水頭症患者には、以下の医学的問題がある:
脳は頭蓋内で特定の体液による体液に囲まれている。前記体液は絶えず生成され、等しい量で吸収される。脳水腫としても言及される水頭症について言えば、この平衡は失われている。頭蓋は密閉容器を構成するため、吸収されるよりも多くの体液が生成されると、肥大が発生する。肥大により、乳児では頭蓋縫合が結合できず、成人では頭蓋内圧が上昇する。したがって、成人の水頭症と小児の水頭症が存在する。
水頭症は、その形態から、内水頭症、外水頭症、内外水頭症、常圧水頭症、代償性水頭症等の用語によって区別できる。
水頭症の治療は、元来、単に体液を排出することによって行われた。これは、頭蓋と太い静脈血管との間のホース接続によって、又は頭蓋から腹腔へのホースを介した同様の接続によって、簡単に行われた。しかし、他の合併症が生じない場合、頭蓋内の圧力は特定の生理学的な値を持たなければならないことがすぐに確認された。
現代の水頭症治療法は、特定の生理学的な値を設定するために、埋め込み型排出装置、頭部の脳室と、今日では、通常、腹腔との間の、人工的な接続を利用する。
患者の頭蓋内の圧力を治療できる様々な排出手段が知られている。排出手段は、特定の臨界圧で開き、頭蓋内の過剰圧力の発生が防止されるように、脳脊髄液とも呼ばれる体液の排出を可能にすることを目的とする。脳脊髄液(CSF)の過剰圧力から保護するためのこれらの排出設備は、一般に、いわゆるシャント又はドレーンと呼ばれる。
埋め込み型排水手段の中核は、排出手段を制御する埋め込み型バルブである。該バルブは、水頭症バルブと呼ばれる。水頭症バルブは、通常、皮膚の下に注意深く埋め込まれる。そのような排出手段は、一般的に頭部の皮膚の下に埋め込まれる。
「シャント」という表現に係る、可能な定義の1つは、ミーツケによって与えられている。即ち、「脳脊髄液を含む第1の筐体部分と、脳脊髄液を受け取ることができる第2の筐体部分との間のあらゆる人工液圧接続」を言う(「髄液短絡術(The Cerebrospinal Fluid Shunts)」の頁130−131を参照せよ(資料1)〔非特許文献1〕)。水頭症のトピックに関するさらなる情報源は、書籍「正常圧水頭症(Normal Pressure Hydrocephalus)」フリッツ等、2014(資料2)〔非特許文献2〕、及び EN ISO規格 7197(資料3)〔非特許文献3〕、そしてEN ISO規格 1463(資料5)〔非特許文献4〕である。
すべての資料には、とりわけ、水頭症の論題に関連する技術的な表現と定義が含まれている。また、既知の動作原理とそのグループ化も含まれている。
ミーツケは、資料1で2通りのグループ化を提案しており、これについては表1を参照されたい。最初のサブグループでは、バルブを、動作原理に従って、差圧バルブと静水圧バルブに区別する。2番目のサブグループでは、臨床機能に応じて、バルブを固定式、つまり調整不可能なバルブタイプと、調整可能なバルブタイプに区別する。
ミーツケによれば、静水圧バルブ法に属するグループのバルブは、バルブ又はバルブ要素と見なされ、その設計目的は過剰排水の防止に基づいている(出典1,67頁)。この場合、このグループのバルブの目的は、バルブが開くように作用する静水圧の力を補償することである(いわゆる平衡錘)。
静水圧作動原理に基づくバルブは、3つのバルブタイプに区別できる。これらは、アンチサイフォン、フロー制御及び重力制御デバイスと呼ばれる。3つのバルブタイプすべてに共通するのは差圧である。これは、バルブ下流の圧力からバルブ上流の圧力を引いた差から計算される(Δp=pバルブの下流−pバルブの上流)。バルブを介する体積流量を許容する差圧は、バルブの開口圧力として定義される。
アンチサイフォンデバイスは、バルブに作用する吸水力の大きさを、デバイスの開口圧とする。重力制御デバイスは、地球の重力場における傾斜を開口圧力に順応させる。対照的に、流量制御デバイスは、それらを通過する体積流量を圧力差に順応させる。
先行技術における、体積流量適合バルブに対する同様の用語は、流量依存、流量調整、又は流量減少バルブ若しくはデバイスである。ここで、用語「流量」は、一般に、用語「体積流量」、単位時間あたりの体積と同等であると考えられる。
あらゆる水頭症バルブは、特性曲線によって特徴付けられる。アルフレッド アショフ博士は、In-Vitro-Testung von Hydrozephalus Ventilen [水頭症バルブの生体外試験]、1994年、32頁(出典7)〔非特許文献5〕において、特性曲線について記載している。シャントバルブは単一方向を優先する流量コントローラーであるため、彼はそこでこれらについて議論している。アショフによれば、該シャントバルブは、第1に一方向性の動作、第2に開閉特性、そして第3に特定の圧力−流量特性曲線によって特徴付けられるという事実によって区別される。通常、圧力-流量特性曲線は非線形である。アショフによれば、その図表は水頭症バルブ自体に依存するため、水頭症バルブは完全な特性曲線を特定することによってのみ記述できる。
調整不可能な水頭症バルブは、1つのバルブ特性曲線によって特徴付けられ、調整可能な水頭症バルブは、複数のバルブ特性曲線によって特徴付けられる。
調整不可能な水頭症バルブの場合には、静水力学バルブ原理のグループのバルブは、体液圧力に依存するような、特定の流量体積、貫通流、を示すことが明らかである。すべての体液圧力に対する流量体積をグラフにプロットすると、バルブの特性曲線が得られる。
調整可能な水頭症バルブの場合には、全ての調整器具がバルブを形成する。全ての形態で、異なるバルブ特性曲線が得られる。幾つかの適切な水頭症バルブについて以下に記載する。
米国特許第8870809B2(Christoph Miethke GmbH&Co KG)〔特許文献1〕は、投薬による水頭症患者の治療のための、埋め込み型水頭症システムに関する。この文書は、患者に投薬することも可能な埋め込み型水頭症システムを提案している。この目的のために、薬物は、水頭症システムの空洞である中空空間に、カテーテルを通して脳室に液圧で移動できるように導入されなければならない。教示によれば、この目的のために、ある状態では薬液を受け取り、別の状態ではこれらを脳室の方向に移動させるシステムが必要である。このようにシステムはバルブを必要とし、したがって、流入口及び排出口を備えたケーシング内にバルブフラップを備えたバルブ配列から構成される。バルブ内のバルブ配列は、空洞内の薬液圧力に依拠して、水頭症システムの流入口を開閉する。
ドイツ公開特許第3835788A1〔特許文献2〕の教示は、欧州1523635B1〔特許文献3〕段落[0003](Aesculap AG)によると、高速スイッチングボールバルブに関する。ある状態では、薬液が受け取られ、別の状態では、薬液は脳の方向に放出される。バルブが閉じた状態では、ボールは通路の開口部に押し付けられる。通路開口部を開くには、作動機構がボールを通路開口部から横方向に押す。この目的のために、作動機構の作動要素は、ボールに横方向の押し付け作用を及ぼし、それにより、ボールは、通路開口部又は通路開口部のバルブシートから離れる。ボールを移動させるための作動機構として、ここではパルス駆動電磁石が使用される。この電磁石は、作動後、ばね力によって再び初期位置に引き戻される。
欧州1523635B1(Aesculap AG)は、ミリメートル範囲で動かすことのできるバルブを提供するための解決法を提案している。おおむね、その提案は、通路開口部を備えた本体と、ワイヤ形状の2つの要素、特にSMA(形状記憶合金)ワイヤを組み合わせるものである。これらのワイヤは、温度変化に応じて共に短くなる。特に有益な実施態様には、二値開放特性を有するバルブがある。現象論的には、スイッチの作用は、通路開口部の上流における身体の姿勢に起因する。
米国公開特許公報第20150182734A1(Christoph Miethke GmbH&Co KG)〔特許文献4〕は、水頭症患者の頭蓋内の圧力を調整するための、調整可能な水頭症バルブ、プログラム可能な重力補助装置を開示している。この目的のために、ローターが軸の周りを自由に回転できるように、膜を介してブレーキが解放される。音響信号、クリック音により、膜はローターの解放又は閉鎖をユーザーに知らせる。ローターには磁石が取り付けられているため、ローターは磁気道具と同様にその軸の周りを回転できる。回転は、バルブ特性を調整するために利用される。バルブがうまくいくことは証明されている。
米国特許第4676772号(Cordis Cooperation)〔特許文献5〕は、1985年に、早くも脳脊髄液の圧力制御のためのシステムを開示した。該システムは、体液用の埋め込み可能な圧力逃がし弁を備え、この圧力逃がし弁は、その開放圧力を調整するために、ケーシング及び調整ユニットを有する。ここで、圧力逃がし弁で一般的な、圧力に依存する方法で、隔膜は、隔膜に埋め込まれたシールリングとボールとの間の通路が開くように歪められる。この目的のために、ボールはポット中に取り付けられ、その側面にネジ山が切られる。ボールとシーリングリング間の圧力が調整できるように、ネジ山を介してポットをカバーにねじ込んだり、カバーの外に出したりすることができる。
ポットの位置、つまり圧力逃がし弁にねじ込まれたねじ山の回転数は、表示装置の磁気ブリッジを介して描画できる。
要約すると、米国特許第4676772号の教示は、バルブ開放圧力の設定に関するものであるが、残念なことに、定義された体積流量の設定に関するものではない。更に、記載された技術には、ポットをねじ込むことによってバルブ開放圧力を設定することが、膜の塑性変形をもたらし得るという欠点がある。
これは、もし、結果としてポットをねじ込みすぎた場合に生じ、隔膜が、ボールを介して隔膜の弾性限界を超える力にさらされる。バルブの開放圧力を正確に設定するには、カバー内のポットを正確に位置決めする必要がある。ポットは、ユーザーの手の動きに対応する磁気ブリッジを介して、カバー内で回転される。
しかしながら、ユーザーは、摩擦やポットとカバーの間の相対位置に関するフィードバックは提供されない。したがって、カバー内にあるポットのユーザーによる回転が過剰であったり、不十分であるため、該ポットが正確に配置されず、したがってバルブの開放圧力を正確に設定することができない。
いわゆるオービスシグマバルブは、サン−ロゼ フーベン ヒルシュ(「水頭症治療における新たな挑戦」、神経外科手術、1987年 66(2)、213-226頁〔非特許文献6〕)(Sainte-Rose、Hooven、Hirsch:A new approach in the treatment of hydrocephalus、Neurosrg、1987、66(2)、213-26〔非特許文献7〕)によって提案された。オービスシグマバルブは、穴の開いたサファイア膜と、該穴を貫通するピンから構成される。ここで、ピンは、その断面に、前記膜の方に向かうその端部の方向に逃げ溝を持っている。前記膜は、その外周に沿ってフローチャネルのケーシングに取り付けられている。ピンは、同じ流路の同じケーシング内に、前記膜から離れるように、その端部で取り付けられている。もし、差圧が膜を超えて向こう側に優勢となる場合には、該膜は圧力勾配で膨らむことにより歪む。したがって、膨らみの程度とピンの逃げ溝の形状が通路の限界を定める。該通路のサイズは、逃げ溝の輪郭によって異なる。したがって、オービスシグマバルブは、逃げ溝の輪郭と相互作用して、膜を超える差圧に応じて、継続的に通路のサイズを調節する。
オービスシグマバルブの欠点は、差圧に依存することである。さらに、逃げ溝の輪郭は、すべての患者で一定であると想定することはできない。むしろ、患者の水頭症のそれぞれの重症度に適応する必要がある。
欧州特許第0873761B1号(DePuy)〔特許文献6〕は、体液の流れを制限する装置について記載している。この装置は、いわゆるサイフォンガード(SiphonGuard:登録商標)の原理を示している。該文書は、1998年に、患者の第1の領域から第2の領域への体液の流れを制限するための技術を開示した。この目的のために、装置は、第1の領域から体液を受け入れるための流入口と、体液を第2の領域に導くための排出口とを含む。更に、その装置は、一次流路及び二次流路を含み、それらのどちらも流入口と排出口と体液的に連通している。その装置内の検出器は、流量、体液の体積流量を検出することができ、したがって、それらの量に依存するやり方で、体液が一次又は二次流路に沿って誘導されるかどうかの決定を下すことができる。ここで、検出器は現在の流量を閾値と比較することにより決定を行う。検出器は、体液流量が事前に定義された閾値よりも低い場合、一次流路に沿って体液を流入口から排出口に導く。逆に、流量が事前に定義された閾値よりも高い場合には、前記検出器は二次流路に沿って体液を流入口から排出口に導く。ここでは、検出器は、ボールシート、ボール、板バネ、螺旋バネの4つの部品で構成されている。板バネはボールをボールシートから押し出す一方で、螺旋バネはボールをボールシートに押し込む。このように、2つのバネの強さの差が検出器の閾値を定義する。
したがって、体液の流れを制限するための装置は、高体液抵抗と低体液抵抗という2つの状態の間で、その体液抵抗をデジタルに調整する。したがって、体積流量の大きさを一定に保つことなく、体液抵抗の大きさを2つの状態間で調整できるようにするという欠点がある。一次流路の通路のサイズと二次流路の通路のサイズの両方は、装置の設計により、工場で事前に定義されている。
米国公開特許公報第2014/0276348A1号(DePuy-Synthes Products、Inc.)〔特許文献7〕は、いわゆる「サイフォンガード(登録商標)」の原理に基づいた過電圧保護ユニットを、2013年から開示している。該過電圧保護ユニットは、流入口と排出口を有すると共に、内部に第一の流路を備えたケーシングを備えている。第一の流路は、流入口を排出口に接続する。更に、ケーシングは、同様に流入口と排出口を接続する第2の流路を備えている。両方の流路には、それぞれの体液抵抗がある。第2の流路の体液抵抗は、第一の流路の体液抵抗と比較して相対的により大きい。第一流路内には、バルブシートと第一バルブボール及び第二バルブボールを備えたバルブが設けられている。第一のバルブボールは、第一のバルブボールがバルブシートと接触する閉鎖位置と、第一のバルブボールがバルブシートから離れる開放位置との間で移動できるよう配置される。ここで、第一バルブボールは、第2バルブボールとバルブシートとの間に配置され、第2バルブボールは、閉鎖位置と開放位置との間で移動できるよう配置されている。
前記バルブシートにおける第1のボールの接触面積にかかる両方のボールの重力であるバルブの開放圧力は、地球重力場における両ボールの位置によって都合よく適合される。バルブの縦軸と垂直の間の角度が大きいほど、バルブシート内の第一のボールの接触面積に対する、両ボールの重力は小さくなる。したがって、バルブを装着した患者が垂直位置から水平位置に移動すると、バルブの開放圧力が低下する。
バルブの開放圧力が、地球の重力場におけるバルブの配向と唯一関連することは不利である。
また、過電圧保護ユニットにはデメリットがある。即ち、第二流路の体液抵抗は、それらの構造によって、工場で事前に明確に定められている。例えば、ねじ山の繰返し数、及び、ねじ山のピッチなどの体液抵抗のパラメータは、移植後に調整することはできない。
欧州特許第13310192号〔非特許文献9〕もまた、流量制御装置を開示している(コッドマン、Codman)。この公知文献の中でアンチサイフォンシャントと呼ばれるこの装置は、ミーツケによる分類によれば、自己調節式流量制御バルブを開示しているが、調節可能なバルブは開示されていない。患者の体積流量を調節するためのアンチサイフォンシャントは、体液室を規定するケーシング、流入開口部及び排出開口部を有している。流入開口部は、体液が体液室に入る通路として機能し、排出開口部は、前記体液の放出に役立つ。加えて、アンチサイフォンシャントは、該体液室を渡って広がる圧力勾配に基づいて、体液室を通る流量の流れを調整するためのバルブ機構をも含む。この目的のために、バルブ機構は、体液室内に、体液が通過できる開口を示すバリアーを備えている。さらに、アンチサイフォンシャントは、体液室を囲む外部圧力を検出するための圧力センサーと、例えばスプリングなどの前部加圧要素を備えている。後者は、圧力センサーに動作可能に接続されており、ボールの第一表面に第一の力を与えるのに役立つ。その結果、ボールは開口部に押し付けられ、バリアーを通過し、結果として体液室を通過する体液の通過が防止される。補正力は、ボールの第二の面に、第1の力とは反対の方向に作用する。この場合、第一面と第二面はどちらもほぼ同じ大きさである。
ボールは、第一の力から補正力を引いた差の割合を超える開口圧力が得られるまで、ボールによってバリアーの開口部を閉じようとする。
さらなる実施形態では、その文書は、予荷重力が変化するように、前部加圧要素の一端であるばねを変位させるための第二の技術的手段を開示している。この目的のために、この文書は、腹膜腔を第一のチャネルによって体液室に接続することを提案している。後者は、例えばホースであってもよい。提案はさらに、同様に第二のチャネルを介して腹膜腔に接続された基準室を含む。体液室と基準室は膜を介して互いに接続され、膜は前部加圧要素の一端であるバネに接続されている。この接続により、膜が歪むとすぐに前部加圧要素の前部負荷が変更される。ここで、歪みは、腹膜腔と基準室との間の圧力差に従う。したがって、アンチサイフォンシャントは、前部加圧要素の剛性を調整することにより、開口圧力を自動的に調整する。
しかしながら、該文献は、通路、例えば隔膜とボールの間の隙間を調整する方法を何等開示していない。
したがって、水頭症の治療のための流量減少バルブの以下の特徴は、先行技術から知られている:
A.)流入口と排出口を持つケーシング、それは、
B.)ケーシングを貫通する少なくとも1つの流路を含み、
C.)ここで、ケーシングはバリアーと、バリアーを開閉できる本体を備えていること。
したがって、先行技術には、脳室の大きさとその状態を無視するという共通のデメリットがある。結果として、先行技術は、異なる患者における体液の排出された排液量の重要性を無視している。生理学では、いわゆるコンプライアンスは身体構造の膨張性を表す。水頭症の分野では、これは脳室のコンプライアンスに対応する。脳室は、形状と患者の状態に応じた状態の両方の面で当然異なるため、患者のコンプライアンスも異なる。脳室のコンプライアンスは、容積の変化に比例し、圧力の変化に反比例する。仮に、コンプライアンスが患者に依存する場合には、等しい排出排水量の場合における応答圧力は、前記コンプライアンスに依存して変化する。
米国20140336560号公報(ハキム カルロス,Hakim Carlos)〔特許文献9〕は、磁気回転子を有する、プログラム可能なシャントを開示している。ローターはカムディスクに接続されている。曲げ要素の舌状部はカムディスク上にあり、カムトラックに沿った舌状部の移動はローターの回転/旋回に追従する。カムトラックには勾配があるため、回転/旋回により舌状部が上下する。舌状部のそれぞれの高さは、ボールをシートに押し込むレバーに前もって負荷を加えるため、前部負荷の変更によりバルブが調整される。
米国特許第5167615号〔特許文献10〕は、最も近い先行技術とされている。該文献は、人体のある部分から別の部分への流量を制御する生理学的シャントシステムを開示している。
この目的のために、該シャントシステムは、2つの流入口チャネルを持つケーシングを備えている。閉鎖ユニット、つまりバルブが各流入口チャネルに配置されている。
第一の閉鎖ユニットはバルブプラグであり、第2の閉鎖ユニットはフラップである。プラグは、特定の入口圧力の存在下で流入口チャネルを開く。フラップは、ギャップによって完流される液量のサイズに依存するように、ギャップの柔軟な調整を許容する。入口圧力はプラグの形状によって決定されるため、使用時、つまり埋め込み後は該入口圧力を調整することができない。もし使用中にギャップが調整されると、これによりバルブの入口圧力が決まる。
この目的のために、フラップは、流入口チャンネルの開口端上流に、回転可能に取り付けられている。フラップはその第1端部にフローティング式に回転可能に取り付けられているため、開いた流入口チャネル端に対するその位置は、フラップと開いた流入口端の間の角度によって記述される。角度の大きさがゼロの場合には、入口チャネルの端部は閉じられている。角度の大きさが大きいほど、入口チャネルの端部はさらに開く。開閉はフラップの回転により生じるため、該フラップは、部材を介して回転ディスクに接続され、その回転により開閉が行われる。部材の回転ディスクへの接続は、ボルトによってなされる。後者は、最初に部材に挿入され、スロット内の第2の端部で動作する。スロット内の該ボルトの動きは、フラップの、入口チャネル端部に面した第2の端部、1つの移動経路に制限される。回転ディスクは磁化されているため、別の磁石を使用して回転させることができる。
フラップの回転取り付けとは対照的に、バルブプラグはシートに、一方向に取り付けられている。該バルブプラグの位置は、開いていても閉じていても、入口チャネル内の圧力と共に決定される。該バルブプラグは、特定の圧力、バルブプラグ開放圧力より上で開く。その結果、閉鎖ユニットは流れを通過させることができる。開放圧力は、バルブプラグをケーシングに取り付けることによっても決定される。なぜなら、これはバルブの使用中、つまり埋め込み後には、第一バルブユニットは調整できないためである。
閉鎖ユニットは、バルブの排出口チャンネルにも設けられている。該閉鎖ユニットは、構造及び機能の点で第1の閉鎖ユニットに対応する、すなわち、使用中には、もはや調整することはできない。
フラップとバルブプラグ、両閉鎖ユニットは、バルブの出口チャンネルに接続されている。
最も近い先行技術の第一の欠点は、その開示が排液速度の正確な設定を妨げることである。本開示は、第2の閉鎖ユニット、2つの差圧閉鎖ユニット、及び、これらの間に配置された、フラップを備えた第一の回転式閉鎖ユニットを必要とする。フラップの開閉は、閉鎖ユニットを通る体積流量を適切に変化させ、したがって、流路の下流に位置する第2閉鎖ユニットの開放圧力に適切に影響を与えるが、後者を強制的に開くことはない。したがって、意図した排液速度の設定は不正確である。
この不正確さは、本開示により提案されたメカニズムによりさらに増加する。この機構は、ガイドスロット、その中を動くボルト(カムライダー)、連結部材、及び前記連結部材を連結する閉鎖要素(プラグ)を備えた回転ディスクを含む。いずれの場合も、5つの部材のうち2つが相互に許容範囲を持っているため、メカニズムの全体的な許容範囲が累積する。本開示はメカニズムとして回転式閉鎖を提案しているため、上記の全体的な許容範囲はさらに増加している。スロット内でのボルトの信頼性の高い動きには、その許容範囲に関して、動きの自由度と動きの案内の間の妥協点をスロットが提供する必要がある。動きの自由度に関する妥協は、許容範囲を増やす。
最も近い先行技術の開示によれば、製造プロセスにはプラスチックを使用せざるを得ない。プラスチックは弾性材料であるため、バルブの高精度部品の基礎となることはほとんどない。プラスチックの弾性は、従来技術における調整の不正確さの一因となる。
従来技術の第2の欠点は、その開示内容に係るリスクにある。これは、入口チャンネルの開口端に対する閉鎖部材(プラグ)の接触の可能性に起因する。閉鎖部材が接触すると、入口チャネルが閉じられる。開閉可能であるため、切り替え機能が働く。バルブの軽はずみな、不正確な、又は誤った調整は、貫流の遮断につながり、結果として患者に影響をもたらす。このリスクは、開示における調整容積を考慮することによって視覚化できる。正確な調整を行うには、計量最小範囲内において、入口チャネルの前にフラップを配置する必要がある。逆に言えば、前記リスクは設定の最小変化を通って入口チャネルを開き、望ましくない排液速度を生じる。
本開示の第3の欠点は、3つの閉鎖ユニットの組み合わせから生じる。それは開示を過度に複雑にする。3つの閉鎖ユニットはすべて、共通してスイッチングとしての機能する能力をもつ。したがって、本開示は、遮断に関して三重の冗長性を有する。三重の冗長性は複雑であり、ユーザーによる理解の容易さを妨げるため、安全な使用を阻害する。
本発明は、バルブを改善するという問題に基づいている。ここで本発明は、患者達が体液の排出に対して異なる感度で反応するという認識に基づいている。健康は場合によっては大きく損なわれる。出発点としてのこの認識は、ある人体部分から他の人体部分への体液の流れの制御をさらに改善するために、上記の欠点を克服する要求を引き起こす。
この改善は、主クレームの特長によって実現される。従属項は、好ましい例示的な実施態様を記載している。
患者の脳室系から体液を排出するための本発明による水頭症バルブの、一つの有利な態様は、ケーシング内部を備えた少なくとも1つのケーシングを備え、このケーシングは、吸入及び/又は排出のための少なくとも1つの第一通路を有し、ここで、前記ケーシング内部に配置された少なくとも1つの本体が、少なくとも一方向に移動可能に設計されていると共に、少なくとも1つの調整ユニットが設けられている。
本発明によれば、調整ユニットを用いて、それぞれの水頭症患者にとって有利な液圧との関連で脳室を支配する体液陽圧が、患者の状態を著しく乱すことなくゆっくり消散するように、通路の排液速度を調整することができる。例えば、脳室内の望ましい体液圧力は20mm WC(水柱)であり、陽圧も20mm WCであるかもしれない。本発明によれば、そこで、過剰な体液の限られた排出が生じる。
本発明によれば、排液はあるレベルの排液効率(単位時間当たりの体液量)で行われる。このため、排液効率は最大で1000ml/h(ミリリットル/時)に制限されている。制限は、患者の健康状態に依存する。ここでは、次の上限が生じる場合もある。
-900ml/h
-800ml/h
-700ml/h
-600ml/h
-500ml/h
-400ml/h
-300ml/h
-200ml/h
-100ml/h
上限は、好ましくは200ml/h、より好ましくは100ml/h、そして最も好ましくは50ml/hである。
下限も同様に健康状態に依存する。更に、医学的理由により、より速い排液が要求される場合がある。医学的理由でより速い排水が要求されない限り、下限は1ml/h、好ましくは1ml/hであり、より好ましくは少なくとも3ml/h、最も好ましくは少なくとも5ml/hである。少なくとも10ml/h又は30ml/hの下限も考慮される。それにもかかわらず、排液効率に関して以下の範囲が生じる場合がある。1〜30ml/h又は5〜200ml/h若しくは10ml/h〜200ml/h若しくは30ml/h〜400ml/h
排液効率のそれぞれの制限は、調整ユニットに包含されている。
本発明によれば、調整ユニットは、望まれる排液効率が得られるように開口部を微調整することができる。以下で説明する実施態様は、構造の詳細を説明している。
本発明による水頭症バルブにより、驚くほど、患者の健康を増進することができる。
どのような人の脳室系も、その大きさについては、他の人とは異なる。最初の患者は小容量の脳室系、所謂スリット脳室を持っているのに対して、2番目の患者は広い脳室系を持っている。
このサイズの違いにより、同一の水頭症バルブを使用する両方の患者の水頭症治療は異なる結果をもたらす。定義された体液量、たとえば1滴の排液は、両方の患者の脳室系の圧力に異なる変化をもたらす。少容量の脳室系の患者にとって、例えば少量の体液の排出が重要である場合−その患者が不快感を感じる場合、同じ排液は、大容量の脳室系の患者にとっては重要ではない。
要約すると、このように本発明は、排液又はその速度について、患者固有の個々の調整を可能にする。
適宜、本発明の排液設備は、上記した調整設備のみを備えていても良い。次に、従来の排液設備とは対照的に、一定の排液が行われるように、排液性能を選択することが好ましい。しかし同時に、過度の排液は防止される。そして、小滴排液が実現される。ただし、この目的のために、過度の排液は防止される。そして、小滴排液が実現される。この目的のために、例えば、過剰な体液を比較的長い期間(数日)かけて最初に外部に抽出し、測定容器を使用して決定できるため、単位時間あたりに蓄積する体液量を決定することが可能である。
続いて、収集された体液量から、単位時間当たりの平均体液蓄積/排液量を決定することができる。そしてこの値は、本発明のバルブ調整に採用されるかも知れない。
あるいは、そのような調整は、脳室圧の測定を用いた近似試験の進行中になされてもよい。ここで、患者は圧力測定を伴い、本発明のバルブの調整は、脳室内に正常な圧力が確立されるまで変更される。
本発明によれば、排液の調節のために動かされるバルブ本体は、直線の経路及び湾曲した経路上、いずれでも動くことができる。
バルブ本体の直線運動が生じることが好ましい。
本発明の別の有利な例示的実施態様では、少なくとも1つの水頭症バルブが、後で、本発明の水頭症バルブの下流又は上流に接続された少なくとも1つの第二のバルブと組み合わされる。ここで、1つのバルブは、「開」及び「閉」機能を有する従来のバルブであってもよい。従って、第一のバルブには、過度の排水を防ぐ役割がある。従って第二のバルブは、本発明における貫通流の制限に、専念することができる。
ここで、両方のバルブは、1つのケーシングに配置することも、別々のケーシングを有することもできる。
バルブと請求項1に記載された水頭症バルブの組み合わせをそれぞれの使用状況に適合させることができるため、バルブの組み合わせは、治療の成功のチャンスを増大させる。このように、バルブの組み合わせは、患者の治療要求に柔軟に対応できるという利点をもたらす。
本発明のバルブにとって好ましいのは、(開口)隙間にある物体の原理である。本発明の原理は、最適化された流れになるように、体液が隙間に入ることができる。改善された体液誘導もまた、堆積物に備える本発明の配置を保護する。
本発明の水頭症バルブは、例えば重力バルブと組み合わせることができる。重力バルブは、通常はボールである閉鎖部を有し、患者の立位では、患者の中の対応する配置により、閉鎖部の重量下で排水ラインを閉鎖する。横臥位の患者では、低い体液圧力の存在下ですでにバルブが開き、閉鎖部が開放位置に入れ代わる。このようなバルブは完全に開くか、完全に閉じる。
また、2つのボールを持つ重力バルブも知られていて、その内の1つのボールは小さく、もう1つのボールは大きくなっている。小さいボールは、閉鎖位置でのバルブシートの密封に有効である。大きなボールは、閉鎖位置における重量を増やすのに役立つ。
本発明の水頭症バルブはまた、少なくとも1つの差圧バルブと組み合わせ可能である。この場合、差圧バルブはスイッチと見なしてもよい。調整可能な差圧バルブは、一般的にバネ式の閉鎖部品、通常はバネ式のボールを有している。特定の体液圧力を超えた場合に、閉鎖部が開く。開口部は、閉鎖部に負荷をかけるスプリングの抵抗に反する圧力の増加とともに、大きさが増加する。横臥位では、液圧が最大になる。したがって、開口部と排液が最大になる。直立姿勢では、体液圧力が最低になり、それに応じてバルブの開きが最小になる。差圧バルブには、直立姿勢と横臥位の間の位置における中間圧力に対し、継続的に変更可能な適応をすることができるという利点がある。更に、このようなバルブの調整可能性には、異なる排液要求への適応という利点がある。異なる患者の場合の異なる排液要求は普通のことである。しかし、個人の場合でも、設定の変更が発生する。これは、移植後で、臨床像のための正しい廃液が見つかるまでの一般的なケースである。
バルブの組み合わせには、多数のバルブも含まれる。重力バルブと差圧バルブの組み合わせにおいては、差圧バルブは横臥位で機能する。横臥位では、重力バルブが開く。その状況では、差圧バルブが排液を調節する。重力バルブは、2つのバルブの組み合わせでは、ケーシング内の体液の流れ方向で他のバルブの上流又は下流に配置されても良い。
本発明のバルブは、調節後、意図しない調節が起きないように、それぞれの位置に固定されることが好ましい。適切な固定設備は、すべての調節より前に解除され、設定の変更後に自動的にブレーキ位置/固定位置をとるブレーキによって形成される。これにより、調整中に次の手順が行われる。少なくとも1つの磁石を水頭症バルブに運ぶ。水頭症バルブの調整ユニットのブレーキを解除する。調整ユニットを回転させて、水頭症バルブのギャップ内の目的の位置に本体を配置する。
本体を目的の位置に移動できるため、この方法には排液速度を調節できるという利点がある。この調節機能により、各患者の脳室系の圧力変化を、脳室系の状態とは独立して設定することができる。仮に、2人の患者の脳室の大きさが異なる場合、通路内の本体の設定、つまり位置を変えることにより、患者の脳室系の圧力応答が等しくなるように、異なる排液速度を設定することができる。したがって、脳室の大きさに関係なく、本発明は、異なる患者に対して1つ、すなわち同じ、圧力に対する応答を設定することを可能にする。
本体は、少なくとも1つの第1通路に配置されることが好ましい。ここでは、異なる本体を使用することができる。例えば:
−通路よりも大きな直径の本体
−通路よりも小さい直径の本体
−通路に面した端部に丸い部分がある本体
−通路に面した端部に円錐形の先端を持つ本体
−通路に面した端部にくさび形の先端を持つ本体
−プラグ状の本体
−円形及び/又は多角形の断面を持つ棒状の本体
−断面にくぼみや突起があるプロファイルのような本体
円錐形の先端と通路より小さい直径を持った本体を使用することが好ましい。
本体は、異なる通路開口部に対応する場合がある。
例:
-本体との接触領域、鋭利な及び/又は丸い、及び/又は滑らかな開口部
-円錐状に広げた開口部
-くさび形に広げた開口部
-本体と接触する領域のない開口部
-本体用ガイド付きの開口部
仮に、本体の寸法が通路の寸法よりも小さい場合、それらの間には少なくとも1つのギャップが形成される。このギャップ形成は、本発明の設定にも利用することができる。
更なる有利な実施形態では、本体として、少なくとも1つの案内プラグ、楔、コーン、プロファイルされたバー又はボールが使用される。
体液の貯留レベルが異なれば、適宜、本体及びそれに伴う通路の開口部の形状が異なることになるかもしれない。したがって、例えば、低レベルの体液貯留に対しては、本体及び通路開口部の形状は、本体の動きにふさわしいものである。
仮に、円筒形のプロファイルされたバーが本体として、つまり閉鎖部品として用意され、そして仮にこれが、ケーシングの穴の中に入り込む円錐形の先端であれば、これは、正確に調整可能な閉鎖機構において有利な結果をもたらす。この場合、ケーシングの穴と相互作用する円錐形先端は、ケーシングの穴の開口部断面を規定し、これは排水の流れを明確にする。
もし、円筒形でプロファイルされたバーの縦軸が、流入口又は排出口を形成するケーシングの穴の中心軸と一致すると有利である。ケーシング内には、流入口及び/又は排出口用の挿入物を、適宜用いることができる。次に、その挿入物に、流入口及び/又は排出口用の穴を開ける。
本体は好ましくはカラーを有し、カラーと調整ユニットの少なくとも1つの表面部分との間に、本体と前記表面部分との恒久的な接触を保証するスプリングが配されている。長期にわたる本発明の調整可能性は、この保証により実現される。
カラーは、スプリングのバネ力が、本体、例えば針を穴から押し出そうとするように、バネを有効に支持する。このように、カラーとバネは、本発明のバルブを常に開いた状態に保つことを目的とする原則を手助けする。この原則により、望ましくない閉鎖のリスクが回避される。バルブが望ましくないやり方で閉じた場合には、それ以上の体液は排出されず、水頭症の症状は治療されないままとなる。
もし、通路に1以上の調整可能な本体が配置される、例えば、流入口に1つの本体、そして排出口に1つの本体を配置すると、更に有利である。いわゆる並列配置のバルブ本体を使用することもできる。したがって、2つの本体設計が、同一の作用を与える単一の本体よりも更に小さくなるような設計であり得る場合には、バルブの流入口及び排出口の構造的体積を小さくすることができ、その結果、バルブの構造的体積が小さくなる。
通路が少なくとも1つの第1のバルブ排出口であると有利であり、これによりケーシング内の体液の蓄積が防止される。通路が第1のバルブ排出口である場合、すなわち、本体が排出口に固定され、本体とバルブ排出口が永久的な隙間を形成する場合、本発明は排出口の端で永久的に開く。その結果、体液は永久に排出され、体液の蓄積が防止される。
調整ユニットがカムディスクを含むか、カムディスクである場合、更に有利である。次に、調整ユニットである作動装置が形成され、その作動変数はカムプロファイルである。もし、カムディスクがチタンなどの耐久性のある材料で形成されている場合には、耐久性のある作動装置が得られる。その耐久性は、一回限りの移植の要件を有利に満たす。多数回の移植は、高い確率で回避される。
特に有利な実施態様では、カムディスクはローターである。
ローター/カムディスクは、階段状に設計されても良い。したがって、該ローター/カムディスクは、多数のカムトラックを有する。各カムトラックは、異なるバルブを制御するために使用されても良い。流入口開口部又は排出口開口部に対してバルブを閉じるための第1の閉鎖部は、第1のカムトラックによって制御され得る。第2の閉鎖部は、第2のカムトラックによって制御され得る。
ローターであるカムディスクは、突起と窪みを有することが有利である。開閉は、ローター/カムディスクの対応する突起と窪みによってなされる。ここでは、突起がボールをシートから押し出す。窪みはボールのシートを提供する。このように、切り替え機能が有利に達成される。
段階的な切り替え、つまりより大きな開口も選択的に提供される。切り替え工程は、バルブの開口工程を伴い得る。このように、本質的に比較的大きな体液の流れを伴う比較的大きな排水ラインの場合でも、比較的小さな体液の流れを維持することが可能である。
ローター/カムディスクが重力バルブの調整装置として使用されている場合で、共通ケーシング内の第2バルブとの組み合わせの場合は、もし、ローター/カムディスクを介して2番目のバルブも調整できれば、更なるカムディスク又はローターとの組み合わせを実現することが可能である。次いで、2つのローター/カムディスクを一緒に調整することは有利である。
調整に適しているのは、とりわけ、公知の調整装置と組み合わせたローター/カムディスクにおける公知の磁石である。それらは、ケーシング上の患者の皮膚の上に配置され、磁石が打ち曲がりに装着されているので、調整装置を回転させることにより、ローター/カムディスクが旋回させられる。
ローター/カムディスクの夫々にとって、それらを別々に製造し、患者の要求に適合され、その後、ローター/カムディスクの両方を一緒に調整するために、互いに対して正しい位置で互いに接続することが、都合良いかも知れない。ここで、重力バルブに属するカムディスク/ローターの窪みの領域は、重力バルブの活性化と体液の排出を決定する。第2番目のバルブは、この範囲内でその作用を付与する必要がある。したがって、第2バルブに属するカムディスクは、第2バルブとの関係で、望ましい位置をとる必要がある。
好ましい実施態様は、カムディスクが軸を有し、その軸が通路の前に配されていることを特徴とする。
ローター又は通路の前のカムディスクの回転中心の位置決めの結果として、ローターの不安定な動作が回避される。回転軸が通路の対称軸上にあれば、これはさらに改善される。対称軸と回転軸の間に不均衡が存在しないため、本体は正確に、つまり平行に、通路内のカムディスクのカムトラック又はローターのカムトラックによって案内される。
調整ユニットは、少なくとも1つのローターを含むことが好ましい。ローターは、水頭症バルブの回転可能/旋回可能な部分と見なされる。ローターは異った形状を有していてもよい:円、又はディスク形状、部分ディスク形状、ネジ形状、部分ネジ又はネジ山形状を有していてもよい。
調整ユニット又はローターが少なくとも1つの磁石を含む場合は、更に有利である。磁力は患者の皮膚を通過する。同様に少なくとも1つの磁石を有する道具を介して、回転又は旋回される調整ユニットのローターにとって、それは便利であり、可能でもある。
このように、ローターを用いて動かされるピボットアーム、レバー、スプリング及び調整ユニットの本体にとっても便利であり、可能でもある。調整ユニットの動きは、好ましくは、部分的回転及び/又は1回転及び/又は多数回転及び/又は旋回運動、若しくは摺動運動及び/又はストローク運動を含む。このように、調整ユニットの本体を正確に調整することができる。
調整ユニットの部分的な回転又は回転が、本体の直線運動に変換される場合、その精度は有利に向上する。この変換方法により、個人が快適に実施できる、調整ユニットの部分的な回転又は回転若しくは旋回運動を、正確な直線運動に変換することができる。
もし調整ユニットが、カムトラックに沿った本体の動きを制御する場合には、更に有利である。カムトラック制御装置は耐久性があり、正確且つ容易に製造することができる。
更なる有利な実施態様では、カムトラックは、調整ユニット又はローターの円周面若しくは正面によって形成される。このようにして、調整ユニットの部分的な回転又は回転及び旋回運動を、他の機構部材に簡単かつ平易に伝達することができる。
本体、すなわち、流出側バルブの閉鎖部は、好ましくは、カムトラックに抵抗してバネ圧下で耐える。このようにして、瞬時の調整が可能である;カムトラックの如何なる変化も、ギャップ内における本体の位置に変化をもたらす。
もし本体が、その第1の端部でカムトラックを支える場合には、更に有利である。このようにして、本体とカムトラック間の遊びが防止される。設定の変更は直ちに本体に伝達される。
更なる有利な実施態様では、本体は、丸い部分を有するその第1の端部で、カムトラックに対抗して耐えている。丸い部分は、カムトラックに沿って容易にスライドすることができ、その結果、カムトラックのプロファイルは、丸みを帯びた部分に、殆ど摩擦なく有利に伝達される。
本体は、プロファイルされたロッドの形をした、先端で排出口の開口部内に突出するものであることが好ましく、ここでその先端は、好ましくは円錐形であり、更に、プロファイルされたロッドの外径が出口の開口幅よりも大きいことが好ましい。
もし排出口が、円筒形の内側シェルを備えた管状の形状を有する場合には、更に有利である。これは簡単かつ正確に製造することができる。
更に有利な実施態様では、排出口はケーシングの挿入物によって形成され、本体用のガイドはケーシングの挿入物によって形成される。挿入物は、注入口及び排出口の異なる実施態様のために、提供及び保管され、移植中に利用可能となる。このようにして、必要に応じて、移植中にどの本体及びどの流入口、又は排出口寸法を使用しなければならないかを決定することができる。異なる流入口又は排出口と相互作用する異なる挿入物により、各患者を個別に治療することが可能である。
本体は、好ましくは、その第1の端部で挿入物中に支持される。これが、該本体の保持作用を提供する。
本発明の水頭症バルブと更なるバルブとの組み合わせの、更なる有利な実施態様においては、両方のバルブが1つの流路に配置される。
それらは1つの流路に配置されているため、共通する圧力がそれら全体に行き渡る。これには、バルブの調整が簡単になるという利点がある。最も近い先行技術とは対照的に、本発明のバルブは複雑ではなく、ユーザーが理解しやすい。フローチャンネルは、単にその製造を必要とする。これにより、経費と生産エラーが削減される。
更に、多数の流れの穏やかなゾーンが回避される。これには、そこに沈殿物が形成されないという利点がある。有利な実施態様では、組み合わせバルブにおける第2のバルブは差圧バルブである。このようにして、組み合わせバルブの機能は、下限又は上限の閾値によって制限される。
更に別の有利な実施態様では、第2のバルブは、体液圧に依存する方法で開閉するバネ仕掛けの閉鎖部品である。
重力バルブが第2のバルブとして使用される場合には、これは、少なくとも1つのボールで、適宜、2つのボールによって形成されることが好ましい。第2のバルブは、閉鎖部を形成するボール又は追加の重量を形成するボールと直接接触し、閉鎖部として形成されるボールをそのバルブシートに押し込むローター/カムディスクを有してもよい。ボール、バルブシート、ローター/カムディスクに一般的な材料が使用されている場合、ボール、ローター/カムディスク、又はバルブシートの大きな摩耗は予想されない。それでも摩耗が問題になる場合は、ボール、バルブシート、及び/又はローター/カムディスクに、チタンなどの耐摩耗性材料を選択することができる。必要な遊びに起因する、ボールとバルブシート間のわずかな漏れによる流れがあっても、一般的には有害でない。それにもかかわらず、小さな漏れ流が問題を引き起こす場合、例えば、バルブシートを柔軟に設計することが可能である。柔軟なバルブシートに加えて、又はその代わりに、スライド面を柔軟に設計することもできる。わずかな柔軟性でも漏れの可能性を減らす。柔軟性により、バルブシートにバルブボールの対応する圧力が存在する場合における、漏れの流れも防止できる。
もし、両方のバルブのために共通のケーシングが設けられ、次いで、もし、該1つのケーシングだけを移植中に挿入する必要がある場合、有利である。これにより、費用を節約できる。もし、ケーシングが組立て構造であれば、患者の脳室のサイズによって決まるように、移植するずっと前にケーシングを事前に作り上げることが可能である。例えば、先行技術とは対照的に、個々の挿入物を個々の入口又は出口及び/又は本体、ローターに使用することが可能である。遠隔地での現場での組み立ても可能になり、子供や高齢者などの異なった患者グループを、適合させたバルブを使用して治療することができる。
特に有利なのは、1つのケーシング内の多数のバルブの組み合わせであり、好ましくは重力バルブと差圧バルブ又は共通のケーシング内の他のバルブとの組み合わせである。これにより、移植プロセスが容易になる。このように、以前に提案された2つのバルブ間のラインピースは省略されている。一つのケーシングに両方のバルブを組み合わせることにより、組立て費用が削減される。更に、ケーシングは、2つのバルブを接続した適切な構成の可能性を提供する。接続はチャンネルによって形成される。チャンネルの断面積は、先行提案の接続ラインの場合よりも、バルブケーシング内で大きくなるように選択することができる。
更に、一方のバルブから接続チャンネルへ、及び接続チャンネルから他方のバルブへの移行(例えば、重力バルブから接続チャンネルへ、及び接続チャンネルから差圧バルブへ)は、より流れが最適化されるように設計することができる。これは、共通のケーシングに体液を供給する、及び/又は排出するためのラインを経由して2つのバルブを接続する場合よりも、低い流動抵抗において明らかである。
もし、ケーシング内で、前記水頭症バルブが入口に割り当てられ、第2バルブが出口に割り当てられるか、第2バルブが入口に割り当てられ、前記水頭症バルブが出口に割り当てられ、そしてまた、ケーシング内で、複数のチャンネルが前記水頭症バルブから第2バルブまで配され、これらのチャンネルが、共通ケーシングへの体液の供給及び/又は共通ケーシングからの体液の排出のために配されるように、2つのバルブの排水ラインへの接続よりも低い流動抵抗を有する場合には、更に有利である。
図1は、本発明の水頭症バルブ100の構造を、上から見た概略図である。該図は、ケーシング200を備えた構造を示しており、ケーシング200には、カムディスク704の形態の調整ユニット700、結合部材400、及び本体500が取り付けられている。ケーシングは、更に入口202及び出口203を含む。
カムディスク704の動きは、軸705によってケーシング内部201内で積極的に案内される一方、本体500は、その穿孔された本体軸502によってではなく、本体側面503によって案内される。図1は、本体500が楔の様に形成され、その本体側面503が第1の本体端504から第2の本体端505の方向に先細になることを示している。図1は同様に、通路300の形状が、断面が楔形又はカップ形であることを示している。通路の先細りに対応する本体側面503の先細りにより、楔506は、通路300内をその本体表面に沿ってガイドされる。
前記結合部材400は、その第1の端部401が楔506上に配され、その第2の端部402がカムディスク704に接して配置される。結合部材400は、便宜上、固くても弾性があってもよい。図1は、剛性結合部材400を備えた実施態様を示している。これは、ピン又はプレートであってもよい。ここで、ピンを通る断面は、円形、楕円形、又は多角形であっても良い。本実施態様では、ピンは、チタンからなる丸い金属又は多角形の金属部品であってもよい。しかしながら、代替として、高品質の鋼、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂から製造されてもよい。結合部材400がカムディスク704及び楔506に接続されているため、カムディスク704の動きは楔506の動きをガイドする。
通路300内の楔506の動きは、楔506の側面と通路300の通路内面304との間にギャップ600をもたらす。楔506が通路300内の通路方向302に移動するほど、ギャップ600は長くなる。ギャップ長602が増加すると、そのギャップ内面のサイズが増加する。ギャップ内面は、楔506の側面と、ギャップの最初から最後までの通路内面304とで構成される。ギャップ内面が大きく、ギャップが狭いほど、ギャップ内面を通過しようとする、又はギャップ600を通過する体液900の摩擦抵抗が大きくなる。したがって、楔506の側面は、流動抵抗、すなわち楔506としても機能する。楔506の位置は、結合部材400を介するカムディスク704を介してギャップ600内を移動することにより調整することが可能であるため、流動抵抗も調整可能である。その結果、本発明の水頭症バルブ100における流れ抵抗は、ギャップ長の調整が可能であるために調整可能である。
単位時間あたりの体液の貫流量は、流動抵抗によって調整される。
第1の通過方向302における本体500の可動配置は、ギャップ600が生じるための、異なる有利な変化を許容する。これは、本体500の移動方向と、例えばリニアベアリング405によって決定される、ポジティブガイドに沿った該本体の移動との間に、角度が存在することを意味するかも知れない。本体の主な移動方向と第1の通過方向302との間の角度は、他の例示的な実施態様では、80°未満、好ましくは50°未満、特に20°未満、又はさらに小さい、すなわち5°未満である。例示的な実施態様では、角度は0度である。したがって、本体500の主な移動方向は、通路方向302に対して同軸であり、本体500が通路300から離間するとすぐに、対称的なギャップ600が形成される。例示的な実施態様では、互いに向かい合う本体500及び通路300の部分は対称的である。ギャップ長さ602の代わりに、及び/又は、更に通路300を通る流れ抵抗を変えるために、本体500の他の幾何学的特徴を変えることができる。更なる実施態様では、楔506側面の粗さ、又はそのプロファイルは、変えられても良い。
好ましい実施態様では、スプリングシート800が通路300の縁部に形成される。ここで、スプリングシート800は、スプリング802、例えば渦巻きバネを取り付けることができるピンであってもよい。スプリング802のしっかりした座は、スプリング802のバネ力が楔506を通路300から通路端301の方向に押し出すようにして、通路300の縁部と楔506との間の、その位置決めを促進する。
カムディスク704の回転又は旋回運動及びそれに伴う本体500の運動により、カムディスク704の回転中心と本体500の基準点との間の間隔702は変化する。
カムディスク704とは別に、代替的に、それらの方向701に関して平行移動可能である、他の調整ユニットが使用されてもよい。
図1aは、図1の詳細図を示しており、結合部材400の2つの代替案を示している。
図1bは、図1の詳細図を示し、水頭症バルブ100(スプリング802は図示せず)の開放状態を示す。開いた状態では、第2の本体端部505は横断面の区域303と一致する。
図2aは、ギャップを有する本体の好ましい一実施態様の詳細を示している。好ましい実施態様は、2つの構成要素、通路300及び本体500の相互作用に基づいて作成されている。図2aは、通路300が漏斗状の入口領域306とホース状部分307から構成されることを示している。図2aはまた、もし、本体500が楔506のように製造されている場合には、ギャップ600がそれらの構成部分の間に存在することを示している。この目的のために、楔506は、例えば、チタン、スチール、又は生体適合性エラストマーブロックから形成されてもよい。好ましい実施態様では、楔506はチタンブロックからフライス加工されている。しかしながら、代わりに、生体適合性プラスチックブロックから切り出されてもよい。楔506の、通路300の漏斗形入口306への出入りは、ギャップ長602を変化させ、したがって楔506と通路300との間の流れ抵抗を変化させる。好ましい実施態様では、もし、楔表面507の周縁部が、漏斗状入口306とホース状の部分307との間の転換エッジ508に当接すれば、楔506は通路300を閉鎖する。
図2bは、隙間を有する本体の、異なった一実施態様の詳細を示している。本体500は、ロッド509の形態を有する。ギャップ長602が大きくなるほど、そしてギャップ幅が小さくなるほど、ロッド509と通路300の間の流れ抵抗が大きくなる。したがって、大きな長さのロッド509を押し込むと、流動抵抗が増加する。もし、ロッド509が通路300内に十分深く押し込まれると、これにより無限に高い流動抵抗が生じる。本実施態様では、ロッド509の長さ、すなわち流動抵抗の最大レベルは、地球の重力場におけるCSFの体積に係る位置依存性の重力に適合されている。或いは、本体500は、ボール(図示せず)、コーン(図示せず)又はシリンダー(図示せず)であってもよい。
図3aは、隙間を有する本体の異なった一実施態様の詳細を示す。この場合、例えばボールなどの球体500の外縁と、穴との間に隙間600を生成することができる。この目的のために、ボールは、間隔702をあけて、前記穴の前に配置される。穴は通路300として機能し、前記外縁と穴の縁との間隔がギャップ600を形成する。その間隔702に依存して、その通過容積が変化する。
図3bは、ギャップを有する本体の、異なる一実施態様の詳細を示し、ロッド509と穴との間のギャップ600が通路300を形成する。
図3cは、楔506と通路穴300との間に形成されるギャップ600を有する、異なった本体の一実施態様の詳細を示す。
図3dは、閉鎖状態における、図3cからの例示的な実施態様を示している。楔506の表面507を包囲する縁は、漏斗状の入口とホース状部分との間の通路300の転換エッジ508を閉鎖する。
図4は、本発明の、異なった第2の実施態様を示す側面図である。ここでは、入口202及び出口203を有するケーシング200のケーシング内部201において、カムディスク704の回転又は部分的な回転を、間隔702の減少又は増加に変換するために、カムディスク704及び本体500が結合部材400によって接続されている。この変化は、ギャップ600の調整に対応し、これに伴って、通過容積の調整に対応する。この目的のために、カムディスク704は回転軸705に取り付けられている。
この目的のために、機械部材403、例えば機械ロッドが、それぞれの、場合に少なくとも2つの異なる端部で、カムディスク704及び本体500に取り付けられている。本実施態様では、機械部材403は、その第2の端部402のジャーナル404によって、その外縁の近くでカムディスク704に接続されている。対照的に、通路穴を有する機械部材403の第1の端部401である他方の端部は、本体500の顎部に取り付けられている。
本体500を案内するために、後者(本体顎部)はリニアベアリング405に実装されている。
本実施態様では、少なくとも1つの磁石707である調整ユニット700が、カムディスク704に埋め込まれているという事実により、カムディスク704と調整ツール(図示せず)との間の磁気結合により、カムディスク704を回転させることが可能である、すなわち調整される。この回転を本体500と通路300との間の所定の間隔702に変換することにより、流れ抵抗、すなわち隙間600の大きさ、又はその通路容積を調整することができ、その結果、水頭症バルブ100、即ち、ある量のCSFの設定点流量が、調整可能になる。
図5は、別の、本発明の第3の実施態様を示す側面図である。この実施態様では、水頭症バルブ100は、回転軸705、プラグ406、線形軸受405、スプリング802又は他の所望のスプリング部材801及び通路300を備えたカムディスク704を備える。この目的のために、スプリング802又はスプリング部材は、スプリングシート800に取り付けられている。原理的に、この実施態様では、カムディスク704の回転は、カムディスク704とプラグ406との間の接触点703を介して、その直線運動によって後者に伝達される。プラグ406は、その移動の間、スプリングによってカムディスクに押し付けられている。プラグ406の閉鎖端407が通路300又はその通路端に出入りするように確実にスライドすることを保証するために、プラグ406は線形軸受405を介して取り付けられてもよい。好ましい実施態様では、プラグ406は、その均一な部分の1つとして取り付けられる。この目的のために、プラグ406は、材料ブロック、特にチタンブロックから旋盤仕上げされる。旋盤加工により、5つの主要部分、接触部分408、ネック部分409、カラー部分410、延長部分411及び閉鎖部分412を有するプラグ406の製造が簡単になる。スプリング802は、リング状に形成されたスプリングシート800に取り付けられる。例えば針1152の形状のプラグ406の動きにより、ギャップ600又はギャップ通路1154若しくはギャップ状通路が生じる。
図6は、本発明の別の、第4実施態様を上から見た図である。ここで、図示された水頭症バルブ100は、カムディスク704だけでなく、スリーブ412と、パイプ204の形状の細長い出口203とを含む。パイプ204は、小さなパイプ、ホース部品、ホース端部、パイプ部分、又は可撓性若しくは剛性の中空体であっても良い。更なる実施態様では、スリーブ内径413は、パイプ外径205に略対応する。第1の実施態様に対する対応関係は以下を意味する:スリーブ内径413は、外径205と同じ寸法に、パイプ204上の閉鎖部分412の動きに必要な運動クリアランスを加えた寸法を有する。好ましい実施態様では、直径が互いに大きく異なるため、スリーブ412とパイプ204との間にギャップ600が形成される。パイプ204は、第1のパイプ端部415と共にスリーブ412内に伸びている。
図7は、好ましくは図6の実施態様に基づいた、連結部材400を有する本発明の水頭症バルブ100の、拡大側面図である。更なる拡大実施態様では、スリーブ412も同様にチタンブロックから形成され、具体的にはフライス加工されているが、中央プラグ416及びエッジ417はフライス加工で削り出されている。
ブッシング204の形状をした細長い出口203に加えて、丸い出口ブッシング308が、通路203に対して同軸に、ケーシング200の中に形成されている。或いは、出口ブッシング308は、通路203に対して同軸で、ケーシング200内、ケーシング200上、又は保持部材を介して、通路300内で、接着、プラグ、ネジ止め、プレス、又は融着されてもよい。
更なる実施態様では、出口ブッシング308は、ケーシング200、ケーシングカバー又はケーシングポットから単一部品として製造される。スリーブ412は、線形軸受405内で補足的に案内される。スリーブ端部の先端は、接触点703で、又は接触線で、若しくは接触領域上で、カムディスク705の外縁と接触する。
この実施態様では、スプリング802は圧縮スプリングであり、中央プラグ416とパイプ204との間、及びエッジ417とパイプ204との間、並びにエッジ417と出口ブッシング308との間にギャップ600が生じるように、スリーブ412を出口203から押し出す。
カムディスク704と結合要素の端部との間の間隔702は、ギャップ600又はギャップ通路の調整性を、可能な調整パラメータとして記載する。それ故に、カムディスク704の回転方向701の回転と間隔702の変化との間の関係を提示することにより、調節性を数学的に記述することができる。
スプリング802は、スプリングシート800に取り付けられている。
図8は、ローター706と、磁石707、N極708及びS極709を備えた磁気結合部材711とを有する、図7に例示された本発明の水頭症バルブ100を示している。調整ユニット700は、カムディスク704、ローター706及びピボットアーム1050、又は、ピボットアーム1050を有するローター706、若しくはピボットアーム1050を有するカムディスク704を含む、複数の部品を含む。カムディスク704は、ローター706と共に回転軸705に1つのアセンブリとして取り付けられている。ローター706は、ピボットアーム1050を備えても、ピボットアーム1050として形成されてもよい。更に、カムディスク704とローター706は互いに接続されている。
好ましい実施態様では、それらは、一緒にネジ止め、接着接合又は溶接され、若しくは一片から形成される。
ローター706とカムディスク704との間の接続は、ローター706又はピボットアーム1050若しくは追加のピボットアーム1050の回転がローター704の比例回転に対応するように、それらに共通する回転/ピボット運動をもたらす。ここで、比例は、ローター706上のカムディスク704のオフセットに従う。更なる好ましい実施態様では、磁石707又はローター706とスプリング802若しくはスリーブ412との間の衝突を防ぐために、2つのストップ710がケーシング200に形成される。
好ましい実施態様では、出口203とスリーブ412との間の隙間600のサイズは、該スリーブが通路300に挿入されるか、ローター706の回転/旋回運動によって通路300から押し出されることにより、調整され得る。ここで、スリーブ41は、スプリング801、802によって通路から押し出される。スプリングは、そのスプリングシート800に保持されている。これは、間隔702をパラメータ化することによって記載することができるかもしれない。
更なる実施態様においては、ローター706の設定回転角を確保するために、水頭症バルブ100にブレーキ1000が設けられている。この目的のために、ブレーキ1000は、ローター706又はそのピボットアーム1050の回転の自由をブロックする。好ましい実施態様では、ブレーキ1000は、該ブレーキとローター表面との間で作動したり作動できなくされる摩擦係合により、ローター706をブロックしたりする。
別の実施態様では、ブレーキ1000は、電磁力場がローター706を所望の位置に固定することに基づいて、ブロッキング作用を与える。
独立した別形においては、多数の異なるバルブが互いに組み合わされる。
図9は、閉鎖装置としてバネ式ボールを使用し、従来の排水ラインを備えた従来の水頭症バルブに基づく、時間に対する体液圧力の記録を示す。ここでは、圧力曲線1103が取得されている。圧力曲線1103は、40cmの水柱の体液圧力が、約10秒以内に、通常レベルである約20cm水柱まで消失したことを示している。
第一に、この速さで圧力が散逸すれば、多くの患者が不快感を覚えるだろう。第二に、異なる脳室系サイズを有する異なった患者の圧力曲線は、それが、構造パラメータによって調整できる場合にのみ取得できる。もしこの場合であれば、構造パラメータを患者固有の方法で設定できる。構造パラメータを設定値プロファイルに調整することができる。
したがって、本発明によれば、より長い時間、好ましくは少なくとも20秒、より好ましくは少なくとも30秒、最も好ましくは少なくとも40秒以上の圧力散逸時間を実現し、患者に関係なく同じ効果を患者にもたらすために、排水又はその排水速度を調整可能にする準備がなされる。圧力散逸は、最大で60秒、好ましくは最大で50秒にわたって分布することが好ましい。
図9の圧力曲線1103は、50秒にわたる圧力曲線のプロファイルを示している。秒単位の時間(横座標)に対してプロットされた圧力曲線1103は、圧力値のスケール(縦座標)及び秒のスケール(横座標)に依存する、横座標に対する傾き、を示す。本発明は、圧力値と秒のスケールが等しい場合、傾斜が、60秒にわたって圧力が散逸する分布の場合よりも低くないと仮定し、好ましくは50秒にわたって圧力が散逸する分布の場合よりも低くないとの仮定のもとで、横座標に対して同一又は減少した傾きを持つ、全ての発明を包含する。
図10は、本発明の水頭症バルブが組み合わせバルブ1100である場合の、別形バルブの好ましい実施態様を示す。以下で論述する調整可能な組み合わせバルブは、圧力測定(図示せず)を伴う電子制御の場合には、更なる補助的な測定なしに、所望の圧力曲線1103(図9)を実行することができる。それらは、組み合わせて、従来の水頭症バルブと組み合わせてでも、純粋に機械的な基準で、所望の圧力曲線1103を少なくとも近似的に実行することもできる。
バルブの組み合わせを図10に概略的に示す。図10によれば、該バルブの組み合わせは排水ライン1102を含む。従来の水頭症バルブ及び以下で論じる本発明の水頭症バルブ100の1つは、排水ライン1102に設置される。あるいは、図10は、従来のバルブと本発明のバルブの組み合わせ1100、すなわち、拡張した、バルブの組み合わせを示している。
図11は、本発明の水頭症バルブ100を上から見た断面図である。図11は、図1を、より小さなスケールで示している。この水頭症バルブ100は、液密ケーシング200を含み、これは、一つの入口202及び一つの出口203を備えている。回転軸705がケーシング200内に配置されている。ローター706は該回転軸に着座している。ローター706は、第1のカムトラック712と共にカムディスク704を形成する。結合部材であるピン400は、その第2の端部402で第1のカムトラック712上を摺動する。ピン400は、ケーシング200のガイド405の間で、回転軸705に対して半径方向に移動可能に保持されている。
ピン400の反対側に位置する第1の端部401には、プラグの形状の本体500が設けられている。本体500は、円錐形の先端とカラー510を有する。図11に示すように、カラー510は、ケーシング200のシール面304に対してシールして閉じることができる。これにより、体液の望ましくない流出が防止される。ここで、プラグは、カムトラック712によって半径方向外向きに押される。
ローター706が図11で反時計回りに旋回すると、カムトラック712の半径が減少する。ここで、ピン400は、カムトラック712と接触したままである。これは、螺旋バネ803の圧力下で実現される。螺旋バネ803は、その一端が、円錐形先端の凹部に着座している。螺旋バネ803は、その他端で、出口203のウェブ804上に支持されている。もしピン400が、螺旋スプリング802の圧力下で半径方向にケーシング200内に移動すると、プラグとケーシングのシール面との間に体液の通路が形成される。
図1の例示的な実施態様では、カムディスク706は回転軸上に固定的に着座し、回転軸は電気ステッピングモータ(図示せず)に接続される。ステッピングモーターは、格納可能なコントローラーによって作動する。コントローラーには、図9で求められている、体液の圧力低下の時間に関するプロファイルが保存されている。コントローラーでは、アルゴリズムの助けを借りて、該プロファイルが圧力測定装置(図示せず)の圧力値と比較される。2つの値の違いは、電気ステッピングモーターの制御インパルスにつながる。
図12は、図5をより小さなスケールで示している。図12の例示的な実施態様は、本体500が楔506であるか、又は、ぴったり合う流出の中に突き出る楔形プラグであるかという点で、図11の例示的な実施態様と異なる。その例示的な実施態様では、このことは、流出が、すべての位置で間隔を間隔を有する楔形プラグを囲むことを意味する。間隔は、フェース表面のプラグの寸法に対応して、楔形プラグのそれぞれの位置に対して生じる。
楔506は、互いに傾斜している2つの側面と互いに平行な2つの側面とを備えた長方形断面を有する。楔形のプラグは、図11のプラグと同様に、ここでは図示されていないピンによって保持されている。また、図12の実施態様では、ピンのカムディスクとの永久的な接触を保証する螺旋バネ803が設けられている。
図1の状況とは対照的に、螺旋バネ803は、プラグの先端ではなくピンに着座し、カラー510がピンに着座する。バネは、カラーとケーシング内壁の間に位置し、ピンとプラグを囲んでいる。楔形プラグは、従来の水頭症バルブとは異なる回転及び旋回駆動、特に、ローター706、及び2つの調整プロセス間の従来の拘束手段を備えている。
上記したように、ローターは特に磁石によって普通に動かされ、その磁石の一部はローターに設置され、他の部分は、埋め込まれたバルブの上で患者の皮膚の上に置かれた調整装置に配置され、押すと、拘束作用が解除され、回転させることによりローターが旋回する。
このように創作されたバルブは、図10のように、従来の水頭症バルブと組み合わされる。図10及び図12は、排水率を調整するために設計された本発明の水頭症バルブ100を備えた排水ライン1101(図10)を示す。この排水ライン1101において、本発明の水頭症バルブは、従来の水頭症バルブの下流に接続されている。
図13は、図8をより小さなスケールで示している。図13は、ケーシングの壁が、ピボットアーム1050に対して間隔を有する状況を示している。カムディスクを調整するための調整装置を介して、埋め込まれたケーシングに上から押圧作用が加えられると、間隔が生じる。その結果、ケーシングは変形し、それにより、ケーシングの内壁と摩擦係合していたピボットアーム1050が、調整を目的として解放される。ケースの上部はクリック膜、つまり段付き丸膜(図示せず)として設計されているため、リリースが成功するとクリック音が鳴る。この目的のために、多数のステップが丸い膜に形成されることが好ましい(図示せず)。カラー510を備えた本体500は、段付きカバーとして設計されている。
図11、図12、及び図13は同様に、すべての位置で周囲の入口又は出口に対して間隔を有する、本体500を示している。図12及び図13による実施態様では、本体はカムディスク704と間接的に接触している。図11とは対照的に、接触は本体500の厚くなった延長部を介してなされる。
論述されたカラー510は、本体500のその延長部への移行部に示されている。802で示されるスプリングは、カラー510とケーシング内壁との間に配置される。スプリング802は、本体500、この場合はプラグ、を取り囲み、そうすることでセンタリング溝に係合する。更に、記載された2つの磁石がカムディスク704に埋め込まれている(図12)。
図1、図5、及び図8のバルブとの上記した組み合わせとは別に、図4、図6、及び図7の実施態様では、更に有利な組み合わせが生じる。図4の実施態様との組み合わせ(図示せず)は、球状プラグの形状の本体をもたらす。球状プラグの直径は入口又は出口の開口幅よりも大きいため、球状プラグは開閉機能を備えたバルブの役割と開口幅の調整の両方を実施することができる。ここで、球状プラグは、ロッドによって、ガイド内で移動可能に保持される。更に球形プラグは、連接棒によって、バルブケーシング内の旋回可能なローターと連接様式で保持される。
例示的な実施態様では、球状プラグの調整のために、ローター内の磁石及び調整装置が設けられ、この調整装置も同様に磁石を有し、埋め込まれたバルブの上で、患者の皮膚の上に配され、手で回転/旋回される。調整装置の代わりに、保管可能なステッピングモーターを使用することもできる。ステッピングモーターを使用すると、球状プラグを任意の位置に移動させることができる。
図6の実施態様との組み合わせ(図示せず)は、ポット状プラグとして形成された本体を有する更なるバルブを形成することを可能にする。ここで、ポット状プラグは、バルブケーシング内に突出する出口上に着座する。ポット状のプラグも、カムディスクによって調整される。ここで、ポット状プラグは、図6のプラグと同様に、バルブケーシング内で、図示されていない方法でガイドされ、スプリングによってカムディスクとの接触が保持される。
該プラグは、図3bの円筒プラグと同じ使用可能性を提供する。図3bでは、円筒形プラグと周囲の管状の入口又は出口との間の残りのギャップが体液の流れの限界値を形成しているのに対し、例示的な実施態様では、管状の出口又は入口と周囲のポット型プラグの内側シェルとの間の残りのギャップ(限界値)が決定的である。図3bのようなプラグの場合は、例示的な実施態様の場合でさえ、もしそれらが開口断面の限界値を超える場合には、プラグの開口傾向は影響なしに残る。
図7の実施態様との組み合わせ(図示せず)は、円筒形プラグも含むバルブを示している。該円筒形プラグは、適合された管状排出路を含む。その管状排出路は、選択された間隔で円筒形プラグを囲む。円筒形プラグはカラーを有し、カムディスクに対して半径方向に、厚くなった延長部を有している。延長部はカムディスクと接触する。接触点では、延長部が丸くなっている。円筒状プラグは、延長部で、半径方向に移動できるように、ケーシングのガイドに保持される。
カラーとケーシング内壁との間の螺旋バネにより、プラグが常にカムディスクと接触した状態になることが保証される。カムディスクを旋回させることにより、カラーと出口の間の開口ギャップが調整される。開口部の隙間が小さくなると、カムディスクがカラーを外側に押し出す。開口部のギャップが拡大する場合には、螺旋バネの圧力下で、プラグがカムディスクのカムトラックをたどることにより、カムディスクがスペースを提供する。
例示的な実施態様では、カムディスクの旋回は、磁石によって行われる。ここで、磁石は、カムディスク内と、調整の目的のために、移植されたバルブの上であって、患者の皮膚の上に置かれて回転される調整装置内の、両方に配置される。例示的な実施態様では、円筒状プラグ及び出口に対して同心円状に、カラー上のリング形状のウェブ及びケーシング内壁上のリング形状のウェブも提供される。これらのウェブは、体液が、蛇行する流れのプロファイルに従うようにする。例示的な実施態様は、カムディスク上のピボットアームによって異なる。
ピボットアームは、磁石を受け入れるのに役立つ。さらに、バルブケーシング内のプラグの異なるガイダンスが提供される。上記の本体の好ましい形態は、針の形態である。
図2a、2b、3a、3bは異なる本体を示す。図2bは別として、これらはバルブ用の円錐形プラグであり、プラグの先端は体液の入口又は出口の開口部よりも厚くなっている。円錐形のプラグは針とみなすこともできる。針としての実施態様は、例えば図11、図12、及び図14の、上記の各実施態様の一部である。
針の形状により、本体又はプラグは、針が入口又は出口に十分に押し込まれた時に、入口又は出口を閉じる。図3cはバルブが開いた位置を示し、図3dは閉じた位置を示す。図3c及び3dのプラグに属するバルブは、そうでなければ図2aのバルブに対応する。
図2bは、円錐形又は楔形の代わりに正確に円筒状プラグのプラグを示す。円筒形のプラグには、バルブに対応する管状の入口又は出口があり、間隔をあけてプラグを囲んでいる。円筒形プラグが入口又は出口に移動する程度に関係なく、プラグと周囲の入口又は出口との間の間隔は変化しない。円筒形プラグは、別に、図2aに属するバルブ形状を有するバルブに適している。
しかし、円筒状プラグは、排水ラインに一つのバルブを有すると同時に、上記の圧力降下を低減する排水施設にも適している。ここでは、従来のボールとボール用の従来のバルブシートを、円筒形プラグとそれに対応する管状の入口又は出口で置き換える。
更に、図1のように、円筒形プラグにもカラーを取り付ける。ここで、カラーは閉鎖機能を有する。カラーは、バルブケーシングの内壁に対して、閉鎖作用でもって耐える。円筒形プラグには、バルブの開放圧力を決定するスプリングによる負荷がかかる。スプリングは、開放圧力も調整できるように、従来の方法で調整できる。体液圧力が高くなるほど、カラーはバルブケーシング内壁の閉鎖面から離れる。ただしこれにより、バルブの開口幅が制限されるまで大きくなる。
開口部の幅は、プラグと周囲の吸気口又は排気口との間の隙間以下になり得る。体液圧力に起因するバルブを通る体液の流量が大きくなるほど、流れ抵抗が大きくなる。これにより、流量と圧力降下の増加が遅くなる。
図14から図18は、本発明の好ましい実施態様を示している。この実施態様は、独立して実施することもできる。
図14は、共通するケーシング内に2つのバルブ、バルブの組み合わせ1100を有する、本発明の装置100の断面を示す。2つのバルブを備えたケーシングは、排水施設又は水頭症患者のシャントの構成部品である。バルブの組み合わせ1100は、この目的のために、患者の皮膚の下に、対応するライン(図示せず)、いわゆるカテーテルと共に埋め込まれる。
ラインは、患者の頭蓋(図示せず)から本発明の装置に体液を導き、そこから患者の腹腔(図示せず)に導いて、そこで患者の体がその体液を吸収する。ケーシングは、ベース1110、リング形状の支持ディスク1112のリング1111、及びカバー1113から構成される。回転軸1120は、ケーシングの中央に移動可能に着座している。ここで、その回転軸1120は、一端が支持ディスク1112に保持され、他端がベース1110のガイド1114に保持されている。回転軸1120は、外側カラー1121を有し、ベース1110上の螺旋バネ1122によって外側カラー1121で支持される。
また、回転軸1120には、ローター1130と固定リング1131が取り付けられている。ここで、ローター1130は、外側カラー1121と固定リング1131との間の内側カラー1132と係合する。更に、ローター1130は、螺旋バネ1122を取り囲んでいる。この目的のために、対応する凹部1133がローター1130に設けられている。
螺旋バネ1122は、ローター1130と支持ディスク1112との間に摩擦係合が存在し、ローター1130がそれぞれの位置で拘束されるように、ローター1130をケーシング内の支持ディスク1112に押し付ける。この位置では、カバー1113は外向きの膨らみを持っている。前記拘束作用は、ケーシングを覆う患者の皮膚上に配置された調整装置を介して、ケーシングが押し付け作用を受けることにより解除することができる。別法として、カバー1113を手動で押すことにより、ブレーキを解除することもできる。
圧力は、カバー1113の窪みと、基部1110に向かう回転軸1120の変位をもたらす。ここで、前記回転軸1120は、ガイド1114の空洞1115内で移動することができる。回転軸1120のわずかな変位でさえ、支持ディスク1112からのローター1130の解放をもたらす。ローター1130は、その後旋回され得る。ローター1130の旋回のために、磁石1134は、直径方向反対になる位置でローター1130に設置される。
図14は、バルブが非アクティブ化された場合のボール1141を有する発明100、1100の状況を示している。ここで、ボール1141は、バルブシートである板バネ1147によって押される。図14は、第2の挿入物1151を示している。その挿入物1151内に変位可能に配置されているのは、本体500、円筒形の閉鎖部1152の形態における1152、例えば針形状の1152である。その針1152は、円錐形の先端1153と共に、小さなチャンネルであり、ギャップでもあるギャップ通路1154内に突出する。
先端1153の位置は、体液が通過するためのギャップ通路1154の開口幅を決定する。先端1153がギャップ通路1154内に達する距離が大きくなるほど、出口1150に流れる体液の、通路のための開口幅は小さくなる。先端1153がギャップ通路1154内に達する距離が小さいほど、体液の通過のための開口幅が大きくなる。先端1153又は閉鎖部1152の位置は、同様に、ローター1130上の第2のカムトラック714によって決定される。
図14及び15では、閉鎖部1152に対するカムトラック714、本体500すなわち針1152は、差圧バルブ1140b又は重力バルブ1140a(図示せず)のボール1141のための第1のカムトラック712の上を走る。第2のカムトラック表面715は、針1152とローター1130との接触表面によって形成される。第1のカムトラック面713は、ボール1141と第1のカムトラック712との接触面によって形成される。ローター1130は、回転軸1120に取り付けられている。回転軸1120の外側カラー1121は、ローター1130の内側カラー1132を支持し、固定リング1131によって保持される。この目的のために、回転軸1120は、ローター1130の凹部1133に設置される。
ボール1141の場合のように、針1152がそれに設けられたカムトラック715に永久に追従するように、閉鎖部1152、針1152とローター1130との永久的な接触がもたらされる。この目的のために、針1152は、針1152をローターに押し付ける螺旋バネ1155によって囲まれている。この目的のために、螺旋バネ1155は、挿入物1151内の一端で支持されている。もう一方の端では、螺旋バネが針1152を押す。
図15は、図14に示した本発明と同じ断面図であるが、開いた状態のローター1130の異なる枢動位置を示している。螺旋バネ1155は、チャンネル1117が体液によって流れることができるように、間隙通路1154から針500、1152を押し出す。更に、磁石1134の吸引力によって、ガイド1114内の回転軸1120周りの調整装置の回転が、ローターの旋回を引き起こすように、調和する磁石1134が調整装置内に位置付けられる。もし所望の旋回運動の後に、調整装置が再び取り外されると、ローターの新たな自動拘束が発生する。ローター1130を旋回させることにより、ケーシング内の重力バルブ1140a(図示せず)又は差圧バルブ1140bを、作動又は停止させることができる。
重力バルブ1140a又は差圧バルブ1140bは、ケーシングの入口側に配置されている。流れの方向は1146で示される。重力バルブ1140a又は差圧バルブ1140bは、ボール1141を含む。ボール1141は、そのバルブシート1116中の挿入物1142に着座している。挿入物1142は、ケーシングのリング1111中に、開口部を通して接続グロメット1143と共に突出する。接続グロメット1143は、ホースラインの接続に役立つ。
図15は、患者の横臥位で開いている差圧バルブ1140bを示している。ローター1130は、第1の接触面である第1のカムトラック面713で、ボールが、第1のインサート1142の板バネ1147のバネ力に逆らって開口部1144の方向に移動するように、ボールの外壁を押す。この動きの結果、チャンネル1117が開き、流入する体液が通過できるようになる。チャンネル1117はケーシングを通って繋がるので、体液は本発明を介して流れることができる。
重力バルブ1140aが設置され、図15に示されるバルブ位置の患者が立位をとると仮定する場合には、重力バルブ1140aは、前記ボール1141の圧力下で閉じることになる。このこととは無関係に、重力バルブ1140は、患者が横臥位であっても常に体液の流れが防止されるように、失活させることもできる。
図14に示すカムトラック表面(閉じた状態)から図15に示すカムトラック表面(開いた状態)に動くためには、ローター1130をある程度まで旋回させる必要がある。これは、調整装置を介して上記の方法で実行される。チャンネル1117は、出口側に配置された別のインサート1151にも配置されている。
図14及び図15は、閉鎖部1152の異なる位置を示している。図14では、先端1153は、ギャップ通路1154内に大きな距離、移動している。図14では、ローター1130を備えた閉鎖部品1152のための第2のカムトラック714は、接触面において、先端1153の位置に対して十分な大きさの、回転軸1120に対する間隔をもって走っている。
図15では、回転軸1120に対する接触面の間隔は非常に小さいため、先端1153は図14の位置に対してこの程度後退し、先端1153と隙間通路1154との間の開口幅が大きくなる。したがって図15は、開いた状態の本発明を示している。
図16は、本発明による装置の断面を示しており、挿入物1142及び1151の中心軸は断面平面内にある。閉鎖部品1152、針1152は、断面図において限られた範囲で見ることができるが、これは、それが断面平面に対して間隔を有するためである。ボール1141は、閉鎖位置で示されている。
回転子1130は、窪み1135及び突起1136を有する。窪み1135の領域では、ボール1141は閉位置にある。重力バルブ1140a又は差圧バルブ1140bは失活されている。突起1136の領域では、重力バルブが再び開かれる。
階段状の開口の場合、より小さな深さの窪み及び/又はより小さな大きさの突起も、窪み1135と突起1136の間に提供される。図16は、例示的な実施態様において、ローター1130の調整のための4つの磁石1134を示す。
図17は、閉鎖部1152の中心軸が断面平面内にある、本発明の装置の断面を示している。ここで、断面は、閉鎖部1152に属する第2のカムトラック714を通り抜ける。閉鎖部1152に属する第2のカムトラック714は、閉鎖部分1152を2つの極値の間で連続的に変更調整することが可能になる如く、螺旋状に走る。
本発明においては、1つのケーシングに配置された2つのバルブの内、1つのバルブはケーシングの入口202に配置され、他のバルブはケーシングの出口203に配置されることが好ましい。
本発明における、ケーシング内のバルブの他の組み合わせについても考慮することができる。これらには、重力バルブと差圧バルブ以外のバルブの組み合わせ、及び、差圧バルブと重力バルブ以外のバルブの組み合わせが含まれる。差圧バルブ以外のバルブには、カムトラック制御バルブも含まれる。ここでは、カムトラックが閉鎖部に沿ってガイドされる。カムトラックは、閉鎖部の開閉位置を決定する。
閉鎖部の案内は、積極的なロック及び/又は非積極的にロックする方法で実現されてもよい。本発明の意味の範囲内での積極的ロック、及び、同時に非積極的にロックするのは、ローター内の溝であり、その溝内に閉鎖部分がジャーナルなどによって係合する。積極的ロック及び非積極的ロック接続は、カムトラックとしてのレールによって形成されてもよく、この場合、このレールは閉鎖部に包含されている。
カムトラックと閉鎖部との間に、非積極的なロック接続のみを設けることが好ましい。ここで、非積極的ロック接続は、スプリングによって形成され、そのスプリングにより、閉鎖部がカムトラックに対して押されるか又は引っ張られる。更により好ましくは、閉鎖部は、少なくとも部分的にプロファイルバーとして形成され、ガイド内で移動可能に保持されるか、又はガイド内で移動可能に保持されるプロファイルバーに接続される。最も好ましくは、バネ圧力のもと、一端でカムトラックに押し付けられ、他端でバルブシートに対応する円筒形のプロファイルバーが提供される。バルブシートは、ケーシング内のリング又は穴であってもよい。穴は閉鎖部に向かって広がっても良い。拡幅部は円錐形であっても、その他の側面を持っていてもよい。
もしも本体、すなわち針1152が、第2の挿入物1151が針1152と一緒にケーシング内に設置できるように、第2の挿入物1151に配置されると有利である。ケーシングから突出する部分では、第2の挿入物1151は排水ラインのための接続を形成する。もう一方の端部では、挿入物がケーシング内部に突き出ている。そこでは、第2の挿入物1151は、円筒形の閉鎖部品である針1152のためのガイドを形成する。
同時に、第2の挿入物1151は、螺旋バネ1155が円筒形の閉鎖部1152を囲む空洞を形成しても良い。体液を導くために、穴1156は、第2挿入物の上記先端領域では、挿入物の長手方向に対して横方向に体液がその先端を通過して流入又は流出できるように、縦軸に対して横方向に形成されても良い。ケーシングの穴から外れた他端では、円筒状の閉鎖部1152は、第2カムトラック714上を摺動する。
ここで、閉鎖部1152は、閉鎖部1152が第2のカムトラック714における、いかなる変化にも追従するように、周囲の螺旋バネ1155によって第2のカムトラック714に対して押される。第2のカムトラック上の閉鎖部1152の摺動孔については、接触領域における閉鎖部の丸みが有利である。第2のカムトラック714は、ローター1130のフェース面上及び/又はシェル上に位置してもよい。好ましくは、円盤形状のローター1130が使用され、その円周面は、閉鎖部1152がすべての所望される閉鎖運動及び開放運動を行うように、第2カムトラック714として設計される。これはカムディスク704と呼ばれる。
ローター/カムディスクは、バルブケーシング内で回転軸上に旋回可能に取り付けられている。ローター/カムディスクは、磁石によって好ましく調整される。この目的のために、最初に磁石がローター/カムディスクに取り付けられ、次に、他の磁石を有する調整装置が提供される。調整装置は、本発明のケーシング上で患者の皮膚上に配置され、回転される。調整装置の回転中、ローター/カムディスクは調整装置の磁力又は調整力に追従する。
すべての調整後、ローター/カムディスクは次の調整まで到達位置で拘束される。ローター/カムディスクを適宜クランプすることにより、拘束動作を実現する。クランプは、ローター/カムディスクの周囲又はフェース面で実行しても良い。円周でクランプするために、圧力がケーシングカバーに加えられた時に、側壁が外側に膨らんでローターを解放するような、可撓性カバーと可撓性側壁を有するケーシングを利用しても良い。圧力が解放されると、ケーシングが跳ね返り、ローター/カムディスクを側壁の間に閉じ込める。
ケーシングの変形に必要な圧力は、調整装置によって生成される。したがって、旋回が行われる前に、拘束作用を取り除くために、まず調整装置がケーシングカバーに押し付けられる。
ローターをフェース面にクランプするためには、軸方向に調整可能な回転軸がケーシングに設けられていることが好ましい。
回転軸には、わずかに外側に膨らんだカバーに対して、ローターを摩擦係合するように押すスプリングの圧力がかかっている。カバーへの圧力により、回転軸が軸方向にある程度変位するや否や、ローターがカバーから解放される。カバーのわずかな内向きの窪みが、ある程度生じる。続いて、ローターを上記したように回転させることができる。圧力は、周囲での拘束作用の場合と同様に、調整装置を介して生成される。同じことが回転にも当てはまる。
回転軸の端部とケーシングのベースとの間に対応するクリアランスが設けられているため、ケーシング内での変位が可能である。回転軸にはカラーがあり、それによってカムディスクとして形成されたローターの後ろに係合する。回転軸とそのカラーによってローター/カムディスクに拘束圧力を加えるバネは、ケーシングベースと回転軸のカラーの間に配置される。
更に、カバーの方に面するローターの側に、カバーの内向きの変形の場合に、ローターをカバーから放して持ち上げるように強制するリングを取り付けることができる。この目的のために、リングはローター又は回転軸に固定されている。
上記した差圧バルブは、他のバルブと組み合わせることができる。ここで、差圧バルブは、他のバルブの流れ方向/排水方向における、上流又は下流に配されてもよい。別のバルブとの組み合わせにおいて、閉止体はバネ式であり、体液圧力に応じて開くが、上述したバルブは、排水速度を鈍らせるために、すなわち一定期間にわたって圧力降下を均一化するために利用されてもよい。
重力バルブは、他のバルブとして使用されることが好ましい。これらの重力バルブは、上記した従来のバルブであっても良い。重力バルブは、横臥位で最大限に開く。これは、最大の圧力降下にもつながる。
本発明の差圧バルブにより、圧力降下を有利に均質化することができ、すなわち、患者固有の方法で調整することを可能にすることができる。
特別な重力バルブ、具体的には切り替え可能な重力バルブは、適宜ケーシングに挿入される。重力バルブは有効化及び無効化できる。この目的のために、重力バルブの閉鎖部と動作可能に接続された作動装置/切り替え装置が、好ましく提供される。
ローター/カムディスクの円周又はフェース/表面の窪みの長さは、重力バルブと第2の調整可能なバルブの組み合わせの場合、第2のバルブに望まれる調整範囲から決定される。
上述した重力バルブはまた、第2のバルブとの組み合わせとは無関係に、体液の排出に利点がある場合もある。すなわち、記載された重力バルブは、体液の流れを制御するための単独のバルブとしても有利であり得る。
個々のカムトラックの形状及び関連するローター/カムディスクの回転位置又は旋回位置が定義されるとすぐに、共通するケーシング内の両方のバルブに共通する、ローター/カムディスクを提供することも有利かもしれない。
次に、共通のローター/カムディスクには、2つのカムトラックが備えられている。1つは一方のバルブ用に設計され、もう1つは他のバルブ用に設計されている。2つのカムトラックは、好ましくは、異なる相互に平行な平面にある。ただし、両方のカムトラックが共通の平面にあることも可能である。次いで、カムトラックは、好ましくは、異なる円周表面上に延びる。
ローター/カムディスクの旋回/回転の後、ローター/カムディスクの拘束が実行され、望ましくない調整が防止される。拘束作用は調整の前に解除され、調整のたびに再開される。そのような調整は、異なる幾つかの実施態様で実現され得る。一つの実施態様では、ケーシング上及びローター上に歯が設けられる。もし歯が互いに噛み合っている場合には、ローター/カムディスクがブロックされている。歯が離れるように移動することにより、ブロックが解除される。
他の実施態様は、拘束位置でローター/カムディスクに対して摩擦係合する方法でのケーシングベアリングに基づいている。拘束動作を解除するには、ローター/カムディスクから持ち上げるようにケーシングを変形させる。拘束作用を解除するのに必要な変形は、好ましくは、回転子を回転させるための調整装置によってなされる。拘束作用を解除するには、調整装置を、移植されたバルブの上の患者の皮膚の上に置くだけでなく、ケーシングの変形によって拘束作用が解除されるまでバルブに押し付ける。調整装置を持ち上げると、ケーシングは自動的に跳ね返り、拘束動作を行う。
図18は、ローターの好ましい実施態様を示す平面図である。2つの異なるステージを見ることができる。各ステージの外縁はカムトラックである。下段は第1カムトラック712によって特徴付けられ、上段は第2カムトラック714によって特徴付けられる。窪み1135が下段に形成されている。突起1136が見える。