JP2020193390A - 水素・酸素発生装置および水素ガスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
前記水電解モジュールは、水素ガスを発生させる陰極室と、酸素ガスを発生させる陽極室と、該陽極室と該陰極室との間を仕切る固体高分子電解質膜とを有する。
この種の水素・酸素発生装置では、電気分解される水量よりも過剰な水を前記陽極室に供給し、陽極側から電気分解されずに残った水と酸素ガスとを含む気液混合状態の流体を排出させ、該流体を分離タンクで気液分離するように構成されたものが知られている。
また、水素・酸素発生装置としては、該分離タンクで分離された水を、前記水電解モジュールで電気分解させるための水として陽極室に供給して再利用するタイプのものが知られている。
2H2O → O2 + 4H+ + 4e− ・・・(1)
そして、陽極室で生成された水素イオン(H+)は、少量の水とともに固体高分子電解質膜を通じて陰極室へと移動して、下記式(2)の反応で水素ガスとなる。
4H+ + 4e− → 2H2 ・・・(2)
上記(1)、(2)式より、全体としての反応式は(3)式のとおりとなる。
2H2O → 2H2 + O2 ・・・(3)
上記(3)式からわかるように、陽極室で発生する酸素ガスの2倍の体積量で水素ガスが陰極室で発生する。
また、圧力差が大きいほど、ガスの透過量が多くなる。
水素・酸素発生装置が運転中の時は、水の電気分解により、発生するガスの入れ替わりがあるため、固体高分子電解質膜を介して透過するガスが濃度に及ぼす影響は小さくなる。
一方、装置が停止中のときは、ガスの入れ替わりがないためガスの透過の影響が大きくなるため、透過したガスの濃度が上昇しやすくなる。
また、水電解モジュールでの異常が発生すると、透過したガスの濃度上昇の傾向が顕著になる。
該水素・酸素発生装置の場合、水素ガスの純度を高めるために、水素ガス圧力が酸素ガス圧力よりも高く設定されており、固体高分子電解質膜を介して酸素ガス中に水素ガスが透過しやすい状況となる。
また、水素・酸素発生装置のメンテナンス時には、水素・酸素発生装置での電気分解を停止させる。
もし、何らかの原因で水電解モジュールの異常が発生し水素ガスの透過量が増え、酸素ガス中の水素ガス濃度が、水素の爆発限界濃度である4〜75容量%(空気中)の範囲内となり、近傍に着火源が存在すると、水素と酸素の混合ガスが爆発する危険性がある。
このため、安全性を考慮し、水素・酸素発生装置が停止時に、水素ガスと酸素ガスの混合を防止するため、装置の停止後に水電解モジュールの酸素側(陽極室)を窒素パージし、水素ガスの混入の可能性がある酸素ガスを装置外に排出する対策が取られることがある。
しかし、従来、水素・酸素発生装置を停止する度に窒素パージ用の窒素ガスを消費するため、窒素ガスボンベを頻繁に交換する必要があること、またボンベを設置する際にはボンベ保管量によって届出が必要な場合があること、などといった手間がかかっている。
そこで、本発明は、簡便に窒素ガスを供給できる水素・酸素発生装置を提供することを課題とする。
空気から窒素ガスを生成する窒素ガス生成部と、
前記窒素ガスを前記水素・酸素発生部に供給する窒素ガス供給経路とを備える。
空気から窒素ガスを生成する窒素ガス生成部と、
前記窒素ガスを前記水素・酸素発生部に供給する窒素ガス供給経路とを備える、水素・酸素発生装置を用いて前記水素ガスを製造し、
前記水素・酸素発生部での前記電気分解を停止する際には、該水素・酸素発生部に前記窒素ガスを供給し、前記水素・酸素発生部に存在している前記水素ガスと前記酸素ガスとの内の少なくとも一方を前記水素・酸素発生装置から排出させる。
また、前記水電解モジュール21は、固体高分子電解質膜(図示せず)を有する。前記陽極室と前記陰極室は、前記固体高分子電解質膜によって仕切られている。
また、前記水電解モジュール21は、前記陽極室から排出される気液混合状態の流体として、酸素ガスを含む水を排出する第1排出口21bと、水素ガスを陰極室から排出する第2排出口21cとを有する。
前記第1排出口21bから排出される前記流体に含まれる水は、前記水電解モジュール21に供給された水のうち、水電解に寄与しなかった分であり、前記水電解モジュール21で発生した酸素ガスと共に排出される。
即ち、本実施形態の前記水素・酸素発生部2は、電気分解に必要な水の量に対して過剰な量の水が陽極室に供給されるように構成されている。
前記水素・酸素発生部2は、斯かる構成により、発生した酸素ガスを陽極室から素早く排出できる。
また、前記水素・酸素発生部2は、斯かる構成により、運転中の発熱により高温となる水電解モジュール21を冷却できる。
前記第2排出口21cから排出される水素ガスは、陽極室から固体高分子電解質膜を介して透過する水を含んでおり、湿潤状態の水素ガスとなっている。
前記供給経路23は、前記貯留タンク22から前記水電解モジュール21へと至り、これらを連通させる管などによって構成され得る。
前記返送経路24は、前記水電解モジュール21から前記貯留タンク22へと至り、これらを連通させる管などによって構成され得る。
さらに、前記水素・酸素発生部2は、該水素・酸素発生部2の駆動状態を制御する制御システム80と、該制御システム80で利用される計装用空気としての加圧空気を生成するエアコンプレッサ81と、該エアコンプレッサ81で生成された計装用空気としての加圧空気を貯留する空気貯留タンク82とをさらに有する。
前記弁29は、前記計装用空気で駆動する弁である。
前記水素・酸素発生部2は、前記制御システム80からの指令により前記計装用空気を前記弁29に供給することにより、前記弁29を駆動させ前記水素ガス移送経路28を開閉する水素・酸素発生部である。
本実施形態での前記貯留タンク22内は、大気圧状態となっている。
前記貯留タンク22は、大気圧に対してわずかな加圧状態(例えば、ゲージ圧で0MPaを超え0.01MPa以下)になっていてもよい。
前記貯留タンク22は、気液混合状態の流体から分離した酸素ガスを大気に放出する貯留タンクである。
前記水素・酸素発生部2は、前記ポンプ23aの動力を用いて、前記貯留タンク22と前記水電解モジュール21との間で水を循環させる水素・酸素発生部となっている。
なお、前記ポンプ23aは、前記エアコンプレッサ81から供給された加圧状態の空気たる計装エアで駆動するポンプであってもよい。すなわち、前記水素・酸素発生部2は、前記制御システム80からの指令により前記計装用空気を前記ポンプ23aに供給することにより、前記ポンプ23aを駆動させ前記貯留タンク22から前記水電解モジュール21に水を供給する水素・酸素発生部であってもよい。
前記窒素富化膜は、加圧状態の空気から加圧状態の窒素ガスを得る膜である。
該窒素富化膜は、酸素ガスが選択的に透過しやすく、且つ、窒素ガスが透過し難い膜である。
該窒素富化膜としては、シリコン系膜、ポリオレフィン系膜、ポリスルフォン系膜、ポリアミド系膜、酢酸セルロース系膜、ポリイミド系膜などが挙げられる。
また、該窒素富化膜としては、平膜、スパイラル膜、チューブラー膜、中空糸膜などが挙げられる。
前記窒素ガス生成部3は、前記空気貯留タンク82に貯留された加圧空気から前記窒素富化膜を通じて加圧状態の窒素ガスを生成する窒素ガス生成部であってもよい。
水素・酸素発生装置1は、前記エアコンプレッサ81及び前記空気貯留タンク82と、前記窒素ガス生成部3とを接続し、前記エアコンプレッサ81と前記空気貯留タンク82との内の少なくとも一方から前記窒素ガス生成部3へ加圧空気を供給するための空気供給経路62を備えている。
斯かる水素・酸素発生装置1は、窒素富化膜に供給する加圧状態の空気を前もってエアコンプレッサで生成することができる。
その結果、加圧状態の空気を窒素富化膜に安定的に供給することができる。
本実施形態に係る水素・酸素発生装置1は、斯かる構成を有することにより、電気分解を停止した後に前記貯留タンク22から酸素ガスを排出させるために前記窒素ガス供給経路4から前記貯留タンク22に窒素ガスが供給するなどした際には貯留タンク22内の水が窒素ガスによってバブリングされることになり、前記貯留タンク22内の水に溶存している酸素ガスを水から分離させやすくなる。
その結果、水から分離した前記貯留タンク22内の酸素ガスを大気に放出しやすくなる。
すなわち、本実施形態に係る水素・酸素発生装置1は、窒素ガス生成部3で得た窒素ガスによって、酸素ガスを装置外(大気)に排出させる装置である。
また、本実施形態に係る水素・酸素発生装置1は、窒素ガス生成部3で得た窒素ガスによって、水を装置外に排出させる装置であってもよい。
日常の運転を停止する際に用いる窒素ガスは純度が高い方が好ましいものの分解点検における窒素ガスは過度に高純度である必要はない。
日常の運転を停止する際に用いる窒素ガスは、純度が99体積%以上であることが好ましい。
解体点検に際して用いる窒素ガスは、純度が95体積%以上であることが好ましい。
窒素富化膜を用いて窒素ガスを作製する場合、より高純度な窒素ガスを得ようとすると単位時間あたりに製造できる量が低減し、投入するエネルギーに対して得られるガス量を低減させることにもなり得る。
そのため、本実施形態の窒素ガス生成部3は、純度が99体積%以上となるように前記窒素ガスを生成する第1の状態と、純度が95体積%以上99体積%未満となるように前記窒素ガスを生成する第2の状態とに切り替え可能であることが好ましい。
本実施形態においては、上記のように水素・酸素発生装置1の運転時における水の流通方向において前記水電解モジュール21よりも下流側となる位置(返送経路24)に窒素ガスが供給されるため、窒素ガスによって陽極室に異物が導入されることが抑制されるとともに窒素ガスの圧力が直接的に高分子固体電解質膜に加わることも抑制される。
しかも、本実施形態においては、前記貯留タンク22の内圧が大気圧状態となるように制御されているため、前記返送経路24に供給した窒素ガスの圧力が高分子固体電解質膜に悪影響を及ぼすことをより一層抑制し得る。
前記規定値は、1MPa未満の何れかの値に設定されることが好ましく、0.9MPa以下の何れかの値に設定されることがより好ましい。
但し、窒素ガスの生成量を一定以上確保する上において、前記エアコンプレッサ81は、排出する前記加圧空気の圧力が0.1MPa以上となるように設定されることが好ましい。
即ち、本実施形態において用いられるエアコンプレッサ81としては、空気を加圧する圧縮器と、該圧縮器から吐出された加圧空気を貯留するエアタンクとを備え、該エアタンクの圧力が規定値を超えたときにエアタンクから空気を放出して前記圧力を規定値以下に調整する安全弁とを備え、前記安全弁の作動する前記規定値が0.9MPa以下であることが好ましい。
該安全弁の作動する前記規定値は、0.1MPa以上であることが好ましい。
前記エアコンプレッサ81は、前記圧縮器から吐出する加圧空気の圧力が0.1MPa以上0.9MPa以下となるように構成されていることがより好ましい。
このようにしてエアコンプレッサ81から排出される加圧空気の圧力が規制されることにより、何らかの原因で加圧空気の圧力が直接的に水電解モジュール21に伝わることがあっても当該水電解モジュール21に大きな損傷が起きてしまうことを抑制することができる。
本実施形態においては前記エアコンプレッサ81から排出される加圧空気を通過させて該加圧空気から異物を除去するためのフィルターを設けるようにしてもよい。
本実施形態においては、前記エアコンプレッサ81と同様に、該窒素ガス貯留タンク41などにも安全弁を設けるようにしてもよい。
即ち、本実施形態においては、窒素ガス貯留タンク41に貯留されている窒素ガス、及び、該窒素ガス貯留タンク41から前記貯留タンク22へと至る経路を流通する窒素ガスの何れかの窒素ガスの圧力が規定値以上となった場合に該窒素ガスを系外に放出するよう作動する安全弁がさらに設けられていてもよく、当該安全弁の作動する前記規定値が0.9MPa以下に設定されていてもよい。
当該安全弁の作動する規定値は、エアコンプレッサ81と同様に、0.1MPa以上であることが好ましい。
前記窒素ガス貯留タンク41は、内容積が0.04m3未満であれば、その形状について内径を200mm未満とするか、又は、長さを1000mm未満とすることで第2種圧力容器としての点検義務を負うことが無くなり、メンテナンスに要する手間を簡略化することができる。
前記窒素ガス貯留タンク41は、内容積が0.03m3以下であれば、第2種圧力容器に該当することはなく、点検義務を負うことが無くなり、メンテナンスに要する手間を簡略化することができる。
また、窒素ガス貯留タンク41を第2種圧力容器に該当させないようにする場合、内容積が0.03m3以下の方が圧力の高い状態で窒素ガスを貯留することができることになるため、ノルマル立米換算では0.03m3を超える内容積のものよりも多くの量の窒素ガスを貯留し得る。
即ち、窒素ガス貯留タンク41を0.03m3以下の内容積とすることで効率良く装置の省スペース化が行われることになる。
即ち、本実施形態の水素・酸素発生装置1は、加圧状態の気体を蓄えるタンクが1又は2以上設けられている場合、少なくとも1つが上記のような要件を満たしていることが好ましく、全てのタンクが上記のような要件を満たしていることがより好ましい。
本実施形態の窒素ガス貯留タンク41は、図2に示すように、窒素ガスを貯留するタンク本体411と、該タンク本体411の内部のガス圧を検知するための窒素ガス量検知装置である圧力計412とを備えている。
即ち、本実施形態における窒素ガス貯留タンク41は、内部のガス圧が測定されることによって窒素ガスの貯留量が把握され得るように構成されている。
本実施形態の水素・酸素発生装置1は、圧力計412で得られた情報を制御器CBに伝達するための第1の信号ラインSL1と、該情報に基づいて決定されたエアコンプレッサ81の運転条件を伝達するための第2の信号ラインSL2と、前記情報に基づいて決定された水電解モジュール21の運転条件を伝達するための第3の信号ラインSL3とを備えている。
本実施形態に係る水素・酸素発生装置1は、窒素ガス生成部3で得られた窒素ガスを水素・酸素発生部2に供給することにより、簡便に水素・酸素発生部2に窒素ガスを供給することができる。
斯かる水素・酸素発生装置1は、窒素ガス生成部3が窒素富化膜を有することにより、簡便に窒素ガスを生成することができる。
即ち、窒素ガスは、前記水素ガスと前記酸素ガスとの内の少なくとも一方を前記水素・酸素発生装置1から排出させるべく用いられ得る。
具体的には、該窒素ガスの圧力(ゲージ圧)は0.1MPa以上であることが好ましい。
しかし、窒素ガスの圧力を過度に高くしても水素ガスや酸素ガスの排出スピードが上がり難くなるとともに高い圧力によって水素・酸素発生装置に備えられている機器にダメージが生じることにもなりかねない。
そこで、酸素ガスや水素ガスを水素・酸素発生装置1から外部に放出させる際には、前記装置内での圧力(ゲージ圧)が0.2MPaとなるように圧力が調整された窒素ガスを用いることが好ましい。
即ち、窒素ガス貯留タンク41から窒素ガス供給経路4に供給される窒素ガスは、レギュレーターなどによって0.1MPa以上0.2MPa以下に調整されることが好ましい。
窒素ガス貯留タンク41から水素・酸素発生部2への窒素ガスの供給は、ガスの供給と停止とを繰り返して複数回にわたって実施されてもよい。
このようなモニタリングを行うことで、余分な窒素ガスを蓄えることが防止され、窒素ガス貯留タンク41をより小型化させ得る。
即ち、本実施形態における水素ガスの製造方法では、前記窒素ガス生成部3で生成された前記窒素ガスを加圧状態で貯留する窒素ガス貯留タンク41が備えられ、該窒素ガス貯留タンク41における窒素ガス貯留量を検知する窒素ガス量検知装置(圧力計412)がさらに備えられている前記水素・酸素発生装置1を用い、前記窒素ガス量検知装置で前記窒素ガス貯留量の検知を行う窒素ガス量検知工程が実施されることが好ましい。
したがって、本実施形態における水素ガスの製造方法では、水の前記電気分解を開始する際に前記窒素ガス量検知工程を実施することが好ましい。
本実施形態の水素ガス製造方法では、まず、装置を起動する起動ステップSTP1が実施され、それによって水素・酸素発生部2での水の電気分解を開始する電解開始ステップSTP2が実施される。
そして、この起動ステップSTP1と電解開始ステップSTP2との間に並行動作として、電気分解に必要な水が準備できているかなどの水素・酸素発生部2での準備状況を確認する電解準備確認ステップSTP11と、窒素ガス貯留タンク41での窒素ガス貯留量が予め定めた基準値以上に確保できているかを前記窒素ガス量検知工程によって確認する窒素ガス量確認ステップSTP22とが実施される。
本実施形態においては、窒素ガス量確認ステップSTP22の前段にエアコンプレッサ81を起動するコンプレッサ起動ステップSTP21を設けており、窒素ガス量確認ステップSTP22で窒素ガス貯留タンク41での窒素ガス貯留量が予め定めた基準値に満たない場合は、前記窒素ガス生成部3で窒素ガスを製造して窒素ガス貯留タンク41に蓄える窒素ガス貯留ステップSTP23が実施される。
そして、本実施形態においては、電解準備確認ステップSTP11により水素・酸素発生部2での準備が整い、且つ、窒素ガス貯留タンク41が基準値以上の窒素ガスを貯留していることが確認された時点で起動ステップSTP1から電解開始ステップSTP2へと移行することとなる。
尚、水素・酸素発生装置1が起動して水の電気分解が開始された後も窒素ガス貯留タンク41の窒素ガス貯留量は前記圧力計412などによってモニタリングされることが好ましい。
斯かる水素・酸素発生装置1では、前記エアコンプレッサ81から排出される加圧空気が前記水電解モジュール21を損傷するおそれを低減できる。
前記窒素ガス生成部3では、前記エアコンプレッサ81により生成された前記加圧空気から前記窒素富化膜を通じて加圧状態の前記窒素ガスが生成される。
斯かる水素・酸素発生装置1は、制御システム80で利用される計装用空気としての加圧空気を生成するエアコンプレッサ81を用いて、窒素富化膜に供給するための加圧空気を生成できるため、水素・酸素発生装置1を簡素化できる。
斯かる水素・酸素発生装置1は、前記窒素ガス供給経路4が、前記加圧状態の窒素ガスを貯留する窒素ガス貯留タンク41を有することにより、水素・酸素発生部2に供給する加圧状態の窒素ガスを前もって窒素富化膜で生成することができる。その結果、窒素ガスを水素・酸素発生部2に安定的に供給することができる。
尚、本実施形態の水素・酸素発生装置は、水の電気分解のエネルギー源の一部、又は、全部が一般的な外部系統電力であってもよい。
本実施形態の水素・酸素発生装置は、窒素ガスを生成する窒素ガス生成部を有するため、ガスボンベに充填されて市販されているような窒素ガスを当該装置まで運搬する必要性が低い。
本実施形態での好ましい態様によれば、生成された窒素ガスを貯留する窒素ガス貯留タンク41が所定以下の圧力で用いられたり所定以下の容積とされたりすることからメンテナンス回数も減らすことができる。
このように本実施形態の水素・酸素発生装置は、市街地からのアクセスが至便とはいえないような環境に設置されることでむしろその効果を顕在化させ易く、再生可能エネルギーを有効活用し易い。
そして、本実施形態の水素・酸素発生装置は、例えば、再生可能エネルギーによる発電設備に併設されることで、電力ケーブルでの電気抵抗などによるエネルギーロスの抑制効果も発揮する。
そのため水の電気分解が停止した後に貯留タンク22(気液分離器)に窒素ガスを供給して酸素ガスを貯留タンク22から排出させるのは、電気分解の停止直後に開始してもよいが、タイマー制御などによって電気分解の停止後に一定の時間(例えば、0.5分〜30分)が経過した後に開始するようにしてもよい。
例えば、デイタイムに太陽光発電によって得た電気エネルギーで水の電気分解を行っている最中に突然の日照不足が生じて電気分解を停止しなければならなくなったような場合、比較的、短時間に日射が回復して電気分解が再開可能な状態になることがある。
本実施形態においては、そのような場合においてまで貯留タンク22から酸素ガスを排出させるには及ばない。
そのため、電気分解を停止させた後、直ぐに窒素ガスを貯留タンク22に供給するのではなく、予め定めた設定時間(例えば、0.5分〜30分)が経過するまで待っても電気分解が再開可能な状態にならない場合に窒素ガスを貯留タンク22に供給させるようにしてもよい。
この点に関しては他の再生可能エネルギーで電気分解を行う場合も同じである。
即ち、本実施形態における水素・酸素発生装置は、運転に必要な電力の一部又は全部が再生可能エネルギーによって賄われてもよい。
具体的には、水の電気分解が停止した後の前記貯留タンク22への窒素ガスの供給は、前記電気分解を停止する前、又は、前記電気分解を停止した後の少なくとも一方において前記水素ガス濃度計で計測される水素濃度が予め定めた規定値未満の場合に実施せず、該水素濃度が前記規定値以上の場合に実施するようにしてもよい。
本実施形態における水素・酸素発生装置は、このような例示に限らず、各種の態様で利用され得る。
21:水電解モジュール、21a:水供給口、21b:第1排出口、21c:第2排出口、22:貯留タンク、23:供給経路、23a:ポンプ、24:返送経路、25:分離タンク、26:除湿部、28:水素ガス移送経路、29:弁、80:制御システム、81:エアコンプレッサ、82:空気貯留タンク、
41:窒素ガス貯留タンク。
Claims (12)
- 水を電気分解することにより、水素ガス及び酸素ガスを発生させる水素・酸素発生部と、
空気から窒素ガスを生成する窒素ガス生成部と、
前記窒素ガスを前記水素・酸素発生部に供給する窒素ガス供給経路とを備える、水素・酸素発生装置。 - 前記窒素ガス生成部が窒素富化膜を有する、請求項1に記載の水素・酸素発生装置。
- 空気を加圧して加圧空気を排出するエアコンプレッサを備え、
前記窒素ガス生成部が、前記加圧空気から加圧状態の前記窒素ガスを生成するよう構成されており、
前記エアコンプレッサは、前記加圧空気を貯留するエアタンクと、該エアタンクの圧力が規定値を超えたときに該エアタンクから空気を放出して前記圧力を規定値以下に調整する安全弁とを備え、前記安全弁が作動する前記規定値が0.9MPa以下である請求項1又は2に記載の水素・酸素発生装置。 - 前記水素・酸素発生部は、空気を加圧して加圧空気を排出するエアコンプレッサと、
該水素・酸素発生部の駆動状態を制御する制御システムとを備え、
前記加圧空気が該制御システムで利用される計装用空気として用いられ、
前記窒素ガス生成部では、前記エアコンプレッサにより生成される前記加圧空気から前記窒素富化膜を通じて加圧状態の前記窒素ガスが生成される請求項2に記載の水素・酸素発生装置。 - 前記窒素ガス生成部で生成された前記窒素ガスを加圧状態で貯留する窒素ガス貯留タンクを備え、該窒素ガス貯留タンクの内容積が0.04m3未満である請求項1乃至4の何れか1項に記載の水素・酸素発生装置。
- 前記窒素ガス生成部で生成された前記窒素ガスを加圧状態で貯留する窒素ガス貯留タンクを備え、該窒素ガス貯留タンクの内容積が0.03m3以下である請求項1乃至5の何れか1項に記載の水素・酸素発生装置。
- 前記電気分解に利用する電力の一部又は全部が再生可能エネルギーから得られる電力である請求項1乃至6の何れか1項に記載の水素・酸素発生装置。
- 前記窒素ガス貯留タンクにおける窒素ガス貯留量を検知する窒素ガス量検知装置をさらに備えている請求項5又は6記載の水素・酸素発生装置。
- 前記窒素ガス生成部が、純度が99体積%以上となるように前記窒素ガスを生成する第1の状態と、純度が95体積%以上99体積%未満となるように前記窒素ガスを生成する第2の状態とに切り替え可能である請求項1乃至8の何れか1項に記載の水素・酸素発生装置。
- 水を電気分解することにより、水素ガス及び酸素ガスを発生させる水素・酸素発生部と、
空気から窒素ガスを生成する窒素ガス生成部と、
前記窒素ガスを前記水素・酸素発生部に供給する窒素ガス供給経路とを備える、水素・酸素発生装置を用いて前記水素ガスを製造し、
前記水素・酸素発生部での前記電気分解を停止する際には、該水素・酸素発生部に前記窒素ガスを供給し、前記水素・酸素発生部に存在している前記水素ガスと前記酸素ガスとの内の少なくとも一方を前記水素・酸素発生装置から排出させる水素ガスの製造方法。 - 前記窒素ガス生成部で生成された前記窒素ガスを加圧状態で貯留する窒素ガス貯留タンクが備えられ、該窒素ガス貯留タンクにおける窒素ガス貯留量を検知する窒素ガス量検知装置がさらに備えられている前記水素・酸素発生装置を用い、
前記窒素ガス量検知装置で前記窒素ガス貯留量の検知を行う窒素ガス量検知工程が実施される請求項10記載の水素ガスの製造方法。 - 前記水の前記電気分解を開始する際に前記窒素ガス量検知工程を実施する請求項11記載の水素ガスの製造方法。
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- 2020-05-21 JP JP2020088768A patent/JP7050851B2/ja active Active
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