JP2020193951A - 慣性センサの電極レイアウト作成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】慣性センサの性能を向上する。【解決手段】慣性センサの電極レイアウト作成方法は、高次共振モードに対応する可動部の表面変位分布を算出する工程と、可動部の一部領域である積分領域を設定する工程と、積分領域で表面変位分布を積分する工程とを有する。さらに、慣性センサの電極レイアウト作成方法は、積分値の絶対値が予め設定された規定値以下になっているかを判断する工程と、積分値の絶対値が規定値以下となった場合の積分領域に相対する固定部の領域を電極配置領域として決定する工程とを備える。【選択図】図27

Description

本発明は、慣性センサの電極レイアウト作成技術に関し、例えば、慣性センサの不要な高次共振モードを抑制できる電極レイアウト作成技術に適用して有効な技術に関する。
特開2014−135711号公報(特許文献1)には、例えば、可動電極に突起構造を加えることにより、高次モードの振動の発生を抑制して、スプリアスの発生を低減できるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子に関する技術が記載されている。
特開2014−135711号公報
加速度センサや角速度センサ(ジャイロスコープ)などに代表される慣性センサにおいては、高次共振モード(高次振動モード)と呼ばれる検出動作には不要な振動モードが存在する。この高次共振モードは、雑音の増加やダイナミックレンジの縮小や動作安定性の低下に代表される慣性センサの性能を低下させる要因となることが知られている。
したがって、慣性センサの性能を向上するためには、如何にして高次共振モードを抑制するかが重要となってくる。すなわち、慣性センサの性能を向上する観点から、不要な高次共振モードを抑制することが望まれている。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
一実施の形態における慣性センサの電極レイアウト作成方法は、導電体から構成される可動部と、可動部と対向して配置された固定部と、固定部に設けられた電極とを備える慣性センサの電極レイアウト作成方法である。
ここで、一実施の形態における慣性センサの電極レイアウト作成方法は、高次共振モードに対応する可動部の表面変位分布を算出する工程と、可動部の一部領域である積分領域を設定する工程と、積分領域で表面変位分布を積分する工程とを有する。
さらに、一実施の形態における慣性センサの電極レイアウト作成方法は、積分値の絶対値が予め設定された規定値以下になっているかを判断する工程と、積分値の絶対値が規定値以下となった場合の積分領域に相対する固定部の領域を電極配置領域として決定する工程とを備える。
一実施の形態によれば、慣性センサの性能を向上することができる。
反射法弾性波探査の概要を示した地表の断面模式図である。 「シーソ構造」の加速度センサの模式的な構成を示す断面図である。 「シーソ構造」の加速度センサの動作を説明する図である。 サーボ電極の配置例を示す平面図である。 サーボ電極の他の配置例を示す平面図である。 サーボ動作を実現するサーボ機構を模式的に示す回路ブロック図である。 高次共振モードを模式的に示す図である。 高次共振モードに起因する誤差を電気回路でフィルタリングするサーボ機構の構成例を示す回路ブロック図である。 高次共振モードの一例を模式的に示す図である。 定在波の振動が助長されるサーボ電極の配置を模式的に示す図である。 定在波の振動が助長されるサーボ電極の配置を模式的に示す図である。 定在波の振動が抑制されるサーボ電極の配置を模式的に示す図である。 ACサーボ電極の構成例を示す模式図である。 高次共振モードの一例を示す模式図である。 基本思想を具現化するサーボ電極の配置例を示す図である。 (式1)を表す図である。 定在波の振動が抑制されることを示す図である。 (式2)を表す図である。 (式3)を表す図である。 基本思想を具現化するサーボ電極の他の配置例を示す図である。 (a)および(b)は、定在波の振動が抑制されることを示す図である。 (式4)を表す図である。 電極レイアウト作成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。 電極レイアウト作成装置の機能ブロック構成を示す図である。 (式5)を表す図である。 (式6)を表す図である。 電極レイアウト作成方法の流れを示すフローチャートである。
実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
本実施の形態における技術的思想は、例えば、加速度センサや角速度センサに代表される慣性センサに幅広く適用することができるが、特に、本実施の形態では、慣性センサのうちの加速度センサを取り上げて、本実施の形態における技術的思想を説明する。
<加速度センサの適用分野例>
加速度センサは、自動車の姿勢制御、スマートフォン、あるいは、ゲーム機等の幅広い分野で利用される。これらの分野で使用される加速度センサは、小型で数百Hz以下という低周波数帯域で、重力の数倍の大きさの加速度を検出することができる。
一方、近年において、加速度センサの利用分野は、上述した分野に限らず、地中の資源探査を目的とする分野にも拡大している。このような地中の資源探査分野において、物理探査の一種である反射法弾性波探査(反射法地震探査)は、人工的に地震波を発生させた後、地表に設置した受振器(加速度センサ)で地下から跳ね返ってくる反射波を捉えることにより、その結果を解析して地下構造を解明する技術である。つまり、反射法弾性波探査は、地表で衝撃波または連続波を発生させることにより、地下の反射面(音響インピーダンスの変化する境界面)から反射して地上に戻ってくる反射波を、地表に展開した受振器で測定し、解析して地下反射面の深度分布や地下構造を探査する方法である。
例えば、この反射法弾性波探査は、石油や天然ガスの主な探査方法として広く利用されている。特に、次世代の反射法弾性波探査用センサ(受振器)として、重力加速度よりも遥かに微小な振動加速度を検知する加速度センサが注目されている。このような加速度センサを実用化するために、低ノイズで非常に高感度な加速度センサの開発が望まれている。
図1は、反射法弾性波探査の概要を示した地表の断面模式図である。
図1において、地表GNDに設置された起振源VBから地中に弾性波(図中の矢印)を伝播させた後、複数の地層の境界BUD1や境界BUD2で反射した弾性波を、地表GNDに設置された加速度センサ(受振器)ASでセンシングする。一般的な起振源VBは、地表に対して垂直方向に発振するため、鉛直方向に近い方向にP波が効率よく励振される。このため、反射法弾性波探査では、P波が用いられる。また、再び地表GNDに戻ってくる弾性波は、鉛直方向に近い方向から伝播してくるP波であるため、加速度センサASは、鉛直方向の弾性振動を検知する必要がある。図1に示すように、様々な方向に励振された弾性波は、減衰の大きい地中を伝播し、複数の地層の境界BUD1や境界BUD2で反射し、再び減衰の大きい地中を伝搬して、広い領域に拡散して地表GNDに戻ってくる。
このように、反射法弾性波探査では、微弱な弾性振動を検知するため、加速度センサASには、鉛直方向に高感度である必要がある。具体的に、微弱な弾性振動の加速度は、重力加速度よりも小さいため、反射法弾性波探査で使用される加速度センサには、重力加速度よりも小さな加速度を高感度に検出することが要求される。
以下では、例えば、重力加速度よりも小さな加速度を高感度に検出することができる加速度センサについて説明する。
<加速度センサの構成>
加速度センサは、例えば、空洞部内において、質量体を弾性変形可能な梁を介して固定部に接続し、加速度が印加されたときの質量体の変位に起因する物理量の変化を検出することにより加速度を検出する。具体的には、質量体を可動電極として機能させ、かつ、この質量体と対向する位置に固定電極である検出電極を配置する。これにより、加速度が印加された際の質量体の変位によって、質量体と検出電極からなる静電容量の容量変化が生じ、この容量変化に基づいて、加速度を検出することができる。
<加速度センサの動作>
次に、加速度センサの動作について説明する。例えば、鉛直方向(z方向)に印加される加速度を、可動電極と検出電極からなる可変容量の容量変化として捉える加速度センサを例に挙げて、加速度センサの動作を説明する。
原理的には、例えば、変調信号を印加しなくても加速度に起因する可変容量での容量変化を検出することにより、加速度を検出することは可能である。
ただし、加速度に対応した可変容量での容量変化に基づく検出信号は、低周波信号であるため、1/fノイズの影響を受けやすくなる。すなわち、加速度に対応した可変容量での容量変化に基づく検出信号をそのまま使用する構成では、1/fノイズが大きくなる結果、S/N比が劣化して、加速度センサの検出感度が低下することになる。
そこで、例えば、加速度センサでは、変調信号を使用している。この場合、加速度に対応した可変容量での容量変化に基づく検出信号が変調信号で変調されて高周波信号となるため、1/fノイズを受けにくくなる。つまり、高周波信号では、低周波信号よりも1/fノイズが小さくなることから、S/N比を向上できる結果、加速度センサの検出感度を向上することができるのである。このような理由から、加速度センサでは、まず、可動電極と検出電極からなる可変容量に変調信号を印加する。
ここで、例えば、鉛直方向(+z方向)に加速度が印加されたとする。この場合、質量体は、−z方向に変位する。この結果、可動電極(質量体)と検出電極からなる可変容量の容量変化が生じる。この容量変化は、変調信号に加わって信号処理回路へ出力される。具体的に、信号処理回路では、加速度に起因する容量変化が加わった変調信号がCV変換部に入力されて、容量変化がアナログ電圧信号に変換される。そして、変換されたアナログ電圧信号は、AD変換部でデジタル電圧信号に変換される。その後、同期検波部で復調信号が抽出される。続いて、同期検波部で復調された復調信号は、LPF(低周波数帯域通過フィルタ)を通過することにより、最終的に、加速度に対応した加速度信号(検出信号)が出力端子から出力される。以上のようにして、加速度センサによれば、z方向の加速度を検出することができる。
<加速度センサの具体的な構成例(シーソ構造)>
続いて、加速度センサの具体的な構成例について説明する。
図2は、「シーソ構造」の加速度センサの模式的な構成を示す断面図である。
図2において、枠体100に囲まれた密閉空間である空洞部10の内部には、回転軸20に取り付けられた導電体からなる可動体30が配置されている。この可動体30は、図2において回転軸20の右側に配置された質量体40aと、図2において回転軸20の左側に配置された質量体40bとを含むように構成されている。このように構成されている可動体30が配置されている空洞部10には、例えば、気体が充填されている。
質量体40aの表面には、可動電極50aが形成されており、この可動電極50aと対向する枠体100の第1領域に固定電極である検出電極60aが形成されている。この結果、枠体100に形成されている検出電極60aと、質量体40aに形成されている可動電極50aとによって、第1可変容量が構成されることになる。
同様に、質量体40bの表面には、可動電極50bが形成されており、この可動電極50bと対向する枠体100の第2領域に固定電極である検出電極60bが形成されている。この結果、枠体100に形成されている検出電極60bと、質量体40bに形成されている可動電極50bとによって、第2可変容量が構成されることになる。
ここで、質量体40aの質量は、質量体40bの質量よりも重くなっている。具体的には、図2に示すように、質量体40aには、質量体40aを貫通する複数の開口部OP1が形成されているとともに、質量体40bにも、質量体40bを貫通する複数の開口部OP2が形成されている。このとき、質量体40aに形成されている複数の開口部OP1の個数は、質量体40bに形成されている複数の開口部OP2の個数よりも少なくなっているとともに、複数の開口部OP1のそれぞれの平面サイズは、複数の開口部OP2のそれぞれの平面サイズより小さくなっている。これにより、質量体40aにおける開口部OP1の占有面積は、質量体40bにおける開口部OP2の占有面積よりも小さくなる結果、質量体40aの質量は、質量体40bの質量よりも重くなる。
このように構成されている加速度センサASでは、質量体40aと質量体40bとの間に質量差が生じる結果、例えば、+z方向に加速度が印加されると、重い質量体40aが−z方向に変位する一方、軽い質量体40bが+z方向に変位して、加速度センサASは、「シーソ動作」をすることになる。つまり、図3に示すように「シーソ構造」の加速度センサASでは、+z方向に加速度が印加されると、回転軸20を中心として、可動体30が時計回りに回転することになる。
図2に示す「シーソ構造」の加速度センサASは、可動電極50aと検出電極60aとからなる第1可変容量と、可動電極50bと検出電極60bとからなる第2可変容量とを備えている。このとき、「シーソ構造」の加速度センサASでは、例えば、z方向の加速度が印加された場合の第1可変容量の容量変化と第2可変容量の容量変化とが逆特性となる。すなわち、第1可変容量の静電容量が増加する場合、第2可変容量の静電容量が減少する一方、第1可変容量の静電容量が減少する場合、第2可変容量の静電容量が増加する。この結果、「シーソ構造」の加速度センサASによれば、以下に示す利点が得られる。
例えば、第1入力端子と第2入力端子との間に第1可変容量と第2可変容量とを直列接続し、第1可変容量と第2可変容量との接続部分(接続ノード)にCV変換部を接続する構成を考える。まず、第1入力端子と第2入力端子に、それぞれ180°位相の異なる逆位相の変調信号を印加する。ここで、加速度が印加されていない場合の第1可変容量の静電容量を「C1」とし、加速度が印加されていない場合の第2可変容量の静電容量を「C2」とする。そして、加速度が印加された場合、第1可変容量の静電容量が「C1−ΔC1」に減少する一方、第2可変容量の静電容量が「C2+ΔC2」に増加するとする。この場合、第1入力端子と第2入力端子とに互いに逆位相の変調信号(V)が印加されているため、第1可変容量には、Q1=(C1−ΔC1)Vの電荷が蓄積される一方、第2可変容量には、Q2=−(C2+ΔC2)Vの電荷が蓄積される。したがって、第1可変容量と第2可変容量全体での電荷移動量は、(C1−ΔC1)V−(C2+ΔC2)V=(C1−C2)V−(ΔC1+ΔC2)Vとなる。つまり、第1入力端子と第2入力端子とに互いに逆位相の変調信号が印加されている場合には、第1可変容量の静電容量「C1」と第2可変容量の静電容量「C2」とが差分されて、電荷移動量には、加速度に起因する容量変化−(ΔC1+ΔC2)の成分の割合が大きくなる。この結果、電荷移動量において、加速度に起因する容量変化(−(ΔC1+ΔC2))とは無関係な静電容量「C1」や静電容量「C2」の影響が低減される(C1−C2となる)。これにより、信号に含まれる加速度に起因する容量変化(−(ΔC1+ΔC2))の成分を大きくすることができる。したがって、「シーソ構造」の加速度センサASによれば、加速度の検出感度を向上することができるという利点が得られる。
<サーボ電極の採用>
上述したように、加速度センサASでは、加速度が印加された際の質量体の変位によって、質量体と固定電極からなる可変容量の容量変化が生じ、この容量変化に基づいて、加速度を検出している。この点に関し、例えば、加速度の大きさが想定外に大きくなると、加速度に起因する質量体の変位も大きくなる。この場合、質量体と検出電極が接触する事態が起こり、容量変化に基づく加速度の検出を正確に行なうことができなくなる。つまり、質量体の変位に基づいて加速度を検出する加速度センサの構成では、想定外の大きな加速度が加わった場合、正確に加速度を検出することが困難となる。特に、加速度センサにおける加速度の検出感度を向上させるためには、可変容量を構成する質量体と検出電極との間の距離を小さくすることが望ましいが、質量体と検出電極との間の距離を小さくすると、わずかに加速度の大きさが大きくなっただけで、質量体が検出電極に接触してしまうことになる。このことは、検出できる加速度の範囲が狭くなることを意味する。
そこで、加速度センサにサーボ機構を設けることが行なわれている。以下に、このサーボ機構について説明する。例えば、質量体と対向する位置には、検出電極が設けられているが、サーボ機構では、質量体と対向する位置に検出電極だけでなく、サーボ電極も設けられている。そして、このサーボ電極には、サーボ電圧が印加されるようになっており、サーボ電極にサーボ電圧を印加することにより発生するクーロン力(静電気力)によって、加速度に基づく質量体の変位が打ち消されるようになっている。これにより、加速度センサに加速度が印加されても、質量体はほとんど変位しなくなるが、サーボ電極には、加速度の大きさに比例したサーボ電圧が印加されることになる。このことから、このサーボ電圧を出力することにより、加速度センサに印加された加速度を検出することができる。
このようなサーボ機構を設ける利点は、質量体を変位させることなく、加速度を検出できる点にある。すなわち、サーボ機構を設けることにより、加速度センサに想定外の大きな加速度が印加される場合であっても、質量体の想定外の変位によって、質量体と検出電極との接触を抑制することができる。特に、加速度センサにサーボ機構を設けることにより、質量体と検出電極との間の距離を小さくしても、質量体と検出電極の接触を抑制できる。このことから、サーボ機構を加速度センサに設けることによって、質量体と検出電極との間の距離を小さくすることに起因する検出感度の向上と、質量体を変位させないことに起因する検出加速度の範囲(レンジ)の拡大を両立することができる。
図4は、サーボ電極の配置例を示す平面図である。
図4において、加速度センサASは、矩形形状の枠体100を有し、この枠体100の内部には、点線で示される可動体30が配置されている。そして、枠体100の表面には、検出電極60aおよび検出電極60bとともに、ACサーボ電極70aおよびACサーボ電極70bと、DCサーボ電極80aおよびDCサーボ電極80bが形成されている。
このとき、図4に示すように、平面視において、検出電極60aおよび検出電極60bは、可動体30と重なるように配置されている。同様に、平面視において、ACサーボ電極70aおよびACサーボ電極70bは、可動体30と重なるように配置されているとともに、DCサーボ電極80aおよびDCサーボ電極80bも、可動体30と重なるように配置されている。
ここで、ACサーボ電極70aおよびACサーボ電極70bには、周期的に変動する交流電圧からなるACサーボ電圧が印加される。一方、DCサーボ電極80aおよびDCサーボ電極80bには、時間的に一定な直流電圧からなるDCサーボ電圧が印加される。
そして、例えば、ACサーボ電極70aとACサーボ電極70bには、交互にACサーボ電圧が印加されるように構成されている。すなわち、ACサーボ電極70aにACサーボ電圧が印加されているときには、ACサーボ電極70bにはACサーボ電圧が印加されていない。同様に、ACサーボ電極70bにACサーボ電圧が印加されているときには、ACサーボ電極70aには、ACサーボ電極が印加されていない。
また、例えば、DCサーボ電極80aとDCサーボ電極80bには、交互にDCサーボ電圧が印加されるように構成されている。すなわち、DCサーボ電極80aにDCサーボ電圧が印加されているときには、DCサーボ電極80bにはDCサーボ電圧が印加されていない。同様に、DCサーボ電極80bにDCサーボ電圧が印加されているときには、DCサーボ電極80aには、DCサーボ電極が印加されていない。
このようにして、「シーソ構造」の加速度センサASにおいて、ACサーボ電極70aと可動体30との間に静電気力を発生させる動作と、ACサーボ電極70bと可動体30との間に静電気力を発生させる動作とが、交互に行われることになる。同様に、「シーソ構造」の加速度センサASにおいて、DCサーボ電極80aと可動体30との間に静電気力を発生させる動作と、DCサーボ電極80bと可動体30との間に静電気力を発生させる動作とが、交互に行われることになる。この結果、「シーソ構造」の加速度センサASに加速度が印加されても、可動体30を静止状態に維持することができる。
図4に示すように、「シーソ構造」の加速度センサASにおいて、検出電極とサーボ電極とを分離して設ける構成を採用すると、検出電極による加速度検出動作と、サーボ電極によるサーボ動作とを同時に行なうことができる利点が得られる。なお、図4では、ACサーボ電極とDCサーボ電極とを分離する構成例を示しているが、これに限らず、例えば、ACサーボ電極とDCサーボ電極から一体化したサーボ電極を構成し、この一体化したサーボ電極に対して、直流電圧に交流電圧を重畳したサーボ電圧を印加してもよい。
次に、図5は、サーボ電極の他の配置例を示す平面図である。
図5において、加速度センサASは、矩形形状の枠体100を有し、この枠体100の内部には、点線で示される可動体30が配置されている。そして、枠体100の表面には、検出電極60aおよび検出電極60bが形成されている。このとき、図5に示すように、平面視において、検出電極60aおよび検出電極60bは、可動体30と重なるように配置されている。ここで、検出電極60aは、ACサーボ電極70aおよびDCサーボ電極80aとしても機能するように構成され、かつ、検出電極60bは、ACサーボ電極70bおよびDCサーボ電極80bとしても機能するように構成されている。
この場合、例えば、検出電極60aに着目すると、時分割で、検出電極としての機能とサーボ電極としての機能が実現される。すなわち、ある時間帯では、検出電極による加速度検出動作が行なわれる一方、他のある時間帯では、サーボ電極によるサーボ動作が行なわれる。このような構成では、検出電極の平面サイズを大きくすることできる利点が得られる。そして、検出電極の平面サイズが大きいほど加速度の検出感度が向上することから、検出電極とサーボ電極とを一体化して、検出電極の平面サイズを大きくする図5に示す他の配置例によれば、加速度の検出感度を向上することができる。
続いて、サーボ動作を実現する回路構成について説明する。
図6は、サーボ動作を実現するサーボ機構を模式的に示すブロック図である。
図6に示すサーボ機構では、静電容量型の加速度センサを使用したサーボ制御によるデルタシグマ型アナログデジタル変換器によってサーボ動作が実現される。
図6において、加速度センサのサーボ機構は、MEMS(加速度センサASの構造体)200と、CV変換部201と、ループフィルタ202と、量子化器203と、フィードバックループ204とを有する。まず、加速度センサが印加されると、MEMS200では、加速度の大きさに対応する容量変化が生じる。このとき、加速度センサの検出容量の片側に変調信号を印加し、検出容量のもう一方の片側をCV変換部201と接続される。そして、この容量変化は、CV変換部201で電圧信号に変換される。すなわち、CV変換部201からは、変調され、かつ、加速度に応じた振幅を有する電気信号が出力される。その後、CV変換部201から出力された電圧信号は、ループフィルタ202に入力する。ループフィルタ202では、デジタルシグマ型変調のノイズシェーピングのためのループの積分次数の増加と、加速度センサの加速度−容量変換の伝達関数における位相遅延の補償が行なわれる。
次に、ループフィルタ202から出力された電気信号を、例えば、1ビット量子化器から構成される量子化器203に入力することにより、量子化器203からサーボ信号が出力される。そして、フィードバックループ204は、量子化器203から出力されたサーボ信号を入力して、サーボ信号に対応したサーボ電圧を出力する。具体的に、フィードバックループ204は、加速度センサの検出容量の容量変化を打ち消す方向に静電気力が働くように、加速度センサのサーボ電極にサーボ電圧を印加する。特に、フィードバックループ204では、加速度センサの検出容量の変化が零になるように制御される。
このようにして、サーボ機構によるサーボ動作が行なわれる。そして、加速度センサの検出容量の変化が零に制御されているとき、サーボ信号の低周波成分は、加速度の大きさに比例する。このため、サーボ信号に比例係数を乗じた信号をローパスフィルタに入力した後、ローパスフィルタから出力された信号を検出することにより加速度を検出できる。
<改善の検討>
加速度センサにおける加速度の検出動作には、加速度センサを構成する可動体の基本振動モードが使用されるが、可動体の振動には、上述した基本共振モードの他に、例えば、図7に模式的に示すような高次共振モードが存在する。
この高次共振モードは、加速度の検出動作には不要な共振モードであるだけでなく、高次共振モードは、雑音の増加やダイナミックレンジの縮小や動作安定性の低下に代表される加速度センサの性能を低下させる要因となることが知られている。
この点に関し、高次共振モードに起因する誤差を電気回路でフィルタリングする技術がある。具体的には、例えば、図8に示すように、サーボ動作を実現するサーボ機構において、CV変換部201とループフィルタ202との間に、高次対策フィルタ205を挿入することが考えられる。この高次対策フィルタ205では、高次共振モードの共振周波数の信号を遮断するフィルタとして構成される。これにより、信号から高次共振モードの共振周波数に対応した成分が除去されることになり、高次共振モードに起因する誤差を小さくすることができる。ところが、高次対策フィルタ205を使用することにより、高次共振モードに起因する誤差を小さくする方法では、高次対策フィルタ205による信号遅延によって、フィードバックループ204による制御安定性が低下することが懸念される。さらには、複数存在する高次共振モードの固有振動数がMEMS200ごとにばらつくため、MEMS構造体が形成されたチップごとに高次対策フィルタの調整が必要となり、時間的なコストが増大することになる。また、この方法では、MEMS構造体で発生する高次共振モードを直接抑制する手法ではないため、高次共振モードを励振する力が強い場合、非線形効果による雑音の増大も懸念される。一方、可動体に突起構造を加えることにより、高次共振モードを直接的に抑制する技術も報告されているが、可動体の構造が複雑化することによる製造コストの増大が懸念されている。
このように現存する技術では、副作用の小さな高次共振モードの抑制技術を実現する観点から改善の検討が必要であることがわかる。そこで、本実施の形態では、副作用の小さな優れた高次共振モードの抑制技術を実現するための工夫を施している。以下では、この工夫を施した本実施の形態における技術的思想について説明する。
<実施の形態における基本思想>
本実施の形態における基本思想は、サーボ電極を使用することにより、高次共振モードの発生を抑制する思想である。具体的に、本実施の形態における基本思想は、サーボ電極の配置位置を工夫することにより、高次共振モードの発生を抑制する思想である。
以下に、この基本思想について詳細に説明する。
まず、図9は、高次共振モードの一例を示す図である。
高次共振モードは、定在波から構成される。定在波とは、波長・周期・振幅・速さが同じで進行方向が互いに逆向きの2つの波が重なり合うことによってできる波であり、波形が進行せず、その場に止まって振動しているように見える波動である。すなわち、定在波とは、振動の極大(腹)と極小(節)などの位置が空間的に移動しない波である。例えば、同じ方向に振動して互いに逆向きに進む2つの正弦波を「asin(ωt−kx)」と「asin(ωt+kx)」とする。この2つの正弦波を合成すると、「2acoskxsinωt」となる。この合成波の各点は、2acoskxを振幅とする単振動(sinωt)を行なうだけで、「(ωt±kx)」の形をしていないことから、進行しないように見える。
したがって、例えば、図10に示すように、定在波からなる高次共振モードの山にだけ平面的に重なるようにサーボ電極300を配置すると、サーボ電極300から定在波の山にのみ静電引力が加わることになる。この場合、サーボ電極300からの静電引力によって、定在波の振動が助長されることになる。同様に、例えば、図11に示すように、定在波からなる高次共振モードの谷にだけ平面的に重なるようにサーボ電極300を配置しても、サーボ電極300から定在波の谷にのみ静電引力が加わることになる。この場合も、サーボ電極300からの静電引力によって、定在波の振動が助長されることになる。このことから、サーボ電極300を定在波の山だけと平面的に重なるように配置する構成や、サーボ電極300を定在波の谷だけと平面的に重なるように配置する構成では、定在波からなる高次共振モードの励起を助長することになるのである。
これに対し、例えば、図12に示すように、定在波からなる高次共振モードの山と谷の両方に平面的に重なるようにサーボ電極300を配置すると、サーボ電極300から定在波の山と谷の両方に同方向の静電引力が加わることになる。このことは、互いに逆位相で振動する定在波の山と谷の両方に同じ方向の静電引力が加わることを意味するから、これは、サーボ電極300によって、互いに逆位相で振動する山と谷を有する定在波が減衰することを意味する。したがって、定在波の山と谷の両方に平面的に重なるようにサーボ電極300を配置すると、サーボ電極300に起因する静電気力によって、互いに逆位相で振動する山と谷からなる定在波の励起が抑制されることになる。
以上のことから、サーボ電極300の配置位置を工夫することにより、定在波の励起が抑制することができることがわかる。したがって、本実施の形態における基本思想は、定在波の励起を抑制することができるようにサーボ電極300の配置位置を決定することにより、検出動作には不要な高次共振モードの発生を抑制しようとする思想である。
以下では、本実施の形態における基本思想を具現化する具体例について説明するが、その前に、まず、「シーソ構造」の加速度センサに設けられるサーボ電極について説明する。「シーソ構造」の加速度センサにサーボ機構を設ける場合、例えば、DCサーボ電圧(直流サーボ電圧)を印加するDCサーボ電極と、ACサーボ電圧(交流サーボ電圧)を印加するACサーボ電極とがある。このとき、高次共振モードは、ACサーボ電極に印加される周期的なACサーボ電圧に起因して発生するので、本実施の形態では、このACサーボ電極に着目し、かつ、上述した基本思想に基づいて、ACサーボ電極の配置位置を決定する。すなわち、本実施の形態における基本思想を適用するサーボ電極は、高次共振モードの発生原因となるACサーボ電極である。
図13は、ACサーボ電極の構成例を示す模式図である。
図13に示すように、ACサーボ電極は、サーボ電極300Pとサーボ電極300Nとから構成されている。ここで、例えば、サーボ電極300Pは、「シーソ構造」の可動体のうちの左側に配置されている質量体に対応して設けられたサーボ電極である一方、サーボ電極300Nは、「シーソ構造」の可動体のうちの右側に配置されている質量体に対応して設けられたサーボ電極である。そして、サーボ電極300Pとサーボ電極300Nには、交互にACサーボ電圧が印加される。言い換えれば、サーボ電極300Pにサーボ電圧を印加するタイミングと、サーボ電極300Nにサーボ電圧を印加するタイミングとは、互いに相補関係にある。すなわち、サーボ電極300PにACサーボ電圧が印加されているときには、サーボ電極300NにはACサーボ電極は印加されない。一方、サーボ電極300NにACサーボ電圧が印加されているときには、サーボ電極300PにはACサーボ電圧は印加されない。つまり、サーボ電極300Pとサーボ電極300Nの両方に同時にACサーボ電圧が印加されることはない。これにより、「シーソ構造」の加速度センサに加速度が印加された場合の可動体の「シーソ動作」を打ち消すようにサーボ電極300Pからの静電引力とサーボ電極300Nからの静電引力とを交互に加えることができる。以上のことから、本実施の形態において、ACサーボ電極は、サーボ電極300Pとサーボ電極300Nから構成されることになる。
<<基本思想の具体例1>>
このことを前提として、本実施の形態における基本思想を具現化した具体例を説明する。
図14は、高次共振モードの一例を示す模式図である。
図14には、高次共振モードの振幅を示す「φ(x、y)」が模式的に示されている。ここで、図14において、実線は山を示している一方、破線は谷を示している。
図15は、図14に示す高次共振モードを抑制するために、サーボ電極と対向する可動体の対応領域を模式的に示す図である。図15において、例えば、サーボ電極300Nに対向する対応領域R1を考えると、対応領域R1においては、「φ(x、y)」の山と谷が均等に含まれている。これにより、対応領域R1をサーボ電極300Nに対向する領域とすると、例えば、図12に示す状況が実現されることになり、「φ(x、y)」の振幅で表される高次共振モードの励起を抑制することができる。このように、サーボ電極300Nに対向する領域として対応領域R1を選択する思想は、一般化すると、「φ(x、y)」の山と谷が均等に含まれるような領域を特定し、この領域をサーボ電極300Nに対向する対応領域とする思想となる。言い換えれば、「φ(x、y)」を特定領域で積分した積分値の絶対値が零に近づくように特定領域を決定し、この決定した特定領域をサーボ電極300Nと対向する対応領域にすることになる。このようにして、対応領域に対向する位置にサーボ電極300Nを配置することにより、「φ(x、y)」の振幅で表される高次共振モードの励起を抑制することができる。具体的には、図16の(式1)で示される積分値Iができる限り小さくなるように対応領域R1を特定して、積分値Iをできる限り小さくする対応領域R1に対向するようにサーボ電極300Nを配置することにより、「φ(x、y)」の振幅で表される高次共振モードの励起を抑制することができる。
次に、図15において、例えば、サーボ電極300Pを配置する位置を特定することを考える。この場合も、もちろん、図16の(式1)で示される積分値Iができる限り小さくなるように対応領域R1を特定して、積分値Iをできる限り小さくする対応領域R1に対向するようにサーボ電極300Pを配置する手法を用いることができる。
ただし、以下に示す手法も考えることができる。
図15に示すように、例えば、サーボ電極300Pを2つのサーボ電極300P1とサーボ電極300P2から構成し、サーボ電極300P1を対応領域R2と対向する位置に配置し、かつ、サーボ電極300P2を対応領域R3と対向する位置に配置するというものである。このとき、図15に示すように、サーボ電極300P1と対向する対応領域R2は、「φ(x、y)」の谷だけが含まれる領域である一方、サーボ電極300P2と対向する対応領域R3は、「φ(x、y)」の山だけが含まれる領域である。この場合、例えば、図17に示す構成が実現される。この図17に示す構成では、「φ(x、y)」の山と谷の両方に同じ方向の静電引力が加わる点で、図12に示す構成と同様である。したがって、サーボ電極300Pをサーボ電極300P1とサーボ電極300P2から構成し、かつ、サーボ電極300P1を対応領域R2と対向する位置に配置するとともに、サーボ電極300P2を対応領域R3と対向する位置に配置することにより、例えば、図17に示す状況が実現されることになり、「φ(x、y)」の振幅で表される高次共振モードの励起を抑制することができる。
このとき、サーボ電極300P1とサーボ電極300P2は、いずれもサーボ電極300Pの構成要素であることから、サーボ電極300P1にサーボ電圧を印加するタイミングとサーボ電極300P2にサーボ電圧を印加するタイミングとは同一である。すなわち、サーボ電極300P1とサーボ電極300P2には、同時にサーボ電圧が印加される。
このようなサーボ電極300P1とサーボ電極300P2からなるサーボ電極300Pを配置する思想は、一般化すると、「φ(x、y)」の積分領域を複数設定し、それぞれの積分領域での「φ(x、y)」の積分値の和の絶対値が零となるように複数の積分領域を決定し、この決定した複数の積分領域のそれぞれと対向する位置にサーボ電極300Pを配置するというものである。このようにして、決定されたサーボ電極300Pによれば、「φ(x、y)」の振幅で表される高次共振モードの励起を抑制することができる。
具体的には、図18の(式2)で示される積分値Iができる限り小さくなるように対応領域R2と対応領域R3とを特定して、積分値Iをできる限り小さくする対応領域R2と対応領域R3のそれぞれに対向する位置にサーボ電極300Pを配置することにより、「φ(x、y)」の振幅で表される高次共振モードの励起を抑制することができる。
さらに、図16の(式1)で示されるサーボ電極300Nの配置手法と、図18の(式2)で示されるサーボ電極300Pの配置手法とを組み合わせて一般化すると以下のようになる。すなわち、一般化した手法は、図19の(式3)で示される積分値Iをできる限り零になるように、積分領域「DN」と積分領域「DP」を決定し、積分領域「DN」に対向する位置にサーボ電極300Nを配置し、かつ、積分領域「DP」に対向する位置にサーボ電極300Pを配置する手法となる。
<<基本思想の具体例2>>
続いて、本実施の形態における基本思想の具体例2について説明する。
図20は、図14に示す高次共振モードを抑制するために、サーボ電極と対向する可動体の対応領域を模式的に示す図である。
図20において、例えば、サーボ電極300Nを対応領域R4と対向する位置に配置し、かつ、サーボ電極300Pを対応領域R5と対向する位置に配置することを考える。この場合、サーボ電極300Nとサーボ電極300Pには、同時にサーボ電圧が印加されるのではなく、交互にサーボ電圧が印加されることから、例えば、図21(a)および図21(b)に示す状況が実現されることになり、「φ(x、y)」の振幅で表される高次共振モードの励起を抑制することができる。このように、サーボ電極300Nと対向する位置として対応領域R4を選択し、かつ、サーボ電極300Pと対向する位置として対応領域R5を選択する思想は、一般化すると以下のようになる。すなわち、一般化した思想は、「φ(x、y)」を積分領域「DN」で積分した積分値と「φ(x、y)」を積分領域「DP」で積分した積分値との差分の絶対値が零に近づくように積分領域「DN」と積分領域「DP」を決定し、この積分領域「DN」と対向する位置にサーボ電極300Nを配置するとともに、積分領域「DP」と対向する位置にサーボ電極300Pを配置する思想となる。
このようにして、決定されたサーボ電極300Nとサーボ電極300Pによれば、「φ(x、y)」の振幅で表される高次共振モードの励起を抑制することができる。
具体的には、図22の(式4)で示される積分値Iができる限り小さくなるように積分領域「DN」と積分領域「DP」を特定する。そして、積分値Iをできる限り小さくする積分領域「DN」と対向するサーボ電極300Nの配置領域とし、かつ、積分値Iをできる限り小さくする積分領域「DP」をサーボ電極300Pの配置領域とする。これにより、「φ(x、y)」の振幅で表される高次共振モードの励起を抑制することができる。
<基本思想を具現化する電極レイアウト作成装置>
<<ハードウェア構成>>
以下では、まず、上述した基本思想を具現化する本実施の形態おける電極レイアウト作成装置のハードウェア構成について説明する。
図23は、本実施の形態における電極レイアウト作成装置500のハードウェア構成の一例を示す図である。なお、図23に示す構成は、あくまでも電極レイアウト作成装置500のハードウェア構成の一例を示すものであり、電極レイアウト作成装置500のハードウェア構成は、図23に記載されている構成に限らず、他の構成であってもよい。
図23において、本実施の形態における電極レイアウト作成装置500は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)501を備えている。このCPU501は、バス513を介して、例えば、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、および、ハードディスク装置512と電気的に接続されており、これらのハードウェアデバイスを制御するように構成されている。
また、CPU501は、バス513を介して入力装置や出力装置とも接続されている。入力装置の一例としては、キーボード505、マウス506、通信ボード507、および、スキャナ511などを挙げることができる。一方、出力装置の一例としては、ディスプレイ504、通信ボード507、および、プリンタ510などを挙げることができる。さらに、CPU501は、例えば、リムーバルディスク装置508やCD/DVD−ROM装置509と接続されていてもよい。
電極レイアウト作成装置500は、例えば、ネットワークと接続されていてもよい。例えば、電極レイアウト作成装置500がネットワークを介して他の外部機器と接続されている場合、電極レイアウト作成装置500の一部を構成する通信ボード507は、LAN(ローカルエリアネットワーク)、WAN(ワイドエリアネットワーク)やインターネットに接続されている。
RAM503は、揮発性メモリの一例であり、ROM502、リムーバルディスク装置508、CD/DVD−ROM装置509、ハードディスク装置512の記録媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらの揮発性メモリや不揮発性メモリによって、電極レイアウト作成装置500の記憶装置が構成される。
ハードディスク装置512には、例えば、オペレーティングシステム(OS)601、プログラム群602、および、ファイル群603が記憶されている。プログラム群602に含まれるプログラムは、CPU501がオペレーティングシステム601を利用しながら実行する。また、RAM503には、CPU501に実行させるオペレーティングシステム601のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一次的に格納されるとともに、CPU501による処理に必要な各種データが格納される。
ROM502には、BIOS(Basic Input Output System)プログラムが記憶され、ハードディスク装置512には、ブートプログラムが記憶されている。電極レイアウト作成装置500の起動時には、ROM502に記憶されているBIOSプログラムおよびハードディスク装置512に記憶されているブートプログラムが実行され、BIOSプログラムおよびブートプログラムにより、オペレーティングシステム601が起動される。
プログラム群602には、電極レイアウト作成装置500の機能を実現するプログラムが記憶されており、このプログラムは、CPU501により読み出されて実行される。また、ファイル群603には、CPU501による処理の結果を示す情報、データ、信号値、変数値やパラメータがファイルの各項目として記憶されている。
ファイルは、ハードディスク装置512やメモリなどの記録媒体に記憶される。ハードディスク装置512やメモリなどの記録媒体に記憶された情報、データ、信号値、変数値やパラメータは、CPU501によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・処理・編集・出力・印刷・表示に代表されるCPU501の動作に使用される。例えば、上述したCPU501の動作の間、情報、データ、信号値、変数値やパラメータは、メインメモリ、レジスタ、キャッシュメモリ、バッファメモリなどに一次的に記憶される。
電極レイアウト作成装置500の機能は、ROM502に記憶されたファームウェアで実現されていてもよいし、あるいは、ソフトウェアのみ、素子・デバイス・基板・配線に代表されるハードウェアのみ、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実現されていてもよい。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、ハードディスク装置512、リムーバルディスク、CD−ROM、DVD−ROMなどに代表される記録媒体に記憶される。プログラムは、CPU501により読み出されて実行される。すなわち、プログラムは、コンピュータを電極レイアウト作成装置500として機能させるものである。
このように、本実施の形態における電極レイアウト作成装置500は、処理装置であるCPU501、記憶装置であるハードディスク装置512やメモリ、入力装置であるキーボード505、マウス506、通信ボード507、出力装置であるディスプレイ504、プリンタ510、通信ボード507を備えるコンピュータである。そして、電極レイアウト作成装置500の各機能は、上述した処理装置、記憶装置、入力装置、および、出力装置を利用して実現される。
<<機能ブロック構成>>
次に、電極レイアウト作成装置500の機能ブロック構成について説明する。
図24は、電極レイアウト作成装置500の機能ブロック構成を示す図である。
図24において、本実施の形態における電極レイアウト作成装置500は、入力部701と、可動体構造決定部702と、サーボ電極初期構造決定部703と、高次共振モード機械特性取得部704と、高次共振モード選択部705と、励振係数算出部706とを有している。さらに、本実施の形態における電極レイアウト作成装置500は、判断部709と、サーボ電極配置決定部710と、出力部と、データ記憶部712とを有している。
入力部701は、様々なデータを外部機器から入力するように構成されており、この入力部701によって電極レイアウト作成装置500に入力された多種多様なデータは、データ記憶部712に記憶されるようになっている。
可動体構造決定部702は、例えば、入力部701によって電極レイアウト作成装置500に入力されたデータに基づいて、可動体の構造を決定するように構成されている。具体的には、例えば、検出容量やサーボ容量の大きさとMEMS構造体の面積とのトレードオフの関係を考慮しながら可動体の構造を決定するように構成されている。さらに詳細に説明すると、可動体構造決定部702では、加速度に基づく容量変化の係数を大きくするためのバネ定数の調整や、可動体(質量体)の厚さや貫通孔による質量の調整や、雑音を低減するために可動体に設けられる貫通孔の構造の調整などを行ないながら、可動体構造決定部702で可動体の構造が決定される。そして、可動体構造決定部702で決定された可動体の構造に関するデータは、データ記憶部712に記憶される。
サーボ電極初期構造決定部703は、例えば、入力部701によって電極レイアウト作成装置500に入力されたデータに基づいて、サーボ電極の初期構造を決定するように構成されている。具体的には、例えば、入力部701によって入力されたデータには、加速度を検出するために必要な感度に関するデータや、最大ACサーボ力に関するデータや、最大DCサーボ力に関するデータが含まれており、これらのデータに基づいて、サーボ電極初期構造決定部703は、サーボ電極の初期構造を決定するように構成されている。このサーボ電極初期構造決定部703で決定されるサーボ電極の初期構造の中には、サーボ電極の初期配置位置に関するデータと、サーボ電極の形状に関するデータが含まれる。そして、サーボ電極初期構造決定部703で決定されたサーボ電極の初期構造に関するデータは、データ記憶部712に記憶される。
高次共振モード機械特性取得部704は、例えば、入力部701によって電極レイアウト作成装置500に入力されたデータに基づいて、可動体の表面に励起される高次共振モードの振幅を示す「φ(x、y)」と、この「φ(x、y)」の周波数特性を取得するように構成されている。すなわち、高次共振モード機械特性取得部704は、高次共振モードに対応する可動体の表面変位分布(「φ(x、y)」)を算出する算出部としての機能を有するように構成されている。ここで、「k」は、複数の高次共振モードの中から特定の高次共振モードを識別する番号を示している。つまり、例えば、「k=1」に対応する高次共振モードと「k=2」に対応する高次共振モードは相違することになる。したがって、高次共振モード機械特性取得部704では、複数の高次共振モードのそれぞれに対応した「φ(x、y)」と「φ(x、y)」の周波数特性が取得される。
そして、取得された「φ(x、y)」と「φ(x、y)」の周波数特性に関するデータは、データ記憶部712に記憶される。
高次共振モード機械特性取得部704において、「φ(x、y)」および「φ(x、y)」の周波数特性は、MEMS構造体の可動体をFEMなどの手法によって構造シミュレーションしたり、専用テストチップを作成して測定することなどによって取得される。
高次共振モード選択部705は、励起を抑制したい高次共振モードを1つ以上選択するように構成されている。例えば、高次共振モード選択部705は、以下に示す基準に基づいて、励起を抑制したい高次共振モードを選択するように構成されている。
高次共振モード選択部705の第1選択基準としては、高次共振モードの除去のために使用される高次対策フィルタの挿入コストが最も高くなるモード周波数の低い高次共振モードを選択することが考えられる。また、高次共振モード選択部705の第2選択基準としては、高次共振モード機械特性取得部704の解析結果と、サーボ電極初期構造決定部703で決定されたサーボ電極の初期構造でのサーボ力に基づいて算出された検出容量の伝達関数とから、ゲインの最も高い高次共振モードを選択することが考えられる。さらに、高次共振モード選択部705の第3選択基準としては、上述した伝達特性を有するMEMS構造体と制御回路との結合シミュレーションを行なって、雑音への影響が高い高次共振モードを選択することが考えられる。ここで、高次共振モードの選択に関するデータは、データ記憶部712に記憶される。
励振係数算出部706は、高次共振モード選択部705で選択した高次共振モードの「φ(x、y)」と、サーボ電極初期構造決定部703で決定されたサーボ電極の初期配置位置およびサーボ電極の初期形状とに基づいて、励振係数を算出するように構成されている。例えば、上述した「<基本思想の具体例1>」を実現する場合において、励振係数算出部706は、図25の(式5)で示される積分値I(励振係数)を算出するように構成されている。ここで、図25に示される(式5)において、「M」は、高次共振モード選択部705で選択した高次共振モードの集合であって、励振を抑制したい高次共振モードの集合を示している。また、積分領域「DP」は、サーボ電極(P極)に対向する可動体の対応領域であり、積分領域「DN」は、サーボ電極(N極)に対向する可動体の対応領域である。さらに、「w」は、選択された高次共振モードのうちのどの高次共振モードの抑制を重要視するかを示す重みづけ係数である。
同様に、例えば、上述した「<基本思想の具体例2>」を実現する場合において、励振係数算出部706は、図26の(式6)で示される積分値I(励振係数)を算出するように構成されている。ここで、図26に示される(式6)において、「M」は、高次共振モード選択部705で選択した高次共振モードの集合であって、励振を抑制したい高次共振モードの集合を示している。また、積分領域「DP」は、サーボ電極(P極)に対向する可動体の対応領域であり、積分領域「DN」は、サーボ電極(N極)に対向する可動体の対応領域である。さらに、「w」は、選択された高次共振モードのうちのどの高次共振モードの抑制を重要視するかを示す重みづけ係数である。
励振係数算出部706は、積分領域設定部707と積分部708とを有している。このとき、積分領域設定部707は、サーボ電極と対向する可動体の一部領域(対応領域)を積分領域として設定するように構成されている一方、積分部708は、積分領域設定部707で設定された積分領域で「φ(x、y)」を積分するように構成されている。そして、励振係数算出部706で算出された励振係数(積分値I)に関するデータは、データ記憶部712に記憶される。
判断部709は、励振係数算出部706で算出した励振係数の絶対値が予め設定されている規定値以下となっているかを判断するように構成されている。言い換えれば、判断部709は、励振係数算出部706で算出した励振係数の絶対値が収束しているかを判断するように構成されている。例えば、上述した「<基本思想の具体例1>」を実現する場合において、判断部709は、図25の(式5)で示される積分値I(励振係数)が予め設定されている規定値以下となっているかを判断するように構成されている。一方、上述した「<基本思想の具体例2>」を実現する場合において、判断部709は、図26の(式6)で示される積分値I(励振係数)が予め設定されている規定値以下となっているかを判断するように構成されている。
サーボ電極配置決定部710は、判断部709が励振係数算出部706で算出した励振係数の絶対値が予め設定されている規定値以下となっていると判断した場合、励振係数算出部706の積分領域設定部707で設定した積分領域に対向する領域をサーボ電極の配置位置として決定するように構成されている。特に、判断部709が励振係数算出部706で算出した励振係数の絶対値が零となっていると判断した場合には、励振係数が零となった場合の積分領域に対向する領域をサーボ電極の配置位置として決定する。
例えば、上述した「<基本思想の具体例1>」を実現する場合において、サーボ電極配置決定部710は、判断部709が図25の(式5)で示される積分値I(励振係数)が予め設定されている規定値以下となっていると判断した場合、以下に示す決定を行なうように構成されている。すなわち、サーボ電極配置決定部710は、積分領域「DP」に対向する位置をサーボ電極(P極)の配置位置として決定し、かつ、積分領域「DN」に対向する位置をサーボ電極(N極)の配置位置として決定するように構成されている。特に、判断部709が励振係数算出部706で算出した励振係数の絶対値が零となっていると判断した場合には、励振係数が零となった場合の積分領域「DP」に対向する領域をサーボ電極(P極)の配置位置として決定し、かつ、励振係数が零となった場合の積分領域「DN」に対向する領域をサーボ電極(N極)の配置位置として決定する。
同様に、例えば、上述した「<基本思想の具体例2>」を実現する場合において、サーボ電極配置決定部710は、判断部709が図26の(式6)で示される積分値I(励振係数)が予め設定されている規定値以下となっていると判断した場合、以下に示す決定を行なうように構成されている。すなわち、サーボ電極配置決定部710は、積分領域「DP」に対向する位置をサーボ電極(P極)の配置位置として決定し、かつ、積分領域「DN」に対向する位置をサーボ電極(N極)の配置位置として決定するように構成されている。特に、判断部709が励振係数算出部706で算出した励振係数の絶対値が零となっていると判断した場合には、励振係数が零となった場合の積分領域「DP」に対向する領域をサーボ電極(P極)の配置位置として決定し、かつ、励振係数が零となった場合の積分領域「DN」に対向する領域をサーボ電極(N極)の配置位置として決定する。
出力部711は、サーボ電極配置決定部710で決定したサーボ電極の配置位置に関するデータを出力するように構成されている。
なお、励振係数算出部706の積分領域設定部707は、判断部709が励振係数の絶対値が予め設定されている規定値以下となっていないと判断した場合、新たな積分領域を再設定するように構成され、励振係数算出部706の積分部708は、積分領域設定部707で新たに設定された積分領域に基づいて、励振係数(積分値I)の再計算を行なうように構成されている。例えば、積分領域設定部707は、乱数などを使用することにより、無作為に積分領域を移動させることができるように構成されている。
<電極レイアウト作成方法>
本実施の形態における電極レイアウト作成装置500は、上記のように構成されており、以下に、この電極レイアウト作成装置500を使用した電極レイアウト作成方法について、図24〜図27を参照しながら説明する。
図27は、電極レイアウト作成方法の流れを示すフローチャートである。
まず、電極レイアウト作成装置500は、入力部701を介して、サーボ電極の配置位置を決定するために必要なデータを含む多種多様な初期データを入力する(S101)。
次に、電極レイアウト作成装置500の可動体構造決定部702は、例えば、入力部701によって電極レイアウト作成装置500に入力された初期データに基づいて、可動体の構造を決定する(S102)。その後、電極レイアウト作成装置500のサーボ電極初期構造決定部703は、例えば、入力部701によって電極レイアウト作成装置500に入力された初期データに基づいて、サーボ電極の初期構造を決定する(S103)。
続いて、電極レイアウト作成装置500の高次共振モード機械特性取得部704は、例えば、入力部701によって電極レイアウト作成装置500に入力されたデータに基づいて、可動体の表面に励起される高次共振モードの振幅を示す「φ(x、y)」と、この「φ(x、y)」の周波数特性を取得する(S104)。そして、電極レイアウト作成装置500の高次共振モード選択部705は、予め設定されている選択基準に基づいて、高次共振モード機械特性取得部704で取得された高次共振モードの中から、励起を抑制したい高次共振モードを1つ以上選択する(S105)。
次に、電極レイアウト作成装置500の励振係数算出部706は、高次共振モード選択部705で選択した高次共振モードの「φk(x、y)」と、サーボ電極初期構造決定部703で決定されたサーボ電極の初期配置位置およびサーボ電極の初期形状とに基づいて、励振係数を算出するように構成されている。例えば、上述した「<基本思想の具体例1>」を実現する場合において、励振係数算出部706は、図25の(式5)で示される積分値I(励振係数)を算出する。一方、例えば、上述した「<基本思想の具体例2>」を実現する場合において、励振係数算出部706は、図26の(式6)で示される積分値I(励振係数)を算出する(S106)。
その後、電極レイアウト作成装置500の判断部709は、励振係数算出部706で算出した励振係数の絶対値が予め設定されている規定値以下となっているかを判断する(S107)。言い換えれば、判断部709は、励振係数算出部706で算出した励振係数の絶対値が収束しているかを判断する。例えば、上述した「<基本思想の具体例1>」を実現する場合において、判断部709は、図25の(式5)で示される積分値I(励振係数)が予め設定されている規定値以下となっているかを判断する。一方、上述した「<基本思想の具体例2>」を実現する場合において、判断部709は、図26の(式6)で示される積分値I(励振係数)が予め設定されている規定値以下となっているかを判断する。
判断部709において、励振係数が予め設定されている規定値以下となっていないと判断された場合、励振係数算出部706の積分領域設定部707は、新たな積分領域を再設定して(S108)、励振係数算出部706の積分部708は、積分領域設定部707で新たに設定された積分領域に基づいて、励振係数(積分値I)の再計算する(S106)。そして、励振係数(積分値I)が規定値以下となるまで、「S106」〜「S108」が繰り返して実行される。このとき、「S106」〜「S108」の繰り返しは、例えば、セカント法やニュートン法などの局所的最適化アルゴリズムや、焼きなまし法などの大域的最適化手法を用いて行うことができる。
判断部709において、励振係数が予め設定されている規定値以下となっていると判断された場合、電極レイアウト作成装置500のサーボ電極配置決定部710は、励振係数算出部706の積分領域設定部707で設定した積分領域に対向する領域をサーボ電極の配置位置として決定する(S109)。そして、電極レイアウト作成装置500の出力部711は、サーボ電極配置決定部710で決定したサーボ電極の配置位置に関するデータを出力する(S110)。以上のようにして、電極レイアウト作成方法が実現される。
<電極レイアウトデータ作成プログラム>
上述した電極レイアウト作成装置500で実施される電極レイアウト作成方法は、電極レイアウトデータ作成処理をコンピュータに実行させる電極レイアウトデータ作成プログラムにより実現することができる。例えば、図23に示すコンピュータからなる電極レイアウト作成装置500において、ハードディスク装置512に記憶されているプログラム群602の1つとして、本実施の形態における電極レイアウトデータ作成プログラムを導入することができる。そして、この電極レイアウトデータ作成プログラムを電極レイアウト作成装置500であるコンピュータに実行させることにより、本実施の形態における電極レイアウト作成方法を実現することができる。
電極レイアウトデータを作成するための各処理をコンピュータに実行させるための電極レイアウトデータ作成プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して頒布することができる。このような記録媒体には、例えば、ハードディスクやフレキシブルディスクに代表される磁気記憶媒体、CD−ROMやDVD−ROMに代表される光学記憶媒体、ROMやEEPROMなどの不揮発性メモリに代表されるハードウェアデバイスなどが含まれる。
<実施の形態における効果>
本実施の形態では、例えば、加速度センサを構成するMEMS構造体の可動体と対向する位置に配置されるサーボ電極の位置を工夫することにより、サーボ電極にACサーボ電圧を印加した際に発生する高次共振モードのうち、加速度センサの検出特性に大きな悪影響を及ぼす幾つかの高次共振モードの励起を抑制している。具体的に、本実施の形態では、加速度センサの検出特性に与える影響の大きな高次共振モードをシミュレーションや試作品の測定などによって算出した後、算出した高次共振モードの励振が抑制されるようにサーボ電極を配置している。すなわち、本実施の形態では、算出した高次共振モードの特定領域での振幅の積分値(高次共振モードを励起する力に相当)が小さくなるように特定領域を決定し、この特定領域と対向する位置にサーボ電極を配置している。
これにより、本実施の形態によれば、複数の高次共振モードのうち、加速度センサの検出特性を大きな影響を与える高次共振モードの励起を抑制することができる。この結果、本実施の形態によれば、加速度の検出特性を向上することができ、これによって、加速度センサの性能向上を図ることができる。特に、本実施の形態によれば、加速度センサの検出特性を大きな影響を与える高次共振モードの励起を効果的に抑制できるという直接的な効果によって、高次共振モードに起因する非線形効果による雑音の増加を抑制することもできる。さらには、最大サーボ力も向上することもできるため、加速度センサのダイナミックレンジも拡大することができる。
また、本実施の形態によれば、加速度センサの検出特性を大きな影響を与える高次共振モードの励起を効果的に抑制できるという直接的な効果だけでなく、以下に示す間接的な効果による加速度センサの性能向上も図ることができる。すなわち、例えば、高次共振モードに起因する加速度センサの検出特性の低下を抑制する観点から、例えば、図8に示すように、高次対策フィルタ205を挿入して、信号に含まれる高次共振モードの固有振動数成分を除去することにより、電気的に加速度センサの検出特性を向上する技術がある。
ただし、この技術では、様々な高次共振モードの固有振動数成分を除去するために、それぞれの固有振動数成分の除去を目的とした複数の高次対策フィルタ205を設ける必要がある。そして、高次対策フィルタ205を挿入する場合、高次対策フィルタ205の挿入に起因する信号遅延の影響によって、図8に示すフィードバックループ204の安定性が低下することになり、これによって、加速度センサの性能低下を招く。
この点に関し、本実施の形態によれば、複数の高次共振モードのうち、加速度センサの検出特性を大きな影響を与える高次共振モードの励起が抑制されている。このことは、本実施の形態によれば、励起が抑制された高次共振モードの固有振動数成分を除去するための高次対策フィルタ205が不要になることを意味している。すなわち、本実施の形態によれば、挿入される高次対策フィルタ205の個数を低減できることになる。このことは、高次対策フィルタ205の挿入に起因する信号遅延の影響を低減することができることを意味し、これによって、図8に示すフィードバックループ204の安定性を向上できる。
さらには、複数存在する高次共振モードのそれぞれの固有振動数が、MEMS構造体ごとにばらつくため、MEMS構造体を形成したチップごとに高次対策フィルタ205の調整が必要となり、このことは、製造コストの増大を招くことを意味する。この点に関し、本実施の形態によれば、複数の高次共振モードのうち、加速度センサの検出特性を大きな影響を与える高次共振モードの励起が抑制されている。このことから、本実施の形態によれば、高次対策フィルタ205の調整の一部が不要となり、これによって、加速度センサの製造コストの増大を抑制することができる。
以上のことから、本実施の形態によれば、市場の要求に合致するような低コストで、かつ、高性能な加速度センサを実現することが可能となる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
前記実施の形態は、以下の形態を含む。
(付記1)
導電体を含む可動部と、
前記可動部と対向して配置された固定部と、
前記固定部に設けられた電極と、
を備える、慣性センサの電極レイアウト作成装置であって、
高次共振モードに対応する前記可動部の表面変位分布を算出する算出部と、
前記可動部の一部領域である積分領域を設定する設定部と、
積分領域で前記表面変位分布を積分する積分部と、
積分値の絶対値が予め設定された規定値以下になっているかを判断する判断部と、
前記積分値の絶対値が規定値以下となった場合の積分領域に相対する固定部の領域を電極配置領域として決定する決定部と、
を備える、電極レイアウト作成装置。
(付記2)
導電体を含む可動部と、
前記可動部と対向して配置された固定部と、
前記固定部に設けられた電極と、
を備える慣性センサの電極レイアウトデータの作成をコンピュータに実行させるための電極レイアウトデータ作成プログラムであって、
(a)高次共振モードに対応する前記可動部の表面変位分布を算出する処理、
(b)前記可動部の一部領域である積分領域を設定する処理、
(c)前記積分領域で前記表面変位分布を積分する処理、
(d)積分値の絶対値が予め設定された規定値以下になっているかを判断する処理、
(e)前記積分値の絶対値が前記規定値以下となった場合の積分領域に相対する固定部の領域を電極配置領域として決定する処理、
を備える、電極レイアウトデータ作成プログラム。
(付記3)
付記2に記載の電極レイアウトデータ作成プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
10 空洞部
20 回転軸
30 可動体
40a 質量体
40b 質量体
50a 可動電極
50b 可動電極
60a 検出電極
60b 検出電極
100 枠体
500 電極レイアウト作成装置
501 CPU
502 ROM
503 RAM
504 ディスプレイ
505 キーボード
506 マウス
507 通信ボード
508 リムーバルディスク装置
509 CD/DVD−ROM装置
510 プリンタ
511 スキャナ
512 ハードディスク装置
601 OS
602 プログラム群
603 ファイル群
701 入力部
702 可動体構造決定部
703 サーボ電極初期構造決定部
704 高次共振モード機械特性取得部
705 高次共振モード選択部
706 励振係数算出部
707 積分領域設定部
708 積分部
709 判断部
710 サーボ電極配置決定部
711 出力部
712 データ記憶部

Claims (14)

  1. 導電体を含む可動部と、
    前記可動部と対向して配置された固定部と、
    前記固定部に設けられた電極と、
    を備える、慣性センサの電極レイアウト作成方法であって、
    (a)高次共振モードに対応する前記可動部の表面変位分布を算出する工程、
    (b)前記可動部の一部領域である積分領域を設定する工程、
    (c)前記積分領域で前記表面変位分布を積分する工程、
    (d)積分値の絶対値が予め設定された規定値以下になっているかを判断する工程、
    (e)前記積分値の絶対値が前記規定値以下となった場合の前記積分領域に相対する前記固定部の領域を電極配置領域として決定する工程、
    を備える、慣性センサの電極レイアウト作成方法。
  2. 請求項1に記載の慣性センサの電極レイアウト作成方法において、
    前記高次共振モードは、定在波モードであり、
    前記表面変位分布は、前記定在波モードの振幅分布である、慣性センサの電極レイアウト作成方法。
  3. 請求項1に記載の慣性センサの電極レイアウト作成方法において、
    前記(e)工程では、前記積分値が0となった場合の前記積分領域に相対する前記固定部の領域を電極配置領域として決定する、慣性センサの電極レイアウト作成方法。
  4. 請求項1に記載の慣性センサの電極レイアウト作成方法において、
    前記積分値が前記規定値以下となるまで、前記(b)工程と前記(c)工程と前記(d)工程とが繰り返される、慣性センサの電極レイアウト作成方法。
  5. 請求項1に記載の慣性センサの電極レイアウト作成方法において、
    前記慣性センサは、加速度センサである、慣性センサの電極レイアウト作成方法。
  6. 請求項5に記載の慣性センサの電極レイアウト作成方法において、
    前記可動部は、回転軸に対して非対称の質量部を有するシーソ構造から構成されている、慣性センサの電極レイアウト作成方法。
  7. 請求項5に記載の慣性センサの電極レイアウト作成方法において、
    前記電極は、サーボ電極であり、
    前記サーボ電極には、加速度による前記可動部の変位を打ち消す静電気力を発生させるためのサーボ電圧が印加され、
    前記加速度センサは、前記サーボ電圧に基づいて、加速度を検出する、慣性センサの電極レイアウト作成方法。
  8. 請求項7に記載の慣性センサの電極レイアウト作成方法において、
    前記サーボ電圧は、交流電圧である、慣性センサの電極レイアウト作成方法。
  9. 導電体を含む可動部と、
    前記可動部と対向して配置された固定部と、
    前記固定部に設けられた複数の電極と、
    を備える、慣性センサの電極レイアウト作成方法であって、
    (a)高次共振モードに対応する前記可動部の表面変位分布を算出する工程、
    (b)前記可動部の一部領域である第1積分領域を設定する工程、
    (c)前記第1積分領域とは異なる第2積分領域を設定する工程、
    (d)前記第1積分領域で前記表面変位分布を積分して第1積分値を算出する工程、
    (e)前記第2積分領域で前記表面変位分布を積分して第2積分値を算出する工程、
    (f)前記第1積分値と前記第2積分値との和の絶対値が予め設定された規定値以下になっているかを判断する工程、
    (g)前記第1積分値と前記第2積分値との和の絶対値が前記規定値以下となった場合の前記第1積分領域に相対する前記固定部の領域を第1電極配置領域として決定し、かつ、前記第1積分値と前記第2積分値との和の絶対値が前記規定値以下となった場合の前記第2積分領域に相対する前記固定部の領域を第2電極配置領域として決定する工程、
    を備える、慣性センサの電極レイアウト作成方法。
  10. 請求項9に記載の慣性センサの電極レイアウト作成方法において、
    前記(g)工程では、前記第1積分値と前記第2積分値との和の絶対値が0となった場合の前記第1積分領域に相対する前記固定部の領域を第1電極配置領域として決定し、かつ、前記第1積分値と前記第2積分値との和の絶対値が0となった場合の前記第2積分領域に相対する前記固定部の領域を第2電極配置領域として決定する、慣性センサの電極レイアウト作成方法。
  11. 請求項9に記載の慣性センサの電極レイアウト作成方法において、
    前記複数の電極は、
    前記第1電極配置領域に配置された第1電極と、
    前記第2電極配置領域に配置された第2電極と、
    を含み、
    前記第1電極と前記第2電極には、同時に電圧が印加される、慣性センサの電極レイアウト作成方法。
  12. 導電体を含む可動部と、
    前記可動部と対向して配置された固定部と、
    前記固定部に設けられた複数の電極と、
    を備える、慣性センサの電極レイアウト作成方法であって、
    (a)高次共振モードに対応する前記可動部の表面変位分布を算出する工程、
    (b)前記可動部の一部領域である第1積分領域を設定する工程、
    (c)前記第1積分領域とは異なる第2積分領域を設定する工程、
    (d)前記第1積分領域で前記表面変位分布を積分して第1積分値を算出する工程、
    (e)前記第2積分領域で前記表面変位分布を積分して第2積分値を算出する工程、
    (f)前記第1積分値と前記第2積分値との差の絶対値が予め設定された規定値以下になっているかを判断する工程、
    (g)前記第1積分値と前記第2積分値との差の絶対値が前記規定値以下となった場合の前記第1積分領域に相対する前記固定部の領域を第1電極配置領域として決定し、かつ、前記第1積分値と前記第2積分値との差の絶対値が前記規定値以下となった場合の前記第2積分領域に相対する前記固定部の領域を第2電極配置領域として決定する工程、
    を備える、慣性センサの電極レイアウト作成方法。
  13. 請求項12に記載の慣性センサの電極レイアウト作成方法において、
    前記(g)工程では、前記第1積分値と前記第2積分値との差の絶対値が0となった場合の前記第1積分領域に相対する前記固定部の領域を第1電極配置領域として決定し、かつ、前記第1積分値と前記第2積分値との差の絶対値が0となった場合の前記第2積分領域に相対する前記固定部の領域を第2電極配置領域として決定する、慣性センサの電極レイアウト作成方法。
  14. 請求項12に記載の慣性センサの電極レイアウト作成方法において、
    前記複数の電極は、
    前記第1電極配置領域に配置された第1電極と、
    前記第2電極配置領域に配置された第2電極と、
    を含み、
    前記第1電極と前記第2電極には、交互に電圧が印加される、慣性センサの電極レイアウト作成方法。
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