JP2020200456A - 非フッ素系ポリマー、表面処理剤、撥水性繊維製品及び撥水性繊維製品の製造方法 - Google Patents

非フッ素系ポリマー、表面処理剤、撥水性繊維製品及び撥水性繊維製品の製造方法 Download PDF

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秀明 廣野
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晃司 小川
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Kohei Kawakami
耕平 川上
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Abstract

【課題】基材に十分な撥水性又は防汚性を付与することができる非フッ素系ポリマー、並びに、それを用いた表面処理剤、撥水性繊維製品、撥水性繊維製品の製造方法を提供すること。【解決手段】非フッ素系ポリマーは、下記一般式(A−1)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体(A−1)に由来する構成単位と、分子内に、ウレタン結合、ウレア結合及びチオウレタン結合からなる群より選択される1種以上の結合を合計で4以上有する重合性不飽和モノマー(U−1)に由来する構成単位と、を含有する。[式(A−1)中、R1は水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はメチル基を表し、R2は置換基を有していてもよい炭素数12以上の1価の炭化水素基を表す。]【選択図】なし

Description

本発明は、非フッ素系ポリマー、表面処理剤、撥水性繊維製品及び撥水性繊維製品の製造方法に関する。
従来、基材表面の撥水加工や防汚加工などに用いられる表面処理剤として、長鎖フルオロアルキル基を有する化合物が含まれるフッ素系表面処理剤が知られている。基材が繊維基材の場合には、繊維基材をフッ素系表面処理剤で処理することにより優れた撥水性が付与された撥水性繊維製品が得られる。
近年、使用される長鎖フルオロアルキル化合物の環境負荷の懸念が明らかとなってきたため、全くフッ素系化合物を含まずにフッ素系に匹敵する高性能な撥水性能或いは防汚性能を発現する非フッ素系表面処理剤が国際的に求められるようになってきた。
非フッ素系表面処理剤としては、パラフィン系撥水剤、シリコーン系撥水剤、アクリル樹脂系撥水剤などが知られており、性能の向上を図るための改良も行われている。例えば、下記特許文献1には、アミノ変性シリコーンと多官能イソシアネートとを併用した柔軟撥水剤が提案されている。また、下記特許文献2には、(メタ)アクリレートモノマーの共重合成分としてヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基及びイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーを重合して得られるアクリル樹脂を含む撥水剤が提案されている。
特開2004−59609号公報 特開2006−328624号公報
撥水性能又は防汚性能を更に高めた非フッ素系表面処理剤の要望は依然としてある。
本発明は、基材に十分な撥水性又は防汚性を付与することができる非フッ素系ポリマー、並びに、それを用いた撥水剤組成物、撥水性繊維製品及び撥水性繊維製品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、下記一般式(A−1)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体(A−1)に由来する構成単位と、分子内に、ウレタン結合、ウレア結合及びチオウレタン結合からなる群より選択される1種以上の結合を合計で4以上有する重合性不飽和モノマー(U−1)に由来する構成単位とを含有する非フッ素系ポリマーに関する。
Figure 2020200456

[式(A−1)中、Rは水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はメチル基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数12以上の1価の炭化水素基を表す。]
上記重合性不飽和モノマー(U−1)は、水酸基、アミノ基、イミノ基及びチオール基からなる群より選択される1種以上のイソシアネート反応性基を合計で2以上有する多官能性化合物(U−2)と、ポリイソシアネート化合物(U−3)とを反応させて得られる少なくとも2つのイソシアネート基を有するイソシアネート末端ポリマー(U−4)と、重合性不飽和基及びイソシアネート反応性基を有する化合物(U−5)との反応物であってもよい。
また、上記重合性不飽和モノマー(U−1)は、水酸基、アミノ基、イミノ基及びチオール基からなる群より選択される1種以上のイソシアネート反応性基を合計で2以上有する多官能性化合物(U−2)と、ポリイソシアネート化合物(U−3)とを反応させて得られる少なくとも2つのイソシアネート基を有するイソシアネート末端ポリマー(U−4)と、重合性不飽和基及びイソシアネート反応性基を有する化合物(U−5)と、イソシアネート反応性基を有し、重合性不飽和基を有さない化合物(U−6)との反応物であってもよい。
上記反応物の反応において、上記化合物(U−5)が有するイソシアネート反応性基の数と、上記化合物(U−6)が有するイソシアネート反応性基の数との割合が、モル比で95:5〜5:95であってもよい。
上記反応物の反応において、上記多官能性化合物(U−2)が有する上記イソシアネート反応性基の数と、上記ポリイソシアネート化合物(U−3)が有するイソシアネート基の数との割合が、モル比で40:100〜95:100であってもよい。
本発明の一側面は、上述した非フッ素系ポリマーを含む表面処理剤に関する。
上記表面処理剤は、ワックス類、シリコーン類、及び架橋剤のうちの1種以上を更に含むことができる。
上記表面処理剤は、撥水性又は防汚性を付与するために用いることができる。換言すれば、上記表面処理剤は、撥水剤又は防汚剤であってもよい。
本発明の一側面は、繊維基材と、該繊維基材に付着した上述した非フッ素系ポリマーとを有する撥水性繊維製品に関する。
本発明の一側面は、繊維基材を、上述した非フッ素系ポリマーが含まれる処理液に接触させる工程を備える撥水性繊維製品の製造方法に関する。
本発明によれば、基材に十分な撥水性又は防汚性を付与することができる非フッ素系ポリマー、並びに、それを用いた撥水剤組成物、撥水性繊維製品及び撥水性繊維製品の製造方法を提供することができる。
<表面処理剤>
本実施形態の表面処理剤は、下記一般式(A−1)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体(A−1)(以下、「(A−1)成分」ともいう。)に由来する構成単位と、分子内に、ウレタン結合、ウレア結合及びチオウレタン結合からなる群より選択される1種以上の結合を合計で4以上有する重合性不飽和モノマー(U−1)(以下、「(U−1)成分」ともいう。)に由来する構成単位とを含有する非フッ素系ポリマー(以降、本実施形態の非フッ素系ポリマーという)を含む。
Figure 2020200456

[式(A−1)中、Rは水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はメチル基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数12以上の1価の炭化水素基を表す。]
ここで、「(メタ)アクリル酸エステル」とは「アクリル酸エステル」又はそれに対応する「メタクリル酸エステル」を意味し、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリルアミド」等においても同義である。
[(A−1)成分]
(A−1)成分は、置換基を有していてもよい炭素数が12以上の1価の炭化水素基を有する。この炭化水素基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよく、更には脂環式又は芳香族の環状を有していてもよい。これらの中でも、直鎖状であるものが好ましく、直鎖状のアルキル基であるものがより好ましい。この場合、撥水性と防汚性がより優れるものとなる。炭素数12以上の1価の炭化水素基が置換基を有する場合、その置換基としては、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、ブロックドイソシアネート基及び(メタ)アクリロイルオキシ基等のうちの1種以上が挙げられる。本実施形態では、上記一般式(A−1)において、Rは無置換の炭化水素基であることが好ましい。
上記炭化水素基の炭素数は、12〜24であることが好ましい。炭素数が12未満であると、非フッ素系ポリマーを繊維製品等に付着させた場合、十分な撥水性と防汚性を発揮できない。一方、炭素数が24を超えると、炭素数が上記範囲にある場合と比較して、非フッ素系ポリマーを繊維製品等に付着させた場合、繊維製品の風合が粗硬になる傾向にある。
上記炭化水素基の炭素数は、12〜21であることがより好ましい。炭素数がこの範囲である場合は、撥水性、防汚性及び風合が特に優れるようになる。炭化水素基として特に好ましいのは、炭素数が12〜18の直鎖状のアルキル基である。
上記(A−1)成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ヘンエイコシル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸セリル、(メタ)アクリル酸メリシルが挙げられる。
上記(A−1)成分は、架橋剤と反応可能なヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基及びイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有することができる。この場合、得られる繊維製品の耐久撥水性を更に向上させることができる。イソシアネート基は、ブロック化剤で保護されたブロックドイソシアネート基を形成していてもよい。また、上記(A−1)成分がアミノ基を有する場合、得られる繊維製品の風合を更に向上させることができる。
上記(A−1)成分は、1分子内に重合性不飽和基を1つ有する単官能の(メタ)アクリル酸エステル単量体であることが好ましい。
上記(A−1)成分は、1種を単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非フッ素系ポリマーにおける(A−1)成分に由来する構成単位の含有量は、非フッ素系ポリマーを構成する単量体成分の全量に対する(A−1)成分の配合量が、30〜95質量%であってもよく、50〜90質量%であってもよい。
[(U−1)成分]
本実施形態にて使用される分子内に、ウレタン結合、ウレア結合及びチオウレタン結合からなる群より選択される1種以上の結合を合計で4以上有する重合性不飽和モノマー(U−1)は、水酸基、アミノ基、イミノ基及びチオール基からなる群より選択される1種以上のイソシアネート反応性基を合計で2以上有する多官能性化合物(U−2)(以下、「(U−2)成分」ともいう)と、ポリイソシアネート化合物(U−3)(以下、「(U−3)成分」ともいう)とを反応させて得られる少なくとも2つのイソシアネート基を有するイソシアネート末端ポリマー(U−4)(以下、「(U−4)成分」ともいう)と、重合性不飽和基及びイソシアネート反応性基を有する化合物(U−5)(以下、「(U−5)成分」ともいう)との反応物であってもよい。
[(U−2)成分]
(U−2)成分としては、(i)ポリオール化合物、(ii)ポリアミン化合物、(iii)ポリチオール化合物を用いることができる。
(i)ポリオール化合物
ポリオール化合物としては、2個以上の水酸基を有するものであれば特に制限されず、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール等の他、エーテル結合とエステル結合とを有するポリエーテルエステルポリオール、シリコーンポリオールも使用することができる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートアジペートジオール、ポリエチレンサクシネートジオール、ポリブチレンサクシネートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)アジペートジオール、1,6−ヘキサンジオールとダイマー酸の重縮合物、1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とダイマー酸の共重縮合物、ノナンジオールとダイマー酸の重縮合物、エチレングリコールとアジピン酸とダイマー酸の共重縮合物等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンカーボネートジオール、1,6−ヘキサンジオールポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、トリメチレンオキサイド及びテトラメチレンオキサイド等の炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの単独付加重合物又は共付加重合物であるジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールに前記炭素数2〜4のアルキレンオキサイドをランダム又はブロック付加させたポリオールが挙げられる。
シリコーンポリオールとしては、ジメチルポリシロキサンの末端及び/又は側鎖に、ヒドロキシ基及び/又はヒドロキシ基を有する有機基を2個以上導入したものが挙げられ、例えば、カルビノール変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、シラノール末端シリコーンオイルが挙げられる。
ポリオール化合物の重量平均分子量としては、500〜5,000であることが好ましく、1,000〜3,000であることがより好ましい。また、得られる非フッ素系ポリマーによって繊維基材等の基材に十分な密着性を付与できるという観点から、ポリオール化合物としては、ポリエステルポリオールを用いることが好ましい。また、得られる撥水性製品に十分な撥水性と防汚性を付与できるという観点から、ポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール又はポリカーボネートポリオールを用いることが好ましい。また、得られる撥水性繊維製品の風合いがより向上する傾向にあるという観点から、シリコーンポリオールを用いることが好ましい。
ポリオール化合物は、カルボキシ基を更に有していてもよい。このような化合物としては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸等のカルボキシ基と2個以上の活性水素とを有する化合物が挙げられる。さらに、このような化合物としては、カルボキシ基を有するジオールと、芳香族ジカルボン酸及び/又は脂肪族ジカルボン酸等とを反応させて得られるペンダント型カルボキシ基を有するポリエステルポリオールを用いることもできる。
ポリオール化合物は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(ii)ポリアミン化合物
ポリアミン化合物としては、アミノ基及び/又はイミノ基を合計で2以上有するポリアミン化合物が挙げられる。このような化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、ヒドラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン等のジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン;ジ第一級アミン及びモノカルボン酸から誘導されるアミドアミン;ジ第一級アミンのモノケチミン等の水溶性アミン誘導体;蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、琥珀酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、1,1’−エチレンヒドラジン、1,1’−トリメチレンヒドラジン、1,1’−(1,4−ブチレン)ジヒドラジン等のヒドラジン誘導体が挙げられる。
ポリアミン化合物は、スルホ基及び/又はスルホネート基を更に有していてもよい。このような化合物としては、例えば、例えば、2−(2−アミノエチルアミノ)−エタンスルホン酸ナトリウム、2−(3−アミノプロピルアミノ)−エタンスルホン酸ナトリウム、2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
ポリアミン化合物は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(iii)ポリチオール化合物
ポリチオール化合物としては、エタンジチオール、ヘキサンジチオール、プロパントリチオール、シクロヘキサンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル等の脂肪族ポリチオール化合物;2,3−ジメルカプトコハク酸(2−メルカプトエチルエステル)等のエステル結合を含む脂肪族ポリチオール化合物;ジメルカプトベンゼン、ジメルカプトビフェニル等の芳香族ポリチオール化合物等が挙げられる。
ポリチオール化合物は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
撥水性と防汚性の観点から、(U−2)成分は、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールが好ましい。
(U−2)成分は、ポリイソシアネート化合物(U−3)との重合反応時の高粘度化抑制の観点と、(A−1)成分と(U−1)成分との重合反応時の高粘度化抑制の観点から、水酸基、アミノ基及びイミノ基からなる群より選択される1種以上のイソシアネート反応性基を合計で2つ有する2官能化合物(U−2−1)を、(U−2)成分全量を基準として、80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましく、100質量%含むことがさらにより好ましい。
[(U−3)成分]
(U−3)成分としては、イソシアネート基を2以上有する化合物であればよく、公知のポリイソシアネート化合物が使用可能である。例えば、アルキレン(好ましくは炭素数1〜12)ジイソシアネート、アリールジイソシアネート及びシクロアルキルジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物や、これらのジイソシアネート化合物の二量体もしくは三量体などの変性ポリイソシアネート化合物が挙げられる。
ジイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環式ポリイソシアネートが挙げられる。これらの中でも、得られる非フッ素系ポリマーが無黄変性のものとなるという観点から、脂肪族ポリイソシアネート及び脂環式ポリイソシアネートが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート及び1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが特に好ましい。
トリイソシアネート化合物としては、例えば、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート、トリス(イソシアナートフェニル)−チオフォスファートが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物から誘導される変性ポリイソシアネート化合物も使用することができ、このような化合物としては、2個以上のイソシアネート基を有するものであれば特に制限はなく、例えば、ビウレット構造、イソシアヌレート構造、ウレタン構造、ウレトジオン構造、アロファネート構造、三量体構造などを有するポリイソシアネート、トリメチロールプロパンの脂肪族イソシアネートのアダクト体などを挙げることができる。また、ポリメリックMDI(MDI=ジフェニルメタンジイソシアネート)もポリイソシアネート化合物として使用することができる。
ポリイソシアネート化合物は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(U−3)成分は、(U−2)成分との重合反応時の高粘度化抑制の観点と、(A−1)成分と(U−1)成分との重合反応時の高粘度化抑制の観点から、ジイソシアネート化合物(U−3−1)を、(U−3)成分全量を基準として、80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましく、100質量%含むことがさらにより好ましい。
[(U−4)成分]
(U−2)成分と(U−3)成分とを反応させて得られるイソシアネート末端ポリマー(U−4)は、撥水性と防汚性の観点から、(U−2)成分が有する上記イソシアネート反応性基の数と、(U−3)成分が有するイソシアネート基の数との割合が、モル比で40:100〜95:100となる反応条件で得られたものであることが好ましく、55:100〜80:100となる反応条件で得られたものであることがより好ましい。
(U−2)成分と(U−3)成分とを反応させる方法は特に制限されず、例えば、従来公知の一段式のいわゆるワンショット法、多段式のイソシアネート重付加反応法を採用することができる。また、このような反応の反応温度は40〜150℃であることが好ましい。さらに、このような反応を行う際に、必要に応じて、ビスマスカルボキシレート、ハロゲン化ビスマス、ジブチル錫ジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチル錫−2−エチルヘキサノエート、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等の反応触媒を添加することができる。また、このような反応は無溶媒で行うこともでき、反応中又は反応終了後に、イソシアネート基と反応しない有機溶剤を添加することもできる。このような有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンを使用することができる。
[(U−5)成分]
(U−5)成分としては、例えば、1個の重合性不飽和基と1個のイソシアネート反応性基とを有する化合物(U−5−1)を用いることができる。イソシアネート反応性基としては、水酸基、アミノ基、イミノ基、チオール基が挙げられる。
(U−4)成分との反応時の高粘度化抑制の観点と、(A−1)成分と(U−1)成分との重合反応時の高粘度化抑制の観点から、(U−5)成分は、上記化合物(U−5−1)を、(U−5)成分全量を基準として、80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましく、100質量%含むことがさらにより好ましい。
化合物(U−5−1)としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;ポリエチレングリコール(n=2〜100)モノ(メタ)アクリル酸エステル、ポリプロピレングリコール(n=2〜100)モノ(メタ)アクリル酸エステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリル酸エステルなどのグリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル;カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸エステル;ヒドロキシメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミドなどのヒドロキシアルキルアクリルアミド;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、および(メタ)アクリル酸6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチルなどのエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸アミノメチル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、および(メタ)アクリル酸アミノブチル等の(メタ)アクリル酸アミノエステル;(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノプロピル、および(メタ)アクリル酸モノエチルアミノプロピル等の(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノエステルが挙げられる。これらの中でも、撥水性と防汚性の観点から、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アミノエステル、(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノエステルが好ましい。
また、(U−1)成分は、(A−1)成分との反応が制御しやすい等の観点から、(U−4)成分と、(U−5)成分と、イソシアネート反応性基を有し、重合性不飽和基を有さない化合物(U−6)(以下、「(U−6)成分」ともいう)との反応物であってもよい。
[(U−6)成分]
(U−6)成分は、例えば、1個のイソシアネート反応性基を有し、重合性不飽和基を有さない化合物(U−6−1)を用いることができる。イソシアネート反応性基としては、水酸基、アミノ基、イミノ基、チオール基が挙げられる。
(U−4)成分との反応時の高粘度化抑制の観点と、(A−1)成分と(U−1)成分との重合反応時の高粘度化抑制の観点から、(U−6)成分は、上記化合物(U−6−1)を、(U−6)成分全量を基準として、80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましく、100質量%含むことがさらにより好ましい。
(U−6)成分としては、1価のアルコール類、アルキルアミン類、チオール基含有化合物、反応性シリコーン類、ブロック化剤などが挙げられる。
1価のアルコール類としては、炭素数1〜30の1価アルコールを用いることができる。撥水性、防汚性及び風合いの観点から、炭素数は12〜22が好ましく、炭素数12〜18の直鎖状がより好ましい。
アルキルアミン類としては、アルキル基の炭素数の合計が1〜60の1級又は2級アミン類を用いることができる。撥水性、防汚性及び風合いの観点から、炭素数が12〜22の1級アミンが好ましく、炭素数12〜18の直鎖状の1級アミンがより好ましい。
チオール基含有化合物としては、炭素数1〜30の1価チオアルコールを用いることができる。撥水性、防汚性及び風合いの観点から、炭素数は12〜22が好ましく、炭素数12〜18の直鎖状がより好ましい。
反応性シリコーン類としては、側鎖若しくは末端にアルコール、アミノ基、エポキシ基が導入されたものが挙げられ、ヒドロキシル変性シリコーン、アミノ変成シリコーン、エポキシ変性シリコーンを用いることができる。例えば、KF−6000(両末端アルコール)、X−22−170BX(片末端アルコール)、KF−868(側鎖モノアミン)、KF−859(側鎖ジアミン)、KF−8010(両末端ジアミン)、X−22−343(側鎖エポキシ)、X−22−2046(側鎖脂環式エポキシ)、X−22−163(両末端エポキシ)、X−22−169AS(両末端脂環式エポキシ)、X−22−173BX(片末端エポキシ)(以上、信越化学工業(株)製、製品名)などを用いることができる。これらの中でもイソシアネートと反応しうる基を一つ有する化合物が好ましい。
ブロック化剤は、加熱によりイソシアネート基から遊離するものであれば特に制限されるものではないが、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾール、4−ニトロ−3,5−ジメチルピラゾールおよび4−ブロモ−3,5−ジメチルピラゾールなどのピラゾール類;フェノール、チオフェノール、クレゾール、レゾルシノールなどのフェノール類;ジフェニルアミン、キシリジンなどの芳香族第2級アミン類;フタル酸イミド類;カプロラクタム、バレロラクタムなどのラクタム類;アセトキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム類及び酸性亜硫酸ソーダなどを使用することができる。好ましくは50〜250℃でイソシアネート基から遊離するブロック化剤が望ましい。
ブロック化剤は、50〜250℃でイソシアネート基から遊離するものが好ましい。比較的簡便な条件で外すことができるブロック化剤として、メチルエチルケトンオキシムなどのオキシム類、ジメチルピラゾールなどのピラゾール類が特に好ましく用いられる。
(U−6)成分は、撥水性と防汚性の観点から、1価のアルコール類、ブロック化剤が好ましい。また、(U−6)成分がブロック化剤を含む場合、撥水性と防汚性の観点から、(U−4)成分のイソシアネート基の中の0.1〜5%がブロック化剤で封鎖されることが好ましい。
(U−1)成分と(A−1)成分との反応が制御しやすい等の観点から、(U−4)成分と(U−5)成分と(U−6)成分との反応は、(U−4)成分と(U−6)成分とを反応させた後、(U−5)成分を更に反応させることが好ましい。
(U−1)成分の貯蔵安定性、扱いやすさなどが向上する観点から、(U−4)成分が有する全ての末端イソシアネート基が、(U−5)成分及び/又は(U−6)成分と反応していることが好ましい。
(U−4)成分と(U−5)成分と(U−6)成分との反応において、(U−5)成分が有するイソシアネート反応性基の数と、(U−6)成分が有するイソシアネート反応性基の数との割合(モル比率)は、(U−4)成分との反応時の高粘度化抑制の観点と、(A−1)成分と(U−1)成分との重合反応時の高粘度化抑制の観点から、(U−5):(U−6)=95:5〜5:95が好ましく、(U−5):(U−6)=80:20〜20:80がより好ましく、(U−5):(U−6)=40:60〜20:80がさらにより好ましい。
(U−4)成分に(U−5)成分と(U−6)成分を反応させる方法は特に制限されず、例えば、従来公知の一段式のいわゆるワンショット法、多段式のイソシアネート重付加反応法を採用することができる。また、このような反応の反応温度は40〜150℃であることが好ましい。さらに、このような反応を行う際に、必要に応じて、ビスマスカルボキシレート、ハロゲン化ビスマス、ジブチル錫ジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチル錫−2−エチルヘキサノエート、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等の反応触媒を添加することができる。反応触媒の含有量は、(U−4)成分、(U−5)成分及び(U−6)成分の合計に対して1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。
また、(U−5)成分の重合性不飽和基の反応防止と、製造された(U−1)成分の重合性不飽和基の反応防止のために、上記反応をヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジンp−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、モノ−t−ブチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,5−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどの重合禁止剤の存在下で行うことが好ましい。重合禁止剤の含有量は、(U−4)成分、(U−5)成分及び(U−6)成分の合計に対して1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。
上記の反応は無溶媒で行うこともでき、反応中又は反応終了後に、イソシアネート基と反応しない有機溶剤を添加することもできる。このような有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンを使用することができる。
(U−1)成分は、撥水性、防汚性及び(A−1)成分との重合時の粘度抑制の観点から、分子末端に重合性不飽和基を1個有するウレタン化合物(U−1−1)であることがより好ましい。(U−1)成分は、化合物(U−1−1)を、(U−1)成分全量を基準として、20質量%以上含むことが好ましく、30質量%以上含むことがより好ましく、50質量%であることが最も好ましい。
本実施形態の表面処理剤に含まれる非フッ素系ポリマーは、(A−1)成分に由来する構成単位及び(U−1)成分に由来する構成単位に加えて、下記(C1)、(C2)、(C3)及び(C4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル単量体(C)(以下、「(C)成分」ともいう。)に由来する構成単位を含有することができる。
(C1)下記一般式(C−1)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体
Figure 2020200456

[式(C−1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rはヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基及び(メタ)アクリロイルオキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する1価の炭化水素基を表す。ただし、分子内における(メタ)アクリロイルオキシ基の数は2以下である。]
(C2)下記一般式(C−2)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体
Figure 2020200456

[式(C−2)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数3〜11の1価の環状炭化水素基を表す。]
(C3)下記一般式(C−3)で表されるメタクリル酸エステル単量体
Figure 2020200456

[式(C−3)中、Rは無置換の炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基を表す。]
(C4)下記一般式(C−4)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体
Figure 2020200456

[式(C−4)中、R10は水素原子又はメチル基を表し、pは2以上の整数を表し、Sは(p+1)価の有機基を表し、Tは重合性不飽和基を有する1価の有機基を表す。]
上記(C1)の単量体は、エステル部分にヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基及び(メタ)アクリロイルオキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する1価の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体である。架橋剤と反応可能な点から、上記1価の炭化水素基は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基及びイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有することが好ましい。これらの架橋剤と反応可能な基を有する(C1)の単量体を含有する非フッ素系ポリマーを、架橋剤とともに繊維製品に処理した場合に、得られる繊維製品の風合を維持したまま、耐久撥水性を向上することができる。イソシアネート基は、ブロック化剤で保護されたブロックドイソシアネート基であってもよい。
上記1価の炭化水素基としては、炭素数1〜11の1価の鎖状炭化水素基が好ましい。この鎖状炭化水素基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよい。また、鎖状炭化水素基は、上記官能基の他に置換基を更に有していてもよい。中でも得られる繊維製品の耐久撥水性を向上できる点で、直鎖状であること、及び/又は、飽和炭化水素基であることが好ましい。
具体的な(C1)の単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、アルキレンオキシ化ビスフェノールAジアクリレート、ポリアルキレングリコールジアクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等が挙げられる。これら単量体は、1種を単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも得られる繊維製品の耐久撥水性を向上できる点で、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートが好ましい。さらに得られる繊維製品の風合を向上させる点で、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルが好ましい。
上記(C1)の単量体の構成割合は、得られる繊維製品の撥水性、防汚性及び風合の観点で、非フッ素系ポリマーを構成する単量体成分の全量に対して、0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることがさらに好ましい。
上記(C2)の単量体は、エステル部分に炭素数3〜11の1価の環状炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体であり、環状炭化水素基としては、イソボルニル基、シクロヘキシル基、ジシクロペンタニル基等が挙げられる。これら環状炭化水素基はアルキル基等の置換基を有していてもよい。ただし、置換基が炭化水素基の場合、置換基及び環状炭化水素基の炭素数の合計が11以下となる炭化水素基が選ばれる。また、これら環状炭化水素基は、エステル結合に直接結合していることが、耐久撥水性向上の観点から好ましい。環状炭化水素基は、脂環式であっても芳香族であってもよく、脂環式の場合、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよい。具体的な単量体としては、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等が挙げられる。これら単量体は、1種を単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも得られる繊維製品の耐久撥水性を向上できる点で、(メタ)アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシルが好ましく、メタクリル酸イソボルニルがより好ましい。
上記(C2)の単量体の構成割合は、得られる繊維製品の撥水性、防汚性及び風合の観点で、非フッ素系ポリマーを構成する単量体成分の全量に対して、0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることがさらに好ましい。
上記(C3)の単量体は、エステル部分のエステル結合に、無置換の炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基が直接結合したメタクリル酸エステル単量体である。炭素数1〜4の鎖状炭化水素基としては、炭素数1〜2の直鎖炭化水素基、及び、炭素数3〜4の分岐炭化水素基が好ましい。炭素数1〜4の鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。具体的な化合物としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチルが挙げられる。これら単量体は、1種を単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも得られる繊維製品の耐久撥水性を向上できる点で、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸t−ブチルが好ましく、メタクリル酸メチルがより好ましい。
上記(C3)の単量体の構成割合は、得られる繊維製品の撥水性、防汚性及び風合の観点で、非フッ素系ポリマーを構成する単量体成分の全量に対して、0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることがさらに好ましい。
上記(C4)の単量体は、1分子内に3以上の重合性不飽和基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体である。本実施形態では、上記一般式(C−4)におけるTが(メタ)アクリロイルオキシ基である、1分子内に3以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能の(メタ)アクリル酸エステル単量体が好ましい。式(C−4)において、p個のTは同一であっても異なっていてもよい。具体的な化合物としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等が挙げられる。これら単量体は、1種を単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも得られる繊維製品の耐久撥水性を向上できる点で、テトラメチロールメタンテトラアクリレートがより好ましい。
上記(C4)の単量体の構成割合は、得られる繊維製品の撥水性、防汚性及び風合の観点で、非フッ素系ポリマーを構成する単量体成分の全量に対して、0.1〜5質量%であることが好ましい。
(C)成分は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の非フッ素系ポリマーにおける(A−1)成分に由来する構成単位と(U−1)成分に由来する構成単位と(C)成分に由来する構成単位との含有割合は、配合する(A−1)成分の質量及び(U−1)成分の質量の合計と(C)成分の質量との比[(A−1)+(U−1)]/(C)が、99.9/0.1〜70.0/30.0であることが好ましく、99.0/1.0〜75.0/25.0であることがより好ましい。
本実施形態の表面処理剤に含まれる非フッ素系ポリマーは、(A−1)成分に由来する構成単位、(U−1)成分に由来する構成単位及び(C)成分に由来する構成単位に加えて、(A−1)成分、(U−1)成分又は(C)成分と共重合可能な単官能の単量体(D)(以下、「(D)成分」ともいう。)に由来する構成単位を、本発明の効果を損なわない範囲において含有することができる。
(D)成分としては、例えば、(A−1)成分及び(C)成分以外の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸、マレイン酸、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、スチレン等のフッ素を含まないビニル系単量体、ジアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等が挙げられる。なお、(A−1)成分及び(C)成分以外の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、炭化水素基に、ビニル基、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基及びイソシアネート基、ブロックドイソシアネート基等の置換基を有していてもよく、第4級アンモニウム基等の架橋剤と反応可能な基以外の置換基を有していてもよく、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、又はウレタン結合等を有していてもよい。(A−1)成分及び(C)成分以外の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、(D)成分としては、フッ素を含まないハロゲン化オレフィンであってもよい。
ハロゲン化オレフィンは、1〜10の塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子で置換されている炭素数2〜20のハロゲン化オレフィンであってよい。ハロゲン化オレフィンは、炭素数2〜20の塩素化オレフィンであることが好ましく、1〜5の塩素原子を有する炭素数2〜5のオレフィンであることがより好ましい。ハロゲン化オレフィンの好ましい具体例としては、塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、ハロゲン化ビニリデン等のハロゲン化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、ヨウ化ビニリデンが挙げられる。
(D)成分は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記(D)成分の構成割合は、得られる繊維製品の撥水性、防汚性及び風合の観点で、非フッ素系ポリマーを構成する単量体成分の全量に対して、50質量%以下であることが好ましい。
本実施形態の表面処理剤に含まれる非フッ素系ポリマーは、ラジカル重合法により製造することができ、(A−1)成分と(U−1)成分とをラジカル共重合させることにより得ることができる。この場合、撥水性と防汚性の観点から、(A−1)成分と(U−1)成分との反応比率は、質量比率で(A−1):(U−1)=99:1〜50:50であることが好ましい。
また、得られる非フッ素系ポリマーの性能の観点から、このラジカル重合法の中でも、溶媒中で重合することが好ましい。より具体的には、例えば、溶媒中に、(A−1)成分及び(U−1)成分、並びに、必要に応じて(C)成分及び(D)成分を加え、得られた溶液に、重合開始剤を加えて、重合反応を開始し、各成分を共重合させることができる。
重合反応の溶媒としては、有機溶剤及び水が好ましく、必要に応じて有機溶剤と水とを混合してもよい。重合反応の溶媒が水を含む場合、乳化又は分散重合により非フッ素系ポリマーを得ることができる。
有機溶剤としては、例えば、メタノールやエタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチルなどのエステル類、アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテルなどのエーテル類等、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類が挙げられる。なお、有機溶剤と水の比率は特に限定されるものではない。
上記重合開始剤としては、アゾ系、過酸化物系、又はレドックス系等の公知の重合開始剤を適宜使用できる。重合開始剤の含有量は、撥水性と防汚性の観点から、重合する単量体全量に対して、重合開始剤0.01〜2質量%であることが好ましい。
また、重合反応において、分子量調整を目的として、ドデシルメルカプタン、t−ブチルアルコール等の連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤の含有量は、重合する単量体全量に対して0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましい。連鎖移動剤の含有量が0.5質量%を超えると、分子量の低下を招き、撥水性と防汚性が低下する傾向にある。
また、重合反応において、反応速度の制御を目的として、重合禁止剤を使用してもよい。重合禁止剤の添加により反応の暴走を抑制し、反応暴走による析出物の発生及び装置汚れを低減できる。
重合反応の温度は、20℃〜150℃が好ましく、(U−6)成分としてブロック化剤を用いる場合はブロック化剤が脱離しない温度で重合反応を行うことが好ましい。温度が20℃未満であると、温度が上記範囲にある場合と比較して、重合が不十分になる傾向にあり、温度が150℃を超えると、反応熱の制御が困難になる場合がある。
乳化又は分散重合により非フッ素系ポリマーを得る場合、反応系に含まれる成分(溶媒も含む)の全量に対する非フッ素系ポリマーの含有割合を10〜50質量%(更には20〜40質量%)にするとよい。
乳化又は分散重合により非フッ素系ポリマーを得る場合、重合反応において、乳化剤を用いてもよい。このような乳化剤としては、アミン類及び界面活性剤等が挙げられる。
アミン類としては、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜24のモノアルキルアミン、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数1〜24のジアルキルアミン、及び直鎖若しくは分岐鎖の炭素数1〜24のトリアルキルアミン等が挙げられ、撥水性と防汚性の観点から、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数1〜24のトリアルキルアミンが好ましい。アミン類は、1種を単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミン類の含有量は、重合する単量体の全量に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。
界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤等を使用することが好ましい。
カチオン界面活性剤としては、炭素数8〜24のモノアルキルトリメチルアンモニウム塩、炭素数8〜24のジアルキルジメチルアンモニウム塩、炭素数8〜24のモノアルキルアミン酢酸塩、炭素数8〜24のジアルキルアミン酢酸塩及び炭素数8〜24のアルキルイミダゾリン4級塩等が挙げられる。これらの中でも乳化性と加工安定性の観点から、炭素数12〜18のモノアルキルトリメチルアンモニウム塩及び炭素数12〜18のジアルキルジメチルアンモニウム塩が好ましい。
カチオン界面活性剤の含有量は、重合する単量体の全量に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。
これらのカチオン界面活性剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非イオン界面活性剤としては、例えば、(B1)HLBが7〜18である下記一般式(I−1)で表される化合物(以下、「化合物(B1)」ともいう。)、(B2)HLBが7〜18である下記一般式(II−1)で表される化合物(以下、「化合物(B2)」ともいう。)、(B3)HLBが7〜18である、ヒドロキシル基及び重合性不飽和基を有する油脂に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した化合物(以下、「化合物(B3)」ともいう。)、並びに化合物(B1)〜(B3)以外のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。以下、化合物(B1)〜(B3)をまとめて「(B)成分」ともいう。ここで、(B)成分は、分子内に1つ以上の重合性不飽和基を有するため、(A)成分及び(U−1)成分と共重合させることができる。
Figure 2020200456

[式(I−1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、Yは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を含む2価の基を表す。]
Figure 2020200456

[式(II−1)中、Rは重合性不飽和基を有する炭素数13〜17の1価の不飽和炭化水素基を表し、Yは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を含む2価の基を表す。]
ここで、「HLB」とは、エチレンオキシ基を親水基、それ以外を全て親油基と見なし、グリフィン法により算出したHLB値のことである。
(B)成分のHLBは、7〜18であり、本実施形態の非フッ素系ポリマーの乳化又は分散重合時及び重合後の組成物中での乳化安定性(以降、単に乳化安定性という)の点で、9〜15が好ましい。さらには、撥水剤組成物の貯蔵安定性の点で上記範囲内の異なるHLBを有する2種以上の(B)成分を併用することがより好ましい。
化合物(B1)において、一般式(I−1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、(A−1)成分及び(U−1)成分との共重合性の点でメチル基であることがより好ましい。Xは炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、本実施形態の非フッ素系ポリマーの乳化安定性の点で、炭素数2〜3の直鎖アルキレン基がより好ましい。Yは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を含む2価の基である。Yにおけるアルキレンオキシ基の種類、組み合わせ及び付加数については、上記HLBの範囲内になるように適宜選択することができる。また、アルキレンオキシ基が2種以上の場合、それらはブロック付加構造又はランダム付加構造を有することができる。
化合物(B1)としては、下記一般式(I−2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2020200456

[式(I−2)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、mは上記HLBの範囲内になるように適宜選択することができ、具体的には、1〜80の整数が好ましく、mが2以上のときm個のAOは同一であっても異なっていてもよい。]
上記一般式(I−2)で表される化合物において、Rは水素原子又はメチル基であり、(A−1)成分及び(U−1)成分との共重合性の点でメチル基であることがより好ましい。Xは炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、本実施形態の非フッ素系ポリマーの乳化安定性の点で、炭素数2〜3の直鎖アルキレン基がより好ましい。AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基である。AOの種類及び組み合わせ、並びにmの数については、上記HLBの範囲内になるように適宜選択することができる。本実施形態の非フッ素系ポリマーの乳化安定性の点で、mは1〜80の整数が好ましく、1〜60の整数であることがより好ましい。mが2以上のときm個のAOは同一であっても異なっていてもよい。また、AOが2種以上の場合、それらはブロック付加構造又はランダム付加構造を有することができる。
上記一般式(I−2)で表される化合物は、従来公知の方法で得ることができ、特に限定されるものではない。また、市販品より容易に入手することができ、例えば、花王株式会社製の「ラテムルPD−420」、「ラテムルPD−430」、「ラテムルPD−450」等を挙げることができる。
化合物(B2)において、上記一般式(II−1)中、Rは重合性不飽和基を有する炭素数13〜17の1価の不飽和炭化水素基であり、トリデセニル基、トリデカジエニル基、テトラデセニル基、テトラジエニル基、ペンタデセニル基、ペンタデカジエニル基、ペンタデカトリエニル基、ヘプタデセニル基、ヘプタデカジエニル基、ヘプタデカトリエニル基等が挙げられる。本実施形態の非フッ素系ポリマーの乳化安定性の点で、Rは炭素数14〜16の1価の不飽和炭化水素基がより好ましい。
は炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を含む2価の基である。Yにおけるアルキレンオキシ基の種類、組み合わせ及び付加数については、上記HLBの範囲内になるように適宜選択することができる。また、アルキレンオキシ基が2種以上の場合、それらはブロック付加構造又はランダム付加構造を有することができる。本実施形態の非フッ素系ポリマーの乳化安定性の点で、アルキレンオキシ基はエチレンオキシ基がより好ましい。
化合物(B2)としては、下記一般式(II−2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2020200456

[式(II−2)中、Rは重合性不飽和基を有する炭素数13〜17の1価の不飽和炭化水素基を表し、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、nは上記HLBの範囲内になるように適宜選択することができ、具体的には、1〜50の整数が好ましく、nが2以上のときn個のAOは同一であっても異なっていてもよい。]
上記一般式(II−2)で表される化合物におけるRは、上述した一般式(II−1)におけるRと同様のものが挙げられる。
Oは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基である。本実施形態の非フッ素系ポリマーの乳化安定性の点で、AOの種類及び組み合わせ、並びにnの数については、上記HLBの範囲内になるように適宜選択することができる。本実施形態の非フッ素系ポリマーの乳化安定性の点で、AOはエチレンオキシ基がより好ましく、nは1〜50の整数が好ましく、5〜20の整数がより好ましく、8〜14の整数がさらに好ましい。nが2以上のときn個のAOは同一であっても異なっていてもよい。また、AOが2種以上の場合、それらはブロック付加構造又はランダム付加構造を有することができる。
上記一般式(II−2)で表される化合物は、従来公知の方法で対応する不飽和炭化水素基を有するフェノールにアルキレンオキサイドを付加することにより合成することができ、特に限定されるものではない。例えば、苛性ソーダ、苛性カリウム等のアルカリ触媒を用い、加圧下、120〜170℃にて、所定量のアルキレンオキサイドを付加することにより合成することができる。
上記対応する不飽和炭化水素基を有するフェノールには、工業的に製造された純品または混合物のほか、植物等から抽出・精製された純品又は混合物として存在するものも含まれる。例えば、カシューナッツの殻等から抽出され、カルダノールと総称される、3−[8(Z),11(Z),14−ペンタデカトリエニル]フェノール、3−[8(Z),11(Z)−ペンタデカジエニル]フェノール、3−[8(Z)−ペンタデセニル]フェノール、3−[11(Z)−ペンタデセニル]フェノール等が挙げられる。
化合物(B3)は、HLBが7〜18である、ヒドロキシル基及び重合性不飽和基を有する油脂に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した化合物である。ヒドロキシル基及び重合性不飽和基を有する油脂としては、ヒドロキシ不飽和脂肪酸(パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸等)を含んでいてもよい脂肪酸のモノ又はジグリセライド、少なくとも1種のヒドロキシ不飽和脂肪酸(リシノール酸、リシノエライジン酸、2−ヒドロキシテトラコセン酸等)を含む脂肪酸のトリグリセライドを挙げることができる。本実施形態の非フッ素系ポリマーの乳化安定性の点で、少なくとも1種のヒドロキシ不飽和脂肪酸を含む脂肪酸のトリグリセライドのアルキレンオキサイド付加物が好ましく、ヒマシ油(リシノール酸を含む脂肪酸のトリグリセライド)の炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物がより好ましく、ヒマシ油のエチレンオキサイド付加物がさらに好ましい。さらに、アルキレンオキサイドの付加モル数は、上記HLBの範囲内になるように適宜選択することができ、本実施形態の非フッ素系ポリマーの乳化安定性の点で、20〜50モルがより好ましく、25〜45モルがさらに好ましい。また、アルキレンオキサイドが2種以上の場合、それらはブロック付加構造又はランダム付加構造を有することができる。
化合物(B3)は、従来公知の方法でヒドロキシル基及び重合性不飽和基を有する油脂にアルキレンオキサイドを付加することにより合成することができ、特に限定されるものではない。例えば、リシノール酸を含む脂肪酸のトリグリセライド、すなわちヒマシ油に苛性ソーダ、苛性カリウム等のアルカリ触媒を用い、加圧下、120〜170℃にて、所定量のアルキレンオキサイドを付加することにより合成することができる。
本実施形態の非フッ素系ポリマーを製造する際に(B)成分を用いる場合には、本実施形態の非フッ素系ポリマーにおける(A)成分及び(U−1)成分に由来する構成単位と(B)成分に由来する構成単位との含有割合は、得られる繊維製品の撥水性、防汚性及び本実施形態の非フッ素系ポリマーの乳化安定性の点で、配合する(A)成分及び(U−1)成分の質量と(B)成分の質量との比((A)+(U−1))/(B)が、85/15〜99/1であることが好ましく、90/10〜97/3であることがより好ましい。((A)+(U−1))/(B)が85/15未満となる場合は、得られる繊維製品の撥水性と防汚性が不十分となる傾向がある。((A)+(U−1))/(B)が99/1を超える場合は、本実施形態の非フッ素系ポリマーの乳化安定性が不十分となる傾向がある。
(B)成分以外のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、アルコール類、多環フェノール類、アミン類、アミド類、脂肪酸類、多価アルコール脂肪酸エステル類、油脂類及びポリプロピレングリコールの、アルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
アルコール類としては、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜24のアルコール又はアルケノールや下記一般式(W)で表されるアセチレンアルコール等が挙げられる。
Figure 2020200456

[式中、R85及びR86はそれぞれ独立に、炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐鎖を有するアルキル基又は炭素数2〜8の直鎖若しくは分岐鎖を有するアルケニル基を表す。]
多環フェノール類としては、炭素数1〜12の炭化水素基を有していてもよいフェノールやナフトール等の1価のフェノール類又はそれらのスチレン類(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン)付加物若しくはそれらのベンジルクロライド反応物などが挙げられる。(B)成分以外のアルキレンオキサイド付加物を得るために用いられるアミン類としては、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜44の脂肪族アミン等が挙げられる。
アミド類としては、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜44の脂肪酸アミド等が挙げられる。
脂肪酸類としては、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜24の脂肪酸等が挙げられる。
多価アルコール脂肪酸エステル類としては、多価アルコールと直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜24の脂肪酸との縮合反応物が挙げられる。
油脂類としては、植物性油脂、動物性油脂、植物性ロウ、動物性ロウ、鉱物ロウ及び硬化油等が挙げられる。
非イオン性活性剤としてアルコール類、多環フェノール類、アミン類、アミド類、脂肪酸類、多価アルコール脂肪酸エステル類、油脂類及びポリプロピレングリコールのアルキレンオキサイド付加物を用いる場合、これらの中でも、撥水性と防汚性への影響が少ない、耐光性への影響が少ない、共重合体の乳化性が良好になるといった観点から、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜24のアルコール又はアルケノール、上記一般式(W)で表されるアセチレンアルコールが好ましく、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜24のアルコール、上記一般式(W)で表されるアセチレンアルコールがより好ましい。
(B)成分以外のアルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、1,2−プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、1,4−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロロヒドリン等が挙げられる。撥水性と防汚性への影響が少ない、共重合体の乳化性が良好になるといった観点から、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、1,2−プロピレンオキサイドが好ましく、エチレンオキサイドがより好ましい。
(B)成分以外のアルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドの付加モル数は、1〜200が好ましく、より好ましくは3〜100であり、更により好ましくは5〜50である。アルキレンオキサイドの付加モル数が上記範囲内であると、撥水性、防汚性及び製品安定性を高水準で得られやすくなる。なお、アルキレンオキサイドの付加モル数が1モルより少ないと、製品安定性、撥水性及び防汚性が低下する傾向にあり、200モルを超えると撥水性と防汚性が低下する傾向にある。
(B)成分以外のアルキレンオキサイド付加物として、アルコール類、多環フェノール類、アミン類、アミド類、脂肪酸類、多価アルコール脂肪酸エステル類、油脂類、及びポリプロピレングリコールの、アルキレンオキサイド付加物を用いる場合、非イオン界面活性剤のHLBが6〜20であると、本実施形態の非フッ素系ポリマーはより良好な水分散液が得られる。
非イオン性活性剤として(B)成分以外のアルキレンオキサイド付加物を用いる場合、(B)成分以外のアルキレンオキサイド付加物の含有量は、重合する単量体の全量に対して、1〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
これらの非イオン界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
両性界面活性剤としては、アラニン類、イミダゾリニウムベタイン類、アミドベタイン類及び酢酸ベタイン類等が挙げられ、具体的には、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン及び脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
両性界面活性剤の含有量は、重合する単量体の全量に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。
これらの両性界面活性剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
乳化剤は、乳化安定性、撥水性及び防汚性の観点から、分子内に窒素原子を含有するカチオン性界面活性剤、分子内に窒素原子を含有する両性界面活性剤及びアミン類のうち少なくとも1種と、非イオン性活性剤とを併用することが好ましい。この場合、分子内に窒素原子を含有するカチオン性界面活性剤、分子内に窒素原子を含有する両性界面活性剤及びアミン類のうち少なくとも1種の含有量は、乳化安定性、撥水性及び防汚性の観点から、分子内に窒素原子を含有するカチオン性界面活性剤、分子内に窒素原子を含有する両性界面活性剤及びアミン類のうち少なくとも1種と、非イオン性活性剤との合計含有量に対し、3〜27質量%であることが好ましい。
本実施形態においては、上記の反応で得られる反応物(非フッ素系ポリマー溶液)をそのまま表面処理剤として用いることができる。
本実施形態の表面処理剤には、ワックス類、シリコーン類、架橋剤、他の撥水剤、抗菌防臭剤、難燃剤、帯電防止剤、柔軟剤及び防皺剤のうちの1種以上を更に含有させてもよい。
ワックス類としては、例えば、ポリエチレン、プロピレン等の低分子量ポリオレフィン類、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油ワックス;ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル等の高級脂肪酸と高級アルコールとのエステルワックス類;ステアリン酸ブチル、オレイン酸プロピル、モノステアリン酸グリセリド、ジステアリン酸グリセリド、ペンタエリスリトールテトラベヘネート等の高級脂肪酸と単価又は多価低級アルコールとのエステルワックス類;ジエチレングリコールモノステアレート、ジプロピレングリコールジステアレート、ジステアリン酸ジグリセリド、テトラステアリン酸トリグリセリド等の高級脂肪酸と多価アルコール多量体とからなるエステルワックス類;ソルビタンモノステアレート等のソルビタン高級脂肪酸エステルワックス類などが挙げられる。撥水性の観点から、パラフィンワックスが好ましい。ワックス類は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の表面処理剤におけるワックス類の含有量は、非フッ素系ポリマー(例えば、(U−1)成分と(A−1)成分との反応物)の質量P(固形分)とワックス類の質量Wとの比率が、P:W=95:5〜20:80であることが好ましく、90:10〜30:70であることがより好ましい。
シリコーン類としては、例えば、長鎖アルキル変性シリコーン、長鎖アルキル・アラルキル変性シリコーン、高級脂肪酸アミド変性シリコーンなどの、イソシアネート基と反応し得る官能基を有していない変性シリコーンを挙げることができる。
変性シリコーンとしては、下記一般式(1)で表されるオルガノ変性シリコーンを用いることができる。
Figure 2020200456

[式(1)中、R20、R21及びR22はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基を表し、R23は、芳香族環を有する炭素数8〜40の炭化水素基、又は炭素数3〜40の飽和の炭化水素基を表し、R30、R31、R32、R33、R34及びR35はそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、芳香族環を有する炭素数6〜40の炭化水素基、又は炭素数3〜40の飽和の炭化水素基を表し、aは0以上の整数を表し、bは1以上の整数を表し、(a+b)は10〜200であり、aが2以上の場合、複数存在するR20及びR21はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、bが2以上の場合、複数存在するR22及びR23はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
本実施形態のオルガノ変性シリコーンにおいて、上記の炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、又はこれらの基に結合する水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、アミノ基又はシアノ基等で置換された基が挙げられる。
上記の炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、又はこれらの基に結合する水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、アミノ基又はシアノ基等で置換された基が挙げられる。
上記の炭素数1〜4のアルコキシル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。炭素数1〜4のアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。これらの基は、水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、アミノ基又はシアノ基等で置換されていてもよい。工業的に製造し易く、入手が容易であるという点で、R20、R21及びR22はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
上記の芳香族環を有する炭素数8〜40の炭化水素基としては、例えば、炭素数8〜40のアラルキル基、下記一般式(2)又は(3)で表される基等が挙げられる。
Figure 2020200456

[式(2)中、R40は、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、R41は、単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基を表し、cは0〜3の整数を表す。cが2又は3の場合、複数存在するR41は同一であっても異なっていてもよい。]
上記のアルキレン基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
Figure 2020200456

[式(3)中、R42は、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、R43は、単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基を表し、dは0〜3の整数を表す。dが2又は3の場合、複数存在するR43は同一であっても異なっていてもよい。]
上記のアルキレン基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
上記の炭素数8〜40のアラルキル基としては、例えば、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。中でも、工業的に製造しやすく、入手が容易であるという点で、フェニルエチル基及びフェニルプロピル基が好ましい。
上記一般式(2)で表される基において、工業的に製造しやすく、入手が容易であるという点で、R40は炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、cは、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
上記一般式(3)で表される基において、工業的に製造しやすく、入手が容易であるという点で、R42は炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、dは、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
上記の芳香族環を有する炭素数8〜40の炭化水素基としては、工業的に製造しやすく、入手が容易であるという点で、上記炭素数8〜40のアラルキル基、及び上記一般式(2)で表される基が好ましく、得られる繊維製品の撥水性と防汚性を向上できる点で、上記炭素数8〜40のアラルキル基がより好ましい。
上記の炭素数3〜40の飽和の炭化水素基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。炭素数3〜40の飽和の炭化水素基としては、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基、トリコシル基、リグノセリル基(テトラコシル基)、セロチル基(ヘキサコシル基)、モンチル基(オクタコシル基)、メリシル基(トリアコンタン基)及びドトリアコンタン基等が挙げられる。炭素数3〜40の飽和の炭化水素基としては、得られる繊維製品の撥水性と防汚性を向上できる点で、炭素数8〜20のアルキル基が好ましく、炭素数12〜18のアルキル基がより好ましい。
本実施形態のオルガノ変性シリコーンにおいて、R30、R31、R32、R33、R34及びR35はそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、芳香族環を有する炭素数6〜40の炭化水素基、又は炭素数3〜40の飽和の炭化水素基である。
上記の芳香族環を有する炭素数6〜40の炭化水素基としては、例えば、炭素数6〜40のアラルキル基、上記一般式(2)又は(3)で表される基が挙げられる。上記の炭素数6〜40のアラルキル基としては、例えば、フェニル基、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。中でも、工業的に製造しやすく、入手が容易であるという点で、フェニルエチル基及びフェニルプロピル基が好ましい。
工業的に製造しやすく、入手が容易であるという点で、R30、R31、R32、R33、R34及びR35はそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、中でもメチル基であることがより好ましい。
本実施形態のオルガノ変性シリコーンにおいて、aは0以上の整数である。工業的に製造しやすく、入手が容易であり、得られる繊維製品の樹脂コーティングに対する剥離強度がより優れるという点で、aは、40以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましい。
本実施形態のオルガノ変性シリコーンにおいて、(a+b)は10〜200である。工業的に製造しやすく、入手が容易であるという点で、(a+b)は、20〜100であることが好ましく、40〜60であることがより好ましい。(a+b)が上記範囲内であると、シリコーン自体の製造や取り扱いが容易になる傾向にある。
本実施形態のオルガノ変性シリコーンは、従来公知の方法により合成することができる。本実施形態のオルガノ変性シリコーンは、例えば、SiH基を有するシリコーンに、ビニル基を有する芳香族化合物及び/又はα−オレフィンをヒドロシリル化反応させることにより得ることができる。
上記のSiH基を有するシリコーンとしては、例えば、重合度が10〜200であるメチルハイドロジェンシリコーン、又は、ジメチルシロキサンとメチルハイドロジェンシロキサンとの共重合体等が挙げられる。これらの中でも、工業的に製造しやすく、入手が容易であるという点で、メチルハイドロジェンシリコーンが好ましい。
上記のビニル基を有する芳香族化合物は、上記一般式(1)中のR23において、芳香族環を有する炭素数8〜40の炭化水素基の由来となる化合物である。ビニル基を有する芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、アリルフェニルエーテル、アリルナフチルエーテル、アリル−p−クミルフェニルエーテル、アリル−o−フェニルフェニルエーテル、アリル−トリ(フェニルエチル)−フェニルエーテル、アリル−トリ(2−フェニルプロピル)フェニルエーテル等が挙げられる。
上記のα−オレフィンは、上記一般式(1)中のR23において、炭素数3〜40の飽和の炭化水素基の由来となる化合物である。α−オレフィンとしては、例えばプロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−トリコセン、1−テトラコセン、1−ヘキサコセン、1−オクタコセン、1−トリアコンテン、1−ドトリアコンテン等炭素数3〜40のα−オレフィンが挙げられる。
上記のヒドロシリル化反応は、必要に応じて触媒の存在下、上記SiH基を有するシリコーンに、上記ビニル基を有する芳香族化合物及び上記α−オレフィンを段階的に或いは一度に反応させることにより行ってもよい。
ヒドロシリル化反応に用いられるSiH基を有するシリコーン、ビニル基を有する芳香族化合物及びα−オレフィンの使用量はそれぞれ、SiH基を有するシリコーンのSiH基当量、又は数平均分子量等に応じて適宜選択され得る。
ヒドロシリル化反応に用いられる触媒としては、例えば、白金、パラジウム等の化合物が挙げられ、中でも白金化合物が好ましい。白金化合物としては、例えば、塩化白金(IV)等が挙げられる。
ヒドロシリル化反応の反応条件は、特に制限はなく、適宜調整することができる。反応温度は、例えば10〜200℃、好ましくは50〜150℃である。反応時間は、例えば、反応温度が50〜150℃のとき、3〜12時間とすることができる。
また、ヒドロシリル化反応は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン等が挙げられる。無溶媒下でも反応は進行するが、溶媒を使用してもよい。溶媒としては、例えば、ジオキサン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、酢酸ブチル等が挙げられる。
変性シリコーンは市販品を用いることができる。例えば、長鎖アルキル変性シリコーンとしては、KF−412、KF−413、KF−414、KF−415、KF−4003、KF−4701、KF−4917、KF−7235B、X−22−7322(以上、信越化学工業社製)、BELSILCDM3526VP、BELSILCM7026VP、BELSILSDM5055VP(以上、旭化成ワッカーシリコーン社製、製品名)などを挙げることができる。長鎖アルキル・アラルキル変性シリコーンとしては、X−22−1877(信越化学工業社製、製品名)などを挙げることができる。高級脂肪酸アミド変性シリコーンとしてはKF−3935(信越化学工業社製、製品名)などを挙げることができる。
本実施形態の表面処理剤におけるシリコーン類の含有量は、非フッ素系ポリマー(例えば、(U−1)成分と(A−1)成分との反応物)の質量P(固形分)とシリコーン類の質量Sとの比率が、P:S=95:5〜20:80であることが好ましく、90:10〜30:70であることがより好ましい。
架橋剤としては、メラミン樹脂、グリオキザール樹脂、イソシアネート基又はブロックドイソシアネート基を1個以上有する化合物が挙げられる。架橋剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の表面処理剤によれば、基材を処理することにより、基材に十分な撥水性又は防汚性を付与することができる。換言すれば、本実施形態の表面処理剤は、撥水剤又は防汚剤として用いることができる。
本実施形態の表面処理剤(例えば、撥水剤)で処理が可能な基材としては、繊維、皮革、ガラス、金属、樹脂、石材などを挙げることができる。
<撥水性繊維製品及びその製造方法>
本実施形態の撥水性繊維製品は、繊維基材と、繊維基材に付着した上述した本実施形態の非フッ素系ポリマーとを有する。
本実施形態の撥水性繊維製品の製造方法について説明する。
本実施形態の撥水性繊維製品は、繊維基材を上述した本実施形態の非フッ素系ポリマーが含まれる処理液で処理することにより、繊維基材に非フッ素系ポリマーを付着させることで得られる。
処理液は、上述した本実施形態の表面処理剤を用いて調製することができ、表面処理剤と溶剤とを混合して調製される。溶剤としては、樹脂の溶解性の観点から、トルエン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、イソプロピルアルコールなどが好ましい。
繊維基材の素材としては特に制限はなく、綿、麻、絹、羊毛などの天然繊維、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリプロピレンなどの合成繊維及びこれらの複合繊維、混紡繊維などが挙げられる。繊維基材の形態は繊維、糸、布、不織布、紙などのいずれの形態であってもよい。また、繊維基材は繊維製品であってもよい。
繊維基材を上記処理液で処理する方法としては、例えば、浸漬、噴霧、塗布等の加工方法が挙げられる。また、表面処理剤が溶剤や水を含有する場合は、繊維基材に付着させた後に溶剤や水を除去するために乾燥させることが好ましい。
非フッ素系ポリマーの繊維基材への付着量は、要求される撥水性と防汚性の度合いに応じて適宜調整可能であるが、繊維基材100gに対して、非フッ素系ポリマーの付着量が0.01〜10gとなるように調整することが好ましく、0.05〜5gとなるように調整することがより好ましい。非フッ素系ポリマーの付着量が0.01g未満であると、非フッ素系ポリマーの付着量が上記範囲にある場合と比較して、得られる撥水性繊維製品が十分な撥水性と防汚性を発揮できない傾向にあり、10gを超えると、非フッ素系ポリマーの付着量が上記範囲にある場合と比較して、得られる撥水性繊維製品の風合が粗硬になる傾向にある。
また、本実施形態の非フッ素系ポリマーを繊維製品に付着させた後は、適宜熱処理することが好ましい。温度条件は特に制限はないが、本実施形態の表面処理剤を用いると、100〜130℃の温和な条件により繊維基材に十分良好な撥水性を発現させることができる。温度条件は130℃以上(好ましくは200℃まで)の高温処理であってもよいが、かかる場合は、フッ素系撥水剤を用いた従来の場合よりも処理時間を短縮することが可能である。したがって、本実施形態の撥水性繊維製品の製造方法によれば、熱による繊維基材の変質が抑えられ、撥水処理時の繊維基材の風合が柔軟となり、しかも温和な熱処理条件、すなわち低温キュア条件下で繊維基材に十分な撥水性と防汚性を付与できる。
特に、耐久撥水性を向上させたい場合には、本実施形態の非フッ素系ポリマーが含まれる処理液で繊維基材を処理する上述の工程と、この工程を経た繊維基材に、メラミン樹脂、グリオキザール樹脂、及びイソシアネート基又はブロックドイソシアネート基を1個以上有する化合物からなる群より選択される1種以上の架橋剤を付着させてこれを加熱する工程とを含む方法によって、繊維基材を撥水加工することが好ましい。更に、耐久撥水性をより向上させたい場合には、処理液が、上述の架橋剤と反応可能な官能基を有する単量体を共重合した非フッ素系ポリマーを含むことが好ましい。
メラミン樹脂としては、メラミン骨格を有する化合物を用いることができ、例えば、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンなどのポリメチロールメラミン;ポリメチロールメラミンのメチロール基の一部又は全部が、炭素数1〜6のアルキル基を有するアルコキシメチル基となったアルコキシメチルメラミン;ポリメチロールメラミンのメチロール基の一部又は全部が、炭素数2〜6のアシル基を有するアシロキシメチル基となったアシロキシメチルメラミンなどが挙げられる。これらのメラミン樹脂は、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できる。このようなメラミン樹脂としては、例えば、DIC株式会社製のベッカミンAPM、ベッカミンM−3、ベッカミンM−3(60)、ベッカミンMA−S、ベッカミンJ−101、及びベッカミンJ−101LF、ユニオン化学工業株式会社製のユニカレジン380K、三木理研工業株式会社製のリケンレジンMMシリーズなどが挙げられる。
グリオキザール樹脂としては、従来公知のものを使用することができる。グリオキザール樹脂としては、例えば、1,3−ジメチルグリオキザール尿素系樹脂、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素系樹脂、ジメチロールジヒドロキシプロピレン尿素系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の官能基は、他の官能基で置換されていてもよい。このようなグリオキザール樹脂としては、例えば、DIC株式会社製のベッカミンN−80、ベッカミンNS−11、ベッカミンLF−K、ベッカミンNS−19、ベッカミンLF−55Pコンク、ベッカミンNS−210L、ベッカミンNS−200、及びベッカミンNF−3、ユニオン化学工業株式会社製のユニレジンGS−20E、三木理研工業株式会社製のリケンレジンRGシリーズ、及びリケンレジンMSシリーズなどが挙げられる。
メラミン樹脂及びグリオキザール樹脂には、反応を促進させる観点から触媒を使用することが好ましい。このような触媒としては、通常用いられる触媒であれば特に制限されず、例えば、ホウ弗化アンモニウム、ホウ弗化亜塩等のホウ弗化化合物;塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等の中性金属塩触媒;燐酸、塩酸、ホウ酸等の無機酸などが挙げられる。これら触媒には、必要に応じて、助触媒として、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、乳酸等の有機酸などを併用することもできる。このような触媒としては、例えば、DIC株式会社製のキャタリストACX、キャタリスト376、キャタリストO、キャタリストM、キャタリストG(GT)、キャタリストX−110、キャタリストGT−3、及びキャタリストNFC−1、ユニオン化学工業株式会社製のユニカキャタリスト3−P、及びユニカキャタリストMC−109、三木理研工業株式会社製のリケンフィクサーRCシリーズ、リケンフィクサーMXシリーズ、及びリケンフィクサーRZ−5などが挙げられる。
イソシアネート基又はブロックドイソシアネート基を1個以上有する化合物としては、ブチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ナフタレンイソシアネートなどの単官能(モノ)イソシアネート化合物や、多官能イソシアネート化合物を使用することができる。
多官能イソシアネート化合物としては、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物であれば特に限定されず、公知のポリイソシアネート化合物を用いることができる。多官能イソシアネート化合物としては、例えば、アルキレンジイソシアネート、アリールジイソシアネート及びシクロアルキルジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物、これらのジイソシアネート化合物の二量体又は三量体などの変性ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。アルキレンジイソシアネートの炭素数は、1〜12であることが好ましい。
ジイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環式ポリイソシアネートが挙げられる。これらの中でも、得られる非フッ素系ポリマーが無黄変性のものとなるという観点から、脂肪族ポリイソシアネート及び脂環式ポリイソシアネートが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート及び1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが特に好ましい。
トリイソシアネート化合物としては、例えば、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート、トリス(イソシアナートフェニル)−チオフォスファートなどが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物から誘導される変性ポリイソシアネート化合物も使用することができ、このような化合物としては、2つ以上のイソシアネート基を有するものであれば特に制限はなく、例えば、ビウレット構造、イソシアヌレート構造、ウレタン構造、ウレトジオン構造、アロファネート構造、三量体構造などを有するポリイソシアネート、トリメチロールプロパンの脂肪族イソシアネートのアダクト体などを挙げることができる。また、ポリメリックMDI(MDI=ジフェニルメタンジイソシアネート)も多官能イソシアネート化合物として使用することができる。ポリイソシアネート化合物は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能イソシアネート化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
多官能イソシアネート化合物が有するイソシアネート基は、そのままでもよく、ブロック剤によりブロックされたブロックイソシアネート基であってもよい。ブロック剤としては、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチル−4−ニトロピラゾール、3,5−ジメチル−4−ブロモピラゾール、ピラゾールなどのピラゾール類;フェノール、メチルフェノール、クロルフェノール、iso−ブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、iso−アミルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール等のフェノール類;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等のラクタム類;マロン酸ジメチルエステル、マロン酸ジエチルエステル、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等の活性メチレン化合物類;ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム類;イミダゾール、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物類;重亜硫酸ソーダなどが挙げられる。これらの中でも、撥水性と防汚性の観点から、ピラゾール類及びオキシム類が好ましい。
多官能イソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート構造に親水基を導入して界面活性効果を持たせることにより、ポリイソシアネートに水分散性を付与した水分散性イソシアネートを用いることもできる。また、反応を促進するため、有機錫、有機亜鉛、ビスマス系等の公知の触媒を併用することもできる。
架橋剤や触媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
架橋剤は、例えば、架橋剤を有機溶剤に溶解するか、水に乳化分散させた処理液に被処理物(繊維基材)を浸漬し、被処理物に付着した処理液を乾燥する方法により、被処理物に付着させることができる。そして、被処理物に付着した架橋剤を加熱することにより、架橋剤と被処理物及び非フッ素系ポリマーとの反応を進行させることができる。架橋剤の反応を十分に進行させてより効果的に洗濯耐久性を向上させるために、このときの加熱は110〜180℃で1〜5分間行うのがよい。
架橋剤の付着及び加熱の工程は、上述の処理液で処理する工程と同時に行ってもよい。同時に行う場合、例えば、非フッ素系ポリマー及び架橋剤を含有する処理液を被処理物に付着させ、乾燥させた後、更に、被処理物に付着している架橋剤を加熱する。
撥水加工工程の簡素化や、熱量の削減、経済性を考慮した場合、非フッ素系ポリマーを付着させる処理工程と架橋剤を付着させる工程とを同時に行うことが好ましい。この場合、例えば、架橋剤が配合された本実施形態の表面処理剤が含まれる処理液で繊維基材を処理する工程と、この工程を経た繊維基材を加熱する工程とを含む方法であってもよい。
また、架橋剤を過度に使用すると風合を損ねるおそれがあるため、上記架橋剤は、被処理物(繊維基材)に対して0.1〜50質量%の量で用いることが好ましく、0.1〜10質量%の量で用いることが特に好ましい。
以下に、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
<重合性不飽和モノマーの合成>
(合成例1)
セパラブルフラスコに、多官能性化合物(U−2)としてクラレポリオールC−1090((株)クラレ製、製品名)97.8g、ポリイソシアネート化合物(U−3)としてイソホロンジイソシアネート33.5g、溶媒としてメチルエチルケトン49.47g、及び重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.03gを入れ、75℃にて混合し均一化した。この混合液に、触媒として、ネオスタンU−600(日東化成(株)製、製品名、無機ビスマス系)0.05gをメチルエチルケトン0.45gに溶解した触媒溶液Aを0.5g添加して3時間反応させてイソシアネート末端ポリマーを得た。
次いで、上記のイソシアネート末端ポリマーが含まれる溶液に、重合性不飽和基とイソシアネート反応性基とを有する化合物(U−5)としてメタアクリル酸2−ヒドロキシエチル3.4gと、イソシアネート反応性基を有し、重合性不飽和基を有さない化合物(U−6)としてラウリルアルコールとミリスチルアルコールとの混合アルコール(質量比75:25)15.3gを添加して5時間反応させ、固形分75質量%の重合性不飽和モノマー溶液A200gを得た。
(合成例2〜7)
表1に示される原料(表中に示される配合量の単位は(g))を用いたこと以外は合成例1と同様にして、固形分75質量%の重合性不飽和モノマー溶液B〜Gをそれぞれ得た。
(合成例8)
セパラブルフラスコに、アクリル酸2−イソシアナトエチル34.3g、イソシアネート反応性基を有し、重合性不飽和基を有さない化合物(U−6)としてステアリルアルコール65.7g、溶媒としてメチルエチルケトン99.47g、及び重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.03gを入れ、75℃にて混合し均一化した。この混合液に、触媒として、ネオスタンU−600(日東化成(株)製、製品名、無機ビスマス系)0.05gをメチルエチルケトン0.45gに溶解した触媒溶液Aを0.5g添加して3時間反応させて固形分50質量%の重合性不飽和モノマー溶液Hを得た。
(合成例9)
セパラブルフラスコに、多官能性化合物(U−2)としてクラレポリオールP−520((株)クラレ製、製品名)40.8g及びPTMG−1000(三菱ケミカル(株)製、製品名)40.8g、ポリイソシアネート化合物(U−3)としてイソホロンジイソシアネート41.9g、溶媒としてメチルエチルケトン49.57g、並びに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.03gを入れ、75℃にて混合し均一化した。この混合液に、触媒として、ネオスタンU−600(日東化成(株)製、製品名、無機ビスマス系)0.05gをメチルエチルケトン0.45gに溶解した触媒溶液Aを0.5g添加して3時間反応させてイソシアネート末端ポリマーを得た。
次いで、上記のイソシアネート末端ポリマーが含まれる溶液に、重合性不飽和基とイソシアネート反応性基とを有する化合物(U−5)としてメタアクリル酸2−ヒドロキシエチル8.6g、及びイソシアネート反応性基を有し、重合性不飽和基を有さない化合物(U−6)としてステアリルアルコール17.8gを添加して5時間反応させ、固形分75質量%の重合性不飽和モノマー溶液aを200g得た。
(合成例10〜16)
表2に示される原料(表中に示される配合量の単位は(g))を用いたこと以外は合成例9と同様にして、固形分75質量%の重合性不飽和モノマー溶液b〜hを200g得た。
Figure 2020200456
Figure 2020200456
表1及び2中の原料の詳細は下記のとおりである。
ポリオールA:クラレポリオールC−1090((株)クラレ製、製品名)
ポリオールB:クラレポリオールP−1010((株)クラレ製、製品名)
ポリオールC:クラレポリオールP−3010((株)クラレ製、製品名)
ポリオールD:クラレポリオールP−1020((株)クラレ製、製品名)
ポリオールE:PTMG−1000(三菱ケミカル(株)製、製品名、ポリテトラメチレンエーテルグリコール)
ポリオールF:クラレポリオールP−520((株)クラレ製、製品名)
C12−14アルコール混合物:カルコール2475(花王(株)製、製品名)
触媒溶液A:ネオスタンU−600(メチルエチルケトン10倍希釈品)(日東化成(株)製、製品名、無機ビスマス系)
<非フッ素系ポリマーの合成>
(実施例1)
セパラブルフラスコに、重合性不飽和モノマー(U−1)として、合成例1で得られた重合性不飽和モノマー溶液A200g、(メタ)アクリル酸エステル単量体(A−1)としてステアリルアクリレート350g、溶媒としてメチルエチルケトン440g、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン3gを入れ、窒素を流入しながら75℃で混合均一化し、開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル1gをメチルエチルケトン9gで希釈したAIBN溶液10gを添加して5時間反応することで、固形分50質量%の非フッ素系ポリマー溶液A1000gを得た。
(実施例2〜10)
合成例1の重合性不飽和モノマー溶液に代えて表3に示される合成例2〜合成例7の重合性不飽和モノマー溶液(表中に示される配合量の単位は(g))を用いたこと以外は、実施例1と同様にして固形分50質量%の非フッ素系ポリマー溶液B〜Jをそれぞれ得た。
(実施例11)
200mLのフラスコに、合成例9で得られた重合性不飽和モノマー溶液aを6.7g、ステアリルアクリレート19g、(メタ)アクリル酸エステル単量体(C−1)としてメタアクリル酸2−ヒドロキシエチル0.5g、単量体(D)としてジアセトンアクリルアミド0.5g、溶媒としてメチルエチルケトン10g及び水60.15g、界面活性剤としてノイゲンXL−41(第一工業製薬(株)製、製品名、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)0.94g、アデカプルロニックP−84((株)アデカ製、製品名、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンのブロック重合体)1.43g、リポカードT−28(ライオン・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製、製品名、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリドの28%溶液)0.45g、pH調整剤としてグリコール酸0.15gを入れ、55℃にて混合攪拌し混合液とした。この混合液に超音波を照射して全単量体を乳化分散させた。次いで、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン0.06g、開始剤としてアゾビス(イソブチルアミジン)二塩酸塩0.12gを混合液に添加し、窒素雰囲気下で65℃にて6時間ラジカル重合させて、固形分25質量%の非フッ素系ポリマー分散液aを得た。
(実施例12〜24)
溶媒及び界面活性剤を表4及び5(表中に示される配合量の単位は(g))に示されるように変更したこと以外は、実施例11と同様にして固形分25質量%の非フッ素系ポリマー分散液b〜nを得た。
(実施例25〜31)
重合性不飽和モノマー溶液、溶媒及び界面活性剤を表4及び5(表中に示される配合量の単位は(g))に示されるように変更したこと以外は、実施例11と同様にして固形分25質量%の非フッ素系ポリマー分散液o〜uを得た。
(比較例1)
セパラブルフラスコに、(メタ)アクリル酸エステル単量体(A−1)としてステアリルアクリレート100g、溶媒としてメチルエチルケトン98g、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン3gを入れ、窒素を流入しながら75℃で混合均一化し、開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル0.2gをメチルエチルケトン1.8gで希釈したAIBN溶液2gを添加して5時間反応することで、固形分50質量%のアクリル樹脂溶液A200gを得た。
(比較例2)
セパラブルフラスコに、(メタ)アクリル酸エステル単量体(A−1)としてステアリルアクリレート90g、合成例8で得られた重合性不飽和モノマー溶液H20g、溶媒としてメチルエチルケトン88g、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン0.6gを入れ、窒素を流入しながら75℃で混合均一化し、開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル0.2gをメチルエチルケトン1.8gで希釈したAIBN溶液2gを添加して5時間反応することで、固形分50質量%のアクリル樹脂溶液B200gを得た。
Figure 2020200456
Figure 2020200456
Figure 2020200456
表4及び5中の原料の詳細は下記のとおりである。
リポカードT−28:ライオン・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製、製品名、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリドの28%溶液
ノイゲンXL−41:非イオン界面活性剤、第一工業製薬(株)製、製品名、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル
ノイゲンXL−400:非イオン界面活性剤、第一工業製薬(株)製、製品名
アデカプルロニックF−88:非イオン界面活性剤、(株)アデカ製、製品名、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンのブロック重合体、分子量=11400
アデカプルロニックF−68:非イオン界面活性剤、(株)アデカ製、製品名、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンのブロック重合体、分子量=8400
アデカプルロニックP−84:非イオン界面活性剤、(株)アデカ製、製品名、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンのブロック重合体、分子量=4200
アデカプルロニックL−64:非イオン界面活性剤、(株)アデカ製、製品名、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンのブロック重合体、分子量=2900
ラテムルPD−420:(B1)化合物、花王(株)製、製品名
ラテムルPD−430:(B1)化合物、花王(株)製、製品名
ソフタノール500:非イオン界面活性剤、(株)日本触媒製、製品名、炭素数が12から14である炭素鎖を有するセカンダリーアルコールのエチレンオキサイド50モル付加物
ブラウノンO−15:非イオン界面活性剤、青木油脂工業(株)製、製品名、ポリオキシエチレンオレイルアミド(EO付加モル数=7モル)
ステアリルアミンのエチレンオキサイド50モル付加物:非イオン界面活性剤
ファーミンDM8098:アミン類、花王(株)製、製品名、ジメチルステアリルアミン
リポミンHTD:アミン類、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、製品名、ステアリルアミン
ファーミンDM2098:アミン類、花王(株)製、製品名、ジメチルラウリルアミン
<撥水性繊維製品の作製>
(実施例32)
実施例1で得た非フッ素系ポリマー溶液A2g、テトラヒドロフラン50g、イソプロピルアルコール48gを混合均一とし、処理液を調製した。
次いで、得られた処理液に、染色を行ったポリエステル100%布又はナイロン100%布を浸漬処理(ピックアップ率10質量%)した。次いで、浸漬処理を行った布を130℃で1分間乾燥し、更に170℃で30秒間熱処理して、撥水性繊維製品を得た。
得られた撥水性基材製品について、 JIS L 1092(2009)のスプレー法と同様の方法でシャワー水温を20℃として撥水性評価を行った。結果は目視にて下記の等級で評価した。なお、特性がわずかに良好な場合は等級に「+」をつけ、特性がわずかに劣る場合は等級に「−」をつけた。評価結果を表6に示す。
撥水性:状態
5:表面に付着湿潤のないもの
4:表面にわずかに付着湿潤を示すもの
3:表面に部分的湿潤を示すもの
2:表面に湿潤を示すもの
1:表面全体に湿潤を示すもの
0:表裏両面が完全に湿潤を示すもの
(実施例33〜実施例43、比較例3〜6)
実施例1で得た非フッ素系ポリマー溶液Aに代えて、表6又は9に記載の非フッ素系ポリマー溶液、添加剤又はアクリル樹脂溶液(表中に示される配合量の単位は(g))を用いた以外は実施例32と同様に操作を行って撥水性繊維製品を得た。得られた撥水性繊維製品について実施例32と同様に撥水性評価を行った。
なお、表9中の非フッ素系ポリマー溶液Kは、合成例4で得られた重合性不飽和モノマー溶液Dを用いて下記の手順で得られたものである。
セパラブルフラスコに、重合性不飽和モノマーとして、合成例4で得られた重合性不飽和モノマー溶液Dを133g、溶媒としてメチルエチルケトン64.4g、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン3gを入れ、窒素を流入しながら75℃で混合均一化し、開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル0.2gをメチルエチルケトン1.8gで希釈したAIBN溶液2gを添加して5時間反応することで、固形分75質量%の非フッ素系ポリマー溶液K200gを得た。
(実施例44)
実施例11で得られた非フッ素系ポリマー分散液aを4質量%となるように水で希釈し、処理液を調整した。
次いで、得られた処理液に染色を行ったポリエステル100%布又はナイロン100%布を浸漬処理(ピックアップ率40質量%)した。次いで、浸漬処理を行った布を130℃で1分間乾燥し、更に170℃で30秒間熱処理して、撥水性繊維製品を得た。得られた撥水性繊維製品について実施例32と同様に撥水性評価を行った。
(実施例45〜64)
実施例11で得られた非フッ素系ポリマー分散液aに代えて、表7又は8に記載の非フッ素系ポリマー溶液を用いた以外は、実施例44と同様に操作を行って撥水性繊維製品を得た。得られた撥水性繊維製品について実施例44と同様に撥水性評価を行った。
Figure 2020200456
Figure 2020200456
Figure 2020200456
Figure 2020200456
表6中の添加剤の詳細は下記のとおりである。
シリコーンA:BELSIL SDM 5055 VP(旭化学(株)製、製品名、ステアリル変性ジメチルシリコーン)
ワックスA:155°Fパラフィンワックス(日本精蝋(株)製、製品名、融点約68℃)
実施例1〜31の非フッ素系ポリマー溶液又は分散液を含む処理液を用いた場合、浸漬処理後のポリエステル100%布及びナイロン100%布の撥水性評価の等級は、共に3以上であった。

Claims (10)

  1. 下記一般式(A−1)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体(A−1)に由来する構成単位と、
    分子内に、ウレタン結合、ウレア結合及びチオウレタン結合からなる群より選択される1種以上の結合を合計で4以上有する重合性不飽和モノマー(U−1)に由来する構成単位と、
    を含有する、非フッ素系ポリマー。
    Figure 2020200456

    [式(A−1)中、Rは水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はメチル基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数12以上の1価の炭化水素基を表す。]
  2. 前記重合性不飽和モノマー(U−1)が、
    水酸基、アミノ基、イミノ基及びチオール基からなる群より選択される1種以上のイソシアネート反応性基を合計で2以上有する多官能性化合物(U−2)と、ポリイソシアネート化合物(U−3)とを反応させて得られる少なくとも2つのイソシアネート基を有するイソシアネート末端ポリマー(U−4)と、
    重合性不飽和基及びイソシアネート反応性基を有する化合物(U−5)と、
    の反応物である、請求項1に記載の非フッ素系ポリマー。
  3. 前記重合性不飽和モノマー(U−1)が、
    水酸基、アミノ基、イミノ基及びチオール基からなる群より選択される1種以上のイソシアネート反応性基を合計で2以上有する多官能性化合物(U−2)と、ポリイソシアネート化合物(U−3)とを反応させて得られる少なくとも2つのイソシアネート基を有するイソシアネート末端ポリマー(U−4)と、
    重合性不飽和基及びイソシアネート反応性基を有する化合物(U−5)と、
    イソシアネート反応性基を有し、重合性不飽和基を有さない化合物(U−6)と、
    の反応物である、請求項1に記載の非フッ素系ポリマー。
  4. 前記化合物(U−5)が有するイソシアネート反応性基の数と、前記化合物(U−6)が有するイソシアネート反応性基の数との割合が、モル比で95:5〜5:95である、請求項3に記載の非フッ素系ポリマー。
  5. 前記多官能性化合物(U−2)が有する前記イソシアネート反応性基の数と、前記ポリイソシアネート化合物(U−3)が有するイソシアネート基の数との割合が、モル比で40:100〜95:100である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の非フッ素系ポリマー。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の非フッ素系ポリマーを含む、表面処理剤。
  7. ワックス類、シリコーン類、及び架橋剤のうちの1種以上を更に含む、請求項6に記載の表面処理剤。
  8. 撥水性又は防汚性を付与するために用いられる、請求項6又は7に記載の表面処理剤。
  9. 繊維基材と、該繊維基材に付着した請求項1〜5のいずれか一項に記載の非フッ素系ポリマーと、を有する、撥水性繊維製品。
  10. 繊維基材を、請求項1〜5のいずれか一項に記載の非フッ素系ポリマーが含まれる処理液に接触させる工程、を備える、撥水性繊維製品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024041476A1 (zh) * 2022-08-22 2024-02-29 东丽纤维研究所(中国)有限公司 拒水纺织品

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