[0005] 上述した事情に鑑み、光電脈波センサーを備えたウェアラブルデバイスと心電図モニターとの計画的な組合せを用いて心房細動を検出する方法及びシステムを提供することは有益である。
[0006] したがって、本開示は、ウェアラブルデバイスを用いて心臓活動を監視する方法及びシステムを対象とする。本明細書に記載される様々な実施形態及び実装形態は、心臓の鼓動、心拍数、その他の活動を含む個人の心臓活動に関する情報を、プレチスモグラフィセンサーを備えたウェアラブルデバイスと装着型心電図モニターとの組合せから受信する装置及びシステムを対象とする。個人は、装着型ホルター装置などの心電図モニタリング技術を利用して最大1日乃至2日間の短い初期期間(ただし、より長い又はより短い期間とすることも可能である)において心電図データを取得する。この同一の初期期間において、個人は装着型光電脈波(PPG)センサーを利用して心臓活動に関するデータを取得する。心臓活動は、本明細書に記載されたシステム及び方法によって分析される他のタイプの心臓活動であってもよいが、例えば、プレチスモグラフィセンサーによって計測されるような、心収縮による循環血液の拍動パターンの律動及び速度と定義することができる。システムは個人ごとの心臓活動の較正を行い、後続の監視期間において、この較正を装着型光電脈波(PPG)センサーから受信したデータに適用する。
[0007] 概して、一態様においては、個人の心臓活動を監視する方法が提供される。この方法は、(i)較正段階において、前記個人について心電図データを心電図モニターから取得するステップと;(ii)前記較正段階において、前記個人について心臓活動データを、プレチスモグラフィセンサーを備えたウェアラブルデバイスから取得するステップと;(iii)監視段階において、前記個人について心臓活動データを、前記プレチスモグラフィセンサーを備えた前記ウェアラブルデバイスから取得するステップと;(iv)前記較正段階において取得された前記心電図データと前記心臓活動データとから較正データを生成するステップと;(v)前記較正データを用いて、前記監視段階において前記ウェアラブルデバイスによって取得された前記心臓活動データを較正するステップとを有する。
[0008] 一実施形態によれば、前記方法は、さらに、較正された前記心臓活動データを前記個人又は他の受信者へ伝達するステップを有する。
[0009] 一実施形態によれば、前記心電図モニターは、前記個人によって装着される。
[0010] 一実施形態によれば、前記プレチスモグラフィセンサーは、光電脈波センサーである。
[0011] 一実施形態によれば、前記較正データは、パーソナライズされた心臓活動閾値を含む。
[0012] 一実施形態によれば、前記較正する前記ステップは、前記監視段階において前記ウェアラブルデバイスによって取得された前記心臓活動データをパーソナライズされた前記心臓活動閾値と比較するステップを有する。
[0013] 一実施形態によれば、前記較正データを生成する前記ステップは、前記心電図データから少なくとも1つの心イベントを特定するステップと、前記心電図データにおいて特定された少なくとも1つの前記心イベントに対応する較正心臓活動データの少なくとも一部分を除いた前記心臓活動データに基づいてパーソナライズされた前記閾値を生成するステップとを有する。
[0014] 一実施形態によれば、前記較正段階と前記監視段階とは重なり合わない。
[0015] 一実施形態によれば、前記心電図データは第1の較正段階において取得され、前記心臓活動データは第2の較正段階において取得される。
[0016] 一実施形態によれば、前記心電図データ、較正心臓活動及び監視心臓活動は、それぞれ、一連のR−R不規則性指数を含む。
[0017] 一実施形態によれば、前記心電図データを取得する前記ステップは、R−R間隔データを前記心電図モニターから受信するステップと、一連の前記R−R不規則性指数を前記R−R間隔データから算出するステップとを含み、前記心電図データは、前記R−R不規則性指数を有する。
[0018] 一態様によれば、個人の心臓活動を監視するためのシステムが提供される。このシステムは、較正段階において、前記個人について心電図データを収集する心電図モニターと;プレチスモグラフィセンサーを備え、前記較正期間において及び監視期間において、前記プレチスモグラフィセンサーによって、前記個人について心臓活動データを収集する、ウェアラブルデバイスと;(i)前記監視段階において取得された前記心電図データ及び前記心臓活動データから較正データを生成し、(ii)前記較正データを用いて、前記ウェアラブルデバイスによって前記監視段階において取得された前記心臓活動データを較正するプロセッサと、を備える。
[0019] 一態様によれば、個人の心臓活動を分析するための装置が提供される。この装置は、(i)較正期間において、ある個人について心電図モニターによって取得された心電図データを受信するステップと;(iii)プレチスモグラフィセンサーを備えたウェアラブルデバイスによって前記較正期間において取得された前記個人について心臓活動データを受信するステップと;(iv)前記較正段階において取得された前記心電図データ及び前記心臓活動データから較正データを生成するステップと;(v)前記較正データを用いて、前記ウェアラブルデバイスによって監視段階において取得された前記心臓活動データを較正するステップと、を実行するプロセッサを備える。
[0020] 本開示の目的のために本明細書で用いられる場合、用語「プロセッサ」は、一般に、推薦装置、システム又は方法の動作に関連する様々な装置コンポーネントを記述するために用いられる。プロセッサは、本明細書で論じられる様々な機能を実行するために、多くの方法で実装できる(例えば、専用ハードウェアによる等)。「プロセッサ」は、ソフトウェア(例えば、マイクロコード)を用いてプログラムできる1つ又は複数のマイクロプロセッサを用いて本明細書で説明する様々な機能を実行することができる。プロセッサは、いくつかの機能を実行する専用ハードウェアの組合せとして実装されてもよい。本開示の様々な実施形態で使用されるプロセッサコンポーネントの例には、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
[0021] 様々な実装形態において、プロセッサは、1つ又は複数の記憶媒体(本明細書では一般に「メモリ」と呼ばれる、例えばRAM、PROM、EPROM、EEPROMなどの揮発性及び不揮発性コンピュータメモリ、フロッピーディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ等)と対応づけられる。いくつかの実装形態においては、記憶媒体は、1つ又は複数のプロセッサ及び/又はコントローラで実行されると、本明細書で論じられる機能の少なくとも一部を実行する1つ又は複数のプログラムで符号化される。様々な記憶媒体は、プロセッサ又はコントローラ内に固定され、或いはプロセッサ又はコントローラに格納された1つ又は複数のプログラムをプロセッサ又はコントローラにロードして本明細書で論じられる様々な態様を実施できるように運搬可能とされる。用語「プログラム」又は「コンピュータプログラム」は、本明細書では、1つ又は複数のプロセッサ又はコントローラをプログラムするために使用できる任意のタイプのコンピュータコード(例えば、ソフトウェア又はマイクロコード)を指す一般的な意味で用いられる。本明細書で用いられる用語「非一時的な機械読み取り可能媒体」という用語は、揮発性メモリと不揮発性メモリとの両方を包含するが一時的信号については除外されるものと理解される。
[0022] 本明細書で用いられる用語「ユーザーインターフェース」は、人間のユーザー又はオペレータと1つ又は複数のデバイスとの間の通信を可能にする、当該ユーザーと当該デバイスとの間のインターフェースを指す。本開示の様々な実装形態で使用されるユーザーインターフェースの例には、スイッチ、ポテンショメーター、ボタン、ダイヤル、スライダー、トラックボール、ディスプレイスクリーン、様々なタイプのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)、タッチスクリーン、マイクロフォン、及び何らかの形式の人間が生成した刺激を受信してそれに応答して信号を生成する他の種類のセンサーが含まれるが、これらに限定されるものではない。
[0023] 様々な実施形態は、本明細書で説明する方法を行うためにプロセッサによって実行可能なファイアウォールプログラムをその上に具現化した非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに含む。
[0024] 前述の概念と以下でより詳細に議論される追加の概念とのすべての組合せ(かかる概念が相互に矛盾しない場合)は、本明細書に開示される発明主題の一部をなすものと考えられることが、理解されるべきである。特に、本開示の最後に現れる請求に係る主題のすべての組合せは、本明細書に開示される発明主題の一部をなすものと考えられる。
[0025] これらの態様及び他の態様は、以下に説明される実施形態を参照して明らかにされ且つ解明される。
[0026] 図面において、類似の引用符号は基本的に異なる図にわたって同じ部分を示す。また、図面は必ずしも縮尺どおりではなく、これに代えて様々な原理を示すことに基本的に重点が置かれている。
[0034] 本開示は、ウェアラブルデバイスを用いて心臓活動を監視するための方法及びシステムの様々な実施形態を説明する。より概括的には、出願人は、心臓活動の長期的な目立たない監視のための方法及びシステムを提供することは有益であると認識及び理解するに至ったものである。本開示のいくつかの実施形態を利用する特定の目標は、個人の心臓活動を収集及び分析するとともに医療従事者に対してデータを提供するシステムを提供することにある。
[0035] 前述の観点から、様々な実施形態及び実装形態は、光電脈波センサーを備えたウェアラブルデバイスと心電図モニターとの計画的な組合せを用いて心臓活動データを取得する方法及びシステムを対象とする。監視対象である個人は、初期の短い較正期間の間、心電図モニターと光電脈波センサーとの双方を装着する。当該個人はその後、光電脈波センサーのみを装着するが、この光電脈波センサーは、いくつかの実施形態においては、後続のより長い監視期間においては目立たないものである。較正期間において取得された情報を用いて、当該システムは心臓活動の個人ごとの較正を行い、後続の監視期間において、当該較正を装着型光電脈波(PPG)センサーから受信したデータに適用する。心電図データを用いた較正に基づいて、監視期間においてPPGセンサーによって生成されたデータは、基本的により一層正確であり且つ有益である。
[0036] 図1を参照すると、一実施形態において、光電脈波センサーを備えたウェアラブルデバイスと心電図モニターとの組合せを用いて心臓活動を監視する方法100が示されている。心臓活動データは、心拍数、心臓の鼓動、心拍変動(HRV)、最大心拍数、最小心拍数、RR不規則性指数、血圧又はその他の任意の心臓活動の測定値とすることができる。
[0037] 本方法のステップ110において、個人は心電図モニターを装着して較正段階又は期間において心電図データを取得する。一実施形態によれば、心電図モニターはホルターモニターのような装着型心電図モニターである。このモニターは、例えば、マルチリード心電図モニターとすることができる。心電図モニターは、心不整脈を診断するために医療従事者によって一般的に用いられているものである。較正段階において、心電図モニターは、ユーザーの心臓活動に関する臨床情報を収集するように構成及び設計されており、かかる心臓活動には、これらに限られるものではないが、正常な洞律動、並びに、多くのイベントが考えられるがとりわけ心房性期外収縮、心室性期外収縮、心房細動、頻脈若しくは徐脈及び心房粗動を含む不整脈イベントの数及び発生の有無が含まれる。心電図モニターはまた、特定された各心臓鼓動種別と独立に及び/又はこれと連動して、ユーザーのRR間隔に関する臨床情報を収集するように構成又は設計できる。一実施形態によれば、心電図モニターのための較正段階又は期間は、12時間、24時間又は48時間といった1日乃至2日の期間である。しかしながら、より長い又はより短い期間も可能である。
[0038] 本方法のステップ120(このステップ120は本方法のステップ110と同時的に行われる)において、個人は、光電脈波センサー(PPG)などのプレチスモグラフィセンサーを備えたウェアラブルデバイスを装着し、較正段階又は期間において心臓活動データを取得する。一実施形態によれば、ウェアラブルデバイスは、プレチスモグラフィセンサーを備えた又はこれを備えることが可能な任意のウェアラブルデバイスである。例えば、ウェアラブルデバイスは、手首、首周り又はその他のユーザーの身体の任意の箇所に装着したウェアラブルトラッカーとすることができる。典型的には、ウェアラブルデバイスは、センサーデータを取得するために装着者の肌への継続的又は定期的なアクセスを有する。しかしながら、プレチスモグラフィセンサーは、装着者の肌への直接的なアクセスなしにデータを取得することが可能であってもよい。一実施形態によれば、プレチスモグラフィセンサーは心拍数データ、血圧データ、呼吸データ及び/又はその他のタイプのデータを取得する。
[0039] 本方法のステップ130において、個人はプレチスモグラフィセンサーを備えたウェアラブルデバイスを装着し、監視段階又は期間において心臓活動データを取得する。一実施形態によれば、監視段階は、較正段階の前及び/又は後であってもよい。ウェアラブルデバイスは、較正段階においてユーザーによって装着された同一のウェアラブルデバイスであってよいが、ユーザーは監視段階の全部又は一部について異なるウェアラブルデバイスに切り替えてもよい。一実施形態によれば、ウェアラブルデバイスのプレチスモグラフィセンサーは、心拍数データ、血圧データ、呼吸データ及び/又はその他のタイプのデータを取得する。
[0040] 本方法のステップ140において、システムは、本方法の較正段階において取得された心電図データと心臓活動データとを用いて較正データを生成する。一実施形態によれば、この較正データは、RR間隔及び関連する心臓の鼓動を提供する心電図データとプレチスモグラフィセンサーデータとを一元化したものを表す。一実施形態によれば、較正データは心臓活動データについて、監視段階においてウェアラブルデバイスによって取得された心臓活動データに適用できる1つ又は複数のパーソナライズされた閾値を含む。較正データは、ウェアラブルデバイスのプレチスモグラフィセンサーによって取得されたユーザーごと及びデバイスごとに顕著に変動しうるデータを正規化する。
[0041] 一実施形態によれば、心電図データとプレチスモグラフィセンサーデータとの一元化は、自動化されたプロセスとすることができる。例えば、アルゴリズムがデータを一元化して1つ又は複数の閾値を含む較正データを生成することができる。一実施形態によれば、医療従事者が、1つ又は複数の心房細動(AF)期間の特定を含み且つこれに限定されないアルゴリズムに対する心電図データとプレチスモグラフィセンサーデータとの供給を、任意選択的に提供又は促進することができる。当該特定された1つ又は複数の心房細動期間は、その上で不規則性分析からは除外することができ、これにより、心房細動不規則性閾値をパーソナライズする。例えば、心電図データは、監視期間において心房細動症状の発現を特定するために用いられてもよい。そして、特定された心房細動症状の発現のいずれかが発生した同一時間ウィンドウにおいて捕捉されたPPGデータは、PPGデータセットから除去されてもよく、或いは後続の分析から除外されてもよい。そして、残りのPPGデータは、モニタリングの間に適用されるパーソナライズされた閾値を求めるのに用いられてもよい。例えば、パーソナライズされた閾値は、PPGデータにおいて観察される残りの(非心房細動イベント)RR不規則性指数のパーセンタイル値(例えば2.5%)で設定されてもよい。そして、監視段階において、監視されたRR不規則性指数がこのパーソナライズされた閾値未満であれば(又はある期間において閾値未満であれば)、警告が発せられ又は心房細動イベントが特定されてもよい。
[0042] 一実施形態によれば、較正段階における心電図モニターによって取得されたRR間隔及び対応する心臓の鼓動分類を処理してRRシーケンスにおける不規則性のレベルを判定する。不規則性のレベルは、RR不規則性指数(RRIRIND)にしたがって判定することができる。かかる指数の可能な表現は、1次マルコフモデルの出力である。図2を参照すると、一実施形態において、健康な患者の心電図モニタリングから取得されたデータを分析するために利用することができるマルコフモデル系の概略図200が示されている。モデル200は、心電図モニターによって取得されたRR間隔データ210を受け取り、不規則性評価マルコフモデル220を適用して、RR不規則性指数(RRIRIND)230を生成する。
[0043] 図3を参照すると、健康な対象者から得られた心電図データ24時間分から得られたRRIRINDデータ、及び、当該RRIRINDデータを用いて取得された対応する心房細動(AF)の確率が示されている。このグラフの検討は、狭い期間における期外収縮の存在が、不規則性の増大を示唆する不規則性指数の急激な変化をもたらすことを示す。この結果として、心房細動のより高い確率と患者に対する心房細動イベントの不正確な割付けがもたらされる。実際、高密度の期外収縮はRR不規則性指数の負の数値への低下を決定づけ、増大した不規則性を示し、且つ、心房細動確率を上昇させるとともに検出アルゴリズムが心房細動を誤って特定することをもたらす。
[0044] 図4を参照すると、一実施形態において、健康な対象者から得られた心電図データ24時間分から取得されたRRIRINDデータ及び当該RRIRINDデータを用いて取得された対応する心房細動の確率のグラフが示されている。図3とは対照的に、このグラフは、較正ステップ又は段階から得られた心電図データとPPGデータとを一元化することにより取得されたパーソナライズされた閾値を含む。この較正は、心房細動の検出を経時的に記録された期外収縮の特徴的な密度に起因して患者において観察される典型的なRR不規則性に対して調整することを意図したものである。
[0045] 一実施形態によれば、システムは、多くの異なる一元化及び較正方法を利用して較正データ及び/又は1つ又は複数のパーソナライズされた閾値を生成してもよい。一実施形態によれば、RRIR
INDに従う心房細動の検出は、以下の式を用いて評価できよう。
[0046] 求められたP(AF|normRRIRIND)が75%を超えていれば、システムは心房細動を検出している。閾値は>75%に設定されているが、他の多くの閾値も可能である。
[0047] 一実施形態によれば、RRIRINDについての閾値(ThresholdAF)は、心房細動の誤検出分類を低減させるために較正できる。この較正は、心房細動の検出を経時的に記録された期外収縮の特徴的な密度に起因して患者において観察される典型的なRR不規則性に対して調整することを意図したものである。図5を参照すると、一実施形態において、パーソナライズされた閾値を求める方法のグラフが示されている。このグラフは3つの異なる律動タイプ、すなわち、正常な洞律動(NSR)、心房期外収縮(PAC)及び心室性期外収縮(PVC)を含み、それぞれについてRR不規則性指数が測定されている。グラフはまた、母集団全体の心房細動イベント閾値510と、一元化及び較正データを用いて生成されたパーソナライズされた心房細動イベント閾値520とを含む。心房細動イベント閾値は、個別的に求められたRR不規則性に最もよく適合するように修正でき、それにより、システムが長い一連の期外収縮の間で心房細動症状の発現を宣告する傾向が小さくなる。
[0048] 一実施形態によれば、パーソナライズされたAF閾値(ThresholdAF)は、とりわけNSR、PAC及び/又はPVC期間を含むがこれらに限定されない心イベント期間において記録されたRRIRIND分布のパーセンタイル値(例えば2.5%)として心電図データから求めることも可能である。
[0049] 一実施形態によれば、パーソナリゼーションはまた、ThresholdAF補正率において一時及び/又はコンテキスト情報を含みうる。例えば、運動中又は運動後により多くの期外収縮を経験する患者は、活動参加に応じて心房細動検出閾値を調整することができる。別の例としては、夜間により多くの期外収縮を経験する患者は一日の時間に応じて心房細動検出閾値を調整することができる。代替的には、患者の薬歴並びに、脈拍及び律動制御剤投与量、年齢及び/又はBMIなどの特徴も、心房細動検出閾値を修正するために考慮に入れることができる。これら及び他の多くの因子がThresholdAF補正率を調整又は導出するために利用され及び/又は修正される。
[0050] 一実施形態によれば、パーソナライズされた閾値は、心房細動検出を向上するとともに誤検出を低減させるためにPPGデータとともに用いることができる。一連の期外収縮に対応する心房細動症状の発現の誤検出を劇的に低減させつつ、心房細動症状の発現をパーソナライズされた閾値を用いることで正確に検出することができる。これが、心電図機器を必要とすることなく、長期間に及ぶ心房細動に起因するような異常な不規則律動の信頼性あるパーソナライズされた検出を可能にする。図6を参照すると、一実施形態において、個人から得られた心電図データから取得されたRRIRINDデータと当該RRIRINDデータを用いて取得された対応する心房細動の確率とのグラフが示されている。このグラフは、パーソナライズされた閾値(実線)と、心電図データ及びPPGデータを用いた較正によって取得された母集団全体の閾値(点線)とを含む。前述した方法と比較して、誤検出された心房細動イベント数に顕著な減少がみられる。
[0051] 一実施形態によれば、この心電図データはPPGデータと同時的に又は同期的に捕捉されたものではない。本実施形態においては、RR不規則性分析は、心電図データのみに対して適用され、期外収縮を伴う正常な洞律動の周期を特徴づける導出された不規則性閾値は、したがって、心房細動イベントを検出するのに用いられる計算的方法をパーソナライズするためにPPGデータに対して適用されることになる。
[0052] 本方法のステップ150において、システムは、生成された較正データを利用して監視段階においてウェアラブルデバイスによって取得された心臓活動データを分析又は較正する。このステップは、監視段階において心臓活動データがウェアラブルデバイスによって収集される際に発生しうる、及び/又は、心臓活動データが収集された後で発生しうる。例えば、較正データは、較正データが取得される前又は後を含め、任意の期間においてウェアラブルデバイスによって収集された心臓活動データに適用できる。一例として、ウェアラブルデバイス又はユーザーは、心臓活動データを記憶してもよく、較正データは、当該記憶されたデータに適用される。一実施形態によれば、システムは、較正ステップ又は段階において得られた心電図データとPPGデータとを一元化させることにより取得されたパーソナライズされた心房細動イベント閾値を利用することができる。このパーソナライズされた閾値は、監視段階においてウェアラブルデバイスによって取得された心臓活動データに適用できる。
[0053] 本方法の任意選択的ステップ160において、システムは、結果として得られたデータを個人、医療サービス提供者及び/又はその他の想定された受信者に伝達することができる。例えば、データは、看護師、医師及び管理者を含む医療従事者、家族構成員、介護者及びデータを受信することができる並びに/又はその権限を有するその他の任意の個人に伝達されてもよい。当該データは、セキュアなリンク、ウェブサイト又は他のポータルを介してのみ利用可能とされてもよく、アクセスコード、QRコード(登録商標)、パスワード、生体認証パラメータ及び/又はその他のアクセスメカニズムを介してのみ利用可能とされてもよい。当該データは、介護者ポータル、電子診療録データベース、医療従事者ポータル又はその他のアクセスサイトに自動的に提供され又はアップロードされてもよい。別の例によれば、生成されたレポートは、アプリ又は他のアクセスを介して、スマートフォン、可搬型コンピュータ装置、ラップトップパソコン、デスクトップパソコン又はその他のコンピュータ若しくはディスプレイに自動的に渡されてもよい。
[0054] 図7を参照すると、一実施形態において、心臓活動監視システム700が示されている。心臓活動監視システム700は、本明細書に記載された方法を実施するように構成されており、本明細書に記載された又は記載されていないが包含されているいずれかのシステムとされるか、当該システムを備えることができる。心臓活動監視システム700は、個人710についての心臓活動データを取得するように構成され、個人710は、既知の医療状態をもつ個人又は既知の健康問題をもたない個人を含め、任意の個人又は対象者とすることができる。
[0055] 心臓活動監視システム700は、心電図モニター720を備える。心電図モニターは、多くのもののうちとりわけホルターモニターなどを含むがこれに限定されない、個人710についての心電図データを取得するように構成された又は取得することができる任意の装置とすることができる。一実施形態によれば、心電図モニター720は、心電図データの収集及び/又は通信を支援するように構成された又はプログラムされたプロセッサ722aを備えることができる。プロセッサ722aは、本明細書において論じられている様々な機能を行うためにソフトウェアを用いてプログラムされてもよく、メモリ724a及び/又はデータベース726aと組み合わせて利用できる。メモリ及び/又はデータベースは、プロセッサによる実行のための1つ又は複数の指令又はソフトウェアプログラムを含むデータや、様々なタイプのデータを記憶することができる。例えば、メモリには、プロセッサによって実行可能で本明細書に記載された方法のステップの1つ又は複数をシステムに実行させるための命令のセットを含む非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体が含まれてもよい。メモリ及び/又はデータベースはまた、個人710から収集された心電図データを記憶することができる。
[0056] 一実施形態によれば、心電図モニター720は、心電図データなどの情報をネットワーク又は他のデバイスと受信及び/又は送信するように構成された心電図通信モジュール727aを備えることができる。心電図通信モジュール727aは、心電図モニターと他のデバイス及び/又はネットワーク730などのネットワークとの有線及び/又は無線通信を促進することができる。心電図通信モジュール727aは、例えば1つ又は複数のアンテナを使用することにより補強されてもよい。心電図通信モジュールは、例えば、とりわけWi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、3G、4G、LTE、及び/又はZigBee(登録商標)を含むがこれらに限定されない公知のワイヤレス方法を用いることによって、1つ又は複数のネットワークとの通信又は他のデバイスとの通信を促進することができる。
[0057] 一実施形態によれば、心電図モニター720は、個人710、及び/又は医療サービス提供者又はその他の意図された又は権限を有する主体から入力を受信するためのユーザーインターフェース728aを備えることができる。このユーザーインターフェースは、ボタン若しくは複数のボタン、マイクロフォン、キーストローク入力、スライダー、タッチスクリーン又はその他の様々な入力のいずれかであってもよい。
[0058] 一実施形態によれば、心電図モニター720は、心電図データ、警告又はその他の情報などの情報を個人710に対し及び/又は医療サービス提供者又はその他の意図された又は権限を有する主体に対して提供するために利用されるディスプレイ729aを備えることができる。ディスプレイは、例えば、LED系ディスプレイ、LCD系ディスプレイ又は電子ペーパー型ディスプレイであってもよい。他の実施形態においては、ディスプレイは、ユーザーが物理的接触及び/又はジェスチャによってデバイスと直接やり取りを行うことができるタッチスクリーンディスプレイであってもよい。
[0059] 心臓活動監視システム700はまた、ウェアラブルデバイス740を備える。ウェアラブルデバイスは、アクティビティモニターなどのセンサーをもつ標準的なウェアラブルデバイスであってもよく、或いは、スマートフォン又はセンサーデータを装着者又はユーザーから直接取得することを意図したその他のセンサーであってもよい。ウェアラブルデバイス740は、ユーザー710の心臓活動を測定、判定又は導出するように構成されたセンサー741を備える。例えば、センサー741は、光電脈波センサーなどのプレチスモグラフィセンサーであってもよい。
[0060] 一実施形態によれば、ウェアラブルデバイス740は、心電図データの収集及び/又は通信を支援するように構成され又はプログラムされたプロセッサ722bを備えることができる。プロセッサ722bは、本明細書において論じられている様々な機能を行うためにソフトウェアを用いてプログラムされてもよく、メモリ724b及び/又はデータベース726bと組み合わせて利用できる。メモリ及び/又はデータベースは、プロセッサによる実行のための1つ又は複数の指令又はソフトウェアプログラムを含むデータや、様々なタイプのデータを記憶することができる。例えば、メモリには、プロセッサによって実行可能で本明細書に記載された方法のステップの1つ又は複数をシステムに実行させるための命令のセットを含む非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体が含まれてもよい。メモリ及び/又はデータベースはまた、個人710から収集された心電図データを格納することができる。
[0061] 一実施形態によれば、ウェアラブルデバイス740は、センサーデータなどの情報をネットワーク又は他のデバイスと受信及び/又は送信するように構成されたウェアラブルデバイス通信モジュール727bを備えることができる。ウェアラブルデバイス通信モジュール727bは、ウェアラブルデバイス及びその他のデバイス及び/又はネットワーク730などのネットワークとの有線及び/又は無線通信を支援することができる。ウェアラブルデバイス通信モジュール727bは、例えば1つ又は複数のアンテナを使用することにより補強されてもよい。ウェアラブルデバイス通信モジュールは、例えば、とりわけWi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、3G、4G、LTE、及び/又はZigBee(登録商標)を含むがこれらに限定されない公知のワイヤレス方法を用いることによって、1つ又は複数のネットワークとの通信又は他のデバイスとの通信を支援することができる。
[0062] 一実施形態によれば、ウェアラブルデバイス740は、個人710、及び/又は医療サービス提供者又はその他の意図された又は権限を有する主体から入力を受信するためのユーザーインターフェース728bを備えることができる。このユーザーインターフェースは、ボタン若しくは複数のボタン、マイクロフォン、キーストローク入力、スライダー、タッチスクリーン又はその他の様々な入力のいずれかであってもよい。一実施形態によれば、ウェアラブルデバイス740は、センサーデータ、警告又はその他の情報などの情報を個人710に対し及び/又は医療サービス提供者又はその他の意図された又は権限を有する主体に対して提供するために利用されるディスプレイ729bを備えることができる。ディスプレイは、例えば、LED系ディスプレイ、LCD系ディスプレイ又は電子ペーパー型ディスプレイであってもよい。他の実施形態においては、ディスプレイは、ユーザーが物理的接触及び/又はジェスチャによってデバイスと直接やり取りを行うことができるタッチスクリーンディスプレイであってもよい。
[0063] 一実施形態によれば、心臓活動監視システム700は、心臓活動プロセッサ750を備える、及び本明細書に記載された方法の1つ又は複数のステップを実行するように構成されてもよい、装置752を備えることができる。例えば、装置752及び/又は心臓活動プロセッサ750は、プロセッサによって実行可能で本明細書に記載された方法のステップの1つ又は複数をシステムに実行させるための命令のセットを含む非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を備えてもよい。心臓活動プロセッサ750は、心電図モニター720及びウェアラブルデバイス740の一方又は双方とともに又はこれらから離隔して配置されていてもよい。例えば、本システムは、システム200内部で心臓活動プロセッサ750との通信、及び/又は、心臓活動プロセッサ750と、ウェアラブルデバイスデータベース若しくはサーバ、電子診療録データベース、医療従事者、又はその他の第三者などのサードパーティエンティティとの間の通信を容易にする有線及び/又は無線ネットワーク730を備えてもよい。したがって、心臓活動プロセッサ750は、情報をネットワーク又は他のデバイスと受信及び/又は送信するように構成された通信モジュール727cを備えてもよい。通信モジュール727cは、ウェアラブルデバイス及びその他のデバイス及び/又はネットワーク730などのネットワークとの有線及び/又は無線通信を支援することができる。例えば、心臓活動プロセッサ750は、医療従事者のオフィス又は病院若しくはその他の医療施設に設置されたコンピュータ、サーバ、又はその他のプロセッサであってもよい。心臓活動プロセッサ750は、心電図データを心電図モニター720から、また、センサーデータをウェアラブルデバイス740から直接又はネットワーク730を介して受信してもよい。例えば、心臓活動プロセッサ750は、リモートサーバからウェアラブルデバイス740からセンサーデータを受信してもよい。一実施形態によれば、心臓活動プロセッサ750は、心電図モニタープロセッサ722a及び/又はウェアラブルデバイスプロセッサ722bのいずれか一方又は双方であってもよい。
[0064] 一実施形態によれば、心臓活動プロセッサ750は、1つ又は複数のパーソナライズされた閾値を生成すること、及び、較正データを用いて、本方法の監視段階において取得されたウェアラブルデバイス740から得たセンサーデータを分析すること、を有する本方法の較正ステップを行ってもよい。一実施形態によれば、プロセッサは、生成された情報をローカル又はリモートのストレージに記憶し又は当該記憶を制御するように構成できる。さらに別の実施形態においては、心臓活動プロセッサ750は、生成された情報をユーザー710に対し及び/又は医療サービス提供者又はその他の意図された又は権限を有する主体に対して伝達するように構成されてもよい。
[0065] 本明細書で定義及び使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれた文書における定義及び/又は定義された用語の通常の意味に対して優先するものと理解されるべきである。
[0066] 本明細書及び特許請求の範囲において使用される単数形は、反対の趣旨であることが明確に示されない限りにおいて「少なくとも1つ」を意味するものと理解されるべきである。
[0067] 本明細書及び特許請求の範囲において使用される語句「及び/又は」は、これにより結合された各要素、すなわち、ある場合においては連言的に存在しまた他の場合においては選言的に存在する要素の「いずれか又は両方」を意味するものと理解されるべきである。「及び/又は」で列挙された複数の要素は、同じように解釈する、すなわち、これにより結合された各要素の「1つ又は複数」を意味するものとして解釈すべきである。「及び/又は」節によって具体的に特定される要素以外にも、具体的に特定された要素に関連するかどうかに関わらず、他の要素が任意選択的に存在していてもよい。
[0068] 本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「又は」は、上記で定義された「及び/又は」と同じ意味を有するものと理解されるべきである。例えば、リスト内でアイテムを区分する場合、「又は」又は「及び/又は」は両立的、すなわち複数の要素又は要素のリスト、さらには任意選択的には、追加のリストに挙げられていない項目、のうちの少なくとも1つを含むだけでなく、複数をも含むものと解釈するものとする。「のうちの1つのみ」又は「のうち正確に1つ」など、或いは、特許請求の範囲で使用される場合、「からなる」などの、反対の趣旨であることが明確に示されている用語のみが、複数の要素又は要素のリストのうちの正確に1つのみを包含することを指す。一般的に、本明細書において使用される用語「又は」は、「いずれか」、「の1つ」、「のうちの1つのみ」、「のうち正確に1つ」などの排他性の用語によって先行されている場合には排他的な代替的選択肢(すなわち、「一方又は他方であるが両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈するものとする。
[0069] 本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、1つ又は複数の要素のリストに言及する際の語句「少なくとも1つ」は、当該要素のリストに含まれる要素のうちの任意の1つ又は複数から選択された少なくとも1つの要素であって、ただし、必ずしも当該要素のリスト内で具体的に列挙されている個々の要素の少なくとも1つを含む趣旨ではなく、且つ、当該要素のリストに含まれる要素の任意の組合せを排除しない、かかる少なくとも1つの要素を意味するものとして理解されるべきである。この定義はまた、語句「少なくとも1つ」が参照するところの要素のリスト内に具体的に特定されている要素以外にも、具体的に特定された要素に関連するかどうかに関わらず、要素が任意選択的に存在することを許容する。
[0070] また、反対の趣旨であることが明確に示されない限りにおいて、ここにおいて請求される1以上のステップ又は動作を有するいずれの方法においても、本方法のステップ又は動作の順序は、本方法のステップ又は動作が記載された順序に必ずしも限定されるものではないことも理解されるべきである。
[0071] 上述の明細書におけると同様、特許請求の範囲において、「含む」、「備える」、「担う」、「有する」、「含有する」、「伴う」、「保持する」、「で構成される」等のすべての移行句は、オープンエンドなものとして、すなわち、「〜を含むがこれに限定されない」を意味するものとして理解すべきである。移行句「からなる」及び「本質的に〜からなる」のみが、それぞれ、クローズド又はセミクローズドな移行句とされる。
[0072] 本明細書においていくつかの発明実施形態について記載し及び説明したが、当業者であれば、本明細書に記載された機能を行うための、及び/又は、本明細書に記載された結果及び/又は1つ又は複数の利点を得るための他の様々な手段及び/又は構造を容易に想定する、そして、かかる変形及び/又は変更の各々が、本明細書に記載された発明実施形態の範囲に属するものとみなされる。より一般的には、当業者であれば、本明細書に記載されたすべてのパラメータ、寸法、材料及び構成が例示的なものであることを意味すること、及び、実際のパラメータ、寸法、材料及び/又は構成が本発明に係る教示が利用される具体的な用途に依存することを容易に理解する。当業者であれば、本明細書に記載された具体的な発明実施形態の多くの等価的な形態を認識し、或いは、ルーチン的な実験以上のものを用いることなくそれらを識別することができる。したがって、前述した実施形態はもっぱら一例として提示されたものであること、及び、添付の特許請求の範囲又はこれと均等な範囲において、発明実施形態は具体的に記載され且つ請求されたもの以外にも実施されることが理解されるべきである。本開示の発明実施形態は、本明細書に記載された各個別の特徴、システム、物品、材料、キット及び/又は方法を対象とする。加えて、かかる特徴、システム、物品、材料、キット及び/又は方法の2つ以上の任意の組合せは、かかる特徴、システム、物品、材料、キット及び/又は方法が互いに非両立的でない場合には、本開示の発明の範囲に包含される。