金属および合金の結晶粒微細化は、インゴット鋳込み速度の最大化、熱間割れに対する耐性の改善、元素偏析の最少化、機械的特性(特に延性)の向上、錬鉄製品の仕上げ特性の改善ならびに鋳型充填特性の向上、および、鋳造合金の多孔率の低減化を含む多数の理由のために重要である。通常、結晶粒微細化は、金属または合金製品、特にアルミニウム合金およびマグネシウム合金を製造するための第1の処理ステップのうちの1つである。アルミニウム合金およびマグネシウム合金は、航空業界、防衛業界、自動車業界、建築業界、および包装業界における使用が増加しつつある軽量材料のうちの2つである。結晶粒微細化は、柱状結晶粒を取り除き等軸結晶粒を形成することにより金属および合金を鋳造可能にするための重要な処理ステップでもある。
結晶粒微細化は、合金を鋳造可能にするために、および、欠陥生成を軽減するために、固相の結晶サイズが化学的、物理的、または機械的手段のいずれかにより縮小される凝固処理ステップである。現在は、アルミニウム製品はTIBORを使用して結晶粒微細化され、それにより、凝固されたアルミニウム中に等軸結晶粒構造が形成される。本発明の以前では、不純物または化学的「結晶粒微細化剤」の使用が、金属鋳造業界において長く認識された金属鋳造中における柱状結晶粒形成の問題を解決する唯一の方法であった。加えて、本発明の以前は、1)鋳造以前に溶融金属から不純物を除去するための超音波脱ガスと、2)上述の超音波結晶粒微細化(すなわち、少なくとも1つの振動エネルギー供給源)と、の組み合わせは着手されたことがなかった。
しかし、TIBORの使用と、融解物に対して結晶粒微細化剤が入力されることに起因する機械的制約と、がコストの増大化に関連付けられている。これらの制約のうちのいくつかは、延性、機械加工性、および電気伝導性を含む。
係るコストにも関わらず、合衆国内で生産されたアルミニウムのおよそ68%が、シート、プレート、押し出し、またはホイールへとさらに処理される前に最初にインゴットに注がれる。直接チル(DC)半連続鋳造処理および連続鋳造(CC)処理が、主にその堅牢性および比較的簡素性のために、アルミニウム業界の主力となってきた。DCおよびCC処理の1つの問題は、インゴット凝固の際に、熱間割れまたは亀裂が形成されることである。基本的に、結晶粒微細化を使用しないかぎり、すべてのインゴットには亀裂が生じる(または鋳造不能)となるであろう。
依然として、これらの現代的処理の生産速度は亀裂形成を回避するための条件により制限される。結晶粒微細化は、合金の熱間割れ傾向を低減させ、したがって、生産速度の向上を図るための、効果的な方法である。結果的に、相当量の努力が、可能なかぎり小さい粒径の生産が可能である強力な結晶微細化剤の開発に注がれてきた。結晶粒サイズがミクロン以下のレベルまで縮小可能となった場合には超塑性が達成可能となり、それにより、今日においてインゴットが処理されるよりも、はるかに速い速度で合金の注湯が可能となるばかりではなく、より低い温度、かつ、はるかに速い速度での圧延/押し出し成型も可能となり、その結果として、コスト面およびエネルギー面での顕著な削減が達成される。
現在、世界において1次スクラップ(およそ200億kg)または2次および内部スクラップ(250億kg)のいずれかから鋳造される、ほぼすべてのアルミニウム鋳造は、直径がおよそ数ミクロンの不溶性TiB2核の不均質核を用いて結晶粒微細化され、それによりアルミニウム中において微細な粒状組織が核生成される。化学的結晶粒微細化剤の使用に関する1つの問題は結晶粒微細化能力が限定されることである。実際、化学的結晶粒微細化剤の使用により、およそ2,500μmを越える直線結晶粒寸法を有する柱状構造から200μmより小さい等軸結晶粒へのアルミニウム結晶粒サイズの縮小化が制限される。アルミニウム合金における100μmの等軸結晶粒が市販の化学的結晶粒微細化を使用して獲得可能である限界であるように見受けられる。
結晶粒サイズの縮小化がさらに可能であるならば生産性の顕著な向上が可能である。ミクロン以下レベルの結晶粒サイズは超塑性をもたらし、係る超塑性により、室温におけるアルミニウム合金の形成が、より容易となる。
化学的結晶粒微細化剤の使用に関する他の問題は結晶粒微細化剤の使用に関連付けられた欠陥生成である。先行技術では結晶粒微細化に対して必要とみなされてきたが、不溶性の異質な粒子は、アルミニウムにおいては、特に粒子凝集物(「クラスタ」)の形成において、むしろ望ましくない。現在の結晶粒微細化剤は、アルミニウム系母合金中における化合物の形態で存在し、複雑な一連の採鉱過程、選鉱過程、および製造過程により生産される。現在頻繁に使用される母合金は、フッ化カリウムアルミニウム(KAIF)塩およびアルミニウム酸化物不純物(ドロス)を含み、これらはアルミニウム結晶粒微細化剤の従来の製造過程から生じる。これらは、アルミニウムにおける局所的欠陥(例えば飲料缶における「飲み口」および薄箔における「微小穴」)、機械加工摩耗、および、アルミニウムにおける表面処理問題を発生させる。アルミニウムケーブル企業のうちの1企業からの1つのデータによれば、製造上の欠陥のうちの25%はTiB2粒子凝集物に起因するものであり、欠陥のうちの残りの25%は鋳造過程の際にアルミニウムに取り込まれるドロスに起因することが示されている。TiB2粒子凝集物は、押出成形の際に、特にワイヤの直径が8mm未満である場合には、しばしばワイヤを破断させる。
化学的結晶粒微細化剤の使用に関する他の問題は結晶粒微細化剤のコストである。これは、Zr結晶粒微細化剤を使用するマグネシウムインゴットの生産に対しては特に成り立つ。Zr結晶粒微細化剤を使用する結晶粒微細化は、製造されるMg鋳造品の1キログラムにつき約1ドルの過剰なコストがかかる。アルミニウム合金に対する結晶粒微細化剤は1キログラムあたりおよそ1.50ドルである。
化学的結晶粒微細化剤の使用に関する他の問題は電気伝導率の低下である。化学物質結晶粒微細化剤の使用により、過剰な量のTiがアルミニウム中に導入され、ケーブル用途に対して純粋なアルミニウムの電気伝導率が実質的に低下してしまう。特定の伝導率を維持するために、様々な企業は、ケーブルおよびワイヤを作るためにより純粋なアルミニウムを使用するにあたり、過剰な金額を支払うことを余儀なくされる。
化学的方法に加えて、いくつかの他の結晶粒微細化方法が過去の世紀において探究されてきた。これらの方法は、物理的な場(例えば、磁場、電磁場)を使用すること、および機械的振動を使用することを含む。高強度および低振幅の超音波振動は、異種の粒子を使用することなく金属および合金の結晶粒微細化に対して示されてきた物理的/機械的機構のうちの1つである。しかし実験結果(例えば上述のCuiら、2007などの)は、短い時間的期間の超音波振動が印加された数ポンドまでの小型インゴットにおいて得られたものである。高強度超音波振動を使用するCCまたはDC鋳造インゴット/ビレットに関する結晶粒微細化に対してはほとんど努力が成されていない。
本明細書で使用される本発明の様々な実施形態は、当業者の研究を提示するために当業者により一般的に用いられる用語を使用して説明されるであろう。これらの用語は、材料科学、冶金学、金属鋳造、および金属処理の分野の当業者により理解される一般的な意味に一致する。さらに専門的な意味を取るいくつかの用語については、以下の実施形態において説明する。それにも関わらず、「〜よう構成された」という用語は、(本明細書で例示されるか、または既知であるか、または当該技術から暗示的である)適切な構造体が、「〜」の箇所で示される機能を、係る構造体の物体が実行することを可能にすることを示すものとして、本明細書では理解される。「〜に連結された」という用語は、第2の物体に連結された1つの物体が、第1の物体および第2の物体が一緒に直接的に取り付けられているか否かに関わらず、第1の物体を第2の物体に対して定位置に支持(例えば、当接する、取り付けられる、互いに対して着脱可能である、互いから取り外し可能である、一緒に固定される、摺動接触状態にある、回転接触状態にある、など)するにあたり必要な構造を有することを意味する。
Chiaらに付与された米国特許第4,066,475号(内容全体が、参照することにより本願に援用される)には、連続鋳造過程が記載されている。全般に、図1には、回転鋳型リング13上に含まれた周辺溝部に溶融金属漕を誘導する注湯口11に溶融金属を供給する送達装置10(例えばタンディッシュなど)を有する鋳造装置2を有する連続鋳造システムが示されている。エンドレス可撓性金属バンド14は、鋳型リング13に設けられた溝部および覆い被さる金属バンド14により連続鋳造鋳型が画成されるよう、鋳型リング13の一部と一連のバンド位置決めローラ15の一部との両方を周回する。装置を冷却し、かつ、回転鋳型リング13上で溶融金属が輸送される際に溶融金属の凝固を制御するための、冷却システムが提供される。冷却システムは、鋳型リング13の側面上に配置された複数の側面ヘッダ17、18、および19と、金属バンド14が鋳型リングを周回する位置においてそれぞれ金属バンド14の内側側面上および外側側面上に配置された内側バンドヘッダ20および外側バンドヘッダ21と、を含む。装置の冷却および溶融金属の凝固速度が制御されるよう、様々なヘッダに対して冷媒を供給および排出するために、好適なバルブを有する導管ネットワーク24が接続されている。
係る構成により、溶融金属は、注湯口11から鋳造鋳型に供給され、冷媒が冷却システムを通して循環されることにより、溶融金属が輸送される際に凝固され部分的に冷却される。固体の鋳造棒25は鋳型ホイールから引き出され、鋳造棒を圧延機28に搬送するコンベア27に供給される。鋳造棒25は、鋳造棒25を凝固させるにあたり十分な量のみしか冷却されず、鋳造棒25は、鋳造棒25に対して圧延操作がただちに実施可能である高温状態に維持されていることが留意されるべきである。圧延機28は直列配列の圧延スタンドを含み得る。これらの圧延スタンドは鋳造棒を連続的な長さの線材30へと連続的に圧延する。なお線材30は実質的に均一な円形断面を有する。
図1には、より詳細に以下で説明されるように、本明細書で図示される連続鋳造システムの様々な部分を制御する制御器500が示されている。制御器500は、連続鋳造システムおよび係るシステムの構成要素の動作を制御するようプログラムされた命令(すなわちアルゴリズム)を有する1つまたは複数のプロセッサを含み得る。
Hanらに付与された米国特許第9,481,031号(内容全体が、参照することにより本願に援用される)には、その長手方向長さに沿って溶融金属を受容および輸送するための溶融金属格納構造体を含む溶融金属処理装置が記載されている。この装置は、液体媒体をその中に通すための冷却チャネルを含む格納構造体のための冷却ユニットと、超音波が、冷却チャネル中の液体媒体を、および、溶融金属格納構造体を、通して、溶融金属に結合されるよう、冷却チャネルに対して配置された超音波プローブと、をさらに含んだ。
’031特許に記載されているように、超音波プローブは、液体媒体を通して、および、液体金属が供給される溶融金属格納構造体の底部プレートを通して、超音波振動(UV)を提供した。’031特許では、超音波プローブは液体媒体通路に挿入された状態で示された。’031特許に記載のように、チャネルの底部における比較的少量の過冷却(例えば摂氏10度より低い)により、より純粋なアルミニウムの小さい核の層が形成される。チャネルの底部からの超音波振動は純粋なアルミニウムの核を形成し、次に、その純粋なアルミニウム核が凝固の際に造核剤として使用され、その結果、均一な結晶粒構造がもたらされる。’031特許に記載のように、チャンネルの底部からの超音波振動は、これらの核を分散させ、過冷却層に形成されたデンドライトを分裂させる。次に、これらのアルミニウムの核およびデンドライトの断片は、凝固の際に鋳物中に等軸結晶粒を形成するために使用され、その結果、均一な結晶粒構造がもたらされる。
本発明の一実施形態では、超音波結晶粒微細化は、結晶粒サイズの微細化のために超音波エネルギー(および/または他の振動エネルギー)の印加を含む。本発明はいかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、1つの理論は、溶融合金または凝固する合金に振動エネルギー(例えば超音波出力)が注入されることにより、非線形性効果(例えばキャビテーション、音響ストリーミング、および放射圧)が発生し得るという理論である。これらの非線形性効果は、新しい結晶粒を核生成し、合金の凝固過程においてデンドライトの破断のために使用可能である。
この理論に基づいて、結晶粒微細化過程は、2つの段階、すなわち、1)核生成、および、2)液体から新しく形成された固体の成長、に分割され得る。球形核はこの核生成段階において形成される。これらの核は成長段階においてデンドライトに成長する。デンドライトが単一方向に成長した場合には柱状結晶粒が形成され、熱間割れ/亀裂と、2次相の不均一な分布と、がもたらされる可能性が生じる。その結果、可鋳性が低下することとなり得る。一方、デンドライトが全方向に均一に成長した(本発明を用いた場合、可能である)場合には、等軸結晶粒が形成される。微細でかつ等軸性を有する結晶粒を含む鋳物/インゴットは優れた成形性を有する。
この理論のもとで、合金中の温度が液相線温度より低い場合には、固体の幼核のサイズが以下の式で与えられる臨界サイズよりも大きいときに核生成が生じ得る。
式中、r
*は臨界サイズであり、σ
slは固液界面に関連付けられた界面エネルギーであり、ΔG
Vは単位体積の液体が固体に変化することに関連付けられたギブス自由エネルギーである。
この理論のもとでは、固体幼核のサイズがr*よりも大きい場合、ギブス自由エネルギーΔGは固体幼核のサイズが大きくなるにつれて小さくなる。これは固体幼核の成長が熱力学的に望ましいことを示す。係る理論のもとでは、固体幼核は安定的な核となる。しかし、r*より大きいサイズを有する固相は、溶融金属における大規模な過冷却を要求する極端な条件下でのみ、均一な核生成を生じる。
この理論のもとでは、凝固の際に形成される核は、デンドライトとして知られる固体結晶粒に成長することが可能である。デンドライトは、振動エネルギーの印加により、複数の微細な断片に分裂されることも可能である。このようにして形成されたデンドライト片は新しい結晶粒に成長し、小さい結晶粒が形成される。このようにして等軸結晶粒構造が作られる。
換言すると、過冷却された液体金属に伝達される超音波振動により金属または金属合金中に核生成部位が作られ、それにより結晶粒サイズが微細化される。核生成部位は、デンドライトを分裂させるよう上記のように作用する振動エネルギーを介して、生成されることが可能である。それにより、異種の不純物に依存しない多数の核が溶融金属中に作られる。
ここで、本発明の一実施形態では、超音波装置は、排他的に、冷却チャネル内の液体媒体を通して、次に、溶融金属格納構造体の底部プレートを通して、溶融金属に結合された超音波を有するよう、構成されない。代替的に、この実施形態では、超音波は、溶融金属に対して接触するプレートまたはレセプタに対して直接的に結合される。
1つまたは複数の磁歪超音波装置が、溶融金属を輸送する際に溶融金属に接触するプレートまたはレセプタに対して直接的に取り付けられ得る。レセプタプレートは、溶融金属がレセプタプレートに対して進入する入口から、溶融金属がレセプタプレートから出る出口まで、長手方向に延長し得る。実際、図2には、振動(超音波)プレート54の長手方向長さに沿って取り付けられ、かつ、振動(超音波)プレート54の長手方向長さに沿って均等に離間された、複数の磁歪トランスデューサ52を有する溶融金属コンベア50(側面壁部が図示されず)が示されている。トランスデューサ52は必ずしも均等に離間される必要はない。さらに、これらのトランスデューサは、プレート54の幅の方向に横方向の分離が存在する状態で離間されてもよい。図2には、プレート54の上方に溶融金属53の表面が示されている。プレート54の上方を移動する溶融金属は、長方形、正方形、または円形を含む任意の形状のフローチャネル内に閉じ込められ得る。
本発明の一実施形態では、プレート54の上方を移動する溶融金属の厚さは、一実施形態では、10センチメートルより小さい厚さである。この実施形態では、溶融金属の厚さは1センチメートルより小さい値であり得る。代替的に、溶融金属の厚さは0.5センチメートルより小さい値であり得る。
したがってレセプタプレート54は、長手方向長さに等しいかもしくは長手方向長さよりも小さい横方向幅を有してもよく、または、横方向幅は長手方向長さの半分に等しいかもしくは長手方向長さの半分よりも小さくてもよく、または、長手方向長さの1/3に等しいかもしくは長手方向長さの1/3より小さくてもよい。例えば、レセプタプレート54は、2.5cm〜300cmの範囲の横方向幅を有し得る。例えばレセプタプレート54の長さは、2.5cm〜300cmの範囲であり得る。さらにレセプタプレート54は、出口に向かって徐々に幅が小さくなる横方向幅を有し得る。一実施形態におけるレセプタプレート54の寸法は、他の寸法も使用可能であるが、最大で220cmの幅および70cmの長さ(ただしこの値に限定されない)まで変動し得る。これらの寸法は、220cmの長さおよび70cmの幅に反転され得る。
さらに、レセプタプレート54は、重力により溶融金属が出口へと付勢される状態で、略水平方向(20度の範囲内)から略垂直方向(20度の範囲内)までの広い範囲の角度位置にわたり配置され得る。さらに詳細には、レセプタプレート54は、重力により溶融金属が出口へと付勢される状態で、水平方向から10度(または5度)の範囲内に配置され得る。代替的に、レセプタプレート54は、重力により溶融金属が出口へと付勢される状態で、垂直方向から10度(または5度)の範囲内に配置され得る。溶融金属がその上で搬送(または流)されるプレートの表面は、滑らかな状態、磨かれた状態、粗い状態、隆起がある状態、凹みがある状態、および/または、テクスチャがある状態であり得る。代替的にレセプタプレート54は、水平(または略水平)から垂直(または略垂直)の範囲の任意の角度位置に配置され得る。振動プレートが、水平注湯システムにおいて、または下方吐出の場合において、鋳造鋳型に添付されたとしても、この広い角度範囲は、溶融金属がレセプタプレート54に沿って搬送されることを可能にする。
本発明の一実施形態では、レセプタプレート上への溶融金属の注湯速度、および/または、レセプタプレート上での溶融金属の冷却速度のうちの少なくとも1つを制御する制御器(例えば制御器500)が含まれる。制御器は、溶融金属のレセプタプレート上方における高さが、1.25cm〜10cmの範囲、または2.5cm〜5cmの範囲、または3cm〜4cmの範囲となるように、注湯速度を調整するようプログラムされると好適である。溶融金属がレセプタプレート54に沿ってシート状に流れるため、レセプタプレート54から誘導および放出される核は、レセプタプレート54の直上にある溶融金属の体積中に均等分散され得る。レセプタプレートの表面エリアが、核が生成するために利用可能であるエリアとしてみなされるならば、溶融金属がシート状の形状を有することは、レセプタプレート54の直上にある金属の体積の全体にわたって溶融金属をより完全に冷却するようにも機能するであろう。この全域にわたる冷却が達成されないならば、放出された核は、溶融金属に再溶融し、全個数の核が鋳型または鋳型ホイールに流れ込むことになるため、損失となり得る。したがって、制御器500が溶融金属のレセプタプレート54上における高さを制御することにより、単位体積あたりより多量の核が生成され、かつ、再溶融に起因する核の損失がより少ないという点で、シート状の溶融金属を使用したときに相乗作用が存在する。
溶融金属コンベア50の構成要素は、チタン、ステンレス鋼合金、低炭素鋼またはH13鋼、他の高温材料、セラミック、複合材料、またはポリマーなどの金属から作られ得る。溶融金属処理装置50の構成要素は、ニオブ、ニオブ合金、チタン、チタン合金、タンタル、タンタル合金、銅、銅合金、レニウム、レニウム合金、鉄鋼、モリブデン、モリブデン合金、ステンレス鋼、およびセラミックのうちの1つまたは複数から作られ得る。セラミックは、窒化ケイ素セラミック(例えば窒化ケイ素アルミナまたはサイアロン)であり得る。
図2には図示されないが、磁歪トランスデューサ52は、1束の磁気層の周りに巻き付けられた内部コイルを有する。このコイルは、高周波数磁場を発生させる高周波数電流を提供する。この高周波数磁場は、磁気層の束の抽出および圧縮を誘導し、それによりプレート52に対して振動が刻印される。
磁歪トランスデューサは通常、多数の材料プレートからなり、これらの材料プレートは電磁場が印加されると収縮する。さらに詳細には、本発明に対して好適である磁歪トランスデューサは、一実施形態では、多数のニッケル(または、その他の磁歪物質の)プレートまたは積層物を含む。なお、これらのプレートまたは積層組織は、振動されるべき処理容器の底部または他の表面に取り付けられた各積層物の1つの縁部に対して平行に配置される。磁場を提供するために、ワイヤのコイルが磁歪物質の周りに配置される。例えば、ワイヤのコイルに電流が供給されると磁場が作られる。この磁場により、磁歪物質は収縮させられ、それにより、収縮する磁歪物質に対して接触する流体中に音波が導入される。本発明に対して好適である磁歪トランスデューサから発する通常の超音波周波数は20〜200kHzの範囲である。磁歪素子の固有振動数に応じて、より高い周波数またはより低い周波数も使用されることが可能である。
磁歪トランスデューサに対して、ニッケルが、最も使用される物質のうちの1つである。トランスデューサに電圧が印加されると、ニッケル物質は超音波周波数で収縮する。本発明の一実施形態では、ニッケルプレートはステンレス鋼プレートに対して直接的に銀ロウ付けされる。図2を参照すると、磁歪トランスデューサのステンレス鋼プレートは、超音波周波数で振動する表面であり、かつ、(図2において示されているように)振動(超音波)プレート54に取り付けられた表面である。
米国特許第7,462,960号(内容全体が、参照することにより本願に援用される)には、巨大な磁歪素子を有する超音波トランスデューサ駆動器が記載されている。したがって本発明の一実施形態では、磁歪素子は、例えば鉄(Fe)、コバルト(Co)、およびニッケル(Ni)などの、前期遷移金属と比較して並外れて大きい磁歪効果を有する、TerfenolーDなどの希土類合金性の物質、およびその複合物から作られ得る。代替的に、本発明の一実施形態における磁歪素子は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、およびニッケル(Ni)から作られてもよい。
代替的に、本発明の一実施形態における磁歪素子は、以下の合金、すなわち、鉄およびテルビウムの合金、鉄およびプラセオジミウムの合金、鉄、テルビウム、およびプラセオジミウムの合金、鉄およびジスプロシウムの合金、鉄、テルビウム、およびジスプロシウムの合金、鉄、プラセオジミウム、およびジスプロシウムの合金、鉄、テルビウム、プラセオジミウム、およびジスプロシウムの合金、鉄およびエルビウムの合金、鉄およびサマリウムの合金、鉄、エルビウム、およびサマリウムの合金、鉄、サマリウム、およびジスプロシウムの合金、鉄およびホルミウムの合金、鉄、サマリウム、およびホルミウムの合金、または、これらの混合物のうちの1つまたは複数から作られ得る。
米国特許第4,158,368号(内容全体が、参照することにより本願に援用される)には磁歪トランスデューサが記載されている。米国特許第4,158,368号において記載され、かつ、本発明に対して好適である、磁歪トランスデューサは、ハウジング内に配置された負の磁歪を示す物質のプランジャを含み得る。米国特許第5,588,466号(内容全体が、参照することにより本願に援用される)には磁歪トランスデューサが記載されている。米国特許第5,588,466号において記載され、かつ、本発明に対して好適である、磁歪層が、可撓性要素(例えば可撓性を有する梁)に貼り付けられる。可撓性要素は外部の磁場により湾曲される。’466特許に記載され、かつ、本発明に対して好適である、薄い磁歪層は、Tb(1ーx)Dy(x)Fe2からなる磁歪素子に対して使用されることが可能である。米国特許第4,599,591号(内容全体が、参照することにより本願に援用される)には磁歪トランスデューサが記載されている。米国特許第4,599,591号に記載され、かつ、本発明に対して好適である、磁歪トランスデューサは、磁歪物質と、磁歪物質内に回転する磁気誘導ベクトルを確立する位相関係を有する複数の電流源に対して接続された複数の巻線と、を利用し得る。米国特許第4,986808号(内容全体が、参照することにより本願に援用される)には磁歪トランスデューサが記載されている。米国特許第4,986808号において記載され、かつ本発明に対して好適である、磁歪トランスデューサは複数の磁歪物質の長尺帯状物を含み得る。なお各帯状物は、近位端部と、遠位端部と、実質的にV字形状の断面と、を有し、V字の各アーム部は、一定の長手方向長さの細片により形成され、各細片は、近位端部および遠位端部の両方において、隣り合う細片に接合され、それにより、中心軸を有し、かつ、この中心軸に対して径方向に延長するフィンを有する、一体化された実質的に剛性の柱状体が形成されている。
米国特許第6,150,753号(内容全体が、参照することにより本願に援用される)には、少なくとも1つの平坦壁部区域を有するコバルト基合金ハウジングと、平坦壁部区域に装着された少なくとも1つの超音波トランスデューサであって、超音波振動力をハウジングの平坦壁部区域に印加するよう動作可能に構成された超音波トランスデューサと、を有する、超音波トランスデューサ組立体が記載されている。超音波トランスデューサをステンレス鋼プレートに取り付ける方法を説明する背景資料および’753特許の両方が、トランスデューサ52/56と、振動(超音波)プレート54と、の間に機械的に安定な結合を形成するために、本発明において使用され得る。例えば、インディアナ州コーコモーのHaynes International社から入手可能であるULTIMET(登録商標)ブランドの合金がその一例として挙げられる。ULTIMET(登録商標)は、本発明に対して好適であるコバルトクロム合金である。この合金は、以下の、すなわち、コバルト(54%)、クロム(26%)、ニッケル(9%)、モリブデン(5%)、タングステン(2%)、および鉄(3%)の、公称化学組成(重量パーセント)を有する。この合金は、微量(1重量パーセント未満)のマンガン、シリコン、窒素、および炭素も含む。
米国特許第5,247,954号(内容全体が、参照することにより本願に援用される)には、摂氏250度を越えない圧電セラミックトランスデューサを結合する方法が記載されている。この方法は、トランスデューサ52/56と振動(超音波)プレート54との間に機械的に安定な結合を形成するために、本発明において使用され得る。例えば低温ブレージング合金が、銀メッキされた圧電セラミックトランスデューサとプレート54の事前金属化された表面との間を結合するために使用される。このはんだは、予成形された96.5%のスズおよび3.5%の銀であり、摂氏221度で溶融し得る。係るはんだは、低温はんだを適用する以前にプレート54の表面上に接着された銀および銀/タングステンの表面に固着するであろう。次に圧電セラミックトランスデューサは、摂氏230度で稼働中の炉内でプレート54に取り付けられるであろう。
本発明の一実施形態では、1つまたは複数の圧電超音波装置が、溶融金属に接触するプレートまたはレセプタに対して直接的に取り付けられる。図3には、振動(超音波)プレート54に取り付けられた1つの圧電超音波トランスデューサ56を、この図示では、有する溶融金属コンベア50(側面壁部は図示されない)が図示されている。この実施形態では、プレートに供給される超音波出力を増強するためにブースタ58を使用すると好適である(しかし、必ずしも必要ではない)。
本発明の一態様では、振動エネルギーを供給する圧電トランスデューサは、電気接続のための取付ポイントを提供する電極間に挟まれたセラミック物質から形成され得る。電圧が電極を通してセラミックに印加されると、セラミックは超音波周波数で収縮する。本発明の一実施形態では、振動エネルギー供給源40として機能する圧電トランスデューサはブースタに取り付けられ、このブースタにより振動がプローブに伝達される。米国特許第9,061,928号(内容全体が、参照することにより本願に援用される)では、超音波トランスデューサ、超音波ブースタ、超音波プローブ、およびブースタ冷却ユニットを含む超音波トランスデューサ組立体が記載されている。’928特許に記載の超音波ブースタは、超音波トランスデューサにより生成された音響エネルギーを増幅し、かつ、増幅された音響エネルギーを超音波プローブに伝達するために、超音波トランスデューサに接続される。’928特許のブースタ構成は、上記の液体冷却媒体に対して直接的または間接的に接触する超音波プローブに対してエネルギーを提供するにあたり、本発明において有用であり得る。
実際、本発明の一実施形態では、超音波ブースタは超音波の分野では圧電トランスデューサにより作られた振動エネルギーを増幅または増強するために使用される。ブースタにより、振動の周波数は増減せず、振動の振幅が増大される。(ブースタが逆方向に設置された場合、ブースタは振動エネルギーを減少させ得る。)本発明の一実施形態では、ブースタは圧電トランスデューサとプローブとの間に接続される。超音波結晶粒微細化のためにブースタを使用する場合、以下は、圧電振動エネルギー供給源とともにブースタを使用することを例示する代表的ないくつかの方法ステップである。
1)電流が圧電トランスデューサに供給される。電流が供給されるとトランスデューサ内のセラミック片は収縮する。これにより電気的エネルギーが機械的エネルギーに変換される。
2)次にこれらの振動は、一実施形態では、ブースタに伝達され、ブースタにより機械的振動か増幅または増強される。
3)次に、ブースタからの増幅または増強された振動は、一実施形態では、プローブに伝搬される。次にプローブが超音波周波数で振動し、このようにしてキャビテーションが作られる。
4)振動プローブからのキャビテーションは鋳造バンドに衝撃を与える。鋳造バンドは、一実施形態では、溶融金属に対して接触する。
5)キャビテーションは、一実施形態では、デンドライトを分裂させ、等軸結晶粒構造が作られる。
図3の実施形態では、図示しないが、係るトランスデューサが、振動(超音波)プレート54の長手方向長さに沿って取り付けられ、かつ、振動(超音波)プレート54の長手方向長さに沿って均等に離間された状態で、2つ以上の超音波トランスデューサ56が存在し得る。上述のように、トランスデューサ56は必ずしも均等に離間される必要はない。さらに、これらのトランスデューサ56は、プレート54の幅の方向に横方向の分離が存在する状態で離間されてもよい。
図4には、2次元アレイにおいて振動プレート54の底部に取り付けられた複数のトランスデューサ52/56が図示されている。取り付けパターンは必ずしも(図示のような)規則的な格子パターンになる必要はない。例えば、取り付けパターンは不規則的な状態で離間され得る。代替的に、取り付けパターンは、より高い密度のトランスデューサ52/56が溶融金属を受容する振動プレート54の端部に存在する状態であってもよく、または、より高い密度が溶融金属を吐出する端部に存在する状態であってもよい。図5には、より高い密度が溶融金属を吐出する端部に存在する状態で2次元アレイにおいて振動プレート54の底部に取り付けられた複数のトランスデューサ52/56が図示されている。図5には、トランスデューサがレセプタプレートの長さに沿って対角線構成で配置され得ることも示されている。本発明の一実施形態では、振動エネルギーは、機械的に駆動される振動器を用いて印加される。機械的に駆動される振動器は、上記のトランスデューサ52/56の任意の1つまたは全部と交換されるであろう。
本発明に対して有用である機械的振動器は、より高い周波数またはより低い周波数も使用可能であるが、毎分8,000〜15,000回の振動で動作することが可能である。本発明の一実施形態では、振動機構は毎秒565〜5,000回の振動で振動するよう構成される。本発明の一実施形態では、振動機構は、毎秒数分の一回の振動というさらに低い値から、毎秒565回の振動という高い値までの周波数で振動するよう構成される。本発明に対して好適である機械的に駆動される振動の範囲は、例えば、毎分6,000〜9,000回の振動、毎分8,000〜10,000回の振動、毎分10,000〜12,000回の振動、毎分12,000〜15,000回の振動、および、毎分15,000〜25,000回の振動を含む。文献報告からの本発明に対して好適である機械的に駆動される振動の範囲は、例えば、133〜250Hzの範囲、200Hz〜283Hz(毎分12,000〜17,000回の振動)の範囲、および4〜250Hzの範囲を含む。さらに、鋳型ホイール30またはハウジング44を打撃するよう周期的に駆動される簡単なハンマーまたはプランジャ装置により、多様な機械的に駆動される発振が鋳型ホイール30またはハウジング44に印加されることが可能である。一般に機械的振動は10kHzまでの範囲であり得る。したがって本発明において使用される機械的振動に対して好適である範囲は、0〜10KHz、10Hz〜4000Hz、20Hz〜2000Hz、40Hz〜1000Hz、100Hz〜500Hz、および、565〜5,000Hzの好適な範囲を含むこれらの中間ならびに組み合わされた範囲を含む。
使用されるトランスデューサの種類に関わらず、トランスデューサは、プレート54に対して、機械接触または音響接触の状態で配置され得る。銀ブレージング(または他種類の高温合金)が、トランスデューサハウジングまたはブースタハウジングをプレート54に接合するために使用され得る。冷却媒体(圧縮空気、水、イオン流体、その他)はプレート54の内部流路を通って流れ得る。図6Aは金属コンベア50の側面図であり、この図面には、プレート54の厚さの中に配置され、かつ側面壁部62の下方に配置された、冷却媒体が流れるための内部流路60が示されている。冷却媒体は、プレートを横切って流れる金属の温度を低下させるために使用される。冷却媒体を通る振動エネルギーの何らかの結合が存在し得るが、振動エネルギーの大部分は、トランスデューサからプレート54の金属区域を通って溶融アルミニウムへと、直接的に結合される。
本発明の一実施形態では、冷却媒体(圧縮空気、水、イオン流体、その他)はプレート54の底側面を横切って流れることが可能である。冷却媒体は、プレートを横切って流れる金属の温度を低下させるために使用される。この冷却方法は、プレートの外部にあり、プレート54の厚さの中に配置され(またはその中に閉じ込められ)ない。ここで1つの事例では、強制空気渦流システムがプレート54の底側面にわたって気体を吹き込む。
振動プレート54の厚さは5cm〜0.5cmの範囲で変動し得る。振動プレート54の厚さは3cm〜1cmの範囲で変動し得る。振動プレート54の厚さは2cm〜1.5cmの範囲で変動し得る。振動プレート54の厚さは、その長さまたは幅に沿って必ずしも均一である必要はない。振動プレート54は、より薄い区域を有し得、この区域は、ダイヤフラムとしての機能がより大きく、振動を増幅させ得る。薄い振動プレートに対しては、冷却は、冷却管をプレート54および/または側面壁部62に取り付けることにより、提供され得る。ここではトランスデューサがプレート54の底部に取り付けられた状態で図示されているが、トランスデューサは側面壁部62上にも取り付けられてもよく、または代替的に側面壁部62上に取り付けられてもよい。
本発明の一実施形態では、振動プレート54は、注湯装置の底部(例えば図1において示される注湯口11の底部など)であり得る。代替的に、溶融金属コンベア50は注湯口11から溶融金属を受け取り、次いで溶融金属を鋳型ホイールに送達し得る。図6Bは、本発明に係る金属コンベア/注湯装置55を示す図である。図6Bにおいて示される装置55には、注湯装置(例えば、図1において示される注湯口11または図10において示されるタンディッシュ245)は、上述の溶融金属コンベア50上に溶融金属を送達するよう、構成および配置される。溶融金属は、溶融金属コンベア50に沿って(例えば重力により)搬送され、溶融金属コンベア50において溶融金属は冷却および上述の振動エネルギーを受ける。溶融金属コンベア50から出る溶融金属は多数の核を含み、これらの核は異種不純物に依存しない。
水が好都合な冷却媒体である一方で、他の冷媒も使用可能である。本発明の一実施形態では、冷却媒体は超冷却液体(例えば、摂氏0度〜摂氏ー196度であるかまたはそれよりも低い温度の流体であって、氷と液体窒素との間の温度で液体である液体)である。本発明の一実施形態では、超冷却液体(例えば液体窒素など)は超音波または他の振動エネルギー供給源に結合される。その最終的効果は、凝固速度が高くなり、より速い処理が可能となることである。本発明の一実施形態では、ローブ(単数または複数)から流出する冷却媒体は、キャビテーションを作るのみではなく、溶融金属を霧状化および超冷却するであろう。好適な実施形態では、その結果、鋳型ホイールのゾーンにおける熱伝達が大きくなる。
図7において示される本発明の一実施形態では、鋳造装置2は、溶融金属がその中に注湯される(例えば注がれる)格納構造体32(例えば鋳型ホイール30に設けられた溝槽またはチャネル)を有する鋳造ホイー30aを含む。図7には、溶融金属処理装置34が所望により含まれる実施形態が示されている。溶融金属処理装置34は、上記の米国特許出願整理番号第15/337,645号(内容全体が、参照されることにより本願に援用される)において説明されている。バンド36(例えば鉄鋼可撓性金属バンド)は溶融金属を格納構造体32(すなわち、チャネル)内に閉じ込める。溶融金属が鋳型ホイールのチャネル内で凝固し、溶融金属処理装置34から離間される方向に搬送される際に、ローラ38は、溶融金属処理装置34が、回転する鋳型ホイール上の静止位置に維持されることを、可能にする。
簡略には、溶融金属処理装置34は鋳型ホイール30上に装着された組立体42を含む。組立体42は、少なくとも1つの振動エネルギー供給源(例えば振動器40)、振動エネルギー供給源42を保持するハウジング44(すなわち支持装置)を含む。組立体42は、冷媒をその中を通して輸送するための少なくとも1つの冷却チャネル46を含む。可撓性バンド36はハウジング44の下面に取り付けられたシール44aによりハウジング44に対して密閉される。それにより冷却チャネルからの冷却媒体は、鋳型ホイールのチャネル内の溶融金属に対して反対側にある可撓性バンドの側面に沿って流れることが可能となる。
鋳造バンド(すなわち、振動エネルギーの受容体)は、クロム、ニオブ、ニオブ合金、チタン、チタン合金、タンタル、タンタル合金、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、レニウム、レニウム合金、鉄鋼、モリブデン、モリブデン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、セラミック、複合材料、または金属もしくは合金、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つまたは複数から作られ得る。
鋳造バンドの幅は25mm〜400mmの範囲であり得る。本発明の他の実施形態では、鋳造バンドの幅は50mm〜200mmの範囲である。本発明の他の実施形態では、鋳造バンドの幅は75mm〜100mmの範囲である。
鋳造バンドの厚さは0.5mm〜10mmの範囲であり得る。本発明の他の実施形態では、鋳造バンドの厚さは1mm〜5mmの範囲である。本発明の他の実施形態では、鋳造バンドの厚さは2mm〜3mmの範囲である。
溶融金属が振動器40の下方にある金属バンド36の下方を通過するため、省略可能な溶融金属処理装置34が利用される場合、金属の冷却および凝固が開始する際に振動エネルギーが追加的に溶融金属に供給される。本発明の一実施形態では、振動エネルギーは、例えば圧電素子超音波トランスデューサにより生成される超音波トランスデューサを用いて印加される。本発明の一実施形態では、振動エネルギーは、例えば磁歪トランスデューサにより生成される超音波トランスデューサを用いて付与される。本発明の一実施形態では、振動エネルギーは、機械的に駆動される振動器(後の箇所で説明する)を用いて印加される。一実施形態では、振動エネルギーにより複数の小さい種結晶が形成されることが可能となり、それにより微細な結晶粒金属製品が生成される。振動エネルギーのこれらの供給源は、図2〜図5を参照して上記で説明したものと同一種類の供給源である。
一態様では、鋳型ホイール30のチャネルは、例えば銅、鉄および鉄鋼、ニオブ、ニオブおよびモリブデン、タンタル、タングステン、およびレニウム、および、これらの物質の融点を上昇させることが可能であるシリコン、酸素、または窒素などの1つまたは複数の元素を含むこれらの合金などの耐熱性金属または他の高温物質であり得る。
本発明の一実施形態では、振動エネルギーのための超音波振動の供給源(プレート54に対する、または溶融金属処理装置34において使用するための)は20kHzにおいて1.5kWの出力を提供する。本発明は、これらの出力および周波数に限定されない。以下の範囲が対象とされるが、むしろ広範囲の出力および超音波周波数が使用されることが可能である。
出力:一般にソノトロードまたはプローブの寸法に応じて、各ソノトロードに対して50〜5000Wの範囲の出力。これらの出力は通常、ソノトロードの端部における出力密度が100W/cm2よりも高くなることが保証されるよう、ソノトロードに供給される。この値は、溶融金属の冷却速度、溶融金属の種類、および他の要因に応じて、溶融金属中にキャビテーションを発生させるための閾値とみなされ得る。このエリアにおける出力は、50〜5000W、100〜3000W、500〜2000W、1000〜1500Wの範囲であるか、または任意の中間または重なり合う範囲であり得る。より大きいプローブ/ソノトロードに対してはより高い出力、および、より小さいプローブに対してより低い出力が可能である。本発明の様々な実施形態では、印加される振動エネルギーの出力密度は、10W/cm2〜500W/cm2、もしくは20W/cm2〜400W/cm2、もしくは30W/cm2〜300W/cm2、もしくは50W/cm2〜200W/cm2、もしくは70W/cm2〜150W/cm2の範囲であるか、またはこれらの範囲の任意の中間もしくは重なり合う範囲であり得る。
周波数:一般に、5〜400kHz(または任意の中間の範囲)が使用され得る。代替的に、10および30kHz(または任意の中間の範囲)が使用され得る。代替的に、15および25kHz(または任意の中間の範囲)が使用され得る。印加される周波数は、5〜400KHz、10〜30kHz、15〜25kHz、10〜200KHz、もしくは50〜100kHzの範囲であるか、または、これらの範囲の任意の中間または重なり合う範囲であり得る。
これまでは超音波および機械的に駆動される実施形態について説明してきた(プレート54に適用可能であるか、または溶融金属処理装置34における使用のために)が、本発明は、これらの範囲のうちの1つの範囲または他の範囲に限定されるものではなく、単一の周波数供給源および複数の周波数供給源を含む、400kHzまでの広いスペクトルの振動エネルギーに対して使用され得る。加えて、供給源(以下に記載される、超音波および機械的に駆動される供給源、または異なる超音波供給源、または、異なる機械的に駆動される供給源、または音響エネルギー供給源)の組み合わせも使用されることが可能である。
本発明の様々な態様
本発明の一態様では、振動エネルギー(毎分8,000〜15,000回の範囲の振動または10KHzまでの、および/または、5〜400kHzの範囲の超音波周波数における、低周波数の機械的に駆動される振動器からの)が、溶融金属コンベア50もしくは溶融金属処理装置34に、またはその両方に、印加され得る。本発明の一態様では、複数の特異的な周波数の振動エネルギーが印加され得る。本発明の一態様では、振動エネルギーは、以下に列挙する金属および合金(すなわち、アルミニウム、銅、金、鉄、ニッケル、白金、銀、亜鉛、マグネシウム、チタン、ニオブ、タングステン、マンガン、鉄、およびこれらの合金ならびに組み合わせと、真鍮(銅/亜鉛)、青銅(銅/スズ)、鉄鋼(鉄/炭素)、クロマロイ(クロム)、ステンレス鋼(鉄鋼/クロム)、工具鉄鋼(カーボン/タングステン/マンガン、チタン(鉄/アルミニウム)、ならびに、1100、1350、2024、2224、5052、5154、5356、5183、6101、6201、6061、6053、7050、7075、8XXXシリーズを含む標準化された等級のアルミニウム合金、青銅(上述)を含む銅合金、亜鉛、スズ、アルミニウム、シリコン、ニッケル、銀の組み合わせが混合された銅合金、アルミニウム、亜鉛、マンガン、シリコン、銅、ニッケル、ジルコニウム、ベリリウム、カルシウム、セリウム、ネオジム、ストロンチウム、スズ、イットリウム、希土類が混合されたマグネシウム合金、鉄、ならびに、クロム、炭素、シリコン、クロム、ニッケル、カリウム、プルトニウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、鉛、マグネシウム、スズ、スカンジウムが混合された鉄合金、および、他の合金、および、これらの組み合わせ、を含む金属合金と、を含むがこれらに限定されない、多様な金属合金)に印加され得る。
本発明の一態様では、振動エネルギー(毎分8,000〜15,000回の範囲の振動または10KHzまでの、および/または、5〜400kHzの範囲の超音波周波数における、低周波数の機械的に駆動される振動器からの)が、プレート54もしくはバンド36を通して、またはその両方を通して、それぞれ、溶融金属コンベア50内の凝固する金属に、または溶融金属処理装置34の下方の金属に、結合される。本発明の一態様では、565〜5,000Hzの範囲の振動エネルギーが機械的に結合される。本発明の一側面では、振動エネルギーは、毎秒数分の一回の振動というさらに低い値から、毎秒565回の振動という高い値までの周波数で振動するよう機械的に駆動される。本発明の一態様では、振動エネルギーは、5kHz〜400kHzの範囲の周波数で超音波的に駆動される。
一態様では、冷却媒体は水などの液体媒体であり得る。一態様では、冷却媒体は圧縮空気または窒素などのガス状媒体であり得る。上述のように、強制空気渦流システムが、プレート54を冷却するためのガスを供給するために使用され得る。一態様では、冷却媒体は相変化物質であり得る。冷却媒体は、バンド36の近傍における金属が過冷却されるよう充分な速度で提供されると好適である(冷却媒体の温度は、合金の液相線温度を、摂氏5度〜摂氏10度より小さい値だけ、越える値であってもよく、または液相線温度より低い値であってさえもよい)。
本発明の一態様では、鋳造製品内の等軸結晶粒は、結晶粒の個数を増加させ、かつ、均一な異種混交的凝固を改善するために、ホウ化チタンなどの不純物粒子を金属または金属合金に添加することを必要とすることなく取得される。造核剤の使用に代わって、本発明の一態様では、振動エネルギーが、核生成部位を作るために使用され得る。
動作時、合金の液相線温度よりも実質的に高い温度の溶融金属が、重力により、溶融金属コンベア50から鋳型ホイール30のチャネルに流れ込み、所望により溶融金属処理装置34の下方を通過し、溶融金属処理装置34の下方で、振動エネルギー(すなわち超音波振動または機械的に駆動される振動)に曝露される。鋳型ホイールのチャネルに流れ込む溶融金属の温度は、とりわけ選択された合金の種類、注湯速度、および鋳型ホイールのサイズに依存する。アルミニウム合金に対して、鋳造温度は、華氏1220度〜華氏1350度の範囲であり、好適な範囲は、例えば華氏1220度〜華氏1300F度、華氏1220度〜華氏1280度、華氏1220度〜華氏1270度、華氏1220度〜華氏1340度、華氏1240度〜華氏1320度、華氏1250度〜華氏1300度、華氏1260度〜華氏1310度、華氏1270度〜華氏1320度、華氏1320度〜華氏1330度であり得る。ただし、重なり合う範囲ならびに中間の範囲、および±華氏10度の分散も好適である。鋳型ホイール30のチャネルは、チャネル内の溶融金属が液相線よりも低い温度(例えば、合金の液相線温度を、摂氏5度〜摂氏10度より小さい値だけ、越える温度であってもよく、または、液相線温度より低い温度でさえもよい。ただし注湯温度は摂氏10度をはるかに越える温度であり得る)に近くなることが保証されるよう、冷却される。動作時、溶融金属の周囲の雰囲気は、例えばAr、He、または窒素などの不活性ガスで充填またはパージされたシュラウド(図示せず)により制御され得る。鋳型ホイール30上の溶融金属は通常、溶融金属が液体から固体に変化するサーマルアレストの状態にある。
液相線温度より低い温度に近い過冷却の結果として、凝固速度は、固相・液相境界面を通して平衡が可能となるような充分に低い値ではない。そのため、鋳造棒において組成の変化が生じ得る。化学組成の不均一性により、偏析がもたらされる。加えて、偏析の量は、溶融金属中の様々な元素の拡散係数に、および、熱伝達率に、直接的に関連する。他の種類の偏析は、より低い融点を有する成分が最初に冷凍する場合である。
本発明の超音波的または機械的に駆動される振動の実施形態では、溶融金属が、溶融金属コンベア50内にあるか、または溶融金属処理装置34の下方にあるかに関わらず、振動エネルギーにより、溶融金属が冷却する際に、溶融金属が波立てられる。この実施形態では、溶融金属を波立てて効果的に攪拌するエネルギーを有する振動エネルギーが印加される。本発明の一実施形態では、機械的に駆動される振動エネルギーは、溶融金属が冷却される際に、溶融金属を連続的に攪拌するよう作用する。様々な鋳造合金処理では、アルミニウム合金中に高濃度のシリコンを有することが望ましい。しかし、より高いシリコン濃度において、シリコン沈殿が形成し得る。溶融状態に戻るようこれらの沈殿を「再混合」することにより、元素のシリコンは少なくとも部分的に溶液に戻り得る。代替的に、たとえ沈殿が残っていた場合でさえも、混合により、シリコン沈殿が偏析し、それにより、下流側の金属ダイおよびローラにさらなる磨損を生じさせることは、ないであろう。
様々な金属合金システムでは、合金の1つの成分(通常は融点がより高い成分)が純粋な形態で沈殿し、実質上、合金が純粋な成分の粒子で「汚染」された場合と同じ種類の効果が発生する。一般に、合金を鋳造した場合、偏析が発生し、それにより、溶質の濃度は、鋳物の全体で必ずしも一定ではない。これは、様々なプロセスにより生じ得る。デンドライトアーム間隔のサイズに匹敵する距離にわたり生じるミクロ偏析は、最初に形成される固体が最終的な平衡濃度よりも濃度が低く、その結果として、過度の溶質が液体中に分配され、それにより、後に形成された固体がより高い濃度を有することの結果であると考えられる。マクロ偏析は鋳物のサイズと同様の距離にわたり生じる。マクロ偏析は、鋳物が凝固する際の収縮効果、および、溶質が分配される際の液体の濃度における変化に関連する、いくつかの複雑な過程により生じ得る。全体を通して均一な特性を有する固体ビレットが与えられるよう、鋳造の際に偏析を防止することが望まれる。
したがって、本発明の振動エネルギー処理から利益を得るであろういくつかの合金は上述の合金を含む。
図8は、振動プローブ装置86を特に有する本発明の一実施形態に係る鋳型ホイール構成の概略図である。振動プローブ装置86は、鋳型ホイール80中の溶融金属鋳物に対して直接的に挿入されたプローブ(図示せず)を有する。溶融金属は、溶融金属コンベア50(上述)により鋳型ホイール80に供給され得る。振動プローブ装置86のプローブは、超音波脱ガスの分野において周知のものと同様の構成であろう。図8には、ローラ82がバンド88を鋳型ホイール80のリムに対して押圧する様子が示されている。振動プローブ装置86は、振動エネルギー(超音波または機械的に駆動されるエネルギー)を、鋳型ホイール80のチャネル(図示せず)中の溶融金属異物に、直接的または間接的に結合する。鋳型ホイール80が反時計方向に回転するにつれて、溶融金属はローラ82の下方を通過し、省略可能である溶融金属冷却装置84と接触する。
この実施形態では、振動エネルギーは、溶融金属が空気またはガスを通して冷却される間、鋳型ホイール80中の溶融金属に結合され得る。他の実施形態では、音響発振器(例えば音響増幅器)が、音響波を生成し、溶融金属中に伝達するために使用され得る。この実施形態では、上述の超音波または機械的に駆動される振動器は、音響発振器で置き換えられてもよく、または音響発振器により補助されてもよい。本発明に対して好適である音響増幅器は1〜20,000Hzの音響振動を提供するであろう。この範囲よりも高いかまたは低い音響振動も使用されることが可能である。例えば、0.5〜20Hz、10〜500Hz、200〜2,000Hz、1,000〜5,000Hz、2,000〜10,000Hz、5,000〜14,000Hz、および10,000〜16,000Hz、14,000〜20,000Hz、および18,000〜25,000Hzの音響振動の使用が可能である。電気音響的トランスデューサが音響エネルギーを生成および伝達するために使用され得る。
本発明の一実施形態では、音響エネルギーはガス状媒体を通して溶融金属に直接的に結合され得る。この場合、音響エネルギーは溶融金属を振動させる。本発明の一実施形態では、音響エネルギーはガス状媒体を通して溶融金属に間接的に結合され得る。この場合、音響エネルギーは、溶融金属を含むバンド36または他の支持構造体を振動させ、次にバンド36または他の支持構造体が溶融金属を振動させる。
本発明は、固定鋳型および垂直型鋳造装置においても利用される。
静止型装置に対しては、溶融金属は、図9において示される静止鋳型62に注湯されるであろう。なお静止鋳型62は、この鋳型自体が溶融金属処理装置34(概略的に示されている)を有する。一実施形態では、溶融金属処理装置34は、溶融金属コンベア50で置き換えられるか、または溶融金属コンベア50で補足されるであろう。このように、振動エネルギー(毎分8,000〜15,000回の範囲の振動または10KHzまでの、および/または、5〜400kHzの範囲の超音波周波数における、低周波数の機械的に駆動される振動器からの)は、溶融金属が溶融状態から冷却を開始し固体状態に入る、静止鋳造における時点(すなわちサーマルアレスト状態)において核生成を誘導し得る。
図10A〜図10Dには、垂直型鋳造装置の選択された構成要素が図示されている。垂直型鋳造装置のこれらの構成要素および他の側面に関するさらなる詳細は、米国特許第3,520,352号(内容全体が、参照することにより本願に援用される)に見られる。図面10A〜図10Dにおいて示されているように、垂直型鋳造装置は溶融金属鋳込み空間213を含む。溶融金属鋳込み空間213は、図示の実施形態では略正方形であるが、円形、楕円形、多角形、または任意の他の好適な形状であってもよく、鋳型の上部部分に配置された、垂直で、かつ、互いに交差し合う、第1壁部部分215と、第2壁部部分またはコーナー壁部部分217と、により取り囲まれる。流体保持外囲体219は、鋳込み空間の壁部215およびコーナー部材217を、鋳込み空間の壁部215およびコーナー部材217から離間された状態で取り囲む。外囲体219は、流入導管221を介して水などの冷却流体を受容し、流出導管223を介して冷却流体を放出するよう、適応される。
第1壁部部分215は銅などの高い熱伝導性を有する物質製であると好適であるが、第2壁部部分またはコーナー壁部部分217は例えばセラミック物質などのさほど熱伝導性が高くない物質で構築される。図面10A〜図10Dにおいて示されているように、コーナー壁部部分217は略L字形状または角のある断面を有し、各コーナーの垂直縁部は、下方に、かつ、互いに向かって集まるように、傾斜する。したがってコーナー部材217は、横断面間にある鋳型の放出端部の上方における鋳型における何らかの好都合なレベルにおいて終端する。
動作時、溶融金属はタンディッシュ245から、垂直に往復する鋳型に流れ込み、金属の鋳造撚り線が鋳型から連続的に引き出される。溶融金属は、まず、より低温の鋳型壁部に対して接触する時点で冷却される。この鋳型壁部は第1冷却ゾーンとみなされ得る。タンディッシュ245は、その構成要素の1部分として、溶融コンベア50を含んでもよく、または溶融コンベア50はタンディッシュ245と溶融金属鋳込み空間213との間に配置されてもよい。熱は、このゾーンにおいて溶融金属から素早く除去され、物質の表面が、溶融金属の中央プールを完全に取り囲んで形成されると考えられる。
本発明の一実施形態では、溶融コンベア50の振動エネルギー供給源は、金属が固定鋳型に流れ込む以前に、溶融金属中に核を生成させる。本発明の一実施形態では、上述の超音波結晶粒微細化が上記の超音波脱ガスと組み合わされると、金属が鋳造される以前に溶融槽から不純物が除去される。
図11は、超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化の両方を利用する本発明の一実施形態を示す概略図である。図11において示されているように、炉が溶融金属の供給源である。溶融金属はロンダー内で炉から輸送される。本発明の一実施形態では、超音波脱ガス装置は、超音波結晶粒微細化装置(図示せず)を含む鋳造機械(例えば鋳型ホイール)に溶融金属が提供される以前の、ロンダーの経路内に配置される。本発明の一実施形態では、超音波脱ガス装置は、溶融金属が鋳造機械に提供される(例えば鋳型ホイール上に注湯される)以前に、溶融金属コンベア50に配置される。
以下の特定的な超音波脱ガス装置に限定されるものではないが、’336特許では、本発明の異なる実施形態に対して好適である脱ガス装置が説明されている。1つの好適な脱ガス装置は、超音波トランスデューサを有する超音波装置と、第1端部および第2端部を含む長尺プローブであって、第1端部は超音波トランスデューサに取り付けられ、第2端部は先端部を含む、長尺プローブと、パージ用ガス送達システムであって、パージ用ガス流入口およびパージ用ガス流出口を含み得る、パージ用ガス送達システムと、であろう。他の実施形態ではパージ用ガス流出口は長尺プローブの先端部にあってもよいが、いくつかの実施形態ではパージ用ガス流出口は長尺プローブの先端部の約10cm(または5cm、もしくは1cm)以内であってもよい。加えて超音波装置は1台の超音波トランスデューサあたり複数のプローブ組立体および/または複数のプローブを含み得る。
以下の特定的な超音波脱ガス装置に限定されるものではないが、’387特許では、本発明の異なる実施形態に対してまた好適である脱ガス装置が説明されている。1つの好適な脱ガス装置は、超音波トランスデューサを有する超音波装置と、超音波トランスデューサに取り付けられたプローブであって、先端部を含む、プローブと、ガス流入口、プローブを通るガス経路、およびプローブの先端部に設けられたガス流出口を含むガス送達システムと、であろう。一実施形態では、プローブは、第1端部および第2端部を含む長尺プローブであって、第1端部は超音波トランスデューサに取り付けられ、第2端部は先端部を含む、長尺プローブであり得る。さらに、プローブは、ステンレス鋼、チタン、ニオブ、セラミックなど、またはこれらの物質のうちの任意の物質の組み合わせを含み得る。他の実施形態では、超音波プローブは、一体化されたガス送達システムがその中を通る状態の単体サイアロンプローブであり得る。さらに他の実施形態では、超音波装置は、1台の超音波トランスデューサあたり複数のプローブ組立体および/または複数のプローブを含み得る。
本発明の一実施形態では、例えば上述の超音波プローブを使用する超音波脱ガスは超音波結晶粒微細化を補完する。超音波脱ガスの様々な事例では、パージ用ガスは上述のプローブにより約1〜約50L/分の範囲の速度で溶融金属に加えられる。流速が約1〜約50L/分の範囲である開示により、流速は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、または約50L/分であり得る。加えて流速は約1〜約50L/分の任意の範囲内であり得(例えば流速は、約2〜約20L/分の範囲内)、これは約1〜約50L/分の範囲の任意の組み合わせも含む。中間の範囲も可能である。同様に、本明細書で開示の他のすべての範囲も同様に解釈されるべきである。
超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化に関する本発明の様々な実施形態は、アルミニウム、銅、鉄鋼、亜鉛、マグネシウムなど、またはこれらの金属および他の金属の組み合わせ(例えば合金)を含むがこれらに限定されない金属を含む、溶融金属の超音波脱ガスのためのシステム、方法、および/または装置を提供し得る。溶融金属から製品を処理または鋳造することは溶融金属を含む処理槽を要求し得、溶融金属のこの処理槽は、高温に保たれ得る。例えば、溶融されたアルミニウムは、およそ摂氏750度の温度に維持され得る一方で、溶融された銅は、およそ摂氏1100度の温度に維持され得る。
本明細書で使用される「処理槽」、「溶融金属槽」、などの用語は、容器、坩堝、溝槽、ロンダー、炉、取鍋、その他を含む、溶融金属を含み得る任意の容器を含むことを意味するものである。処理槽および溶融金属槽という用語は、バッチ、連続、半連続、その他を含むものとして使用され、例えば、ここでは、溶融金属は全般に静止状態にあり(例えば、多くの場合、坩堝に関連付けられる)、溶融金属は全般に移動状態にある(例えば多くの場合、ロンダーに関連付けられる)。
多数の器具または装置は、処理槽内の溶融金属の状態を監視、試験、または変更するために、および、所望の金属製品の最終生成または鋳造のために、使用され得る。溶融金属槽内に遭遇される高温をより良好に耐えるために、好適にはより長い寿命を有し、金属が、アルミニウムまたは銅、または鉄鋼、または亜鉛、またはマグネシウム、その他であった(アルミニウムまたは銅、または鉄鋼、または亜鉛、またはマグネシウム、その他を含んだとしても)としても、溶融金属に対する無反応性に限定されない、これらの器具または装置が必要とされる。
さらに、溶融金属は、溶融金属中に溶解された1つまたは複数のガスを有し得る。これらのガスは、所望の金属製品の最終生成物および鋳物に対して、および/または、結果的に生成される金属製品自体の物理的特性に対して、悪影響を及ぼし得る。例えば、溶融金属中に溶解されたガスは、水素、酸素、窒素、二酸化硫黄など、またはこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの状況では、ガスを除去すること、または溶融金属中のガスの量を低減させることは、有利であり得る。例えば、溶解された水素は、アルミニウム(または銅もしくは他の金属、または合金)の鋳造において有害であり、したがってアルミニウム(または銅もしくは他の金属または合金)から生産された仕上げ済み製品の特性は、アルミニウム(または銅もしくは他の金属または合金)の溶融槽に同伴された水素の量を低減させることにより、改善され得る。質量基準で0.2ppmを越える、0.3ppmを越える、または0.5ppmを越える溶解された水素は、鋳込み速度と、結果的に生成されるアルミニウム(または銅もしくは他の金属または合金)棒および他の製品の品質と、に対して有害な効果を有し得る。水素は、溶融アルミニウム(または銅もしくは他の金属または合金)を含む処理槽の上方の空気中に水素自体が存在することにより、溶融アルミニウム(または銅もしくは他の金属または合金)に入り込む場合もあり、または、溶融アルミニウム(または銅もしくは他の金属または合金)槽中で使用されるアルミニウム(または銅もしくは他の金属または合金)原料出発物質中に存在する場合もある。
溶融金属槽中の溶解されたガスの量の軽減化が試みられてきたが、その努力は必ずしも完全に成功したとはいえない。多くの場合、過去におけるこれらの処理には、追加的で高価な機材の他にも、有害となり得る物質が用いられた。例えば、溶解されたガス含有量を低減させるために金属鋳造産業で使用される処理はグラファイトなどの物質製のロータから構成され得、これらのロータは溶融金属槽内に配置され得る。追加的に塩素ガスが溶融金属槽内のロータの近傍位置において溶融金属槽に添加され得る。塩素ガス添加は、いくつかの状況において例えば溶融金属槽内の溶解された水素の量を低減化に資する場合もあるが、この従来の処理は注目すべき欠点があり、係る欠点の一部としては、コスト、複雑性、および、危険となる可能性を有し、かつ環境的に有害となる可能性を有する、塩素ガスの使用が挙げられる。
追加的に、溶融金属は、溶融金属中に不純物を有し得、これらの不純物は、所望の金属製品の最終生成物および鋳物に対して、および/または、結果的に生成される金属製品自体の物理的特性に対して、悪影響を及ぼし得る。例えば溶融金属中の不純物は、溶融金属中における存在が要求されることも望まれることもないアルカリ金属または他の金属を含み得る。数パーセントの特定物質か様々な金属合金中に存在し、係る金属は不純物とはみなされないであろう。非限定的な例として不純物は、リチウム、ナトリウム、カリウム、鉛など、またはこれらの組み合わせを含み得る。多様な不純物が、溶融金属槽中で使用される、入ってくる金属原料出発物質中に存在することにより、溶融金属槽(アルミニウム、銅、または他の金属もしくは合金)に入り込み得る。
超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化に関する本発明の様々な実施形態は、溶融金属槽中の溶解ガスの量を低減するための方法を、あるいは換言すると、溶融金属を脱ガスするための方法を、提供し得る。1つの係る方法は、溶融金属槽中で超音波装置を動作させること、および、超音波装置の近傍において溶融金属槽にパージ用ガスを導入することを含み得る。溶解ガスは、酸素、水素、二酸化硫黄など、またはこれらの組み合わせであってもよく、またはこれらを含んでもよい。例えば溶解ガスは、水素であってもよく、または水素を含んでもよい。溶融金属槽は、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄鋼、マグネシウムなど、または、これらの混合物および/または組み合わせ(例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄鋼、マグネシウム、その他の多様な合金を含む)を含み得る。超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化に関連するいくつかの実施形態では、溶融金属槽はアルミニウムを含む場合もあり、その一方で他の実施形態では、溶融金属槽は銅を含む場合もある。したがって、溶融金属槽中の溶融金属はアルミニウムであってもよく、または代替的に、溶融金属は銅であってもよい。
さらに、本発明の様々な実施形態は、溶融金属槽中に存在する不純物の量を低減するための方法を、あるいは換言すると、不純物を除去するための方法を、提供し得る。超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化に関する1つの係る方法は、溶融金属槽中で超音波装置を動作させること、および、超音波装置の近傍において溶融金属槽にパージ用ガスを導入することを含み得る。不純物は、リチウム、ナトリウム、カリウム、鉛など、またはこれらの組み合わせであってもよく、またはこれらを含んでもよい。例えば不純物は、リチウムであってもよく、もしくはリチウムを含んでもよく、または代替的にナトリウムであってもよく、もしくはナトリウムを含んでもよい。溶融金属槽は、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄鋼、マグネシウムなど、または、これらの混合物および/または組み合わせ(例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄鋼、マグネシウム、その他の多様な合金を含む)を含み得る。いくつかの実施形態では、溶融金属槽はアルミニウムを含む場合もあり、その一方で他の実施形態では、溶融金属槽は銅を含む場合もある。したがって、溶融金属槽中の溶融金属はアルミニウムであってもよく、または代替的に、溶融金属は銅であってもよい。
本明細書で開示の、脱ガスの方法および/または不純物を除去する方法において利用される、超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化に関するパージ用ガスは、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、および/またはキセノンのうちの1つまたは複数を含み得るが、これらに限定されない。任意の好適なガスが、係るガスが溶融金属槽中の特定の金属(単数または複数)に対して感知可能に反応または溶解するものでないかぎり、パージ用ガスとして使用され得るものと考えられる。加えて、ガスの混合物または組み合わせも用いられ得る。本明細書で開示のいくつかの実施形態によれば、パージ用ガスは不活性ガスであってもよく、または不活性ガスを含んでもよい。代替的にパージ用ガスは希ガスであってもよく、または希ガスを含んでもよい。代替的にパージ用ガスはヘリウム、ネオン、アルゴン、もしくはこれらの組み合わせであってもよく、またはこれらを含んでもよい。代替的にパージ用ガスはヘリウムであってもよく、または気体ヘリウムを含んでもよい。代替的にパージ用ガスはネオンであってもよく、またはネオンを含んでもよい。または代替的にパージ用ガスはアルゴンであってもよく、またはアルゴンを含んでもよい。加えて、いくつかの実施形態では従来の脱ガス技術が本明細書で開示の超音波脱ガス処理と併せて使用可能である。したがって、パージ用ガスは、いくつかの実施形態では、塩素ガスをさらに含み得る(例えば、パージ用ガスとして、塩素ガスを単独で使用すること、または、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、および/またはキセノンのうちの少なくとも1つと組み合わせて、使用するなど)。
しかし本発明の他の実施形態では、脱ガスのための超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化に関する方法、または、溶融金属槽中の溶解ガスの量を低減するための方法は、塩素ガスが実質的に不在の状態、または塩素ガスがまったく存在しない状態で、実施され得る。本明細書で使用される、実質的に不在とは、使用されるパージ用ガスの量に基づいて塩素ガスがわずか5重量%しか使用されないことを意味する。いくつかの実施形態では、本明細書で開示の方法はパージ用ガスを導入することを含み得、このパージ用ガスは、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され得る。
溶融金属槽に導入されるパージ用ガスの量は、いくつかの要因に応じて変動し得る。多くの場合、本発明の様々な実施形態にしたがって、溶融金属を脱ガスする方法において(および/または溶融金属から不純物を除去する方法において)導入される超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化に関するパージ用ガスの量は約0.1〜約150標準リットル/分(L/分)の範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、導入されるパージ用ガスの量は、約0.5〜約100L/分、約1〜約100L/分、約1〜約50L/分、約1〜約35L/分、約1〜約25L/分、約1〜約10L/分、約1.5〜約20L/分、約2〜約15L/分、または約2〜約10L/分の範囲内であり得る。これらの体積流量の単位は標準リットル/分(すなわち標準温度(摂氏21.1度)および標準圧力(101kPa)における)である。
連続または半連続溶融金属処理では、溶融金属槽に導入されるパージ用ガスの量は、溶融金属の出力速度または生産速度に応じて変動し得る。したがって超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化に関する係る実施形態に係る溶融金属を脱ガスする方法において(および/または、溶融金属から不純物を除去する方法において)導入されるパージ用ガスの量は、溶融金属のkg/時あたり約10〜約500mL/時のパージ用ガス(パージ用ガスmL/溶融金属kg)の範囲内に含まれ得る。いくつかの実施形態では、パージ用ガスの体積流量と溶融金属の出力速度との比は、約10〜約400mL/kg、代替的に約15〜約300mL/kg、代替的に約20〜約250mL/kg、代替的に約30〜約200mL/kg、代替的に約40〜約150mL/kg、または代替的に約50〜約125mL/kgの範囲内であり得る。上記のように、パージ用ガスの体積流量は、標準温度(摂氏21.1度)および標準圧力(101kPa)における値である。
超音波脱ガスならびに超音波結晶粒微細化に関する、本発明の様々な実施形態に係る溶融金属を脱ガスするための方法は、溶融金属槽中に存在する溶解ガスを約10重量パーセントを越える量で除去することにおいて効果的であり得る。すなわち、溶融金属槽中の脱溶解ガスの量は、ガス処理が用いられる以前に存在した溶解ガスの量から、約10重量パーセントを越える量が低減され得る。いくつかの実施形態では、溶解ガスの量は、脱ガス方法が用いられる以前に存在した溶解ガスの量から、約15重量パーセントを越える量、約20重量パーセントを越える量、約25重量パーセントを越える量、約35重量パーセントを越える量、約50重量パーセントを越える量、約75重量パーセント、または約80重量パーセントを越える量が、低減され得る。多くの場合、溶融金属中の水素含有量は、約0.4ppm、約0.5ppm、約0.6ppm、約0.7ppm、約0.8ppm、約0.9ppm、約1ppm、約1.5ppm、約2ppm、または2ppmを越える値であり得る。多くの場合、溶融金属中の水素含有量は、約0.4ppm、約0.5ppm、約0.6ppm、約0.7ppm、約0.8ppm、約0.9ppm、約1ppm、約1.5ppm、約2ppm、または2ppmを越える値であり得る。本発明の様々な実施形態で開示の方法を用いることにより、溶融金属槽中の溶解ガスの量が、約0.4ppm未満に、代替的に約0.3ppm未満に、代替的に約0.2ppm未満に、代替的に約0.1〜約0.4ppmの範囲内に、代替的に約0.1〜約0.3ppmの範囲内に、または代替的に約0.2〜約0.3ppmの範囲内に、低減され得るものと考えられる。これらの実施形態、および他の実施形態では、溶解ガスは、水素であってもよく、または水素を含んでもよく、溶融金属槽は、アルミニウムおよび/または銅であってもよく、またはアルミニウムおよび/または銅を含んでもよい。
超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化に関し、かつ、脱ガス(例えば、溶融金属を含む処理槽中の溶解ガスの量を低減すること)の方法に、または、不純物を除去する方法に、向けられた本発明の様々な実施形態は、溶融金属槽中で超音波装置を動作させることを含み得る。超音波装置は超音波トランスデューサおよび長尺プローブを含み得、プローブは第1端部および第2端部を含み得る。第1端部は超音波トランスデューサに取り付けられ得、第2端部は先端部を含み得、長尺プローブの先端部はニオブを含み得る。本明細書で開示の処理および方法において用いられ得る、超音波装置の例示的かつ非限定的な事例に関する詳細については以下で説明する。
超音波脱ガス処理に、または、不純物除去処理に関するものであるため、パージ用ガスは、例えば超音波装置の近傍位置において、溶融金属槽中に導入され得る。いくつかの実施形態では、パージ用ガスは、超音波装置の先端部の近傍位置において、溶融金属槽中に導入され得る。一実施形態では、パージ用ガスは、超音波装置の先端部の約1メートル内(例えば、約100cm内、約50cm内、約40cm内、約30cm内、約25cm内、または約20cm内)で、溶融金属槽中に導入され得る。いくつかの実施形態では、パージ用ガスは、超音波装置の先端部の約15cm内、代替的に約10cm内、代替的に約8cm内、代替的に約5cm内、代替的に約3cm内、代替的に約2cm内、または代替的に約1cm内で、溶融金属槽中に導入され得る。特定の実施形態では、パージ用ガスは、超音波装置の先端部の近傍に、または超音波装置の先端部を通して、溶融金属槽中に導入され得る。
この理論に拘束されることを意図するものではないが、超音波装置を使用し、きわめて近接した状態でパージ用ガスを組み込むことは、溶融金属を含む処理槽中の溶解ガスの量に低減化をもたらす。超音波装置により生成された超音波エネルギーは、溶融金属中にキャビテーション気泡を作り得、そのキャビテーション気泡中に溶解ガスが拡散し得る。しかしパージ用ガスが存在する状況では、これらのキャビテーション気泡のうちの多くが、溶融金属槽の表面に到達する以前に、崩壊し得る。パージ用ガスは、表面に到達する前に崩壊するキャビテーション気泡の量を減少させ得、および/または、溶解ガスを含むキャビテーション気泡のサイズを増加させ得、および/または、溶融金属槽中のキャビテーション気泡の個数を増加させ得、および/または、溶解ガスを含むキャビテーション気泡が溶融金属槽の表面に輸送される速度を増加させ得る。超音波装置は、超音波装置の先端部にきわめて近接した範囲内でキャビテーション気泡を作り得る。例えば、約2〜5cmの直径を有する先端部を有する超音波装置に対して、キャビテーション気泡は、崩壊する以前に、超音波装置の先端部の約15cm、約10cm、約5cm、約2cm、または約1cm内となり得る。パージ用ガスが超音波装置の先端部から過剰に離間した距離において加えられた場合、パージ用ガスはキャビテーション気泡中に拡散することが不可能となり得る。したがって、超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化に関する様々な実施形態では、パージ用ガスは、超音波装置の先端部の約25cmまたは約20cm内で、より有利には、超音波装置の先端部の約15cm内、約10cm内、約5cm内、約2cm内、または約1cm内で、溶融金属槽に導入される。
本発明の様々な実施形態に係る超音波装置は、例えば米国特許公報第2009/0224443号(本明細書において参照することによりその全体が援用される)で開示されているように、アルミニウムまたは銅などの溶融金属に対して接触し得る。溶融金属中の溶解ガス含有量(例えば水素)を低減するための超音波装置では、ニオブまたはその合金が、装置が溶融金属に曝露された際の装置に対する保護防壁として、または、溶融金属に対して直接的に曝露する装置の構成要素として、使用され得る。
超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化に関する本発明の様々な実施形態は、溶融金属に対して直接的に接触する構成要素の寿命を向上させるためのシステムおよび方法を提供し得る。例えば、本発明の様々な実施形態では、溶融金属に対して接触する物質の劣化を低減させ、それにより最終製品において顕著な品質改善がもたらされるよう、ニオブが使用され得る。換言すると、本発明の様々な実施形態は、保護防壁としてニオブを使用することにより、溶融金属に対して接触する物質または成分の寿命を向上させるか、または係る物質または成分を保持し得る。ニオブは、本発明の前述の実施形態を提供することを支援し得る特性(例えば、その高い融点)を有し得る。加えて、ニオブは摂氏約200度を超える温度に曝露されたときに保護的な酸化物防壁を形成し得る。
さらに、超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化に関する本発明の様々な実施形態は、溶融金属に対して直接的に接触または結合する構成要素の寿命を向上させるためのシステムおよび方法を提供し得る。ニオブが特定の溶融金属に対して低い反応性を有するため、ニオブの使用は基板物質が劣化することを防止し得る。したがって、超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化に関する本発明の様々な実施形態では、基板物質の劣化を低減させ、それにより最終製品において顕著な品質改善がもたらされるよう、ニオブが使用され得る。したがって溶融金属と組み合わされたニオブにおいては、ニオブの高い融点と、溶融金属(例えばアルミニウムおよび/または銅など)に対するその低い反応性と、が組み合わされ得る。
いくつかの実施形態では、ニオブまたはニオブの合金は、超音波トランスデューサおよび長尺プローブを含む超音波装置において使用され得る。長尺プローブは第1端部および第2端部を含み得、第1端部は超音波トランスデューサに取り付けられ得、第2端部は先端部を含み得る。この実施形態によれば、長尺プローブの先端部はニオブ(例えば、ニオブまたはニオブの合金)を含み得る。超音波装置は、上述のように、超音波脱ガス処理において使用され得る。超音波トランスデューサは超音波を生成し得、トランスデューサに取り付けられたプローブは、例えばアルミニウム、銅、亜鉛、鉄鋼、マグネシウムなど、または、これらの混合物および/または組み合わせ(例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄鋼マグネシウム、その他の様々な合金を含む)などの溶融金属を含む処理槽に超音波を伝達し得る。
本発明の様々な実施形態では、超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化の組み合わせが使用され得る。超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化の組み合わせの使用は、以下の記載のように、組み合わされた場合、および別個で用いられた場合の両方において利点を提供する。以下の説明に限定されるものではないが、以下の説明は、超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化の組み合わせに付随し、かつ、超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化のうちのいずれか一方のみが使用された場合には期待されないであろう鋳造製品の全体的な品質における改善(単数または複数)をもたらす、比類のない効果に関する理解を提供する。これらの効果は、この組み合わされた超音波処理の開発において、発明者らにより実現化されている。
超音波脱ガスにおいて、塩素系の化学物質(超音波脱ガスが使用されない場合に利用される)は金属鋳造処理から除去される。化学物質としての塩素が溶融金属槽中に存在する場合、塩素は、反応して、存在し得るアルカリなどの処理槽中の他の元素に対する強力な化学結合を形成することが可能である。アルカリが存在する場合、安定な塩が溶融金属槽中に形成される。安定な塩は鋳造金属製品中における包含をもたらすこととなり、その電気伝導性および機械的特性に劣化が生じる。超音波結晶粒微細化を用いない場合、ホウ化チタンなどの化学物質結晶粒微細化剤が使用されるが、これらの物質は通常、アルカリを含む。
したがって、超音波脱ガスにより処理元素としての塩素が除去され、超音波結晶粒微細化により結晶粒微細化剤(アルカリの供給源)が除去されることにより、安定的な塩が形成される可能性と、結果的に鋳造金属製品中における包含形成と、が実質的に低減される。さらに、これらの異種の元素が不純物として除去されることにより、鋳造金属製品の電気伝導性が改善される。したがって本発明の一実施形態では、不純物の主要な供給源の2つが、1つの異種の不純物を他の不純物で代替することなく、除去されるため、超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化の組み合わせは、結果的に生成される鋳造製品が優れた機械的特性および電気伝導特性を有することを意味する。
超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化の組み合わせにより提供される他の利点は、超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化の両方が溶融槽を効果的に「攪拌」し、それにより溶融物質が均質化されるという事実に関する。金属の合金が溶融され、次に凝固するよう冷却されると、異なる合金部分の融点がそれぞれ異なるため、合金の中間相が存在し得る。本発明の一実施形態では、超音波脱ガスおよび超音波結晶粒微細化の両方は、中間相を攪拌および混合して、中間相を溶融相に戻す。
これらの利点の全部は、結晶粒が小さく、超音波脱ガスまたは超音波結晶粒微細化のいずれか一方が使用された場合に、または、一方もしくは両方が従来の塩素処理で置き換えられるか、もしくは化学的結晶粒微細化剤が使用された場合に、期待されるよりも、より少ない不純物、より少ない包含、良好な電気伝導性、良好な延性、および、より高い引っ張り強度を有する製品を取得することを可能にする。
金属製品
本発明の本発明の一態様では、鋳造金属組成を含む製品は、結晶粒微細化剤を必要とすることなく、上述の鋳型ホイールのチャネル内または鋳造構造体内で形成されることが可能であり、依然としてミリメートル未満の結晶粒サイズを有する。したがって、鋳造金属組成物は、5%未満の結晶粒微細化剤を含む組成物を用いて作られることが可能であり、依然として1ミリメートル未満の結晶粒サイズが取得される。鋳造金属組成物は、2%未満の結晶粒微細化剤を含む組成を用いて作られることが可能であり、依然として1ミリメートル未満の結晶粒サイズが取得される。鋳造金属組成物は、1%未満の結晶粒微細化剤を含む組成を用いて作られることが可能であり、依然として1ミリメートル未満の結晶粒サイズが取得される。好適な組成では、結晶粒微細化剤は、0.5%未満、または0.2%未満、または0.1%未満である。鋳造金属組成物は、結晶粒微細化剤をまったく含まない組成を用いて作られることが可能であり、依然として1ミリメートル未満の結晶粒サイズが取得される。
鋳造金属組成物は、「純粋」金属または合金の成分、注湯速度、注湯温度、冷却速度を含むいくつかの要因に応じて、多様なミリメートル未満の結晶粒サイズを有し得る。本発明に対して利用可能な結晶粒サイズのリストは以下を含む。アルミニウムおよびアルミニウム合金に対して、結晶粒サイズは、200〜900ミクロン、または300〜800ミクロン、または400〜700ミクロン、または500〜600ミクロンの範囲である。銅および銅合金に対して、結晶粒サイズは、200〜900ミクロン、または300〜800ミクロン、または400〜700ミクロン、または500〜600ミクロンの範囲である。金、銀、もしくはスズまたはこれらの合金に対して、結晶粒サイズは、200〜900ミクロン、または300〜800ミクロン、または400〜700ミクロン、または500〜600ミクロンの範囲である。マグネシウムまたはマグネシウム合金に対して、結晶粒サイズは、200〜900ミクロン、または300〜800ミクロン、または400〜700ミクロン、または500〜600ミクロンの範囲である。範囲で与えられてはいるが、本発明では中間の値も可能である。本発明の本発明の一態様では、低濃度(5%)未満の結晶粒微細化剤が、結晶粒サイズを100〜500ミクロンの範囲の値にさらに減少させるために、添加されてもよい。鋳造金属組成物は、アルミニウム、銅、マグネシウム、亜鉛、鉛、金、銀、スズ、青銅、真鍮、およびこれらの合金を含み得る。
鋳造金属組成物は、バーストック、棒状体、ストック、シートストック、ワイヤ、ビレット、およびペレットに引き出されるかまたは別様に形成されることが可能である。
コンピュータ化制御
図1における制御器500(例えば)は、図12において示されるコンピュータシステム1201により実装されることが可能である。コンピュータシステム1201は、本発明の超音波処理を用いる、上述の、または、任意の他の、鋳造システムもしくは装置を制御するための制御器500として使用され得る。図1では、1つの制御器として単独で図示されているが、制御器500は、相互に通信し合う個別および分離した、および/または、特定の制御機能専用のプロセッサを、含み得る。
特に、制御器500は、特に図13におけるフローチャートにより示される機能を実行する制御アルゴリズムを用いてプログラムされ得る。
図13には、フローチャートが図示されており、このフローチャートの要素は、コンピュータ可読媒体において、または以下で説明するデータ記憶装置のうちの1つにおいて、プログラムまたは格納され得る。図13のフローチャートには、金属製品中に核生成部位を誘導するための本発明の方法が図示されている。ステップ要素1802において、プログラムされた要素は、溶融金属コンベアに溶融金属を注湯する動作を指示するであろう。ステップ要素1804において、プログラムされた要素は、例えば、コンベア内の冷却チャネルまたはコンベアに取り付けられた冷却チャネルを通る液体媒体の流れまたは通過を制御することにより、溶融金属格納構造体を冷却する動作を指示するであろう。ステップ要素1806において、プログラムされた要素は、コンベア上の溶融金属に接触するコンベアに対して振動エネルギーを直接的に結合する動作を指示するであろう。この要素では、振動エネルギーは、上述のように溶融金属中で核生成部位を誘導する周波数および出力を有するであろう。ステップ1804において、溶融金属の冷却は、レセプタプレートの近傍を流れる冷却媒体を制御することにより(例えば、レセプタプレートの全域を冷却し、レセプタプレートの全域にわたり送風される渦流を制御することにより)発生し得る。
様々な要素(例えば、溶融金属温度、注湯速度、冷却チャネル流路を通る冷却流、および鋳型冷却、および、振動エネルギー供給源(例えば溶融金属コンベア50の振動エネルギー供給源)の出力ならびに周波数の制御を含む、制御、ならびに、圧延機を通して鋳造製品を引き出すことに関する要素など)が、溶融金属中に核生成部位を誘導するための本発明の方法を適用するための命令を含む特殊用途プロセッサを生成するために、標準的なソフトウェア言語(以下で説明する)を用いてプログラムされるであろう。
さらに詳細には、図12において示されるコンピュータシステム1201は、情報を通信するためのバス1202またはその他の通信機構と、情報を処理するためにバス1202に対して連結されたプロセッサ1203と、を含む。コンピュータシステム1201は、情報を、またはプロセッサ1203により実行される命令を、格納するためにバス1202に対して結合された、ランダムアクセスメモリ(RAM)またはその他のダイナミック記憶装置(例えば、ダイナミックRAM(DRAM)、スタティックRAM(SRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM))などのメインメモリ1204も含む。加えてメインメモリ1204はプロセッサ1203により命令が実行される間に一時変数または他の中間的情報を格納するために使用され得る。コンピュータシステム1201は、静的情報を、またはプロセッサ1203に対する静的命令を格納するためにバス1202に対して連結された、リードオンリーメモリ(ROM)1205または他のスタティック記憶装置(例えば、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、および電気的消去可能PROM(EEPROM))をさらに含む。
コンピュータシステム1201は、情報および命令を格納するための1つまたは複数の記憶装置を制御するためにバス1202に対して連結されたディスク・コントローラ1206(例えば、磁気ハードディスク1207および着脱可能媒体駆動装置1208(例えば、フロッピディスク駆動装置、読み出し専用コンパクトディスク駆動装置、読み取り/書き込み可能コンパクトディスク駆動装置、コンパクトディスクジュークボックス、テープ駆動装置、着脱可能光磁気駆動装置)など)も含む。これらの記憶装置は、適切なデバイスインターフェース(例えば、スモール・コンピュータ・システム・インターフェース(SCSI)、インテグレーテッド・デバイス・エレクトロニクス(IDE)、エンハンストIDE(EーIDE)、ダイレクト・メモリ・アクセス(DMA)、またはウルトラDMA)を用いて、コンピュータシステム1201に追加され得る。
コンピュータシステム1201は、コンピュータユーザに情報を表示するためにカソードレイチューブ(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイを制御するためにバス1202に連結されたディスプレイコントローラ1209も含み得る。コンピュータシステムは、コンピュータユーザ(例えば制御器500に対してインターフェースを介して接続されたユーザ)に対して相互作用するために、および、プロセッサ1203に対して情報を提供するために、入力装置(例えばキーボードおよびポインティングデバイスなど)を含む。
コンピュータシステム1201は、メインメモリ1204などのメモリに含まれた1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスを実行するプロセッサ1203に応答して、本発明の処理ステップ(例えば、サーマルアレスト状態にある液体金属に対して振動エネルギーを提供することに関して説明した処理ステップなど)の一部または全部を実行する。係る命令は、他のコンピュータ可読媒体(例えばハードディスク1207または着脱可能媒体駆動装置1208)からメインメモリ1204に読み込まれ得る。マルチプロセッサ構成にある1つまたは複数のプロセッサも、メインメモリ1204に含まれた命令のシーケンスを実行するために用いられ得る。代替的な実施形態では、ハードワイヤ化された回路が、ソフトウェア命令に代わって、またはソフトウェア命令と組み合わせて、使用され得る。したがって、本発明の様々な実施形態はハードウェア回路およびソフトウェアのいかなる特定的な組み合わせにも限定されない。
コンピュータシステム1201は、本発明の教示にしたがってプログラムされた命令を保持するための、および、本明細書で記載のデータ構造、テーブル、レコード、または他のデータを含むための、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体またはメモリを含む。コンピュータ可読媒体の例としては、コンパクトディスク、ハードディスク、フロッピディスク、テープ、光磁気ディスク、PROM(EPROM、EEPROM、フラッシュEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAM、または任意の他の磁気媒体、コンパクトディスク(例えばCDーROM)、または任意の他の光媒体、または他の物理的媒体、搬送波(以下で説明する)、またはコンピュータがそこから読み出すことが可能である任意の他の媒体が挙げられる。
本発明は、コンピュータシステム1201を制御するための、本発明を実装するための装置(単数または複数)を駆動するための、およびコンピュータシステム1201が、人であるユーザと相互作用することを可能にするための、コンピュータ可読媒体のうちの任意の1つの上、または、コンピュータ可読媒体の組み合わせの上に格納された、ソフトウェアを含む。係るソフトウェアは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、開発ツール、およびアプリケーションソフトウェアを含み得るが、これらに限定されない。係るコンピュータ可読媒体は、本発明を実装する際に実行される処理の全部または一部(処理が分散化されている場合)を実行するための本発明のコンピュータプログラム製品をさらに含む。
本発明のコンピュータコード装置は、スクリプト、インタープリット可能プログラム、ダイナミック・リンク・ライブラリ(DLL)、Javaクラス、完全実行可能プログラムを含むがこれらに限定されない、任意のインタープリット可能または実行可能なコード機構であり得る。さらに、本発明の処理の様々な部分は、より良好な性能、信頼性、および/またはコストのために、分散化され得る。
本明細書では使用される「コンピュータ可読媒体」という用語は、命令をプロセッサ1203に実行されるよう提供することに関与する任意の媒体を指す。コンピュータ可読媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含むがこれらに限定されない、多数の形態を取り得る。不揮発性媒体は例えば、光ディスク、磁気ディスク、および光磁気ディスク(例えばハードディスク1207または着脱可能媒体駆動装置1208など)を含む。揮発性媒体はダイナミックメモリ(例えばメインメモリ1204)を含む。伝送媒体は、バス1202を形成するワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバを含む。伝送媒体は、音響波または光波(例えば、電波および赤外線データ通信の際に生成されるものなど)の形態も取り得る。
コンピュータシステム1201は、バス1202に連結された通信インターフェース1213も含み得る。通信インターフェース1213は、例えばローカル・エリア・ネットワーク(LAN)1215に、または他の通信ネットワーク1216(例えばインターネット)に、接続されたネットワークリンク1214に対して双方向データ通信接続を提供する。例えば、通信インターフェース1213は、任意のパケット交換式LANに取り付けられるネットワーク・インターフェース・カードであり得る。他の例として、通信インターフェース1213は、データ通信接続を対応する種類の通信回線に提供するための、非対称型デジタル加入者回線(ADSL)カード、デジタル総合サービス通信網(ISDN)カード、またはモデムであり得る。ワイヤレスリンクも実装され得る。任意の係る実現形態において通信インターフェース1213は、多様な種類の情報を表現するデジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号、または光信号を送受信する。
ネットワークリンク1214は通常、1つまたは複数のネットワークを通して他のデータ装置にデータ通信を提供する。例えばネットワークリンク1214は、ローカルネットワーク1215(例えばLAN)を通して、または、通信ネットワーク1216を通して通信サービスを提供するサービスプロバイダにより操作される機材を通して、他のコンピュータに対して通信を提供し得る。一実施形態では、この能力は、本発明が、工場規模のオートメーションまたは品質制御などの目的のために、一緒にネットワーク化された上記の制御器500のうちの複数を有することを可能にする。ローカルネットワーク1215および通信ネットワーク1216は、例えば、デジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号、または光信号と、関連する物理層(例えばCAT5ケーブル、同軸ケーブル、光ファイバ、その他)を使用する。コンピュータシステム1201からのデジタルデータまたはコンピュータシステム1201へのデジタルデータを搬送する、様々なネットワークを通る信号、ネットワークリンク1214上の、または通信インターフェース1213を通る信号は、ベースバンド信号または搬送波ベースの信号において実装され得る。ベースバンド信号は、デジタルデータビットのストリームを記述する無変調電気パルスとしてデジタルデータを搬送する。なおここでは「ビット」という用語はシンボルを意味するものとして広範に解釈されるべきであり、各シンボルは少なくとも1つまたは複数の情報ビットを担持する。デジタルデータも、例えば、伝導性媒体上で伝搬されるか、または伝搬媒体を通して電磁波として伝送される、振幅、位相、および/または周波数偏位符号化信号を用いて搬送波を変調するために使用され得る。したがって、デジタルデータは、「有線」通信チャネルを通して無変調ベースバンドデータとして、および/または、搬送波を変調することにより、ベースバンドとは異なる事前決定された周波数帯域内で送信され得る。コンピュータシステム1201はネットワーク(単数または複数)1215ならびに1216、ネットワークリンク1214、および通信インターフェース1213を通してプログラムコードを含むデータを送受信することが可能である。さらに、ネットワークリンク1214はLAN1215を通してモバイル装置1217(例えば携帯情報端末(PDA)ラップトップ・コンピュータ、またはセルラ電話)に通信を提供し得る。
さらに詳細には、本発明の一実施形態では、純粋な電気導体級のアルミニウム棒および合金導体級のアルミニウム棒コイルを、連続的に溶融金属から直接的に生成することが可能である、連続鋳造および圧延システム(CCRS:continuous casting and rolling system)が提供される。CCRSは、制御、監視、およびデータ格納を実装するために、コンピュータシステム1201(上述)のうちの1つまたは複数を使用することが可能である。
本発明の一実施形態では、高品質アルミニウム棒の歩留まりを高めるために、先進的コンピュータ監視・データ取得(SCADA)システムが、圧延機の監視および/または制御(CCRS)を実施する。このシステムの追加的な変数およびパラメータは、品質制御のために、表示、図化、格納、および分析されることが可能である。
本発明の一実施形態では、以下の生産後の試験過程のうちの1つまたは複数が、データ取得システムにおいてキャプチャされる。
渦電流探傷装置が、アルミニウム棒の表面品質を直列型で連続的に監視するために使用され得る。包含が、アルミニウム棒の表面付近に見出された場合には、マトリクス包含が非連続的な欠陥として作用するため、検出されることが可能である。アルミニウム棒の鋳造および圧延の際、完成品における欠陥は、処理におけるいかなる箇所においても発生が可能である。溶融金属における不正確な溶融化学反応および/または過度の水素により、圧延過程の際に欠陥が生じ得る。渦電流システムは非破壊検査であり、CCRSに対する制御システムは上述の欠陥のうちの任意の1つに対して操作員(単数または複数)にアラートを発することが可能である。渦電流システムは、表面欠陥を検出し、欠陥を小、中、または大に分類することが可能である。渦電流結果は、SCADAシステム内に記録され、アルミニウム(または処理された他の金属)のロットに、および欠陥が発生した時点に、追跡されることが可能である。
棒が過程の終点においてコイル化された後、鋳造アルミニウムのバルク的な機械特性および電気特性は、測定され、SCADAシステムにおいて記録されることが可能である。製品品質試験は引っ張り、伸長、および伝導性を含む。引っ張り強度は、物質の強度の測定値であり、分裂が生じるまで張力下で耐えることが可能である物質の最大強度である。伸長値は、物質の延性の測定値である。伝導性測定値は全般に、「国際軟銅規格」(IACS:international annealed copper standard)のパーセンテージとして報告される。これらの製品品質評価指標は、SCADAシステム内に記録され、アルミニウム(または処理された他の金属)のロットに、および欠陥が発生した時点に、追跡されることが可能である。
渦電流データに加えて、表面分析がねじり試験を使用して実施され得る。鋳造アルミニウム棒に対して制御されたねじり試験が実施される。圧延過程の際に形成された不適切な凝固に関連付けられた欠陥、包含、およびに長手方向欠陥は、拡大され、ねじれた棒の上で明らかになる。全般に、これらの欠陥は、圧延方向に対して平行なシームの形で現れる。棒が時計方向および反時計方向にねじられた後に現れる一連の平行な線は、試片が均質であることを示し、その一方で、鋳造処理における非均質性は、ゆらいだ線をもたらすであろう。ねじり試験の結果は、SCADAシステム内に記録され、アルミニウム(または処理された他の金属)のロットに、および欠陥が発生した時点に、追跡されることが可能である。
試片および製品準備
試片および製品は、上記で詳述した強化振動エネルギー結合および/または強化冷却技術を利用する上述のCCRシステムを用いて作られることが可能である。鋳造および圧延過程は、溶融アルミニウムの連続ストリームが溶融保持炉システムから、耐熱性ライニングが施されたロンダーシステムを通って、直列型化学的結晶粒微細化システムに、または、超音波結晶粒微細化システムに、供給されると、開始する。加えて、CCRシステムは、上述の超音波脱ガスシステムも含むことが可能である。この超音波脱ガスシステムは、溶融アルミニウムから溶解された水素または他のガスを除去するために、音響波およびパージガスを使用する。脱ガス装置から、金属は、多孔性セラミック要素を有する溶融金属フィルタに流れるであろう。この溶融金属フィルタは溶融金属中の包含をさらに低減させる。次にロンダーシステムは溶融アルミニウムをタンディッシュに輸送するであろう。タンディッシュから、溶融アルミニウムは、上述のように、銅鋳造リングの周辺溝部および鉄鋼バンドにより形成された鋳型に注湯されるであろう。溶融アルミニウムは、臨界ゾーンに対する磁気流量計を有するマルチゾーン水マニホールドからスプレーノズルを通して分散される水により冷却されて固体鋳造棒になる。連続アルミニウム鋳造棒は、棒抽出コンベア上に鋳造リングを出て、圧延機に到達する。
圧延機は個別的に駆動される圧延スタンドを含み得、この圧延スタンドにより棒の直径が小さくなる。棒は引抜圧延に送られ、引抜圧延において、棒は事前決定された直径に引き出され、次に巻き取られる。棒が過程の終点において巻き取られると、鋳造アルミニウムのバルク的な機械特性および電気特性が測定されるであろう。品質試験は引っ張り、伸長、および伝導性を含む。引っ張り強度は、物質の強度の測定値であり、分裂が生じるまで張力下で耐えることが可能である物質の最大強度である。伸長値は、物質の延性の測定値である。伝導性測定値は全般に、「国際軟銅規格」(IACS:international annealed copper standard)のパーセンテージとして報告される。
1)引っ張り強度は、物質の強度の測定値であり、分裂が生じるまで張力下で耐えることが可能である物質の最大強度である。引っ張りおよび伸長の測定は、同一の試片に対して実施された。10”ゲージ長の試片が引っ張りおよび伸長の測定のために選択された。棒試片が引っ張り機械に挿入された。把手が10”ゲージマークに配置された。引っ張り強度=分裂力(ポンド)/断面積(πr2)である。ただし式中、r(インチ)は棒の半径である。
2)%伸長=((L1−L2)/L1)X100である。L1は物質の初期ゲージ長であり、L2は、引張試験から得られた2つの分裂された試片を一緒に配置し、発生した欠陥を測定することにより得られた最終長さである。全般に、物質の延性が大きいほど、引っ張り状態にある試片において、より大きいくびれ部が観察されるであろう。
3)伝導性:伝導性測定値は全般に、「国際軟銅規格」(IACS)のパーセンテージとして報告される。伝導性測定はケルビンブリッジを使用して実施され、詳細はASTM B193ー02に記載されている。IACSは、標準軟銅導体に対する、金属および合金のための電気伝導率の単位である。100%のIACS値は、摂氏20度における単位長さあたり5.80×107の伝導率(58.0MS/m)を指す。
上述の連続棒処理は、超音波結晶粒微細化および超音波脱ガスを利用して、電気グレードのアルミニウム導体を生成するためのみではなく、機械的アルミニウム合金に対しても使用可能である。試験および品質制御、超音波結晶粒微細化処理のために、鋳造棒試片は収集され、エッチングされるであろう。
図14はACSRワイヤ処理フローチャートである。図14では、純粋な溶融アルミニウムをACSRワイヤにおいて使用されるであろうアルミニウムワイヤに変換する様子が示されている。変換処理における第1のステップは、溶融アルミニウムをアルミニウム棒に変換することである。次のステップでは、棒はいくつかのダイを通して引き出され、最終直径に応じて、この過程は、1回または複数回の引き出しを通して達成され得る。棒が最終直径に引き出されると、ワイヤは200〜500ポンドの範囲の重量のリールに巻かれる。これらの個々のリールが、鋼撚りケーブルの周りに撚られると、いくつかの個々のアルミニウム撚り線を含むACSRケーブルとなるであろう。撚り線の個数および各撚り線の直径は、例えば、顧客の要件に依存するであろう。
図15はACSSワイヤ処理フローチャートである。図15では、純粋な溶融アルミニウムをACSSワイヤにおいて使用されるであろうアルミニウムワイヤに変換する様子が示されている。変換処理における第1のステップは、溶融アルミニウムをアルミニウム棒に処理することである。次のステップでは、棒はいくつかのダイを通して引き出され、最終直径に応じて、この過程は、1回または複数回の引き出しを通して達成され得る。棒が最終直径に引き出されると、ワイヤは200〜500ポンドの範囲の重量のリールに巻かれる。これらの個々のリールが、鋼撚りケーブルの周りに撚られると、いくつかの個々のアルミニウム撚り線を含むACSSケーブルとなるであろう。撚り線の個数および各撚り線の直径は、顧客の要件に依存するであろう。ACSRケーブルとACSSケーブルとの間の1つの相違点は、アルミニウムが鋼材ケーブルの周りに撚られた後、ケーブル全体が炉内で熱処理されて、アルミニウムがデッドソフト状態に達することである。ACSRでは、ケーブルの強度がアルミニウムケーブルおよび鋼材ケーブルに起因する強度の組み合わせに由来し、その一方で、ACSSケーブルでは強度の大夫分がACSSケーブル内部の鉄鋼に由来することに注意することが重要である。
図16は、アルミニウム帯状細片化処理フローチャートであり、図16では、帯状細片が金属外装ケーブルに最終的に処理される。図16では、第1のステップが溶融アルミニウムをアルミニウム棒に変換することであることが示されている。第1ステップに引き続き、棒はいくつかの圧延ダイを通して圧延されて、帯状細片に変換される。この帯状細片は幅が約0.375”であり、厚さが約0.015〜0.018”である。圧延された帯状細片は、およそ600ポンド重量のドーナツ形状パッドに処理される。他の幅および厚さも、圧延過程を使用して生産が可能であるが、0.375”の幅および0.015〜0.018”の厚さが最も一般的であることに注意することが重要である。次にこれらのパッドは炉内で処理されて、パッドは中間的な焼鈍状態に達する。この状態では、アルミニウムは、フルハード状態でもデットソフト状態でもない。次に帯状細片は、1つまたは複数の絶縁回路導体を包囲する噛み合う金属テープ(帯状細片)の防護具として組み立てられた保護ジャケットとして使用されるであろう。
上述の直接的振動エネルギー結合を利用する本発明の超音波結晶粒微細化物質は、上述の過程を使用して、上述のワイヤおよびケーブル製品へと製作されることが可能である。
本発明に関する一般的ステートメント
本発明に関する以下のステートメントは、本発明の1つまたは複数の特徴を提供し、本発明の範囲を限定するものではない。
ステートメント1
溶融金属に対して接触するレセプタプレートと、所望により溶融金属が冷却される際に、振動エネルギー(例えば、超音波、機械駆動、および/または音響のエネルギー)を、溶融金属に対して接触するレセプタプレートに直接的に供給する(例えば、供給する構成を有する)少なくとも1つの振動エネルギー供給源と、を含む、溶融金属搬送装置(すなわちコンベア)。レセプタプレートは、溶融金属がレセプタプレートに対して進入する入口から、溶融金属がレセプタプレートから出る出口まで、延長する。
ステートメント2
前記レセプタプレートは冷却媒体を通過させるための少なくとも1つのチャネルを有する、ステートメント1に記載の装置。
ステートメント3
前記冷却媒体は、水、ガス、液体金属、液体窒素、およびエンジンオイルのうちの少なくとも1つを含む、ステートメント2に記載のコンベア。
ステートメント4
前記冷却チャネルはレセプタプレート内にあるか、または前記冷却チャネルはレセプタプレートに取り付けられた導管を含む、ステートメント2に記載のコンベア。
ステートメント5
レセプタプレートを冷却するためのガス流を提供する送風機をさらに含む、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント6
前記レセプタプレートを、鋳造装置の鋳型ホイールに対して、または、溶融金属を鋳型に供給するタンディッシュに対して、取り付ける組立体をさらに含む、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント7
少なくとも1つの振動エネルギー供給源は、溶融金属に対して接触するレセプタプレートに直接的に振動エネルギーを提供する、超音波トランスデューサ、磁歪トランスデューサ、および機械的に駆動される振動器のうちの少なくとも1つを含む、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント8
前記レセプタプレートに提供される振動エネルギーは400KHzまでの周波数の範囲内である、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント9
レセプタプレートは、滑らかな仕上げ、磨かれた仕上げ、粗い仕上げ、隆起がある仕上げ、テクスチャを有する仕上げ、および凹みがある仕上げのうちの少なくとも1つを有する、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント10
レセプタプレートは、ニオブ、ニオブ合金、チタン、チタン合金、タンタル、タンタル合金、銅、銅合金、レニウム、レニウム合金、鉄鋼、モリブデン、モリブデン合金、ステンレス鋼、セラミック、複合材料、または金属のうちの少なくとも1つまたは複数を含む、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント11
セラミックは窒化ケイ素セラミックを含む、ステートメント10に記載のコンベア。
ステートメント12
窒化ケイ素セラミックは窒化ケイ素アルミナを含む、ステートメント11に記載のコンベア。
ステートメント13
少なくとも1つの振動エネルギー供給源は、レセプタプレート上に規則正しいパターン状で配置された複数のトランスデューサを含む、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント14
レセプタプレート上の規則正しいパターンは、より高い密度の前記トランスデューサをレセプタプレートの一方の側部に有する、ステートメント13に記載のコンベア。
ステートメント15
レセプタプレート上の一方の側部上のより高い密度の前記トランスデューサは溶融金属出口側部上にある、ステートメント14に記載のコンベア。
ステートメント16
レセプタプレート上の一方の側部上のより高い密度の前記トランスデューサは溶融金属入口側部上にある、ステートメント14に記載のコンベア。
ステートメント17
少なくとも1つの振動エネルギー供給源はレセプタプレートに取り付けられた圧電トランスデューサ要素を含む、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント18
超音波ブースタが、レセプタプレートに取り付けられた圧電トランスデューサ要素に結合されている、ステートメント17に記載のコンベア。
ステートメント19
少なくとも1つの振動エネルギー供給源はレセプタプレートに取り付けられた磁歪トランスデューサ要素を含む、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント20
溶融金属フローチャネル内に挿入された超音波脱ガス装置をさらに含む、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント21
レセプタプレートは10cmより小さい厚さを有する、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント22
レセプタプレートは0.5cm〜5cmの範囲の、または1cm〜3cmの範囲の、厚さを有する、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント23
レセプタプレートは1.5cm〜2cmの範囲の厚さを有する、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント24
レセプタプレートは異なる区域において異なる厚さを有する、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント25
レセプタプレートは、鋳型ホイールの上方に配置され、鋳型ホイールにおける溝槽に溶融金属を提供する、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント26
レセプタプレートは、垂直鋳型に取り付けられ、垂直鋳型の内部に溶融金属を提供する、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメン27
レセプタプレートは、長手方向長さに等しいかもしくは長手方向長さよりも小さい横方向幅を、または、長手方向長さの半分に等しいかもしくは長手方向長さの半分よりも小さい横方向幅を、または長手方向長さの1/3に等しいかもしくは長手方向長さの1/3より小さくい横方向幅を、含む、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント28
レセプタプレートは2.5cm〜300cmの範囲の横方向幅を含む、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント29
レセプタプレートは出口に向って徐々に幅が小さくなる横方向幅を含む、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント30
レセプタプレートは、重力により溶融金属が出口へと付勢される状態で、略水平方向に配置される、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント31
レセプタプレートは、重力により溶融金属が出口へと付勢される状態で、水平方向から45度の範囲内または45度に等しい角度で配置される、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント32
レセプタプレートは、垂直方向から45度の範囲内または45度に等しい角度で配置される、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント33
レセプタプレート上への溶融金属の注湯速度、および、レセプタプレート上での溶融金属の冷却速度のうちの少なくとも1つを制御する制御器をさらに含む、ステートメント1に記載のコンベア。
ステートメント34
制御器は、溶融金属のレセプタプレート上方における高さが、1.25cm〜10cmの範囲となるように、注湯速度を調整するようプログラムされている、ステートメント33に記載のコンベア。
ステートメント35
金属製品を形成するための方法であって、溶融金属を、溶融金属に対して接触するコンベアのレセプタプレートに沿って溶融金属を輸送する溶融コンベア上に、提供することと、レセプタプレートの近傍を流れる、または、レセプタプレート内のもしくはレセプタプレートに取り付けられた冷却通路を通って流れる、冷却媒体を制御することにより、溶融金属を冷却することと、レセプタプレートに直接的に振動エネルギーを結合することと、を含む、方法。
ステートメント36
エネルギーを結合することは、前記エネルギーを、超音波トランスデューサまたは磁歪トランスデューサまたは機械的に駆動される振動器のうちの少なくとも1つから前記プローブに供給することを含む、ステートメント35に記載の方法。
ステートメント37
前記エネルギーを供給することは、5〜400kHzの周波数の範囲のエネルギーを提供することを含む、ステートメント36に記載の方法。
ステートメント38
冷却することは、レセプタプレートの冷媒として、水、ガス、液体金属、液体窒素、およびエンジンオイルのうちの少なくとも1つを適用することにより、溶融金属を冷却することを含む、ステートメント35に記載の方法。
ステートメント39
溶融金属を提供することは鋳型ホイールの注湯装置からレセプタプレート上に溶融金属を注湯することを含む、ステートメント35に記載の方法。
ステートメント40
レセプタプレートから鋳型ホイールの溝槽に溶融金属を注湯することをさらに含む、ステートメント39に記載の方法。
ステートメント41
溶融金属を提供することは垂直鋳型のタンディッシュからレセプタプレート上に溶融金属を注湯することを含む、ステートメント35に記載の方法。
ステートメント42
レセプタプレートから垂直鋳型に溶融金属を注湯することをさらに含む、ステートメント41に記載の方法。
ステートメント43
レセプタプレートから連続鋳造鋳型に溶融金属を注湯することをさらに含む、ステートメント35に記載の方法。
ステートメント44
レセプタプレートから水平鋳造鋳型または垂直鋳造鋳型に溶融金属を注湯することをさらに含む、ステートメント35に記載の方法。
ステートメント45
溶融金属を冷却するよう構成された鋳造鋳型と、ステートメント1〜ステートメント34のうちのいずれか1項に記載のコンベアと、を含む鋳造装置。
ステートメント46
前記鋳型は連続鋳造鋳型を含む、ステートメント45に記載の鋳造装置。
ステートメント47
前記鋳型は水平または垂直の鋳造鋳型を含む、ステートメント45に記載の鋳造装置。
ステートメント48
金属製品を形成するためのシステムであって、溶融コンベア上に溶融金属を提供するための手段と、溶融金属に対して接触するコンベアのレセプタプレート内の冷却通路を、または溶融金属に対して接触するコンベアのレセプタプレートに取り付けられた冷却通路を、通って流れる冷却媒体を制御するための手段と、レセプタプレートに直接的に振動エネルギーを結合するための手段と、データ入力および制御出力を含み、かつ、ステートメント35〜ステートメント44に記載のステップ要素のうちのいずれか1つの動作を可能にする制御アルゴリズムを用いてプログラムされた、制御器と、を含む、システム。
ステートメント49
金属製品を形成するためのシステムであって、ステートメント1〜ステートメント34のうちのいずれか1項に記載のコンベアと、データ入力および制御出力を含み、かつ、ステートメント35〜ステートメント44に記載のステップ要素のうちのいずれか1つの動作を可能にする制御アルゴリズムを用いてプログラムされた、制御器と、を含むシステム。
ステートメント50
金属製品を形成するためのシステムであって、溶融金属を注湯するための注湯装置と、金属製品の連続鋳造を形成するための鋳型ホイールと、鋳型ホイールにステートメント1〜ステートメント34のうちのいずれか1項に記載のコンベアを結合する組立体と、データ入力および制御出力を含み、かつ、ステートメント35〜ステートメント44に記載のステップ要素のうちのいずれか1つの動作を可能にする制御アルゴリズムを用いてプログラムされた、制御器と、を含むシステム。
本発明の多数の変更および変化が、上記の教示に照らして可能である。したがって、添付の請求項の範囲内で本発明は本明細書で特に説明された以外の方法で実施され得ることが理解されるべきである。