JP2020200609A - 日射遮蔽装置および日射遮蔽方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、建物の外壁面の温度上昇を抑制することを目的として、外壁に遮熱塗料を塗装するとともに、窓面に遮熱フィルムを貼着する場合がある。ところが、建物の外壁面に遮熱塗料を塗装した場合であっても、温度上昇の低減効果は小さく、節電効果は限定的であった。また、定期的に塗装を行う必要があるが、大規模な建物の外壁全面に対して塗装を行うためには、大規模な足場を形成する必要がある。そのため、遮熱塗料による遮熱方法は、メンテナンスや仮設工等に手間と費用がかかる。
特許文献1には、建物の外面に沿って配置された屋外用カーテンが開示されている。屋外用カーテンは、多段的に配装された柔軟性のある耐候性素材からなる。ところが、特許文献1の屋外用カーテンは、多段的に設置するため、着脱に手間がかかる。そのため、天候や時間帯にかかわらず、建物の外面が屋外用カーテンで覆われた状態となり、室内からの眺望が阻害されるとともに、建物の外観を損ねるおそれがある。
かかる日射遮蔽装置によれば、壁面(窓面も含む)に沿って設置された幕材により、壁面の温度上昇を効果的に抑制することができる。幕材は、日射センサの測定値に応じて上下動するため、時間帯や気候に応じて幕材の設置範囲が変動する。そのため、建物の外面が常に幕材により覆われることが防止されて、室内からの眺望や建物の外観への影響を最小限に抑えることができる。また、幕材の上下動は、制御手段により自動的に行われるため、幕材の設置範囲の調節に手間がかからない。
このとき、前記制御手段は、前記日射センサの測定値が閾値以上の場合に当該日射センサが設けられた階を前記幕材で覆うように前記幕材回収装置を制御し、前記日射センサの測定値が閾値未満の場合は当該日射センサが設けられた階が前記幕材で覆われることがないように前記幕材回収装置を制御するようにすればよい。このようにすれば、天候や時間帯等に応じて、必要カ所のみに対して幕材を自動的に設置することができる。
かかる日射遮蔽方法によれば、日射センサの測定結果に応じて幕材により外壁面を覆う範囲を決定するため、外壁面の温度上昇を効率的に抑制することができるとともに、幕材により覆われていない範囲については、室内からの眺望や建物の外観が損なわれることを最小限に抑えることができる。
本実施形態の日射遮蔽装置2は、図2に示すように、上部支持体3と、下部支持体4と、縦材5と、幕材6と、日射センサ7(図1参照)と、幕材回収装置8と、制御手段9とを備えている。本実施形態では、平面視直方体状の6階建ての建物1の南側の壁面11に対して日射遮蔽装置2を設置する場合について説明するが、建物1の形状や階数などは限定されるものではない。また、日射遮蔽装置2は、建物1の東側の壁面11や西側の壁面11に対しても設置することもできる。
基部31は、パイプ材を縦横に組み合わせることで直方体状(角柱状)を呈している。基部31には、幕材6を巻き付けるための幕材回収装置8が上載されている。
横材32は、建物1の屋上12からパラペット13の上方を超えて壁面11の外方に張り出している。横材32は、パラペット13の内側に配設された支柱33によって中間部が支持されている。なお、支柱33は、必要に応じて設置すればよく、横材32の長さや基部31の配置によっては省略してもよい。横材32には、幕材6を支持するための幕材ローラー34が回転可能に設けられている。なお、幕材ローラー34の配置や数は限定されるものではなく、適宜決定すればよい。
本実施形態の幕材6は、ポリエステル製のひもを組み合わせることにより形成されたネットからなる。なお、幕材6を構成するネットの網目の大きさは適宜決定すればよい。また、幕材6を構成する材料は限定されるものではないが、通気性を有しているのが望ましい。また、幕材6が設けられる壁面11が窓を有している場合には、建物1内から幕材6を通して外側を視認できる素材であるのが望ましい。
図3に示すように、幕材6の側縁(左右の縁)には、上下方向に所定の間隔で配設された複数のリング61が設けられている。リング61には、縦材5が挿通されている。リング61の内径は、幕材6を構成するひも(ネットの外縁を構成するひも)の外径と縦材5の外径との合計よりも大きい。すなわち、幕材6は、リング61を介して縦材5に係止されているとともに、縦材5に沿って上下動可能に構成されている。また、リング61を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、金属や樹脂により構成すればよい。
日射センサ7は、有線または無線により制御手段9に接続されていて、日射センサ7の測定結果が制御手段9に送信されるように構成されている。
制御手段9は、日射センサ7の測定値が閾値以上の場合に、当該日射センサ7が設けられた階(本実施形態では当該日射センサ7の上側)を幕材6で覆うように幕材回収装置8を制御する。一方、日射センサ7の測定値が閾値未満の場合は、当該日射センサ7が設けられた階(本実施形態では、一つ上の日射センサ7よりも下側の領域)が幕材6で覆われることがないように、幕材回収装置8を制御する。閾値は、建物1の地理的気候条件、近接する構造物との位置関係、季節等に応じて適宜決定する。
図4に示すように、制御手段9には、予め基本情報を入力しておく(S1)。基本情報には、建物1の所在地、建物1の規模(階数や幅等)、建物1の向き、照度閾値等がある。
次に、制御手段9が現在時刻を入手する(S3)。現在時刻を入手したら、日の出時刻と現在時刻とを比較する(S4)。現在時刻が日の出時刻よりも小さい場合(日の出時刻前の場合)には、動作を一度中断し、所定時間後(本実施形態では5分後)に再度現在時刻を入手する(S10)。一方、現在時刻が日の出時刻よりも大きい場合(日の出時刻後の場合)には、日の入時刻と現在時刻とを比較する(S5)。そして、現在時刻が日の入時刻後の場合は終了し、現在時刻が日の入時刻前の場合は、壁面11に設置された複数の日射センサ7の照度情報(測定結果)を一斉に入手する(S6)。日射センサ7の測定結果を入手したら、測定値と閾値とを比較する(S7)。本実施形態では、閾値を5000ルクスとする。なお、閾値は、季節や建物1の配置等に応じて適宜決定すればよい。例えば、夏季昼間の直達日射の照度は10万ルクス以上で、曇天時においても天空光の影響により1万ルクスを超える場合があるため、照度の閾値を1万ルクスに設定してもよい。一方、春秋季では、照度は小さくなるため、夏季よりも小さい5000ルクスに閾値を設定し、さらに照度が小さくなる冬季は閾値を3000ルクスに設定してもよい。
対象となる範囲(対象領域)を囲む四隅の日射センサ7のうちの少なくとも一つ(例えば、下側の二つのうちの一方)の日射センサ7の測定値が閾値(本実施形態では5000ルクス)以上の場合は、当該対象領域を幕材6により覆う(S8)。一方、四隅の日射センサ7の測定値がいずれも閾値(5000ルクス)を下回った場合は、幕材6を巻き取ることで、対象領域の壁面11を露出させる(S9)。日射センサ7の測定結果に応じて幕材6の上げ下げが完了したら、作業を中断し、5分後に再度現在時刻を入手する(S10)。
また、日射センサ7を、建物1の各階において、幕材6の左右に設けているため、日射センサ7の計測結果に応じて、幕材6を設置する領域を、天候や時間帯等に応じて、階毎に適宜決定できる。
幕材6は、縦材5により側縁が支持されているため、風荷重等に対して安定している。また、幕材6の着脱が容易なため、幕材6が劣化した場合の交換も容易である。また、幕材回収装置8を利用しているため、長尺の幕材6の回収作業および送り出し作業を簡易に行うことができる。
日射センサ7は、センサ取付材71を介して壁面11に沿って設けられているため、着脱が容易である。すなわち、センサ取付材71を回収することで、日射センサ7を撤去することができる。例えば、日射センサ7に不具合が生じた場合には、不具合が生じた日射センサ7が取り付けられたセンサ取付材71を回収して、日射センサ7の交換または修理を行えばよいため、仮設足場等を組み立てて日射センサ7の交換や修理を行う場合に比べて作業性に優れている。
例えば、前記実施形態では、幕材6にリング61を介して縦材5に取り付けられている場合について説明したが、リング61は必要に応じて設置すればよい。例えば、ネット状の幕材6の網目に縦材5を通す場合や、幕材6に形成された鳩目等に縦材5を通す場合には、リング61は省略してもよい。また、幕材6は、側端部のみが縦材5によって支持されている必要はない。例えば、幕材6の中央部において、縦材5によって支持されていてもよい。また、幕材6を構成する材料は、ネットに限定されるものではない。例えば、幕材6として、太陽光発電シートを使用してもよい。また、幕材6の縦材5への取付方法は、縦材5および幕材6の構成に応じて適宜決定すればよい。
日射センサ7の取付方法は限定されるものではなく、例えば、取付治具を介して壁面11に固定してもよい。また、日射センサ7の取付個所は、幕材6の左右に限定されるものではなく、例えば、幕材6の下端部に取り付けられていてもよい。また、日射遮蔽装置2に使用する日射センサ7は、指向性を有したものに限定されるものではない。
前記実施形態では、四つの日射センサ7により囲まれた領域に対して、下側の二つのうちの一方の日射センサ7の照度の測定値が閾値以上になった場合に、当該領域を幕材6で覆うものとしたが、幕材6を下ろし基準は適宜決定すればよい。例えば、四つの日射センサ7のうちの下側の二つの日射センサ7の測定値が閾値以上になった場合、または、四つの日射センサ7の全ての測定値が閾値以上になった場合に幕材6により覆うようにしてもよい。
前記実施形態では、幕用ドラムに巻き付けることで、幕材8を回収する場合について説明したが、幕材8の改修方法は限定されるものではない。例えば、幕材8を日射遮蔽装置2の上部において蛇腹状に折りたたむことで、幕材8を回収してもよい。
幕材8は、下端に錘を設置しておき、この錘の重量により下降させるものとしてもよいし、幕材の下端に取り付けたワイヤー等を介して下側に引っ張ることで下降させてもよい。幕材8を下側に引っ張る場合のワイヤーは、日射遮蔽装置2の下部(建物1の下部)から幕材8に引張力を付与してもよいし、日射遮蔽装置2の下部(建物1の下部)に設置された滑車を介して日射遮蔽装置2の上部(建物1の屋上12)から幕材8に引張力を付与してもよい。
11 壁面
12 屋上
2 日射遮蔽装置
3 上部支持体
31 基部
32 横材
4 下部支持体
5 縦材
6 幕材
7 日射センサ
8 幕材回収装置
9 制御手段
S 日陰
Claims (4)
- 建物の屋上から外方に張り出す上部支持体と、
前記上部支持体の下方において、前記建物の壁面よりも外方に配置された下部支持体と、
前記上部支持体と前記下部支持体との間に並設された複数の縦材と、
前記縦材同士の間において当該縦材に沿って上下動する幕材と、
前記壁面に設けられた複数の日射センサと、
前記幕材の送り出しまたは回収を行う幕材回収装置と、
前記幕材回収装置を制御する制御手段と、を備える日射遮蔽装置であって、
前記幕材は、前記縦材にガイドされており、
前記日射センサは、前記壁面に照射される光の明るさを測定し、
前記制御手段は、前記日射センサの測定結果に応じて、前記幕材回収装置による前記幕材の送り出しまたは回収を制御することを特徴とする、日射遮蔽装置。 - 前記日射センサは、前記建物の各階において、前記幕材の左右に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の日射遮蔽装置。
- 前記制御手段は、
前記日射センサの測定値が閾値以上の場合に、当該日射センサが設けられた階を前記幕材で覆うように前記幕材回収装置を制御し、
前記日射センサの測定値が閾値未満の場合は、当該日射センサが設けられた階が前記幕材で覆われることがないように前記幕材回収装置を制御することを特徴とする、請求項2に記載の日射遮蔽装置。 - 建物の壁面に沿って幕材を吊り下げることにより、前記壁面に照射される日光を遮蔽する日射遮蔽方法であって、
前記壁面には、前記幕材の吊り下げ範囲の左右に沿って複数段の日射センサが設けられており、
左右の前記日射センサのうちの少なくとも一方の前記日射センサによる測定値が閾値以上の場合に、当該日射センサよりも上側の範囲を前記幕材により覆うことを特徴とする、日射遮蔽方法。
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