JP2020190226A - ポンプ、ポンプの補修方法及び情報処理装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また、壊食の発生部位に溶接にて硬質材料を被覆する施工過程において、熱ひずみ及び残留応力等の問題発生が懸念される。溶接時の入熱等の影響による変形を抑制しつつ施工が可能であり、且つ、長期間運転されるポンプのキャビテーションによる壊食をより低減できることが望ましい。
続いて図4A〜図4Eにて第2の実施形態について説明する。図4Aは、第2の実施形態に係るポンプの模式図である。図4B、図4C、図4D、図4Eは、第2の実施形態に係るポンプのインペラの模式図である。なお、図4A〜図4Eにて第1の実施形態と同等の機能を有する部品は、同じ符号を用い説明を省略する。
第1の硬質層41と、第2の硬質層42の施工範囲の広さは同じであったり逆転したりしてもよい。すなわち図2では第1の硬質層41の方が第2のステライト層42よりも施工範囲が広いが、第1の硬質層41と第2のステライト層32の施工範囲が同じであったり、第2の硬質層42の施工範囲の方が広かったりしても良い。
硬質層の施工範囲は一例として、後述する図10のステップS22、23の説明で述べる計測方法で得られたキャビテーション壊食範囲の計測結果と安全係数に基づいて決定する。安全係数はポンプの用途や期待寿命、キャビテーション壊食リスクを考慮した上で設計者が任意に設定してもよい。
続いて、既設のポンプに対するポンプの補修方法について図7を用いて説明する。図7は.上述の実施形態に係るポンプの補修方法の一例を示すフローチャートである。一例としてポンプについて、上ケーシングが外されているものとして説明する。以下、硬質層は、一例として、硬質材料としてCo基合金(商品名ステライト)がレーザで肉盛溶接されることにより形成されるとし、ステライト層と称する。
続いて第3の実施形態について説明する。図8(A)は第3の実施形態に係るポンプの一例を示す断面図である。第1の実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。図8(B)は図8(A)のA−A矢視図である。図8(B)に示すように、隔壁15の領域51は、比較的、キャビテーションによる壊食が小さい領域であるので、この領域51には硬質層として、Co基合金(商品名ステライト)がレーザで肉盛溶接されたステライト層が形成されている。
隔壁15の領域52は、領域51よりもキャビテーションによる壊食が大きい領域であるので、この領域52にはステライト層がレーザ肉盛溶接によって2重に形成されたステライト層が形成されている。すなわち、この領域52には、ステライト層が2層形成されている。
なお、第3の実施形態では、片側の隔壁15に、レーザによる肉盛溶接によって形成されたステライト層が形成されているとして説明したが、これに限ったものではない。図9(B)に示すように、両側の隔壁15に、レーザによる肉盛溶接によって形成されたステライト層が形成されていてもよい。図9(A)は第3の実施形態の変形例に係るポンプの一例を示す断面図である。第1の実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。図9(B)は図9(B)のB−B矢視図またはB’−B’矢視図である。
隔壁15の領域62は、領域61よりもキャビテーションによる壊食が大きい領域であるので、この領域62にはステライト層がレーザ肉盛溶接によって2重に形成されたステライト層が形成されている。すなわち、この領域62には、ステライト層が2層形成されている。
例えば、ステップS22で壊食が確認された範囲(面積や距離)に安全係数を掛け合わせた領域に対しては、作業員は、その領域を1層分、ステライト肉盛溶接を施工することに決定する。安全係数はポンプの用途や期待寿命、キャビテーション壊食リスクを考慮した上で設計者が任意に設定してもよい。
例えば、ステップS22で壊食が確認された範囲は特に壊食しやすい領域であるために、作業員は、その領域を2層分、硬質材料の一例であるCo基合金(商品名ステライト)の肉盛溶接を施工することに決定する。
但し、一実施形態として、ステップS22で壊食が確認された範囲(面積や距離)に安全係数を掛け合わせた領域に対しても、作業員は、その領域を2層分、硬質材料の一例であるCo基合金の肉盛溶接を施工することに決定してもよい。
これは、施工コストや熱による歪みや残留応力に対するリスク管理よりも、キャビテーション壊食対策が優先される場合にはステライト層を2層に施工する判断が必要となるからである。
また、別の一実施形態として、ステップS22で壊食が確認された範囲(特に壊食しやすい領域)であっても、作業員は、その領域を1層分、ステライト溶接することに決定してもよい。
これは、比較的入熱量が少ないレーザ肉盛であるが、部材に対して入熱による影響を及ぼすため、キャビテーション壊食対策よりも熱による歪みや残留応力に対するリスク管理が優先される場合にはステライト層を1層のみに留める判断が必要となるからである。また、一実施形態として、例えば、特許文献3に示すようなキャビテーションによって生じる流体機械の壊食を予測する方法を用いたシミュレーションソフトにて予測された壊食形状を基にステライト層の施工範囲を決定してもよい。
ステライトをレーザ溶接すると、入熱量が少ないため、基材との混合による品質の低下が生じにくい。入熱量が少ないため複数層の肉盛りが可能である。インペラのブレードなどの薄肉部品にレーザ肉盛を実施すると過大な残留応力や歪みが生じる恐れがある。特に、構造的に主板からの拘束を強くうけるクローズドインペラにおいてはレーザ肉盛をもってしても歪みや高い残留応力が生じる恐れがある。そこで作業員は、ステライト肉盛を施工する前後、もしくは施工中に『振動式残留応力除去』を実施するとよい。
ここでストレージ2041には、プロセッサ2046が読み出して実行するための本実施形態に係るプログラム及び各種のデータが格納されている。また、ストレージ2041には、メンテナンスするポンプの形状や製品仕様等に関する設計データを識別する情報である設計データID、当該設計の仕様、当該設計の設計データファイル等が関連付けられて記憶されている。なお、設計データファイルは、少なくとも3Dデータによるポンプの形状を含むとよい。メモリ2042は、データ及びプログラムを一時的に保持する。メモリ2042は、揮発性メモリであり、例えばRAM(Random Access Memory)である。
出力インタフェース2044は、外部の表示装置2050、溶接機2051及び加工機2052に情報を出力する。
通信回路2045は、ネットワークに接続されて、ネットワークを介して他のコンピュータと通信する。
なお、本ステップにて決定された硬質層の施工範囲は、プロセッサ2046によってポンプ形状と関連付けてメモリ2042に記憶されるとよい。
硬質層の肉盛り溶接が完了すると、溶接機2051は完了した旨を伝える信号を情報処理装置2040に出力する。当該完了の出力を受けた情報処理装置2040のプロセッサ2046は、出力インタフェース2044を介して作業者に作業完了を報知する。
3 ケーシング
3a 取付面
3b 環状溝
3c 外面
3e ロック穴
3A 上ケーシング
3B 下ケーシング
7 回転軸
8A,8B 軸封装置
9 インペラ
9a 流入口
9b 吐出し口
11 吸込側流路
13 吐出側流路
14A,14B 軸受
15 隔壁
19 ライナーリング
19a 外周面
21、23、31、41 第1のステライト層
22、24、32、42 第2のステライト層
91 インペラ翼
Claims (17)
- 搬送流体が水であるポンプであって、
複数の翼を備えたインペラと、
前記インペラを収容するケーシングと、
を備え、
流路を形成する前記インペラ及び/または前記ケーシングの少なくとも一部には、硬質材料がレーザで肉盛溶接された硬質層が形成されているポンプ。 - 前記硬質層は、前記インペラの吸込側に形成されている、
請求項1に記載のポンプ - 前記硬質層は、前記インペラの吸込口より軸方向内側の部位に形成されている、
請求項1または2に記載のポンプ。 - 前記硬質層は、前記インペラの側板によって形成された吸込口より軸方向内側の部位に形成されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載のポンプ。 - 前記ケーシング内には、前記インペラの流入口に連通する吸込側流路と、前記インペラの吐出口に連通する吐出側流路とが形成されており、
前記ポンプは、前記インペラに所定の隙間を介して対向し、且つ、前記ケーシングに取り付けられる環状のライナリングを有し、
前記インペラにて加圧された吐出側流路内の前記搬送流体の一部が、前記隙間から前記吸込側流路へと吐出され、
前記硬質層は、当該吸込側流路に吐出された前記搬送流体の流れと、前記インペラへと流入する前記搬送流体の流れとが、衝突する流路を形成する部位に形成される、
請求項1から4のいずれか一項に記載のポンプ。 - 前記ケーシングのうち前記インペラに対向する部位に、前記硬質層が形成されている
請求項1から5のいずれか一項に記載のポンプ。 - 前記硬質層は、前記ケーシングのうち前記インペラの流路入口外周に対向する部位に形成されている
請求項1から6のいずれか一項に記載のポンプ。 - 前記硬質層は、前記ケーシングのうち前記インペラの吐出し口に対向する部位に形成されている
請求項1から7のいずれか一項に記載のポンプ。 - 当該ポンプは、
前記インペラの左右両方から均等に流体を吸込んで加速する両吸込である前記インペラを備えた横軸両吸込み渦巻きポンプである、
請求項1から8のいずれか一項に記載のポンプ。 - 前記ケーシングは、吸込側流路と吐出側流路を隔てる隔壁を有しており、
前記硬質層は、前記隔壁に形成されている
請求項1から9のいずれか一項に記載のポンプ。 - 前記硬質層は、前記隔壁において、前記インペラの吸込口に近いほど硬質層が厚い
請求項10に記載のポンプ。 - 前記インペラ及び/または前記ケーシングに形成された前記硬質層の少なくとも一部は、二重に硬質材料がレーザ溶接される
請求項1から11のいずれか一項に記載のポンプ。 - 前記インペラの翼に形成された前記硬質層は、吐出し側に比べて吸込み側の硬質層が厚い
請求項1から12のいずれか一項に記載のポンプ。 - 前記硬質材料は、Co基合金であることを特徴とする、
請求項1から13のいずれか一項に記載のポンプ。 - ケーシングの壊食部位及び/またはインペラの壊食部位の表面を削る工程と、
前記削った後に、当該ケーシングの壊食部位及び/またはインペラの壊食部位に対して、硬質材料をレーザで肉盛溶接する工程と、
を有するポンプの補修方法。 - 前記硬質材料をレーザで肉盛溶接する工程において、振動式残留応力除去を実施する工程を有する、
請求項15に記載のポンプの補修方法。 - 対象部品に前加工を実施する加工機に接続され、当該対象部品にレーザで肉盛溶接を施す溶接機に接続された出力インタフェースと、
前記出力インタフェースを制御するプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、キャビテーション壊食量、作業者によって設定された各種パラメータ、及びメンテナンスするポンプの設計データの少なくとも一つに基づいて、硬質層の施工範囲を決定し、
前記決定された施工範囲における前加工の指令を前記加工機へ出力し、
前記決定された施工範囲に、硬質材料がレーザで肉盛溶接された硬質層を形成するよう前記溶接機に指令を出力する情報処理装置。
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