JP2020503322A - 低線量放射線を織り込んで用いることによる化学療法による損傷の減少および癌の死滅率の上昇 - Google Patents

低線量放射線を織り込んで用いることによる化学療法による損傷の減少および癌の死滅率の上昇 Download PDF

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Abstract

本発明は、非新生物細胞に低線量放射線を照射することによって、非新生物細胞、すなわち健康な細胞への損傷を防ぐ方法を提供し、低線量放射線は、保護細胞応答を開始するために用いられ、保護細胞応答は、細胞傷害性化学薬品剤または化学療法剤による非新生物細胞へのその後の損傷を防ぎ、新生物細胞に対する免疫応答を開始させる。低線量放射線は、高用量の化学療法/薬物注入セッションの前の所与の時点で、感受性器官および非癌性器官/細胞に適用する。【選択図】図1

Description

関連出願との相互参照
本出願は、2016年12月31日に出願された米国仮特許出願第62/441,270号の優先権を主張し、その内容は本出願の開示の一部とみなされ、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
技術分野
本発明は、化学療法手順において放射線療法を使用する方法に関し、より詳細には、新生物性疾患、制御されない細胞成長、および癌の治療のための織り込み(interweaving)放射線療法および化学療法手順の使用に関する。
細胞が成長調節シグナルに正常に応答しない場合、新生物性疾患、すなわち癌が発症する。その結果、それらの子孫の一部または全部が不適切に増殖して、腫瘍を生じ得る。周囲組織に侵入し、最終的に身体全体に広がる新生物は、悪性新生物または癌と呼ばれている。新生物性疾患を治療するいくつかの方法が長年にわたって開発されている。2つの主な方法は、放射線療法および化学療法であり、免疫療法などの新しい方法が開発されている。
新生物性疾患、制御されない細胞成長、および癌の治療のための現在の化学療法および化学プロトコルでは、患者に処方されている様々な抗癌剤を利用している。しかし、これらの薬物は、周囲の健康な細胞および腫瘍からかなり離れた細胞に避けられない損傷を引き起こす。これらの抗癌剤はまた、組織および感受性器官(これらに限定されないが、心臓、腸、骨髄、毛包、腎臓などを挙げることができる)に損傷を引き起こし、その結果、その後の癌の可能性をもたらし、寿命が短くなり得る。これらの副作用は、患者にかなりの不快感を引き起こし、それによって、患者が治療から完全に回復するのに必要な時間を増長させ得る。この重大な損傷、副作用および不快感を恐れて、患者は治療を遅らせる、もしくは拒否する可能性さえあるか、または治療が終了する前に治療を中止する可能性もある。
身体、特に周囲の健康な細胞および感受性組織および器官への損傷を減少させるためには、損傷が最小となる化学療法剤および化学薬品剤を広範に探索する必要がある。しかし、そのような化学療法剤および化学薬品剤の安全性を証明するための広範な試験は長期的で費用のかかるプロセスである。
癌治療中に健康な細胞に対する放射線の有害な影響を最小限に抑えるための新しい方法が、集中的な研究テーマとなっている。研究者らは、癌性細胞を取り囲んでいる健康な細胞に対する低線量放射線の曝露により、健康な細胞において適応応答が誘導されることを発見した。これにより、化学療法中のその後の刺激の強い化学薬品への曝露から健康な細胞を保護する。低線量放射線および高線量放射線に対する細胞の曝露の応答を示す研究が、「Comparison of low and high dose ionizing radiation using topological analysis of gene co−expression networks」(BMC Genomics(2012年)、Rayら)において実施された。実験は、2つの異なる同一細胞を低線量放射線および高線量放射線に曝露することによって行われ、細胞を曝露後4つの時点で観察して、対照サンプルと比較して異なる遺伝子セットの調節の変化を測定した。低線量放射線による細胞の曝露は、曝露後3時間で免疫応答に関与する遺伝子の調節をもたらすことが見出された。曝露後8時間で、代謝過程およびG1/S期の調節などのDNA損傷について設定された遺伝子が発現した。曝露後24時間で、WNTシグナル伝達、有糸分裂期チェックポイント、細胞周期におけるNeK制御に関与する遺伝子セットの変化が観察された。細胞を低線量放射線に曝露することで、曝露後のある期間にわたって細胞修復タンパク質および免疫応答に関与する1つ以上の遺伝経路が調節されることが観察された。
研究者らはまた、ヒト細胞における高線量曝露の有害な影響を減らすために、低線量曝露の影響を調べた。これに関しては、低線量曝露に応答した細胞修復遺伝子の調節を開示している「Global Gene Expression Alterations as a Crucial Constituent of Human Cell Response to Low Doses of Ionizing Radiation Exposure」(National Institutes of Health(2015年)、Mykyta SokolovおよびRonald Neumann、今後Sokolovらと称する)のレビューを参照されたい。Sokolovらは、低線量の電離放射線により、問題となる線量曝露の有害な影響からヒト細胞/組織を保護するために遺伝子発現が変化することを開示している。低線量の放射線を照射後、細胞は、修復シーケンスを開始し、多くの遺伝子がこの手順で調節された。その後、修復タンパク質を産生する遺伝子がオンになり、その後、関連タンパク質が、最長数日間であることがわかっているある期間にわたって産生された。例えば、ヒトBER経路における塩基除去修復(BER)遺伝子およびタンパク質は、核およびミトコンドリアDNAの両方における放射線誘導性一本鎖切断、塩基損傷、および塩基性部位を修復する一方で、非相同末端結合(NHEJ)は、ヒト細胞におけるDNA二本鎖切断(DSB)の固定に関与している。特定の実験では、末梢血単核細胞を精製し、0.1Gyの初回低線量放射線(priming low dose radiation)に曝露した。4時間後、末梢血単核細胞を、2.0Gyの高線量放射線に曝露した。前述の遺伝子およびタンパク質の対応する発現プロファイルを、高線量投与後30分から4時間にわたって調べた。低線量および高線量の放射線の結果として、APE1、FEN1、LIG1、MBD4およびOGG1などのBER遺伝子は、感作細胞のmRNAおよびタンパク質レベルで上方制御を示した。同様に、XRCC5、XRCC6、NHEJ1およびLIG4などのNHEJ遺伝子を、転写物レベルおよびタンパク質レベルの両方で照射後4時間の時点で過剰発現させた。いくつかのBER遺伝子およびNHEJ遺伝子およびタンパク質におけるこうした種類の過剰発現は、ヒト放射性適応応答(RAR)におけるBER経路およびNHEJ経路の両方の積極的な関与の根底にある。他の線量が続く手順の間に、低線量放射線の曝露は、その後の高線量の放射線損傷から保護するために細胞の警告応答を誘発し、RARが、細胞の修復プロセスをもたらした。
同様に、低線量放射線の曝露および高線量の放射線の曝露後のDNA損傷応答性(DDR)遺伝子の遺伝子発現プロファイルを、照射後1時間および5時間の時点で調べた。ATM、ATR、GADD45A、CDKN1A、TP53、CDK2、HDM2、およびCCNEの発現レベルをRT−qPCRを用いて調べた。このデータは、照射後5時間の時点で、1GyまでのCDKN1AおよびGADD45A遺伝子の有意な用量依存的誘導を示した。RARは、TP53、CDK2、およびCCNEでのみ観察された。
Sokolovらによって行われた前述の研究および実験では、細胞に適用される、適切に選択された低線量の放射線がその修復遺伝子を調節することを開示した。その一部が、修復に影響を与えるタンパク質を産生するためにオンになった。他の遺伝子は、オフであった。この後者の作用により、修復に必要なエネルギーが保存され得、次に予定されている有糸分裂(細胞分裂)までの時間を増長させることもできる。これにより、エラーを次の世代に渡すことができるようになる前に、修復に影響を与えるための時間が増長される。
「A History of the United States Department of Energy (DOE) Low Dose Radiation Research Program:1998年−2008年」(Dr.Antone L.Brooks)の別の研究では、照射が多くの遺伝子において遺伝子発現を変化させ、遺伝子発現は、放射線線量と対応して、特定された低線量および高線量遺伝子により変化したことを示した。前述の研究では、1つ以上の非新生物細胞における低線量放射線により、遺伝的経路が調節されていることを示している。
上記の分析を利用して、その後の高線量放射線への曝露の前に低線量放射線を使用して、健康な細胞において適応応答を生じさせるための様々な方法が従来技術において提唱されてきた。米国特許第7,963,902号は、健康な細胞において低線量放射線によって生成された適応応答を利用する方法を開示している。この方法では、癌性細胞を取り囲んでいる非新生物細胞は、その後の放射線療法などの様々な傷害の際に、健康な組織の生存確率を高める健康な細胞内の代謝経路を誘導する低線量放射線に曝露される。健康な細胞への放射線の事前投与により、はるかに高い確率のそれらの長期生存が保証され、それによって放射線療法に関連する有害事象が減少する。米国特許第7,963,902号に開示されている方法では、健康な細胞における適応応答以外に、低線量放射線の曝露に関連する他の利点を利用しておらず、したがって、低線量放射線の利点を利用するためのプロトコルおよび拡張におけるさらなる改良が必要である。さらに、米国特許第7,963,902号では、健康な細胞を高線量放射線から保護するために適応応答を使用することに焦点を当てており、化学療法薬に対する健康な細胞の保護については述べられていない。
健康な細胞および癌性細胞に対する低線量放射線の他の影響を調べるための研究も行われてきた。この点に関して、「Consensus of the effect of X−rays on bacterias」(Ross、Hygiene第56巻、341−344頁、(1909年))で行った調査が、低レベルの放射線で処置されたマウスが細菌性疾患に対して耐性がより高いことを最初に示した。このことは、低線量放射線によって誘導される免疫応答によって説明されている。E.J.Broome、D.L.BrownおよびR.E.J.Mitchel(International Journal of Radiation Biology.75、681−690(1999年))は、DNA損傷発癌物質を適用する24時間前に、マウス皮膚における低線量のインビボベータ放射線により、腫瘍頻度を約5倍減少させることを見出した。低放射線量では、DNA切断の修復が活性化される。このグループはまた、これまでに調べたすべての生物において(単細胞下等真核生物から哺乳動物まで)、低線量の低LET放射線に対する適応応答が起こることを示している。これらの応答により、マウスにおける放射線誘導または自然発生的な癌および非癌性疾患など、DNA損傷事象の有害な結果が減少される。
免疫応答は、癌に対する有効な武器として使用することができる。このように使用するためには、血流を離れて腫瘍に到達する必要があるが、その周囲の変化が、多くの場合、こうした使用を妨げる。ドイツの癌研究センター(Deutsches Krebsforschungszentrum、DKFZ)で行われた研究(Kas/Selによる「Radiation therapy mobilizes the immune system against tumors」)では、低線量放射線を局所に適用することにより、試験されたすべての哺乳動物において、免疫細胞が血管から逃げ、腫瘍組織に侵入するのを助けることが発見された。しかし、健康な組織における癌細胞またはその近くの癌組織に拮抗する適応応答を健康な組織において生じさせるための治療法はこれまで知られていない。
したがって、癌細胞を治療するために、周囲の健康な細胞および感受性器官における適応応答、ならびに身体の免疫応答を利用するアプローチが必要とされている。前述の問題を解決するために、本発明は、化学療法と組み合わせて、非新生物細胞および新生物細胞に対して織り込まれた低線量の放射線を適用することによって、健康な細胞および感受性器官に対する不注意な損傷を減らすために、ならびに癌細胞の死滅率を上昇させるために、健康な組織において修復機構を誘発するのみでなく、化学療法薬注入の前に癌性組織および近くの癌性組織の両方において免疫応答を生じさせる方法を提供する。
従来技術は、癌細胞に低線量放射線を適用することを教示している。本発明は、新生物細胞における細胞修復応答を凌駕する新生物細胞における即時免疫応答を誘発することによって先行技術を進歩させる。低線量放射線新生物細胞性応答は、従来技術には直観に反するものである。これまでのすべての研究に反して、癌細胞への低線量放射線は、癌死滅率を5倍にまで高めることが示されている。
本発明では、正常な健康な細胞および感受性器官を化学療法および化学薬品剤から保護するため、ならびに癌性腫瘤に対する免疫応答を誘発するための方法を提供することによって、当該分野における必要性に取り組む。こうして保護されると、患者は、化学療法を受け、器官または組織の損傷、その後の癌、ライフスパンの短縮、およびかなりの患者の不快感などの有害事象の軽減または排除を経験し得る。
本発明の第1の態様では、癌性細胞を死滅させる方法は、a)新生物組織および新生物組織を取り囲んでいる非新生物細胞、ならびに化学療法薬に対して感受性のある非新生物細胞へ低線量放射線を投与することであって、低線量放射線は、新生物組織に対する抗体を誘発し、非新生物細胞および化学療法薬に対して感受性のある非新生物細胞において修復機構を誘発し、かつ新生物組織への低線量放射線により、新生物組織内の血管内にアンカーが形成され、これによりアンカーに対する抗体の掛留を助け、抗体が近くの新生物細胞に侵入して、それらを死滅させることができるようにする、投与することと、b)48〜72時間待機して、化学療法薬を注入し、新生物組織に作用させることとを含む。非新生物細胞に照射することは、細胞修復タンパク質に関与する1つ以上の遺伝子経路を調節し、したがって、非新生物細胞において、保護的適応応答を生じさせるのに役立つ。非新生物細胞に対する低線量放射線による遺伝子経路の調節は、1つ以上の非新生物細胞に対する1つ以上の医薬品または化学薬品剤の反応を決定するために使用することができる。さらに、非新生物細胞への低線量放射線による遺伝子経路の調節は、放射線障害から保護するため(例えば、放射線作業員、応急措置者、および宇宙飛行士)に使用することができる。感受性組織および非腫瘍細胞に適用される低線量放射線は、5cGy〜20cGyの範囲である。非新生物細胞は、新生物疾患の標的新生物細胞と接触しているかまたはそれに近接しているか、または遠くに配置(化学療法薬に対する感受性器官)されてもよい。この方法は、化学療法による癌の治療的処置のための方法として使用することができる。低線量は、中性子線ならびに標準的なX線/ガンマ線によって投与することができる。
本発明の第2の態様では、癌性細胞を死滅させるための方法は、a)腫瘍組織、化学療法薬に対して感受性のある組織、および腫瘍組織の近傍に存在する1つ以上の非新生物細胞を所定の低線量放射線により標的とすることであって、低線量放射線が、腫瘍組織に対する免疫応答、ならびに1つ以上の非新生物細胞および化学療法薬に対して感受性のある組織における細胞修復プロセスを誘導し、腫瘍組織への低線量放射線により、腫瘍組織内の血管内にアンカーが形成され、これによりアンカーに対する抗体の掛留を助け、抗体が近くの腫瘍細胞に侵入して、それらを死滅させることができるようにする、標的とすることと、48〜72時間待機して、化学療法薬を注入して腫瘍組織に作用させることを含み、推奨される高放射線量が完了するまで、上記のステップが繰り返される。低線量放射線は、細胞修復タンパク質を誘導するために、非新生物細胞の1つ以上の遺伝子経路を調節する。適用される低線量放射線は、5cGy〜20cGYの範囲にある。低線量放射線によって開始された免疫応答により、新生物細胞の増殖が阻害される。免疫応答は、化学療法薬に対して感受性のある健康な非新生物細胞および組織を、化学療法薬から保護する。
本発明の第3の態様では、癌性細胞を死滅させるための方法が提供される。本方法は、a)新生物組織、新生物組織を取り囲んでいる非新生物細胞および化学療法薬に対して感受性のある非新生物細胞に低線量放射線を投与することであって、低線量放射線が、新生物組織に対する抗体を誘発し、非新生物細胞および化学療法薬に対して感受性のある非新生物細胞において修復機構を誘発し、かつ新生物組織への低線量放射線により、新生物組織内の血管内にアンカーが形成され、これによりアンカーに対する抗体の掛留を助け、抗体が近くの新生物細胞に侵入して、それらを死滅させることができるようにする、投与することと、48〜72時間待機して、新生物組織を取り囲んでいる非新生物細胞および化学療法薬に対して感受性のある非新生物細胞に第2の所定の低線量放射線を投与することであって、第2の所定の低線量放射線は、非新生物細胞において修復機構を誘発する、投与することと、24時間待機して、化学療法薬を注入して新生物組織に作用させることと、を含む。適用される低線量放射線は、5cGy〜15cGyの範囲内であり、非新生物細胞における修復機構に関与する遺伝子を調節する。新生物組織に対する抗体は、侵入新生物細胞が非新生物細胞に入るのを防ぐ。非新生物細胞における修復機構は、細胞を化学療法薬から保護する。
免疫応答を利用する新しいプロトコルと特許第7,963,902号(その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている先行技術とを組み合わせることにより、より効果的な治療を達成することが可能である。修復および免疫応答を利用する3つの例示的プロトコルは、以下のとおりである:先行技術において、提唱されたプロトコルでは、周囲の健康な細胞の低線量放射線と、それに続いて、約24時間後に、標準的化学療法を癌細胞に適用した。これは、数日にわたって繰り返され得る。このプロトコルを変更して、健康な細胞および癌細胞の両方に低線量を適用し、その後24〜48時間後に標準の化学療法を適用する。第3のプロトコルでは、健康な細胞および癌細胞の両方に低線量を適用し、約24〜48時間待機し、健康な細胞に低線量を適用し、24時間後、高線量の標準化学療法治療を開始させる。他の類似の順序も明らかに可能である。
本発明の一実施形態による放射線量の効果の表である。
本発明の実施形態の以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解をもたらすために多数の特定の詳細が説明されている。しかし、本発明の実施形態がこれらの具体的な詳細を伴ってまたは伴わずに実施され得ることは当業者には明らかであろう。他の例では、本発明の実施形態の態様を不必要に曖昧にすることのないように、周知である方法、手順、および構成要素は、詳細に説明していない。
さらに、本発明がこれらの実施形態のみに限定されないことは明らかであろう。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、数多くの修正、変更、変形、置換および均等物が当業者には明らかであろう。
本明細書で使用される場合、新生物、癌、および腫瘍という用語は、特定の型の1つ以上の細胞の制御されないまたは異常に急速な成長がある細胞、組織、または状態を示すために同義的に使用される。本発明は、その形態のうちのすべての癌または腫瘍の新生物細胞に適用可能である。こうした成長は、ヒトなどの生物内で大量の細胞を産生するためにインビボで起こり得るか、または細胞株の特徴を有し得るか、または有し得ない細胞の培養物を産生するためにインビトロで起こり得る。したがって、こうした細胞または組織は、幹細胞など、必須ではないが、不死であり得る。同様に、細胞または組織は、必須ではないが、癌性または非癌性組織から直接得られる初代細胞であり得る。
本明細書で使用されるとき、感受性細胞、感受性組織、および感受性器官という用語は、特定の化学療法薬または剤が副作用を有し、それによりそれらの正常な活動が妨げられる、非新生物細胞または組織または器官を意味する。
さらに、本明細書で使用されるとき、放射線(およびその形態のすべて)ならびに電磁エネルギーという用語は、電磁スペクトルの1つ以上の波長のエネルギーを示すために同義的に使用される。本発明は、特定の波長の使用に限定するものではなく、代わりに電磁スペクトルのあらゆる波長と共に使用することができる。例えば、本発明では、一波長のエネルギーを吸収し、別の波長で再放射できる物質を活性化できる特定の波長のエネルギーの使用が企図される。言及を容易にするために、本明細書では、電磁エネルギーを典型的には放射線と称し、この用語は広く解釈されるものとする。
より具体的には、放射線は、放射線線源から、ある物質または空間を通って進むエネルギーである。したがって、光、熱、および音は、放射線の一種である。本発明による1つの有用な種類の放射線は、電離放射線であり、これは、物質中に荷電粒子(すなわちイオン)を生成できる放射線である。電離放射線は、医療現場では、多くの場合、CTスキャン、X線、または直線加速器(LINAC)などの人工機器によって生じる。電離放射線は、不安定な原子(すなわち放射性原子)によって生成され得ることは周知であり、この原子は、過剰なエネルギー、質量、またはその両方を有し、かつ、安定状態を達成するために、放射線の形態でそのエネルギーおよび/または質量を発散または放出する。本発明の目的のために、2種類の放射線:電磁気(例えば、光、ガンマ線、X線、紫外線)および粒子状物質(例えば、陽子または中性子放出、ベータおよびアルファ線)があることが理解される。
さらに、本明細書で使用される場合、化学療法剤(chemotherapy agent)(およびその形態のすべて)、化学療法剤(chemo agent)、化学療法薬(chemo drug)、および化学薬品剤という用語は同義的に使用される。
本発明が対象の治療的処置に関する場合、限局性癌の診断がなされ、癌性腫瘤の大きさ、形状、および位置が当該分野で公知の標準的な方法によって決定されていることもまた理解されるべきである。換言すれば、本発明は、それを必要とする患者のインビボに関するものであり、こうした患者を同定し、それらの腫瘍(複数可)の特徴を明らかにするための日常的な手技が実施されていることを理解すべきである。対象とは、新生物が存在し得るあらゆる生物を意味する。したがって、対象は、ヒトまたは他の動物(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、鳥、または他のペットまたは農業用動物)であり得るが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、対象、患者、ヒト、および動物という用語は、別段の指定がない限り、新生物が存在し得る生物を示すために同義的に使用される。したがって、本発明は、ヒトの健康分野および獣医学の両方において用途を有する。
本発明は、正常な健康な細胞および感受性器官を化学療法および化学薬品剤から保護するための方法を開示する。この方法は、標準的な化学療法セッション中に起こる、非新生物性、すなわち健康な細胞への損傷を防ぐことを提供する。この目的のために、低線量放射線を使用して、細胞傷害性化学薬品剤による非新生物細胞への損傷を防ぐか、または軽減する防御的細胞応答を開始させる。健康な細胞に低線量放射線を事前投与した後、細胞は、特に免疫応答を生じさせるなど、特定の細胞機能を制御する修復タンパク質を産生する遺伝子を調節することによって応答する。その後、これらのタンパク質は、細胞への損傷の修復に進む。このプロセスは、何日も継続する。本発明はまた、非新生物細胞への損傷を防ぐ方法を開示し、低線量放射線は、化学療法薬注入セッション前に感受性組織および器官に適用される。
一実施形態において、本発明はまた、癌性細胞に対する免疫応答を誘発するための方法を提供する。低線量放射線を健康な細胞および新生物細胞に適用した場合には、それらに対する抗体を生じさせることにより、癌性細胞に対して、身体内において免疫応答を生じさせる。新生物細胞または腫瘍細胞が低線量放射線に曝露されると、血管にアンカーが形成されるのを助け、これらのアンカーには抗体が掛留し、血管から出て、健康な細胞内に逃げようとする侵入癌性細胞を死滅させる。
本発明は、細胞のインビボおよびインビトロ処置に関する。インビボでの使用に関する態様において、これは、一般に治療的処置の方法であり、治療的または予防的であり得る。したがって、この方法は、このような新生物塊が成長したものなど、新生物性疾患に罹患している対象において、新生物性塊の成長を低下させる、そのサイズを縮小する、または新生物性塊を消失させるために、実施することができる。さらに、この方法は、新生物性塊を外科手術または放射線治療によって除去したものなど、以前に新生物性疾患に罹患していた対象に対して実施して、その塊のすべての新生物細胞を確実に死滅させることができる。本発明は、健康な細胞/組織において細胞修復応答を誘導するために癌性細胞への照射を避けて、健康な細胞および組織、特に化学療法物質に対して非常に感受性の高いものに低線量放射線を事前投与するための特定のプロトコルを提供する。次いで、標準的な化学療法プロトコル療法を続けて行う。
一般的事項として、本明細書に記載の方法は、新生物成長および化学療法剤に対して感受性のある他の器官組織を取り囲むものなど、標準的な化学療法剤により危険にさらされている健康な組織を低線量放射線により前処置することに関する。この低線量放射線の曝露が、照射された細胞および組織における適応応答をもたらし、これにより、その後の癌治療から生じるものなどの様々な傷害の際に、健康な組織が生存する可能性を高める。新生物組織も低線量放射線に曝露され、癌性細胞内の血管内にアンカーが形成されることによって、癌性細胞に対する免疫応答が開始される。抗体はアンカーに掛留し、したがって抗体が近くの癌性細胞に侵入して、それらを死滅させることができるようにする。免疫応答は、低線量放射線への曝露から1時間という早さで開始し、最長72時間まで数日間活動する。
癌性細胞を死滅させるように設計されたその後の化学療法プロトコルの間に、健康な細胞、およびこれらに限定されないが、心臓、腸、骨髄、毛包、腎臓および身体内の他の化学療法剤感受性組織などの感受性器官も必然的に損傷を受ける。また、癌性組織の近傍にはないが、化学療法剤に対して非常に感受性の高い組織もまた損傷を受ける可能性がある。健康な細胞ならびに感受性器官および組織への放射線の事前投与により、はるかに高いそれらの長期生存可能性が保証され、それによってこれらの有害事象を減少させる。
0.05Gy〜0.15Gyの範囲で適用される低線量放射線では、細胞は、多くの遺伝子が調節される修復シーケンスを開始する。修復タンパク質を産生する遺伝子がオンになる。その後、関連タンパク質が一定期間産生される。産生は、約6時間後に開始し、最長数日まで続くことが知られている。これらのタンパク質は、産生され、細胞全体を移動するにつれて、損傷の修復を開始する。この活発な修復期間が数日間続くため、細胞がこの期間中に再び損傷を受ける場合、例えば標準的な化学療法治療により、修復がすぐに、ほぼ完全な強度で始まる。
本発明の態様下で、適切に選択された低線量放射線が細胞に適用された場合、その修復遺伝子が調節される。修復に影響を与えるタンパク質を産生するためにオンになっているものもある。他の遺伝子は、オフになっている。この後者の作用により、修復に必要なエネルギーが保存され得、次に予定されている有糸分裂(細胞分裂)までの時間を増長させることもできる。これにより、エラーを次の世代に渡すことができるようになる前に、修復に影響を与えるための時間が増長される。
標準的な化学療法プロトコルは、選択された細胞傷害性化学薬品剤または化学療法剤を、おそらく数日間隔で、いくつかの別々のセッションで患者に投与することを必要とする。本発明の態様下では、これらのセッションの各々は、健康な感受性細胞および組織への0.05〜0.15Gyの範囲の低線量放射線の曝露、その後、感受性細胞および組織への48〜72時間の低線量放射線の曝露の後の化学注入プロセスを含む。この期間中、患者の身体内で誘導された免疫応答は癌性細胞に作用し、また隣接する健康な組織における新生物細胞の確立を妨げる。放射線療法曝露および化学療法剤注入との間の時間間隔は、健康な細胞が被った損傷を修復する際の適応応答の有効性を最大にするように選択される。
本発明は、健康な細胞/組織において細胞修復応答を誘導するために、癌性細胞に照射することを避けながら、低線量放射線を健康な細胞および組織に事前投与し、その後化学療法プロトコルを実施する、特定のプロトコルを提供する。実施形態では、1mGy(グレイ単位)ほどの低線量での事前投与は、防御的な細胞適応応答を誘導し得ることが判明した。放射線量から生じる物理的メカニズムの理解を深めるために、線量1mGyは、1細胞あたり1放射線トラックにほぼ対応することに留意されたい。天然線源からの平均放射線の曝露量は、約3mGy/年であり、ヒトの活動からの平均放射線の曝露量は、約1mGy/年である。胸部CTスキャンまたは腹部CTスキャンの総放射線量は、約110mGy=1cGyである。
実施形態では、戦略は、低線量放射線の事前投与によって引き起こされる適応修復プロセスによって効果的に停止させ得る化学療法剤を選択して使用することである。この選択により、低線量放射線の事前投与への曝露後に、健康な細胞に対して最適な保護がもたらされる。健康な細胞に低線量放射線を事前投与した後、細胞は、修復タンパク質を産生し、特定の細胞機能を制御する遺伝子を調節することによって応答し、免疫応答を開始させる。その後、これらのタンパク質は、細胞への損傷の修復に進む。このプロセスは、数日間継続する。細胞上のドレインである特定のプロセスは、次の細胞分割前に最適に完了して、可能な限り迅速に修復が進行できるように減速される。化学療法剤は、急速に分裂している細胞に影響を与えるので、この細胞増殖の減速も投与前レジメンの利点である。
化学療法では、急速に増殖する細胞を攻撃し、損傷を与え、最終的には死滅させる化学薬品剤が選択される。細胞のライフサイクルは、通常5つの段階に分けられる。各化学療法剤は、これらの段階のうちのいずれかにおいて急速に増殖する細胞を攻撃する。実施形態によれば、化学療法は通常、腫瘍専門医によって規定されている、定義された時間周期で、例えば、1週間に1回または3週間に1回適用される。さらに、多くの場合、化学療法を適用する日の1日前に治療前投薬が行われ、その翌日に血球数の追加免疫処置が行われる。これらは、患者が治療の副作用から回復するのを助けるために使用される。この治療法の主要な観念を言い換えると、標的化低線量放射線療法は、身体の健康な細胞に対する保護を提供する一方で、癌性細胞に対する同じ保護は打ち消す。免疫応答は、癌性細胞に作用し、また新生物細胞が、隣接する健康な組織に逃げるのを防ぐ。
限局性腫瘍が身体の内部、器官内または器官表面にある状況では、化学療法剤の注入前に、器官内の腫瘍を取り囲んでいる細胞に低線量放射線が適用される。使用される特定の化学療法剤に対して特に感受性のある遠隔の器官または細胞が存在する場合は、それらに対して、低線量の保護照射も提供される。低線量放射線に対する細胞の適応応答は、0.01〜0.4Gyの範囲内であり、DNA−RNA修復に関与するものなど多くの遺伝子の調節を引き起こす。他の調節された修復遺伝子としては、細胞周期制御、熱ショック、イオン調節および膜修復が挙げられる。さらに他のものとしては、ミエリンおよびタンパク質合成修復および免疫系応答が挙げられる。これらの上方制御された遺伝子は数時間にわたってそれらの修復タンパク質を産生し、これらのタンパク質は少なくとも2日間持続する。細胞が保護されると、修復タンパク質の使用期限が切れる前に、最も好ましくは修復タンパク質レベルがピーク量にあるとき、または好ましくはそれらが照射前の時間に存在するベースラインレベルまで分解していないときに、選択された化学療法剤が注射され、細胞死の主なモードが、適応応答によって産生される修復遺伝子タンパク質によって相殺され得る。低放射線量を受けず、したがって保護されていない癌細胞は、通常どおり化学療法剤によって死滅されるが、低放射線量細胞は、最も好ましくは細胞分裂の前に化学療法的損傷から回復することができる。
さらに、身体内の多くの細胞型は、十分に高用量の化学療法剤での損傷に対して非常に感受性が高い。これらの中には、骨髄、腸管の粘膜細胞、肝細胞および腎細胞、上皮細胞および神経系細胞がある。したがって、低線量の放射線を適用して、これらの修復機構をオンにすることによって、これらの細胞を保護することが可能であり、これらの細胞は、本明細書に特定されるプロトコルの使用、例えば0.01〜0.4Gyの範囲の低線量放射線に特に適している。
上記のように、好ましい化学療法剤は、低レベルの放射線への曝露後に産生される細胞修復タンパク質に対して感受性であり、細胞周期段階に影響を及ぼすものであり、アルキル化剤、代謝拮抗剤、およびトポイソメラーゼ剤のクラスから選択され得る。化学療法剤のアルキル化クラス(起源はマスタードガス由来)は、DNA、RNA、および一部のタンパク質分子に共有結合している。これは、正常な有糸分裂を妨げ、それによって細胞のアポトーシス(死)を誘導する。低線量処置後に細胞内に存在する修復タンパク質は、影響を受けた(アルキル化)DNA、RNAおよびタンパク質分子を正常状態に戻すように働く。代謝拮抗剤クラスの化学療法剤は、それら自身をそれらの構造に組み込むことによってDNAおよびRNAの合成を妨害することにより作用する。低線量放射線によって生成された修復タンパク質は、DNAとRNAを通常の状態に戻す。トポイソメラーゼクラスの阻害剤は、複製または転写中にDNAが伸縮しないようにすることによって作用する。低線量の放射線によって産生された修復タンパク質は、DNAの平衡状態を回復し、細胞の正常な複製が可能になる。
実施形態では、通常の化学療法スケジュールを乱さないプロトコルが使用される。例えば、化学療法剤適用日は、多くの場合、数日前に前処置が行われ、その翌日に別の追加免疫処置が行われる。これらは、患者が治療の副作用から回復するのを助けるために使用される。したがって、化学療法適用の前日は、低線量の放射線セッションにも使用できる。
実施形態では、1つ以上の化学療法剤は、それらの標準的な処方プロトコルに従って組み合わせてまたは連続して使用することができ、本明細書に記載の低線量照射を非癌性組織に適用する。実施形態では、非癌性組織は、選択された化学療法剤(複数可)に最も感受性の高いものから選択され得るか、または遊走癌細胞の標的となる可能性が最も高い組織であり得る。他の実施形態では、本明細書に記載される低線量照射は、腫瘍組織を除いて全身に適用され得る。さらなる実施形態において、非殺傷性損傷を被るであろう非新生物細胞は、上記の方法によってそのような損傷から保護される。
化学療法治療は全身性であるため、化学療法剤による危険性がある患者の身体内に存在する健康な細胞に低線量の放射線が適用される。その後、選択された待機期間の後、標準的な化学療法治療が適用される。低線量の放射線は、化学療法治療レジメンの各セッションの前に適用され得る。健康な細胞は化学療法セッション中に有害な化学薬品曝露を必然的に受けるため、ここでは、化学療法前に適用された低線量放射線によって開始される適応応答のさらなる保護を有する。それらにおいて保護応答を誘導するための健康な細胞に対する低線量放射線の有益な効果は、Kimらによる表題「Beneficial effects of low dose radiation in response to the oncogenic KRAS induced cellular transformation」の研究論文において研究されている。
本発明の別の実施形態では、癌細胞を死滅させる方法が提供される。本方法は、新生物組織、新生物組織を取り囲んでいる非新生物細胞、および化学療法薬に対して感受性のある非新生物細胞に低線量放射線を投与することであって、低線量放射線は、新生物組織に対する抗体を誘発し、非新生物細胞および化学療法薬に対して感受性のある非新生物細胞において修復機構を誘発し、かつ新生物組織への低線量放射線により、新生物組織内の血管内にアンカーが形成され、これによりアンカーに対する抗体の掛留を助け、抗体が近くの新生物細胞に侵入して、それらを死滅させることができるようにする、投与することと、(b)48〜72時間待機して、化学療法薬を注入して、新生物組織に作用させることと、を含む。新生物組織へ低線量放射線を投与することにより、新生物組織において免疫応答が誘発され、この応答は、癌性細胞を死滅させるのに役立つ。
実施例1
一例として、我々の最も近年の実験では、上皮皮膚細胞を有するヒト対象が、2つの方法論により、インビボで治療された。最初の患者は、特に局所皮膚癌を取り囲んでいる健康な組織に対して、10cGYの織り込まれた低線量放射線を受けた。2人目の患者も、新生物細胞および腫瘍に隣接する健康な細胞の両方に10cGyの低線量放射線を受けた。患者は双方とも、治療前、低線量治療の24時間後、次いで、標準治療の1週間後に生検を受けた。
これらのプロトコルは、低線量放射線の影響を検証するDNA分析を用いてインビボで試験された:a)新生物細胞を取り囲んでいる健康な組織における細胞修復適応および免疫応答の励起、b)癌の死滅率を最大5倍上昇させる、新生物細胞における免疫応答を上回る新生物細胞における細胞修復適応応答の励起。明確にするために、低線量放射線が、新生物組織に対する抗体を誘発し、非新生物細胞および化学療法薬に対して感受性のある細胞において修復機構を誘発し、かつ新生物組織への低線量放射線により、新生物組織上にアンカーが形成されて、これにより、新生物組織上への抗体の掛留を助ける。
放射線化学療法セッションのスケジュール
患者の化学療法セッションをスケジュールするにあたって、非癌性感受性組織および器官において保護的適応応答を誘導するため、およびこの保護的適応応答を利用するために、本方法は、所定の低線量放射線を用いて、特定の化学療法剤に対して感受性のある器官を標的とする。この方法はまた、所定の低線量放射線を用いて、標的新生物細胞と接触しているか、または近接しているかに関係なく、非新生物細胞を標的とすることを含み得る。低線量放射線は、標的化学療法剤感受性器官および非新生物細胞における細胞修復プロセスを誘導する。多くの遺伝子が調節されている。調節された修復遺伝子の各々は、他の多くのその後の遺伝子の励起を伴う複雑な経路を開始することができる。これらの経路の研究は、腫瘍性および癌性組織を治療するための化学療法および他の薬剤の開発において重要な役割を果たす。これらの経路を励起するための低線量放射線の使用は、化学励起よりも多くの利点を有する可能性がある。
本発明の一実施形態では、有害な量の電磁エネルギーにより、少なくとも1つの新生物細胞を治療するための方法が提供される。この方法は、腫瘍塊を取り囲んでいる健康な細胞における適応応答の誘導を伴い、その結果これらの細胞は、その後の高線量の放射線の曝露の有害な影響に耐え得る。この方法は、身体内で免疫応答を開始することも伴う。実験中に、癌性細胞および健康な細胞への低線量曝露により、癌性細胞に対する身体内での免疫応答が開始されることが見出された。
少なくとも1つの新生物細胞を治療するための方法は、a)腫瘍0.1〜3.0cm以内の新生物組織および新生物細胞を取り囲んでいる非新生物細胞に低線量放射線を投与することであって、低線量放射線が、非新生物細胞における修復機構および新生物組織に対する抗体を誘発し、新生物組織への低線量放射線により、新生物組織上にアンカーが形成されて、これにより、新生物組織上への抗体の掛留を助ける、投与することと、(b)48〜72時間待機して、新生物組織に高線量の放射線を投与することと、を含む。この期間中、患者の身体内で誘導された免疫応答は癌性細胞に作用し、また隣接する健康な組織における新生物細胞の確立を妨げる。放射線療法曝露と高線量放射線適用との間の時間間隔は、健康な細胞が被った損傷の修復における適応応答の有効性を最大にするように選択される。
健康な細胞に対する低線量放射線は、細胞内の修復タンパク質遺伝子を調節して、非癌性組織において防御的適応応答を誘導する。この方法では、放射線治療線量スケジュールを調節するために、細胞の保護的適応応答を利用する。低線量放射線を健康な細胞に事前投与することで、それらのはるかに高い長期生存の可能性を保証し、それによって放射線療法に関連する有害事象を減少させる。細胞に対する放射線の影響は、細胞の型および放射線の線量およびその線量率に依存する。例えば、筋肉細胞、肝細胞、および乳房細胞などは異なる様式で放射線に反応し、反応の規模は、放射線ビームパラメータに依存する。治療のための最適な低線量放射線ビームの詳細を選択する際に、これら放射線ビームパラメータは、照射される細胞型に応じて選択される。
健康な細胞に低線量放射線を事前投与した後、細胞は、特に免疫応答を生じさせるなど、特定の細胞機能を制御する修復タンパク質を産生する遺伝子を調節することによって応答する。その後、これらのタンパク質は、細胞への損傷の修復に進む。このプロセスは、何日も継続する。低線量放射線により、非新生物細胞における代謝変化が誘導され、細胞修復機構に関与する修復タンパク質遺伝子が調節される。これらのタンパク質は、産生され、細胞全体を移動するにつれて、損傷の修復を開始する。タンパク質産生遺伝子は、数時間、最大7日の期間、活性化されたままである。このため、関連タンパク質が産生され、その期間中損傷を受けた細胞を修復し続ける。活性修復期間は数日間続くので、その後、細胞が、この間に例えば標準的な高線量放射線療法により、再び損傷を受ける場合には、修復は、直ちに、かつ完全に近い強度で始まる。
低線量放射線に曝露することで他の遺伝子もオフになり、この作用により、修復に必要なエネルギーが保存され、また次のスケジュールされた有糸分裂(細胞分裂)のための時間が長くなる。これにより、エラーを次の世代に渡すことができるようになる前に、修復に影響を与えるための時間が増長される。
表1は、低線量放射線に応答することが知られている遺伝子の一部を表している。
新生物細胞または腫瘍細胞への低線量放射線の曝露は、身体内での免疫応答の開始などの影響を有する。免疫系は、通常、癌細胞を認識し、「キラーT細胞」は、腫瘍組織に侵入する。通常、免疫細胞は、血管によって形成された「アンカー」を介して組織に移動する。侵入免疫細胞が、血流内を流れると、アンカーに掛留し、したがって血流から離れることができる。腫瘍の問題は、それらが、多くの場合、アンカーの形成を妨げ、それによってキラーT細胞がこれらの出口点を使用するのを妨げることである。癌性細胞を低線量放射線に曝露させることで、血管壁内でアンカー分子が形成される。さらに、健康な細胞および癌性細胞へ低線量を曝露することにより、腫瘍細胞に対して抗体が生成され、これは、数日間継続する。腫瘍の表面から1.5cmも離れたところに当たる低線量放射線は、健康な組織のみでなく近くの腫瘍細胞にも免疫応答を励起する。免疫応答が励起されることにより、これらの腫瘍細胞の成長が、その後減少する。低線量放射線によって生じる免疫応答は、細胞が腫瘍塊から周囲の健康な組織に侵入するのを防ぐという点で、さらなる利点を有する。
低線量放射線によって引き起こされる免疫応答の主な経路は、これらに限定されないが、a)T細胞およびB細胞のシグナル伝達の変化、b)抗原提示経路、c)B細胞の発生、d)OX40シグナル伝達経路が挙げられる。これらの経路は、マクロファージおよび単球における樹状細胞成熟、NF‐κBシグナル伝達、およびFcγ受容体媒介性食作用に関連する分子の産生をもたらす。
この免疫応答は、曝露24時間以内に活性化するのに対し、自然による場合は、通常、完全に活性化するまでに6〜8日要することが判明している。この迅速な応答が、低線量放射線を適用する上で非常に重要な特徴であり得る。低線量は、自然免疫応答および誘導された適応応答をオンにする。
低線量放射線の別の効果は、免疫応答の活性化であり、これは癌性組織に作用し、また周囲の健康な組織へ新生物細胞が逃げるのを防ぐものである。48〜72時間待機した後、化学療法剤を患者に投与することができる。
本発明の一実施形態では、低線量放射線は、5cGy〜15cGyの範囲にあり、低線量は中性子線または標準的なx線もしくはγ線によって投与されてもよい。本発明の一実施形態では、低線量放射線と化学療法用量の投与との間の期間(待機時間と称され得る)は、6〜48時間の間である。
化学療法薬は多くの様式で投与される:経口、身体内のさまざまな領域への注入、移植可能なウエハ、および保護時間枠内での局所投与である。
低線量放射線は、特定の修復遺伝子をオンにさせる適応応答を引き起こす。これらの遺伝子はその後、細胞への損傷を修復するために進行するタンパク質セットを産生する。これらのタンパク質の産生は、曝露後数時間で開始し、次に低線量放射線の照射後数日間進行する。この期間は、低線量放射線により、感受性細胞および組織を照射するために提供される保護時間枠である。
化学療法は、通常、2セッション間の休止期間を有するサイクルで与えられる。これにより、患者が治療の効果から回復できるようになり、また癌または腫瘍細胞を最も脆弱な時期に攻撃できるようになる。通常、最悪の副作用を減らすために、前投薬が与えられる。注入セッションは、数日間連続して、毎週またはさらに長い期間でスケジュールすることができる。
本発明の一実施形態では、照射された感受性細胞および組織(保護時間枠)内で生じた適応応答の時間依存性を使用する、低線量放射線および化学療法セッションの組み合わせに対して、様々な可能なスケジュールが提供される。標準的な化学療法セッションの実際のスケジュールは、標準作業週および作業規則によって制限されている。
以下のようなさまざまなスケジュールがあり得る:
週に1回:
例示的な実施形態では、腫瘍専門医が、化学療法セッションを週に1回患者に対して投与する必要があると決定した場合、患者には、保護時間枠中に、決定された化学療法薬を投与する。この場合、化学療法薬または薬剤を投与する前に、その特定の化学療法薬または化学療法剤および腫瘍組織に対して感受性のある患者の組織および器官に、低用量の放射線を照射して、感受性組織および器官における保護適応応答を調節するようにする。次に、約48〜72時間の待機時間の後、患者に化学療法薬または化学療法剤を投与する。患者への化学療法薬または化学療法剤の投与は、保護時間枠内に行われる。
3連続日:
別の例示的な実施形態では、腫瘍専門医がその患者について決定した化学療法セッションが3日連続である場合、本発明の実施形態によれば、このセッションは以下のようにスケジュールすることができる:最初に、低線量放射線の曝露を患者の感受性細胞および組織、ならびに新生物組織に与え、その後48〜72時間待機して、化学療法薬注入の初回投与を行う。次いで、24時間の待機期間後、第2の用量の化学療法薬を投与し、次いで24時間の待機期間後に、第3の用量の化学療法薬を患者に投与する。
本発明の一実施形態では、化学治療の強度に応じて、患者に1週間に複数の低線量放射線セッションで照射することができる。
本発明の別の実施形態では、ヒトの身体の健康な感受性細胞に対する化学療法薬の有害な影響を妨げるために、1回以上の低線量放射線セッションと1回以上の化学療法セッションとを織り込むための方法が提供される。この方法によれば、癌性細胞の近傍にはない可能性があるが、特定の化学療法剤に対して特に感受性がある1つ以上の非新生物細胞または組織もしくは器官、および新生物組織を所定の低線量放射線の標的とする。低線量放射線が、1つ以上の非新生物細胞または組織または器官における細胞修復プロセスおよび新生物組織における免疫応答を誘導する。修復プロセスは、保護時間枠期間中においては、活性なままである。その後、48〜72時間の待機期間を経過させる。待機期間後、保護時間枠期間が終了するまで、様々なレベルの化学療法剤が患者に投与される。化学療法剤の投与が完了せずに、保護時間枠期間が終了している場合、別の用量の化学療法剤を投与する前に、感受性細胞または組織または器官に再度低線量放射線を照射する。次に化学療法剤のまたは化学療法薬の残りの用量が、2回目の低線量放射線の防護時間枠期間中に患者に投与される。このプロセスは、化学療法薬のスケジュールされた用量が完全に患者に投与されるまで繰り返される。
低線量放射線セッションおよび化学注入セッションを織り込んで、その保護特性を最大限に活用する他の多くの可能なスケジュールが存在する。
このようにして、本発明は、低線量放射線の曝露が先に行われる化学療法による癌の治療的処置を提供する。明確にするために、腫瘍および周囲の健康な細胞の両方に低線量放射線が適用された場合、両方の細胞型の修復遺伝子が活性化される。しかし、癌細胞における免疫応答がその修復機構よりも強い場合、癌細胞は、正味の負の影響を受ける。ヒト細胞に関する予備的な結果では、免疫応答が修復応答より数倍(最大5倍)強いことを示している。低線量曝露後、標準的な化学療法手順が適用される。
本発明の一実施形態では、化学療法剤または化学療法薬に対して感受性のある細胞または組織または器官において保護的適応応答を誘導するために低線量放射線を使用する方法を使用して、治療に使用できる化学療法剤の数を増やすことができる。化学療法薬が異なれば、癌性細胞または腫瘍細胞を死滅させるにあたって異なる効果を有する。これらの剤の一部は、癌性細胞を死滅させるのには非常に効果的であるが、健康な細胞への致死効果により、これらの薬剤の臨床使用が大きく制限されている。本発明の方法は、これらの化学療法薬を使用するための戦略を考案するために使用することができる。一実施形態では、方法は、癌性細胞に対して有効である化学療法薬を同定することと、この化学療法薬に対して感受性のある1つ以上の健康な細胞または組織を同定することと、この1つ以上の感受性細胞または組織に低線量放射線を照射することと、次いで、低線量放射線の防護時間枠の間にこの化学療法薬を患者に投与して、健康な組織または細胞に対するこの化学療法薬の致命的な影響を患者が受けないようにし、癌の死滅率を最適化することと、を含む。
癌性細胞を死滅させるのに非常に効果的であるが、ある特定の健康な細胞に対してはかなり致命的でもある化学療法薬を検討する。低線量放射線を適用することで、化学療法剤によって引き起こされた損傷を十分に修復することができる修復遺伝子が活性化される場合、この化学療法剤は、低線量曝露後の患者の治療に使用することができる。例えば、アントラサイクリン系抗生物質などの癌化学療法薬は、多くの癌の型の治療に使用されているが、その主な副作用が心毒性である。これは、研究論文「Cardiovascular toxicity induced by chemotherapy, targeted agents and radiotherapy:ESMO Clinical Practice Guidelines.Annuals of Oncology Oct;23 Suppl 7,vii155−66」に開示されている。癌治療にアントラサイクリン系抗生物質を使用することについては、本方法は、適応応答を誘導するのに十分な低線量放射線に心臓細胞を曝露することによって使用することができる。その後、保護時間枠内に、アントラサイクリン系抗生物質を使用することで、重篤な心毒性を誘導することなく、癌細胞を治療することができる。
本発明の別の実施形態では、本発明は、腫瘍を有する患者ならびに手術後に腫瘍が除去された術後患者に使用することができる。外科的手技により腫瘍を除去または減量している患者において、化学療法プロセスは、一般的に、手技後に残存した腫瘍片をいずれも死滅させるために使用される。化学療法薬を投与する前に、感受性細胞および組織は、これらの細胞における保護的適応応答を誘導するために低線量放射線に曝露される。
本発明の別の実施形態では、癌性細胞を死滅させる方法は、(a)低線量放射線を新生物組織および新生物細胞を取り囲んでいる非新生物細胞ならびに化学療法薬に対して感受性のある細胞に投与することであって、低線量放射線が、新生物組織に対する抗体を誘発し、非新生物細胞および化学療法薬に対して感受性のある非新生物細胞において修復機構を誘発し、かつ新生物組織への低線量放射線により、新生物組織内の血管内にアンカーが形成され、これによりアンカーに対する抗体の掛留を助け、抗体が近くの新生物組織に侵入して、それらを死滅させることができるようにする、投与することと、(b)48〜72時間の期間待機して、化学療法薬を注入して新生物組織に作用させることとを含む。
他の実施形態では、低線量放射線を適用することはまた、癌細胞に対する身体の典型的な免疫応答よりもより迅速にかつ効率よく、身体内において即時の免疫応答を励起するために使用することができる(24〜48時間対約6日間)。健康な身体細胞に照射することで、細胞表面上に提示されたシグナルによって免疫系に警告を発する細胞内において、DNA損傷が誘導される。この効果は、先天性免疫システムと腫瘍サーベイランスに強い関連がある。免疫応答の活性化は、低線量放射線の影響と癌へのその影響の研究において重要な手段である。免疫応答は、局所的炎症と闘い、また照射された組織の近くまたは内部、また全身に配置された癌細胞を攻撃することによって、癌の成長を遅らせる。低線量放射線により免疫応答が誘導されることにより、全身にわたって適応応答が生じ、その後の化学療法剤による治療が健康な細胞および組織に及ぼす悪影響を妨げる。
別の実施形態では、本発明の方法は、同様の可能な順序で使用することができる。例えば、この方法は、腫瘍組織に隣接しているかまたは特定の薬物および新生物組織に対して感受性のある遠位に位置する健康な細胞(非新生物細胞)に低線量放射線を投与することを含む。健康な細胞に対する低線量放射線は、適応防御応答を誘発し、腫瘍組織に対しては免疫応答を誘発する。その後、48〜72時間の待機時間が観察され、その間に抗体が腫瘍組織に作用する可能性がある。その後、低線量放射線が再び健康な非新生物細胞に投与され、その結果、それら細胞において適応応答が引き起こされる。24時間の待機期間の後、化学療法剤が身体内に注入されて、残りの癌性細胞に作用する。本発明では、非新生物細胞および新生物細胞への低線量放射線を化学療法剤の注入と共に織り込むための別の可能なスケジュールを想定する。
本発明の他の実施形態が本明細書の考察および本発明の実施から当業者には明らかであることは、当業者には明らかであろう。本発明の前述の説明により、当業者が現在その最良の形態であると考えられるものを製造および使用することが可能になるが、当業者は、特定の実施形態、方法および本明細書の実施例の変形、組合せ、ならびに等価物の存在を理解し、かつ認識するであろう。したがって、本発明は、上記の実施形態、方法、および実施例によって限定されるべきではなく、本発明の範囲および趣旨内のすべての実施形態および方法によって限定されるべきである。明細書および実施例は、特許請求の範囲によって示される本発明の真の範囲および趣旨において、例示としてみなされることを意図するものである。

Claims (18)

  1. 癌性細胞を死滅させる方法であって、
    (a)新生物組織、新生物組織を取り囲んでいる非新生物細胞、および化学療法薬に対して感受性のある非新生物細胞に低線量放射線を投与することであって、
    前記低線量放射線が、新生物組織に対する抗体を誘発し、前記非新生物細胞および前記化学療法薬に対して感受性のある前記非新生物細胞において修復機構を誘発し、
    かつ新生物組織への前記低線量放射線により、前記新生物組織内の血管内にアンカーが形成され、これによりアンカーに対する抗体の掛留を助け、前記抗体が近くの新生物細胞に侵入して、それらを死滅させることができるようにする、投与することと、
    (b)48〜72時間待機して、化学療法薬を注入して前記新生物組織に作用させることと、を含む、方法。
  2. 前記非新生物細胞に照射することにより、細胞修復タンパク質に関与する1つ以上の遺伝子経路を調節する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記非新生物細胞に対する低線量放射線による遺伝子経路の前記調節を用いて、前記1つ以上の非新生物細胞に対する1つ以上の医薬品または化学薬品剤の反応を決定することができる、請求項2に記載の方法。
  4. 前記非新生物細胞に対する低線量放射線による遺伝子経路の前記調節を放射線障害から保護するため(例えば放射線作業員、応急措置者、および宇宙飛行士)に使用することができる、請求項2に記載の方法。
  5. 前記低線量放射線が、5cGy〜20cGyの範囲内である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記非新生物細胞が、新生物性疾患の標的新生物細胞と接触しているかまたは近接している、請求項1に記載の方法。
  7. 化学療法による癌の治療的処置方法である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記低線量が、中性子線ならびに標準的なX線/ガンマ線によって投与され得る、請求項1に記載の方法。
  9. 癌性細胞を死滅させるための方法であって、
    (a)腫瘍組織、化学療法薬に対して感受性のある組織、および腫瘍組織の近傍に存在する1つ以上の非新生物細胞を所定の低線量放射線により標的化することであって、前記低線量放射線が、腫瘍組織に対する免疫応答、前記化学療法薬に対して感受性のある前記1つ以上の非新生物細胞および組織における細胞修復プロセスを誘導し、前記腫瘍組織への前記低線量放射線により、前記腫瘍組織内の前記血管内にアンカーが形成され、これによりアンカーに対する抗体の掛留を助け、前記抗体が近くの腫瘍細胞に侵入して、それらを死滅させることができるようにする、標的化することと、
    (b)48〜72時間待機して、化学療法薬を注入して前記腫瘍組織に作用させることと、を含み、推奨される高放射線量が完了するまで、上記のステップが繰り返される、方法。
  10. 低線量放射線が、細胞修復タンパク質を誘導するために、非新生物細胞の1つ以上の遺伝子経路を調節する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記低線量放射線が、5cGy〜20cGyの範囲内である、請求項9に記載の方法。
  12. 前記低線量放射線によって開始される前記免疫応答が、新生物細胞の増殖を阻害する、請求項9に記載の方法。
  13. 前記免疫応答が、前記化学療法薬に対して感受性のある前記健康な非新生物細胞および組織を前記化学療法薬から保護する、請求項9に記載の方法。
  14. 癌性細胞を死滅させる方法であって、
    (a)新生物組織、新生物組織を取り囲んでいる非新生物細胞、および化学療法薬に対して感受性のある非新生物細胞に低線量放射線を投与することであって、
    前記低線量放射線が、新生物組織に対する抗体を誘発し、前記非新生物細胞および前記化学療法薬に対して感受性のある前記非新生物細胞において修復機構を誘発し、
    かつ新生物組織への前記低線量放射線により、前記新生物組織内の血管内にアンカーが形成され、これによりアンカーに対する抗体の掛留を助け、前記抗体が近くの新生物細胞に侵入して、それらを死滅させることができるようにする、投与することと、
    (b)48〜72時間待機し、新生物組織を取り囲んでいる前記非新生物細胞および前記化学療法薬に対して感受性のある非新生物細胞に第2の所定の低線量放射線を投与することであって、前記第2の所定の低線量放射線が、前記非新生物細胞において修復機構を誘発する、投与することと、
    (c)24時間待機して、化学療法薬を注入して、前記新生物組織に作用させることと、を含む、方法。
  15. 前記低線量放射線が5cGy〜15cGyの範囲内である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記低線量放射線が、前記非新生物細胞における修復機構に関与する遺伝子を調節する、請求項14に記載の方法。
  17. 新生物組織に対する抗体により、浸潤新生物細胞が非新生物細胞に侵入するのを妨げる、請求項14に記載の方法。
  18. 非新生物細胞における前記修復機構が、前記化学療法薬から前記細胞を保護する、請求項14に記載の方法。
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