、中に配置されたポスト211を有する第1の開口部131は、約5mmの頂点間の距離を有するほぼ疑似三角形の穴として構成されてもよい。この例では、内部にポスト211が配置されていない第2の開口部131は、直径3mmの円形の穴として構成され得る。さらに、熱管理システム100では、熱管理システム100内の作動流体115および蒸気の循環を提供するために、例えばチェッカーボード状、縞状、千鳥状、または他の適切なパターンなど、開口部131のサイズおよび形状の任意の適切な組み合わせを利用することができる。
[00114] 様々な例示的な実施形態では、ポスト211は、対応する開口部131の縁とほぼ面一になるように構成される。言い換えれば、ポスト211は、それが配置される対応する開口部131を完全に満たすかまたは占有し得る。いくつかの例示的な実施形態では、ポスト211は開口部131を部分的にのみ満たすかまたは占有し得る。例えば、ポスト211は中空円筒として構成することができ、その結果、開口部131の小さな円筒形領域を空けつつ、対応する円形開口部131の全ての縁部を占有し得る。さらに、ポスト211は、その側部に切り欠きを有する円筒として構成することができ、その結果、その開口部131の一方の縁部に沿って小さな空隙を残しつつ、ポスト211は円形開口部131の大部分を占め得る。このようにして、例えば熱管理システム100におけるすべての関連位置においてより一定の蒸気圧(したがって、より一定の飽和温度点)が促されるように、開口部131を通るいずれかの方向への蒸気および/または作動流体115の流れが促される。
[00115] いくつかの例示的な実施形態では、ポスト211は、対応する開口部131の縁部と1つ又は複数の関連するバッテリセル112の縁部の両方とほぼ面一になるように構成される。例えば、ポスト211は、ポスト211の第1の部分(すなわち、開口部131内への挿入を意図する部分)についてはほぼ円筒形の形状要素を有し、ポスト211の第2の部分については切頭端を有する疑似三角形の形状要素(すなわち、例えば図2Cに示すような密集した円筒形バッテリセル112の間のスペースに収めることを意図した形状要素)を有し得る。これらの実施形態では、ポスト211の第1の部分の長さは、ポスト211が対応する開口部131を通って挿入可能である距離を決定し得る。
[00116] 様々な例示的な実施形態では、ポスト211の底部が凝縮チャンバ140の遠位側に接触するように(すなわち、各ポスト211の一部が凝縮チャンバ140の一方側から反対側まで横切るように)、ポスト211は開口部131を通って延び得る。このようにして、ポスト211は、凝縮チャンバ140内の任意の深さに溜まった作動流体115を吸い上げることができる。他の例示的な実施形態では、ポスト211の底部が凝縮チャンバ140内で完全に横断するのではなく凝縮チャンバ140の途中までしか到達しないように、ポスト211は開口部131を通って延び得る。これらの構成では、凝縮チャンバ140が水平に配置されているとき、作動流体115の液溜まりがポスト211の底部に接触する前に、作動流体115の最小液溜まり深さが凝縮チャンバ140内に存在することになる。この構成は、作動流体115が全方向に横方向に流れることを可能にするので、凝縮チャンバ140内で作動流体115が均一に行き渡ることを促す。対照的に、ポスト211が凝縮チャンバ140の反対側の壁までずっと延びているいくつかの実施形態では、ポスト211は、作動流体115が凝縮チャンバ140内を横方向に流れる速度よりも速い速度で、作動流体115を垂直に吸い上げて輸送し得る。これにより、「乾いた」または「より乾いた」ポスト211(すなわち、作動流体115へのアクセスが減少したポスト211;典型的には、このようなポストは、熱管理システム100内のポスト211のアレイの中央領域内に生じ得る)が導かれる。
[00117] さらに、いくつかの例示的な実施形態では、いくつかのポスト211が凝縮チャンバ140内に部分的にのみ延び、他のポスト211が凝縮チャンバ140を完全に横切る組み合わせを利用することができる。例えば、市松模様のように、交互のポスト211を交互に配置してもよい。別の例では、ポスト211の列の3つおきのポスト211が、凝縮チャンバ140を完全に横切ってもよい。さらに別の例では、ポスト211の列の3つおきのポスト211が、凝縮チャンバ140の途中までしか延びていなくてもよい。さらに他の例では、凝縮チャンバ140を完全に横切るポスト211、および凝縮チャンバ140の途中までしか延びていないポスト211は、縞、らせん、同心の幾何学的形状などで配置されてもよい。これらの組み合わされた手法では、作動流体115の蒸気チャンバ110内への上方への十分な輸送速度を保証しながら、凝縮チャンバ140内の作動流体115の妨げられない横方向の流れがもたらされる。さらに、熱管理システム100では、凝縮チャンバ140を完全に横切るポスト211および凝縮チャンバ140の途中までしか延びていないポスト211の任意の適切な配置が利用され得る。
[00118] 図11Aおよび図11Bを参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、熱管理システム100において、特定の開口部131はポスト211で部分的または完全に満たされず、代わりに蒸気チャンバ110と凝縮チャンバ140とを結ぶ障害物のない通路または経路として残される。一例では、交互の開口131は、例えば市松模様のパターンで空のままにされてもよい。別の例では、開口部131の列の3つおきの開口部131が空のままにされてもよい。さらに別の例では、コールドプレート130は、空の開口部131とポスト211で占められた開口部131とがコールドプレート130のほぼ中央に中心を置く同心円または輪郭を形成するように、開口部131のアレイで構成され得る。さらに別の例では、空の開口部131が、ポスト211で占められた開口部131と交互の列または縞で配置されてもよい。さらに、空のままにされるアパーチャ131の選択、およびポスト211によって占められるアパーチャ131の選択は、例えば熱管理システム100内で蒸気および作動流体115の所望の循環を達成するために、任意の適切なパターンであり得る。
[00119] 理解されるように、様々な例示的な実施形態では、熱管理システム100は、遮られていない(および/または部分的に遮られている)開口部131と毛管114との両方を利用することができる。さらに他の例示的な実施形態では、熱管理システム100は、遮られていない(および/または部分的に遮られている)開口部131のみを利用することができ、毛管114を有しないように構成され得る。さらに他の例示的な実施形態では、熱管理システム100は毛管114を利用することができ、閉塞されていない(および/または部分的に閉塞されている)開口部131を有しないように構成され得る。
[00120] 様々な例示的実施形態では、熱管理システム100において、毛管114は、関連したコールドプレート130における冷却剤(より一般的には熱流体)の流れの方向および/または経路に少なくとも部分的に基づいて位置決め、成形、および/または別の態様で構成され得る。例えば、ヒートポンプ150の作動中、熱流体は、例えば蛇行状の経路でコールドプレート130を横切ってポンピングされる。熱管理システム100が冷却モードで動作しているとき、熱流体は、コールドプレート130を横切るにつれて熱を獲得する。このため、熱流体は、コールドプレート130と接触し始めるときと比較してコールドプレート130と接触し終えるときに高い温度にある。したがって、いくつかの例示的な実施形態では、熱管理システム100は、熱流体がコールドプレート130を出るコールドプレート130の部分(すなわち、熱管理システム100が冷却モードで動作しているとき、コールドプレート130の「最も熱い」部分である部分)として蒸気チャンバ110の概して共通の側部に配置された戻り端を有する1つ又は複数の毛管114で構成される。このようにして、コールドプレート130によるバッテリセル112の直接冷却が最小である蒸気チャンバ110内の領域に作動流体115の供給量を増加させることができ、したがって作動流体の相変化を介してその領域のバッテリセル112をさらに冷却することができる。さらに、いくつかの例示的な実施形態では、熱管理システム100における毛管114の寸法、長さ、経路、入口端部の数、戻り端部の数、および/または他の特性は、コールドプレート130における熱流体の流れの特性に基づいて選択され得る。例えば、特定の毛管114は、コールドプレート130内の熱流体の流れとほぼ平行な方向にコールドプレート130の一部に沿って横断および/または配置し得る。別の特定の毛管114は、コールドプレート130内の熱流体の流れの方向と概ね反対の又は対向する方向にコールドプレート130の一部に沿って横断および/または配置し得る。概して、熱管理システム100では、毛管114を利用して、蒸気チャンバ110内の等温状態をより厳密に近づけ、および/または熱管理システム100内の各バッテリセル112にほぼ等しい冷却能力をもたらし得る(例えば、バッテリセル112の冷却能力は、最高能力から最低能力まで10%も変化しない)。
[00121] ここで図12Aから図12Cを参照すると、様々な例示的な実施形態において、熱管理システム100は、ポスト211のアレイであって、特定のポスト211の長さ、厚さ、材料、または他の特性が、その特定のポスト211のアレイにおける位置に応じて少なくとも部分的に変化するポスト211のアレイを利用し得る。例えば、熱管理システム100の長さに沿った図を示す図12Aを参照すると、ポスト211のアレイの外縁近くに配置された特定のポスト211−Aは、ポスト211のアレイの中心近くに配置された他のポスト211−Bよりも低い高さで構成されることが分かる。アレイ211の中心に近いポスト211は、例えば関連するバッテリセル112への冷却能力を増大させるために、より高い高さで構成されてもよい。同様に、熱管理システム100の幅に沿った図を示す図12Bを参照すると、ポスト211−Cはポスト211−Dよりも短く、ポスト211−Dはポスト211−Eよりも短いことが分かる。図12A及び図12Bに示すアレイの斜視図を示す図12Cを参照すると、ポスト211の高さの変化は、熱管理システム100の長さと幅の両方にわたって適用され得ることが分かる。このようにして、熱管理システム100内のポスト211は、関連するバッテリセル112、特に熱負荷が最大となる傾向がある熱管理システム100のほぼ中央に位置する領域のバッテリセル112に、適切な冷却能力を提供するように構成され得る。
[00122] ポスト211の高さは、直線状、曲線状、階段状、または他の適切な態様で変化してもよい。例えば、ポスト211の高さは、ポスト211のアレイの外縁にほぼ沿って配置された第1の環状領域において第1の値を有し、第1の環状形状によって囲まれた内側領域において第2のより高い値を有し得る。別の例では、熱管理システム100の長さに沿って移動すると、ポスト211は、高さが徐々に大きくなり、最大に達し、その後ある点で徐々に小さくなり、三角形および/または台形のような断面(すなわち、図12Aおよび図12Bに示すような)であり得る。
[00123] 理解されるように、図8Aから図12Bの実施形態は、図1Aから図1Eの説明に関連して開示された様々なシステム構成および向きと互換性があり、それらと任意の適切な組み合わせで使用され得る。
[00124] 例示的な実施形態では、蒸気チャンバとヒートポンプとの間で熱を伝達するための蒸気チャンバは、外側ハウジングと、外側ハウジング内に収容されているウィッキング材料と、ウィッキング材料によって少なくとも部分的に吸い上げられる作動流体と、を備える。蒸気チャンバは、内部に複数のバッテリセルの一部を受け入れるために複数の開口部を有するように構成される。蒸気チャンバは複数のバッテリセルの密な収容を容易にする。バッテリセルは互いに1mm未満に配置されてもよい。蒸気チャンバは、重力に対する蒸気チャンバの向きに関係なく、バッテリセルを冷却するように動作する。複数のバッテリセルのうちのバッテリセルは、第1の端部と、第1の端部から遠位の第2の端部とを有し、第1の端部と第2の端部とはそれらの間に或る長さを有する。ウィッキング材料は、バッテリセルの長さの10%から50%と接触していてもよい。ウィッキング材料は、第1の端部から始まってバッテリセルの長さの5%から50%に沿って延びてバッテリセルと接触していてもよい。ウィッキング材料は、バッテリセルの長さに沿って厚さが変化してもよい。ウィッキング材料は、バッテリセルの長さに沿って多孔度が異なり得る。ウィッキング材料は、ハニカム形状を有する接触リングとして構成されてもよい。ウィッキング材料は、平行織り構成(parallel weave configuration)で構成されてもよい。ウィッキング材料は、シリアル織り構成(serial weave configuration)で構成することができる。バッテリセルは、蒸気チャンバの縁部を形成するコールドプレートに導電的に結合されてもよい。蒸気チャンバは、コールドプレートを介してヒートポンプに連結されてもよい。
[00125] 別の例示的な実施形態では、複数のバッテリセルを含むバッテリパックを冷却するための方法は、バッテリパックにおいて、端部セルである一組のバッテリセルを識別することを含む。方法は、バッテリパックにおいて、内部セルである一組のバッテリセルを識別することをさらに含む。方法は、バッテリパック内で、中央セルである一組のバッテリセルを識別することをさらに含む。方法はさらに、複数のバッテリセルを蒸気チャンバに結合すること、作動流体を蒸気チャンバ内に配置すること、及びウィッキング材料を蒸気チャンバ内に配置することを含む。方法はさらに、端部セルに第1の量のウィッキング材料を結合すること、内側セルに第1の量とは異なる第2の量のウィッキング材料を結合すること、および中央セルに第1の量または第2の量とは異なる第3の量のウィッキング材料を結合することを含む。方法はさらに、バッテリパックにおいて、入口セルである一組のバッテリセルを識別すること、及びバッテリパックにおいて出口セルである一組のバッテリセルを識別することを含んでもよい。方法はさらに、入口セルに結合されたウィッキング材料の量が出口セルに結合されたウィッキング材料の量とは異なるようにウィッキング材料を構成することを含んでもよい。方法はさらに、端部セルに第1のウィッキング特性を有する第1の量のウィッキング材料を結合すること、内側セルに第1のウィッキング特性とは異なる第2のウィッキング特性を有する第2の量のウィッキング材料を結合すること、及び、中央セルに第1のウィッキング特性または第2のウィッキング特性とは異なる第3のウィッキング特性を有する第3の量のウィッキング材料を結合することを含んでもよい。
[00126] 例示的な実施形態では、バッテリパックの熱調整のための方法は、蒸気チャンバ内に少なくとも部分的に複数のバッテリセルを配置することを含み、複数のバッテリセルはバッテリパックを形成し、蒸気チャンバはハウジング、ウィッキング材料、及び作動流体を備える。また、方法は、複数のバッテリセルのそれぞれを、ウィッキング材料の少なくとも一部と接触させることを含む。バッテリパックの充電中または放電中に、作動流体は、バッテリセルから熱を運び去るために蒸気チャンバ内で相変化する。方法は、コールドプレートを介してヒートポンプを蒸気チャンバに結合することをさらに含み得る。蒸気チャンバは、重力に対する蒸気チャンバの向きに関係なく、バッテリセルから熱を運び去るように動作し得る。方法はさらに、バッテリパックの充電中または放電中に、蒸気チャンバ内の温度または圧力の少なくとも一方を監視すること、および監視に応じて、或る量の作動流体を蒸気チャンバに追加または除去することを含んでもよい。
[00127] 別の例示的な実施形態では、個々のバッテリセルのための熱管理システムは、ハウジング、ウィッキング材料、および作動流体を含むコールドウェルと、バッテリセルの底部がウィッキング材料に接触するように少なくとも部分的にコールドウェル内に配置されたバッテリセルと、を備える。バッテリセルとハウジングとの間のインターフェイスは、ハウジング内に作動流体を保持するようにシールされ、作動流体は、バッテリセルから熱を運び去るためにコールドウェル内で相変化する。
[00128] 別の例示的な実施形態では、バッテリパックのための熱管理システムは、ハウジングとウィッキング材料と作動流体とを含む蒸気チャンバと、蒸気チャンバをヒートポンプに結合するコールドプレートと、複数のバッテリセルであって当該複数のバッテリセルのそれぞれは少なくとも部分的に蒸気チャンバ内に配置される複数のバッテリセルを含むバッテリパックと、コールドプレートに結合された凝縮チャンバと、蒸気チャンバと凝縮チャンバとを連結する毛管と、を備える。各バッテリセルはウィッキング材料の一部と接触し、バッテリセルから熱を逃がすために作動流体は蒸気チャンバ内で相変化する。
[00129] ウィッキング材料は、バッテリセル間に配置された一組のポストとして構成されてもよい。コールドプレートは、蒸気チャンバと凝縮チャンバとの間に配置されてもよい。コールドプレートは、蒸気チャンバと凝縮チャンバとを連結するための複数の開口部を有するように構成されてもよい。複数の開口部のうちの第1の部分はウィッキング材料によって占められ、複数の開口部のうちの第2の部分はウィッキング材料によって占められなくてもよい。ウィッキング材料の一部はポストを含んでもよく、ポストは開口部を通過して凝縮チャンバを完全に横切る。ウィッキング材料の一部はポストを含んでもよく、ポストは複数の開口部のうちの1つを部分的に占める。毛管は、毛管の共通部分に通じる複数の入口端部を有するように構成されてもよい。毛管は、蒸気チャンバの第1の側に入口端部を有し、蒸気チャンバの反対側に戻り端部を有してもよい。毛管は、1mmから12mmの間の内径で構成されてもよい。ウィッキング材料からの作動流体の蒸発は、蒸気を毛管に流入させる可能性がある。ウィッキング材料はポストのアレイとして構成されてもよく、ポストのアレイは互いに高さが異なる。ポストのアレイは、ポストのアレイの長さに沿って見たときに段階的に高さが異なっていてもよい。
[00130] 本開示の原理を様々な実施形態で示したが、実際に使用される、特定の環境および動作要件に特に適合された構造、配置、比率、要素、材料、および構成要素の多くの修正が、本開示の原理および範囲から逸脱することなく、使用され得る。これら及び他の変更または修正は本開示の範囲内に含まれることが意図され、添付の特許請求の範囲において表現され得る。
[00131] 本開示は、様々な実施形態を参照して説明された。しかしながら、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく様々な修正および変更を加えられることが理解できるであろう。したがって、本明細書は限定的な意味ではなく例示的な意味で考えられるべきであり、そのような修正はすべて本開示の範囲内に含まれることが意図されている。同様に、利益、他の利点、および課題に対する解決策は、様々な実施形態に関して上記で説明されている。しかしながら、利益、利点、課題の解決策、並びに利益、利点、又は解決策が生じる又はより顕著になる可能性のある要素は、特許請求の範囲の任意またはすべての記載において、重要、必要、または必須の特徴または要素として解釈されるべきではない。
[00132] 本明細書で使用されるとき、用語「備える(comprises)」、「備えた(comprising)」、又はそれらの任意の他の変形は非排他的な包含を含むことを意図し、要素のリストを備えるプロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていない、またはそうしたプロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素を含んでいてもよい。また、本明細書で使用されるとき、用語「結合された(coupled)」、「結合する(coupling)」、またはその任意の他の変形は、物理的接続、電気的接続、磁気的接続、光学的接続、通信的接続、機能的接続、熱接続、及び/又は任意の他の接続を含むことを意図する。本明細書または特許請求の範囲において、「A、B、又はCの少なくとも1つ」または「A、B、及びCの少なくとも1つ」と同様の用語が使用される場合、その語句は以下のいずれかを意味する。(1)少なくとも1つのA。(2)少なくとも1つのB。(3)少なくとも1つのC。(4)少なくとも1つのA及び少なくとも1つのB。(5)少なくとも1つのB及び少なくとも1つのC。(6)少なくとも1つのC及び少なくとも1つのA。(7)少なくとも1つのA、少なくとも1つのB、及び少なくとも1つのC。