JP2020201126A - 細胞膜結合因子を用いた細胞検出法 - Google Patents

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【課題】 試料中に含まれる動物細胞の検出方法であって、当該動物細胞を、周辺環境に依存せず、高感度に検出可能な方法を提供すること。【解決手段】細胞膜結合因子を用いた動物細胞の検出方法であって、動物細胞を細胞膜結合因子と接触させる工程と、前記細胞膜結合因子を動物細胞内に取り込ませる工程と、動物細胞内に取り込まれた前記細胞膜結合因子を検出する工程と、を含む前記検出方法により、前記課題を解決する。【選択図】 図2

Description

本発明は、細胞検出方法に関する。特に本発明は、細胞膜結合因子を用いた、動物細胞検出方法に関する。
一般的に試料中に含まれる目的細胞を検出する場合、当該細胞内および/または細胞外に発現している抗原を認識する抗体を用いた免疫染色等を実施し検出する。なお、前記目的細胞のサイズや比重が特徴的である場合、あらかじめ当該サイズに基づく分離や密度勾配遠心による分離をした後に前述した免疫染色等する方法もある。また、前記目的細胞が発現しているmRNAに相補的な配列を有した、蛍光標識したオリゴヌクレオチドを細胞内に導入し、前記標識由来の蛍光によって前記目的細胞を検出する方法もある(非特許文献1)。
しかしながら、目的細胞が前記抗原を発現していても、染色後における当該目的細胞の周辺環境によっては、前記目的細胞の検出が困難なことがあった。例えば、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の検出を、当該細胞の表面タンパク質と親和性を有した蛍光標識レクチンであるrBC2LCN−FITC(富士フイルム和光製薬社製)による蛍光染色で行おうとした際、当該染色後の細胞の周辺環境のpHが低いとFITC由来の蛍光強度が低下し、検出が困難となった。またiPS細胞の検出を、多能性幹細胞マーカーであるTRA−1−60に対するAlexa Fluor 488(商品名)等で蛍光標識した抗体や前述したrBC2LCN−FITCによる蛍光染色で行おうとした際、当該染色後に電気伝導度の低い溶液(低塩濃度の溶液)にさらすと、検出が困難となった。したがって、目的細胞を、当該細胞染色後の周辺環境に依存せず、高感度に検出可能な系の構築が求められた。
Miki.K et.al.,「Efficient Detection and Purification of Cell Populations Using Synthetic MicroRNA Switches」;Cell Stem Cell;16(6),699−711(2015)
本発明の課題は、試料中に含まれる動物細胞の検出方法であって、当該動物細胞を、周辺環境に依存せず、高感度に検出可能な方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、造腫瘍性細胞が細胞膜の取り込み能力に優れることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は以下の通り例示できる。
[1] 細胞膜結合因子を用いた動物細胞の検出方法であって、動物細胞を細胞膜結合因子と接触させる工程と、前記細胞膜結合因子を動物細胞内に取り込ませる工程と、動物細胞内に取り込まれた前記細胞膜結合因子を検出する工程と、を含む前記検出方法。
[2] 動物細胞が造腫瘍性細胞である、[1]に記載の検出方法。
[3] 動物細胞が人工多能性幹細胞であり、細胞膜結合因子がBC2LCNまたは抗TRA−1−60抗体である、[2]に記載の検出方法。
[4] 動物細胞内に取り込まれた細胞膜結合因子を検出する工程を、当該動物細胞を保持可能な空間に保持した状態で検出する、[1]から[3]のいずれかに記載の検出方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の検出対象である動物細胞に特に限定はないが、細胞膜を細胞内に取り込む能力を有するものが好ましく、取り込み能力の高い細胞がより好ましい。細胞膜を細胞内に取り込む能力は検出対象動物細胞の種類によって異なると考えられることから、当該取り込み能力に基づき、検出対象動物細胞を同定することができるといえる。検出対象動物細胞の好ましい態様として、人工多能性幹細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞(ES細胞)といった、再生医療分野で用いられる造腫瘍性細胞が、細胞膜の取り込み能力に優れることから、あげられる。iPS細胞やES細胞より分化して得られる細胞医薬品中に、未分化のiPS細胞やES細胞が含まれていると、これら未分化細胞による、がん化のおそれがある。したがって、前記細胞医薬品中に、未分化のiPS細胞やES細胞が含まれていないかを、高感度(例えば、100万個の細胞中に1個の確率で未分化のiPS細胞やES細胞を検出可能な感度)で検出する必要がある。例えば、iPS細胞由来分化細胞と未分化iPS細胞が混在している場合に本発明の検出方法を適用すると、iPS細胞由来分化細胞と比較して未分化iPS細胞は細胞膜取り込み能力が高いため、細胞膜の取り込み現象を検出することで、未分化iPS細胞を高感度に検出することが可能となる。従って、本発明の方法は、前記高感度の検出を成し得る方法であり、細胞医薬品中の造腫瘍性細胞の検出に好ましい方法といえる。
本発明において細胞膜結合因子とは、検出対象動物細胞が有する細胞膜に結合する分子であれば、特に限定はない。細胞膜結合因子は細胞膜とともに細胞内に取り込まれる。取り込まれた細胞結合因子を検出することで、細胞膜の取り込み現象を検出することができる。細胞内に取り込まれた細胞膜結合因子を検出対象とすると、細胞表面の細胞膜結合因子を検出対象とするよりも、細胞周辺の環境からの影響を受けにくい点からも、検出方法として優れる。細胞膜結合因子の一例として、検出対象動物細胞が有する細胞膜に局在する脂質や糖鎖、前記細胞膜タンパク質に結合可能な抗体やリガンド、長い側鎖を有しリン脂質と親和性が高く前記細胞膜に挿入可能な一般的な細胞膜染色試薬、が挙げられる。具体例として、検出対象動物細胞がiPS細胞である場合の、細胞膜結合因子の好ましい態様として、iPS細胞膜タンパク質と親和性を有したレクチンであるBC2LCNや、iPS細胞など多能性幹細胞のマーカーであるTRA−1−60に対する抗体があげられる。また検出対象動物細胞が、iPS細胞などの造腫瘍性細胞である場合、細胞膜結合因子として、長い側鎖を有しリン脂質と親和性が高く前記細胞膜に挿入可能な細胞膜染色試薬である、PKH26(シグマアルドリッチ社製)を利用することができる。PKH26を利用する場合は、PKH26で細胞膜を染色した後、細胞内に取り込まれたか否かで判別することによって造腫瘍性細胞の検出にも利用できる。
動物細胞を細胞膜結合因子を含む溶液にさらす工程は、前記結合因子を一般的な細胞染色に用いるPBS(Phosphate buffered salts)やHEPES(4−(2−HydroxyEthyl)−1−PiperazineEthaneSulfonic acid)を含む緩衝液で溶解して得られる溶液を用いてさらせばよい。前記結合因子の溶解に用いる溶媒、前記溶液にさらす時間などは、検出に用いる細胞膜結合因子の動物細胞への結合特性に応じ、適宜設定すればよい。なお前記溶液に、細胞膜結合因子の非特異的な吸着を抑制するために効果的なTween 20(商品名)(Polyoxyethylene(20) Sorbitan Monolaurate)などの界面活性剤や、BSA(Bovine serum albumin)などのタンパク質を適宜含ませてもよく、生細胞間の結合抑制に効果的なEDTA(EthyleneDiamine TetraAcetic acid)などのキレート剤を適宜含ませてもよい。
動物細胞に取り込まれた細胞膜結合因子を検出する工程は特に限定しない。例えば、細胞膜結合因子として蛍光標識した物質を使用した場合は、蛍光顕微鏡やフローサイトメーターなどを用いて当該標識した蛍光物質に基づき検出すればよく、細胞膜結合因子として抗体を用いた場合は、当該抗体に対する標識抗体で標識した後、前記標識に由来する蛍光または化学発光に基づき検出すればよい。
なお前記検出工程を、顕微鏡や光学検出器を用いて行なう場合、細胞膜結合因子を取り込んだ動物細胞を含む懸濁液を、前記細胞を保持可能な空間に保持した状態で検出すると操作簡便性の観点から好ましい。細胞を空間に保持する態様として、具体的に例示すれば、保持部を有した基板に導入し、前記保持部に前記細胞を保持した後、顕微鏡や光学検出器などで観察するとよい。保持部の例として、前記細胞を収納可能な孔や、前記細胞を固定可能な材料(例えば、ポリ−L−リジン)で覆われた面があげられる。なお保持部の大きさを前記細胞を一つだけ保持可能な大きさとすると、特定細胞の採取および解析(形態学的分析、組織型分析、遺伝子分析など)が容易に行なえる点で好ましい。また細胞を保持部に保持させる際、誘電泳動力を用いると、保持部に細胞を効率的に保持できる点で好ましい。誘電泳動力を用いる場合、具体的には、交流電圧を印加することで誘電泳動を発生させ、保持部内へ細胞を導入すればよい。印加する交流電圧は、保持部内の細胞の充放電が周期的に繰り返される波形を有した交流電圧であると好ましく、周波数を100kHzから3MHzの間とし、電界強度を1×10から5×10V/mの間とすると特に好ましい(WO2011/149032号および特開2012−013549号公報参照)。好ましい基板の一態様として、特開2010−013549号公報に開示の粒子固定用構造体があげられる。
本発明により、試料中に含まれる動物細胞を、当該細胞の周辺環境の影響を受けにくく、かつ/または高感度に検出できる。
実施例1の結果を示す図である。(A)は固定iPS細胞をrBC2LCN−FITCで染色後、0.5%(w/v)BSAと0.2mM EDTAを含むPBS(以下、Buffer A)にさらして観察した蛍光像であり、(B)は固定iPS細胞をrBC2LCN−FITCで染色後、低塩濃度溶液(7.5%(w/v)スクロース、0.3%(w/v)グルコース、0.6%(w/v)HEPESを含んだ水溶液)にさらして観察した蛍光像であり、(C)は未固定iPS細胞をrBC2LCN−FITCで染色後、Buffer Aにさらして観察した蛍光像であり、(D)は未固定iPS細胞をrBC2LCN−FITCで染色後、前記低塩濃度溶液にさらして観察した蛍光像である。 実施例2の結果を示す図である。(A)は室温で静置した未固定iPS細胞と未固定MRC−5細胞の蛍光像であり、(B)は細胞膜結合因子が取り込まれた細胞(集積細胞)の割合を示す結果である。(B)のうち、実線黒ひし形は未固定iPS細胞を室温でさらしたときの結果であり、点線黒ひし形は未固定iPS細胞を4℃でさらしたときの結果であり、実線白丸は未固定MRC−5細胞を室温でさらしたときの結果であり、点線白丸は未固定MRC−5細胞を4℃でさらしたときの結果である。 実施例3の結果を示す図である。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は当該例に限定されるものではない。
実施例1 細胞の周辺環境による蛍光標識細胞膜結合因子による染色比較
細胞としてiPS細胞を、細胞膜結合因子としてiPS細胞の表面タンパク質と親和性を有するBC2LCNをそれぞれ用い、染色後の周辺環境(塩濃度)の違いによる蛍光標識細胞膜結合因子による染色比較を行なった。
(1)未固定iPS細胞と固定iPS細胞の調製
(1−1)ヒトiPS細胞株である201B7株(iPSアカデミアジャパン社製)を、iMatrix(ニッピ社製)をコートしたポリスチレンプレート(培養基材)上で、StemFit AK02N培地(タカラバイオ社製)を用いて培養した。
(1−2)PBSで洗浄後、TrypLE select(Thermo Fisher社製)とVersene Solution(Thermo Fisher社製)との混合液を添加し、10分間37℃で静置することによって、培養基材よりiPS細胞を剥離した。
(1−3)剥離したiPS細胞を、StemFit AK02N培地にY−27632(富士フイルム和光純薬社製:濃度10μM)を添加した培地(以下、StemF+Y培地)で回収した。
(1−4)回収したiPS細胞を遠心(160×g、5分間)後、PBSで洗浄し、これを「未固定iPS細胞」とした。
(1−5)洗浄したiPS細胞をマイルドホルム10N(富士フイルム和光純薬社製)に30分間浸すことで固定し、PBSで2回洗浄した。この細胞を「固定iPS細胞」とした。
(2)蛍光標識rBC2LCNによる染色
(1−4)で作製した未固定iPS細胞、および(1−5)で作製した固定iPS細胞を、rBC2LCN−FITC(富士フイルム和光純薬社製)(1:100)とDAPI(4’,6−DiAmidino−2−PhenylIndole)(1:500)を含むBuffer A(0.5%(w/v)BSAと0.2mM EDTAを含むPBS)に60分間室温で浸し染色した。
(3)周辺環境条件の変化
以下に示す方法により、細胞染色後の周辺環境をBuffer Aから低塩濃度溶液に変化させた。
(3−1)低塩濃度溶液として、7.5%(w/v)スクロース、0.3%(w/v)グルコースおよび0.6%(w/v)HEPESを含む水溶液(水酸化カリウムでpH7.3に調整)を作製した。
(3−2)染色後のiPS細胞に、Buffer Aまたは(3−1)で作製した低塩濃度溶液を添加し、遠心(160×g、5分間)した。
(3−3)遠心後、上清を除去し、新たにBuffer Aまたは低塩濃度溶液を添加して遠心する洗浄作業を2回繰り返した。
(3−4)染色洗浄後のiPS細胞を蛍光顕微鏡(オリンパス社製:IX83)にて観察した。
結果(蛍光像)を図1に示す。固定iPS細胞に対しrBC2LCN−FITCによる染色を行なった場合、当該細胞の周辺環境をBuffer A(図1(A))から低塩濃度溶液(図1(B))に置換することで、当該細胞由来の蛍光が失われ、蛍光顕微鏡での観察が困難となった。一方、未固定iPS細胞に対しrBC2LCN−FITCによる染色を行なった場合、前記染色工程時にrBC2LCN−FITCがiPS細胞内に取り込まれるため、当該細胞の周辺環境をBuffer A(図1(C))から低塩濃度溶液(図1(D))に置換しても、当該細胞由来の蛍光は残存しており、蛍光顕微鏡での観察が容易になった。
実施例2 細胞膜結合因子の取り込み活性に基づく細胞識別(その1)
以下に示す方法により、細胞膜結合因子の取り込み活性の違いに基づく、iPS細胞と造腫瘍性を有しない他の細胞との識別を試みた。
(1)iPS細胞およびMCR−5細胞の調製
(1−1)未固定iPS細胞を、実施例1(1)に記載の方法で調製した。
(1−2)造腫瘍性を有しない細胞として、MRC−5細胞(ヒト胎児肺由来線維芽細胞:JCRB細胞バンクより分譲)を選択した。未固定MRC−5細胞は、10%(w/v)FBS(Fetal Bovine Serum)を含むDMEM(富士フイルム和光純薬社製)を用いて培養後、実施例1(1)に記載の未固定iPS細胞のときと同様の方法を用いて剥離など行ない、調製した。
(2)細胞染色
細胞膜染色キットPKH26を用いて細胞膜の染色を行なった。
(2−1)(1)で調製した、未固定iPS細胞および未固定MRC−5細胞を前記染色キット付属のDliuent C 100μLに懸濁した。
(2−2)終濃度が20μMとなるように調製した、PKH26を含むDliuent C 100μLを懸濁添加し、室温で3分間静置した。
(2−3)静置後、4℃に冷やしたStemF+Y培地を添加し、遠心(4℃,160×g、5分間)を行なった。
(2−4)遠心後、上清を除去し、4℃に冷やしたPBSを添加した。その後、室温または4℃で、30分間、60分間、もしくは90分間静置した。
(3)細胞観察
(2)で静置後の細胞懸濁液を96well MicroPlate(CORNING社製)に入れ、蛍光顕微鏡(オリンパス社製:IX83)にて観察し(対物レンズ20倍)、少なくとも、任意の3視野の画像(蛍光像)を取得した。
室温で90分間静置後の細胞染色結果(蛍光像)を図2(A)に示す。未固定iPS細胞では、細胞膜に挿入したPKH26が当該細胞内に取り込まれる様子が確認できた(図2(A)白矢印)。
また各温度(室温または4℃)および各静置時間(0分、30分間、60分間または90分間)で取得した画像から算出した、各視野における集積細胞の割合[%](100×[細胞膜結合因子が細胞内に取り込まれた細胞数]/[総細胞数])を、各温度(室温または4℃)および各細胞(iPS細胞、MRC−5細胞)毎に時系列でプロットしたグラフを図2(B)に示す。室温で静置した場合、細胞膜に挿入したPKH26を細胞内に取り込む細胞の割合(集積細胞の割合)は、MRC−5細胞に比べiPS細胞のほうが高いことが分かる(MRC−5細胞:14.8±3.2%,iPS細胞:56.8±6.5%)。この結果より、iPS細胞とMRC−5細胞とを、細胞内への細胞膜結合因子の取り込み活性の違いに基づき、識別できることが分かる。なお4℃で静置した場合は、iPS細胞内への細胞膜結合因子の取り込みが抑制されていることから、細胞膜結合因子の取り込みが細胞生理活性によることが分かる。
実施例3 細胞膜結合因子の取り込み活性に基づく細胞識別(その2)
以下に示す方法により、細胞膜結合因子の取り込み活性に基づく、造腫瘍性細胞と正常細胞との識別を試みた。
(1)細胞の調製
造腫瘍性細胞としてiPS細胞とPC−9細胞(ヒト肺腺癌細胞:免疫生物研究所より入手)を、造腫瘍性を有しない正常細胞としてTIG−3細胞(ヒト胎児肺由来線維芽細胞:JCRB細胞バンクより分譲)を、それぞれ選択した。未固定iPS細胞は、実施例1(1)に記載の方法で調製した。未固定PC−9細胞は10%(w/v)FBSを含むRPMI1640(富士フイルム和光純薬社製)、未固定TIG−3細胞は10%(w/v)FBSを含むαMEM(富士フイルム和光純薬社製)にて其々培養を行い、0.05% Trypsin+0.5mMEDTA溶液(富士フイルム和光純薬社製)を用いて細胞を剥離した。その後は実施例2(1)に記載の未固定MRC−5細胞の調製法と同様の方法で調製した。
(2)細胞染色
(2−1)細胞膜染色キットPKH26を用いて、実施例2(2−1)および(2−2)に記載の方法で細胞を染色後、室温でStemF+Y培地を添加し、遠心(室温、160×g、5分間)を行なった。
(2−2)遠心後、上清を除去した細胞に、室温でStemF+Y培地を添加し、室温で60分間静置した。
(2−3)静置後の細胞を、実施例2(3)と同様な方法で蛍光顕微鏡(オリンパス社製:IX83)を用いて観察した。
各視野における集積細胞の割合[%](100×[細胞膜結合因子が細胞内に取り込まれた細胞数]/[総細胞数])を、各細胞毎(iPS細胞、PC−9細胞、TIG−3細胞)で比較した結果を図3に示す。細胞膜に挿入したPKH26を細胞内に取り込む細胞の割合(集積細胞の割合)は、正常細胞(TIG−3細胞)に比べ造腫瘍性細胞(iPS細胞およびPC−9細胞)のほうが高いことが分かる(iPS細胞:74.9±6.9%,PC−9細胞:63.3±5.8%,TIG−3細胞:26.1±6.7%)。以上の結果から、細胞膜結合因子の取り込み活性の違いに基づく細胞識別は、iPS細胞に限らず、造腫瘍性細胞(iPS細胞やPC−9細胞など)と(造腫瘍性を有しない)正常細胞(MRC−5細胞やTIG−3細胞など)との識別に広く利用できることがわかる。

Claims (4)

  1. 細胞膜結合因子を用いた動物細胞の検出方法であって、動物細胞を細胞膜結合因子と接触させる工程と、前記細胞膜結合因子を動物細胞内に取り込ませる工程と、動物細胞内に取り込まれた前記細胞膜結合因子を検出する工程と、を含む前記検出方法。
  2. 動物細胞が造腫瘍性細胞である、請求項1に記載の検出方法。
  3. 動物細胞が人工多能性幹細胞であり、細胞膜結合因子がBC2LCNまたは抗TRA−1−60抗体である、請求項2に記載の検出方法。
  4. 動物細胞内に取り込まれた細胞膜結合因子を検出する工程を、当該動物細胞を保持可能な空間に保持した状態で検出する、請求項1から3のいずれかに記載の検出方法。
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