JP2020509085A - アトロピンを含む、近視の発症を予防するまたは遅らせるための組成物および方法 - Google Patents

アトロピンを含む、近視の発症を予防するまたは遅らせるための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

0.025%未満のアトロピンを含む組成物の使用により、近視前症の(pre-myopic)患者において近視の発症を予防するまたは遅らせる方法、および弱度近視を有する患者において近視の進行を低減させるまたは予防する方法を開示する。

Description

関連出願
本出願は、2017年2月21日に出願された米国特許仮出願第62/461,723号の恩典を主張する。前述の特許仮出願の全内容は、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み入れられる。
技術分野
本出願は、非常に低濃度のアトロピンを含む組成物の投与によって近視の発症を予防するまたは遅らせる方法および近視の進行を低減させるまたは予防する方法に関する。
背景
近視(“myopia”、あるいは“nearsightedness”または“short sightedness”としても知られる)は、目の屈折異常の一種であり、視覚像の焦点が網膜の前で結ばれ、典型的には遠くの物がぼやけて見える。近視は、特にアジア人に広くみられ、アジア諸国では70〜90%に達していることが報告されている。近視は、レンズ処方(例えば、眼鏡もしくはコンタクトレンズ)または屈折矯正手術(例えば、LASIKもしくはフェイキック眼内レンズ移植)によって矯正され得る。
強度近視を有する患者は、失明の恐れがある障害、例えば変性性の網膜変化、例えば周辺部の格子状変化、裂けおよび剥離、近視性脈絡膜血管新生、近視性黄斑分離症(myopic macular schisis)および黄斑円孔、後極ブドウ腫、近視性黄斑変性、早発性白内障(30代〜40代)、開放隅角緑内障、ならびに乳頭周囲萎縮、視神経乳頭の傾斜(tilt)および小窩が起きるリスクがより高い。これらの障害は、適正に処置されなければ、その後の人生において視力の喪失を引き起こし得る。早発性近視を有する児童は、最終的に強度近視になる可能性が高い。シンガポール、中国人、インド人およびマレーシア人の成人での試験のシンガポールによる最近の紙のプールデータでは、近視の病理学的症状、特にブドウ腫および網脈絡膜萎縮は、加齢、近視性屈折および眼軸長の進行とともに悪化することが示された(Chang et al(2013))。そのため、幼少期の患者の近視の発現および進行をコントロールし、最終的な近視がコントロールしない場合よりも軽く(例えば、-10.00Dではなく-5.00Dに)なるようにすることは、患者の生涯に有益な大きな影響を有し得る。
概要
本出願は、近視の発症を予防するもしくは遅らせるために近視になる前に非常に低濃度のアトロピンを含む組成物を用いること、または近視の進行を予防するもしくは低減させることに関する。
一局面において、本開示により、対象の目に、0.025%未満のアトロピンを含む組成物を投与する工程を含む、近視の発症を予防するまたは遅らせるための方法を提供する。一部の態様では、アトロピンがアトロピン硫酸塩の形態で存在している。一部の態様では、組成物が約0.01%のアトロピンを含む。一部の態様では、組成物が約0.001%〜0.0249%のアトロピンを含む。一部の態様では、組成物が、約0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.01%、0.011%、0.012%、0.013%、0.014%、0.015%、0.016%、0.017%、0.018%、0.019%、0.02%、0.021%、0.022%、0.023%、0.024%、0.0245%または0.0249%のアトロピンを含む。一部の態様では、対象が4〜21歳である。一部の態様では、対象が5〜9歳である。一部の態様では、対象が近視前症(pre-myopia)を有する。
一部の態様では、組成物が1日おきで、または毎日少なくとも1回、または毎日少なくとも2回投与される。一部の態様では、各投与が少なくとも1滴、少なくとも2滴または少なくとも3滴を目に点眼することにより行なわれ、それぞれ1滴には約20〜100マイクロリットルの液体が含まれている。一部の態様では、投与が、少なくとも6ヶ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、10年間またはそれ以上の期間、継続される。
一部の態様では、組成物が、少なくとも1種類の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。一部の態様では、少なくとも1種類の薬学的に許容される賦形剤が、塩化ベンザルコニウムおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群より選択される。一部の態様では、塩化ベンザルコニウムが組成物中に約0.01%の濃度で存在している。一部の態様では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが組成物中に約1%の濃度で存在している。一部の態様では、保存力のある賦形剤は組成物中に存在していない。
一部の態様では、目の等価球面度数(SE)が、組成物の投与前に+1.00D〜-0.49Dの範囲内である。一部の態様では、SEが、調節麻痺の適用後に自動屈折計によって測定される。
一部の態様では、対象が、組成物の投与前に、調節麻痺下または非調節麻痺下での自動屈折により測定した時に、乱視を有していないかまたは1.50D以下の乱視を有する。
一部の態様では、組成物の投与期間中、目の瞳孔が散大しないか、または2 mm以下、例えば、1.9 mm以下、1.8 mm以下、1.7 mm以下、1.5 mm以下、1.49 mm以下の散大を有する。一部の態様では、目が、臨床的に有意な遠近調節の低下を有さないか、または10D以下、例えば、9D以下、8.5D以下、8.8D以下もしくは8D以下の遠近調節低下を経験する。一部の態様では、目が、遠近調節の低下による臨床的に有意な近見視力の低下を有さない。
一部の態様では、近視の発症を6ヶ月超、12ヶ月、18ヶ月、2年、3年、5年、6年、8年またはそれ以上遅らせる。
別の局面において、本開示により、対象の目に、0.025%未満のアトロピンを含む組成物を投与する工程を含む、近視の進行を低減させるまたは予防するための方法であって、該組成物が2日毎に1回、3日毎に1回または4日毎に1回を超えない頻度で投与される方法を提供する。一部の態様では、各投与が少なくとも1滴、少なくとも2滴または少なくとも3滴を目に点眼することにより行なわれ、それぞれ1滴には約20〜100マイクロリットルの液体が含まれている。一部の態様では、目のSEが組成物の投与前に-1.50Dより小さい。一部の態様では、目のSEが組成物の投与前に-0.50D〜-1.50Dの範囲内である。一部の態様では、対象が4〜21歳である。一部の態様では、対象が5〜9歳である。一部の態様では、アトロピンがアトロピン硫酸塩の形態で存在している。一部の態様では、組成物が約0.001%〜0.0249%のアトロピンを含み、例えば約0.001%、約0.002%、約0.003%、約0.004%、約0.005%、約0.006%、約0.007%、約0.008%、約0.009%、約0.01%、約0.011%、約0.012%、約0.013%、約0.014%、約0.015%、約0.016%、約0.017%、約0.018%、約0.019%、約0.02%、約0.021%、約0.022%、約0.023%、約0.024%、約0.0245%または約0.0249%のアトロピンを含む。一部の態様では、組成物が、少なくとも1種類の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。一部の態様では、少なくとも1種類の薬学的に許容される賦形剤が、塩化ベンザルコニウムおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される。一部の態様では、保存力のある賦形剤は組成物中に存在していない。
一部の態様では、組成物の投与開始後の2年の期間中におけるSEの平均変化が、対照と比べて少なくとも20%低減する。一部の態様では、患者、例えば近視前症を有する患者を処置すると、屈折の変化が、処置の開始から2週間、1ヶ月間、2ヶ月間、6ヶ月間、1年間、2年間またはそれ以上の期間で少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、例えば少なくとも53%低減する。一部の態様では、患者、例えば近視前症を有する患者を処置すると、眼軸長の増大が、処置の開始から1週間、2週間、1ヶ月間、2ヶ月間、6ヶ月間、1年間、2年間またはそれ以上の期間で少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%低減する。一部の態様では、患者、例えば近視前症を有する患者を本明細書に開示の組成物で処置すると、屈折の変化が、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、例えば少なくとも53%低減し得る。
一部の態様では、本明細書に開示のアトロピン組成物の投与により、屈折の変化(すなわち、近視性の屈折異常のシフト)が対照と比べて少なくとも10%、例えば少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも53%低減する。一部の態様では、患者、例えば近視前症を有する患者を本明細書に開示の組成物で処置すると、近視の発症後に近視の進行速度または近視のシフトが、対照と比べて少なくとも10%、例えば少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも53%低減する。一部の態様では、患者を本明細書に開示の組成物で処置すると、処置開始から近視発症までの期間の長さが、対照と比べて少なくとも10%、例えば少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも53%長くなる。
一部の態様では、組成物の投与期間中、目の瞳孔が散大しないか、または1.9 mm以下、1.8 mm以下、1.7 mm以下、1.5 mm以下、1.49 mm以下の散大を有する。一部の態様では、目が遠近調節の低下を有さないか、または10D以下、例えば、9D以下、8.5D以下、8.8D以下もしくは8D以下の遠近調節低下を有する。
また、本開示では、近視の進行を予防するまたはその開始を遅らせるための組成物の調製におけるアトロピンの使用も提供し、該組成物は0.025%未満のアトロピンを含む。
また、本開示では、-1.50Dより小さいSEを有する対象において近視の進行を低減させるまたは予防するための組成物の調製におけるアトロピンの使用も提供し、ここで、該組成物は0.025%未満のアトロピンを含み、該組成物は2日毎に1回を超えない頻度で投与される。
また、本明細書では、近視の進行を予防するまたはその開始を遅らせる方法における使用のための組成物も提供し、ここで、該組成物は0.025%未満のアトロピンを含む。一部の態様では、組成物が0.001%〜0.0249%のアトロピンを含む。
また、本明細書では、対象において近視の進行を低減させるまたは予防する方法における使用のための組成物も提供し、ここで、該組成物は0.025%未満のアトロピンを含み、該組成物は2日毎に1回を超えない頻度で投与される。一部の態様では、対象が-1.50Dより小さいSEを有する。一部の態様では、対象が-0.50Dより小さいSEを有する。
図1Aおよび1Bは、それぞれ眼軸伸長および屈折異常に対するアトロピン処置の効果を示す。 ATOM3の試験デザインを示す流れ図の略図である。 図3Aおよび3Bは、C57BL/6Jマウスにおけるレンズ誘導近視の眼のバイオメトリーに対する0.01%アトロピンでの前処置の効果を示す。
詳細な説明
近視のコントロール(近視の進行の予防)に関するいくつかの試験は、コンタクトレンズの使用、眼鏡の使用、およびほとんどがアトロピンまたは抗ムスカリン剤の使用に関する局所点眼薬の形態の薬理作用剤の使用を含む。近視のコントロールのためのこれらの形態の治療はすべて、既に近視になっている児童の近視の進行を減速させることを目的としている。
以前に、Atropine in the Treatment Of Myopia試験(ATOM)の治験ATOM1およびATOM2では、試験参加募集前に既に近視であり、少なくとも-2.00DのSEを有し、近視の度合いが進行している6〜12歳の小児を含めた。種々の濃度のアトロピンは、毎日少なくとも1回投与した場合に、このような近視の児童において進行を予防するまたは低減させるのに有効であることが示された。例えば、国際公開公報第2012/161655号を参照のこと。
しかしながら、これまでに、近視になる前に非常に低濃度のアトロピンを用いて近視の発症を予防することの実現可能性を評価するための臨床試験は行なわれていない。非常に低濃度のアトロピンを含む組成物を1日おき以下の頻度で用いることの近視の進行に対する効果を評価する試験は行なわれていない。
本出願は、近視の発症を予防するもしくは遅らせるために、近視になる前に非常に低濃度のアトロピンを含む組成物を用いること、および、患者が既に弱度近視を発現した後に、近視の進行を低減させるために該組成物を2日毎に1回を超えない頻度で用いることに関する。
定義
特に記載のない限り、濃度の単位はすべて、体積に対する重量を示す。パラメータの値が、ある範囲内であると示されている場合、そのパラメータの値は下限値もしくは上限値、またはその間の任意の値であり得る。
特に記載のない限り、文言でSE値がマイナスの参照値よりも大きいまたは高いと示されている場合はいつでも、該SE値はマイナスの値であり、その絶対値が該マイナスの参照値のものよりも大きいことを意味する。例えば、-0.5Dよりも大きいSE値は-1.0Dであり得る。
特に記載のない限り、文言で表現「A+/-B」と示されている場合はいつでも、Aは平均を示し、Bは標準偏差(「SD」)を示す。例えば、0.74+/-0.75 mmの散大は、平均散大が0.74 mmでSDが0.75であることを示す。
用語「約」は、値とともに使用されている場合、該値に合理的に近い、すなわち該値の±10%の範囲内の任意の値を意味する。特に、該値自体も含まれ得る。例えば、0.009%という値および0.011%という値はどちらも「約0.01%」とみなされる。
用語「近視」は、少なくとも片方の目が-0.5Dよりも大きい、例えば、-1.0D、-2.0DのSE値を有する患者の病状をいう。文脈に応じて、「近視」はまた、SE値が-0.5Dよりも高い目の状態も示す。
用語「近視前症」は、少なくとも片方の目が-0.49D〜1.00Dの範囲内のSE値を有する患者の病状をいう。文脈に応じて、「近視の」とはまた、SE値が-0.49D〜1.00Dの範囲内である目の状態も示し得る。
用語「弱度近視」は、少なくとも片方の目が-0.50D〜-1.50Dの範囲内のSE値を有する患者の病状をいう。文脈に応じて、「弱度近視」はまた、SE値が-0.50D〜-1.50Dの範囲内である目の状態も示し得る。
用語「強度近視」は、少なくとも片方の目が-5.0Dよりも大きいSE値を有する人をいう。文脈に応じて、「強度近視」はまた、SE値が-5.0Dよりも大きい目の状態も示し得る。
用語「滴」は、体積の測定単位をいい、1滴として点眼器または点眼容器から目に投与される量に等しい。典型的には、1滴は20〜100マイクロリットルの液体を含む。一部の場合では、1滴は30マイクロリットル〜70マイクロリットル、例えば約50マイクロリットルの液体を含む。
用語「患者」または用語「対象」は、本開示において互換的に用いられており、近視の状態に関係なく任意の個体を示す。一部の態様では、患者は、5〜12歳、例えば5〜9歳の児童である。一部の態様では、患者は、近視前症を有する5〜9歳の児童である。
用語「アトロピン組成物」は、アトロピンまたはアトロピン塩、例えばアトロピン硫酸塩もしくはアトロピン酢酸塩を含む組成物をいう。そのため、アトロピンが塩の形態、例えばアトロピン硫酸塩で存在する場合、アトロピンの濃度は、アトロピン組成物中のアトロピン塩の、体積に対する重量での濃度を示す。
用語「単位投薬量レジメン」は、本明細書で用いられる場合、ヒト対象に対する投薬単位として適した物理的に独立した単位を示し、各単位は、所望の処置効果がもたらされるのに充分な量に計算された所定の量の1種または複数種の化合物(例えば、本明細書に記載のようにアトロピン)を含む。一部の場合では、化合物、例えばアトロピンは、薬学的に許容される希釈剤、担体またはビヒクルとともに各単位内に存在する。一部の場合では、各単位は保存料を含まない。
近視
屈折異常は、目で光が正しく曲げられず、像がぼやける病状を示す。屈折異常の主な種類としては、近視(myopia、nearsightedness)、遠視(hyperopia、farsightedness)、老眼(加齢に伴う近見視力の低下)、および乱視が挙げられる。近視は眼軸伸長と関連しており、これは眼球の伸長をもたらしかつ/または角膜のカーブがきつくなりすぎる。眼軸伸長が進行するにつれて、眼球が長くなり過ぎる場合があるか、または角膜(目の前面の透明な覆い)のカーブがきつくなりすぎ、その結果、目に入る光の焦点が正しく結ばれず、遠くの物がぼやけて見える。また、近視は角膜曲率およびレンズ度数にも依存する。近視は任意の年齢で発現し得るが、典型的には近視の発症は小学生のときに起こり、目の成長が終わるまで進行する。
近視は一般的に、眼科クリニックで等価球面度数(SE)を用いて評価される。等価球面度数は、ジオプトリの単位の単一数字であり、焦点が球面円柱(spherocyclindrical)レンズの最小錯乱円と一致する球面度数として定義され得る。SEは、目の球面度と円柱度の値に基づいて決定され、一般的に、球面度の値と円柱度の値の2分の1との和で表示される。したがって等価球面度数は、屈折力に関するいくつかの情報源からのデータを表す簡便な臨床的方法である。近視が進むにつれて、屈折力がマイナスの値に変化し(屈折異常が発現する)、眼軸長が長くなり、SEの絶対値が大きくなる(SEが、よりマイナスの値に変化する)。近視は、正常な正視化過程の不全の結果として起こり、目に対して本質的に内因性である。焦点距離と目の眼軸長との間にミスマッチが存在し、後者がレンズの屈折力および角膜にとって長すぎる。そのため、近視が進むにつれて、遠視から近視への屈折力のシフトがみられる。動物試験では、近視は典型的には、この屈折力(すなわち、屈折異常)をジオプトリの単位で測定すること、および、眼軸長の伸長も測定することにより評価される。ジオプトリは屈折力の単位であり、所与のレンズの焦点距離(メートル単位)の逆数である。動物試験では、眼科クリニックでの等価球面度数と同様に、屈折異常の変化をジオプトリの単位で記録した。
近視の患者は、少なくとも片方の目が-0.5Dまたはそれより高い、例えば-2.0Dまたはそれより高い等価球面度数(「SE」)を有する。SEの絶対値が高ければ高いほど、近視は高度である。近視を有していない患者は典型的には、プラスのSE値または-0.5Dより小さいマイナスのSE値を有する。
患者
一局面において、本開示により、非常に低濃度のアトロピンを含む組成物を対象に投与することによって近視の発症を予防するまたは遅らせるための方法を提供する。本発明のこの局面では、対象は、アトロピン処置の前に近視ではない、すなわち、目のSEがプラスの値または-0.5Dより小さいマイナスの値である。一部の態様では、対象は、アトロピンで処置される前に近視前症の(pre-myopic)段階にあり、+1.00D〜-0.49D、例えば0.80D〜-0.49Dまたは0.50D〜-0.40Dの範囲内のSE値を有する。
別の局面において、本開示により、非常に低濃度のアトロピンを含む組成物を投与する工程を含む、対象において近視の進行を低減させるまたは予防するための方法であって、該組成物が該患者に2日毎に1回を超えない頻度で投与される、方法を提供する。一部の場合では、対象が弱度近視を有する、すなわち-0.5Dより高いが-1.50Dより小さいマイナスのSE値を有する。
本明細書に開示のアトロピン処置の恩恵を受け得る患者は任意の年齢層であり得る。一部の態様では、患者が少なくとも5歳である。好ましい態様では、患者が5〜17歳、例えば5〜12歳、例えば5〜9歳の範囲内の年齢の児童である。一部の場合では、患者が5〜6歳または7〜9歳の範囲内の年齢である。一部の場合では、患者は心臓疾患または重大な呼吸器疾患の病歴を有しない。一部の場合では、患者は、両目において、log Mar視力表により測定される、logMAR0.2以上に矯正可能な遠見視力を有する。一部の場合では、対象は、眼圧測定により測定された時に、21 mmHg以下の正常な眼圧を有する。一部の場合では、対象の少なくとも一方の親が近視である。一部の場合では、患者は、近視または近視前症であること以外は正常な目の健康状態を有する。
患者の目の健康状態を調べるために使用され得る方法は周知である。非限定的な例示的方法としては、細隙灯顕微鏡検査、眼底撮影、眼内レンズ(IOL)マスターバイオメトリーおよび/または調節麻痺下での自動屈折/自動角膜曲率測定(autokeratometry)が挙げられる。一部の場合では、SE値を測定することによって近視の度合いを評価することを含め、前述の方法のうちの2つ、3つまたは全部を行なって患者の目の健康状態を評価する。
アトロピン
アトロピンは非選択的ムスカリン拮抗薬であり、これはゆっくり分解され、典型的には7〜14日間で消失する。現在、アトロピンは、遠近調節反射を一時的に麻痺させて瞳孔を散大させるための調節麻痺薬として使用されている。また、アトロピンは、目に関連しているいくつかの疾患、例えばブドウ膜炎および初期の弱視を処置するためにも使用され得、これまでに、中等度から強度の近視を既に有する、すなわち-2.00Dよりも高いマイナスのSE値を有する患者を処置するために使用されている。ヒトおよびマウスのどちらにおいても、アトロピンは、主に強膜の線維芽細胞内に存在する5つの型のムスカリン受容体に結合し得る。これらの強膜線維芽細胞は強膜の成長の制御を担う。
本開示全体を通して、用語「遠近調節力」は、用語「遠近調節」と互換的に用いられており、近くの物にピントを合わせる目の能力を示す。アトロピンは、全身性ならびに局所的な副作用、例えば瞳孔散大および遠近調節力の低下を引き起こすことがある。瞳孔の大きさの増大は、目に入る光の量の指数関数的増加をもたらす可能性があり、まぶしさおよび輝所恐怖症を引き起こし得る。過剰な量の紫外光が目に入ると白内障または黄斑変性のリスクが高まり得る。遠近調節力が低下すると近見視力が低下し得、そのため、これに罹患している児童は、近くの物を読んだり見たりするのに二重焦点メガネまたは累進メガネが必要となる。
本開示により、非常に低濃度のアトロピンを含む組成物を目に投与することにより近視の発症を予防するまたは遅らせる方法を提供する。また、該低濃度のアトロピンを低頻度で、すなわち2日毎に1回を超えない頻度で投与することにより近視の進行を低減させるまたは予防する方法も提供する。該組成物は典型的には、0.025%未満のアトロピン、例えば約0.001%〜約0.0249%、約0.005%〜約0.002%、約0.008%〜約0.015%、例えば約0.009%〜約0.012%のアトロピンを含む。特定の態様では、該組成物が約0.01%のアトロピンを含む。一部の態様では、該組成物が約0.001%、約0.002%、約0.003%、約0.004%、約0.005%、約0.006%、約0.007%、約0.008%、約0.009%、約0.01%、約0.011%、約0.012%、約0.013%、約0.014%、約0.015%、約0.016%、約0.017%、約0.018%、約0.019%、約0.02%、約0.021%、約0.022%、約0.023%、約0.024%、約0.0245%または約0.0249%のアトロピンを含む。一部の態様では、該組成物中のアトロピンが、塩、例えばアトロピン硫酸塩として存在する。
一部の態様では、患者を本明細書に開示の組成物で処置すると、近視の発症を対照と比べて1ヶ月超、3ヶ月超、4ヶ月超、5ヶ月超、6ヶ月超、12ヶ月超、18ヶ月超、2年超、3年超、5年超、6年超、または8年超、遅らせることができる。本開示の解釈上、対照は、本明細書に開示のアトロピン組成物で処置されていない個体を示す。好ましい態様では、対照群の個体は、本明細書に開示の組成物で処置される個体と同じ年齢層であり、同じ段階の近視前症または近視である。
一部の態様では、患者、例えば近視前症を有する患者を本明細書に開示の組成物で処置すると、眼軸長(角膜の中心から網膜上の像が最もはっきりする箇所までの軸の長さ)の増大が、処置の開始から1週間〜8年、例えば1ヶ月〜5年、4ヶ月間〜4年、6ヶ月〜3年間または1年〜2年の期間にわたって少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%低減し得る。
一部の態様では、患者、例えば近視前症を有する患者を本明細書に開示の組成物で処置すると、屈折の変化(すなわち、近視性の屈折異常のシフト)が対照と比べて少なくとも10%、例えば少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも53%低減し得る。一部の態様では、患者、例えば近視前症を有する患者を本明細書に開示の組成物で処置すると、近視の進行速度または近視のシフトが、近視の発症後に、対照と比べて少なくとも10%、例えば少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも53%低減し得る。一部の態様では、患者を本明細書に開示の組成物で処置すると、処置開始から近視発症までの期間の長さが対照と比べて少なくとも10%、例えば少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも53%長くなり得る。
薬学的組成物
一部の態様では、本発明により、薬学的に許容される賦形剤およびアトロピンを含む薬学的組成物、ならびに近視の発症を予防するもしくは遅らせるため、または近視の進行を低減させるもしくは予防するために該組成物を投与する方法を提供する。
薬学的に許容される賦形剤としては糖質またはタンパク質増量剤が挙げられ、非限定的に、糖類、例えばラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトール;トウモロコシ、小麦、米、イモ、または他の植物由来のデンプン;セルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースナトリウム;ならびにガム、例えばアラビアおよびトラガカント;ならびにタンパク質、例えばゼラチンおよびコラーゲンが挙げられる。所望により、崩壊剤または可溶化剤、例えば架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムが添加され得る。一部の態様では、薬学的に許容される賦形剤は、0.005%〜0.02%の範囲内の濃度、例えば約0.01%の濃度の塩化ベンザルコニウムを含む。一部の態様では、薬学的に許容される賦形剤は、0.5%〜2%の範囲内の濃度、例えば約1%の濃度のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。一部の態様では、薬学的に許容される賦形剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと塩化ベンザルコニウムの両方を含む。
一部の態様では、アトロピン組成物が、目への投与のための液体形態で調製される。製剤化および投与のための手法に関する詳細は科学文献および特許文献に充分に記載されており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Maack Publishing Co, Easton PA(「Remington’s」)の最新版を参照のこと。
液体形態の調製物としては、液剤、懸濁剤および乳剤、例えば、水または水/プロピレングリコールの液剤が挙げられる。目への投与に適した液剤は、活性成分を水中に溶解させ、所望により適当な着色剤、安定剤、バッファー、分散化剤、可溶化剤、保存料および/または増粘剤を添加することにより調製され得る。一部の態様では、液剤は、微細化したアトロピンを、粘性の物質、例えば天然または合成のガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアラビアガム、ならびに分散化剤または湿潤剤、例えば天然に存在するホスファチド(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノ-オレエート)またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノ-オレエート)とともに、水中に分散させることにより作製され得る。また、水性懸濁剤は、1種または複数種の保存料、例えばエチルもしくはn-プロピルp-ヒドロキシベンゾエートまたは塩化ベンザルコニウムも含有し得る。
薬学的組成物を単位用量レジメンにパッケージングしてもよい。これにより、誤投与および汚染が低減し得る。一部の態様では、薬学的組成物は、保存料を含まない単位用量レジメンの組成物である。
また、目への投与のために使用直前に液体形態の調製物にすることが意図された固形形態の調製物も挙げられる。固形形態の調製物としては、粉末剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤および分散性顆粒剤が挙げられる。固形担体は、希釈剤、結合剤、保存料、錠剤崩壊剤または封入材料としての機能も果たし得る1種または複数種の物質であり得る。
本開示の薬学的製剤は塩として提供されてもよく、多くの酸、例えば非限定的に、硫酸、塩酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などを用いて形成され得る。塩は、対応する遊離塩基形態の水性または他のプロトン酸溶媒に、より可溶性となる傾向にある。他の場合では、調製物は、1 mM〜50 mMのヒスチジン、0.1%〜2%のスクロース、2%〜7%のマンニトール中(4.5〜5.5のpH範囲)の凍結乾燥粉末であり得、この凍結乾燥粉末は使用前にバッファーと混合される。
薬学的調製物は好ましくは単位投薬量形態である。かかる形態では、調製物は、適切な量の活性成分アトロピンを含む単位用量に分割されている。単位投薬量形態はパッケージングされた調製物であり得、このパッケージには離散量の調製物、例えば個包装の錠剤、カプセル剤および粉末剤、または点眼器、バイアルもしくはアンプル内の液剤が含有される。
投与
液剤、懸濁剤、乳剤、ゲル剤、軟膏、ペースト剤などとして製剤化された本明細書に開示のアトロピン組成物は、局所経路によって目に送達され得る。一部の場合では、アトロピン組成物は、各投与で片目に1滴ずつ適用される液剤として製剤化される。典型的には、1滴は、20μL〜100μL、例えば25μL〜60μL、例えば50μLの体積を有する。アトロピン組成物は、1日24時間の間の任意の時点で投与され得る。一部の場合では、アトロピン液剤は、患者、特に、近視前症の段階の患者において近視の発症を予防するまたは遅らせるために1日1回、2回またはそれ以上の回数でこれらの患者に投与される。一部の場合では、アトロピン液剤は、患者、特に、弱度近視を有する患者において近視の進行を低減させるまたは予防するために2日毎、3日毎または4日毎に適用される。一部の場合では、各投与が少なくとも1滴、少なくとも2滴または少なくとも3滴を目に点眼することにより行なわれ、それぞれ1滴には約20〜100マイクロリットルの液体が含まれる。
近視前症または弱度近視を有する患者、例えば児童を処置するためのアトロピンでの処置の持続期間は、対象の病状の重症度およびアトロピンに対する対象の応答に応じて異なり得る。一般に、非常に低濃度、例えば約0.01%のアトロピンを含む、本明細書に開示の組成物は、非常に長期間にわたり、臨床的に有意な有害作用を引き起こすことなく投与され得る。したがって、本発明によるアトロピンでの処置は、5、6、8、10年間という長い間またはさらに長期間、持続され得る。一部の態様では、組成物は、約4週間〜10年間、より典型的には約6週間〜約5年間、最も典型的には約1年間〜2年間の期間、投与され得る。また、好適な投与期間としては、約6ヶ月間〜約1年間、18ヶ月間〜2年間、9〜16ヶ月間、16〜24ヶ月間、16〜32ヶ月間、24〜32ヶ月間、24〜48ヶ月間、32〜48ヶ月間、32〜52ヶ月間、48〜52ヶ月間、48〜64ヶ月間、52〜64ヶ月間、52〜72ヶ月間、64〜72ヶ月間、64〜80ヶ月間、72〜80ヶ月間、72〜88ヶ月間、80〜88ヶ月間、80〜96ヶ月間、88〜96ヶ月間、および96〜104ヶ月間も挙げられる。また、好適な投与期間としては、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、24、25、30、32、35、40、45、48、および50ヶ月間も挙げられる。一般的に、アトロピン組成物の投与は、病状の臨床的に有意な改善が観察されるまで継続するのがよい。
一部の態様では、アトロピン組成物の投与は連続的ではなく、1つまたは複数の期間停止された後に、1つまたは複数の投与再開期間が続き得る。投与を停止する好適な期間としては、5〜9ヶ月間、5〜16ヶ月間、9〜16ヶ月間、16〜24ヶ月間、16〜32ヶ月間、24〜32ヶ月間、24〜48ヶ月間、32〜48ヶ月間、32〜52ヶ月間、48〜52ヶ月間、48〜64ヶ月間、52〜64ヶ月間、52〜72ヶ月間、64〜72ヶ月間、64〜80ヶ月間、72〜80ヶ月間、72〜88ヶ月間、80〜88ヶ月間、80〜96ヶ月間、88〜96ヶ月間、および96〜100ヶ月間が挙げられる。また、投与を停止する好適な期間としては、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、24、25、30、32、35、40、45、48 50、52、55、60、64、65、68、70、72、75、80、85、88 90、95、96、および100ヶ月間も挙げられる。
本明細書に開示のアトロピン組成物を、近視の発症もしくは進行の予防に有用であることが知られた他の活性剤と併用して、または単独では有効でないかもしれないがアトロピンの有効性に寄与し得る補助剤とともに、使用してもよい。
アトロピン組成物は適切な容器内に、例えばボトルまたは点眼器内に入れられ得、適応される病状の処置についてラベリングされ得る。アトロピン組成物の投与の場合、このようなラベリングには、例えば、投与の量、頻度および方法に関する使用説明が含まれ得る。
また、アトロピン組成物を、適切な量の活性成分アトロピンを含む単位用量に調製してもよい。単位投薬量レジメンはパッケージングされた調製物であり得、このパッケージには離散量の調製物、例えば個包装の錠剤、カプセル剤および粉末剤、または点眼器、バイアルもしくはアンプル内の液剤が含有される。
アトロピンの効果の測定
本開示により、処置される前に近視を有していない対象に対して近視の発症を予防するまたは遅らせる方法を提供する。近視の発症の予防または遅延に対するアトロピンの効果は、処置期間中のスケジューリングされた定期的な来院時に目を検査し、患者が最初に近視になるタイミング、すなわち患者のSEが約-0.5Dまたはそれより若干上に達するタイミングを調べることにより評価され得る。次いで、このタイミングを、アトロピン処置を受けずビヒクルプラセボ点眼薬を受けている対照群での近視の発症のタイミングと比較する。対照対象は、典型的には、年齢および民族的背景が、アトロピンで処置されている患者と同じかまたは非常に類似している。また、対照群の対象は、アトロピン処置の開始前の処置群個体と同等の目の健康状態を有する対象であってもよい。好ましい態様では、対照群の個体は近視前症であり、5〜9歳である。このような個体の目の健康状態は上記の方法を用いて測定され得、以下のうちの1つまたは複数を含み得る:遠見および近見logMar視力の測定、非調節麻痺下での自動屈折/自動角膜曲率測定の実施、カバーテストの実施、レンズ測定の実施、明所瞳孔直径の測定、および遠近調節力の測定。一部の態様では、対照の近視の発症のタイミングに関するデータは、既存の臨床データベース中の過去の患者の平均データである。
処置のために選択された患者は目の健康状態について、処置の開始時ならびに処置中および/または処置後の定期検査時にモニタリングされる。一部の場合では、患者は、例えば、処置期間中および/または処置期間後、4、5、6ヶ月毎、7または8ヶ月毎にモニタリングされる。一部の場合では、患者は、目の健康状態、例えば近視の度合いについて、処置開始後、6ヶ月目、12ヶ月目、18ヶ月目、24ヶ月目および30ヶ月目に検査される。また、SEを調べるために使用され得るパラメータも各来院時に記録され、SE値がその後決定される。
いかなる処置も受けない近視前症の対象、例えば5〜9歳の児童は、典型的には6〜12ヶ月以内に近視が発現する。患者を本明細書に開示の組成物で処置すると近視の発症を予防するまたは遅らせることができる。典型的には、該組成物は、0.025%未満のアトロピン、例えば約0.001%〜0.0249%のアトロピンを含む。特定の態様では、該組成物は約0.01%のアトロピンを含む。一部の態様では、該組成物は約0.001%、約0.002%、約0.003%、約0.004%、約0.005%、約0.006%、約0.007%、約0.008%、約0.009%、約0.01%、約0.011%、約0.012%、約0.013%、約0.014%、約0.015%、約0.016%、約0.017%、約0.018%、約0.019%、約0.02%、約0.021%、約0.022%、約0.023%、約0.024%、約0.0245%または約0.0249%のアトロピンを含む。一部の態様では、該組成物中のアトロピンが、塩、例えばアトロピン硫酸塩として存在する。一部の場合では、患者は、近視前症を有すると診断されてから2年後、3年後まで近視が発現しない。一部の場合では、近視の発症が、対照と比べて6ヶ月超、12ヶ月、18ヶ月、2年、3年、5年、6年、8年またはそれ以上遅れる。
また、本開示により、上記に開示したアトロピン組成物を用いて近視の進行を低減させるまたは予防する方法を提供する。一部の場合では、これらの患者は、弱度近視を有すると既に診断されている。近視の発症の予防または遅延に対する該組成物の効果を評価する場合と同様に、近視の進行の予防または遅延に対する効果もまた、アトロピン処置期間前、処置期間中および/または処置期間後に患者を定期的にモニタリングすることによって評価され得る。目の健康状態のパラメータをこれらの検査時に得て、SE値を決定し、対照のSEと、同じ長さの期間にわたって比較する。一部の場合では、非常に低濃度のアトロピンを含む組成物での処置中および処置後にSEの変化が観察されず、これはアトロピン処置によって近視の進行が予防されていることを示す。一部の場合では、近視はなおも進行し、マイナスのSE値が増大し続けるが、その増大が対照におけるSEの増大と比べて小さく、これは近視の進行が低減していることを示す。一部の態様では、ある期間にわたるアトロピン処置によって、SEの平均変化が、同じ長さの期間にわたる対照と比べて少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%低減し得る。一部の場合では、該期間が6ヶ月間、1年間、2年間、3年間、5年間もしくは6年間またはそれ以上である。
本明細書に開示の組成物に含まれるアトロピンは非常に低濃度、例えば0.025%未満、例えば0.01%であり、有意な有害作用、例えば瞳孔散大および/または遠近調節低下を引き起こさない。処置に関連する瞳孔散大は多くの場合、2 mm以下、例えば1.9 mm以下、1.8 mm以下、1.7 mm以下、1.5 mm以下または1.49 mm以下である。典型的には、上記に開示した組成物で処置されている患者は0.74+/-0.75 mmの瞳孔散大を経験し得る。また、処置に関連する遠近調節の低下も最小限であり、典型的には10D以下、例えば9D以下、8.5D以下、8.8D以下または8D以下である。典型的には、上記に開示した組成物で処置されている特許は4.6+/-4.2Dの遠近調節低下を経験し得る。
以下の実施例は、例示の目的のためにすぎず、請求項に係る発明の限定と解釈されるべきでない。当業者に利用可能な択一的なさまざまな手法および手順があり、これらによっても、意図した本発明を成功裡に実施することが同様に可能であろう。
実施例1.マウスにおける形態覚遮断近視(form deprivation myopia)の誘導
マウスは、マウスの目がヒトの目と非常に類似した構造および生化学的性質を有しており、以前の試験で近視のマウスモデルが確認されているため、近視の薬理学的処置を評価するためのよい前臨床モデルである。また、マウスの目は、ヒトの目のものと同様の薬理学的標的を有する。結果として、目に対して近視を誘導するための処置を受ける前にアトロピンを局所的に投与すると近視性変化の一部または全部が回避され得ることが示された。目を覆う強靭な外側結合組織である強膜の線維芽細胞内の関連するすべてのムスカリン受容体型が、マウスの目とヒトの目で類似していることが示されている。
一般に、マウスにおける形態覚遮断近視(「FDM」)は、-10Dレンズをマウスの目に6週間取り付けることによって確実にもたらされ得る。これによりマウスの目の眼軸長の増大および屈折異常が引き起こされる。この処置では、目をアトロピンで毎日1回、1〜14日間処置した後、-10Dレンズを目に設置する。最初の実験群(n=8/群)には:a)21日目にレンズの設置なしでアトロピン処置を開始し、4週間継続;b)2週間のアトロピン処置後35日目に-10Dレンズの設置、およびレンズ処置を4週間継続;c)1週間のアトロピン処置後35日目に-10Dレンズの設置、およびレンズ処置を4週間継続;d)事前のアトロピン処置なしで35日目に-10Dレンズの設置、および4週間継続;e)レンズまたはアトロピンなしの対照を含める。
実験処置を始めた後、マウスを2週間毎に眼軸長および屈折異常の変化について、既報の手順を用いてモニタリングする。屈折およびバイオメトリーの測定は2週間毎に行なう。眼軸長は、インビボ光学的低コヒーレンス光干渉法(Optic Low Coherence Interferometry)(OLCI-AcMaster)で測定する。屈折は、自動偏心フォトリフラクター(automated eccentric photorefractor)によって測定する。この方法の詳細は以前に報告している(Barathi VA&Beuerman RW, 2011;Barathi et al 2013)。
実施例2.マウスモデルにおける形態覚遮断近視の誘導前のアトロピン点眼薬の効果
方法:
動物:つがいのB6J(ハツカネズミ(Mus musculus))マウスをJackson Labから入手し、仔を生ませた。無処置の対照動物は6匹の群で収容したが、実験動物は21日齢から、25℃で12:12時間の光のオンとオフのスケジュールの標準的なマウスケージに個々に収容し、マウス用のペレット型飼料と水を自由に摂取させた。SingHealth動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use of Committee)(IACUC)の承認を得、この試験で行なった処置はすべて、Association of Research in Vision and Ophthalmology(ARVO)Statement for the Use of Animals in Ophthalmology and Vision Researchに準拠していた。
マウス近視モデル:-10Dのコンタクトレンズ(PMMA Contact Lens in Grey Tint,8.5 mmの直径,8 mmのベースカーブ,屈折率:1.43,軸方向の厚さ:0.5 mm)を、21日目に右の目に、ベルクロのループ側に接着し、次いで、目の周囲の皮膚に事前に縫い付けておいたベルクロの対応部に取り付けることにより設置した。この眼鏡レンズは薄暗い所で毎日クリーニングし、左目は覆わずに対照として使用した。光学器具類はすべて、出生後63日目に取り外した。
処置プロトコル:
遅発型(delayed)FDMを群1〜4の4つのマウス群において誘導した。群1(n=6,3つのバッチ)には、毎日10μlの1%アトロピン硫酸塩の局所適用(ATG)を35日目に4週間行ない、群2(n=6,3つのバッチ)には、毎日10μlの1%アトロピン硫酸塩の局所適用(ATG)を21日目に2週間行ない、次いで、-10Dレンズを適用して近視を4週間誘導し(pATG+LIM)、群3(n=6,3つのバッチ)は-10Dレンズ単独で処置して近視を誘導し(レンズは21日目に適用し、6週間継続)、群4(n=3[どちらの目も無処置対照である],3つのバッチ)は無処置対照として使用した。すべての群において右目は実験用として使用し、左目は対側性対照として使用した。マウスにおける実験的誘導近視では、一貫して、誘導および薬物介在の両方について対側性効果を有することはみられなかった。
眼のバイオメトリー評価:屈折およびバイオメトリーの測定は毎週、試験終了まで記録した。眼軸長は、インビボ光学的低コヒーレンス光干渉法(OLCI-AcMaster)で測定した。屈折は自動偏心フォトリフラクターによって測定した。この方法の詳細は以前に報告した(Barathi VA et al., 2013; Barathi VA & Beuerman RW, 2011)。
統計解析:統計解析はSPSSソフトウェア(Version11.0, Chicago, 145 USA)を用いて行なった。結果は平均±標準誤差(SEM)で表示した。レンズ誘導の目に関する値はすべて、同じ群内の同輩の目のものと、対標本(paired sample)t-検定を用いて統計学的に比較した。平均眼間差を、実験群と通常群間の独立標本t-検定に使用した。群間の統計解析は一元配置分散分析(ANOVA)によって行ない、P<0.05の場合を統計学的有意とみなした。
結果:
近視の遅延型誘導の場合のアトロピン処置は、処置しない場合に予期され得る眼軸長および屈折に対する作用の減退に有効である。近視誘導(-10Dレンズを4週間)の前にアトロピン硫酸塩を2週間投与された目は遠視性のままであった(図1B, p<0.01)。しかしながら、これは、事前のアトロピンなしでの-10Dレンズ処置と比較した場合では有意に異なっていた。さらに、これらの結果は、1%のアトロピンで処置した目と比べて遠視性が低かった。この結果は、アトロピンでの事前処置によって近視の進行が低減することを示す。
アトロピン処置による眼軸伸長の低減:35日間にわたる眼鏡レンズでの誘導により、対側性対照の目と比較した場合、統計学的に有意な眼軸伸長がもたらされた(図1A, p<0.01, n=18)。
誘導近視の群2に対する予防としての1%の濃度でのアトロピンの毎日の適用により、眼鏡レンズ誘導近視のほとんどで眼軸長の伸長がブロックされた(図1A, p<0.01, n=18)が、眼軸伸長速度は、1%のアトロピンの毎日の適用を行なった目と比べて有意に影響されなかった(p=0.114)。無処置対照と対側性対照の目のバイオメトリー測定値は有意に異ならなかった。
アトロピン処置による屈折異常の変化:-10Dレンズの着用単独の目は、6週間の誘導後、屈折が遠視性から近視性にシフトした(図1B,対側性対照と比べてp<0.01, n=18)。近視を誘導する(-10Dレンズを4週間着用)前にアトロピン硫酸塩を2週間投与された目は遠視であり(図1B, p<0.01)、-10Dレンズ処置と比較した場合、有意に異なっていた。しかしながら、これは、1%のアトロピンで処置した目と比べて遠視性が低かった。この結果は、アトロピンでの予防処置によって近視の進行が低減することを示す。
対側性対照の目において、無処置対照の目と比べて有意差はみられなかった。
実施例3 マウスモデルにおける0.01%アトロピンの効果
方法
動物:3週齢のC57BL/6JマウスをInVivos(シンガポール)から購入し、SingHealth Experimental Medicine Centreの動物保持施設に保持した。実験動物は、25℃で12:12時間の光のオン(325 lx)とオフ(0 lx)のスケジュールの標準的なマウスケージに個々に収容し、マウス用のペレット型飼料と水を自由に摂取させた。この試験で行なった処置はすべて、Association of Research in Vision and Ophthalmology(ARVO)Statement for the Use of Animals in Ophtalmic and Vision Researchに準拠しており、SingHealth IACUCの承認を受けた。各動物の両方の目を眼科的異常、例えば角膜混濁および前極白内障についてスクリーニングした。いかなる形態の眼科的異常を有する動物も試験から除外した(およそ10%)。
実験的近視のマウスモデル:眼鏡レンズ誘導近視モデルを、生後35日目、実験用の目として使用した動物の右目に-15Dのハードレンズを設置することによって確立した。簡単には、-15Dレンズ(薄い青色のPMMA眼鏡レンズ、外側の曲率半径8.5、内側の曲率8mm、レンズ厚0.5 mm、Flexilens, India)をベルクロのループ側に接着した(ベースカーブは8 mm)。次いで、この接合部品を、シアノアクリレート(Super Glue gel, UHU, Germany)を用いて実験用の右目の周囲の毛に事前に接着しておいたベルクロに取り付けた。このセットアップによってレンズの黒い部分と角膜の前面の間に1.5 mmの隙間ができ、そのため、コンタクトレンズが光学的に眼鏡レンズとしての機能を果たすことが確実になる。無処置群の右目にはプラノレンズを取り付け、実験試験で陰性対照として使用した。各動物の両方の目をなんらかの感染について毎日検査し、また、レンズを薄暗い赤色光下で定期的にクリーニングした。左目は覆わないままにし、この試験のいずれの眼のバイオメトリー測定にも使用しなかった。レンズ誘導時は薄いプラスチック製のエリザベスカラーを各マウスの首の回りに装着した。これは、マウスがレンズを外さないようにするために行なった。ペレット型飼料は、摂食し易くなるようにケージに置いた。このストラテジーもまた、以前に他のグループがレンズ誘導近視のマウスモデルで行なったもの(Schaeffel et al., 2004)に従った。
処置プロトコル:合計27匹のマウスを、以下の表1に記載のような4つの異なる群に分けた。ビヒクルおよび0.01%アトロピンでの処置は、それぞれ群1および2において生後22日目に開始し、生後35日目まで2週間継続した。7μLの薬物を右目に、薄暗い赤色光下で毎日同時に局所投与した。この後、レンズ(-15Dまたはプラノレンズのいずれか)誘導を生後35日目に行ない、49日目まで取り付けたままにした。
(表1)試験デザイン
Figure 2020509085
結果
眼のバイオメトリー、例えば眼軸長(AL)および屈折の測定値を実施例2に記載のようにして測定した。測定は、レンズ誘導の直前とレンズ誘導後2週間目のそれぞれ35日目と49日目に行なった。表2参照。データを、GraphPad Prismソフトウェアバージョン7.02を用いて解析した。任意の2つの群間のALおよび屈折の変化を、対応のない独立t-検定を用いて解析した。p値<0.05の差を統計学的に有意とみなした。データは平均+/-SEMとして報告している。体重を生後22、35および49日目に記録した。薬物(アトロピンおよびビヒクル)もレンズ処置もどちらも、任意の所与の時点の体重に有害な影響は与えなかった。35日目の測定値と比べた49日目のALおよび屈折の変化をそれぞれ図3Aおよび図3Bに示す。結果(平均+/-SEM(1群あたりn=6/7)で表示)は、2週間の-15Dレンズでの誘導により、無処置群のマウスと比べて近視性の屈折のシフト(1.22D+/-0.89から-2.97D+/-0.44への変化;両側p値=0.0083)および実験用の目のALの約22%の増大(0.087mm+/-0.005から0.106mm+/-0.008;両側p値=0.0606)がもたらされたことを示す。レンズ誘導前に0.01%アトロピンを2週間局所投与することにより、ALの増大が、レンズ誘導近視の目においてビヒクルで前処置されたマウスの近視の目と比べて約15%低減した。(ALの変化の平均値が群1では0.108mm+/-0.007から群2では0.092mm+/-0.008に減少;両側p値=0.1557)。また、0.01%アトロピンでの前処置により、-15Dレンズによる強制焦点ボケに対する2週間の目の補正後、近視性から遠視性への屈折のシフトも誘導された(生後35日目〜49日目の屈折の測定値の変化は、それぞれ群1および2において-2.89D+/-0.59および-1.33D+/-0.82であった;両側p値=0.1483)。さらに、ビヒクル処置は、レンズ誘導近視モデルの眼のバイオメトリーの変化に対してなんらの影響も有しなかった(ALおよび屈折の変化の両側p値はそれぞれ0.8712および0.6341)。総合すると、これらの結果は、成長期の目を0.01%アトロピンで前処置するとマウスにおいてレンズ誘導実験的近視の発現が最小限となり得ることを示唆する。
(表2)
Figure 2020509085
実施例4.ATOM3試験
1.治験対象母集団
1.1 登録された対象の数および性質のリスト
年齢が5〜9歳で、近視前症(SE -0.49D〜1.00D)である420名および弱度近視(SE -0.50D〜-1.50D)を有する150名の適格児童。近視前症の児童はアトロピン0.01%の点眼薬の毎日の投与またはプラセボの投与に無作為化し、弱度近視の児童はアトロピン0.01%の毎日の投与、アトロピン0.01%の隔日の投与またはプラセボの毎日の投与のいずれかに無作為化する。
1.2 募集の基準および募集プロセス
募集:本目的は、試験期間において570名の適格児童を登録することである。以前、シンガポール眼科研究所は、1年間で400名の近視児童を募集することができたが、幼少で近視前症の児童の募集は、より困難であり得る。一般の人に試験について伝える際は、すべての治験担当医が、試験を説明した標準化資料(例えば、パンフレットおよび書状)を作成して使用する。
募集ストラテジーには、医師を眼科(シンガポール国立眼科センターの)、眼科フォーラムの際は、メディア発表、宣伝、医師、検眼士または鏡技師への書状送付、近視の親への書状送付(例えば、強度近視のクリニックで)に従事させることを含める。
1.3 組み入れ基準
・親の書面のインフォームドコンセントおよび児童の同意が得られている
・年齢が5〜9歳
・一方の親が近視(少なくとも片方の目が<-3D)
・調節麻痺下で自動屈折により測定した時、等価球面度数が+1.00D〜-0.49D(近視前症の児童)、-0.50D〜-1.50D(弱度近視の児童)の屈折異常
・調節麻痺下または非調節麻痺下で自動屈折により測定した時、乱視が1.50D以下
・両目がlogMAR 0.2以上に矯正可能な遠見視力
・21 mmHg以下の正常眼圧
・近視以外は正常な目の健康状態
・良好な一般健康状態であり、心臓疾患または重大な呼吸器疾患の病歴なし
・治験担当医による判断で過去1年間に喘息に必要な投薬物の常用なし
・アトロピン、シクロペントレート、プロパラカインおよび塩化ベンザルコニウムに対するアレルギーなし
1.4 除外基準
・視力または屈折異常に影響を及ぼす可能性がある眼病変または全身性疾患を有する児童
・局所アトロピンが禁忌である任意の目の状態
・アトロピンまたはピレンゼピンの使用歴
・両眼視機能または立体視の欠陥
・弱視、または間歇性斜視を含む顕性斜視
・プロトコルの順守を不可能にする任意の他の状態、例えば、試験の持続期間中、コンタクトレンズ装用をやめることを嫌がる
2.試験デザイン
デザイン:無作為対照比較二重盲検試験
参加者:年齢が5〜9歳で、近視前症(SE +1.00〜-0.49D)である420名および弱度近視(SE -0.50〜-1.50D)を有する150名の適格児童。近視前症の児童はアトロピン0.01%の点眼薬の毎日の投与またはプラセボの投与に無作為化し、弱度近視の児童はアトロピン0.01%の毎日の投与、アトロピン0.01%の1日おきの投与またはプラセボの毎日の投与のいずれかに無作為化する。図2参照。
2.1 無作為化および盲検化
無作為化は、Singapore Clinical Research Institute(SCRI)主催のインターネットベースの手順を用いて行なう。観察結果の偏りを最小限にするため、この試験は、試験参加者にも試験結果の測定を担う治験担当医または検眼士にも、施与される処置について知らされない二重盲検の治験としてデザインする。これを行なうため、以下の工程に従う:
・同意書に署名したら、児童は適格とみなされ、処置の割り付けは明らかにされない試験番号が割り付けられる。
・最初の来院時の無作為化から30ヶ月目(近視前症の人の場合)および24ヶ月目(弱度近視の人の場合)まで使用される処置点眼薬には、誰も処置点眼薬とプラセボ点眼薬との区別ができないように予めラベリングされる。
・1日おきのアトロピン投与に無作為化された弱度近視の人の群では、アトロピンを点眼する日(奇数日または偶数日)もまた無作為化する。
・最初の来院時の無作為化から30ヶ月目(近視前症の人の場合)および24ヶ月目(弱度近視の人の場合)まで使用される点眼薬はすべて、クリニックに到着する前に事前に仕分けされ、同一のボトル内にパッケージングされるため、すべての治験担当医および試験チーム(知っている薬剤師または知っているコーディネータを除く)には処置点眼薬の種類がわからない。
・親または後見人は、児童の処置に関すること、例えばなんらかの普通でない副作用に関して、本眼科のコーディネータまたは本コーディネータ検眼士のみに助言を求めるように依頼される。
・児童は最初に、評価を行なう治験チームに会う。続いて、両目に調節麻痺剤を受けた後、試験結果の測定に関与する治験担当医または委託された検眼士に会う。
・この治験担当医または委託された検眼士は、施与される処置の手がかりを与える可能性があるいかなる測定も行なわない。
対象の年齢に基づいて4つの層別化群にする。各群は異なる連番の治験番号を有する:
近視前症-
・群1(年齢が5〜6歳の対象)-治験番号は1001から始まる。
・群2(年齢が7〜9歳の対象)-治験番号は2001から始まる。
弱度近視-
・群3(年齢が5〜6歳の対象)-治験番号は3001から始まる。
・群4(年齢が7〜9歳の対象)-治験番号は4001から始まる。
適格児童は、本コーディネータ検眼士によって登録され、その児童が属する層別化群に応じて登録名簿の治験番号が割り付けられる(例えば、年齢が5〜6歳の最初の適格対象(近視前症の人)は群1に属し、治験番号1001が割り付けられ、次は1002など)。割り付けられた治験番号は登録用紙に記録される。
2.2 治験来院および処置
Figure 2020509085
2.2.1.スクリーニング来院および処置
最初の/募集の際の来院時、試験の目的およびデザインが親と児童に説明される。児童の親と児童は権利と責任に関するカウンセリングを受け、書面のインフォームドコンセントを得る。病歴(目または全身性のいかなる公知の既存の疾患も除外するため)、薬物アレルギー歴(点眼薬に対して起こり得るアレルギーを除外するため)、および親の近視歴を得る。遠見および近見logMar視力の評価、非調節麻痺下での自動屈折/オートケラメトリー、カバーテスト、明所瞳孔の大きさの測定、遠近調節力ならびに眼圧測定によって、児童を眼病変についてスクリーニングする。現在使用中のメガネをかけての視力が>0.2であった場合、最良矯正遠見logMar VAの評価とともに非調節麻痺下での自覚的屈折を行なう。
児童が試験の組み入れ/除外基準を満たしそうにない場合、親に通知され、それ以上の試験は行なわれない。さらに調べることが必要であり得る目の状態がみとめられたならば、児童の親は、この児童を眼科医に診てもらうことを勧められる。
他のベースライン評価試験、例えば調節麻痺下での自動屈折/自動角膜曲率測定、自覚的屈折、細隙灯顕微鏡検査、眼底撮影およびIOLマスターが行なわれる。次いで、児童に治験薬が投薬される。
各再診時に、親と児童は、点眼薬の使用および直近の6ヶ月間で何か有害事象が起こったかどうかについて尋ねられる。精密作業および他の活動を行なっているときの遠近調節機能の困難性、輝所恐怖症または屋外の光に対する感度、ならびに日常活動に伴う問題を確認する。点眼薬の使用日誌ならびに点眼薬のボトル(使用済および未使用の両方)を回収する。
病歴の見直し
最初の/募集の際の来院時、病歴(目または全身性のいかなる公知の既存の疾患も除外するため)、薬物アレルギー歴(点眼薬に対して起こり得るアレルギーを除外するため)、および親の近視歴を得る。
リスクファクターの問診
最初の18ヶ月目または36ヶ月間、親は、環境性のリスクファクター(精密作業および屋外活動)ならびに家族性のリスクファクター(親および兄弟姉妹の屈折状態)への曝露を含む近視リスクファクター評価の問診票に記入する。
レンズ測定
レンズ測定計を使用し、現在使用中のメガネ処方(該当する場合)を評価する。
遠見および近見log MAR VAの提示
視力は、検眼士が遠見および近見logMAR VA表を用いて検査する。
カバーテスト
眼位の有無を、検眼士が、カバーアンカバーテストを用いて遠見および近見の両方についてベースライン時および6ヶ月目の来院時に評価する。
自動屈折および自動角膜曲率測定
自動屈折および自動角膜曲率測定は、各来院時に卓上型自動屈折計Canon RKを用いて試験される。各目について5回の屈折異常の測定が行なわれる。
自覚的屈折(非調節麻痺下/調節麻痺下)
最良矯正視力(BCVA)が得られるレンズの組合せを用いた視力検査。
明所瞳孔の大きさ
瞳孔の大きさは、卓上型自動屈折計Canon RKを用いて明所条件下で(80ルクスで)測定される。
遠近調節力
遠近調節力は、RAF則(rule)を用いて測定される。
眼圧測定
眼圧は、非接触眼圧計または接触式眼圧計、例えばI-care装置のいずれかで測定される。
調節麻痺点眼薬
スケジューリングされた各試験来院時、調節麻痺が、1滴のプロパラカイン0.5%の後、5分あけて投与される3滴のシクロペントレート1%を用いて行なわれる。最後の1滴を投与した後、30分で完全な調節麻痺が起こると仮定する。
調節麻痺下での自動屈折および最良矯正視力
屈折異常は、ベースライン時およびその後の追跡来院に調節麻痺下での自動屈折により、Canon RK自動屈折計を用いて測定される。調節麻痺下での自動屈折は、信頼性、妥当性および客観性があり、したがって経時的な測定の標準化が可能であるため、屈折異常の尺度として選択した。
各来院時、各目について5回の屈折異常の測定が行なわれる。5回の測定の各々で等価球面度数をThibos et alの方法を用いて計算し、次いで、平均等価球面度数を計算し、各目の進行の尺度として使用する。
細隙灯顕微鏡検査
細隙灯顕微鏡検査は、眼科医または訓練を受けた委託された検眼士が行なう。目の表面、虹彩およびレンズの健常性が評価される。
眼底撮影
後極の眼底写真をベースライン時および年1回の各来院時に得る。視神経、斑および網膜の健常性を、訓練を受けた検眼士がスクリーニング時に評価し、すべての写真を試験チームの眼科医が精査する。
IOLマスター
非接触部分干渉分光法を用いて眼軸長が測定される。これは、視軸に沿って角膜頂と網膜色素上皮間の長さを測定するZeiss IOLマスターを使用し、分解能が12umおよび精度が5umの赤色固定ビームを用いて行なわれる。各来院時、各目に対して5回の測定が行なわれる。眼軸長の測定値は、最大値と最小値間の最大偏差が0.05mm以下である場合、5つの値の平均を基にする。同時に記録される他の測定値としては、前房深度および角膜のカーブが挙げられる。
2.2.2.治験来院および処置
ベースライン来院
初回/スクリーニング検査(本コーディネータ検眼士または本試験検眼士による)が、選択された児童に対して、以下:
・レンズ測定(該当する場合)
・遠見および近見logMar VAの提示(該当する場合はメガネをかけて)
・遠見および近見のカバーテスト
・非調節麻痺下での自動屈折および自動角膜曲率測定
・非調節麻痺下での自覚的屈折(遠見logMar VA>0.2が提示された場合)および最良矯正遠見VAの記録
・明所瞳孔直径
・遠近調節力
・眼圧測定
を用いて行なわれる。
児童がなお、試験の組み入れ/除外基準を満たし得るようであれば、
・麻酔薬および調節麻痺点眼薬の投与
・調節麻痺下での自動屈折および自動角膜曲率測定
・調節麻痺下での自覚的屈折および調節麻痺下での最良矯正遠見logMar VA
・細隙灯顕微鏡検査
・眼底撮影
・IOLマスター
無作為化および点眼薬の投薬
無作為化したら、本試験の検眼士またはコーディネータは、児童に割り振られた点眼薬を計量して投薬し、親/後見人および児童に対して点眼薬の使用に関する情報を口頭ならびに書面で示す。
近視前症群の児童には6〜8ボトルの1箱分が投与される(1ヶ月に1ボトルが使用される)。
弱度近視群の児童には6〜8ボトルの2箱分が投与される(1ヶ月に2ボトルが使用され、隔日で使用される)。
日誌記録
6ヶ月間の日誌記録がすべての対象の親/後見人に提供される。親および児童は、点眼薬を投与した日のボックスにチェックを入れるよう求められる。
4.2.2.2 追跡来院(6、12、18、24および30ヶ月目の来院)
処置
本クリニックのコーディネータは
・病歴を更新する、例えば、点眼薬に伴うなんらかの副作用または問題の精査
・コンプライアンスを精査する、例えば、親/後見人が児童に施された処置の種類を承知している場合は質問する
・過去の来院時に支給した日記および点眼薬の使用済みボトルを回収し、計量する
・リスクファクターの問診をする?Pg 14.治験来院および処置の表のpg 13に列挙
コーディネータ検眼士は
・病歴を更新する(本クリニックのコーディネータによって行なわれない場合)
・遠見および近見logMar VAを測定する(該当する場合はメガネをかけて)
・レンズ測定を行なう(該当する場合)
・カバーテストを行なう(6ヶ月目の来院時)
・遠近調節力を測定する(6、12および24ヶ月目来院時)
・明所瞳孔直径を測定する(6、12および24ヶ月目来院時)
・眼圧測定を行なう(6、12および24ヶ月目来院時)
・表面麻酔剤および調節麻痺剤を投与する
本試験検眼士は
・調節麻痺下での自動屈折および自動角膜曲率測定を行なう
・調節麻痺下で自覚的屈折を行なう
・調節麻痺下での最良矯正logMAR遠見視力を測定する
・細隙灯顕微鏡検査を行なう(年1回の来院時)
・眼底撮影像を得る(年1回の来院時)
・IOLマスターによりバイオメトリーを得る
本試験検眼士による検査後、本コーディネータ検眼士は
・すべてのフォームを完全性および正確性について精査する
・児童に学校への書簡および必要であればメガネの処方を渡す
・児童の点眼薬を補充する(近視前症の人の場合30ヶ月目の来院時以外および弱度近視の人場合24ヶ月目の来院時以外)
・スケジューリングされた次の来院の予約をする
近視前症の人の場合、児童は30ヶ月目以降、点眼薬を停止し、6ヶ月間の休薬をする。休薬は、薬物がもはや存在しないと推定されるアトロピンの休止後の観察期間である。
弱度近視の人の場合、児童は24ヶ月目以降、点眼薬を停止し、12ヶ月間の休薬をする。
4.2.2.5 来院の範囲
追跡来院はすべて、目標日時の±21暦日の範囲内でスケジューリングされる。来院はすべて、規定の来院時のこの時間枠範囲内であるのがよい。
Figure 2020509085
2.2.3 最終治験来院
36ヶ月目の来院/来院終了
本クリニックのコーディネータは
・病歴を更新する
・リスクファクターの問診をする
本コーディネータ検眼士は
・病歴を更新する(本クリニックのコーディネータによって行なわれない場合)
・遠見および近見logMar VAを測定する(該当する場合はメガネをかけて)
・レンズ測定を行なう(該当する場合)
・明所瞳孔直径を測定する
・遠近調節力を測定する
・表面麻酔剤および調節麻痺剤を投与する
本試験検眼士は:
・調節麻痺下での自動屈折および自動角膜曲率測定を行なう
・調節麻痺下で自覚的屈折を行なう
・調節麻痺下での最良矯正logMAR遠見視力を測定する
・細隙灯顕微鏡検査を行なう
・眼底撮影像を得る
・IOLマスターによりバイオメトリーを得る
本試験検眼士による検査後、本コーディネータ検眼士は
・すべてのフォームを完全性および正確性について精査する
・児童に学校への書簡および必要であればメガネの処方を渡す
2.3 中断/離脱
2.3.1.中断基準
早期中止ルール
近視前症児童:
有効性の証拠があるか、もしくは有効性が欠如しているか、または有効性の充分な証拠があり、試験を継続することが非倫理的となる場合、早期中止が考慮され得る。
弱度近視児童:
低濃度薬物レジメンで非劣性証拠がある場合、早期中止が考慮され得る。
一部の対象に、点眼薬の結果として有害事象または薬物反応が起こりるかもしれないことが予想される。このような状況では、対象は処置の終了に選出され得る。また、治験担当医は、対象が参加を継続すると健康を害する可能性があると感じた場合、その対象を任意の時点で治験から外すと判断することもあり得る。しかしながら、このような対象は、治療企図解析のために転帰について追跡される。
3.被検物質
ベースライン来院から30ヶ月目の来院までの治験薬は:
0.01%アトロピン
・有効成分:アトロピン硫酸塩0.01%
・ビヒクル:ヒドロキシプロピルメチルセルロース1%
・保存料:塩化ベンザルコニウム1:10000
プラセボ
・有効成分:なし
・ビヒクル:ヒドロキシプロピルメチルセルロース1%
・保存料:塩化ベンザルコニウム1:10000
として製剤化される。
治験薬はすべて、Xepa-Soul Pattinson(M)Sdn Bhdによって製造される。
3.1 治験製品
試験薬物は無色透明の滅菌液剤である。この液剤を5ml容のプラスチック点眼器ボトル内に供給する。試験薬物は、活性成分:アトロピン硫酸塩0.01%w/vを、保存料:塩化ベンザルコニウム0.01%w/vとともに備えている。プラセボは、活性成分なしで、保存料:塩化ベンザルコニウム0.01%w/vを備えている。アトロピン0.01%の添付文書(product insert)を付属書類3に添付している。
3.2 保存および薬物管理
試験薬物は、活性成分:アトロピン硫酸塩0.01%w/vを、保存料:塩化ベンザルコニウム0.01%w/vとともに備えている。プラセボは、活性成分なしで、保存料:塩化ベンザルコニウム0.01%w/vを備えている。この液剤を5ml容のプラスチック点眼器ボトル内に供給する。試験薬物は30℃未満で保存される。
二重盲検であるため、ベースライン来院から30ヶ月目(近視前症の人の場合)および24ヶ月目(弱度近視の人の場合)まで使用された試験薬物には治験番号のみがラベリングされる。ラベリングは第三者の薬剤師によって行なわれる。ラベリングされた各ボトルはアトロピン0.01%またはプラセボのいずれかを含む。各ボトル上のラベルには、治験の略称、点眼薬ボトルの記号表示、製造業者の名称および原製造国、バッチ番号、治験番号、使用期限、投与頻度、保存条件ならびに文言「治験用に限る」を含める。
ラベリングされたボトルは、ベースライン来院から24ヶ月目の来院(近視前症の人の場合)および18ヶ月目の来院(弱度近視の人の場合)までスケジューリングされた来院のたびに調剤される。
4.処置
4.1 試験薬物製剤
治験薬の組成
治験薬は製剤化される:
0.01%アトロピン
・有効成分:アトロピン硫酸塩0.01%
・ビヒクル:ヒドロキシプロピルメチルセルロース1%
・保存料:塩化ベンザルコニウム1:10000
プラセボ
・有効成分:なし
・ビヒクル:ヒドロキシプロピルメチルセルロース1%
・保存料:塩化ベンザルコニウム1:10000
4.2 試験薬物の投与
近視前症の人の群:1滴を両目に毎晩点眼する。
弱度近視の人の群:「奇数夜」とラベリングされた1滴を奇数暦日に両目に点眼し、「偶数夜」とラベリングされた1滴を偶数暦日に両目に点眼する。
4.3 特定の制限/要件
対象は、試験の持続期間中はコンタクトレンズの装用ならびに他の近視処置を控える。
対象が上気道感染/発熱を有した場合は、試験薬物を中止し、有害事象が解消したときに再開することがあり得る。
なんらかの眼の炎症、感染または損傷がある場合は、有害事象が解消されるまで試験薬物を中止する。
4.4 盲検化
各対象に対する無作為化介在が示された封印済みの救急(emergency)用封筒がPIに渡され、シンガポール眼科研究所の保護されたキャビネットに保管される。この封印コードが開封されるのは、救急医療に介在の内容確認が必要とされる場合のみでなければならないという指示は、この封筒を利用できる指定されたスタッフに明確に説明されなければならない。ある特定の対象に対する封印コードが明らかになった場合、PIは、このコードが明らかになった理由を記録し、記入された(completed)この封筒を直ちにSCRIにスキャンしなければならない。続いて、オリジナルのフォームがSCRIプロジェクトコーディネータに渡されなければならない。
5.安全性の測定
5.1 定義
有害事象(AE)は、医薬品が投与された患者または臨床試験対象の任意の不都合な医学的出来事であり、必ずしも本処置と因果関係を有するものでない。
重篤な有害事象(SAE)または有害反応は、任意の用量で:死に至る;生命を脅かす;入院患者に入院または現状入院の延長が必要となる;持続的または重大な能力障害/無能状態をもたらす;先天性異常/出生時欠損である;患者を危険にさらすことがあり得、上記の転帰のうちの1つを予防するために医学的または外科的介在が必要とされ得る医学的事象である任意の不都合な医学的出来事である。重篤なSAEはすべて報告される。
6.データ解析
データは、訓練を受けた委託されたチームの眼科医、検眼士、看護師およびコーディネータによって収集される。
7.サンプルサイズおよび統計的方法
7.1 サンプルサイズの決定
近視前症群の試験参加者の場合:
発生率の推定:SCORMの2校のデータでは3年間で43%の近視発生率が示された(Saw et al, IOVS 2005)。SCORMにおけるほぼ線形の等価球面度数の変化(Wong et al., IOVS 2010)に基づくと、2.5年間の発生率は43%の2.5/3、すなわち約35%と推定される。これは、ターゲット年齢層(5〜9歳)がSCORM(7〜9歳)より若年であり、弱年齢の方が発生率が高いため、介在なしの発生率の控え目な推定(過小評価)のはずである。
効果量の推定:ATOM1とATOM2におけるプラセボ対照と0.01%アトロピンを比較すると(Chia et al., Ophth 2011)、2年間で0.5Dより大きく低下する近視の進行のリスク比は約0.6である。
サンプルサイズ:リスク比の効果量=0.6、対照の発生率=35%, n=175/群と仮定することが80%の検定力および5%の両側1型エラー率に必要である。追跡不能例が15%と仮定すると(ATOM2の追跡不能例は11%であった)、1群あたり約210例のサンプルサイズが必要である。全サンプルサイズ(2つの群を合わせる)は420例である。
弱度近視群の試験参加者の場合
各児童の両目で得られる相関:ATOM2データでは、同じ児童の両目のSE間の相関により高度のデザイン効果(1.74)が示された(Chia et al.Opht 2011)。したがって、各児童の両目の解析は、各児童の無作為に選択した片方の目の解析よりわずかに情報提供性があるにすぎない。サンプルサイズの計画の目的のため、本発明者らは、各児童の片方の目だけで情報提供性の価値があると控え目に仮定した。
SEの変化の平均およびSDの推定:SCORMデータ(Saw et al.IOVS 2005)により、弱度近視(-3D〜-0.5D)では2年間のSEの平均変化はおよそ-1.6Dであることが示された。SDはおよそ0.67であった。
効果量の推定:ATOM1およびATOM2において、SEの2年間の平均低下はプラセボでは約-1.2Dおよび0.01%アトロピンを毎日では-0.5D(Chia et al.Opht 2011)、すなわち約58%の低減であった。アトロピン0.01%を1日おきおよびアトロピン0.01%を毎日では、SEの平均変化が少なくとも30%低減し得る(すなわち1.6Dの30%=0.48D)。
サンプルサイズ:上記のパラメータに基づくと、90%の検定力および両側5%検定のためには、プラセボ対照と比べたときの、アトロピン0.01%を毎日およびアトロピン0.01%を1日おきの有効性に関する主要目的を実証するのに、1群あたり少なくとも41名の参加者が必要であった。本発明者らは、3つの試験群の各々に対して50名の弱度近視の児童を募集し、全サンプルサイズを150にする。これにより約15%の脱落例が許容される。
7.2 統計解析プラン
統計解析はすべて、治療企図の原則に基づいていた。
予防の治験では、各群の2.5年目におけるプライマリーエンドポイント(SE<-0.5D)およびセカンダリーエンドポイント(SE<-1.5Dまたはメガネ着用)について陽性の近視前症の参加者の割合が95%の信頼区間(CI)で推定される。割合の差およびその95%CIが、一般化線形モデルにより2項分布および恒等リンク関数を用いて推定される。
弱度近視の治験では、両目のデータが一緒に、クラスターデータの推論のために頑健標準誤差を用いて解析される。ベースラインから2年目までのSEの平均変化が、弱度近視の参加者の3つの群間およびプラセボ群と対比した各アトロピン群間で一般化線形モデルを使用し、ガウス分布、恒等リンク関数およびワルド検定を用いて比較される。1日おきと毎日のアトロピン群間のSEの平均変化の差(毎日−1日おき)およびその90%CIが推定される。
参考文献
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本明細書に記載の実施例および態様は例示の目的のためにすぎないこと、ならびにこれらに鑑みて種々の修正例または変更例が当業者に示唆され、本出願の趣旨および範囲ならびに添付の特許請求の範囲の範囲に含まれることが理解されよう。本明細書において挙げた刊行物、配列のアクセッション番号、特許および特許出願はすべて、参照によりその全体があらゆる目的のために本明細書に組み入れられる。

Claims (44)

  1. 対象の目に、0.025%未満のアトロピンを含む組成物を投与する工程を含む、近視の発症を予防するまたは遅らせるための方法。
  2. アトロピンがアトロピン塩の形態で存在している、請求項1記載の方法。
  3. アトロピン塩がアトロピン硫酸塩またはアトロピン酢酸塩である、請求項2記載の方法。
  4. 組成物が約0.01%のアトロピンを含む、請求項1記載の方法。
  5. 組成物が約0.001%〜0.0249%のアトロピンを含む、請求項1記載の方法。
  6. 組成物が約0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.01%、0.011%、0.012%、0.013%、0.014%、0.015%、0.016%、0.017%、0.018%、0.019%、0.02%、0.021%、0.022%、0.023%、0.024%、0.0245%または0.0249%のアトロピンを含む、請求項1記載の方法。
  7. 組成物が1日おきで、または毎日少なくとも1回、または毎日少なくとも2回投与される、請求項1記載の方法。
  8. 各投与が少なくとも1滴、少なくとも2滴または少なくとも3滴を目に点眼することにより行なわれ、それぞれ1滴には約20〜100マイクロリットルの液体が含まれている、請求項1記載の方法。
  9. 投与が、少なくとも6ヶ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、10年間またはそれ以上の期間、継続される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  10. 組成物が、少なくとも1種類の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項1記載の方法。
  11. 少なくとも1種類の薬学的に許容される賦形剤が、塩化ベンザルコニウムおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  12. 塩化ベンザルコニウムが組成物中に約0.01%の濃度で存在している、請求項11記載の方法。
  13. ヒドロキシプロピルメチルセルロースが組成物中に約1%の濃度で存在している、請求項11記載の方法。
  14. 組成物に保存料が含まれていない、請求項1記載の方法。
  15. 対象が少なくとも5歳である、請求項1記載の方法。
  16. 前記目の等価球面度数(SE)が、組成物の投与前に+1.00D〜-0.49Dの範囲内である、請求項1記載の方法。
  17. SEが、調節麻痺の適用後に自動屈折計によって測定される、請求項16記載の方法。
  18. 対象が、組成物の投与前に、調節麻痺下または非調節麻痺下での自動屈折により測定された時に、乱視を有していないかまたは1.50D以下の乱視を有する、請求項1記載の方法。
  19. 組成物の投与期間中、目の瞳孔が散大しないかまたは0 2 mm以下の散大を有する、請求項1記載の方法。
  20. 前記目が、遠近調節の低下を有さないか、または9D以下の遠近調節低下を有する、請求項1記載の方法。
  21. 対象の少なくとも一方の親が近視である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  22. 近視の発症を6ヶ月超、12ヶ月、18ヶ月、2年、3年、5年、6年、8年またはそれ以上遅らせる、請求項1記載の方法。
  23. 対象の目に、0.025%未満のアトロピンを含む組成物を投与する工程を含む、近視の進行を低減させるまたは予防するための方法であって、該組成物が2日毎に1回、3日毎に1回または4日毎に1回を超えない頻度で投与される、方法。
  24. 各投与が少なくとも1滴、少なくとも2滴または少なくとも3滴を目に点眼することにより行なわれ、それぞれ1滴には約20〜100マイクロリットルの液体が含まれている、請求項23記載の方法。
  25. 前記目のSEが、組成物の投与前に-1.50Dより小さい、請求項23記載の方法。
  26. 前記目のSEが、組成物の投与前に-0.50D〜-1.50Dの範囲内である、請求項25記載の方法。
  27. 対象が少なくとも5歳である、請求項23記載の方法。
  28. 対象が5〜9歳である、請求項23記載の方法。
  29. アトロピンがアトロピン硫酸塩の形態で存在している、請求項23記載の方法。
  30. 組成物が約0.001%〜0.0249%のアトロピンを含む、請求項23記載の方法。
  31. 組成物が約0.001%、約0.002%、約0.003%、約0.004%、約0.005%、約0.006%、約0.007%、約0.008%、約0.009%、約0.01%、約0.011%、約0.012%、約0.013%、約0.014%、約0.015%、約0.016%、約0.017%、約0.018%、約0.019%、約0.02%、約0.021%、約0.022%、約0.023%、約0.024%、約0.0245%または約0.0249%のアトロピンを含む、請求項23記載の方法。
  32. 組成物が、少なくとも1種類の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項23記載の方法。
  33. 少なくとも1種類の薬学的に許容される賦形剤が、塩化ベンザルコニウムおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される、請求項32記載の方法。
  34. 塩化ベンザルコニウムが組成物中に存在しており、かつ約0.01%の濃度である、請求項33記載の方法。
  35. ヒドロキシプロピルメチルセルロースが組成物中に約1%の濃度で存在している、請求項33記載の方法。
  36. 組成物の投与開始後の2年の期間中におけるSEの平均変化が、対照と比べて少なくとも20%低減する、請求項23記載の方法。
  37. 組成物の投与期間中、目の瞳孔が散大しないかまたは02 mm以下の散大を有する、請求項23記載の方法。
  38. 前記目が、遠近調節の低下を有さないか、または9D以下の遠近調節低下を有する、請求項23記載の方法。
  39. 近視進行の開始を予防するまたは遅らせる方法における使用のための組成物であって、0.025%未満のアトロピンを含む、組成物。
  40. 約0.01%のアトロピンを含む、請求項39記載の使用のための組成物。
  41. 0.001%〜0.0249%のアトロピンを含む、請求項39記載の使用のための組成物。
  42. -1.50Dより小さいSEを有する対象において近視の進行を低減させるまたは予防する方法における使用のための組成物であって、0.025%未満のアトロピンを含み、2日毎に1回を超えない頻度で投与される、組成物。
  43. 少なくとも1種類の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項39または42記載の使用のための組成物。
  44. 保存料が含まれていない、請求項39記載の使用のための組成物。
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