JP2020199209A - 眼科装置及び眼科装置の制御方法 - Google Patents

眼科装置及び眼科装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】撮像素子への迷光の入射を防止することができる眼科装置及び眼科装置の制御方法を提供する。【解決手段】撮像素子と対物レンズから撮像素子に至る観察系光路とを有する観察系と、観察系と共通の撮像素子と観察系光路の途中から分岐して再び観察系光路に合流する第1分岐光路とを有し、被検眼からの第1測定光の第1戻り光を撮像素子で撮像する第1測定系と、対物レンズから第1分岐光路の途中に至る第2共通光路と第1分岐光路の途中から分岐して設けられた第2分岐光路とを有し、被検眼に第1測定光と同一の波長域の第2測定光を照射し、第2測定光の第2戻り光を検出する第2測定系と、第2測定系が作動する場合には第1分岐光路を遮断し、且つ第1測定系が作動する場合には第1分岐光路を開放するシャッタ機構と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、眼科装置及び眼科装置の制御方法に関する。
被検眼に対して複数の検査、測定、及び計測を実行可能な眼科装置が知られている。例えば特許文献1には、被検眼の屈折力値の測定と、光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:OCT)を用いた被検眼の計測及び断層像撮影と、を行う眼科装置(複合機)が開示されている。この眼科装置は、前眼部観察系、レフ測定光学系、及びOCT光学系などを含む複数種類の光学系を備える。
前眼部観察系は、撮像素子と、対物レンズから撮像素子に至る光路と、を備える。この前眼部観察系は、被検眼の前眼部の観察像を撮像素子で撮像する。
レフ測定光学系は、被検眼の屈折力の測定に用いられる。レフ測定光学系は、観察系と共通の撮像素子と、観察系の光路の途中から分岐して撮像素子に至る光路と、を有する。このレフ測定光学系は、被検眼の眼底にリング状のパターン光を照射し、被検眼からのパターン光の戻り光を撮像素子で撮像する。
OCT光学系は、観察系の光路から分岐したレフ測定光学系の光路の途中からさらに分岐して設けられており、被検眼のOCT計測(断層像撮影を含む)に用いられる。
特開2017−136215号公報
特許文献1に記載の眼科装置(複合機)では、被検眼の瞳孔の収縮を抑えるために、観察系による前眼部の観察と、レフ測定光学系による測定と、OCT光学系による計測と、を不可視光(例えば赤外光)で行う。この際に、眼科装置で用いられる不可視光の波長域の選択肢が少ないため、レフ測定光学系とOCT光学系とでは同一(略同一を含む、以下同じ)の波長域の不可視光が用いられる。このため、OCT光学系による計測を行う場合に、被検眼からの測定光の戻り光の一部がレフ測定光学系の光路を通って撮像素子に迷光として入射するおそれがある。この場合には、前眼部の観察像にゴーストが発生するため、観察像に基づく被検眼の前眼部の状態の確認が困難になる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、撮像素子への迷光の入射を防止することができる眼科装置及び眼科装置の制御方法を提供することを目的とする。
本発明の目的を達成するための眼科装置は、撮像素子と、対物レンズから撮像素子に至る観察系光路と、を有し、対物レンズを介して被検眼の観察像を撮像素子で撮像する観察系と、観察系と共通の撮像素子と、観察系光路の途中から分岐して再び観察系光路に合流する第1分岐光路と、観察系光路の一部と共通の第1共通光路と、を有し、被検眼に第1測定光を照射し、被検眼からの第1測定光の第1戻り光を撮像素子で撮像する第1測定系と、対物レンズから第1分岐光路の途中に至る第2共通光路と、第1分岐光路の途中から分岐して設けられた第2分岐光路と、を有し、被検眼に第1測定光と同一の波長域の第2測定光を照射し、被検眼からの第2測定光の第2戻り光を検出する第2測定系と、第2測定系が作動する場合には第2共通光路とは異なる位置で第1分岐光路を遮断し、且つ第1測定系が作動する場合には第1分岐光路を開放するシャッタ機構と、を備える。
この眼科装置によれば、第2測定系が作動する場合に第1分岐光路を進行する迷光をシャッタ機構で遮断することができる。
本発明の他の態様に係る眼科装置において、シャッタ機構が、第1測定系が作動する場合には第1共通光路とは異なる位置で観察系光路を遮断し、且つ第2測定系が作動する場合には観察系光路を開放する。これにより、観察系と第1測定系とにおいて撮像素子を共通化させることができるので、眼科装置の低コスト化及び小型化が図れる。
本発明の他の態様に係る眼科装置において、第1測定系が、被検眼の眼底に第1測定光としてパターン光を照射して、パターン光の第1戻り光を撮像素子により撮像し、第2測定系が、光源からの光を第2測定光と参照光とに分割し、第2測定光を被検眼の眼底に照射して、被検眼からの第2測定光の第2戻り光と参照光との干渉光を検出する。これにより、被検眼の屈折力測定(角膜形状測定)及びOCT計測を1つの眼科装置で実行することができ、さらにOCT計測時に迷光が撮像素子に入射することが防止される。
本発明の他の態様に係る眼科装置において、シャッタ機構により第1分岐光路を遮断する位置が、眼底と光学的に共役な共役位置である。これにより、被検眼のディオプタが変わった場合でもシャッタ機構を移動させる必要がなくなる。
本発明の他の態様に係る眼科装置において、シャッタ機構が、第1共通光路とは異なる位置で観察系光路を遮断する第1遮断位置に挿脱自在に設けられた第1シャッタと、第2共通光路とは異なる位置で第1分岐光路を遮断する第2遮断位置に挿脱自在に設けられた第2シャッタと、第1測定系が作動する場合には第1シャッタを第1遮断位置に挿入し且つ第2シャッタを第2遮断位置から退避させ、第2測定系が作動する場合には第1シャッタを第1遮断位置から退避させ且つ第2シャッタを第2遮断位置に挿入する駆動機構と、を備える。
本発明の他の態様に係る眼科装置において、シャッタ機構が、第1共通光路とは異なる位置で観察系光路を遮断する第1遮断位置と、第2共通光路とは異なる位置で第1分岐光路を遮断する第2遮断位置と、の間で変位自在に保持された共通シャッタと、第1測定系が作動する場合には共通シャッタを第1遮断位置に移動させ、第2測定系が作動する場合には共通シャッタを第2遮断位置に移動させる駆動機構と、を備える。これにより、1種類の共通シャッタで観察系光路の遮断及び開放と、第1分岐光路の遮断及び開放とが実行可能になるので、眼科装置の低コスト化及び省スペース化が図れる。
本発明の他の態様に係る眼科装置において、第1共通光路が、対物レンズと第1分岐光路の一端との間の光路と、第1分岐光路の他端と撮像素子との間の光路と、を含む。
本発明の他の態様に係る眼科装置において、第1測定光及び第2測定光の波長域が、観察像を形成する光の波長域とは異なる。
本発明の目的を達成するための眼科装置の制御方法は、撮像素子と、対物レンズから撮像素子に至る観察系光路と、を有し、対物レンズを介して被検眼の観察像を撮像素子で撮像する観察系と、観察系と共通の撮像素子と、観察系光路の途中から分岐して再び観察系光路に合流する第1分岐光路と、観察系光路の一部と共通の第1共通光路と、を有し、被検眼に第1測定光を照射し、被検眼からの第1測定光の第1戻り光を撮像素子で撮像する第1測定系と、対物レンズから第1分岐光路の途中に至る第2共通光路と、第1分岐光路の途中から分岐して設けられた第2分岐光路と、を有し、被検眼に第1測定光と同一の波長域の第2測定光を照射し、被検眼からの第2測定光の第2戻り光を検出する第2測定系と、を備える眼科装置の制御方法において、第2測定系が作動する場合には第2共通光路とは異なる位置で第1分岐光路を遮断し、且つ第1測定系が作動する場合には第1分岐光路を開放する。
本発明の他の態様に係る眼科装置の制御方法において、第1測定系が作動する場合には第1共通光路とは異なる位置で観察系光路を遮断し、且つ第2測定系が作動する場合には観察系光路を開放する。
本発明は、撮像素子への迷光の入射を防止することができる。
第1実施形態の眼科装置の光学系の概略図である。 OCTユニットの光学系の概略図である。 前眼部観察系、レフ測定光学系、及びOCT光学系の各光路と、観察系シャッタ機構と、レフ系シャッタ機構と、を説明するための説明図である。 図3中のダイクロイックフィルタの拡大図である。 処理部の機能ブロック図である。 第1実施形態の眼科装置による被検眼の測定及び計測処理の流れ、特に第1シャッタ及び第2シャッタの開閉処理の流れを示すフローチャートである。 第2実施形態の眼科装置の光学系の概略図である。
[第1実施形態]
<光学系の構成>
図1は、オートレフケラトメータとOCT装置とを組み合わせた第1実施形態の眼科装置1000(複合機)の光学系の概略図である。図1に示すように、眼科装置1000は、被検眼Eの眼屈折力測定及び角膜形状測定(ケラト測定)と、OCTを用いた計測と、を実行する。
眼科装置1000は、アライメント系1と、ケラト測定系3と、固視投影系4と、前眼部観察系5と、レフ測定光学系(レフ測定投射系6及びレフ測定受光系7)と、OCT光学系8と、を含む。
(前眼部観察系5)
前眼部観察系5は、本発明の観察系に相当するものであり、被検眼Eの前眼部の観察像Pを取得、より具体的には動画撮影する。前眼部観察系5は、前眼部照明光源50、対物レンズ51、ダイクロイックフィルタ52、絞り53(テレセン絞り)、リレーレンズ55,56、ダイクロイックフィルタ76、結像レンズ58、撮像素子59、及び観察系シャッタ機構300を備える。
前眼部照明光源50は、被検眼Eの前眼部に不可視光の照明光、例えば波長940nmの赤外光を照射する。前眼部により反射された照明光は、対物レンズ51を通過し、ダイクロイックフィルタ52を透過し、絞り53に形成された孔部を通過し、リレーレンズ55,56を通過し、ダイクロイックフィルタ76を透過する。
ダイクロイックフィルタ52は、所謂ロングパスフィルタであり、前眼部観察系5で用いられる波長940nm付近の光を透過し、後述のレフ測定光学系及びOCT光学系8で用いられる波長840nm付近の光を反射する。これにより、ダイクロイックフィルタ52は、前眼部観察系5の光路からレフ測定光学系及びOCT光学系8の双方の光路を分岐(波長分離)させると共に、前眼部観察系5の光路とレフ測定光学系及びOCT光学系8の双方の光路とを合成する。
なお、ダイクロイックフィルタ52における各光路を分岐及び合成する面は、対物レンズ51の光軸に対して傾斜して配置される。また、ダイクロイックフィルタ52の代わりに、波長940nm付近の光を透過し且つ波長840nm付近の光を反射(遮断)する各種の光学素子を用いてもよい。
ダイクロイックフィルタ76は、前眼部観察系5で用いられる波長940nm付近の光を透過し、後述のレフ測定光学系及びOCT光学系8で用いられる波長840nm付近の光を反射する。これにより、ダイクロイックフィルタ52は、前眼部観察系5の光路と、この前眼部観察系5の光路から分岐したレフ測定光学系(レフ測定受光系7)の光路と、を合成する。ダイクロイックフィルタ76を透過した光は、結像レンズ58により撮像素子59の撮像面に結像される。
撮像素子59は、公知のエリアセンサ(エリアイメージセンサ)であり、前眼部観察系5及びレフ測定光学系(レフ測定受光系7)とで共用される。この撮像素子59の撮像面は、前眼部観察系5を経由する光学系において瞳孔共役位置に配置されている。なお、瞳孔共役位置は、被検眼Eに対する眼科装置1000のアライメントが完了した状態での被検眼Eの瞳孔と光学的に略共役な位置であり、瞳孔と光学的に共役な位置又はその近傍を意味するものとする。撮像素子59は、結像レンズ58により撮像面に結像された光を所定のレートで撮像及び信号出力を行う。
撮像素子59から出力された撮像信号(映像信号)は、後述の処理部9に入力される。処理部9は、被検眼Eの前眼部の観察時には、撮像素子59から出力された撮像信号に基づく観察像P(前眼部像)を表示部270に表示させる。なお、観察像Pは、例えば赤外動画像である。
表示部270は、観察像Pの表示を行ったり、或いはユーザインターフェイス部として、処理部9の制御部210(図5参照)による制御を受けて各情報を表示したりする。
観察系シャッタ機構300は、詳しくは後述するが、前眼部観察系5の光路の開放及び遮断を切り替える。
(アライメント系1)
アライメント系1は、被検眼Eに対する前眼部観察系5の光軸方向(前後方向、Z方向、作動距離方向)におけるアライメントと、前眼部観察系5の光軸に直交する方向[左右方向(X方向)、上下方向(Y方向)]のアライメントと、に用いられる。このアライメント系1は、一対のステレオカメラ14を含む。各ステレオカメラ14は、被検眼Eの前眼部を撮影し、前眼部の撮影画像を後述の処理部9に出力する。処理部9は、詳しくは後述するが、各ステレオカメラ14から入力された撮影画像に基づき、被検眼Eに対する前眼部観察系5等のアライメントを行う。
(ケラト測定系3)
ケラト測定系3は、被検眼Eの角膜Crの形状の測定に用いられる。ケラト測定系3は、対物レンズ51から撮像素子59までを前眼部観察系5と共用すると共に、赤外光である角膜形状測定用のパターン光(リング状光束)を角膜Crに投射するためのケラト板31及びケラトリング光源32を有する。
ケラト板31は、対物レンズ51と被検眼Eとの間に配置されている。ケラト板31の背面側(対物レンズ51側)にはケラトリング光源32が設けられている。ケラト板31には、対物レンズ51の光軸を中心とする円周上に沿ってケラトリング光源32からの光を透過するケラトパターン(透過部)が形成されている。なお、ケラトパターンは、対物レンズ51の光軸を中心とする円弧状(円周の一部)に形成されていてもよい。ケラトリング光源32からの光でケラト板31を照明することにより、角膜Crに対して角膜形状測定用のパターン光が投射される。
角膜Crからの反射光(ケラトリング像)は、撮像素子59により被検眼Eの前眼部の観察像Pと共に検出される。処理部9は、このケラトリング像を基に公知の演算を行うことで、角膜Crの形状を表す角膜形状パラメータを算出する。
(レフ測定光学系:レフ測定投射系6及びレフ測定受光系7)
レフ測定光学系は、本発明の第1測定系に相当するものであり、被検眼Eの屈折力値を測定するレフ測定に用いられる。このレフ測定光学系は、レフ測定投射系6及びレフ測定受光系7を含む。レフ測定投射系6は、被検眼Eの眼底Efに対して不可視光(赤外光)のリング状のパターン光を投射する。レフ測定受光系7は、被検眼Eからのパターン光の戻り光である第1戻り光を受光する。
レフ測定投射系6は、レフ測定受光系7の光路上に設けられた孔開きプリズム65によって分岐された光路に設けられる。なお、孔開きプリズム65に形成されている孔部は、瞳孔共役位置に配置される。レフ測定投射系6は、対物レンズ51及びダイクロイックフィルタ52を前眼部観察系5と共用すると共に、レフ測定光源61と、リレーレンズ62と、円錐プリズム63と、リング絞り64と、孔開きプリズム65と、ロータリープリズム66と、ダイクロイックフィルタ67と、を備える。
レフ測定受光系7は、対物レンズ51から孔開きプリズム65までをレフ測定投射系6と共用し、且つダイクロイックフィルタ76から撮像素子59までを前眼部観察系5と共用する。また、レフ測定受光系7は、リレーレンズ71、反射ミラー72、リレーレンズ73、合焦レンズ74、反射ミラー75、及びレフ系シャッタ機構304を備える。
レフ測定光源61は、高輝度光源であるSLD(Super Luminescent Diode)光源であり、本発明の第1測定光に相当する波長830nm〜890nm(本実施形態では840nmとする)の不可視光(赤外光)を出射する。また、レフ測定光源61は、光軸方向に移動可能であり眼底共役位置に配置される。なお、眼底共役位置とは、アライメントが完了した状態での被検眼Eの眼底Efと光学的に略共役な位置であり、眼底Efと光学的に共役な位置又はその近傍を意味するものとする。
レフ測定光源61から出力された光は、リレーレンズ62を通過し、円錐プリズム63の円錐面に入射する。円錐面に入射した光は偏向され、円錐プリズム63の底面から出射する。円錐プリズム63の底面から出射した光は、リング絞り64に形成されたリング状の透光部を通過する。この透光部を通過したリング状のパターン光(リング状光束)は、孔開きプリズム65の孔部の周囲に形成された反射面により反射され、ロータリープリズム66を通過し、ダイクロイックフィルタ67により反射される。
ダイクロイックフィルタ67は、レフ測定光学系によるレフ測定時と、OCT光学系8によりOCT計測時と、において差し替えられる。ダイクロイックフィルタ67は、レフ測定時には波長840nm付近の光を反射し且つ後述の固視投影系4からの視標光を透過するフィルタが用いられ、OCT計測時には波長840nm付近の光を透過するフィルタが用いられる。これにより、ダイクロイックフィルタ67は、レフ測定光学系の光路からOCT光学系8の光路を分岐(分離)させると共に、これら両光路を合成する。
ダイクロイックフィルタ67により反射された光は、ダイクロイックフィルタ52により反射され、対物レンズ51を通過し、被検眼Eに投射される。ロータリープリズム66は、眼底Efの血管及び疾患部位等に対するパターン光の光量分布を平均化したり、レフ測定光源61に起因するスペックルノイズを低減したりするために用いられる。
眼底Efに投射されたリング状のパターン光の第1戻り光は、対物レンズ51を通過し、ダイクロイックフィルタ52及びダイクロイックフィルタ67により反射される。ダイクロイックフィルタ67により反射された第1戻り光は、ロータリープリズム66を通過し、孔開きプリズム65の孔部を通過し、リレーレンズ71を通過し、反射ミラー72により反射され、リレーレンズ73及び合焦レンズ74を通過する。
合焦レンズ74は、レフ測定受光系7の光軸に沿って移動可能である。合焦レンズ74を通過した光は、反射ミラー75により反射され、ダイクロイックフィルタ76により反射され、結像レンズ58により撮像素子59の撮像面に結像される。なお、撮像素子59の撮像面は、レフ測定受光系7を経由する光学系において眼底共役位置に配置される。処理部9は、撮像素子59から出力される撮像信号に基づき公知の演算を行うことで被検眼Eの屈折力値を演算する。屈折力値は、例えば球面度数、乱視度数及び乱視軸角度、又は等価球面度数を含む。
なお、レフ測定光源61及び合焦レンズ74は、後述の処理部9の制御の下、レフ測定光学系を用いて得られた被検眼Eの屈折力値に基づき、眼底Efとレフ測定光源61と撮像素子59とが共役となるような位置に、それぞれ光軸方向に移動される。
レフ系シャッタ機構304は、詳しくは後述するが、レフ測定受光系7の光路の開放及び遮断を切り替える。
(固視投影系4)
固視投影系4は、ダイクロイックフィルタ83により後述のOCT光学系8の光路から分岐された光路に設けられている。
固視投影系4は、固視標を被検眼Eに呈示する。固視投影系4の光路には、固視ユニット40が配置されている。固視ユニット40は、後述の処理部9からの制御を受け、固視投影系4の光路に沿って移動可能である。固視ユニット40は、固視投影系4の光路(光軸)に沿って移動可能であり、液晶パネル41を含む。ダイクロイックフィルタ83と固視ユニット40との間に、リレーレンズ42が配置されている。
液晶パネル41は、後述の処理部9の制御の下、固視標を表すパターンを表示する。この液晶パネル41は、固視標を表すパターンの表示位置を任意に変更可能である。これにより、被検眼Eの固視位置を変更できる。被検眼Eの固視位置としては、眼底Efの黄斑部を中心とする画像を取得するための位置、視神経乳頭を中心とする画像を取得するための位置、及び黄斑部と視神経乳頭との間の眼底中心を中心とする画像を取得するための位置などがある。
また、液晶パネル41は、後述の処理部9の制御の下、既述のレフ測定光源61及び合焦レンズ74の移動に連動して光軸方向に移動される。
液晶パネル41からの視標光は、リレーレンズ42を通過し、ダイクロイックフィルタ83を透過し、リレーレンズ82を通過し、反射ミラー81により反射され、ダイクロイックフィルタ67を透過し、ダイクロイックフィルタ52により反射される。ダイクロイックフィルタ52により反射された視標光は、対物レンズ51を通過して眼底Efに投射される。
(OCT光学系8)
OCT光学系8は、本発明の第2測定系に相当するものであり、被検眼EのOCT計測を行うための光学系である。OCT光学系8は、レフ測定光学系から分岐して設けられている。OCT光学系8は、ダイクロイックフィルタ52により前眼部観察系5の光路から分岐(波長分離)され且つダイクロイックフィルタ67によりレフ測定光学系の光路から分岐された光路を有する。なお、既述の固視投影系4の光路は、ダイクロイックフィルタ83によりOCT光学系8の光路に合成(結合)される。これにより、OCT光学系8及び固視投影系4のそれぞれの光軸を同軸で結合することができる。
OCT光学系8は、対物レンズ51、ダイクロイックフィルタ52,67、反射ミラー81、リレーレンズ82、ダイクロイックフィルタ83、反射ミラー84、リレーレンズ85、合焦レンズ87、光スキャナー88、コリメータレンズユニット89、及びOCTユニット100を有する。
図2は、OCTユニット100の光学系の概略図である。図2及び既述の図1に示すように、OCTユニット100のOCT光源101は、一般的なスウェプトソースタイプのOCT装置と同様に、出射光の波長を掃引(走査)可能な波長掃引型(波長走査型)光源であり、共振器を含むレーザー光源を含む。OCT光源101は、人眼では視認できない近赤外の波長域において、出力波長を時間的に変化させる。
OCTユニット100には、スウェプトソースOCTを実行するための光学系が設けられている。この光学系は、干渉光学系を含む。この干渉光学系は、OCT光源101からの光を測定光LS(本発明の第2測定光に相当)と参照光LRとに分割する機能と、被検眼Eからの測定光LSの戻り光である第2戻り光と参照光路を経由した参照光LRとを重ね合わせて干渉光LCを生成する機能と、この干渉光LCを検出する機能とを備える。干渉光学系により得られた干渉光LCの検出結果(検出信号)は、干渉光LCのスペクトルを示す信号であり、処理部9に送られる。
OCT光源101は、例えば出射光の波長を、レフ測定光源61から出射される光の波長域と同一(略同一、重複、一部重複を含む)の波長域の波長860nm付近(本実施形態では840nmとする)を基準として高速で変化させる近赤外波長可変レーザーを含む。OCT光源101から出力された光L0は、光ファイバー102により偏波コントローラ103に導かれてその偏光状態が調整される。偏光状態が調整された光L0は、光ファイバー104によりファイバーカプラー105に導かれ、ファイバーカプラー105によって測定光LSと参照光LRとに分割される。
参照光LRは、光ファイバー110によりコリメータ111に導かれて平行光束に変換され、光路長補正部材112及び分散補償部材113を経由し、コーナーキューブ114に導かれる。光路長補正部材112は、参照光LRの光路長と測定光LSの光路長とを合わせるよう作用する。分散補償部材113は、参照光LRと測定光LSとの間の分散特性を合わせるよう作用する。コーナーキューブ114は、参照光LRの入射方向に沿って移動可能であり、それにより参照光LRの光路長を変更する。
コーナーキューブ114を経由した参照光LRは、分散補償部材113及び光路長補正部材112を経由し、コリメータ116によって平行光束から集束光束に変換され、光ファイバー117に入射する。光ファイバー117に入射した参照光LRは、偏波コントローラ118に導かれてその偏光状態が調整され、光ファイバー119によりアッテネータ120に導かれて光量が調整され、光ファイバー121によりファイバーカプラー122に導かれる。
一方、ファイバーカプラー105により生成された測定光LSは、光ファイバーf1により導かれてコリメータレンズユニット89により平行光束に変換される。平行光束に変換された測定光LSは、合焦レンズ87、リレーレンズ85、及び反射ミラー84を経由し、ダイクロイックフィルタ83により反射される。
合焦レンズ87は、光軸方向(対物レンズ51の光軸方向、OCT光学系8の光軸方向)に移動可能である。合焦レンズ87は、後述の処理部9の制御の下、合焦レンズ74の移動に連動して光軸方向に移動される。また、合焦レンズ87は、OCT計測よりも前に実施された被検眼Eのレフ測定結果に基づき、光ファイバーf1の端面が計測部位(眼底Ef又は前眼部)と光学系に共役となるように位置調整される。
光スキャナー88は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スキャナー、ガルバノミラー、ポリゴンミラー、回転ミラー、ダボプリズム、ダブルダボプリズム、及びローテーションプリズムなどが用いられる。この光スキャナー88は、測定光LSを2次元的に偏向、例えばOCT光学系8の光軸に直交する水平方向及び垂直方向に撮影部位(眼底Ef又は前眼部)をスキャンするように測定光LSを偏向する。このような測定光LSの走査態様としては、例えば、水平スキャン、垂直スキャン、十字スキャン、放射スキャン、円スキャン、同心円スキャン、及び螺旋スキャンなどがある。
ダイクロイックフィルタ83により反射された測定光LSは、リレーレンズ82を通過し、反射ミラー81により反射され、ダイクロイックフィルタ67を透過し、ダイクロイックフィルタ52により反射され、対物レンズ51により屈折されて被検眼Eに入射する。被検眼Eからの測定光LSの第2戻り光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバーカプラー105に導かれ、光ファイバー128を経由してファイバーカプラー122に到達する。なお、図2では図面の煩雑化を防止するため、測定光LSの第2戻り光にも符号LSを付している。
ファイバーカプラー122は、光ファイバー128を介して入射された測定光LSの第2戻り光と、光ファイバー121を介して入射された参照光LRとの干渉光LCを生成する。また、ファイバーカプラー122は、所定の分岐比(例えば1:1)で干渉光LCを分岐することにより、一対の干渉光LCを生成する。一対の干渉光LCは、それぞれ光ファイバー123,124を通じて検出器125に導かれる。
検出器125は、例えばバランスドフォトダイオードである。バランスドフォトダイオードは、一対の干渉光LCをそれぞれ検出する一対のフォトディテクタを含み、これらフォトディテクタにより得られた一対の検出結果の差分を出力する。検出器125は、この出力(検出信号)をデータ収集機器(Data Acquisition System)であるDAQ130に送る。
DAQ130には、OCT光源101からクロックKCが供給される。クロックKCは、OCT光源101において、波長可変光源により所定の波長範囲内で掃引される各波長の出力タイミングに同期して生成される。OCT光源101は、例えば、各出力波長の光L0を分岐することにより得られた2つの分岐光の一方を光学的に遅延させた後、これらの合成光を検出した結果に基づいてクロックKCを生成する。DAQ130は、検出器125から入力される検出信号をクロックKCに基づきサンプリングする。
また、DAQ130は、検出器125からの検出信号のサンプリング結果を処理部9の演算処理部220(図5参照)に送る。演算処理部220は、例えば一連の波長走査毎に(Aライン毎に)、サンプリングデータに基づくスペクトル分布にフーリエ変換等を施すことにより、各Aラインにおける反射強度プロファイルを形成する。更に、演算処理部220は、各Aラインの反射強度プロファイルを画像化することにより画像データを形成する。
なお、本実施形態のOCTユニット100には、参照光LRの光路長を変更するためのコーナーキューブ114が設けられているが、他の光学部材を用いて測定光路長と参照光路長との差を変更してもよい。
<各光学系の光路>
図3は、前眼部観察系5、レフ測定光学系(レフ測定受光系7)、及びOCT光学系8の各光路と、観察系シャッタ機構300と、レフ系シャッタ機構304と、を説明するための説明図である。
図3に示すように、前眼部観察系5は、対物レンズ51から撮像素子59に至る観察系光路LP1を有する。
レフ測定光学系のレフ測定受光系7は、対物レンズ51からダイクロイックフィルタ52,76を経て撮像素子59に至るレフ測定光路LP2を有する。このレフ測定光路LP2は、第1分岐光路LP2aと第1共通光路LP2bとを備える。
第1分岐光路LP2aは、ダイクロイックフィルタ52により観察系光路LP1の途中から分岐された後、ダイクロイックフィルタ76により観察系光路LP1と合流する。第1共通光路LP2bは、観察系光路LP1の一部と共通の光路であって、且つ対物レンズ51と第1分岐光路LP2aの一端(ダイクロイックフィルタ52)との間の光路、及び第1分岐光路LP2aの他端(ダイクロイックフィルタ76)と撮像素子59との間の光路を含む。
OCT光学系8は、対物レンズ51からダイクロイックフィルタ52,67,83を経てOCTユニット100に至るOCT計測光路LP3を有する。このOCT計測光路LP3は、第2分岐光路LP3aと第2共通光路LP3bとを備える。
第2分岐光路LP3aは、第1分岐光路LP2aから分岐された光路である。なお、第2分岐光路LP3aは、ダイクロイックフィルタ83により固視投影系4の光路と分岐される。
第2共通光路LP3bは、レフ測定光路LP2の一部(観察系光路LP1の一部を含む)と共通の光路であって、対物レンズ51とダイクロイックフィルタ67との間の光路である。
<観察系シャッタ機構300>
観察系シャッタ機構300は、本発明のシャッタ機構の一部を構成するものであり、第1共通光路LP2bとは異なる位置において観察系光路LP1の開放及び遮断を切り替える。既述の通り、前眼部観察系5及びレフ測定受光系7では撮像素子59を共通化させているので、第1共通光路LP2bは、観察系光路LP1及びレフ測定光路LP2の双方で共通の光路である。このため、本実施形態では、レフ測定光学系を作動させて被検眼Eのレフ測定を行う場合には、観察系シャッタ機構300により第1共通光路LP2bと異なる位置で観察系光路LP1を遮断(以下、「観察系光路LP1を遮断」と略す)することで、パターン光の第1戻り光以外の光が撮像素子に入射することを防止する。
また、本実施形態では、レフ測定光学系によるレフ測定を行わない場合、例えばOCT光学系8を作動させてOCT計測を行ったり、アライメント及びケラト測定を行ったりする場合には、観察系シャッタ機構300による観察系光路LP1の遮断を解除してこの観察系光路LP1を開放する。これにより、前眼部観察系5による被検眼Eの前眼部の観察像Pの取得が可能となる。その結果、例えばOCT計測時において、検者が、表示部270に表示される観察像Pに基づき被検眼Eの状態(アライメント状態等)を確認することができる。
観察系シャッタ機構300は、第1シャッタ301と、第1シャッタ駆動機構302と、を含む。第1シャッタ301は、観察系光路LP1においてリレーレンズ56とダイクロイックフィルタ76との間の第1遮断位置に挿脱自在に設けられている。なお、第1遮断位置は、観察系光路LP1の中で第1共通光路LP2bとは異なる位置であれば特に限定はされない。
第1シャッタ駆動機構302は、本発明の駆動機構に相当する。第1シャッタ駆動機構302は、例えば、第1シャッタ301を第1遮断位置とこの第1遮断位置から退避した第1退避位置とに移動させる公知のアクチュエータ(アクチュエータの駆動力を第1シャッタ301に伝達する伝達機構を含む)である。
第1シャッタ駆動機構302は、後述の処理部9の制御の下、第1シャッタ301を移動させる。第1シャッタ駆動機構302は、レフ測定光学系を作動させてレフ測定を行う場合には、第1シャッタ301を第1遮断位置に挿入して観察系光路LP1を遮断する。また、第1シャッタ駆動機構302は、OCT光学系8を作動させてOCT計測を行ったり、アライメント及びケラト測定を行ったりする場合には、第1シャッタ301を第1退避位置に移動させて観察系光路LP1を開放する。
<レフ系シャッタ機構304>
図4は、図3中のダイクロイックフィルタ52,67の拡大図である。図4及び既述の図3に示すように、レフ系シャッタ機構304は、本発明のシャッタ機構の一部を構成するものであり、第2共通光路LP3bとは異なる位置においてレフ測定光路LP2の第1分岐光路LP2aの開放及び遮断を切り替える。
既述の通り、レフ測定受光系7及びOCT光学系8では同一の波長域(波長840nm)の赤外光が用いられる。また、OCT光学系8で用いられる測定光LS及びその第2戻り光の光量は、レフ測定光学系(レフ測定受光系7)で用いられるパターン光及びその第1戻り光の光量よりも大きい。
この際に、ダイクロイックフィルタ52は、既述の通り、レフ測定光学系及びOCT光学系8で用いられる波長840nmの光を透過せず且つ前眼部観察系5で用いられる波長940nmの光を透過するロングパスフィルタである。このため、対物レンズ51からダイクロイックフィルタ52に入射した測定光LSの第2戻り光の全てが、ダイクロイックフィルタ52によりダイクロイックフィルタ67に向けて反射される。
一方、ダイクロイックフィルタ67は、OCT計測時には測定光LSの第2戻り光を透過するフィルタを用いる必要があるが、第2戻り光の光量は大きいので、第2戻り光の全てを透過させることはできない。このため、第2戻り光の一部がダイクロイックフィルタ67により反射されて迷光GL(図4参照)となり、この迷光GLがレフ測定光路LP2を通って撮像素子59に入射する。
このようにOCT光学系8によるOCT計測を行う場合に、迷光GLがレフ測定光路LP2を通って撮像素子59に入射すると、この撮像素子59により撮像される観察像Pにゴーストが発生する。その結果、検者が表示部270に表示される観察像Pに基づき被検眼Eの状態(アライメント状態等)を確認することができない。
そこで本実施形態では、OCT光学系8を作動させて被検眼EのOCT計測を行う場合には、レフ系シャッタ機構304により第2共通光路LP3bとは異なる位置で第1分岐光路LP2aを遮断(以下、「第1分岐光路LP2aを遮断」と略す)する。これにより、ダイクロイックフィルタ67により反射された迷光GLがレフ測定光路LP2を通って撮像素子59に入射することが防止される。なお、本実施形態では、アライメント及びケラト測定を行う場合にもレフ系シャッタ機構304により第1分岐光路LP2aを遮断する。
また、本実施形態では、レフ測定光学系を作動させて被検眼Eのレフ測定を行う場合には、レフ系シャッタ機構304による第1分岐光路LP2aの遮断を解除してこの第1分岐光路LP2a(レフ測定光路LP2)を開放する。これにより、レフ測定光学系による被検眼Eのレフ測定が可能となる。
レフ系シャッタ機構304は、第2シャッタ305と、第2シャッタ駆動機構306と、を含む。第2シャッタ305は、第1分岐光路LP2aの中で第2共通光路LP3bとは異なる位置である第2遮断位置に挿脱自在に設けられている。
この際に、第2遮断位置は、眼底Efと光学的に共役な眼底共役位置、すなわち本実施形態では合焦レンズ74と反射ミラー75との間の位置であることが好ましい。この場合には、第2遮断位置に入射する迷光GLは孔開きプリズム65の孔部を通過するため、迷光GLの径の大きさは孔部の径の大きさ以下となる。これにより、第2シャッタ305を最小限の大きさにすることができる。また、第2遮断位置を合焦レンズ74と反射ミラー75との間に設定することで、被検眼Eのディオプタが変わった場合でも合焦レンズ74の移動に連動して第2シャッタ305を移動させる必要がなくなる。
第2シャッタ駆動機構306は、本発明の駆動機構に相当する。第2シャッタ駆動機構306は、第2シャッタ305を第2遮断位置とこの第2遮断位置から退避した第2退避位置とに移動させる公知のアクチュエータ(アクチュエータの駆動力を第2シャッタ305に伝達する伝達機構を含む)である。
第2シャッタ駆動機構306は、後述の処理部9の制御の下、第2シャッタ305を移動させる。第2シャッタ駆動機構306は、OCT光学系8を作動させてOCT計測を行ったり、アライメント及びケラト測定を行ったりする場合には、第2シャッタ305を第2遮断位置に挿入して第1分岐光路LP2aを遮断する。また、第2シャッタ駆動機構306は、レフ測定光学系を作動させてレフ測定を行う場合には、第2シャッタ305を第2退避位置に移動させて第1分岐光路LP2a(レフ測定光路LP2)を開放する。
<処理部9の構成>
図5は、処理部9の機能ブロック図である。なお、図5では図面の煩雑化を防止するため、レフ測定光学系(レフ測定受光系7)の撮像素子59は図示を省略している。
図5に示すように、処理部9は、各種のプロセッサ(Processor)及びメモリ等から構成された演算回路を備える。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス[例えばSPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)]等が含まれる。なお、処理部9の各種機能は、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種または異種の複数のプロセッサで実現されてもよい。この処理部9は、不図示の記憶回路又は記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、制御部210及び演算処理部220として機能する。
また、処理部9には、既述の眼科装置1000の各部の他に、移動機構200と、移動機構40D,80Dと、移動機構61D,74Dと、操作部280と、通信部290と、が接続されている。
(移動機構200)
移動機構200は、アライメント系1、ケラト測定系3、固視投影系4、前眼部観察系5、レフ測定投射系6、レフ測定受光系7、及びOCT光学系8が収納されたヘッド部(図示は省略)を前後左右上下方向に移動させる機構である。この移動機構200には、ヘッド部を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構と、が設けられている。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせ或いはラックアンドピニオンなどによって構成される。移動機構200は、制御部210(主制御部211)の制御の下、ヘッド部の移動を行う。
(移動機構40D)
移動機構40Dは、固視ユニット40を固視投影系4の光軸方向(対物レンズ51の光軸方向)に移動させる機構である。この移動機構40Dには、移動機構200と同様に、固視ユニット40を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられている。移動機構40Dは、制御部210(主制御部211)の制御の下、固視ユニット40の移動を行う。
(移動機構80D)
移動機構80Dは、OCT光学系8の合焦レンズ87をOCT光学系8の光軸方向(対物レンズ51の光軸方向)に移動させる機構である。この移動機構80Dには、移動機構200と同様に、合焦レンズ87を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構と、が設けられている。移動機構80Dは、制御部210(主制御部211)の制御の下、合焦レンズ87の移動を行う。
(移動機構61D)
移動機構61Dは、レフ測定投射系6のレフ測定光源61をその光軸方向に移動する移動機構を含む。この移動機構61Dには、移動機構200と同様に、レフ測定光源61を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構と、が設けられている。移動機構61Dは、制御部210(主制御部211)の制御の下、レフ測定光源61の移動を行う。
(移動機構74D)
移動機構74Dは、レフ測定受光系7の合焦レンズ74をその光軸方向に移動する移動機構を含む。この移動機構74Dには、移動機構200と同様に、合焦レンズ74を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構と、が設けられている。合焦レンズ74は、制御部210(主制御部211)の制御の下、合焦レンズ74の移動を行う。
(操作部280)
操作部280は、ユーザインターフェイス部として、眼科装置1000を操作するために使用される。操作部280は、眼科装置1000に設けられた各種のハードウェアキー(操作レバー、ボタン、及びスイッチなど)を含む。また、操作部280には、タッチパネル式の表示部270の表示画面に表示される各種のソフトウェアキー(ボタン、アイコン、及びメニューなど)も含まれる。
(通信部290)
通信部290は、図示しない外部装置と通信するための機能を有する。通信部290は、外部装置との接続形態に応じた通信インターフェイスを備える。外部装置の例として、レンズの光学特性を測定する眼鏡レンズ測定装置がある。また、外部装置は、任意の眼科装置、記録媒体から情報を読み取る装置(リーダ)、或いは記録媒体に情報を書き込む装置(ライタ)などでもよい。さらに、外部装置は、病院情報システム(Hospital Information System:HIS)サーバ、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)サーバ、医師端末、モバイル端末、個人端末、及びクラウドサーバなどでもよい。なお、通信部290は、例えば処理部9に設けられていてもよい。
(制御部210)
制御部210は、既述のプロセッサを含み、眼科装置1000の各部を制御する。制御部210は、主制御部211と、記憶部212と、を含む。記憶部212は、眼科装置1000を制御するためのコンピュータプログラムと、各種のデータと、を記憶する。
記憶部212に記憶されるコンピュータプログラムには、眼科装置1000の各部の作動を制御する制御プログラムと、眼科装置1000に各種測定及び計測を実行させるための制御プログラムと、演算処理部220による演算処理用の制御プログラムと、が含まれる。このようなコンピュータプログラムに従って主制御部211が動作することにより、制御部210は制御処理を実行する。また、記憶部212に記憶されるデータとしては、例えば他覚測定の測定結果(屈折力値、OCT計測結果)、断層像の画像データ、眼底像の画像データ、及び被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者ID及び氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報などの被検眼Eに関する情報を含む。
主制御部211は、眼科装置1000の各種制御を行う。この各種制御には、被検眼Eに対する眼科装置1000(既述のヘッド部)のアライメントに係るアライメント制御、被検眼Eのケラト測定に係るケラト測定制御、被検眼Eのレフ測定に係るレフ測定制御、及び被検眼EのOCT計測に係るOCT計測制御などの公知の制御が複数含まれる。また、各種制御には、従来の制御とは異なる制御として、第1シャッタ301及び第2シャッタ305の開閉を制御するシャッタ開閉制御が含まれる。
(アライメント制御)
主制御部211は、ケラト測定前とレフ測定(後述の本測定)前とにおいて、アライメント系1及び移動機構200を制御するアライメント制御部として機能する。主制御部211は、ケラト測定前及びレフ測定(本測定)前に、アライメント系1の一対のステレオカメラ14による被検眼Eの前眼部の撮影を実行させ、各ステレオカメラ14により撮影された撮影画像に基づき被検眼Eの3次元位置を公知の手法(特開2013−248376号公報参照)で特定する。また、主制御部211は、特定した被検眼Eの3次元位置に基づき移動機構200を駆動して、既述のヘッド部を前後左右上下に移動させることで、被検眼Eに対する眼科装置1000のアライメントを実行させる。
(ケラト測定制御)
主制御部211は、1回目のアライメント完了後にケラト測定系3(前眼部観察系5)及び演算処理部220を制御するケラト測定制御部として機能する。主制御部211は、ケラトリング光源32を点灯させて被検眼Eの前眼部に角膜形状測定用のパターン光を投射した状態で、撮像素子59による被検眼Eの前眼部の観察像Pの撮像を実行させ、この観察像Pの撮像信号を撮像素子59から演算処理部220に入力させる。次いで、主制御部211は、演算処理部220に対して観察像Pに基づく被検眼Eの角膜形状(角膜屈折力、角膜乱視度、及び角膜乱視軸角度)の演算を実行させる。
(レフ測定制御:仮測定)
主制御部211は、ケラト測定後と2回目のアライメント完了後とにおいて、レフ測定光学系(レフ測定投射系6及びレフ測定受光系7)、固視投影系4、及び演算処理部220を制御するレフ測定制御部として機能する。なお、レフ測定は、ケラト測定後の仮測定と2回目のアライメント完了後の本測定とを含む。
主制御部211は、仮測定では、固視投影系4の液晶パネル41を制御して、固視標を被検眼Eに呈示する。また、主制御部211は、レフ測定光学系を制御して、レフ測定光源61を点灯させると共にロータリープリズム66の回転を開始させることで、被検眼Eの眼底Efにリング状のパターン光を投射する。次いで、主制御部211は、レフ測定光学系を制御して、被検眼Eからのパターン光の第1戻り光に基づくリング像の撮像を撮像素子59に実行させ、このリング像の撮像信号を撮像素子59から演算処理部220に入力させる。
そして、主制御部211は、演算処理部220に対して、リング像の撮像画像に基づく被検眼Eの仮の球面度数S及び乱視度数Cの演算を公知の手法で実行させる。また、主制御部211は、仮の球面度数S及び乱視度数Cの演算結果に基づき、移動機構61D,74D,40Dを駆動して、レフ測定光源61、合焦レンズ74、及び液晶パネル41を等価球面度数(S+C/2)の位置へ移動させる。
さらに、主制御部211は、レフ測定光学系等を制御して、既述の眼底Efに対するパターン光の投射と、撮像素子59によるリング像の撮像と、演算処理部220による仮の球面度数S及び乱視度数Cの演算と、レフ測定光源61、合焦レンズ74、及び液晶パネル41の等価球面度数の位置への移動と、を実行させる。この際に主制御部211は、移動機構80Dを制御して、合焦レンズ74等の移動に連動して合焦レンズ87を移動させる。そして、主制御部211は、前述の各処理を繰り返し実行させた後、レフ測定光源61を消灯させると共に、ロータリープリズム66の回転を停止させる。
(レフ測定制御:本測定)
主制御部211は、本測定では、移動機構40Dを制御して、液晶パネル41を仮測定において求められた位置から更に雲霧位置に移動させることにより、被検眼Eの雲霧を促す。そして、主制御部211は、仮測定と同様にレフ測定光学系等を制御して、既述の眼底Efに対するパターン光の投射と、撮像素子59によるリング像の撮像と、を実行させて、このリング像の撮像画像を演算処理部220に入力させる。次いで、主制御部211は、演算処理部220に対して、リング像の撮像画像と合焦レンズ74の移動量とに基づく被検眼Eの屈折力値(球面度数、乱視度数、乱視軸角度)の演算を公知の手法で実行させる。
(OCT計測制御)
主制御部211は、レフ測定の本測定後にOCT光学系8及び演算処理部220を制御するOCT計測制御部として機能する。なお、主制御部211は、OCT計測制御を開始する前に、移動機構40Dを制御して、液晶パネル41を雲霧位置から既述の仮測定において求められた位置に移動させた後、固視投影系4の液晶パネル41を制御して固視標を被検眼Eに呈示する。また、主制御部211は、コーナーキューブ114を移動させて測定光LS及び参照光LRの光路長補正を実行する。
主制御部211は、OCT光学系8を制御して、OCTユニット100のOCT光源101を点灯させると共に、光スキャナー88の動作を開始させることで、被検眼Eの所定の部位(前眼部、眼底Ef、又は両者)を測定光LSでスキャンさせる。また、主制御部211は、OCT光学系8を制御して、検出器125による一対の干渉光LCの検出及び検出信号の出力と、DAQ130による検出信号のサンプリングとを実行させた後、この検出信号のサンプリング結果を演算処理部220に入力させる。さらに、主制御部211は、演算処理部220に対して、検出信号のサンプリング結果に基づくOCT計測、例えば断層像の形成及び眼内パラメータの演算を実行させる。
なお、眼内パラメータは、被検眼Eの眼軸長、角膜厚、前房深度、水晶体厚、角膜前面の強主経線曲率半径、角膜前面の弱主経線曲率半径、角膜後面の強主経線曲率半径、角膜後面の弱主経線曲率半径、水晶体前面の強主経線曲率半径、水晶体前面の弱主経線曲率半径、水晶体後面の強主経線曲率半径、及び水晶体後面の弱主経線曲率半径の少なくとも1つを含む。
(シャッタ開閉制御)
主制御部211は、アライメント前と、ケラト測定前と、レフ測定(仮測定及び本測定前)と、OCT計測前と、において、第1シャッタ駆動機構302及び第2シャッタ駆動機構306を制御するシャッタ駆動制御部として機能する。
主制御部211は、アライメント前、ケラト測定前、及びOCT計測前においては、第1シャッタ駆動機構302を駆動して第1シャッタ301を第1退避位置に移動させると共に、第2シャッタ駆動機構306を駆動して第2シャッタ305を第2遮断位置に移動させる。すなわち、観察系光路LP1を開放すると共にレフ測定光路LP2(第1分岐光路LP2a)を遮断する。
また、主制御部211は、レフ測定(仮測定及び本測定前)においては、第1シャッタ駆動機構302を駆動して第1シャッタ301を第1遮断位置に移動させると共に、第2シャッタ駆動機構306を駆動して第2シャッタ305を第2退避位置に移動させる。すなわち、観察系光路LP1を遮断すると共にレフ測定光路LP2(第1分岐光路LP2a)を開放する。
(演算処理部220)
演算処理部220は、眼屈折力算出部221と、画像形成部222と、データ処理部223と、を含む。
眼屈折力算出部221は、主制御部211の制御の下、レフ測定時の撮像素子59により撮像されたリング像を公知の手法で解析して、被検眼Eの屈折力値(球面度数、乱視度数、及び乱視軸角度)を演算する。また、眼屈折力算出部221は、主制御部211の制御の下、ケラト測定時の撮像素子59により撮像された観察像Pを公知の手法で解析して、被検眼Eの角膜形状(角膜屈折力、角膜乱視度、及び角膜乱視軸角度)を演算する。
画像形成部222は、主制御部211の制御の下、OCT計測時に検出器125及びDAQ130を経て入力された検出信号のサンプリング結果に基づき、従来のスペクトラルドメインタイプのOCTと同様のフィルタ処理及び高速フーリエ変換処理などを実行して、被検眼Eの断層像の画像データを形成する。
データ処理部223は、主制御部211の制御の下、画像形成部222により形成された断層像に対して各種のデータ処理(画像処理)及び解析処理を施す。例えば、データ処理部223は、各断層像に対して輝度補正及び分散補正等の補正処理を実行したり、各断層像を解析して既述の眼内パラメータの演算を実行したりする。また、データ処理部223は、前眼部観察系5を用いて得られた被検眼Eの前眼部の観察像Pに対しても各種の画像処理及び解析処理を施す。
さらにデータ処理部223は、断層像の間の画素を補間する補間処理などの公知の画像処理を実行することにより、被検眼Eのボリュームデータ(ボクセルデータ)を形成することができる。ボリュームデータに基づく画像を表示部270に表示させる場合、データ処理部223は、このボリュームデータに対してレンダリング処理を施して、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像を形成する。
[第1実施形態の作用]
図6は、第1実施形態の眼科装置1000による被検眼Eの測定及び計測処理の流れ、特に本発明の制御方法に相当する第1シャッタ301及び第2シャッタ305の開閉処理の流れを示すフローチャートである。なお、初期状態では、第1シャッタ301が第1退避位置(開)にセットされ、第2シャッタ305が第2遮断位置(閉)にセットされているものとする(ステップS1)。
図6に示すように、被検者の顔が不図示の顔受け部にセットされた後、検者が操作部280に対してアライメント開始操作を行うと、主制御部211がアライメント系1及び移動機構200を制御して、被検眼Eに対する眼科装置1000の1回目のアライメントを実行させる(ステップS2)。
1回目のアライメント完了後、検者が操作部280に対してケラト測定開始操作を行うと、主制御部211がケラト測定系3を制御して、被検眼Eの前眼部への角膜形状測定用のパターン光の投射と、撮像素子59による被検眼Eの前眼部の観察像Pの撮像と、を実行させる。次いで、主制御部211が演算処理部220を制御して、眼屈折力算出部221による被検眼Eの角膜形状の演算を実行させる(ステップS3)。
被検眼Eのケラト測定後、検者が操作部280に対してレフ測定開始操作を行うと、主制御部211が第1シャッタ駆動機構302を駆動して第1シャッタ301を第1遮断位置(閉)に移動させると共に、第2シャッタ駆動機構306を駆動して第2シャッタ305を第2退避位置(開)に移動させる(ステップS4)。これにより、観察系光路LP1が遮断され且つレフ測定光路LP2(第1分岐光路LP2a)が開放される。
次いで、主制御部211がレフ測定光学系(レフ測定投射系6及びレフ測定受光系7)、固視投影系4、演算処理部220、及び移動機構80Dなどを制御して、被検眼Eのレフ測定(仮測定)を実行する(ステップS5)。これにより、眼底Efに対するリング状のパターン光の照射と、撮像素子59によるリング像の撮像と、眼屈折力算出部221による仮の球面度数S及び乱視度数Cの演算と、レフ測定光源61、合焦レンズ74、及び液晶パネル41の移動と、合焦レンズ74等の移動に連動した合焦レンズ87の移動と、が実行される。
レフ測定(仮測定)の完了後、主制御部211が第1シャッタ駆動機構302を駆動して第1シャッタ301を第1退避位置(開)に移動させると共に、第2シャッタ駆動機構306を駆動して第2シャッタ305を第2遮断位置(閉)に移動させる(ステップS6)。これにより、観察系光路LP1が開放され且つレフ測定光路LP2が遮断される。
第1シャッタ301及び第2シャッタ305の切替完了後、主制御部211がアライメント系1及び移動機構200を制御して、被検眼Eに対する眼科装置1000の2回目のアライメントを実行させる(ステップS7)。これにより、レフ測定(仮測定)の間にアライメントがずれた場合であっても、レフ測定(本測定)前に再度アライメントが調整される。
また、主制御部211は、移動機構40Dを制御して、液晶パネル41を雲霧位置に移動させることにより、被検眼Eの雲霧を促す(ステップS7)。
2回目のアライメント等の完了後、主制御部211が第1シャッタ駆動機構302を駆動して第1シャッタ301を第1遮断位置(閉)に移動させると共に、第2シャッタ駆動機構306を駆動して第2シャッタ305を第2退避位置(開)に移動させる(ステップS8)。これにより、観察系光路LP1が遮断され且つレフ測定光路LP2が開放される。
次いで、主制御部211が仮測定と同様にレフ測定光学系(レフ測定投射系6及びレフ測定受光系7)、固視投影系4、及び演算処理部220を制御して、被検眼Eのレフ測定(本測定)を実行する(ステップS9)。これにより、眼底Efに対するリング状のパターン光の照射と、撮像素子59によるリング像の撮像と、眼屈折力算出部221による被検眼Eの屈折力値の演算と、が実行される。
レフ測定(本測定)の完了後、検者が操作部280に対してOCT計測開始操作を行うと、主制御部211が第1シャッタ駆動機構302を駆動して第1シャッタ301を第1退避位置(開)に移動させると共に、第2シャッタ駆動機構306を駆動して第2シャッタ305を第2遮断位置(閉)に移動させる(ステップS10)。これにより、観察系光路LP1が開放され且つレフ測定光路LP2が遮断される。
第1シャッタ301及び第2シャッタ305の切替完了後、主制御部211が移動機構40Dを制御して、液晶パネル41を雲霧位置から既述の仮測定において求められた位置に移動させた後、固視投影系4を制御して、固視標を被検眼Eに呈示する。また、主制御部211は、コーナーキューブ114を移動させて測定光LS及び参照光LRの光路長補正を実行する。なお、合焦レンズ87の位置調整についてはレフ測定で完了しているため、この位置調整については省略することができ、OCT計測に要する時間を短縮することができる。
次いで、主制御部211は、OCT光学系8及び演算処理部220を制御して、被検眼のOCT計測を実行する(ステップS11)。これにより、測定光LSによる被検眼Eのスキャンと、検出器125による一対の干渉光LCの検出と、DAQ130による検出信号のサンプリングと、画像形成部222による断層像の画像データの生成と、データ処理部223による眼内パラメータの演算と、が実行される。
以上で眼科装置1000による被検眼Eのケラト測定、レフ測定、及びOCT計測が完了する。
[第1実施形態の効果]
第1実施形態の眼科装置1000では、被検眼EのOCT計測時にレフ系シャッタ機構304の第2シャッタ305によりレフ測定光路LP2(第1分岐光路LP2a)を遮断することで、既述の図4に示した迷光GLがレフ測定光路LP2を通って撮像素子59に入射することが防止される。その結果、OCT計測時の観察像Pにおけるゴーストの発生が防止されるので、表示部270に表示される観察像Pに基づき、検者が被検眼Eの状態(アライメント状態等)を確認することができる。
また、第1実施形態の眼科装置1000では、観察系光路LP1に観察系シャッタ機構300を設け、被検眼Eの前眼部の観察時とレフ測定時とで観察系光路LP1の開放及び遮断を切替可能にすることで、前眼部観察系5とレフ測定光学系(レフ測定受光系7)とにおいて撮像素子59を共通化させることができる。ここで撮像素子59への迷光GLの入射という目的を達成するためには、例えば、レフ測定受光系7の反射ミラー75を撮像素子59(第1撮像素子)とは異なる第2撮像素子に置換(ダイクロイックフィルタ76の削除も含む)する方法も考えられるが、2種類の撮像素子が必要になる。これに対して、第1実施形態の眼科装置1000では、撮像素子59を共通化させることで眼科装置1000の低コスト化及び小型化が図れる。
さらに、第1実施形態の眼科装置1000では、レフ系シャッタ機構304を眼底共役位置に配置したので、被検眼Eのディオプタが変わった場合でも合焦レンズ74の移動に連動して第2シャッタ305を移動させる必要がなくなる。さらにまた、レフ系シャッタ機構304がレフ測定光路LP2において孔開きプリズム65よりも撮像素子59側に配置されているので、第2シャッタ305に入射する迷光GLの径の大きさを孔開きプリズム65の孔部の径の大きさよりも小さくすることができる。その結果、第2シャッタ305を最小限の大きさにすることができる。
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態の眼科装置1000の光学系の概略図である。上記第1実施形態の眼科装置1000は観察系シャッタ機構300及びレフ系シャッタ機構304を備えているが、図7に示すように、第2実施形態の眼科装置1000は共通シャッタ機構308を備える。
なお、第2実施形態の眼科装置1000は、観察系シャッタ機構300及びレフ系シャッタ機構304の代わりに、共通シャッタ機構308を備える点を除けば上記第1実施形態の眼科装置1000と基本的に同じ構成である。このため、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
共通シャッタ機構308は、本発明のシャッタ機構に相当するものであり、観察系光路LP1の開放及び遮断の切り替えと、レフ測定光路LP2(第1分岐光路LP2a)の遮断及び開放の切り替えと、を実行する。この共通シャッタ機構308は、共通シャッタ309と共通シャッタ駆動機構310とを備える。
共通シャッタ309は、後述の共通シャッタ駆動機構310により、第1実施形態と同様の第1遮断位置と第2遮断位置と、の間で変位自在(移動自在)に保持されている。これにより、共通シャッタ309が第1遮断位置に移動された場合には、観察系光路LP1が遮断され且つレフ測定光路LP2(第1分岐光路LP2a)が開放される。また、共通シャッタ309が第2遮断位置に移動された場合には、観察系光路LP1が開放され且つレフ測定光路LP2(第1分岐光路LP2a)が遮断される。
共通シャッタ駆動機構310は、本発明の駆動機構に相当するものであり、公知のアクチュエータ(駆動伝達機構を含む)である。この共通シャッタ駆動機構310は、主制御部211の制御の下、レフ測定光学系を作動させてレフ測定を行う場合には共通シャッタ309を第1遮断位置に移動させ、且つOCT光学系8を作動させてOCT計測を行う場合(アライメント及びケラト測定を行う場合も同様)には共通シャッタ309を第2遮断位置に移動させる。
このように観察系シャッタ機構300及びレフ系シャッタ機構304の代わりに共通シャッタ機構308を設けた場合であっても、アライメント時、ケラト測定時、及びOCT計測時においては観察系光路LP1を開放すると共にレフ測定光路LP2(第1分岐光路LP2a)を遮断することができる。また、レフ測定時には観察系光路LP1を遮断すると共にレフ測定光路LP2を開放することができる。その結果、第2実施形態についても第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに第2実施形態では、1種類の共通シャッタ機構308を設けるだけでよいので、第1実施形態と比較して眼科装置1000の低コスト化及び省スペース化が図れる。
[その他]
上記各実施形態では、同一波長域の光を用いてレフ測定及びOCT計測を行う眼科装置1000(複合機)を例に挙げて説明したが、これらレフ測定及びOCT計測の他にその他の被検眼Eの他覚測定を行ったり、被検眼Eの自覚検査を行ったりする眼科装置1000にも本発明を適用可能である。その他の他覚測定には、被検眼Eの特性を取得するための測定と、被検眼Eの画像を取得するための撮影とが含まれる(眼圧測定及び眼底撮影等)。自覚検査は、被検者からの応答を利用して情報を取得する測定手法であり、遠用検査、近用検査、コントラスト検査、グレア検査等の自覚屈折測定、及び視野検査などがある。
上記各実施形態では、OCT計測としてスウェプトソースタイプのOCTの手法を用いる場合を説明したが、他のタイプ(例えば、スペクトラルドメインタイプ)のOCTの手法を用いてもよい。
上記各実施形態では、アライメント系1の一対のステレオカメラ14を用いて被検眼Eに対する眼科装置1000のアライメントを実行しているが、上記特許文献1に記載の装置と同様に、光源及びラインセンサを用いる公知のZアライメント系と、被検眼Eに点光を照射する公知のXYアライメント系と、を用いてアライメントを実行してもよい。
上記各実施形態では、前眼部観察系5で波長940nmの光を用い且つレフ測定光学系及びOCT光学系8で波長840nmの光を用いる場合を例に挙げて説明したが、各波長は適宜変更可能である。
上記各実施形態のアライメント系1、ケラト測定系3、固視投影系4、前眼部観察系5、レフ測定光学系(レフ測定投射系6及びレフ測定受光系7)、及びOCT光学系8は、図1等に示した構成に限定されるものでなく適宜変更可能である。
1…アライメント系
3…ケラト測定系
5…前眼部観察系
6…レフ測定投射系
7…レフ測定受光系
8…OCT光学系
9…処理部
14…ステレオカメラ
51…対物レンズ
52…ダイクロイックフィルタ
59…撮像素子
61…レフ測定光源
67…ダイクロイックフィルタ
74…合焦レンズ
76…ダイクロイックフィルタ
87…合焦レンズ
100…OCTユニット
101…OCT光源
125…検出器
210…制御部
211…主制御部
220…演算処理部
221…眼屈折力算出部
222…画像形成部
223…データ処理部
300…観察系シャッタ機構
301…第1シャッタ
302…第1シャッタ駆動機構
304…レフ系シャッタ機構
305…第2シャッタ
306…第2シャッタ駆動機構
308…共通シャッタ機構
309…共通シャッタ
310…共通シャッタ駆動機構
1000…眼科装置
GL…迷光
LC…干渉光
LS…測定光
LR…参照光
LP1…観察系光路
LP2…レフ測定光路
LP2a…第1分岐光路
LP2b…第1共通光路
LP3…OCT計測光路
LP3a…第2分岐光路
LP3b…第2共通光路

Claims (10)

  1. 撮像素子と、対物レンズから前記撮像素子に至る観察系光路と、を有し、前記対物レンズを介して被検眼の観察像を前記撮像素子で撮像する観察系と、
    前記観察系と共通の前記撮像素子と、前記観察系光路の途中から分岐して再び前記観察系光路に合流する第1分岐光路と、前記観察系光路の一部と共通の第1共通光路と、を有し、前記被検眼に第1測定光を照射し、前記被検眼からの前記第1測定光の第1戻り光を前記撮像素子で撮像する第1測定系と、
    前記対物レンズから前記第1分岐光路の途中に至る第2共通光路と、前記第1分岐光路の途中から分岐して設けられた第2分岐光路と、を有し、前記被検眼に前記第1測定光と同一の波長域の第2測定光を照射し、前記被検眼からの前記第2測定光の第2戻り光を検出する第2測定系と、
    前記第2測定系が作動する場合には前記第2共通光路とは異なる位置で前記第1分岐光路を遮断し、且つ前記第1測定系が作動する場合には前記第1分岐光路を開放するシャッタ機構と、
    を備える眼科装置。
  2. 前記シャッタ機構が、前記第1測定系が作動する場合には前記第1共通光路とは異なる位置で前記観察系光路を遮断し、且つ前記第2測定系が作動する場合には前記観察系光路を開放する請求項1に記載の眼科装置。
  3. 前記第1測定系が、前記被検眼の眼底に前記第1測定光としてパターン光を照射して、前記パターン光の前記第1戻り光を前記撮像素子により撮像し、
    前記第2測定系が、光源からの光を前記第2測定光と参照光とに分割し、前記第2測定光を前記被検眼の眼底に照射して、前記被検眼からの前記第2測定光の前記第2戻り光と前記参照光との干渉光を検出する請求項1又は2に記載の眼科装置。
  4. 前記シャッタ機構により前記第1分岐光路を遮断する位置が、前記眼底と光学的に共役な共役位置である請求項3に記載の眼科装置。
  5. 前記シャッタ機構が、
    前記第1共通光路とは異なる位置で前記観察系光路を遮断する第1遮断位置に挿脱自在に設けられた第1シャッタと、
    前記第2共通光路とは異なる位置で前記第1分岐光路を遮断する第2遮断位置に挿脱自在に設けられた第2シャッタと、
    前記第1測定系が作動する場合には前記第1シャッタを前記第1遮断位置に挿入し且つ前記第2シャッタを前記第2遮断位置から退避させ、前記第2測定系が作動する場合には前記第1シャッタを前記第1遮断位置から退避させ且つ前記第2シャッタを前記第2遮断位置に挿入する駆動機構と、
    を備える請求項1から4のいずれか1項に記載の眼科装置。
  6. 前記シャッタ機構が、
    前記第1共通光路とは異なる位置で前記観察系光路を遮断する第1遮断位置と、前記第2共通光路とは異なる位置で前記第1分岐光路を遮断する第2遮断位置と、の間で変位自在に保持された共通シャッタと、
    前記第1測定系が作動する場合には前記共通シャッタを前記第1遮断位置に移動させ、前記第2測定系が作動する場合には前記共通シャッタを前記第2遮断位置に移動させる駆動機構と、
    を備える請求項1から4のいずれか1項に記載の眼科装置。
  7. 前記第1共通光路が、前記対物レンズと前記第1分岐光路の一端との間の光路と、前記第1分岐光路の他端と前記撮像素子との間の光路と、を含む請求項1から6のいずれか1項に記載の眼科装置。
  8. 前記第1測定光及び前記第2測定光の波長域が、前記観察像を形成する光の波長域とは異なる請求項1から7のいずれか1項に記載の眼科装置。
  9. 撮像素子と、対物レンズから前記撮像素子に至る観察系光路と、を有し、前記対物レンズを介して被検眼の観察像を前記撮像素子で撮像する観察系と、
    前記観察系と共通の前記撮像素子と、前記観察系光路の途中から分岐して再び前記観察系光路に合流する第1分岐光路と、前記観察系光路の一部と共通の第1共通光路と、を有し、前記被検眼に第1測定光を照射し、前記被検眼からの前記第1測定光の第1戻り光を前記撮像素子で撮像する第1測定系と、
    前記対物レンズから前記第1分岐光路の途中に至る第2共通光路と、前記第1分岐光路の途中から分岐して設けられた第2分岐光路と、を有し、前記被検眼に前記第1測定光と同一の波長域の第2測定光を照射し、前記被検眼からの前記第2測定光の第2戻り光を検出する第2測定系と、
    を備える眼科装置の制御方法において、
    前記第2測定系が作動する場合には前記第2共通光路とは異なる位置で前記第1分岐光路を遮断し、且つ前記第1測定系が作動する場合には前記第1分岐光路を開放する眼科装置の制御方法。
  10. 前記第1測定系が作動する場合には前記第1共通光路とは異なる位置で前記観察系光路を遮断し、且つ前記第2測定系が作動する場合には前記観察系光路を開放する請求項9に記載の眼科装置の制御方法。
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