JP2020509744A - 糖タンパク質製造プロセス - Google Patents

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Abstract

本開示は、組換えアルカリホスファターゼを生産する方法であって、(i)組換えアルカリホスファターゼを発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を培地に接種することと、(ii)培地中でCHO細胞を約37℃の温度で培養することと、(iii)接種から少なくとも1日後、栄養補助剤の組み合わせであって、(a)1つ以上のアミノ酸、ビタミン、塩、微量元素、ポロクサマー及びグルコースを含む、第1の動物由来成分を含まない(ADCF)栄養補助剤であって、ヒポキサンチン、チミジン、インスリン、L−グルタミン、増殖因子、ペプチド、タンパク質、加水分解物、フェノールレッド及び2−メルカプトエタノールを含まない、第1の動物由来成分を含まない(ADCF)栄養補助剤、及び(b)1つ以上のアミノ酸を含む第2のADCF栄養補助剤であって、ヒポキサンチン、チミジン、インスリン、L−グルタミン、増殖因子、ペプチド、タンパク質、加水分解物、フェノールレッド、2−メルカプトエタノール及びポロクサマーを欠如する、第2のADCF栄養補助剤を含む組み合わせを(ii)の細胞培養物に添加することと、(iv)接種から約80時間〜120時間後、(iii)の細胞培養物の温度を約30℃まで低下させることと、(v)(iv)の細胞培養物から組換えアルカリホスファターゼを少なくとも1つのクロマトグラフィーステップによって単離することとを含む方法を提供する。【選択図】図1

Description

本開示は、組換えアルカリホスファターゼを生産する方法であって、(i)組換えアルカリホスファターゼを発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を培地に接種することと、(ii)培地中でCHO細胞を培養することと、(iii)接種から少なくとも1日後、栄養補助剤の組み合わせであって、(a)1つ以上のアミノ酸、ビタミン、塩、微量元素、ポロクサマー及びグルコースを含む、第1の動物由来成分を含まない(ADCF)栄養補助剤であって、ヒポキサンチン、チミジン、インスリン、L−グルタミン、増殖因子、ペプチド、タンパク質、加水分解物、フェノールレッド及び2−メルカプトエタノールを含まない、第1の動物由来成分を含まない(ADCF)栄養補助剤、及び(b)1つ以上のアミノ酸を含む第2のADCF栄養補助剤であって、ヒポキサンチン、チミジン、インスリン、L−グルタミン、増殖因子、ペプチド、タンパク質、加水分解物、フェノールレッド、2−メルカプトエタノール及びポロクサマーを欠如する、第2のADCF栄養補助剤を含む組み合わせを(ii)の細胞培養物に添加することと、(iv)接種から約80〜120時間後、(iii)の細胞培養物の温度を約30℃まで低下させることと、(v)(iv)の細胞培養物から組換えアルカリホスファターゼを少なくとも1つのクロマトグラフィーステップによって単離することとを含む方法を対象とする。
低ホスファターゼ症(HPP)は、機能的な組織非特異的アルカリホスファターゼ(TNSALP)の生産が不能になる重篤で極希少な遺伝性代謝障害である。それは、骨及び歯の低石灰化によって特徴付けられる非石灰化骨マトリックスの蓄積(例えば、くる病、骨軟化症)をもたらす。成長する骨が適切に石灰化しないとき、成長の障害により、関節及び骨の美観が損なわれる。この結果は、したがって、運動能力、呼吸機能に影響し、さらに死に至ることがある。HPPの様々な形態として、出生時、乳児性、若年性(又は小児性)及び成人HPPが挙げられる。近年、主として症状発現時の年齢に基づき、出生時、良性出生前、小児性、若年性、成人及び歯限局型HPPを含む6つの臨床形態が定義されている。アスホターゼアルファは、研究段階であり、内因性TNSALPレベルの欠陥に対処するように設計されたファーストインクラスの標的化酵素置換治療薬である。TNSALPを伴うHPPの治療については、Whyte et al.,2012 N Engl J Med.366:904−13を参照されたい。
アスホターゼアルファ(STRENSIQ(登録商標),Alexion Pharmaceuticals,Inc.)は、ヒトTNSALPの触媒ドメイン、ヒト免疫グロブリンG1のFcドメイン及び骨標的化ドメインとして用いられるデカアスパラギン酸ペプチド(すなわちD10)からなる可溶性の融合糖タンパク質である。インビトロで、アスホターゼアルファは、ハイドロキシアパタイトに対し、デカアスパラギン酸ペプチドを欠如する可溶性のTNSALPの場合よりも高い親和性で結合し、それにより、アスホターゼアルファのTNSALP部分は、余分な局所性の無機ピロリン酸(PPi)を効率的に分解し、正常な石灰化を回復させることを可能にする。ピロリン酸加水分解は、骨石灰化を促進し、その効果は、非臨床試験において評価される種の中で類似している。有効性試験がHPPのマウスモデル(Akp2−/−マウス)において実施された。TNSALP遺伝子を不活性化することによって作出されるAkp2−/−マウスモデル(Narisawa et al.,1997 Dev Dyn.208:432−46)は、非石灰化骨マトリックスの蓄積を含むヒト状態の多くの一般的特徴を共有する。
本明細書で開示されるのは、アルカリホスファターゼ(例えば、アスホターゼアルファ)の生産における効率を増加させるために用いることができる改善された生産プロセスである。本明細書に記載の方法は、組換えタンパク質、例えば培養されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞によって生産されるアルカリホスファターゼ(例えば、アスホターゼアルファ)の酵素活性について維持、貯蔵、調節及び/又は改善するためにも用いられ得る。かかるアルカリホスファターゼ(例えば、アスホターゼアルファ)は、治療における使用、例えば対象、例えばヒト対象における低下したアルカリホスファターゼタンパク質レベル及び/又は機能(例えば、無機ピロリン酸(PPi)の不十分な切断)に関連した状態の治療に適している。
一態様では、本開示は、アルカリホスファターゼ機能を有する組換えポリペプチドを生産するための方法を提供する。様々な実施形態では、アルカリホスファターゼ機能は、当該技術分野で公知のアルカリホスファターゼの任意の機能、例えばホスホエタノールアミン(PEA)、無機ピロリン酸(PPi)及びピリドキサール5’−リン酸(PLP)を含む天然基質に対する酵素活性を含み得る。かかる組換えポリペプチドは、アスホターゼアルファ(配列番号1)を含み得る。
いくつかの実施形態では、本開示は、組換えアルカリホスファターゼを生産する方法であって、(i)組換えアルカリホスファターゼを発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を培地に接種することと、(ii)培地中のCHO細胞を約37℃の温度で培養することと、(iii)接種から少なくとも1日後、栄養補助剤の組み合わせであって、(a)1つ以上のアミノ酸、ビタミン、塩、微量元素、ポロクサマー及びグルコースを含む、第1の動物由来成分を含まない(ADCF)栄養補助剤であって、ヒポキサンチン、チミジン、インスリン、L−グルタミン、増殖因子、ペプチド、タンパク質、加水分解物、フェノールレッド及び2−メルカプトエタノールを含まない、第1の動物由来成分を含まない(ADCF)栄養補助剤、及び(b)1つ以上のアミノ酸を含む第2のADCF栄養補助剤であって、ヒポキサンチン、チミジン、インスリン、L−グルタミン、増殖因子、ペプチド、タンパク質、加水分解物、フェノールレッド、2−メルカプトエタノール及びポロクサマーを欠如する、第2のADCF栄養補助剤を含む組み合わせを(ii)の細胞培養物に添加することと、(iv)接種から約80時間〜120時間後、(iii)の細胞培養物の温度を約30℃まで低下させることと、(v)(iv)の細胞培養物から組換えアルカリホスファターゼを少なくとも1つのクロマトグラフィーステップによって単離することとを含む方法を提供する。
いくつかの実施形態では、(v)は、接種から14日後に行われる。いくつかの実施形態では、(v)は、接種から10日後に行われる。
いくつかの実施形態では、本開示は、EX−CELL(登録商標)302無血清培地、CD DG44培地、BD Select(商標)培地、SFM4CHO培地又はそれらの組み合わせからなる群から選択される培地を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、SFM4CHO培地及びBD Select(商標)培地の組み合わせを含む培地を提供する。いくつかの実施形態では、培地は、SFM4CHO培地及びBD Select(商標)培地の組み合わせを、90/10、80/20、75/25、70/30、60/40又は50/50から選択される比で含む。
いくつかの実施形態では、栄養補助剤の組み合わせは、ボーラス投与で添加される。いくつかの実施形態では、栄養補助剤の組み合わせは、1分〜2時間の範囲の期間にわたって添加される。いくつかの実施形態では、栄養補助剤の組み合わせは、接種から1〜3日後に添加される。いくつかの実施形態では、栄養補助剤の組み合わせは、3つ以上の異なる時点で添加される。いくつかの実施形態では、栄養補助剤の組み合わせは、2〜6つの異なる時点で添加される。いくつかの実施形態では、栄養補助剤の組み合わせは、4つの異なる時点で添加される。いくつかの実施形態では、栄養補助剤の組み合わせは、接種から1〜3日後及び接種から3〜5日後に添加される。いくつかの実施形態では、栄養補助剤の組み合わせは、接種から1〜3日後、及び接種から3〜5日後、接種から5〜7日後、及び接種から7〜9日後に添加される。いくつかの実施形態では、栄養補助剤の組み合わせは、接種から約2日後、及び接種から約4日後、接種から約6日後、及び接種から約8日後に添加される。
いくつかの実施形態では、本開示は、第1の栄養補助剤の各添加物が培地の0.5%〜4%(w/v)の濃度で添加されることを提供する。いくつかの実施形態では、第1の栄養補助剤の各添加物は、培地の2%(w/v)の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、第2の栄養補助剤の各添加物は、培地の0.05%〜0.8%(w/v)の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、第2の栄養補助剤の各添加物は、培地の0.2%(w/v)の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、第1の栄養補助剤の全添加物は、培地の5%〜20%(w/v)の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、第1の栄養補助剤の全添加物は、培地の12%(w/v)の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、第2の栄養補助剤の全添加物は、培地の0.5%〜2%(w/v)の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、第2の栄養補助剤の全添加物は、培地の1.2%(w/v)の濃度で添加される。
いくつかの実施形態では、本開示は、第1の栄養補助剤がCELL BOOST(商標)7aであり、且つ第2の栄養補助剤がCELL BOOST(商標)7b(GE Healthcare)であることを提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、(iv)の温度低下が接種から約80時間〜150時間後又は約90時間〜100時間後であることを提供する。いくつかの実施形態では、(iv)の温度低下は、接種から約96時間後である。
いくつかの実施形態では、本開示は、約20μM〜約200μMの亜鉛濃度(Zn2+)を提供することを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも約30μMまでの培地中の亜鉛濃度を提供することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも約50μMまでの亜鉛濃度を提供することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも約60μMまでの亜鉛濃度を提供することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも約90μMまでの亜鉛濃度を提供することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、約20μM〜約60μMまでの亜鉛濃度を提供することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも約150μMまでの亜鉛濃度を提供することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも約200μMまでの亜鉛濃度を提供することを含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、クロマトグラフィーステップを提供し、クロマトグラフィーステップは、収集清澄化、限外ろ過、ダイアフィルトレーション、ウイルス不活性化、親和性捕捉及びそれらの組み合わせの少なくとも1つを含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、組換えアルカリホスファターゼ活性を測定することをさらに含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、活性は、pNPPに基づくアルカリホスファターゼ酵素アッセイ及び無機ピロリン酸(PPi)加水分解アッセイの少なくとも1つから選択される方法から選択される。いくつかの実施形態では、組換えアルカリホスファターゼKcat及びK値の少なくとも1つは、無機ピロリン酸(PPi)加水分解アッセイにおいて増加する。
いくつかの実施形態では、本開示は、積分生細胞濃度(IVCC)を決定することをさらに含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、IVCCは、ステップ(iii)及び(iv)の不在下での方法と比べて約3.0倍〜約6.5倍だけ増加される。
いくつかの実施形態では、本開示は、W−sALP−X−Fc−Y−D−Z(式中、
Wは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、
Xは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、
Yは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、
Zは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、
Fcは、結晶化可能領域断片であり、
は、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸又はそれらの組み合わせであり、ここで、n=10又は16であり、及び
前記sALPは、可溶性アルカリホスファターゼである)
の構造を含む組換えアルカリホスファターゼを提供する。
いくつかの実施形態では、sALPは、C末端の糖脂質アンカー(GPI)を有しないアルカリホスファターゼ(ALP)の活性のあるアンカー型を含む。
いくつかの実施形態では、アルカリホスファターゼ(ALP)は、組織非特異的アルカリホスファターゼ(TNALP)である。いくつかの実施形態では、sALPは、配列番号1のL1−S485に示される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドによってコードされる。いくつかの実施形態では、sALPは、配列番号1のL1−S485に示される配列を含む。いくつかの実施形態では、sALPは、無機ピロリン酸(PPi)の切断を触媒する能力がある。いくつかの実施形態では、n=10である。いくつかの実施形態では、W及びZは、前記ポリペプチドに不在である。いくつかの実施形態では、Fcは、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びヒンジ領域を含む。いくつかの実施形態では、Fcは、IgG−1、IgG−2、IgG−3、IgG−3及びIgG−4からなる群から選択される免疫グロブリンの定常ドメインである。いくつかの実施形態では、Fcは、免疫グロブリンIgG−1の定常ドメインである。いくつかの実施形態では、Fcは、配列番号1のD488−K714に示される配列を含む。いくつかの実施形態では、組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に示される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドによってコードされる。いくつかの実施形態では、組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に示される配列を含むポリペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドに対して完全に相補的な配列と比べて、高ストリンジェンシー条件下で第2のポリヌクレオチドにハイブリダイズする第1のポリヌクレオチドによってコードされ、前記高ストリンジェンシー条件は、6×SSC、5×デンハート試薬、0.5%SDS及び100mg/mlの変性断片化されたサケ精子DNAにおける68℃でのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション、並びに室温で10分間の2×SSC及び0.5%SDSでの洗浄、室温で10分間の2×SSC及び0.1%SDSでの洗浄、及び65℃で5分間、3回の0.1×SSC及び0.5%SDSでの洗浄を含む。いくつかの実施形態では、組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に対する少なくとも90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に対する少なくとも95%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に示される配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に示される配列を含み、且つその二量体である。
いくつかの実施形態では、本開示は、組換えアルカリホスファターゼを生産する方法であって、(i)組換えアルカリホスファターゼを発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を培地に接種することと、(ii)培地中でCHO細胞を約36℃〜約38℃、約36.5℃〜約37.5℃、特に約37℃の温度で培養することと、(iii)少なくとも1つの栄養補助剤を細胞培養物に添加し、且つ約20μM〜約200μMのZn2+、特に約30μMのZn2+〜100μMのZn2+、特に約90μMのZn2+を添加することと、(iv)接種から約80時間〜約120時間後、(iii)の細胞培養物の温度を約30℃まで低下させることと、(v)(iv)の細胞培養物から組換えアルカリホスファターゼを少なくとも1つのクロマトグラフィーステップによって単離することとを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、組換えアルカリホスファターゼは、アスホターゼアルファを含む。
様々な最終時点での様々な培地、栄養補助剤の添加及び様々な亜鉛濃度を伴う、流加振盪フラスコからのデータの生産性及び活性分析の結果を提示する。 温度変化の存在下及び不在下で様々な栄養補助剤の添加とともに増殖される培養物の生細胞密度(VCD)及び細胞生存度を表す。 温度変化の存在下及び不在下で様々な栄養補助剤の添加とともに増殖される培養物の生細胞密度(VCD)及び細胞生存度を表す。 温度変化の存在下及び不在下で様々な栄養補助剤の添加とともに増殖される培養物の比生産性及びProA結合力価を表す。コントロールプロセス及びCell Boost 2+5について示されるデータは、2回反復の平均である。 温度変化の存在下及び不在下で様々な栄養補助剤の添加とともに増殖される培養物の比活性及び総括性を表す。コントロールプロセス及びCell Boost 2+5について示されるデータは、2回反復の平均である。 温度変化の存在下及び不在下で様々な栄養補助剤の添加とともに増殖される細胞での生成物の容量活性特性を表す。フィード1=Cell Boost 2+5;フィード2=Cell Boost 6;フィード3=Cell Boost 7a+7b。コントロールプロセス及びCell Boost 2+5について示されるデータは、2回反復の平均である。 温度変化の存在下及び不在下で様々な栄養補助剤の添加とともに増殖される細胞での生成物の比活性特性を表す。フィード1=Cell Boost 2+5;フィード2=Cell Boost 6;フィード3=Cell Boost 7a+7b。コントロールプロセス及びCell Boost 2+5について示されるデータは、2回反復の平均である。 温度変化の存在下及び不在下で様々な栄養補助剤の添加とともに増殖される細胞でのタンパク質不純物を表す。Brx−1=温度変化を伴うコントロールプロセス;Brx−2=温度変化を伴うコントロールプロセス;Brx−3=温度変化を伴うCell Boost 2+5;Brx−4=温度変化を伴うCell Boost 2+5;Brx5=温度変化を伴うCell Boost 6;Brx−6=温度変化を伴わないCell Boost 6;Brx−7=温度変化を伴うCell Boost 7a+7b;Brx−8=温度変化を伴わないCell Boost 7a+7b。14日目の値が示される。 温度変化の存在下及び不在下で様々な栄養補助剤の添加とともに増殖される細胞でのタンパク質シアリル化を表す。Brx−1=温度変化を伴うコントロールプロセス;Brx−2=温度変化を伴うコントロールプロセス;Brx−3=温度変化を伴うCell Boost 2+5;Brx−4=温度変化を伴うCell Boost 2+5;Brx5=温度変化を伴うCell Boost 6;Brx−6=温度変化を伴わないCell Boost 6;Brx−7=温度変化を伴うCell Boost 7a+7b;Brx−8=温度変化を伴わないCell Boost 7a+7b。14日目の値が示される。
定義
「約」、「およそ」:用語「約」及び「およそ」は、本明細書で用いられるとき、1つ以上の特定の細胞培養条件に適用される場合、その1つ以上の培養条件において定められた参照値に類似する種々の値を指す。特定の実施形態では、用語「約」は、その1つ以上の培養条件において定められた参照値の25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1パーセント又はそれを下回る範囲に含まれる種々の値を指す。
「アミノ酸」:用語「アミノ酸」は、本明細書で用いられるとき、通常、ポリペプチド又はそれらのアミノ酸の類似体若しくは誘導体の形態で用いられる20の天然に存在するアミノ酸のいずれかを指す。本開示のアミノ酸は、細胞培養物に対する培地中に提供され得る。培地中に提供されるアミノ酸は、塩として又は水和物形態で提供され得る。
「培養物」及び「細胞培養物」:これらの用語は、本明細書で用いられるとき、細胞集団の生存及び/又は増殖に適した条件下で培地(下記「培地」の定義を参照されたい)に懸濁される細胞集団を指す。当業者に明白であるように、これらの用語は、本明細書で用いられるとき、細胞集団及び集団が懸濁される培地を含む組み合わせを指し得る。
「バッチ培養」:用語「バッチ培養」は、本明細書で用いられるとき、培地(下記「培地」の定義を参照されたい)を含む、最終的に細胞を培養するのに用いられる成分のすべて及び細胞自体が培養プロセスの開始時に提供される、細胞を培養する方法を指す。バッチ培養は、典型的には、ある時点で停止され、培地中の細胞及び/又は成分は、収集され、任意選択的に精製される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、バッチ培養において用いられる。
「バイオリアクター」:用語「バイオリアクター」は、本明細書で用いられるとき、細胞培養物(例えば、哺乳動物細胞培養物)の増殖のために用いられる任意の容器を指す。バイオリアクターは、細胞の培養にとって有用である限り、任意のサイズであり得る。典型的には、バイオリアクターは、少なくとも1リットル、10、100、250、500、1000、2500、5000、8000、10,000、12,0000、20,000リットル若しくはそれを超えるか又はそれらの間の任意の容積となる。限定されないが、pH及び温度を含むバイオリアクターの内部条件は、典型的には、培養期間中に調節される。バイオリアクターは、ガラス、プラスチック又は金属を含む、本開示の培養条件下の培地に懸濁される哺乳類又は他の細胞培養物を保持することに適した任意の材料から構成され得る。用語「生産バイオリアクター」は、本明細書で用いられるとき、目的のポリペプチド又はタンパク質の生産に用いられる最終バイオリアクターを指す。大規模細胞培養生産バイオリアクターの容積は、典型的には、少なくとも500リットルであり、1000、2500、5000、8000、10,000、12,0000、20,000リットル若しくはそれを超えるか又はそれらの間の任意の容積であり得る。当業者は、本開示の実行における使用に適したバイオリアクターについて理解し、選択できるであろう。
「細胞密度」:用語「細胞密度」は、本明細書で用いられるとき、所与の培地の体積中に存在する細胞の数を指す。
「細胞生存度」:用語「細胞生存度」は、本明細書で用いられるとき、培養下の細胞が所与の培養条件又は実験バリエーションのセット下で生存する能力を指す。この用語は、本明細書で用いられるとき、特定の時点で生存している細胞の、その時点の培養下での細胞の総数(生存及び死滅)に対する割合も指す。
「培養物」及び「細胞培養物」:これらの用語は、本明細書で用いられるとき、細胞集団の生存及び/又は増殖に適した条件下で培地(下記「培地」の定義を参照されたい)に懸濁される細胞集団を指す。当業者に明白であるように、これらの用語は、本明細書で用いられるとき、細胞集団及び集団が懸濁される培地を含む組み合わせを指し得る。
「流加培養」:用語「流加培養」は、本明細書で用いられるとき、培養プロセスの開始後のいずれかの時点で追加的成分が培養物に提供される、細胞を培養する方法を指す。提供される成分は、典型的には、培養プロセス中に枯渇している、細胞のための栄養補助剤を含む。流加培養は、典型的には、ある時点で停止され、培地中の細胞及び/又は成分は、収集され、任意選択的に精製される。流加培養は、対応する流加バイオリアクター内で実施され得る。いくつかの実施形態では、本方法は、流加培養を含む。
「断片」:用語「断片」は、本明細書で用いられるとき、ポリペプチドを指し、所与のポリペプチドの、そのポリペプチドに固有の又は特徴的な任意の分離部分として定義される。この用語は、本明細書で用いられるとき、完全長ポリペプチドの活性の少なくとも一部を保持する、所与のポリペプチドの任意の分離部分も指す。いくつかの実施形態では、保持される活性の割合は、完全長ポリペプチドの活性の少なくとも10%である。様々な実施形態では、保持される活性の割合は、完全長ポリペプチドの活性の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%である。他の実施形態では、保持される活性の割合は、完全長ポリペプチドの活性の少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%である。一実施形態では、保持される活性の割合は、完全長ポリペプチドの活性の100%である。この用語は、本明細書で用いられるとき、完全長ポリペプチド中に見出される少なくとも確立された配列要素を含む、所与のポリペプチドの任意の部分も指す。いくつかの実施形態では、配列要素は、完全長ポリペプチドの少なくとも4〜5アミノ酸に及ぶ。いくつかの実施形態では、配列要素は、完全長ポリペプチドの少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50又はそれを超えるアミノ酸に及ぶ。
「積分生細胞密度」:用語「積分生細胞密度」又は「IVCD」は、本明細書で用いられるとき、培養期間にわたる生細胞の平均密度に、培養が実行されている時間を乗じたものを指す。生産されるポリペプチド及び/又はタンパク質の量が、培養期間にわたって存在する生細胞の数に比例すると仮定すると、積分生細胞密度は、培養期間にわたって生産されるポリペプチド及び/又はタンパク質の量を推定するための有用なツールである。
「培地(medium)」、「細胞培地」及び「培地(culture medium)」:これらの用語は、本明細書で用いられるとき、哺乳動物細胞の増殖に栄養を与える栄養分を含有する溶液を指す。典型的には、これらの溶液は、最低限の増殖及び/又は生存に対して細胞が必要とする必須及び非必須アミノ酸、ビタミン、エネルギー源、脂質及び微量元素を提供する。溶液は、ホルモン及び増殖因子を含む、最小速度を超えて増殖及び/又は生存を増強する成分も含有し得る。溶液は、例えば、細胞生存及び増殖にとって最適なpH及び塩濃度に向けて配合される。いくつかの実施形態では、培地は、「限定培地」、すなわちタンパク質、加水分解物又は未知組成物の成分を含有しない無血清培地であり得る。限定培地は、動物由来成分を含まず、すべての成分は、既知の化学構造を有する。いくつかの実施形態では、培地は、基礎培地、すなわち炭素源、水、塩、アミノ酸及び窒素の供給源(例えば、動物、例えば牛肉又は酵素抽出物)を含有する非限定培地である。様々な培地は、市販されており、当業者に公知である。いくつかの実施形態では、培地は、EX−CELL(登録商標)302無血清培地(Signam Aldrich,St.Louis,MO)、CD DG44培地(ThermoFisher Scientific,Waltham,MA)、BD Select培地(BD Biosciences,San Jose,CA)又はそれらの混合物、BD Select培地とSFM4CHO培地(Hyclone,Logan UT)との混合物から選択される。いくつかの実施形態では、培地は、SFM4CHO培地とBD Select(商標)培地との組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、培地は、SFM4CHO培地とBD Select(商標)培地との組み合わせを、90/10、80/20、75/25、70/30、60/40又は50/50から選択される比で含む。いくつかの実施形態では、培地は、SFM4CHO培地とBD Select(商標)培地との組み合わせを70/30〜90/10の比で含む。いくつかの実施形態では、培地は、SFM4CHO培地とBD Select(商標)培地との組み合わせを75/25の比で含む。
「代謝廃棄生成物」:用語「代謝廃棄生成物」は、本明細書で用いられるとき、いくつかの様式では細胞培養物にとって、特に所望の組換えポリペプチド又はタンパク質の発現又は活性に関して有害である正常又は非正常代謝過程の結果として、細胞培養物によって生産される化合物を指す。例えば、代謝廃棄生成物は、細胞培養物の増殖又は生存度にとって有害であり得るか、生産される組換えポリペプチド又はタンパク質の量を減少させ得るか、発現されるポリペプチド又はタンパク質のフォールディング、安定性、グリコシル化又は他の翻訳後修飾を改変し得るか、又は様々な他の様式において細胞及び/又は組換えポリペプチド若しくはタンパク質の発現若しくは活性にとって有害であり得る。例示的な代謝廃棄生成物は、グルコース代謝の結果として生産される乳酸塩及びグルタミン代謝の結果として生産されるアンモニウムを含む。一実施形態では、細胞培養物中の代謝廃棄生成物の生産を遅延させるか、それを低減するか、又はさらに除去するための方法が採用される。
「重量モル浸透圧濃度」及び「容積モル浸透圧濃度」:重量モル浸透圧濃度は、水溶液中に溶解した溶質粒子の浸透圧の尺度である。溶質粒子は、イオン及び非イオン化分子の両方を含む。重量モル浸透圧濃度は、1kgの溶液に溶解した浸透圧的に活性な粒子の濃度(すなわちオスモル)として表される(38℃で1mOsm/kgのHOは、19mmHgの浸透圧に等しい)。それに対し、「容積モル浸透圧濃度」は、1リットルの溶液に溶解した溶質粒子の数を指す。本明細書で用いられるとき、略記「mOsm」は、「ミリオスモル/kg溶液」を意味する。
「灌流培養」:用語「灌流培養」は、本明細書で用いられるとき、培養プロセスの開始後に追加的成分が培養物に連続的又は半連続的に提供される、細胞を培養する方法を指す。提供される成分は、典型的には、培養プロセス中に枯渇している、細胞のための栄養補助剤を含む。培地中の細胞及び/又は成分の一部は、典型的には、連続又は半連続ベースで収集され、任意選択的に精製される。いくつかの実施形態では、栄養補助剤は、本明細書に記載されるとき、灌流培養下で添加され、すなわち、それらは、定められた期間にわたって連続的に提供される。
「ポリペプチド」:用語「ポリペプチド」は、本明細書で用いられるとき、ペプチド結合を介して一緒に連結されるアミノ酸の連続鎖を指す。この用語は、任意の長さのアミノ酸鎖を指すために用いられるが、当業者は、この用語が長い鎖に限定されず、ペプチド結合を介して一緒に連結される2つのアミノ酸を含む最小鎖を指し得ることを理解するであろう。
「タンパク質」:用語「タンパク質」は、本明細書で用いられるとき、分離単位として機能する1つ以上のポリペプチドを指す。単一のポリペプチドが分離機能単位であり、分離機能単位を形成するために他のポリペプチドとの永久的な物理的会合を必要としない場合、用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書で用いられるとき、交換可能に用いられる。
「組換え発現されるポリペプチド」及び「組換えポリペプチド」:これらの用語は、本明細書で用いられるとき、ポリペプチドを発現するように遺伝子操作されている宿主細胞から発現されるポリペプチドを指す。組換え発現されるポリペプチドは、通常、哺乳類宿主細胞において発現されるポリペプチドに一致又は類似し得る。組換え発現されるポリペプチドは、宿主細胞に対して外来性でもあり得、すなわち通常、宿主細胞において発現されるペプチドに対して異種性であり得る。或いは、組換え発現されるポリペプチドは、ポリペプチドの一部が、通常、哺乳類宿主細胞において発現されるポリペプチドに一致又は類似するアミノ酸配列を有する一方、他の部分が宿主細胞に対して外来性である点でキメラであり得る。
「播種」:用語「播種」は、本明細書で用いられるとき、細胞培養物をバイオリアクター又は別の容器に提供するプロセスを指す。細胞は、別のバイオリアクター又は容器内で予め増殖され得る。或いは、細胞は、それらをバイオリアクター又は容器に提供する直前に凍結及び解凍され得る。この用語は、単細胞を含む任意の数の細胞を指す。様々な実施形態では、アルカリホスファターゼ(例えば、アスホターゼアルファ)は、細胞が約1.0×10細胞/mL、1.5×10細胞/mL、2.0×10細胞/mL、2.5×10細胞/mL、3.0×10細胞/mL、3.5×10細胞/mL、4.0×10細胞/mL、4.5×10細胞/mL、5.0×10細胞/mL、5.5×10細胞/mL、6.0×10細胞/mL、6.5×10細胞/mL、7.0×10細胞/mL、7.5×10細胞/mL、8.0×10細胞/mL、8.5×10細胞/mL、9.0×10細胞/mL、9.5×10細胞/mL、1.0×10細胞/mL、1.5×10細胞/mL、2.0×10細胞/mLの密度又はより高い密度で播種されるプロセスによって生産される。特定の一実施形態では、かかるプロセスにおいて、細胞は、約4.0×10細胞/mL、5.5×10細胞/mL又は8.0×10細胞/mLの密度で播種される。
「力価」:用語「力価」は、本明細書で用いられるとき、細胞培養物によって生産される組換え発現されたポリペプチド又はタンパク質の総量が所与量の培地容量で除されたものを指す。力価は、典型的には、1mLの培地あたりの数ミリグラム単位のポリペプチド又はタンパク質で表される。
本明細書で用いられるアクロニムは、例えば、VCD:生細胞密度;IVCC:積分生細胞濃度;TSAC:総シアル酸含量;HPAE−PAD:アンペロメトリック電気化学検出を伴う高性能アニオン交換クロマトグラフィー;SEC:サイズ排除クロマトグラフィー;AEX:アニオン交換クロマトグラフィー;LoC:ラボオンチップ;及びMALDI−TOF:マトリックス支援レーザー脱離/イオン化−飛行時間型を含む。
本明細書で用いられるとき、用語「疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラム」は、固定相又は樹脂に対するタンパク質と疎水性基との間の疎水性相互作用により、目的タンパク質の断片及び凝集物、他のタンパク質若しくはタンパク質断片及び細胞片などの他の汚染物質を含む不純物、又は他の精製ステップからの残留不純物からタンパク質が分離される、固定相又は樹脂及び移動相又は液相を含むカラムを指す。固定相又は樹脂は、疎水性リガンドが結合される基材マトリックス又は支持体、例えば架橋アガロース、シリカ又は合成共重合体材料を含む。かかる固定相又は樹脂の例として、フェニル、ブチル、オクチル、ヘキシル及び他のアルキルで置換されたアガロース、シリカ又は他の合成高分子が挙げられる。カラムは、固定相を含む任意のサイズであり得るか、又はオープン及びバッチプロセスで処理され得る。いくつかの実施形態では、組換えアルカリホスファターゼは、HICを用いて細胞培養物から単離される。
本明細書で用いられるとき、用語「調製物」は、目的のタンパク質を生産する細胞培養物からの目的のタンパク質(例えば、本明細書に記載の組換えアルカリホスファターゼ)及び少なくとも1つの不純物を含む溶液、並びに/又は細胞培養物からかかる目的のタンパク質を抽出、濃縮及び/若しくは精製するために用いられる溶液を指す。例えば、目的のタンパク質(例えば、本明細書に記載の組換えアルカリホスファターゼ)の調製物は、細胞培養物中で増殖し、かかる目的のタンパク質を生産する細胞をホモジナイズ溶液中でホモジナイズすることによって調製され得る。いくつかの実施形態では、次に、調製物に1つ以上の精製/単離プロセス、例えばクロマトグラフィーステップが施される。
本明細書で用いられるとき、用語「溶液」は、液体形態での2つ以上の物質の均一の分子混合物を指す。詳細には、いくつかの実施形態では、精製されるべきタンパク質、例えば本開示における組換えアルカリホスファターゼ又はその融合タンパク質(例えば、アスホターゼアルファ)は、溶液中の1つの物質を表す。用語「緩衝液」又は「緩衝溶液」は、その共役酸−塩基の範囲の作用により、pHの変化に抗する溶液を指す。pHを約pH5〜約pH7の範囲で制御する緩衝液の例として、ヘペス、クエン酸塩、リン酸塩及び酢酸塩並びに他のミネラル酸又は有機酸緩衝液、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。塩のカチオンは、ナトリウム、アンモニウム及びカリウムを含む。本明細書で用いられるとき、用語「負荷緩衝液/溶液」又は「平衡緩衝液/溶液」は、塩又はタンパク質調製物をクロマトグラフィーカラム、例えばHICカラムに負荷するためにタンパク質調製物と混合される塩を含有する緩衝液/溶液を指す。この緩衝液/溶液は、タンパク質を負荷する前にカラムを平衡化し、且つ負荷後にカラムを洗浄するためにも用いられる。「溶出緩衝液/溶液」は、タンパク質をカラムから溶出するために用いられる緩衝液/溶液を指す。本明細書で用いられるとき、用語「溶液」は、水を含む緩衝液又は非緩衝液のいずれかを指す。
用語「最小化する」又は他の類似の形式のものは、特定の溶液(例えば、組換えアルカリホスファターゼを含む調製物又はかかる組換えアルカリホスファターゼに対する精製プロセスで用いられる他の溶液、例えばクロマトグラフィーステップ、例えばHICステップのための溶液)中の特定の分子(例えば、金属イオンの少なくとも1つ)の濃度を好ましくは特定のレベル未満まで低減することを指す。例えば、本明細書に記載の方法は、細胞培養物によって生産される組換えアルカリホスファターゼを含む調製物中又はかかる組換えアルカリホスファターゼに対する少なくとも1つの精製プロセスのための溶液(例えば、クロマトグラフィーステップのための溶液)中の特定の金属イオン(例えば、Ni、Cu、Co、Mnなど)の濃度を、かかる金属イオンが精製された組換えアルカリホスファターゼにおける亜鉛−酵素構造の配合物に干渉することのないような特定のレベル未満まで最小化又は低減することを含み得る。したがって、特定の金属イオンの濃度を前記特定のレベル未満まで最小化することにより、精製された組換えアルカリホスファターゼは、同プロセスを通じて精製されるが、前記特定の金属イオンの濃度の最小化を伴わない組換えアルカリホスファターゼと比べて増加した活性を有するか又はそれと同等の活性を失わない。
本開示は、細胞培養物(例えば、限定されないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を含む哺乳動物細胞)によって発現される組換えタンパク質の収率及び酵素機能を改善する方法を提供する。具体的には、組換えタンパク質は、例えば、発酵プロセスを通じて特定の細胞型(例えば、限定されないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を含む哺乳動物細胞)によって生産され得る。細胞の接種及び増殖、タンパク質発現の誘導及びタンパク質発現のための様々なパラメータの最適化の全プロセスは、上流処理ステップと称される。それに対し、下流処理ステップは、例えば、生産タンパク質の回収及び精製(すなわち細胞及び培地に由来する他の不純物並びに/又は汚染物質からの生産タンパク質の分離)を含み得る。例示的な下流プロセスステップは、例えば、収集物からのタンパク質の捕捉、宿主細胞片、宿主細胞タンパク質(HCP)及び宿主細胞DNAの除去、内毒素、ウイルス及びその他の封じ込め、緩衝液交換並びに配合調節などを含む。
本開示は、細胞培養によって生産されるアルカリホスファターゼ(例えば、アスホターゼアルファ)の酵素機能を改善する方法を提供する。
本開示は、組換えタンパク質を発現する細胞(例えば、限定されないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を含む哺乳動物細胞)を培養する方法を提供する。本開示は、細胞培養によるアルカリホスファターゼ(例えば、アスホターゼアルファ)の生産を意図した生産システムを提供する。特定の実施形態では、細胞増殖、生存度及び/又はタンパク質生産若しくは品質に対して有害である1つ以上の代謝生成物の生産を最小化するシステムが提供される。特定の実施形態では、細胞培養は、バッチ培養、流加培養、培養又は連続培養である。
アルカリホスファターゼ(ALP)
本開示は、組換え細胞培養におけるアルカリホスファターゼタンパク質(例えば、アスホターゼアルファ)の生産に関する。アルカリホスファターゼタンパク質は、少なくともいくらかのアルカリホスファターゼ活性を含む任意のポリペプチド又はポリペプチドを含む分子を含む。様々な実施形態では、本明細書で開示されるアルカリホスファターゼは、当該技術分野で公知のアルカリホスファターゼの任意の機能、例えばホスホエタノールアミン(PEA)、無機ピロリン酸(PPi)及びピリドキサール5’−リン酸(PLP)を含む天然基質に対する酵素活性を含み得る、アルカリホスファターゼ機能を有する任意のポリペプチドを含む。
特定の実施形態では、かかるアルカリホスファターゼタンパク質は、本明細書で開示される方法によって生産され、次いで精製された後、アルカリホスファターゼ関連疾患又は障害を治療又は予防するために用いられ得る。例えば、かかるアルカリホスファターゼタンパク質は、内因性アルカリホスファターゼの減少及び/又は機能不全を有するか、又は過剰発現された(例えば、正常レベルを超える)アルカリホスファターゼ基質を有する対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、本開示におけるアルカリホスファターゼタンパク質は、組換えタンパク質である。いくつかの実施形態では、アルカリホスファターゼタンパク質は、融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、本開示におけるアルカリホスファターゼタンパク質は、細胞型、組織(例えば、結合、筋肉、神経又は上皮組織)又は臓器(例えば、肝臓、心臓、腎臓、筋肉、骨、軟骨、靱帯、腱など)を特異的に標的にする。例えば、かかるアルカリホスファターゼタンパク質は、完全長アルカリホスファターゼ(ALP)又は少なくとも1つのアルカリホスファターゼ(ALP)の断片を含み得る。いくつかの実施形態では、アルカリホスファターゼタンパク質は、骨標的部分(例えば、下記のような負に荷電したペプチド)に連結される可溶性ALP(sALP)を含む。いくつかの実施形態では、アルカリホスファターゼタンパク質は、免疫グロブリン部分(完全長又は断片)に連結される可溶性ALP(sALP)を含む。例えば、かかる免疫グロブリン部分は、結晶化可能領域断片(Fc)を含み得る。いくつかの実施形態では、アルカリホスファターゼタンパク質は、骨標的部分と免疫グロブリン部分(完全長又は断片)との両方に連結される可溶性ALP(sALP)を含む。本明細書で開示されるアルカリホスファターゼタンパク質のより詳細な説明については、PCT公開の国際公開第2005/103263号パンフレット及び国際公開第2008/138131号パンフレット(それらの両方の教示は、その全体が参照により本明細書に援用される)を参照されたい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のアルカリホスファターゼタンパク質は、sALP−X、X−sALP、sALP−Y、Y−sALP、sALP−X−Y、sALP−Y−X、X−sALP−Y、X−Y−sALP、Y−sALP−X及びY−X−sALP(式中、Xは、本明細書に記載のように骨標的部分を含み、且つYは、本明細書に記載のように免疫グロブリン部分を含む)からなる群から選択される構造のいずれか1つを含む。一実施形態では、アルカリホスファターゼタンパク質は、W−sALP−X−Fc−Y−D/E−Z(式中、Wは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Xは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Yは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Zは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Fcは、結晶化可能領域断片であり、D/Eは、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸又はそれらの組み合わせであり、ここで、n=8〜20であり、及びsALPは、可溶性アルカリホスファターゼ(ALP)である)の構造を含む。いくつかの実施形態では、D/Eは、ポリアスパラギン酸配列である。例えば、Dは、ポリアスパラギン酸配列であり得、ここで、nは、8〜20の任意の数(両方が含まれる)である(例えば、nは、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び20であり得る)。一実施形態では、Dは、D10又はD16である。いくつかの実施形態では、D/Eは、ポリグルタミン酸配列である。例えば、Eは、ポリグルタミン酸配列であり得、ここで、nは、8〜20の任意の数(両方が含まれる)である(例えば、nは、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び20であり得る)。一実施形態では、Eは、E10又はE16である。
例えば、かかるsALPは、免疫グロブリン分子の完全長又は断片(例えば、結晶化可能領域断片(Fc))に融合され得る。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、W−sALP−X−Fc−Y−D−Z(式中、Wは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Xは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Yは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Zは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Fcは、結晶化可能領域断片であり、Dは、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸又はそれらの組み合わせであり、ここで、n=10又は16であり、及び前記sALPは、可溶性アルカリホスファターゼである)の構造を含む。一実施形態では、n=10である。別の実施形態では、W及びZは、前記ポリペプチドに不在である。いくつかの実施形態では、前記Fcは、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びヒンジ領域を含む。いくつかの実施形態では、前記Fcは、IgG−1、IgG−2、IgG−3、IgG−3及びIgG−4からなる群から選択される免疫グロブリンの定常ドメインである。一実施形態では、前記Fcは、免疫グロブリンIgG−1の定常ドメインである。特定の一実施形態では、前記Fcは、配列番号1のD488−K714に示される配列を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるアルカリホスファターゼは、W−sALP−X−Fc−Y−D−Z(式中、Wは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Xは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Yは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Zは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Fcは、結晶化可能領域断片であり、Dは、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸又はそれらの組み合わせであり、ここで、n=10又は16であり、及び前記sALPは、可溶性アルカリホスファターゼである)の構造を含む。かかるsALPは、ホスホエタノールアミン(PEA)、無機ピロリン酸(PPi)及びピリドキサール5’−リン酸(PLP)の少なくとも1つの切断を触媒する能力がある。様々な実施形態では、本明細書で開示されるsALPは、無機ピロリン酸(PPi)の切断を触媒する能力がある。かかるsALPは、C末端の糖脂質アンカー(GPI)を有しないアルカリホスファターゼ(ALP)の活性のあるアンカー型のすべてのアミノ酸を含み得る。かかるALPは、組織非特異的アルカリホスファターゼ(TNALP)、胎盤アルカリホスファターゼ(PALP)、胚細胞アルカリホスファターゼ(GCALP)及び腸アルカリホスファターゼ(IAP)又は本明細書で開示されるそれらのキメラ若しくは融合型又は変異体の少なくとも1つであり得る。特定の一実施形態では、ALPは、組織非特異的アルカリホスファターゼ(TNALP)を含む。別の実施形態では、本明細書で開示されるsALPは、配列番号1のL1−S485に示される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドによってコードされる。さらに別の実施形態では、本明細書で開示されるsALPは、配列番号1のL1−S485に示される配列を含む。
一実施形態では、アルカリホスファターゼタンパク質は、TNALP−Fc−D10(配列番号1、下に列挙の通り)の構造を含む。下線部のアスパラギン(N)残基は、予想されるグリコシル化部位(すなわちN123、213、254、286、413及び564)に対応する。太字下線部のアミノ酸残基(L486−K487及びD715−I716)は、それぞれsALPとFcとの間及びFcとD10ドメインとの間のリンカーに対応する。
Figure 2020509744
各々のポリペプチド又は単量体は、5つの部分から構成される。アミノ酸L1−S485を有する第1の部分(sALP)は、触媒機能を有する、ヒト組織非特異的アルカリホスファターゼ酵素の可溶性部分である。第2の部分は、リンカーとしてアミノ酸L486−K487を有する。アミノ酸D488−K714を有する第3の部分(Fc)は、ヒンジ、CH及びCHドメインを有するヒト免疫グロブリンγ1(IgG1)のFc部分である。第4の部分は、リンカーとしてアミノ酸D715−I716を有する。第5の部分は、アスホターゼアルファが骨の鉱物相に結合することを可能にする骨標的部分であるアミノ酸D717−D726(D10)を有する。さらに、各ポリペプチド鎖は、6つの予想されるグリコシル化部位及び11のシステイン(Cys)残基を有する。Cys102は、遊離システインとして存在する。各ポリペプチド鎖は、Cys122とCys184、Cys472とCys480、Cys528とCys588及びCys634とCys692との間に4つの鎖内ジスルフィド結合を有する。2つのポリペプチド鎖は、両方の鎖上のCys493間及び両方の鎖上のCys496間の2つの鎖間ジスルフィド結合によって連結される。これらの共有結合構造的特徴に加えて、哺乳類アルカリホスファターゼは、各ポリペプチド鎖上において、亜鉛に対する2つの部位、マグネシウムに対する1つの部位及びカルシウムに対する1つの部位を含む4つの金属結合部位を有すると考えられる。
ALPには、4つの既知のアイソザイム、すなわちさらに下に記される組織非特異的アルカリホスファターゼ(TNALP)、胎盤アルカリホスファターゼ(PALP)(例えば、ジェンバンク受入番号NP_112603及びNP_001623に記述される通り)、胚細胞アルカリホスファターゼ(GCALP)(例えば、ジェンバンク受入番号P10696に記述される通り)及び腸アルカリホスファターゼ(IAP)(例えば、ジェンバンク受入番号NP_001622に記述される通り)が存在する。これらの酵素は、酷似する三次元構造を有する。それら触媒部位の各々は、2個のZn及び1個のMgを含む、酵素活性にとって必要な金属イオンに対する4つの金属結合ドメインを有する。これらの酵素は、リン酸のモノエステルの加水分解を触媒し、高濃度のリン酸受容体の存在下でトランスリン酸化反応も触媒する。ALP(例えば、TNALP)に対する3つの既知の天然基質は、ホスホエタノールアミン(PEA)、無機ピロリン酸(PPi)及びピリドキサール5’−リン酸(PLP)を含む(Whyte et al.,1995 J Clin Invest 95:1440−1445)。これらのアイソザイム間の整列化は、国際公開第2008/138131号パンフレット(その教示は、その全体が参照により本明細書に援用される)の図30に示される。
本開示におけるアルカリホスファターゼタンパク質は、任意のALPタンパク質の二量体又は多量体を単独で又は組み合わせて含み得る。キメラALPタンパク質又は融合タンパク質、例えばKiffer−Moreira et al.2014 PLoS One 9:e89374(その全教示は、その全体が参照により本明細書に援用される)に記載のキメラALPタンパク質も生産され得る。
特定の一実施形態では、本明細書で開示されるアルカリホスファターゼは、配列番号1に示される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドによってコードされる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるアルカリホスファターゼは、配列番号1に対して80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有する配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドによってコードされる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるアルカリホスファターゼは、配列番号1に対して95%又は99%の同一性を有する配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドによってコードされる。別の実施形態では、本明細書で開示されるアルカリホスファターゼは、配列番号1に示される配列を含む。
TNALP
上に示される通り、TNALPは、糖脂質を通じてそのC末端に固定される膜結合タンパク質である(ヒトTNALPについては、UniProtKB/Swiss−Prot受入番号P05186を参照されたい)。この糖脂質アンカー(GPI)は、翻訳後、一時的な膜アンカーとGPIの付加に対するシグナルとの両方として役立つ疎水性C末端の除去後に付加される。したがって、一実施形態では、可溶性ヒトTNALPは、疎水性C末端配列の1番目のアミノ酸、すなわちアラニンが停止コドンで置換されるTNALPを含む。そのように形成された可溶性TNALP(本明細書中でsTNALPと称される)は、GPI膜アンカーを欠如する触媒部位の形成に必要である、TNALPの天然アンカー型のすべてのアミノ酸を含有する。公知のTNALPとして、例えばヒトTNALP[ジェンバンク受入番号NP−000469、AAI10910、AAH90861、AAH66116、AAH21289及びAAI26166];アカゲザルTNALP[ジェンバンク受入番号XP−001109717];ラットTNALP[ジェンバンク受入番号NP_037191];イヌTNALP[ジェンバンク受入番号AAF64516];ブタTNALP[ジェンバンク受入番号AAN64273]、マウスTNALP[ジェンバンク受入番号NP_031457]、ウシTNALP[ジェンバンク受入番号NP_789828、NP_776412、AAM8209及びAAC33858]並びにネコTNALP[ジェンバンク受入番号NP_001036028]が挙げられる。
本明細書で用いられるとき、用語「細胞外ドメイン」は、(例えば、ペプチドシグナルを伴わない)天然タンパク質の任意の機能的細胞外部分を指すことを意味する。元のアミノ酸1〜501(分泌時、18〜501)、アミノ酸1〜502(分泌時、18〜502)、アミノ酸1〜504(分泌時、18〜504)又はアミノ酸1〜505(分泌時、18〜505)を保持する組換えsTNALPポリペプチドは、酵素活性がある(Oda et al.,1999 J.Biochem 126:694−699を参照されたい)。これは、アミノ酸残基が天然タンパク質のC末端からその酵素活性に影響することなく除去され得ることを示す。さらに、可溶性ヒトTNALPは、1つ以上のアミノ酸置換を含み得、かかる置換は、sTNALPの酵素活性を低下させないか又は少なくとも完全に阻害することはない。例えば、低ホスファターゼ症(HPP)の原因となることが知られる特定の突然変異は、PCT公開の国際公開第2008/138131号パンフレットに列挙されており、機能的sTNALPを維持するために回避される必要がある。
負に荷電したペプチド
本開示のアルカリホスファターゼタンパク質は、所定の細胞型、組織又は臓器に対してアルカリホスファターゼタンパク質を特異的に標的にすることがある標的部分を含み得る。いくつかの実施形態では、かかる所定の細胞型、組織又は臓器は、骨組織である。かかる骨標的部分は、任意の公知のポリペプチド、ポリヌクレオチド又は当該技術分野で公知の小分子化合物を含み得る。例えば、負に荷電したペプチドは、骨標的部分として用いられ得る。いくつかの実施形態では、かかる負に荷電したペプチドは、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸又はそれらの組み合わせ(例えば、少なくとも1つのアスパラギン酸と少なくとも1つのグルタミン酸とを含むポリペプチド、例えばアスパラギン酸及びグルタミン酸残基の組み合わせを含む負に荷電したペプチド)であり得る。いくつかの実施形態では、かかる負に荷電したペプチドは、D、D、D、D、D10、D11、D12、D13、D14、D15、D16、D17、D18、D19、D20又は20を超えるアスパラギン酸を有するポリアスパラギン酸であり得る。いくつかの実施形態では、かかる負に荷電したペプチドは、E、E、E、E、E10、E11、E12、E13、E14、E15、E16、E17、E18、E19、E20又は20を超えるグルタミン酸を有するポリグルタミン酸であり得る。一実施形態では、かかる負に荷電したペプチドは、D10〜D16又はE10〜E16からなる群から選択される少なくとも1つを含み得る。
スペーサー
いくつかの実施形態では、本開示のアルカリホスファターゼタンパク質は、ALP部分と標的部分との間にスペーサー配列を含む。一実施形態では、かかるアルカリホスファターゼタンパク質は、ALP(例えば、TNALP)部分と負に荷電したペプチド標的部分との間にスペーサー配列を含む。かかるスペーサーは、任意のポリペプチド、ポリヌクレオチド又は小分子化合物であり得る。いくつかの実施形態では、かかるスペーサーは、結晶化可能領域断片(Fc)の断片を含み得る。有用なFc断片は、ヒンジ並びにCH及びCHドメインを含むIgGのFc断片を含む。かかるIgGは、IgG−1、IgG−2、IgG−3、IgG−3及びIgG−4又はそれらの任煮の組み合わせのいずれかであり得る。
この理論に制限されることなく、骨標的化sALP融合タンパク質(例えば、アスホターゼアルファ)で用いられるFc断片がスペーサーとして作用し、sTNALP−Fc−D10の発現がsTNALP−D10の発現よりも高いと仮定すると、タンパク質がより効率的に折り畳まれることを可能にすると考えられる(下の実施例2を参照されたい)。1つの考えられる説明は、Fc断片の導入が、本明細書に例示されるsALP配列のC末端に付加される高度に負に荷電したD10配列の存在によって引き起こされる斥力を軽減することである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のアルカリホスファターゼタンパク質は、sALP−Fc−D10、sALP−D10−Fc、D10−sALP−Fc、D10−Fc−sALP、Fc−sALP−D10及びFc−D10−sALPからなる群から選択される構造を含む。他の実施形態では、上記構造中のD10は、他の負に荷電したポリペプチド(例えば、D、D16、E10、E、E16など)で置換される。
本開示にとって有用なスペーサーは、例えば、Fcを含むポリペプチド並びにsALP配列のC末端に付加される高度に負に荷電した骨標的配列(例えば、D10)の存在によって引き起こされる斥力を軽減することができる親水性及び柔軟性ポリペプチドを含む。
二量体/四量体
具体的な実施形態では、本開示の骨標的化sALP融合タンパク質は、二量体又は四量体を形成するように会合される。
二量体立体配置では、鎖間ジスルフィド結合の形成によって課せられる立体障害は、おそらく、正常細胞内に存在する最小の触媒活性タンパク質二量体に会合するためのsALPドメインの会合性を阻止する。
この理論に制限されることなく、その四量体構造中では、融合タンパク質の会合性は、ある二量体からの1つのsALPドメインを異なる二量体の別のsALPドメインと連結することを含むと考えられる。
骨標的化sALPは、任意選択的に、1)負に荷電したペプチド(例えば、骨標識剤)から下流、及び/又は2)負に荷電したペプチド(例えば、骨標識剤)とFc断片との間、及び/又は3)スペーサー(例えば、Fc断片)とsALP断片との間に1つ以上の追加的なアミノ酸をさらに含み得る。例えば、骨標的コンジュゲートを作製するために用いられるクローニング方法により、これらの位置に外因性アミノ酸が導入される場合にこれが生じ得る。しかし、外因性アミノ酸は、さらなるGPIアンカーシグナルをもたらさないように選択される必要がある。設計された配列が宿主細胞のトランスアミダーゼによって切断される可能性は、Ikezawa,2002 Glycosylphosphatidylinositol(GPI)−anchored proteins.Biol Pharm Bull.25:409−17に記載のように予測可能である。
本開示は、例えば、本明細書中で明記されるものを含むグリコシル化、アセチル化、アミド化、封鎖、ホルミル化、γ−カルボキシグルタミン酸水酸化、メチル化、リン酸化、ピロリドンカルボン酸及び硫酸化によって翻訳後修飾される融合タンパク質も包含する。
アスホターゼアルファ
アスホターゼアルファは、2つのTNALP−Fc−D10ポリペプチド(それぞれ配列番号1に示されるような726アミノ酸を有する)からなる可溶性Fc融合タンパク質である。各々のポリペプチド又は単量体は、5つの部分から構成される。アミノ酸L1−S485を有する第1の部分(sALP)は、触媒機能を有する、ヒト組織非特異的アルカリホスファターゼ酵素の可溶性部分である。第2の部分は、リンカーとしてアミノ酸L486−K487を有する。アミノ酸D488−K714を有する第3の部分(Fc)は、ヒンジ、CH及びCHドメインを有するヒト免疫グロブリンγ1(IgG1)のFc部分である。第4の部分は、リンカーとしてD715−I716を有する。第5の部分は、アスホターゼアルファが骨の鉱物相に結合することを可能にする骨標的部分であるアミノ酸D717−D726(D10)を有する。さらに、各ポリペプチド鎖は、6つの予想されるグリコシル化部位及び11のシステイン(Cys)残基を有する。Cys102は、遊離システインとして存在する。各ポリペプチド鎖は、4つの鎖内ジスルフィド結合をCys122とCys184、Cys472とCys480、Cys528とCys588及びCys634とCys692との間に有する。2つのポリペプチド鎖は、両方の鎖上のCys493間及び両方の鎖上のCys496間での2つの鎖間ジスルフィド結合によって連結される。これらの共有結合構造的特徴に加えて、哺乳類アルカリホスファターゼは、各ポリペプチド鎖上において、亜鉛に対する2つの部位、マグネシウムに対する1つの部位及びカルシウムに対する1つの部位を含む4つの金属結合部位を有すると考えられる。
アスホターゼアルファは、次のようにも特徴付けることができる。N末端からC末端へ、アスホターゼアルファは、(1)ヒト組織非特異的アルカリホスファターゼ(TNSALP)の可溶性触媒ドメイン(UniProtKB/Swiss−Prot受入番号P05186)、(2)ヒト免疫グロブリンG1 Fcドメイン(UniProtKB/Swiss−Prot受入番号P01857)、及び(3)骨標的化ドメインとして用いられるデカアスパラギン酸ペプチド(D10)を含む(Nishioka et al.2006 Mol Genet Metab 88:244−255)。タンパク質は、2つの一次タンパク質配列からホモ二量体に会合する。この融合タンパク質は、6つの確認された複雑なN−グリコシル化部位を有する。これらのN−グリコシル化部位の5つは、sALPドメイン上に位置し、1つは、Fcドメイン上に位置する。アスホターゼアルファ上に存在する別の重要な翻訳後修飾は、酵素とFc−ドメイン構造とを安定化するジスルフィド架橋の存在である。全部で4つの分子内ジスルフィド架橋が1単量体あたりに存在し、2つの分子内ジスルフィド架橋が二量体中に存在する。アルカリホスファターゼドメインの1つのシステインが遊離している。
アスホターゼアルファは、低ホスファターゼ症(HPP)の治療のための酵素置換治療薬として用いられ得る。HPPを有する患者では、TNSALPをコードする遺伝子における機能欠失変異は、TNSALP酵素活性の欠損を引き起こし、基質、例えば無機ピロリン酸(PPi)及びピリドキサール−5’−リン酸(PLP)の循環レベルの上昇をもたらす。アスホターゼアルファのHPPを有する患者への投与により、PPiが切断され、カルシウムとの組み合わせのために無機リン酸塩が放出され、それによりハイドロキシアパタイト結晶形成及び骨石灰化が促進され、正常な骨格表現型が回復される。アスホターゼアルファ及び治療におけるその使用に関するさらなる詳細については、PCT公開の国際公開第2005/103263号パンフレット及び国際公開第2008/138131号パンフレットを参照されたい。
いくつかの実施形態では、本方法は、本明細書に記載の通り、通常の手段により、活性に対して潜在的な負の影響を有する金属イオンの濃度を最小化するか、又は活性に対して潜在的な正の影響を有する金属イオンの濃度を増加させるか、又はその両方によって生産されるアルカリホスファターゼと比べて、生産されるアルカリホスファターゼ(例えば、アスホターゼアルファ)の改善された酵素活性を有するアルカリホスファターゼ(アスホターゼアルファ)を提供する。活性は、任意の公知の方法によって測定され得る。かかる方法は、例えば、生産されるアルカリホスファターゼ(例えば、アスホターゼアルファ)の、アルカリホスファターゼの基質、例えばホスホエタノールアミン(PEA)、無機ピロリン酸(PPi)及びピリドキサール5’−リン酸(PLP)に対する酵素活性を測定するインビトロ及びインビボアッセイを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるアルカリホスファターゼは、配列番号1に示される配列を含むポリペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドに対して完全に相補的な配列と比べて、高ストリンジェンシー条件下で第2のポリヌクレオチドにハイブリダイズする第1のポリヌクレオチドによってコードされる。かかる高ストリンジェンシー条件は、6×SSC、5×デンハート試薬、0.5%SDS及び100mg/mlの変性断片化されたサケ精子DNAにおける68℃でのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション、並びに室温で10分間の2×SSC及び0.5%SDSでの洗浄、室温で10分間の2×SSC及び0.1%SDSでの洗浄、及び65℃で5分間、3回の0.1×SSC及び0.5%SDSでの洗浄を含み得る。
生産プロセス
本明細書に記載のアルカリホスファターゼタンパク質(例えば、アスホターゼアルファ)は、当該技術分野で公知の方法を用いて、哺乳類又は他の細胞、特にCHO細胞によって生産され得る。かかる細胞は、培養ディッシュ、フラスコガラス又はバイオリアクター内で増殖され得る。細胞培養及び組換えタンパク質生産のための特定のプロセスは、当該技術分野で公知であり、例えばNelson and Geyer,1991 Bioprocess Technol.13:112−143及びRea et al.,Supplement to BioPharm International March 2008,20−25に記載されている。例示的なバイオリアクターは、バッチ、流加及び連続反応器を含む。いくつかの実施形態では、アルカリホスファターゼタンパク質は、流加バイオリアクター内で生産される。
細胞培養プロセスは、例えば、限定されないが、pHの変化、温度、温度変化、温度変化のタイミング、細胞培地組成、細胞培養栄養補助剤、原料のロット間変動、培地ろ過用材料、バイオリアクター規模の差異、ガス処理方法(空気、酸素及び二酸化炭素)などを含む変動する物理化学的環境によって引き起こされる変動性を有する。本明細書で開示される通り、生産されるアルカリホスファターゼタンパク質の収率、相対活性特性及びグリコシル化特性は、1つ以上のパラメータにおける変更によって影響を受け得る。
細胞培養下での組換えタンパク質生産では、必要な転写調節エレメントを有する組換え遺伝子は、最初に宿主細胞に導入される。任意選択的に、レシピエント細胞に選択的利点を与える第2の遺伝子が導入される。遺伝子導入から数日後、適用され得る選択薬剤の存在下において、選択遺伝子を発現する細胞のみが生存する。選択のための2つの例示的遺伝子は、ヌクレオチド代謝に関与する酵素のジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)及びグルタミンシンテターゼ(GS)である。両方の場合において、適切な代謝産物(DHFRの場合にはヒポキサンチン及びチミジン、GSの場合にはグルタミン)の不在下で選択が生じ、非形質転換細胞の増殖が阻止される。一般に、組換えタンパク質の効率的発現において、生物製剤をコードする遺伝子及び選択遺伝子が同じプラスミド上に存在するか否かは重要でない。
選択後、生存細胞は、単細胞として第2の培養容器に導入され得、培養物は、クローン集団を生成するために拡大される。最終的に、個別クローンは、組換えタンパク質の発現について評価され、最高の生産者は、さらなる培養及び分析のために保持される。これらの候補から、組換えタンパク質の生産のため、適切な増殖及び生産性特性を有する1つの細胞株が選択される。次に、生産需要及び最終生成物の要件によって決定される培養プロセスが開発される。
細胞
任意の哺乳動物細胞型又は非哺乳動物細胞型がポリペプチドを生産するために培養され得るが、本開示に従って利用され得る。用いられ得る哺乳動物細胞の非限定例として、例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞+/−DHFR(CHO,Urlaub and Chasin,1980 Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4216);BALB/cマウス骨髄腫株(NSO/1、ECACC受入番号:85110503);ヒト網膜芽細胞腫(PER.C6(CruCell,Leiden,The Netherlands));SV40(COS−7,ATCC CRL 1651)によって形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胚性腎臓株(懸濁培養下での増殖のためにサブクローニングされた293又は293細胞、Graham et al.,1977 J.Gen Virol.,36:59);ベビーハムスター腎細胞(BHK,ATCC CCL 10);マウスセルトリ細胞(TM4,Mather,Biol.Reprod.,23:243−251(1980));サル腎細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76,ATCC CRL−I 587);ヒト頸部がん細胞(HeLa,ATCC CCL 2);イヌ腎細胞(MDCK,ATCC CCL 34);バッファローラット肝細胞(BRL3A,ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138,ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(Hep G2,HB8065);マウス乳腺腫瘍(MMT060562,ATCC CCL51);TRI細胞(Mather et al.,1982,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44−68);MRC5細胞;FS4細胞;及びヒト肝腫瘍株(Hep G2)が挙げられる。特定の実施形態では、ポリペプチド及びタンパク質の培養及び発現は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株から行われる。
加えて、ポリペプチド又はタンパク質を発現する任意の数の市販及び非市販のハイブリドーマ細胞株が本開示に従って利用され得る。当業者は、ハイブリドーマ細胞株が異なる栄養の需要を有し得、且つ/又は最適な増殖及びポリペプチド若しくはタンパク質発現に対して異なる培養条件を必要とし得ることを理解し、且つ必要に応じて条件を変更することができるであろう。
上記の通り、多くの場合、細胞は、タンパク質又はポリペプチドを高レベルで生産するように選択又は改変されることになる。多くの場合、細胞は、タンパク質を高レベルで生産するため、例えば目的のタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子の導入により、且つ/又は目的のポリペプチドをコードする遺伝子(内因性であるか又は導入される)の発現を調節する調節エレメントの導入により遺伝子操作される。
播種密度
本開示では、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が培地に接種、すなわち播種される。様々な播種密度を用いることができる。いくつかの実施形態では、1.0×10細胞/mL〜1.0×10細胞/mLの播種密度を用いることができる。いくつかの実施形態では、1.0×10細胞/mL〜1.0×10細胞/mLの播種密度を用いることができる。いくつかの実施形態では、4.0×10細胞/mL〜8.0×10細胞/mLの播種密度を用いることができる。いくつかの実施形態では、5.0×10細胞/mL〜6.0×10細胞/mLの播種密度を用いることができる。いくつかの実施形態では、5.5×10細胞/mLの播種密度を用いることができる。いくつかの実施形態では、播種密度の増加は、SECによって測定されるとき、アスホターゼアルファ品質の断片化に影響し得る。いくつかの実施形態では、播種密度は、断片生成のリスクを低減するために接種時に制御される。
温度
以前の結果によると、温度は、増殖速度、凝集、断片化及びTSACを含むいくつかのパラメータに対する影響を有する可能性があることが示された。いくつかの実施形態では、温度は、CHO細胞を培地で培養するとき、一定のままである。いくつかの実施形態では、温度は、CHO細胞を培地で培養するとき、約30℃〜約40℃、又は約35℃〜約40℃、又は約37℃〜約39℃、又は約37.5℃である。いくつかの実施形態では、温度は、接種後の40〜200時間にわたって一定である。いくつかの実施形態では、温度は、接種後の50〜150時間、又は60〜140時間、又は70〜130時間、又は80〜120時間、又は90〜110時間にわたって一定である。いくつかの実施形態では、温度は、接種後の80〜120時間にわたって一定である。いくつかの実施形態では、温度は、接種後の90時間、92時間、94時間、96時間、98時間、100時間、102時間、104時間、106時間、108時間又は110時間にわたって一定である。
温度変化
細胞培養プロセス、特に非連続プロセス(例えば、バイオリアクターにおける流加プロセス)の実行時間は、通常、典型的には実行期間にわたって減少する細胞の残存生存度によって制限される。したがって、細胞生存度における時間を延長することは、組換えタンパク質の生産を改善するために所望される。生成物品質への関心はまた、細胞死が培養上清にシアリダーゼを放出し得、発現されるタンパク質のシアル酸含量を減少させる可能性があることから、生細胞密度における減少を最小化し、高い細胞生存度を維持するという動機付けをもたらす。タンパク質精製への関心は、生細胞密度における減少を最小化し、高い細胞生存度を維持するというさらに別の動機付けをもたらす。培養物中の細胞片及び死細胞の内容物は、培養実行の終了時にタンパク質生成物を単離及び/又は精製する能力に対して負の影響を与え得る。したがって、細胞を培養下でより長期間にわたり生存可能に維持することにより、細胞によって生産される所望の糖タンパク質の品質における劣化及び究極的低下を引き起こすことがある、細胞性タンパク質及び酵素(例えば、細胞性プロテアーゼ及びシアリダーゼ)による培地の汚染において低下が認められる。
細胞培養物における高い細胞生存度を達成するため、多くの方法が適用され得る。1つは、正常温度での初期培養後に培養温度を低下させることを含む。例えば、Ressler et al.,1996,Enzyme and Microbial Technology 18:423−427)を参照されたい。一般に、目的のタンパク質を発現する能力がある哺乳類又は他の細胞型は、細胞数を増加させるため、最初に正常温度下で増殖される。各細胞型におけるかかる「正常」温度は、一般に約37℃(例えば、約35℃〜約39℃、例えば35.0℃、35.5℃、36.0℃、36.5℃、37.0℃、37.5℃、38.0℃、38.5℃及び/又は39.0℃など)である。特定の一実施形態では、アスホターゼアルファを生産するための温度は、最初に約37℃に設定される。適度に高い細胞密度が達成されるとき、そこでタンパク質生産を促進するため、全細胞培養物における培養温度が変更される(例えば、低減される)。ほとんどの場合、温度の低下により、細胞が細胞周期の非増殖G1部分の方に変化し、以前のより高い温度環境と比べて細胞密度及び生存度が増加することがある。さらに、より低い温度は、細胞性タンパク質の生産速度を増加させ、タンパク質の翻訳後修飾(例えば、グリコシル化)を促進し、新規に生産されるタンパク質の断片化又は凝集を低減し、タンパク質のフォールディング及び三次元構造の形成を促進し(したがって活性を維持する)、且つ/又は新規に生産されるタンパク質の分解を低減することにより、組換えタンパク質の生産を促進する可能性もある。いくつかの実施形態では、温度は、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃又は10℃低下する。いくつかの実施形態では、温度は、約27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃又は35℃まで低下する。いくつかの実施形態では、より低い温度は、約30℃〜約35℃(例えば、30.0℃、30.5℃、31.0℃、31.5℃、32.0℃、32.5℃、33.0℃、33.5℃、34.0℃、34.5℃及び/又は35.0℃)である。他の実施形態では、アスホターゼアルファを生産するための温度は、最初に約35.0℃〜約39.0℃に設定され、次に約30.0℃〜約35.0℃に変更される。一実施形態では、アスホターゼアルファを生産するための温度は、最初に約37.0℃に設定され、次に約30℃に変更される。別の実施形態では、アスホターゼアルファを生産するための温度は、最初に約36.5℃に設定され、次に約33℃に変更される。さらに別の実施形態では、アスホターゼアルファを生産するための温度は、最初に約37.0℃に設定され、次に約33℃に変更される。さらなる実施形態では、アスホターゼアルファを生産するための温度は、最初に約36.5℃に設定され、次に約30℃に変更される。他の実施形態では、温度変更の複数(例えば、2つ以上)のステップが適用され得る。例えば、温度は、最初の37℃から33℃に、次いでさらに30℃に低下され得る。
異なる温度に変更する前、特定の温度で培養物を維持するための時間は、細胞生存度及び目的のタンパク質を生産する能力を維持しながら、十分な(又は所望の)細胞密度を達成するように決定され得る。いくつかの実施形態では、細胞培養物は、異なる温度に変更する前、初期温度下で生細胞密度が約105細胞/mL〜約107細胞/mL(例えば、1×10、1.5×10、2.0×10、2.5×10、3.0×10、3.5×10、4.0×10、4.5×10、5.0×10、5.5×10、6.0×10、6.5×10、7.0×10、7.5×10、8.0×10、8.5×10、9.0×10、9.5×10、1.0×10、1.5×10、2.0×10、2.5×10、3.0×10、3.5×10、4.0×10、4.5×10、5.0×10、5.5×10、6.0×10、6.5×10、7.0×10、7.5×10、8.0×10、8.5×10、9.0×10、9.5×10、1×10細胞/mL又はそれを超える)に達するまで増殖される。一実施形態では、細胞培養物は、異なる温度に変更する前、初期温度下で生細胞密度が約2.5〜約3.4×10細胞/mLに達するまで増殖される。別の実施形態では、細胞培養物は、異なる温度に変更する前、初期温度下で生細胞密度が約2.5〜約3.2×10細胞/mLに達するまで増殖される。さらに別の実施形態では、細胞培養物は、異なる温度に変更する前、初期温度下で生細胞密度が約2.5〜約2.8×10細胞/mLに達するまで増殖される。
いくつかの実施形態では、細胞培養物は、タンパク質生産のために30℃に変更する前、37℃下で生細胞密度が約2.5〜2.8×10細胞/mLに達するまで増殖される。他の実施形態では、細胞培養物は、タンパク質生産のために30℃に変更する前、37℃下で生細胞密度が約2.5〜3.4×10細胞/mLに達するまで増殖される。
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、温度変化が接種から50〜150時間後、又は60〜140時間後、又は70〜130時間後、又は80〜120時間後、又は90〜110時間後に生じることを提供する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、温度が接種から約80時間〜150時間後、接種から約90時間〜100時間後又は接種から約96時間後に低下することを提供する。いくつかの実施形態では、温度変化は、接種から80〜120時間後に生じる。いくつかの実施形態では、温度変化は、接種から90時間後、92時間後、94時間後、96時間後、98時間後、100時間後、102時間後、104時間後、106時間後、108時間後又は110時間後に生じる。いくつかの実施形態では、温度変化後の温度は、CHO細胞が収集されるまで維持される。いくつかの実施形態では、CHO細胞は、接種から10日後に収集される。いくつかの実施形態では、CHO細胞は、接種から14日後に収集される。
pH
細胞培養下の増殖培地のpHの変更は、細胞タンパク質の分解活性、分泌及びタンパク質生産レベルに影響する可能性がある。細胞株の大部分は、約pH7〜8で十分に増殖する。細胞増殖における最適pHの変動は、様々な細胞株の中で比較的小さいが、いくつかの正常な線維芽細胞株の挙動は、pH7.0〜7.7で最高であり、形質転換細胞の挙動は、典型的には7.0〜7.4のpHで最高である(Eagle,1973 The effect of environmental pH on the growth of normal and malignant cells.J Cell Physiol 82:1−8)。いくつかの実施形態では、アスホターゼアルファを生産するための培地のpHは、約pH6.5〜7.7(例えば、6.50、6.55、6.60、6.65、6.70、6.75、6.80、6.85、6.90、6.95、7.00、7.05、7.10、7.15、7.20、7.25、7.30、7.35、7.39、7.40、7.45、7.50、7.55、7.60、7.65及び7.70)である。いくつかの実施形態では、アスホターゼアルファを生産するための培地のpHは、約pH7.20〜7.60である。他の実施形態では、アスホターゼアルファを生産するための培地のpHは、約pH6.9〜7.1である。特定の一実施形態では、アスホターゼアルファを生産するための培地のpHは、約pH6.9である。別の実施形態では、アスホターゼアルファを生産するための培地のpHは、約pH7.30である。さらに別の実施形態では、アスホターゼアルファを生産するための培地のpHは、約pH7.39である。
培地
いくつかの実施形態では、バッチ培養が用いられ、ここでは追加的な培地が接種後に添加されない。いくつかの実施形態では、流加培養が用いられ、ここでは1回以上のボーラス投与で培地が接種後に添加される。いくつかの実施形態では、2、3、4、5又は6回のボーラス投与で培地が接種後に添加される。
様々な実施形態では、アルカリホスファターゼ(例えば、アスホターゼアルファ)は、培地が余分なボーラス投与で生産バイオリアクターに添加されるプロセスによって生産される。例えば、培地が1、2、3、4、5、6回又はそれを超えるボーラス投与で添加され得る。特定の一実施形態では、培地が3回のボーラス投与で添加される。様々な実施形態では、培地のかかる余分なボーラス投与は、様々な量で添加され得る。例えば、培地のかかるボーラス投与は、生産バイオリアクターにおける培地の元の容量の約20%、25%、30%、33%、40%、45%、50%、60%、67%、70%、75%、80%、90%、100%、110%、120%、125%、130%、133%、140%、150%、160%、167%、170%、175%、180%、190%、200%又はそれを超える量で添加され得る。特定の一実施形態では、培地のかかるボーラス投与は、元の容量の約33%、67%、100%又は133%の量で添加され得る。様々な実施形態では、余分なボーラス投与のかかる添加は、細胞増殖又はタンパク質生産の期間中の様々な時点で行われ得る。例えば、ボーラス投与は、プロセスにおける1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、12日目又はそれよりも後に添加され得る。特定の一実施形態では、培地のかかるボーラス投与は、一日おきに(例えば、(1)3日目、5日目及び7日目、(2)4日目、6日目及び8日目、又は(3)5日目、7日目及び9日目に添加され得る。実際、培地のボーラス投与での補助剤の頻度、量、時点及び他のパラメータは、上記の制限に従って自由に組み合わされ、実験練習によって決定され得る。
様々な培地が市販されている。いくつかの実施形態では、培地は、EX−CELL(登録商標)302無血清培地、CD DG44培地、BD Select(商標)培地、SFM4CHO培地又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、培地は、市販の培地、例えばSFM4CHO培地及びBD Select(商標)培地の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、培地は、市販の培地、例えばSFM4CHO培地及びBD Select(商標)培地の組み合わせを、90/10、80/20、75/25、70/30、60/40又は50/50から選択される比で含む。いくつかの実施形態では、培地は、市販の培地、例えばSFM4CHO培地及びBD Select(商標)培地の組み合わせを75/25の比で含む。
栄養補助剤
様々な栄養補助剤は、「フィード培地」とも称され、市販され、当業者に公知である。栄養補助剤は、接種が行われてから細胞培養物に添加される(培養培地と異なる)培地を含む。場合により、栄養補助剤は、培養下で増殖する細胞によって消費される栄養分を代替するために用いることができる。いくつかの実施形態では、栄養補助剤は、所望のタンパク質の生産を最適化するか又は所望のタンパク質の活性を最適化するために添加される。極めて多数の栄養補助剤が開発されており、市販されている。栄養補助剤の明示的な目的がプロセス開発の局面を高めることである一方、すべての細胞及び/又は生産されるすべてのタンパク質のために機能する普遍的な栄養補助剤は存在しない。所望の力価及び増殖特性を達成するため、所望の細胞株、生産タンパク質及び所与の基本培地と組み合わせて機能し得る、スケーラブルであり且つ適切な細胞培養栄養補助剤の選択は、ルーチン的でない。特定の細胞株、特定の生産タンパク質及び基本培地の組み合わせを用いて複数の市販の栄養補助剤をスクリーニングし、最適な補助剤を同定する典型的手法は、細胞培養プロセス中に存在する無数の変数に起因し、成功しない可能性がある。いくつかの実施形態では、栄養補助剤は、Efficient Feed C+AGT(商標)Supplement(Thermo Gisher Scientific,Waltham,MA)、Cell Boost(商標)2+Cell Boost(商標)4の組み合わせ(GE Healthcare,Sweden)、Cell Boost(商標)2+Cell Boost(商標)5の組み合わせ(GE Healthcare,Sweden)、Cell Boost(商標)6(GE Healthcare,Sweden)及びCell Boost(商標)7a+Cell Boost(商標)7b(GE Healthcare,Sweden)又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
栄養補助剤中に存在する成分の多様性の例として、市販補助剤であるGE Healthcare製のCell Boost(商標)の成分を列挙する表Aを参照されたい。
Figure 2020509744
Cell Boost(商標)7aは、1つ以上のアミノ酸、ビタミン、塩、微量元素、ポロクサマー及びグルコースを含む第1の動物由来成分を含まない(ADCF)栄養補助剤として説明することができ、第1のADCF栄養補助剤は、ヒポキサンチン、チミジン、インスリン、L−グルタミン、増殖因子、ペプチド、タンパク質、加水分解物、フェノールレッド及び2−メルカプトエタノールを含まない。Cell Boost(商標)7aは、化学的に規定された補助剤である。語句「動物由来成分を含まない」又は「ADCF」は、成分が直接的に動物供給源に由来しない、例えばウシ供給源に由来しない補助剤を指す。いくつかの実施形態では、栄養補助剤は、Cell Boost(商標)7aである。
Cell Boost(商標)7bは、1つ以上のアミノ酸を含む第2のADCF栄養補助剤として説明することができ、第2のADCF栄養補助剤には、ヒポキサンチン、チミジン、インスリン、L−グルタミン、増殖因子、ペプチド、タンパク質、加水分解物、フェノールレッド、2−メルカプトエタノール及びポロクサマーを欠如する。Cell Boost(商標)7bは、化学的に規定された補助剤である。いくつかの実施形態では、栄養補助剤は、Cell Boost(商標)7bである。
いくつかの実施形態では、市販の栄養補助剤の組み合わせが用いられる。用語「栄養補助剤」は、単一の栄養補助剤とともに栄養補助剤の組み合わせの両方を指す。例えば、いくつかの実施形態では、栄養補助剤の組み合わせは、Cell Boost(商標)7a及びCell Boost(商標)7bの組み合わせを含む
様々な実施形態では、アルカリホスファターゼ(例えば、アスホターゼアルファ)は、栄養補助剤の余分な添加物が生産バイオリアクターに添加されるプロセスによって生産される。いくつかの実施形態では、栄養補助剤は、ある期間、例えば1分〜2時間の範囲の期間にわたって添加される。いくつかの実施形態では、栄養補助剤は、ボーラス投与で添加される。例えば、栄養補助剤は、1、2、3、4、5、6回又はそれを超えるボーラス投与で添加され得る。特定の一実施形態では、栄養補助剤は、1、2又は3回のボーラス投与で添加される。いくつかの実施形態では、栄養補助剤は、3つ以上の異なる時点、例えば2〜6つの異なる時点で添加される。いくつかの実施形態では、栄養補助剤は、4つの異なる時点で添加される。様々な実施形態では、栄養補助剤のかかる余分なボーラス投与は、様々な量で添加され得る。例えば、栄養補助剤のかかるボーラス投与は、生産バイオリアクター内の培地の元の容量の約1%〜20%、1%〜10%又は1%〜5%(w/v)の量で添加され得る。特定の一実施形態では、栄養補助剤のかかるボーラス投与は、元の容量の1%〜20%、1%〜10%又は1%〜5%(w/v)の量で添加され得る。
いくつかの実施形態では、栄養補助剤の組み合わせが用いられ、第1の栄養補助剤、例えばCell Boost(商標)7aは、培地の0.5%〜4%(w/v)の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、栄養補助剤の組み合わせが用いられ、第1の栄養補助剤、例えばCell Boost(商標)7aは、培地の2%(w/v)の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、栄養補助剤の組み合わせが用いられ、第2の栄養補助剤、例えばCell Boost(商標)7bは、培地の0.05%〜0.8%(w/v)の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、栄養補助剤の組み合わせが用いられ、第1の栄養補助剤、例えばCell Boost(商標)7bは、培地の0.2%(w/v)の濃度で添加される。栄養補助剤の組み合わせがCell Boost(商標)7a及びCell Boost(商標)7bを含む特定の実施形態では、栄養補助剤のボーラス投与は、元の容量の1%〜20%、1%〜10%又は1%〜5%(w/v)の量で添加され得る。栄養補助剤の組み合わせがCell Boost(商標)7a及びCell Boost(商標)7bを含む特定の実施形態では、Cell Boost(商標)7a栄養補助剤のボーラス投与は、元の容量の1%〜20%、1%〜10%又は1%〜5%(w/v)の量で添加され得、Cell Boost(商標)7b栄養補助剤のボーラス投与は、元の容量の0.1%〜2%、0.1%〜1%又は0.1%〜0.5%(w/v)の量で添加され得る。
複数の添加物、例えば栄養補助剤がボーラス投与で細胞培養物に添加されるいくつかの実施形態では、第1の栄養補助剤、例えばCell Boost(商標)7aの全添加物は、培地の5%〜20%(w/v)の濃度で添加される。複数の添加物、例えば栄養補助剤がボーラス投与で細胞培養物に添加されるいくつかの実施形態では、第1の栄養補助剤、例えばCell Boost(商標)7aの全添加物は、培地の12%(w/v)の濃度で添加される。複数の添加物、例えば栄養補助剤がボーラス投与で細胞培養物に添加されるいくつかの実施形態では、第2の栄養補助剤、例えばCell Boost(商標)7bの全添加物は、培地の0.5%〜2%(w/v)の濃度で添加される。複数の添加物、例えば栄養補助剤がボーラス投与で細胞培養物に添加されるいくつかの実施形態では、第2の栄養補助剤、例えばCell Boost(商標)7bの全添加物は、培地の1.2%(w/v)の濃度で添加される。
様々な実施形態では、余分なボーラス投与のかかる添加は、接種後の様々な時点で行われ得る。例えば、ボーラス投与は、接種後の1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、12日目又はそれよりも後に添加され得る。いくつかの実施形態では、栄養補助剤は、接種から1〜3日後及び接種から3〜5日後に添加される。いくつかの実施形態では、栄養補助剤は、接種から1〜3日後、接種から3〜5日後、接種から5〜7日後及び接種から7〜9日後に添加される。いくつかの実施形態では、栄養補助剤は、接種から2日後、接種から4日後、接種から6日後及び接種から8日後に添加される。特定の一実施形態では、栄養補助剤のかかるボーラス投与は、一日おきに(例えば、(1)3日目、5日目及び7日目、(2)4日目、6日目及び8日目、又は(3)5日目、7日目及び9日目に添加され得る。一実施形態では、栄養補助剤は、接種から2、4、6、8及び10日後に添加される。栄養補助剤の組み合わせがCell Boost(商標)7a及びCell Boost(商標)7bを含む特定の実施形態では、栄養補助剤のボーラス投与は、2日目、4日目、6日目、8日目及び10日目に添加され得る。実際には、栄養補助剤のボーラス添加の頻度、量、時点及び他のパラメータは、上記制限に従って自由に組み合わされ、実験練習によって決定され得る。
亜鉛補給
亜鉛イオンは、アルカリホスファターゼ(例えば、アスホターゼアルファ)の安定性に対して、その構造及び活性を維持することに役立つことから重要であることが知られている。例えば、2個の亜鉛原子は、1個の胎盤アルカリホスファターゼ分子と会合する(Helene Le Du et al.2001 J.Biol.Chem.276:9158−9165)。この比に基づき、小規模モデルで開発された例示的な生産プロセスによって生産される1g/Lのアスホターゼアルファの力価について、約20μMの亜鉛がアスホターゼアルファ活性にとって必要である。20μMの亜鉛は、機能的なアスホターゼアルファを生産するのに理論的に十分である(すなわち亜鉛イオン2個/活性酵素)が、実際の亜鉛補給では、アルカリホスファターゼ(例えば、アスホターゼアルファ、TNALP、PALP、GCALP、IAP又はその融合/変異タンパク質)の生産プロセスにおいて、有意により高い亜鉛濃度(例えば、150μM)が要求されることがある。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、組換えポリペプチドの生産中に亜鉛を前記培地に添加することをさらに含む。いくつかの実施形態では、亜鉛は、前記培地中で約1〜約300μMの亜鉛濃度をもたらすように添加され得る。一実施形態では、亜鉛は、培地中で約10〜約200μM(例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140又は150μM)の亜鉛濃度をもたらすように添加され得る。いくつかの実施形態では、亜鉛は、約25μM〜約150μM又は約60μM〜約150μMの培地中の亜鉛濃度をもたらすように添加される。一実施形態では、亜鉛は、約30、60又は90μMの亜鉛の培地中の亜鉛濃度をもたらすように添加される。一実施形態では、亜鉛は、80μM、90μM又は100μMの亜鉛、好ましくは約90μMの亜鉛の培地中の亜鉛濃度をもたらすように添加される。いくつかの実施形態では、亜鉛は、前記培地にボーラス投与で連続的に、半連続的に又はそれらを組み合わせで添加される。いくつかの実施形態では、亜鉛は、接種から1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後及び/又は13日後に添加される。いくつかの実施形態では、亜鉛は、接種後、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13回のボーラス投与で添加される。いくつかの実施形態では、亜鉛は、硫酸亜鉛の形態で添加される。亜鉛濃度は、Zn2+濃度によって決定され、塩として任意の生理学的に適切な対イオンが提供され得る。
収集
先行試験により、収集タイミングの遅延が生存度及びTSAC低下に関連したため、収集タイミングが他のCQAに対する潜在的影響を有し得ることが示唆された。様々な実施形態では、アルカリホスファターゼ(例えば、アスホターゼアルファ)は、約200時間、210時間、220時間、230時間、240時間、250時間、260時間、264時間、270時間、280時間、288時間(すなわち12日)又は12日以降の時点で収集される。特定の実施形態では、アルカリホスファターゼ(例えば、アスホターゼアルファ)は、約10日又は約14日の時点で収集される。
下流プロセス
用語「下流プロセス」は、本明細書で用いられるとき、一般に、再利用可能な成分の再利用並びに廃棄物の適切な処理及び処分を含む、培養細胞又は発酵培養液などの供給源から生産されるアルカリホスファターゼ(例えば、アスホターゼアルファ)の回収及び精製のためのプロセスの全部又は一部を指す。
一般に、下流処理は、純度及び濃度における前進的な改善を通じて、生成物をその天然状態から組織、細胞又は発酵培養液の成分としてもたらす。例えば、不溶物の除去は、微粒子を含まない液体中の溶質としての生成物の捕捉(例えば、細胞、細胞片又は他の微粒子状物質を発酵培養液から分離すること)を含む第1のステップであり得る。これを達成するための例示的操作は、例えば、ろ過、遠心分離、沈降、沈殿、綿状沈殿、電気集塵、重力沈降などを含む。追加的操作は、固体供給源、例えば植物及び動物組織から生成物を回収するために例えば粉砕、均質化又は浸出を含み得る。第2のステップは、その特性が所望の生成物の場合と著しく異なる成分を除去する「生成物単離」ステップであり得る。大部分の生成物において、水が主要な不純物であり、単離ステップは、その大部分を除去し、処理対象の材料の体積を低減し、生成物を濃縮するように設計される。溶媒抽出、吸着、限外ろ過及び沈降は、このステップにおいて単独で又は組み合わせて用いられ得る。次のステップは、物理及び化学特性において生成物と酷似する汚染物質を分離する生成物精製に関する。考えられる精製方法は、例えば、親和性、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、混合モードクロマトグラフィー、サイズ排除、逆相クロマトグラフィー、限外ろ過−ダイアフィルトレーション、結晶化及び分別沈殿を含む。いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーステップは、収集清澄化、限外ろ過、ダイアフィルトレーション、ウイルス不活性化、親和性捕捉及びそれらの組み合わせの少なくとも1つを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、組換えアルカリホスファターゼ活性を測定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、活性は、pNPPに基づくアルカリホスファターゼ酵素アッセイ及び無機ピロリン酸(PPi)加水分解アッセイの少なくとも1つから選択される方法から選択される。いくつかの実施形態では、組換えアルカリホスファターゼKcat及びK値の少なくとも1つは、無機ピロリン酸(PPi)加水分解アッセイにおいて増加する。いくつかの実施形態では、本方法は、積分生細胞濃度(IVCC)を決定することを含む。いくつかの実施形態では、IVCCは、本明細書に記載のステップ(iii)及び(iv)の不在下での方法と比べて約3.0倍〜約6.5倍だけ増加される。
最終ステップは、生成物の研磨、すなわち安定であり、容易に輸送可能であり、且つ便宜的な形態での生成物のパッケージングで完了するプロセスとして用いられ得る。2〜8℃での貯蔵、−20℃〜−80℃での凍結、結晶化、乾燥、凍結乾燥、フリーズドライ及び噴霧乾燥は、この最終ステップにおける例示的方法である。生成物の研磨では、生成物及びその使用意図に応じて、さらに生成物を滅菌し、生成物の安全性を損なう可能性がある微量汚染物質(例えば、ウイルス、内毒素、代謝廃棄生成物及び発熱物質)を除去又は非活性化し得る。
生成物回収方法は、本明細書で考察される2つ以上のステップを組み合わせ得る。例えば、吸着流動床(EBA)では、不溶物の除去及び生成物単離が単一ステップで実施される。EBAのレビューとしては、Kennedy,Curr Protoc Protein Sci.2005 Jun;Chapter 8:Unit 8.8を参照されたい。さらに、親和性クロマトグラフィーでは、単離及び精製が単一ステップでなされることが多い。
培養細胞において生産される組換えタンパク質を精製するための下流プロセスのレビューとしては、Rea,2008 Solutions for Purification of Fc−fusion Proteins.BioPharm Int.Supplements March 2:20−25を参照されたい。本明細書で開示されるアルカリホスファターゼのための下流プロセスは、以下の例示的ステップの少なくとも1つ又は任意の組み合わせを含み得る。
−− 収集清澄化プロセス。このステップでは、無傷細胞及び細胞片が滅菌ろ過により除去され、生成物(すなわち生産されたアルカリホスファターゼ)が回収される。このステップで使用可能な溶液は、回収緩衝液(例えば、50mMリン酸ナトリウム、100mM NaCl、pH7.50)を含み得る。
−− 収集後限外ろ過(UF)及び/又はダイアフィルトレーション(DF)プロセス。このステップにおける目的は、濃縮及び緩衝液希釈である。UFプロセスにおける例示的ステップは、例えば、フィルター膜の使用前洗浄/貯蔵、洗浄後/貯蔵後流出、平衡化(例えば、50mMリン酸ナトリウム、100mM NaCl(pH7.50)を含有する緩衝液を用いる)、負荷、濃縮、希釈/流出/回収(例えば、50mMリン酸ナトリウム、100mM NaCl(pH7.50)を含有する緩衝液を用いる)及びフィルター膜の使用前流出/洗浄/貯蔵を含む。
−− ウイルス粒子を化学的に不活性化するための溶剤/洗剤ウイルス不活性化プロセス。例示的な溶剤/洗剤は、10%ポリソルベート80、3%TNBP、50mMリン酸ナトリウム及び100mM NaClを含有し得る。
−− さらに生成物を精製し且つ/又は不純物/汚染物質を分離するための特定のタイプのカラムクロマトグラフィー、例えばゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー(RP)、親和性クロマトグラフィー、吸着流動床(EBA)、混合モードクロマトグラフィー及び疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)。生成物(すなわちアルカリホスファターゼ、例えばアスホターゼアルファ)を捕捉するため、親和性捕捉プロセス、例えばプロテインAクロマトグラフィーを用い得る。例えば、GE Healthcare Mab Select SuReプロテインAクロマトグラフィーのプロセスを用い得る。HICクロマトグラフィーでは、ブチルセファロース又はCAPTO(登録商標)ブチルアガロースカラムを用い得る。プロテインAクロマトグラフィーにおいて用いられる例示的な緩衝液及び溶液として、例えば平衡化/洗浄緩衝液(例えば、50mMリン酸ナトリウム、100mM NaCl、pH7.50)、溶出緩衝液(例えば、50mMトリス、pH11.0)、ストリップ緩衝液(例えば、100mMクエン酸ナトリウム、300mM NaCl、pH3.2)、流出緩衝液、洗浄液(例えば、0.1M NaOH)などが挙げられる。CAPTO(登録商標)ブチルアガロースHICプロセスにおいて用いられる例示的な緩衝液及び溶液として、例えば添加希釈液/平衡化前緩衝液(例えば、50mMリン酸ナトリウム、1.4M硫酸ナトリウム、pH7.50)、平衡化緩衝液/洗浄緩衝液/溶出緩衝液(例えば、すべてがリン酸ナトリウム及び硫酸ナトリウムを含有する)、ストリップ緩衝液(例えば、リン酸ナトリウムを含有する)などが挙げられる。ブチルHICプロセスにおいて用いられる例示的な緩衝液及び溶液として、例えば添加希釈液/平衡化前緩衝液(例えば、10mMヘペス、2.0M硫酸アンモニウム、pH7.50)、平衡化緩衝液/洗浄緩衝液/溶出緩衝液(例えば、すべてがリン酸ナトリウム又はヘペス及び硫酸アンモニウムを含有する)及びストリップ緩衝液(例えば、リン酸ナトリウムを含有する)が挙げられる。
−− 例えば、生成物濃縮及び/又は緩衝液交換のためのHIC後UF/DFプロセス。このプロセスにおいて用いられる例示的な緩衝液及び溶液として、例えば平衡化緩衝液(例えば、20mMリン酸ナトリウム、100mM NaCl、pH6.75)、ダイアフィルトレーション緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、100mM NaCl、pH6.75)などが挙げられる。
−− 任意のウイルス粒子をさらに除去するためのウイルス減少ろ過プロセス。
−− 混合モードクロマトグラフィー、例えばCAPTO(登録商標)Adhereアガロースクロマトグラフィー。市販の混合モード材料として、例えば疎水力及び静電力の組み合わせによる中性又は弱塩基性pHでの結合及び低pHでの静電荷反発による溶出を可能にする、ヒドロカルビルアミンリガンドを含有する樹脂(例えば、Pall Corporation,Port Washington,NYからのPPA Hypercel及びHEA Hypercel)(Brenac et al.,2008 J Chromatogr A.1177:226−233を参照されたい);芳香族残基による疎水性相互作用を得て、硫黄原子がチオフィリック相互作用により標的タンパク質の結合を促進する、4−メルカプト−エチル−ピリジンリガンドを含有する樹脂(MEP Hypercel,Pall Corporation)(Lees et al.,2009 Bioprocess Int.7:42−48);異なる伝導率でタンパク質の塩耐性吸着をもたらす、イオン基の近傍に水素結合基及び芳香族残基を有するリガンドを含有する、CAPTO(登録商標)MMC混合モードクロマトグラフィー及びCAPTO(登録商標)adhereアガロースクロマトグラフィー(GE Healthcare,Amersham,UK)などの樹脂(Chen et al.,2010 J Chromatogr A.1217:216−224);及び他の公知のクロマトグラフィー材料、例えば色素リガンドとの親和性樹脂、ハイドロキシアパタイト及びいくつかのイオン交換樹脂(限定されないが、Amberlite CG50(Rohm&Haas,Philadelphia,PA)又はLewatit CNP105(Lanxess,Cologne、DE)を含む)が挙げられる。例示的なアガロースHICクロマトグラフィーステップでは、このプロセスで用いられる例示的な緩衝液及び溶液として、例えば平衡化前緩衝液(例えば、0.5Mリン酸ナトリウム、pH6.00)、平衡化/洗浄緩衝液(例えば、20mMリン酸ナトリウム、440mM NaCl、pH6.50)、添加滴定緩衝液(例えば、20mMリン酸ナトリウム、3.2M NaCl、pH5.75)、プール希釈緩衝液(例えば、25mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、pH7.40)及びストリップ緩衝液(0.1Mクエン酸ナトリウム、pH3.20が挙げられる。
−− (例えば、サイズ排除による)ウイルスクリアランスのためのウイルスろ過。このプロセスにおいて用いられる例示的な緩衝液及び溶液として、例えば使用前及び生産後流出緩衝液(例えば、20mMリン酸ナトリウム、100mM NaCl、pH6.75)が挙げられる。
−− 配合(例えば、濃縮及び/又は緩衝液交換のためのUF/DFプロセスを含み得る)プロセス。このプロセスにおいて用いられる例示的な緩衝液及び溶液として、例えばフィルター流出/平衡化/ダイアフィルトレーション/回収緩衝液(例えば、25mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、pH7.40)が挙げられる。
−− 滅菌ろ過(例示的なフィルターは、Millipak 60又は同じサイズのPVDFフィルター(EMD Millipore,Billerica,MA)である)を含むバルク充填プロセス。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される通り、培養細胞からアルカリホスファターゼを生産、精製及び/又は分離するために用いられるステップは、収集清澄化プロセス(又は無傷細胞及び細胞片を細胞培養物から除去するための類似プロセス)、限外ろ過(UF)プロセス(又は生産されたアルカリホスファターゼを濃縮するための類似プロセス)、ダイアフィルトレーション(DF)プロセス(又は先行プロセスから生産されたアルカリホスファターゼを含む緩衝液を変更又は希釈するための類似プロセス)、ウイルス不活性化プロセス(又はウイルス粒子を不活性化又は除去するための類似プロセス)、親和性捕捉プロセス(又は生産されたアルカリホスファターゼを捕獲し、それを緩衝液/溶液成分の残りから分離するためのクロマトグラフィー方法のいずれか1つ)、配合プロセス及びバルク充填プロセスからなる群から選択されるステップの少なくとも1つをさらに含む。一実施形態では、培養細胞からアルカリホスファターゼを生産、精製及び/又は分離するためのステップは、本明細書で開示される通り、少なくとも、収集清澄化プロセス(又は無傷細胞及び細胞片を細胞培養物から除去するための類似プロセス)、収集後限外ろ過(UF)プロセス(又は生産されたアルカリホスファターゼを濃縮するための類似プロセス)、収集後ダイアフィルトレーション(DF)プロセス(又は先行プロセスから生産されたアルカリホスファターゼを含む緩衝液を変更又は希釈するための類似プロセス)、溶媒/洗剤ウイルス不活性化プロセス(又はウイルス粒子を化学的に不活性化するための類似プロセス)、中間体精製プロセス(例えば、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)又は生産されたアルカリホスファターゼを捕獲し、それを緩衝液/溶液成分の残りから分離するためのクロマトグラフィー方法のいずれか1つ)、HIC後UF/DFプロセス(又は生産されたアルカリホスファターゼに対して濃縮及び/又は緩衝液交換するための類似プロセス)、ウイルス減少ろ過プロセス(又は任意のウイルス粒子又は他の不純物若しくは汚染物質をさらに除去するための類似プロセス);混合モードクロマトグラフィー(例えば、CAPTO(登録商標)Adhereアガロースクロマトグラフィー又は生産されたアルカリホスファターゼをさらに精製及び/若しくは濃縮するための類似プロセス)、配合プロセス及びバルク充填プロセスを含む。一実施形態では、本明細書に提供される方法の分離ステップは、収集清澄化、限外ろ過、ダイアフィルトレーション、ウイルス不活性化、親和性捕捉、HICクロマトグラフィー、混合モードクロマトグラフィー及びそれらの組み合わせの少なくとも1つをさらに含む。
本明細書中に引用されるすべての参考文献は、その全体が参照により援用される。前述の本開示は、理解を明確にすることを意図して図面及び実施例を通じてある程度詳細に記載されているが、特定の小さい変更及び修正が実施されることは、当業者に自明である。したがって、説明及び実施例は、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
実施例1.アスホターゼアルファの生産性に対する培地、栄養補助剤及び亜鉛補充の評価
標準的な増殖プロセス「コントロールプロセス」を、先行プロセスにおいて用いられるCHO供給量を0.5%(w/v)から2.0%(w/v)に増加させることにより開発した。コントロールプロセスは、0.12g/Lの平均活性力価を有した。コントロールプロセスは、他の市販のCHOに基づく上流プロセスと比べて著しく低い積分生細胞濃度(IVCC)及び体積力価を有した。複合栄養分の補充及び既存の供給量の増加を含む先行努力は、ほとんど又は全く成功していなかった。加えて、コントロールプロセスにおける温度変化は、標的のシアリル化を達成し、且つ活性レベルを最大化するのに重要であった。
したがって、少なくとも2倍のプロセス収率増加を目標として、さらなるプロセス改善を検討した。
予備試験では、総積分生細胞濃度(IVCC)、生産性及び活性レベルを増加させるなかで代替培地、複合フィード添加物及び金属補充の効果を評価した(図1)。予備試験では、栄養補助剤(Cell Boost 2+Cell Boost 5)により、14日目にコントロールプロセスにおける10日目の収集と比べて細胞増殖の増強、細胞寿命の維持及びプロテインA結合力価の2倍の増加がもたらされた。しかし、比活性は、Cell Boost 2/5試験条件下でコントロールプロセスの場合よりも20%低かった。結果として、最終容量活性は、14日目にCell Boost 2/5試験条件下でコントロールプロセスと比べて60%増加したにすぎなかった。
アスホターゼアルファの比活性に関連して、アスホターゼアルファへの亜鉛の取り込みを評価している。研究時、栄養補助剤(Cell Boost 2+Cell Boost 5)を利用する研究において用いた亜鉛対アスホターゼアルファのモル比(9のモル比)は、以前のヒストリカルプロセスの場合(8のモル比)に、コントロールプロセスの場合(19のモル比)よりも類似した(データは示さず)。コントロールプロセスにおけるモル比の19への増加により、Cell Boost栄養添加剤とともに亜鉛補充への研究が導かれた。
フォローアップ振盪フラスコ試験では、プロセスにおいて比活性を増強することに対する硫酸亜鉛補充の影響を評価した。試験条件の中で、総括性は、90μMの硫酸亜鉛条件下で最高であった(コントロールプロセス条件よりも約97%高い)。2番目に高い総括性をもたらすプロセスは、30μMの硫酸亜鉛条件であった(コントロールプロセス条件よりも約74%高い)。この試験では、すべての硫酸亜鉛を0日目に添加した。30μMの硫酸亜鉛条件では、4日目にかけてコントロールプロセスと同等の細胞増殖、また6日目から14日目にかけてコントロールプロセスを上回る細胞増殖が示される一方、90μMの硫酸亜鉛条件では、6日目にかけてコントロールプロセスよりも低いVCD、8日目から14日目にかけて同等のVCDが示され、硫酸亜鉛補充における量及び添加タイミングが細胞増殖及び生存度における役割を担うことが示された。
培地効果を評価する別の試験では、BD Select CHO培地を25%及び50%(v/v)の濃度の培地に含めると、対照条件(100%SFM4CHO培地)よりも高いピーク生細胞密度が得られ、少なくとも7日目(この試験中の試験で最長持続時間であった)にかけて細胞生存度が同等であることが示された。25%BD Select条件における平均力価測定値は、コントロールプロセスより44%高く、25%BD Select条件下での平均比生産性は、コントロールプロセスより30%高かった。
後続試験では、2Lのバイオリアクター内での生産性に対する硫酸亜鉛(量及び添加タイミング)及びBD Select補充の影響を評価した。総アスホターゼアルファ活性を最大化し、コントロールプロセスに匹敵する比生産性を標的にするため、この試験からのデータ並びに培地評価試験(実施例2)及び亜鉛補充試験(実施例1)からのデータを分析した(図1)。全部で4つのパラメータ(BD Select、Cell Boost 2+5、亜鉛及び収集日)は、総括性又は比生産性のいずれかに関して統計学的に有意な効果を有した(図1)。Cell Boost 2+5は、総括性又は比生産性の両方に関して統計学的に有意な効果を有した(図1)。
これらの予備試験からの読み出し情報により、栄養フィードを補充し、その後の容積生産性に対して温度変化を遅らせることの潜在的な影響を評価する試験設計が導かれた。
実施例2:アスホターゼアルファの生産プロセスにおける様々な培地の評価
本明細書に記載の通り、アルカリホスファターゼ(例えば、アスホターゼアルファ(sTNALP−Fc−D10))を生産するための改善された生産プロセスを開発した。アスホターゼアルファを発現する安定なCHO細胞株を、遺伝子発現系、例えばGS又はDHFR遺伝子発現系を用いて発現させた。二次クローンを単回の限界希釈クローニングにおいて高生産性の一次クローンから誘導し、最終細胞株を選択した。
3つの市販培地及び2つの培地の混合物に対し、アスホターゼアルファを発現する細胞について評価した。例示的な生産プロセスは、下記の通りである。マスター細胞バンクのバイアルを解凍し、総容量のバイアルを、表1に示すように、EX−CELL(登録商標)302無血清培地(Signam Aldrich,St.Louis,MO)、CD DG44培地(ThermoFisher Scientific,Waltham,MA)、BD Select培地(BD Biosciences,San Jose,CA)又はBD Select培地とSFM4CHO培地との混合物(Hyclone,Logan UT)のいずれかの培地で再懸濁及び増殖した。
Figure 2020509744
細胞は、その培地としてEX−CELL(登録商標)302無血清培地及びCD DG44培地を用いるシードトレイン評価において十分に適応しなかった。したがって、これらの培地は、さらに試験しなかった。BD Select培地を用いて増殖させた細胞は、シードトレイン評価において適切に適応した。シードトレイン評価への移行中、BD Select培地(25%)とSFM4CHO培地(75%)との混合物を用いて増殖させた細胞は、最高の結果を達成した(データは示さず)。したがって、さらなる生産バイオリアクター試験における培地としてBD Select/SFM4CHO培地を用いた。
実施例3:細胞増殖及びタンパク質生産に関する栄養補助剤の評価
最終アルカリホスファターゼ生成物の完全性を破壊することなく収率を最大化するため、様々な化学的に規定された市販の栄養供給サプリメントをコントロールプロセスに対して評価した(表3)。この試験におけるバイオリアクターコントロールのための細胞培養プロセスパラメータを表2に提示する。
表3に示す概要の通り、Efficient Feed C+AGT(商標)サプリメント(Thermo Gisher Scientific,Waltham,MA)、Cell Boost(商標)2+Cell Boost(商標)4の組み合わせ(GE Healthcare,Sweden)、Cell Boost(商標)2+Cell Boost(商標)5の組み合わせ(GE Healthcare,Sweden)、Cell Boost(商標)6(GE Healthcare,Sweden)及びCell Boost(商標)7a+Cell Boost(商標)7b(GE Healthcare,Sweden)をすべて検討した。栄養補助剤を2LのSartorius製生産バイオリアクター内又は1Lの振盪フラスコのいずれかにおいて温度変化の存在下及び不在下で評価した。
Figure 2020509744
Figure 2020509744
バイオリアクターID番号1〜8における実験を2Lのバイオリアクターで実施し、バイオリアクターID番号9及び10における実験を1Lの振盪フラスコ内で実施した。細胞培養保持物(8日目、10日目、12日目及び14日目)を遠心分離し、ProA結合力価を決定した。10日目と14日目に各バイオリアクターにつき200mLの部分的収集を実施した。試料を遠心分離し(3000g、10分)、0.2μmでろ過し、−80℃で貯蔵し、ハイスループットProA精製を行った。総比生産性を、収集時(10日目と14日目)のProA力価を同日のIVCCで除したものを用いて算出した。酵素に基づくアッセイを用いて、タンパク質活性レベルを測定した。プロセス不純物及びシアリル化レベルをProA精製した収集試料中で測定した。清澄化した細胞培養液をpNPP活性について分析し、ProA精製試料についてSEC−HPLC分析を実施し、ProA精製し、緩衝液交換した試料をTSACについて分析した。
図2は、バイオリアクターID番号1〜8における生細胞密度(VCD)及び細胞生存度データを表す。栄養フィードの添加により、すべての試験条件において細胞増殖が促進され、全体的により高いIVCCが得られた。
コントロールプロセス及びCell Boost 2+5制御バイオリアクターは、類似の細胞培養性能、ヒストリカルデータに類似する傾向、すなわち総IVCCにおける平均1.6倍の増加を示した。温度変化の存在下及び不在下でのCell Boost 6添加は、温度変化を伴うCell Boost 2+5が添加されたバイオリアクターに類似の細胞増殖を示した一方、温度変化を伴わないCell Boost 7a/7bが添加されたバイオリアクターにおいて最高VCD(14×10細胞/mL)が観測され、潜在的には総IVCCにおける2.7倍の増加であった。Cell Boost 7a/7bリアクターから温度変化を除くことにより、3.7倍高いピークVCDが得られ、温度変化のタイミングを調節することにより、細胞増殖を有意に改善する可能性が示された。Cell Boost 7a/7bが添加されたバイオリアクターにおいて設けた温度変化下において、VCDの成長は、他のCell Boostの添加条件と類似した。温度変化を遅くすることにより、細胞の対数増殖期が延長し、より高いピークのVCDが得られた。それに対し、Cell Boost 6バイオリアクターから温度変化を除くことにより、ピークVCDは有意に変化しなかったが、代わりに生細胞におけるより迅速な減少がもたらされた。より低い収集生存度は、生成物品質に対して有害であることが公知である。さらに、接種から96時間後の温度変化は、Cell Boost 7a/7bが添加されたバイオリアクター内で細胞生存度低下率に影響しなかった。
栄養補助剤Efficient Feed C+及びCell Boost 2+4の使用により、生産性における有意な増加は全く生じなかった(データは示さず)。Cell Boost 2+5及びCell Boost 6の使用により、生産性が2倍増加した(生成物力価)。生産性の結果は、Cell Boost 6バイオリアクターからの温度変化を除くことによって改善しなかった。
Cell Boost 7a+7b条件の使用により、最も驚くべき結果が得られた。この特定のフィード添加により、温度変化の不在下で総生産性が6.5倍増加した。
特定のアスホターゼアルファ活性及び生産性を評価した。バイオリアクターID番号1〜8におけるProA結合力価、比生産性、総括性及び比活性データを図3及び図4に提示する。
Cell Boostフィードを添加したすべての条件では、コントロールプロセスをよりも高い力価及び比生産性が示された。細胞密度の増加は、細胞生産性に対して有害な効果を有しなかった。比生産性特性は、条件間で有意にドリフトしなかった。温度変化を伴わない、Cell Boost 7a/7bが添加されたバイオリアクターは、14日目までに981mg/Lのタンパク質生成物を生産した(コントロールプロセスの約5倍の力価)一方、Cell Boost 7a/7bの組み合わせが供される条件下で温度変化を設けることにより、他のCell Boostの添加条件と類似レベルのタンパク質力価が得られた。これは、Cell Boost 7a/7bが供される条件下での容量力価範囲が、温度変化のタイミングを変更することによってさらに調節され得たことを示す。
温度変化条件下でのバイオリアクターの比生産性レベルは、8日目〜14日目で概ね不変のままであった。温度変化を伴わないバイオリアクターにおいて、比生産性における段階的低下が見られた。Cell Boostが添加されたバイオリアクターにおいて見られるように、この効果は、より高度な細胞増殖を支持することを意図して、栄養分の欠乏及び/又は不十分なスパージングが原因となっている可能性が高かった。
すべてのCell Boostが添加されたバイオリアクターは、より高い生産性レベルに一致する、コントロールプロセスよりも高い総容量活性を示した。温度変化条件下でのCell Boost 6及びCell Boost 7a/7bが添加されたバイオリアクターは、実行全体を通じて類似の総容量活性を示した(14日目で234U/mL)。しかし、温度変化条件を伴わないCell Boost 7a/7bの添加では、12日目(229U/mL)〜14日目(133U/mL)で総容量活性における低下が示された。
温度変化を伴うすべての条件がコントロールプロセスと類似の比活性を示した一方、温度変化を伴わない場合、温度変化が比活性を増強するという以前の知見に一致し、コントロールプロセス条件よりもほぼ60%低い比活性が示された。温度変化条件下における、Cell Boost 7a/7bが添加されたバイオリアクターにおける容量活性の低下は、12日目(276U/mg)〜14日目(136U/mg)のバイオリアクターにおける比活性の低下に起因した。
タンパク質活性は、アスホターゼアルファ及び他の糖タンパク質を生産するのに重要である。総容量活性は、さらなるフィード添加により、増加したIVCCの結果として増強された。Cell Boost 2+5条件は、総括性における1.8倍の増加をもたらした一方、Cell Boost 6及びCell Boost 7a/7b条件は、コントロールプロセスと比べて2.2倍高い総括性をもたらした。比活性特性は、異なるフィード添加物を通じて変化しなかった。しかし、温度変化における遅延が比活性レベルを有意に妨げた。これらの結果は、最高百分率の活性生成物を保証するために温度変化のタイミングを調節することの重要性を強調している。図5及び図6を参照されたい。
実施例4:SEC−HPLCによる凝集物の決定
SEC−HPLCデータを表3及び図7に提示する。(温度変化を伴う)代替的なフィード条件における総IVCC及び生産性の増加は、収集時、プロセス不純物を有意に改変しなかった。しかし、条件から温度変化を除くことにより、コントロールの2.6倍程度高い不純物レベルがもたらされ、コントロールプロセスの不純物レベルに対する温度変化の重要性が強調された。一般に、すべての試験条件において、10日目〜14日目により高い凝集物が認められた。96時間後の温度変化を伴う、Cell Boost 7a/7bが添加されたバイオリアクターは、コントロールプロセスバイオリアクター(10日目に4.1及び4.2%)に類似した凝集物レベル(4.2%)を示したが、14日目にそのほぼ2倍の生産性を示した。同じフィード方法の場合、温度変化を欠如した条件では、その対応する温度変化条件よりも高い凝集物がもたらされた。
Figure 2020509744
実施例5:総シアル酸含量(TSAC)の決定
タンパク質シアリル化は、重要なタンパク質生成物の属性であり、生理的条件下でタンパク質半減期に影響する。生産プロセスは、シアリル化レベルを許容できる制限内で厳密に制御するように選択される必要がある。
TSACデータを表4及び図8に提示する。温度変化を伴うすべての代替的な栄養補助剤の条件によると、収集時、許容できるシアリル化レベルが報告された。温度変化を伴わないバイオリアクターは、温度変化を設ける場合よりも有意に高いTSACをもたらした。温度変化条件下の、Cell Boost 7a/7bが添加されたバイオリアクターは、14日目に平均コントロールプロセスTSAC値(3.4)に極めて近い3.9モル/モルのTSACを示した。これらの結果により、生産プロセスにおける温度変化の重要性が確認される。
Figure 2020509744
最も有望な条件(BD Selectが培地に添加され、フィードとしてCell Boost 7a/7bが添加され、硫酸亜鉛が添加され、また温度変化が設けられる)により、234U/mLの容量活性(コントロールプロセスよりも2倍高い)及びコントロールプロセスに対して同等の生成物品質属性(TSAC及びSEC)がもたらされた。さらに、Cell Boost 7a/7bの組み合わせは、細胞増殖を増強することを介して容量生産性を増加させる大きい可能性を示した。
結果は、Cell Boost 7a+7bが最も有望な結果をもたらしたことを示唆し、生産性においてコントロールプロセスの上流プロセスと比べて6.5倍の増加を示す。温度変化を遅くすることにより、細胞の対数増殖期が延長され、より高い総IVCCが促進される。その結果により、この上流の生産プロセスにおける所望の生成物品質を得るなかでの温度変化の重要性も確認される。
実施例6:アスホターゼアルファ生産に対する亜鉛塩培地添加の評価
接種から少なくとも1日後、硫酸亜鉛を、実施例1〜5における条件に従い、20μM〜200μMの範囲の濃度のZn2+でアスホターゼアルファ培地に添加する。10日目及び14日目に増殖、活性、比活性、生産性、凝集物及びシアリル化を評価する。限定されないが、硫化物、臭化物、塩化物、フッ化物、ヨウ化物、リン酸塩、セレン化物、硝酸塩などを含む、他の生理学的に許容できる市販の亜鉛塩についても評価する。
実施例7:温度変化のタイミングの評価
温度変化の特定のタイミングを、栄養補助と併せて、CHO細胞におけるアスホターゼアルファ生産について、実施例1〜6における条件に従ってさらに評価する。10日目及び14日目に増殖、活性、比活性、生産性、凝集物及びシアリル化を評価する。結果によると、最高活性の生成物レベルが得られる一方、生成物品質及び許容できる放出パラメータが保持される。
上の本明細書に記述されるすべての刊行物、特許及び特許出願は、あたかもそれぞれの個別の刊行物、特許又は特許出願が、その全体が詳細且つ個別に参照により援用されるように示されるのと同程度に参照により本明細書に援用される。本開示の上記方法の様々な修正形態及び変更形態、医薬組成物及びキットは、特許請求される本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく当業者に明白になるであろう。本開示は、具体的な実施形態と関連して記載されているが、さらなる修正形態が可能であり、特許請求される本発明がかかる具体的な実施形態に不当に限定されるべきでないことが理解されるであろう。

Claims (106)

  1. 組換えアルカリホスファターゼを生産する方法であって、
    (i)組換えアルカリホスファターゼを発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を培地に接種することと、
    (ii)前記培地中で前記CHO細胞を約36℃〜約38℃、約36.5℃〜約37.5℃、特に約37℃の温度で培養することと、
    (iii)接種から少なくとも1日後、栄養補助剤の組み合わせであって、
    (a)1つ以上のアミノ酸、ビタミン、塩、微量元素、ポロクサマー及びグルコースを含む、第1の動物由来成分を含まない(ADCF)栄養補助剤であって、ヒポキサンチン、チミジン、インスリン、L−グルタミン、増殖因子、ペプチド、タンパク質、加水分解物、フェノールレッド及び2−メルカプトエタノールを含まない、第1の動物由来成分を含まない(ADCF)栄養補助剤、及び
    (b)1つ以上のアミノ酸を含む第2のADCF栄養補助剤であって、ヒポキサンチン、チミジン、インスリン、L−グルタミン、増殖因子、ペプチド、タンパク質、加水分解物、フェノールレッド、2−メルカプトエタノール及びポロクサマーを欠如する、第2のADCF栄養補助剤
    を含む組み合わせを(ii)の細胞培養物に添加することと、
    (iv)前記接種から約80時間〜120時間後、(iii)の前記細胞培養物の温度を約30℃まで低下させることと、
    (v)(iv)の前記細胞培養物から前記組換えアルカリホスファターゼを少なくとも1つのクロマトグラフィーステップによって単離することと
    を含む方法。
  2. 前記培地は、EX−CELL(登録商標)302無血清培地、CD DG44培地、BD Select(商標)培地、SFM4CHO培地又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記培地は、SFM4CHO培地及びBD Select(商標)培地の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記培地は、SFM4CHO培地及びBD Select(商標)培地の組み合わせを、90/10、80/20、75/25、70/30、60/40又は50/50から選択される比、特に75/25の比で含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記栄養補助剤の組み合わせは、ボーラス投与で添加される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記栄養補助剤の組み合わせは、1分〜2時間の範囲の期間にわたって添加される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記栄養補助剤の組み合わせは、接種から1〜3日後に添加される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記栄養補助剤の組み合わせは、3つ以上の異なる時点で添加される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記栄養補助剤の組み合わせは、2〜6つの異なる時点で添加される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記栄養補助剤の組み合わせは、4又は5つの異なる時点で添加される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記栄養補助剤の組み合わせは、接種から1〜3日後及び接種から3〜5日後に添加される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記栄養補助剤の組み合わせは、接種から1〜3日後、接種から3〜5日後、接種から5〜7日後、接種から7〜9日後及び接種から9〜11日後に添加される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記栄養補助剤の組み合わせは、接種から約2日後、及び接種から約4日後、接種から約6日後、及び接種から約8日後、及び接種から約10日後に添加される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記第1の栄養補助剤の各添加物は、前記培地の約0.5%〜約4%(w/v)の濃度で添加される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記第1の栄養補助剤の各添加物は、前記培地の2%(w/v)の濃度で添加される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記第2の栄養補助剤の各添加物は、前記培地の0.05%〜0.8%(w/v)の濃度で添加される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記第2の栄養補助剤の各添加物は、前記培地の0.2%(w/v)の濃度で添加される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記第1の栄養補助剤の全添加物は、前記培地の5%〜20%(w/v)の濃度で添加される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記第1の栄養補助剤の前記全添加物は、前記培地の12%(w/v)の濃度で添加される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記第2の栄養補助剤の全添加物は、前記培地の0.5%〜2%(w/v)の濃度で添加される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記第2の栄養補助剤の前記全添加物は、前記培地の1.2%(w/v)の濃度で添加される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記第1の栄養補助剤は、CELL BOOST(商標)7aであり、且つ前記第2の栄養補助剤は、CELL BOOST(商標)7b(GE Healthcare)である、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. (iv)の前記温度低下は、前記接種から約80時間〜150時間後である、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. (iv)の前記温度低下は、前記接種から約90時間〜100時間後である、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. (iv)の前記温度低下は、前記接種から約96時間後である、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 少なくとも約20μM〜約200μMのZn2+の前記培地中の亜鉛濃度を提供することをさらに含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 約30、50、60、90、150又は200μMのZn2+の前記培地中の亜鉛濃度を提供することをさらに含む、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 約90μMのZn2+の前記培地中の亜鉛濃度を提供することをさらに含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. (v)は、接種から14日後に行われる、請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
  30. (v)は、接種から10日後に行われる、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記クロマトグラフィーステップは、収集清澄化、限外ろ過、ダイアフィルトレーション、ウイルス不活性化、親和性捕捉及びそれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 組換えアルカリホスファターゼ活性を測定することをさらに含む、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記活性は、pNPPに基づくアルカリホスファターゼ酵素アッセイ及び無機ピロリン酸(PPi)加水分解アッセイの少なくとも1つから選択される方法から選択される、請求項32に記載の方法。
  34. 組換えアルカリホスファターゼKcat及びK値の少なくとも1つは、無機ピロリン酸(PPi)加水分解アッセイにおいて増加する、請求項33に記載の方法。
  35. 積分生細胞濃度(IVCC)を決定することをさらに含む、請求項1〜34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 前記IVCCは、ステップ(iii)及び(iv)の不在下での前記方法と比べて約3.0倍〜約6.5倍だけ増加される、請求項35に記載の方法。
  37. 前記組換えアルカリホスファターゼは、W−sALP−X−Fc−Y−D−Z(式中、
    Wは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、
    Xは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、
    Yは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、
    Zは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、
    Fcは、結晶化可能領域断片であり、
    は、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸又はそれらの組み合わせであり、ここで、n=10又は16であり、及び
    前記sALPは、可溶性アルカリホスファターゼである)
    の構造を含む、請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 前記sALPは、C末端の糖脂質アンカー(GPI)を有しないアルカリホスファターゼ(ALP)の活性のあるアンカー型を含む、請求項37に記載の方法。
  39. 前記アルカリホスファターゼ(ALP)は、組織非特異的アルカリホスファターゼ(TNALP)である、請求項37又は38に記載の方法。
  40. 前記sALPは、配列番号1のL1−S485に示される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドによってコードされる、請求項37〜39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 前記sALPは、配列番号1のL1−S485に示される配列を含む、請求項37〜40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 前記sALPは、無機ピロリン酸(PPi)の切断を触媒する能力がある、請求項37〜41のいずれか一項に記載の方法。
  43. n=10である、請求項37〜42のいずれか一項に記載の方法。
  44. W及びZは、前記ポリペプチドに不在である、請求項37〜43のいずれか一項に記載の方法。
  45. 前記Fcは、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びヒンジ領域を含む、請求項37〜44のいずれか一項に記載の方法。
  46. 前記Fcは、IgG−1、IgG−2、IgG−3、IgG−3及びIgG−4からなる群から選択される免疫グロブリンの定常ドメインである、請求項37〜45のいずれか一項に記載の方法。
  47. 前記Fcは、免疫グロブリンIgG−1の定常ドメインである、請求項37〜46のいずれか一項に記載の方法。
  48. 前記Fcは、配列番号1のD488−K714に示される配列を含む、請求項37〜47のいずれか一項に記載の方法。
  49. 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に示される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドによってコードされる、請求項37〜48のいずれか一項に記載の方法。
  50. 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に示される配列を含み、且つその二量体である、請求項37〜49のいずれか一項に記載の方法。
  51. 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に示される配列を含むポリペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドに対して完全に相補的な配列と比べて、高ストリンジェンシー条件下で第2のポリヌクレオチドにハイブリダイズする第1のポリヌクレオチドによってコードされ、前記高ストリンジェンシー条件は、6×SSC、5×デンハート試薬、0.5%SDS及び100mg/mlの変性断片化されたサケ精子DNAにおける68℃でのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション、並びに室温で10分間の2×SSC及び0.5%SDSでの洗浄、室温で10分間の2×SSC及び0.1%SDSでの洗浄、及び65℃で5分間、3回の0.1×SSC及び0.5%SDSでの洗浄を含む、請求項37〜50のいずれか一項に記載の方法。
  52. 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に対する少なくとも90%の配列同一性を含む、請求項1〜51のいずれか一項に記載の方法。
  53. 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に示される配列を含む、請求項1〜52のいずれか一項に記載の方法。
  54. 組換えアルカリホスファターゼを生産する方法であって、
    (i)組換えアルカリホスファターゼを発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を培地に接種することと、
    (ii)前記培地中で前記CHO細胞を約36℃〜約38℃、約36.5℃〜約37.5℃、特に約37℃の温度で培養することと、
    (iii)少なくとも1つの栄養補助剤を細胞培養物に添加し、且つ約20μM〜約200μMのZn2+、特に約30μMのZn2+〜100μMのZn2+、特に約90μMのZn2+を添加することと、
    (iv)前記接種から約80時間〜約120時間後、(iii)の前記細胞培養物の温度を約30℃まで低下させることと、
    (v)(iv)の前記細胞培養物から前記組換えアルカリホスファターゼを少なくとも1つのクロマトグラフィーステップによって単離することと
    を含む方法。
  55. 前記組換えアルカリホスファターゼは、アスホターゼアルファを含む、請求項1〜54のいずれか一項に記載の方法。
  56. 前記栄養補助剤の組み合わせは、ボーラス投与で添加される、請求項1に記載の方法。
  57. 前記栄養補助剤の組み合わせは、1分〜2時間の範囲の期間にわたって添加される、請求項1に記載の方法。
  58. 前記栄養補助剤の組み合わせは、接種から1〜3日後に添加される、請求項1に記載の方法。
  59. 前記栄養補助剤の組み合わせは、3つ以上の異なる時点で添加される、請求項1に記載の方法。
  60. 前記栄養補助剤の組み合わせは、2〜6つの異なる時点で添加される、請求項1に記載の方法。
  61. 前記栄養補助剤の組み合わせは、4又は5つの異なる時点で添加される、請求項1に記載の方法。
  62. 前記栄養補助剤の組み合わせは、接種から1〜3日後及び接種から3〜5日後に添加される、請求項1に記載の方法。
  63. 前記栄養補助剤の組み合わせは、接種から1〜3日後、接種から3〜5日後、接種から5〜7日後、接種から7〜9日後及び接種から9〜11日後に添加される、請求項1に記載の方法。
  64. 前記栄養補助剤の組み合わせは、接種から約2日後、及び接種から約4日後、接種から約6日後、及び接種から約8日後、及び接種から約10日後に添加される、請求項1に記載の方法。
  65. 前記第1の栄養補助剤の各添加物は、前記培地の約0.5%〜約4%(w/v)の濃度で添加される、請求項1に記載の方法。
  66. 前記第1の栄養補助剤の各添加物は、前記培地の2%(w/v)の濃度で添加される、請求項65に記載の方法。
  67. 前記第2の栄養補助剤の各添加物は、前記培地の0.05%〜0.8%(w/v)の濃度で添加される、請求項1に記載の方法。
  68. 前記第2の栄養補助剤の各添加物は、前記培地の0.2%(w/v)の濃度で添加される、請求項67に記載の方法。
  69. 前記第1の栄養補助剤の全添加物は、前記培地の5%〜20%(w/v)の濃度で添加される、請求項1に記載の方法。
  70. 前記第1の栄養補助剤の前記全添加物は、前記培地の12%(w/v)の濃度で添加される、請求項69に記載の方法。
  71. 前記第2の栄養補助剤の全添加物は、前記培地の0.5%〜2%(w/v)の濃度で添加される、請求項1に記載の方法。
  72. 前記第2の栄養補助剤の前記全添加物は、前記培地の1.2%(w/v)の濃度で添加される、請求項71に記載の方法。
  73. 前記第1の栄養補助剤は、CELL BOOST(商標)7aであり、且つ前記第2の栄養補助剤は、CELL BOOST(商標)7b(GE Healthcare)である、請求項1に記載の方法。
  74. (iv)の前記温度低下は、前記接種から約80時間〜150時間後である、請求項1に記載の方法。
  75. (iv)の前記温度低下は、前記接種から約90時間〜100時間後である、請求項74に記載の方法。
  76. (iv)の前記温度低下は、前記接種から約96時間後である、請求項75に記載の方法。
  77. 少なくとも約20μM〜約200μMのZn2+の前記培地中の亜鉛濃度を提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  78. 約30、50、60、90、150又は200μMのZn2+の前記培地中の亜鉛濃度を提供することをさらに含む、請求項77に記載の方法。
  79. 約90μMのZn2+の前記培地中の亜鉛濃度を提供することをさらに含む、請求項78に記載の方法。
  80. (v)は、接種から14日後に行われる、請求項1に記載の方法。
  81. (v)は、接種から10日後に行われる、請求項1に記載の方法。
  82. 前記クロマトグラフィーステップは、収集清澄化、限外ろ過、ダイアフィルトレーション、ウイルス不活性化、親和性捕捉及びそれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
  83. 組換えアルカリホスファターゼ活性を測定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  84. 前記活性は、pNPPに基づくアルカリホスファターゼ酵素アッセイ及び無機ピロリン酸(PPi)加水分解アッセイの少なくとも1つから選択される方法から選択される、請求項83に記載の方法。
  85. 組換えアルカリホスファターゼKcat及びK値の少なくとも1つは、無機ピロリン酸(PPi)加水分解アッセイにおいて増加する、請求項84に記載の方法。
  86. 積分生細胞濃度(IVCC)を決定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  87. 前記IVCCは、ステップ(iii)及び(iv)の不在下での前記方法と比べて約3.0倍〜約6.5倍だけ増加される、請求項86に記載の方法。
  88. 前記組換えアルカリホスファターゼは、W−sALP−X−Fc−Y−D−Z(式中、
    Wは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、
    Xは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、
    Yは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、
    Zは、不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、
    Fcは、結晶化可能領域断片であり、
    は、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸又はそれらの組み合わせであり、ここで、n=10又は16であり、及び
    前記sALPは、可溶性アルカリホスファターゼである)
    の構造を含む、請求項1に記載の方法。
  89. 前記sALPは、C末端の糖脂質アンカー(GPI)を有しないアルカリホスファターゼ(ALP)の活性のあるアンカー型を含む、請求項88に記載の方法。
  90. 前記アルカリホスファターゼ(ALP)は、組織非特異的アルカリホスファターゼ(TNALP)である、請求項88に記載の方法。
  91. 前記sALPは、配列番号1のL1−S485に示される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドによってコードされる、請求項88に記載の方法。
  92. 前記sALPは、配列番号1のL1−S485に示される配列を含む、請求項88に記載の方法。
  93. 前記sALPは、無機ピロリン酸(PPi)の切断を触媒する能力がある、請求項88に記載の方法。
  94. n=10である、請求項88に記載の方法。
  95. W及びZは、前記ポリペプチドに不在である、請求項88に記載の方法。
  96. 前記Fcは、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びヒンジ領域を含む、請求項88に記載の方法。
  97. 前記Fcは、IgG−1、IgG−2、IgG−3、IgG−3及びIgG−4からなる群から選択される免疫グロブリンの定常ドメインである、請求項88に記載の方法。
  98. 前記Fcは、免疫グロブリンIgG−1の定常ドメインである、請求項88に記載の方法。
  99. 前記Fcは、配列番号1のD488−K714に示される配列を含む、請求項88に記載の方法。
  100. 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に示される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドによってコードされる、請求項88に記載の方法。
  101. 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に示される配列を含み、且つその二量体である、請求項88に記載の方法。
  102. 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に示される配列を含むポリペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドに対して完全に相補的な配列と比べて、高ストリンジェンシー条件下で第2のポリヌクレオチドにハイブリダイズする第1のポリヌクレオチドによってコードされ、前記高ストリンジェンシー条件は、6×SSC、5×デンハート試薬、0.5%SDS及び100mg/mlの変性断片化されたサケ精子DNAにおける68℃でのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション、並びに室温で10分間の2×SSC及び0.5%SDSでの洗浄、室温で10分間の2×SSC及び0.1%SDSでの洗浄、及び65℃で5分間、3回の0.1×SSC及び0.5%SDSでの洗浄を含む、請求項88に記載の方法。
  103. 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に対する少なくとも90%の配列同一性を含む、請求項1に記載の方法。
  104. 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に示される配列を含む、請求項103に記載の方法。
  105. 前記組換えアルカリホスファターゼは、アスホターゼアルファを含む、請求項1に記載の方法。
  106. 前記組換えアルカリホスファターゼは、アスホターゼアルファを含む、請求項54に記載の方法。
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