統合された様式の複数の処理ユニットを用いて供給原油を石油化学製品に転化することが可能なプロセススキーム配置が開示される。この設計は、水蒸気分解炉複合設備に適した原料を調製するのに最小限の設備投資しか利用しない。原油を、オレフィン及び芳香族化合物をはじめとする石油化学生成物、ならびに燃料製品へと転化する統合プロセスは、混合原料水蒸気分解及び軽油水蒸気分解を含む。混合原料水蒸気分解炉への供給原料は、装置の境界内にある減圧残油水素化分解を含む、装置の境界内にある水素化処理域から出る1つまたは複数のナフサ留分、C3及びC4オレフィン回収工程から出る循環使用流、ならびに装置の境界内にある熱分解ガソリン芳香族化合物抽出域から出る抽残液を含む。軽油水蒸気分解炉への供給原料は、ある特定の実施形態において、減圧残油水素化分解域から出る軽油範囲の中間体を含む。また、基油製造センターが統合されて、合成潤滑油または相当する潤滑油原料の製造に使用される基油製品を提供する。
「主要部分」という語句は、特定の1つまたは複数の流に関して、少なくとも約50重量%〜最高100重量%、または別の指定単位での同じ値を意味する。
「相当部分」という語句は、特定の1つまたは複数の流に関して、少なくとも約75重量%〜最高100重量%、または別の指定単位での同じ値を意味する。
「実質的部分」という語句は、特定の1つまたは複数の流に関して、少なくとも約90、95、98、または99重量%、及び最高100重量%まで、または別の指定単位での同じ値を意味する。
「少量部分」という語句は、特定の1つまたは複数の流に関して、約1、2、4、または10重量%から、最高約20、30、40、または50重量%まで、または別の指定単位での同じ値を意味する。
「原油」という用語は、本明細書中使用される場合、地層から抽出された、その未精製形状にある石油を示す。本明細書中のプロセスの原料に適した原油として、アラビアン・ヘビー、アラビアン・ライト、アラビアン・エクストラ・ライト、他のガルフ原油、ブレント、北海原油、ノース及びウェストアフリカン原油、インドネシアン、チャイニーズ原油、またはそれらの混合物が挙げられる。粗石油混合物として、全原油または抜頭原油が可能である。本明細書中使用される場合、「原油」は、水油分離;及び/またはガス油分離;及び/または脱塩;及び/または安定化などある種の前処理を施された混合物も示す。ある特定の実施形態において、原油は、API比重(ASTM D287標準)が約20°、30°、32°、34°、36°、38°、40°、42°、または44°以上であるそのような混合物のいずれかを示す。
「AXL」という頭字語は、本明細書中使用される場合、API比重が約38°、40°、42°、または44°以上であること、及びある特定の実施形態において約38°〜46°、38°〜44°、38°〜42°、38°〜40.5°、39°〜46°、39°〜44°、39°〜42°、または39°〜40.5°の範囲にあることを特徴とするアラブ・エクストラ・ライト原油を示す。
「AL」という頭字語は、本明細書中使用される場合、API比重が約30°、32°、34°、36°、または38°以上であること、及びある特定の実施形態において約30°〜38°、30°〜36°、30°〜35°、32°〜38°、32°〜36°、32°〜35°、33°〜38°、33°〜36°、または33°〜35°の範囲にあることを特徴とするアラブ・ライト原油を示す。
「LPG」という頭字語は、本明細書中使用される場合、「液化石油ガス」という用語について周知の頭字語を示し、一般的に、C3−C4炭化水素混合物である。ある特定の実施形態において、これらは「軽留分」とも示される。
「ナフサ」という用語は、本明細書中使用される場合、約20〜205、20〜193、20〜190、20〜180、20〜170、32〜205、32〜193、32〜190、32〜180、32〜170、36〜205、36〜193、36〜190、36〜180、または36〜170℃の範囲で沸騰する炭化水素を示す。
「軽質ナフサ」という用語は、本明細書中使用される場合、約20〜110、20〜100、20〜90、20〜88、32〜110、32〜100、32〜90、32〜88、36〜110、36〜100、36〜90、または36〜88℃の範囲で沸騰する炭化水素を示す。
「重質ナフサ」という用語は、本明細書中使用される場合、約90〜205、90〜193、90〜190、90〜180、90〜170、93〜205、93〜193、93〜190、93〜180、93〜170、100〜205、100〜193、100〜190、100〜180、100〜170、110〜205、110〜193、110〜190、110〜180、または110〜170℃の範囲で沸騰する炭化水素を示す。
ある特定の実施形態において、ナフサ、軽質ナフサ、及び/または重質ナフサは、原油蒸留、または本明細書中記載されるとおりの中間体精製プロセスの蒸留により得られる、そのような石油留分を示す。
「直留」という修飾用語は、本明細書中、その周知の意味を有するものとして使用される、すなわち、常圧蒸留ユニットから直接得られる、任意選択でスチームストリッピングに供されているが、水素化処理、流動接触分解、または水蒸気分解など他の精製処理は施されていない留分を記載する。この例として、「直留ナフサ」及びその頭字語「SRN」があり、したがってこの例は、周知のとおり、常圧蒸留ユニットから直接得られる、任意選択でスチームストリッピングに供された、上記で定義される「ナフサ」を示す。
「灯油」という用語は、本明細書中使用される場合、約170〜280、170〜270、170〜260、180〜280、180〜270、180〜260、190〜280、190〜270、190〜260、193〜280、193〜270、または193〜260℃の範囲で沸騰する炭化水素を示す。
「灯軽油」という用語は、本明細書中使用される場合、約170〜250、170〜235、170〜230、170〜225、180〜250、180〜235、180〜230、180〜225、190〜250、190〜235、190〜230、または190〜225℃の範囲で沸騰する炭化水素を示す。
「灯重油」という用語は、本明細書中使用される場合、約225〜280、225〜270、225〜260、230〜280、230〜270、230〜260、235〜280、235〜270、235〜260、または250〜280℃の範囲で沸騰する炭化水素を示す。
「常圧軽油」という用語及びその頭字語「AGO」は、本明細書中使用される場合、約250〜370、250〜360、250〜340、250〜320、260〜370、260〜360、260〜340、260〜320、270〜370、270〜360、270〜340、または270〜320℃の範囲で沸騰する炭化水素を示す。
「重質常圧軽油」という用語及びその頭字語「H−AGO」は、本明細書中使用される場合、ある特定の実施形態において、高温側3〜30℃の範囲を含むAGOの沸騰範囲にある炭化水素の最も重質なカットを示す(例えば、約250〜360℃の範囲を有するAGOの場合、H−AGOの範囲は、約330〜357℃の初留点及び約360℃の終点を含む)。
「中質常圧軽油」という用語及びその頭字語「M−AGO」は、本明細書中使用される場合、ある特定の実施形態において、H−AGOと合わせて、H−AGOが取り出された後の残存AGO、すなわち、高温側約3〜30℃の範囲を除くAGO沸騰範囲の炭化水素を示す(例えば、約250〜360℃の範囲を有するAGOの場合、M−AGOの範囲は、約250℃の初留点及び約330〜357℃の終点を含む)。
ある特定の実施形態において、「ディーゼル」という用語は、常圧蒸留ユニットから出る直留留分に関して使用される。この用語が使用される実施形態において、ディーゼル留分は、中質AGO範囲の炭化水素を示し、ある特定の実施形態において、灯重油範囲の炭化水素と合わせたものでもある。
「常圧残油」という用語及びその頭字語「AR」は、本明細書中使用される場合、AGO範囲の炭化水素の終点に相当する初留点を有するとともに、供給原油の特質に基づく終点を有する、塔底炭化水素を示す。
「減圧軽油」という用語及びその頭字語「VGO」は、本明細書中使用される場合、約370〜550、370〜540、370〜530、370〜510、400〜550、400〜540、400〜530、400〜510、420〜550、420〜540、420〜530、または420〜510℃の範囲で沸騰する炭化水素を示す。
「減圧軽質軽油」という用語及びその頭字語「LVGO」は、本明細書中使用される場合、約370〜425、370〜415、370〜405、370〜395、380〜425、390〜425、または400〜425℃の範囲で沸騰する炭化水素を示す。
「減圧重質軽油」という用語及びその頭字語「HVGO」は、本明細書中使用される場合、約425〜550、425〜540、425〜530、425〜510、450〜550、450〜540、450〜530、または450〜510℃の範囲で沸騰する炭化水素を示す。
「減圧残油」という用語及びその頭字語「VR」は、本明細書中使用される場合、VGO範囲の炭化水素の終点に相当する初留点を有するとともに、供給原油の特質に基づく終点を有する、塔底炭化水素を示す。
「燃料」という用語は、エネルギー担体として使用される原油由来製品を示す。石油精製所により一般に製造される燃料として、ガソリン、ジェット燃料、ディーゼル燃料、燃料油、及び石油コークスが挙げられるが、これらに限定されない。明確な化合物の集合である石油化学製品とは異なり、燃料は、典型的には様々な炭化水素化合物の複雑な混合物である。
「灯油燃料」または「灯油燃料製品」という用語は、エネルギー担体として使用される燃料製品、例えば、ジェット燃料、または他の灯油範囲の燃料製品(及びそのようなジェット燃料または他の灯油範囲の燃料製品を製造するための前駆体)を示す。灯油燃料として、JetAまたはJetA−1ジェット燃料仕様を満たす灯油燃料製品が挙げられるが、これらに限定されない。
「ディーゼル燃料」及び「ディーゼル燃料製品」という用語は、圧縮点火エンジンに適したエネルギー担体として使用される燃料製品(及びそのような燃料製品を製造するための前駆体)を示す。ディーゼル燃料として、ユーロVディーゼル基準(Euro V diesel standards)に準拠した超低硫黄ディーゼルが挙げられるが、これに限定されない。
「芳香族炭化水素」または「芳香族化合物」という用語は、当該分野で非常に周知である。したがって、「芳香族炭化水素」という用語は、仮想局在構造(例えば、ケクレ構造)の安定性よりも顕著に高い安定性を持つ環状に結合した炭化水素(非局在化による)を示す。所定の炭化水素の芳香属性を判定する最も一般的な方法は、その炭化水素の1H NMRスペクトル中にジアトロピシティ(diatropicity)が観察されるかどうか、例えば、7.2〜7.3ppmの範囲にベンゼン環プロトンの化学シフトが存在するかどうかである。
「ナフテン炭化水素」または「ナフテン」または「シクロアルカン」という用語は、本明細書中、それらの用語の確立された意味を有するものとして使用され、したがって、それら分子の化学構造中に1つまたは複数の炭素原子環を有する種類のアルカンを示す。
「ワイルドナフサ」という用語は、本明細書中、水素化処理ユニット、例えば、留分水素化処理ユニット、ディーゼル水素化処理ユニット、及び/または軽油水素化処理ユニットに由来するナフサ製品を示すのに使用される。
「未転化油」という用語及びその頭字語「UCO」は、本明細書中、その既知の意味を有するものとして使用され、水素化分解装置から出る、窒素、硫黄、及びニッケル含有量が低く、AGO範囲の炭化水素の終点に相当する初留点、及びある特定の実施形態において約340〜370℃の範囲、例えば、約340、360、または370℃の初留点、ならびに約510〜560℃の範囲の終点、例えば、約540、550、または560℃の終点を有する炭化水素を含むパラフィン濃度の高い留分を示す。UCOは、当該産業において、「ハイドロワックス」を含む他の同義語でも知られている。
「C#炭化水素」または「C#」は、本明細書中、その用語の周知の意味を有するものとして使用される、すなわち、「#」が整数値である場合に、その値の個数の炭素原子を有する炭化水素を意味する。「C#+炭化水素」または「C#+」という用語は、その値以上の個数の炭素原子を有する炭化水素を示す。「C#−炭化水素」または「C#−」という用語は、その値以下の個数の炭素原子を有する炭化水素を示す。同様に、範囲も指定され、例えばC1−C3は、C1、C2、及びC3を含む混合物を意味する。
「石油化学製品」または「石油化学生成物」という用語は、燃料として使用されない、原油由来の化学生成物を示す。石油化学生成物として、化学製品及びポリマーを製造する基本原料として使用されるオレフィン及び芳香族化合物が挙げられる。典型的なオレフィン石油化学生成物として、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ブチレン−1、イソブチレン、イソプレン、シクロペンタジエン、及びスチレンが挙げられるが、これらに限定されない。典型的な芳香族石油化学生成物として、ベンゼン、トルエン、キシレン、及びエチルベンゼンが挙げられるが、これらに限定されない。
「オレフィン」という用語は、本明細書中、その周知の意味を有するものとして使用される、すなわち、少なくとも1つの炭素炭素二重結合を有する不飽和炭化水素である。複数形の場合、「olefins(オレフィン)」という用語は、少なくとも1つの炭素炭素二重結合を有する不飽和炭化水素が2種以上含まれる混合物を意味する。ある特定の実施形態において、「オレフィン」という用語は、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ブチレン−1、イソブチレン、イソプレン、及びシクロペンタジエンのうち2種以上を含む混合物に関する。
「BTX」という用語は、本明細書中使用される場合、ベンゼン、トルエン、及びキシレンに関する周知の頭字語を示す。
「メイクアップ水素」という用語は、本明細書中、水素化処理域に関連して、従来式に統合された分離容器から出る循環使用量を超えた、その域で必要とされる水素を示すのに使用される。ある特定の実施形態において、本明細書中使用される場合、水素化処理域またはある域内の反応器のどれであっても、その中のメイクアップ水素の全部または一部は、統合プロセス及びシステムの水蒸気分解域(複数可)に由来するガスによるものである。
「原料から化学製品への転化」という用語は、本明細書中使用される場合、原油を石油化学製品に転化することを示し、石油化学製品として、低級オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン(イソブチレンを含む)、ブタジエン、MTBE、ブタノール、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、キシレン、及びこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
「原料から化学製品への転化比」という用語は、本明細書中使用される場合、質量基準での、脱塩前の流入原油対石油化学製品の比を示す。
「粗C4」という用語は、水蒸気分解域から出る混合C4流出油を示す。
「C4抽残液1」または「C4Raff−1」という用語は、ブタジエン抽出ユニットに残る混合C4流、すなわち、ブタジエンを除く粗C4由来の混合C4を示す。
「C4抽残液2」または「C4Raff−2」という用語は、MTBEユニットに残る混合C4流、すなわち、ブタジエン及びイソブテンを除く粗C4由来の混合C4を示す。
「C4抽残液3」または「C4Raff−3」という用語は、C4蒸留ユニットに残る混合C4流、すなわち、ブタジエン、イソブテン、及びブタン−1を除く粗C4由来の混合C4を示す。
「熱分解ガソリン」という用語及びその略語「pyガス」は、本明細書中、それらの周知の意味を有するものとして使用される、すなわち、C5〜C9の範囲の熱分解生成物であり、例えば、約204.4℃(400°F)、ある特定の実施形態において、最高約148.9℃(300°F)の終点を有する。
「熱分解油」という用語及びその略語「py油」は、本明細書中、それらの周知の意味を有するものとして使用される、すなわち、水蒸気分解に由来する重質油留分、C10+である。
「軽質熱分解油」という用語及びその頭字語「LPO」は、本明細書中使用される場合、ある特定の実施形態において、約440、450、460、または470℃の終点を有する熱分解油を示す。
「重質熱分解油」という用語及びその頭字語「HPO」は、本明細書中使用される場合、ある特定の実施形態において、約440、450、460、または470℃の初留点を有する熱分解油を示す。
一般に、供給原油から石油化学製品及び燃料製品を製造する統合プロセスは、常圧蒸留域で、供給原油から、少なくとも、直留ナフサを含む第一常圧蒸留域留分;中質留分の少なくとも一部を含む第二常圧蒸留域留分、及び常圧残油を含む第三常圧蒸留域留分を分離する、最初の分離工程を含む。減圧軽油を含む第一減圧蒸留域留分は、減圧蒸留域で、第三常圧蒸留域留分から分離される。ディーゼル水素化精製装置などの留分水素化処理(「DHP」)域において、第二常圧蒸留域留分の少なくとも一部が処理されて、少なくとも、第一DHP留分及び第二DHP留分が生成され、この第一DHP留分は、ナフサを含み、第二DHP留分は、ディーゼル燃料製造に使用される。第一減圧蒸留域留分(及び任意選択で、常圧軽油留分の全部または一部、あるいは重質常圧軽油留分の全部または一部)は、軽油水素化分解域で処理されて、ナフサ、中質留分、及び未転化油を生成する。未転化油は、軽油水蒸気分解域で処理する、または基油製造センターに送ることが可能であり、基油製造センターで、未転化油は、合成潤滑油または相当する潤滑油原料の製造のため、接触脱ろう及び水素化仕上げを受ける。
ある特定の実施形態において、減圧蒸留域から出る減圧残油の少なくとも一部は、減圧残油水素化処理域、例えば、残油水素化分解装置で処理される(ある特定の実施形態において、先行残油水素化精製工程を含む)。残油水素化処理域は、ナフサ、中質留分、未転化油、及びピッチを生成する。減圧残油水素化処理域から出る未転化油(及び任意選択で、他の供給原料)は、減圧軽油水素化処理域から出る未転化油とともに軽油流分解域で処理する、または任意選択で基油製造センターに送ることが可能である。
少なくとも第一常圧蒸留域留分及び芳香族化合物抽出域から出る熱分解ガソリン抽残液は、混合原料水蒸気分解域で処理される。混合原料水蒸気分解域及び軽油水蒸気分解域から出る生成物は、H2、メタン、エタン、エチレン、混合C3、及び混合C4を含む統合されたまたは別個の混合生成物流(複数可);熱分解ガソリン流(複数可);ならびに熱分解油流(複数可)を含む。
混合生成物流(複数可)から、C3及び混合C4、ならびに石油化学製品であるエチレン、プロピレン、及びブチレンが、回収される。エタン及び非オレフィンC3は混合原料水蒸気分解域へと循環使用され、非オレフィンC4は混合原料水蒸気分解域へと循環使用されるか、またはさらなる石油化学製品の製造のため別個の処理域に送られる。熱分解ガソリンは、pyガス水素化処理域で精製されて、水素化精製熱分解ガソリンを生成する。水素化精製熱分解ガソリンは、芳香族化合物抽出域に送られて、芳香族化合物生成物及び芳香族化合物抽出域抽残液が回収され、抽残液は、混合原料水蒸気分解域へと循環使用される。
エタンならびに非オレフィンC3及びC4は回収されて、エタン及び非オレフィンC3は水蒸気分解複合装置へと循環使用され、非オレフィンC4は水蒸気分解複合装置へと循環使用されるか、プロピレン及び/または混合ブタノール液などさらなる石油化学製品を製造するために別個の処理域に送られる。熱分解ガソリンは、pyガス水素化処理域で精製されて、水素化精製熱分解ガスが生成し、水素化精製熱分解ガスは芳香族化合物抽出複合装置に送られて、芳香族石油化学製品及び熱分解ガソリン抽残液を含む抽残液が回収され、熱分解ガソリン抽残液は水蒸気分解複合装置へと循環使用される。
図1、図2、及び図3は、原油を石油化学製品及び燃料製品に転化するプロセス及びシステムの実施形態を図示し、これには、混合原料水蒸気分解域、減圧残油調整域、軽油水蒸気分解域、及び基油製造センターが含まれる。概して、図1及び図2は、混合原料水蒸気分解域(「MFSC」)230及び軽油水蒸気分解域250の上流の運転を示し、一方、図3は、原油転化域の下流の運転を、混合原料水蒸気分解域230及び軽油水蒸気分解域250も含めて示す。統合プロセス及びシステムは、減圧軽油水素化処理域を含み、減圧軽油水素化処理域は、図1に示すとおり減圧軽油水素化分解装置320として、または図2に示すとおり減圧軽油水素化精製装置300として作動することが可能である。
混合原料水蒸気分解域及び軽油水蒸気分解域は、簡潔にするため、図3、図4、図5、及び図6において、単一の模式的ブロック230/250で示される。
本明細書中の説明において、混合原料水蒸気分解域230及び軽油水蒸気分解域250は両方とも、ある特定の場合において、まとめて「水蒸気分解炉複合設備」230/250と称するが、当業者ならお分かりのとおり、水蒸気分解域が異なれば、含まれる炉及び関連する交換機も異なり、それぞれから出る特定の生成物は、下流でのさらなる運転のためまとめられる。ある特定の実施形態において、クエンチシステム及び分留ユニットを組み合わせることが可能である。さらなる実施形態において、別個のクエンチシステム及び分留ユニットを、混合原料水蒸気分解域230及び軽油水蒸気分解域250のそれぞれ用に使用することが可能である。
図1を参照すると、供給原油102は、ある特定の実施形態においてAXLまたはALであるが、これは、原油処理複合装置100で複数の留分に分離され、複合装置100は、典型的には、常圧蒸留域(「ADU」)110、飽和ガスプラント150、及び減圧蒸留域(「VDU」)160を備える。供給原油102は、ある特定の実施形態においてLPG及び軽質ナフサが除去されたものであるが、これは、常圧蒸留域110で複数の留分に分離される。図1に示すとおり、軽質生成物、例えば、炭素数が6未満の軽質炭化水素などは、混合原料水蒸気分解域230に送られる。詳細には、エタン、プロパン、及びブタンを含むC2−C4炭化水素152は、飽和ガスプラント150を介して、常圧蒸留域110から出る軽留分及びLPG112から分離される。任意選択で、他の軽質生成物、例えば統合システム内の精製ユニットから出る軽質ガス及びある特定の実施形態において装置の境界の外側からくる軽質ガスなどは、破線で示される流156として、飽和ガスプラント150に送られる。分離されたC2−C4炭化水素152は、混合原料水蒸気分解域230に送られる。飽和ガスプラント150から出る排出ガス154ならびに混合原料水蒸気分解域230及び軽油水蒸気分解域250から出る排出ガス208は、典型的に知られているとおりに、取り出し及び回収され、例えば、燃料ガス(「FG」)システムに拠出される。
常圧蒸留域110から出る直留ナフサ136は、混合原料水蒸気分解域230に送られる。ある特定の実施形態において、直留ナフサ136の全部、実施的部分、または相当部分が、混合原料水蒸気分解域230に送られる。残存ナフサ(もしあれば)は、ガソリンプールに加えることが可能である。また、ある特定の実施形態において、直留ナフサ流136は、本明細書中記載されるとおり他の供給源からのナフサを含有し、場合によっては、ワイルドナフサ、例えば、統合された留分、軽油、及び/または残油水素化処理ユニット、または基油製造センターの1つまたは複数由来のナフサ範囲炭化水素を示す。
中質留分は、ディーゼル及び/または灯油の製造に、ならびに混合原料水蒸気分解域230への追加供給に使用される。図1に示す実施形態において、少なくとも3種の異なる中質留分カットが、燃料製品及び石油化学製品の製造用に(水蒸気分解炉を介して)処理される。図1に示す配置を用いた1つの例において、第一常圧蒸留域中質留分116は、ある特定の実施形態において灯油留分と称するが、これは、灯軽油範囲の炭化水素を含有し、第二常圧蒸留域中質留分122は、ある特定の実施形態においてディーゼル留分と称するが、これは、灯重油範囲の炭化水素及び中質AGO範囲の炭化水素を含有し、第三常圧蒸留域中質留分126は、ある特定の実施形態において常圧軽油留分と称するが、これは、重質AGO範囲の炭化水素を含有する。図1に示す配置を用いた別の例において、第一中質留分116は、灯油範囲の炭化水素を含有し、第二中質留分122は、中質AGO範囲の炭化水素を含有し、第三中質留分126は、重質AGO範囲の炭化水素を含有する。図1に示す配置を用いた別の例において、第一中質留分116は、灯軽油範囲の炭化水素及び灯重油範囲の炭化水素の一部を含有し、第二中質留分122は、灯重油範囲の炭化水素の一部及び中質AGO範囲の炭化水素の一部を含有し、第三中質留分126は、中質AGO範囲の炭化水素の一部及び重質AGO範囲の炭化水素を含有する。
例えば、第一中質留分116は、灯油精製(sweetening)プロセス170で処理して、灯油燃料製品172、例えば、JetAまたはJetA−1仕様を満たすジェット燃料、及び任意選択で他の燃料製品(示さず)を生成することが可能である。本明細書中ある特定の実施形態において、第一中質留分116の全部または一部は、燃料製造に使用されず、その代わりに混合原料水蒸気分解域230への追加供給原料を製造するために、留分水素化処理の供給原料として使用される。
第二中質留分122は、ディーゼル水素化精製域180などの留分水素化処理域で処理されて、ワイルドナフサ184及びディーゼル燃料留分182、例えば、ユーロVディーゼル基準を満たすものを生成する。さらなる実施形態において、第一中質留分116の全部または一部を、破線で示すとおり、第二中質留分122と合わせて精製することが可能である。さらなる実施形態において、ディーゼル水素化精製域180は、減圧水素化分解域800または基油製造センター450から出る留分生成物も処理することが可能である。ワイルドナフサ184の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、混合原料水蒸気分解域230に送られ;混合原料水蒸気分解域230に送られない任意部分は、ガソリンプールに送ることが可能である。ある特定の実施形態において、ワイルドナフサ184は、単独で、または統合プロセス内由来の他のワイルドナフサ留分と組み合わせて、原油処理複合装置100を通過する。ワイルドナフサ184が原油処理複合装置100を通過する実施形態において、ディーゼル水素化精製域180で生成した液化石油ガスの全部または一部は、ワイルドナフサと共に送ることが可能である。
ある特定の実施形態において(破線で示されるとおり)、第三中質留分126の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、減圧軽油流162と組み合わせて、減圧軽油水素化処理域に送られ;減圧軽油水素化処理域に送られない任意部分は、水素化処理せずに軽油水蒸気分解域250に送ることが可能である。さらなる実施形態において(破線で示されるとおり)、第三中質留分126の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、水素化処理せずに軽油水蒸気分解域250に送られ、軽油水蒸気分解域250に送られない任意部分は、減圧軽油水素化処理域に送ることが可能である。
常圧蒸留域110から出る常圧残油留分114は、減圧蒸留域160でさらに分離される。示すとおり、減圧蒸留域160から出る減圧軽油162は、減圧軽油水素化処理域に送られる。ある特定の実施形態において、減圧軽油は、減圧軽油水素化処理域を迂回して、軽油水蒸気分解域250に送ることが可能である(図示せず)。ある特定の実施形態において、常圧残油留分114の少量部分は、減圧蒸留域160を迂回することが可能であり、減圧残油水素化分解域800及び/または軽油水蒸気分解域250に送られる(図示せず)。
ある特定の実施形態において、減圧軽油162の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、減圧軽油水素化処理域に送られる。水素化処理されない任意部分は、軽油水蒸気分解域250に送ることが可能である。ある特定の任意選択実施形態において、減圧軽油水素化処理域は、減圧軽油及び任意選択で常圧軽油に加えて、減圧水素化分解域800から出る常圧及び/または減圧軽油範囲の生成物も処理することが可能である。図1に示すとおり、減圧軽油水素化処理は、減圧軽油水素化分解域320を伴っており、減圧軽油水素化分解域320は、穏やかな、中度の、または厳しい水素化分解条件下で作動可能であり、一般に、水素化分解ナフサ留分326、ディーゼル燃料留分322、及び未転化油留分324を生成させる。ディーゼル燃料留分322は、燃料として、例えば、ユーロVディーゼル基準を満たす燃料として回収され、ディーゼル水素化精製域180から出るディーゼル燃料留分182とまとめることが可能である。図2に示すとおり、減圧軽油水素化処理は、減圧軽油水素化精製域300を伴っており、減圧軽油水素化精製域300は、穏やかな、中度の、または厳しい水素化分解条件下で作動可能であり、一般に、水素化精製軽油留分304、ナフサ、及び複数の中質留分を生成させる。ナフサ範囲の生成物は、水素化精製ナフサ流306として、減圧軽油水素化精製域300内で生成物から分離することが可能である。あるいは、または水素化精製ナフサ流306と合わせて、水素化精製留分(及びある特定の実施形態において、ナフサ範囲の生成物)を含有する分解留分流308は、さらなる水素化処理のため及び/または分離してディーゼル水素化精製域180生成物とするため、ディーゼル水素化精製域180に送られる。
ある特定の実施形態において、減圧軽油水素化処理域から出るワイルドナフサ留分の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分である、流326または306は、単独で、または統合プロセス内から出る他のワイルドナフサ留分と組み合わせて、混合原料水蒸気分解域230に送られ;混合原料水蒸気分解域230に送られない任意部分は、ガソリンプールに送ることが可能である。ある特定の実施形態において、減圧軽油水素化処理域から出るワイルドナフサ留分は、単独で、または統合プロセス内から出る他のワイルドナフサ留分と組み合わせて、原油処理複合装置100を通過する。減圧軽油水素化処理域から出るワイルドナフサ留分が原油処理複合装置100を通過する実施形態において、減圧軽油水素化処理域で生成する液化石油ガスの全部または一部は、ワイルドナフサと共に通過することが可能である。
減圧軽油水素化処理域から出る重質生成物は、基油製造センター450及び/または軽油水蒸気分解域250に送られる。減圧軽油水素化精製域300を伴う実施形態において、重質生成物は、減圧軽油水素化精製装置300流出油のうち沸点範囲がAGO、H−AGO、またはVGO以上の部分を含有する水素化精製軽油留分304である。減圧軽油水素化分解域320を伴う実施形態において、重質生成物は、未転化油留分324である。ある特定の実施形態において、合成潤滑油または相当する潤滑油原料の製造を最大化する運転様式では、減圧軽油水素化処理域から出る重質生成物の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、基油製造センター450に送られる。残部(もしあれば)は、軽油水蒸気分解域250に送る、及び/または循環使用してさらに処理(VGO水素化分解において消滅するまで分解)する、及び/またはシステムから排出する、及び/または残油水素化分解域800に送ることが可能である。他の実施形態において、芳香族化合物石油化学製品の製造を最大化する運転様式では、減圧軽油水素化処理域から出る重質生成物の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、軽油水蒸気分解域250に送られる。さらなる実施形態において、軽質オレフィン石油化学製品の製造を最大化する運転様式では、減圧軽油水素化処理域から出る重質生成物の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、混合原料水蒸気分解域250に送られるさらなる軽質生成物を生成するように、減圧軽油水素化処理域でさらに処理される(VGO水素化分解において消滅するまで分解される)。
ある特定の実施形態において、減圧蒸留域160から出る減圧残油留分168の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、減圧残油水素化分解域800に送られる。残存減圧残油(もしあれば)は、減圧残油水素化分解域800を迂回して、燃料油プール成分として回収することが可能である。任意選択で、水蒸気分解炉複合設備から出る熱分解油流218の一部は、流802として破線で示されるが、これは、減圧残油水素化分解域800に送られる。ある特定の実施形態において、熱分解油流218に由来する軽質熱分解油の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、減圧残油水素化分解域800に送られる。
減圧残油水素化分解域800は、排出ガス及び軽留分(図示せず)、未転化油留分806、ピッチ804、ならびに1つまたは複数の留分流(ワイルドナフサ流808、ディーゼル留分810、減圧軽油水素化処理域320/300に送られる中質留分流812、またはディーゼル水素化精製域180に送られる中質留分流812の1つまたは複数を含む)を生成するのに有効な、水素化分解条件下で、ある特定の実施形態において厳しい水素化分解条件下で作動する。ディーゼル留分810は、燃料プール成分として回収される、またはユーロV基準を満たすディーゼル燃料として使用される。減圧残油水素化分解域800がユーロV基準を満たすディーゼル燃料を生成するのに有効な条件下で作動する実施形態において、留分810は、ディーゼル水素化精製装置180から出るディーゼル燃料留分182、または減圧軽油水素化分解域320から出るディーゼル燃料留分322、またはディーゼル水素化精製装置180から出るディーゼル燃料留分182及び減圧軽油水素化分解域320から出るディーゼル燃料留分322の両方とまとめることが可能である。
別個のワイルドナフサ流808が回収される実施形態において、ワイルドナフサ流808の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、単独で、または統合プロセス内由来の他のワイルドナフサ留分と組み合わせて、混合原料水蒸気分解域230に送られ;混合原料水蒸気分解域230に送られない任意部分は、ガソリンプールに送ることが可能である。ある特定の実施形態において、ワイルドナフサ流808は、単独で、または統合プロセス内由来の他のワイルドナフサ留分と組み合わせて、原油処理複合装置100を通過する。ワイルドナフサ流808が原油処理複合装置100を通過する実施形態において、減圧軽油水素化処理域で生成した液化石油ガスの全部または一部は、ワイルドナフサとともに送ることが可能である。
ある特定の実施形態において、水素化分解軽油留分806の全部または一部は、減圧軽油水素化処理域及び/または軽油水蒸気分解域250及び/または基油製造センター450に送られる。例えば、減圧残油水素化分解域800から出る水素化分解軽油留分806の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、減圧軽油水素化処理域に送られる。残部(もしあれば)は、基油製造センター450、軽油水蒸気分解域250に送る、及び/またはシステムから排出させることが可能である。ある特定の実施形態において、合成潤滑油または相当する潤滑油原料の製造を最大化する運転様式では、水素化分解軽油留分806の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、基油製造センター450に送られる。他の実施形態において、芳香族化合物石油化学製品の製造を最大化する運転様式では、水素化分解軽油留分806の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、軽油水蒸気分解域250に送られる。さらなる実施形態において、軽質オレフィン石油化学製品の製造を最大化する運転様式では、減圧軽油水素化処理域から出る重質生成物の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、混合原料水蒸気分解域250に送られるさらなる軽質生成物を生成するように、減圧軽油水素化処理域でさらに処理される(VGO水素化分解において消滅するまで分解される)。
基油製造センター450は、未転化油または他の軽油範囲の炭化水素を、基油生成物456に転化する。典型的には、基油製造センター450への供給原料は、接触脱ろう及び水素化仕上げを受け、基油生成物456は、合成潤滑油または相当する潤滑油原料の製造に使用される。他の生成物は、ワイルドナフサ454及び留分452を含む。ある特定の実施形態において、ワイルドナフサ454の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、混合原料水蒸気分解域230に送られ;混合原料水蒸気分解域230に送られない任意部分は、ガソリンプールに送ることが可能である。ある特定の実施形態において、ワイルドナフサ454は、単独で、または統合プロセス内由来の他のワイルドナフサ留分と組み合わせて、原油処理複合装置100を通過する。ワイルドナフサ454が原油処理複合装置100を通過する実施形態において、基油製造センター450で生成した液化石油ガスの全部または一部は、ワイルドナフサ454とともに送ることが可能である。
図3を参照すると、混合原料水蒸気分解域230及び軽油水蒸気分解域250は、それぞれの供給原料を、エチレン202、プロピレン204、混合C4 206、熱分解ガソリン212、熱分解油218、及び統合燃料ガスシステムに送ることが可能な排出ガス208に転化するように作動する。さらに、水素210が、分解生成物から回収されて、複合装置の境界内の水素利用部に循環使用することが可能である。エタン及びプロパン循環使用は図示していないが、水蒸気分解運転において典型的なものである。なお、当然のことながら、ある特定の実施形態において、エタン及びプロパンの全部または一部を、流用することが可能である。ある特定の実施形態において、エタンの全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、混合原料水蒸気分解域230に循環使用され、プロパンの全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、混合原料水蒸気分解域230に循環使用される。ある特定の実施形態において、統合プロセス及びシステムの全ての水素利用部用の水素は、分解生成物から回収された水素210に由来し、いったんプロセスが完全に起動して平衡に到達したら、外部からの水素をまったく必要としない。さらなる実施形態において、過剰な水素は、回収することが可能である。
簡潔にするため、オレフィン回収トレインでの運転は示さないが、それらは周知であり、図3、図4、図5、及び図6に関して本明細書中記載されるとおり、混合原料水蒸気分解域230及び軽油水蒸気分解域250の一部とみなされる。
水蒸気分解炉複合設備230/250から出る混合C4を含有する混合C4流206は、粗C4としても知られ、ブタジエン抽出ユニット500に送られて、高純度1,3−ブタジエン生成物502が回収される。ブタン及びブテンを含有する第一抽残液504(「C4−Raff−1」)は、選択的水素化ユニット(「SHU」)及びメチルt−ブチルエーテル(「MTBE」)ユニット、すなわちSHU及びMTBE域510に送られ、ここで、第一抽残液504は、装置の境界外側からの高純度フレッシュメタノール512と混合されて、メチルt−ブチルエーテル514を生成する。
SHU及びMTBE域510から出る第二抽残液516(「C4 Raff−2」)は、分離させて1−ブテン生成物流522及び残存C4を含有するアルカン流524(第三抽残液「C4 Raff−3」)にするためにC4蒸留ユニット520に送られ、アルカン流524の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、混合原料水蒸気分解域230に循環使用されるが、当然のことながら、ある特定の実施形態において、残存C4の全部または一部は、流用することが可能である。エチレン202、プロピレン204、及び混合C4流206の分離は、水蒸気分解域流出油を分離するのに適した既知の分離工程の配置で行われ、その配置は、圧縮段(複数可)、脱プロパン塔、脱ブタン塔、脱メタン塔、及び脱エタン塔を含む。
水蒸気分解炉複合設備230/250から出る熱分解ガソリン212の全部、実質的部分、または相当部分は、pyガス水素化精製及び回収センター600/620に供給される。ある特定の実施形態において、炭素数5〜12の選抜炭化水素が、未精製熱分解ガソリンから回収され、残部は、芳香族化合物回収のため引き続き水素化精製される。pyガス水素化精製ユニットにおいて、熱分解ガソリンのジオレフィン及びオレフィンは、飽和させられる。
pyガス水素化精製ユニットから出る水素化精製熱分解ガソリン(ある特定の実施形態において、C5が除去されており、芳香族化合物抽出域620から出るC5の代わりにまたはそのC5と併せて、混合原料水蒸気分解域230に循環使用されている)は、芳香族化合物抽出域620に送られる。pyガス水素化精製域600及び芳香族化合物抽出域620は、簡潔にするため、図3、図4、図5、及び図6において、単一の模式的ブロック600/620で示される。
芳香族化合物抽出域620は、例えば、1つまたは複数の抽出蒸留ユニットを備え、水素化精製熱分解ガソリン及び流動接触分解ナフサを分離して、高純度ベンゼン、トルエン、キシレン、及びC9芳香族化合物を含有する芳香族流622にするように作動する。芳香族流622は、化学製品市場用に回収される。C5抽残液606及び非芳香族化合物646(例えば、C6−C9)は、混合原料水蒸気分解域230に循環使用される。ある特定の実施形態において、C5抽残液644及び非芳香族化合物646の全部、実質的部分、または相当部分は、混合原料水蒸気分解域230に送られる。重質芳香族化合物流642(例えば、C10−C12)は、芳香族溶媒、オクタン上昇剤、または燃料油プールに加えるカッター原液として使用することが可能である。ある特定の実施形態においてエチルベンゼン628は、回収することが可能である。
ある特定の実施形態において、熱分解油218は、燃料油プールにブレンドすることが可能である。さらなる実施形態において、熱分解油218は、軽質熱分解油及び重質熱分解油に分留することが可能である(図示せず)。残油水素化分解域800は、熱分解油218に由来する軽質熱分解油の出口を提供する。他の実施形態において、軽質熱分解油は、処理してディーゼル燃料製品を製造するため、及び/または混合原料水蒸気分解域230への追加原料とするため、第一中質留分流116及び/または第二中質留分流122とブレンドすることが可能である。さらなる実施形態において、熱分解油218に由来する軽質熱分解油は、減圧軽油水素化処理域で処理することが可能である。さらなる実施形態において、熱分解油218に由来する軽質熱分解油は、燃料油プールにブレンドすることが可能である。ある特定の実施形態において、軽質熱分解油の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、残油水素化分解域800に送ることが可能であり;任意残部は、ディーゼル水素化精製域180、及び/または減圧軽油水素化処理域、及び/または、燃料油プールに送ることが可能である。重質熱分解油は、燃料油プールにブレンドする、カーボンブラック原料として使用する、及び/または残油水素化分解域800で処理することが可能である。ある特定の実施形態において、熱分解油218(軽質及び重質)の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、任意選択の残油水素化分解域800で処理することが可能である。
図4は、原油を石油化学製品及び燃料製品に転化するプロセス及びシステムのさらなる実施形態を図示し、この実施形態は、さらなるプロピレンを製造するC4オレフィン及びC5オレフィンのメタセシス転化を伴う。このプロセスは、図1の水蒸気分解運転の上流に関して記載されるとおりに作動する。
水蒸気分解運転の下流で、ブタジエン抽出トレインは、図3においてC4蒸留ユニット520から出てダイバータ(破線による)から直接、混合原料水蒸気分解域230に送られる第三C4抽残液流524として示されるものと同様な様式で、任意選択で作動することが可能である。
メタセシス様式の運転において、C4蒸留ユニット520から出る混合C4抽残液流532(「C4 Raff 3」)ならびにpyガス水素化精製及び回収センター600/620から出るC5抽残液540は、メタセシス転化によりさらなるプロピレン534にするため、メタセシスユニット530に送られる。ある特定の実施形態において、pyガス水素化精製装置から出る分解C5の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、芳香族化合物抽出の前にメタセシスユニット530に送ることが可能である。示されるとおり、エチレン生成物202の一部536は、メタセシスユニット530に送ることが可能である。さらなる実施形態において、メタセシスユニット530用のエチレンは、エチレン生成物202の一部536の代わりに、または536に加えて、複合装置の境界外側から供給される。
炭素数4の様々なアルケン及びジエンの熱分解化学製品の選択的回収、及びメタセシス転化によるさらなるプロピレンの生成は、メタセシスユニット530を用いて達成される。メタセシスユニット530から出る大部分が飽和のC4/C5混合物を含有する流538は、混合原料水蒸気分解ユニット230に循環使用される。
図3と同様に、図4の配置において、水蒸気分解炉複合設備230/250から出る熱分解ガソリン212は、pyガス水素化精製及び回収センター600/620に送られ;C6−C9芳香族化合物流622、すなわちBTXは、化学製品市場用に回収され;C6−C9非芳香族化合物流646は、混合原料水蒸気分解域230に循環使用され;及び重質芳香族化合物流642(例えば、C10−C12生成物)は、回収される。ある特定の実施形態において、エチルベンゼン628を回収することが可能である。また、メタセシス様式の運転において、C5抽残液は、流540として示されるとおりメタセシスユニット530に送られる。任意選択で、C5抽残液は、図4中、破線で示されるとおり、流606を介して混合原料水蒸気分解域230に循環使用される(図3の実施形態と同様)。ある特定の実施形態において(図示せず)、pyガス水素化精製装置から出る分解C5の全部または一部は、芳香族化合物抽出の前に、メタセシスユニット530に送ることが可能である。
図4に描かれる配置では、ダイバータ及び破線の流として示される任意選択のダイバータが示されており、これは、第三C4抽残液流524の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分を、メタセシス転化プロセスを迂回させ、その結果、混合原料水蒸気分解域230へと流用するためのものである。メタセシス様式において、流れは、メタセシス転化ユニット530に向けることが可能である。さらなる代替様式において、第三C4抽残液流524の流れは、混合原料水蒸気分解域230及びメタセシス転化ユニット530に向けることが可能である。このようにして、製造者は、供給原料の量を変化させて、所望の生産高に調整することが可能である。したがって、第三C4抽残液流524の0〜100%を、メタセシス転化ユニット530に送ることが可能であり、残部(もしあれば)は、混合原料水蒸気分解域230に送られる。その量は、例えば、エチレン需要、プロピレン需要、及び/または設計容量に応じたユニットの作動最小範囲に基づいて、決定することが可能である。
図5は、原油を石油化学製品及び燃料製品に転化するプロセス及びシステムのさらなる実施形態を図示する。このプロセスは、図1の水蒸気分解運転の上流に関して記載されるとおりに作動する。この実施形態において、ブテン混合物を、ガソリンにブレンドする含酸素添加剤として、及びオクタン上昇に適した、混合ブタノールへと転化するための追加工程が提供される。ブテン混合物を混合ブタノールへと転化するのに適切なプロセスは、同一出願人の名義にかかる米国特許出願公開第2016/0115107号明細書、米国特許出願公開第2015/0225320号明細書、米国特許出願公開第2015/0148572号明細書、米国特許出願公開第2013/0104449号明細書、米国特許出願公開第2012/0245397号明細書、ならびに同一出願人の名義にかかる米国特許第9447346号明細書、米国特許第9393540号明細書、米国特許第9187388号明細書、米国特許第8558036号明細書の1つまたは複数に記載されており、これらはすべて、そのまま全体が本明細書中参照として援用される。ある特定の実施形態において、「SuperButol(商標)」技術として知られる特に有効な転化プロセスが取り入れられるが、この技術は、ブテン混合物を混合ブタノールへと転化する一段階プロセスである。
水蒸気分解運転の下流で、ブタジエン抽出トレインは、図3の場合と同様に、C4蒸留ユニット520から出てダイバータ(破線による)から直接、混合原料水蒸気分解域230に送られる流524として示される様式で、任意選択で作動することが可能である。混合ブタノール生成域550は、様々な炭素数4のアルケン及びジエン熱分解化学製品の選択的回収のため、ならびにある特定の処理配置ではブタノール生成ユニット(「SuperButol(商標)」ユニットなど)でこれらC4の一部を水和させて高価値燃料添加剤を製造するため、統合されている。
例えば、混合ブタノール生成域550は、価値の低い精製/石油化学製品混合オレフィン流由来のブテンをブタノールへと転化するように作動する。ブタノールは、ガソリンブレンドの含酸素添加剤の代替選択肢を提供する。粗C4処理センター550は、例えば、1つまたは複数の高圧接触反応装置中でのブテンからブタノールへの転化反応、続いて沈降分離によるブテン及びブタノールの水からの分離、さらにその後蒸留によるブタノール生成物のブテンからの分離を含む。プロセス段階は、ブテン及び水のメイクアップ及び循環使用、ブタノール反応、高圧分離、低圧分離、脱ブテン塔蒸留(生成物塔)、及び水性蒸留塔を含む。
図5は、ブテン混合物を混合ブタノール液554に転化するため、C4蒸留ユニット520から出るブテンを含有するC4抽残液流552が混合ブタノール生成域550に送られる実施形態を示す。ある特定の実施形態において、流552の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、ブタノール生成ユニット550に送られる。アルカン556は、混合原料水蒸気分解域230に循環使用される。
図1及び図3と同様に、図5の配置において、水蒸気分解炉複合設備230/250から出る熱分解ガソリン212は、pyガス水素化精製及び回収センター600/620に送られ;C6−C9芳香族化合物流622は、化学製品市場用に回収され、C5抽残液606及び非芳香族化合物646(例えば、C6−C9)は、混合原料水蒸気分解域230に循環使用され、重質芳香族化合物流642(例えば、C10−C12生成物)は、回収される。ある特定の実施形態において、エチルベンゼン628を回収することが可能である。
図5に描かれる配置では、ダイバータ及び破線の流として示される任意選択のダイバータが示されており、これは、C4 Raff−3 524の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分を、ブテン混合物から混合ブタノールに転化するプロセスを迂回させ、したがって、混合原料水蒸気分解域230へと流用するものである。混合ブタノール液様式の運転において、流れは、ブテン混合物から混合ブタノールに転化するための混合ブタノール生成域550に送ることが可能である。さらなる代替様式において、C4 Raff−3 524の流れは、混合原料水蒸気分解域230及び混合ブタノール生成域550に送ることが可能である。このようにして、製造者は、供給原料の量を変化させて、所望の生産高に調整することが可能である。したがって、第三C4抽残液流524の0〜100%を、混合ブタノール生成域550に送ることが可能であり、残部(もしあれば)は、混合原料水蒸気分解域230に送られる。その量は、例えば、エチレン需要、混合ブタノール需要、及び/または設計容量に応じたユニットの作動最小範囲に基づいて、決定することが可能である。
図6は、原油を石油化学製品及び燃料製品に転化するプロセス及びシステムのさらなる実施形態を図示する。この実施形態では、C4オレフィン及びC5オレフィンをメタセシス転化してさらなるプロピレンを製造する、及び/またはブテン混合物をガソリンにブレンドする含酸素添加剤として及びオクタン上昇に適した混合ブタノールに転化する、追加工程(複数可)が統合される。このプロセスは、図1の水蒸気分解運転の上流に関して記載されるとおりに作動する。
水蒸気分解運転の下流で、ブタジエン抽出トレインは、図3の場合と同様に、C4蒸留ユニット520から出てダイバータ(破線による)から直接、混合原料水蒸気分解域230に送られる流524として示される様式で、任意選択で作動することが可能である。図6の配置は、様々な炭素数4のアルケン及びジエン熱分解化学製品の選択的回収、メタセシス転化によるさらなるプロピレン生成、及び/またはブテン混合物からガソリンにブレンドする含酸素添加剤として及びオクタン上昇に適した混合ブタノールへの転化を統合する。
図6は、ブテン混合物を混合ブタノール液554に転化するため、混合ブタノール生成域550に送ることが可能な、C4蒸留工程から出るブテンを含有する流552(「C4 Raff−3」)を示す。アルカン556は、混合原料水蒸気分解域230に循環使用される。また、C4蒸留ユニット520から出る濃2−ブテン抽残液−3の一部532は、さらなるプロピレン534へとメタセシス転化するため、メタセシスユニット530に送られる。示されるとおり、エチレン生成物202の一部536は、メタセシスユニット530に送ることが可能である。さらなる実施形態において、メタセシスユニット530用のエチレンは、エチレン生成物202の一部536の代わりに、または536に加えて、複合装置の境界外側から供給される。メタセシスユニットから出る大部分が飽和のC4/C5混合物を含有する流538は、混合原料水蒸気分解域230に循環使用される。
図3と同様に、図6の配置において、水蒸気分解炉複合設備230/250から出る熱分解ガソリン212は、pyガス水素化精製及び回収センター600/620に送られ;C6−C9芳香族化合物流622、すなわちBTXは、化学製品市場用に回収され、非芳香族化合物646(例えば、C6−C9)は、混合原料水蒸気分解域230に循環使用され、重質芳香族化合物流642(例えば、C10−C12生成物)は、回収される。ある特定の実施形態において、エチルベンゼン628を回収することが可能である。抽残液流540は、示すとおりメタセシスユニット530に送ることが可能であり、及び/または破線の流606で示すとおり任意選択で混合原料水蒸気分解域230に循環使用することが可能である。ある特定の実施形態において(図示せず)、pyガス水素化精製装置から出る分解C5の全部または一部は、芳香族化合物抽出の前に、メタセシスユニット530に送ることが可能である。
図6に描かれる配置では、ダイバータ及び破線の流として示される任意選択のダイバータが示されており、これは、C4 Raff−3 524の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分を、メタセシス転化プロセス及びブテン混合物から混合ブタノールに転化するプロセスを迂回させ、したがって、混合原料水蒸気分解域230へと流用するものである。任意選択の弁もまた、C4 Raff−3の流れを、メタセシス転化ユニット530及び/またはブテン混合物を混合ブタノールに転化するための混合ブタノール生成域550の一方または両方に送るために提供することができる。さらなる代替様式において、C4 Raff−3 524の流れは、混合原料水蒸気分解域230、メタセシス転化ユニット530(流532として)、及び混合ブタノール生成域550(流552として)それぞれに送ることが可能である。このようにして、製造者は、供給原料の量を変化させて、所望の生産高に調整することが可能である。したがって、第三C4抽残液流の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分を、メタセシス転化ユニット530に送ることが可能であり、残部(もしあれば)は、混合原料水蒸気分解域230及び/または混合ブタノール生成域550に送られる。ある特定の実施形態において、第三C4抽残液流の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、メタセシス転化ユニット530に送られ、残部(もしあれば)は、混合原料水蒸気分解域230に送られる。さらなる実施形態において、第三C4抽残液流の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、メタセシス転化ユニット530に送られ、残部(もしあれば)は、混合ブタノールの製造のため混合ブタノール生成域550に送られる。さらなる実施形態において、第三C4抽残液流の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、混合ブタノールの製造のため混合ブタノール生成域550に送られ、残部(もしあれば)は、混合原料水蒸気分解域230及びメタセシス転換ユニット530両方に送られる。さらなる実施形態において、第三C4抽残液流の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、混合ブタノールの製造のため混合ブタノール生成域550に送られ、残部(もしあれば)は、混合原料水蒸気分解域230に送られる。さらなる実施形態において、第三C4抽残液流の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、混合ブタノールの製造のため混合ブタノール生成域550に送られ、残部(もしあれば)は、メタセシス転化ユニット530に送られる。その量は、例えば、エチレン需要、プロピレン需要、混合ブタノール需要、及び/または設計容量に応じたユニットの作動最小範囲に基づいて、決定することが可能である。
図7、図8、及び図16は、原油を石油化学製品及び燃料製品に転化するプロセス及びシステムの実施形態を図示し、混合原料水蒸気分解域230及び軽油水蒸気分解域250を含む。
供給原油102は、原油処理複合装置100に送られ、原油処理複合装置100は、一般に、常圧蒸留域110、飽和ガスプラント150、及び減圧蒸留域160を備える。常圧蒸留ユニット及び減圧蒸留ユニットは、周知の配置で使用される。
原油処理複合装置100での分離を介して供給原料102から得られる中間体流は、以下を含む:原油処理複合装置100内で飽和ガスプラント150を介して得られる排出ガス154、この精製(sweet)排出ガスは、燃料ガスシステムまたは水蒸気分解炉複合設備に送ることが可能である;原油処理複合装置100内で飽和ガスプラント150を介して得られる軽留分流152、これは混合原料水蒸気分解域230に送られる;1つまたは複数の直留ナフサ流(複数可)、この実施形態では、軽質ナフサ流138及び重質ナフサ流140であり、これらは、混合原料水蒸気分解域230に送られる;第一中質留分流116、これは、メルカプタン酸化域などの灯油精製域170に送られる;第二中質留分流122、これはディーゼル水素化精製域180に送られる;第三中質留分流126、これは軽油水素化処理域、軽油水蒸気分解域250、または軽油水素化処理域と軽油水蒸気分解域250の両方に送ることが可能である;常圧残油留分114、これは減圧蒸留域160に送られる;減圧蒸留域160から出る減圧軽質軽油流164及び減圧重質軽油流166、これらは減圧軽油水素化処理域に送られる;ならびに、減圧蒸留域160から出る減圧残油流168、これの全部または一部は、任意選択で減圧残油水素化分解域800に送ることが可能である。ある特定の実施形態において、第三中質留分流126は、軽油水素化処理域及び軽油水蒸気分解域250の両方に送られる。例えば、第三中質留分流126は、原油処理複合装置100から出る常圧軽油流の2つの異なる温度留分であることが可能であり、留分には、軽油水素化処理域に送られる重質AGO、及び軽油水素化処理域を迂回して、水素化精製せずに軽油水蒸気分解域250に送られる中質AGO(第二中質留分122に含まれていない場合)が含まれる。別の配置において、第三中質留分流126は、例えば、ダイバータを用いて、体積または質量流量に基づき分割することが可能である。
原油処理複合装置100から出る中間体流は、本明細書中の統合プロセス及びシステムにおいて、効率的な様式で使用される。軽留分流152、及び直留ナフサ流(複数可)、この実施形態では軽質ナフサ138及び重質ナフサ140は、軽質オレフィン及び他の貴重な石油化学製品に転化するための供給原料として、混合原料水蒸気分解域230に送られる。直留ナフサ流、すなわち軽質ナフサ138及び重質ナフサ140の一方または両方は、任意選択で、混合原料水蒸気分解域230に送られる前に、サイドストリッパで蒸気ストリッピングすることが可能である。
原油処理複合装置の要素は、図示しないが周知であり、そのような要素として、供給原料/生成物及びポンプアラウンド熱交換器、原料加熱炉、原料塔(複数可)、生成物ストリッパ、冷却システム、リコンタクタ及び排出ガス圧縮器を備えた熱及び冷オーバーヘッドドラムシステム、ならびにオーバーヘッド冷却システムの水洗用ユニットを挙げることができる。常圧蒸留域110は、周知の設計特性を備えることが可能である。そのうえさらに、ある特定の実施形態において、常圧蒸留塔から出るナフサ、灯油、及び常圧軽油製品の全部または一部は、サイドストリッパで蒸気ストリッピングにより分離され、常圧残油は、常圧蒸留塔の塔底内の小型サイズ缶セクションで蒸気ストリッピングにより分離される。
常圧蒸留域110への供給原料は、主に、供給原油102であるが、当然のことながら、ディーゼル水素化精製域180ならびにある特定の実施形態において減圧軽油水素化処理工程及び/または減圧残油水素化分解域800から出る、ワイルドナフサ、LPG、及び排出ガス流を常圧蒸留域110に送ることが可能であり、そこでこれらは、分留されてから、分解複合装置に送られる。脱塩ユニット(図示せず)は、典型的には、蒸留域110の上流に備えられている。脱塩に必要な相当量の水は、統合プロセス及びシステム内のサワー水ストリッパから得ることが可能である。
脱塩ユニットは、原油の脱塩用によく知られた容器配置を示し、本明細書中使用される場合、塩含有量を目的レベルまで、例えば、約10、5、または3wppm以下のレベルまで低下させるように操作される。ある特定の実施形態において、約3wppm以下の目的塩含有量を達成するために2つ以上の脱塩装置が備えられる。
本明細書中の原油処理複合装置100の1つの実施形態において、供給原料102は、脱塩ユニットに入る前に、例えば、約105〜165、105〜150、105〜145、120〜165、120〜150、120〜145、125〜165、125〜150、125〜145の範囲、及びある特定の実施形態において約135(℃)の温度に予熱される。適切な脱塩装置は、一段で約0.00285kg/m3(1lb/1000bbl)の典型レベルまで塩を除去して減らすように設計される。ある特定の実施形態において、複数の予熱及び脱塩のトレインが採用される。脱塩装置作動圧は、液相での作動を確実にするため、脱塩装置作動温度での原油及び水の混合蒸気圧より高い圧力限界に基づいていることが可能であり、例えば、約2.75〜4.15、2.75〜3.80、2.75〜3.65、3.10〜4.15、3.10〜3.80、3.10〜3.65、3.25〜4.15、3.25〜3.80、3.25〜3.65の範囲、及びある特定の実施形態において約3.45bargであることが可能である。
常圧蒸留域110は、脱塩するのに十分な熱を提供するため、分留された生成物及びポンプアラウンドを利用することが可能である。ある特定の実施形態において、脱塩装置作動温度は、ディーゼルポンプアラウンドスイング熱交換器により制御することが可能である。ある特定の実施形態において、脱塩装置ブラインにより、らせん型熱交換器中の脱塩装置メイクアップ水を予熱して、汚染を最小限に抑えるとともに冷却水に対して流送冷却を達成してから、ブラインを排水システムに送る。
ある特定の実施形態において、脱塩原油は、プレフラッシュ塔に入る前に約180〜201、185〜196、または189〜192(℃)の範囲の温度に予熱される。プレフラッシュ塔は、原油が最終予熱交換機に入る前に、原油からLPG及び軽質ナフサを除去する。プレフラッシュ塔は、予熱トレインの作動圧を最小限に抑えて、原油炉通路弁での液相作動を維持するとともに、主原油塔の必須サイズを低下させる。
適切な原油蒸留システムの1つの例において、原油炉は、ある特定のカット温度以下で、例えば約350〜370、355〜365の範囲、または360(℃)(680°F)の温度で材料を気化させてから、原油を原料塔のフラッシュ域に送り入れる。炉は、適切な放出温度に、例えば、約338〜362、344〜354の範囲、または348.9(℃)(660°F)の温度に設計される。原油塔フラッシュ域の条件は、温度が約328〜374、328〜355、337〜374、327〜355の範囲、または346.1(℃)(655°F)であり、圧が約1.35〜1.70、1.35〜1.60、1.44〜1.70、1.44〜1.60の範囲、または1.52(barg)である。
ある特定の実施形態において、原料塔は、59のトレイを備え、6つのカットを生成し、各生成物の抜き出し温度は以下のとおりである:軽質ナフサ、104.4℃(220°F)(塔頂蒸気);重質ナフサ、160.6℃(321°F)(側流);灯油、205℃(401°F)(側流);ディーゼル、261.7℃(503°F)(側流);AGO、322.2℃(612°F)(側流);常圧残油、340.6℃(645°F)(塔底)。重質ナフサ抜き出しは、ディーゼルポンプアラウンドで再沸騰したサイドストリッパを備え、185℃(365°F)、D86終点に制御される。灯油抜き出しは、14.54kg/m3(5.1lbの蒸気/bbl)のスチームストリッパを備え;抜き出し速度は、凝固点によりバックエンドに限定される。ディーゼル抜き出しは、14.54kg/m3(5.1lbの蒸気/bbl)のスチームストリッパを備え、この抜き出しは、360℃(680°F)、D86、95%ポイントに制御される。AGO抜き出しは、14.82kg/m3(5.2lbの蒸気/bbl)のスチームストリッパを備え、これは、原油に対して2体積%のオーバーフラッシュに設定される。原料塔は、塔頂、ディーゼル、及びAGO用の3つのポンプアラウンドも備える。ディーゼルポンプアラウンドは、脱塩装置作動温度の制御と併せて、スイング熱を介して、重質ナフサストリッパリボイラー及び脱ブタン塔リボイラーに熱を提供する。常圧塔の塔底流は、28.5kg/m3(10lbの蒸気/bbl)でスチームストリッピングされる。
常圧蒸留域110から出る常圧残油留分114は、減圧蒸留域160でさらに蒸留され、減圧蒸留域160は、常圧残油留分114を、減圧軽質軽油流164及び減圧重質軽油流166ならびに減圧残油流168に分留し、減圧軽質軽油流164及び減圧重質軽油流166は軽油水素化処理域に供給され、減圧残油流168の全部または一部は、減圧残油水素化分解域800に送られる;減圧残油水素化分解域800での処理に供されない任意部分は、例えば、燃料油プール(高硫黄燃料油プールなど)に送ることが可能である。減圧蒸留域160は、例えば、減圧レベル(mmHg絶対圧)、例えば、約30〜40、32〜36の範囲、または34での運転など、周知の設計特性を備えることが可能であり、減圧は、スチームエジェクタまたは機械式真空ポンプにより維持することが可能である。減圧塔底は、コークス化を最小限に抑えるために、例えば約334〜371、334〜352、338〜352、338〜371の範囲、または343.3(℃)(650°F)の温度の原油と交換することにより、クエンチすることが可能である。減圧蒸留は、単一段でも複数段でも達成することが可能である。ある特定の実施形態において、常圧残油留分114は、直火炉で加熱されて、約380〜446、390〜446、390〜436、380〜436、または400〜425(℃)の範囲の温度で減圧分留塔に投入される。
1つの実施形態において、常圧残油は、減圧炉で、約389〜430、389〜420、399〜420、399〜430の範囲、または409.4(℃)(769°F)の温度に加熱され、フラッシュ域条件である、約382〜422、382〜412、392〜412、392〜422の範囲、または401.7(℃)(755°F)の温度、及び約30〜40、32〜36の範囲、または34(mmHg絶対圧)の圧レベルを達成する。減圧塔は、減圧残油から軽質VGO及び重質VGOを除去することにより、理論上カットポイントが約511〜565、511〜551、524〜551、524〜565、511〜551、の範囲、または537.8(℃)(1000°F)の温度であるように設計される。塔頂減圧システムは、2つの並列ジェットエジェクタトレインを備えることが可能であり、各トレインは3つのジェットを備える。最終段階で、共通真空ポンプが使用される。1つの実施形態において、減圧塔は、0.35のCファクター及び洗浄域の塔底での濡れ率が約14.68lpm/m2(0.3gpm/ft2)であるサイズになっている。洗浄域スロップワックスは、燃料油製造を最小限に抑えるために減圧炉に循環使用される。減圧塔底は、約334〜371、334〜352、338〜352、338〜371の範囲、または343.3℃(650°F)の温度(℃)でコークス化を最小限に抑えるために原油との交換を介してクエンチされる。
飽和ガスプラント150は、周知のとおり、一般に、分留、及びある特定のシステムにおいて、吸着及び分留を含む一連の運転を含み、その目的は、軽留分を処理して、燃料ガス範囲の成分を、水蒸気分解炉分解域原料として適切なLPG範囲の成分から分離することである。本明細書中の統合システム及びプロセスの実施形態内の1つまたは複数の飽和ガスプラントにおいて処理される軽留分は、粗蒸留分、例えば、軽留分及びLPGに由来する。また、他の軽質生成物、例えば統合システム内の精製ユニットから出る軽質ガス、及びある特定の実施形態において装置の境界の外側からくる軽質ガスなどが、流156として破線で示されるとおり、任意選択で飽和ガスプラント150に送ることが可能である。例えば、流156は、ディーゼル水素化精製域180、軽油水素化処理域、pyガス水素化精製域600、及び/または減圧残油水素化分解域800から出る排出ガス及び軽留分を含有することが可能である。飽和ガスプラント150から出る生成物は、以下を含む:C1−C2アルカンを含有する排出ガス流154、これは燃料ガスシステム及び/または分解炉複合設備に送られる;及びC2+を含有する軽留分流152、これは混合原料水蒸気分解ユニット230に送られる。
ある特定の実施形態において、適切な飽和ガスプラント150は、液体供給原料のアミン及び腐食性物質洗浄部、ならびに蒸気供給原料のアミン精製部を、その後の工程前に備える。原料塔塔頂蒸気は、圧縮されナフサと再接触してから、H2S除去用のアミンスクラバに入り、その後、水蒸気分解炉複合設備に送られる。再接触ナフサは、脱ブタン化されてLPGが取り出され、LPGはアミン洗浄されて水蒸気分解炉複合設備に送られる。脱ブタン化ナフサは、重質ナフサとは別に、水蒸気分解炉複合設備に送られる。既知のとおり、軽質ナフサは、吸収塔/脱ブタン塔を上昇通過していくうちに、蒸気から、C4及びそれより重質の炭化水素を吸収する。吸収塔/脱ブタン塔から出る排出ガスは、圧縮されて、精製燃料ガスシステムに送られる。脱ブタン塔塔底流は、供給原料のさらなる供給源として混合原料水蒸気分解炉に送られる。
示すとおり、第一中質留分116は、灯油精製域170で処理され、周知のとおり、望ましくない硫黄化合物が除去される。精製された灯油は、灯油燃料製品172、例えば、JetAまたはJetA−1仕様を満たすジェット燃料として、及び任意選択で他の燃料製品として回収される。本明細書中ある特定の実施形態において、第一中質留分116の全部または一部は、燃料製造には使用されず、そうではなくて、混合原料水蒸気分解域230用の追加供給原料を製造するように、留分水素化処理用の供給原料として使用される。
例えば、適切な灯油精製域170は、Merox(商標)技術(Honeywell UOP、US)、Sweetn’K技術(Axens、IFP Group Technologies、FR)、またはThiolex(商標)技術(Merichem Company、US)に基づくシステムを含むことが可能であるが、これらに限定されない。これらの種類のプロセスは、商業的に十分確立されており、灯油燃料製品172及び副生成物としてジスルフィド油を生成するのに適切な作動条件が周知である。ある特定の灯油精製技術において、含浸炭素が、触媒として使用されて、ジスルフィド油への転化を促進する。ある特定の実施形態において、プロセスの統合を最大限にするために、灯油精製域170及び他のユニット運転から出るサワー水の共通処理が採用される。
例えば、灯油精製域の1つの配置は、残留H2S除去のため灯油供給原料の腐食洗浄を備え、そのため静電コアレッサー(例えば、ボーメ度10のものを使用する)を使用する。有効量の活性炭触媒を含有する反応容器は、メルカプタンからジスルフィドへの酸化を実現させるために、空気を腐食性溶液と合わせて利用する。腐食性物質は、反応器の塔底部で、精製された灯油から分離される。水洗浄後、灯油生成物は、2つの平行塩フィルターのうち1つを上昇しながら通過し、自由水及びある溶解性水が除去される。灯油生成物は、灯油生成物が、確実に濁度、色安定性、及び水分離仕様を満たす、例えば、JetA仕様に準拠するように、固形物、水分、乳濁液、及び界面活性剤を除去するため2つの平行粘土フィルターのうち1つを下降しながら通過する。
第二中質留分122は、ディーゼル水素化精製域180内の循環使用から得られた水素及びメイクアップ水素186による有効量の水素の存在下、ディーゼル水素化精製域180で処理される。ある特定の実施形態において、メイクアップ水素186の全部または一部は、オレフィン回収トレイン270から出る水蒸気分解炉水素流210に由来する。適切な水素化精製域180は、Honeywell UOP、US;Chevron Lummus Global LLC(CLG)、US;Axens、IFP Group Technologies、FR;Haldor Topsoe A/S、DK;から市販されている技術、またはKBR、Inc、USとShell Global Solutions、USを合わせた技術に基づくシステムを含むことが可能であるが、これらに限定されない。
ディーゼル水素化精製域180は、硫黄及び他の既知の混入物質を相当量除去する、例えば、ディーゼル燃料製品留分182にとって必要な硫黄仕様を満たす、例えばユーロVディーゼル基準に準拠したディーゼル燃料とするのに有効な条件下で作動する。また、水素化精製ナフサ留分184(場合によっては、ワイルドナフサと称する)は、ディーゼル水素化精製域180から回収され、複数の水蒸気分解供給原料源の1つとして、混合原料水蒸気分解域230に送られる。流出油排出ガスは、ディーゼル水素化精製域180から回収され、オレフィン回収トレインに、他のガス流156の一部として飽和ガスプラントに、及び/または直接、燃料ガスシステムに送られる。液化石油ガスは、ディーゼル水素化精製域180から回収され、混合原料水蒸気分解域に、オレフィン回収トレインに、及び/または飽和ガスプラントに送ることが可能である。ある特定の実施形態において、水素化精製ナフサ留分184は、単独で、または統合プロセス内由来の他のワイルドナフサ留分と組み合わせて、原油処理複合装置100を通じて送られる。水素化精製ナフサ留分184が原油処理複合装置100を通じて送られる実施形態において、ディーゼル水素化精製域180で生成した液化石油ガスの全部または一部は、水素化精製ナフサ留分184とともに送ることが可能である。ある特定の実施形態において、ワイルドナフサ184の全部、実質的部分、または相当部分は、混合原料水蒸気分解域230に送られる(直接、または原油処理複合装置100を通じて)。
ディーゼル水素化精製域180は、任意選択で、複合装置内から出る他の留分を処理することができる(図示せず)。灯油精製域170が使用される実施形態において、ジスルフィド油の全部または一部は、ディーゼル水素化精製域180への追加供給原料となることが可能である。さらに、第一中質留分116の全部または一部は、ディーゼル水素化精製域180への追加供給原料となることが可能である。さらに、減圧軽油水素化処理域から出る留分の全部または一部、及び/または減圧残油水素化分解域から出る留分の全部または一部は、ディーゼル水素化精製域180に送ることが可能である。ディーゼル水素化精製域180に送られない留分の任意部分は、原油処理複合装置100に送る、または混合原料水蒸気分解域230に送ることが可能である。
ディーゼル水素化精製域180は、1つまたは複数の固定床、沸騰床、スラリー床、移動床、連続撹拌槽(CSTR)、または管型反応器を、直列及び/または並列配置で備えることが可能である。ある特定の実施形態において、ディーゼル水素化精製域180は、3つの触媒床を持ち、触媒床間にクエンチガスを有する積層床反応器を備え、水素化精製触媒床間に配置された水素化脱蝋触媒の層を持つ積層型触媒システムを採用する。交換器、炉、供給ポンプ、クエンチポンプ、ならびに反応器(複数可)に供給する及び適切な作動条件を維持するための圧縮機をはじめとする追加設備は、周知であり、ディーゼル水素化精製域180の一部であるものとみなす。また、ポンプ、圧縮機、高温分離容器、低温分離容器などをはじめとする、ディーゼル水素化精製域180内で反応生成物を分離及び水素循環使用を提供するための設備は、周知であり、ディーゼル水素化精製域180の一部であるものとみなす。
ある特定の実施形態において、ディーゼル水素化精製域180作動条件は、以下を含む:
反応器入口温度(℃)が、約296〜453、296〜414、296〜395、336〜453、336〜414、336〜395、355〜453、355〜414、355〜395、または370〜380の範囲;
反応器出口温度(℃)が、約319〜487、319〜445、319〜424、361〜487、361〜445、361〜424、382〜487、382〜445、382〜424、または400〜406の範囲;
初期(SOR)反応温度(℃)が、加重平均床温度(WABT)として、約271〜416、271〜379、271〜361、307〜416、307〜379、307〜361、325〜416、325〜379、325〜361、または340〜346の範囲;
終期(EOR)反応温度(℃)が、WABTとして、約311〜476、311〜434、311〜414、352〜476、352〜434、352〜414、373〜476、373〜434、373〜414、または390〜396の範囲;
反応入口圧(barg)が、約48〜72、48〜66、48〜63、54〜72、54〜66、54〜63、57〜72、57〜66、または57〜63の範囲;
反応出口圧(barg)が、約44〜66、44〜60、44〜58、49〜66、49〜60、49〜58、52〜66、52〜60、または52〜58の範囲;
水素分圧(barg)(出口)が、約32〜48、32〜44、32〜42、36〜48、36〜44、36〜42、38〜48、38〜44、または38〜42の範囲;
水素精製ガス供給速度(標準リットル/炭化水素供給原料のリットル、SLt/Lt)が、最高約400、385、353、または337まで、ある特定の実施形態において約256〜385、256〜353、256〜337、289〜385、289〜353、289〜337、305〜385、305〜353、または305〜337;
水素クエンチガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約100、85、78、または75まで、ある特定の実施形態において約57〜85、57〜78、57〜75、64〜85、64〜78、64〜75、68〜85、68〜78、または68〜75;及び
メイクアップ水素供給速度(SLt/Lt)が、最高約110、108、100、または95まで、ある特定の実施形態において約70〜108、70〜100、70〜95、80〜108、80〜100、80〜95、85〜108、85〜100、または85〜95。
ディーゼル水素化精製域180には、水素化精製機能を保持するものを含む、有効量の水素化精製触媒が提供され、それら触媒は、一般にIUPACの元素周期表の第6〜10族から選択される金属または金属化合物(酸化物または硫化物)の活性金属成分を1種または複数含有する。ある特定の実施形態において、活性金属成分は、Co、Ni、W、及びMoのうち1種または複数である。活性金属成分は、典型的には、非晶質アルミナ、非晶質シリカアルミナ、ゼオライト、またはそれらの組み合わせなどの担体に担持されているかいずれにしろ組み込まれている。ディーゼル水素化精製域180で使用される触媒は、Co/Mo、Ni/Mo、Ni/W、及びCo/Ni/Moから選択される1種または複数の触媒を含むことが可能である。Co/Mo、Ni/Mo、Ni/W、及びCo/Ni/Moの1種または複数の組み合わせも使用可能である。組み合わせは、単一活性金属種を含有する粒子を多種用いて、または複数の活性種を含有する粒子で構成することが可能である。ある特定の実施形態において、Co/Mo水素化脱硫触媒が適切である。有効液空間速度値(h−1)は、水素化精製触媒に対して新たに供給される原料に基づいて、約0.1〜10.0、0.1〜5.0、0.1〜2.0、0.3〜10.0、0.3〜5.0、0.3〜2.0、0.5〜10.0、0.5〜5.0、0.5〜2.0、または0.8〜1.2の範囲である。ディーゼル水素化精製域180で使用される適切な水素化精製触媒は、予想される触媒寿命が、約28〜44、34〜44、28〜38、または34〜38ヶ月の範囲である。
ある特定の実施形態において、有効量の水素化脱蝋触媒も加えられる。そのような実施形態において、有効な水素化脱蝋触媒として、パラフィン炭化水素供給原料を異性化及び分解して低温流動性を改善するために典型的に使用されるもの、例えば、Ni、Wを含む触媒、またはモレキュラーシーブ、あるいはそれらの組み合わせが挙げられる。Ni/Wを含む触媒、中細孔または大細孔のゼオライト、あるいはそれらの組み合わせが、アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ、例えば中細孔または大細孔のゼオライトなどを含む触媒と合わせて、適切である。有効な市販のゼオライトとして、例えば、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、ZSM35、ならびにベータ型及びY型ゼオライトが挙げられる。水素化脱蝋触媒は、典型的には、酸化物担体、例えばAl2O3、SiO2、ZrO2、ゼオライト、ゼオライト−アルミナ、アルミナ−シリカ、アルミナ−シリカ−ゼオライト、活性炭、及びそれらの混合物などに担持される。有効液空間速度値(h−1)は、水素化脱蝋触媒に対して新たに供給される原料に基づいて、約0.1〜12.0、0.1〜8.0、0.1〜4.0、0.5〜12.0、0.5〜8.0、0.5〜4.0、1.0〜12.0、1.0〜8.0、1.0〜4.0、または1.6〜2.4の範囲である。ディーゼル水素化精製域180で使用される適切な水素化脱蝋触媒は、予想される触媒寿命が、約28〜44、34〜44、28〜38、または34〜38ヶ月の範囲である。
大容量運転では、2つ以上の並列反応器トレインが利用される。そのような実施形態において、ディーゼル水素化精製域180における流れは、フィードポンプの後で分割されて並列トレインに入り、各トレインは、供給原料/流出油熱交換器、供給原料加熱器、反応器、及び熱分離装置を備える。各反応器は、3つの触媒床を備え、床間にクエンチガスを有する。水素化精製触媒床の床間に配置された水素化脱蝋触媒層を持つ積層型触媒システムを使用する。トレインは、熱分離装置の後で再合流する。熱分離装置から出る塔頂分は、まとめて、冷分離装置に送られる。熱分離装置及び冷分離装置から出る塔底分は、生成物ストリッパに送られ、安定化超低硫黄ディーゼル及びワイルドナフサを生成する。冷分離装置から出る塔頂分は、吸着及びアミンスクラビングに供される。循環使用水素が回収され、精製ガス及びクエンチガスとして、反応域に送られる(メイクアップ水素とともに)。
減圧軽質軽油流164及び減圧重質軽油流166(または全範囲VGO、図示せず)は、軽油水素化処理域内の循環使用から得られる水素及びメイクアップ水素302による有効量の水素の存在下、軽油水素化処理域で処理される。ある特定の実施形態において、メイクアップ水素302の全部または一部は、オレフィン回収トレイン270から出る水蒸気分解炉水素流210に由来する。ある特定の実施形態において(図7には図示せず)、重質中質留分の全部または一部、例えば第三中質留分126の一部、例えば、常圧蒸留域110から出る常圧軽油なども、軽油水素化処理域で処理することが可能である。重質中質留分は、全範囲常圧軽油、またはその留分、例えば重質常圧軽油を含むことが可能である。さらに、第三中質留分126の一部は、軽油水素化処理域に送ることが可能であり、一方で残部は、軽油水素化処理域を迂回して、軽油水素化処理域を通過せずに軽油水蒸気分解域250に送られる。ある特定の実施形態において、まとめられた減圧軽油流164及び166の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、減圧軽油水素化処理域に送られ;減圧軽油の残部(もしあれば)は、減圧軽油水素化処理域を迂回して、直接、軽油水蒸気分解域250に送ることが可能である。
本明細書中のプロセスに従って、軽油水素化処理運転の過酷度を用いて、複合装置全体からのオレフィン及び芳香族化学製品の相対収率を加減し、及び重質供給原料の分解の経済的閾値を改善することが可能である。化学物質収率制御機構としての軽油水素化処理域の利用は、燃料製品が典型的な目的製品である業界では珍しい。
水素化精製様式の運転において、図8に示すとおり、減圧軽油水素化精製域300は、適切な水素化精製条件下で作動し、一般に、排出ガス及び軽留分(図示せず)、ワイルドナフサ流306、及び水素化精製軽油流304を生成する。流出油排出ガスは、軽油水素化精製域300から回収され、オレフィン回収トレインに、他のガス流156の一部として飽和ガスプラントに、及び/または直接、燃料ガスシステムに送られる。液化石油ガスは、軽油水素化精製域300から回収し、混合原料水蒸気分解域に、オレフィン回収トレインに、及び/または飽和ガスプラントに送ることが可能である。ナフサ留分306は、混合原料水蒸気分解域230に送られる。ある特定の実施形態において、水素化精製ナフサ留分306は、単独で、または統合プロセス内由来の他のワイルドナフサ留分と組み合わせて、原油処理複合装置100を通じて送られる。水素化精製ナフサ留分306が原油処理複合装置100を通じて送られる実施形態において、軽油水素化精製域300で生成した液化石油ガスの全部または一部は、水素化精製ナフサ留分306とともに送ることが可能である。水素化精製軽油304は、軽油水蒸気分解域250に送られる。ある特定の実施形態において、以下に記載される図8に示すとおり、水素化精製ナフサ留分306に加えてまたはそれと合わせて、軽油水素化精製域300から出る水素化精製留分及びナフサの全部または一部は、ディーゼル水素化精製域180に送られる。
軽油水素化精製域300は、原料及び所望の転化度合いをはじめとする要因に応じて、穏やか、中度、または厳しい条件下で作動することが可能である。そのような条件は、相当量の硫黄及び他の既知の混入物質を除去するのに、ならびに供給原料(複数可)を、主要な割合を占める水素化精製軽油304ならびに半数に満たない排出ガス、軽留分、及び水素化精製ナフサ306に転化するのに有効な条件下で作動し、水素化精製軽油304は軽油水蒸気分解域250に送られ、水素化精製ナフサ306は、混合原料水蒸気分解域230に送られる(任意選択で、原油処理複合装置100を介して)。水素化精製軽油留分304は、一般に、AGO、H−AGO、またはVGO範囲以上にある軽油水素化精製域300流出油分を含有する。
例えば、適切な軽油水素化精製域300は、Honeywell UOP、US;Chevron Lummus Global LLC(CLG)、US;Axens、IFP Group Technologies、FR;またはShell Global Solutions、USから市販されている技術に基づくシステムを含むことが可能であるが、これらに限定されない。
軽油水素化精製域300は、1つまたは複数の固定床、沸騰床、スラリー床、移動床、連続撹拌槽(CSTR)、または管型反応器を、直列及び/または並列配置で備えることができる。交換器、炉、供給ポンプ、クエンチポンプ、ならびに反応器(複数可)に供給する及び適切な作動条件を維持するための圧縮機をはじめとする追加設備は、周知であり、軽油水素化精製域300の一部であるものとみなす。また、ポンプ、圧縮機、高温分離容器、低温分離容器などをはじめとする、軽油水素化精製域300内で反応生成物を分離及び水素循環使用を提供するための設備は、周知であり、軽油水素化精製域300の一部であるものとみなす。
軽油水素化精製域300には、水素化脱硫及び水素化脱窒のための、水素化精製機能を保持する触媒を含む、有効量の触媒が提供される。そのような触媒は、一般に、IUPACの元素周期表の第6〜10族から選択される金属または金属化合物(酸化物または硫化物)の活性金属成分を1種または複数含有する。ある特定の実施形態において、活性金属成分は、Co、Ni、W、及びMoのうち1種または複数である。活性金属成分は、典型的には、非晶質アルミナ、非晶質シリカアルミナ、ゼオライト、またはそれらの組み合わせなどの担体に担持されているかいずれにしろ組み込まれている。ある特定の実施形態において、軽油水素化精製域300で使用される触媒は、Co/Mo、Ni/Mo、Ni/W、及びCo/Ni/Moから選択される1種または複数の床を含むことが可能である。Co/Mo、Ni/Mo、Ni/W、及びCo/Ni/Moの1種または複数の床の組み合わせも使用可能である。組み合わせは、単一活性金属種を含有する粒子を多種用いて、または複数の活性種を含有する粒子で構成することが可能である。ある特定の実施形態において、Co/Mo触媒及びNi/Mo触媒の組み合わせが、水素化脱硫及び水素化脱窒に有効である。1つまたは複数の反応器の連なりを提供することが可能であり、各連なりの異なる反応器に異なる触媒が用いられる。例えば、第一反応器は、Co/Mo触媒を含み、第二反応器は、Ni/Mo触媒を含む。軽油水素化精製域300で使用される適切な水素化精製触媒は、予想される触媒寿命が、約28〜44、28〜38、34〜44、または34〜38ヶ月の範囲である。
ある特定の実施形態において、軽油水素化精製域300運転条件は、以下を含む:
反応器入口温度(℃)が、約324〜496、324〜453、324〜431、367〜496、367〜453、367〜431、389〜496、389〜453、389〜431、または406〜414の範囲;
反応器出口温度(℃)が、約338〜516、338〜471、338〜449、382〜516、382〜471、382〜449、404〜516、404〜471、404〜449、または422〜430の範囲;
初期(SOR)反応温度(℃)が、加重平均床温度(WABT)として、約302〜462、302〜422、302〜402、342〜462、342〜422、342〜402、362〜462、362〜422、362〜402、または378〜384の範囲;
終期(EOR)反応温度(℃)が、WABTとして、約333〜509、333〜465、333〜443、377〜509、377〜465、377〜443、399〜509、399〜465、399〜443、または416〜424の範囲;
反応入口圧(barg)が、約91〜137、91〜125、91〜119、102〜137、102〜125、102〜119、108〜137、108〜125、108〜119、または110〜116の範囲;
反応出口圧(barg)が、約85〜127、85〜117、85〜111、96〜127、96〜117、96〜111、100〜127、100〜117、または100〜111の範囲;
水素分圧(barg)(出口)が、約63〜95、63〜87、63〜83、71〜95、71〜87、71〜83、75〜95、75〜87、75〜83、または77〜81の範囲;
水素精製ガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約525、510、465、または445まで、ある特定の実施形態において約335〜510、335〜465、335〜445、380〜510、380〜465、380〜445、400〜510、400〜465、または400〜445;
水素クエンチガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約450、430、392、または375まで、ある特定の実施形態において約285〜430、285〜392、285〜375、320〜430、320〜392、320〜375、338〜430、338〜392、または338〜375;
メイクアップ水素供給速度(SLt/Lt)が、最高約220、200、180、または172まで、ある特定の実施形態において約130〜200、130〜180、130〜172、148〜200、148〜180、148〜172、155〜200、155〜180、または155〜172;及び
液空間速度値(h−1)が、水素化精製触媒に対して新たに供給される原料に基づいて、約0.1〜10.0、0.1〜5.0、0.1〜2.0、0.3〜10.0、0.3〜5.0、0.3〜2.0、0.4〜10.0、0.4〜5.0、0.4〜3.0、または0.5〜2.5の範囲。
上記の条件及び触媒選択の下、軽油水素化精製域300から出る代表的生成物は、1〜30、5〜30、2〜27、または5〜27重量%の常圧残油終点以下、例えば370℃で沸騰する流出油(軽油水素化精製域300への供給原料に対して)を含み、流出油にはLPG、灯油、ナフサ、及び常圧軽油範囲の成分が含まれる。残存する塔底留分は、水素化精製軽油留分であり、その全部または一部は、本明細書中記載されるとおり軽油水蒸気分解域250への供給原料として有効に統合することが可能である。
さらなる実施形態において、軽油水素化精製域300は、供給調整に有効な条件下で、水蒸気分解炉複合設備での目的とする石油化学製品への転化を最大限にするように作動することが可能である。したがって、ある特定の実施形態において、従来の精油運転に使用されるものとは異なる目的を達成する過酷条件が選択される。すなわち、典型的なVGO水素化精製が液体生成物転化収率にあまり重点を置かずに作動するのに対して、本発明の実施形態では、VGO水素化精製は、軽質な生成物ほど高い収率で生成するように作動し、それらを意図的に回収することで化学製品収率を最大限にする。石油化学製品への転化を最大限にする実施形態において、軽油水素化精製域300運転条件は、以下を含む:
反応器入口温度(℃)が、約461〜496、461〜473、485〜496、または473〜485の範囲;
反応器出口温度(℃)が、約480〜516、480〜489、489〜495、または495〜516の範囲;
初期(SOR)反応温度(℃)が、加重平均床温度(WABT)として、約430〜462、430〜440、440〜450、または450〜462の範囲;
終期(EOR)反応温度(℃)が、WABTとして、約473〜509、484〜495、473〜484、または495〜509の範囲;
反応入口圧(barg)が、約110〜137、113〜137、110〜120、120〜129、または129〜137の範囲;
反応出口圧(barg)が、約104〜118、104〜108、112〜118、または108〜112の範囲;
水素分圧(barg)(出口)が、約76〜95、76〜83、83〜89、または89〜95の範囲;
水素精製ガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約525、485、490、または520まで、ある特定の実施形態において約474〜520、474〜488、488〜500、または500〜520の範囲;
水素クエンチガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約450、441、416、または429まで、ある特定の実施形態において、約400〜441、400〜415、415〜430、または430〜441の範囲;
メイクアップ水素供給速度(SLt/Lt)が、最高約220、200、207、または214まで、ある特定の実施形態において約186〜200、186〜190、190〜195、または195〜200の範囲;及び
液空間速度値(h−1)が、水素化精製触媒に対して新たに供給される原料に基づいて、約0.5〜0.7、0.5〜0.55、0.55〜0.6、0.6〜0.65、0.65〜0.7の範囲。
上記の条件及び触媒選択の下、供給調整に有効な条件下で、水蒸気分解炉複合設備での目的とする石油化学製品への転化を最大限にするようにして作動する軽油水素化精製域300から出る代表的生成物は、20〜30、22〜28、23〜27、または24〜26重量%の常圧残油終点以下、例えば370℃で沸騰する流出油(軽油水素化精製域300への供給原料に対して)を含み、流出油にはLPG、灯油、ナフサ、及び常圧軽油範囲の成分が含まれる。残存する塔底留分は、水素化精製軽油留分であり、その全部または一部は、本明細書中記載されるとおり軽油水蒸気分解域250への供給原料として有効に統合することが可能である。
ある特定の実施形態において、軽油水素化精製域300は、1つまたは複数の反応器トレインを備え、第一反応器は、2つの触媒床及び床間クエンチ流を含む2つのクエンチ流を有し、第二反応器(ラグ反応器)は、1つの触媒床及びクエンチ流を有する。大容量運転では、2つ以上の並列反応器トレインが利用される。そのような実施形態において、軽油水素化精製域300における流れは、供給ポンプの後で分割されて並列トレインに入り、各トレインは、供給原料/流出油熱交換器、供給原料加熱器、反応器、及び熱分離装置を備える。トレインは、熱分離装置の後で再合流する。熱分離装置から出る塔頂分は、まとめて、冷分離装置に送られる。熱分離装置から出る塔底分は、ホットフラッシュドラムに送られる。冷分離装置から出る塔底分及びホットフラッシュドラムから出る塔頂分は、低圧フラッシュドラムに送られ、排出ガスが除去される。ホットフラッシュの液状塔底分及び低圧フラッシュの塔底分は、ストリッパに送られて、水素化精製軽油及びワイルドナフサが回収される。冷分離装置から出る塔頂分は、吸着及びアミンスクラビングに供される。循環使用水素が回収され、精製ガス及びクエンチガスとして、反応域に送られる(メイクアップ水素とともに)。
図7は、減圧軽油を精製するための水素化分解様式の運転を示す。水素化分解プロセスは、多数の石油精製所で商業使用されている。そうしたプロセスは、常圧軽油範囲より高温(例えば、約370〜520℃の範囲)で沸騰する供給原料を従来型水素化分解ユニットにおいて及び減圧軽油範囲より高温(例えば、約520℃超)で沸騰する供給原料を残油水素化分解ユニットにおいてなど、様々な供給原料を処理するのに使用される。一般に、水素化分解プロセスは、供給原料の分子を、より小さい、すなわち、より軽い、平均揮発度がより高く経済価値もより高い分子へと分割する。さらに、水素化分解プロセスは、典型的には、水素対炭素比を高めることにより、ならびに有機硫黄及び有機窒素化合物を除去することにより、炭化水素原料の品質を改善する。水素化分解プロセスから大きな経済利益が派生することから、プロセス改善及びより活性の高い触媒の実質的な開発が行われてきた。
3種の主要な水素化分解プロセススキームとして、貫流一段水素化分解、循環使用を伴うまたは伴わない直列流水素化分解、及び二段循環使用水素化分解が挙げられる。貫流一段水素化分解は、もっとも単純な配置の水素化分解装置であり、典型的には、水素化精製プロセスよりも過酷であるが、従来の高圧水素化分解プロセスほど過酷ではない条件で運転が行われる。これは、処理工程及び分解反応両方のために1つまたは複数の反応器を使用し、そのため、触媒は、水素化精製及び水素化分解の両方が可能なものでなければならない。この配置は、費用効率が高いものの、典型的には、比較的低い生成物収率をもたらす(例えば、最大転化率が約50重量%)。貫流一段水素化分解は、単一または複式触媒システム全体で中質留分収率を最大化するように設計される場合が多い。複式触媒システムは、積層床配置で、または2つの異なる反応器で使用することが可能である。流出油は、分留塔に送られて、H2S、NH3、軽質ガス(C1−C4)、ナフサ、及びディーゼル生成物、常圧軽油範囲以下の温度範囲(例えば、36〜370℃の温度範囲)で沸騰する留分が分離される。常圧軽油範囲より高温(例えば370℃)で沸騰する炭化水素は、典型的には、未転化油であり、その少なくとも一部は、基油製造センター450に送られる。基油製造センター450に送られないこれら未転化油の任意部分は、本明細書中記載されるとおり、濃水素ブリード流として軽油水素化分解域320の塔底留分から抜き出される。
軽油水素化分解域320は、穏やか、中度、または厳しい水素化分解条件下で作動し、一般に、排出ガス及び軽留分(図示せず)、ワイルドナフサ流326、ディーゼル燃料留分322、及び未転化油留分324を生成する。流出油排出ガスは、軽油水素化分解域320から回収され、オレフィン回収トレインに、他のガス流156の一部として飽和ガスプラントに、及び/または直接、燃料ガスシステムに送られる。液化石油ガスは、軽油水素化分解域320から回収され、混合原料水蒸気分解域に、オレフィン回収トレインに、及び/または飽和ガスプラント送ることが可能である。ナフサ留分326は、混合原料水蒸気分解域230に送られる。ある特定の実施形態において、ナフサ留分326は、単独で、または統合プロセス内由来の他のワイルドナフサ留分と組み合わせて、原油処理複合装置100を通じて送られる。ナフサ留分326が原油処理複合装置100を通じて送られる実施形態において、軽油水素化分解域320で生成した液化石油ガスの全部または一部は、ナフサ留分326とともに送ることが可能である。ディーゼル燃料留分322は、燃料として、例えば、ユーロVディーゼル基準に準拠した燃料として回収され、ディーゼル水素化精製域180から出るディーゼル燃料留分182とまとめることが可能である。未転化油留分324の全部または実質的部分は、基油製造センター450に送られ;残部(もしあれば)は、軽油水蒸気分解域250に送る、循環使用し消滅するまで分解する(図示せず)、またはシステムから排出する(図示せず)、あるいはこれらの任意の組み合わせに供することが可能である。
軽油水素化分解域320は、原料及び所望の転化度合いをはじめとする要因に応じて、穏やか、中度、または厳しい条件下で作動することが可能である。そのような条件は、相当量の硫黄及び他の既知混入物質を除去するのに、ならびに供給原料(複数可)を、主要な割合を占める分解生成物、ならびに半数に満たない割合の排出ガス、軽留分、及び未転化生成物に転化するのに有効であり、未転化生成物は、基油製造センター450に送られる。
例えば、適切な減圧軽油水素化分解装置域320は、Honeywell UOP、US;Chevron Lummus Global LLC(CLG)、US;Axens、IFP Group Technologies、FR;またはShell Global Solutions、USから市販されている技術に基づくシステムを含むことが可能であるが、これらに限定されない。
軽油水素化分解域320は、1つまたは複数の固定床、沸騰床、スラリー床、移動床、連続撹拌槽(CSTR)、または管型反応器を、直列及び/または並列配置で備えることが可能である。交換器、炉、供給ポンプ、クエンチポンプ、ならびに反応器(複数可)に供給する及び適切な作動条件を維持するための圧縮機をはじめとする追加設備は、周知であり、軽油水素化分解域320の一部であるものとみなす。また、ポンプ、圧縮機、高温分離容器、低温分離容器などをはじめとする、軽油水素化分解域320内で反応生成物を分離及び水素循環使用を提供するための設備は、周知であり、軽油水素化分解域320の一部であるものとみなす。
循環使用を伴うまたは伴わない直列流水素化分解は、もっとも一般的に使用される配置の1つである。これは、1つの反応器(精製触媒及び分解触媒の両方を含有する)または精製工程及び分解工程用の2つ以上の反応器を使用する。直列流配置では、第一反応域から出る、軽質ガス(典型的にはC1−C4、H2S、NH3)を含む全水素化分解生成物流及び全ての残存炭化水素は、第二反応域に送られる。分留塔から出る未転化塔底分は、さらに分解するために、第一反応器に戻して循環使用される。この配置は、減圧軽油などの重質原油留分を軽質生成物に転化し、蒸留セクションで使用される循環使用カット点に応じて、ナフサ、灯油、及び他のディーゼル範囲の炭化水素の収率を最大化する可能性を有する。
二段循環使用水素化分解は、2つの反応器を使用し、分留塔から出る未転化塔底分は、さらに分解するために、第二反応器に送られる。第一反応器が水素化精製及び水素化分解の両方を達成するため、第二反応器への供給原料は、アンモニア及び硫化水素を事実上含まない。これにより、硫黄または窒素化合物による被毒を受けやすい高性能ゼオライト触媒の使用が可能になる。
有効な加水分解触媒は、一般に、IUPACの元素周期表の第6〜10族から選択される金属または金属化合物(酸化物または硫化物)の活性金属成分を1種または複数、触媒の重量に基づいて約5〜40重量%含有する。ある特定の実施形態において、活性金属成分は、Mo、W、Co、またはNiのうち1種または複数である。活性金属成分は、典型的には、非晶質アルミナ、非晶質シリカアルミナ、ゼオライト、またはそれらの組み合わせなどの担体に担持されているかいずれにしろ組み込まれている。ある特定の実施形態において、単独で、または上記の金属と組み合わせて、Pt族金属、例えばPt及び/またはPdなどが、水素化成分として存在する場合があり、その量は一般に、触媒の重量に基づいて、約0.1〜2重量%である。適切な水素化分解触媒は、予想される触媒寿命が、18〜30、22〜30、18〜26、または22〜26ヶ月の範囲である。
軽油水素化分解域320から出る代表的生成物は、27〜99、27〜90、27〜82、27〜80、27〜75、27〜52、27〜48、30〜99、30〜90、30〜82、30〜80、30〜75、30〜52、30〜48、48〜99、48〜90、48〜82、48〜80、48〜75、48〜52、78〜99、78〜90、78〜85、80〜90、または80〜99重量%の、常圧残油終点以下、例えば370℃で沸騰する流出油(軽油水素化分解域320への供給原料に対して)を含み、流出油にはLPG、灯油、ナフサ、及び常圧軽油範囲の成分が含まれる。残存する塔底留分は、未転化油留分であり、その全部または一部は、本明細書中記載されるとおり軽油水蒸気分解域250への供給原料として有効に統合することが可能である。
図10は、反応域332及び分留域342を含む貫流単一反応器水素化分解域330の実施形態を図示し、これは、穏やかな転化または部分転化水素化分解装置であることが可能である。
反応域332は、一般に、最初の原料334の供給源及び水素ガス338の供給源と流体連通した1つまたは複数の入口を備える。反応域332の、流出油流340を排出する1つまたは複数の出口は、分留域342の1つまたは複数の入口と流体連通している(典型的には、サイクル水素の回収のため、それらの間に1つまたは複数の高圧及び/または低圧分離段階を備える、図示せず)。
分留域342は、ガス344を排出するための1つまたは複数の出口、ガスは、典型的にはH2、H2S、NH3、及び軽質炭化水素(C1−C4)である;生成物346を回収するための1つまたは複数の出口、例えば、常圧軽油範囲留分以下の温度範囲(例えば、36〜370℃の温度範囲)で沸騰する中質留分ナフサ及びディーゼル製品である;ならびに、常圧軽油範囲より高温(例えば370℃)で沸騰する炭化水素を含む塔底分348を排出するための1つまたは複数の出口を備える。ある特定の実施形態において、塔底分348の温度カット点(及びそれに応じて生成物346の終点)は、下流の運転のため、所望のガソリン、灯油、及び/またはディーゼル製品沸点範囲の上限温度に対応する範囲である。
貫流単一反応器水素化分解域330の運転では、原料流334及び水素流338は、反応域332に投入される。水素流338は、必要とされる度合いの水素化分解、供給原料種類、及び他の要因を支援するのに有効な量の水素であり、反応域332に付随する任意選択のガス分離サブシステム(図示せず)から出る循環使用水素336、及び/または、分留塔ガス流344から出るもの、及び必要であればメイクアップ水素302を含む任意の組み合わせが可能である。ある特定の実施形態において、反応域は、複数の触媒床を備えることが可能であり、床間で1つまたは複数のクエンチ水素流を受けることが可能である(図示せず)。
反応流出油流340は、転化、部分転化、及び未転化炭化水素を含有する。反応流出油流340は、一般に、ガス及び液体生成物、ならびに副生成物344、346を回収し、塔底留分348を分離するために、分留域342に送られる(任意選択で、1つまたは複数の高圧及び低圧分離段階で循環使用水素を回収した後)。この流348は、本明細書中記載されるとおり軽油水蒸気分解域250に送られる。
ガス流344は、典型的には、H2、H2S、NH3、及び軽質炭化水素(C1−C4)を含むものであり、このガス流は排出及び回収されて、さらに処理することが可能である。流出油排出ガスは、オレフィン回収トレインに、他のガス流156の一部として飽和ガスプラントに、及び/または直接、燃料ガスシステムに送られる。液化石油ガスは、回収して、混合原料水蒸気分解域に、オレフィン回収トレインに、及び/または飽和ガスプラントに送ることが可能である。1つまたは複数の分解生成物流346は、分留塔の適切な出口から排出され、下流の精製運転でさらに処理及び/またはブレンドして、ガソリン、灯油及び/またはディーゼル燃料、あるいは他の石油化学生成物を生成することが可能である。
ある特定の実施形態において(図示せず)、分留域342は、下流での運転のため、適切なカット点、例えば、所望のガソリン、灯油、及び/またはディーゼル製品の温度範囲の高温側に相当する範囲で、重質成分を分離するためのフラッシュ容器として作動することが可能である。ある特定の実施形態において、適切なカット点は、350〜450℃、360〜450℃、370〜450℃、350〜400℃、360〜400℃、370〜400℃、350〜380℃、または360〜380℃の範囲にある。カット点より高温の流は、本明細書中記載されるとおり軽油水蒸気分解域250に送られる。
例えば、適切な貫流単一反応器水素化分解域330は、Honeywell UOP、US;Chevron Lummus Global LLC(CLG)、US;Axens、IFP Group Technologies、FR;またはShell Global Solutions、USから市販されている技術に基づくシステムを含むことが可能であるが、これらに限定されない。
貫流単一反応器水素化分解域330における反応器配置は、1つまたは複数の固定床、沸騰床、スラリー床、移動床、連続撹拌槽(CSTR)、または管型反応器を備えることが可能であり、これらは、並列配置にあることが可能である。貫流単一反応器水素化分解域330は、穏やかな水素化分解様式の運転または部分転化様式の運転で作動することが可能である。交換器、炉、供給ポンプ、クエンチポンプ、ならびに反応器(複数可)に供給する及び適切な作動条件を維持するための圧縮機をはじめとする追加設備は、周知であり、貫流単一反応器水素化分解域330の一部であるものとみなす。また、ポンプ、圧縮機、高温分離容器、低温分離容器などをはじめとする、貫流単一反応器水素化分解域330内で反応生成物を分離及び水素循環使用を提供するための設備は、周知であり、貫流単一反応器水素化分解域330の一部であるものとみなす。
ある特定の実施形態において、貫流(循環使用のない一段)配置を使用し穏やかな水素化分解様式で作動する水素化分解域330における反応器(複数可)の運転条件は、以下を含む:
反応器入口温度(℃)が、約329〜502、329〜460、329〜440、372〜502、372〜460、372〜440、394〜502、394〜460、394〜440、または412〜420の範囲;
反応器出口温度(℃)が、約338〜516、338〜471、338〜450、382〜516、382〜471、382〜450、400〜516、400〜471、400〜450、または422〜430の範囲;
初期(SOR)反応温度が、加重平均床温度(WABT)として、約310〜475、310〜435、310〜415、350〜475、350〜435、350〜415、370〜475、370〜435、370〜415、または390〜397の範囲;
終期(EOR)反応温度が、WABTとして、約338〜516、338〜471、338〜450、382〜516、382〜471、382〜450、400〜516、400〜471、400〜450、または422〜430の範囲;
反応入口圧(barg)が、約108〜161、108〜148、108〜141、121〜161、121〜148、121〜141、128〜161、128〜148、128〜141、または131〜137の範囲;
反応出口圧(barg)が、約100〜150、100〜137、100〜130、112〜150、112〜137、112〜130、118〜150、118〜137、または118〜130の範囲;
水素分圧(barg)(出口)が、約77〜116、77〜106、77〜101、87〜116、87〜106、87〜101、92〜116、92〜106、92〜101、または94〜98の範囲;
水素精製ガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約530、510、470、または450まで、ある特定の実施形態において約340〜510、340〜470、340〜450、382〜510、382〜470、382〜450、400〜510、400〜470、400〜450、または410〜440;
水素クエンチガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約470、427、391、または356まで、ある特定の実施形態において約178〜427、178〜214、178〜356、214〜321、または178〜391;
メイクアップ水素速度(SLt/Lt)が、最高約225、215、200、または190まで、ある特定の実施形態において約143〜215、143〜200、143〜190、161〜215、161〜200、161〜190、170〜215、170〜200、または170〜190;及び
液空間速度値(h−1)が、水素化分解触媒に対して新たに供給される原料に基づいて、約0.1〜10.0、0.1〜5.0、0.1〜2.0、0.3〜10.0、0.3〜5.0、0.3〜2.0、0.4〜10.0、0.4〜5.0、または0.5〜3.0の範囲。
上記の条件及び触媒選択の下、穏やかな水素化分解様式で作動する貫流単一反応器水素化分解域330から出る代表的生成物は、27〜52、27〜48、30〜50、または30〜52重量%の、常圧残油終点以下、例えば370℃で沸騰する流出油(軽油水素化精製域330への供給原料に対して)を含み、流出油にはLPG、灯油、ナフサ、及び常圧軽油範囲の成分が含まれる。残存する塔底留分は、未転化油留分であり、その全部または一部は、本明細書中記載されるとおり軽油水蒸気分解域250への供給原料として有効に統合することが可能である。
ある特定の実施形態において、貫流(循環使用のない一段)配置を使用し部分転化様式で作動する水素化分解域330における反応器(複数可)の運転条件は、以下を含む:
反応器入口温度(℃)が、約340〜502、340〜460、340〜440、372〜502、372〜460、372〜440、394〜502、394〜460、394〜440、または412〜420の範囲;
反応器出口温度(℃)が、約350〜516、350〜471、350〜450、382〜516、382〜471、382〜450、400〜516、400〜471、400〜450、または422〜430の範囲;
初期(SOR)反応温度が、加重平均床温度(WABT)として、約310〜475、310〜435、310〜415、350〜475、350〜435、350〜415、370〜475、370〜435、370〜415、または390〜397の範囲;
終期(EOR)反応温度が、WABTとして、約338〜516、338〜471、338〜450、382〜516、382〜471、382〜450、400〜516、400〜471、400〜450、または422〜430の範囲;
反応入口圧(barg)が、約100〜165、100〜150、100〜140、120〜165、120〜140、130〜165、130〜150、または130〜140の範囲;
反応出口圧(barg)が、約92〜150、92〜137、92〜130、112〜150、112〜127、112〜130、118〜140、118〜130の範囲;
水素分圧(barg)(出口)が、約80〜120、80〜106、80〜101、90〜120、90〜106、90〜101、100〜120、または100〜115の範囲;
水素精製ガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約677、615、587、または573まで、ある特定の実施形態において約503〜615、503〜587、503〜573、531〜615、531〜587、531〜573、545〜615、545〜587、または545〜573;
水素クエンチガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約614、558、553、または520まで、ある特定の実施形態において約457〜558、457〜533、457〜520、482〜558、482〜533、482〜520、495〜558、495〜533、または495〜520;
メイクアップ水素速度(SLt/Lt)が、最高約305、277、264、または252まで、ある特定の実施形態において約204〜277、204〜264、204〜252、216〜277、216〜264、216〜252、228〜277、228〜264、または228〜252;及び
液空間速度値(h−1)が、水素化分解触媒に対して新たに供給される原料に基づいて、約0.1〜10.0、0.1〜5.0、0.1〜2.0、0.3〜10.0、0.3〜5.0、0.3〜2.0、0.4〜10.0、0.4〜5.0、0.4〜2.0、または0.5〜3.0の範囲。
上記の条件及び触媒選択の下、部分転化水素化分解装置として作動する貫流単一反応器水素化分解域330から出る代表的生成物は、48〜82、50〜80、48〜75、または50〜75重量%の、常圧残油終点以下、例えば370℃で沸騰する流出油(軽油水素化処理域330への供給原料に対して)を含み、流出油にはLPG、灯油、ナフサ、及び常圧軽油範囲の成分が含まれる。残存する塔底留分は、未転化油留分であり、その全部または一部は、本明細書中記載されるとおり軽油水蒸気分解域250への供給原料として有効に統合することが可能である。
図11は、直列流水素化分解域350の別の実施形態を図示し、これは、第一反応器域、第二反応器域、または第一及び第二反応器域両方への循環使用を伴う直列流水素化分解システムとして作動する。一般に、直列流水素化分解域350は、第一反応域352、第二反応域358、及び分留域342を備える。
第一反応域352は、一般に、最初の原料334の供給源及び水素ガス338の供給源、ならびにある特定の実施形態において、分留域342塔底流348の全部または一部を含む循環使用流364a、及び任意選択で分留域342生成物流362の一部と流体連通した1つまたは複数の入口を備える。第一反応域352の、流出油流354を排出する1つまたは複数の出口は、第二反応域358の1つまたは複数の入口と流体連通している。ある特定の実施形態において、流出油354は、どのような過剰水素及び軽質ガスも分離することなく第二反応域358に送られる。任意選択の実施形態において、循環使用水素の回収のため、1つまたは複数の高圧及び低圧分離段が、第一及び第二反応器域352、358の間に提供される(図示せず)。
第二反応域358は、一般に、第一反応域352の1つまたは複数の出口、任意選択で追加の水素ガス356の供給源、及びある特定の実施形態において分留域342塔底流348の全部または一部を含む循環使用流364b、及び任意選択で分留域342生成物流362の一部と流体連通した、1つまたは複数の入口を備える。流出油流360を排出する第二反応域358の1つまたは複数の出口は、分留域342の1つまたは複数の入口と流体連通している(任意選択で、循環使用水素の回収のため、第二反応域358と分留域342の間に1つまたは複数の高圧及び低圧分離段を備える、図示せず)。
分留域342は、ガス344を排出するための1つまたは複数の出口、ガスは、典型的にはH2、H2S、NH3、及び軽質炭化水素(C1−C4)である;生成物346を回収するための1つまたは複数の出口、生成物は、例えば、常圧軽油範囲留分以下の温度範囲(例えば、36〜370℃の温度範囲)で沸騰する中質留分ナフサ及びディーゼル製品である;ならびに、常圧軽油範囲より高温(例えば370℃)で沸騰する炭化水素を含む塔底分348を排出するための1つまたは複数の出口、100%循環使用を伴う運転ではないプロセスでここからブリード流368が得られる、を備える。ある特定の実施形態において、塔底分348の温度カット点(及びそれに応じて生成物346の終点)は、下流での運転のため、所望のガソリン、灯油、及び/またはディーゼル製品沸点範囲の上限温度に対応する範囲である。
直列流水素化分解域350の運転において、原料流334及び水素流338は、第一反応域352に投入される。水素流338は、必要とされる度合いの水素化分解、供給原料種類、及び他の要因を支援するのに有効な量の水素であり、反応域352及び358に付随する任意選択のガス分離サブシステム(図示せず)から出る循環使用水素336、及び/または、分留塔ガス流344から出るもの、及びメイクアップ水素302を含む任意の組み合わせが可能である。ある特定の実施形態において、反応域は、複数の触媒床を備えることが可能であり、床間で1つまたは複数のクエンチ水素流を受けることが可能である(図示せず)。
第一反応域352は、反応流出油流354の生成に有効な条件下で作動し、反応流出油流354は、第二反応域358に(任意選択で、1つまたは複数の高圧及び低圧分離段で循環使用水素を回収した後)、任意選択で追加水素流356とともに、送られる。第二反応域358は、反応流出油流360の生成に有効な条件下で作動し、反応流出油流360は、転化、部分転化、及び未転化炭化水素を含有する。
反応流出油流360は、一般に、ガス及び液体生成物ならびに副生成物344、346を回収し、塔底留分348を分離するために、分留域342に送られる。塔底留分348の一部である流368は、本明細書中記載されるとおり軽油水蒸気分解域250に送られる。
ガス流344は、典型的には、H2、H2S、NH3、及び軽質炭化水素(C1−C4)を含むものであり、このガス流は排出及び回収されて、さらに処理することが可能である。流出油排出ガスは、オレフィン回収トレインに、他のガス流156の一部として飽和ガスプラントに、及び/または直接、燃料ガスシステムに送られる。液化石油ガスは、回収して、混合原料水蒸気分解域に、オレフィン回収トレインに、及び/または飽和ガスプラントに送ることが可能である。1つまたは複数の分解生成物流346は、分留塔の適切な出口から排出され、下流の精製運転でさらに処理及び/またはブレンドされて、ガソリン、灯油及び/またはディーゼル燃料、あるいは他の石油化学生成物を生成することが可能である。ある特定の実施形態において、1つまたは複数の分解生成物流346に由来するディーゼル留分362は、循環使用流と統合されて反応器に向かうことが可能である。この統合は、生成物流346から生成させるのがディーゼル燃料であるか石油化学製品であるかの間で配置に柔軟性をもたらす。
ある特定の実施形態において(図示せず)、分留域342は、下流での運転のため、適切なカット点、例えば、所望のガソリン、灯油、及び/またはディーゼル製品の温度範囲の高温側に相当する範囲で、重質成分を分離するためのフラッシュ容器として作動することが可能である。ある特定の実施形態において、適切なカット点は、350〜450℃、360〜450℃、370〜450℃、350〜400℃、360〜400℃、370〜400℃、350〜380℃、または360〜380℃の範囲にある。カット点より高温の流は、本明細書中記載されるとおり軽油水蒸気分解域250に送られる。
反応流出油から出る分留塔塔底流348の全部または一部は、第一または第二反応域352及び/または358に循環使用される(流364a及び/または流364b)。ある特定の実施形態において、反応流出油から出る分留塔塔底分の一部は、ブリード流368として取り出される。ブリード流368は、分留塔塔底分348の約0〜10体積%、1〜10体積%、1〜5体積%、または1〜3体積%であることが可能である。このブリード流368は、本明細書中記載されるとおり軽油水蒸気分解域250に送られる。
したがって、分留塔塔底流348の全部または一部は、流364bとして第二反応域358に、流364aとして第一反応域352に、または第一反応域352及び第二反応域358の両方に循環使用される。例えば、反応域352に循環使用される流364aは、流348の0〜100体積%を占め、ある特定の実施形態において0〜約80体積%、及びさらなる実施形態において0〜約50体積%を占め、反応域358に循環使用される流364bは、流348の0〜100体積%を占め、ある特定の実施形態において0〜約80体積%、及びさらなる実施形態において0〜約50体積%を占める。循環使用が100体積%であるまたはそれに近いある特定の実施形態において、未転化油の循環使用は、混合原料水蒸気分解域230への供給原料として適切な生成物の収率を上昇させる。
例えば、適切な直列流水素化分解域350は、Honeywell UOP、US;Chevron Lummus Global LLC(CLG)、US;Axens、IFP Group Technologies、FR;またはShell Global Solutions、USから市販されている技術に基づくシステムを含むことが可能であるが、これらに限定されない。
直列流水素化分解域350における反応器配置は、1つまたは複数の固定床、沸騰床、スラリー床、移動床、連続撹拌槽(CSTR)、または管型反応器を備えることが可能であり、これらは、並列配置にあることが可能である。交換器、炉、供給ポンプ、クエンチポンプ、ならびに反応器(複数可)に供給する及び適切な作動条件を維持するための圧縮機をはじめとする追加設備は、周知であり、直列流水素化分解域350の一部であるものとみなす。また、ポンプ、圧縮機、高温分離容器、低温分離容器などをはじめとする、直列流水素化分解域350内で反応生成物を分離及び水素循環使用を提供するための設備は、周知であり、直列流水素化分解域350の一部であるものとみなす。
ある特定の実施形態において、貫流配置を使用し部分転化様式で作動する水素化分解域350における第一反応器(複数可)の運転条件は、以下を含む:
反応器入口温度(℃)が、約340〜502、340〜460、340〜440、372〜502、372〜460、372〜440、394〜502、394〜460、394〜440、または412〜420の範囲;
反応器出口温度(℃)が、約350〜516、350〜471、350〜450、382〜516、382〜471、382〜450、400〜516、400〜471、400〜450、または422〜430の範囲;
初期(SOR)反応温度が、加重平均床温度(WABT)として、約310〜475、310〜435、310〜415、350〜475、350〜435、350〜415、370〜475、370〜435、370〜415、または390〜397の範囲;
終期(EOR)反応温度が、WABTとして、約338〜516、338〜471、338〜450、382〜516、382〜471、382〜450、400〜516、400〜471、400〜450、または422〜430の範囲;
反応入口圧(barg)が、約100〜165、100〜150、100〜140、120〜165、120〜140、130〜165、130〜150、または130〜140の範囲;
反応出口圧(barg)が、約92〜150、92〜137、92〜130、112〜150、112〜127、112〜130、118〜140、118〜130の範囲;
水素分圧(barg)(出口)が、約80〜120、80〜106、80〜101、90〜120、90〜106、90〜101、100〜120、または100〜115の範囲;
水素精製ガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約668、607、580、または566まで、ある特定の実施形態において約497〜607、497〜580、497〜566、525〜607、525〜580、525〜566、538〜607、538〜580、または538〜566;
水素クエンチガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約819、744、711、または694まで、ある特定の実施形態において約609〜744、609〜711、609〜694、643〜744、643〜711、643〜694、660〜744、660〜711、または660〜694;
メイクアップ水素速度(SLt/Lt)が、最高約271、246、235、または224まで、ある特定の実施形態において約182〜246、182〜235、182〜224、192〜246、192〜235、192〜224、203〜246、203〜235、または203〜224;及び
液空間速度値(h−1)が、水素化分解触媒に対して新たに供給される原料に基づいて、約0.1〜10.0、0.1〜5.0、0.1〜2.0、0.3〜10.0、0.3〜5.0、0.3〜2.0、0.4〜10.0、0.4〜5.0、0.4〜2.0、または0.5〜1.5の範囲。
ある特定の実施形態において、貫流配置を使用し部分転化様式で作動する水素化分解域350における第二反応器(複数可)の運転条件は、以下を含む:
ある特定の実施形態において、貫流配置を使用する部分転化水素化分解の運転条件は、以下を含む:
反応器入口温度(℃)が、約340〜502、340〜460、340〜440、372〜502、372〜460、372〜440、394〜502、394〜460、394〜440、または412〜420の範囲;
反応器出口温度(℃)が、約350〜516、350〜471、350〜450、382〜516、382〜471、382〜450、400〜516、400〜471、400〜450、または422〜430の範囲;
初期(SOR)反応温度が、加重平均床温度(WABT)として、約310〜475、310〜435、310〜415、350〜475、350〜435、350〜415、370〜475、370〜435、370〜415、または390〜397の範囲;
終期(EOR)反応温度が、WABTとして、約338〜516、338〜471、338〜450、382〜516、382〜471、382〜450、400〜516、400〜471、400〜450、または422〜430の範囲;
反応入口圧(barg)が、約90〜150、90〜130、90〜140、110〜150、110〜130、110〜145、または130〜150の範囲;
反応出口圧(barg)が、約85〜140、85〜127、100〜140、112〜130、112〜140、または118〜130の範囲;
水素分圧(barg)(出口)が、約80〜130、80〜120、80〜101、90〜130、90〜120、90〜101、100〜130、または100〜115の範囲;
水素精製ガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約890、803、767、または748まで、ある特定の実施形態において約657〜803、657〜767、657〜748、694〜803、694〜767、694〜748、712〜803、712〜767、または712〜748;
水素クエンチガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約850、764、729、または712まで、ある特定の実施形態において約625〜764、625〜729、625〜712、660〜764、660〜729、660〜712、677〜764、677〜729、または677〜712;
メイクアップ水素速度(SLt/Lt)が、最高約372、338、323、または309まで、ある特定の実施形態において約250〜338、250〜323、250〜309、264〜338、264〜323、264〜309、279〜338、279〜323、または279〜309;及び
液空間速度値(h−1)が、水素化分解触媒に対して新たに供給される原料に基づいて、約0.1〜10.0、0.1〜5.0、0.1〜2.0、0.3〜10.0、0.3〜5.0、1.0〜5.0、2.0〜4.0、または1.0〜3.0の範囲。
上記の条件及び触媒選択の下、貫流配置を使用する部分転化水素化分解装置として作動する直列流水素化分解域350から出る代表的生成物は、48〜82、50〜80、48〜75、または50〜75重量%の、常圧残油終点以下、例えば370℃で沸騰する流出油(水素化分解域350への供給原料に対して)を含み、流出油にはLPG、灯油、ナフサ、及び常圧軽油範囲の成分が含まれる。残存する塔底留分は、未転化油留分であり、その全部または一部は、本明細書中記載されるとおり軽油水蒸気分解域250への供給原料として有効に統合することが可能である。
図12は、統合された水素化分解ユニット運転、循環使用を伴う二段の水素化分解域370の別の実施形態を図示し、これは、循環使用を伴う二段水素化分解システムとして作動する。一般に、水素化分解域370は、第一反応域372、第二反応域382、及び分留域342を備える。
第一反応域372は、一般に、最初の原料334の供給源及び水素ガス338の供給源と流体連通した1つまたは複数の入口を備える。流出油流374を排出する第一反応域372の1つまたは複数の出口は、分留域342の1つまたは複数の入口と流体連通している(任意選択で、循環使用水素の回収のため、それらの間に1つまたは複数の高圧及び低圧分離段を備える、図示せず)。
分留域342は、ガス344を排出するための1つまたは複数の出口、ガスは、典型的には、H2S、NH3、及び軽質炭化水素(C1−C4)である;生成物346を回収するための1つまたは複数の出口、生成物は、例えば、常圧軽油範囲留分以下の温度範囲(例えば、36〜370℃の温度範囲)で沸騰するナフサ及びディーゼル生成物である;ならびに、常圧軽油範囲より高温(例えば約370℃)で沸騰する炭化水素を含む塔底分348を排出するための1つまたは複数の出口、を備えており、100%循環使用で作動するのではないプロセスでは、塔底分348から、ブリード流368が得られる。ある特定の実施形態において、塔底分348の温度カット点(及びそれに応じて生成物346の終点)は、下流での運転のため、所望のガソリン、灯油、及び/またはディーゼル製品沸点範囲の上限温度に対応する範囲である。
分留域342塔底出口は、塔底流348に由来する循環使用流348a用の第二反応域382の1つまたは複数の入口と流体連通している。循環使用流348aは、塔底流348の全部または一部であることが可能である。ある特定の任意選択実施形態において(図12で破線により示すとおり)、部分348bは、第一反応域372の1つまたは複数の入口と流体連通している。
第二反応域382は、一般に、塔底分348の分留域342塔底流出部分348a、及び水素ガス384の供給源と流体連通した1つまたは複数の入口を備える。流出油流386を排出する第二反応域382の1つまたは複数の出口は、分留域342の1つまたは複数の入口と流体連通している(任意選択で、循環使用水素の回収のため、それらの間に1つまたは複数の高圧及び低圧分離段を備える、図示せず)。
二段水素化分解域370の運転において、原料流334及び水素流338は、第一反応域372に投入される。水素流338は、必要とされる度合いの水素化分解、供給原料種類、及び他の要因を支援するのに有効な量の水素であり、反応域372及び382に付随する任意選択のガス分離サブシステム(図示せず)から出る循環使用水素336、及び/または、分留塔ガス流344から出るもの、及びメイクアップ水素302を含む任意の組み合わせが可能である。ある特定の実施形態において、反応域は、複数の触媒床を備えることが可能であり、床間で1つまたは複数のクエンチ水素流を受けることが可能である(図示せず)。
第一反応域372は、反応流出油流374の生成に有効な条件下で作動し、反応流出油流374は、分留域342に送られて(任意選択で、1つまたは複数の高圧及び低圧分離段で循環使用水素を回収した後)、一般にガス及び液体生成物ならびに副生成物が回収され、塔底留分が分離される。
ガス流344は、典型的には、H2、H2S、NH3、及び軽質炭化水素(C1−C4)を含むものであり、このガス流は排出及び回収されて、さらに処理することが可能である。流出油排出ガスは、オレフィン回収トレインに、他のガス流156の一部として飽和ガスプラントに、及び/または直接、燃料ガスシステムに送られる。液化石油ガスは、回収して、混合原料水蒸気分解域に、オレフィン回収トレインに、及び/または飽和ガスプラントに送ることが可能である。1つまたは複数の分解生成物流346は、分留塔の適切な出口から排出され、下流の精製運転でさらに処理及び/またはブレンドされて、ガソリン、灯油及び/またはディーゼル燃料、あるいは他の石油化学生成物を生成することが可能である。ある特定の実施形態において、1つまたは複数の分解生成物流346に由来するディーゼル留分376は、供給原料と統合されて第二段階反応器382に向かうことが可能である。この統合は、生成物流346から生成させるのがディーゼル燃料であるか石油化学製品であるかの間で配置に柔軟性をもたらす。
ある特定の実施形態において(図示せず)、分留域342は、下流での運転のため、適切なカット点、例えば、所望のガソリン、灯油、及び/またはディーゼル製品の温度範囲の高温側に相当する範囲で、重質成分を分離するためのフラッシュ容器として作動することが可能である。ある特定の実施形態において、適切なカット点は、350〜450℃、360〜450℃、370〜450℃、350〜400℃、360〜400℃、370〜400℃、350〜380℃、または360〜380℃の範囲にある。カット点より高温の流は、本明細書中記載されるとおり軽油水蒸気分解域250に送られる。
反応流出油から出る分留塔塔底流348の全部または一部は、流348aとして第二反応域382に送られる。ある特定の実施形態において、塔底流348の全部または一部は、流348aとして第二反応域382に、流348bとして第一反応域372に、または第一反応域372及び第二反応域382の両方に循環使用される。例えば、反応域372に循環使用される流348bは、流348の0〜100体積%、0〜約80体積%、または0〜約50体積%を占め、反応域382に循環使用される流348aは、流348の0〜100体積%、0〜約80体積%、または0〜約50体積%を占める。循環使用が100体積%であるまたはそれに近いある特定の実施形態において、未転化油の循環使用は、混合原料水蒸気分解域230への供給原料として適切な生成物の収率を上昇させる。
ある特定の実施形態において、反応流出油から出る分留塔塔底分の一部は、ブリード流368として取り出される。ブリード流368は、分留塔塔底分348の約0〜10体積%、1〜10体積%、1〜5体積%、または1〜3体積%であることが可能である。
第二反応域382は、反応流出油流386の生成に有効な条件下で作動し、反応流出油流386は、転化、部分転化、及び未転化炭化水素を含有する。第二段階で、反応流出油流386は、循環使用水素の回収及び特定の軽質ガスの取り出しを行うため任意選択で1つまたは複数のガス分離装置を通過して、分留域342に送られる。
例えば、適切な二段水素化分解域370は、Honeywell UOP、US;Chevron Lummus Global LLC(CLG)、US;Axens、IFP Group Technologies、FR;またはShell Global Solutions、USから市販されている技術に基づくシステムを含むことが可能であるが、これらに限定されない。
循環使用を伴う二段水素化分解域370の反応器配置は、1つまたは複数の固定床、沸騰床、スラリー床、移動床、連続撹拌槽(CSTR)、または管型反応器を備えることが可能であり、これらは、並列配置にあることが可能である。交換器、炉、供給ポンプ、クエンチポンプ、ならびに反応器(複数可)に供給する及び適切な作動条件を維持するための圧縮機をはじめとする追加設備は、周知であり、二段水素化分解域370の一部であるものとみなす。また、ポンプ、圧縮機、高温分離容器、低温分離容器などをはじめとする、二段水素化分解域370内で反応生成物を分離及び水素循環使用を提供するための設備は、周知であり、二段階水素化分解域370の一部であるものとみなす。
ある特定の実施形態において、循環使用を伴う二段配置を使用し完全転化様式で作動する水素化分解域370における第一反応器(複数可)の運転条件は、以下を含む:
反応器入口温度(℃)が、約340〜502、340〜460、340〜440、372〜502、372〜460、372〜440、394〜502、394〜460、394〜440、または412〜420の範囲;
反応器出口温度(℃)が、約350〜516、350〜471、350〜450、382〜516、382〜471、382〜450、400〜516、400〜471、400〜450、または422〜430の範囲;
初期(SOR)反応温度が、加重平均床温度(WABT)として、約310〜475、310〜435、310〜415、350〜475、350〜435、350〜415、370〜475、370〜435、370〜415、または390〜397の範囲;
終期(EOR)反応温度が、WABTとして、約338〜516、338〜471、338〜450、382〜516、382〜471、382〜450、400〜516、400〜471、400〜450、または422〜430の範囲;
反応入口圧(barg)が、約100〜180、100〜160、100〜141、121〜180、121〜160、121〜141、128〜180、128〜160、128〜141、または131〜180の範囲;
反応出口圧(barg)が、約90〜170、90〜137、90〜130、112〜170、112〜137、112〜130、118〜150、118〜137、または118〜170の範囲;
水素分圧(barg)(出口)が、約90〜137、90〜106、90〜120、100〜137、100〜106、または100〜120の範囲;
水素精製ガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約1050、940、898、または876まで、ある特定の実施形態において約769〜940、769〜898、769〜876、812〜940、812〜898、812〜876、834〜940、834〜898、または834〜876;
水素クエンチガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約1100、980、935、または913まで、ある特定の実施形態において約801〜980、801〜935、801〜913、846〜980、846〜935、846〜913、868〜980、868〜935、または868〜913;
メイクアップ水素速度(SLt/Lt)が、最高約564、512、490、または468まで、ある特定の実施形態において約378〜512、378〜490、378〜468、401〜512、401〜490、401〜468、423〜512、423〜490、または423〜468;及び
液空間速度値(h−1)が、水素化分解触媒に対して新たに供給される原料に基づいて、約0.1〜10.0、0.1〜5.0、0.1〜2.0、0.3〜10.0、0.3〜5.0、0.3〜2.0、0.4〜10.0、0.4〜5.0、0.4〜2.0、または0.5〜1.5の範囲。
ある特定の実施形態において、循環使用を伴う二段配置を使用し完全転化様式で作動する水素化分解域370における第二段階反応器(複数可)の運転条件は、以下を含む:
ある特定の実施形態において、二段水素化分解域370の第一段階反応域における反応器(複数可)の運転条件は、以下を含む:
反応器入口温度(℃)が、約340〜502、340〜460、340〜440、372〜502、372〜460、372〜440、394〜502、394〜460、394〜440、または412〜420の範囲;
反応器出口温度(℃)が、約350〜516、350〜471、350〜450、382〜516、382〜471、382〜450、400〜516、400〜471、400〜450、または422〜430の範囲;
初期(SOR)反応温度が、加重平均床温度(WABT)として、約310〜475、310〜435、310〜415、350〜475、350〜435、350〜415、370〜475、370〜435、370〜415、または390〜397の範囲;
終期(EOR)反応温度が、WABTとして、約338〜516、338〜471、338〜450、382〜516、382〜471、382〜450、400〜516、400〜471、400〜450、または422〜430の範囲;
反応入口圧(barg)が、約80〜145、80〜100、80〜131、80〜120、120〜145、100〜145、または130〜145の範囲;
反応出口圧(barg)が、約75〜137、75〜130、90〜130、100〜137、100〜122、または112〜137の範囲;
水素分圧(barg)(出口)が、約90〜145、90〜106、90〜120、100〜145、100〜106、または100〜120の範囲;
水素精製ガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約910、823、785、または767まで、ある特定の実施形態において約673〜823、673〜785、673〜767、711〜823、711〜785、711〜767、729〜823、729〜785、または729〜767;
水素クエンチガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約980、882、842、または822まで、ある特定の実施形態において約721〜882、721〜842、721〜822、761〜882、761〜842、761〜822、781〜882、781〜842、または781〜822;
メイクアップ水素速度(SLt/Lt)が、最高約451、410、392、または374まで、ある特定の実施形態において約303〜410、303〜392、303〜374、321〜410、321〜392、321〜374、338〜410、338〜392、または338〜374;及び
液空間速度値(h−1)が、水素化分解触媒に対して新たに供給される原料に基づいて、約0.1〜10.0、0.1〜5.0、0.1〜2.0、0.3〜10.0、0.3〜5.0、1.0〜5.0、2.0〜4.0、または1.0〜3.0の範囲。
上記の条件及び触媒選択の下、完全転化様式で二段水素化分解装置(循環使用を伴う)として作動する水素化分解域370から出る代表的生成物は、78〜99、78〜90、78〜85、80〜90、または80〜99重量%の常圧残油終点以下、例えば370℃で沸騰する流出油(水素化分解域370への供給原料に対して)を含み、流出油にはLPG、灯油、ナフサ、及び常圧軽油範囲の成分が含まれる。残存する塔底留分は、未転化油留分であり、その全部または一部は、本明細書中記載されるとおり軽油水蒸気分解域250への供給原料として有効に統合することが可能である。
減圧残油流168は、減圧残油水素化分解域800内での循環使用から得られる水素及びメイクアップ水素826による有効量の水素の存在下、減圧残油水素化分解域800で処理される。ある特定の実施形態において、メイクアップ水素826の全部または一部は、オレフィン回収トレイン270から出る水蒸気分解炉水素流210に由来する。ある特定の実施形態において、熱分解燃料油流236、256の全部または一部は、流802として示すとおり、800に供給される。
減圧残油水素化分解域800は、厳しい水素化分解条件下で作動し、一般に、排出ガス及び軽留分(図示せず)及びピッチ804、ならびに1つまたは複数の、ワイルドナフサ流808、ディーゼル留分810、未転化油留分806、及び中質留分流812を生成し、中質留分流812は、減圧軽油水素化処理域320/300及び/またはディーゼル水素化精製域180に送られる。流出油排出ガスは、減圧残油水素化分解域800から回収され、オレフィン回収トレインに、他のガス流156の一部として飽和ガスプラントに、及び/または直接、燃料ガスシステムに送られる。液化石油ガスは、減圧残油水素化分解域800から回収して、混合原料水蒸気分解域、オレフィン回収トレイン、及び/または飽和ガスプラントに送ることが可能である。ナフサ留分808が回収される実施形態において、ナフサ留分808は、混合原料水蒸気分解域230に送られる。ナフサ留分808が回収されるある特定の実施形態において、ナフサ留分808は、単独で、または統合プロセス内由来の他のワイルドナフサ留分と組み合わせて、原油処理複合装置100を通過する。未転化油留分806は、軽油水素化分解域320または軽油水蒸気分解域250に送られる。ある特定の実施形態において、未転化油留分806の全部または少なくとも一部は、基油製造センター450に送られる。
ディーゼル留分810は、燃料プール成分として回収される、またはユーロV基準を満たすディーゼル燃料として使用される。減圧残油水素化分解域800がユーロV基準を満たすディーゼル燃料を生成するのに有効な条件下で作動する実施形態において、留分810は、ディーゼル水素化精製装置180から出るディーゼル燃料留分182、または減圧軽油水素化分解域320から出るディーゼル燃料留分322、またはディーゼル水素化精製装置180から出るディーゼル燃料留分182及び減圧軽油水素化分解域320から出るディーゼル燃料留分322の両方とまとめることが可能である。
減圧残油水素化分解域800は、原料及び所望の転化度合いをはじめとする要因に応じて、厳しい条件下で作動することが可能である。そのような条件は、相当量の硫黄及び他の既知混入物質を除去するのに、ならびに減圧残油168供給原料を、主要な割合を占める水素化分解生成物及び未転化油806、ならびに半数に満たない割合の排出ガス、軽留分、及びピッチ804に転化するのに有効であり、ピッチ804は、燃料油プールに送られる。水素化分解生成物は、燃料プール成分として回収され、またはユーロV基準を満たすディーゼル燃料として使用され、混合原料水蒸気分解域230に送られ、及び/または統合プロセス及びシステムの他の水素化処理域の1つまたは複数(減圧軽油水素化処理域320/300及び/またはディーゼル水素化精製域180)に送られる。未転化油806は、軽油水蒸気分解域250に送られる。ある特定の実施形態において、未転化油留分806の全部または少なくとも一部は、基油製造センター450に送られる。
減圧残油水素化分解域800は、1つまたは複数の沸騰床、スラリー床、固定床、または移動床を、直列及び/または並列配置で備えることが可能である。交換器、炉、供給ポンプ、クエンチポンプ、ならびに反応器(複数可)に供給する及び適切な作動条件を維持するための圧縮機をはじめとする追加設備は、周知であり、減圧残油水素化分解域800の一部であるものとみなす。また、ポンプ、圧縮機、高温分離容器、低温分離容器などをはじめとする、減圧残油水素化分解域800内で反応生成物を分離及び水素循環使用を提供するための設備は、周知であり、減圧残油水素化分解域800の一部であるものとみなす。
そのうえさらに、減圧残油水素化分解域800は、水素化精製反応域及び水素化分解反応域を含むことが可能である。例えば、減圧蒸留ユニット160から出る減圧残油168は、ヘテロ原子含有化合物、例えば、金属(詳細には、ニッケル及びバナジウム)、硫黄、及び窒素を含有するものの初期除去のため、水素化精製反応域に送ることが可能である。ある特定の実施形態において、Ni+V含有量は、少なくとも約30、45、77、95、または100重量%低下し、硫黄含有量は、少なくとも約70、80、92、または100重量%低下し、窒素含有量は、少なくとも約70、80、92、または100重量%低下する。
図13は、減圧残油水素化分解域820の実施形態を図示し、これには反応域822及び分留域834が含まれる。反応域822は、一般に、最初の原料824の供給源及び水素ガス830の供給源と流体連通した1つまたは複数の入口を備える。反応域822の、流出油流832を排出する1つまたは複数の出口は、分留域834の1つまたは複数の入口と流体連通している(典型的には、循環使用水素の回収のため、それらの間に1つまたは複数の高圧及び/または低圧分離段階を備える、図示せず、及び典型的には、減圧蒸留ユニットを備える、図示せず)。
分留域834は、フラッシュ容器及び/または蒸留容器を1つまたは複数備えることが可能であり、一般に、以下を備える:ガス836を排出するための1つまたは複数の出口、ガスは、典型的にはH2、H2S、NH3、及び軽質炭化水素(C1−C4)である;生成物838を回収するための1つまたは複数の出口、生成物838は、例えば、常圧軽油範囲留分以下の温度範囲(例えば、36〜370℃の温度範囲)で沸騰する中質留分ナフサ及びディーゼル製品である;重質油806を排出するための1つまたは複数の出口、重質油806は、典型的には、常圧軽油範囲より高温(例えば約370℃)で沸騰する未転化油及び他の炭化水素を含む;ならびに、ピッチ804を排出するための1つまたは複数の出口。
減圧残油水素化分解域820の運転では、原料流824及び水素流830は、反応域822に投入される。水素流830は、必要とされる度合いの水素化分解、供給原料種類、及び他の要因を支援するのに有効な量の水素であり、反応域822に付随する任意選択のガス分離サブシステム(図示せず)から出る循環使用水素828、及び/または、分留塔ガス流836に由来するもの、及び必要であればメイクアップ水素826を含む任意の組み合わせが可能である。ある特定の実施形態において、反応域は、複数の触媒床を備えることが可能であり、床間で1つまたは複数のクエンチ水素流を受けることが可能である(図示せず)。
反応流出油流832は、転化、部分転化、及び未転化炭化水素を含有する。反応流出油流832は、分留域834に送られ(任意選択で、1つまたは複数の高圧及び低圧分離段階で循環使用水素を回収した後)、一般に、ガス及び液体生成物、及び副生成物836、838、重質油流806、ならびにピッチ804が回収される。
ガス流836は、典型的には、H2、H2S、NH3、及び軽質炭化水素(C1−C4)を含むものであり、このガス流は排出及び回収されて、さらに処理することが可能である。流出油排出ガスは、オレフィン回収トレインに、他のガス流156の一部として飽和ガスプラントに、及び/または直接、燃料ガスシステムに送られる。液化石油ガスは、回収して、混合原料水蒸気分解域に、オレフィン回収トレインに、及び/または飽和ガスプラントに送ることが可能である。1つまたは複数の分解生成物流838は、分留塔の適切な出口から排出され、下流の精製運転でさらに処理及び/またはブレンドして、ガソリン、灯油、及び/またはディーゼル燃料、あるいは他の石油化学生成物を生成することが可能である。
ある特定の実施形態において(図示せず)、分留域834は、例えば、下流での運転のため、適切なカット点、例えば、所望のガソリン、灯油、及び/またはディーゼル製品の温度範囲の高温側に相当する範囲で、重質成分を分離する第一フラッシュ域を有する一連のフラッシュ容器として作動することが可能である。ある特定の実施形態において、適切なカット点は、350〜450℃、360〜450℃、370〜450℃、350〜400℃、360〜400℃、370〜400℃、350〜380℃、または360〜380℃の範囲にある。そのようなカット点より高温、例えば、480〜565、500〜540、518〜530、または500〜565℃の範囲のカット点の流は、ピッチ804を分離するために別のフラッシュ容器に送られる。第二フラッシュ容器から出る塔頂分は、重質油留分806に相当する。
図14は、減圧残油水素化分解域840の別の実施形態を図示し、これは最初の減圧残油水素化精製域842と合わせて作動する。一般に、減圧残油水素化分解域840は、水素化精製反応域842、水素化分解反応域822、及び分留域834を含む。
水素化精製域842は、一般に、最初の原料334の供給源及び水素ガス844(循環使用及びメイクアップ水素を含む)の供給源と流体連通した1つまたは複数の入口を備える。水素化精製反応域842の、水素化精製流出油流848を排出する1つまたは複数の出口は、水素化分解反応域822の1つまたは複数の入口と流体連通している。ある特定の実施形態において、流出油848は、どのような過剰な水素及び軽質ガスも分離せずに、第二反応域822に送られる。任意選択の実施形態において、1つまたは複数の高圧及び低圧分離段階が、循環使用水素の回収のため、水素化精製反応域842と水素化分解反応域822の間に提供される(図示せず)。水素化分解反応域822及び分留域834は、一般に、上記のとおりに機能する。
図14の運転では、原料流824及び水素流844は、水素化精製反応域842に投入される。水素流844は、必要とされる度合いの水素化精製、供給原料種類、及び他の要因を支援するのに有効な量の水素であり、水素化精製反応域842及び水素化分解反応域822に付随する任意選択のガス分離サブシステム(図示せず)から出る循環使用水素846、及び/または、分留塔ガス流836に由来するもの、及び必要であれば減圧残油水素化分解域840用の全メイクアップ水素826の一部を含む任意の組み合わせが可能である。ある特定の実施形態において、反応域は、複数の触媒床を備えることが可能であり、床間で1つまたは複数のクエンチ水素流を受けることが可能である(図示せず)。
水素化精製反応域842は、水素化精製流出油流848の生成に有効な条件下で作動し、水素化精製流出油流848は、水素化分解反応域822に、任意選択でメイクアップ水素流826とともに、送られる(任意選択で、1つまたは複数の高圧及び低圧分離段階で循環使用水素を回収した後)。水素化分解反応域822は、反応流出油流832の生成に有効な条件下で作動し、反応流出油流832は、転化、部分転化、及び未転化炭化水素を含有する。
残油水素化分解の前に、減圧残油168を精製するための水素化精製反応域842は、1つまたは複数の、固定床、沸騰床、スラリー床、移動床、連続撹拌槽(CSTR)、または管型反応器を、直列及び/または並列配置で備えることが可能である。ある特定の実施形態において、残油水素化分解の前に、減圧残油168を水素化精製する運転条件は、以下を含む:
反応器入口温度(℃)が、約324〜496、324〜453、324〜431、367〜496、367〜453、367〜431、389〜496、389〜453、389〜431、または406〜414の範囲;
反応器出口温度(℃)が、約338〜516、338〜471、338〜449、382〜516、382〜471、382〜449、404〜516、404〜471、404〜449、または422〜430の範囲;
初期(SOR)反応温度(℃)が、加重平均床温度(WABT)として、約302〜462、302〜422、302〜402、342〜462、342〜422、342〜402、362〜462、362〜422、362〜402、または378〜384の範囲;
終期(EOR)反応温度(℃)が、WABTとして、約333〜509、333〜465、333〜443、377〜509、377〜465、377〜443、399〜509、399〜465、399〜443、または416〜424の範囲;
反応入口圧(barg)が、約90〜175、90〜125、90〜140、125〜175、125〜137、140〜175、または140〜155の範囲;
反応出口圧(barg)が、約85〜160、85〜110、85〜135、96〜160、96〜127、96〜110、96〜140、110〜160、または110〜145の範囲;
水素分圧(barg)(出口)が、約63〜150、63〜90、63〜112、63〜140、90〜112、90〜140、90〜150、105〜122、105〜140、または105〜150の範囲;
水素精製ガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約670、625、610、525、または510まで、ある特定の実施形態において約445〜475、445〜510、445〜625、500〜525、510〜550、500〜610、500〜665、または500〜545;
水素クエンチガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約550、525、510、または480まで、ある特定の実施形態において約345〜375、345〜410、355〜500、400〜455、400〜510、または400〜480;及び
メイクアップ水素供給速度(SLt/Lt)が、最高約300、280、250、または210まで、ある特定の実施形態において約230〜250、230〜280、250〜280、250〜290、255〜290、または155〜180。
残油水素化分解の前に、水素化脱金属、水素化脱硫、及び水素化脱窒のため、減圧残油168を水素化精製する有効量の触媒が提供され、触媒には水素化精製機能を保持するものが含まれる。そのような触媒は、一般にIUPACの元素周期表の第6〜10族から選択される金属または金属化合物(酸化物または硫化物)の活性金属成分を1種または複数含有する。ある特定の実施形態において、活性金属成分は、Co、Ni、W、及びMoのうち1種または複数である。活性金属成分は、典型的には、非晶質アルミナ、非晶質シリカアルミナ、ゼオライト、またはそれらの組み合わせなどの担体に担持されているかいずれにしろ組み込まれている。ある特定の実施形態において、残油水素化分解の前に、減圧残油168を水素化精製するため使用される触媒は、Co/Mo、Ni/Mo、Ni/W、及びCo/Ni/Moから選択される1種または複数の床を含む。Co/Mo、Ni/Mo、Ni/W、及びCo/Ni/Moの1種または複数の床の組み合わせも使用可能である。組み合わせは、単一活性金属種を含有する粒子を多種用いて、または複数の活性種を含有する粒子で構成することが可能である。ある特定の実施形態において、Co/Mo触媒とNi/Mo触媒の組み合わせが、水素化脱金属、水素化脱硫、及び水素化脱窒に有効である。1つまたは複数の反応器の連なりを提供することが可能であり、各連なりの異なる反応器に異なる触媒が用いられる。有効液空間速度値(h−1)は、水素化精製触媒に対して新たに供給される原料に基づいて、約0.1〜4、0.3〜1.5、0.3〜2.5、1〜3、または1〜4の範囲である。減圧残油168の水素化精製に使用される適切な触媒は、予想される触媒寿命が、約28〜44、28〜38、34〜44、または34〜38ヶ月の範囲である。
図13または図14の減圧残油水素化分解反応器822は、直列及び/または並列配置の、1つまたは複数の沸騰床、スラリー床、固定床、または移動床であることが可能である。それぞれの例を以下に記載するが、当業者なら当該産業で既知の改変形態がわかるだろう。
図15は、図13及び図14の運転で記載される減圧残油反応器822が沸騰床反応器である実施形態を図示する。沸騰床反応器では、液体は、循環下降流管路を用いて内部で循環使用される。反応域850は、沸騰床反応器852及びエビュレーティング(ebullating)ポンプ856を備える。沸騰床反応器852は、水素ガス830と原料824の混合物を受け取る入り口及び生成物流出油832を排出する出口を備える。エビュレーティングポンプ856は、沸騰床反応器852と流体連通しており、沸騰床反応器852から出て循環使用される流出油854を受け取る入り口及び上昇した圧で循環使用流出油858を排出する出口を備える。
反応域850の実働では、水素ガスと原料の混合物が、原料をより分子量の小さい炭化水素へと転化することを含む反応のため沸騰床反応器852に導入される。液反応流出油は、沸騰床反応器852内部に配置された下降流管路を連続的に下降して流れ、エビュレーティングポンプ856を用いて、上昇した圧で沸騰床反応器852に戻され循環使用される。生成物流出油は、出口832から回収される。
あるいは、循環使用液は、反応器の下流に位置する気化ガス分離装置から得る、または常圧ストリッパ塔底流から得ることが可能である。液体の循環使用は、触媒床を流動(ebullate)及び安定化させ、ならびに反応器全体にわたり温度を均一に保つ役割を果たす。
減圧残油水素化分解域800での水素化分解に沸騰床反応器を用いる実施形態において、触媒は、流動(ebullated)状態、すなわち反応容器全体にわたり不規則に運動する懸濁状態にある。再循環ポンプは、触媒床を拡張し、触媒を懸濁状態に維持する。流動した性状の触媒は、触媒床のごく一部で触媒をオンライン交換することも可能にし、これにより高い正味触媒床活性がもたらされ、触媒床活性は経時的に比較的一定に保たれる。沸騰床反応器では、混入物の多い供給原料を精製することが可能である。なぜなら、触媒を連続交換できるからである。例えば、減圧残油水素化分解域800で使用するのに適した沸騰床反応器は、Chevron Lummus Global LLC、(CLG)、US(例えば、商品名「LC−FINING」);及びAxens、IFP Group Technologies、FRから市販されている技術に基づくシステムを含むことが可能であるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態において、減圧残油水素化分解域800は、以下の条件で作動する水素化分解沸騰床反応器を備える:
反応器入口温度(℃)が、約380〜460、380〜420、380〜400、400〜420、420〜430、420〜450、または390〜450の範囲;
反応器出口温度(℃)が、約430〜490、430〜440、440〜450、450〜460、460〜470、470〜490、430〜460、または440〜470の範囲;
初期(SOR)反応温度(℃)が、加重平均床温度(WABT)として、約370〜410、370〜390、390〜410、390〜400、400〜410、370〜380、または370〜400の範囲;
終期(EOR)反応温度(℃)が、WABTとして、約440〜470、440〜450、450〜460、460〜470、440〜460、または450〜470の範囲;
反応入口圧(barg)が、約90〜250、90〜150、90〜170、125〜195、125〜137、125〜175、140〜250、または140〜210の範囲;
反応出口圧(barg)が、約85〜240、85〜140、85〜165、96〜180、96〜127、96〜110、96〜180、130〜240、または130〜200の範囲;
水素分圧(barg)(出口)が、約63〜170、63〜90、63〜112、63〜140、90〜112、90〜140、90〜170、105〜122、105〜140、または105〜170の範囲;
水素精製ガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約445〜700、500〜610、500〜670、570〜700、570〜610、または570〜670まで;
水素クエンチガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約525〜650、550〜625、550〜650、525〜600、または525〜625まで;及び
メイクアップ水素速度(SLt/Lt)が、最高約220〜370、220〜280、220〜300、220〜350、270〜350、または270〜370まで。
減圧残油水素化分解域800の沸騰床反応器に有効な水素化分解触媒には、水素化精製機能を保持するものが含まれる。そのような触媒は、一般にIUPACの元素周期表の第6〜10族から選択される金属または金属化合物(酸化物または硫化物)の活性金属成分を1種または複数含有する。ある特定の実施形態において、活性金属成分は、Co、Ni、及びMoのうち1種または複数である。活性金属成分は、典型的には、非晶質アルミナ、非晶質シリカアルミナ、ゼオライト、またはそれらの組み合わせなどの担体に担持されているかいずれにしろ組み込まれている。1つまたは複数の反応器の連なりを提供することが可能であり、各連なりの異なる反応器に異なる触媒が用いられる。有効液空間速度値(h−1)は、水素化精製触媒に対して新たに供給される原料に基づいて、約0.1〜4、0.3〜1.5、0.3〜2.5、1〜3、または1〜4の範囲である。沸騰床反応器の触媒は、約1.2〜2.2、1.2〜1.4、1.4〜1.6、1.6〜1.8、1.8〜2.0、及び2.0〜2.2の範囲の年間相対触媒消費(RCC)率で、継続的に交換される。
上記の条件及び触媒選択の下、減圧残油水素化分解域800の沸騰床反応器から出る代表的生成物は、3〜6重量%の範囲のLPG、約25〜40重量%の範囲のディーゼル、約10〜20重量%の範囲のナフサ、約10〜20重量%の範囲のピッチ、及び約20〜30重量%の範囲の水素化処理軽油を含む。減圧残油水素化分解域800から出るディーゼルの全部または一部は、VGOとまとめて、軽油水素化分解域320に送る、またはディーゼル水素化精製域180に送ることが可能である。
減圧残油水素化分解域800での水素化分解にスラリー床反応器を用いる実施形態において、触媒粒子は、反応器の容積全体にわたり水素化プロセスが有効かつ迅速に起こるようにするため、媒体中に均一に分散及び維持することが可能な非常に小さな平均寸法を有する。一般に、スラリー床反応器では、触媒は液体に懸濁しており、その液体を通じてガスをバブリングする。スラリー床反応器における機構は、熱分解プロセスであり、フリーラジカル形成に基づく。形成されたフリーラジカルは、触媒の存在下、水素で安定化され、それにより、コークス形成を防ぐ。例えば、減圧残油水素化分解域800で使用するのに適したスラリー床反応器システムは、Chevron Lummus Global LLC、(CLG)、US;Honeywell UOP、US;及びEni、ITから市販されている技術に基づくシステムを含むことが可能であるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態において、減圧残油水素化分解域800は、以下の条件で作動する水素化分解スラリー床反応器を備える:
反応器入口温度(℃)が、約430〜500、450〜480、440〜460、440〜480、または470〜500の範囲;
反応器出口温度(℃)が、約450〜520、470〜500、460〜490、460〜510、または480〜520の範囲;
初期(SOR)反応温度(℃)が、加重平均床温度(WABT)として、約445〜495、465〜475、445〜475、465〜485、または455〜495の範囲;
終期(EOR)反応温度(℃)が、WABTとして、約455〜505、475〜485、455〜485、475〜495、または465〜505の範囲;
反応入口圧(barg)が、約100〜120、120〜140、140〜160、160〜180、180〜200、200〜220、220〜240、240〜260、260〜280、280〜300、または100〜300の範囲;
反応出口圧(barg)が、約99〜119、119〜139、139〜159、159〜179、179〜199、199〜219、219〜239、239〜259、259〜279、279〜299、または99〜299の範囲;
水素分圧(barg)(出口)が、約63〜170、63〜90、63〜112、63〜140、90〜112、90〜140、90〜170、105〜122、105〜140、または105〜170の範囲;
水素精製ガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約500〜780、500〜610、500〜670、570〜780、570〜750、または570〜700まで;
水素クエンチガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約550〜675、550〜625、550〜650、550〜650、または600〜675まで;及び
水素消費速度(SCF/B)が、最高約2350まで、ある特定の実施形態において、約1900〜2000、2000〜2100、2100〜2200、2100〜2300、2200〜2300、2300〜2400、2400〜2500、または1900〜2500。
減圧残油水素化分解域800のスラリー床反応器に有効な水素化分解触媒には、水素化精製及び水素化機能を保持するものが含まれる。そのような触媒は、一般にIUPACの元素周期表の第6〜10族から選択される金属または金属化合物(酸化物または硫化物)の活性遷移金属成分を1種または複数含有する。活性金属成分は、典型的には担持されない。触媒は、一般に、金属硫化物の形状をしており、これは反応中にまたは前処理工程で形成される。分散触媒を形成する金属は、Mo、W、Ni、Co、及び/またはRuから選択することが可能である。Mo及びWは、性能がバナジウムまたは鉄よりも優れていることから特に好適であり、バナジウムまたは鉄は、Ni、Co、またはルテニウムよりも好適である。活性金属成分は、典型的には、非晶質アルミナ、非晶質シリカアルミナ、ゼオライト、またはそれらの組み合わせなどの担体に担持されているかいずれにしろ組み込まれている。触媒は、貫流配置では低濃度、例えば、数百の百万分率(ppm)で使用することが可能であるが、そのような条件下で、より重質の生成物をアップグレーディングするのには特別有効ではない。より良好な生成物品質を得るためには、触媒はより高濃度で使用され、プロセスを経済的に実行可能にするために触媒を循環使用する必要がある。触媒は、沈降、遠心、または濾過などの方法を用いて回収することが可能である。1つまたは複数の反応器の連なりを提供することが可能であり、各連なりの異なる反応器に異なる触媒が用いられる。有効液空間速度値(h−1)は、水素化精製触媒に対して新たに供給される原料に基づいて、約0.2〜1.5、0.2〜0.5、0.5〜1.0、1.0〜1.5、0.5〜1.5、または0.2〜1.0の範囲である。スラリー床反応器の触媒は、約1.2〜2.2、1.2〜1.4、1.4〜1.6、1.6〜1.8、1.8〜2.0、及び2.0〜2.2の範囲の年間相対触媒消費(RCC)率で、継続的に交換される。
上記の条件及び触媒選択の下、減圧残油水素化分解域800のスラリー床反応器から出る代表的生成物は、3〜6重量%の範囲のLPG、約35〜55重量%の範囲のディーゼル、約10〜20重量%の範囲のナフサ、約10〜20重量%の範囲のピッチ、及び約15〜30重量%の範囲の水素化処理軽油を含む。減圧残油水素化分解域800から出るディーゼルの全部または一部は、VGOとまとめて、軽油水素化分解域320に送る、またはディーゼル水素化精製域180に送ることが可能である。
減圧残油水素化分解域800での水素化分解に固定床反応器を用いる実施形態において、触媒粒子は静止しており、固定座標系に対して移動しない。従来型の固定床反応器において、水素化処理触媒は、触媒活性及び処理量を所望のレベルに維持する目的で、定期的に交換される。例えば、減圧残油水素化分解域800で使用するのに適した固定床反応器システムは、Chevron Lummus Global LLC、(CLG)、US;Honeywell UOP、US;Exxon Mobile Corporation、US;Shell Global Solutions、US;及びAxens、IFP Group Technologies、FRを含むことが可能であるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態において、減圧残油水素化分解域800は、以下の条件で作動する水素化分解固定床反応器を備える:
反応器入口温度(℃)が、約380〜420、380〜390、390〜400、400〜410、410〜420、380〜400、400〜420、または390〜410の範囲;
反応器出口温度(℃)が、約390〜400、410〜420、420〜430、410〜435、425〜435、または390〜435の範囲;
初期(SOR)反応温度(℃)が、加重平均床温度(WABT)として、約380〜390、385〜390、390〜395、395〜400、400〜405、405〜410、410〜415、または385〜415の範囲;
終期(EOR)反応温度(℃)が、WABTとして、約385〜390、390〜395、395〜400、400〜405、405〜410、410〜425、425〜430、または385〜430の範囲;
反応入口圧(barg)が、約100〜200、100〜120、120〜140、140〜160、160〜180、180〜200、100〜150、または150〜200の範囲;
反応出口圧(barg)が、約95〜195、95〜115、115〜135、135〜155、155〜175、175〜195、95〜145、または145〜195の範囲;
水素分圧(barg)(出口)が、約90〜110、90〜95、95〜100、100〜105、105〜110、90〜100、100〜110、または95〜110の範囲;
水素精製ガス供給速度(SCF/B)が、最高約3000まで、ある特定の実施形態において、約2700〜4000、2700〜3000、3000〜3300、3300〜3600、3600〜3900、2800〜3100、3100〜3400、3400〜3700、または3700〜4000;
水素クエンチガス供給速度(SCF/B)が、最高約3900まで、ある特定の実施形態において、約3500〜4000、3500〜3600、3600〜3700、3700〜3800、3800〜3900、3900〜4000、3500〜3700、または3700〜4000;及び
水素消費速度(SCF/B)が、最高約1800まで、ある特定の実施形態において、約1200〜2000、1200〜1400、1400〜1600、1600〜1800、1800〜2000、1200〜1600、または1600〜2000。
減圧残油水素化分解域800の固定床反応器に有効な水素化分解触媒には、水素化精製機能を保持するものが含まれる。そのような触媒は、一般にIUPACの元素周期表の第6〜10族から選択される金属または金属化合物(酸化物または硫化物)の活性金属成分を1種または複数含有する。ある特定の実施形態において、活性金属成分は、Co、Ni、及びMoのうち1種または複数である。活性金属成分は、典型的には、非晶質アルミナ、非晶質シリカアルミナ、ゼオライト、またはそれらの組み合わせなどの担体に担持されているかいずれにしろ組み込まれている。1つまたは複数の反応器の連なりを提供することが可能であり、各連なりの異なる反応器に異なる触媒が用いられる。有効液空間速度値(h−1)は、水素化精製触媒に対して新たに供給される原料に基づいて、約0.1〜0.5、0.1〜0.2、0.2〜0.3、0.3〜0.4、0.4〜0.5、0.1〜0.3、または0.3〜0.5の範囲である。減圧残油水素化分解域800の固定床反応器で使用される適切な触媒は、予想される触媒寿命が、約3〜15、3〜6、6〜9、9〜12、または12〜15ヶ月の範囲である。
減圧残油水素化分解域800での水素化分解に移動床反応器を用いる実施形態において、触媒は、ユニットの運転を中断することなく交換することが可能である。移動床反応器は、固定床運転の利点と沸騰床技術の触媒交換が比較的容易であることを組み合わせたものである。触媒交換中、触媒の移動は、供給原料の線形速度に対して遅くなる。触媒交換の頻度は、触媒不活化の速度に依存する。触媒の添加及び抜出は、例えば、反応器の頂部及び底部での堰(sluice)システムを介して、行われる。ある特定の実施形態において、移動床反応器は、向流様式で操作される。向流様式では、汚染物質で既に飽和してしまった使用済み触媒は、反応器の底部に位置し、底部から入ってくる新たな供給原料と会する。これにより、反応器の頂部に位置する新鮮な触媒が、すでに脱金属した供給原料と反応することが可能になる。例えば、減圧残油水素化分解域800で使用するのに適した移動床反応器は、Shell Global Solutions、US;Chevron Lummus Global LLC、(CLG)、US;及びAxens、IFP Group Technologies、FRを含むことが可能であるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態において、減圧残油水素化分解域800は、固定床反応器について上記で記載した条件下で作動する水素化分解移動床反応器を備える。移動床反応器の触媒は、約0.4〜0.8、0.4〜0.6、0.6〜0.8、0.4〜0.5、0.5〜0.6、0.6〜0.7、及び0.7〜0.8の範囲の年間相対触媒消費(RCC)率で継続的に交換される。上記の条件及び触媒選択の下、減圧残油水素化分解域800の固定床反応器または移動床反応器から出る代表的生成物は、3〜6重量%の範囲のLPG、約5〜30重量%の範囲のディーゼル、約1〜20重量%の範囲のナフサ、約30〜60重量%の範囲のピッチ、及び約20〜40重量%の範囲の水素化処理軽油を含む。減圧残油水素化分解域800から出るディーゼルの全部または一部は、VGOとまとめて、軽油水素化分解域320に送る、またはディーゼル水素化精製域180に送ることが可能である。
図9に示すとおり、減圧軽油水素化分解域320及び/または減圧残油水素化分解域800から出る未転化油324は、基油製造センター450に送ることが可能である。一般に、基油製造センターは、未転化油を、潤滑油に使用するための基油に転化する。
1つの実施形態において、基油製造センター450は、少なくとも3つの反応域を含む:水素化精製域466、接触脱ろう域470、及び水素化仕上げ域474である。ある特定の実施形態において、水素化精製域466は、供給原料の供給源に応じて、排除または迂回させることが可能である。
未転化油324は、基油加熱器(図示せず)に投入されて、供給原料の温度が適切に上昇し、加熱未転化油流458が生成する。次いで、加熱未転化油流458を、基油製造センター域内の循環使用から得られる水素460及びメイクアップ水素462による有効量の水素の存在下、基油水素化精製域466で処理する。
基油水素化精製域466は、脱硫、脱窒、及び脱金属工程として作用し、硫黄、窒素、及び金属の少ない水素化精製基油生成物468を生成することにより、脱ろう触媒活性を保護する。基油水素化精製域466は、適切な水素化精製条件下で作動し、一般に、排出ガス及び軽留分(図示せず)、ならびに硫黄、窒素、及び金属の少ない水素化精製基油生成物468を生成する。流出油排出ガスは、基油水素化精製域466から回収され、オレフィン回収トレインに、他のガス流156の一部として飽和ガスプラントに、及び/または直接、燃料ガスシステムに送られる。液化石油ガスは、基油水素化精製域466から回収して、混合原料水蒸気分解域、オレフィン回収トレイン、及び/または飽和ガスプラントに送ることが可能である。
基油水素化精製域466は、原料及び所望の転化度合いをはじめとする要因に応じて、穏やか、中度、または厳しい条件下で作動することが可能である。そのような条件は、相当量の硫黄及び他の既知の混入物質を除去するのに、ならびに供給原料(複数可)を、主要な割合を占める水素化精製基油生成物468、ならびに半数に満たない割合の排出ガス、軽留分に転化するのに有効であり、水素化精製基油生成物468は、接触脱ろう域470に送られる。
接触脱ろう域470は、長鎖炭化水素の分岐側鎖を除去することにより、水素化精製基油生成物468を、イソパラフィン基油472に転化する。接触脱ろう域470は、原料をはじめとする要因に応じて、穏やか、中度、または厳しい条件下で作動することが可能である。そのような条件は、脱ろうに、ならびに供給原料(複数可)を、主要な割合を占めるイソパラフィン基油472、ならびに半数に満たない割合の排出ガス、LPG、及びある特定の実施形態において、軽質ナフサに転化するのに有効であり、イソパラフィン基油472は、基油水素化仕上げ域474に送られる。
イソパラフィン基油472は、基油水素化仕上げ域474に送られ、脱ろう工程で形成したあらゆるオレフィンが飽和させられ、仕上げ用流出油476中に残存する硫黄、窒素、及び/または金属含有化合物が除去される。イソパラフィン基油472は、原料をはじめとする要因に応じて、穏やか、中度、または厳しい条件下で作動することが可能である。そのような条件は、脱ろう工程で形成したオレフィンの飽和に、ならびに供給原料(複数可)を、主要な割合を占める仕上げ用流出油476、及び半数に満たない割合の排出ガス、LPG、及びある特定の実施形態において、軽質ナフサに転化するのに有効であり、仕上げ用流出油476は、高圧分離装置478に送られる。
基油水素化精製域466、接触脱ろう域470、及び水素化仕上げ域474は、別個の反応器ユニットであることも、共通反応器内の異なる層に配置されたオプションであることも可能である。
基油水素化仕上げ域474から出る仕上げ用流出油476は、軽留分480、重質留分484、及び硫化水素ガス482を分離するため、高圧分離装置478で処理される。軽留分480の全部または一部は、水素460として、基油水素化精製域466に循環使用することが可能である。軽留分480の残部(もしあれば)は、メタンガスを含む可能性がある。
基油高圧分離装置478から出る重質留分484は、さらに分離するため、基油蒸留ユニット486に送られる。基油蒸留ユニット486から出る生成物は、液化石油ガス(図示せず)、ワイルドナフサ454、留分452、及び基油生成物456を含む。留分452は、ディーゼル水素化精製域180に送ることが可能である。基油製造センター450から出るワイルドナフサ454は、混合原料水蒸気分解域230に送られる(任意選択で、原油処理複合装置100を通じて)。基油生成物流456は、基油分留塔488で分離され、例えば、示すとおり、軽質中性油490、重質中性油492、及びブライトストック494になる。
基油水素化精製域466、接触脱ろう域470、及び/または水素化仕上げ域474は、1つまたは複数の固定床、沸騰床、スラリー床、移動床、連続撹拌槽(CSTR)、または管型反応器を、直列及び/または並列配置で備えることが可能である。交換器、炉、供給ポンプ、クエンチポンプ、ならびに反応器(複数可)に供給する及び適切な作動条件を維持するための圧縮機をはじめとする追加設備は、周知であり、基油水素化精製域466の一部であるものとみなす。また、ポンプ、圧縮機、高温分離容器、低温分離容器などをはじめとする、基油水素化精製域466内で反応生成物を分離及び水素循環使用を提供するための設備は、周知であり、基油水素化精製域466の一部であるものとみなす。適切な基油水素化精製域466、接触脱ろう域470、及び/または水素化仕上げ域474は、Exxon Mobil Corporation、US;Haldor Topsoe A/S、DK;Chevron Lummus Global LLC(CLG)、US;またはShell Global Solutions、USから市販されている技術に基づくシステムを含むことが可能であるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態において、基油水素化精製域466、接触脱ろう域470、及び/または水素化仕上げ域474の運転条件は、以下を含む:
反応器入口温度(℃)が、約260〜450、260〜450、280〜400、300〜420、350〜450、360〜400、360〜420、380〜400、400〜420、290〜450、または280〜450の範囲;
反応器出口温度(℃)が、約400〜520、400〜500、400〜480、420〜500、430〜520、420〜500、480〜500、460〜520、480〜520、または500〜520の範囲;
初期(SOR)反応温度(℃)が、加重平均床温度(WABT)として、約330〜370、350〜370、340〜360、330〜360、または360〜370の範囲;
終期(EOR)反応温度(℃)が、WABTとして、約340〜500、340〜460、340〜480、380〜400、300〜420、350〜460、400〜460、460〜500、または480〜500の範囲;
反応入口圧(barg)が、約10〜350、10〜250、50〜150、100〜250、150〜250、200〜350、250〜350、または300〜350の範囲;
反応出口圧(barg)が、約5〜345、5〜295、10〜300、95〜300、130〜245、195〜245、200〜345、300〜345、または295〜345の範囲;
水素分圧(barg)(出口)が、約10〜250、10〜50、50〜100、100〜150、150〜200、または200〜250の範囲;
水素精製ガス供給速度(SCF/B)が、最高約10000まで、ある特定の実施形態において、約1000〜10000、1000〜2000、1000〜3000、1000〜6000、4000〜7500、5500〜8000、6000〜8000、7000〜8000、8000〜10000、または9000〜10000;及び
水素消費速度(SCF/B)が、最高約1200まで、ある特定の実施形態において、約1000〜8000、1000〜4000、1000〜3500、1500〜6000、1000〜7000、6000〜8000、4000〜8000、または5000〜8000。
接触脱ろう域470に有効な脱ろう触媒には、水素化転化及び水素化仕上げ機能も保持するもの、すなわち、基油水素化精製域466及び水素化仕上げ域474での使用にも適していると思われる触媒が含まれる。そのような触媒は、一般に、IUPACの元素周期表の第6〜10族から選択される金属または金属化合物(酸化物または硫化物)の活性成分を1種または複数含有する。ある特定の実施形態において、活性金属成分は、Ni、W、Pt、Co、Mo、及びパラジウムのうち1種または複数である。活性金属成分は、典型的には、非晶質アルミナ、非晶質シリカアルミナ、ゼオライト、またはそれらの組み合わせなどの担体に担持されているかいずれにしろ組み込まれている。1つまたは複数の反応器の連なりを提供することが可能であり、各連なりの異なる反応器に異なる触媒が用いられる。有効液空間速度値(h−1)は、脱ろう触媒に対して新たに供給される原料に基づいて、約0.5〜2.5、0.5〜1.0、0.5〜1.5、1.0〜2.5、または2.0〜2.5の範囲である。基油製造センターで使用される適切な触媒は、予想される触媒寿命が、約12〜36、12〜24、18〜24、または24〜36ヶ月の範囲である。
上記の条件及び触媒選択の下、基油製造センターから出る代表的生成物は、約1〜3重量%の範囲のLPG、約4〜6重量%の範囲の中質留分、約2〜5重量%の範囲のナフサ、及び約80〜95重量%の範囲の基油を含む。
混合原料水蒸気分解域230は、高過酷度または低過酷度熱分解プロセスとして作動し、一般に、LPG、ナフサ、及びより重質な炭化水素を、主に混合生成物流232に変換し、混合生成物流232は、混合C1−C4パラフィン及びオレフィンを含有する。ある特定の実施形態において、混合原料水蒸気分解域230は、原料ユニットから出る直留液体、エタン及び/またはプロパン(装置の境界の外側から及び/または循環使用によるもの)、ならびに統合プロセス及びシステム内の化学製品製造及び回収領域から出る様々な循環使用流を処理する。適切な混合原料水蒸気分解域230は、Linde AG、DE;TechnipFMC plc、UK;Chicago Bridge & Iron Company N.V.(CB&I)、NL;またはKBR、Inc、USから市販されている技術に基づくシステムを含むことが可能であるが、これらに限定されない。
混合原料水蒸気分解域230に送られる複数の供給原料は、以下を含む:原油処理複合装置100から出る軽留分152、軽質ナフサ138、及び重質ナフサ140(または他の実施形態において示されるとおりの全直留ナフサ136);トランスアルキル化域630から出るLPG流634;以下で記載される、メチルアセチレン/プロパジエン(MAPD)飽和及びプロピレン回収域280から出る循環使用流282;以下で記載される、1−ブテン回収域520から出るC4抽残液524;上記で記載される、ディーゼル水素化精製域180から出る(ある特定の実施形態において原料複合装置を介する)ワイルドナフサ184;上記で記載される、減圧軽油水素化処理域から出る(ある特定の実施形態において原料複合装置を介する)ナフサ(ワイルドナフサ326または水素化精製ナフサ306);ある特定の実施形態において、減圧残油水素化分解域800から出るナフサ留分;以下で記載される、芳香族化合物抽出域620から出る抽残液流646;ある特定の実施形態において、基油製造センター450から出るナフサ留分;ある特定の実施形態において、以下で記載される、熱分解ガソリンに由来するC5カット;ならびに任意選択で、プロパン流228(装置の境界の外側から)。ある特定の実施形態において、混合原料水蒸気分解域230は、他の供給源からの代替供給原料、例えば、装置の境界の外側から利用可能になる可能性がある他のナフサ範囲供給原料を受け入れることが可能である。
混合原料水蒸気分解域230から出る生成物は、以下を含む:混合C1−C4パラフィン及びオレフィンを含有するクエンチされた分解ガス流232、これはオレフィン回収域270に送られる;原熱分解ガソリン流234、これはpyガス水素化精製域600に送られて、芳香族化合物抽出域620への供給原料としての水素化精製熱分解ガソリン604、及びC5 606を生成する;ならびに熱分解燃料油流236。
混合原料水蒸気分解域230は、供給原料を分解して、エチレン、プロピレン、ブタジエン、及び混合ブテンを含む所望の生成物にするのに有効なパラメーター下で作動する。熱分解ガソリン及び熱分解油も回収される。ある特定の実施形態において、水蒸気分解炉(複数可)は、プロピレン対エチレン重量比が約0.3〜0.8、0.3〜0.6、0.4〜0.8、または0.4〜0.6である流出油を生成するのに有効な条件下で操作される。
混合原料水蒸気分解域230は、一般に、1つまたは複数の炉トレインを備える。例えば、典型的な配置は、周知の蒸気熱分解方法に基づいて作動可能な反応器を備え、周知の蒸気熱分解方法とは、すなわち、原料の温度を上昇させるための蒸気の存在下で熱分解供給原料を対流部に投入すること、及び加熱された供給原料を、分解用炉管を備える熱分解反応器に送ることである。対流部では、混合物は、例えば、1つまたは複数の排熱流または他の適切な加熱配置を用いて、予定された温度に加熱される。
供給原料混合物は、対流部で高温に加熱され、予定された温度より低い沸点の物質は、気化する。加熱された混合物は(ある特定の実施形態において、追加蒸気とともに)さらに上昇した温度で作動する熱分解部に送られ、そこに短い滞留時間、例えば1〜2秒未満滞留して、熱分解を起こして混合生成物流を生成する。ある特定の実施形態において、混合原料水蒸気分解域230に入ってくる異なる供給原料用に、別々になった対流部及び放射部が使用され、それぞれの条件は、特定の供給原料に最適化されている。
ある特定の実施形態において、混合原料水蒸気分解域230での水蒸気分解は、以下の条件を用いて行われる:対流部の温度(℃)が、約400〜600、400〜550、450〜600、または500〜600の範囲;対流部の圧(barg)が、約4.3〜4.8、4.3〜4.45、4.3〜4.6、4.45〜4.8、4.45〜4.6、または4.6〜4.8の範囲;熱分解部の温度(℃)が、約700〜950、700〜900、700〜850、750〜950、750〜900、または750〜850の範囲;熱分解部の圧(barg)が、約1.0〜1.4、1.0〜1.25、1.25〜1.4、1.0〜1.15、1.15〜1.4、または1.15〜1.25の範囲;対流部の蒸気対炭化水素比が、約0.3:1〜2:1、0.3:1〜1.5:1、0.5:1〜2:1、0.5:1〜1.5:1、0.7:1〜2:1、0.7:1〜1.5:1、1:1〜2:1、または1:1〜1.5:1の範囲;及び熱分解部の滞留時間(秒)が、約0.05〜1.2、0.05〜1、0.1〜1.2、0.1〜1、0.2〜1.2、0.2〜1、0.5〜1.2、または0.5〜1の範囲。
混合原料水蒸気分解域230の運転において、分解炉から出る流出油は、例えば伝熱ライン交換機を用いてクエンチされ、クエンチ塔に送られる。軽質生成物である、クエンチされた分解ガス流232は、オレフィン回収域270に送られる。それより重質の生成物は、熱蒸留部で分離される。原熱分解ガソリン流は、クエンチシステムにおいて回収される。熱分解油236は、クエンチ塔の前の一次分留塔で分離される。
混合原料水蒸気分解域230の1つの実施形態の運転において、原料は、希釈蒸気と混合されて炭化水素分圧が低下し、それから予熱される。予熱された供給原料は、分解炉の放射部に取り付けられた管型反応器に供給される。炭化水素は、フリーラジカル熱分解反応を起こして、軽質オレフィンであるエチレン及びプロピレン、並びに他の副生成物を形成する。ある特定の実施形態において、エタン、プロパン、及びブタン/ナフサをはじめとする、主要原料の種類のそれぞれに最適化された分解管形状を持つ専用分解炉が提供される。価値の高くない炭化水素、例えば、エタン、プロパン、C4抽残液、及び芳香族化合物抽残液なども、統合システム及びプロセス内で生成するが、これらは混合原料水蒸気分解域230で消滅するまで循環使用される。
ある特定の実施形態において、炉から出る分解ガスは、伝熱ライン交換機(クエンチ冷却器)で冷却されて、例えば、希釈蒸気として適した1800psigの蒸気を生成する。クエンチされた分解ガスは、熱分解燃料油塔底分をより軽質の成分から取り出すため、混合原料水蒸気分解域230に付随した一次分留塔に入る。一次分留塔は、熱分解燃料油の効率的な回収を可能にする。熱分解燃料油は、燃料油ストリッパで、蒸気によりストリッピングされ、生成物蒸気圧が制御されるとともに冷却される。また、熱分解燃料油をクエンチ油として液体炉流出油に直接注入することにより、二次クエンチを行うことが可能である。ストリッピング及び冷却が行われた熱分解燃料油は、燃料油プールまたは生成物貯蔵部に送ることが可能である。一次分留塔塔頂分は、クエンチ水塔に送られ;プロセス水精製用の圧縮希釈蒸気、及び原熱分解ガソリンが回収される。クエンチ水塔塔頂分は、オレフィン回収域270、特に第一圧縮段に送られる。原熱分解ガソリンは、ガソリン安定化装置に送られ、あらゆる軽留分が除去され、また下流の熱分解ガソリン処理における蒸気圧が制御される。閉鎖ループ希釈蒸気/プロセス水システムが可能であり、その場合、希釈蒸気は、一次分留塔クエンチポンプアラウンドループからの熱回収を使用して生成する。一次分留塔は、エネルギーの統合及び軽質留分流中の熱分解燃料油含有量のため、熱分解燃料油の効率的回収を可能にする。
軽油水蒸気分解域250は、その供給原料を、軽質オレフィン、熱分解ガソリン、及び熱分解油に転化するのに有効な条件下で操作される。本明細書中記載されるとおり、軽油水蒸気分解域250への供給原料は、減圧軽油水素化処理域から出る減圧軽油範囲生成物、例えば、水素化精製軽油304または未転化油324など;減圧残油水素化分解域800から出る未転化油806;及びある特定の実施形態において、例えば常圧軽油範囲の、第三中質留分流126の全部または一部を含む。ある特定の実施形態において、軽油水蒸気分解域250は、他の供給源からの代替供給原料、例えば、装置の境界外側から利用可能になり得る他の軽油範囲供給原料を受け入れることが可能である。軽油水蒸気分解域250から出る生成物は、混合C1−C4パラフィン及びオレフィンを含有するクエンチされた分解ガス流252(これはオレフィン回収域270に送られる)、原熱分解ガソリン流254(これはpyガス水素化精製域600に送られて、芳香族化合物抽出域620への追加供給原料604を提供する)、及び熱分解燃料油流256を含む。
軽油水蒸気分解域250は、供給原料を分解して、エチレン、プロピレン、ブタジエン、及び混合ブテンを含む所望の生成物にするのに有効なパラメーター下で作動する。熱分解ガソリン及び熱分解油も回収される。ある特定の実施形態において、軽油水蒸気分解域250の水蒸気分解炉(複数可)は、プロピレン対エチレン重量比が約0.3〜0.8、0.3〜0.6、0.4〜0.8、または0.4〜0.6である流出油を生成するのに有効な条件下で操作される。
軽油水蒸気分解域250の1つの実施形態において、水素化精製されたVGO原料は、対流部において、予熱され、希釈蒸気と混合されて炭化水素分圧が低下する。蒸気炭化水素混合物は、さらに加熱されて、分解炉の放射部に取り付けられた管型反応器に供給される。炭化水素は、フリーラジカル熱分解反応を起こして、軽質オレフィンであるエチレン及びプロピレン、並びに他の副生成物を形成する。
ある特定の実施形態において、軽油水蒸気分解域250での水蒸気分解は、以下の条件を用いて行われる:対流部の温度(℃)が、約300〜450または300〜400の範囲;対流部の圧(barg)が、約7.2〜9.7、7.2〜8.5、7.2〜7.7、7.7〜8.5、7.7〜9.7、または8.5〜9.7の範囲;熱分解部の温度(℃)が、約700〜850、700〜800、700〜820、750〜850、750〜800、または750〜820の範囲;熱分解部の圧(barg)が、約0.9〜1.2、0.9〜1.4、0.9〜1.6、1.2〜1.4、1.2〜1.6、または1.4〜1.6の範囲;対流部の蒸気対炭化水素比が、約0.75:1〜2:1、0.75:1〜1.5:1、0.85:1〜2:1、0.9:1〜1.5:1、0.9:1〜2:1、1:1〜2:1、または1:1〜1.5:1の範囲;及び熱分解部の滞留時間(秒)が、約0.02〜1、0.02〜0.08、0.02〜0.5、0.1〜1、0.1〜0.5、0.2〜0.5、0.2〜1、または0.5〜1の範囲。
ある特定の実施形態において、軽油水蒸気分解域250の炉から出る分解ガスは、例えば1800psigの蒸気を生成することにより、伝熱ライン交換機においてクエンチされる。クエンチされたガスは、一次分留塔で蒸気を用いてストリッピングされる。より軽質なガスは、塔頂生成物として回収され;側流は、熱分解燃料油を含有する。一次分留塔塔底生成物は、熱分解タールであり、これは、冷却されて生成物貯蔵部に送られる。一次分留塔から出る熱分解燃料油は、熱分解燃料油ストリッパで、蒸気によりストリッピングされ、これにより塔頂分としての熱分解ガソリンと塔底生成物としての熱分解燃料油に分離される。一次分留塔塔頂分中のガソリンは、凝縮され、熱分解燃料油ストリッパから出るガソリンとまとめられてから、ガソリン安定化装置に送られる。ガソリン安定化装置は、塔頂分中の軽質生成物を除去し、一方で安定化装置塔底分は、pyガス水素化精製装置に送られる。一次分留塔塔頂分中のC4及びそれより軽質のガスは、例えば二段圧縮で、圧縮されてから、吸収塔、脱プロパン塔、及び脱ブタン塔に入る。
混合原料水蒸気分解域230及び軽油水蒸気分解域250両方から出るC4及びそれより軽質のガスの圧縮は、ある特定の実施形態において、共通工程で行うことが可能であり、その結果、圧縮に関連する資本及び運転費用を減少させ、それにより本明細書中の統合プロセスにおける効率性を向上させる。したがって、C4及びそれより軽質のガス流232ならびにC4及びそれより軽質のガス流252は両方とも、オレフィン回収域270に送られる。
ある特定の実施形態において、混合原料水蒸気分解域230及び軽油水蒸気分解域250両方の炉から出る分解ガスは、クエンチ、熱分解ガソリン回収、熱分解油回収、ならびにC4及びそれより軽質のガス回収のための共通工程に供される。例えば、1つの実施形態において、両方の水蒸気分解域の炉から出る分解ガスは、まとめて伝熱ライン交換機(クエンチ冷却器)で冷却されて、例えば、希釈蒸気として適した1800psigの蒸気を生成する。クエンチされた分解ガスは、より軽質の成分から熱分解燃料油塔底分を取り出すため一次分留塔に入る。一次分留塔は、熱分解燃料油の効率的な回収を可能にする。熱分解燃料油は、燃料油ストリッパで、蒸気によりストリッピングされ、生成物蒸気圧が制御されるとともに冷却される。また、熱分解燃料油をクエンチ油として液体炉流出油に直接注入することにより、二次クエンチを行うことが可能である。ストリップ及び冷却が行われた熱分解燃料油は、燃料油プールまたは生成物貯蔵部に送ることが可能である。一次分留塔塔頂分は、クエンチ水塔に送られ;プロセス水処理用の圧縮希釈蒸気、及び原熱分解ガソリンが回収される。クエンチ水塔塔頂分は、オレフィン回収域270、特に第一圧縮段に送られる。原熱分解ガソリンは、ガソリン安定化装置に送られ、あらゆる軽留分が除去され、また下流の熱分解ガソリン処理における蒸気圧が制御される。閉鎖ループ希釈蒸気/プロセス水システムが可能であり、その場合、希釈蒸気は、一次分留塔クエンチポンプアラウンドループからの熱回収を使用して生成する。一次分留塔は、エネルギーの統合及び軽質留分流中の熱分解燃料油含有量のため、熱分解燃料油の効率的回収を可能にする。
混合原料水蒸気分解域230から出る混合生成物流232流出油及び軽油水蒸気分解域250から出る混合生成物流252流出油は、まとめて流220として示される。流220は、オレフィン回収域270に送られる。例えば、クエンチ工程から出る軽質生成物、C4−、H2、及びH2Sは、オレフィン回収域270に送られる混合生成物流220に含まれている。生成物は、以下を含む:水素210、これは循環使用に使用される、及び/または使用部に送られる;燃料ガス208、これは燃料ガスシステムに送られる;エタン272、これは混合原料水蒸気分解域230に循環使用される;エチレン202、これは生成物として回収される;混合C3流286、これはメチルアセチレン/プロパジエン飽和及びプロピレン回収域280に送られる;ならびに、混合C4流206、これはブタジエン抽出域500に送られる。
オレフィン回収域270は、混合生成物流220から、仕様を満たす軽質オレフィン(エチレン及びプロピレン)生成物を生成するように作動する。例えば、水蒸気分解炉から出る冷却されたガス中間生成物は、分解ガス圧縮機、腐食洗浄域、及び蒸留により生成物を分離するための1つまたは複数の分離トレインに供給される。ある特定の実施形態において2つのトレインが提供される。蒸留トレインは、低温蒸留部を備え、より軽質の生成物、例えば、メタン、水素、エチレン、及びエタンなどは、極低温蒸留/分離運転で分離される。水蒸気分解炉から出る混合C2流は、アセチレンを含有し、このアセチレンは、アセチレン選択的水素化ユニットで、水素化されてエチレンを生成する。このシステムは、エチレン、プロパン、及び/またはプロピレン冷却設備も備えることが可能であり、極低温蒸留を可能にする。
1つの実施形態において、混合原料水蒸気分解域230から出る混合生成物流232流出油及び軽油水蒸気分解域250から出る混合生成物流252流出油は、3〜5段の圧縮を通過する。酸性ガスは、腐食洗浄塔で腐食性を用いて除去される。圧縮及び乾燥のさらなる段階後、軽質分解ガスは、冷却されて脱プロパン塔に送られる。ある特定の実施形態において、軽質分解ガスは、極低温分離のため、カスケード式2レベル冷凍システム(プロピレン、混合2元冷媒)で冷却される。フロントエンド脱プロパン塔は、冷却トレイン及び脱メタン塔負荷を最適化する。脱プロパン塔は、C3及びそれより軽質の分解ガスを塔頂流として、C4及びそれより重質の炭化水素を塔底流として、分離する。脱プロパン塔塔底分は、脱ブタン塔に送られ、脱ブタン塔は、粗C4流206及び任意の痕跡量熱分解ガソリンを回収し、これらは、pyガス水素化精製域600に送ることが可能である(図示せず)。
脱プロパン塔塔頂分は、一連のアセチレン転化反応器を通過し、それから脱メタン塔冷却トレインに供給され、脱メタン塔冷却トレインは、濃水素生成物を、水素精製システム、例えば圧スイング吸着などを介して分離する。フロントエンドアセチレン水素化は、温度制御を最適化し、緑油形成を最小限に抑え、及びC2スプリッタパスツリゼーション部を排除することによりエチレン生成物回収を簡素化するように実施され、C2スプリッタパスツリゼーション部は、本発明でなければ、生成物回収に典型的に含まれるものである。また、圧スイング吸着を介した水素精製は、メタン化反応器の必要性も排除し、メタン化反応器は、本発明でなければ、生成物回収に典型的に含まれるものである。
脱メタン塔は、塔頂で、燃料ガス用にメタンを回収し、また脱メタン塔塔底で、C2及びそれより重質のガスを回収して、脱エタン塔に送る。脱エタン塔は、エタン及びエチレン塔頂分を分離し、これらはC2スプリッタに供給される。C2スプリッタは、塔頂で、エチレン生成物202を、ある特定の実施形態においてポリマー純度のエチレン生成物を回収する。C2スプリッタ塔底から出るエタン272は、混合原料水蒸気分解域230に循環使用される。脱エタン塔塔底分は、C3を含有し、ここから、プロピレン生成物204が、ある特定の実施形態においてポリマー純度のプロピレン生成物が、C3スプリッタの塔頂分として回収され、C3スプリッタ塔底から出るプロパン282は、混合原料水蒸気分解域230に循環使用される。
メチルアセチレン/プロパジエン(MAPD)飽和及びプロピレン回収域280は、メチルアセチレン/プロパジエンを転化させる選択的水素化のため、及びオレフィン回収域270から出る混合C3流286からプロピレンを回収するため、提供される。オレフィン回収域270から出る混合C3流286は、相当量のプロパジエン及びプロピレンを含有する。メチルアセチレン/プロパジエン飽和及びプロピレン回収域280は、プロピレン204の生成を可能にし、プロピレン204は、ある特定の実施形態において、ポリマー純度のプロピレンであることが可能である。
メチルアセチレン/プロパジエン飽和及びプロピレン回収域280は、オレフィン回収域270から水素284及び混合C3流286を受け取る。メチルアセチレン/プロパジエン飽和及びプロピレン回収域280から出る生成物は、プロピレン204及び循環使用C3流282であり、プロピレン204は回収され、循環使用C3流282は水蒸気分解域230に送られる。ある特定の実施形態において、メチルアセチレン及びプロパジエンを飽和させるための水素284は、オレフィン回収域270から得られる水素210に由来する。
オレフィン回収域270から出る、粗C4として知られるC4混合物を含有する流206は、ブタジエン抽出域500に送られて、混合粗C4から高純度1,3−ブタジエン生成物502が回収される。ある特定の実施形態において(図示せず)、ブタジエン抽出域500前の混合C4の水素化工程を、例えば、固定床反応器を使用する適切な接触水素化プロセスと統合して、アセチレン化合物を除去することが可能である。1,3−ブタジエン502は、例えば、溶媒としてn−メチル−ピロリドン(NMP)またはジメチルホルムアミド(DMF)を用いる抽出蒸留により、水素化混合C4流から回収することが可能である。ブタジエン抽出域500は、ブタン/ブテンを含有する抽残液流504も生成させ、これは、メチルt−ブチルエーテル域510に送られる。
1つの実施形態において、ブタジエン抽出域500における運転では、流206は、予熱され、気化されて、第一抽出蒸留塔に入り、第一抽出蒸留塔は、例えば2つの区画を備える。NMPまたはDMF溶媒は、1,3−ブタジエンを、流504に含まれるその他のC4成分から分離させる。濃縮溶媒を、気化ガスでフラッシュして第二抽出蒸留塔に送り、第二抽出蒸留塔は、高純度1,3−ブタジエン流を塔頂生成物として生成する。フラッシュ及び第二蒸留塔塔底から出る液状溶媒は、一次溶媒回収塔に送られる。塔底液は、抽出装置に再循環させられ、塔頂液は、二次溶媒回収または溶媒精製(polishing)塔に送られる。回収塔から出る気化塔頂分は、循環使用ブタジエン生成物とまとめられて、抽出装置の塔底に入り、1,3−ブタジエンの濃度を上昇させる。1,3−ブタジエン生成物502は、あらゆる痕跡量の溶媒を除去するために水洗浄することが可能である。ある特定の実施形態において、生成物純度(重量%)は、97〜99.8、97.5〜99.7、または98〜99.6の1,3−ブタジエンであり;供給原料の1,3−ブタジエン含有量の94〜99、94.5〜98.5、または95〜98(重量%)が回収される。DMFなどの溶媒の他に、ブタジエン回収率を向上させるために、添加剤化学物質を溶媒にブレンドする。また、抽出蒸留塔及び一次溶媒回収塔は、高圧蒸気(例えば、600psig)及び芳香族化合物抽出域620から出る循環熱油を熱交換流体として使用して、再沸騰させる。
メチルt−ブチルエーテル域510は、第一C4抽残液流504からメチルt−ブチルエーテル514及び第二C4抽残液516を生成させるために統合される。ある特定の実施形態において、C4抽残液1 504は、選択的水素化に供されて、あらゆる残存ジエンが選択的に水素化され、イソブテンがメタノールと反応するより先に、メチルt−ブチルエーテルを生成させる。
1−ブテン生成物流522の回収に関する純度仕様は、第二C4抽残液516中のイソブチレンレベルが低下していることを必要とする。一般に、混合ブタン及びブテンを含有する第一C4抽残液流504は、イソブチレンも含んだ状態で、メチルt−ブチルエーテル域510に送られる。メタノール512も加えられ、これは、イソブチレンと反応して、メチルt−ブチルエーテル514を生成する。例えば、メチルt−ブチルエーテル生成物及びメタノールは、一連の分留塔で分離され、第二の反応段に送られる。メタノールは、水洗浄及び最終分留段で取り出される。回収されたメタノールは、固定床ダウンフロー型脱水素化反応器に循環使用される。図17に関して以下で記載されるある特定の実施形態において、追加イソブチレン、例えばメタセシス転化ユニットに由来するものを、メチルt−ブチルエーテル域510に導入することが可能である。
メチルt−ブチルエーテル域510の1つの実施形態の運転において、抽残液流504は、重量で35〜45%、37〜42.5%、38〜41%、または39〜40%のイソブチレンを含有する。この成分は、必要とされる純度仕様、例えばブテン−1回収域520から出る1−ブテン生成物流522に関して98重量%以上、を達成するため、C4抽残液516から取り出される。メタノール512は、ある特定の実施形態において、装置の境界の外側からくる98重量%以上の純度レベルを有する高純度メタノールであるが、このメタノールと、抽残液流504に含有されるイソブチレン、及びある特定の実施形態においてメタセシスから出るイソブチレン544(任意選択供給原料として破線で示される)が、一次反応器で反応する。ある特定の実施形態において、一次反応器は、固定床ダウンフロー型脱水素化反応器であり、重量基準で約70〜95%、75〜95%、85〜95%、または90〜95%の範囲でイソブチレン転化するように作動する。一次反応器から出る流出油は、反応塔に送られ、ここで反応が完了する。ある特定の実施形態において、反応塔及び一次反応器の発熱による熱は、任意選択で、提供される蒸気とともに塔リボイラーへの補充に使用することが可能である。反応塔塔底分は、一次反応器及び反応塔で生成した、メチルt−ブチルエーテル、痕跡量、例えば2%未満の未反応メタノール、及び重質生成物を含有する。反応塔塔頂分は、未反応メタノール及び無反応性C4抽残液を含有する。この流を水洗浄して、未反応メタノールを取り出してから、C4抽残液516として1−ブテン回収域520に送る。回収されたメタノールは、メタノール回収塔で洗浄水から取り出され、一次反応器に循環使用される。
メチルt−ブチルエーテル域510から出るC4抽残液流516は、ブテン−1回収用の分離域520に送られる。ある特定の実施形態において、メチルt−ブチルエーテル域510の上流、またはメチルt−ブチルエーテル域510とブテン−1回収用の分離域520との間に、選択的水素化域も備えることが可能である(図示せず)。例えば、ある特定の実施形態において、メチルt−ブチルエーテル域510から出る抽残液は、選択的水素化ユニットで選択的に水素化されて、ブテン−1を生成する。他のコ−単量体及びパラフィンも同時生成する。選択的水素化域は、選択的水素化域内の循環使用から得られる水素及びメイクアップ水素による有効量の水素の存在下で作動し;ある特定の実施形態において、選択的水素化域用のメイクアップ水素の全部または一部は、オレフィン回収トレイン270から出る水蒸気分解炉水素流210に由来する。例えば、適切な選択的水素化域は、Axens、IFP Group Technologies、FR;Haldor Topsoe A/S、DK;Clariant International Ltd、CH;Chicago Bridge & Iron Company N.V.(CB&I)、NL;Honeywell UOP、US;またはShell Global Solutions、USから市販されている技術に基づくシステムを含むことが可能であるが、これらに限定されない。
1−ブテン生成物流522の選択的回収のため、ならびに混合原料水蒸気分解域230及び/または本明細書中記載されるある特定の実施形態においてメタセシス域に送られる循環使用流524の回収のため、1つまたは複数の分離工程が使用される。例えば、1−ブテンは、2つの分離塔を使用して回収することが可能であり、第一塔は、パラフィンからオレフィンを回収し、第二塔は、2−ブテンを含む混合物から1−ブテンを分離し、2−ブテンを含む混合物は、第一塔から出るパラフィンとブレンドされて、循環使用流524として水蒸気分解炉に循環使用される。
ある特定の実施形態において、メチルt−ブチルエーテル域510から出るC4抽残液流516は、第一スプリッタに送られ、そこで、イソブタン、1−ブテン、及びn−ブタンが、より重質のC4成分から分離される。イソブタン、1−ブテン、及びn−ブタンは、塔頂分として回収され、空気冷却器で凝縮され、第二スプリッタに送られる。第一スプリッタから出る塔底分は、主にcis−及びtrans−2−ブテンを含有し、これは、循環使用流524に加えることが可能であり、または本明細書中記載されるある特定の実施形態において、メタセシスユニットに送ることが可能である。ある特定の配置において、第一スプリッタの塔頂分は、第二スプリッタの中間部に入る。イソブタン生成物526は、任意選択で、塔頂で回収することが可能であり(破線で示す)、1−ブテン生成物522は、側流として回収され、n−ブタンは、塔底流として回収される。両方のスプリッタから出る塔底分は、循環使用流524の全部または一部として回収される。
水蒸気分解炉から出る原熱分解ガソリン流234及び254は、精製されて、精製ナフサ及び他の留分に分離される。ある特定の実施形態において、熱分解ガソリン流234及び254の全部、実質的部分、または相当部分は、pyガス水素化精製域600に送られる。原熱分解ガソリン流234及び254は、pyガス水素化精製域600で、pyガス水素化精製域600内で循環使用から得られる水素及びメイクアップ水素602による有効量の水素の存在下、処理される。流出油燃料ガスは、回収されて、例えば、燃料ガスシステムに送られる。ある特定の実施形態において、メイクアップ水素602の全部または一部は、オレフィン回収トレイン270から出る水蒸気分解炉水素流210に由来する。例えば、適切なpyガス水素化精製域600は、Honeywell UOP、US;Chevron Lummus Global LLC(CLG)、US;Axens、IFP Group Technologies、FR;Haldor Topsoe A/S、DK;またはChicago Bridge & Iron Company N.V.(CB&I)、NLから市販されている技術に基づくシステムを含むことが可能であるが、これらに限定されない。
pyガス水素化精製域600は、比較的広範囲で変化する可能性がある、条件及び触媒(複数可)を用いて作動する。これらの条件及び触媒(複数可)は、特定オレフィン及びジオレフィン化合物を飽和させるのに有効な、ならびに必要であれば、硫黄及び/または窒素含有化合物を除去する水素化精製に有効な水素化となるように選択される。ある特定の実施形態において、これは、少なくとも2段の触媒段で行われるが、他の反応器配置を利用することも可能である。したがって、pyガス水素化精製域600は、熱分解ガソリン流234及び254を水素化に供して、芳香族化合物抽出域620への供給原料として有効な水素化精製熱分解ガソリン604を生成させる。流出油排出ガスは、pyガス水素化精製域600から回収され、オレフィン回収トレインに、他のガス流156の一部として飽和ガスプラントに、及び/または直接、燃料ガスシステムに送られる。液化石油ガスは、pyガス水素化精製域600から回収して、混合原料水蒸気分解域、オレフィン回収トレイン、及び/または飽和ガスプラントに送ることが可能である。
pyガス水素化精製域600において、供給原料中のジオレフィン及び供給原料のC6+部分のオレフィンは、飽和させられて、ナフサ流604、すなわち芳香族化合物抽出域へのC5+供給原料を生成する。ある特定の実施形態において、pyガス水素化精製域600に付随する脱ペンタ化工程は、C5の全部または一部を、例えば、混合原料水蒸気分解域230への追加供給原料606として、及び/またはメタセシスユニット530への供給原料として(例えば、図4、図6、または図17に示すとおり)、分離する。他の実施形態において、芳香族化合物抽出域620に付随する脱ペンタ化工程は、水素化精製ナフサ流604から出るC5の全部または一部を、例えば、混合原料水蒸気分解域230への追加供給原料として、及び/またはメタセシスユニット530への供給原料として分離する。
ある特定の実施形態において、熱分解ガソリンは、水素化及び安定化用の第一反応段で処理される。ジオレフィンは、第一反応段で、選択的に飽和させられ、残存オレフィンは、第二反応段で、原料硫黄を硫化水素に転化するのと合わせて、飽和させられる。熱分解ガソリンは、冷水素化精製ユニットで精製することが可能であり、その結果、芳香族化合物飽和レベルが低下する。
有効なpyガス水素化精製域600の例において、原熱分解ガソリンは、コアレッサーを通過してから、供給原料サージドラムに入る。第一段反応器は、混合相で作動し、ジオレフィンをモノオレフィンに、及び不飽和芳香族化合物を側鎖飽和芳香族化合物に、選択的に水素化する。Pd系触媒物質が有効である。ある特定の実施形態において、2つの第一段反応器を並列に使用することが可能であり、それにより、連続プロセスにおいて停止せずに再生することが可能になる。ある特定の実施形態において、第一段反応器は、3つの触媒床を備え、各床間は、クエンチ材料として循環使用された第一段分離装置液体で冷却されている。第一段流出油は、温度を下げるためにやや減圧下で作動する塔中で、安定化及び分離される。ある特定の実施形態において、C5がC6+から引き出され、続いて、脱オクタン装置により、C9+が除去され、C6−C8ナフサハートカットが生成する。この塔は、温度を制限するためにやや減圧下で作動する。第一段生成物は、ストリッピングされて、水素、H2S、及び他の軽留分が除去される。ある特定の実施形態において、ストリッピングされた第一段生成物は、脱ペンタ化されて、分解C5が除去され、例えば、メタセシスユニットへの供給原料となる。第二段反応器は、気相で作動し、硫黄を除去し、オレフィンを飽和させる。第二段生成物は、ストリッピングされて、水素、H2S、及び他の軽留分が除去される。ある特定の実施形態において、反応器は両方とも、複数床型であり、反応器の温度上昇を制御するため生成物の循環使用を利用する。
ある特定の実施形態において、pyガス水素化精製域600の第一反応段階運転条件は、以下を含む:
反応器入口温度(℃)が、約80〜135、80〜125、80〜115、95〜135、95〜125、95〜115、100〜135、100〜125、100〜115、または107〜111の範囲;
反応器出口温度(℃)が、約145〜230、145〜206、145〜200、165〜230、165〜206、165〜200、175〜230、175〜206、175〜200、または184〜188の範囲;
初期(SOR)反応温度(℃)が、加重平均床温度(WABT)として、約75〜125、75〜115、75〜110、90〜125、90〜115、90〜110、95〜125、95〜115、95〜110、または99〜104の範囲;
終期(EOR)反応温度(℃)が、WABTとして、約124〜195、124〜180、124〜170、140〜195、140〜180、140〜170、150〜195、150〜180、150〜170、または158〜163の範囲;
反応入口圧(barg)が、約25〜40、25〜35、25〜33、28〜40、28〜35、28〜33、30〜40、30〜35、または30〜33の範囲;
反応出口圧(barg)が、約23〜35、23〜33、23〜31、25〜35、25〜33、25〜31、28〜35、28〜33、または28〜31の範囲;
水素分圧(barg)(出口)が、約15〜25、15〜22、15〜21、18〜25、18〜22、18〜21、19〜25、または19〜22の範囲;
水素精製ガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約180、165、または156まで、ある特定の実施形態において約120〜180、120〜165、120〜156、134〜180、134〜165、134〜156、140〜180、140〜165、または140〜156;
液体クエンチ供給速度(Ltクエンチ/Lt供給原料)が、最高約0.8、0.7、0.6、または0.5まで、及びある特定の実施形態において、約0.35〜0.6、0.35〜0.55、0.35〜0.5、0.4〜0.6、0.4〜0.55、0.4〜0.5、0.45〜0.6、0.45〜0.55、または0.45〜0.5の範囲;ならびに
メイクアップ水素供給速度(SLt/Lt)が、最高約60、55、47、または45まで、ある特定の実施形態において約34〜55、34〜47、34〜45、40〜55、40〜47、40〜45、42〜55、42〜47、または42〜45。
ある特定の実施形態において、pyガス水素化精製域600の第二反応段の運転条件は、以下を含む:
反応器入口温度(℃)が、約225〜350、225〜318、225〜303、255〜350、255〜318、255〜303、270〜350、270〜318、270〜303、または285〜291の範囲;
反応器出口温度(℃)が、約289〜445、289〜405、289〜386、328〜445、328〜405、328〜386、345〜445、345〜405、345〜386、または364〜370の範囲;
初期(SOR)反応温度(℃)が、加重平均床温度(WABT)として、約217〜336、217〜306、217〜291、245〜336、245〜306、245〜291、260〜336、260〜306、260〜291、または274〜280の範囲;
終期(EOR)反応温度(℃)が、WABTとして、約325〜416、325〜380、325〜362、305〜416、305〜380、305〜362、325〜416、325〜380、325〜362、または340〜346の範囲;
反応入口圧(barg)が、約25〜37、25〜34、25〜32、28〜37、28〜34、28〜32、29〜37、29〜34、または29〜32の範囲;
反応出口圧(barg)が、約23〜35、23〜32、23〜30、26〜35、26〜32、26〜30、28〜35、28〜32、または28〜30の範囲;
水素分圧(barg)(出口)が、約6〜10、6〜9、7〜10、または7〜9の範囲;
水素精製ガス供給速度(SLt/Lt)が、最高約135、126、116、または110まで、ある特定の実施形態において約84〜126、84〜116、84〜110、95〜126、95〜116、95〜110、100〜126、100〜116、または100〜110;及び
メイクアップ水素供給速度(SLt/Lt)が、最高約30、27、または24まで、ある特定の実施形態において約18〜30、18〜27、18〜24、21〜30、21〜27、21〜24、22〜30、22〜27、または22〜24。
選択的水素化機能を保持する有効量の触媒が提供され、そのような触媒は、一般に、Co、Mo、Pt、Pd、Fe、またはNiから選択される金属または金属化合物(酸化物または硫化物)の活性金属成分を1種または複数含有する。活性金属成分は、典型的には、非晶質アルミナ、非晶質シリカアルミナ、ゼオライト、またはそれらの組み合わせなどの担体に担持されているかいずれにしろ組み込まれている。代表的な選択的水素化触媒は、アルミナ担体に担持されたPdを活性金属成分として主に使用し、そのような触媒として、Olemax(登録商標)600及びOlemax(登録商標)601の登録商標で市販されているものが挙げられる。有効液空間速度値(h−1)は、第一段熱分解ガソリン反応器触媒に対して新たに供給される原料に基づいて、約0.1〜10.0、0.1〜5.0、0.1〜2.0、0.3〜10.0、0.3〜5.0、0.3〜2.0、0.5〜10.0、0.5〜5.0、0.5〜2.0、または0.9〜1.44の範囲である。第一段熱分解ガソリン反応器で使用される適切な触媒は、予想される触媒寿命が、約18〜30、22〜30、18〜26、または22〜26ヶ月の範囲である。
有効量の第二段熱分解ガソリン反応器触媒が提供され、そのような触媒は、水素化機能を有するものを含み、一般にIUPACの元素周期表の第6〜10族から選択される金属または金属化合物(酸化物または硫化物)の活性金属成分を1種または複数含有する。ある特定の実施形態において、活性金属成分は、Co、Ni、W、及びMoのうち1種または複数である。活性金属成分は、典型的には、非晶質アルミナ、非晶質シリカアルミナ、ゼオライト、またはそれらの組み合わせなどの担体に担持されているかいずれにしろ組み込まれている。ある特定の実施形態において、第一段熱分解ガソリン反応器で使用される触媒は、Co/Mo、Ni/Mo、Ni/W、及びCo/Ni/Moから選択される1種または複数の触媒を含む。Co/Mo、Ni/Mo、Ni/W、及びCo/Ni/Moの1種または複数の組み合わせも使用可能である。例えば、Olemax(登録商標)806及びOlemax(登録商標)807の登録商標で市販されている触媒粒子の組み合わせを使用することが可能であり、活性金属成分は、Co及びNi/Moである。組み合わせは、単一活性金属種を含有する粒子を多種用いて、または複数の活性種を含有する粒子で構成することが可能である。有効液空間速度値(h−1)は、第一段熱分解ガソリン反応器触媒に対して新たに供給される原料に基づいて、約0.1〜10.0、0.1〜5.0、0.1〜2.0、0.3〜10.0、0.3〜5.0、0.3〜2.0、0.5〜10.0、0.5〜5.0、0.5〜2.0、または0.8〜1.2の範囲である。第二段熱分解ガソリン反応器で使用される適切な触媒は、予想される触媒寿命が、約18〜30、22〜30、18〜26、または22〜26ヶ月の範囲である。
水素化精製熱分解ガソリン604は、芳香族化合物抽出域620に送られる。石油化学製品の製造を最大化するある特定の実施形態において、水素化精製熱分解ガソリン604の全部、実質的部分、または相当部分は、芳香族化合物抽出域620に送られる。ガソリンの製造が目的である運転様式において、水素化精製熱分解ガソリン604の一部は、ガソリンプールに送られる(図示せず)。
芳香族化合物抽出域620は、例えば、1つまたは複数の抽出蒸留ユニットを備え、水素化精製熱分解ガソリンを、高純度ベンゼン、トルエン、キシレン、及びC9芳香族化合物に分離するように作動する。図16に示すとおり、ベンゼン流624、混合キシレン流626、及び抽残液流646は、芳香族化合物抽出域620から回収され、抽残液流646は、追加供給原料として、混合原料水蒸気分解域230に送られる。また、トルエン流636及びC9+芳香族化合物流638は、さらなるベンゼン及びキシレンの生成のため、芳香族化合物抽出域620から出て、トルエン及びC9+トランスアルキル化域630に送られ、流640として芳香族化合物抽出域620に循環使用される。ある特定の実施形態においてエチルベンゼンは、回収することが可能である(図示せず)。重質芳香族化合物642も、芳香族化合物抽出域620から回収される。
芳香族化合物抽出域620の運転のある特定の実施形態において、芳香族化合物は、例えば、抽出溶媒としてn−ホルミルモルホリン(NFM)を使用する抽出蒸留により、供給原料から分離される。ベンゼン、トルエン、混合キシレン、及びC9+芳香族化合物は、蒸留により分離される。ベンゼン及び混合キシレンは、生成物流624及び626として回収され、トルエン636及びC9+芳香族化合物638は、トルエン及びC9+トランスアルキル化域630に送られる。ベンゼン及び混合キシレンを含有するトランスアルキル化域生成物流640は、芳香族化合物抽出域620の回収部に戻される。パラフィン抽残液流646は、混合原料水蒸気分解域230への供給原料として循環使用される。ある特定の実施形態において、パラフィン抽残液流646は、混合原料水蒸気分解域230と直接流体連通している、すなわち、パラフィン抽残液流646は、水蒸気分解工程の前に、さらなる接触処理を受けない。
溶媒の選択、運転条件、及び溶媒と供給原料の接触機構により、芳香族化合物抽出のレベルの制御が可能になる。例えば、適切な溶媒として、n−ホルミルモルホリン、フルフラール、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、フェノール、ニトロベンゼン、スルホラン、アセトニトリル、フルフラール、またはグリコールが挙げられ、適切な溶媒は、溶媒対油比を最高約20:1まで、ある特定の実施形態において最高約4:1まで、さらなる実施形態において最高約2:1までとして提供することが可能である。適切なグリコールとして、ジエチレングリコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、及びジプロピレングリコールが挙げられる。抽出溶媒は、純グリコールであることも、約2〜10重量%の水で希釈されたグリコールであることも可能である。適切なスルホランとして、炭化水素置換スルホラン(例えば、3−メチルスルホラン)、ヒドロキシスルホラン(例えば、3−スルホラノール及び3−メチル−4−スルホラノール)、スルホラニルエーテル(例えば、メチル−3−スルホラニルエーテル)、及びスルホラニルエステル(例えば、酢酸3−スルホラニル)が挙げられる。
芳香族分離装置は、約40〜200、40〜150、60〜200、60〜150、86〜200、または80〜150℃の温度範囲で作動することが可能である。芳香族分離装置の運転圧は、約1〜20、1〜16、3〜20、3〜16、5〜20、または5〜16bargの範囲が可能である。ある特定の実施形態において本明細書中記載されるシステム及びプロセスの芳香族分離装置として有用な装置の種類は、抽出蒸留塔を含む。
芳香族化合物抽出域620の運転の1つの実施形態において、供給原料は、主にC6+成分を含有し、分留されて、C6−C8の「ハートカット」及び重質C9+留分が得られる。C6−C8カットは、抽出蒸留システムに送られ、そこで、芳香族化合物が、溶媒蒸留を介して非芳香族化合物(飽和化合物)から分離される。C6−C8から分離された抽残液(非芳香族化合物)は、取り出され、分解複合装置に原料として循環使用され戻される。芳香族化合物は、溶媒に溶解性であり、抽出蒸留塔の塔底から、溶媒ストリッパへと運ばれ、溶媒ストリッパで、芳香族化合物は、溶媒からストリッピングされて、芳香族化合物抽出物及び貧溶媒が回収され、貧溶媒は、抽出蒸留塔に戻され循環使用される。混合芳香族化合物抽出物は、一連の分留塔(ベンゼン塔、トルエン塔、及びキシレン塔)に送られ、そこで、各芳香族化合物種が、順次、例えばベンゼン流624及び混合キシレン流626として取り出される。重質C9+留分からは、さらにC9及びC10+材料が分離される。トルエン及びC9生成物は、トルエン及びC9+トランスアルキル化域630に送られ、そこで、それらは反応して、さらなるベンゼン及び混合キシレンを形成する。この流は、芳香族化合物抽出域620の分留部に戻され循環使用されて、ベンゼン及び混合キシレンが回収されるとともに、未転化トルエン及びC9芳香族化合物が循環使用される。トランスアルキル化流出油は、溶媒蒸留部での再抽出を必要とせず、したがって、ベンゼン塔の入口に送られる。ある特定の実施形態において、トルエンは、消滅するまで循環使用する、すなわち消滅に近づけていくことが可能である。C10及びそれより重質の芳香族化合物は、生成物642として取り出される。ある特定の実施形態において、エチルベンゼンを回収することが可能である。
トルエン及びC9+トランスアルキル化域630は、トルエン及びC9+芳香族化合物を不均化して、ベンゼン、混合キシレン、及び重質芳香族化合物を含有する混合流640にするのに有効な条件下で作動する。ベンゼン及びキシレンの生成物比は、触媒、原料、及び運転条件の選択により調整することが可能である。トランスアルキル化域630は、芳香族化合物抽出域620から、供給原料としてトルエン流636及びC9+芳香族化合物流638を受け取る。少量の水素632は、ある特定の実施形態において、その全部または一部がオレフィン回収域270に由来する水素流210から得られるが、これは、トランスアルキル化反応用に供給される。分解副反応が起こり、それにより生成した燃料ガス流は、例えば燃料ガスシステムに送られ、及びLPG流634は、混合原料水蒸気分解域に循環使用される。縮合反応のため、少量の、例えば、芳香族化合物抽出に対する供給原料全体の0.5〜3重量%で、重質芳香族化合物が生成し、それらは他の重質芳香族化合物とともに回収するために、混合流640に送られる。
トルエン及びC9+トランスアルキル化域630の1つの実施形態の運転において、トルエン及びC9芳香族化合物は、穏やかな条件下、水素と反応して、C6−C11芳香族化合物混合物を形成する。混合芳香族化合物生成物流640は、芳香族化合物抽出域620に戻され循環使用されて、そこで、ベンゼン及び混合キシレンが、生成物として回収される。C7及びC9芳香族化合物は、トランスアルキル化域630に供給原料として戻され循環使用され、C10+留分は、重質芳香族化合物流642として芳香族化合物抽出域620から取り出される。不均化反応は、有効量の水素の存在下で起こる。反応器条件下での分解反応により、最小量の水素が消費される。パージガスは、成分回収のため、分解複合装置に戻され循環使用される。
ある特定の実施形態において、熱分解油流236及び256は、低硫黄成分として燃料油プールにブレンドする、及び/またはカーボンブラック原料として使用することが可能である。さらなる実施形態において、熱分解油流236及び256の一方または両方を、分留して(図示せず)軽質熱分解油及び重質熱分解油にすることが可能である。例えば、軽質熱分解油は、1つまたは複数の中質留分流とブレンドすることが可能であり、それにより熱分解油流236及び256の一方または両方に由来する軽質熱分解油の0〜100%を処理して、ディーゼル燃料製品及び/または混合原料水蒸気分解域230への追加供給原料を生成することができる。別の実施形態において、熱分解油流236及び256の一方または両方に由来する軽質熱分解油の0〜100%は、減圧軽油水素化処理域で処理することが可能である。重質熱分解油は、低硫黄成分として燃料油プールにブレンドする、及び/またはカーボンブラック原料として使用することが可能である。さらなる実施形態において、熱分解油流236及び256の一方または両方に由来する、軽質熱分解油の0〜100%及び/または重質熱分解油の0〜100%は、残油水素化分解域800で処理することが可能である。ある特定の実施形態において、熱分解油流236、256(軽質及び重質)の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、残油水素化分解域800で処理することが可能である。ある特定の実施形態において、軽質熱分解油の全部、実質的部分、相当部分、または主要部分は、残油水素化分解域800に送ることが可能であり;任意残部は、ディーゼル水素化精製域180及び/または減圧軽油水素化処理域及び/または燃料油プールに送ることが可能である。
図17は、統合されたメタセシス域530を含む実施形態を示す。図17のプロセスは、図7、図8、及び図16に関する説明に従って、または全ての他の態様において、本明細書中のその他の実施形態のいずれかに従って、作動する。例えば、適切なメタセシス域530は、Chicago Bridge & Iron Company N.V.(CB&I)、NLから市販されている技術に基づくシステムを含むことが可能であるが、これに限定されない。
メタセシス域530への原料は、以下を含む:エチレン生成物202の一部536;1−ブテン回収域520から出るC4抽残液−3流532、及びpyガス水素化精製域600から出るオレフィンC5カット606。C4抽残液−3流532は、1−ブテン回収域520から出るC4抽残液−3全体の0〜100%であり;任意残部524は、混合原料水蒸気分解域230に循環使用することが可能である。メタセシス域530から出る生成物は、プロピレン生成物流534及び流542を含み、メタセシスユニットから出る大部分が飽和のC4/C5の混合物を含有していて、この混合物は混合原料水蒸気分解域に循環使用される。ある特定の実施形態において、イソブチレン544も、回収することが可能であり(破線で示す)、メチルt−ブチルエーテル域510に送られる。イソブチレンを分離せずに作動する実施形態において、イソブチレンは、流542に含まれる。
本明細書中の統合プロセスで使用されるメタセシス域530の例において、分離域520から出るC4抽残液−3流532及びpyガス水素化精製域600(または芳香族化合物抽出域)から出るC5オレフィン流606は、ガード床を通過してt−ブチルカテコールが除去されてから、モル過剰の新鮮な及び循環使用されたエチレンと混合される。反応器供給原料は、別のガード床を通過して他の痕跡量混入物が除去され、炉で加熱され、そして不均化(メタセシス)反応器に入り、ここでプロピレンが形成される。反応は、転化の平衡に到達する。メタセシス反応器流出油は、プロピレン、エチレン、及びブテン/ブタンの混合物、ならびに副生成物反応に由来するある種のC5及びそれより重質の成分を含有する。C4オレフィンは、不均化反応器中で異性化し、エチレンと反応して、さらなるプロピレンを形成する。ある特定の実施形態において、C5オレフィンの不均化は、さらなるMTBE生成のためのイソブチレン副生成物をもたらす。冷却された反応器流出油は、脱エチレン塔に入り、ここは、塔頂エチレンを不均化反応器に送り循環使用する。脱エチレン塔塔底分は、脱プロピレン塔に送られ、ここは、グレードのプロピレン生成物を塔頂分として回収する。プロピレン生成物純度は、>99.5mol%(ポリマーグレード)である。ある特定の実施形態において、脱プロピレン塔塔底分は、脱イソブチレン塔に入り、ここは、MTBE域510へのさらなる原料にするためのイソブチレンを塔頂分として回収する。脱イソブチレン塔塔底分は、循環使用流と混合されて、オレフィン濃度が希釈され、混合物は、加熱され、水素と混合されて、全水素化反応器に送られ、ここは、あらゆる残存C4/C5またはそれより重質のオレフィンを飽和させ、それにより、軽質オレフィン収率を向上させる。冷却された反応器流出油は、混合原料水蒸気分解域230への原料として循環使用される。
図18は、灯油精製が任意選択ユニット内にある、すなわち、第一中質留分116が、灯油精製域170を通過する、または留分水素化精製域180に送られる、いずれかが可能である実施形態を示す。図18のプロセスは、図7及び図16に関する説明に従って、または全ての他の態様において、本明細書中のその他の実施形態のいずれかに従って、作動する。
燃料留分172の最大化が望まれる期間中、第一中質留分116は、灯油精製域170に送ることが可能である。混合原料水蒸気分解域230に送る原料を最大化しようとする期間中、第一中質留分116は、留分水素化精製域180に送ることが可能であり、そうすることにより、さらなる水素化精製ナフサ184が生成する。追加の代替実施形態において、第一中質留分116は、分割され(体積または重量基準で、例えば、ダイバータを用いて)、それにより、一部を留分水素化精製域180に送り、残部を灯油精製域170に送ることができる。
図19は、灯油精製を排除した実施形態を示す。したがって、図19の実施形態において、2つの中質留分が使用される。この実施形態において、第一中質留分124は、留分水素化精製域180に送られ、第二中質留分134は、本明細書中他の実施形態において記載される第三中質留分126と同様であることが可能である。図19に示す配置を使用する1つの例において、第一中質留分124は、灯油範囲の炭化水素及び中質AGO範囲の炭化水素を含有し、第二常圧蒸留域中質留分134は、重質AGO範囲の炭化水素を含有する。図19に示す配置を使用する別の例において、第一中質留分124は、灯油範囲の炭化水素及び中質AGO範囲の炭化水素の一部を含有し、第二中質留分134は、中質AGO範囲の炭化水素の一部及び重質AGO範囲の炭化水素を含有する。図19のプロセスは、図7、図8、及び図16に関する説明に従って、または全ての他の態様において、本明細書中のその他の実施形態のいずれかに従って、作動する。
有利なことに、配置によるプロセス動態ならびにユニット及び流の統合は、混合原料水蒸気分解と他のプロセスユニットの間で用役流の非常に高レベルの統合を実現し、効率の上昇及び運転費用全体の低下をもたらす。例えば、水素は、緊密に統合することが可能であり、それにより、装置の境界の外側からくる水素の正味需要は、最小限に抑えられ、排除することさえも可能である。ある特定の実施形態において、装置の境界の外側からくる全水素利用は、統合プロセスの水素利用部により必要とされる全水素に基づいて、約40、30、15、10、または5重量%未満の水素である。水素は、オレフィン回収トレインから回収され、ディーゼル水素化精製装置、軽油水素化処理域、減圧残油水素化処理域、pyガス水素化精製装置、及びトランスアルキル化を含む、システムの水素利用部に供給され、それにより、用役水素のほとんどまたは全部が装置の境界内側に由来することが可能である。ある特定の実施形態において、外部水素の使用はゼロであり、その中で、作動を開始するためにメイクアップ水素のみが必要とされる;反応が平衡に到達した時点で、混合原料水蒸気分解及び軽油水蒸気分解生成物に由来する水素が、統合プロセスの水素利用部による水素要求を満たすのに十分な水素を提供する。さらなる実施形態において、正味水素益が存在し、そのため、水素を、例えば燃料ガスに加えることが可能であり、燃料ガスは、統合プロセス内の種々の加熱ユニットを作動するのに使用される。
そのうえさらに、本明細書中記載される統合プロセスは、水素化処理ユニットから出る排出ガス及び軽留分用の有用な出口を提供する。例えば、原油処理複合装置100の飽和ガスプラント150に送られる流156は、水素化処理ユニット、例えば、ディーゼル水素化精製域180、軽油水素化精製域300、及び/またはpyガス水素化精製域600から出る排出ガス及び軽留分を含有することが可能である。他の実施形態において、これら排出ガス及び軽留分を流156に送るのに合わせてまたはその代わりとして、全部または一部を、混合原料水蒸気分解ユニット230に送ることが可能である。例えば、C2は、メタン、水素、及びC2の混合物から、極低温蒸留/分離運転を含む低温蒸留部(「低温ボックス」)を使用して分離することが可能であり、低温蒸留部は、混合原料水蒸気分解ユニット230、飽和ガスプラント150、及び/またはオレフィン回収域270のいずれかまたは全部と統合させることが可能である。メタン及び水素は、燃料ガスシステムに、またはオレフィン回収域270の適切な区画、例えば水素精製システムなどに送ることが可能である。なおさらなる実施形態において、これら排出ガス及び軽留分を流156に送る、及び/またはそれらを混合原料水蒸気分解ユニット230に送るのに合わせてまたはその代わりとして、全部または一部を、オレフィン回収域270の適切な区画、例えば脱プロパン塔などに送ること、またはガスを脱プロパン塔塔頂分とまとめることが可能である。
本明細書中提示される独自の配置は、流及びユニットをあるレベルで統合することを示し、これにより、経済的に有効な様式で軽油水蒸気分解炉を使用することが可能になる。本配置は、供給原料として原油を用いる統合プロセスを使用した化学物質転化を支援し向上させる。したがって、これらの配置は、燃料または石油精製副生成物から化学物質を製造する従来アプローチに比べてより少ない資本支出を可能にするだけでなく、UCO分解炉の経済的使用(統合を通じて)という面も有する。したがって、供給原料として原油を使用するにもかかわらず、本明細書中のプロセスは、供給原料としてのエタンの入手しやすさから恩恵を受けているエタン分解炉など、当該産業で現在一般的な他の選択肢に引けを取らない。
本明細書中記載される実施形態は、原油から化学製品への転化比を、例えば、最高80、50、または45重量%の範囲、及びある特定の実施形態において約39〜45重量%の範囲で達成する能力を提供する。ある特定の実施形態において、化学製品への転化比は、少なくとも約39重量%であり、ある特定の実施形態において約39〜80、39〜50、または39〜45重量%の範囲である。当然のことながら、原油から化学製品への転化比は、供給原料、選択された技術、触媒選択、及び個々のユニット運転の運転条件などの基準に応じて変化する可能性がある。
実施形態によっては、個々のユニット運転は、生成物スレートを監視し望みどおりに調整する制御装置を備えることが可能である。制御装置は、個々のユニット運転のいずれかの内部でパラメーターを指示することが可能であり、装置は、所望の運転条件に依存し、所望の運転条件は、例えば、取引先需要及び/または市場価格に基づく場合がある。制御装置は、オペレータによるデータ入力及び/または自動回収されたデータにより発生した1つまたは複数のシグナルに基づいて、1つまたは複数のユニット運転に関連する弁、フィーダー、またはポンプを調節または制御する。
そのような制御装置は、複数の運転様式を備えた汎用ユニットを提供し、このユニットは、回収される生成物の柔軟性を高めるために、複数の入力に応答することが可能である。制御装置は、1つまたは複数のコンピュータシステムを用いて稼働させることが可能であり、コンピュータシステムは、例えば、汎用コンピュータが可能である。あるいは、コンピュータシステムは、専用にプログラミングされた、特殊用途ハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)または精製所内の特定ユニット運転を目的とする制御装置を備えることが可能である。
コンピュータシステムは、1つまたは複数のプロセッサを備え、プロセッサは、典型的には1つまたは複数のメモリ装置と接続されており、メモリ装置は、例えば、任意の1つまたは複数のディスクドライブメモリ、フラッシュメモリ装置、RAMメモリ装置、あるいは他のデータ記憶用装置を備えることが可能である。メモリは、典型的には、システムの運転中、プログラム及びデータを記憶するために使用される。例えば、メモリは、経時的にパラメーターに関する経過データ、ならびに運転データを記憶するのに使用することが可能である。ソフトウェアは、本発明の実施形態を実行するプログラムコードも含めて、コンピュータで読み込み可能及び/または書き込み可能な不揮発性記録媒体に記憶され、そして、典型的には、メモリにコピーされ、そこでその後1つまたは複数のプロセッサにより実行することが可能である。そのようなプログラムコードは、複数あるプログラム言語のいずれかまたはそれらの組み合わせにより書かれているものが可能である。
コンピュータシステムの構成要素は、1つまたは複数の相互接続機構により連結することが可能であり、相互接続機構として、1つまたは複数のバス、例えば、同一装置内で統合される構成要素間のバス、及び/またはネットワーク、例えば、別個の離散装置に存在する構成要素間のネットワークを挙げることができる。相互接続機構は、典型的には、例えばデータ及び指示などの通信を可能にして、システムの構成要素間で交換されるようにする。
コンピュータシステムは、1つまたは複数の入力装置、例えば、キーボード、マウス、トラックボール、マイク、タッチスクリーン、及び他のマンマシンインターフェース装置など、ならびに1つまたは複数の出力装置、例えば、印刷装置、表示スクリーン、またはスピーカなども備えることが可能である。また、コンピュータシステムは、システムの1つまたは複数の構成要素により形成される可能性があるネットワークに加えて、またはそれの代わりに、コンピュータシステムを通信網に接続することが可能な1つまたは複数のインターフェースを備えることが可能である。
本明細書中記載されるプロセスの1つまたは複数の実施形態に従って、1つまたは複数の入力装置は、装置及び/またはそのユニット運転の任意の1つまたは複数のパラメーターを測定するセンサ及び/またはフローメータを備えることが可能である。あるいは、センサ、フローメータ、ポンプ、または装置の他の構成要素の1つまたは複数を、コンピュータシステムと連動した運転通信網に接続することが可能である。上記のうち任意の1つまたは複数のものを、別のコンピュータシステムまたは構成要素と接続して、1つまたは複数の通信網にまたがりコンピュータシステムと通信させることが可能である。そのような配置により、任意のセンサまたはシグナル生成装置を、コンピュータシステムから相当離れた距離で配置することが可能になり、及び/または任意のセンサを、任意のサブシステム及び/または制御装置から相当離れた距離で配置することが可能になり、それでもなおデータはそれらの間で提供される。そのような通信機構は、任意の適切な技法を利用することにより実現可能であり、そのような技法として、有線ネットワーク及び/または無線ネットワーク及びプロトコルを利用するものが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書中のプロセスの様々な態様を実行可能なコンピュータシステムの1つの種類として、あるコンピュータシステムを、例として上記に説明したものの、当然のことながら、本発明は、例示として説明されたとおりのソフトウェアの実行、またはそれを行うコンピュータシステムに限定されない。実際、例えば、汎用コンピュータシステムで実現されるというのではなく、制御装置、またはその構成要素もしくはサブセクションは、専用システムとして、または専用プログラマブル論理制御装置(PLC)として、または分散型制御システムにおいて、実現することが可能である。さらに、当然のことながら、プロセスの1つまたは複数の特長または態様は、ソフトウェア、ハードウェア、またはファームウェア、あるいはそれらの任意の組み合わせで実行可能である。例えば、制御装置により実行可能なアルゴリズムの1つまたは複数のセグメントは、別個のコンピュータで行うことが可能であり、そしてそれらコンピュータを、1つまたは複数のネットワークを通じて通信させることが可能である。
実施形態によっては、1つまたは複数のセンサ及び/またはフローメータは、プロセス全体にわたって配置させることが可能であり、それらは、手動オペレータまたは自動制御システムと通信していて、プログラミング可能に論理制御されたプロセスにおいて適切なプロセス改変を実行する。1つの実施形態において、プロセスは、制御装置を備え、制御装置は、任意の適切なプログラムされたまたは専用のコンピュータシステム、PLC、あるいは分散型制御システムが可能である。ある特定の生成物流の流速を測定することが可能であり、流れを、要求される生成物スレートを満たすのに必要なとおりに方向転換することが可能である。
様々な調節または制御をもたらす可能性がある要因として、様々な炭化水素製品に対する取引先需要、様々な炭化水素製品の市場価値、原料特性、例えばAPI比重またはヘテロ原子含有量など、及び製品品質(例えば、ガソリン及び中質留分の指標特性、例えば、ガソリンのオクタン価及び中質留分のセタン価など)が挙げられる。
開示されるプロセス及びシステムは、原油、例えば、アラブ・エクストラ・ライト(AXL)またはアラブ・ライト(AL)原油などの軽質原油の直接転化のための新たな出口を創造する。さらに、開示されるプロセス及びシステムは、既知のプロセス及びシステムと比べて、燃料または石油精製副生成物から化学製品を製造する従来アプローチよりも少ない設備投資しか必要とせず、かつ精製ユニット及び統合された化学製品複合設備を利用する、新規配置を提供する。開示されるプロセス及びシステムは、従来から高い市場価格に値する高純度化学製品に転化される原油の割合を、実質的に増加させる。商業実績のあるプロセスの能力の閾値を上昇させることにより生じる複雑さは、本明細書中記載されるプロセス及びシステムを用いて最小限に押さえられる、または排除される。
開示されるプロセス及びシステムは、様々な商業実績のあるユニットを、新規配置で配列させて利用する。これらの新規配置は、オレフィン、芳香族化合物、MTBE、及びブタジエンをはじめとする、精製品及び石油化学生成物の製造を可能にする。開示されるプロセス及びシステムは、原料として精製中間体または副生成物を使用する従来の化学製品製造と比べた場合に、化学製品製造業者が、燃料市場から切り離されて、より自由に粗率の分数としての化学製品収率を高めることができるようにする。また、開示されるプロセス及びシステムは、従来から高い市場価格に値する高純度化学製品に転化される原油の割合を、実質的に増加させる。
開示されるプロセス及びシステムは、化学製品製造の代替手段を提供し、この代替手段は、精製ユニット及び統合された化学製品複合設備を利用する従来経路よりも少ない設備投資しか要さない。その上、開示されるプロセス及びシステムは、燃料製品及び化学製品を同時製造する柔軟性を提供する。化学製品対残部の燃料の比は、プロセス運転により調節することが可能であり、燃料及び化学製品市場機会の変化に対応することが可能である。ある特定の実施形態において、プロセス配置は、アラブ・ライトまたはアラブ・エクストラ・ライトなどの原油を処理して、精製燃料製品の製造を最小限に抑えながら、化学製品のより優れた製造を提供することが可能な柔軟性を持つ。本配置は、最適運転を達成する目的で、石油化学製品対精製製品の比を調節する構造的運転の柔軟性を提供するとともに、化学製品対燃料の製造比を移動させ、それにより市場状況に適応することを可能にする。
例えば、減圧軽油水素化処理において、過酷度を高めると、ナフサ収率が上昇するとともにUCO(または水素化精製軽油)の収率が低下するが、大部分において、留分収率も同じだけ大きく変化する。なぜなら、ワイルドナフサ製品は、留分分解の産物だからである。UCO製品は、開環反応を通じて、化学的に再構築され、性質がよりパラフィン寄りになるが、軽油沸点範囲の製品のままである。減圧軽油水素化処理の過酷度を調節することにより、ナフサとUCO(または水素化精製軽油)の間の相対生成物比が移動する。水蒸気分解炉におけるナフサのオレフィン収率は、UCO(または水素化精製軽油)より高く;一方、UCO(または水素化精製軽油)からの重質生成物収率(混合C4及び熱分解ガソリン)は、ナフサより高い。したがって、減圧軽油水素化処理転化を調節することの重要な利点は、劇的に揺れ動く可能性があるオレフィン及び芳香族化合物製品に関する市場状況の変化に、経済的及び動的に対応することである。
処理ユニットはそれぞれ、そのようなユニットに典型的な条件で操作され、その条件は、ユニット設計の能力内で、所望の製品を最大限にするように、供給原料の種類に基づいて変更可能である。所望の製品として、混合原料水蒸気分解域230または軽油水蒸気分解域250への原料として適切な留分、または燃料製品としての使用に適した留分を挙げることが可能である。同様に、処理ユニットは、供給原料特性及び所望の生成物に応じて、適切な触媒(複数可)を使用する。これらの運転条件及び触媒についてのある特定の実施形態が、本明細書中記載されているものの、当然のことながら、改変形態が当該分野で周知であり、当業者の能力の範囲内にある。
本明細書中の概略図及び説明を簡潔にする目的で、原油センターにおいて慣習的である付随の構成要素、例えば多数の弁、温度センサ、予熱装置(複数可)、脱塩運転(複数可)などは、示していない。
また、従来型水素化処理ユニットにある付随の構成要素、例えば、水素循環使用サブシステム、ブリード流、使用済み触媒排出サブシステム、及び触媒交換サブシステムなどは、示していない。
さらに、従来型熱分解システムにある付随の構成要素、例えば、蒸気供給装置、コークス除去サブシステム、熱分解部、対流部などは、示していない。
本発明の方法及びシステムは、上記及び添付の図面において説明されてきたものの、修飾が当業者には明らかであり、本発明の保護範囲は、以下の特許請求の範囲により定義されるものとする。