JP2020202158A - 絶縁層、電池セル用シート及び電池セル - Google Patents

絶縁層、電池セル用シート及び電池セル Download PDF

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Abstract

【課題】電極内に非水電解液を均一に浸透させ、電池セルのクーロン効率を向上させ得るような、正極と負極の間に配置し得る絶縁層を提供することを目的とする。【解決手段】担持粒子、非水電解液及び半固体電解質バインダを有する半固体電解質層と、その半固体電解質層上に配置された浸透促進層と、を備える絶縁層であって、浸透促進層は、接着抑制粒子及び接着抑制バインダを有し、浸透促進層における接着抑制粒子の含有割合が、半固体電解質層から非水電解液を除いた成分における担持粒子の含有割合より大きいことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁層、電池セル用シート及び電池セルに関する。
正極及び負極の間に電解質層を備える電池セルとして、特許文献1には、負極と、正極と、負極と正極との間に位置する電解質層とを備え、該負極は、スズ、鉛、アルミニウム、亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属を含み、該電解質層は、溶媒と支持塩とを含有しpHが4〜10の範囲である電解液を含み、該電解液がゲル化材料によりゲル化されているリチウムイオン二次電池が開示されている。電解液にはイオン液体を添加し得る旨が記載されている。
特開2018−120848公報
イオン液体等を含有する非水電解液を含むシート状の電解質層(電解質含有シート)を用いた場合、非水電解液の粘度が高いと、電解質含有シート中の非水電解液が電解質含有シートと電極との接着剤として作用し、非水電解液が電極内に浸透しにくくなる。また、電池セルの設計容量を上げるために電池セル中の電極の厚さを大きくすると、電極内へ非水電解液が一層浸透しにくくなる。
電極内全体に均一に非水電解液が浸透しないと、電極表面と電極内部とで電極活物質の反応性が不均一になる可能性がある。その結果、電極表面の電極活物質の反応のみが進行し、局所的には電圧が上昇し、電池セルの設計容量が増加しても、電極全体としての電圧は上昇せず、電池セルのクーロン効率が低下する可能性がある。
上記特許文献1には、このような従来の課題に関する記載も示唆も見受けられない。そこで本発明は、電極内に非水電解液を均一に浸透させ、電池セルのクーロン効率を向上させ得るような、正極と負極の間に配置し得る絶縁層を提供することを目的とする。また、そのような絶縁層を用いた電池セル用シート及び電池セルを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の特徴は、例えば以下の通りである。
担持粒子、非水電解液及び半固体電解質バインダを有する半固体電解質層と、その半固体電解質層上に配置された浸透促進層と、を備える絶縁層であって、浸透促進層は、接着抑制粒子及び接着抑制バインダを有し、浸透促進層における接着抑制粒子の含有割合が、半固体電解質層から非水電解液を除いた成分における担持粒子の含有割合より大きい、絶縁層。
本発明により、電池セルのクーロン効率を向上させることができる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の一実施形態に係る電池セルの断面図である。 実施例及び比較例の評価結果を示すグラフである。
以下、図面等を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の説明は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更及び修正が可能である。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
本明細書に記載される「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として有する意味で使用する。上限値又は下限値が0の場合は、上限値又は下限値を含まない。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的に記載されている上限値又は下限値に置き換えても良い。本明細書に記載される数値範囲の上限値又は下限値は、実施例中に示されている値に置き換えても良い。
本明細書では、電池セルとしてリチウムイオン二次電池を例にして説明する。リチウムイオン二次電池とは、電解質中における電極へのリチウムイオンの吸蔵・放出により、電気エネルギーを貯蔵又は利用可能とする電気化学デバイスである。これは、リチウムイオン電池、非水電解質二次電池、非水電解液二次電池の別の名称で呼ばれており、いずれの電池も本発明の対象である。本発明の技術的思想は、ナトリウムイオン二次電池、マグネシウムイオン二次電池、カルシウムイオン二次電池、亜鉛二次電池、アルミニウムイオン二次電池等に対しても適用できる。
以下で例示している材料群から材料を選択する場合、本明細書で開示されている内容と矛盾しない範囲で、材料を単独で選択しても良く、複数組み合わせて選択しても良い。また、本明細書で開示されている内容と矛盾しない範囲で、以下で例示している材料群以外の材料を選択しても良い。
図1は、本発明の一実施形態に係る電池セルの断面図である。図1は積層型の電池セルであり、電池セル1000は、正極100(電極)、負極200(電極)、外装体500及び絶縁層300を有する。外装体500は、絶縁層300、正極100及び負極200を収容する。外装体500は、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等、非水電解液に対し耐食性のある材料群から選択される。本発明は、捲回型の電池セルにも適用できる。
電池セル1000内において、電極体400が積層され電極群を構成している。それぞれの電極体400は、正極100、絶縁層300及び負極200から構成されている。正極100又は負極200と、絶縁層300との積層体を電池セル用シートと称する場合がある。この電池セル用シートと電極とを積層するだけで電極群を作製することができる。
正極100は、正極集電体120(電極集電体)及び正極合剤層110(電極合剤層)を有する。正極集電体120(電極集電体)の両面に正極合剤層110(電極合剤層)が形成されている。負極200は、負極集電体220及び負極合剤層210を有する。負極集電体220の両面に負極合剤層210が形成されている。
正極集電体120は正極タブ130(電極タブ)を有する。負極集電体220は負極タブ230(電極タブ)を有する。電極タブには電極合剤層が形成されていない。ただし、電池セル1000の性能に悪影響を与えない範囲で電極タブに電極合剤層を形成しても良い。正極タブ130及び負極タブ230は、外装体500の外部に突出しており、突出した複数の正極タブ130同士、複数の負極タブ230同士が、例えば超音波接合等で接合されることで、電池セル1000内で並列接続が形成される。本発明は、電池セル1000中で電気的な直列接続を構成させたバイポーラ型の電池セルにも適用できる。
正極合剤層110は、正極活物質(電極活物質)、正極導電剤(電極導電剤)及び正極バインダ(電極バインダ)を有する。負極合剤層210は、負極活物質(電極活物質)及び負極バインダ(電極バインダ)、並びに必要に応じて負極導電剤(電極導電剤)を有する。
<電極導電剤>
電極導電剤は、電極合剤層の導電性を向上させる。電極導電剤は、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、黒鉛等の材料群から選択される。
<電極バインダ>
電極バインダは、電極中の電極活物質や電極導電剤等を結着させる。電極バインダは、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロ−ス、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ビニリデンフルオライド(VDF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体(P(VdF−HFP))等の材料群から選択される。
<正極活物質>
貴な電位を示す正極活物質は、充電過程においてリチウムイオンが脱離し、放電過程において負極活物質から脱離したリチウムイオンが挿入される。正極活物質として、遷移金属を有するリチウム複合酸化物が望ましい。正極活物質としては、LiMO、Li過剰組成のLi[LiM]O、LiM、LiMPO、LiMVO、LiMBO、LiMSiO(ただし、M=Co、Ni、Mn、Fe、Cr、Zn、Ta、Al、Mg、Cu、Cd、Mo、Nb、W、Ru等から選択される少なくとも1種であり、xは2〜4である。)が挙げられる。また、これら材料における酸素の一部をフッ素等、他の元素に置換しても良い。さらに、硫黄、TiS、MoS、Mo、TiSe等のカルコゲナイドや、V等のバナジウム系酸化物、FeF等のハライド、ポリアニオンを構成するFe(MoO、Fe(SO、LiFe(PO等、キノン系有機結晶、酸素等の材料群から適宜選択される。
<正極集電体120>
正極集電体120は、厚さが1〜100μmのアルミニウム箔、厚さが10〜100μm、孔径0.1〜10mmの孔を有するアルミニウム製穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板、ステンレス鋼、チタン等の材料群から選択される。
<負極活物質>
卑な電位を示す負極活物質は、放電過程においてリチウムイオンが脱離し、充電過程において正極合剤層110中の正極活物質から脱離したリチウムイオンが挿入される。負極活物質は、炭素系材料(黒鉛、易黒鉛化炭素材料、非晶質炭素材料、有機結晶、活性炭等)、導電性高分子材料(ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリアセチレン等)、リチウム複合酸化物(チタン酸リチウム:LiTi12やLiTiO等)、金属リチウム、リチウムと合金化する金属(アルミニウム、シリコン、スズ等を少なくとも1種類以上有する)やこれらの酸化物等の材料群から選択される。
<負極集電体220>
負極集電体220は、厚さが1〜100μmの銅箔、厚さが1〜100μm、孔径0.1〜10mmの銅製穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板、ステンレス鋼、チタン、ニッケル等の材料群から選択される。
<電極>
電極活物質、電極導電剤、電極バインダ及び溶剤を混合した電極スラリーを、ドクターブレード法、ディッピング法、スプレー法等の塗工方法によって電極集電体へ付着させることで電極合剤層が作製される。溶剤は、N−メチルピロリドン(NMP)、水等の材料群から選択される。その後、溶剤を除去するために電極合剤層を乾燥し、ロールプレスによって電極合剤層を加圧成形することにより電極が作製される。
電極合剤層に非水電解液が含まれている場合、電極合剤層中の非水電解液の含有量は20〜40vol%であることが望ましい。非水電解液の含有量が少ない場合、電極合剤層内部でのイオン伝導経路が十分に形成されずレート特性が低下する可能性がある。また、非水電解液の含有量が多い場合、電極合剤層から非水電解液が漏れ出す可能性があることに加え、電極活物質の量が相対的に不十分となりエネルギー密度の低下を招く可能性がある。
電極が非水電解液を含む場合、外装体500の空いている一辺や注液孔から電池セル1000内に非水電解液を注入し、電極合剤層の細孔に非水電解液を充填させても良い。また、非水電解液、電極活物質、電極導電剤、電極バインダを混合したスラリーを調製し、調製したスラリーを電極集電体上に一緒に塗布して、電極合剤層の細孔に非水電解液を充填させても良い。これにより、半固体電解質に含まれる担持粒子を要せず、電極合剤層中の電極活物質や電極導電剤等の粒子が担持粒子として機能して、それらの粒子により非水電解液を保持することができる。
電極合剤層の厚さは、電極活物質の平均粒径以上とすることが望ましい。電極合剤層の厚さが小さいと、隣接する電極活物質間の電子伝導性が悪化する可能性がある。電極活物質粉末中に電極合剤層の厚さ以上の平均粒径を有する粗粒がある場合、ふるい分級、風流分級等により粗粒を予め除去し、電極合剤層の厚さ以下の粒子とすることが望ましい。
<絶縁層300>
絶縁層300は、正極100と負極200の間にイオンを伝達させる媒体となる。絶縁層300は電子の絶縁体としても働き、正極100と負極200の短絡を防止する。絶縁層300は、半固体電解質層310及び浸透促進層320を有する。絶縁層300として、半固体電解質層310又は浸透促進層320上にセパレータをさらに形成しても良い。
<セパレータ>
セパレータとして、多孔質シートを用いることができる。多孔質シートは、セルロース、セルロースの変成体(カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等)、ポリオレフィン(ポリプロピレン(PP)、プロピレンの共重合体等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアラミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等の樹脂、ガラスの材料群から選択される。セパレータを正極100又は負極200より大面積にすることで、正極100と負極200の短絡を確実に防止することができる。
セパレータ粒子、セパレータバインダ、及び溶剤を有するセパレータ形成用混合物を電極合剤層に塗布することによって、セパレータを形成しても良い。セパレータ形成用混合物を上記の多孔質シートに塗布しても良い。
セパレータ粒子は、γ−アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、ジルコニア(ZrO)等の材料群から選択される。セパレータ粒子の平均粒子径は、セパレータの厚さの1/100〜1/2とすることが望ましい。セパレータバインダは、ポリエチレン(PE)、PP、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PVDF、P(VdF−HFP)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアルギン酸、ポリアクリル酸等の材料群から選択される。
絶縁層300としてセパレータを用いる場合、外装体500の空いている一辺や注液孔から電池セル1000内に非水電解液を注入することで、セパレータ中に非水電解液を充填させても良い。
<半固体電解質層310>
半固体電解質層310は、半固体電解質バインダ及び半固体電解質を有する。半固体電解質は、担持粒子及び非水電解液を有する。半固体電解質は、担持粒子の集合体によって形成される細孔を有し、その中に非水電解液が保持されている。半固体電解質中に非水電解液が保持されることによって、半固体電解質はリチウムイオンを透過させる。絶縁層300として半固体電解質層310を用いることにより、電極合剤層に半固体電解質層310由来の非水電解液が充填される場合、電池セル1000内への非水電解液の注入は不要になる。しかし、絶縁層300がセパレータを有する場合等には、外装体500の空いている一辺や注液孔から電池セル1000内へ非水電解液を別途注入しても良い。
半固体電解質層310は、非水電解液等の液体成分を含んでいながら、固体のような取扱いができ、半透明な自立膜になる。局所的には、非水電解液等の液体成分がリチウムイオン伝導を担うために高イオン伝導性を示す。すなわち、半固体電解質層310は、固体が持つ高い安全性と液体が持つ高いイオン伝導特性という、両者の長所を併せ持つ。
半固体電解質層310の作製方法として、半固体電解質の粉末及び半固体電解質バインダを成型ダイス等でペレット状に圧縮成型し、そのペレットからシート状の半固体電解質層を成形する方法や、半固体電解質バインダを半固体電解質の粉末に添加・混合し、シート化する方法等がある。半固体電解質の粉末に半固体電解質バインダを添加・混合することにより、柔軟性の高いシート状の半固体電解質層310を作製できる。半固体電解質に、分散溶媒に半固体電解質バインダを溶解させた結着剤の溶液を添加・混合し、電極等の基材上に混合物(半固体電解質層形成用スラリー)を塗布し、乾燥により分散溶媒を留去することで、半固体電解質層310を作製しても良い。
<担持粒子>
担持粒子としては、電気化学的安定性の観点から、絶縁性粒子であり非水電解液に不溶であることが好ましい。担持粒子は、SiO粒子、Al粒子、セリア(CeO)粒子、ZrO粒子等の酸化物無機粒子、固体電解質等の材料群から選択される。担持粒子として酸化物無機粒子を用いることにより、半固体電解質層310内で非水電解液を高濃度で保持することができる。また、酸化物無機粒子からガスが発生することがないため、大気中のロールtoロールプロセスで半固体電解質層310を作製できる。固体電解質は、Li−La−Zr−O等の酸化物系固体電解質や、Li10GePS12等の硫化物系固体電解質等の材料群から選択される。
非水電解液の保持量は担持粒子の比表面積に比例すると考えられるため、担持粒子の一次粒子の平均粒径は、1nm〜10μmであることが好ましい。担持粒子の一次粒子の平均粒径が大きいと、担持粒子が十分な量の非水電解液を適切に保持できず半固体電解質の形成が困難になる可能性がある。また、担持粒子の一次粒子の平均粒径が小さいと、担持粒子間の表面間力が大きくなって担持粒子同士が凝集し易くなり、半固体電解質の形成が困難になる可能性がある。担持粒子の一次粒子の平均粒径は、1〜50nmがより好ましく、1〜10nmがさらに好ましい。担持粒子の一次粒子の平均粒径は、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて測定できる。
<非水電解液>
非水電解液は、非水溶媒を有する。非水溶媒は、有機溶媒、イオン液体、又はイオン液体に類似の性質を示すエーテル系溶媒及び溶媒和電解質塩の混合物である溶媒和イオン液体(錯体)を有する。有機溶媒、イオン液体及びエーテル系溶媒を主溶媒と称する場合がある。
イオン液体とは、常温でカチオンとアニオンに解離する化合物であって、液体の状態を保持するものである。イオン液体は、イオン性液体、低融点溶融塩あるいは常温溶融塩と称されることがある。非水溶媒は、大気中での安定性や電池セル1000内での耐熱性の観点から、低揮発性、具体的には室温における蒸気圧が150Pa以下であるものが望ましいが、これに限られない。非水電解液にイオン液体又はイオン液体に類似の性質を示すエーテル系溶媒等の難揮発性の溶媒を用いることで、半固体電解質層310からの非水電解液の揮発を抑制できる。
半固体電解質層310中の非水電解液の含有量は特には限定されないが、40〜90vol%であることが望ましい。非水電解液の含有量が小さい場合、電極と半固体電解質層310との界面抵抗が増加する可能性がある。また、非水電解液の含有量が大きい場合、半固体電解質層310から非水電解液が漏れ出してしまう可能性がある。半固体電解質層310が自立可能なシート状に形成されている場合、半固体電解質層310中の非水電解液の含有量は50〜80vol%、さらには60〜80vol%であることが望ましい。半固体電解質と分散溶媒に半固体電解質バインダを溶解させた溶液との混合物を電極上に塗布することにより半固体電解質層310を形成する場合、半固体電解質層310中の非水電解液の含有量は40〜60vol%であることが望ましい。
非水電解液における主溶媒の重量比率は特には限定されないが、電池セルの安定性及び高速充放電の観点から、非水電解液中の溶媒の総和に占める主溶媒の重量比率は30〜70wt%、特に40〜60wt%、さらには45〜55wt%であることが望ましい。
<有機溶媒>
有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)等の炭酸エステル、γ−ブチロラクトン(GBL)、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、リン酸トリメチル(TMP)、リン酸トリエチル(TEP)、亜リン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)(TFP)、メチルホスホン酸ジメチル(DMMP)等の材料群から選択される。
非水電解液がイオン液体又はイオン液体に類似の性質を示すエーテル系溶媒を有する場合、必要に応じて、低粘度有機溶媒をさらに含有しても良い。低粘度有機溶媒は、非水電解液の粘度を下げ、イオン伝導率を向上させる。非水電解液の内部抵抗が大きい場合、低粘度有機溶媒を添加して非水電解液のイオン伝導率を上げることにより、非水電解液の内部抵抗を下げることができる。低粘度有機溶媒は、例えばエーテル系溶媒及び溶媒和電解質塩の混合物の25℃における粘度140Pa・sより粘度の小さい溶媒であることが望ましいが、これに限られない。低粘度有機溶媒は、PC、EC、TMP、TEP、TFP、GBL、DMMP等の材料群から選択される。
<イオン液体>
イオン液体はカチオン及びアニオンで構成される。イオン液体としては、カチオン種に応じ、イミダゾリウム系、アンモニウム系、ピロリジニウム系、ピペリジニウム系、ピリジニウム系、モルホリニウム系、ホスホニウム系、スルホニウム系等に分類される。イミダゾリウム系イオン液体を構成するカチオンとしては、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム(BMI)等のアルキルイミダゾリウムカチオン等が挙げられる。アンモニウム系イオン液体を構成するカチオンとしては、テトラアミルアンモニウム、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウム等のアルキルアンモニウムカチオンが挙げられる。ピロリジニウム系イオン液体を構成するカチオンとしては、N−メチル−N−プロピルピロリジニウム(Py13)や1−ブチル−1−メチルピロリジニウム等のアルキルピロリジニウムカチオン等が挙げられる。ピペリジニウム系イオン液体を構成するカチオンとしては、N−メチル−N−プロピルピペリジニウム(PP13)や1−ブチル−1−メチルピペリジニウム等のアルキルピペリジニウムカチオン等が挙げられる。ピリジニウム系イオン液体を構成するカチオンとしては、1−ブチルピリジニウムや1−ブチル−4−メチルピリジニウム等のアルキルピリジニウムカチオン等が挙げられる。モルホリニウム系イオン液体を構成するカチオンとしては、4−エチル−4−メチルモルホリニウム等のアルキルモルホリニウム等が挙げられる。ホスホニウム系イオン液体を構成するカチオンとしては、テトラブチルホスホニウムやトリブチルメチルホスホニウム等のアルキルホスホニウムカチオン等が挙げられる。スルホニウム系イオン液体を構成するカチオンとしては、トリメチルスルホニウムやトリブチルスルホニウム等のアルキルスルホニウムカチオン等が挙げられる。これらカチオンと対になるアニオンとしては、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TFSI)、ビス(フルオロスルホニル)イミド、テトラフルオロボレート(BF)、ヘキサフルオロホスフェート(PF)、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(BETI)、トリフルオロメタンスルホネート(トリフラート)、アセテート、ジメチルホスフェート、ジシアナミド、トリフルオロ(トリフルオロメチル)ボレート等が挙げられる。
<電解質塩>
非水溶媒が有機溶媒又はイオン液体を有する場合、非水電解液はさらに電解質塩を有する。電解質塩としては、主溶媒に均一に分散できるものが望ましい。カチオンがリチウムであり、アニオンとして上述の種々のアニオンを有するリチウム塩が適用可能である。具体的には、電解質塩は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(LiBETI)、リチウムテトラフルオロボレート(LiBF)、リチウムヘキサフルオロホスファート(LiPF)、リチウムトリフラート等の材料群から選択される。
<溶媒和イオン液体>
溶媒和イオン液体は、溶媒和電解質塩及びエーテル系溶媒を有する。エーテル系溶媒は、イオン液体に類似の性質を示すグライム(R−O(CHCHO)−R’(R、R’は飽和炭化水素であり、nは整数である)で表される対称グリコールジエーテルの総称)、クラウンエーテル((−CH−CH−O)(nは整数である)で表される大環状エーテルの総称)等の材料群から選択される。イオン伝導性の観点から、エーテル系溶媒は、テトラグライム(テトラエチレンジメチルグリコール、G4)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル、G3)、ペンタグライム(ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、G5)、ヘキサグライム(ヘキサエチレングリコールジメチルエーテル、G6)であることが望ましい。クラウンエーテルは、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6等の材料群から選択される。溶媒和電解質塩と錯体構造を形成できる点で、エーテル系溶媒は、テトラグライム、トリグライムを有することが望ましい。
溶媒和電解質塩は、LiFSI、LiTFSI、LiBETI、LiBF、LiPF等の材料群から選択される。
<負極界面安定化材>
非水電解液は負極界面安定化材を有していても良い。非水電解液が負極界面安定化材を有することにより、電池セル1000のレート特性の向上や電池寿命の向上を図ることができる。負極界面安定化材の添加量は、非水電解液の重量に対して30wt%以下、特に10wt%以下であることが好ましい。30wt%より大きいと、イオン伝導率を阻害し、あるいは電極と反応して抵抗が上昇する可能性がある。負極界面安定化材は、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)等の材料群から選択される。
<腐食防止剤>
非水電解液は腐食防止剤を有していても良い。腐食防止剤により、正極集電体120が高い電気化学電位に晒されても金属が溶出しにくい皮膜が形成される。腐食防止剤としては、PFやBFといったアニオン種を有し、且つ水分を含んだ大気で安定な化合物を形成するための強い化学結合を有するカチオン種を含んだ材料が望ましい。
大気で安定な化合物であることを示す一指標としては、水に対する溶解度や加水分解の有無を挙げることができる。腐食防止剤が固体の場合、水に対する溶解度が1%未満であることが望ましい。また、加水分解の有無は、水と混合後の試料の分子構造解析で評価できる。ここで「加水分解しない」とは、腐食防止剤が吸湿あるいは水と混和した後、100℃以上で加熱し水分を除去した後の残留物の95%が添加剤と同じ分子構造を示していることを意味する。
腐食防止剤は(M−R)Anと表される。(M−R)Anのカチオンは(M−R)である。Mは窒素(N)、ホウ素(B)、リン(P)、硫黄(S)から選択される。Rは炭化水素基から構成される。
(M−R)AnのアニオンはAnである。AnとしてBF やPF が好適に用いられる。腐食防止剤のアニオンをBF やPF にすることで、正極集電体120の溶出を効率的に抑制できる。これは、BF やPF のFアニオンが電極集電体のSUSやアルミニウムと反応し、不動態皮膜を形成することが影響すると考えられる。
腐食防止剤は、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート(NBuPF)、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート(NBuBF)の4級アンモニウム塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMI−BF)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート(EMI−PF)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(BMI−BF)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート(BMI−PF)等のイミダゾリウム塩の材料群から選択される。特に、アニオンがPFであれば、正極集電体120の溶出を抑制できる。
腐食防止剤の含有量は、非水電解液の総重量に対して、0.5〜20wt%、好ましくは1〜10wt%である。腐食防止剤の含有量が少ないと、電極集電体の溶出を抑制する効果が低下し、充放電に伴い電池容量が低下する可能性がある。また、腐食防止剤の含有量が多いと、リチウムイオン伝導度が低下し、さらに、腐食防止剤を分解させるために多くの蓄電エネルギーが消費されてしまい、結果として電池容量が低下する可能性がある。
<半固体電解質バインダ>
半固体電解質バインダは、フッ素系の樹脂が好適に用いられる。フッ素系の樹脂としては、PTFE、PVDF、P(VdF−HFP)等の材料群から選択される。これらの材料を単独又は複数組み合わせて使用しても良い。PVDFやP(VdF−HFP)を用いることで、絶縁層300と電極集電体の密着性が向上するため、電池性能が向上する。
半固体電解質バインダの含有量は、シート状の半固体電解質層310を作製した場合の強度及び導電率の観点から、半固体電解質層310を構成する成分全量を基準として、3〜60質量%、5〜50質量%、10〜40質量%、又は20〜30質量%であることが望ましい。
<半固体電解質>
非水電解液が担持粒子に担持又は保持されることにより半固体電解質が構成される。半固体電解質の作製方法として、非水電解液と担持粒子とを特定の体積比率で混合し、メタノール等の有機溶媒を添加・混合して、半固体電解質のスラリーを調合した後、スラリーをシャーレに広げ、有機溶媒を留去して半固体電解質の粉末を得る方法等が挙げられる。
<浸透促進層320>
浸透促進層320は、接着抑制粒子及び接着抑制バインダを有する。浸透促進層320は半固体電解質層310上に配置されている。浸透促進層320中の非水電解液の含有量は半固体電解質層310中の非水電解液の含有量よりも少ないため、浸透促進層320と電極との接着作用が抑制される。したがって、浸透促進層320によって非水電解液が電極へ円滑に移動することになり、電極内全体に非水電解液が浸透し、電池セル1000のクーロン効率が向上する。浸透促進層320中には、非水電解液が含まれていないことがより望ましい。
浸透促進層320の厚さは5μm以上であることが望ましい。浸透促進層320の厚さは5μm以上20μm以下であることがより望ましい。これにより、電極間の絶縁性を担保できる。
<接着抑制バインダ>
接着抑制バインダとして、PVDF、P(VdF−HFP)、CMC−SBR、アクリル系樹脂、アルギン酸ナトリウム等の材料群から適宜選択される。接着抑制バインダとして、結晶性が高いPVDFを含む材料(PVDF、P(VdF−HFP)等)を用いることが望ましい。
<接着抑制粒子>
浸透促進層320における接着抑制粒子の含有割合は、半固体電解質層310から非水電解液を除いた成分における担持粒子の含有割合より大きいことが望ましい。浸透促進層320における接着抑制粒子の含有割合を相対的に多くすることによって、半固体電解質層310からの非水電解液が電極ではなく浸透促進層に浸透する量を毛細管現象を利用して減少させ、半固体電解質層310から浸透促進層320を経由して電極へと至る非水電解液の移動を促進できる。
接着抑制粒子としては、SiO、Al、ZrO等の材料群から選択される少なくとも一種の粒子が用いられる。接着抑制粒子として、真密度が低く非水電解液の保持性が高いSiOの粒子を用いることが望ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<正極100>
正極活物質としてLiNi0.8Mn0.1Co10.1、正極導電剤として炭素材料、及び正極バインダとしてP(VdF−HFP)を用いた。正極活物質、正極導電剤及び正極バインダの重量比率を96:2:2で混合した正極合剤層スラリーを、N−メチル−2−ピロリドンの分散溶媒で粘度を調整しながら、15μmのアルミニウム箔(正極集電体120)へ塗工し、正極合剤層110を作製した。正極合剤層110の塗工量は530g/mとした。塗工量は、下記式:
塗工量(g/cm)=(電極の重量(g)−電極集電体の重量(g))/電極面積(cm
により求められる。電極の重量と電極集電体の重量は、それぞれ電子天秤で秤量した。
塗工後の正極100を120℃で乾燥した後、ロールプレスで密度を調整し、正極合剤層110の密度を3.0g/cmとした。電極合剤層の密度は、塗工量(g/cm)/電極合剤層の厚さ(cm)で求められる。電極合剤層の厚さは、電極厚さ(cm)−箔厚さ(cm)で求められる。これら厚さは、マイクロメーターで3ヶ所以上測定し、平均値を適用した。
<負極200>
負極活物質として黒鉛、負極バインダとしてCMC/SBRを用いた。負極活物質、CMC、SBRの重量比率を98:1:1で混合した負極合剤層スラリーを、純水の分散溶媒で粘度を調整しながら、10μmの銅箔(負極集電体220)へ塗工し、負極合剤層210を作製した。負極合剤層210の塗工量は280g/mとした。塗工後の負極200を100℃で乾燥した後、ロールプレスで密度を調整し、負極合剤層210の密度を1.6g/cmとした。
<半固体電解質層310>
非水電解液として、テトラグライム(Sigma−Aldrich製、G4)にリチウムビス(テトラフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)をモル比1:1で混合したグライム錯体を用いた。非水電解液に、担持粒子としてSiO粉末、半固体電解質バインダとしてフッ素系バインダであるP(VdF−HFP)、分散溶媒として1−メチル−2−ピロリドン(和光純薬工業、NMP)を混合し、メノウ乳鉢で混練して、半固体電解質層形成用スラリーを調製した。
半固体電解質層形成用スラリーを、ギャップ100μmのブレードを用いて、厚さ25μmのPETフィルム上に塗布し、100℃にて約1時間乾燥して、半固体電解質層形成用スラリー中のNMPを気化させ、厚さ25〜30μmの半固体電解質層310を得た。NMPを気化させた後の半固体電解質層310中の重量比は、SiO:P(VdF−HFP):非水電解液=15:23:62であった(半固体電解質層から非水電解液を除いた成分における担持粒子の含有割合は、15/(15+23)×100=39.5重量%)。
<浸透促進層320>
接着抑制粒子としてSiO、接着抑制バインダとしてP(VdF−HFP)を重量比89.2:10.8の割合で混練機を用いて均一に混合し、半固体電解質層310上に厚さ10μmでコートし、半固体電解質層310及び浸透促進層320を有する絶縁層を作製した。
<電池セル1000>
正極100が178×178mm、負極200が182×183mmとなるようにエアー式打ち抜き機で電極を打ち抜き、電極を作製した。電極を100℃で2時間乾燥し、電極中のNMPを除去した。PETフィルムを剥がした絶縁層300を正極100と負極200の間に挟み、正極100と負極200間を絶縁した。
正極100、負極200及び絶縁層300を所定枚数交互に積層して電極体400を作製した。電極の端部に形成された電極タブを束ねて、束ねた電極タブとAl製の正極端子及びNi製の負極端子をそれぞれ超音波で溶接した。
積層した電極体400をラミネートフィルムに挟み込み、注液用の一辺を残し、電極タブ部が形成された辺を含む3辺をラミネート封止装置にて200℃で熱封止し、60℃で20時間真空乾燥させ、電池セル1000を作製した。電池セル1000に非水電解液を注液する前に、電池セル1000を80℃で一晩真空乾燥させ、非水電解液に吸着した水分を減らした。その後、電極体400の理論空孔体積の150%分の非水電解液を注液し、真空封止した。注液した非水電解液は、グライム錯体、PC、VC、及びNBuPFからなり、非水電解液中の重量比率はグライム錯体:PC:VC:NBuPF=50.58:43.71:2.9:2.49とした。
<電池セル1000の診断>
電池セル1000の初期充電時のクーロン効率(CE、Coulombic efficiency、以下初期CEという)を評価した。まず、作製した電池セル1000を電流0.005CAの定電流で10時間充電させた。次に、電流0.05CAの定電流で充電させ電圧4.2Vに到達させた。次に、定電圧で電流が0.005Cに減衰した容量を充電容量とした。次に、電流0.05CAの定電流で2.7Vになるまで放電させ、これを放電容量とした。この時の充電容量に対する、放電容量の比を算出し、初期CEとした。実験の結果を表1及び図2に示す。
(実施例2〜7) 浸透促進層の厚さ等を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして電池セル1000を作製し、初期CEを測定した。実験の結果を表1に示す。
(比較例1〜3) 浸透促進層の有無等を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして電池セルを作製し、初期CEを測定した。実験の結果を表1及び図2(比較例1のみ)に示す。
Figure 2020202158
<結果と考察>
実施例では、初期CEが70%以上を示した。一方、比較例では、初期CEが50%未満を示した。実施例1〜6のように、浸透促進層320の厚さを5μm以上とすることにより、初期CEが80%以上を示した。
比較例において、電池セル1000の初期CEが低くなった理由として、電極と半固体電解質層310とが接着し、非水電解液が電極内に均一に浸透してないことが考えられる。電極内に浸透している非水電解液のみが充電されることで過充電が生じ、非水電解液の分解に充電電流が消費され、初期CEが低くなったものと考えられる。
それに対して、実施例のように半固体電解質層310に浸透促進層320を積層させることで、非水電解液が電極内に浸透し易くなり、電極全体が均一に充放電反応できると考えられる。
図2は、上述した反応機構を説明するものである。比較例1では、充電カーブの3.9V付近にみられる変曲点以降、分解反応に電流が消費され、電圧の上昇が抑制されることを示している。
100 正極
110 正極合剤層
120 正極集電体
130 正極タブ
200 負極
210 負極合剤層
220 負極集電体
230 負極タブ
300 絶縁層
310 半固体電解質層
320 浸透促進層
400 電極体
500 外装体
1000 電池セル

Claims (6)

  1. 担持粒子、非水電解液及び半固体電解質バインダを有する半固体電解質層と、
    前記半固体電解質層上に配置された浸透促進層と、
    を備える絶縁層であって、
    前記浸透促進層は、接着抑制粒子及び接着抑制バインダを有し、
    前記浸透促進層における前記接着抑制粒子の含有割合が、前記半固体電解質層から前記非水電解液を除いた成分における前記担持粒子の含有割合より大きい、前記絶縁層。
  2. 前記浸透促進層の厚さが、5μm以上20μm以下である請求項1に記載の絶縁層。
  3. 前記接着抑制バインダが、ポリフッ化ビニリデンを含む請求項1に記載の絶縁層。
  4. 前記接着抑制粒子が、SiO、Al及びZrOからなる群より選択される少なくとも一種の粒子である請求項1に記載の絶縁層。
  5. 電極と、
    請求項1に記載の絶縁層と、
    が積層されてなる電池セル用シート。
  6. 負極と、
    正極と、
    前記正極及び前記負極の間に配置された請求項1に記載の絶縁層と、
    を有する電池セル。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023277055A1 (ja) * 2021-06-29 2023-01-05 ダイキン工業株式会社 電極形成用組成物、電極および二次電池

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