JP2020506191A - ポリチオールの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、スルフィド化反応媒体を調製することと、前記少なくとも1種のポリエンのラジカルスルフィド化反応と、前記少なくとも1種のポリエンの酸触媒スルフィド化反応とを同時に実施することと、少なくとも2種のポリチオールを含む混合物を回収することとを含む、ポリチオールの調製方法に関する。本発明はまた、前記方法により得られたポリチオールの混合物、及び前記ポリチオールの混合物の使用にも関する。【選択図】なし。

Description

本発明はポリチオールの製造に関し、具体的には第一、第二及び第三チオールの含有量が制御されたポリチオールの製造方法に関する。
第一級、第二級又は第三級ポリチオールを調製することが所望されるかどうかに依存して、ポリチオールを得るための種々の方法が存在する。
ポリチオールの製造方法の中で、ポリチオールのラジカル製造が知られている。この方法は主として第一級ポリチオールの生成に通じるものであり、より一般的には、最も置換されていない、及び/又は最も安定なラジカルの生成に通じるsp2炭素原子への−SH基の付加に通じるものである。例えば、少なくとも2つの二重結合を有する炭化水素化合物、ホスファイト化合物及び硫化水素から、第一級チオールを含むポリチオール組成物を調製するための方法が、米国特許出願第2012/0035291号に開示されている。
また、酸触媒によるポリチオールの調製も知られており、前記触媒は主として第二及び/又は第三チオール基を含むポリチオールの形成、より一般的には最も置換された、及び/又は最も安定なカルボカチオンの形成をもたらす、sp2炭素原子上への−SH基の付加を可能にする。したがって、特許FR2844794及びFR2531426は、オレフィン及び硫化水素からのチオールの酸触媒製造方法を記載している。
しかし、これらの技術の全てが、チオール含有量が高く、チオール基の制御された位置選択性を有するポリチオールを得ることを可能にするわけではない。
従って、第一、第二及び第三チオールの含有量が制御されたポリチオールを得る方法が依然として必要とされている。
出願人は、以下の記載に記載される方法を手段することによって、この目的を達成することができることを発見した。
第1の態様によれば、本発明は、少なくとも以下のステップを含むポリチオールの製造方法に関する:
a/以下のものを接触させることを含むスルフヒドリル化反応媒体を調製するステップ:
−少なくとも1種のポリエン;
−少なくとも1種のラジカル開始剤;
−少なくとも1種の酸触媒;
−少なくとも1種のスルフヒドリル基供与体化合物;
−任意に、少なくとも1種の溶媒;
b/前記少なくとも1種のポリエンのラジカルスルフヒドリル化反応と、前記少なくとも1種のポリエンの酸触媒スルフヒドリル化反応とを同時に実施するステップ;
c/少なくとも2種のポリチオールを含む混合物を回収するステップ。
本発明による方法は少なくとも2種のポリチオールを含む混合物を得ることを可能にし、得られる少なくとも2種のポリチオールは一般に、同じ分子量のポリチオールであるが、そのチオール官能基は異なる炭素原子によって担持される。したがって、本発明の目的のために、本方法は、ポリチオールの位置異性体の混合物を得ることを可能にする。有利に、そして具体的には、本発明の方法は、二重結合をもはや含まないポリチオールの生成を導き、すなわち、好ましくはポリエン出発物質の全ての二重結合が本発明の方法でスルフィド化される。
「ポリチオール」は、少なくとも2種のチオール基(−SH)を有する化合物を意味すると理解される。
「制御された」の用語は、ラジカルスルフヒドリル化反応単独又は酸触媒スルフヒドリル化反応単独を実施することによって得られたものとは異なるチオール官能基の位置選択性を有するポリチオールの製造を意味すると理解される。
実際、ラジカルスルフヒドリル化反応が単独で実施される場合、最も置換されていないポリチオールが主に得られ、すなわち、チオール官能基の大部分は最も置換されていない、及び/又は最も安定なラジカルの生成に由来する炭素原子に結合している。
酸触媒スルフヒドリル化反応に関して、後者が単独で実施される場合、最も置換されたポリチオールが主に得られる、すなわち、チオール官能基の大部分は、最も置換された、及び/又は最も安定なカルボカチオンの生成に由来する炭素原子に結合している。
本発明による方法は2種の上述の反応の同時実行を可能にすることによって、この位置選択性を制御する、すなわち、改変する、又は逆転させることさえも可能にする。実際、ラジカルスルフヒドリル化反応単独の後、又は酸触媒スルフヒドリル化反応単独の後に少数で得られるポリチオールは、本発明による方法によって主に得られるポリチオールになる。
「ポリエン」は、二重結合形態の少なくとも2つの不飽和(「オレフィン性」不飽和)結合を含む炭化水素鎖を有する化合物を意味すると理解される。この炭化水素鎖は、直鎖でも環状でもよく、飽和でも不飽和でもよく、任意に1つ又は複数のヘテロ原子を含んでもよく、1つ又は複数の芳香族基によって中断又は置換されていてもよい。ポリエンは、通常、40g.mol-1〜1500g.mol-1、好ましくは40g.mol-1〜1000g.mol-1、より好ましくは40g.mol-1〜500g.mol-1範囲のモル質量を含む。
本発明の一実施形態によれば、ポリエンには2〜20個の二重結合、好ましくは2〜16個の二重結合、より好ましくは2〜10個の二重結合、具体的には2〜8個の二重結合、典型的には2〜4個の二重結合(範囲の両端値は含まれる)を含む炭化水素化合物の範囲が含まれる。
本発明の好ましい一実施形態によれば、ポリエンは、2つの二重結合、好ましくは3つの二重結合、より好ましくは4つの二重結合を含む炭化水素化合物である。
好ましくは、ポリエンの二重結合は環に含まれない。より好ましくは、ポリエンの少なくとも2つの二重結合が非局在化された芳香環を形成しない。
本発明の一実施形態によれば、ポリエンは元素周期表の15族、16族及び17族から選択される1つ以上のヘテロ原子、より詳細には硫黄、窒素、酸素及びリンから選択されるヘテロ原子を含む。
好ましい実施形態によれば、ポリエンは、例えばイソプレン、リモネン、ミルセン、フェランドレン、テルピネン、オシメン、テルピノレン、ゲラニオール、シトラール、レチノール、β−カロテン、ファルネセン、セリネン、カルジネン、ファルネソール、フムレン、リナロール及びネロリドールなどの少なくとも2つの二重結合を含むテルペン及びその誘導体から選択される。
別の好ましい実施形態によれば、ポリエンは1つ以上のヘテロ原子を含む化合物(例えば、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体)である。
本発明によるラジカル開始剤は、当業者に知られている任意のラジカル開始剤であってよい。ラジカル開始剤は、熱開始剤、例えば加熱、光化学開始剤、例えば放射線、より具体的には紫外線、及びラジカル発生有機又は鉱物化合物など、ならびにそれらの2種以上の組み合わせから選択されてもよい。前記ラジカル開始剤が有機又は無機化合物である場合、それは例えば、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、tert−アルキルヒドロペルオキシド、tert−アルキルペルオキシド、tert−アルキルペルエステル、クメンヒドロペルオキシドなどの過酸化物であってもよく、さもなければ、ラジカル開始剤はアゾビスイソブチロニトリル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンであってもよい。特許FR2501679に記載されているようなアルキルホスファイト又はキサンテン誘導体を使用することも可能である。
本発明の好ましい実施形態によれば、開始ラジカルは、加熱及び/又は光、例えば紫外線の放射によって得られる。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、ラジカル開始剤は例えば、Irgacure(登録商標)651の名称で販売されている2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンを含み、場合により、例えば、米国特許第4,443,310 A号及び米国特許第4,233,128 A号に記載されている他のラジカル開始剤との混合物として含む。
必要又は所望の場合、反応媒体は、25℃〜150℃、好ましくは25℃〜100℃、特に25℃〜70℃の温度に加熱することができる。
開始が反応媒体の照射を含む場合、例えば、波長範囲約180nm〜600nmで、好ましくは、例えば、180nm〜400nmの波長を有する紫外線照射によって、直接又は間接光分解、好ましくは直接光分解によって実施することができる。
酸触媒は、均一又は不均一な酸触媒反応を実施するために当業者に知られているすべての酸触媒から選択され、例えば、ルイス酸、スルホン酸樹脂(例えば、特許FR 2531426に記載されているスチレン−ジビニルベンゼンコポリマー)などの酸樹脂及びそれらの少なくとも1種の金属塩を含む触媒組成物から選択することができ、ここで、前記金属は単独で、又はそれらの2種以上の組み合わせとして、元素周期表の第8族、9族及び10族群に属する金属から選択される(例えば、特許FR 2844794に記載されている)。
一実施形態によれば、酸触媒は、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー型のスルホン酸樹脂、例えばAmberlyst15樹脂である。
スルフヒドリル基供与体化合物は反応条件下でスルフヒドリル(−SH)基を生成することができる、すなわち、ポリエンのsp2炭素に−SH基及び水素原子を付加することができる、当業者に知られている任意の種類のものであってよい。前記スルフヒドリル基供与体化合物は硫化水素、例えばチオ酢酸のようなチオカルボン酸、及びこれらの化合物の前駆体から、1種又は2種以上の組み合わせとして選択されてもよい。スルフヒドリル基供与体化合物の前駆体の中には、例えば、ジメチルジスルフィド(DMDS)、ジエチルジスルフィド(DEDS)、ジプロピルジスルフィド(DPDS)、ジブチルジスルフィド(DBDS)などのジアルキルジスルフィド及びポリスルフィド、ならびにDSO(又は「ジスルフィド油」)に見出され得るようなすべての割合におけるそれらの混合物が挙げられ得る。
好ましい実施形態によれば、本発明による方法は、溶媒の非存在下で実施される。別の好ましい実施形態によれば、本発明による方法は、溶媒の存在下で実施される。使用される溶媒の量は、使用される試薬、反応温度及び他の反応パラメーターに依存して広範囲に変更し得て、当業者によって容易に見積もられ及び調節される。
溶媒が使用される場合、この溶媒は当業者に周知の任意のタイプのものであり得、具体的には、水及び有機化合物、ならびにそれらの混合物からすべての割合で選択される溶媒であり得る。溶媒として使用することができる有機化合物は、典型的には酸素、硫黄、窒素及びハロゲンから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含む脂肪族炭化水素化合物、及び芳香族炭化水素化合物から選択される。
従って、溶媒は、炭化水素、ケトン、アルコール、エーテル、エステル、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、スルホラン、ニトリル(例えば、アセトニトリル)から選択され得、1種又は2種以上の組み合わせとして用いられる。
本発明の一実施形態によれば、溶媒は炭化水素鎖が直鎖又は環状、分岐又は非分岐であり、3〜20個の炭素原子、好ましくは4〜15個の炭素原子、具体的には5〜10個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素化合物である。
本発明の別の実施形態によれば、溶媒は、6〜30個の炭素原子、好ましくは6〜20個の炭素原子、具体的には6〜10個の炭素原子を含む芳香族炭化水素化合物である。芳香族炭化水素化合物は例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン(オルト−キシレン、パラ−キシレン、メタ−キシレン)、及びエチルベンゼンから選択することができ、1種又は2種以上の組み合わせとして採用される。
本発明の一実施形態によれば、溶媒は、2〜20個の炭素原子、好ましくは2〜10個の炭素原子、具体的には2〜6個の炭素原子を含むケトンである。したがって、ケトンはアセトン、エチルメチルケトン、及びメチルイソブチルケトンから、1種又は2種以上の組み合わせとして選択され得る。
本発明の一実施形態によれば、溶媒は、2〜20個の炭素原子、好ましくは2〜10個の炭素原子を含むアルコールである。アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ベンジルアルコール、フェノール、シクロヘキサノールから選択され、1種又は2種以上の組み合わせとして使用される。
本発明の一実施形態によれば、溶媒は、2〜20個の炭素原子、好ましくは2〜10個の炭素原子を含むエーテルである。エーテルは任意に環状であってもよく、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、グリコールモノエーテル、グリコールジエーテル、フラン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサンから選択される。
反応媒体の種々の要素は当業者に公知の任意の技法によって、例えば、出発試薬及び反応体の単純な混合を、場合によっては溶媒の存在下で接触させることができ、反応媒体は均一又は不均一であることが可能である。変形例として、前記少なくとも1種のポリエンを前記少なくとも1種の溶媒に最初に溶解し、次いで前記少なくとも1種のスルフヒドリル基供与体化合物を添加し、前記少なくとも1種のラジカル開始剤及び前記少なくとも1種の酸触媒を使用することが可能である。
反応は一般に大気圧で行われるが、負圧下、真空下、又は圧力下で行うこともでき、前記圧力は大気圧〜10MPa(100バール)、好ましくは大気圧〜5MPa(50バール)、具体的には大気圧〜2MPa(20bar)の範囲であることが可能である。 本発明による方法は任意の温度、好ましくは25℃〜150℃、より好ましくは25℃〜100℃、具体的には25℃〜70℃の温度で実施することができ、この温度は、使用される試薬、溶媒及び触媒の種類、ならびに反応媒体に加えられる圧力に応じて容易に適合させることができる。
反応は数分から数時間の間で行うことができ、その持続時間は、上記の操作条件に依存する。
本発明の方法は、反応を実施するステップb/が少なくとも1種のポリエンの酸触媒スルフヒドリル化反応と、前記少なくとも1種のポリエンのラジカルスルフヒドリル化反応との両方を含み、前記酸触媒スルフヒドリル化反応及びラジカルスルフヒドリル化反応が同時に実施されることを特徴とする。
「同時」の用語は、酸触媒スルフヒドリル化反応及びラジカルスルフヒドリル化反応が反応中間体の単離なしに、好ましくは完全な転化まで、前記少なくとも1種のポリエンのポリチオールへの転化まで、同時に及び/又は交互に及び/又は連続的に実施されることを意味すると理解される。
上記のように、ポリエンは二重結合型の少なくともの不飽和結合を含み、その結果、これらの2つの反応は、同じポリエン化合物上で同時に起こり得る。実際、ポリエンが互いに異なる置換基を有する2つの二重結合を含む例では、それらの一方はラジカルスルフヒドリル化反応を受け、他方は酸触媒スルフヒドリル化反応を受ける。
前記少なくとも1種のポリエンが同一の置換基を有する2つの二重結合を含む場合(例えば、対称ポリエンの場合)、上記操作条件を調節することによって、ラジカルスルフヒドリル化反応及び酸触媒スルフヒドリル化反応の両方を、1つは少なくとも1つのオレフィン性不飽和結合に、もう1つは少なくとも1つの他のオレフィン性不飽和結合に行うことも可能である。
本発明による方法は、連続的に又はバッチ式で実施することができる。反応が連続的に起こる場合、ステップb/は、反応ループ中で反応媒体を有利に、しかしも最も頻繁に再循環させるステップを含む。
本発明の方法によるラジカルスルフヒドリル化反応と酸触媒スルフヒドリル化反応との同時の実施は驚くべきことに、前記少なくとも1種のポリエン出発物質の完全な転化をもたらし、この転化はこれらの反応を別々に実施する場合、一般に完全ではないことが、出願人によって発見された。完全な転化率は、前記少なくとも1種のポリエン出発物質中に存在する二重結合の数の90%を超える、より一般的には95%を超える、典型的には99%を超える、より具体的には100%に等しい転化率を意味すると理解される。
本発明の方法はまた、チオール官能基の含有量が高く、二重結合の含有量が限られているか、又はゼロでさえあるポリチオールを調製することを可能にする。例えば、ポリエン出発物質が3つの二重結合を有する場合、及び前記ポリエンの完全な変換の場合、前記ポリエンはポリチオールの混合物に変換され、各ポリチオールは3つのスルフヒドリル(−SH)官能基を有する。
ラジカル経路と酸触媒経路とを組み合わせる事実は第一チオール及び第二及び/又は第三チオールを含むポリチオールを得ることを可能にするだけでなく、得られるポリチオールは2種の反応を別々に行った場合に得られたであろうものとは異なる。このチオール含有量の制御は、生成されたポリチオール化合物のその使用中の反応性を具体的に調節することを可能にする。
さらに、本発明による方法は反応速度を増加させることを可能にし、したがって、分子内反応などの二次反応の生起を最小限にし、硫化物などの不純物の含有量を制限することにつながる。
さらに、スルフヒドリル化反応の位置選択性は、本発明の方法における操作条件によって制御することができることが観察された。さらに、操作条件の調節はまた、生成されるポリチオール異性体の比率を制御することを可能にする。
得られたポリチオールの混合物は当業者に公知の任意の方法によって、例えば、大気圧又は減圧下での溶媒の蒸発又は蒸留によって、反応媒体から単離される。ポリチオールの混合物は当業者に周知の従来の方法によって精製することができ、例えば、イオン交換樹脂精製、活性炭上、珪藻土又はゼオライトなどでの濾過から選択することができる。
本発明による方法により得られたポリチオールの混合物はそのまま使用することができ、又は前記混合物のポリチオールは、例えば蒸留、結晶化、分取クロマトグラフィーなどの当業者に周知の任意の分離方法により単離することができる。
本発明はまた、上記の方法により得られることができる少なくとも2種のポリチオールの混合物に関する。
したがって、本発明の方法に従って得られることができるポリチオールの混合物は多くの分野で、例えば、非限定的に、以下のように、極めて有利である多くの用途を見出すことができる:
・架橋剤又は加硫剤
・チオウレタン、ポリスルフィドなどの硫黄化合物を調製するための試薬;
・連鎖移動剤;
・金属錯化剤;
・浮遊選鉱剤
・酸化防止剤;
・熱安定剤;
・等。
本出願はまた、本発明による方法によって得られたポリチオールの、例えば、接着剤、膠、シーラント、及びエポキシ樹脂、アクリレート、イソシアネートなどのタイプのコーティングの調製における架橋剤としての使用に関する。
本発明による方法によって得られるポリチオールは、チオール−エン反応における試薬としても使用することができる。実際、種々の反応性を有するスルフヒドリル基の存在は、ジエン基へのチオール官能基の付加反応の動力学を調節することを可能にする。
本発明による方法によって得られるポリチオールは、チオウレタンの製造にも使用することができる。実際、ポリチオールを制御された含有量のチオール官能基と反応させることによって、ラジカル経路又は酸触媒経路のいずれかによって合成された従来のポリチオールから得られたものとは異なる化学構造及び性能を有するチオウレタン化合物が得られる。
本発明による方法によって得られるポリチオールは、ポリスルフィドの合成のための前駆体としても使用することができる。実際、硫黄で酸化することにより、潤滑剤又はゴムの添加剤として使用できるポリスルフィド化合物を得ることができる。本発明の方法によって得られたポリチオールでは硫黄結合における立体障害の違いのために、形成されたポリスルフィドは可変の反応性を提供する。
本発明による方法によって得られるポリチオールはモノマー、例えば、ビニルモノマー、共役ジエンモノマー、アクリルモノマー、メタクリルモノマー、及びそれらの2種以上の混合物からのポリマーの合成の間に、連鎖移動剤として作用することができる。スルフヒドリル基の型及び含有量に依存する反応性の差異は、重合反応の改善された制御を可能にする。
別の用途として、本発明の方法によって得られるポリチオールは、天然ゴム、人工ゴム又は合成ゴムのための架橋剤、金属錯化剤、浮遊選鉱剤、酸素センサー、腐食防止剤などとして使用することもできる。
本発明は以下の実施例によって例示されるが、本発明はそれに限定されるものではなく、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
本発明の方法の一実施形態は、光開始剤及び放射線源が光化学反応器に使用され、前記光化学反応器は管状反応器が設置される再循環ループを含む、この実施例によって例示される。管状反応器の上流及び下流に配置されたフィルターは、不均一触媒が同伴されるのを防止する。
反応器はまた、所望の温度に加熱するための加熱システムを有する。再循環ループ上の管状反応器の後に配置された冷却システムは、光化学反応器中の液体供給物を冷却又は加熱することを可能にする。この再循環ループ上に配置されたポンプは、液体流量を変化させることを可能にする。
1000gのテトラヒドロフラン(アルドリッチ)及び0.25gのIrgacure651(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals))に100g(0.73モル)のβ−ミルセン(DRTから入手)を溶解し、5gの乾燥アンバーリスト(Amberlyst)15陽イオン交換樹脂(アルドリッチ)を管状反応器に導入する。
再循環(20l.h-1)のもとで、微量の残留酸素を除去するために、反応媒体を窒素バブリングにかける。次に、30モル当量の硫化水素(H2 S)を加える。次いで、管状反応器を所望の温度(100℃)にする。この温度に達すると、ランプが点灯する。反応媒体を、100℃の温度及び1.5MPaの一定圧力(硫化水素の添加によって調節される)で6時間、UV放射(波長:355〜365nm、出力:8ワット)に供する。
変換は、高速(又は高圧)液体クロマトグラフィーによって試料を分析することによってモニターされる。
6時間後、ポリエン出発物質の転化率は100%に達した。ランプのスイッチを切って、管状反応器の加熱を停止する。次いで、過剰の硫化水素は、媒体の減圧によって、次いで窒素でストリッピングすることによって、熱酸化剤にパージされる。次いで、混合物を真空下で蒸発させて溶媒を除去し、次いで蒸留して、可能な不純物、例えば硫化物型の不純物を除去する。
このようにして得られた蒸留混合物は、生成されたトリチオールの重量で表して98%を超える純度を有する。この蒸留混合物は、NMRによって特徴付けられ、以下の化学構造のポリチオールから構成されることが見出される:

Claims (11)

  1. a/以下のものを接触させることを含むスルフヒドリル化反応媒体を調製するステップ:
    − 少なくとも1種のポリエン;
    − 少なくとも1種のラジカル開始剤;
    − 少なくとも1種の酸触媒;
    − 少なくとも1種のスルフヒドリル基供与体化合物;
    − 任意に、少なくとも1種の溶媒;
    b/前記少なくとも1種のポリエンのラジカルスルフヒドリル化反応と、前記少なくとも1種のポリエンの酸触媒スルフヒドリル化反応とを同時に実施するステップ; 及び
    c/少なくとも2種のポリチオールを含む混合物を回収するステップ;
    を少なくとも含む、ポリチオールを製造する方法。
  2. 前記少なくとも1種のポリエンは、二重結合形態の少なくとも2つの不飽和結合を含む炭化水素鎖を有する化合物であり、前記炭化水素鎖は線状でも環状でもよく、飽和でも不飽和でもよく、任意に元素周期表の15族、16族及び17族から選択される1つ以上のヘテロ原子、より具体的には硫黄、窒素、酸素及びリンから選択されるものを含んでもよく、また、1つ以上の芳香族基によって中断又は置換されてもよい、請求項1に記載の方法。
  3. 前記少なくとも1種のポリエンは、2〜20個の二重結合、好ましくは2〜16個の二重結合、具体的には2〜10個の二重結合、より具体的には2〜8個の二重結合、より具体的には2〜4個の二重結合(範囲の両端値は含まれる)を含む炭化水素化合物である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 前記少なくとも1種のポリエンは、少なくとも2つの二重結合を含む、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体、テルペン及びその誘導体から選択される、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記少なくとも1種のラジカル開始剤は、熱開始剤又は光化学開始剤及びラジカルを発生させる有機又は無機化合物から選択される、1種又は2種以上の組み合わせである、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記少なくとも1種のラジカル開始剤は、過酸化物、ヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アルキルホスファイト、及びキサンテン誘導体から選択される1種、又は2種以上の組み合わせである、請求項5に記載の方法。
  7. 前記少なくとも1種の酸触媒は、ルイス酸、スルホン酸樹脂、及び少なくとも1つの金属塩を含む触媒組成物から選択される1種又は2種以上の組み合わせである、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記少なくとも1つのスルフヒドリル基供与体化合物は、硫化水素、チオカルボン酸、及びそれらの前駆体から選択される、1種又は2種以上の組み合わせである、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 溶媒の非存在下で実施される、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の方法により得られる少なくとも2種のポリチオールの混合物。
  11. 架橋剤又は加硫剤、硫黄含有化合物、例えばチオウレタン、ポリスルフィドなどの調製のための試薬、連鎖移動剤、金属錯化剤、浮遊選鉱剤、酸化防止剤、熱安定剤としての、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の方法で得られる混合物又は請求項10に記載の混合物の使用。
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