JP2020204276A - ポンプ - Google Patents

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JP2020204276A JP2019111414A JP2019111414A JP2020204276A JP 2020204276 A JP2020204276 A JP 2020204276A JP 2019111414 A JP2019111414 A JP 2019111414A JP 2019111414 A JP2019111414 A JP 2019111414A JP 2020204276 A JP2020204276 A JP 2020204276A
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恒 釘本
Tsune Kugimoto
恒 釘本
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Abstract

【課題】伝熱効率の増加と流体抵抗の低下とを同時に達成し、ポンプ性能を向上する。【解決手段】第1空間11と第2空間12とを仕切り、細孔径が内部の気体の平均自由行程の10倍以下である気孔を有する略平板形状の多孔体1と、第1空間において多孔体1との間に距離を開けて多孔体1と対面するように配置される略平板形状の加熱器2と、を備え、多孔体1と加熱器2との間では、一部を除いた大部分又は全部で自由に気体が流れることが可能であり、加熱器2の多孔体1と向かい合う面には、加熱された加熱器2の温度で最も放射強度が高い波長域で放射率80パーセント以上の放射材料が塗布され、第1空間11に接して加熱器2と向かい合う多孔体1の第1面を加熱器2が放射により加熱することによって、気孔を介して第2空間12から第1空間11へ気体を移送することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、多孔体を利用したポンプに関する。
ケーシングの内部の空間を平板形状の多孔体で第1空間と第2空間とに仕切り、多孔体の第1空間に接する第1面を加熱することによって、第2空間の気体を第1空間に移送させるクヌーセンポンプが特許文献1に開示されている。
また、シリカ(SiO)の微粒子を梱包した断熱材にグラファイト粒子や金(Au)粒子を混ぜることにより、熱伝導率が低下する実験結果が非特許文献1に開示されている。そして、シリカエアロゲルに適切な量のカーボンを混ぜることにより、放射による伝熱を抑制し、特に放射光が強くなる高温側で大きく熱伝導率が低下する理論的な解析結果が非特許文献2に開示されている。
特開2014−145305号公報
JFCC:第1回マルチセラミックス膜新断熱材料の開発プロジェクト事後評価検討会 資料6(以下のURL) http://www.meti.go.jp/policy/tech evaluation/c00/C0000000H24/130205 multi/130205 multi.htm S.Q. Zeng, A. Hunt, R. Greif "Theoretical modeling of carbon content to minimize heat transfer in silica aerogel", Journal of Non-Crystalline Solids 186 (1995) 271-277
特許文献1に開示されたポンプでは、ケーシングの第1空間側の一部に赤外光を透過する透過窓が設けられ、加熱器として用いられるガス生成器が透過窓の外側に配置されている。そして、この加熱器から放射される赤外光が透過窓を透過して多孔体の第1面に照射されることによって、多孔体の第1面を加熱する。
このポンプは、加熱器が第1空間の外から透過窓越しに多孔体の第1面に赤外光を照射して多孔体の第1面を加熱している上、多孔体の第1面に向けて赤外光を放射する加熱器の放射面の材料の放射率が考慮されていないため、加熱器から多孔体の第1面までの伝熱効率について改善の余地がある。
そこで、本発明は、加熱器から多孔体への伝熱効率を上昇させ、ポンプ性能を向上させることを目的とする。
本発明に係るポンプは、第1空間と第2空間とを仕切り、細孔径が内部の気体の平均自由行程の10倍以下である気孔を有する略平板形状の多孔体と、前記第1空間において前記多孔体の第1面との間に距離を開けて前記多孔体と対面するように配置される加熱器と、を備え、前記多孔体と前記加熱器との間では、一部を除いた大部分又は全部で自由に気体が流れることが可能であり、前記加熱器は、前記多孔体の前記第1面と向かい合う面に、前記加熱器の温度で最も放射強度が高い波長域における放射率が80パーセント以上の放射材料が塗布され、前記多孔体の前記第1面を前記加熱器が放射により加熱することによって、前記気孔を介して前記第2空間から前記第1空間へ気体を移送することが可能なこと、を特徴とする。
このように、加熱器が第1空間において多孔体の第1面と対面するように配置され、加熱器の多孔体と向かい合う面に放射材料を塗布することにより加熱器から多孔体への放射量を増加させているため、加熱器から多孔体への伝熱効率を上昇させ、ポンプ性能を向上させることができる。
本発明のポンプの一態様において、前記放射材料はカーボンブラックであってもよい。
この態様によれば、放射材料としてカーボンブラックを用いることにより、加熱器から多孔体への放射量を増加させて、加熱器から多孔体への伝熱効率を上昇させ、ポンプ性能を向上させることができる。
本発明のポンプの一態様において、前記加熱器は、前記多孔体と向かい合っていない面に、光の波長により反射率が異なる選択吸収膜を備えていてもよい。
この態様によれば、加熱器の選択吸収膜に光を照射することで加熱器の温度が上昇し、多孔体の第1面を加熱することができる。
本発明のポンプの一態様において、前記加熱器は内部に熱媒体が流れる熱交換器であってもよい。
この態様によれば、加熱器の内部に熱媒体を流すことで加熱器の温度が上昇し、多孔体の第1面を加熱することができる。
本発明のポンプの一態様において、前記多孔体の前記第1面に、前記加熱器の温度で最も放射強度が高い波長域における放射率が80パーセント以上の放射材料が塗布されていてもよい。
多孔体の第1面を透過した加熱器からの放射光が第2空間に配置された冷却器や第2空間の壁面等で吸収されると、加熱器として放射熱ロス要因になるところ、この態様によれば、多孔体の第1面に放射材料を塗布することによって、多孔体の第1面で加熱器からの放射光を吸収し、放射熱ロスを抑制することができる。
本発明のポンプの一態様において、前記多孔体は、前記多孔体の内部に放射伝熱を阻害する媒体を備えていてもよい。
この態様によれば、放射伝熱を阻害する媒体により多孔体内の熱伝導率を低下させ、多孔体の表裏の温度差を増加させることができる。
本発明のポンプの一態様において、前記媒体は、前記加熱器によって加熱された前記多孔体の平均温度で最も放射強度が高い波長域における放射率が20パーセント以下の反射材料又は80パーセント以上の放射材料であってもよい。
この態様によれば、多孔体の平均温度で最も放射強度が高い波長域で放射率が20パーセント以下の反射材料又は80パーセント以上の放射材料を、多孔体の内部に媒体として備えることによって、多孔体内の熱伝導率を低下させ、多孔体の表裏の温度差を増加させることができる。
本発明のポンプの一態様において、前記媒体は微細な粒子であってもよい。
この態様によれば、放射伝熱を阻害する媒体を多孔体内に分散させることができる。
本発明のポンプの一態様において、前記反射材料は金属であってもよい。
本発明は、加熱器から多孔体への伝熱効率を上昇させ、ポンプ性能を向上させることができる。
第一の形態のポンプの構成を示す断面図である。 選択吸収膜の特性を示す図である。 冷却器を第2空間側から見た形状を示す図(a)と、図(a)におけるA−A線断面図(b)である。 比較例1のポンプの構成を示す断面図である。 比較例1のポンプの伝熱板を多孔体側から見た形状を示す図(a)と、図(a)におけるB−B線断面図(b)である。 第二の形態のポンプの構成を示す断面図である。 第三の形態のポンプの構成を示す断面図である。 第四の形態のポンプの構成を示す断面図である。
<第一の形態>
以下、図面を参照しながら、第一の形態のポンプ10について説明する。図1に示すように、ポンプ10は、多孔体1、加熱器2、冷却器4、気密シール5、筐体6及び窓61を備える。ポンプ10は、多孔体1によって第1空間11と第2空間12とを仕切り、第1空間11に接して加熱器2と向かい合う多孔体1の第1面を加熱器2で加熱することによって、第2空間12に接する第2面との間に温度勾配を発生させることで、第2空間12から第1空間11へ気体を移送するクヌーセンポンプである。例えば、所望のガスを生成するためのガス生成器を第2空間12に接続し、ガス生成器から供給された気体を第2空間12から第1空間11へ移送するためにポンプ10は用いられる。
多孔体1は、多数の気孔を有する平板形状の部材である。多孔体1の気孔の細孔径は、第1空間11、第2空間12及び気孔内部の気体の平均自由行程の10倍以下である。例えば、大気圧下での気体の平均自由行程は60nmであることから、多孔体1の気孔の孔径を10nm程度とする。
また、多孔体1には、熱伝導率の低い材料、言い換えると、第1空間11側の第1面から第2空間12側の第2面に熱が伝わりにくい材料が用いられる。例えば、多孔体1は、二酸化珪素(シリカ)材料の内部に気孔が多数形成されたシリカエアロゲルや、ガラス繊維を束ねたグラスファイバーフィルタ等により構成することができる。
加熱器2は、基材21、選択吸収膜22及び放射材料膜23で構成される平板形状の部材であり、多孔体1の第1面との間に距離を開けて多孔体1の第1面と対面するように配置される。加熱器2の縁部の一部は、支持体24によって多孔体1と接続されている。このように多孔体1と加熱器2との間には、支持体24で接続されている部分を除いて隙間が形成されているため、この隙間を自由に気体が流れることが可能である。なお、加熱器2は、多孔体1に支持されず、ポンプ10の筐体6に支持されていてもよい。この場合、多孔体1と加熱器2との間には支持体24がなく、多孔体1と加熱器2との間は全部が隙間となっているため、多孔体1と加熱器2との間の全部を自由に気体が流れることが可能である。
加熱器2は、多孔体1と向かい合っていない面に選択吸収膜22を備える。選択吸収膜22は、太陽光等の光の照射を受けて、吸収された光エネルギーを熱エネルギーに変換して多孔体1を加熱する部材である。選択吸収膜22は、波長によって光に対する反射率が異なる。すなわち、選択吸収膜22に光が入射した場合、ある波長の光に対しては反射率が低く吸収が高くなり、別の波長の光に対しては反射率が高く放射が小さくなる。ポンプ10では、選択吸収膜22は、100℃における放射光のピーク波長における反射率が吸収光のピーク波長における反射率の5倍以上の材料を含むことが好適である。また、選択吸収膜22は、200℃及び300℃における放射光のピーク波長における反射率が吸収光のピーク波長における反射率の5倍以上の材料を含むことが好適である。このような選択吸収膜22の材料として、例えば、アルメコ社製ティノックスが挙げられる。
図2は、選択吸収膜22の反射率及び熱放射率の波長依存性の例を示す。図2において、太陽光吸収エネルギーとして示すように、選択吸収膜22では太陽光の波長スペクトルの波長帯域では反射率が小さく、太陽光に対する光吸収効率が高い。一方、図2において100℃での熱放射として示すように、100℃における放射熱の波長スペクトルの波長帯域では反射率が大きく、放射熱は非常に小さい。なお、参考のために、図2には、100℃での黒体からの熱放射の波長スペクトルも併せて示している。
すなわち、炭素(カーボン)等の一般的な吸収板は太陽光エネルギーの吸収率は高いが、熱を保持することができず、エネルギーの約半分を放熱として逃がしてしまう。これに対して、選択吸収膜22は、一度吸収した熱を逃がさず、太陽光から吸収したエネルギーの約90パーセントを熱に変換することができる。したがって、選択吸収膜22に光を照射することによって、多孔体1の第1面を効率的に加熱する事ができる。
加熱器2の基材21は、アルミやステンレス等の金属材料で構成される。これらの金属材料は放射率が低い。そこで、基材21の多孔体1と向かい合う面に放射材料膜23を配置することが好適である。放射材料膜23は、加熱器2の温度で最も放射強度が高い波長域で放射率が80パーセント以上である放射材料を含むことが好適である。このような性質を持つ放射材料として、例えば、カーボンブラックを挙げることができる。
冷却器4は、多孔体1の第2面を冷却するための部材である。冷却器4は熱伝導率の高い金属材料を含む材料で構成される。冷却器4は、多孔体1の第2面から熱を効率良く奪うためにできるだけ広い面積で接触することが必要である。一方、第2空間12から第1空間11へ移送される気体を多孔体1の第2面へできるだけ高い効率で供給することが必要である。そこで、図3(a)及び図3(b)に示すように、冷却器4には気体が流れる溝である気体流路41が形成される。ポンプ10では、冷却器4は、図3(a)に示すように、互いに平行に配置された貫通孔である気体流路41を複数設けた略円板形状の部材としている。ただし、冷却器4の形状はこれに限定されるものではない。
気密シール5は、多孔体1及び冷却器4によって第1空間11及び第2空間12を仕切る際に多孔体1と冷却器4との間の隙間や冷却器4と筐体6との間の隙間を埋めるための部材である。ポンプ10では、図1に示すように、気密シール5として接着剤を用いているが、気密シール5としてOリング等を用いてもよい。気密シール5を用いることにより、第1空間11と第2空間12とが多孔体1の気孔のみを介して繋がった構成となる。
筐体6は、多孔体1、加熱器2、冷却器4、支持体24及び気密シール5を収納すると共に、これらの部材と共に気体の流路を構成する部材である。筐体6の第1空間11側の一部には窓61が設けられている。窓61は、光源(例えば、太陽光)と選択吸収膜22との間に配置されている。窓61は、光源から出射される光のうち選択吸収膜22で吸収される波長領域の少なくとも一部を透過する材料で構成される。光源が太陽光の場合、窓61の材料は例えば、ガラス等とすることができる。窓61の外から入射して窓61を透過した太陽光等の光の照射を受けることによって、選択吸収膜22は光エネルギーを熱ネネルギーに変換する。
以下、ポンプ10の動作原理について説明する。ポンプ10は、熱遷移流を利用した、いわゆるクヌーセンポンプとして機能する。熱遷移流とは、希薄気体に特有の流れであって、希薄気体中に温度勾配のある壁が存在するとき、壁の低温部から高温部に向かって形成される一方向の気体の流れを指す。希薄気体とは、ある領域を考えたとき、その中で平衡状態が保たれないほど気体分子間の衝突が少ない場合の気体をいう。希薄気体では、気体分子と壁との衝突の影響が壁から遠方(ある程度離れた距離)まで及ぶようになる。例えば、1立方センチメートル程度の領域内の圧力が1Pa程度に低い場合に熱遷移流が生じる。また、10nm×10nm×10nm程度の空間の狭い領域内の圧力が大気圧程度である場合にも、熱遷移流が生じる。ポンプ10では、多孔体1の気孔に壁の役割を持たせている。具体的には、多孔体1の気孔径を第1空間及び第2空間の気体の平均自由行程の10倍以下としている。
ポンプ10では、選択吸収膜22に光を入射することで、選択吸収膜22によって吸収された光エネルギーを熱エネルギーに変換し、熱エネルギーを基材21及び放射材料膜23に伝達し、放射材料膜23から多孔体1の第1面に放射で伝達させることで多孔体1の第1面を加熱する。一方、冷却器4により多孔体1の第2面を冷却する。これにより、多孔体1の第1面と第2面との間に温度勾配が発生する。温度勾配に伴って熱遷移流が発生し、第2空間12の気体が第1空間11へ移送される。すなわち、ポンプ10の第1空間11は加圧され、第2空間12は減圧される。減圧された第2空間12には、ガス生成器等から生成された気体が引き込まれる。気体は、第2空間12から冷却器4の気体流路41を介して多孔体1に流入し、多孔体1の気孔を経由して、第1空間11へ移送される。第1空間11へ移送された気体はポンプ10の外部へ排出される。
ポンプ10は、このように加熱器2が第1空間11において多孔体1の第1面と対面するように配置され、加熱器2の多孔体1と向かい合う面に放射材料を塗布して放射材料膜23を形成することにより加熱器2から多孔体1の第1面への放射量を増加させているため、加熱器2から多孔体1への伝熱効率を上昇させ、ポンプ性能を向上させることができる。そして、平板間の放射による伝熱量や効率は平板間の距離に依存しないため、加熱器2から多孔体1への伝熱効率を低下させることなく、多孔体1と加熱器2との間の距離を任意に設定することができる。
ここで、ポンプ10の熱遷移流の流体抵抗について説明するため、比較例1のポンプ10aについて述べる。比較例1のポンプ10aは、図4に示すように、加熱器2aが放射材料膜23を備えておらず、加熱器2aと多孔体1との間に伝熱板3を備える点を除き、第一の形態のポンプ10と同一の構成を有している。そのため、第一の形態のポンプ10と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
比較例1のポンプ10aは、図4に示すように、加熱器2aと多孔体1との間に、加熱器2aから多孔体1に熱を伝導する伝熱板3を備える。伝熱板3には、図5(a)及び図5(b)に示すように、互いに平行に伝熱板3の縁部まで直線状に延びる複数の溝形状の気体流路31が形成されている。そのため、図4に示すように、伝熱板3は、溝形状の気体流路31が形成されている部分では多孔体1と接触しておらず、気体流路31が形成されていない部分では多孔体1と接触している。そして、多孔体1で発生した熱遷移流によって、気体は気体流路31を流れて伝熱板3の縁部に到達した後にクヌーセンポンプの出口に向かって流れる。
このように比較例1のポンプ10aでは、伝熱板3が多孔体1と接触している部分では、伝熱板3が熱遷移流の流体抵抗となり発生流量が低下する。一方、気体流路31が形成されているため伝熱板3が多孔体1と接触していない部分では、加熱器2の熱を多孔体1に十分に伝えきれないため、クヌーセンポンプの流量性能が低下する。
そのため、気体流路31を大きくして多孔体1と伝熱板3との接触面積を小さくすれば流体抵抗は減らせるが加熱器2aから多孔体1への伝熱量が低下し、気体流路31を小さくして多孔体1と伝熱板3との接触面積を大きくすれば加熱器2aから多孔体1への伝熱量は向上するが流体抵抗が増加するという背反が存在するため、最適値は存在しても、どちらも理想的な状態にすることはできない。特に、多孔体1が大面積となると、多孔体1と伝熱板3との間で流速が増加し、それに応じて流体抵抗が増加するため、より大きな問題となる。加えて気体流路31の溝の深さや伝熱板3の厚さを多孔体1の面積に応じて変更しなければならない点も設計上の課題となる。
これに対して、第一の形態のポンプ10では、既に述べたように、平板形状の加熱器2が平板形状の多孔体1との間に距離を開けて多孔体1と対面するように配置されており、多孔体1と加熱器2との間では、支持体24で接続されている部分を除いて自由に気体が流れることが可能であるため、比較例1のポンプ10aのように伝熱板3で加熱器2aから多孔体1の第1面に熱伝導するポンプよりも、熱遷移流の流体抵抗を低下することができる。そのため、第一の形態のポンプ10は、伝熱効率の増加と流体抵抗の低下とを同時に達成し、ポンプ性能を向上することができる。
<第二の形態>
次に、第二の形態のポンプ20について図6を用いて説明する。第二の形態のポンプ20は、窓61がなく、加熱器2bが異なる点を除き、第一の形態のポンプ10と同一の構成を有している。そのため、第一の形態のポンプ10と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図6に示すように、ポンプ20の加熱器2bは、内部に熱媒体が流れる熱交換器である。加熱器2bは、内部に熱媒体を流すことで温度が上昇し、多孔体1の第1面を加熱することができる。ポンプ20では、第1の形態のポンプ10とは異なり、加熱器2bは光の照射を受ける必要がないため、筐体6に窓が設けられていない。
加熱器2bは、多孔体1との間に距離を開けて多孔体1の第1面と対面するように配置される。加熱器2bの縁部の一部は、支持体24によって多孔体1と接続されている。このように多孔体1と加熱器2bとの間には、支持体24で接続されている部分を除いて隙間が形成されているため、この隙間を自由に気体が流れることが可能である。なお、加熱器2bは、多孔体1に支持されず、ポンプ10の筐体6に支持されていてもよい。この場合、多孔体1と加熱器2bとの間には支持体24がなく、多孔体1と加熱器2bとの間は全部が隙間となっているため、多孔体1と加熱器2bとの間の全部を自由に気体が流れることが可能である。
加熱器2bの壁材は、アルミやステンレス等の金属材料とすることが好適である。これらの金属材料は放射率が低いため、加熱器2bの多孔体1と向かい合う面には、放射材料膜23を配置することが好適である。放射材料膜23は、加熱器2bの温度で最も放射強度が高い波長域で放射率が80パーセント以上の放射材料を塗布することで形成される。
ポンプ20は、第一の形態のポンプ10と同様に、加熱器2bが第1空間11において多孔体1の第1面と対面するように配置され、加熱器2bの多孔体1と向かい合う面に放射材料を塗布して放射材料膜23を形成することにより加熱器2bから多孔体1の第1面への放射量を増加させているため、加熱器2bから多孔体1への伝熱効率を上昇させ、ポンプ性能を向上させることができる。そして、平板間の放射による伝熱量や効率は平板間の距離に依存しないため、加熱器2bから多孔体1への伝熱効率を低下させることなく、多孔体1と加熱器2との間の距離を任意に設定することができる。
また、ポンプ20は、第一の形態のポンプ10と同様に、加熱器2bが平板形状の多孔体1との間に距離を開けて多孔体1と対面するように配置されており、多孔体1と加熱器2bとの間では、支持体24で接続されている部分を除いて自由に気体が流れることが可能であるため、比較例1のポンプ10aのように伝熱板3で加熱器2aから多孔体1の第1面に熱伝導するポンプよりも、熱遷移流の流体抵抗を低下することができる。そのため、第二の形態のポンプ20も、伝熱効率の増加と流体抵抗の低下とを同時に達成し、ポンプ性能を向上することができる。
<第三の形態>
次に、第三の形態のポンプ30について図7を用いて説明する。第三の形態のポンプ30は、多孔体1の第1空間11に接する第1面に放射材料13が塗布されている点を除き、第1の形態のポンプ10と同一の構成を有している。そのため、第一の形態のポンプ10と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図7に示すように、ポンプ30の多孔体1の第1空間に接する第1面に放射材料13が塗布されている。放射材料13は、多孔体1の気孔が目詰まりして流体抵抗が上昇することがないように塗布されている。放射材料13は、加熱された加熱器2の温度で最も放射強度が高い波長域で放射率80パーセント以上の放射材料である。このような性質を持つ放射材料として、例えば、カーボンブラックを挙げることができる。
多孔体1の第1面を透過した加熱器2からの放射光が第2空間に配置された冷却器4や第2空間の壁面等で吸収されると、加熱器2として放射熱ロス要因になるところ、多孔体1の第1面に放射材料13を塗布することによって、多孔体1の第1面で加熱器2からの放射光を吸収し、放射熱ロスを抑制することができる。
第三の形態のポンプ30は、第一の形態のポンプ10と同様に、伝熱効率の増加と流体抵抗の低下とを同時に達成し、ポンプ性能を向上することができる。その上、第一の形態のポンプ10よりも放射熱ロスを抑制することができる。
<第四の形態>
次に、第四の形態のポンプ40について図8を用いて説明する。第四の形態のポンプ40は、多孔体1の内部に放射伝熱を阻害する媒体14を備える点を除き、第一の形態のポンプ10と同一の構成を有している。そのため、第一の形態のポンプ10と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図8に示すように、ポンプ40の多孔体1の内部に、多孔体1の構造の構成要素とは別の媒体14を備える。媒体14の形状は微細な粒子である。このように媒体14の形状が微細な粒子であるため、多孔体1内に媒体14を分散させることができる。媒体14は、加熱器2によって加熱された多孔体1の平均温度で最も放射強度が高い波長域で放射率が20パーセント以下の反射材料又は80パーセント以上の放射材料で構成される。このような性質を持つ反射材料として、金(Au)等の金属を挙げることができる。また、このような性質を持つ放射材料として、例えば、カーボンブラックを挙げることができる。媒体14が上記のような性質を持つ放射材料であれば、多孔体1の内部で加熱器2からの放射光を媒体14が吸収し、加熱器2からの放射光の多孔体1の透過が抑制される。また、媒体14が上記のような性質を持つ反射材料である場合も、加熱器2からの放射光の多孔体1の透過が抑制される。
非特許文献1には、シリカ(SiO)の微粒子を梱包したものを真空引きして断熱材にする技術が開示されている。そして、シリカの微粒子に放射率が高いグラファイト粒子を混ぜても、放射率が低い金(Au)粒子を混ぜても、熱伝導率が低下したことを実験的に示している。これらを添加することにより、気体伝熱や構造伝熱が低下することはありえないので、この熱伝導率の低下は、放射光が透過しないことによる結果である。
また、非特許文献2には、シリカエアロゲルに適切な量のカーボンを混ぜることにより、放射による伝熱を抑制し、特に放射光が強くなる高温側で大きく熱伝導率が低下する理論的な解析結果が示されている。
そのため、多孔体1の内部に、加熱器2によって加熱された多孔体1の平均温度で最も放射強度が高い波長域で放射率が20パーセント以下の反射材料又は80パーセント以上の放射材料で構成される媒体14を備えることによって、加熱器2からの放射光の多孔体1の透過が抑制される。そして、多孔体1内の熱伝導率が低下するため、多孔体1の第1面と第2面との間の温度差を増加させることができる。
第四の形態のポンプ40は、第一の形態のポンプ10と同様に、伝熱効率の増加と流体抵抗の低下とを同時に達成し、ポンプ性能を向上することができる。その上、第一の形態のポンプ10よりも、多孔体1の第1面と第2面との間の温度差を増加させることと、放射熱ロスを抑制することができる。
また、第三の形態のポンプ30のように、多孔体1の第1面に放射材料13を塗布すると、多孔体1の第1面で加熱器2からの放射光をほとんど全て吸収できるが、第1面が昇温し、第1面から放射光が発生する。多孔体1の第1面は加熱器2より高温とはならないので、第1面から加熱器2側へ放射する光の強度は加熱器2からくる光の強度以上にならないため問題ないが、第1面から多孔体1の第2空間側へ放射する光の強度は第2空間12側から放射される光の強度よりも高いため問題となる。具体的には、第1面から多孔体1の第2空間12側へ放射する光が第2空間12に配置された冷却器4や第2空間12の壁面等で吸収されると、加熱器2として放射熱ロス要因になる。このような多孔体1の第1面からの放射光が多孔体1を透過することによる放射熱ロスは、第1面に放射材料13を塗布していない形態でも生じうる。
このように多孔体1の第1面からの放射光が多孔体1を透過することによる放射熱ロスを防ぐため、第四の形態のポンプ40では、多孔体1内に放射伝熱を阻害する媒体14を分布させている。このように多孔体1内に放射伝熱を阻害する媒体14を分布させることによって、第四の形態のポンプ40では、多孔体1の第1面からの放射光は多孔体1内を透過できなくなり、放射熱ロスを抑制することができる。
なお、多孔体1の内部に媒体14として放射材料を備えた場合、多孔体1の内部だけでなく第2空間12に接した第2面にも放射率が高い材料が存在することになるが、多孔体1の第2面の温度は冷却器4や第2空間12の室温と同程度であることを想定しているため、第2面での放射光強度は周囲と同程度で、すなわち放射と吸収が釣り合う状態となるため、放射熱ロスにはならない。
<実施形態の補足>
本開示のポンプは、上述した形態に限定されず、本開示の要旨の範囲内において種々の形態にて実施できる。例えば、加熱器が内部に熱媒体が流れる熱交換器である場合に、多孔体の第1面に放射材料を塗布する形態であってもよい。また、加熱器が内部に熱媒体が流れる熱交換器である場合に、多孔体の内部に放射伝熱を阻害する媒体を備える形態であってもよい。
1 多孔体、2、2a、2b 加熱器、3 伝熱板、4 冷却器、5 気密シール、6 筐体、10、10a、20、30、40 ポンプ、11 第1空間、12 第2空間、13 放射材料、14 媒体、21 基材、22 選択吸収膜、23 放射材料膜、24 支持体、31、41 気体流路、61 窓。

Claims (9)

  1. 第1空間と第2空間とを仕切り、細孔径が内部の気体の平均自由行程の10倍以下である気孔を有する略平板形状の多孔体と、
    前記第1空間において前記多孔体の第1面との間に距離を開けて前記多孔体と対面するように配置される加熱器と、を備え、
    前記多孔体と前記加熱器との間では、一部を除いた大部分又は全部で自由に気体が流れることが可能であり、
    前記加熱器は、前記多孔体の前記第1面と向かい合う面に、前記加熱器の温度で最も放射強度が高い波長域における放射率が80パーセント以上の放射材料が塗布され、
    前記多孔体の前記第1面を前記加熱器が放射により加熱することによって、前記気孔を介して前記第2空間から前記第1空間へ気体を移送することが可能なこと、を特徴とするポンプ。
  2. 請求項1に記載のポンプであって、
    前記放射材料はカーボンブラックであること、を特徴とするポンプ。
  3. 請求項1又は2に記載のポンプであって、
    前記加熱器は、前記多孔体と向かい合っていない面に、光の波長により反射率が異なる選択吸収膜を備えること、を特徴とするポンプ。
  4. 請求項1又は2に記載のポンプであって、
    前記加熱器は内部に熱媒体が流れる熱交換器であること、を特徴とするポンプ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポンプであって、
    前記多孔体の前記第1面に、前記加熱器の温度で最も放射強度が高い波長域における放射率が80パーセント以上の放射材料が塗布されていること、を特徴とするポンプ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポンプであって、
    前記多孔体は、前記多孔体の内部に放射伝熱を阻害する媒体を備えること、を特徴とするポンプ。
  7. 請求項6に記載のポンプであって、
    前記媒体は、前記加熱器によって加熱された前記多孔体の平均温度で最も放射強度が高い波長域における放射率が20パーセント以下の反射材料又は80パーセント以上の放射材料であること、を特徴とするポンプ。
  8. 請求項6又は7に記載のポンプであって、
    前記媒体は微細な粒子であること、を特徴とするポンプ。
  9. 請求項7又は8に記載のポンプであって、
    前記反射材料は金属であること、を特徴とするポンプ。
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