以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、給紙されたシートなどの用紙に画像を形成した後、その画像形成済みの用紙に対して主走査方向に折り目を形成するように折り処理を施し、形成された折り目を押圧することで折り目を補強して折り高さを低減させるように増し折り処理を施す画像形成装置を例として説明する。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、主走査方向に横架された増し折りローラと用紙を用紙面から支持する用紙支持板とを備え、その増し折りローラと用紙支持板とにより、折り処理装置によって形成された折り目をシート面の両面から挟み込むことでその折り目を押圧するようになっている。
このように構成された画像形成装置において、本実施形態に係る要旨の一つは、用紙支持板と増し折りローラとを互いに押し付け合うための力を、主走査方向における中央部付近において作用させることにある。これにより、本実施形態に係る画像形成装置は、主走査方向の全域にわたって均一に押圧力を発生させることが可能となる。従って、本実施形態に係る画像形成装置によれば、用紙に形成された折り目を効果的に補強することが可能となる。
まず、本実施形態に係る画像形成装置1の全体構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を簡略化して示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、画像形成ユニット2、折り処理ユニット3、増し折り処理ユニット4、スキャナユニット5により構成されている。
画像形成ユニット2は、入力された画像データに基づいてCMYK(Cyan Magenta Yellow Key Plate)の描画情報を生成し、生成された描画情報に基づいて、給紙された用紙に対して画像形成出力を実行する。折り処理ユニット3は、画像形成ユニット2から搬送されてきた画像形成済みの用紙に対して折り処理を実行する。増し折り処理ユニット4は、折り処理ユニット3から搬送されてきた折り処理済みの用紙に形成された折り目に対して増し折り処理を実行する。即ち、本実施形態においては、増し折り処理ユニット4が、シート処理装置として機能する。
スキャナユニット5は、複数のフォトダイオードが一列に並べられ、これに並列にCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の受光素子が配置されたリニアイメージセンサにより原稿を読み取ることで原稿を電子化する。尚、本実施形態に係る画像形成装置1は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能なMFP(MultiFunction Peripheral:複合機)である。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成について図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。尚、画像形成装置1は、図2に示すハードウェア構成に加えて、スキャナ、プリンタ、折り処理、増し折り処理等を実現するためのエンジンを備える。
図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等と同様の構成を含む。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス90を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60、操作部70及び専用デバイス80が接続されている。
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納される。
I/F50は、バス90と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
専用デバイス80は、画像形成ユニット2、折り処理ユニット3、増し折り処理ユニット4及びスキャナユニット5において専用の機能を実現するためのハードウェアであり、画像形成ユニット2においては、紙面上に画像形成出力を実行するプロッタ装置である。また、折り処理ユニット3においては、用紙を搬送する搬送機構や、搬送される用紙を折るための折り処理機構である。
また、増し折り処理ユニット4においては、折り処理ユニット3によって折り処理された上で搬送される用紙の折り目を補強するための増し折り処理機構である。また、スキャナユニット5においては、紙面上に表示されている画像を読み取る読取装置である。増し折り処理ユニット4に含まれる増し折り処理機構の構成が、本実施形態に係る要旨の1つである。
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10がRAM20にロードされたプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を模式的に示すブロック図である。尚、図3においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙若しくは文書束の流れを破線の矢印で示している。
図3に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ100、給紙テーブル110、プリントエンジン120、折り処理エンジン130、増し折り処理エンジン140、スキャナエンジン150、ADF(Auto Document Feeder:原稿自動搬送装置)160、排紙トレイ170、ディスプレイパネル180、ネットワークI/F190を有する。また、コントローラ100は、主制御部101、エンジン制御部102、入出力制御部103、画像処理部104及び操作表示制御部105を有する。
給紙テーブル110は、画像形成部であるプリントエンジン120に用紙を給紙する。プリントエンジン120は、画像形成ユニット2に備えられた画像形成部であり、給紙テーブル110から搬送されてきた用紙に対して画像形成出力を実行することにより画像を描画する。プリントエンジン120の具体的態様としては、インクジェット方式による画像形成機構や電子写真方式による画像形成機構等を用いることが可能である。このプリントエンジン120により画像が描画された画像形成済みの用紙は、折り処理ユニット3に搬送され、若しくは、排紙トレイ170に排紙される。
折り処理エンジン130は、折り処理ユニット3に備えられ、画像形成ユニット2から搬送されてきた画像形成済みの用紙に対して折り処理を施す。この折り処理エンジン130により折り処理が施された折り処理済みの用紙は、増し折り処理ユニット4に搬送される。増し折り処理エンジン140は、増し折り処理ユニット4に備えられ、折り処理エンジン130から搬送されてきた折り処理済みの用紙に形成された折り目に対して増し折り処理を施す。この増し折り処理エンジン140により増し折り処理が施された増し折り処理済みの用紙は、排紙トレイ170に排紙され、若しくは、ステープルやパンチ、製本処理等の後処理を実行する図示しない後処理ユニットへ搬送される。
ADF160は、スキャナユニット5に備えられ、原稿読取部であるスキャナエンジン150に原稿を自動搬送する。スキャナエンジン150は、スキャナユニット5に備えられ、光学情報を電気信号に変換する光電変換素子を含む原稿読取部であり、ADF160により自動搬送されてきた原稿、若しくは、図示しない原稿台ガラスにセットされた原稿を光学的に走査して読み取って画像情報を生成する。ADF160により自動搬送されてスキャナエンジン150により読み取られた原稿は、ADF160内蔵の排紙トレイに排紙される。
ディスプレイパネル180は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェースでもある。即ち、ディスプレイパネル180は、ユーザによる操作を受けるための画像を表示する機能を含む。ディスプレイパネル180は、図2に示すLCD60及び操作部70によって実現される。
ネットワークI/F190は、画像形成装置1がネットワークを介して管理者用端末等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェース、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi(Wireless Fidelity)、FeliCa(登録商標)等のインタフェースが用いられる。ネットワークI/F190は、図2に示すI/F50によって実現される。
コントローラ100は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM30やHDD40等の不揮発性記憶媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM20にロードされ、それらのプログラムに従ってCPU10が演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ100が構成される。コントローラ100は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
主制御部101は、コントローラ100に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ100の各部に命令を与える。また、主制御部101は、入出力制御部103を制御し、ネットワークI/F190及びネットワークを介して他の装置にアクセスする。エンジン制御部102は、プリントエンジン120、折り処理エンジン130、増し折り処理エンジン140、スキャナエンジン150等の駆動部を制御し若しくは駆動させる。入出力制御部103は、ネットワークI/F190及びネットワークを介して入力される信号や命令を主制御部101に入力する。
画像処理部104は、主制御部101の制御に従い、入力された印刷ジョブに含まれる文書データ若しくは画像データに基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、CMYKのビットマップデータ等のデータであり、画像形成部であるプリントエンジン120が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。また、画像処理部104は、スキャナエンジン150から入力される撮像データを処理し、画像データを生成する。この画像データとは、スキャナ動作の結果物として画像形成装置1に格納され若しくはネットワークI/F190及びネットワークを介して他の機器に送信される情報である。操作表示制御部105は、ディスプレイパネル180に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル180を介して入力された情報を主制御部101に通知する。
次に、本実施形態に係る折り処理ユニット3及び増し折り処理ユニット4がそれぞれ、折り処理及び増し折り処理を行う際の動作例について、図4〜6を参照して説明する。図4〜6は、本実施形態に係る折り処理ユニット3及び増し折り処理ユニット4がそれぞれ、折り処理及び増し折り処理を実行している際の折り処理ユニット3及び増し折り処理ユニット4を主走査方向から示す断面図である。尚、以下で説明する各動作部の動作は、主制御部101及びエンジン制御部102の制御により行われる。
本実施形態に係る画像形成装置1が折り処理ユニット3において折り処理動作を行う際にはまず、図4(a)に示すように、折り処理ユニット3は、画像形成ユニット2から入口ローラ対310により折り処理ユニット3に搬送されてきた画像形成済みの用紙6を、レジストローラ対320によりレジスト補正して搬送のタイミングを計りながら搬送経路切替爪330に向かって搬送する。
折り処理ユニット3は、図4(b)に示すように、レジストローラ対320により搬送経路切替爪330に搬送されてきた用紙6を、搬送経路切替爪330により第一の折り処理搬送ローラ対340に誘導する。折り処理ユニット3は、図4(c)に示すように、搬送経路切替爪330により第一の折り処理搬送ローラ対340に誘導されてきた用紙6を、第一の折り処理搬送ローラ対340により第二の折り処理搬送ローラ対350に向かって搬送する。
折り処理ユニット3は、図5(a)に示すように、第一の折り処理搬送ローラ対340により第二の折り処理搬送ローラ対350に搬送されてきた用紙6を、第一の折り処理搬送ローラ対340及び第二の折り処理搬送ローラ対350によりさらに搬送する。折り処理ユニット3は、図5(b)に示すように、用紙6を所定の位置で折るためのタイミングを計って第二の折り処理搬送ローラ対350の回転方向を反転させることで用紙6の上記所定の位置に撓みをつくりつつ、その撓みの位置が変化しないように第一の折り処理搬送ローラ対340及び第二の折り処理搬送ローラ対350により、用紙6を折り目付け搬送ローラ対360に向かって搬送する。
このとき、折り処理ユニット3は、主制御部101及びエンジン制御部102が、用紙6の搬送速度及びセンサ370から入力されたセンサ情報に基づいて各部を制御することで、上記タイミングを計るようになっている。
折り処理ユニット3は、図5(c)に示すように、第二の折り処理搬送ローラ対350により折り目付け搬送ローラ対360に搬送されてきた用紙6を、折り目付け搬送ローラ対360を搬送方向に回転させることで用紙6の上記撓みを挟み込んで上記所定の位置に折り目をつけると共に、その用紙6を増し折り処理ユニット4の増し折りローラ410と用紙支持板420との隙間に向かって搬送する。尚、図4及び図5に示すように、本実施形態においては、第一の折り処理搬送ローラ対340の一方は、折り目付け搬送ローラ対360の一方を兼任している。
このようにして折り処理が施された用紙6の形状の一例を図7(a)〜(h)に示す。図7(a)〜(h)は、本実施形態に係る折り処理ユニット3により折り処理が施された折り処理済みの用紙6の形状の一例を示す図である。
そして、増し折り処理ユニット4は、図6(a)に示すように、折り目付け搬送ローラ対360により増し折りローラ410と用紙支持板420との隙間に搬送されてきた用紙6を用紙支持板420により押圧方向から支持し、その用紙6に形成された折り目を増し折りローラ410を搬送方向に回転させながら押圧することで増し折りを行う。即ち、本実施形態においては、増し折りローラ410が、押圧部として機能し、用紙支持板420が、シート支持部として機能する。
このとき、増し折り処理ユニット4は、主制御部101及びエンジン制御部102が、折り処理ユニット3における折り方に関する折り情報、用紙6のサイズに関する用紙情報、用紙6の搬送速度、増し折りローラ410の回転速度に基づいて各部を制御することで、用紙6を押圧するタイミングを計るようになっている。若しくは、このとき、増し折り処理ユニット4は、主制御部101及びエンジン制御部102が、用紙6の搬送速度、増し折りローラ410の回転速度、センサ430から入力されたセンサ情報に基づいて各部を制御することで、用紙6を押圧するタイミングを計るようになっている。
尚、増し折りローラ410は、図4〜図6に示すように、増し折りローラ駆動装置470からタイミングベルト472を介して伝達される増し折りローラ駆動モータ471による駆動力により駆動され、また、折り目付け搬送ローラ対360は、図示しない折り目付け搬送ローラ駆動モータにより駆動される。そして、この増し折りローラ駆動モータ471の駆動、及び、折り目付け搬送ローラ駆動モータの駆動は、エンジン制御部102の制御により行われる。
上記のようにして、増し折り処理ユニット4は、用紙6に形成された折り目を増し折りローラ410により押圧することで増し折りを行うと、その増し折り処理済みの用紙6を増し折り処理搬送ローラ対440に向かって搬送する。
増し折り処理ユニット4は、図6(b)に示すように、増し折りローラ410と用紙支持板420との隙間から搬送されてきた増し折り処理済みの用紙6をそのまま排紙する場合には、その用紙6を増し折り処理搬送ローラ対440により排紙ローラ対450に向かって搬送する。そして、増し折り処理ユニット4は、増し折り処理搬送ローラ対440により排紙ローラ対450に搬送されてきた増し折り処理済みの用紙6を、排紙ローラ対450により排紙トレイ170に排紙する。これにより、本実施形態に係る画像形成装置1における折り処理動作及び増し折り処理動作を終了する。
一方、増し折り処理ユニット4は、図6(c)に示すように、増し折りローラ410と用紙支持板420との隙間から搬送されてきた増し折り処理済みの用紙6に対してステープルやパンチ、製本処理等の後処理を施す場合には、その用紙6を増し折り処理搬送ローラ対440により後処理搬送ローラ対460に向かって搬送する。そして、増し折り処理ユニット4は、増し折り処理搬送ローラ対440により後処理搬送ローラ対460に搬送されてきた増し折り処理済みの用紙6を、後処理搬送ローラ対460により図示しない後処理ユニットへ搬送する。これにより、本実施形態に係る画像形成装置1における折り処理動作及び増し折り処理動作を終了する。
次に、本実施形態に係る増し折りローラ410の構造例についてそれぞれ、図8〜図11、及び、図12〜図15を参照して説明する。
まず、本実施形態に係る増し折りローラ410の第一の構造例について、図8〜図11を参照して説明する。図8は、本実施形態に係る増し折りローラ410を主走査方向の斜め上横から示す斜視図である。図9は、本実施形態に係る増し折りローラ410を副走査方向から示す正面図である。図10は、本実施形態に係る増し折りローラ410を主走査方向から示す側面図である。図11は、本実施形態に係る増し折りローラ410の展開図である。
本実施形態に係る増し折りローラ410は、第一の構造例として、図8〜図11に示すように、主走査方向に貫く軸を中心に回転する増し折りローラ回転軸411を回転軸とする押圧力伝達ローラ413の周回面上に、凸形状の押圧力伝達部412が増し折りローラ回転軸411と一定の角度差θをもって螺旋状に主走査方向に向かって配置されて構成される。本実施形態に係る増し折りローラ410は、このように構成されることで、押圧力伝達部412の一部のみが用紙6に形成された折り目に接触するようになっている。
そのため、本実施形態に係る増し折りローラ410は、増し折りローラ回転軸411を回転軸として回転することで、用紙6に形成された折り目を主走査方向の一方向に向かって順次押圧することができる。
従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、短時間の間に集中的な押圧力を折り目全域にわたってかけることが可能となる。そのため、本実施形態に係る画像形成装置は、増し折りローラ回転軸411への負荷を低減させつつ、生産性を低下させることなく折り目に対して十分な押圧力を与えることが可能となる。これにより、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、生産性が高く小型で低コストな増し折り装置を提供することが可能となる。
次に、本実施形態に係る増し折りローラ410の第二の構造例について、図12〜図15を参照して説明する。図12は、本実施形態に係る増し折りローラ410を主走査方向の斜め上横から示す斜視図である。図13は、本実施形態に係る増し折りローラ410を副走査方向から示す正面図である。図14は、本実施形態に係る増し折りローラ410を主走査方向から示す側面図である。図15は、本実施形態に係る増し折りローラ410の展開図である。
本実施形態に係る増し折りローラ410は、第二の構造例として、図12〜図15に示すように、押圧力伝達ローラ413の周回面上に、凸形状の押圧力伝達部412が増し折りローラ回転軸411と一定の角度差θをもって螺旋状に、且つ、増し折りローラ410の主走査方向における中心を基準として対称となるようにV字型に主走査方向に向かって配置されて構成される。本実施形態に係る増し折りローラ410は、このように構成されることで、押圧力伝達部412の一部が2か所同時に用紙6に形成された折り目に接触するようになっている。
そのため、本実施形態に係る増し折りローラ410は、増し折りローラ回転軸411を回転軸として回転することで、用紙6に形成された折り目を主走査方向の両方向に向かって順次押圧することができる。
従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、図8〜図11に示すような構造に比べて押圧力は低下するが、より短時間の間に集中的な押圧力を折り目全域にわたってかけることが可能となる。そのため、本実施形態に係る画像形成装置は、生産性を向上させながら、増し折りローラ回転軸411への負荷を低減させつつ折り目に対して十分な押圧力を与えることが可能となる。これにより、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、生産性がより高く小型で低コストな増し折り装置を提供することが可能となる。
次に、本実施形態に係る用紙支持板420の構造例について、図16〜図18を参照して説明する。図16は、本実施形態に係る用紙支持板420を主走査方向から示す側面図である。図17は、本実施形態に係る用紙支持板420を、通常時において副走査方向から示す正面図である。図18は、本実施形態に係る用紙支持板420を、増し折り時において副走査方向から示す正面図である。
図16及び図17に示すように、本実施形態に係る用紙支持板420は、通常時、用紙支持板420と固定部材422とにより圧縮された弾性体421の弾性力により、増し折りローラ410に押し当てられるように力が作用するが、規制部材423により押圧力伝達ローラ413との隙間が所定距離L以下にならないように規制されている。尚、図16及び図17において、弾性体421は、圧縮スプリングにより構成されている例について示しているが、この他、板バネやゴム、スポンジ、可塑性樹脂等の弾性を有する素材により構成されていても良い。即ち、本実施形態においては、弾性体421が押圧力発生部として機能する。
また、図16及び図18に示すように、本実施形態に係る用紙支持板420は、増し折り時、用紙6を介して押圧力伝達部412により押圧されることで弾性体421がさらに圧縮する方向に移動するようになっている。本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、このときの弾性体421による弾性力により、用紙6に形成された折り目を押圧するようになっている。
そして、このように構成された増し折り処理ユニット4において、本実施形態に係る要旨の一つは、図16〜図18に示すように、弾性体421を用紙支持板420の主走査方向における中央部付近に配置したことにある。
そのため、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、図19に示すように、弾性体421を用紙支持板420の主走査方向における両端部付近に配置して構成された場合とは異なり、用紙支持板420の主走査方向における中央部付近に押圧方向とは反対の方向にモーメントが発生するといったことを防止することが可能となる。
図19は、従来の用紙支持板420を、増し折り時において副走査方向から示す正面図である。図19に示すように、従来の増し折り処理ユニット4においては、装置の制約上、弾性体421を用紙支持板420の主走査方向における両端部付近に配置して構成せざるを得ない。そのため、図19に示すように、従来の増し折り処理ユニット4においては、用紙支持板420の主走査方向における中央部付近に押圧方向とは反対の方向にモーメントが発生し、上記中央部付近に発生したモーメントにより用紙支持板420が撓んでしまって、その中央部付近について十分な押圧力を発生させることができないといった問題がある。
そこで、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、図16〜図18に示すように、弾性体421を用紙支持板420の主走査方向における中央部付近に配置されて構成されていることを要旨の一つとしている。従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、用紙支持板420の主走査方向における中央部付近に押圧方向とは反対の方向にモーメントが発生するといったことを防止することが可能となり、上記中央部付近に発生したモーメントにより用紙支持板420が撓んでしまって、その中央部付近について十分な押圧力を発生させることができないといったことを防止することが可能となる。
これにより、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、主走査方向の全域にわたって均一に押圧力を発生させることが可能となる。従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4によれば、用紙6に形成された折り目を効果的に補強することが可能となる。
尚、図16に示すように、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4において弾性体421は、用紙6の押圧時、その弾性力が作用する方向が、増し折りローラ410の用紙6との当接点における接線の方向と直角となるように設けられている。従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、弾性体421による弾性力を用紙6に形成された折り目に効率的に作用させることが可能となる。これにより、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、弾性体421による弾性力を向上させることなく十分な押圧力を発生させることが可能となり、結果的に、増し折りローラ回転軸411への負荷を低減させることが可能となる。
このとき、特に、図16に示すように、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4において弾性体421は、用紙6の押圧時、その弾性力が作用する方向が、増し折りローラ410の用紙6との当接点を通るように設けられている。従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、弾性体421による弾性力を用紙6に形成された折り目により効率的に作用させることが可能となる。これにより、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、弾性体421による弾性力を向上させることなく十分な押圧力を発生させることが可能となり、結果的に、増し折りローラ回転軸411への負荷をさらに低減させることが可能となる。
また、所定距離Lは2mm程度であり、本実施形態に係る用紙支持板420は、増し折り時以外はこの所定距離Lの隙間をあけたまま待機するようになっている。そのため、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折り時に紙詰まりが発生した場合等には、用紙支持板420及び増し折りローラ410を図16及び図17に示すような状態にすることで、紙詰まりの解消を容易にすることが可能となっている。
次に、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が増し折り処理を行う際の動作例の詳細について、図20〜図22を参照して説明する。図20、図21は、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が増し折り処理を実行している際の増し折りローラ410及び用紙支持板420を主走査方向から示す断面図である。図22は、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が増し折り処理を実行している際の、用紙6の搬送速度と増し折りローラ410の回転速度との経時変化を示す図である。尚、図20〜図22においては、第一の折り目6a及び第二の折り目6bを有するZ折りが形成された用紙6に対して増し折り処理を施す例について説明する。また、以下で説明する各動作部の動作は、主制御部101及びエンジン制御部102の制御により行われる。
本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、図20(a)、図22に示すように、用紙6の搬送を開始すると、図20(b)、図22に示すように、増し折りローラ410が用紙6に形成された第一の折り目6aに当接するまでのタイミングを計算した上で、用紙6の停止を待たずに増し折りローラ410の回転を開始させる。このように、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が用紙6の停止を待たずに増し折りローラ410の回転を開始させるのは、増し折りローラ410が回転を開始してから用紙6に当接するまでのタイムラグを短くするためである。これにより、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、生産性を向上させることが可能となる。
このとき、増し折り処理ユニット4は、主制御部101及びエンジン制御部102が、折り処理ユニット3における折り方に関する折り情報、用紙6のサイズに関する用紙情報、用紙6の搬送速度、増し折りローラ410の回転速度に基づいて各部を制御することで、増し折りローラ410が用紙6に形成された第一の折り目6aに当接するまでのタイミングを計算するようになっている。若しくは、このとき、増し折り処理ユニット4は、主制御部101及びエンジン制御部102が、用紙6の搬送速度、増し折りローラ410の回転速度、センサ430 BR>ゥら入力されたセンサ情報に基づいて各部を制御することで、増し折りローラ410が用紙6に形成された第一の折り目6aに当接するまでのタイミングを計算するようになっている。
そして、増し折り処理ユニット4は、図20(c)、図22に示すように、増し折りローラ410が用紙6に形成された第一の折り目6aに当接を開始することで第一の折り目6aに対する押圧を開始する。増し折り処理ユニット4は、図20(d)、図22に示すように、増し折りローラ回転軸411の直上に上記第一の折り目6aが位置するまで用紙6を搬送すると、用紙6の搬送を完全に停止させた上で増し折りローラ410を回転させ続けることで用紙6に形成された第一の折り目6aへの押圧を続ける。
その後、増し折り処理ユニット4は、図20(e)、図22に示すように、増し折りローラ410が用紙6から離間するまでのタイミングを計算した上で、増し折りローラ410の停止を待たずに用紙6の搬送を開始する。このように、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が増し折りローラ410の停止を待たずに用紙6の搬送を開始するのは、増し折りローラ410が用紙6を離間してから完全に停止するまでのタイムラグを短くするためである。これにより、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、生産性を向上させることが可能となる。
このとき、増し折り処理ユニット4は、主制御部101及びエンジン制御部102が、増し折りローラ410の回転速度に基づいて各部を制御することで、増し折りローラ410が用紙6から離間するまでのタイミングを計算するようになっている。
尚、図20(e)、図22に示すように、用紙6を押圧しながら搬送を開始することができるのは、増し折りローラ410の回転と同期するようにして、その回転方向と同じ方向に移動する図示しない搬送ベルトで用紙6を搬送する場合のみである。これは、増し折りローラ410が用紙6を押圧しているときには、用紙6は用紙支持板420に押し付けられているため、増し折りローラ410の回転方向と同じ方向に移動する搬送ベルトを介さなければ用紙支持板420との摩擦で用紙6に破れ等が発生し得るためである。
そして、増し折り処理ユニット4は、図20(f)、図22に示すように、増し折りローラ410から離間した用紙6を搬送すると、図21(a)、図22に示すように、増し折りローラ410の回転を停止させ、図21(b)、図22に示すように、増し折りローラ410が用紙6に形成された第二の折り目6bに当接するまでのタイミングを計算した上で、用紙6の停止を待たずに増し折りローラ410の回転を開始させる。このように、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が用紙6の停止を待たずに増し折りローラ410の回転を開始させるのは、増し折りローラ410が回転を開始してから用紙6に当接するまでのタイムラグを短くするためである。これにより、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、生産性を向上させることが可能となる。
このとき、増し折り処理ユニット4は、主制御部101及びエンジン制御部102が、折り処理ユニット3における折り方に関する折り情報、用紙6のサイズに関する用紙情報、用紙6の搬送速度、増し折りローラ410の回転速度に基づいて各部を制御することで、増し折りローラ410が用紙6に形成された第二の折り目6bに当接するまでのタイミングを計算するようになっている。若しくは、このとき、増し折り処理ユニット4は、主制御部101及びエンジン制御部102が、用紙6の搬送速度、増し折りローラ410の回転速度、センサ430から入力されたセンサ情報に基づいて各部を制御することで、増し折りローラ410が用紙6に形成された第二の折り目6bに当接するまでのタイミングを計算するようになっている。
そして、増し折り処理ユニット4は、図21(c)、図22に示すように、増し折りローラ410が用紙6に形成された第二の折り目6bに当接を開始することで第二の折り目6bに対する押圧を開始する。増し折り処理ユニット4は、図21(d)、図22に示すように、増し折りローラ回転軸411の直上に上記第二の折り目6bが位置するまで用紙6を搬送すると、用紙6の搬送を完全に停止させた上で増し折りローラ410を回転させ続けることで用紙6に形成された第二の折り目6bへの押圧を続ける。
その後、増し折り処理ユニット4は、図21(e)、図22に示すように、増し折りローラ410が用紙6から離間するまでのタイミングを計算した上で、増し折りローラ410の停止を待たずに用紙6の搬送を開始する。このように、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4が増し折りローラ410の停止を待たずに用紙6の搬送を開始するのは、増し折りローラ410が用紙6を離間してから完全に停止するまでのタイムラグを短くするためである。これにより、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、生産性を向上させることが可能となる。
このとき、増し折り処理ユニット4は、主制御部101及びエンジン制御部102が、増し折りローラ410の回転速度に基づいて各部を制御することで、増し折りローラ410が用紙6から離間するまでのタイミングを計算するようになっている。
尚、図21(e)、図22に示すように、用紙6を押圧しながら搬送を開始することができるのは、増し折りローラ410の回転と同期するようにして、その回転方向と同じ方向に移動する図示しない搬送ベルトで用紙6を搬送する場合のみである。これは、増し折りローラ410が用紙6を押圧しているときには、用紙6は用紙支持板420に押し付けられているため、増し折りローラ410の回転方向と同じ方向に移動する搬送ベルトを介さなければ用紙支持板420との摩擦で用紙6に破れ等が発生し得るためである。
そして、増し折り処理ユニット4は、図21(f)、図22に示すように、増し折りローラ410と離間した用紙6を搬送することで増し折り処理を終了する。
次に、本実施形態に係る増し折りローラ駆動装置470の構造について、図23及び図24を参照して説明する。図23は、本実施形態に係る増し折りローラ駆動装置470を副走査方向から示す図である。図24は、本実施形態に係る増し折りローラ駆動装置470の斜視図である。
図23及び図24に示すように、本実施形態に係る増し折りローラ駆動装置470は、増し折りローラ410の主走査方向における一端に設けられ、増し折りローラ駆動モータ471、タイミングベルト472、反転ギア473、増し折りローラ回転ギアプーリ474、増し折りローラ回転プーリ475、ワンウェイクラッチ476、逆回転ギア477、ワンウェイクラッチ478、逆回転カム479を備える。
増し折りローラ駆動モータ471は、反転ギア473を回転させるモータである。増し折りローラ回転ギアプーリ474は、反転ギア473と噛み合うギアを備えるプーリであり、反転ギア473が回転することで反転ギア473の回転方向とは反対の方向に回転する。タイミングベルト472は、増し折りローラ回転ギアプーリ474の回転を増し折りローラ回転プーリ475に伝えるための無端状ベルトである。増し折りローラ回転プーリ475は、増し折りローラ回転軸411に連結されており、増し折りローラ回転ギアプーリ474が回転することでタイミングベルト472により増し折りローラ回転ギアプーリ474と同じ方向に回転させられることで増し折りローラ回転軸411をその回転方向に回転させる。
このように構成された増し折りローラ駆動装置470は、増し折りローラ410を図24に示す矢印の方向に回転させる場合にはまず、エンジン制御部102の制御に従って増し折りローラ駆動モータ471を図24に示す矢印とは反対の方向に回転させることで、反転ギア473を図24に示す矢印方向とは反対の方向に回転させる。これにより、増し折りローラ回転ギアプーリ474は、図24に示す矢印と同じ方向に回転し、その回転をタイミングベルト472を介して増し折りローラ回転プーリ475に伝える。
そして、増し折りローラ回転プーリ475が回転すると、その回転に連動して増し折りローラ回転軸411が回転することで増し折りローラ410が図24に示す矢印の方向に回転する。尚、増し折りローラ駆動装置470が増し折りローラ410を図24に示す矢印とは反対の方向に回転させる場合には、それぞれが上記とは反対に回転する。
ワンウェイクラッチ476は、増し折りローラ回転プーリ475の内部に設けられており、増し折りローラ回転プーリ475が特定の方向に回転した場合にのみ増し折りローラ回転軸411を同方向に回転させ、増し折りローラ回転プーリ475が上記特定の方向とは反対の方向に回転した場合には空転して増し折りローラ回転軸411を回転させないような構成となっている。
尚、本実施形態に係るワンウェイクラッチ476は、増し折りローラ回転プーリ475が図24に示す矢印Aの方向に回転した場合にのみ増し折りローラ回転軸411を同方向に回転させ、増し折りローラ回転プーリ475が図24に示す矢印Aの方向とは反対の方向に回転した場合には空転するように構成されているものとする。
逆回転ギア477は、反転ギア473と噛み合うギアであり、反転ギア473が回転することで反転ギア473の回転方向とは反対の方向に、即ち、増し折りローラ回転ギアプーリ474と同方向に回転する。ワンウェイクラッチ478は、逆回転ギア477の内部に設けられ、ワンウェイクラッチ476と同様に、逆回転ギア477が特定の方向に回転した場合にのみ逆回転カム479を同方向に回転させ、逆回転ギア477が上記特定の方向とは反対の方向に回転した場合には空転して逆回転カム479を回転させないような構成となっている。
尚、本実施形態に係るワンウェイクラッチ478は、逆回転ギア477が図24に示す矢印Bの方向に回転した場合にのみ逆回転カム479を同方向に回転させ、逆回転ギア477が図24に示す矢印Bの方向とは反対の方向に回転した場合には空転するように構成されているものとする。
ワンウェイクラッチ476とワンウェイクラッチ478とが上述したように構成されることで、増し折りローラ回転プーリ475及び逆回転カム479は、増し折りローラ駆動モータ471が回転してもどちらか一方のみが回転することになる。また、増し折りローラ回転プーリ475と逆回転カム479との回転方向は互いに反対方向となる。
逆回転カム479は、逆回転ギア477の回転軸からの距離が一定でない曲面を備え、その曲面の逆回転ギア477の回転軸からの距離が長い部分に、逆回転カム479の回転運動を増し折りローラ410以外の駆動系に伝達するための逆回転駆動伝達部480に連結されている。
このように構成された増し折りローラ駆動装置470は、増し折りローラ410を図24に示す矢印Aの方向に回転させる場合にはまず、エンジン制御部102の制御に従って増し折りローラ駆動モータ471を図24に示す矢印Aとは反対の方向に回転させることで、反転ギア473を図24に示す矢印Aの方向とは反対の方向に回転させる。これにより、増し折りローラ回転ギアプーリ474は、図24に示す矢印Aと同じ方向に回転し、その回転をタイミングベルト472を介して増し折りローラ回転プーリ475に伝える。
そして、増し折りローラ回転プーリ475が回転すると、その回転に連動して増し折りローラ回転軸411が回転することで増し折りローラ410が図24に示す方向に回転する。このとき、ワンウェイクラッチ478の機能により逆回転ギア477は回転しない。
一方、このように構成された増し折りローラ駆動装置470が増し折りローラ駆動モータ471の駆動力を他の駆動系に利用するためにはまず、エンジン制御部102の制御に従って増し折りローラ駆動モータ471を図24に示す矢印Bとは反対の方向に回転させることで、逆回転ギア477を図24に示す矢印Bの方向とは反対の方向に回転させる。
これにより、逆回転カム479は、図24に示す矢印Bと同じ方向に回転し、その回転運動を逆回転駆動伝達部480を介して増し折りローラ410以外の駆動系に伝達する。このとき、ワンウェイクラッチ476の機能により増し折りローラ回転プーリ475は回転しない。
このような構成により、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ410を回転可能な方向とは反対の方向に回転させようとするための増し折りローラ駆動モータ471の駆動力を他の駆動系に利用することが可能となる。
尚、増し折りローラ駆動装置470がこのように構成された場合、増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ410の回転を停止させようとすると、まず、増し折りローラ駆動モータ471の回転を停止させるが、ワンウェイクラッチ476の機能により、増し折りローラ410は自身の慣性力による回転モーメントによってしばらくは同方向に回転し続けることになる。これは、増し折りローラ駆動モータ471の回転が停止しても、ワンウェイクラッチ476の機能により、増し折りローラ410の回転方向とは反対方向からその慣性力による回転モーメントを打ち消すことができないためである。
従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ410を所定の角度θだけ回転させてその回転角θで停止させたつもりでも、実際には増し折りローラ410はその所定の角度θ以上に回転して停止することになるめ、増し折りローラ410の正確な回転角を見失ってしまうことになる。
そこで、増し折りローラ駆動装置470がこのように構成された場合、増し折りローラ410を上記所定の角度θだけ回転させてその回転角θで精確に停止させるための停止装置が必要になる。そのため、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ410を所定の位置で停止させるための停止装置490を備えている。
ここで、本実施形態に係る停止装置490の構造について、図25〜図27を参照して説明する。図25は、本実施形態に係る停止装置490の斜視図である。図26は、本実施形態に係る停止装置490を主走査方向と副走査方向とで形成される平面に垂直な方向から示す透過図である。図27は、本実施形態に係る停止装置490を主走査方向から示す図である。
図25〜図27に示すように、本実施形態に係る停止装置490は、増し折りローラ410の主走査方向に対して、増し折りローラ駆動装置470の反対側に備えられ、停止装置固定部491、回転部492、回転ネジ493、連結部494、回転停止部495、トーションスプリング496、センサ497、センサ遮蔽部498、回転停止作用部499を備える。
停止装置固定部491は、停止装置490を増し折り処理ユニット4に固定するための固定部である。回転部492は、回転ネジ493を回転軸として図25及び図27に示す矢印Cの方向に回転可能なように、回転ネジ493により停止装置固定部491に固定されている。回転ネジ493は、自身が回転部492の回転軸となるように、回転部492を図25及び図27に示す矢印Cの方向に回転可能なように停止装置固定部491に固定する。連結部494は、回転部492と回転停止部495とを連結する。回転停止部495は、連結部494により回転部492と連結されることで、回転ネジ493を回転軸として図25及び図27に示す矢印Dの方向に回転する。
トーションスプリング496は、回転ネジ493による回転部492の停止装置固定部491への取り付け部分の周囲に取り付けられたトーションスプリングであり、片方は停止装置固定部491に固定され、もう一方は回転停止部495に固定されている。このような構成とすることにより、トーションスプリング496は、自身の弾性力により、回転ネジ493を回転軸とした回転停止部495の回転を阻止しようとする力が働き、回転停止部495を元の位置に戻すことが可能となる。尚、本実施形態に係るトーションスプリング496の弾性力は、増し折りローラ410の慣性力よりも大きい。
センサ497は、赤外線を照射する赤外線照射部とその赤外線を受光する赤外線受光部とから構成され、赤外線照射部から赤外線受光部に向けて照射された赤外線がセンサ遮蔽部498により遮蔽されると、その旨をエンジン制御部102に通知する。センサ遮蔽部498は、増し折りローラ回転軸411に固定されて増し折りローラ410と共に回転し、増し折りローラ410が所定の角度θだけ回転するとセンサ497における赤外線照射部から赤外線受光部に向けて照射された赤外線を遮蔽する。このような構成とすることにより、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、センサ遮蔽部498がセンサ497を上記のように遮蔽することで、増し折りローラ410が所定の角度θだけ回転したことを検知することが可能となり、その時点で増し折りローラ410を停止させるための制御、即ち、増し折りローラ駆動モータ471の回転を停止させるための制御を行うことが可能となる。
回転停止作用部499は、センサ遮蔽部498の先端に設けられ、増し折りローラ410が上記所定の角度θだけ回転すると、回転停止部495と接触するように構成されている。
本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、このように構成された停止装置490を備えることにより、増し折りローラ410を上記所定の角度θだけ回転させてその回転角θで停止させようとして増し折りローラ駆動モータ471の回転を停止させた際に、増し折りローラ410の慣性力による回転モーメントをその反対方向から打ち消すことが可能となる。
従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ駆動装置470が図23及び図24に示すように構成されている場合であっても、増し折りローラ410を上記所定の角度θだけ回転させてその回転角θで停止させようとした際に、増し折りローラ駆動モータ471の回転を停止させてもしばらく増し折りローラ410が同方向に回転し続けるといったことを防ぐことが可能となる。
即ち、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ410を上記所定の角度θだけ回転させてその回転角θで停止させたつもりでも、実際には増し折りローラ410はその所定の角度θ以上に回転してから停止するといったことがない。これにより、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折りローラ駆動装置470が図23及び図24に示すように構成されている場合であっても、増し折りローラ410を上記所定の角度θだけ回転させてその回転角θで精確に停止させることが可能となり、増し折りローラ410の正確な回転角を常時把握することができる。
以上、説明したように、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、図16〜図18に示すように、弾性体421を用紙支持板420の主走査方向における中央部付近に配置されて構成されたことを要旨の一つとしている。
そのため、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、図19に示すように、弾性体421を用紙支持板420の主走査方向における両端部付近に配置して構成された場合とは異なり、用紙支持板420の主走査方向における中央部付近に押圧方向とは反対の方向にモーメントが発生するといったことを防止することが可能となる。
従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、図19に示すような場合とは異なり、上記中央部付近に発生したモーメントにより用紙支持板420が撓み、その中央部付近について十分な押圧力を発生させることができないといったことを防止することが可能となる。
これにより、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、主走査方向の全域にわたって均一に押圧力を発生させることが可能となる。従って、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4によれば、用紙6に形成された折り目を効果的に補強することが可能となる。
尚、本実施形態に係る用紙支持板420は、図16〜18に示すように構成されている例について説明したが、用紙支持板420の主走査方向における水平をより高度に保つために、図28(a)、(b)に示すように、回転支点424を支点として押圧方向に搖動するように構成されていても良い。図28(a)、(b)は、本実施形態に係る用紙支持板420主走査方向から示す側面図及び押圧方向から示す透過図である。本実施形態に係る用紙支持板420は、このように構成されることで、増し折りローラ410と常に高度に平行を保つことが可能となるため、押圧力を折り目全域にわたって均一にかけることが可能となる。尚、図28(a)、(b)においては、用紙6の搬送方向下流側に回転支点424が設けられている例について示しているが、搬送方向上流側に設けられていても良い。
また、本実施形態に係る用紙支持板420は、図16〜18に示すように構成されている例について説明したが、このように構成された場合、弾性体421による弾性力と規制部材423により、用紙支持板420の主走査方向における中央部付近に増し折りローラ410に向かうモーメントが発生するため、図29に示すように、中央部付近が増し折りローラ410側に撓んでしまう可能性がある。図29は、本実施形態に係る用紙支持板420を、通常時において副走査方向から示す正面図である。そのため、本実施形態に係る用紙支持板420は、このような状態で時間が経過すると塑性変形してしまうことになる。
そこで、本実施形態に係る用紙支持板420は、図30(a)、(b)に示すように、規制部材423を、用紙支持板420の主走査方向における両端部に設ける代わりに、回転支点424の副走査方向における反対側であって、用紙支持板420の主走査方向における中央部付近に設けるように構成されることで、中央部付近に作用する上記モーメントを低減させることが可能となる。図30(a)、(b)は、本実施形態に係る用紙支持板420主走査方向から示す側面図及び押圧方向から示す透過図である。従って、本実施形態に係る用紙支持板420は、このように構成されることで、剛性を向上させることなく上記のような塑性変形を防止することが可能となる。
また、本実施形態に係る用紙支持板420は、図16に示すように構成されている例について説明したが、このように構成された場合、図31に示すように、増し折りローラ410と用紙支持板420との接触幅Qは線接触様となって狭い範囲でしか接触することができないため、増し折り時に用紙6が用紙搬送方向に少しでもずれてしまうと折り目を押圧することができなくなってしまう。図31は、本実施形態に係る用紙支持板420主走査方向から示す側面図である。
そこで、本実施形態に係る用紙支持板420は、図32に示すように、押圧力伝達部412の回転により押圧力伝達部412の外径が描く軌跡に合わせて円弧状となるように構成されることで、増し折りローラ410と用紙支持板420との接触幅Qを広げることが可能となる。図32は、本実施形態に係る用紙支持板420主走査方向から示す側面図である。従って、本実施形態に係る用紙支持板420は、このように構成されることで、増し折り時に用紙6が用紙搬送方向にずれてしまった場合であっても折り目を押圧することが可能となる。
また、本実施形態に係る用紙支持板420は、図32に示すように構成された場合、図33に示すように、円弧状の円周面に合わせて複数個の弾性体421を設けるように構成されていても良い。図33は、本実施形態に係る用紙支持板420主走査方向から示す側面図である。本実施形態に係る用紙支持板420は、このように構成された場合、増し折りローラ410と用紙支持板420との接触幅Qの全域にわたって均一に押圧力をかけることが可能となり、増し折り時に用紙6が用紙搬送方向にずれてしまった場合であってもより確実に折り目を押圧することが可能となる。
また、本実施形態に係る用紙支持板420は、図32に示すように構成された場合、図34に示すように、円弧状の円周面上の全域に弾性力を発生することができる弾性体421を設けるように構成されていても良い。図34は、本実施形態に係る用紙支持板420主走査方向から示す側面図である。本実施形態に係る用紙支持板420は、このように構成された場合、増し折りローラ410と用紙支持板420との接触幅Qの全域にわたって均一に押圧力をかけることが可能となり、増し折り時に用紙6が用紙搬送方向にずれてしまった場合であってもより確実に折り目を押圧することが可能となる。
また、本実施形態に係る用紙支持板420は、図32に示すように構成された場合、図35に示すように、円弧状の円周面を包み込むようにその円周方向に横架された弾性体421を設けるように構成されていても良い。図35は、本実施形態に係る用紙支持板420主走査方向から示す側面図である。本実施形態に係る用紙支持板420は、このように構成された場合、増し折りローラ410と用紙支持板420との接触幅Qの全域にわたって均一に押圧力をかけることが可能となり、増し折り時に用紙6が用紙搬送方向にずれてしまった場合であってもより確実に折り目を押圧することが可能となる。
また、本実施形態に係る用紙支持板420は、図16に示すように、用紙支持板420と固定部材422とにより圧縮された弾性体421の弾性力により、増し折りローラ410に押し当てられるように力が作用するように構成されている例について説明したが、図36に示すように、連結部材425により用紙支持板420とリンクして動くように連結された可動部材426と固定部材422とにより引き伸ばされた弾性体421の圧縮力により、増し折りローラ410に押し当てられるように力が作用するように構成されていても良い。図36は、本実施形態に係る用紙支持板420主走査方向から示す側面図である。
また、本実施形態に係る用紙支持板420は、増し折り時、増し折りローラ410からの押圧力が作用していない部分については、弾性体421による弾性力により増し折りローラ410に向かうモーメントが発生するため、図37に示すように、増し折りローラ410側に撓んでしまう可能性がある。図37は、本実施形態に係る用紙支持板420を、通常時において副走査方向から示す正面図である。そのため、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、このような状態では折り目に接触しない撓んだ部分に押圧力が集中するため、折り目に十分な押圧力をかけることができなくなってしまう。
そこで、本実施形態に係る用紙支持板420は、図38に示すように、主走査方向に複数個の弾性体421を設けるように構成されることで、折り目に接触しない部分が撓むことなく、主走査方向の全域にわたって均一に十分な押圧力をかけることが可能となる。図38は、本実施形態に係る用紙支持板420を、通常時において副走査方向から示す正面図である。
また、本実施形態に係る用紙支持板420は、図39に示すように、主走査方向に複数個の弾性体421を設け、かつ、弾性体421毎に複数に分割されるように構成されていても良い。本実施形態に係る用紙支持板420は、図39に示すように構成されることで、分割された各用紙支持板420がそれぞれ独立して個別に折り目に押圧力をかけることが可能となるので、折り目に接触しない部分が撓むことなく、主走査方向の全域にわたって均一に十分な押圧力をかけることが可能となる。図39は、本実施形態に係る用紙支持板420を、通常時において副走査方向から示す正面図である。
また、本実施形態に係る増し折りローラ410は、図8〜図11に示すように、押圧力伝達ローラ413の周回面上に、押圧力伝達部412が増し折りローラ回転軸411と一定の角度差θをもって螺旋状に主走査方向に向かって配置されて構成され、若しくは、図8〜図15に示すように、押圧力伝達ローラ413の周回面上に、凸形状の押圧力伝達部412が増し折りローラ回転軸411と一定の角度差θをもって螺旋状に、且つ、増し折りローラ410の主走査方向における中心を基準として対称となるようにV字型に主走査方向に向かって配置されて構成される例について説明した。
この他、本実施形態に係る増し折りローラ410は、図40〜図42に示すように、複数個の押圧力伝達部412が、増し折りローラ回転軸411の回転方向に互いに一定の角度差をもって増し折りローラ回転軸411の周囲に主走査方向に向かって一定間隔で配置されて構成されても良い。
また、この他、本実施形態に係る増し折りローラ410は、図43〜図45や図46〜図48に示すように、奇数個若しくは偶数個の押圧力伝達部412が、増し折りローラ回転軸411の主走査方向における中心を基準として対称となるように、増し折りローラ回転軸411の回転方向に互いに一定の角度差をもって増し折りローラ回転軸411の周囲に主走査方向に向かって一定間隔で配置されて構成されていても良い。
本実施形態に係る増し折りローラ410は、図40〜図42、図43〜図45、図46〜図48に示すように構成されることで、増し折りローラ回転軸411への負荷を低減させつつ、生産性を低下させることなく折り目に対して十分な押圧力を与えることが可能となる上、用紙6に折りシワができることを防ぐことが可能となる。
ここで、このように構成された場合の押圧力伝達部412の構造例について、図49を参照して説明する。図49は、本実施形態に係る押圧力伝達部412を、増し折りローラ回転軸411に配置されている状態において主走査方向から示す図である。図49に示すように、本実施形態に係る押圧力伝達部412は、押圧力伝達部412を増し折りローラ回転軸411の周囲に固定するための固定部412aと、固定部412aに取り付けられ、伸縮することによりその伸縮方向へ弾性力を生む弾性体412bと、弾性体412bに取り付けられ、主走査方向に貫く軸を中心に回転する回転体により構成される押圧コロ412cとで構成される。
このように、押圧力伝達部412が、弾性体412bを含むように構成されるのは、弾性体412bが剛体であると仮定すると、増し折りローラ410は、押圧力伝達部412のいずれかが用紙支持板420に当接した時点で回転することができなくなってしまうためである。
尚、図49では、弾性体412bは、板バネにより構成されている例について示しているが、この他、圧縮スプリングやゴム、スポンジ、可塑性樹脂等の弾性を有する素材により構成されていても良い。
本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折り処理の際、このように構成された増し折りローラ410を増し折りローラ回転軸411を回転軸として回転させることで、用紙において主走査方向に形成された折り目を、各押圧力伝達部412によりその折り目方向に向かって順次押圧することができるようになっている。
これは、本実施形態に係る増し折りローラ410は、複数個の押圧力伝達部412が、増し折りローラ回転軸411の回転方向に互いに一定の角度差をもって増し折りローラ回転軸411の周囲に主走査方向に向かって一定間隔で配置されて構成されるためである。
そのため、本実施形態に係る増し折り処理ユニット4は、増し折り処理の際、主走査方向全域にわたって押圧力が分散されるといったことがなく、各押圧力伝達部412による集中的な押圧力を折り目全域にわたってかけることができる。
また、本実施形態に係る増し折りローラ410は、このような構造の他、図50に示すように、増し折りローラ回転軸411に押圧力伝達ローラ413が取り付けられだけの構造であっても良い。図50は、本実施形態に係る増し折りローラ410を主走査方向の斜め上横から示す斜視図である。尚、図50において、押圧力伝達ローラ413は、用紙6を用紙支持板420に押し付けることにより、用紙6に形成された折り目に押圧力を伝えるためのローラである。本実施形態に係る増し折りローラ410は、このように構成された場合、回転しなくても用紙支持板420が押し当てられるだけで主走査方向の全域にわたって折り目を押圧することができる。
また、本実施形態においては、画像形成ユニット2、折り処理ユニット3、増し折り処理ユニット4、スキャナユニット5が、画像形成装置1に備えられる構成について説明したが、各ユニットそれぞれが異なる独立した装置として構成され、それらの装置が連結されて画像形成システムを構成するようにしても良い。