JP2020201508A - 片保護偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法 - Google Patents

片保護偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法 Download PDF

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慎哉 平岡
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裕美 池嶋
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Atsushi Kishi
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Abstract

【課題】偏光子の片面にのみ保護フィルムを有する片保護偏光フィルムであって、前記偏光子が所定の光学特性を有し、かつ厚みが10μm以下であっても、貫通クラックおよびナノスリットによる欠陥を抑制することができる片保護偏光フィルムを提供すること。【解決手段】偏光子の片面にのみ保護フィルムを有する片保護偏光フィルムであって、前記偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有し、厚みが10μm以下であり、かつ、単体透過率T及び偏光度Pによって表される光学特性が、下記式P>−(100.929T−42.4−1)×100(ただし、T<42.3)、又は、P≧99.9(ただし、T≧42.3)の条件を満足するように構成されたものであり、前記偏光子の他の片面に、透明層を有し、かつ、前記保護フィルムを有する側の表面の動摩擦係数が0.2以下であること特徴とする片保護偏光フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、偏光子の片面にのみ保護フィルムが設けられた片保護偏光フィルムおよび当該片保護偏光フィルムと粘着剤層を有する粘着剤層付偏光フィルムに関する。前記片保護偏光フィルムおよび粘着剤層付偏光フィルムはこれ単独で、またはこれを積層した光学フィルムとして液晶表示装置(LCD)、有機EL表示装置などの画像表示装置を形成しうる。
液晶表示装置には、その画像形成方式から液晶パネル表面を形成するガラス基板の両側に偏光フィルムを配置することが必要不可欠である。偏光フィルムは、一般的には、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素等の二色性材料からなる偏光子の片面または両面に、保護フィルムをポリビニルアルコール系接着剤等により貼り合わせたものが用いられている。
前記偏光フィルムを液晶セル等に貼着する際には、通常、粘着剤が使用される。また、偏光フィルムを瞬時に固定できること、偏光フィルムを固着させるのに乾燥工程を必要としないこと等のメリットを有することから、粘着剤は、偏光フィルムの片面に予め粘着剤層として設けられている。即ち、偏光フィルムの貼着には粘着剤層付偏光フィルムが一般的に用いられる。
また、偏光フィルムや粘着剤層付偏光フィルムは、熱衝撃(例えば、−30℃と80℃の温度条件を繰り返すヒートショック試験や100℃の高温下試験)の過酷な環境下では偏光子の収縮応力の変化によって、偏光子の吸収軸方向の全体にクラック(貫通クラック)が生じやすい問題がある。即ち、粘着剤層付偏光フィルムは、前記過酷な環境下における熱衝撃による耐久性が十分ではなかった。特に、薄型化の観点から、偏光子の片面にのみ保護フィルムを設けた片保護偏光フィルムを用いた粘着剤層付偏光フィルムでは、前記熱衝撃による耐久性が不十分であった。また、前記熱衝撃により生じる貫通クラックは、偏光フィルムのサイズが大きくなった場合に発生しやすいものであった。
前記貫通クラックの発生の抑制のために、例えば、片保護偏光フィルムに引張弾性率100MPa以上の保護層を設け、さらに当該保護層に粘着剤層を設けた粘着剤層付偏光フィルムが提案されている(特許文献1)。また、厚さ25μm以下の偏光子の片面に硬化型樹脂組成物の硬化物からなる保護層を有し、偏光子のもう一方の片面に保護フィルムを有し、前記保護層の外側に粘着剤層を有する粘着剤層付偏光フィルムが提案されている(特許文献2)。前記特許文献1、2に記載の粘着剤層付偏光フィルムは、貫通クラックの発生の抑制の点からは有効である。また、薄型化は偏光子についても行われており、例えば、単体透過率、偏光度の光学特性を制御した、高い配向性を示す薄型偏光子が提案されている(特許文献3)。
特開2010−009027号公報 特開2013−160775号公報 特許第4751481号明細書
特許文献1、2では、偏光子の片面にのみ保護フィルムを有する片保護偏光フィルムを用いることで薄型化を図るとともに、他方では、保護層を設けることにより、片保護偏光フィルムを用いることにより生じる偏光子の吸収軸方向への貫通クラックの発生を抑えている。
一方、薄型化は偏光子についても行われている。偏光フィルムまたは粘着剤層付偏光フィルムに用いる偏光子を薄くした場合(例えば、厚み10μm以下にした場合)には、偏光子の収縮応力の変化が小さくなる。そのため、薄型化した偏光子によれば、前記貫通クラックの発生を抑制することができることが分かった。
しかし、前記貫通クラックの発生が抑制された片保護偏光フィルムまたはそれを用いた粘着剤層付偏光フィルムにおいて、特許文献3のように光学特性を制御し、かつ偏光子を薄くした場合(例えば、厚み10μm以下にした場合)には、片保護偏光フィルムまたはそれを用いた粘着剤層付偏光フィルムに機械衝撃が負荷されたとき(偏光子側に凸折れによる負荷がかかる場合を含む)に、偏光子の吸収軸方向に部分的に極細のスリット(以下、ナノスリットともいう)が発生することが分かった。前記ナノスリットは、偏光フィルムのサイズに無関係に生じることも分かった。さらには、前記ナノスリットは、偏光子の両面に保護フィルムを有する両保護偏光フィルムを用いた場合には生じないことも分かった。また、偏光子に貫通クラックが生じた場合には、貫通クラックの周辺の応力が解放されるため、貫通クラックは隣接して生じることはないが、ナノスリットは単独で生じる他に、隣接して生じることが分かった。また、貫通クラックは、クラックが生じた偏光子の吸収軸方向に伸びる進行性を有しているが、ナノスリットは前記進行性のないことも分かった。このように、前記ナノスリットは、貫通クラックの発生が抑制された片保護偏光フィルムにおいて、偏光子を薄く、かつ、光学特性を所定の範囲に制御した場合に生じる新たな課題であり、従来知られていた前記貫通クラックとは異なる現象により生じる課題であることが分かった。
また、前記ナノスリットは極細であるため、通常の環境下では検出できない。従って、仮に、偏光子にナノスリットが発生していたとしても、片保護偏光フィルムおよびそれを用いた粘着剤層付偏光フィルムの光抜けによる欠陥を確認することは一見したのみでは困難である。すなわち、通常、片保護偏光フィルムは長尺フィルム状に作製され、自動的光学検査にて欠陥検査されるが、この欠陥検査でナノスリットを欠陥として検出することが困難である。前記ナノスリットによる欠陥は、片保護偏光フィルムまたは粘着剤層付偏光フィルムが画像表示パネルのガラス基板等に貼り合わされたうえで加熱環境下におかれた場合に、ナノスリットが幅方向に広がることで検出可能(例えば、前記光抜けの有無)になることも分かった。
よって、偏光子の厚みが10μm以下の片保護偏光フィルムまたはそれを用いた粘着剤層付偏光フィルムにおいては、貫通クラックだけでなく、ナノスリットによる欠陥も抑制しておくことが望まれる。
本発明は、偏光子の片面にのみ保護フィルムを有する片保護偏光フィルムであって、前記偏光子が所定の光学特性を有し、かつ厚みが10μm以下であっても、貫通クラックおよびナノスリットによる欠陥を抑制することができる片保護偏光フィルムを提供することを目的とする。また、本発明は、前記片保護偏光フィルムと粘着剤層を有する粘着剤層付偏光フィルムを提供することを目的とする。
また本発明は、前記片保護偏光フィルムまたは前記粘着剤層付偏光フィルムを有する画像表示装置、さらにはその連続製造方法を提供することを目的とする。に関する。
本願発明者らは、鋭意検討の結果、下記の片保護偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルム等により上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に至った。
即ち本発明は、偏光子の片面にのみ保護フィルムを有する片保護偏光フィルムであって、
前記偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有し、厚みが10μm以下であり、かつ、単体透過率T及び偏光度Pによって表される光学特性が、下記式
P>−(100.929T−42.4−1)×100(ただし、T<42.3)、又は、
P≧99.9(ただし、T≧42.3)の条件を満足するように構成されたものであり、
前記偏光子の他の片面に、透明層を有し、
かつ、前記保護フィルムを有する側の表面の動摩擦係数が0.2以下であることを特徴とする片保護偏光フィルム、に関する。
前記片保護偏光フィルムにおいて、前記透明層が、樹脂材料の形成物であることが好ましい。前記透明層は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する形成材または水系エマルションを含有する形成材の形成物を用いることができる。
前記片保護偏光フィルムにおいて、前記透明層は、厚みが0.2μm以上3μm以下のものを用いることができる。
前記片保護偏光フィルムにおいて、前記保護フィルムは、表面に表面処理層を有するものを用いることができる。前記表面処理層としては、低反射処理層が挙げられる。
前記片保護偏光フィルムにおいて、前記偏光子は、偏光子全量に対してホウ酸を20重量%以下で含有することが好ましい。
また本発明は、前記片保護偏光フィルム、および粘着剤層を有することを特徴とする粘着剤層付偏光フィルム、に関する。
前記粘着剤層付偏光フィルムは、前記片保護偏光フィルムの透明層に、前記粘着剤層が設けられている態様で用いることができる。また、前記粘着剤層付偏光フィルムは、前記片保護偏光フィルムの保護フィルムに、前記粘着剤層が設けられている態様で用いることができる。また、前記粘着剤層付偏光フィルムの粘着剤層にはセパレータを設けることができる。セパレータが設けられた粘着剤層付偏光フィルムは巻回体として用いることができる。
また本発明は、前記片保護偏光フィルム、または前記粘着剤層付偏光フィルムを有する画像表示装置、に関する。
また本発明は、前記粘着剤層付偏光フィルムの巻回体から繰り出され、前記セパレータにより搬送された前記粘着剤層付偏光フィルムを、前記粘着剤層を介して画像表示パネルの表面に連続的に貼り合せる工程を含む画像表示装置の連続製造方法、に関する。
また本発明は、前記粘着剤層付偏光フィルムの巻回体から繰り出され、前記セパレータにより搬送された前記粘着剤層付偏光フィルムを、前記粘着剤層を介して画像表示パネルの表面に連続的に貼り合せる工程を含む画像表示装置の連続製造方法、に関する。
本発明の片保護偏光フィルムおよび粘着剤層付偏光フィルムは、厚み10μm以下の偏光子を用いており、薄型化されている。また、前記厚み10μm以下の薄型の偏光子は、偏光子の厚みが大きい場合に比べて、熱衝撃により偏光子に加わる収縮応力の変化が小さいため、貫通クラックの発生を抑制することができる。
一方、所定の光学特性を有する薄型の偏光子は、偏光子にナノスリットが発生しやすくなる。ナノスリットは、片保護偏光フィルムの製造工程、片保護偏光フィルムに粘着剤層を設ける粘着剤層付偏光フィルムの製造工程、粘着剤層付偏光フィルムを製造した後の各種工程や粘着剤層付偏光フィルムを画像表示パネルに貼り合せた後において、前記片保護偏光フィルムまたはそれを用いた粘着剤層付偏光フィルムに対して機械衝撃が負荷されたときに生じると考えられ、熱衝撃により生じる貫通クラックとは異なるメカニズムにより生じると想定される。また、前記ナノスリットによる欠陥は、片保護偏光フィルムまたは粘着剤層付偏光フィルムが画像表示パネルのガラス基板等に貼り合わされたうえで加熱環境下におかれた場合に、ナノスリットが幅方向に広がることで検出可能(例えば、前記光抜けの有無)になる。
本発明の片保護偏光フィルムおよび粘着剤層付偏光フィルムでは、偏光子の他の片面(保護フィルムを有しない面)に、透明層を設けることで、前記ナノスリットが発生を抑えることができる。さらに、本発明では、保護フィルムを有する側の表面(偏光子に貼り合わせていない側の表面)の動摩擦係数が0.2以下のものを用いることで、前記ナノスリットの発生をより抑えることができる。
以上のように、本発明の片保護偏光フィルムおよびそれを用いた粘着剤層付偏光フィルムは、前記透明層を設け、所定の動摩擦係数を有する保護フィルムを用いることで、薄型化を満足しながら、かつ、偏光子に生じる貫通クラックおよびナノスリットの発生を効果的に抑制することができる。
また、前記ナノスリットは極細であるため、通常の環境下では検出できない。従って、仮に、偏光子にナノスリットが発生していたとしても、片保護偏光フィルムおよびそれを用いた粘着剤層付偏光フィルムの光抜けによる欠陥を確認することは一見したのみでは困難である。前記ナノスリットによる欠陥は、片保護偏光フィルムまたは粘着剤層付偏光フィルムが加熱環境下におかれた場合に、ナノスリットが幅方向に広がることで検出可能(例えば、前記光抜けの有無)になることも分かった。このようなナノスリットの幅方向への広がりによる欠陥の発生を抑えるには、前記透明層を設けることが有効であることも分かった。
前述のように、透明層を形成する前の片保護偏光フィルムの製造工程においても、偏光子にナノスリットが生じると考えられる。仮に、透明層を設ける前の片保護偏光フィルムの状態の偏光子にナノスリットが発生したとしても、前記ナノスリットの幅方向への広がりの発生を、前記透明層により抑えることができる。また、透明層を形成した後の片保護偏光フィルムの製造工程、粘着剤層付偏光フィルムを製造した後の各種工程において、機械的衝撃が付与されたとしても、本発明の透明層付の偏光フィルムであれば、ナノスリットの発生を抑制することができる。
本発明の片保護偏光フィルムの概略断面図の一例である。 本発明の粘着剤層付偏光フィルムの概略断面図の一例である。 偏光子に生じるナノスリットと貫通クラックを対比する概念図の一例である。 ナノスリットの発生の有無と、ナノスリットが発生した場合に、透明層の有無によって加熱によるナノスリットの拡張が相違することを示す片保護偏光フィルムの断面図の写真の一例である。 実施例および比較例のナノスリットに係る評価項目を説明する概略図である。 実施例および比較例の評価に係るナノスリットにより生じるクラックを示す写真の一例である。 実施例および比較例の評価に係る貫通クラックの進行を示す写真の一例である。
以下に本発明の片保護偏光フィルム11および粘着剤層付偏光フィルム12を、図1、2を参照しながら説明する。片保護偏光フィルム10(透明層3のない場合)は、例えば、図1(A)に示すように、偏光子1の片面にのみ保護フィルム2を有する。図1(B)では、保護フィルム2の表面に表面処理層xを有する場合(保護フィルム2´)が示されている。また、片保護偏光フィルム11の保護フィルム2(または2´)を有する側の表面(偏光子に貼り合わせていない側の表面)の動摩擦係数が0.2以下である。図1(A)では保護フィルム2の表面、図1(B)では表面処理層xの表面が、動摩擦係数が0.2以下のものを用いる。前記動摩擦係数は、ナノスリットの発生抑制の観点から、0.1以下であるのが好ましい。動摩擦係数の測定は、実施例の記載による。図示していないが、偏光子1と保護フィルム2とは接着剤層、粘着剤層、下塗り層(プライマー層)などの介在層を介して積層されている。また図示していないが、片保護偏光フィルム10は、保護フィルム2に易接着層を設けたり活性化処理を施したりして、当該易接着層と接着剤層を積層することができる。本発明の片保護偏光フィルム11(透明層3付)は、図1(A)、(B)に示すように、片保護偏光フィルム10において、前記偏光子1の他の片面(保護フィルム2を有しない面)に、透明層3が(直接)設けられている。
また、本発明の粘着剤層付偏光フィルム12は、図2に示すように、片保護偏光フィルム(透明層付)11と、粘着剤層4を有する。なお、図2の粘着剤層付偏光フィルム12では、片保護偏光フィルム11として、図1(A)に示す態様が示されているが、図1(B)に示す態様も同様に、粘着剤層付偏光フィルム12に適用することができる。粘着剤層4は、図2(A)では透明層3の側に、図2(B)では保護フィルム2の側に設けられている。なお、本発明の粘着剤層付偏光フィルム12の粘着剤層4にはセパレータ5を設けることができ、その反対側には、表面保護フィルム6を設けることができる。図2の粘着剤層付偏光フィルム12では、セパレータ5および表面保護フィルム6がいずれも設けられている場合が示されている。少なくともセパレータ5を有する粘着剤層付偏光フィルム12(さらには、表面保護フィルム6を有するもの)は巻回体として用いることができ、例えば、巻回体から繰り出され、セパレータ5により搬送された粘着剤層付偏光フィルム12を、粘着剤層4を介して画像表示パネルの表面に貼り合せる方式(以下、「ロール・トゥ・パネル方式」ともいう。代表的には、特許第4406043号明細書)へ適用して、画像表示装置を連続的に製造することができる。粘着剤層付偏光フィルムとしては、貼り合せ後の表示パネルの反り抑制、ナノスリットの発生抑制等の観点から、図2(A)に記載の態様が好ましい。表面保護フィルム6は、片保護偏光フィルム10、片保護偏光フィルム(透明層付)11に設けることができる。
図3は、偏光子に生じるナノスリットaと貫通クラックbを対比する概念図である。図3(A)には、偏光子1に生じるナノスリットaが、図3(B)には、偏光子1に生じる貫通クラックbが示されている。ナノスリットaは、機械衝撃により発生し、偏光子1の吸収軸方向に部分的に発生する、ナノスリットaは、発生した当初は確認できないが、熱環境下(例えば、80℃や60℃,90%RH)において、幅方向への広がりによって確認することができる。一方、ナノスリットaは偏光子の吸収軸方向に伸びる進行性は有しないと考えられる。また、前記ナノスリットaは、偏光フィルムのサイズに無関係に生じると考えられる。ナノスリットaは単独で生じる他に、隣接して生じることもある。一方、貫通クラックbは、熱衝撃(例えば、ヒートショック試験)により生じる。貫通クラックは、クラックが生じた偏光子の吸収軸方向に伸びる進行性を有している。貫通クラックbが発生した場合には周辺の応力が解放されるため、貫通クラックは隣接して生じることはない。
図4は、偏光子に生じるナノスリットaの発生と拡張、修復に係る片保護偏光フィルム10または透明層付の片保護偏光フィルム11の断面図の写真の一例である。図4(A)は、偏光子1の片面にのみ接着剤層2aを介して保護フィルム2を有する片保護偏光フィルム10であり、ナノスリットは発生していない場合の一例である。図4(B)は、片保護偏光フィルム10にナノスリットaが発生している場合の一例である。図4(A)、(B)はいずれも、加熱前である。また、図4(C)は、ナノスリットaが発生している片保護偏光フィルム10を加熱した後の断面図の写真の一例である。図4(C)では、加熱により偏光子1のナノスリットaが拡張していることが分かる。一方、図4(D)は、ナノスリットaが発生した片保護偏光フィルム10に、透明層3を形成した透明層付の片保護偏光フィルム11を、加熱した後の断面図の写真の一例である。図4(D)では、偏光子1に生じたナノスリットaは透明層3により修復(a´)されており、加熱による拡張もないことが分かる。図4は、サンプルの吸収軸方向に対して垂直にクロスセッションポリッシャーやミクロトームにて断面切削し、走査型電子顕微鏡にて観察を行った。
<偏光子>
本発明では、厚み10μm以下の偏光子を用いる。偏光子の厚みは薄型化および貫通クラックの発生を抑える観点から8μm以下であるのが好ましく、さらには7μm以下、さらには6μm以下であるのが好ましい。一方、偏光子の厚みは2μm以上、さらには3μm以上であるのが好ましい。このような薄型の偏光子は、厚みムラが少なく、視認性が優れており、また寸法変化が少ないため熱衝撃に対する耐久性に優れる。
偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂を用いたものが使用される。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いし、ヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液や水浴中でも延伸することができる。
偏光子はホウ酸を含有していることが延伸安定性や光学耐久性の点から好ましい。また、偏光子に含まれるホウ酸含有量は、貫通クラックおよびナノスリットの発生抑制、拡張抑制の観点から、偏光子全量に対して20重量%以下であるのが好ましく、さらには18重量%以下、さらには16重量%以下であることが好ましい。一方、偏光子の延伸安定性や光学耐久性の観点から、偏光子全量に対するホウ酸含有量は10重量%以上であることが好ましく、さらには12重量%以上であることが好ましい。
薄型の偏光子としては、代表的には、
特許第4751486号明細書、
特許第4751481号明細書、
特許第4815544号明細書、
特許第5048120号明細書、
国際公開第2014/077599号パンフレット、
国際公開第2014/077636号パンフレット、
等に記載されている薄型偏光子またはこれらに記載の製造方法から得られる薄型偏光子を挙げることができる。
前記偏光子は、単体透過率T及び偏光度Pによって表される光学特性が、次式
P>−(100.929T−42.4−1)×100(ただし、T<42.3)、又は、
P≧99.9(ただし、T≧42.3)の条件を満足するように構成されている。前記条件を満足するように構成された偏光子は、一義的には、大型表示素子を用いた液晶テレビ用のディスプレイとして求められる性能を有する。具体的にはコントラスト比1000:1以上かつ最大輝度500cd/m以上である。他の用途としては、例えば有機EL表示装置の視認側に貼り合される。
一方、前記条件を満足するように構成された偏光子は、構成する高分子(例えばポリビニルアルコール系分子)が高い配向性を示すため、厚み10μm以下であることと相俟って、偏光子の吸収軸方向に直交する方向の引張破断応力が顕著に小さくなる。その結果、例えば、偏光フィルムの製造過程において当該引張破断応力を超える機械的衝撃に晒された際に、ナノスリットが偏光子の吸収軸方向に生じる可能性が極めて高い。よって、本発明は、当該偏光子を採用した片保護偏光フィルム(またはそれを用いた粘着剤層付偏光フィルム)に特に好適である。
前記薄型偏光子としては、積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法の中でも、高倍率に延伸できて偏光性能を向上させることのできる点で、特許第4751486号明細書、特許第4751481号明細書、特許4815544号明細書に記載のあるようなホウ酸水溶液中で延伸する工程を含む製法で得られるものが好ましく、特に特許第4751481号明細書、特許4815544号明細書に記載のあるホウ酸水溶液中で延伸する前に補助的に空中延伸する工程を含む製法により得られるものが好ましい。これら薄型偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂ともいう)層と延伸用樹脂基材を積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法によって得ることができる。この製法であれば、PVA系樹脂層が薄くても、延伸用樹脂基材に支持されていることにより延伸による破断などの不具合なく延伸することが可能となる。
<保護フィルム>
前記保護フィルムを構成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミドなどのアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または上記ポリマーのブレンド物なども上記保護フィルムを形成するポリマーの例として挙げられる。
なお、保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などがあげられる。保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現できないおそれがある。
前記保護フィルムとしては、位相差フィルム、輝度向上フィルム、拡散フィルム等も用いることができる。位相差フィルムとしては、正面位相差が40nm以上および/または、厚み方向位相差が80nm以上の位相差を有するものが挙げられる。正面位相差は、通常、40〜200nmの範囲に、厚み方向位相差は、通常、80〜300nmの範囲に制御される。保護フィルムとして位相差フィルムを用いる場合には、当該位相差フィルムが偏光子保護フィルムとしても機能するため、薄型化を図ることができる。
位相差フィルムとしては、熱可塑性樹脂フィルムを一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルムが挙げられる。上記延伸の温度、延伸倍率等は、位相差値、フィルムの材料、厚みにより適宜に設定される。
保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。特に1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、さらには、5〜150μm、特に、20〜100μmの薄型の場合に特に好適である。
前記図1(A)に示すように、保護フィルム2そのものが、片保護偏光フィルム11における表面になる場合には、保護フィルム自体が表面の動摩擦係数0.2以下を満足するものを用いる。前記動摩擦係数0.2以下を満足することができる材料としては、例えば、アクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリエステルポリマー等を用いたフィルムが挙げられる。
≪表面処理層≫
一方、前記図1(B)に示すように、表面処理層xを有する保護フィルム2´を用いる場合には、表面処理層xの表面の動摩擦係数0.2以下を満足するものを用いる。なお、表面処理層xを有する保護フィルム2´においては、保護フィルム2は動摩擦係数0.2以下を満足する材料でなくともよい。表面処理層としては、ハードコート層、低反射処理層(反射防止層)、スティッキング防止層、拡散層ないしアンチグレア層などの機能層を設けることができる。なお、上記ハードコート層、反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層などの機能層は、保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途、保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。前記表面処理層の厚みは特に制限されないが、通常は、0.5〜20μm程度である。
<介在層>
前記保護フィルムと偏光子は接着剤層、粘着剤層、下塗り層(プライマー層)などの介在層を介して積層される。この際、介在層により両者を空気間隙なく積層することが望ましい。
接着剤層は接着剤により形成される。接着剤の種類は特に制限されず、種々のものを用いることができる。前記接着剤層は光学的に透明であれば特に制限されず、接着剤としては、水系、溶剤系、ホットメルト系、活性エネルギー線硬化型等の各種形態のものが用いられるが、水系接着剤または活性エネルギー線硬化型接着剤が好適である。
水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステル等を例示できる。水系接着剤は、通常、水溶液からなる接着剤として用いられ、通常、0.5〜60重量%の固形分を含有してなる。
活性エネルギー線硬化型接着剤は、電子線、紫外線(ラジカル硬化型、カチオン硬化型)等の活性エネルギー線により硬化が進行する接着剤であり、例えば、電子線硬化型、紫外線硬化型の態様で用いることができる。活性エネルギー線硬化型接着剤は、例えば、光ラジカル硬化型接着剤を用いることができる。光ラジカル硬化型の活性エネルギー線硬化型接着剤を、紫外線硬化型として用いる場合には、当該接着剤は、ラジカル重合性化合物および光重合開始剤を含有する。
接着剤の塗工方式は、接着剤の粘度や目的とする厚みによって適宜に選択される。塗工方式の例として、例えば、リバースコーター、グラビアコーター(ダイレクト,リバースやオフセット)、バーリバースコーター、ロールコーター、ダイコーター、バーコーター、ロッドコーター等が挙げられる。その他、塗工には、デイッピング方式などの方式を適宜に使用することができる。
また、前記接着剤の塗工は、水系接着剤等を用いる場合には、最終的に形成される接着剤層の厚みが30〜300nmになるように行うのが好ましい。前記接着剤層の厚さは、さらに好ましくは60〜250nmである。一方、活性エネルギー線硬化型接着剤を用いる場合には、前記接着剤層の厚みは、0.1〜200μmになるよう行うのが好ましい。より好ましくは、0.5〜50μm、さらに好ましくは0.5〜10μmである。
なお、偏光子と保護フィルムの積層にあたって、保護フィルムと接着剤層の間には、易接着層を設けることができる。易接着層は、例えば、ポリエステル骨格、ポリエーテル骨格、ポリカーボネート骨格、ポリウレタン骨格、シリコーン系、ポリアミド骨格、ポリイミド骨格、ポリビニルアルコール骨格などを有する各種樹脂により形成することができる。これらポリマー樹脂は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また易接着層の形成には他の添加剤を加えてもよい。具体的にはさらには粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤などの安定剤などを用いてもよい。
易接着層は、通常、保護フィルムに予め設けておき、当該保護フィルムの易接着層側と偏光子とを接着剤層により積層する。易接着層の形成は、易接着層の形成材を保護フィルム上に、公知の技術により塗工、乾燥することにより行われる。易接着層の形成材は、乾燥後の厚み、塗工の円滑性などを考慮して適当な濃度に希釈した溶液として、通常調整される。易接着層は乾燥後の厚みは、好ましくは0.01〜5μm、さらに好ましくは0.02〜2μm、さらに好ましくは0.05〜1μmである。なお、易接着層は複数層設けることができるが、この場合にも、易接着層の総厚みは上記範囲になるようにするのが好ましい。
粘着剤層は、粘着剤から形成される。粘着剤としては各種の粘着剤を用いることができ、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤などが挙げられる。前記粘着剤の種類に応じて粘着性のベースポリマーが選択される。前記粘着剤のなかでも、光学的透明性に優れ、適宜な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れる点から、アクリル系粘着剤が好ましく使用される。
下塗り層(プライマー層)は、偏光子と保護フィルムとの密着性を向上させるために形成される。プライマー層を構成する材料としては、基材フィルムとポリビニルアルコール系樹脂層との両方にある程度強い密着力を発揮する材料であれば特に限定されない。たとえば、透明性、熱安定性、延伸性などに優れる熱可塑性樹脂などが用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、又はそれらの混合物が挙げられる。
<透明層>
透明層は、偏光子の片面にのみ保護フィルムが設けられた片保護偏光フィルムにおいて、偏光子の他の片面(保護フィルムを積層していない面)に設けられる。本発明において、透明層はナノスリット発生抑制、仮に、ナノスリットが発生した場合におけるナノスリットの幅方向への広がりの発生を抑える観点から、80℃における圧縮弾性率0.1GPa以上であるのが好ましい。仮に、機械衝撃により偏光子にナノスリットが生じ、熱環境下においてナノスリットが幅方向へ広がろうとしても、透明層の80℃における圧縮弾性率を0.1GPa以上に制御することで、熱環境下においても透明層の機械的保持能力を維持して、ナノスリットが幅方向へ広がるのを抑えることができる。透明層の圧縮弾性率は0.5GPa以上、さらには1GPa以上、さらには2GPa以上であるのが好ましい。透明層の圧縮弾性率は、材料選定により調整することができる。なお、透明層の80℃における圧縮弾性率は実施例の記載に基づいて測定される値である。
透明層の厚さは、薄層化および光学信頼性の観点から、透明層の厚さは、3μm以下であるのが好ましく、さらには2μm以下であるのが好ましく、さらには1.5μm以下であるのが好ましい。一方、透明層の厚さはナノスリット発生抑制、ナノスリットの拡張抑制効果の観点から、0.2μm以上であるのが好ましく、さらには0.6μm以上が好ましく、さらには0.8μm以上であるのが好ましい。
透明層は、各種の形成材から形成することができる。透明層は、例えば、樹脂材料を偏光子に塗布することにより形成することができるし、SiO等の無機酸化物を偏光子にスパッタリング法等により蒸着することで形成することもできる。透明層は、簡便に形成する観点から、樹脂材料から形成されることが好ましい。
透明層を形成する樹脂材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、PVA系樹脂、アクリル系樹脂等を挙げることができる。これら樹脂材料は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらの中でもポリウレタン系樹脂、PVA系樹脂からなる群から選択される1種以上が好ましく、PVA系樹脂がより好ましい。また、前記樹脂の形態は、水系、溶剤系のいずれでもよい。前記樹脂の形態は、水系樹脂が好ましい。これらの中でもポリビニルアルコール系樹脂を含有する形成材または水系エマルションを含有する形成材が好ましい。
透明層を形成する材料は、偏光子に浸透するものが好ましく用いられる。透明層を形成する材料としては、例えば、水溶性のポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする形成材が好ましい。
前記ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコールが挙げられる。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られる。また、ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のケン化物が挙げられる。前記共重合性を有する単量体がエチレンの場合には、エチレン−ビニルアルコール共重合体が得られる。また、前記共重合性を有する単量体としては、(無水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸およびそのエステル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸(ソーダ)、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。これらポリビニルアルコール系樹脂は一種を単独で又は二種以上を併用することができる。耐湿熱性や耐水性を満足させる観点から、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたポリビニルアルコールが好ましい。
前記ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、例えば、95モル%以上のものを用いることができるが、耐湿熱性や耐水性を満足させる観点からは、ケン化度は99モル%以上が好ましく、さらには99.7モル%以上が好ましい。ケン化度は、ケン化によりビニルアルコール単位に変換され得る単位の中で、実際にビニルアルコール単位にケン化されている単位の割合を表したものであり、残基はビニルエステル単位である。ケン化度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。
前記ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、例えば、500以上のものを用いることができるが、耐湿熱性や耐水性を満足させる観点からは、平均重合度は、1000以上が好ましく、さらには1500以上が好ましく、さらには2000以上が好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度はJIS−K6726に準じて測定される。
また前記ポリビニルアルコール系樹脂としては、前記ポリビニルアルコールまたはその共重合体の側鎖に親水性の官能基を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂を用いることができる。前記親水性の官能基としては、例えば、アセトアセチル基、カルボニル基等が挙げられる。その他、ポリビニルアルコール系樹脂をアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化等した変性ポリビニルアルコールを用いることができる。
透明層は、硬化性成分を含有しない形成材から形成することができる。例えば前記ポリビニルアルコール系樹脂(PVA系樹脂)を主成分として含有する形成材から形成することができる。透明層を形成するポリビニルアルコール系樹脂は、「ポリビニルアルコール系樹脂」である限り、偏光子が含有するポリビニルアルコール系樹脂と同一でも異なってもいてもよい。
前記ポリビニルアルコール系樹脂を主成分として含有する形成材には、硬化性成分(架橋剤)等を含有することができる。透明層または形成材(固形分)中のポリビニルアルコール系樹脂の割合は、80重量%以上であるのが好ましく、さらには90重量%以上、さらには95重量%以上であるのが好ましい。但し、前記形成材には、硬化性成分(架橋剤)を含有しないことが好ましい。
架橋剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂と反応性を有する官能基を少なくとも2つ有する化合物を使用できる。たとえば、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレン基とアミノ基を2個有するアルキレンジアミン類;トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびこれらのケトオキシムブロック物またはフェノールブロック物等のイソシアネート類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジまたはトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等のエポキシ類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等のモノアルデヒド類;グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒド等のジアルデヒド類;メチロール尿素、メチロールメラミン、アルキル化メチロール尿素、アルキル化メチロール化メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物等のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂;アジピン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどのジカルボン酸ジヒドラジド;エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジンなどの水溶性ジヒドラジン;更にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、ニッケル等の二価金属、又は三価金属の塩及びその酸化物があげられる。これらのなかでもアミノ−ホルムアルデヒド樹脂や水溶性ジヒドラジンが好ましい。アミノ−ホルムアルデヒド樹脂としてはメチロール基を有する化合物が好まし。なかでもメチロール基を有する化合物である、メチロールメラミンが特に好適である。
前記硬化性成分(架橋剤)は、耐水性向上の観点から用いることができるが、その割合は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、20重量部以下、10重量部以下、5重量部以下であるのが好ましい。
前記形成材は、前記ポリビニルアルコール系樹脂を溶媒に溶解させた溶液として調整される。溶媒としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドN−メチルピロリドン、各種グリコール類、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類が挙げられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、溶剤として水を用いた水溶液として用いるのが好ましい。前記形成材(例えば水溶液)における、前記ポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、特に制限はないが、塗工性や放置安定性等を考慮すれば、0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。
また、透明層の形成には、水系エマルション樹脂を含む形成材を好ましく用いることができる。ここで水系エマルション樹脂とは、水(分散媒)中に乳化している樹脂粒子のことである。前記水系エマルション樹脂は、モノマー成分を、乳化剤の存在下に乳化重合することにより得ることができる。透明層は、前記水系エマルション樹脂を含むエマルションを含む透明層形成材を偏光子に直接塗布し、乾燥することで形成することができる。
前記水系エマルション樹脂を構成する樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、本発明では、光学的透明性に優れ、耐候性や耐熱性等に優れる点から、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
その他、透明層は、硬化性成分を含有する硬化型形成材から形成することができる(硬化型形成材の硬化物である)。硬化性成分としては、電子線硬化型、紫外線硬化型、可視光線硬化型等の活性エネルギー線硬化型と熱硬化型に大別することができる。さらには、紫外線硬化型、可視光線硬化型は、ラジカル重合硬化型とカチオン重合硬化型に区分出来る。本発明において、波長範囲10nm〜380nm未満の活性エネルギー線を紫外線、波長範囲380nm〜800nmの活性エネルギー線を可視光線として表記する。前記ラジカル重合硬化型の硬化性成分は、熱硬化型の硬化性成分として用いることができる。
≪ラジカル重合硬化型形成材≫
前記硬化性成分としては、例えば、ラジカル重合性化合物が挙げられる。ラジカル重合性化合物は、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の炭素−炭素二重結合のラジカル重合性の官能基を有する化合物が挙げられる。これら硬化性成分は、単官能ラジカル重合性化合物または二官能以上の多官能ラジカル重合性化合物のいずれも用いることができる。また、これらラジカル重合性化合物は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらラジカル重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好適である。なお、本発明において、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を意味し、「(メタ)」は以下同様の意味である。
また、前記透明層を形成する材料として、例えば、シアノアクリレート系形成材、エポキシ系形成材、またはイソシアネート系形成材を用いることができる。
<粘着剤層>
粘着剤層の形成には、適宜な粘着剤を用いることができ、その種類について特に制限はない。粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤などがあげられる。
これら粘着剤のなかでも、光学的透明性に優れ、適宜な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく使用される。このような特徴を示すものとしてアクリル系粘着剤が好ましく使用される。
粘着剤層を形成する方法としては、例えば、前記粘着剤を剥離処理したセパレータなどに塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を形成した後に、図2(A)の態様では偏光子(または図2(B)の態様では保護フィルム)に転写する方法、または図2(A)の態様では偏光子(または図2(B)の態様では保護フィルム)に前記粘着剤を塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を偏光子に形成する方法などにより作製される。なお、粘着剤の塗布にあたっては、適宜に、重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
剥離処理したセパレータとしては、シリコーン剥離ライナーが好ましく用いられる。このようなライナー上に本発明の粘着剤を塗布、乾燥させて粘着剤層を形成する工程において、粘着剤を乾燥させる方法としては、目的に応じて、適宜、適切な方法が採用され得る。好ましくは、上記塗布膜を過熱乾燥する方法が用いられる。加熱乾燥温度は、好ましくは40℃〜200℃であり、さらに好ましくは、50℃〜180℃であり、特に好ましくは70℃〜170℃である。加熱温度を上記の範囲とすることによって、優れた粘着特性を有する粘着剤を得ることができる。
乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、好ましくは5秒〜20分、さらに好ましくは5秒〜10分、特に好ましくは、10秒〜5分である。
粘着剤層の形成方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などの方法があげられる。
粘着剤層の厚さは、特に制限されず、例えば、1〜100μm程度である。好ましくは、2〜50μm、より好ましくは2〜40μmであり、さらに好ましくは、5〜35μmである。
前記粘着剤層が露出する場合には、実用に供されるまで剥離処理したシート(セパレータ)で粘着剤層を保護してもよい。
セパレータの構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルム、紙、布、不織布などの多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体などをあげることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
そのプラスチックフィルムとしては、前記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどがあげられる。
前記セパレータの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは5〜100μm程度である。前記セパレータには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理もすることもできる。特に、前記セパレータの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの剥離処理を適宜おこなうことにより、前記粘着剤層からの剥離性をより高めることができる。
<表面保護フィルム>
片保護偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルムには、表面保護フィルムを設けることができる。表面保護フィルムは、通常、基材フィルムおよび粘着剤層を有し、当該粘着剤層を介して偏光子を保護する。
表面保護フィルムの基材フィルムとしては、検査性や管理性などの観点から、等方性を有する又は等方性に近いフィルム材料が選択される。そのフィルム材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂のような透明なポリマーがあげられる。これらのなかでもポリエステル系樹脂が好ましい。基材フィルムは、1種または2種以上のフィルム材料のラミネート体として用いることもでき、また前記フィルムの延伸物を用いることもできる。基材フィルムの厚さは、一般的には、500μm以下、好ましくは10〜200μmである。
表面保護フィルムの粘着剤層を形成する粘着剤としては、(メタ)アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとする粘着剤を適宜に選択して用いることができる。透明性、耐候性、耐熱性などの観点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。粘着剤層の厚さ(乾燥膜厚)は、必要とされる粘着力に応じて決定される。通常1〜100μm程度、好ましくは5〜50μmである。
なお、表面保護フィルムには、基材フィルムにおける粘着剤層を設けた面の反対面に、シリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの低接着性材料により、剥離処理層を設けることができる。
<他の光学層>
本発明の片保護偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルムは、実用に際して他の光学層と積層した光学フィルムとして用いることができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4などの波長板を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置などの形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、本発明の片保護偏光フィルムに更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光フィルムまたは半透過型偏光フィルム、偏光フィルムに更に位相差板が積層されてなる楕円偏光フィルムまたは円偏光フィルム、偏光フィルムに更に視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光フィルム、あるいは偏光フィルムに更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光フィルムが好ましい。
片保護偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルムに上記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置などの製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業などに優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着剤層などの適宜な接着手段を用いうる。上記の粘着剤層付偏光フィルムやその他の光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
本発明の片保護偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルムまたは光学フィルムは液晶表示装置、有機EL表示装置などの各種画像表示装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと粘着剤層付偏光フィルムまたは光学フィルム、及び必要に応じての照明システムなどの構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による、片保護偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルムまたは光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばIPS型、VA型などの任意なタイプのものを用いうるが、特にIPS型に好適である。
液晶セルの片側又は両側に片保護偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルムまたは光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による粘着剤層付偏光フィルムまたは光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に片保護偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルムまたは光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
以下に、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明は以下に示した実施例に制限されるものではない。なお、各例中の部および%はいずれも重量基準である。以下に特に規定のない室温放置条件は全て23℃65%RHである。
<偏光子A1の作製>
吸水率0.75%、Tg75℃の非晶質のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(IPA共重合PET)フィルム(厚み:100μm)基材の片面に、コロナ処理を施し、このコロナ処理面に、ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(重合度1200、アセトアセチル変性度4.6%、ケン化度99.0モル%以上、日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ200」)を9:1の比で含む水溶液を25℃で塗布および乾燥して、厚み11μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
得られた積層体を、120℃のオーブン内で周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に2.0倍に自由端一軸延伸した(空中補助延伸処理)。
次いで、積層体を、液温30℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴に、偏光板が所定の透過率となるようにヨウ素濃度、浸漬時間を調整しながら浸漬させた。本実施例では、水100重量部に対して、ヨウ素を0.2重量部配合し、ヨウ化カリウムを1.0重量部配合して得られたヨウ素水溶液に60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温30℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を3重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(水100重量部に対して、ホウ酸を3.75重量部配合し、ヨウ化カリウムを5重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸処理)。
その後、積層体を液温30℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
以上により、厚み5μmの偏光子A1を含む光学フィルム積層体A1を得た。得られた偏光子A1の光学特性は、透過率42.8%、偏光度99.99%であった。
<偏光子A2の作製>
上記の偏光子A1の作製において、厚み15μmのPVA系樹脂層を形成したこと以外は偏光子A1の作製方法と同様にして、偏光子A2を含む光学フィルム積層体A2を得た。得られた偏光子A2の厚みは7μmであった。得られた偏光子A2の光学特性は、透過率42.8%、偏光度99.99%であった。
<偏光子B(厚さ12μmの偏光子)の作製>
平均重合度2400、ケン化度99.9モル%の厚み30μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の温水中に60秒間浸漬し膨潤させた。次いで、ヨウ素/ヨウ化カリウム(重量比=0.5/8)の濃度0.3%の水溶液に浸漬し、3.5倍まで延伸させながらフィルムを染色した。その後、65℃のホウ酸エステル水溶液中で、総延伸倍率が6倍となるように延伸を行った。延伸後に、40℃のオーブンにて3分間乾燥を行い、PVA系偏光子Bを得た。得られた偏光子Bの厚みは12μmであった。得られた偏光子Bの光学特性は、透過率42.8%、偏光度99.99%であった。
<保護フィルム(1)の作製)
特開2010−284840号公報の製造例1に記載のイミド化MS樹脂100重量部およびトリアジン系紫外線吸収剤(アデカ社製,商品名:T−712)0.62重量部を、2軸混練機にて220℃にて混合し、樹脂ペレットを作製した。得られた樹脂ペレットを、100.5kPa、100℃で12時間乾燥させ、単軸の押出機にてダイス温度270℃でTダイから押出してフィルム状に成形した(厚み160μm)。さらに当該フィルムを、その搬送方向に150℃の雰囲気下に延伸し(厚み80μm)、次いでフィルム搬送方向と直交する方向に150℃の雰囲気下に延伸して、厚み40μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルムの保護フィルム(1)を得た。得られた保護フィルム(1)の波長380nmの光の透過率は8.5%、面内位相差Reは0.4nm、厚み方向位相差Rthは0.78nmであった。また得られた基材フィルムAの透湿度は、61g/m2・24hrであった。なお、光透過率は、日立ハイテク(株)社製の分光光度計(装置名称;U−4100)を用いて波長範囲200nm〜800nmで透過率スペクトルを測定し、波長380nmにおける透過率を読み取った。また、位相差値は、王子計測機器(株)製 商品名「KOBRA21−ADH」を用いて、波長590nm、23℃で測定した。透湿度は、JIS K 0208に準じた方法により、温度40℃、相対湿度92%の条件で測定した。
<保護フィルム(2)の作製>
厚み40μmのラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂フィルムの易接着処理面にコロナ処理を施して用いた。
<保護フィルム(3)の作製>
塗工液に含まれる樹脂として、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(日本合成化学工業(株)製,商品名「UV1700B」,固形分100%)70重量部、および、ペンタエリストールトリアクリレートを主成分とする多官能アクリレート(大阪有機化学工業(株)製,商品名「ビスコート#300」、固形分100%)30重量部を準備した。前記樹脂の樹脂固形分100重量部あたり、前記粒子としてアクリルとスチレンの共重合粒子(積水化成品工業(株)製、商品名「テクポリマー」、重量平均粒径:3.0μm、屈折率:1.52)を2重量部、前記チキソトロピー付与剤として有機粘土である合成スメクタイト(コープケミカル(株)製,商品名「ルーセンタイトSAN」)を0.4重量部、光重合開始剤(BASF社製、商品名「IRGACURE907」)を3重量部、レベリング剤(DIC(株)製,商品名「GRANDIC PC4100」、固形分10%)を0.5重量部混合した。なお、前記有機粘土は、トルエンで固形分が6%になるよう希釈して用いた。この混合物を、固形分濃度が50重量%となるように、トルエン/シクロペンタノン(CPN)混合溶媒(重量比80/20)で希釈して、超音波分散機を用いて、塗工液を調製した。透光性基材として、上記で得られた保護フィルム(1)上に、硬化後のハードコートの厚みが7.0μmになるように塗膜を形成した。次いで、90℃で2分間乾燥し、その後、高圧水銀ランプにて積算光量300mJ/cm2の紫外線を照射し、上記塗膜を硬化処理して、アンチグレア処理層を有する保護フィルム(3)を得た。
<保護フィルム(4)の作製>
UV硬化型フッ素系樹脂(JSR(株)製,商品名「JUA−204」、固形分濃度:10.0重量%、希釈溶剤:メチルイソブチルケトン(MIBK))を使用し、固形分濃度が1.70%になるようにMIBKで希釈し、反射防止層形成用塗工液を調製した。次いで、上記で得られたアンチグレア処理層を有する保護フィルム(3)のアンチグレア処理層側の面にワイヤーバーを用いて前記反射防止層形成用塗工液を塗布し、硬化後の低反射処理層(反射防止層)の厚みが0.1μmになるように塗膜を形成した。次いで、60℃で1分間乾燥し、その後、高圧水銀ランプにて積算光量300mJ/cmの紫外線を照射し、上記塗膜を硬化処理して、低反射処理層を有する保護フィルム(4)を得た。
<保護フィルム(5)の作製>
ウレタンアクリレートを主成分とする紫外線硬化型樹脂モノマー又はオリゴマーが酢酸ブチルに溶解された樹脂溶液(DIC(株)製,商品名「ユニディック17−806」。固形分濃度80%)に、その溶液中の固形分100部当たり、光重合開始剤(チバ・ジャパン(株)製、製品名「IRGACURE907」)を5部、レベリング剤(DIC(株)製、製品名「GRANDIC PC4100」)を0.01部添加した。上記溶液中の固形分濃度が36%となるように、上記配合液にシクロペンタノン(以下、「CPN」と記す)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、「PGM」と記す)を45:55の比率で加えた。このようにしてハードコート層を形成するためのハードコート層形成材料を作製した。上記ハードコート層形成材料を、上記で得られた保護フィルム(1)上に、硬化後のハードコートの厚みが7.5μmになるように塗膜を形成した。次いで、90℃で1分間乾燥し、その後、高圧水銀ランプにて積算光量300mJ/cm2の紫外線を照射し、上記塗膜を硬化処理して、ハードコート層を有する保護フィルム(5)を得た。
<保護フィルムに適用する接着剤の作製>
N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)40重量部とアクリロイルモルホリン(ACMO)60重量部と光開始剤「IRGACURE 819」(BASF社製)3重量部を混合し、紫外線硬化型接着剤を調製した。
<透明層の形成材:ポリビニルアルコール(PVA)系形成材>
重合度2500、ケン化度99.0モル%のポリビニルアルコール樹脂を純水に溶解し、固形分濃度4重量%の水溶液を調製した。
<粘着剤層の形成>
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル100部、アクリル酸3部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.1部および2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.3部を酢酸エチルと共に加えて溶液を調製した。次いで、この溶液に窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、55℃で8時間反応させて、重量平均分子量220万のアクリル系ポリマーを含有する溶液を得た。さらに、このアクリル系ポリマーを含有する溶液に、酢酸エチルを加えて固形分濃度を30%に調整したアクリル系ポリマー溶液を得た。
前記アクリル系ポリマー溶液の固形分100部に対して、架橋剤として、0.5部のイソシアネート基を有する化合物を主成分とする架橋剤(日本ポリウレタン(株)製,商品名「コロネートL」)と、シランカップリング剤として、0.075部のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製,商品名「KMB−403」)とをこの順に配合して、粘着剤溶液を調製した。上記粘着剤溶液を、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)からなる離型シート(セパレータ)の表面に、乾燥後の厚みが25μmになるように塗布し、乾燥して、粘着剤層を形成した。
実施例1
(片保護偏光フィルムA1の作製)
上記光学フィルム積層体の偏光子A1の表面に、上記紫外線硬化型接着剤を硬化後の接着剤層の厚みが0.5μmとなるように塗布しながら、上記保護フィルムを貼合せたのち、活性エネルギー線として、紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。紫外線照射は、ガリウム封入メタルハライドランプ、照射装置:Fusion UV Systems,Inc社製のLight HAMMER10、バルブ:Vバルブ、ピーク照度:1600mW/cm、積算照射量1000/mJ/cm(波長380〜440nm)を使用し、紫外線の照度は、Solatell社製のSola−Checkシステムを使用して測定した。次いで、非晶性PET基材を剥離し、薄型偏光子を用いた片保護偏光フィルムA1作製した。
(透明層付の片保護偏光フィルムの作製)
上記片保護偏光フィルムA1の偏光子の面(保護フィルムが設けられていない偏光子面)に、上記PVA系形成材をワイヤーバーコーターを用いて、厚み1μmになるように塗工した後、80℃で30秒間熱風乾燥して、透明層を形成して、透明層付の片保護偏光フィルムの作製を作製した。
<粘着剤層付偏光フィルムの作製>
次いで、片保護偏光フィルムに形成した透明層に、上記離型シート(セパレータ)の剥離処理面に形成した粘着剤層を貼り合わせて、粘着剤層付偏光フィルムを作製した。
実施例2〜7、比較例1〜3
実施例1において、偏光子の種類(厚み)、透明層の形成材、厚みを表1に示すように変えたこと以外は、実施例1と同様にして、片保護偏光フィルム、透明層付の片保護偏光フィルムおよび粘着剤層付偏光フィルムを作製した。なお、比較例1、3では、透明層は形成していない。
上記実施例および比較例で得られた粘着剤層付偏光フィルムについて下記評価を行った。結果を表1に示す。下記評価は特記のない限り全て23℃65%RHの条件である。
<偏光子の単体透過率Tおよび偏光度P>
得られた片保護偏光フィルムの単体透過率Tおよび偏光度Pを、積分球付き分光透過率測定器(村上色彩技術研究所のDot−3c)を用いて測定した。
なお、偏光度Pは、2枚の同じ偏光フィルムを両者の透過軸が平行となるように重ね合わせた場合の透過率(平行透過率:Tp)および、両者の透過軸が直交するように重ね合わせた場合の透過率(直交透過率:Tc)を以下の式に適用することにより求められるものである。偏光度P(%)={(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
各透過率は、グランテラープリズム偏光子を通して得られた完全偏光を100%として、JIS Z8701の2度視野(C光源)により視感度補整したY値で示したものである。
<偏光子中のホウ酸含有量の測定>
実施例および比較例で得られた偏光子について、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)(Perkin Elmer社製、商品名「SPECTRUM2000」)を用いて、偏光を測定光とする全反射減衰分光(ATR)測定によりホウ酸ピーク(665cm−1)の強度および参照ピーク(2941cm−1)の強度を測定した。得られたホウ酸ピーク強度および参照ピーク強度からホウ酸量指数を下記式により算出し、さらに、算出したホウ酸量指数から下記式によりホウ酸含有量(重量%)を決定した。
(ホウ酸量指数)=(ホウ酸ピーク665cm−1の強度)/(参照ピーク2941cm−1の強度)
(ホウ酸含有量(重量%))=(ホウ酸量指数)×5.54+4.1
(動摩擦係数の測定)
上記で得られた粘着剤層付偏光フィルムの保護フィルム側の動摩擦係数を下記の測定装置を用いて、下記の条件で測定した。
測定装置:HEIDON−TYPE14D
測定条件
移動速度:300mm/min
移動距離:100mm
荷重 :500g
感度切換:OUTPUT 25%
先端材質:ギターピック(HISTORY社製,型番「HP2H(HARD)」)
ガラス板に、粘着剤層付偏光フィルム(50mm×150mm、吸収軸方向が50mm)を貼り合わせて、保護フィルム側を上側にした。次いで、保護フィルム上をギターピックにて100mm平行移動する際にかかる力F(kgf)を測定し、下記式から動摩擦係数を算出した。なお、算出に使用した数値は測定結果の安定した30mm分の数値を採用した。
動摩擦係数μ=動摩擦力F(kgf)/荷重0.5(kgf)
<80℃における圧縮弾性率の測定>
圧縮弾性率の測定にはTI900 TriboIndenter(Hysitron社製)を使用した。得られた透明層付き片保護偏光フィルム11を10mm×10mmのサイズに裁断しTriboIndenter備付の支持体に固定し、ナノインデンテーション法により圧縮弾性率の測定を行った。その際、使用圧子が透明層の中心部付近を押し込むように位置を調整した。測定条件を以下に示す。
使用圧子:Berkovich(三角錐型)
測定方法:単一押し込み測定
測定温度:80℃
押し込み深さ設定:100nm
(ナノスリットの発生抑制:ギターピック試験(1):表面保護フィルムなし>
得られた粘着剤層付偏光フィルムを、50mm×150mmのサイズ(吸収軸方向が50mm)に裁断したものをサンプル12とした。
図5(A)の概念図、図5(B)の断面図に示すように、基板20(縦65mm×横165mm×高さ2mm)上に、基板の長手方向と、前記裁断されたサンプル12における偏光子1の吸収軸に直交する方向(透過軸)が平行になるように配置した。サンプル12は、セパレータを剥がして粘着剤層4を基板20に貼り合わせて、保護フィルム2を上側に配置した。
次いで、サンプル12(保護フィルム2側)の中央部に対して、ギターピック(HISTORY社製、型番「HP2H(HARD)」)により荷重200gを掛けて、サンプル12における偏光子1の吸収軸に直交する方向に100mmの距離に50往復の荷重負荷を繰り返した。前記荷重負荷は、1箇所で行った。
次いで、サンプル12を80℃の環境下に1時間放置した後に、下記の基準により、サンプル12の光抜けのクラックの有無を確認した。
A:発生なし〜10個以下。
B:11〜50個。
C:51個〜100個。
D:101個〜500個
E:501〜1000個。
F:1001個以上。
(ナノスリットの発生抑制:ギターピック試験(2):表面保護フィルムあり>
得られた粘着剤層付偏光フィルムを、50mm×150mmのサイズ(吸収軸方向が50mm)に裁断したものをサンプル12とした。サンプル12は、保護フィルム2の側に、下記方法で作製した試験用の表面保護フィルム6を貼り合わせて用いた。サンプル12は、セパレータを剥がして粘着剤層4を基板20に貼り合わせて、表面保護フィルム6を上側に配置した。
(試験用の表面保護フィルム)
190℃におけるメルトフローレートが2.0g/10minである密度0.924g/cmの低密度ポリエチレンから成る基材成形材料を共押出用インフレーション成形機に供給した。
同時に230℃におけるメルトフローレートが10.0g/10minである密度0.86g/cmのプロピレン−ブテン共重合体(質量比でプロピレン:ブテン=85:15、アタクチック構造)から成る粘着成形材料とをダイス温度が220℃であるインフレーション成形機に供給して共押出成形を行った。
これにより、厚み33μmの基材層と厚み5μmの粘着剤層とから成る表面保護フィルムを製造した。
図5(A)の概念図、図5(C)の断面図に示すように、基板20(縦65mm×横165mm×高さ2mm)上に、基板の長手方向と、前記裁断されたサンプル12における偏光子1の吸収軸に直交する方向(透過軸)が平行になるように配置した。サンプル12は、表面保護フィルム6を上側に配置した。
次いで、サンプル12(表面保護フィルム6側)の中央部に対して、ギターピック(HISTORY社製、型番「HP2H(HARD)」)により荷重200gを掛けて、サンプル12における偏光子1の吸収軸に直交する方向に100mmの距離に50往復の荷重負荷を繰り返した。前記荷重負荷は、1箇所で行った。
次いで、サンプル12を80℃の環境下に1時間放置した後に、下記の基準により、サンプル12の光抜けのクラックの有無を確認した。
A:100個以下発生なし。
B:101〜500個。
C:501個から1000個。
D:1001個以上。
<ナノスリットの拡張抑制:ロックンロール試験>
この試験に際しては、実施例および比較例において、下記方法により、透明層を形成する前の片保護偏光フィルム10の偏光子1にスクラッチを入れた。その後に、透明層付の片保護偏光フィルム11を作製した。
そして、当該透明層付の片保護偏光フィルム11を80℃の環境下に1時間放置した後に、下記の基準により、サンプル11の光抜けのクラックの有無を確認した。
A:発生なし。
B:発生。
C:評価できない(透明樹脂層を形成する前の片保護偏光フィルムの偏光子にナノスリットが発生しなかった)。
≪スクラッチの入れ方≫
得られた片保護偏光フィルム10を、50mm×150mmのサイズ(吸収軸方向が50mm)に裁断した。サンプル10は、保護フィルム2の側に、試験用の表面保護フィルム6(上記同様の試験用の表面保護フィルム)を貼り合わせて用いた。
図5(D)の概念図、図5(E)の断面図に示すように、基板20(縦65mm×横165mm×高さ2mm)上に、縦25mm×横150mm×高さ5mmの2つのガラス支持台21を、それらの内側の間隔が115mmになるように平行に設置
した。当該2つのガラス支持台の長手方向と、前記裁断されたサンプル10における偏光子1の吸収軸に直交する方向が平行になるように、かつ、2つのガラス支持台にサンプル11の両側が均等に架かるようにサンプル10を配置した。サンプル10は、表面保護フィルム6を上側に配置した。
次いで、サンプル10(表面保護フィルム6側)の中央部に対して、ギターピック(HISTORY社製、型番「HP2H(HARD)」)により荷重100gを掛けて、サンプル10における偏光子1の吸収軸に直交する方向に100mmの距離に10往復の荷重負荷を繰り返して、偏光子1の表面にスクラッチを付けた。前記荷重負荷は、1箇所で行った。なお、ナノスリットが発生しているか否かは目視で確認した。
図6は、粘着剤層付偏光フィルム12のギターピック試験における光抜けのクラック(ナノスリットa)、片保護偏光フィルム10または透明層付の片保護偏光フィルム11のロックンロール試験における光抜けのクラック(ナノスリットa)の確認の下記指標となるものであり、偏光フィルム表面の顕微鏡の写真の一例である。図6(A)では、ナノスリットaによる光抜けのクラックは確認されていない。一方、図6(B)は、加熱によってナノスリットaによる光抜けのクラックが偏光子の吸収軸方向に3個発生している場合である。図6は、ナノスリットが発生しているサンプルを微分干渉顕微鏡にて観察を行った。サンプルを撮影する際に、ナノスリットが発生しているサンプルの下側(透過光源側)にナノスリットが発生していないサンプルをクロスニコルになるようにセットして透過光にて観察を行った。
<貫通クラックの確認:ヒートショック試験>
得られた粘着剤層付偏光フィルムを、50mm×150mm(吸収軸方向が50mm)と150mm×50mm(吸収軸方向が150mm)に裁断し、0.5mm厚の無アルカリガラスの両面にクロスニコルの方向に貼り合せてサンプルを作成した。当該サンプルを、−40〜85℃のヒートショックを各30分間×100回の環境下に投入した後に、取り出して粘着剤層付偏光フィルムに貫通クラック(本数)が発生しているか否かを目視にて確認した。この試験を5回行った。評価は下記に従って行った。
〇:貫通クラックなし。
×:貫通クラックあり。
図7は、粘着剤層付偏光フィルム12の貫通クラックbの確認の指標となるものであり、偏光フィルム表面の顕微鏡の写真の一例である。図7は、貫通クラックが発生しているサンプルを微分干渉顕微鏡にて観察を行った。
1 偏光子
2、2´ 保護フィルム
x 表面処理層
3 透明層
4 粘着剤層
5、5a、5b セパレータ
6、6a、6b 表面保護フィルム
10 片保護偏光フィルム
11 片保護偏光フィルム(透明層付)
12 粘着剤層付偏光フィルム

Claims (10)

  1. 偏光子の片面にのみ保護フィルムを有する片保護偏光フィルムであって、
    前記偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有し、厚みが10μm以下であり、かつ、単体透過率T及び偏光度Pによって表される光学特性が、下記式
    P>−(100.929T−42.4−1)×100(ただし、T<42.3)、又は、
    P≧99.9(ただし、T≧42.3)の条件を満足するように構成されたものであり、
    前記偏光子の他の片面に、厚みが0.2μm以上3μm以下の透明層を有し、
    前記透明層は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する形成材の形成物であり、
    前記透明層は、80℃における圧縮弾性率が0.1GPa以上であり、
    かつ、前記保護フィルムを有する側の表面の動摩擦係数が0.2以下であることを特徴とする片保護偏光フィルム。
  2. 前記保護フィルムの表面に表面処理層を有することを特徴とする請求項1に記載の片保護偏光フィルム。
  3. 前記偏光子は、偏光子全量に対してホウ酸を20重量%以下で含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の片保護偏光フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の片保護偏光フィルム、および粘着剤層を有することを特徴とする粘着剤層付偏光フィルム。
  5. 前記片保護偏光フィルムの透明層に、前記粘着剤層が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の粘着剤層付偏光フィルム。
  6. 前記片保護偏光フィルムの保護フィルムに、前記粘着剤層が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の粘着剤層付偏光フィルム。
  7. 前記粘着剤層にセパレータが設けられていることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の粘着剤層付偏光フィルム。
  8. 巻回体であることを特徴とする請求項7に記載の粘着剤層付偏光フィルム。
  9. 請求項1〜3のいずれかに記載の片保護偏光フィルム、または請求項4〜6のいずれかに記載の粘着剤層付偏光フィルムを有する画像表示装置。
  10. 請求項8に記載の前記粘着剤層付偏光フィルムの巻回体から繰り出され、前記セパレータにより搬送された前記粘着剤層付偏光フィルムを、前記粘着剤層を介して画像表示パネルの表面に連続的に貼り合せる工程を含む画像表示装置の連続製造方法。
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