JP2020190226A - ポンプ、ポンプの補修方法及び情報処理装置 - Google Patents

ポンプ、ポンプの補修方法及び情報処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】キャビテーション壊食の発生が懸念される対象部位のキャビテーションによる壊食を抑制しつつ、対象部位の周辺部位のキャビテーションによる壊食を抑制する。【解決手段】搬送流体が水であるポンプであって、インペラと、当該インペラを収容するケーシングと、を備え、流路を形成する当該インペラ及び/または当該ケーシングの少なくとも一部に、硬質材料がレーザで肉盛溶接された硬質層が形成されている。【選択図】図2A

Description

本発明は、ポンプ、ポンプの補修方法及び情報処理装置に関する。
キャビテーションとは、ポンプ内の流動している液体の圧力が局部的に低下して、蒸気や含有気体を含む泡が発生する現象であり、騒音、振動、壊食の問題が生じることが知られている。特に、キャビテーションによって発生した気泡が材料表面で崩壊すると、崩壊圧によりポンプ内に壊食が生じることが知られている。
特許文献1には、搬送流体が水であるポンプのケーシングとケーシングリング(ライナーリング)間の隙間を通過する漏れ流れや羽根車からの逆流に起因するキャビテーションによる壊食を抑えるために、ケーシングとケーシングリングとの間に電気的絶縁材が設けられている構成が開示されている。
特許文献2では、海水や化学物質などの腐食性のある環境下のうち、特に土砂が混入した海水環境下やキャビテーションが発生する条件で運転されるポンプに適した、耐食性と耐摩耗性に優れた被覆部材を用いた部品とその製造方法、およびその部品を用いたポンプが提供される。そして、羽根車の入口、高周速となる外周部に、局部的に耐摩耗性、耐キャビテーション性、耐食性などを付与させる目的に対して、耐食性を有する硬質材料(Co基合金(例えば商品名ステライト)、Ni基合金(例えば商品名コルモノイ))の被覆処理が行われることが記されている。
また、キャビテーションは、ポンプの流路、材料等によって壊食が発生する箇所や壊食状態が異なる。そのため、例えば、特許文献3ではキャビテーションによって生じる流体機械の壊食を予測する方法が提示されている。更に、キャビテーションは、ポンプの設置状況(吸込側、吐出し側の管路の圧損、設置状態等)、運転状態(例えば、負荷状態、発停頻度や運転時間)、搬送液の液種(たとえば、清水、汚水、Ph、比重等)等の運用中の様々な環境要因によっても発生状態(例えば、壊食の発生箇所、壊食の範囲や深さ、ポンプ運転への影響度合い、等)が異なる。
特開2018−40363号公報 特許第3886394号公報 特許第6061499号公報
搬送流体が水であるポンプのキャビテーションは、上述したように、ケーシングとケーシングリングや羽根車等間の隙間を通過する漏れ流れや羽根車からの逆流等に起因することもあり、インペラ、ライナーリング、および/またはケーシングにて形成される流路内のいずれの箇所にも発生する虞がある。しかしながら、上述したように、キャビテーションはポンプ個々の環境要因にてその発生状態が異なるため、例えば、対象部位を局部的に硬質材料で被覆したポンプを長期間に渡って運用した結果、当該硬質材料で被覆した箇所に比べて相対的に弱くなった周辺部位の壊食が顕著となる、といった懸念がある。
また、壊食の発生部位に溶接にて硬質材料を被覆する施工過程において、熱ひずみ及び残留応力等の問題発生が懸念される。溶接時の入熱等の影響による変形を抑制しつつ施工が可能であり、且つ、長期間運転されるポンプのキャビテーションによる壊食をより低減できることが望ましい。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、キャビテーションの対象部位の壊食を抑制しつつ、当該対象部位の壊食を抑制したことで壊食の発生が懸念される周辺の部位の壊食を抑制するポンプ、ポンプの補修方法及び情報処理装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に係るポンプは、搬送流体が水であるポンプであって、インペラと、前記インペラを収容するケーシングと、を備え、流路を形成する前記インペラ及び/または前記ケーシングの少なくとも一部に、硬質材料がレーザで肉盛溶接された硬質層が形成されている。
この構成によれば、レーザ溶接は入熱量が少ないので、施工対象に与える熱ひずみ及び残留応力が少なく、インペラの翼などの薄肉部にも施工できるため、キャビテーション壊食の発生が懸念される対象部位だけでなく、その周辺部位に対して同じ硬質材料で硬質層を形成することができる。よって、対象部位に対する硬質材料の被覆によって相対的に弱くなる周辺部位のキャビテーションによる壊食も抑制できる。これにより、キャビテーション壊食の発生が懸念される対象部位のキャビテーションによる壊食を抑制しつつ、対象部位の周辺部位のキャビテーションによる壊食を抑制することができる。
本発明の第2の態様に係る水ポンプは、第1の態様に係るポンプであって、前記硬質層は、前記インペラの吸込側に形成されている。
この構成によれば、インペラの吸込側もおいて、キャビテーションによる壊食をより低減することができる。
本発明の第3の態様に係るポンプは、第1または2の態様に係るポンプであって、前記インペラは複数の翼を備え、前記硬質層は、前記インペラの吸込口より軸方向内側の部位に形成されている。
この構成によれば、インペラの吸込口より軸方向内側の部位は、液体の流れの中でキャビテーションに起因する気泡が発生し、この気泡がケーシングの内側表面で崩壊することにより壊食が起こりやすい。一方、この構成によれば、インペラの吸込口より軸方向内側の部位に対して、硬質層が形成されているので、壊食が起こりやすい部位の壊食を低減することができる。
本発明の第4の態様に係るポンプは、第1から3のいずれかの態様に係るポンプであって、前記硬質層は、前記インペラの側板によって形成された吸込口より軸方向内側の部位に形成されている。
この構成によれば、インペラの側板によって形成された吸込口より軸方向内側の部位は、液体の流れの中でキャビテーションに起因する気泡が発生し、この気泡がケーシングの内側表面で崩壊することにより壊食が起こりやすい。一方、この構成によれば、このインペラの側板によって形成された吸込口より軸方向内側の部位に対して、硬質層が形成されているので、壊食が起こりやすい部位の壊食を低減することができる。
本発明の第5の態様に係るポンプは、第1から4のいずれかの態様に係るポンプであって、前記ケーシング内には、前記インペラの流入口に連通する吸込側流路と、前記インペラの吐出口に連通する吐出側流路とが形成されており、前記ポンプは、前記インペラに所定の隙間を介して対向し、且つ、前記ケーシングに取り付けられる環状のライナーリングを有し、前記インペラにて加圧された吐出側流路内の前記搬送流体の一部が、前記隙間から前記吸込側流路へと吐出され、前記硬質層は、当該吸込側流路に吐出された前記搬送流体の流れと、前記インペラへと流入する前記搬送流体の流れとが、衝突する流路の部位に形成される。
この構成によれば、当該衝突する流路の部位におけるキャビテーションによる壊食が抑制することができる。
本発明の第6の態様に係るポンプは、第1から5のいずれかの態様に係るポンプであって、前記ケーシングのうち前記インペラに対向する部位に、硬質材料がレーザで肉盛溶接された硬質層が形成されている。
この構成によれば、壊食が起こりやすいケーシングのうち前記インペラに対向する部位に硬質層が形成されることにより、当該部位の壊食を抑制することができる。
本発明の第7の態様に係るポンプは、第1から6のいずれかの態様に係るポンプであって、前記硬質層は、前記ケーシングのうち前記インペラの流路入口外周に対向する部位に形成されている。
この構成によれば、ケーシングのうち前記インペラの流路入口外周に対向する部位に硬質層が形成されることにより、当該部位の壊食を抑制することができる。
本発明の第8の態様に係るポンプは、第1から7のいずれかの態様に係るポンプであって、前記硬質層は、前記ケーシングのうち前記インペラの吐出し口に対向する部位に形成されている。
この構成によれば、ケーシングのうち前記インペラの吐出し口に対向する部位に硬質層が形成されることにより、当該部位の壊食を抑制することができる。
本発明の第9の態様に係るポンプは、第1から8のいずれかの態様に係るポンプであって、当該ポンプは、前記インペラの左右両方から均等に流体を吸込んで加速する両吸込である前記インペラを備えた横軸両吸込み渦巻きポンプである。
この構成によれば、横軸両吸込み渦巻きポンプにおいて、壊食を抑制することができる。
本発明の第10の態様に係るポンプは、第1から9のいずれかの態様に係るポンプであって、前記ケーシングは、吸込側流路と吐出側流路を隔てる隔壁を有しており、前記硬質層は、前記隔壁に形成されている。
この構成によれば、隔壁に硬質層が形成されることにより、当該部位の壊食を抑制することができる。
本発明の第11の態様に係るポンプは、第10の態様に係るポンプであって、前記硬質層は、前記隔壁において、前記インペラの吸込口に近いほど硬質層が厚い。
この構成によれば、隔壁においてインペラの吸込口に近いほど壊食が大きくなる傾向があるが、インペラの吸込口に近いほど硬質層が厚くすることによって、隔壁において壊食をより均等に抑制することができる。
本発明の第12の態様に係るポンプは、第1から11のいずれかの態様に係るポンプであって、前記インペラ及び/または前記ケーシングに形成された前記硬質層の少なくとも一部は、二重に硬質材料がレーザ溶接される。
この構成によれば、更にキャビテーションによる壊食をより低減することができる。
本発明の第13の態様に係るポンプは、第1から12のいずれかの態様に係るポンプであって、前記インペラの翼に形成された前記硬質層は、吐出し側に比べて吸込み側の硬質層が厚い。
この構成によれば、搬送流体が液体のポンプの羽根車は吐出し側に比べて吸込み側のキャビテーション壊食が大きくなる傾向があるが、吐出し側に比べて吸込み側の硬質層を厚くすることによって、インペラの翼における壊食をより均等に抑制することができる。
本発明の第14の態様に係るポンプは、第1から13のいずれかの態様に係るポンプであって、前記硬質材料は、Co基合金であることを特徴とする。
この構成によれば、Co基合金(例えば商品名ステライト)をレーザ溶接すると、ガス溶接肉盛、TIG溶接肉盛、紛体プラズマ溶接肉盛、溶射によるコーティング等よりも、キャビテーションによる壊食を低減することができるので、例えば既設のポンプにおいて、効果的にキャビテーションによる壊食を低減することができる。
本発明の第15の態様に係るポンプの補修方法は、ケーシングの壊食部位及び/またはインペラの壊食部位の表面を削る工程と、前記削った後に、当該ケーシングの壊食部位及び/またはインペラの壊食部位に対して、硬質材料をレーザで肉盛溶接する工程と、を有する。
この構成によれば、レーザ溶接は入熱量が少ないので、施工対象に与える熱ひずみ及び残留応力が少なく、インペラの翼などの薄肉部にも施工できるため、キャビテーション壊食の発生が懸念される対象部位だけでなく、その周辺部位に対して同じ硬質材料で硬質層を形成することができる。よって、対象部位に対する硬質材料の被覆によって相対的に弱くなる周辺部位のキャビテーションによる壊食も抑制できる。これにより、キャビテーション壊食の発生が懸念される対象部位のキャビテーションによる壊食を抑制しつつ、対象部位の周辺部位のキャビテーションによる壊食を抑制することができる。
本発明の第16の態様に係るポンプの補修方法は、第15の態様に係るポンプの補修方法であって、前記硬質材料をレーザで肉盛溶接する工程において、振動式残留応力除去を実施する工程を有する。
この構成によれば、硬質材料をレーザで肉盛溶接する部位について、残留応力を除去することができる。
本発明の第17の態様に係る情報処理装置は、対象部品に前加工を実施する加工機に接続され、当該対象部品にレーザで肉盛溶接を施す溶接機に接続された出力インタフェースと、前記出力インタフェースを制御するプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、キャビテーション壊食量、作業者によって設定された各種パラメータ、及びメンテナンスするポンプの設計データの少なくとも一つに基づいて、硬質層の施工範囲を決定し、前記決定された施工範囲における前加工の指令を前記加工機へ出力し、前記決定された施工範囲に、硬質材料がレーザで肉盛溶接された硬質層を形成するよう前記溶接機に指令を出力する。
この構成によれば、決定された施工範囲に、硬質材料がレーザで肉盛溶接された硬質層を形成することができる。レーザ溶接は入熱量が少ないので、施工対象に与える熱ひずみ及び残留応力が少なく、インペラの翼などの薄肉部にも施工できるため、キャビテーション壊食の発生が懸念される対象部位だけでなく、その周辺部位に対して同じ硬質材料で硬質層を形成することができる。よって、対象部位に対する硬質材料の被覆によって相対的に弱くなる周辺部位のキャビテーションによる壊食も抑制できる。これにより、キャビテーション壊食の発生が懸念される対象部位のキャビテーションによる壊食を抑制しつつ、対象部位の周辺部位のキャビテーションによる壊食を抑制することができる。
本発明の一態様によれば、レーザ溶接は入熱量が少ないので、施工対象に与える熱ひずみ及び残留応力が少なく、インペラ翼などの薄肉部にも施工できるため、キャビテーション壊食の発生が懸念される対象部位だけでなく、その周辺部位に対して同じ硬質材料で硬質層を形成することができる。よって、対象部位に対する硬質材料の被覆によって相対的に弱くなる周辺部位のキャビテーションによる壊食も抑制できる。これにより、キャビテーション壊食の発生が懸念される対象部位のキャビテーションによる壊食を抑制しつつ、対象部位の周辺部位のキャビテーションによる壊食を抑制することができる。
図1Aは、第1の実施形態のポンプの一例の図である。 図1Bは、第1の実施形態のポンプの一例の図である。 図1Cは、第1の実施形態のポンプの一例の図である。 図2Aは、図1Cにおける領域R1を拡大した図である。 図2Bは、図1Cにおける領域R2を拡大した図である。 図1におけるインペラ9をケーシング3内に収容した状態を示す図である。 図4Aは、第2の実施形態に係るポンプの模式図である。 図4Bは、第2の実施形態に係るポンプのインペラの模式図である。 図4Cは、第2の実施形態に係るポンプのインペラの模式図である。 図4Dは、第2の実施形態に係るポンプのインペラの模式図である。 図4Eは、第2の実施形態に係るポンプのインペラの模式図である。 ステライトによるレーザによる肉盛溶接と他の手法の比較である。 上述の実施形態の変形例に係るインペラの模式図である。 上述の実施形態に係るポンプの補修方法の一例を示すフローチャートである。 図8(A)は第3の実施形態に係るポンプの一例を示す断面図である。図8(B)は図8(A)のA−A矢視図である。 図9(A)は第3の実施形態の変形例に係るポンプの一例を示す断面図である。図9(B)は図9(B)のB−B矢視図またはB’−B’矢視図である。 第3の実施形態に係るポンプの補修方法の一例を示すフローチャートである。 自動化システムの概略構成図である。
以下、第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
図1A、図1B、図1Cは、第1の実施形態のポンプの一例の図である。図1Aは当該ポンプを主軸の長手方向から見た図である。図1Bは当該ポンプを吸込み側から見た図である。図1A、図1B、図1Cに示すポンプ1は、搬送流体が液体の両吸込渦巻きポンプであって、吸込み口35から吸い込まれた搬送流体は、インペラ9がケーシング3内で回転されることでエネルギーを与えられて、吐出し口36から吐出される。ポンプ1は、インペラの吐出し側に直接渦巻ケーシングをもつ渦巻きポンプである。
両吸込渦巻ポンプは図1A、図1B、図1Cに示すように、ポンプケーシング3内に回転軸7に固定したインペラ9を収納して構成されている。ここでポンプケーシング3はインペラ9を収納するボリュートケーシング31と、ボリュートケーシング31の外側に一体に設けられる吸込ケーシング34とによって構成されている。吸込ケーシング34は1つの吸込口35が吸込ケーシング34の内部でボリュートケーシング31の隔壁15によって2つに分離された後に渦巻状に捲かれ、ボリュートケーシング31の両側に設けた流入口9a、9aからボリュートケーシング31内に流体を流入するように構成されている。
図1Cは、第1の実施形態のポンプの一例を示す断面図である。図1Cは、図1A、図1Bのポンプの軸線を通る鉛直平面における断面である。ポンプ1は、ケーシング3と、ケーシング3内を延びる回転軸7と、当該回転軸7に固定された羽根車(インペラ)9とを備えている。インペラ9はケーシング3内に配置されている。ケーシング3は、上ケーシング3Aと、下ケーシング3Bとを備えており、これら両ケーシング3A,3Bが図示しない締結具(ねじ、またはボルトおよびナットなど)によって互いに締結されている。
第1の実施形態のポンプ1は、インペラ9の両側から液体を吸い込む形式の両吸込渦巻きポンプである。このため、ケーシング3は、吸込側流路11と吐出側流路13を隔てる隔壁15を備えている。ポンプ1の吸込口35から流入し、ケーシング3によって形成される吸込側流路11を通過した搬送液は、インペラ9にてエネルギーを与えられ、吐出側流路13を通過して、ポンプ1の吐出し口36より吐出される。
ポンプ1の回転軸7は、図示しない電動モータなどの原動機に連結されており、この原動機の駆動力によりインペラ9を回転させるようになっている。第1の実施形態のポンプ1は横形のポンプであって、回転軸7の長手方向が水平に延びて配置されている。なお、他の実施形態の態様として、回転軸7は鉛直方向やそれ以外の角度で設置してもよい。回転軸7は、ケーシング3の両側に設けられた軸受14A,14Bに回転可能に支持されている。ポンプ1は、ケーシング3内の液体が漏れることを防ぐ軸封装置8A,8Bを備えている。
インペラ9は、2つの吸込口9a、1つの吐出し口9b、複数の翼9c、主板9d、側板9eを具備した両吸込形のインペラである。2つの流入口9aはインペラ9の両側にあり、反対方向を向いている。両吸込形のポンプは、インペラ9の左右両方から均等に流体を吸込んで加速するため軸推力をバランスできる。ケーシング3内には、インペラ9の流入口9aに連通する吸込側流路11と、インペラ9の吐出口9bに連通する吐出側流路13とが形成されている。吸込側流路11はボリュートケーシング31にて形成される隔壁15の外側に位置し、吐出側流路13は隔壁15の内側に位置している。ケーシング3は、インペラ9の2つの流入口9aの周囲に、2つのライナーリング19がそれぞれ配置されている。これらのライナーリング19は、ポンプの運転に伴って摩耗するため、ケーシング3に着脱可能に取り付けられている。
ライナーリング19は、インペラ9の高圧部である吐出側流路13と低圧部である吸込側流路11の境界に存在する。ライナーリング19はケーシング3に固定されて回転せず、一方インペラ9は回転する。このため、ライナーリング19とインペラ9は接触しないように設計され、互いの間にわずかな隙間18(図2A参照)を持たせている。また、ポンプ1を運転すると、当該隙間18によって吐出側流路13の水が吸込側水路11へと逆流し、当該逆流した水流にてキャビテーションによって発生した気泡が崩壊するため、ライナーリング19の近傍はキャビテーション壊食が発生しやすい。
図2Aは、図1Cにおける領域R1を拡大した図である。図2A中の矢印F1、F2、F3は、搬送液における水流の方向を示す。図2に示すように、吸込側流路11を形成するケーシング3には、基材20(例えば、SUS316)の表面に第1の硬質層21,121,221,321,421と、第2の硬質層22,122,222,322,422が形成されている。具体的には、第1の硬質層21,121,221,321,421は、基材20に、硬質材料であるCo基合金(例えば商品名ステライト)がレーザで肉盛溶接されることにより形成されている。第2の硬質層22,122,222,322,422は、第1の硬質層21,121,221,321,421の表面上に、硬質材料であるCo基合金がレーザで肉盛溶接されることにより形成されている。インペラ9並びにケーシング3のうちキャビテーションによる壊食が懸念される部位に、Co基合金がレーザで肉盛溶接されている。
硬質材料の一例として、Co基合金は、「ステライト合金」である。また、本実施形態では、「ステライト合金」のうち、「ステライト合金1,6,12,20,21,22,25,31,F,107,190,250,694,706,712,Ultimet」の何れかが用いられる。
ここで、吸込側水路11内において、曲部C1は、ライナーリング19の直近上流で搬送液の流れがケーシング3に沿って湾曲する箇所である。ケーシング3では、当該曲部C1より吸込口9a側の流路を形成する部位のキャビテーション壊食が顕著になる。ポンプの吸い込み口35より吸込側流路11を通ってインペラ9の吸込口9aへ流入(矢印F1)された搬送液は、インペラ9にて加圧されて吐出される(水流F2)。ここで、当該加圧された搬送液のごく一部は隙間18を通って吸込側流路11へ吐出する(水流F3)。低圧側の水流F1は気泡を含んでおり、曲部C1付近では、当該気泡を含んだ水流F1と高圧の水流F3とが衝突する。よって、ライナーリング19の直近の曲部C1付近はキャビテーション壊食が顕著になる。そのため、ケーシング3における曲部C1より吸込み口9a側は、硬質材料(例えば、Co基合金:商品名ステライト)が被覆されることが好ましい。更に、当該硬質材料で被覆した箇所に比べて相対的に弱くなった周辺のケーシング3の壊食が進んでポンプの運転に影響してしまうことが懸念される。そのため、キャビテーション壊食が顕著となるケーシング3の曲部C1から吸込口9a近傍までは、第1の硬質層21と第2の硬質層22にて2重に被覆されるとよい。
このように、ケーシング3に形成される硬質層は、インペラ9の吸込口9aに近いほど硬質層が厚いことが好ましい。なお、本実施形態では、ケーシング3の曲部C1の次に吸込口9aに近い曲部である曲部C2を覆う領域まで2重に被覆される。これは、両吸込渦巻きポンプは、曲部C2で搬送液の流速が低下するため、曲部C2で圧力変動が生じ、キャビテーションによって発生した気泡が崩壊しやすいからである。このように、吸込側流路11内で流速の変化が著しい部位の周辺には2重の硬質層が形成されるとよい。しかしながら、一実施形態では、硬質層は、曲部C1を覆う領域は2重に被覆され、曲部C2を覆う領域は1重に被覆されてもよい。また、硬質層は、キャビテーションによる壊食が顕著となる曲部C1を覆うように、1重で被覆されるのみでもよい。
また、インペラ9から吐出された搬送液(矢印F2)は、インペラ9の吐出し口9bと対向するケーシング3の曲部C4にぶつかって、吐出し口36の方向に流れを変える。インペラ9から吐出された搬送液は吸込み側で発生した気泡を含むため、ケーシング3の曲部C4はキャビテーション壊食が顕著になる。そのため、曲部C3は、硬質材料(例えば、Co基合金:商品名ステライト)が被覆されることが好ましい。更に、当該硬質材料で被覆した箇所に比べて相対的に弱くなった周辺のケーシング3の部位に壊食が進んでポンプの運転に影響してしまうことが懸念される。そのため、キャビテーション壊食が顕著となる曲部C4のうちインペラ9の吐出し口に対向する部分は、第1の硬質層421と第2の硬質層422にて2重に被覆されるとよい。
このように、曲部C4に形成された硬質層は、インペラ9の吐出し口に近いほど硬質層が厚いことが好ましい。なお、一実施形態では、ケーシング3の曲部C1の吸込側直近の曲部である曲部C5を覆う領域まで2重に被覆されてもよい。これは、両吸込渦巻きポンプは、曲部C5で搬送液の流速が低下することで圧力変動が生じ、キャビテーションによって発生した気泡が崩壊しやすいからである。しかしながら、一実施形態では、硬質層は、キャビテーションによる壊食が顕著となる曲部C4の少なくとも一部を覆うように、1重で被覆されるのみでもよい。
また、図2Aに示すように、インペラ9の側板9eの吸込側端部の内外周を覆うように、インペラ9の側板9eの吸込側端部には、基材(例えば、ステンレス)120に重ねて第1の硬質層121と、第2の硬質層122が形成されている。具体的には、第1の硬質層121は、基材120の材料よりも硬質材料であるCo基合金(例えば商品名ステライト)がレーザで肉盛溶接されることにより形成されている。第2の硬質層122は、第1の硬質層121の表面上に、硬質材料であるCo基合金がレーザで肉盛溶接されることにより形成されている。このように、インペラ9の側板9eの吸込側の端部には、Co基合金がレーザで肉盛溶接されている。
ここで、吸込口9aの直近は搬送液の圧力が低下しており、気泡ができやすい。インペラ9の吸込側は、水流F1によって当該気泡がぶつかるためキャビテーション壊食が顕著になる。そのため、主板9d、側板9e、翼9cのうち、吸込み口9aを形成する端部は、硬質材料(例えば、Co基合金:商品名ステライト)が被覆されることが好ましい。更に、当該硬質材料で被覆した箇所に比べて相対的に弱くなった周辺部位の壊食が進んでポンプの運転に影響してしまうことが懸念される。そのため、特にキャビテーション壊食が顕著となる吸込口9a側端部は、第1の硬質層121,221,321と第2の硬質層122,222,322にて2重に被覆され、更に、吸込口9aから離れるに従って、硬質層は第1の硬質層121のみの1重で被覆されることが好ましい。
図2Bは、図1Cにおける領域R2を拡大した図である。図2Bに示すように、隔壁15には、第1の硬質層23と、第2の硬質層24が形成されている。第1の硬質層23は、隔壁15に、硬質材料であるCo基合金(例えば商品名ステライト)がレーザで肉盛溶接されることにより形成されている。第2の硬質層24は、第1の硬質層23の上に、硬質材料であるCo基合金(例えば商品名ステライト)がレーザで肉盛溶接されることにより形成されている。隔壁15は、液体の流れの中でキャビテーションに起因する気泡が発生し、この気泡がケーシングの内側表面で崩壊することにより壊食が起こりやすい。一方、この構成によれば、この隔壁15に対して、硬質材料がレーザで肉盛溶接されているので、壊食が起こりやすい部位の壊食を低減することができる。
図3は、図1におけるインペラ9をケーシング3内に収容した状態を示す図である。図3に示すように、舌部3a1、3a2には、第1の硬質層521,621と、第2の硬質層522,622が形成されている。第1の硬質層521,621は、基材520に、硬質材料であるCo基合金(例えば商品名ステライト)がレーザで肉盛溶接されることにより形成されている。第2の硬質層522,622は、第1の硬質層521,621の上に、硬質材料であるCo基合金(例えば商品名ステライト)がレーザで肉盛溶接されることにより形成されている。舌部3a1、3a1は、渦巻きケーシング3の捲き始め端部であって、キャビテーション壊食が起こりやすい。
図2A,図2B、図3にて上述したように、硬質層を2層重ねることにより、施工厚さの増加による壊食寿命の向上や硬質層の品質の安定化が期待できる。第1の硬質層には肉盛溶接時に基材(例えばSUS316)が硬質層に溶け込むことによる硬質層の品質(耐久性)の低下が懸念されるが、第2の硬質層には基材が溶け込むことがないために第1層よりも優れた品質(耐久性)が期待できる。また、硬質材料がレーザで肉盛溶接されると入熱量が少ないため、2重に肉盛溶接を行うことができる。
また、第1の硬質層と、第2の硬質層の施工範囲の広さは同じであったり逆転したりしてもよい。上述では、第1の硬質層の方が第2の硬質層よりも施工範囲が広いが、第1の硬質層と第2の硬質層の施工範囲が同じであったり、第1の硬質層のみで硬質層を形成されていたりしても良い。
また、硬質層の施工範囲は後述する計測方法で得られたキャビテーション壊食範囲の計測結果と安全係数に基づいて決定する。安全係数はポンプの用途や期待寿命、キャビテーション壊食リスクを考慮した上で設計者が任意に設定してもよい。
<第2の実施形態>
続いて図4A〜図4Eにて第2の実施形態について説明する。図4Aは、第2の実施形態に係るポンプの模式図である。図4B、図4C、図4D、図4Eは、第2の実施形態に係るポンプのインペラの模式図である。なお、図4A〜図4Eにて第1の実施形態と同等の機能を有する部品は、同じ符号を用い説明を省略する。
図4Aに示す第2の実施形態に係るポンプ1000は単段の片吸込み渦巻きポンプである。このポンプ1000は、横形のポンプであって、インペラ1009と、インペラ1009が収容されたケーシング1003と、インペラ1009が固定された回転軸7と、回転軸7を支持する2つの軸受14A,14Bを備えている。なお、インペラ1009は片吸込みのクローズドインペラである。
図4Bは、図4Aに示すインペラ1009を吸込み側から見た図であり、図4Cは、インペラ1009の軸線を通る断面図である。インペラ9は、複数の翼1009cと、回転軸7が嵌合する孔1123aが形成されたボス部1123と、ボス部1123に接続された主板1009dと、流入口1009aを有する側板1009eを備えている。主板1009dは吐出し側シュラウド、側板1009eは吸込側シュラウドとも呼ばれる。複数の翼1009cは、孔1123aの周囲(すなわち、ボス部1123の周囲)に等間隔で配列されている。複数の翼1009cは、側板1009eと主板1009dとの間に配置されており、かつ側板1009eと主板1009dとボス部1123に固定されている。
図4Bに示すように、翼1009cは、側板1009eの開口(吸込口1009a)に対面する部位に硬質層32が形成されている。翼1009cは、側板1009eと主板1009dとの間に配置されているが、側板1009eの開口に対面する部位であれば、当該開口から工具がアクセスしやすいため、溶接作業が容易である。また、翼9と同様に、吸込口1009aの直近は搬送液の圧力が低下しており、気泡ができやすくキャビテーション壊食が顕著になる。そのため、翼1009は、側板1009eの開口に対面する部位に、硬質層が形成されるとよい。なお、翼9cが側板9eと主板9dとの間に配置されている第1の実施形態の両吸込みのインペラ9も同様に、翼9cの側板9eの開口に対面する部位に、硬質層を形成するとよい。
本実施形態では、図4Cに示すように、インペラ1009の流入口1009a側の翼1009cに、硬質層32として、第1の硬質層1031と、第2の硬質層1032が形成されている。第1の硬質層1031は、インペラ1009の翼1009cの基材1030(例えば、ステンレス)の表面に、硬質材料であるCo基合金(例えば商品名ステライト)がレーザで肉盛溶接されることにより形成されている。第2の硬質層1032は、第1の硬質層1031の表面上に重ねて、硬質材料であるCo基合金(例えば商品名ステライト)がレーザで肉盛溶接されることにより形成されている。
また、側板1009eは、その開口(吸込口1009a)に、図2A,2Bに示した硬質層121,122と同様の硬質層1131,1132が形成されている。また、ボス部1123には、図2A,2Bに示した硬質層221,222と同様の硬質層1231,1232が形成されている。
ここで、図4Dは、図4CのXにおける拡大断面図である。インペラ1009は、クローズドインペラであって、複数の翼1009cは、接続部1009c1,1009c2にて、側板1009eと主板1009dとの間に配置されている。そのため、硬質層1031並びに1032の肉盛り溶接時に発生する熱にて翼1009cの膨張が発生し、溶接完了時に残留応力が残り、溶接の冷却過程において結果インペラ1009の形状が変形するおそれがある。このような残留応力の問題は、入熱量が少ないレーザにて溶接する際にも発生する。よって、硬質層1031,1032をレーザにて肉盛溶接する際には、施工する前後、もしくは施工中に『振動式残留応力除去』を実施するとよい。なお、翼9が側板9eと主板9dとの間に配置されている第1の実施形態のインペラ9も同様に、硬質層321,322をレーザにて肉盛溶接する際には、施工する前後、もしくは施工中に『振動式残留応力除去』を実施するとよい。なお、『振動式残留応力除去』は、硬質層1031,1032、321,322以外の硬質層を肉盛溶接する際にも実施されるとよい。
また、図4Eに示すように、ケーシング1003は、ライナーリング19の直近上流で搬送液の流れがケーシング3に沿って湾曲する箇所(水流F3の流路)に、図2A,2Bに示した硬質層21,22と同様の硬質層1231,1232が形成されている。また、ケーシング1003は、インペラ1009の吐出し口と対向する箇所し、水流F2の流れ方向を吐出し口36の方向に変える箇所に、図2A,2Bに示した硬質層421,422と同様の硬質層1331,1332が形成されている。
第2の実施形態におけるポンプ1000においても、インペラ1009の吸込み側の圧力は吐出し側より低く、インペラ1009および/またはケーシング1003は、キャビテーションが発生しやすい。また、翼1009cは、吸込み側の部位の方が吐出し側の部位に比べて壊食が起こりやすい。よって、図4Cのように、翼1009cの吐出し側の部位に比べて吸込み側の部位のステライトのレーザ肉盛溶接の回数が多い。これにより、壊食が起こりやすい羽根の吸込み側の部位を硬質材料の肉盛で補強することができるので、羽根の吸込み側の部位の壊食を抑制することができる。換言すれば、インペラの翼1009cに形成された硬質層は、吐出し側に比べて吸込み側の硬質層が厚い。これにより、搬送流体が液体のポンプの羽根車は吐出し側に比べて吸込み側のキャビテーション壊食が大きくなる傾向があるが、吐出し側に比べて吸込み側の硬質層を厚くすることによって、インペラの翼における壊食をより均等に抑制することができる。一実施形態では、翼1009cの吐出し側の部位に比べて吸込み側側の部位のステライト層が厚く且つ優れた品質である。これにより、壊食が起こりやすいインペラ1009の吸込み側の部位の壊食を抑制することができる。
なお、上述した全ての実施形態において、第1の硬質層と、第2の硬質層の施工範囲の広さは同じであったり逆転したりしてもよい。すなわち図2では第1の硬質層31の方が第2の硬質層32よりも施工範囲が広いが、第1の硬質層31と第2の硬質層32の施工範囲が同じであったり、第1の硬質層31のみであったり、第2の硬質層32の範囲が第1の硬質層31(つまり、一重の硬質層)であっても良い。
図5は、基材に上述の実施例における硬質材料であるステライトをレーザにて肉盛溶接した場合と他の手法による肉盛り溶接した場合との壊食試験における結果である。図5に示すグラフは、縦軸が平均壊食深さで、横軸が試験時間である。図5に示すように、レーザを用いた肉盛溶接は、二相ステンレスによる溶接より遙かに壊食が少なく、TIG(Tungsten Inert Gas)を用いた肉盛りよりも壊食が少ない。ここでTIG溶接は、電気を用いたアーク溶接方法の一種である。よって、レーザを用いた肉盛溶接が上記他の手法よりも壊食の低減に有効である。
図5の試験結果は、ASTM Designation, G32-98, Anuual Bools of ASTM Standards, (2000), 107-120に基づいて、磁歪振動試験装置を用いた静置試験片法で行われた。振動子の増幅ホーンの先端に耐壊食性に優れたTi-6AI-4Vのディスクを取り付けて、このディスクと平行に隙間を1mm隔てて試験片を対向させて設置し、振動ディスクの端面より発生するキャビテーション気泡を試験面にさらして壊食が起こされた。振動子の共振周波数は19kHz、ディスクの全振幅は50μmである。ディスクは10時間使用する毎に新しいものに交換された。試験液は腐食性の極めて少ないイオン交換水を用い、液温は恒温装置を介して25±1℃に保持された。平均壊食深さ(MDE)は試験後の断面曲線をX、Y、2箇所測定し、測定データから壊食部の面積を計算し評価長さで除して算出された。
以上、上述の実施形態に係るポンプ1は、インペラ9と、インペラ9を収容するケーシング3と、を備える。ケーシング3は、吸込側流路11と吐出側流路13を隔てる隔壁15を有しており、インペラ9及び/またはケーシング3及び/または隔壁15は、ステライトがレーザで肉盛溶接されたステライト層が形成されている。
この構成によれば、レーザ溶接は入熱量が少ないので、施工対象に与える熱ひずみ及び残留応力が少なく、インペラの翼などの薄肉部にも施工できる。またステライトをレーザ溶接すると、ガス溶接肉盛、TIG溶接肉盛、紛体プラズマ溶接肉盛、溶射によるコーティング等よりも、キャビテーションによる壊食を低減することができる。これにより、インペラの翼などの薄肉部において、キャビテーションによる壊食をより低減することができる。
上述の実施形態では、インペラ9の一部、ケーシング3の一部または隔壁15の一部は、二重にステライトがレーザ溶接されている。この構成によれば、更にキャビテーションによる壊食をより低減することができる。
第1の実施形態では、ケーシング3のうち当該インペラ9に対向する部位に、ステライトがレーザで肉盛溶接されている。インペラ9に対向する部位は、液体の流れの中でキャビテーションに起因する気泡が発生し、この気泡がケーシング3の内側表面で崩壊することにより壊食が起こりやすい。一方、この構成によれば、このインペラ9に対向する部位に対して、ステライトがレーザで肉盛溶接されているので、壊食が起こりやすい部位の壊食を低減することができる。
なお、第1の実施形態では、一例としてインペラ9は、クローズインペラ(Closed Impeller)として説明したが、これに限ったものではなく、インペラ9は、オープンインペラ(Open Impeller)であってもよい。その場合、図6のように、ステライト層が設けられていてもよい。また、上述の効果は第2の実施形態においても同様の効果を奏す。
図6は、上述の実施形態の変形例に係るインペラの模式図である。上述したインペラは、クローズドインペラであって、遠心ポンプ及び斜流ポンプで側板のあるインペラであった。本変形例は、オープンインペラであって、側板のないインペラである。また、本変形例は、主板が羽根外周まであるセミオープン形インペラ,主板を極力短くした“フルオープン形インペラにも適用できる。図6に示すように、インペラ9の2つの流入口9a側の翼91に、第1の硬質層41と、第2の硬質層42が形成されている。第1の硬質層41は、インペラ9の翼91の表面上に、硬質材料(例えば、Co基合金:商品名ステライト)がレーザで肉盛溶接されることにより形成されている。第2の硬質層42は、第1の硬質層41の上に、硬質材料(例えば、Co基合金:商品名ステライト)がレーザで肉盛溶接されることにより形成されている。
第1の硬質層41と、第2の硬質層42の施工範囲の広さは同じであったり逆転したりしてもよい。すなわち図2では第1の硬質層41の方が第2のステライト層42よりも施工範囲が広いが、第1の硬質層41と第2のステライト層32の施工範囲が同じであったり、第2の硬質層42の施工範囲の方が広かったりしても良い。
硬質層の施工範囲は一例として、後述する図10のステップS22、23の説明で述べる計測方法で得られたキャビテーション壊食範囲の計測結果と安全係数に基づいて決定する。安全係数はポンプの用途や期待寿命、キャビテーション壊食リスクを考慮した上で設計者が任意に設定してもよい。
<ポンプの補修方法>
続いて、既設のポンプに対するポンプの補修方法について図7を用いて説明する。図7は.上述の実施形態に係るポンプの補修方法の一例を示すフローチャートである。一例としてポンプについて、上ケーシングが外されているものとして説明する。以下、硬質層は、一例として、硬質材料としてCo基合金(商品名ステライト)がレーザで肉盛溶接されることにより形成されるとし、ステライト層と称する。
(ステップS11)まず、ケーシングの壊食部位及び/またはインペラの壊食部位における壊食によって生じた凹凸面を削る。
(ステップS12)次に、ステップS11で壊食部位を削った後に、当該ケーシングの壊食部位及び/またはインペラの壊食部位に対して、ステライトをレーザで肉盛溶接する。
(ステップS13)次に、ケーシングの特定部位及びインペラの特定部位に対して、更にステライトをレーザで肉盛溶接する。ここでケーシングの特定部位は、キャビテーションによる壊食が起こりやすい部位で、例えば図2の第2のステライト層22が形成されている部位及び/または図3の第2のステライト層24が形成されている部位に相当する。インペラの特定部位は、キャビテーションによる壊食が起こりやすい部位で、例えば図4Bの第2のステライト層1032が形成されている翼1009cに相当する。なお、キャビテーションの発生状況や発生予測から硬質層を2重にする必要がないと判断されれば、本ステップは省略されてもよい。
この構成によれば、ステライトをレーザ溶接すると、ガス溶接肉盛、TIG溶接肉盛、紛体プラズマ溶接肉盛、溶射によるコーティング等よりも、キャビテーションによる壊食を低減することができるので、既設のポンプのキャビテーションによる壊食を低減することができる。またレーザ溶接は入熱量が少ないので、施工対象に与える熱ひずみ及び残留応力が少なく、インペラの翼やケーシングの舌部などの薄肉部にも必要に応じて2重で施工できるので、翼などの薄肉部において、キャビテーションによる壊食をより低減することができる。
<第3の実施形態>
続いて第3の実施形態について説明する。図8(A)は第3の実施形態に係るポンプの一例を示す断面図である。第1の実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。図8(B)は図8(A)のA−A矢視図である。図8(B)に示すように、隔壁15の領域51は、比較的、キャビテーションによる壊食が小さい領域であるので、この領域51には硬質層として、Co基合金(商品名ステライト)がレーザで肉盛溶接されたステライト層が形成されている。
隔壁15の領域52は、領域51よりもキャビテーションによる壊食が大きい領域であるので、この領域52にはステライト層がレーザ肉盛溶接によって2重に形成されたステライト層が形成されている。すなわち、この領域52には、ステライト層が2層形成されている。
インペラ9の吸込口の周辺(ライナーリング19の周辺)のケーシングは、キャビテーションによる壊食が発生しやすい。よって、隔壁15は、インペラ9の吸込口(ライナーリング19の周辺)に近いほどレーザによるステライトの層数を増やすとよい。換言すれば、隔壁15において、インペラ9の吸込口に近いほどステライト層が厚い。この構成により、隔壁15におけるキャビテーションによる壊食が抑制することができる。
<第3の実施形態の変形例>
なお、第3の実施形態では、片側の隔壁15に、レーザによる肉盛溶接によって形成されたステライト層が形成されているとして説明したが、これに限ったものではない。図9(B)に示すように、両側の隔壁15に、レーザによる肉盛溶接によって形成されたステライト層が形成されていてもよい。図9(A)は第3の実施形態の変形例に係るポンプの一例を示す断面図である。第1の実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。図9(B)は図9(B)のB−B矢視図またはB’−B’矢視図である。
図9(B)に示すように、隔壁15の領域61は、比較的、キャビテーションによる壊食が小さい領域であるので、この領域61には、硬質層の一例として、Co基合金(商品名ステライト)がレーザで肉盛溶接されたステライト層が形成されている。
隔壁15の領域62は、領域61よりもキャビテーションによる壊食が大きい領域であるので、この領域62にはステライト層がレーザ肉盛溶接によって2重に形成されたステライト層が形成されている。すなわち、この領域62には、ステライト層が2層形成されている。
続いて図10を用いて、第3の実施形態に係るポンプの補修方法について説明する。図10は、第1の実施形態に係るポンプの補修方法の一例を示すフローチャートである。
(ステップS21)まず作業員は、メンテナンスするポンプ部品を既設配管より取り外す。例えば作業員は、現地で溶接する場合や、羽根車やライナーリングなど分解できる部品のみメンテナンスする場合は、下ケーシングを配管に残し、上ケーシングを取り外し、メンテナンス部品を取り外してもよい。
(ステップS22)次に作業員は、キャビテーション壊食を計測する。計測方法は非破壊検査とし、作業員は、羽根車とケーシングの壊食を計測する。計測方法は例えば、3Dスキャナによる計測、レプリカ樹脂による壊食形状の転写等、または目視による壊食範囲の確認である。
(ステップS23)次に作業員は、ステライト溶接の施工範囲を決定する。
例えば、ステップS22で壊食が確認された範囲(面積や距離)に安全係数を掛け合わせた領域に対しては、作業員は、その領域を1層分、ステライト肉盛溶接を施工することに決定する。安全係数はポンプの用途や期待寿命、キャビテーション壊食リスクを考慮した上で設計者が任意に設定してもよい。
例えば、ステップS22で壊食が確認された範囲は特に壊食しやすい領域であるために、作業員は、その領域を2層分、硬質材料の一例であるCo基合金(商品名ステライト)の肉盛溶接を施工することに決定する。
但し、一実施形態として、ステップS22で壊食が確認された範囲(面積や距離)に安全係数を掛け合わせた領域に対しても、作業員は、その領域を2層分、硬質材料の一例であるCo基合金の肉盛溶接を施工することに決定してもよい。
これは、施工コストや熱による歪みや残留応力に対するリスク管理よりも、キャビテーション壊食対策が優先される場合にはステライト層を2層に施工する判断が必要となるからである。
また、別の一実施形態として、ステップS22で壊食が確認された範囲(特に壊食しやすい領域)であっても、作業員は、その領域を1層分、ステライト溶接することに決定してもよい。
これは、比較的入熱量が少ないレーザ肉盛であるが、部材に対して入熱による影響を及ぼすため、キャビテーション壊食対策よりも熱による歪みや残留応力に対するリスク管理が優先される場合にはステライト層を1層のみに留める判断が必要となるからである。また、一実施形態として、例えば、特許文献3に示すようなキャビテーションによって生じる流体機械の壊食を予測する方法を用いたシミュレーションソフトにて予測された壊食形状を基にステライト層の施工範囲を決定してもよい。
(ステップS24)次に作業員は、溶接の前加工を実行する。例えば作業員は、壊食面に削り加工等を行って、肉盛りしやすくする。
(ステップS25)次に作業員は、1層目のステライト層を形成するために、レーザでステライトを肉盛溶接する。
(ステップS26)次に作業員は、2層目のステライト層を形成するために、レーザでステライトを更に肉盛溶接する。
ステライトをレーザ溶接すると、入熱量が少ないため、基材との混合による品質の低下が生じにくい。入熱量が少ないため複数層の肉盛りが可能である。インペラのブレードなどの薄肉部品にレーザ肉盛を実施すると過大な残留応力や歪みが生じる恐れがある。特に、構造的に主板からの拘束を強くうけるクローズドインペラにおいてはレーザ肉盛をもってしても歪みや高い残留応力が生じる恐れがある。そこで作業員は、ステライト肉盛を施工する前後、もしくは施工中に『振動式残留応力除去』を実施するとよい。
(ステップS27)次に作業員は、取り外したポンプ部品を元に戻す。例えば作業員は、取り外したポンプ部品を元に戻すのに併せて、ライナーリング等の交換部品の交換を行ってもよい。ここで、一般的に壊食が大きいとされるライナーリングはステップ22での壊食量に関わらず、ステライト溶接されたものを用いるとよい。また、ライナーリングとケーシングとの隙間にてポンプの性能が変わるため、ライナーリングは補修せずに、新品と交換されるとよい。
続いて、図10に示すS23からS26に至る工程の自動化システムについて説明する。図11は、当該自動化システムの概略構成図である。
図11に示すように、システムSは、情報処理装置2040と、情報処理装置2040に接続された表示装置2050と情報処理装置2040に接続された溶接機2051と加工機2051とを備える。情報処理装置2040は、ストレージ2041と、メモリ2042と、入力インタフェース2043と、出力インタフェース2044と、通信回路2045と、プロセッサ2046を備える。
ここでストレージ2041には、プロセッサ2046が読み出して実行するための本実施形態に係るプログラム及び各種のデータが格納されている。また、ストレージ2041には、メンテナンスするポンプの形状や製品仕様等に関する設計データを識別する情報である設計データID、当該設計の仕様、当該設計の設計データファイル等が関連付けられて記憶されている。なお、設計データファイルは、少なくとも3Dデータによるポンプの形状を含むとよい。メモリ2042は、データ及びプログラムを一時的に保持する。メモリ2042は、揮発性メモリであり、例えばRAM(Random Access Memory)である。
入力インタフェース2043は、情報処理装置2040の使用者から情報(壊食量や各種パラメータなど)が入力される。
出力インタフェース2044は、外部の表示装置2050、溶接機2051及び加工機2052に情報を出力する。
通信回路2045は、ネットワークに接続されて、ネットワークを介して他のコンピュータと通信する。
プロセッサ2046は、ストレージ2041からプログラムをメモリ2042にロードし、当該プログラムに含まれる一連の命令を実行する。
以下、システムSについて、図10のステップに沿って説明する。
(ステップS21)作業者がメンテナンス部品を取り外し、当該メンテナンス部品をシステムSに設置する。
(ステップS21)次に作業員は、キャビテーション壊食量を計測し、入力インタフェース2043に入力する。
(ステップS23)プロセッサ2046は、入力されたキャビテーション壊食量、作業者によって設定された各種パラメータ、及びメンテナンスするポンプの設計データの少なくとも一つに基づいて、硬質層の施工範囲を決定する。本実施形態ではプロセッサ2046は、ステップS22で壊食が検出された範囲(面積や距離)を2層の硬質層とし、当該範囲に所定の安全係数を掛け合わせた領域を1層の硬質層としてもよい。
もしくは一実施形態では、プロセッサ2046は、ステップS22で所定量(もしくは設定基準)以上の壊食量が確認された範囲を2層の硬質層とし、当該所定量もしくは設定基準)未満の壊食量が確認された範囲を1層の硬質層としてもよい。また、プロセッサ2046は、ポンプの用途や期待寿命等の設計データ並びに、キャビテーション壊食のリスク等の各種パラメータに基づいて施工範囲を決定してもよい。例えば、ステップS22で壊食が検出された範囲は特に壊食しやすい領域であるために、プロセッサ2046は、その領域を2層の硬質層とすることに決定してもよい。しかしながら、プロセッサ2046は、例えば、作業者によって、施工コストや熱による歪みや残留応力に対するリスク管理よりも、キャビテーション壊食対策が優先される、といったパラメータが入力された場合には、本来ならば1層の硬質層とする領域を2層の硬質層にしてもよい。
一方、比較的入熱量が少ないレーザ肉盛であるが、部材に対して入熱による影響を及ぼすため、キャビテーション壊食対策よりも熱による歪みや残留応力に対するリスク管理が優先される、といったパラメータが作業者より入力されたら、本来2層の硬質層とする範囲であっても、プロセッサ2046は、その範囲を1層の硬質層とすることに決定してもよい。
また、情報処理装置2040のストレージ2041はキャビテーションによって生じる流体機械の壊食を予測する方法を用いたシミュレーションソフトが記憶され、プロセッサ2046がこのシミュレーションソフトを実行して壊食量を予測してもよい。その場合、プロセッサ2046は、計測された壊食量に代えて予測された壊食量と、各種パラメータと、設計データと、を基に硬質層の施工範囲を決定してもよい。この場合、ステップS21の処理は、なくてもよい。
また、情報処理装置2040のプロセッサ2046は、メンテナンス部品に応じて、ストレージ2041に予め施工範囲を記憶し、当該記憶された施工範囲と、各種パラメータと、設計データと、を基に硬質層の施工範囲を決定してもよい。例えば、メンテナンス部品がポンプ1のインペラ9であれば、プロセッサ2046硬質層121、122、221、222、321、322に示す領域のうち少なくともひとつと、各種パラメータと、設計データと、を基に硬質層の施工範囲を決定してもよい。情報処理装置2040のプロセッサ2046はメンテナンス部品がポンプ1のケーシング3であれば、硬質層21、22、421、422に示す領域のうち少なくともひとつと、各種パラメータと、設計データと、を基に硬質層の施工範囲を決定してもよい。この場合、ステップS21の処理は、なくてもよい。
なお、本ステップにて決定された硬質層の施工範囲は、プロセッサ2046によってポンプ形状と関連付けてメモリ2042に記憶されるとよい。
(ステップS24)次に情報処理装置2040のプロセッサ2046は、溶接の前加工を実行するため、加工機2052に施工範囲における前加工の指令を出力する。当該指令を受けた加工機2052は、メンテナンス部品の施工範囲に前加工を実施する。前加工は例えば、削り加工であって、当該加工によって、肉盛り溶接がしやすくする。なお、情報処理装置2040は、ポンプの形状の3Dデータ関連付けられた硬質層の施工範囲を指令するとよい。
(ステップS25)次に情報処理装置2040のプロセッサ2046は、1層目の硬質層(ここでは一例としてステライト層)を形成するために、施工範囲に硬質材料がレーザで肉盛溶接された硬質層を形成するよう(ここでは一例としてレーザでステライトを肉盛溶接するよう)溶接機2051に指令を出す。当該指令を受けた溶接機2051は施工範囲に対してレーザでステライトを肉盛溶接する。なお、情報処理装置2040は、ポンプの形状の3Dデータ関連付けられた硬質層の施工範囲を指令するとよい。
(ステップS26)次に情報処理装置2040のプロセッサ2046は、2層目のステライト層を形成するために、施工範囲にレーザで2層目のステライトを肉盛溶接するよう溶接機2051に指令を出力する。当該指令を受けた溶接機2051は施工範囲に対してレーザでステライトを肉盛溶接する。ここで、構造的に主板、側板からの拘束を強くうけるクローズドインペラにおいてはレーザ肉盛をもってしても歪みや高い残留応力が生じる恐れがある。そこで、プロセッサ2046は、残留応力が生じると判断したら、ステライト肉盛を施工する前後、もしくは施工中に『振動式残留応力除去』を実施するよう、溶接機2051に指令を出すとよい。当該指令を受けた溶接機2051は、ステライト肉盛を施工する前後、もしくは施工中に『振動式残留応力除去』を実施する。
硬質層の肉盛り溶接が完了すると、溶接機2051は完了した旨を伝える信号を情報処理装置2040に出力する。当該完了の出力を受けた情報処理装置2040のプロセッサ2046は、出力インタフェース2044を介して作業者に作業完了を報知する。
(ステップS27)次に作業員は、ポンプ部品をシステムSから取り外し、当該取り外したポンプ部品を元の設置位置に戻す。例えば作業員は、取り外したポンプ部品を元に戻すのに併せて、ライナーリング等の交換部品の交換を行ってもよい。ここで、一般的に壊食が大きいとされるライナーリングはステップ22での壊食量に関わらず、ステライト溶接されたものを用いるとよい。また、ライナーリングとケーシングとの隙間にてポンプの性能が変わるため、ライナーリングは補修せずに、新品と交換されるとよい。
以上、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1 ポンプ
3 ケーシング
3a 取付面
3b 環状溝
3c 外面
3e ロック穴
3A 上ケーシング
3B 下ケーシング
7 回転軸
8A,8B 軸封装置
9 インペラ
9a 流入口
9b 吐出し口
11 吸込側流路
13 吐出側流路
14A,14B 軸受
15 隔壁
19 ライナーリング
19a 外周面
21、23、31、41 第1のステライト層
22、24、32、42 第2のステライト層
91 インペラ翼

Claims (17)

  1. 搬送流体が水であるポンプであって、
    複数の翼を備えたインペラと、
    前記インペラを収容するケーシングと、
    を備え、
    流路を形成する前記インペラ及び/または前記ケーシングの少なくとも一部には、硬質材料がレーザで肉盛溶接された硬質層が形成されているポンプ。
  2. 前記硬質層は、前記インペラの吸込側に形成されている、
    請求項1に記載のポンプ
  3. 前記硬質層は、前記インペラの吸込口より軸方向内側の部位に形成されている、
    請求項1または2に記載のポンプ。
  4. 前記硬質層は、前記インペラの側板によって形成された吸込口より軸方向内側の部位に形成されている、
    請求項1から3のいずれか一項に記載のポンプ。
  5. 前記ケーシング内には、前記インペラの流入口に連通する吸込側流路と、前記インペラの吐出口に連通する吐出側流路とが形成されており、
    前記ポンプは、前記インペラに所定の隙間を介して対向し、且つ、前記ケーシングに取り付けられる環状のライナリングを有し、
    前記インペラにて加圧された吐出側流路内の前記搬送流体の一部が、前記隙間から前記吸込側流路へと吐出され、
    前記硬質層は、当該吸込側流路に吐出された前記搬送流体の流れと、前記インペラへと流入する前記搬送流体の流れとが、衝突する流路を形成する部位に形成される、
    請求項1から4のいずれか一項に記載のポンプ。
  6. 前記ケーシングのうち前記インペラに対向する部位に、前記硬質層が形成されている
    請求項1から5のいずれか一項に記載のポンプ。
  7. 前記硬質層は、前記ケーシングのうち前記インペラの流路入口外周に対向する部位に形成されている
    請求項1から6のいずれか一項に記載のポンプ。
  8. 前記硬質層は、前記ケーシングのうち前記インペラの吐出し口に対向する部位に形成されている
    請求項1から7のいずれか一項に記載のポンプ。
  9. 当該ポンプは、
    前記インペラの左右両方から均等に流体を吸込んで加速する両吸込である前記インペラを備えた横軸両吸込み渦巻きポンプである、
    請求項1から8のいずれか一項に記載のポンプ。
  10. 前記ケーシングは、吸込側流路と吐出側流路を隔てる隔壁を有しており、
    前記硬質層は、前記隔壁に形成されている
    請求項1から9のいずれか一項に記載のポンプ。
  11. 前記硬質層は、前記隔壁において、前記インペラの吸込口に近いほど硬質層が厚い
    請求項10に記載のポンプ。
  12. 前記インペラ及び/または前記ケーシングに形成された前記硬質層の少なくとも一部は、二重に硬質材料がレーザ溶接される
    請求項1から11のいずれか一項に記載のポンプ。
  13. 前記インペラの翼に形成された前記硬質層は、吐出し側に比べて吸込み側の硬質層が厚い
    請求項1から12のいずれか一項に記載のポンプ。
  14. 前記硬質材料は、Co基合金であることを特徴とする、
    請求項1から13のいずれか一項に記載のポンプ。
  15. ケーシングの壊食部位及び/またはインペラの壊食部位の表面を削る工程と、
    前記削った後に、当該ケーシングの壊食部位及び/またはインペラの壊食部位に対して、硬質材料をレーザで肉盛溶接する工程と、
    を有するポンプの補修方法。
  16. 前記硬質材料をレーザで肉盛溶接する工程において、振動式残留応力除去を実施する工程を有する、
    請求項15に記載のポンプの補修方法。
  17. 対象部品に前加工を実施する加工機に接続され、当該対象部品にレーザで肉盛溶接を施す溶接機に接続された出力インタフェースと、
    前記出力インタフェースを制御するプロセッサと、
    を備え、
    前記プロセッサは、キャビテーション壊食量、作業者によって設定された各種パラメータ、及びメンテナンスするポンプの設計データの少なくとも一つに基づいて、硬質層の施工範囲を決定し、
    前記決定された施工範囲における前加工の指令を前記加工機へ出力し、
    前記決定された施工範囲に、硬質材料がレーザで肉盛溶接された硬質層を形成するよう前記溶接機に指令を出力する情報処理装置。
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