JP2020190530A - 電圧計測回路および故障検出方法 - Google Patents

電圧計測回路および故障検出方法 Download PDF

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祐希 村松
隆介 長谷
Ryusuke Hase
隆介 長谷
順一 波多野
Junichi Hatano
順一 波多野
真一 会沢
Shinichi Aizawa
真一 会沢
悟士 山本
Satoshi Yamamoto
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洋明 加藤
Hiroaki Kato
洋明 加藤
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Tomoyuki Ito
智之 伊藤
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Hiroto Sato
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Abstract

【課題】抵抗分圧回路を用いて電池の電圧を計測する電圧計測回路において、電池と抵抗分圧回路との間に位置するリレー素子の故障を検出することができる技術を提供する。【解決手段】電圧計測回路100は、参照抵抗R0および抵抗回路11と、リレー素子S1〜Snと、制御部12と、を備える。リレー素子S1〜Snは、それぞれ、電池B1〜Bnの正側端子と抵抗R1〜Rnの正側端子との間に設けられ、電池B1〜Bnの負側端子は、参照抵抗R0の端子に電気的に接続される。リレー素子S1〜Snの中から選択されたリレー素子Sk、リレー素子Sjのみがオン状態に制御されたときの参照抵抗R0と抵抗回路11との接続点の電圧をそれぞれ電圧Va(k)、Va(j)とする。制御部12は、電圧Va(k)と電圧Va(j)が同じまたはほぼ同じ電圧となった場合に、リレー素子S1〜Snの故障を検出する。【選択図】図3

Description

本発明は、電池の電圧を計測する電圧計測回路および故障検出方法に係わる。
充電可能な二次電池は、様々な分野において広く実用化されている。例えば、電気自動車またはプラグインハイブリッド車は、走行用モータに電流を供給するための二次電池を備える。
二次電池を充電する充電装置は、多くのケースにおいて、二次電池の電圧をモニタしながら二次電池に電流を供給する。このため、充電装置は、二次電池の電圧を計測する電圧計測回路を備える。或いは、充電装置には、二次電池の電圧を計測する電圧計測回路が接続される。
ところで、大容量の二次電池は、直列に接続された複数の電池を含む組電池により実現されることがある。そして、直列に接続された各電池の電圧を計測する電圧計測回路の一例として、複数の抵抗が直列に接続された抵抗分圧回路を備える構成が知られている。例えば、特許文献1に記載されている電圧検出回路は、複数の電池モジュールから構成される高電圧バッテリに接続され、抵抗分圧回路および制御回路を備える。抵抗分圧回路は、複数の分圧抵抗および複数のリレー素子(又は、スイッチング素子)を備える。そして、制御回路は、リレー素子を制御しながら抵抗分圧回路の出力電圧を計測することで各電池モジュールの電圧を検出する。
特開2010−008227号公報
抵抗分圧回路を用いて電池の電圧を計測する構成においては、電池と抵抗分圧回路との間に位置するリレー素子が故障した場合には、電圧計測回路は、電池の電圧を正しく計測できない。例えば、リレー素子のオン固着(すなわち、制御信号にかかわらずリレー素子が常にオン状態に固定されてしまう故障)が発生すると、測定対象の電池と異なる電池の電圧が計測されることがある。
本発明の1つの側面に係わる目的は、抵抗分圧回路を用いて電池の電圧を計測する電圧計測回路において、電池と抵抗分圧回路との間に位置するリレー素子の故障を検出する技術を提供することである。
本発明の1つの態様の電圧計測回路は、直列に接続された第1〜第n(nは、2以上の整数)の電池を含む組電池の電圧を計測する。この電圧計測回路は、直列に接続された参照抵抗および第1〜第nの抵抗から構成される抵抗回路と、第1〜第nのリレー素子と、抵抗回路および第1〜第nのリレー素子を用いて第1〜第nの電池の電圧を計測すると共に、第1〜第nのリレー素子の故障を検出する制御部と、を備える。第1〜第nのリレー素子は、それぞれ、第1〜第nの電池の正側端子と第1〜第nの抵抗の一方の端子との間に設けられる。組電池の負側端子は、参照抵抗の端子に電気的に接続される。第1〜第nのリレー素子の中から選択された第k(kは、1からn−1までの整数)のリレー素子のみがオン状態に制御されたときの参照抵抗と抵抗回路との接続点の電圧を第kの電圧とする。第1〜第nのリレー素子の中から選択された第j(jは、1からn−1までの整数かつj≠k)のリレー素子のみがオン状態に制御されたときの参照抵抗と抵抗回路との接続点の電圧を第jの電圧とする。制御部は、第kの電圧と第jの電圧が同じまたはほぼ同じ電圧となった場合に、第1〜第nのリレー素子の故障を検出する。
上記構成の電圧計測回路において、第kのリレー素子を含む負側に位置するリレー素子が故障した場合には、故障したリレー素子に接続される電池の正側端子と故障したリレー素子に接続される抵抗の正側端子とが電気的に短絡する。このため、第kのリレー素子がオン状態に制御されているか否かにかかわらず、故障したリレー素子に接続される電池の正極端子の電位が抵抗回路に印加される。
同様に、第jのリレー素子を含む負側に位置するリレー素子が故障した場合には、故障したリレー素子に接続される電池の正側端子と故障したリレー素子に接続される抵抗の正側端子とが電気的に短絡する。このため、第jのリレー素子がオン状態に制御されているか否かにかかわらず、故障したリレー素子に接続される電池の正極端子の電位が抵抗回路に印加される。
したがって、第kのリレー素子のみがオン状態に制御されているか否かにかかわらず、第kの電圧は、故障したリレー素子のみがオン状態に制御されたときの抵抗回路の出力電圧で表される。同様に、第jのリレー素子のみがオン状態に制御されているか否かにかかわらず、第jの電圧は、故障したリレー素子のみがオン状態に制御されたときの抵抗回路の出力電圧で表される。このため、制御部は、第kの電圧と第jの電圧が同じまたはほぼ同じ電圧となった場合に、第1〜第nのリレー素子のうち少なくとも1つ以上のリレー素子が故障していることを検出することができる。これにより、抵抗分圧回路を用いて電池の電圧を計測する電圧計測回路において、電池と抵抗分圧回路との間に位置するリレー素子の故障を検出することができる。
また、本発明の他の態様の電圧計測回路は、第kのリレー素子に対応する第kの電池の高電位側に隣接する第k+1の電池に対応する第k+1のリレー素子のみがオン状態に制御されたときの参照抵抗と抵抗回路との接続点の電圧を第k+1の電圧とする。第1〜第nの抵抗は、第kの電池と第k+1の電池とが同じ電圧を有している場合において、第kの電圧と第k+1の電圧が異なる電圧となる抵抗値をそれぞれ有する。制御部は、第kの電圧と第k+1の電圧が同じまたはほぼ同じ電圧となった場合に、第1〜第nのリレー素子の故障を検出する。
上記構成の電圧計測回路において、第1〜第nの抵抗は、隣接する第kの電池と第k+1の電池とが同じ電圧を有している場合において第kの電圧と第k+1の電圧が異なる電圧となる抵抗値となるよう設計されている。このため、第kのリレー素子または第k+1のリレー素子のみをオン状態に制御した場合には、それぞれ異なる電圧Vaとなる。したがって、この場合は、第1〜第nのリレー素子は故障していないと判定することができる。これに対し、第kのリレー素子Skおよび第k+1のリレー素子より正側に位置するリレー素子が故障している場合には、それぞれ異なる第kのリレー素子Skまたは第k+1のリレー素子のみをオン状態に制御したにも関わらず、同じまたはほぼ同じ電圧Vaとなる。したがって、この場合は、第1〜第nのリレー素子が故障していると判定することができる。これにより、リレー素子の故障を検出することができる。
また、本発明の他の態様の電圧計測回路は、制御部は、第1〜第nのリレー素子を低電位側から1つずつ順にオン状態に制御して、第1〜第nの電池の電圧を順次計測し、第k+1の電圧が第kの電圧と同じになった場合、第kのリレー素子がオン固着していると判定する。
上記構成の電圧計測回路において、例えば、第kのリレー素子がオン固着(故障)している場合、オン固着している第kのリレー素子より正側に位置するリレー素子のみがオン状態に制御されているか否かにかかわらず、第kの電池の正極端子の電位が抵抗回路に印加される。したがって、第kのリレー素子がオン固着している場合に、第k+1のリレー素子が選択された時の電圧Vaは、第kのリレー素子のみがオン状態に制御されている第kの電圧と同じとなる。このため、第kのリレー素子が故障した場合には、第kの電圧と第k+1の電圧は、同じまたはほぼ同じ電圧となる。
したがって、制御部12は、リレー素子を選択するための変数kの値を1ずつインクリメントしながら第1〜第nのリレー素子を1つずつ順にオン状態に制御して第kの電圧と第k+1の電圧とを比較する。そして、制御部は、第kの電圧と第k+1の電圧とが同じまたはほぼ同じとなったときの第kのリレー素子がオン固着していると判定することができる。
また、本発明の他の態様の電圧計測回路は、第1〜第nの抵抗は、第1〜第nの電池が同じ電圧を有している場合において、第1〜第nのリレー素子を1つずつ順にオン状態に制御したときに参照抵抗と抵抗回路との接続点の電圧を表す第1〜第nの電圧がそれぞれ異なるような抵抗値をそれぞれ有する。制御部は、第1〜第nのリレー素子を全てオフ状態に制御したときに、第1〜第nの電圧のいずれかを取得した場合には、当該電圧に対応する第1〜第nのリレー素子のいずれかがオン固着していると判定する。
上記構成の電圧計測回路において、例えば、すべての第1〜第nのリレー素子が故障していない(オン固着していない)場合には、第1〜第nのリレー素子を全てオフ状態に制御すると、第1〜第nの電池の正極端子の電位は抵抗回路に印加されない。したがって、すべての第1〜第nのリレー素子がオフ状態に制御されたときの電圧Vaが取得できない場合には、制御部は、第1〜第nのリレー素子のいずれのリレー素子も故障していないと判定する。すなわち、制御部は、第1〜第nのリレー素子のいずれもオン固着していないと判定する。
これに対し、いずれかの第1〜第nのリレー素子が故障している場合には、第1〜第nのリレー素子を全てオフ状態に制御しているにも関わらず故障している(オン固着している)リレー素子に接続された第1〜第nの電池の正極端子の電位が抵抗回路に印加される。したがって、すべての第1〜第nのリレー素子がオフ状態に制御されたときの電圧Vaが取得できない場合には、制御部は、第1〜第nのリレー素子のうちいずれ1つ以上のリレー素子が故障していると判定する。すなわち、制御部2は、第1〜第nのリレー素子のいずれか1つ以上がオン固着していると判定する。これにより、抵抗電圧による電圧計測回路において、特別な制御をすることなくリレー素子のオン固着を検出することができる。
本発明の1つの態様の故障検出方法は、直列に接続された第1〜第n(nは、2以上の整数)の電池を含む組電池の電圧を計測し、直列に接続され組電池の負側端子と電気的に接続された参照抵抗および第1〜第nの抵抗から構成される抵抗回路と、第1〜第nのリレー素子は、それぞれ、第1〜第nの電池の正側端子と第1〜第nの抵抗の一方の端子との間に設けられた第1〜第nのリレー素子と、抵抗回路および第1〜第nのリレー素子を用いて第1〜第nの電池の電圧を計測すると共に、第1〜第nのリレー素子の故障を検出する制御部と、を備える電圧計測回路の故障検出方法であって、制御部は、第1〜第nのリレー素子の中から選択した第k(kは、1からn−1までの整数)のリレー素子のみをオン状態に制御したときの参照抵抗と抵抗回路との接続点の電圧を第kの電圧とし、第1〜第nのリレー素子の中から選択した第j(jは、1からn−1までの整数かつj≠k)のリレー素子のみをオン状態に制御したときの参照抵抗と抵抗回路との接続点の電圧を第jの電圧とし、第kの電圧と第jの電圧が同じまたはほぼ同じ電圧となった場合に、第1〜第nのリレー素子の故障を検出する。
上記構成の電圧計測回路の故障検出方法において、第kのリレー素子を含む負側に位置するリレー素子が故障した場合には、故障したリレー素子に接続される電池の正側端子と故障したリレー素子に接続される抵抗の正側端子とが電気的に短絡する。このため、第kのリレー素子がオン状態に制御されているか否かにかかわらず、故障したリレー素子に接続される電池の正極端子の電位が抵抗回路に印加される。
同様に、第jのリレー素子を含む負側に位置するリレー素子が故障した場合には、故障したリレー素子に接続される電池の正側端子と故障したリレー素子に接続される抵抗の正側端子とが電気的に短絡する。このため、第jのリレー素子がオン状態に制御されているか否かにかかわらず、故障したリレー素子に接続される電池の正極端子の電位が抵抗回路に印加される。
したがって、第kのリレー素子のみがオン状態に制御されているか否かにかかわらず、第kの電圧は、故障したリレー素子のみがオン状態に制御されたときの抵抗回路の出力電圧で表される。同様に、第jのリレー素子のみがオン状態に制御されているか否かにかかわらず、第jの電圧は、故障したリレー素子のみがオン状態に制御されたときの抵抗回路の出力電圧で表される。このため、制御部は、第kの電圧と第jの電圧が同じまたはほぼ同じ電圧となった場合に、第1〜第nのリレー素子のうち少なくとも1つ以上のリレー素子が故障していることを検出することができる。これにより、抵抗分圧回路を用いて電池の電圧を計測する電圧計測回路において、電池と抵抗分圧回路との間に位置するリレー素子の故障を検出することができる。
上述の態様によれば、抵抗分圧回路を用いて電池の電圧を計測する電圧計測回路において、電池と抵抗分圧回路との間に位置するリレー素子の故障を検出することができる。
本発明の実施形態に係わる電圧計測回路の使用例を示す図である。 電圧計測回路の一例を示す図である。 リレー素子の故障を検出する処理の一例を示すフローチャートである。 電圧計測回路がリレー素子の故障を検出する方法の実施例を示す図である。 故障しているリレー素子を判定する処理の一例を示すフローチャートである。
図1は、本発明の実施形態に係わる電圧計測回路100の使用例を示す図である。この実施例では、電圧計測回路100は、電気自動車またはプラグインハイブリッド車などの電動車両1において使用され、走行用モータ111に電流を供給するための二次電池102の電圧を測定する。電圧計測回路100は、監視ECU(Electronic Control Unit)に相当する。電圧計測回路100は、電池パック10に含まれる。
電池パック10は、電圧計測回路100、電池ECU101、二次電池102、電流センサ103、サーミスタ104、リレー105、106を備える。なお、電池パック10は、図1に示してない他の回路構成を備えていてもよい。
電圧計測回路100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU、プログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device)などを用いた回路が考えられる。また、電圧計測回路100は、内部又は外部に備えられているメモリを備え、メモリに記憶されている二次電池102の各部を制御するプログラムを読み出して実行する。なお、本実施例においては電圧計測回路100を用いて説明をするが、電圧計測回路100が実行する制御を、例えば電動車両1に搭載されている一つ以上のECUなどに行わせてもよい。
二次電池102は、直列に接続された複数の電池モジュールを含む組電池により実現される。そして、電圧計測回路100は、二次電池102の電圧を計測すると共に、二次電池102を構成する各電池モジュールの電圧を計測する。また、各電池モジュールは、例えば、直列に接続される複数の電池セルで構成される。この場合、電圧計測回路100は、各電池セルの電圧を計測してもよい。なお、以下の記載では、各電池モジュールまたは各電池セルを単に「電池」と呼ぶことがある。
電流センサ103は、例えば、ホール素子やシャント抵抗により構成され、二次電池102、リレー105、106に流れる電流を検出する。サーミスタ104は、二次電池102の温度または二次電池102の周辺温度を検出する。電圧計測回路100は、二次電池102の電圧、電流センサ103により検出される電流及びサーミスタ104により検出される温度を示す電池状態情報を電池ECU101に送る。
充電器21は、二次電池102を充電する。このとき、充電器21は、電圧計測回路100によりモニタされる電圧および電流センサ103によりモニタされる電流に基づいて二次電池102を充電してもよい。電動車両1の走行時には、二次電池102から走行用モータ111に電流が供給される。このとき、インバータ回路112は、二次電池102の直流電力を交流電力へ変換して走行用モータ111へ出力する。また、回生時には、インバータ回路112は、走行用モータ111の交流電力を直流電力へ変換し二次電池102へ出力する。
二次電池102と充電器21との間には、リレー105が設けられる。また、二次電池102の負極側において、二次電池102と走行用モータ111および充電器21との間には、リレー106が設けられる。そして、電池ECU101は、リレー105、106を制御する。例えば、充電器21が二次電池102を充電するときは、電池ECU101は、リレー105、106をオン状態に制御する。二次電池102が過充電状態であるときは、電池ECU101は、リレー105、106をオフ状態に制御してもよい。電動車両1の走行時には、電池ECU101は、107をオン状態に制御する。二次電圧101が過放電状態であるときは、電池ECU101は、リレー105、106をオフ状態に制御してもよい。
電池ECU101は、例えば、CPU、マルチコアCPU、プログラマブルなデバイスやPLDなどを用いた回路が考えられる。また、電池ECU101は、内部又は外部に備えられているメモリを備え、メモリに記憶されている電池パック10の各部を制御するプログラムを読み出して実行する。
電池ECU101は、二次電池102のSOC(充電率(State Of Charge))の上限閾値及び下限閾値に基づいて、制限された出力電力(Wout)情報及び回生電力(Win)情報を判定する。二次電池102のSOCが下限閾値以下の場合は、制限された出力電力(Wout)情報を車両ECU113へ伝達し、二次電池102のSOCが上限閾値以上の場合は、制限された回生電力(Win)情報を車両ECU113へ伝達する。
車両ECU113は、電池ECU101からの出力電力(Wout)情報に応じて、二次電池102から走行用モータ111への出力を制限する。また、車両ECU113は、電池ECU101からの回生電力(Win)情報に応じて、走行用モータ111から二次電池102への回生を制限する。具体的には、車両ECU113は、二次電池102のSOCに基づく出力電力(Wout)情報に基づいてインバータ回路112の出力電力を制限し、走行用モータ111の出力を制限する。また、車両ECU113は、二次電池102のSOCに基づく回生電力(Win)情報に基づいてインバータ回路112の出力電力を制限し、走行用モータ111からの回生を制限する。
インバータ回路112の出力電力を制限する方法は、公知の方法を採用することができるため特に限定しない。例えば、出力電力を制限する方法の一例として、車両ECU113は、インバータ回路112を構成するスイッチのスイッチング周波数を変更してDuty比を下げる方法を採用することができる。
なお、電池ECU101は、二次電池102のSOCに基づいて、出力電力(Wout)情報及び回生電力(Win)情報を判定しているがこの限りではない。例えば、電池ECU101は、二次電池102の電圧の上限閾値及び下限閾値に基づいて、制限された出力電力(Wout)情報及び回生電力(Win)情報を判定してもよい。二次電池102の電圧が下限閾値以下の場合は、制限された出力電力(Wout)情報を車両ECU113へ伝達し、二次電池102の電圧が上限閾値以上の場合は、制限された回生電力(Win)情報を車両ECU113へ伝達する。
この場合、車両ECU113は、二次電池102の電圧に基づく出力電力(Wout)情報に応じて、二次電池102から走行用モータ111への出力を制限する。また、車両ECU113は、二次電池102の電圧に基づく回生電力(Win)情報に応じて、走行用モータ111から二次電池102への回生を制限する。
なお、車両ECU113は、電池ECU101より受信する二次電池102の出力電力(Wout)情報及び回生電力(Win)情報に基づいて充電器21に電流指令値を与えてもよい。また、車両ECU113は、必要に応じて、電池ECU101に制御信号を与えることができる。電池ECU101と車両ECU113とはCAN(Controller Area Network)通信により相互に通信可能に接続してもよい。
図2は、電圧計測回路100の一例を示す図である。電圧計測回路100は、この実施例では、二次電池102の電圧を計測する。二次電池102は、図2に示すように、直列に接続されたn個の電池B1〜Bnを備える。そして、電圧計測回路100は、二次電池102の電圧を測定すると共に、各電池B1〜Bnの正極端子の電位を測定する。これにより、電圧計測回路100は、各電池B1〜Bnの電圧を計測できる。なお、各電池B1〜Bnのうち、隣接する電池は、互いに同じ電圧を有している。
電圧計測回路100は、抵抗回路11、複数のリレー素子(第1〜第nのリレー素子)S1〜Sn、および制御部12を備える。なお、電圧計測回路100は、図2に示していない他の回路要素を備えていてもよい。
抵抗回路11は、参照抵抗R0(第1の参照抵抗)および抵抗R1〜Rnから構成される。参照抵抗R0および抵抗R1〜Rnは、順番に、直列に接続されている。また、参照抵抗R0および抵抗R1〜Rnは、分圧抵抗として使用される。すなわち、抵抗回路11は、抵抗分圧回路の一例である。なお、抵抗R1〜Rnのうち、隣接する抵抗は、各電池B1〜Bnのうち、隣接する電池が互いに同じ電圧を有している場合に、互いに異なる抵抗値を有する。
各リレー素子S1〜Snの一方の端子(電池側端子)は、対応する電池B1〜Bnの正極端子に電気的に接続されている。例えば、リレー素子S1の電池側端子は電池B1の正極端子に接続され、リレー素子Snの電池側端子は電池Bnの正極端子に接続される。また、各リレー素子S1〜Snの他方の端子(制御部側端子)は、対応する抵抗R1〜Rnの一方の端子(正側端子)に電気的に接続されている。例えば、リレー素子S1の制御部側端子は抵抗R1の正側端子に接続され、リレー素子Snの制御部側端子は抵抗Rnの正側端子に接続される。すなわち、電池B1〜Bnの正極端子と、対応する抵抗R1〜Rnの正側端子との間に、対応するリレー素子S1〜Snが設けられている。なお、各リレー素子S1〜Snの状態は、制御部12により制御される。
抵抗R1の他方の端子(負側端子)は、参照抵抗R0の一方の端子(正側端子)に接続されている。参照抵抗R0の他方の端子(負側端子)は、二次電池102の負側端子(すなわち、電池B1の負側端子)に電気的に接続されている。そして、参照抵抗R0と抵抗R1との接続点の電圧Va(第1の電圧)は、制御部12に与えられる。
制御部12は、リレー素子S1〜Snを制御しながら電圧Vaを検出することで、二次電池102の電圧および各電池B1〜Bnの正極端子の電位を計測する。また、制御部12は、リレー素子S1〜Snを制御しながら電圧Vaをモニタすることで、抵抗回路11の故障を検出することもできる。
制御部12は、例えば、マイコンにより実現される。この場合、制御部12は、プロセッサおよびメモリを備える。プロセッサは、メモリに格納されているプログラムを実行することにより、電池の電圧を計測することができる。このプログラムは、リレー素子S1〜Snを制御する記述、電圧Vaに基づいて電池の電圧を計算する記述、およびリレー素子S1〜Snの故障を判定する記述を含む。尚、メモリには、各抵抗(R0〜Rn)の抵抗値を表す抵抗情報が格納されていてもよい。
<電圧の計測>
制御部12は、抵抗回路11の出力電圧Vaを利用して各電池B1〜Bnの電圧を計測することができる。例えば、電池Bnの電圧は、下記の手順で計測される。なお、以下の記載では、各抵抗R1〜Rnの正側端子の電圧は、それぞれV1〜Vnで表されるものとする。
制御部12は、リレー素子Snをオン状態に制御すると共に他のリレー素子をオフ状態に制御して電圧Vaを検出する。このとき電圧Vaは、(1)式で表される。
Figure 2020190530
次に、制御部12は、リレー素子Sn−1をオン状態に制御すると共に他のリレー素子をオフ状態に制御して電圧Vaを検出する。このとき電圧Vaは、(2)式で表される。
Figure 2020190530
したがって、(1)式から得られる電圧Vnと(2)式から得られる電圧Vn−1との差分を計算することにより、電池Bnの電圧が得られる。また、他の電池B1〜Bn−1の電圧についても同様の方法で計測される。
<故障の検出>
制御部12は、二次電池102の電圧測定において、リレー素子S1〜Snの中から1個のリレー素子を選択する。そして、制御部12は、選択した1個のリレー素子のみをオン状態に制御しながら、電圧Vaを取得する。
制御部12は、抵抗回路11の出力電圧Vaを利用してリレー素子S1〜Snの故障を検出することができる。具体的には、制御部12は、図3に示すフローチャートに従ってリレー素子の故障、すなわち、リレー素子のオン固着を検出する。
S11において、制御部12は、リレー素子S1〜Snの中から任意の1つを選択する。ここで、制御部12は、電池Bk(第kの電池)の正極端子と抵抗Rkの正側端子との間に設けられるリレー素子を選択するものとする(kは、1からn−1までの整数)。よって、以下の記載では、S11において選択されるリレー素子を「リレー素子Sk」と呼ぶことがある。なお、電池Bkは、二次電池102の負極から数えてk番目の電池を表し、抵抗Rkは、参照抵抗R0から数えてk番目の抵抗を表す。すなわち、制御部12は、リレー素子S1〜Snの中からk番目のリレー素子を選択する。
S12において、制御部12は、リレー素子Skをオン状態に制御し、他のリレー素子をオフ状態に制御する。すなわち、リレー素子S1〜Snの中でリレー素子Skのみがオン状態に制御される。
S13において、制御部12は、電圧Vaを検出する。即ち、リレー素子Skのみがオン状態に制御されたときの抵抗回路11の出力電圧が検出される。以下の記載では、この電圧を「電圧Va(k)(第kの電圧)」と呼ぶことがある。そして、電圧Va(k)は(3)式で表される。なお、電圧Va(k)は、電池B1〜Bkにより生成され、抵抗R0〜Rkに印加される電圧に相当する。
Figure 2020190530
S14において、制御部12は、リレー素子S1〜Snの中からリレー素子Skと異なるリレー素子を選択する。具体的には、制御部12は、電池Bjの正側端子と抵抗Rjの正側端子との間に設けられるリレー素子を選択する(jは、1からn−1までの整数かつj≠k)。よって、以下の記載では、S14において選択されたリレー素子を「リレー素子Sj」と呼ぶことがある。なお、電池Bjは、二次電池102の負極から数えてj番目の電池を表し、抵抗Rjは、参照抵抗R0から数えてj番目の抵抗を表す。すなわち、制御部12は、リレー素子S1〜Snの中からj番目のリレー素子を選択する。
S15において、制御部12は、リレー素子Sjをオン状態に制御し、他のリレー素子をオフ状態に制御する。すなわち、リレー素子S1〜Snの中でリレー素子Sjのみがオン状態に制御される。
S16において、制御部12は、電圧Vaを検出する。即ち、リレー素子Sjのみがオン状態に制御されたときの抵抗回路11の出力電圧が検出される。以下の記載では、この電圧を「電圧Va(j)(第jの電圧)」と呼ぶことがある。そして、電圧Va(j)は(4)式で表される。なお、電圧Va(j)は、電池B1〜Bjにより生成され、抵抗R0〜Rjに印加される電圧に相当する。
Figure 2020190530
S17において、制御部12は、S13で得られた電圧Va(k)とS16で得られた電圧Va(j)が同じまたはほぼ同じ電圧であるか否かを判定する。「ほぼ同じ」とは、電圧Va(k)と電圧Va(j)とが互いに完全に同じである状態に限定されず、電圧Va(k)と電圧Va(j)との間での電圧の差異が十分に小さい状態を表す。
ここで、電圧計測回路100は、S12およびS15において、リレー素子S1〜Snの中から選択した任意の1個のリレー素子のみをオン状態に制御して電池電圧を計測する。よって、リレー素子S1〜Snが故障すると、電圧計測回路100は、電池電圧を正しく計測できないことがある。
一例として、リレー素子Spにおいてオン固着が発生するものとする。すなわち、リレー素子Spは、制御部12からの制御信号にかかわらず、常にオン状態に固定されているものとする。そして、制御部12は、この故障が発生した状況下で、電池Bkの電池電圧を計測するために、リレー素子Skをオン状態に制御するものとする。なお、故障したリレー素子Spは、オン状態に制御されるリレー素子Skよりも、二次電池102の正極端子に近い側に配置されているものとする。以下の記載では、二次電池102の正極端子に近い側を「正側」と呼ぶことがある。また、二次電池102の負極端子に近い側を「負側」と呼ぶことがある。
リレー素子Skがオン状態に制御されているとき、リレー素子Skより正側に位置するリレー素子が故障した場合、すなわち、リレー素子Spがリレー素子Skより正側に位置する場合には、抵抗Rkの正側端子には電池Bkの電池電圧が印加される。したがって、リレー素子Spが故障しているか否かにかかわらず、電圧Va(k)は(3)式で表される。この場合、制御部12は、電圧Va(k)の測定値を(3)式に与えることにより、リレー素子Skに接続する電池Bkの電池電圧を計算できる。
他方、選択されたリレー素子Skがオン状態に制御され、電圧計測回路100が正常に動作しているとき(即ち、リレー素子Spがオフ状態であるとき)は、電池Bkの正側端子の電位が抵抗回路11に印加される。これに対して、リレー素子Skを含む負側に位置するリレー素子が故障した場合、すなわち、リレー素子Spがリレー素子Skを含む負側に位置する場合には、リレー素子Spがオン状態に固定されて電池Bpの正側端子と抵抗Rpの正側端子とが電気的に短絡する。このため、リレー素子Skがオン状態に制御されているか否かにかかわらず、電池Bpの正極端子の電位が抵抗回路11に印加される。
同様に、リレー素子Sjがオン状態に制御されているとき、リレー素子Sjより正側に位置するリレー素子が故障した場合、すなわち、リレー素子Spがリレー素子Sjより正側に位置する場合には、抵抗Rjの正側端子には電池Bjの電池電圧が印加される。したがって、リレー素子Spが故障しているか否かにかかわらず、電圧Va(j)は(4)式で表される。この場合、制御部12は、電圧Va(j)の測定値を(4)式に与えることにより、リレー素子Sjに接続する電池Bjの電池電圧を計算できる。
他方、選択されたリレー素子Sjがオン状態に制御され、電圧計測回路100が正常に動作しているとき(即ち、リレー素子Spがオフ状態であるとき)は、電池Bjの正側端子の電位が抵抗回路11に印加される。これに対して、リレー素子Sjを含む負側に位置するリレー素子が故障した場合、すなわち、リレー素子Spがリレー素子Sjを含む負側に位置する場合には、リレー素子Spがオン状態に固定されて電池Bpの正側端子と抵抗Rpの正側端子とが電気的に短絡する。このため、リレー素子Sjがオン状態に制御されているか否かにかかわらず、電池Bpの正極端子の電位が抵抗回路11に印加される。
したがって、リレー素子Skがオン状態に制御されているか否かにかかわらず、電圧Va(k)は、リレー素子Spのみがオン状態に制御されたときの抵抗回路11の出力電圧で表される。以下の記載では、この電圧を「電圧Va(p)」と呼ぶことがある。そして、電圧Va(p)は、(5)式で表される。なお、Va(p)は、電池B1〜Bpにより生成され、抵抗R0〜Rpに印加される電圧に相当する。
同様に、リレー素子Sjがオン状態に制御されているか否かにかかわらず、電圧Va(j)は、電圧Va(p)で表される。この場合も電圧Va(p)は、(5)式で表される。
Figure 2020190530
したがって、リレー素子Skおよびリレー素子Sjより負側に位置するリレー素子が故障した場合には、電圧Va(k)と電圧Va(j)は、ともに(5)式で表されるため、電圧Va(k)と電圧Va(j)は、同じまたはほぼ同じ電圧となる。
S13で得られた電圧Va(k)とS16で得られた電圧Va(j)が同じまたはほぼ同じ電圧である場合(S17:Yes)には、S18において、制御部12は、リレー素子S1〜Snのうちいずれか1つ以上のリレー素子が故障していると判定する。
他方、S13で得られた電圧Va(k)とS16で得られた電圧Va(j)が同じまたはほぼ同じ電圧ではない場合(S17:No)には、S19において、制御部12は、リレー素子S1〜Snのうち、リレー素子Skおよびリレー素子Sjより負側のいずれのリレー素子も故障していないと判定する。
制御部12は、上述の判定結果を出力する。例えば、リレー素子S1〜Snが故障していると判定したときは、制御部12は、その旨をアプリケーションに通知してもよい。この場合、アプリケーションは、電動車両1のユーザに対して警告を出力してもよい。或いは、制御部12は、上述の判定結果を図1に示す電池ECU101に通知してもよい。
このように、制御部12は、リレー素子S1〜Snの中のk番目およびj番目のリレー素子を個々にオン状態に制御しながらそれぞれ電圧Vaを検出することで、リレー素子S1〜Snの故障の有無を検出することができる。
例えば、図4に示す実施例を参照して上述の故障判定の一例を示す。ここで、図4に示す実施例においては、計測対象の二次電池は、直列に接続される電池B1〜B4を備える。各電池B1〜B4の端子間電圧は20Vである。したがって、電池B1、B2、B3、B4の正極端子の電位は、それぞれ、20V、40V、60V、80Vである。
また、抵抗R1〜R4のうち、隣接する抵抗は、各電池B1〜B4のうち、隣接する電池が互いに同じ電圧を有している場合に、互いに異なる電圧Vaとなるよう抵抗値が設計されている。例えば、各抵抗R1〜R4は、すべての電池B1〜B4が満充電であるときに、リレー素子S1、S2、S3、S4のみがそれぞれオン状態に制御されたときの電圧Vaが、それぞれ5V、4V、3V、2Vとなるようにそれぞれ抵抗値が設計されている。すなわち、隣接する抵抗は、隣接するリレー素子のみをそれぞれオン状態に制御した時の電圧Vaが互いに異なり、かつ高電位側のリレー素子のみをオンした時ほど低い電圧Vaとなるように抵抗値が設計される。例えば、各抵抗R1〜R4の抵抗値はそれぞれ「3」、「6」、「10」、「20」に設計される。また、参照抵抗R0の抵抗値は「1」に設計される。これらの抵抗値は、説明を簡単にするための仮想的な値である。
各抵抗R0〜Rk+1とk番目のリレー素子Skのみがオン状態に制御されたときの電圧Va、k+1番目のリレー素子Sk+1のみがオン状態に制御されたときの電圧Vaとの関係は、(6)式により表される。
Figure 2020190530
上記実施例において、リレー素子S1〜S4は故障していない場合について説明する。例えば、選択されたリレー素子S1のみがオン状態に制御され、リレー素子S2〜S4はオフ状態であるものとする。この場合、電池B1の正側端子と抵抗R1の正側端子が短絡するので、抵抗R1の正側端子の電位は20Vである。ここで、抵抗R1の正側端子の電位(或いは、抵抗R1の正側端子と二次電池の負極との間の電圧)は、抵抗R1、R0により分圧されるので、電圧Vaは5Vである。
また、選択されたリレー素子S2のみがオン状態に制御され、リレー素子S1、S3〜S4はオフ状態であるものとする。この場合、電池B2の正側端子と抵抗R2の正側端子が短絡するので、抵抗R2の正側端子の電位は40Vである。ここで、抵抗R2の正側端子の電位(或いは、抵抗R2の正側端子と二次電池の負極との間の電圧)は、抵抗R2、R1、R0により分圧されるので、電圧Vaは4Vである。
制御部12は、リレー素子Skとしてリレー素子S1を選択し、リレー素子Sjとしてリレー素子S2を選択しているので、k=1とした(3)式およびj=2とした(4)式を使用する。この場合、k=1、j=2の関係が成立する。
このように、制御部12は、リレー素子S1〜Snの中から選択されたリレー素子Skのみがオン状態に制御されたときの参照抵抗R0と抵抗回路11との接続点の電圧Va(k)を計算する。また、制御部12は、リレー素子S1〜Snの中から選択されたリレー素子Sjのみがオン状態に制御されたときの参照抵抗R0と抵抗回路11との接続点の電圧Va(j)を計算する。
このように、リレー素子Skに基づいて計算される電圧Va(k)とリレー素子Sjに基づいて計算される電圧Va(j)とが互いに異なる電圧となる。したがって、制御部12は、リレー素子S1〜Snが故障していない、すなわち、リレー素子S1〜Snがオン固着していないと判定する。
次に、上記実施例において、図4に示すように、リレー素子S2がオン固着しているものとする。はじめに、制御部12は、k=1として、リレー素子S1のみをオン状態に制御するものとする。この場合、電池B1の正極端子と抵抗R1の正側端子とが短絡するので、抵抗R1の正側端子の電位は20Vである。よって、リレー素子S1のみをオン状態に制御したときの電圧Vaは5Vである。同様に、制御部12は、j=2として、リレー素子S2のみをオン状態に制御するものとする。この場合、電池B2の正極端子と抵抗R2の正側端子とが短絡するので、抵抗R2の正側端子の電位は40Vである。よって、リレー素子S2のみをオン状態に制御したときの電圧Vaは4Vである。
また、例えば、制御部12は、k=2として、リレー素子S2のみをオン状態に制御するものとする。この場合、電池B2の正極端子と抵抗R2の正側端子とが短絡するので、抵抗R2の正側端子の電位は40Vである。よって、リレー素子S2のみをオン状態に制御したときの電圧Vaは4Vである。
同様に、制御部12は、j=3として、リレー素子S3のみをオン状態に制御するものとする。ところが、リレー素子S2の故障により、電池B2の正極端子と抵抗R2の正側端子とが短絡するので、抵抗R2の正側端子の電位が40Vとなる。よって、リレー素子S2がオン固着している場合に、リレー素子S3のみをオン状態に制御したときの電圧Vaは4Vとなる。
制御部12は、リレー素子Skとしてリレー素子S2を選択しているので、k=2とした(3)式を使用する。この場合、その結果(3)式は(7)式により表される。但し、リレー素子S2がオン固着しているため、制御部12は、リレー素子Sjとしてj=3とした(4)式を使用したとしても、電圧Va(j)を計算することができない。したがって、この場合、制御部12は、p=2とした(5)式を使用する。この場合、(5)式は(7)式により表される。この場合、k=2、p=2の関係が成立する。
Figure 2020190530
したがって、リレー素子Skおよびリレー素子Sjより負側に位置するリレー素子が故障した場合の電圧Vaは、ともに(5)式で表されるため、電圧Va(k)と電圧Va(j)は、同じまたはほぼ同じ電圧となる。
このように、制御部12は、リレー素子S1〜Snの中から選択されたリレー素子Skのみがオン状態に制御されたときの参照抵抗R0と抵抗回路11との接続点の電圧Va(k)を計算する。また、制御部12は、リレー素子S1〜Snの中から選択されたリレー素子Sjのみがオン状態に制御されたときの参照抵抗R0と抵抗回路11との接続点の電圧Va(j)を計算する。
そして、リレー素子Skおよびリレー素子Sjより負側に位置するリレー素子が故障している場合には、リレー素子Skに基づいて計算される電圧Va(k)とリレー素子Sjに基づいて計算される電圧Va(j)とが同じまたはほぼ同じ電圧となる。これにより、制御部12は、リレー素子S1〜Snの中の任意のリレー素子のみをそれぞれオン状態に制御したときに、計算される電圧Vaが同じまたはほぼ同じ電圧であればリレー素子S1〜Snのいずれかが故障していると判定する。
このように、隣接する抵抗は、各電池B1〜Bnのうち、隣接する電池が互いに同じ電圧を有している場合に、互いに異なる電圧Vaとなるよう抵抗値が設計されている。このため、それぞれ異なるリレー素子のみをオン状態に制御した場合には、それぞれ異なる電圧Vaとなる。したがって、この場合は、リレー素子は故障していないと判定することができる。これに対し、リレー素子Skまたはリレー素子Sjより負側に位置するリレー素子が故障している場合には、それぞれ異なるリレー素子のみをオン状態に制御したにも関わらず、同じまたはほぼ同じ電圧Vaとなる。したがって、この場合は、リレー素子が故障していると判定することができる。これにより、リレー素子の故障を検出することができる。
<故障しているリレー素子の判定>
上述のように、制御部12は、リレー素子S1〜Snの故障の有無を検出することができる。さらに、制御部12は、リレー素子S1〜Snのうち故障しているリレー素子の判定、すなわち、オン固着しているリレー素子を判定することができる。
故障しているリレー素子の判定は、リレー素子S1〜Snを低電位側から1つずつ順番に選択しながら図5に示すフローチャートの処理を実行することで実現される。すなわち、制御部12は、リレー素子を選択するための変数kの値を1ずつインクリメントしながら図5に示すフローチャートの処理を実行する。但し、故障しているリレー素子の判定においては、制御部12は、j番目のリレー素子Sjに代えて、k+1番目のリレー素子S(k+1)のみがオン状態に制御されたときの電圧Va(k+1)を検出する。この場合、j=k+1の関係が成立する。リレー素子S(k+1)は、リレー素子Skに対応する電池Bkの高電位側に隣接する電池B(k+1)(第k+1の電池)に対応するリレー素子である。リレー素子S(k+1)のみがオン状態に制御されたときの抵抗回路11の出力電圧を「電圧Va(k+1)(第k+1の電圧)」と呼ぶことがある。
k番目のリレー素子Skが選択された時の電圧Va(k)は(8)式で表される。また、k+1番目のリレー素子S(k+1)が選択された時の電圧Va(k+1)は、(9)式で表される。
Figure 2020190530
Figure 2020190530
ここで、k番目のリレー素子Skがオン固着(故障)して電池Bkの正側端子と抵抗Rkの正側端子とが電気的に短絡しているものとする。この場合、k番目のリレー素子Skが選択された時の電圧Va(k)は(8)式で表される。
この場合、リレー素子Skがオン固着(故障)している場合、オン固着しているリレー素子Skより正側に位置するリレー素子のみがオン状態に制御されているか否かにかかわらず、電池Bkの正極端子の電位が抵抗回路11に印加される。したがって、k番目のリレー素子Skがオン固着している場合に、k+1番目のリレー素子Skが選択された時の電圧Va(k+1)は、(9)式ではなく(8)式で表される。このため、リレー素子Skが故障した場合には、電圧Va(k)と電圧Va(k+1)は、ともに(8)式で表されるため、電圧Va(k)と電圧Va(k+1)は、同じまたはほぼ同じ電圧となる。
したがって、制御部12は、リレー素子を選択するための変数kの値を1ずつインクリメントしながら図5に示すフローチャートの処理を実行する。そして、電圧Va(k)と電圧Va(k+1)が、同じまたはほぼ同じ電圧となった場合に、リレー素子Skがオン固着している、すなわち、リレー素子Skが故障していると判定される。
図5は、故障しているリレー素子を判定する手順の一例を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートでは、制御部12は、電圧Va(k)と、電圧Va(k+1)が同じまたはほぼ同じ電圧となった場合に、k番目のリレー素子がオン固着していると判定する。
S21において、制御部12は、リレー素子S1〜Snの中からリレー素子を選択するための変数kを1に初期化する。そして、制御部12は、S22〜S23において、変数kに対して故障検出処理を実行する。この故障検出処理は、図3に示すフローチャートのS11〜S19に相当する。すなわち、制御部12は、変数kに対応するリレー素子Skのみがオン状態に制御されたときの電圧Va(k)と、変数k+1に対応するリレー素子S(k+1)のみがオン状態に制御されたときの電圧Va(k+1)を比較する。そして、制御部12は、比較結果を用いてリレー素子がオン固着(故障)しているか否かを判定する。
リレー素子が故障していないと判定されたとき(S23:No)は、制御部12は、S24において変数kをインクリメントする。そして、制御部12は、S25において変数kがリレー素子の個数nと等しいか否かを判定する。変数kがリレー素子の個数nと等しいとき(S25:Yes)は、制御部12は、すべてのリレーの故障検出処理が終わったため、処理を終了する。一方で、変数kがリレー素子の個数nと等しくないとき(S25:No)は、制御部12は、S22に戻り、インクリメントされた変数kについての故障検出処理を続行する。制御部12は、オン固着(故障)しているリレー素子を判定するまでの間、すべてのリレー素子S1〜Snに対してS21〜S25の処理を繰り返し実行する。一方、リレー素子が故障していると判定されたとき(S23:Yes)は、制御部12の処理はS26に進む。このように、制御部12は、変数kをインクリメントしながらリレー素子S1〜Snが故障しているか否かを判定する。そして、故障が検出されると、制御部12は、S26の処理を実行する。
S26において、制御部12は、k番目のリレー素子がオン固着が発生していると判定する。すなわち、制御部12は、リレー素子Skが常にオン状態に固定される故障が発生していると判定する。例えば、k=2において故障が検出されず、k=3において故障が検出されたときは、制御部12は、参照抵抗R0から数えて2番目の抵抗(すなわち、抵抗R2)の正側端子に接続されたリレー素子S2がオン固着していると判定する。
制御部12は、上述の判定結果を出力する。すなわち、故障箇所を判定したときは、制御部12は、その判定結果をアプリケーションに通知してもよい。この場合、アプリケーションは、電動車両1のユーザに対して警告を出力してもよい。或いは、制御部12は、上述の判定結果を図1に示す電池ECU101に通知してもよい。
本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
上述の実施形態のうち、制御部12は、リレー素子S1〜Snを全てオフ状態に制御する処理を加えることもできる。この場合、抵抗R1〜Rnは、電池B1〜Bnが同じ電圧を有している場合において、リレー素子S1〜Snを1つずつ順にオン状態に制御したときに参照抵抗R0と抵抗回路11との接続点の電圧を表す電圧Vaがそれぞれ異なるような抵抗値となるよう設計される。そして、制御部12は、リレー素子S1〜Snを全てオフ状態に制御したときに、リレー素子S1〜Snに対応する電圧Vaのいずれかを取得した場合には、当該電圧に対応するリレー素子S1〜Snのいずれかがオン固着していると判定する。
例えば、すべてのリレー素子S1〜Snが故障していない(オン固着していない)場合には、リレー素子S1〜Snを全てオフ状態に制御すると、電池B1〜Bnの正極端子の電位は抵抗回路11に印加されない。したがって、すべてのリレー素子S1〜Snがオフ状態に制御されたときの電圧Va(すなわち、0Vである)が取得される場合には、制御部12は、リレー素子S1〜Snのいずれのリレー素子も故障していないと判定する。すなわち、制御部12は、リレー素子S1〜Snのいずれもオン固着していないと判定する。
これに対し、いずれかのリレー素子S1〜Snが故障している場合には、リレー素子S1〜Snを全てオフ状態に制御しているにも関わらず故障している(オン固着している)リレー素子に接続された電池B1〜Bnの正極端子の電位が抵抗回路11に印加される。したがって、すべてのリレー素子S1〜Snがオフ状態に制御されたときの電圧Va(すなわち、0Vである)が取得できない場合には、制御部12は、リレー素子S1〜Snのうちいずれ1つ以上のリレー素子が故障していると判定する。すなわち、制御部12は、リレー素子S1〜Snのいずれか1つ以上がオン固着していると判定する。これにより、抵抗電圧による電圧計測回路100において、特別な制御をすることなくリレー素子のオン固着を検出することができる。
なお、リレー素子S1〜Snを全てオフ状態に制御する処理は、例えば、すべてのリレー素子S1〜Snに対し、図3のリレー素子の故障を検出する処理を行った後に、実行することができる。これにより、リレー素子S1〜Snのうち、最も高電位側に配置されたリレー素子Snが故障しているか、すなわち、オン固着しているか否かを判定することができる。上述の実施形態では、故障箇所の判定は、リレー素子S1〜Snを低電位側から1つずつ順番に選択しながら図3に示すフローチャートの処理を実行することで実現しているがこれに限られない。例えば、故障個所の判定は、リレー素子S1〜Snを高電位側から1つずつ順番に選択しながら図3に示すフローチャートの処理を実行しても実現される。この場合、制御部12は、リレー素子を選択するための変数kの値を1ずつデクリメントしながら図3に示すフローチャートの処理を実行する。
10 電池パック
11 抵抗回路
12 制御部
100 電圧計測回路
101 電池ECU
102 二次電池
103 電流センサ
104 サーミスタ
105、106 リレー
S1〜Sn リレー素子

Claims (5)

  1. 直列に接続された第1〜第n(nは、2以上の整数)の電池を含む組電池の電圧を計測する電圧計測回路であって、
    直列に接続された参照抵抗および第1〜第nの抵抗から構成される抵抗回路と、
    第1〜第nのリレー素子と、
    抵抗回路および第1〜第nのリレー素子を用いて第1〜第nの電池の電圧を計測すると共に、第1〜第nのリレー素子の故障を検出する制御部と、を備え、
    第1〜第nのリレー素子は、それぞれ、第1〜第nの電池の正側端子と第1〜第nの抵抗の一方の端子との間に設けられ、
    組電池の負側端子は、参照抵抗の端子に電気的に接続され、
    第1〜第nのリレー素子の中から選択された第k(kは、1からn−1までの整数)のリレー素子のみがオン状態に制御されたときの参照抵抗と抵抗回路との接続点の電圧を第kの電圧とし、
    第1〜第nのリレー素子の中から選択された第j(jは、1からn−1までの整数かつj≠k)のリレー素子のみがオン状態に制御されたときの参照抵抗と抵抗回路との接続点の電圧を第jの電圧とし、
    制御部は、第kの電圧と第jの電圧が同じまたはほぼ同じ電圧となった場合に、第1〜第nのリレー素子の故障を検出する
    ことを特徴とする電圧計測回路。
  2. 請求項1に記載の電圧計測回路であって、
    第kのリレー素子に対応する第kの電池の高電位側に隣接する第k+1の電池に対応する第k+1のリレー素子のみがオン状態に制御されたときの参照抵抗と抵抗回路との接続点の電圧を第k+1の電圧とし、
    第1〜第nの抵抗は、第kの電池と第k+1の電池とが同じ電圧を有している場合において、第kの電圧と第k+1の電圧が異なる電圧となる抵抗値をそれぞれ有し、
    制御部は、第kの電圧と第k+1の電圧が同じまたはほぼ同じ電圧となった場合に、第1〜第nのリレー素子の故障を検出する
    ことを特徴とする電圧計測回路。
  3. 請求項1または2に記載の電圧計測回路であって、
    制御部は、第1〜第nのリレー素子を低電位側から1つずつ順にオン状態に制御して、第1〜第nの電池の電圧を順次計測し、第k+1の電圧が第kの電圧と同じになった場合、第kのリレー素子がオン固着していると判定する
    ことを特徴とする電圧計測回路。
  4. 請求項1または2に記載の電圧計測回路であって、
    第1〜第nの抵抗は、第1〜第nの電池が同じ電圧を有している場合において、第1〜第nのリレー素子を1つずつ順にオン状態に制御したときに参照抵抗と抵抗回路との接続点の電圧を表す第1〜第nの電圧がそれぞれ異なるような抵抗値をそれぞれ有し、
    制御部は、第1〜第nのリレー素子を全てオフ状態に制御したときに、第1〜第nの電圧のいずれかを取得した場合には、当該電圧に対応する第1〜第nのリレー素子のいずれかがオン固着していると判定することを特徴とする電圧計測回路。
  5. 直列に接続された第1〜第n(nは、2以上の整数)の電池を含む組電池の電圧を計測し、直列に接続され組電池の負側端子と電気的に接続された参照抵抗および第1〜第nの抵抗から構成される抵抗回路と、第1〜第nのリレー素子は、それぞれ、第1〜第nの電池の正側端子と第1〜第nの抵抗の一方の端子との間に設けられた第1〜第nのリレー素子と、抵抗回路および第1〜第nのリレー素子を用いて第1〜第nの電池の電圧を計測すると共に、第1〜第nのリレー素子の故障を検出する制御部と、を備える電圧計測回路の故障検出方法であって、
    制御部は、
    第1〜第nのリレー素子の中から選択した第k(kは、1からn−1までの整数)のリレー素子のみをオン状態に制御したときの参照抵抗と抵抗回路との接続点の電圧を第kの電圧とし、
    第1〜第nのリレー素子の中から選択した第j(jは、1からn−1までの整数かつj≠k)のリレー素子のみをオン状態に制御したときの参照抵抗と抵抗回路との接続点の電圧を第jの電圧とし、
    第kの電圧と第jの電圧が同じまたはほぼ同じ電圧となった場合に、第1〜第nのリレー素子の故障を検出する
    ことを特徴とする故障検出方法。
JP2019097150A 2019-05-23 2019-05-23 電圧計測回路および故障検出方法 Pending JP2020190530A (ja)

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