1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
遊技領域902には、表示装置91、特別始動領域10、普通始動領域20、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な部分である。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
大当たりに当選したか否かを判定する大当たり抽選(以下、当否抽選と称することもある)は、特別始動領域10に遊技球が進入(本実施形態では、当該遊技球の進入によっていわゆる賞球も払い出される)することに基づいて実行される。本実施形態では、特別始動領域10として、第一特別始動領域11(いわゆる「特図1」の始動領域)と第二特別始動領域12(いわゆる「特図2」の始動領域)が設けられている。特別始動領域10への遊技球の進入を契機として乱数源から数値(当否抽選情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。以下、第一特別始動領域11に遊技球が進入することに基づいた当否抽選を第一当否抽選と、第二特別始動領域12に遊技球が進入することに基づいた当否抽選を第二当否抽選と称することもある。
本実施形態では、当該数値が取得された順に当否抽選結果を報知する報知演出(後述する識別図柄80(識別図柄群80g)の変動開始から当否抽選結果を示す組み合わせで停止するまでの演出をいう)が開始される。新たに当否抽選情報が取得されたときに未だ当否抽選結果の報知が完了していない当否抽選情報が存在する場合には、新たに取得された当否抽選情報は保留情報として図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。記憶手段に保留情報が記憶されていることは、保留図柄70として表示される。
本実施形態では、保留図柄70として、当否抽選結果を報知する報知演出は開始されているものの、当否抽選結果の報知は完了していない情報(以下、変動中保留情報と称することもある)に対応する変動中保留図柄71(いわゆる「当該変動保留」の存在を示す図柄)と、当否抽選結果を報知する報知演出が開始されていない情報(以下、変動前保留情報と称することもある)に対応する変動前保留図柄72が表示される(図2参照)。本実施形態では、変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態は同じであり、両者を区別するために変動中保留図柄71の方が変動前保留図柄72よりも大きく表示される。変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。
変動前保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、第一特別始動領域11に入賞することによって得られる第一変動前保留情報(特図1保留)の最大の記憶数(最大保留数)は4つであり、第二特別始動領域12に入賞することによって得られる第二変動前保留情報(特図2保留)の最大の記憶数(最大保留数)は4つである。したがって、特図1および特図2の一方に相当する保留図柄70に関していえば、一つの変動中保留図柄71と、最大4つの変動前保留図柄72が表示されることがある(図2参照)。
また、本実施形態では、ある変動中保留情報に対応する当否抽選結果の報知が完了した時点で、第一変動前保留情報と第二変動前保留情報の両方が存在する場合には、第二変動前保留情報(特図2保留)に対応する当否抽選結果の報知が優先的に実行される。すなわち、いわゆる「特図2(保留)優先消化」とされている。
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄80(図2参照)の組み合わせによって当否抽選結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄80を含む識別図柄群80g(左識別図柄群80gL、中識別図柄群80gC、右識別図柄群80gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群80gから一の識別図柄80が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群80gから選択されて停止した識別図柄80の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄80の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。識別図柄80は、数字とキャラクタ等が組み合わされたものとしてもよい。
本実施形態では、遊技状態として、通常遊技状態と特別遊技状態が設定されている。特別遊技状態は、通常遊技状態に比して遊技者に有利な遊技状態である。通常遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、特別始動領域10(第二特別始動領域12)に遊技球が入賞しにくい低ベース状態(低確率・時短無)である。特別遊技状態としては、第一特別遊技状態と第二特別遊技状態が設定されている。第一特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が高い高確率遊技状態であり、かつ、特別始動領域10(第二特別始動領域12)に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(高確率・時短有)である。第二特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、特別始動領域10(第二特別始動領域12)に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(低確率・時短有)である。
通常遊技状態においては、遊技者は、遊技領域の左側に遊技球が進入するような遊技、いわゆる「左打ち」を行う。通常遊技状態においては、主に第一特別始動領域11に遊技球が進入することに基づく第一当否抽選を経た大当たり当選を目指すことになる。ただし、詳細を後述するように、通常遊技状態において普通抽選に当選することで、第二特別始動領域12に遊技球が進入することに基づく第二当否抽選を経て大当たりに当選する可能性もある。特別遊技状態においては、遊技者は、遊技領域の右側に遊技球が進入するような遊技、いわゆる「右打ち」を行う。
遊技領域には普通始動領域20が設けられている。本実施形態では、遊技領域の左側に設けられた左普通始動領域20Lと、遊技領域の右側に設けられた右普通始動領域20Rの二つが設けられている。いわゆる「左打ち」が実行されている際には、左普通始動領域20Lに遊技球が進入する可能性はあるものの、右普通始動領域20Rに遊技球が進入する可能性はない設定とされている。いわゆる「右打ち」が実行されている際には、右普通始動領域20Rに遊技球が進入する可能性はあるものの、左普通始動領域20Lに遊技球が進入する可能性はない設定とされている。普通始動領域20に遊技球が進入することを契機として普通抽選が実行される。通常遊技状態においては普通に「左打ち」を行っていれば、左普通始動領域20Lに遊技球が進入することに基づく普通抽選が実行される。通常遊技状態においては普通に「右打ち」を行っていれば、右普通始動領域20Rに遊技球が進入することに基づく普通抽選が実行される。
普通抽選に当選した場合には、第二特別始動領域12が開放される。本実施形態では、第二特別始動領域12の入口を開閉する開閉部材121が設けられている。開閉部材121は、遊技盤面に沿う開位置と、そこから手前に倒れた閉位置との間を変位することが可能な部材である。普通抽選に当選した場合には当該開閉部材121が手前に倒れて開位置に位置し第二特別始動領域12の入口を開放する(図3参照)。開位置に位置する開閉部材121は、第二特別始動領域12の入口手前まで到達した遊技球を第二特別始動領域12内に導く誘導機能を発現する。つまり、開閉部材121が開位置に位置した状態においては、比較的容易に第二特別始動領域12に遊技球が進入する。開閉部材121が閉位置に位置している状態においては、第二特別始動領域12に遊技球が進入することはない。
普通抽選に当選する確率は、通常遊技状態中に比して特別遊技状態中の方が高い。本実施形態では、特別遊技状態中(時短有)において普通抽選に当選する確率は95%超とされているため、頻繁に第二特別始動領域12が開放される。したがって、特別遊技状態中においては、右打ち遊技を行っていれば、第二特別始動領域12に遊技球が進入することによる賞球を得つつ(持玉の減りを抑えつつ)、第二当否抽選を受けることが可能となる。一方、通常遊技状態中における普通抽選に当選する確率はかなり低い(本実施形態では1%未満とされている)ため、上述したように通常遊技状態においては、基本的には第一特別始動領域11に遊技球が進入することに基づく第一当否抽選を経た大当たり当選を目指すことになる。ただし、通常遊技状態中であっても、左普通始動領域20L(以下、単に普通始動領域20というときは、左普通始動領域20Lをいうものとする)に遊技球が進入することに基づく普通抽選に当選した場合には、第二特別始動領域12が開放されることになる。通常遊技状態中における普通抽選に関する事項の詳細については後述する。なお、上記の通り、第二特別始動領域12は、通常遊技状態中、特別遊技状態中のいずれにおいても開放される可能性があるため、左打ちによって遊技領域の左側に進入した遊技球、および右打ちによって遊技領域の右側に進入した遊技球のいずれも、第二特別始動領域12まで到達しうるように配置されている。
第一当否抽選および第二当否抽選は、大当たりに当選する確率は同じであるが、大当たりの種類の振分が異なる。本実施形態では、第一当否抽選を経て当選した大当たり(特図1大当たり)よりも、第二当否抽選を経て当選した大当たり(特図2大当たり)の方が、利益の期待値が大きくなるように設定されている。よって、通常遊技状態中に普通抽選に当選して第二特別始動領域12が開放されて第二当否抽選が実行されることは、(第一当否抽選が実行されることに比して)遊技者にとって喜ばしい事象であるといえる。なお、当該利益の期待値の差を設定する手法は種々考えられる。大当たり遊技を構成するラウンド数の期待値が、特図1大当たりに比して特図2大当たりの方が大きい設定とすることが考えられる。また、大当たり遊技終了後に第一特別遊技状態に移行する割合(確変割合)が特図1大当たりに比して特図2大当たりの方が大きい設定とすることが考えられる。
普通抽選の当否を遊技者に示す手法はどのようなものであってもよい。本実施形態では、表示領域911に表示される普通図柄85によってなされる。例えば、普通図柄85として〇と×が表示され、普通抽選に当選した場合は〇が点灯し、普通抽選に当選しなかった場合は×が点灯するような態様とされる(図3参照)。なお、普通図柄85の変動中(普通抽選の結果の報知が完了していない状態)においては、〇と×が交互に点灯するような態様とされる。
2)通常遊技状態中における普通抽選
上述した通り、通常遊技状態中であっても、普通始動領域20に遊技球が進入することを契機とした普通抽選が実行され、それに当選したときは第二特別始動領域12が開放されることになる。第二特別始動領域12が開放された状態は第二特別始動領域12が閉鎖された状態(常態)に比して当否抽選が受けやすい状態であるといえるため、普通抽選に当選することは遊技者にとって喜ばしい事象であるといえる。なお、本実施形態では、普通抽選に当選する確率はそれほど高くなく、第二当否抽選が実行される頻度は低い。すなわち、通常遊技状態にて正常な遊技が継続的に行われた場合(継続的に「左打ち」遊技が行われた場合)、第二当否抽選が実行される回数の期待値(蓋然性)は、第一当否抽選が実行される回数の期待値(蓋然性)に比べて低くなるように設定されている。
通常遊技状態にて普通抽選にて当選することを契機として一時的に設定される状態を特定状態とする。当該特定状態として、第一特定状態および第二特定状態が設定されている。第一特定状態よりも、第二特定状態の方が、遊技者に有利な状態である。以下、本実施形態における第一特定状態と第二特定状態の違いを説明する。
第一特定状態および第二特定状態(図4参照)は、第二特別始動領域12が開放される時間(開閉部材121が開位置に位置する時間)は同じであるものの、一の第二当否抽選結果を報知する識別図柄80の平均の変動時間(特図2の変動時間)、すなわち報知演出に要する平均時間が、第一特定状態よりも第二特定状態の方が短く設定されたものである。その結果、第二特定状態とされたことに基づいて実行されうる第二当否抽選の回数の最大値は、第一特定状態とされたことに基づいて実行されうる第二当否抽選の回数の最大値よりも多くなる。具体的には次の通りである。
本実施形態では、一回の普通抽選当選時における第一特定状態および第二特定状態のいずれも第二特別始動領域12が開放される時間は4秒である(図4参照)。第一特定状態時における最も短い特図2の変動時間(最も短い報知演出に要する時間)は5秒である。なお、本実施形態では、当否抽選結果がはずれであるときには変動時間は必ず5秒とされる。変動中保留情報が存在しない状態(報知演出が実行されていない状態)にて第二特別始動領域12が開放されて遊技球が当該第二特別始動領域12に進入した場合、当該進入に基づく第二当否抽選結果の報知演出(第一特定状態が設定されてから1回目の報知演出)が即座に開始される。当該1回目の報知演出が終了するまでに最低でも5秒を要するのであるから、当該報知演出が終了した時点では第二特別始動領域12は閉鎖している(開放されてから4秒が経過している)ことになる。つまり、第一特定状態が設定されてから2回目の報知演出が開始される時点では第二特別始動領域12は閉鎖していることになる。よって、第二特別始動領域12が閉鎖するまでに4つの第二変動前保留情報(特図2保留)が取得されれば、第一特定状態が設定されることに基づく第二当否抽選の回数は5回(1回目の変動分+4回の保留分)ということになる(図4(a)参照)。これが、第一特定状態とされたことに基づいて実行されうる第二当否抽選の回数の最大値(一回の第一特定状態あたりの第二当否抽選回数の最大値)である。
一方、第二特定状態時における最も短い特図2の変動時間(最も短い報知演出に要する時間)は0.6秒である。なお、本実施形態では、当否抽選結果がはずれであるときには必ず変動時間は0.6秒とされる。変動中保留情報が存在しない状態(報知演出が実行されていない状態)にて第二特別始動領域12が開放されて遊技球が当該第二特別始動領域12に進入した場合、当該進入に基づく第二当否抽選結果の報知演出(第二特定状態が設定されてから1回目の報知演出)が即座に開始される。当該1回目の報知演出が終了するのに0.6秒要するということは、当該1回目の報知演出が終了した時点においても第二特別始動領域12が開放している(開放されてから4秒が経過していない)可能性がある。報知演出が終了すると同時に新たな第二特別始動領域12への入賞が検出されると仮定すると、6回の第二当否抽選結果の報知演出が実行されても、第二特別始動領域12が開放した状態にある可能性があるということになる(6回の報知演出に要する最低の時間は0.6×6=3.6秒(<4秒)であるから)。そうすると、第二特定状態が設定されてから7回目の報知演出が開始され、第二特別始動領域12が閉鎖するまでに4つの第二変動前保留情報(特図2保留)が取得されれば、第二特定状態が設定されることに基づく第二当否抽選の回数は11回(7回目までの変動分+4回の保留分)ということになる(図4(b)参照)。これが、第二特定状態とされたことに基づいて実行されうる第二当否抽選の回数の最大値(一回の第二特定状態あたりの第二当否抽選回数の最大値)である。
このように、本実施形態では、第二当否抽選結果の報知演出に要する平均時間が、第一特定状態よりも第二特定状態の方が短く設定されたものであるがゆえ、第二特定状態とされたことに基づいて実行されうる第二当否抽選の回数の最大値は、第一特定状態とされたことに基づいて実行されうる第二当否抽選の回数の最大値よりも多くなる。また、第二当否抽選結果の報知演出に要する平均時間が、第一特定状態よりも第二特定状態の方が短く設定されたものであることに照らせば、第二特定状態とされたことに基づいて実行されうる第二当否抽選の回数の期待値は、第一特定状態とされたことに基づいて実行されうる第二当否抽選の回数の期待値よりも多くなるともいえる。したがって、普通抽選に当選したこと(一回の普通抽選の当選)により得られる利益の期待値は、第一特定状態よりも第二特定状態の方が大きく、その分遊技者にとって有利であるといえる。
通常遊技状態中における普通抽選に当選する確率は一定である。ただし、普通抽選に当選したときに第一特定状態とされるか、第二特定状態とされるかは、当該時点で設定されている普通抽選に関するモード(普通抽選モード)による。本実施形態では、第一普通抽選モードと第二普通抽選モードが設定されている。第一普通抽選モードが設定されているときに普通抽選に当選した場合には第一特定状態が設定され、第二普通抽選モードが設定されているときに普通抽選に当選した場合には第二特定状態が設定される(図5参照)。本実施形態では、第一普通抽選モードが設定されているときに第二特定遊技状態が設定されることはないし、第二普通抽選モードが設定されているときに第一特定遊技状態が設定されることはない。第一特定状態よりも第二特定状態の方が遊技者によって有利な状態であることに照らせば、第一普通抽選モードよりも第二普通抽選モードの方が遊技者に有利なモードであるということができる。
普通抽選モードは次のように制御される。所定のリセット条件が成立した後は、第一普通抽選モードが設定される(図5参照)。リセット条件の一つとしては、「電源ON(電源OFF)」が設定されている。したがって、遊技店が毎日電源をOFFするのであれば、いわゆる朝一状態(開店時の状態)は第一普通抽選モードが設定された状態にある。また、他のリセット条件としては「通常遊技状態に移行したこと」が設定されている。特別遊技状態(時短有)から通常遊技状態(時短無)に移行した時点においては第一普通抽選モードが設定された状態にある。
第一普通抽選モードが設定された状態にてモード移行条件が成立することで、第二普通抽選モードが設定された状態に移行する。本実施形態では、第二当否抽選を対象当否抽選とするとともに、リセット条件が成立した後の当該第二当否抽選が実行された回数(対象当否抽選が実行された回数)を対象抽選回数とし、当該対象抽選回数が基準回数に到達することをモード移行条件としている(図5参照)。本実施形態では、対象当否抽選には第一当否抽選は含まれない。第二当否抽選は、第二特別始動領域12が開放されてはじめて実行される可能性があるものであるから、第一普通抽選モードが設定された状態にて普通抽選に当選することが対象抽選回数を増加させるための第一条件となる。すなわち、普通抽選に当選して第一特定状態が設定され、それによって第二当否抽選の回数を重ねることで対象抽選回数が基準回数に近づいていくことになる。上述したように、第一特定状態が設定されることに基づく第二当否抽選の回数の最大値は5回であるから、一回の第一特定状態の設定(一回の普通抽選の当選)にて対象抽選回数が最大で「5」増加する(最大で「5」基準回数に近づく)ことになる。
基準回数の値は一定ではない。本実施形態では、基準回数として設定されうる値として、10回、40回、70回の三種類が設定されている(図5参照)。基準回数の値が小さいほど、モード移行条件が成立しやすい、すなわち第二普通抽選モードに移行しやすいといえるから、遊技者にとって有利な状況にあるということができる。本実施形態では、基準回数の値がいずれに設定されているのかは遊技者が把握できないし、基準回数に到達するまでに必要な残りの対象抽選回数も遊技者に示されない。よって、遊技者は基準回数の値が小さいことを願いつつ、第二普通抽選モードに移行することを目標に遊技することになる。ただし、基準回数の値を一定とすることを否定するわけではない。このようにすることで、モード移行条件が成立するまでに必要な対象抽選回数も明確になるから、分かりやすい遊技性を実現することができる。
なお、本実施形態では、当否抽選で大当たりに当選し、大当たり遊技が実行された後は、特別遊技状態(第一特別遊技状態および第二特別遊技状態)に移行する。特別遊技状態に移行するということは、通常遊技状態に戻ったときにはリセット条件が成立するということである。したがって、モード移行条件が成立するということは、基準回数に到達するまでに実行される第二当否抽選は全てはずれとなるということになる。
以上説明したように、本実施形態にかかる遊技機1は、第一普通抽選モードと第二普通抽選モードが設けられ、普通抽選に当選したときのモードに応じ、第一特定状態とされるかそれよりも有利な第二特定状態とされるかが決まるという面白みのあるものである。
また、リセット条件が成立した後は第一普通抽選モードが設定された状態にあり、モード移行条件が成立することによって第一普通抽選モードよりも有利な第二普通抽選モードが設定された状態に移行するという構成であるため、遊技者が第二普通抽選モードへの移行を目指して遊技することになる。すなわち、遊技の促進に資する。
また、モード移行条件は、第二当否抽選の回数を対象抽選回数とし、当該対象抽選回数が基準回数に到達することで成立するものであるため、リセット条件が成立した後の遊技時間が長いほど(実行された当否抽選の回数が多いほど)、基準回数に到達するまでの残りの対象抽選回数が少ない確率が高いということになる。このような観点から遊技者は遊技台を選ぶこともできるため、遊技の面白みが増す。例えば、通常遊技状態に移行してから実行された当否抽選の回数が多い台(いわゆる「ハマリ台」)を遊技者が遊技する動機にもなる。
3)変形例等
以下、実施形態にて説明した事項を改良、具体化、変形等した例(変形例と称する)について説明する。なお、以下の例を用いて説明する内容を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
3−1)第一変形例
上記実施形態では、第二特定状態とされたことに基づいて実行されうる第二当否抽選の回数の最大値が、第一特定状態とされたことに基づいて実行されうる第二当否抽選の回数の最大値よりも多くなるように設定することで、第一特定状態よりも第二特定状態の方が遊技者に有利な状態である設定としていたが、特定状態同士の有利な度合の差を設定する手法はこれに限られない。例えば、普通抽選に当選したときにおける第二特別始動領域12の開放時間が異なる設定としてもよい。すなわち、第一特定状態よりも、第二特定状態の方が、第二特別始動領域12の開放時間が長くなるようにする。これにより、第二特定状態とされたことに基づいて実行されうる第二当否抽選の回数の期待値は、第一特定状態とされたことに基づいて実行されうる第二当否抽選の回数の期待値よりも多くなる。
3−2)第二変形例
上記実施形態では、普通抽選に当選したときに設定される特定状態(第二当否抽選が受けやすい状態)として第一特定状態および第二特定状態の二種が設定されていることを説明したが、三種以上の特定状態が設定された構成としてもよい。また、三種以上の特定状態が設定されたものとするのであれば、それに合わせて三種以上の(特定状態の種類の数と同数の)普通抽選モードが設定された構成とすればよい。
3−3)第三変形例
上記実施形態では、リセット条件が成立した後の第二当否抽選が実行された回数を対象抽選回数としたものであることを説明したが、第一当否抽選が実行された回数と第二当否抽選が実行された回数を合わせたもの、すなわちトータルの当否抽選の回数を対象抽選回数としてもよい(図6参照)。すなわち、第二当否抽選のみならず、第一当否抽選を対象当否抽選に含めてもよい。このように、トータルの当否抽選の回数が基準回数に到達することでモード移行条件が成立し、第二普通抽選モードが設定された状態に移行するものとする。
上記実施形態のように、第二当否抽選の回数が対象抽選回数とされるものの、第一当否抽選の回数が対象抽選回数に含まれない場合、リセット条件が成立した後の対象抽選回数を把握することが困難になる。多くの遊技店においては、当否抽選の回数を示すデータ表示器が設けられているところ、当否抽選の回数からは正確な対象抽選回数(第二当否抽選のみの実行回数)を把握することはできない。しかし、本例のようにすれば、一般的にデータ表示器に表示されるのは第一当否抽選と第二当否抽選を合わせた回数であるから、対象抽選回数がそのまま表示されることになる。つまり、上記実施形態の場合は、対象抽選回数を把握すること、すなわちモード移行条件が成立するタイミングを予測することが困難または不可能であるから、それを想像しつつ楽しむという遊技性である一方、本例の場合は、対象抽選回数を把握すること、すなわちモード移行条件が成立するタイミングを予測することが容易であるから、遊技者が目標をもって遊技することができるという遊技性になる。
また、上記実施形態のように、第二当否抽選の回数が対象抽選回数とされるものの、第一当否抽選の回数が対象抽選回数に含まれない場合、通常遊技状態中にて普通抽選に当選しなければ対象抽選回数が増加しないことになる。したがって、普通抽選になかなか当選せず、第二普通抽選モードに移行しないことに遊技者が苛立つおそれはある。本例の場合は、第一当否抽選を受けるだけで対象抽選回数が増加するから、このように遊技者が苛立ってしまうおそれは低い。ただし、第一当否抽選を受けることは比較的容易であり、発射する遊技球あたりの第一当否抽選の回数はおおよそ決まっているから、対象抽選回数が増加していく速度がおおよそ一定になり、遊技が単調になるという側面もある(上記実施形態では、対象抽選回数が増加していく速度は普通抽選に当選する頻度に依存するから振れ幅(偏り)が大きい)。
なお、本例のように第一当否抽選が対象当否抽選に含まれるようにするのであれば、対象抽選回数は比較的容易に増加することになるから、基準回数として設定されうる値は上記実施形態にて説明したものよりも多くすることが好ましい。例えば、基準回数として、100回、200回、300回、500回が設定された構成とすることが考えられる(この場合、当否抽選が少なくとも500回実行されれば、第二普通抽選モードに移行することになるから、「500」がモード移行のいわゆる「天井」であるといえる)。
3−4)第四変形例
モード移行条件として、対象抽選回数が基準回数に到達するよりも前に成立しうる条件(以下、特殊条件と称する)が設定されているものとする。すなわち、特殊条件が成立した場合には、対象抽選回数が基準回数に到達していなくても第一普通抽選モードが設定された状態から第二普通抽選モードが設定された状態に移行するものとする(図7参照)。見方を変えれば、特殊条件は、第二普通抽選モードに「ショートカット」で移行する条件であるといえる。
当該特殊条件として設定する条件としては種々考えられる。例えば、当否抽選の結果の態様として、大当たりおよびはずれとは異なる特殊当たり(小当たり)が設定された構成とし、当該特殊当たりに当選することが特殊条件の成立として設定されたものとする。第一当否抽選および第二当否抽選の少なくともいずれか一方にて特殊当たりに当選する可能性がある設定とする。第一当否抽選および第二当否抽選の両方とも特殊当たりに当選する可能性がある設定としてもよいし、第一当否抽選および第二当否抽選の一方にて特殊当たりに当選する可能性があるものの、他方にて特殊当たりに当選する可能性はない設定としてもよい。
第一当否抽選および第二当否抽選の両方とも特殊当たりに当選する可能性がある設定とすれば、どのような状況からも特殊当たりに当選することに期待がもてる遊技性を実現することができる。第二当否抽選にて特殊当たりに当選する可能性があるものの、第一当否抽選にて特殊当たりに当選する可能性はない設定とすれば、普通抽選に当選しなければ特殊条件が成立しないことになるから、特殊条件成立のハードルが高い遊技性を実現することができる。第一当否抽選にて特殊当たりに当選する可能性があるものの、第二当否抽選にて特殊当たりに当選する可能性はない設定とすれば、普通抽選に当選しなくても(第二当否抽選を受けることができなくても)特殊当たりに当選することに期待がもてる遊技性を実現することができる。
当否抽選の結果が大当たりではないことが示された後、特殊当たりに当選したことが報知されるような報知演出が発生することが好ましい。例えば、当否抽選の結果が大当たりである場合には成功結果(遊技者に有利な結果)となるリーチ演出が実行されうる報知演出にて、当該リーチ演出の結果が失敗結果(成功結果ではない遊技者に不利な結果)となった後、特殊当たりに当選したことが報知されるような流れの報知演出が発生するとよい。例えば、味方側キャラクタと敵側キャラクタが戦い、味方側キャラクタが勝利することが成功結果として、味方側キャラクタが敗北する(敵側キャラクタが勝利する)ことが失敗結果として設定されているいわゆる「バトル演出」がリーチ演出として搭載された構成において、味方側キャラクタが敗北した(図8(b)参照)後、特殊当たりに当選したことが報知される(図8(c)参照)ような報知演出が発生しうるものとする(なお、味方側キャラクタが敗北し、そのまま当否抽選の結果が「はずれ」であることが報知される場合もある)。このようにすることで、失敗結果となったこと(大当たりではないこと)に落胆していた遊技者に対し、特殊当たりの当選が示されるという(感情の「落差」を生じさせるような)面白みのある報知演出の流れを実現できる。
なお、特殊当たりに当選したことを示す識別図柄80の組み合わせは、大当たりに当選したことを示す識別図柄80の組み合わせと異なるものであればどのようなものであってもよい。本例では、「1」「3」「5」の識別図柄80の組み合わせが特殊当たりに当選したことを示す組み合わせとなっている(図8(c)参照)。特殊当たりを示す場合にのみ用いられる特殊な識別図柄80が設定されていてもよい。
3−5)第五変形例
上記実施形態にて普通抽選に当選したときに開放される特別始動領域10は第二特別始動領域12であることを説明したが、第一特別始動領域11であってもよい。また、一種類の特別始動領域10が設けられ、普通抽選に当選した場合には当該一種類の特別始動領域10が開放される構成としてもよい。
3−6)第六変形例
普通抽選に当選することを契機として特定状態とされる特別始動領域10(第二特別始動領域12)に付随する発光装置30が設けられた構成とする。発光装置30は所定の態様で発光することが可能な発光部31(例えばLED)を有する。ここで、「付随する」とは、第二特別始動領域12に対応づけられていると分かるような位置に発光部31が設けられたような態様をいう。例えば、第二特別始動領域12を開閉する開閉部材121に発光部31が固定化された態様とすることが考えられる。第二特別始動領域12を閉鎖した状態において遊技盤面に沿う開閉部材121の前面に発光部31が位置することになる(図9参照)。別例としては、第二特別始動領域12を構成する部材に発光部31が固定化されたような態様とすることが考えられる。また、別例としては、第二特別始動領域12の近傍に発光部31が位置するような態様とすることが考えられる。
このような発光装置30の発光部31の発光態様により、普通抽選モードが示唆される構成とする。例えば、第一普通抽選モードが設定された状態にあるときには発光部31が白色で発光し(図9(a)参照)、第二普通抽選モードが設定された状態にあるときには発光部31が赤色で発光する(図9(b)参照)ものとする(なお、図面においては「文字」により発光色を表す。以下同じ)。これにより、発光部31の発光態様から現在設定されている普通抽選モードの種類を把握する(推測する)ことが可能になる。なお、発光部31が発光していない状態を一つの発光態様として取り扱ってもよい。例えば、第一普通抽選モードが設定された状態にあるときには発光部31は非発光であり、第二普通抽選モードが設定された状態にあるときには発光部31が所定の態様で発光する構成としてもよい。
なお、本例における上記発光装置30は、保留図柄70の態様に応じて発光するものではない。例えば、保留図柄70が赤色となった場合に、発光部31が赤色で発光するといったものではない。保留図柄70の態様に応じて発光するものであるとすると、発光部31の発光が普通抽選モードを示唆しているのかどうかが分かりにくくなるからである。
本例にて説明した事項を以下のように改良、具体化、変形等することも可能である。なお、以下で説明する内容を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
3−6−1)現在設定されている普通抽選モードを示唆するものは発光装置30に限られない。遊技者が視認可能な演出要素を出力することが可能な演出装置であればよい。例えば、第二特別始動領域12に付随する表示部41を有する画像表示装置40を設け、当該表示部41に表示される画像(以下、示唆画像と称する)の態様により現在設定されている普通抽選モードが示唆されるようにすることが考えられる(図10参照)。
示唆画像は、現在設定されている普通抽選モードを明示するような態様とすることができる。例えば、第一普通抽選モードが設定されているときには「お助けモード」の文字を含む示唆画像が表示され(図10(a)参照)、第二普通抽選モードが設定されているときには「スーパーお助けモード」の文字を含む示唆画像が表示されるようにする(図10(b)参照)。つまり、上述した発光部31の発光態様によりモードを示唆する構成とは異なり、モードの具体的名称を示すことができるという利点がある。ただし、現在設定されている普通抽選モードに応じて示唆画像の色が変化するといったように、現在設定されている普通抽選モードを暗示する構成とすることを否定するわけではない。
演出装置としての画像表示装置40を、透過型表示装置とすることもできる。例えば、第二特別始動領域12の前方に、表示部41の少なくとも一部が前後方向に第二特別始動領域12に重なるように透過型表示装置を設ける。透過型表示装置の表示部41は画像が表示されていない箇所は透明となるものであるから、当該表示部41を通じて第二特別始動領域12を視認することができる。第二特別始動領域12が極めて見えにくい状態となることがないよう、透過型表示装置の表示部41に表示される画像は半透明なものであることが好ましい。この種の透過型表示装置としては、いわゆるイルミネーションパネルや、透過型液晶表示装置を例示することができる。
3−6−2)現在設定されている普通抽選モードの種類と発光部31の発光態様(演出要素)が完全に対応しない設定としてもよい。例えば、発光部31が白色で発光しているときよりも、赤色で発光しているときの方が、第二普通抽選モードが設定された状態にある蓋然性が高いに留まる(第一普通抽選モードが設定されている可能性もある)設定とする。
これに加えて、遊技者に有利なモードである第二普通抽選モードが設定されていることが確定する発光態様が設定されていてもよい。例えば、虹色(経時的に色が変化する)で発光しているときには、第二普通抽選モードが設定されていることが確定する構成とする。
3−6−3)発光部31は現在設定されている普通抽選モードの種類に対応した発光態様で常時発光する構成でなくてもよい。すなわち、所定条件を満たしたときのみ対応する発光態様で発光する構成としてもよい。例えば、普通抽選に当選して第二特別始動領域12が開放された状態にあるときに普通抽選モードの種類に対応した発光態様で発光部31が発光する構成とすることが考えられる。別例としては、第二特別始動領域12に遊技球が進入したときに普通抽選モードの種類に対応した発光態様で発光部31が発光する構成とすることが考えられる。なお、このような態様とする場合、発光部31(発光装置30)は開閉部材121に設けられた構成でないことが好ましい。開閉部材121が開位置に位置した状態では、発光部31の発光態様が遊技者には見えにくいからである。
3−7)第七変形例
第一普通抽選モードから第二普通抽選モードへの移行、すなわち現在設定されているモードよりも遊技者に有利なモードへの移行が、どのような条件を満たした場合に発生するかが遊技者に示されるものとする。上記実施形態に則していえば、基準回数に到達するまでに必要な対象抽選回数である「残回数」が遊技者に報知されるものとする。本実施形態では、表示領域911に、残回数を表す数字を含む残回数画像50が表示される(図11参照)。「数字」ではなく、メータ、目盛といった数字に変わり得る要素により残回数を表してもよい。上記実施形態のように、対象抽選回数に第一当否抽選の回数が含まれず第二当否抽選の回数が含まれるとするのであれば、普通抽選に当選しなければ対象抽選回数が増加しないことになるため、あとどれくらい普通抽選に到達すれば対象抽選回数が基準回数に至るのかの目安にもなる。
残回数画像50(残回数を表す数字)が表示される箇所としては表示領域911(メインの表示装置91)以外にも考えられる。上記第六変形例として説明したように、演出装置として第二特別始動領域12に付随する画像表示装置40を設けるのであれば、当該画像表示装置40の表示部41に表示することが考えられる。このようにすれば、残回数画像50が表している数字は第二特別始動領域12に関係するものであるということが遊技者に暗示されることになる。残回数画像50を表示する専用の表示手段を備えるものとしてもよい。
残回数は、第二当否抽選の結果を報知する報知演出が終了することを契機として減少する。第一当否抽選の結果を報知する報知演出が終了したことを契機として残回数は減少しないのであるから、これを見た遊技者は第一当否抽選ではなく第二当否抽選が関係した数字であることを把握する。勘の良い遊技者は、第二当否抽選の結果(はずれ)が報知される度に数字が減少しているから、これが0に到達すれば何か起こるのではないかと考え、普通抽選に当選することを願って遊技することになる。したがって、遊技の促進に資することになる。なお、残回数が0となるとともに残回数画像50が消去されるようにしてもよい。すなわち、残回数が0であることを示す残回数画像50が表示されないようにしてもよい。
本例においては、残回数画像50は少なくとも遊技中(報知演出が実行されている最中)においては常時表示される。好ましくは、待機状態(遊技がなされていない状態)中にも表示されるようにするとよい。このようにすることで、残回数の表示がモード移行までの対象抽選回数を示していることを知っている遊技者が、残回数が少ない空台を見つけることに役立つことになる。なお、通常遊技状態中における対象抽選回数が基準回数に到達することで第一普通抽選モードから第二普通抽選モードへの移行が発生するのであるから、残回数画像50は通常遊技状態中には表示されるものの、特別遊技状態中には表示されない。
本例にて説明した事項を以下のように改良、具体化、変形等することも可能である。なお、以下で説明する内容を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
3−7−1)残回数が数字を用いて明確に示されるのではなく、残回数の多少が示唆される構成としてもよい。例えば、残回数が50回以上である状況においては第一残回数画像51(図12(a)参照)が、残回数が50回未満10回以上である状況においては第二残回数画像52(図12(b)参照)が、残回数が10回未満である状況においては第三残回数画像53(図12(c)参照)が表示されるものとする。第一残回数画像51〜第三残回数画像53は、残回数の多少を示唆する文字等を含むものであればよい。このような画像に代えて、発光部31の発光態様を異ならせるといったものとしてもよい。例えば、発光色により残回数の多少が示唆される構成とする。
3−7−2)対象当否抽選の結果を報知する報知演出中には残回数が示されるものの、当該報知演出が実行されていないときには残回数が示されないものとする。残回数は基準回数に到達するまでに必要な対象当否抽選の回数であるから、対象当否抽選の結果を報知する報知演出が実行されていないときには残回数を示す必要がないとする。このようにすることで、対象当否抽選の結果を報知する報知演出中のみ残回数が示され、当該残回数が対象当否抽選の結果(はずれ)が報知される度に減少していくことが分かりやすくなる。
上記実施形態のように、第二当否抽選が対象当否抽選とされる(第一当否抽選が対象当否抽選とされない)構成とするのであれば、普通抽選に当選し、第二特別始動領域12が開放されて当該領域に遊技球が進入することで第二当否抽選が実行され、その結果を報知する報知演出が実行されている状態に限り残回数が示されるということになる。上述した通り、通常遊技状態中にて第二当否抽選が実行される回数の期待値(蓋然性)は、第一当否抽選が実行される回数の期待値(蓋然性)に比べて低くなるように設定されているから、通常遊技状態中にて残回数が表示される状況となる時間はそれほど長くなく、制御負担の低減に資することになる。
3−7−3)残回数だけでなく、残回数が0となったときに発生する事象の示唆を行う。例えば、「0になったらスーパーお助けモード」(スーパーお助けモードは第二普通抽選モードを表す)といった表示がなされるようにすることが考えられる(図13参照)。また、発生する事象を直接的に示すのではなく、「0になったら良いことがあるかも」といったように、発生する事象を暗示するに留まるものとしてもよい。このようにすることで、残回数が0に到達することが、遊技者にとって有利な事象であることを遊技者が把握することが可能となるから、遊技の促進に資することになる。
3−7−4)残回数が0となったときに、それによって発生する事象が報知される態様とする。すなわち、普通抽選モードの種類が変化したこと(モード移行が発生したこと)を報知する態様とする。例えば、残回数が0になったとき、「スーパーお助けモード突入!」といった表示がなされるようにする(図14参照)。このようにすることで、少なくとも何らかのモード移行が発生したことを遊技者が把握することができる。
これとは逆に、残回数が0となっても、それによって発生する事象が報知されない態様としてもよい。すなわち、普通抽選モードの種類が変化したこと(モード移行が発生したこと)が全く示されない態様とする。このようにすることで、残回数が0となることでどのような事象が発生したのかを遊技者が予測しつつ楽しむ遊技性を実現することができる。
3−7−5)残回数が所定数以下となってはじめて残回数画像50が表示されるようにしてもよい。例えば、残回数が11以上であるときには残回数画像50は表示されず、10以下となったときに残回数画像50が表示されるようにする(図15参照)。すなわち、残回数が少なくなり、モード移行条件の成立まである程度近づいた段階で残回数画像50が表示されるものとする。
また、残回数は「カウントダウン」ではなく、「カウントアップ」されるものであってもよい。残回数の到達時点(モード移行条件成立時点)を明示した上で、対象当否抽選が実行される度に残回数画像50の数字が増加するようにする。例えば、「10回になったら何かが起こる」といった表示がなされた上で、対象当否抽選が実行される度に残回数画像50の数字が増加するようにする。
3−7−6)残回数によって示される対象は、第一普通抽選モードから第二普通抽選モードへの移行に限られるものではない。対象抽選回数が基準回数に到達することを契機として、現在設定されているモードよりも遊技者に有利なモードに移行するように構成されたものについて、上記残回数が表示されるようにすればよい。
3−8)第八変形例
前回の大当たりの種類に応じ、基準回数として設定される値が決まる構成とする。例えば、前回の大当たりが「7」の識別図柄80により報知された第一大当たりであれば、基準回数は10回とされ、前回の大当たりが「7」以外の奇数の数字を含む識別図柄80により報知された第二大当たりであれば基準回数は40回とされ、前回の大当たりが偶数の数字を含む識別図柄80により報知された第三大当たりであれば基準回数は70回とされるといった構成とすることが考えられる(図16参照)。モード移行条件の成立しやすさに基づけば、第一大当たりが遊技者にとって最も好ましい大当たりであり、次いで第二大当たり、第三大当たりが遊技者にとって最も好ましくない大当たりであるといえる。このようにすることで、大当たりの種類(大当たりを報知する識別図柄80の種類)にも注目すべき構成となる。
なお、ここでいう「大当たりの種類」とは、基準回数に影響を及ぼす要素としての「種類」であって、必ずしも大当たりの内容等が同じであることを要するものではない。例えば、基準回数が40回であることを示すという点においては共通するものの、いわゆるラウンド数が異なる大当たりも「同じ種類」の大当たりであるとする。また、大当たりを報知する識別図柄80の種類が、大当たりの種類を示す(識別図柄80の種類と大当たりの種類がリンクする)構成とすることはあくまで一例である。その他の手法により、大当たりの種類が示されるようにしてもよい。例えば、大当たり遊技中に実行される演出により、基準回数が示されるようにしてもよい。
前回の大当たりが存在しない状態、すなわち電源がONされた後、未だ大当たりに当選していない状態における基準回数(基準回数の初期値)を決定する手法は種々考えられる。候補となる基準回数(上記実施形態に則していえば、10回、40回、70回の三種類)のうちから抽選により決定されるものとしてもよいし、電源ON時に設定される基準回数が決まっている(例えば、必ず40回とされる)ものとしてもよい。
4)以上、本発明の実施形態(およびその変形例)について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態(およびその変形例)に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、上述した演出装置(発光装置30、画像表示装置40)から出力される演出要素によって示唆される対象は現在設定されている普通抽選モードに限られるわけではない。演出装置が付随された特別始動領域10(第二特別始動領域12)に関係する状況であって、遊技者の利益に関わるものが示唆される対象であればよい。このような対象としては以下のようなものを例示することができる。
一例(第一例)としては、特別遊技状態(時短有)の状態か否かが演出要素によって示唆される構成とすることが考えられる。特別遊技状態は、通常遊技状態に比して普通抽選に当選する確率が高く、第二特別始動領域12に遊技球が進入しやすい状態であるところ、当該特別遊技状態中であるかどうかが演出要素によって示唆される対象とする。例えば、演出装置が上述した発光装置30であれば、特別遊技状態中でないとき(通常遊技状態中であるとき)には発光部31が白で発光し、特別遊技状態中であるときには発光部31が赤で発光するといった態様とする。
また、別例(第二例)としては、第一特別遊技状態(高確率・時短有)が設定されているか、第二特別遊技状態(低確率・時短有)が設定されているか遊技者には分からない状態において、いずれの特別遊技状態が設定されているかが演出要素によって示唆される構成とすることが考えられる。すなわち、第二特別始動領域12に遊技球が進入することを契機とした第二当否抽選の当選確率が高い状態(高確率状態)か否かが演出要素によって示唆される対象とする。例えば、演出装置が上述した発光装置30であれば、発光部31が赤で発光している状況である方が、発光部31が白で発光している状況であるときよりも、第一特別遊技状態(高確率状態)である蓋然性が高い設定とする。
さらに、別例(第三例)としては、第二特別始動領域12に遊技球が進入することによって取得された当否判定情報(保留情報)のうちに対応する当否抽選の結果が大当たりとなるものが含まれているかどうかの示唆が演出装置(発光装置30、画像表示装置40)から出力される演出要素によってなされる構成とすることが考えられる。例えば、演出装置が上述した発光装置30であれば、発光部31が発光していないときよりも、所定の態様で発光しているときの方が、当否判定情報(保留情報)のうちに対応する当否抽選の結果が大当たりとなるものが含まれている蓋然性が高いといった態様とする。
演出装置から出力される演出要素によって示唆される対象は、遊技者には明確に判別できないものであることが好ましい。上記実施形態における普通抽選モードは、第一普通抽選モードおよび第二普通抽選モードのいずれが設定されているか明確に判別することができないから、かかる条件を満たすといえる。また、上記第二例や第三例も、遊技者が明確に判別できない事象が示唆されるものであるといえる。
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
・手段1−1
大当たりに当選したか否かを判定する抽選であって、第一特別始動領域への遊技球の進入に基づく第一当否抽選、および、第二特別始動領域への遊技球の進入に基づく第二当否抽選を行う当否抽選手段と、普通始動領域への遊技球の進入に基づく普通抽選を行う普通抽選手段と、前記普通抽選に当選することを契機として、一時的に前記第二当否抽選を受けやすい特定状態とする抽選状態制御手段と、を備え、前記特定状態として、第一特定状態および当該第一特定状態よりも遊技者に有利な第二特定状態が設定されており、第一普通抽選モードが設定されているときに前記普通抽選に当選した場合には前記第一特定状態が設定され、第二普通抽選モードが設定されているときに前記普通抽選に当選した場合には前記第二特定状態が設定されることを特徴とする遊技機。
上記遊技機は、普通抽選に当選したときの普通抽選モードの種類に応じ、第一特定状態とされるかそれよりも有利な第二特定状態とされるかが決まるという面白みのあるものである。
・手段1−2
前記第二特定状態とされたことに基づいて実行されうる前記第二当否抽選の回数の最大値は、前記第一特定状態とされたことに基づいて実行されうる前記第二当否抽選の回数の最大値よりも多いことを特徴とする手段1−1に記載の遊技機。
実行されうる最大の抽選回数を異ならせることで、第一特定状態よりも第二特定状態の方が遊技者に有利な状態として設定することができる。
・手段1−3
リセット条件が成立することを契機として前記第一普通抽選モードが設定され、前記第一普通抽選モードが設定された状態にてモード移行条件が成立することを契機として前記第二普通抽選モードが設定されることを特徴とする手段1−1または手段1−2に記載の遊技機。
このようにすることで、遊技者はモード移行条件の成立を目指して遊技することになるから、遊技の促進に資する。
・手段1−4
前記モード移行条件の一つとして、前記リセット条件が成立した後、前記第二当否抽選が実行された回数である対象抽選回数が基準回数に到達したことが設定されていることを特徴とする手段1−3に記載の遊技機。
このようにすることで、第二当否抽選は、単なる当否抽選としてだけでなく、モード移行条件に近づくという作用が生じるものとして機能するため、その分第一当否抽選に比して第二当否抽選が遊技者にとって価値の高いものとなる遊技性を実現することができる。
・手段1−5
前記モード移行条件の一つとして、前記リセット条件が成立した後、前記第一当否抽選が実行された回数と前記第二当否抽選が実行された回数とを合わせた対象抽選回数が基準回数に到達したことが設定されていることを特徴とする手段1−3に記載の遊技機。
このようにすることで、第二当否抽選が実行されなくても(普通抽選に当選しなくても)、第一当否抽選が実行されることでモード移行条件が成立するという遊技性を実現することができる(第二当否抽選に当選しないことで遊技者が苛立ってしまうおそれが低い)。
・手段1−6
前記基準回数の値は一定ではないことを特徴とする手段1−4または手段1−5に記載の遊技機。
このようにすることで、第二普通抽選モードに移行するタイミングが予測しにくい遊技性を実現することができる。
・手段1−7
前記モード移行条件の一つとして、前記対象抽選回数が前記基準回数に到達するよりも前に成立しうる特殊条件が設定されていることを特徴とする手段1−4から手段1−6のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、基準回数に到達するまでの対象抽選回数の多少によらず、どのような状況であっても第二普通抽選モードに移行することに期待がもてる遊技性を実現することができる。
・手段1−8
前記第一当否抽選および前記第二当否抽選の少なくともいずれか一方にて大当たりとは異なる特殊当たりに当選することがあり、前記特殊条件は、前記特殊当たりに当選することであることを特徴とする手段1−7に記載の遊技機。
このようにすることで、大当たりに当選しないときであっても、特殊当たりに当選することに期待がもてる遊技性を実現することができる。
・手段2−1
特別始動領域への遊技球の進入に基づき大当たりに当選したか否かを判定する当否抽選を行う当否抽選手段と、前記特別始動領域に付随して設けられた遊技者が視認可能な演出要素を出力する演出装置と、を備え、前記特別始動領域に関する状況に応じ、前記演出要素の態様が変化することを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、特別始動領域に関する状況の変化が、特別始動領域に付随して設けられた演出装置から出力される演出要素の態様の変化により示唆されるという面白みのある遊技性を実現することができる。
・手段2−2
前記特別始動領域に遊技球が進入することに基づく前記当否抽選の実行されやすさが異なる複数種のモードが設定されており、前記演出要素の態様により、現在設定されている前記モードの種類が示唆されることを特徴とする手段2−1に記載の遊技機。
演出要素の態様により示唆される対象としては、当否抽選の実行されやすさを司るモードを例示することができる。
・手段2−3
前記演出装置は発光部を有する発光装置であり、前記演出要素の態様は、前記発光部の発光態様であることを特徴とする請求項1または手段2−2に記載の遊技機。
・手段2−4
前記演出装置は表示部を有する画像表示装置であり、前記演出要素の態様は、前記表示部に表示される画像の態様であることを特徴とする手段2−1または手段2−2に記載の遊技機。
演出装置としては、発光装置や画像表示装置を例示することができる。
・手段3−1
大当たりに当選したか否かを判定する当否抽選の少なくとも一部である対象当否抽選の回数が基準回数に到達することを契機として、現在設定されているモードよりも遊技者に有利なモードに移行させるモード移行手段と、前記基準回数に到達するのに必要な残りの前記対象当否抽選の回数である残回数を示唆する残回数示唆手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、モード移行に必要な対象当否抽選の回数が残回数示唆手段により示されるから、分かりやすい遊技性を実現することが可能である。
・手段3−2
前記対象当否抽選の結果を報知する演出が実行されていないときには、前記残回数示唆手段による前記残回数の示唆がなされないことを特徴とする手段3−1に記載の遊技機。
対象当否抽選が残回数に影響を与えるものであるから、対象当否抽選の結果を報知する演出が実行されていないときには残回数が表示されなくてもよいといえる。
・手段3−3
遊技球が進入することに基づき前記当否抽選が実行される領域として第一特別始動領域および第二特別始動領域を備え、前記第一特別始動領域に遊技球が進入することに基づく第一当否抽選は前記対象当否抽選に含まれない一方、前記第二特別始動領域に遊技球が進入することに基づく第二当否抽選は前記対象当否抽選に含まれることを特徴とする手段3−1または手段3−2に記載の遊技機。
このようにすることで、残回数の変化を見た遊技者は、第一当否抽選が対象当否抽選に含まれず、第二当否抽選が対象当否抽選に含まれるということを把握することが可能となる。
・手段3−4
前記第二特別始動領域は、普通始動領域への遊技球の進入に基づく普通抽選に当選することを契機として、遊技球が進入しやすい状態とされるものであり、遊技状態として、通常遊技状態と、当該通常遊技状態よりも前記普通抽選に当選する確率が高い特別遊技状態が設定されており、前記通常遊技状態にて、前記残回数示唆手段による残回数の示唆がなされることを特徴とする手段3−3に記載の遊技機。
通常遊技状態中にてモード移行に必要な残回数が示唆される構成を例示することができる。